ストライクウィッチーズでレズ百合萌え 避難所2
- 1 名前:管理人 ◆JvGG5u6wMo:2009/04/08(水) 02:48:43 ID:lOpm6vBs
- ここはレズ・百合萌え@bbspink掲示板にある「ストライクウィッチーズでレズ百合萌え」スレの避難所です。
基本的には上記スレ同様のルールを守って書き込んで下さい。
また、百合本スレの荒らしに関する話題はこのスレでは禁止です。
専用スレが存在しますので荒らしに関しては下記のスレで話し合ってください。
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12483/1236773034/
- 2 名前:名無しさん:2009/04/09(木) 00:16:26 ID:DgK5BJcE
- ネタ・お題? 一覧
■キス
間接キス
写真にキス
投げキッス
窓越しにキス
ガラス越しにキス
甘噛み
指ちゅぱ
涙を舐める
キス・おはよう
キス・おやすみ
キス・お見送り
無理やり奪う
キスマーク
■お世話
つめきり
マッサージ
口移し
脱がせる
着せる
オイル塗り
看病
洗いっこ
■遊び
指相撲
にらめっこ
肩車
観覧車
お化け屋敷
■お付き合い
告白・直接伝える
告白・間接的に伝える
告白・周りにけしかけられて
付き会い始めたきっかけ
初夜
■喧嘩
子供のことで
好きの度合い
お互いに無視
仲直り
すれちがい
■道具
お酒
腕枕
抱き枕
相合傘
交換日記
愛妻弁当
記念写真
Yes/No枕
カップルストロー
カップルマフラー
曇りガラスにメッセージ
貴方そっくりのぬいぐるみ
■コスチューム・プレイ
裸エプロン
男装
相手の服を着る/自分の服を着せる
相手のズボンをはく
■その他
一日服従
褒める
甘える
おねだり
匂いを嗅ぐ
同衾
お見送り
共同撃墜
■主題歌
どんなときも全部本気
夢への共犯者
- 3 名前:名無しさん:2009/04/09(木) 21:59:42 ID:.bbfT1DI
- 最初を使うのは勿体ない気がしますが投下します。
サーニャイラでエーゲルです。
- 4 名前:名無しさん:2009/04/09(木) 22:00:54 ID:.bbfT1DI
- 今日のティータイムのお菓子は日頃の戦闘の疲れを癒すため、リーネが隊員の分だけでなく
使い魔の分まで用意してくれていた。
全員が使い魔を一斉に外に出すなんて初めてだから、念のために席もいつもの位置と違い
イヌ科の使い魔とネコ科の使い魔で固めて、ルッキーニの黒豹とミーナの黒狼だけは
食物連鎖の都合上怖かったのでかなり離れてもらった。
しかしそれは取り越し苦労だったらしく、それぞれシャーリーの使い魔と坂本の使い魔と仲良く
お菓子を食べていたので、次第に席も思い思いの位置になっていた
「エイラさんの使い魔ってやっぱり油揚げが好きなんですか?」
「アブラアゲ?」
リーネお手製のスコーンを頬張りながら、ミヤフジが私の膝の上にいる使い魔を見て聞いてくる。
ミヤフジの使い魔はテーブルのまわりをうろちょろうろちょろしながらお菓子を食べている
まったく落ち着きがないし、手当たり次第お菓子を口にいれて食べ散らかしている
最初に音をたてて紅茶を飲んだミヤフジにそっくりだな
「油揚げとは昨日のみそ汁に入っていた茶色いやつのことか?」
「あれって動物が食べるの?」
バルクホルン大尉がハルトマン中尉の分のクッキーとチョコレートを皿にとって渡す。
この二人の使い魔もそっくりだな、大尉の使い魔が中尉の使い魔にお菓子を分けているように見える
中尉の使い魔もちゃんとそれに気付いているようで、食べる度に大尉の使い魔に擦り寄っている。
「扶桑では狐は油揚げが好きって言われているんです。実際見たことがないので本当なのかなって思って」
「スオムスに油揚げはないしナー、こいつ食ったことないゾ」
最初から試すつもりだったのかミヤフジは目をキラキラさせて油揚げを取り出した
私はミヤフジから油揚げを受け取って少しちぎって手の平にのせ、使い魔に近づけてみた
「ほーれほれ、食ってみロー。腹壊したらミヤフジのせいだからナー」
「エイラさん酷いっ!」
最初は警戒して匂いを嗅いでいたけど、すぐに口にいれた。
気に入ったのかじっくり味わってから飲み込んで、私のお腹を鼻で突いてもっととねだる。
こいつがねだるとかすげー珍しいな
「とりあえず食えるみたいだナ、これ全部もらっていいカ?」
「はい、いいですよ。私リーネちゃんからもう少しお菓子もらってきますね」
席をたつミヤフジを見送って油揚げに手を伸ばすそうとする…が、さっきまであった場所にない
「エイラ…私があげてもいい?」
「エ!?と…それハ…」
いつの間にか油揚げを手にしたサーニャが見つめてくる。
サーニャの使い魔は足元で大人しくミルクを飲んでいた、こいつもサーニャに似て人見知りらしい
「…こいつ人に懐かないんだヨ、他の使い魔ともあんまじゃれたりしないシ…」
「あれあれー?エイラ、サーニャのお願い断るの?」
ニヤニヤすんなちっちゃい中尉、サーニャに何かあったら大変だろ
- 5 名前:名無しさん:2009/04/09(木) 22:01:15 ID:.bbfT1DI
- 「ね、お願い」
「いや…その…噛み付くかもしんないかラ…」
「エイラ…」
「う…わかったヨ…」
だめだ、サーニャの上目使いには勝てない…観念した私は膝の上の使い魔をテーブルに乗せた。
サーニャはさっきの私みたいに油揚げを適当な大きさにちぎって手の平にのせ、使い魔に近づけた
しかし…
「ぃたっ!」
「サーニャ!?お、お前ー!何してんダ!!」
こいつ油揚げ無視していきなりサーニャの指に噛み付きやがった!!
思わず使い魔の首根っこを掴み、サーニャから遠ざける。
サーニャの白くて綺麗な指からじわりと血がにじんできた。
「ご、ごめんサーニャ!すぐミヤフジ呼んでくるからっ!」
「ううん、私が無理言ったんだから気にしないでエイラ。…ごめんね、怖がらせちゃったかな」
私の手の中の使い魔に申し訳なさそうに謝るサーニャ。怪我までさせられたのにいい子すぎだよ
「サーニャに手を出すなんて、エイラの使い魔のくせにやるじゃん」
「それは意味が違うだろうフラウ…しかし、相当警戒心が強いなそいつは」
サーニャの使い魔は心配そうに指の傷を舐めていた。
サーニャがいい子なんだから使い魔も当然いい奴なんだな
しかしうちの奴は…後で尻尾の毛軽くむしってやる
「ホントにごめんな…ほら、お前も謝れヨ!」
使い魔を放り投げてポーチから絆創膏を取り出し、サーニャに巻きながら怒鳴り付けてやるけど…
「んぁ?」
「あれ?」
私とサーニャが思わず声を揃えてしまった。
私の使い魔がサーニャの使い魔に視線を向けたまま固まっていたからだ、
サーニャの使い魔が不思議そうに近づくと、一定の距離を保って離れる。
さっきの警戒心とは明らかに違っている…けど尻尾は振ってる
「何やってんだお前…ってアタタタタタ!!」
掴んでサーニャの使い魔に近づけようとしたら引っかくわ暴れるわで私の手の中から逃げ出した
なんなんだよこいつ!今日おかしいゾ!?
「だ、大丈夫?エイラ」
「このくらい大丈夫だヨ、サー…」
心配そうに私を見つめるサーニャが…近い!
私は思わず体を離した
「でも痛そうだよ」
「ホントに大丈夫だってバ!」
またサーニャが近づいて来たので離れる。
ん?……なんかこの光景どっかで見なかったか?
「ウィッチと使い魔は似るねぇ…1番似てるのはエイラかな?」
「うむ、ここまで見事だと勲章ものだな」
バルクホルンとハルトマンの位置からは、まったく同じペースで前進するサーニャと使い魔、
それに合わせるように同じペースで後退するエイラと使い魔の姿があった。
fin
- 6 名前:名無しさん:2009/04/09(木) 22:02:58 ID:.bbfT1DI
- おしまいです。使い魔に関しては想像ばっかりです、すみません。
読んでくださった方ありがとうございます。
P/zSb9mc
- 7 名前:名無しさん:2009/04/09(木) 22:12:32 ID:sV62Q0WM
- 違ったらアレだけど多分某所の人GJ。
エイラ可愛いです。
- 8 名前:名無しさん:2009/04/09(木) 23:13:09 ID:t6nxuIpo
- >>6
ニヤニヤニヤニヤニヤニヤGJ!
エイラと黒狐さんがじりじり後退していくさまは和みます
でも迫られると「しょーがないなー」って流されるんですね分かります
- 9 名前:名無しさん:2009/04/10(金) 02:43:02 ID:xPEVIsTI
- >>6
GJ!とっても和んだと言うかニヤニヤしました。
ありがとう。
- 10 名前:名無しさん:2009/04/10(金) 05:52:44 ID:nLo06xMg
- 新スレ早々乙です
- 11 名前:名無しさん:2009/04/10(金) 09:58:27 ID:XFvY6Dls
- ナイスニヤニヤ、GJ!!動物はいつも素直過ぎるから困るw
なんか猫と鼠が一緒に寝てる写真思い出した。何で寝顔って見るとほっとするんだろうな。
- 12 名前:名無しさん:2009/04/10(金) 10:32:41 ID:q82oB2RQ
- >>管理人さん
スレ立て乙です
>>6
GJ!!
やっぱり使い魔も飼い主(宿主か?)に似るんですね〜
- 13 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2009/04/10(金) 18:16:40 ID:MqPOlTjU
- >>6 P/zSb9mc様
GJ! ニヤニヤさせて頂きました。
こんばんは。mxTTnzhmでございます。
思い付いたのをぱぱっと書いてみました。
いつにも増してグダグダですが、よしなに。
- 14 名前:sister infection 01/02:2009/04/10(金) 18:17:28 ID:MqPOlTjU
- part1
しとしとと雨が降るある日の午後。ミーティングルームでお茶を楽しむウィッチーズ。
美味しいお菓子とお茶で、会話も弾む。
「坂本さんですか? お姉ちゃんって感じではないですよね」
雑談の最中、芳佳が笑いながら言った。
「当たり前だ。あくまで、上官と部下だ」
呆れる美緒。何か琴線に触るものが有ったのか、トゥルーデがいつの間にか芳佳の横に座っている。
「でも少佐は、訓練とか……、特に剣のお稽古になると、お師匠様って感じですよね」
リーネが訓練の様子を思い出す。
「お師匠様……『師匠!』 みたいな?」
芳佳が美緒を試しに呼んでみる。
「師匠……と言われる程私は凄い訳ではないぞ」
苦笑いする美緒。
「私はどうなんだ宮藤? 501の隊員は何せ皆家族、だからな。私の事を姉だと思って……」
「ば、バルクホルンさん。……お師匠様?」
「な、何ぃ!? 『お姉ちゃん』だろそこは!?」
「トゥルーデ、大丈夫?」
エーリカがトゥルーデを宥める。
「……はっ! いかんいかん。つい」
「トゥルーデ、相変わらずだね」
「流石にバルクホルン程ではないな」
笑う美緒。
「じゃあ、お姉ちゃま?」
「何か違うぞ」
「あねぇ」
「おねえたま」
「お姉様」
「ねえたま」
「アネキ」
「姉上様」
「姉くん」
「姉君さま」
「姉チャマ」
「姉ゃ」
いつの間にか周りに隊員が集まり、色々な呼び方で美緒を呼んでみる。脇では必死に何かを堪えるトゥルーデの姿が。
その時、ミーナは美緒の異変に気付いた。
「坂本しょう……美緒、どうしたの? 何か今一瞬顔色が……」
「確かに、誰かの言葉に反応したよね?」
「何だ? どの呼び方だ?」
「アネキ……じゃあなさそうだなあ」
「姉上様」
ぽつり、とサーニャが言葉を繰り返す。
ごくり、と唾を飲み込む美緒を、一同は見逃さなかった。
「坂本さん!」「少佐!?」「美緒?」
「大丈夫だ。な、何でも……」
ティーカップを持つ手が震える美緒。芳佳の方を向き、声を掛ける。
「み、宮藤」
「はい、何でしょう?」
「私に、言ってくれないか? あ……『姉上』と」
「は、はいい!? どうしたんですか、坂本さん?」
「待てぇ! 宮藤は私の妹だ! 幾ら少佐でも渡す訳にはいかない!」
「退け、バルクホルン!」
「ちょっと、ふたりとも……」
「宮藤、私の事をもう一度……」
「宮藤は渡さん!」
「美緒、トゥルーデ、何やってるのよ貴方達は!」
「誰かとめてー」
- 15 名前:sister infection 02/02:2009/04/10(金) 18:17:57 ID:MqPOlTjU
- part2
霧雨が降るある日の午後。ミーティングルームで歌の準備をするウィッチーズ。
マイクをセットし、その他音響設備も準備完了。美緒が隊員に位置を指示する。
「さて、まずエイラとサーニャはピアノの所へ。宮藤は私と一緒だ。サーニャ達の横に位置を取るぞ」
「了解」
ミーティングルームの階段を眺め、隊員に指さす。
「シャーリーとルッキーニは階段の上。その中段には、ミーナとバルクホルン、ハルトマン。
あとリーネとペリーヌ、宮藤はその下だ。良いな」
「は〜い」
「よし、全員揃ったな」
辺りを見回し、頷いた。
「うむ。問題なし。ちゃんと十二人全員居るな」
「はい」
全員の声。
「……ん?」
「あれ?」
「ちょっと待った」
「一人多くないか?」
「え?」
「誰でしょうね? 坂本さん」
「イヤですよ、怪談じゃあるまいし。ねえ、坂本さん」
「お前だ、宮藤! 何故二人居る?」
全員の視線が、二人の芳佳に集中する。
「おワ? 何で二人?」
ぎょっとするエイラ。
「分裂した?」
「芳佳ちゃんが、ふたり……」
慌てるリーネ。
「どっちかお化けだったりして〜」
忍び寄った“黒い悪魔”がリーネの背後で囁いた。
「……怖い!」
「心配しないで、リーネちゃん」
「大丈夫だよ、私がついてるよ、リーネちゃん」
左右から同時にステレオで聞こえる芳佳の声に、リーネはしゃがみ込んで頭を抱えた。
「何を脅かしてるんだ、エーリカ。宮藤が二人になっただけだろう」
「随分冷静ね、トゥルーデ」
ミーナが芳佳ふたりを一緒に腕で抱えるトゥルーデを見て言う。
「何せ妹が二人に増えたんだ。嬉しいじゃないか」
「そう言う問題かしら?」
「坂本さん、私どうすればいいんでしょう?」
「坂本さん、私どうすればいいんでしょう?」
「うっ……何か微妙に面倒だな……」
二人に迫られて困る美緒。
「どっちかは偽物?」
「影は二人とも有るから、化け物じゃあないね」
エーリカが二人の足元を見て言った。
「影の有無で分かるのか」
「吸血鬼は、影が無いとか言わなかったっけ?」
「さあ」
「芳佳ちゃんがバンパイア!?」
リーネはがくがくと震えた。
「ちょっとリーネさん、貴方大丈夫ですの?」
ペリーヌがリーネの顔を見た。
サーニャは試しにレーダー魔導針を出してみるが、区別が付かないと言った顔をしている。
「そうだ良いこと思い付いた。宮藤、少佐を姉だと思って呼んでみ?」
シャーリーが二人の芳佳の肩を持って、並べた。
「そこは私の役目だろ!?」
「はいはいお姉ちゃんお姉ちゃん」
「はっ離せリベリアン!」
シャーリーに肩を掴まれずるずると引きずられるトゥルーデ。
「えっと……お姉ちゃん!?」
「……姉上?」
それぞれ違う呼び方をする二人の芳佳。
「本物はこっちだ!」
“姉上”と呼んだ芳佳を指さすシャーリー。
「どうしてそうなるンダ?」
首を捻るエイラ。
「いや、この前姉上って呼ぶと……少佐?」
気付くと、「姉上」と呼んだ方の芳佳をお姫様抱っこしている美緒。
「宮藤、もう一度私を呼んでくれ」
「姉上」
「うむ、言い響きだ。何かこう、満たされるものがあるな」
「ウジャー 今度は少佐がおかしくなったよ」
「美緒、貴方の魔眼で分からないの?」
「いや、私はこっちで良い。そっちの宮藤はバルクホルンにやろう」
「あのね、美緒。話を……」
「いっそ二人貰えないか」
既にもう片方の芳佳を一人ゲットしているトゥルーデが不満そうに言った。
「一人で我慢しろ。皆それぞれが少し我慢して……これぞ三方一両損」
「はい?」
「何です、それ?」
「ちょっと違うか?」
「全然違うかと」
「で、どうすんのよこの二人」
end
- 16 名前:名無しさん:2009/04/10(金) 18:20:03 ID:MqPOlTjU
- オチが無い/(^o^)\
part1は、尊敬する絵描き様の漫画にインスパイアされて書きました。
呼称については「シスプリ」を参考にしました。
part2は、秘め歌コレクションのジャケット合成ネタから。
ホント勢いだけなんで、まあ、何と言うか……。
ではまた〜。
- 17 名前:名無しさん:2009/04/10(金) 19:25:16 ID:kQHQ6LOA
- 二週間ぶりくらいにここ来た…
なにもかも読みきれん!とりあえずみなさんGJです
- 18 名前:名無しさん:2009/04/10(金) 20:44:41 ID:XFvY6Dls
- >>16
主人公女性でシスプリネタとはさすがエースは考えることがおかしいww
美緒姉様も素敵ですGJ!!
- 19 名前:Der Teil von zwei einem:2009/04/11(土) 04:01:09 ID:6HhUPl7c
朝の陽光がウィッチーズの基地を包み始めた頃、エイラの部屋の扉は静かに開かれた。
そうして、銀色の髪を揺らしながら部屋の中へと入った彼女は、エイラが寝息を立ててい
るベッドの元へと歩み寄った。人の気配を感じたエイラは薄く目を開け、その姿を確認す
ると、口元を緩めながら再び目を閉じた。
(たく〜、しょうがないな〜今日だけだかんな)
それは、エイラにとっては馴染みの光景で・・・いや、馴染みの光景となるはずであった。
その瞬間が来るまでは・・・
パン!!
「えっ?」
静かな部屋には、乾いた音が響き渡った。一体何が起きたのか、エイラにも一瞬わけがわ
からなかった。しかし、じわじわと響いてくる頬の痛みと、目の前に立つ人物の姿を見て、
ようやく状況が飲み込めていった。
(そんな・・・嘘だろ・・・)
「出てって!」
「え?出てけって、ここは私の・・・」
「いいから早く!!」
半ばベッドから引きずり下ろされたエイラは、背中を小突かれるようにして廊下へと追い
出され、疑問を口にすることもできないまま、扉は固く閉ざされた。
「・・・おいっ!サーニャ!一体何なんだよ」
エイラはノブを回したが、カギは既に掛けられている。
「なぁサーニャ、ここ開けてくれよ、なぁ頼むよ・・・」
エイラは扉を叩き続けたが中からの反応は無かった。
「なんだってんだよ・・・サーニャ・・・」
エイラは呆然としたまま、目の前が暗くなっていくのを感じた。
- 20 名前:Der Teil von zwei einem:2009/04/11(土) 04:01:52 ID:6HhUPl7c
「ふわぁーあ」
芳佳は大きなあくびをしながら、朝食の準備のために厨房へと向かおうとしていた。する
と、あるものが目に入ってきた。
「・・・エイラさん!!」
それは、自室の扉の前で膝を抱えたまま、うつむくエイラの姿であった。
「エ、エイラさん!どうしたんですか部屋の前で、それにそんな格好で・・・」
芳佳は、寝巻き姿のままのエイラの傍らに駆け寄って尋ねた。
「・・・たい」
「え?」
芳佳は、エイラのか細い声に耳を近付ける。
「死にたい・・・」
「ど、どうしたんですかエイラさん!しっかりして下さい!」
芳佳は、エイラの両肩を掴み、強く揺さぶったが、エイラの首が力なく前後に動き続ける
だけであった。埒が明かないと思った芳佳は、揺さぶるのを止め、エイラに正面から問い
ただした。
「一体何があったんですか?」
「・・・サーニャにぶたれた」
「サーニャちゃんに?何でですか?」
「わかんない・・・部屋に入ってきたら突然、それで出てけって・・・」
「それって・・・エイラさんが寝る部屋を間違えて、それをサーニャちゃんが・・・って
ことはないですね・・・」
芳佳は、目の前の扉を見て自分の考えを打ち消した。
「サーニャに嫌われたのかなぁ・・・」
エイラは頭をより深く膝の間に沈めていく。
「そ、そんなこと無いですよ。サーニャちゃんがエイラさんのことを嫌いになるなんて・・・」
「でも、ぶたれたんだぞ・・・」
だんだんとエイラの声が涙声になっていき、鼻をすする音も聞こえてくる。
「な、何か理由があるのかもしれませんよ・・・とっ、とりあえずサーニャちゃんに話を
聞いてみましょうよ」
「・・・うん」
しばらくの逡巡の後、エイラは首を弱弱しく縦に振った。
- 21 名前:Der Teil von zwei einem:2009/04/11(土) 04:02:28 ID:6HhUPl7c
「サーニャちゃ〜ん、芳佳だけどー」
芳佳はそう言いながら扉をノックしたものの、中からの返事は無かった。
「返事、無いですね・・・」
「・・・そうだな」
「どうしよ・・・あれ!」
「どうした?」
「カギ開きましたよ?」
何気なくノブに手をかけた芳佳は、エイラにそう伝えた。
「へ?ずっと閉められたままだったのに・・・はは、宮藤だから開けてくれたのかな」
エイラは自嘲するように力なく笑った。
「とっ、とりあえず入りますよ、え〜と、サーニャちゃん入るよ〜」
芳佳は扉を開け中を覗いた。
「あれ?」
「今度は何だ?」
「サーニャちゃんいませんよ・・・」
「え?」
芳佳の視線を受けて、エイラも部屋の中を覗く。
「本当だ・・・確かにベッドの所にいたはずなんだけど・・・」
二人は部屋に入ると、ベッドの傍らへと歩み寄った。
ベッドの上は確かにもぬけの殻だった。
「おかしいな・・・私はずっと部屋の前にいたし・・・」
エイラは疑問を口にする。
「あ!ほら、前のルッキーニちゃんみたく窓から出てったとか」
「窓から?・・・とりあえず見てみるか・・・ムリダナ、カギはちゃんとかかってるから、
こっからは出られないよ」
窓を調べたエイラは、芳佳の方を振り向いた。
「え?じゃあ、サーニャちゃんはどこへ行っちゃたんですか?」
「・・・わかんない」
「・・・まっ、まさか幽霊とか?」
芳佳の顔が思わず青ざめる。
「幽霊?それもサーニャの姿をした?・・・どうかなぁ」
「だって、そうじゃないと、エイラさんの会ったサーニャちゃんはどこへ消え・・・」
ガチャ
背後の扉からの物音に二人は思わず振り向いた。
- 22 名前:Der Teil von zwei einem:2009/04/11(土) 04:03:08 ID:6HhUPl7c
「サーニャ・・・」
扉の前に立っていたのは、サーニャだった。
「そ・・・その、とりあえずゴメン!!」
エイラはその姿を見て慌てて頭を下げた。
「・・・何が?」
「何がって・・・ほら、さっきサーニャが私の部屋に来た時のことだよ」
「さっきって・・・私は今戻ってきたところよ?」
?
エイラと芳佳は思わず顔を見合わせる。
「え・・・じゃあ、私が見たのは本当に・・・」
「・・・眠い」
「うわぁ!危ない!」
睡魔に敗れ、倒れこむサーニャを芳佳は慌てて抱きとめた。
サーニャは芳佳の腕の中で小さな寝息を立て始めた。
「えっと・・・、とりあえずサーニャちゃんの部屋に連れていきますね」
「・・・えっ!あ・・・そ、そうだな、うん、そうするべきだと思う」
よからぬ考え事に耽っていたエイラは、芳佳の提案に慌てて返事をした。
「じゃあ、ちょっと行ってきますね」
「う・・・うん」
「あ!それと、私、朝ごはんの準備をしなくちゃいけないんで、このことは朝ごはんの後
で話しましょう」
「ああ、そうだな」
芳佳は、サーニャの肩を抱き、足並みを揃えながら部屋を出て行った。
エイラは、それをただただ羨ましげに眺めていた。
- 23 名前:Der Teil von zwei einem:2009/04/11(土) 04:03:41 ID:6HhUPl7c
「それにしても一体何だったんだろうな〜」
朝食の後にエイラと芳佳は、エイラの部屋で朝の出来事について相談をしていた。
「本当に幽霊だったとか」
「やっぱりそれは無いと思う。実体の無い幽霊が人をぶつことなんて出来ないだろ?」
「あぁ、確かに・・・う〜ん」
芳佳も腕を組んで考え込む。
「あ!サーニャちゃんがいつの間にか、分身する魔法を覚えたとか」
「2つも固有魔法を持ったウィッチなんて聞いたことないぞぁ」
「そうですか」
「それに、いくらサーニャの分身でも人のほっぺたを突然叩くような奴じゃな〜」
(ああ、でも・・・)
「その、夜間哨戒一人でも大丈夫か?一緒に行こうか?」
「大丈夫に決まってるでしょ。一人で行くから」
「そうか」
「くっ強い、このままじゃ・・・えっ?」
「大丈夫か?」
「何しに来たの?」
「何しにって、助けに来たに決まってるじゃないか」
「く・・・来るのが遅いのよ」
「ふふ、ゴメンな」
「そ・・・その・・・」
「なんだよ?」
「べ、別にお礼なんて言わないから、でも・・・」
「でも?」
「私が危険な目に合わないように、いつも私のそばにいなさいよ・・・」
「サーニャ・・・」
(・・・ツンツンのサーニャも悪くないかも・・・)
「エイラさんどうしたんですか?急にニヤニヤして・・・」
芳佳は怪訝な眼差しをエイラに向けた。
「いや・・・なんでもない」
エイラはそう言いながら照れ隠しの咳払いをした。
「それに不思議ですよね〜、エイラさんが会ったサーニャちゃんが煙みたいに消えちゃっ
たのも」
「そうなんだよな〜、扉の前に私がいたし、窓にはカギがかかってたし・・・」
二人とも腕を組んで考え込むものの、答えは一向に浮かんでこなかった。
「他に何か覚えていることはないんですか?」
「そうだな〜突然のことだったし、いきなりぶたれて動揺してたからなぁ・・・あ!」
「何ですか?」
「その時の服装を覚えているよ、確かクリーム色で腰にフリルの付いたやつだったな」
「今日サーニャちゃんが着ているのとは違いますね、じゃあやっぱりエイラ・・・」
バン!
「今なんて言った?」
机を叩いたエイラは、顔を芳佳にぐっと近づけた。芳佳はこれに驚きながら、
「何って・・・エイラさんをぶったのはサーニャちゃんじゃないのかな・・・って」
「違う、その前だよ!」
「えっ、あぁサーニャちゃんが着ているのとは違うって」
「!」
「そっ、それと、ち、近いですよ」
芳佳は、顔を接近してくるエイラからそらしながら手を前に出して、わずかばかりの抵抗
を示した。
「サーニャのを見たのか?何で見たんだよ?」
「何でって・・・サーニャちゃんが寝るからって、自分からそうして・・・」
芳佳は顔を横に向けながら必死に答えた。
「んん・・・じゃあ・・・まぁしょうがないか、許す」
そう言って身を乗り出していたエイラは、椅子に腰を下ろした。
「はは、ありがとうございます・・・」
芳佳は力なく笑った。
そして、エイラは何事かを考え込むと、
「サーニャの部屋に行ってみるか」
「え?」
安心して気が抜けていた芳佳はキョトンとした顔をする。
「何しにですか?」
「とりあえず幽霊がいたか、いないかを確認しにだよ」
そう言うなりエイラは椅子から立ち上がった。
- 24 名前:Der Teil von zwei einem:2009/04/11(土) 04:04:18 ID:6HhUPl7c
サーニャの部屋。部屋の主はスヤスヤと寝息を立てている中、二人は大きめのチェストの
前に立っていた。
「それで、何を調べるんですか?」
いまいち状況が掴めない芳佳は、エイラに小声で尋ねる。
「もし私が見たのが、幽霊か何かだったら実体のある服を着れるはずが無いだろ?逆に
、サーニャの服を着てたってことは、私を引っ叩いたやつは実体があるってことなんだ」
「なるほど」
「で、そいつが身に着けていたのがサーニャの服かどうかってことを確認しにきたってこ
と」
そう言いながら、チェストの取っ手に手をかけたエイラだが、思わずその手が止まった。
「どうしたんですか?」
「いや・・・その、宮藤、お前が見てくれないか」
「えっ?どうしてですか?」
「ほら、直接見ちゃうとさ、記憶とごっちゃになって、私が見たやつかどうかどうかわからなくなると困ると思ってさ」
本当はなんとなく恥ずかしいからだとは言えなかった。
「はぁ」
「とりあえず見てみろよ」
そう言うなり、芳佳の背後に回り背中を押した。
「うわぁ、わっわかりましたよ、え〜と」
どうだ
「綺麗に整頓されてますね、それにすごく可愛い・・・」
「へ、変なとこばっか感心してんなよ!」
少々ボリュームを高くしすぎたと思い、エイラは慌てて部屋の主の方を振り向いたが、
主は気にすることなく夢の世界に浸っている。
「ほ、ほら、さっさとしろよ、私の言ったやつはないのか?」
エイラが小声で尋ねる。
「え〜と」
芳佳はチェストの中を見渡す。
「無い・・・ですね、じゃあやっぱり幽・・・」
「じゃあこの基地の誰かの仕業だな」
「え?だって、エイラさんの言っていたやつは無いんですよ?」
「私が言ったやつは確かサーニャが持っていたはずだから、無いってことは誰かが持ち出
したってことなんだ」
「ああ、そうなんですか・・・でも誰が?」
「まぁ・・・見当はだいたいついてるけどな、って・・・」
「わぁ、サーニャちゃんて意外と・・」
「な、何ジロジロ見てんだよ!、ほっ、ほらさっさと行くぞ」
エイラは、チェストを閉じると、芳佳を強引に引っ張っていった。
- 25 名前:Der Teil von zwei einem:2009/04/11(土) 04:06:14 ID:6HhUPl7c
一体どこから間違ったのだろう。あれを処分しなかったから?それとも、こんなことをし
たのがそもそもの間違い?でも、私にだって理由が・・・あるよねぇ?
「おい!聞いてんのかよハルトマン中尉」
「え?あー聞いてる聞いてる」
エーリカは思わず頭をかいた。
食堂のテーブルの上には、くちゃくちゃになったサーニャの服とサーニャの髪を模したカ
ツラが置かれ、エーリカの目の前ではエイラがエーリカの顔を睨みつけ、傍らには芳佳が
事の成行きを見守っていた。
「これが中尉の部屋から出てきたんだ、言い逃れはできないぞ」
「大変でしたね、あの部屋の中を探すの・・・」
その時の情景を思い出し、芳佳は思わずため息をついた。
「でもさあ、それがあったからって私がエイラのことを引っ叩いた証拠にはならないじゃ
ん」
エーリカがふくれっ面をする。
「この基地であんなことをするのは、中尉かルッキーニか・・・私ぐらいなもんだろ。で、
私じゃないし、ルッキーニの肌の色じゃ、いくら寝起きの私でも気が付いていたはずだ
から、そうなるとハルトマン中尉しか残っていないんだよ」
そう言いながら、エーリカへと詰め寄っていく。
「う〜・・・はいはい、降参、降参、私の負けだよ〜」
そう言って、エーリカは両手を上げた。
「で、なんでこんな事したんだよ」
「え〜と・・・ほら、エイラって私とサーニャが一緒にいるとちょくちょく邪魔しに来る
じゃん。それで、今日エイプリルフールでしょ?ちょっと驚かそうかなぁ〜って」
エーリカは悪びれる様子もなく答え、むしろエイラの方が、ばつの悪そうな顔をしてい
る。
「で、でもハルトマン中尉はどこに消えちゃったんですか?」
場に妙な沈黙が流れ始めたため、芳佳は慌ててエーリカに尋ねた。
「ああ、あれ?あれは・・・」
「私たちが部屋に入った時にはまだ中にいたんだよ、たぶん扉の影になる辺りに。で、
私たちが窓やベッドの方を向いている隙にこっそり抜け出したんたんだろ?」
エイラはエーリカに代わって芳佳の質問に答えた。
「はは、正解。エイラってすごいね〜」
「別におだてたって許すわけじゃないからな」
そう言って、エイラはエーリカを睨む。
「ちぇ〜」
エーリカは口をすぼめた。
「でも、あの時は本当に緊張したよ〜逃げ切れるかな〜って」
「なんで、あの場でエイラさんに本当のことを言わなかったんですか?」
芳佳は再び疑問を口にする。
「エイラが本当に落ち込んじゃったみたいだったからさぁ、ちょっと言いにくくなっち
ゃて・・・それで」
「まぁ・・・確かにな・・・」
エイラは当時の状況を思い出して、顔が曇った。
「あ!私も一つわかんないんだけど、なんでこんなのは用意したのに、服はサーニャのを
着たんだよ、そっちも用意すればよかっただろ?」
エイラは、サーニャの髪を模したカツラを持ち上げながら尋ねる。
「う〜ん・・・まぁ、リアリティの追及かな?やっぱり本人が普段着ているやつの方がぽ
いかな〜って。あ!あのね、サーニャのやつって着心地がすごい良いんだよ!エイラも
着てみたら?」
「なっ!何言ってんだよ!」
エイラの顔が思わず赤くなる。
「これあげるからさ〜許してよ〜、ね?」
「あげるって・・・これはもともとサーニャの・・・って、おい!」
エイラの話が終わる前に、エーリカは一目散に逃げ出して行った。
- 26 名前:Der Teil von zwei einem:2009/04/11(土) 04:06:47 ID:6HhUPl7c
人気の無い食堂には、エイラと芳佳がポツンと取り残された。
「え・・・と、追わなくていいんですか?」
「もういいよ、あの人にはなんとなく勝てない」
そういってエイラはため息をついた。
「それに、朝のがサーニャじゃなかったってのがわかっただけで、まぁいいかなぁって・・・
って何ジロジロ見てんだよ・・・は!わ、私は別に着たりなんかしないぞ!ちゃ、ちゃ
んとサーニャに返すからな!」
自分を見つめる芳佳の視線に対して、エイラはあたふたと答える。
「いえ・・・、ちょっとそのカツラをかぶってみたいな〜って」
「え?ああ、なんだそっか・・・じゃあ、ちょっとかぶってみろよ」
そういって芳佳にカツラを手渡した。芳佳はエイラに背を向けながら、カツラを付け始め
た。
「それにしても、ハルトマン中尉も結構物好きだよな、人だますためにわざわざこんなも
の用意するなんて」
エイラは芳佳がカツラをかぶる横で一人ごちた。
「どうです?サーニャちゃんぽいですか?」
カツラをかぶった芳佳は、振り向きながらエイラに尋ねた。
それを見て、エイラは見下し気味の目になり口元を緩めた。
「ふ、全然だな。宮藤じゃ、サーニャの魅力には逆立ちしたって近づけないよ」
「そんな〜、私もちょっっとおしとやかになって、肌がもっと白くなったら・・・少しは
サーニャちゃんに似るかもしれませんよ?」
「ほ〜そういうことを言うのか〜」
そう言うなり、エイラは芳佳のほほを両手でつねった。
「いひゃはは、にゃ、にゃにするんでひゅか?」
「ほら、ほら〜、どんなに頑張ってもサーニャの魅力には敵いませんって言ってみろ〜」
「わ、ひゃかりましたよ〜、ひょんなにがんはっても、シャーニャちゃんのみひょくには
きゃないません」
「どうした〜ちゃんと聞こえないぞ〜」
「それぇは、エイニャしゃんのせいでひゅよ〜」
人気のない食堂には、芳佳をからかって楽しむエイラの笑い声と、いつもどおりのエイラ
の姿にどこか安心する芳佳の戸惑いの声だけが響いていた。
- 27 名前:Der Teil von zwei einem:2009/04/11(土) 04:07:21 ID:6HhUPl7c
「ねぇ・・・なんで私とハルトマンさんが話をしているのをいつも邪魔しようとするの?」
「え、その、なんかサーニャをとられちゃいそうに感じてさ・・・ちょっと、不安になる
んだよ」
「エイラ・・・バカ」
「何だよ・・・バカって・・・」
「私はいつでもエイラと一緒にいるわ・・・」
「サーニャ・・・そうだな、ずっと一緒にいような」
「エイラ?・・・何してるの?」
「うわぁぁぁぁぁぁぁ、さ、さささ、サーニャ、なっ、なな、何しに来てんだよ!」
「何しにって・・・夕食の時間になったから呼びに・・・ベッドの下に何隠したの?」
「えっ!いや・・・なんでもない、は、早く行こう、腹減ってんだ・・・ははは」
二人は連れ立って食堂へと向かった。
(ま・・・まさか見られてないよな・・・)
「なっ、なぁサーニャ」
「何?」
「その、さっき私の部屋に入ってきたときに何か見たか?」
「え?・・・ううん何も」
サーニャは首を横に振った。
「なんだ・・・そうか・・・良かった」
エイラは胸をなでおろした。
(あのカツラを使って、サーニャの真似をしていたなんて、言えないよな・・・)
「あっ、でも・・・」
「何だ?」
「私の真似は・・・あんまりしないで・・・恥ずかしい」
エイラの顔から思わず血が引いていった。
「・・・え?い、今何もみていないって、いい言ったじゃないか!」
エイラはサーニャの思わぬ発言に狼狽する。
「ごめん・・・ほら、今日はエイプリルフールでしょ?それで・・・」
「つ、ついていい嘘と、ついちゃいけない嘘があるだろ!それで、ど、どこから見てたん
だ?
「私はいつでもエイラと一緒にいるわ・・・、のとこかな」
「・・・頼む、お願いだ!忘れてくれ」
エイラは両手を合わせてサーニャに頭を下げた。
「・・・どうしょうかな」
サーニャは背中で両手を組み口元に笑みを浮かべながら、エイラの横を軽やかに通り過ぎ
ていく。
「お、おい、サーニャ、待ってくれよ〜」
エイラは小走りで去ろうとするサーニャを慌てて追いかけていった。
- 28 名前:名無しさん:2009/04/11(土) 04:15:09 ID:6HhUPl7c
こんばんわ、DXUGy60Mです。もう一週間以上も前のネタになってしまいまし
たが、エイプリルフールネタを投下させていただきました。(せめて、最初
の投稿時間だけは4:01にしてみました)
もう時期外れ気味なうえに、ちょっと百合っぽさも低いかもしれませんが、
読んで頂いた方がいれば幸いに思います。
- 29 名前:名無しさん:2009/04/11(土) 11:20:20 ID:fGMaG8xw
- >>28
10日経っても無問題!エイプリルフールネタ面白かったGJ!
振り回されるエイラさんw
- 30 名前:名無しさん:2009/04/11(土) 13:50:53 ID:xy5XigyQ
- >>28
超GJ!!
4:01に投下か〜
その方法ありだなwww
サーニャの真似するエイラ…ヤバいね
ニヤニヤだよ
- 31 名前:名無しさん:2009/04/11(土) 16:21:05 ID:T4NsrG4U
- いつの間にかゲームの公式サイト更新されとる。
- 32 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2009/04/11(土) 19:31:48 ID:U7.Vc9ms
- >>28 DXUGy60M様
GJ! エイラさん微妙に壊れ気味でワロタ
こんばんは。mxTTnzhmでございます。
また思い付いたのをぱぱっと書いてみました。
>>14-15「sister infection」の続きになります。
- 33 名前:triforce 01/02:2009/04/11(土) 19:33:39 ID:U7.Vc9ms
- とりあえず落ち着いた一同を前に、美緒は説明を始めた。
「『三方一両損』と言うのは、扶桑に昔居た有名な……裁判官みたいな者が行ったもの、とされているらしい……
私も正確な由来は詳しく知らんのだが、まあとにかく扶桑の昔の美談と言うか、故事、諺みたいなものだ」
「ほほう」
「それでそれで?」
興味津々なシャーリーとルッキーニ。
「つまりだ。この『三方一両損』を、今回の宮藤に例えるとだな……」
美緒はそれぞれの芳佳を指さし、手招きした。
「まず、リーネと恋人つなぎして座っている宮藤をここに。そしてバルクホルンがお姫様だっこしている宮藤もこっちに。
そして私と手を握っている宮藤を集めて、と。これで皆が一人ずつ宮藤を損しているので『三方一両損』、と言う訳だ。
さて、問題はこの宮藤達をどうするかだが……」
何だか納得出来ない様子で見ているミーナを見、美緒は言った。
「やる」
「え!? 私に?」
驚くミーナ。
「何か違うぞっ!」
「ちょっと待った。おかしくないか?」
違和感を口に出す一同。
「おかしい? 何処が?」
首を捻る美緒。
「イヤ、例えバ、宮藤がいつの間にか三人に増えてるとことカ」
エイラのツッコミで、ぎょっとして芳佳を見る501の面々。
「うわ、また一人増えた!」
「一体全体どうなってるんですの?」
「宮藤、なんか変なものでも食ったか?」
「私に言われても困ります!」「どうして私増えちゃったんだろう」「私に出来る事って……」
三者三様の困り顔を見せる、三人の芳佳。
「私も困ったな。どうするか」
美緒も顎に手をやり、ふうと溜め息を付く。
「美緒、貴方の魔眼で……」
「……別にネウロイではないし、特に変わった所もないな」
アイパッチをめくり、三人をちらりと見た上でミーナに言う美緒。
「私も、分かりません……」
サーニャがレーダー魔導針を出して確認する。
「まあ、宮藤が三人に増えたと言う事はだ。つまり単純に戦力が三倍になったと言う事で良いではないか」
豪快に笑う美緒。
「美緒、貴方ねぇ。ストライカーの維持費も戦費も、宮藤さんに掛かる経費とかも全部三倍になるって事じゃないの?」
「第一、ミヤフジのストライカーは元々一機分だけじゃないの?」
比較的冷静なカールスラントの二人から指摘を受ける美緒。
「そこは使い回し……はできんか。でも治癒魔法も三倍、使い放題! 怪我をしてももう大丈夫だぞ」
「あのぉ、負傷前提で話するの止めて貰えませんかね」
シャーリーがぼそっと言う。
「おい、宮藤! 私を姉だと思って呼んでみてくれ。さあ!」
トゥルーデがどうしようか考えている芳佳達に声を掛けた。
「お姉ちゃん!」「姉上」「お姉さま?」
「よし、私はこっちの宮藤を貰おう」
お姉ちゃんと呼んだ芳佳の手を引いて部屋に戻ろうとするトゥルーデ。
「おぉい待て待てバルクホルン! 何処連れてく気だ!?」
「芳佳ちゃん!」
「リーネちゃん、どうしたの?」「リーネちゃん、私に何か用?」
「じゃあ、私はこの芳佳ちゃんを……」
「リーネもやめんか!」
「姉上、私どうすれば」
「うむ。困ったな宮藤。私もどうしたら良いか、とんと見当が……」
「美緒? 貴方も宮藤さんを抱っこしてるじゃないの。何やってるの」
「んっ?」
ミーナの方を見る美緒と芳佳。
- 34 名前:triforce 02/02:2009/04/11(土) 19:34:27 ID:U7.Vc9ms
- 「とりあえず宮藤さん? ちょっとこっちへ」
ミーナは芳佳達を一箇所に集める。芳佳が言った。
「分かりました、ミーナ中佐! 『三人寄れば文殊の知恵』って訳ですね?」「流石ミーナ中佐」「ミーナ中佐凄いですねえ」
「……それはどう言う意味かしら、宮藤さん?」
「ええと、確か……」「特に頭が良くなくても三人集まって相談すれば……」「何か良い結果が出る、って事ですよ」
「扶桑には面白い諺が多いナ〜。宮藤も面白過ぎるけどナ」
サーニャの手を引いて、様子を眺めるエイラ。
「じゃあ、試しに、貴方達でどうすれば良いか相談してみたらどう?」
投げ遣りなミーナは芳佳達に言った。
「私は、リーネちゃんが良いな」「ええ? 私もリーネちゃんが良い」「私もリーネちゃんが良い」
「そ、そんな……芳佳ちゃん三人も居たら、私、身体が保たない」
聞くなり、ぼっと顔を赤らめて頬に手をやるリーネ。
「待てぇ! 私はどうなる? 宮藤、こう言う時こそ、私を姉だと思って頼れ! 遠慮は要らん、さあ」
「有り難う、お姉ちゃん!」「バルクホルンさん、ありがとうございます」「バルクホルンさん、優しいんですね」
「さあ、行こう宮藤! いやこの際だ、芳佳と呼んで良いか?」
「トゥルーデ、三人連れて何処行く気よ」
「えっ?」
「こら待て! 抜け駆けは許さんぞ!」
「だったら、さっきの少佐が言ってた、三方いちナントカで、いいんじゃない?」
「具体的にどうするんだ?」
「そう言われても……困ったな」
「サーニャちゃんって、肌白いよね〜」「いつも黒い服着てるから、余計目立つよね」「美白だよね〜」
「三人揃ってサーニャをそんな目でミンナ〜!」
end
----
以上です。相変わらずオチは無い。反省もしていない。
タイトル名は、某アーケードゲーム基板から頂きました。特に意味は(ry
「三方一両損」のネタは……分かる人はそう言う事でお察し下さい。
本当の三方一両損の意味は……ぐぐってみて下さいw
ではまた〜。
- 35 名前:名無しさん:2009/04/11(土) 20:40:44 ID:VwnKeB8E
- >>34
実際芳佳が三人ぐらいいたらなにもかもうまくいきそうな気がするw GJ!
- 36 名前:管理人 ◆JvGG5u6wMo:2009/04/12(日) 00:16:32 ID:PReiCXOE
- 突然ですが、避難所の規制情報に関するスレを立てました。
何故か書き込めなくなった場合はこちらの情報を確認して下さい。
ストライクウィッチーズでレズ百合萌え 避難所 規制情報
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12483/1239461557/
- 37 名前:名無しさん:2009/04/12(日) 03:02:37 ID:ogVknUFw
- >>34
GJ!
しかし、増えたのが芳佳で良かったな。エーリカやルッキーニが増えようものなら……。
くっ、しかし、あれだ。……正直、その執筆速度は超羨ましい……。
大人ルッキーニの話を誰か書いてくれないかなぁ、と期待してみたりする。
いや、決して、書こうとしたけどさっぱり思いつかなかったとかじゃなくて、ね。
- 38 名前:6Qn3fxtl:2009/04/12(日) 03:18:36 ID:v8avOBNs
- >>6
GJ! さすがエイラの使い魔、主人によく似てるwww
使い魔って、コミック版だと少しは紹介されてるけど、
アニメ版だと全然紹介されてないのが残念です。
>>16&34
GJ! 芳佳増殖中&もっさん暴走中www
>宮藤さんに掛かる経費とかも全部三倍になるって事じゃないの?
おっぱの被害も3倍に増えます。
>>28
エーリカ、悪戯に気合入りすぎww
あと、サーニャの真似してるエイラに、エイラの真似してるサーニャが
答えてる光景を妄想して悶えた。
>>36
管理人様、乙です。 いつもありがとうございます。
さて。ずいぶんご無沙汰してたんですが、最近の連続良作投下を見ていたら
いちゃいちゃサーニャイラがあふれだしてきたので書いてしまいました。
1レスと短かいですが、よろしければ。
- 39 名前:好きなことするお休みの日@6Qn3fxtl:2009/04/12(日) 03:19:45 ID:v8avOBNs
- 「やった〜! ずっと待ってた本が遂に届いタ!!」
小躍りするほど喜ぶってよく言うけど、本当に踊ってる人は始めてみたよ、エイラ。
楽しみにしていた本が届いたのがそんなに嬉しいのか、
エイラは本を持ったまま食堂中をとび回っていた。
持った本には「世界の呪術・占い大百科」の文字。
エイラは本当に占いやおまじないが大好きなんだね……。
「本当に嬉しいナ。明日は一日中読もっト♪」
明日? 明日はお休みで、ずっと私と一緒にいる約束だよ?
エイラ、忘れたなんて言わないよね?
「エイラ、明日は私と一緒にいる日だよ?」
そういうとエイラはあっ、と思い出したような顔をした。
エイラ、やっぱり忘れてたんだ。
「そっ、ソウダナ。明日は一日中サーニャと一緒にいる日ダナ。
ワ、忘れるわけないダロ!?」
今はそう言ってるけど、本当に大丈夫かな……。
「ねぇ、エイラ、もう寝よう?」
「ン〜、あと1ページ……」
もう、明日はずっと一緒にいられる日だから今日は早く寝たいのに。
あのあと、エイラは部屋に戻ってからずっと本を読み続けている。
いつもなら私に優しい声をかけてくれて、優しく毛布をかけてくれて、
一緒に寝てもくれるのに、今日は私のことをろくに見てくれさえしない。
椅子に座ったまま、じっと本とにらめっこ。
もう……、そんなに冷たいんだったら芳佳ちゃんに浮気しちゃうよ?
もちろん、そんなことしたらリーネさんにすごく怒られちゃうから
本当にはしないけど。
結局、その後エイラは朝までずっと本を読み続けていたみたいだった。
朝ごはんの時間になっても全然気がつかなかったから、
私が食堂までエイラを引っぱっていったんだけど、
そしたらみんなに「いつもと逆だな」って笑われた。
エイラ、私すごく恥ずかしかったんだからね。
そのエイラは部屋に戻ってきたなり、また本を読み始めている。
まるで私のことなんか全然気にしてないみたい。
「ねぇ、エイラ」
「ン〜?」
私の呼びかけにエイラは気のない声で返事をした。
「今日はエイラとお話する日だよね?」
「ン〜」
「なのに、朝から一言もエイラとお話してないんだよ?」
「ソウダナ〜」
「ソウダナ、じゃないよ!エイラ、私の話聞いてる?」
「ン〜」
だめだ。エイラは本に夢中で私の話なんか全然聞いてない。
まったく。エイラって人はどうしてこうなんだろう。
エイラと二人っきりで過ごす、本当に久しぶりのお休みを
私がどれだけ心待ちにしてたかなんて、エイラは全然気がついてない。
それどころか、私がエイラをどう思っているかってことさえ全然気にしない。
いじわるなエイラ。
どうしてエイラはこんなにいたずらっ子で、鈍感で、大切なときには意気地なしで、
それなのにいつもは気がついて、優しくて、かわいくて、格好いいんだろう。
もう知らない。エイラなんて……嫌い。好き。好き。嫌い。好き。大好き。
「――っ!!」
エイラの手から、分厚い本が床に落ちた。
それは、キスとは言えないような、軽い、軽い頬への口づけ。
「サ、サーニャ……」
顔じゅう真っ赤にしてにらんでくるエイラに、私はふふっと笑いかける。
「エイラは昨日からずっとエイラの好きなことばっかりしてたでしょ?
だから今日は、私がエイラと好きなことをするの」
「――//」
ごめんね、エイラ。でも、せっかくのお休みにずっと本を読んでるエイラも悪いんだよ。
私はエイラをぎゅっと抱きしめて、もう一つ、小さくキスをした。
fin.
- 40 名前:名無しさん:2009/04/12(日) 05:56:47 ID:8ZEL.1vo
- サーニャイラ最高
- 41 名前:名無しさん:2009/04/12(日) 08:48:44 ID:i9oOjmgo
- >>34
なんと言うカオスwww三倍になっても扶桑の魔女って…
ところでそろそろ100本だな
>>39
積極サーニャいいな!だが
>私がエイラと好きなことを
の好きなことの内容が激しく気になるのでkwsk
- 42 名前:名無しさん:2009/04/12(日) 08:56:50 ID:6XLXG2mc
- >>39
GJ!
つ、続きはないんですか…?
- 43 名前:名無しさん:2009/04/12(日) 09:18:29 ID:3PenVXXI
- >>39
たまりません
- 44 名前:名無しさん:2009/04/12(日) 11:43:17 ID:OZIv41NM
- 「エイラ、お願いがあるの。」
「何ダ?サーニャの頼みなら何でも聞くゾ。」
「ズボン脱いでお尻見せて。」
「サーニャ!?ナナナナ───」
「エイラ、お願い。」
「い、いくらサーニャの頼みでもムリダn」
「エイラ、さっき言った事は嘘なの?」
「うぅ……でも、何でダヨー。」
「しっぽとお尻の境目が何色なのか気になるの。」
「サーニャ、自分のしっぽ見ればいいんじゃないカ?」
「自分のはよく見えないから、エイラお願い。」
「じ、じゃあわざわざ脱がなくても少しおろせば──」
「ううん。やっぱりエイラのお尻見たいからズボン脱いで。」
「サーニャ!?」
妄想長すぎたorz
職人さん誰か文章ににしてくだs(ry
- 45 名前:名無しさん:2009/04/12(日) 11:57:10 ID:V1Dt4quQ
- >>44
そこまで書いたなら、さぁ、続きを書くんだ!
- 46 名前:名無しさん:2009/04/12(日) 13:44:23 ID:OZIv41NM
- >>45の為に続き妄想した。
スレ汚しごめん。
10分後───
「サーニャ、見せるのはしっぽだかんナ!!脱がないかんナ!」
「エイラ、ありがとう。」
「ちょっとおろすだけだゾ!サーニャ!」
「エイラ、早く。」
「うぅ……」
────
「ちょっと待っテ。サーニャ。」
「どうしたの?エイラ。」
「何で私の前にしゃがむんダ?」
「しゃがんだ方が見やすいから。」
「しっぽは後ろだゾ?そこからじゃ見えないじゃないカー。」
「どっちでもいいのに…」
「サーニャ!!?」
「分かったから、早く。エイラ。」
「サーニャ、見たいのはしっぽなんだよナ!?そうだよナ!?」
「エイラ、落ち着いて。」
「うぅ…ってサーニャ!少し離れテ!顔が近すぎる!!」
「近くないと見えないの。」
「しっぽが顔に当たるゾ!サーニャ!」
「エイラがしっぽ振らなきゃ大丈夫。」
「そ、それは難しいゾ…サーニャ。」
「どうして?」
「どうしてっテ…そんな…」
「あ、いいこと思いついた。エイラこっち来て。」
────
「ベッドじゃないカ。どうした?サーニャ?」
「ここなら逃げられないし、しっぽも顔に当たらないわ。」
「サーニャ?何言ってるんダ?」
「エイラ、お願い。ここでよつんばいになって、しっぽ見せて。」
「サーニャ!!?」
ごめんこれ以上無理だ。文才なくてスマソ。
俺は職人さんにはなれないわ。
- 47 名前:名無しさん:2009/04/12(日) 13:46:04 ID:3PenVXXI
- >>46
全裸でこのまま待機しろと申すのですか
- 48 名前:名無しさん:2009/04/12(日) 13:48:03 ID:UA8QJsIM
- >>46
うおおナンダこのニヤニヤと萌え感はw
超GJ! 君はもう立派な職人だ。
と言うか続きがあるならわっふるわっふる
- 49 名前:名無しさん:2009/04/12(日) 14:06:16 ID:hewS5f1A
- >>46頑張って下さいっ!お手伝いします!
ベッド脇まで追い詰められたエイラ
「ま、ままま待っテ、サーニャ!」
「どうして?」
「いや、だって四つん這いっテ…」
「何か問題あるの?」
「…あると言うか、大ありって言うカ……」
「……んー、じゃ、エイラ。うつぶせに寝転がって」
「……エ」
「ダメ?」
「……ね、寝転がるだけなら……こ、こうカ?」
「うん。それで、私がエイラの上に……」
「な、さーにゃ!?」
「んっ、エイラ、暴れないで」
「い、い今なななな何か顔にふにって当たったたタ………」
「じゃ、ズボン下ろすね?」
「む、ムリダァアアアアアアアッ…!!!!」
いかん。やっぱり無理だ……
余計なことしましたorz
- 50 名前:名無しさん:2009/04/12(日) 14:13:52 ID:Yd2OktNY
- >>49
ガバッ!!
「だだだだだだめだだめだ!!タンマ!タンマだー!」
「大丈夫よ。誰も見てないから。」
「サササーニャが見てるじゃないかー!」
「……。」
「……?」
「わたしのこと……キライになったの?」
「ぅ……!?」
「わたしがキライだから見せてくれないんだ……嫌な人にはそんなところ見せたくないものね……」
「何言ってるんだ、わたしがお前のことキライになるわけないだろー!?」
「じゃあ何でみせてくれないの?」
「何でって、そりゃだって、その、なんというか……は、恥ずかしいじゃないか。」
「どうして?いつも一緒にお風呂もサウナにも入ってるじゃない。」
「それはそうなんだけどこう、改めて見られるとなるとなんか恥ずかしいというかなんというかその……」
「ねえ、何でさっきから逃げてるの?」
「サーニャがじわじわ寄ってくるからじゃないかー!!」
「じゃあやめたら見せてくれるの?」
「ぁ、ぁ、ぁぁぁぁ」
「それともやっぱり見せてくれないの?」
「ぅぁぁぁぁぁ」
「わたしのお願い、聞いてくれないの……?」
あ、後は、頼んだ、ぞ……
ガクッ
- 51 名前:名無しさん:2009/04/12(日) 15:03:21 ID:aVYXFbVM
- 「……やっぱり、嫌いなんだ」
「う……」
「エイラ……お願い」
「(逃げるにはベッドしか墜ちるしかないけど…前には涙目のサーニャ……どうするんだ……どうするんだ私!)」
「……ごめん」
「エ」
「私、変な事いってるね……」
「……そ、そんなこと無いっテ」
「でもエイラ困らせてる……ごめんね」
「……ま、待てってば(腕をつかむ)」
「……」
「サーニャ……その」
「……」
「そんなに見たいのカヨ……」
「うん」
「…………。きょ、今日だけ……だかんな……」
――
再び仰向けになるエイラ。上にのるサーニャ。
「さ、サーニャ、やっぱり……その……近すぎる……」
「尻尾を見たいだけなのに」
「だったらなんでコンナ体勢で……」
「だめ?」
「う…。
(そんな目で見るなよサーニャ……。
……で、でもやっぱり間近によられると……息がかかって、サーニャの匂いが……うわああああ恥ずかしい!)」
「エイラ、どうして逃げるの?」
「……や、やっぱりムリダナ! 恥ずかしいッテ! ムリだッテ!」
「やっぱり恥ずかしい?」
「あ、当たり前じゃんかヨ……」
サーニャがくすりと笑って、ズボンに手を伸ばす
「……エイラはいつもそうなんだから」
こ、これでよいか?
とにかくお先に逝きます! 失礼!
- 52 名前:名無しさん:2009/04/12(日) 16:12:43 ID:/BLSTb6w
- >>45だが、みんなGJ!
というか、ノリ良過ぎだぜ! だが、そんなおまえらが大好きだ!!
- 53 名前:名無しさん:2009/04/12(日) 16:31:13 ID:XL33ZBto
- ねぇ続きは?続きは?
- 54 名前:名無しさん:2009/04/12(日) 16:35:59 ID:OZIv41NM
- >>49>>50>>51GJ!!
すげえ!!妄想がリレーになってる!!
>>44なんだが、皆さんのおかげでつづき書きたいんだけど、次で終わりにしていい?
- 55 名前:名無しさん:2009/04/12(日) 16:38:20 ID:Yd2OktNY
- 終了宣言まで入るとこれはもう完全なリレーだなw
後は任せた、俺の屍を乗り越えていけ!>>54!
- 56 名前:名無しさん:2009/04/12(日) 16:47:53 ID:v8avOBNs
- >>44-51
なんというチームワークwww
さすがストライク百合スレ兵、よく訓練されてるぜ。
>>54
ごめん。これだけ投下させて。
---
「……エイラはいつもそうなんだから」
「ユーティライネン少尉、今から『ムリダナ』は禁止にします」
「で、でも……」
サーニャはエイラの唇にそっと人差し指をあてる。
「メイレイですよ、少尉♪」
「うぅ……」
サーニャはゆっくりとエイラのズボンを下げる。
「……エイラ、肌きれいだね」
「ソ、ソンナ目デミンナァ……」
「照れなくてもいいのに」
「サ、サーニャァ……」
ふふっと小さく笑うサーニャの顔も心なしか紅潮している。
「ねぇ、尻尾だして」
「キョ、今日ダケ、ダカンナ……」
ひょこん。
「ふふっ。エイラの耳、すごくかわいい……」
「ヤ、ヤメ……」
「でもやっぱり、このままじゃ尻尾がよく見えないね……」
--
無理矢理ごめん。>>44様の考えとずれてたら無視してください。
- 57 名前:名無しさん:2009/04/12(日) 16:51:42 ID:OZIv41NM
- >>51の続き
「そ、そうダ!お風呂!お風呂のついでにしっぽ出すなら恥ずかしくないゾ!…多分」
「お風呂で?」
「そう!だから今ここでじゃなくても──」
「いや。」
「サーニャ?」
「エイラ、大好き。」
「サーニャ!!?」
「エイラがわたしの事どう思ってるのか、教えて。」
「う…わ、私だっテ!──す、好きダ!」
「エイラ、嬉しい。」
「サーニャ…」
「あのね、お風呂だと皆も見てるじゃない。」
「そりゃお風呂だし…」
「エイラのお尻を皆にソンナ目で見られるのはいや。」
「ソンナ目って…アレ?」
「エイラ…だからお願い。ここで見せて。」
「サーニャが見たいのってしっぽじゃなかったっケ?」
「あ、そうだったね。」
「忘れてたのカ!?サーニャ!」
「見るのはしっぽとお尻の境目だけど、その後にエイラには裸───ううん。何でもない。」
「なんか言い掛けなかったカ?サーニャ」
「えっと…肌の色をみたいって言おうとしたの。」
「そッカ。」
「とにかく。お願い。エイラ。」
「な、何だヨ。」
「早く脱いでお尻見せて。」
「しっぽじゃないのかヨー!!」
「この際どっちでもいいじゃない。」
「は、恥ずかしいよ。サーニャ。」
「そうだ。じゃあ、わたしがおろしてあげる。エイラは目を瞑ってて。」
「うぅ…分かったヨ。」
「わたしがエイラのズボンも上着も全部脱がしてあげる。」
「今何て!?っていうか脱がすってサーニャ!!?」
「脱がすよ。エイラ。」
「待っテ!サーニャアァァァ!!────」
おわり
- 58 名前:名無しさん:2009/04/12(日) 17:05:57 ID:OZIv41NM
- これで終わりです。
寸止めとか文章力のなさとかいろいろごめん。
でも皆ありがとう。
>>49>>50>>51をはじめ、ただの妄想に皆のってくれて、リレーまでしてくれてすげえ嬉しい。
おまえら皆大好きだ!!
- 59 名前:名無しさん:2009/04/12(日) 19:30:24 ID:sqhU.T9c
- >>58
すごい一体感を(ry
と言うか久々に感動した! 参加した全てのおまいらGJ!
- 60 名前:名無しさん:2009/04/12(日) 19:44:58 ID:xxFDHbx.
- いつの間にかリレーになってしかも完結しておるw
ひとまず皆さんGJっした!
お尻ペロペロとか考えて書いたけど遅かった…
リレー参加したかったぞコノーー!
- 61 名前:名無しさん:2009/04/13(月) 00:05:20 ID:b3isMOpk
- こっちは平和でいいな
- 62 名前:名無しさん:2009/04/13(月) 00:35:38 ID:mnWwDWwc
- なんという妄想リレー!!
最高だよ、GJだよ
みんな好きだー、愛してる
>>60
分岐ルートみたいな感じにして書いてしまえばいいではないか〜
というか書いて下さい
- 63 名前:名無しさん:2009/04/13(月) 00:41:50 ID:l4sAEvq.
- >>56もすげぇドキドキするんだが。攻めサーニャといい受けエイラといい。
続きがみたいー!
- 64 名前:名無しさん:2009/04/13(月) 00:44:34 ID:shCe5NcY
- >>44です
何回も出てきて申し訳ないです。
>>57さん、俺リロードしてなくて、今まで気づいてなかった。本当に申し訳ない。
あなたの文章を無視した訳じゃないんだ。
自分勝手な提案で恐縮なんだが、このリレーSSも保管庫氏で保存してもらえるなら、俺がズボン下ろさなかった展開と、>>57氏のズボン下ろした展開と、分けて選択できるようにはできないだろうか?
- 65 名前:名無しさん:2009/04/13(月) 00:46:55 ID:shCe5NcY
- ごめん
>>57でなくて>>56氏宛だ。自分にレスしてしまったorz
- 66 名前:名無しさん:2009/04/13(月) 01:11:17 ID:/6KFosgI
- というわけで>>60よ、>>56の続きを書いていいそうだから是非書いてくれ。
- 67 名前:名無しさん:2009/04/13(月) 04:31:33 ID:ckJfBIO2
- >>44様
>>56こと6Qn3fxtlです。
こちらこそ、無理矢理割り込むような形で投下してしまって申し訳ありません。
>>54、55レスがついた時点でもうほとんど完成していたので、そのまま書き込んでしまいました。
自分も>>57を読んだ後に冷静になり、「やっちまったー!」と後悔して
削除依頼だそうかと思ったぐらいなので、>>51から分岐という救済策(?)は
本当にありがたいです。
こちらからも分岐での掲載をお願いします。 > 保管庫様
>>63様
こんな変態妄想に「続きがみたい」といってくださり、ありがとうございます。
あまりの変態っぷりに自分自身悶えながら続きを考えているところです。
>>60様
今からでも遅くない! 続き、ぜひお願いします。
- 68 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2009/04/13(月) 14:39:34 ID:ATEWTQrI
- >>39 6Qn3fxtl様
積極的なサーニャいいですね。ニヤニヤしっぱなしです。
小躍りするエイラもなんか想像出来ますw
>>44>>46>>49>>50>>51>>56>>57 様方
超絶GJ! リレー久々に見ました!
やけにアグレッシブなサーニャにたじろぐエイラ良いですねw これはいい!
こんばんは。mxTTnzhmでございます。
>>33-34「triforce」の続きが出来ましたので投下します。
なんかムチャクチャになりそうな予感。
- 69 名前:triangle 01/02:2009/04/13(月) 14:40:49 ID:ATEWTQrI
- リーネの部屋はいつにも増して、賑やかだった。三人に増えた芳佳を預かっているのだ。
しかし、増殖した芳佳三人相手では、リーネは案の定保たなかった。
ベッドの脇にぐったりと寄りかかり、肩で荒く息を付くリーネ。
「よ、芳佳ちゃん……幾ら何でも……三人は、無理」
芳佳はリーネをそっと抱き、胸いっぱいに抱きしめた。
「リーネちゃん、もっと、しよう?」「リーネちゃん、大好き」「リーネちゃん、愛してるから」
三人の芳佳の腕が伸び、リーネの顔、胸、腰……、至る所触られ、くすぐられ、まさぐられ、リーネは甘い悲鳴を上げた。
その後まもなくリーネが気を失っても、芳佳はリーネを求め続けた。
糸が切れた人形で遊ぶ子供、いや息絶えた獲物を貪るケモノ宜しく、芳佳はリーネを更に求めた。
「リーネちゃん、目が綺麗」「リーネちゃん、胸おっきい」「リーネちゃんかわいいよリーネちゃん」
だらりと垂れた涎を舐め、リーネに口吻する芳佳。
ふくよかな胸を揉みしだく芳佳。
リーネの腰に手を回し、秘めたる部分を玩び、舐める芳佳。
「リーネちゃん」「大好き、リーネちゃん」「起きて、リーネちゃん」
リーネは身体中一斉に開始された「刺激」で目が覚める。
「……うっ、うわ、あっ……よ、よし、かちゃ……あんっ……ああああっ!」
芳佳に身体のあちこちを攻められ、がくがくと痙攣し、果てるリーネ。
「リーネちゃん。もっと」「起きてよ、リーネちゃん」「私、まだ気持ちよくなってないよ」
再び気を失ったリーネの身体を、なおも玩び続けた。
「こらあ宮藤! ここに居たのか。リーネを玩ぶな」
「あ、バルクホルンさん」「お姉ちゃん!」「どうしたんですか? バルクホルンさん」
三人の芳佳に見つめられ、どきりとするトゥルーデ。
「リーネが気を失ってるじゃないか。しかも半裸で。お前達は何を……」
「ねえ、お姉ちゃん」
「ん? なんだ宮藤。いや、芳佳だったな。どうした? お姉ちゃんに何でも言ってごらん?」
「お姉ちゃんの胸、綺麗」
「なっ!?」
「本当だ〜」「凄いですねバルクホルンさん」
「ちょ、ちょっと待てお前ら! て言うか芳佳、人の部屋で何を……」
「お姉ちゃ〜ん」「バルクホルンさん」「はわわ……この感触」
「うひゃあ! やめ、やめ……」
こうしてトゥルーデも芳佳の“三位一体の攻撃”によって撃墜された。
リーネの部屋を開けたのは美緒。
「リーネにバルクホルン、お前らどうした? それに何だ、そのはしたない格好は?」
「しょ、少佐……」
「ち、違うんだ、これは、芳佳が……」
「宮藤も、三人がかりとは何事だ。限度と言うものを知れ」
「でも〜」「だって〜」「そんな事言われても……」
「三者三様に言い訳をするな! 皆が困るだろう?」
「じゃあ、どうすれば良いんですか坂本さん?」「坂本さんなら分かりますよね?」「教えて下さい、坂本さん」
「う……段々なんか面倒になってきたな」
美緒ははたと思い付いた。そう言えば、この芳佳達、微妙に呼び方が違った筈。
「宮藤。私を姉だと思って呼んでみろ」
「お姉ちゃん!」「姉上」「お姉さま」
「よし、私は真ん中の宮藤を預かる」
「ええっ!?」
「そして『お姉ちゃん』と呼んだ宮藤はバルクホルン、お前が面倒を見ろ」
「りょ、了解」
「残りの宮藤はリーネ、お前が担当だ」
「は、はい」
「これで問題なし」
「これが例の『三方一両損』、ですか?」
「あれはもういい。ともかく、これでしっくり来る筈だ」
「何がどうしっくりなのか……」
「ともかく、宮藤が増えた事は一大事だ」
「そりゃそうだが」
「よって、我々が保護者兼監視者となり、宮藤の監視及び保護、そして観察を行う。何か異常が有ったらすぐに知らせろ。良いな」
「了解」
「了解しました」
「私、捕虜なんですか?」「私、リーネちゃんともっと……」「私もリーネちゃんが」
「命令だ! よし行くぞ」
「了解。着いて来い、芳佳」
「はい、お姉ちゃん……って、抱っこしてくれるんですか?」
「お姉ちゃんだから当たり前だろう。さあ」
「バルクホルン、自分の部屋に戻るのか」
「いや、まあ。姉妹でじっくりと……」
「じっくりと何をする気だ」
「でも少佐も、芳佳ちゃんをお姫様抱っこしてますよね?」
「ん?」
「有り難う御座います、姉上」
「うむ。構わん。行くか」
「ああ、芳佳ちゃんが一人に……」
「大丈夫、リーネちゃん」
残された芳佳がリーネの前に座った。
「私だけのリーネちゃん。だから……」
「よ、芳佳ちゃん……」
- 70 名前:triangle 02/02:2009/04/13(月) 14:41:37 ID:ATEWTQrI
- ふとリーネは目覚めた。あれから何度、芳佳と一緒にお互いを愛し合い、果てた事か。
身体が温かい。芳佳の身体の温かさだと、すぐに気付く。
リーネの胸に顔を埋めて、芳佳が幸せそうな顔をして寝ている。
「芳佳ちゃん」
「リーネちゃん」
声を掛けられて、芳佳も目覚めた。
「やっぱり、芳佳ちゃんは芳佳ちゃんだよね」
「勿論」
「良かった」
その時突然に部屋のドアが開いた。
「大変だ!」
「芳佳が居ない!」
トゥルーデが部屋に飛び込んで来た。一緒に入って来た美緒も、何故かリーネの部屋を捜している。
「どうしたんです?」
「急に居なくなったんだ。どうして……」
「じゃあ、残ってるのは目の前に居る芳佳ちゃん……だけ?」
「と言う事になるな」
「やっぱりリーネのところが良かったのか〜」
いつの間にやって来たのか、シャーリーが呟いた。そして他の隊員達も、ぞろぞろとリーネの部屋に入ってきた。
「ちょ、ちょっと皆さん一体……」
「色々調べたんだけド、あれもしかしたら宮藤のドッペルゲンガーかも知れないゾ?」
エイラが言った。
「何ですか、それ?」
「宮藤の生き霊みたいなもんデ、もう一人の自分の姿を見たら死ぬって言ウ」
「ダメじゃん!」
「え! 宮藤死んでしまうのか?」
驚くシャーリーとトゥルーデ。
「そ、そんな!」
当の芳佳本人が一番驚いている。
「でも一人だけ残ってるって事は……何だったんでしょうね」
ミーナは首を捻った。
「まあ、とりあえずもう少しで夕食だから宜しく」
そう言い残し、ぞろぞろと部屋を出ていく一同。
「はあ……」
溜め息をつくリーネ。
「リーネちゃん?」
心配そうに顔を見る芳佳。
「ううん。やっぱり芳佳ちゃんは一人でいいよ」
ほっとした顔で言うリーネ。
「そんな事言わないで〜」「リーネちゃん」
「えっ?」
辺りを見回すリーネ。誰も居ない。
「今の、芳佳ちゃん?」
「私じゃないよ?」「私だよ」「私も〜」
ベッドの下から、ずるずると這い出て来た二人の芳佳。
「やっぱり三人居る!」
怯えて目の前の芳佳にしがみつくリーネ。
「何か、バルクホルンさん、違うんだよね。いいお姉ちゃんなんだけど」
「坂本さんも、確かに頼れる姉上って感じだけどちょっと……」
「どうしてベッドの下に! いつから!?」
「みんなが入ってくる前に隠れてたの」「リーネちゃん気を失ってる隙に」
「こ、怖い……」
「大丈夫だよ、リーネちゃん」「心配しないで、リーネちゃん」「大丈夫、私がついてるよ、リーネちゃん」
迫り来る芳佳を前に、リーネは悲鳴を上げた。
「いやあ!」
end
----
以上です。
なんかちょっとホラー気味になった様なw
多分続きます。
ではまた〜。
- 71 名前:名無しさん:2009/04/13(月) 15:49:15 ID:mnWwDWwc
- >>70
こ、怖えぇ……
だが…GJ!!
続きが楽しみ〜
- 72 名前:60:2009/04/13(月) 17:05:55 ID:kcwfO1jc
- >>70
芳佳怖いwこれはリーネのが参りそうw
GJでした!
>>62>>66>>67
mjsk
まだ中身消してなかったので投下できますけど…、本当に投下していいんですか?
ペロペロするだけなんですが…。
- 73 名前:名無しさん:2009/04/13(月) 17:35:57 ID:Qa.xF8mg
- >>72
ぺろぺろ以外に何が必要だっていうんだ?
それとも、もっとおいしいメインディッシュを
用意しているという意味か?
どっちにしろ、もう我慢できない。
投下してください。お願いします。
- 74 名前:名無しさん:2009/04/13(月) 17:56:16 ID:kcwfO1jc
- >>73
すいませんお待たせしましたw
では投下させていただきます。
うちのポンコツはあまり文を詰め込むと途中で切りやがるので先に安価を。
>>56の続きです。
- 75 名前:名無しさん:2009/04/13(月) 17:57:15 ID:kcwfO1jc
- 「こ、コレでいいの…?」
「うん、もうちょっとお尻あげて」
「なんで四つん這いにならなくちゃいけないんダヨー…」
「だ、だってよく見えないじゃない…うふふふふ……」
「見るのは尻尾ダロー? 声震えてんゾサーニャ…」
「ちょっと興奮…、ごほん。楽しみなんだもん」
「興奮とか言うナー!」
「はいはい、じゃもうちょっとズボンおろそっか」
「は!? ちょま下げすぎサーニャ! 全部見えちゃう…!」
「え? 見えちゃいけないの?」
「ダメに決まってんダロ!? すっごい恥ずかしいんダカンナ!」
「あぁそうなの」
「そうなのッテ! そうなのってナンダヨ!」
「エイラうるさい…」
「うぉいサーニャ近い! 変な場所に顔が近い!」
「エイラのかわいいね。そしてきれい…」
「見るなぁ…、やめてクレぇ……」
「そのわりにはあまり抵抗しないのね。ちょっと期待してるのかしら。…ペロ」
「ひゃうっ! なななにしてんダー!」
「おいし…」
「ふっ、ぁ…待て…! やめ…」
「ぁむ…ペロ…」
「んぁっ! さっ、サーニャ…ぁ!」
「どお? 気持ちいい?」
「気持ち…イイ…。……じゃない! 尻尾はどこいったんダヨ!」
「……さぁ、続き」
「オーイ!?」
- 76 名前:名無しさん:2009/04/13(月) 18:05:53 ID:kcwfO1jc
- 自分のスキルではこんなのが限界です…。
続けられるようなこれで終わり(投げっぱなしですが)のような感じで…。
もっと深いの書いてくれる人いないかな、と言いつつ逃げますw
LWqeWTRGでした。
- 77 名前:名無しさん:2009/04/13(月) 18:19:17 ID:kcwfO1jc
- なんか変だな。
リレー継続かわからなかったので、継続の場合は続きを書けるような。
継続じゃない場合はこれで終わっても大丈夫なような感じ、ということです。
長々すいません。
- 78 名前:名無しさん:2009/04/13(月) 19:40:08 ID:O9RGltr.
- >>75の続きをサクっと書きます。
「ま、待テ、サーニャ」
「どうかした」
「どうかしたも何もないダロ! 何か私……」
「……」
「……」
「……続きの答えは?」
「ウウッ。無言のままなんて酷いンダゾ」
「答えが無いなら続けるから」
「ま、待テッ」
「命令を忘れたのですか、ユーティライネン少尉?」
「ひ、酷いゾ、こんな時ダケ……」
「じゃあ続けます……ふふ」
「サーニャ笑って…うひゃあ! さ、サーニャ……ナニヤテンダ!?」
「言葉噛み噛みですよ、ユーティライネン少尉♪」
「サーニャ、ノリノリなんだナ……あんっ」
「もう少しかしら……くちゅ」
「はうっ! う、ううっ……あんっ……さ、サーニャぁぁぁ……」
「な、何かサーニャおかしいゾ、いつもと違って……」
「じゃあエイラ……次、仰向けになって」
「仰向け? な、何かヘンだぞ……私……んんッ……」
「……ぷはあ。私とのキスは嫌い?」
「嫌いじゃないケド……」
「けど? 何? 言ってみなさい、ユーティライネン少尉」
「サーニャおかしいゾ?」
「おかしいのはエイラ、貴方よ」
「私!? 何デ?」
「だって……こんなに私、やってもまだ……」
「それって、サーニャ……う……んんっ……」
「……んっ。エイラ、これ以上何か言うと、私が悲しくなりそうだから」
「だからって無理矢理キススンナー!」
「ダメ?」
「イヤ、ソノ……ダメ、じゃナイ」
「もっと、して欲しい?」
「……」
「答えは? ユーティライネン少尉?」
「シテ、クダサイ」
「いい子ですね……ちろっ」
「! そ、そこはダメだサーニャ……」
「エイラ……」
「サーニャぁあぁぁぁ……」
続く?
- 79 名前:名無しさん:2009/04/13(月) 21:45:36 ID:PqDFRScY
- >>70
最近、芳リーネが沢山読めて嬉しいです。
いつも乙です。
しかし、流石に「芳佳好き好きリーネ」も
3人はキツイですね。ちょっと怖いですしw
続きがあるなら楽しみです〜頑張って下さい。
- 80 名前:名無しさん:2009/04/13(月) 22:38:42 ID:/6KFosgI
- 公式更新キタ-
今回の映像記録鑑賞会でわかったこと
・どうやらこれも扶桑語でやってるっぽい、つまりペリーヌとお姉ちゃんも扶桑語に精通していると思われる。
・格納庫で芳リーネが抱き合うシーン、やっぱり宮藤はそういうこと考えてました。
・実録!トゥルーデのお姉ちゃん一人芝居は実在した!!
・トゥルーデ→ペリーヌの心象は正直あまりよろしくないのか……?
あとなんだ、ペリーヌについてリーネが話してるときの宮藤の「ふーん……?」が、なんかもうそういう意味にしか取れないんだがどうすりゃいい。
でもって>>70GJ!!これはエロいww
芳リネはもちろん、芳佳スキーな少佐もたまらんですはい。
ところでこれは4Pなのかそれとも変則2Pととるべきなのか。
- 81 名前:名無しさん:2009/04/13(月) 22:46:37 ID:Tlyx7Ntw
- >>80
ペタンヌw
- 82 名前:名無しさん:2009/04/13(月) 22:50:05 ID:gYirQ9Zs
- >>70
GJです!芳佳怖い怖いw
これはリレー続いてる…んですかね?投下待った方がいいかな…
- 83 名前:名無しさん:2009/04/13(月) 23:51:17 ID:PqDFRScY
- >>80
お姉ちゃん一人芝居wwやばいですw
- 84 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2009/04/14(火) 00:09:12 ID:aEkaJRi.
- >>76 LWqeWTRG様
GJ! 続きが楽しみですね。何処まで続くかwktk
改めてこんばんは。mxTTnzhmでございます。
リレーの流れをぶった切ってホントすいません。
>>69-70「triangle」の続きが出来ましたので投下します。
では完結編? いきます。
- 85 名前:triangular 01/03:2009/04/14(火) 00:10:09 ID:aEkaJRi.
- リーネが三回目の極みに達し、またも気を失ってから小一時間後。
ふと目を開けると、芳佳がリーネを膝枕して介抱していた。
「芳佳ちゃん……」
「大丈夫? リーネちゃん」
リーネの顔を見、ほっとした表情をして、微笑む芳佳。
途端に、先程の“恐ろしい”出来事を思い出し、芳佳から離れ、ズサッとベッドの端に逃げるリーネ。
「どうしたの? リーネちゃん」
「芳佳ちゃん……あとの二人は?」
「へ? どう言う事?」
「だって、芳佳ちゃん三人居たのに……」
「そんな事無いよ。まあ……ちょっと私、この数時間の記憶が曖昧なとこあるけど。……私は私だよ?」
言葉がいまいち信用できないリーネは、ベッドの下、クローゼットの中、果てはタンスの引き出しまで調べてみた。
「居ない」
「虫じゃないんだから、そんなとこに私居ないよ」
苦笑する芳佳。
リーネはおどおどと、芳佳の横に座った。自分の身体を見る。芳佳が付けたと思しき、無数のキスマークやら痕が付いている。
「やっぱり……」
「私、こんなにリーネちゃんを……」
顔を赤く染める芳佳。
「違うの芳佳ちゃん。芳佳ちゃん三人居て、私を、その……」
「リーネちゃんをどうしたの?」
「な、何でもない!」
ぷいと横を向くリーネ。
「怒らないで、リーネちゃん。私、何かいけない事したのかな。なら謝るよ。ごめんね」
「……」
「私の知らない所でリーネちゃん傷付けて。……ごめんなさい。もう、しないから」
しゅんとする芳佳を見て、慌ててリーネは芳佳の肩に触れた。
「違うの、芳佳ちゃん」
「はい?」
「聞いて、芳佳ちゃん」
リーネは芳佳の手を握り、事の顛末を聞かせた。
“事情”を知った芳佳は、びっくりした顔をしている。
「私が三人に増えた? それでリーネちゃんを一斉に……あわわ……」
「私、その……」
「何でか分からないけど、ごめんね、リーネちゃん。でも私リーネちゃんで遊んだ訳じゃなくて……」
「芳佳ちゃん」
芳佳は言葉を選びながら、リーネの目を見て、言った。
「私、リーネちゃんが好きだから。だから……」
「芳佳ちゃん」
ゆっくりと腕を絡ませ、抱き合い、キスを交わす。
「芳佳ちゃんは一人で十分。二人も三人も要らないよ」
「私、たくさんいちゃダメ?」
「だめ。だって、私が独占出来なくなっちゃうもん」
「リーネちゃん……」
「芳佳ちゃん」
見つめあい、もう一度ぎゅっと抱き合い、熱いキスを交わす二人。
そんな二人をドアの隙間からそ〜っと見つめる二人の姿が。
「ニヒャヒャ 実験成功ぅ〜」
「効果持続時間もだいたい分かったし。早速やりますか〜」
二人は持っていた小瓶に入った液体……一見すると目薬に見える……を、頭に振り掛けた。
視界が途端にぼやけ、聴覚が鈍る。
「オオオ……」
「なるほど、それでミヤフジは記憶がどうのって言ってた訳ね〜……」
- 86 名前:triangular 02/03:2009/04/14(火) 00:10:36 ID:aEkaJRi.
- ペリーヌの部屋に、エイラがノック無しで入ってきた。
「おい、ルッキーニ知らないカ?」
「ちょっと、ノックくらい……って彼女がどうかしましたの?」
「アイツ……サーニャのズボンを持って逃げたンダ」
「だからと言って、まさかわたくしの部屋にルッ……ってルッキーニさん? 何故ここに?」
ぎょっとして振り返る。そこにはルッキーニが居た。
「!?」
エイラもつられて振り返る。ルッキーニがペリーヌのタンスをごそごそと漁っている。サーニャのズボンを右手に、ペリーヌのズボンを左手に持った。
「ちょ、ちょっとお待ちなさい! そのズボン、わたくしのですわ!」
「ルッキーニ、何やってンダ!」
「ウシャシャ これいただき〜」
そそそとドアを抜け、廊下を走って逃げるルッキーニ。
「持ってって何に使う気ですの!? お待ちなさい!」
「待テ〜!」
追い掛ける二人。すると二人の目の前を、呑気にリンゴを数個持ち、ひとつをうまそうにかじっているルッキーニが通り過ぎた。
「お退きなさい、ルッキーニさん!」
「邪魔だ退ケ! 逃がすカ!」
数歩走って、二人は足を止めた。
「あ、あら?」
「ルッキーニ?」
「ウニャ? あたしがどうかした?」
「オマエ……何でリンゴ食ってるんだヨ」
「わたくしのズボン、何処へやったんですの?」
「こっちこっち〜」
振り向くと、ルッキーニが二人のズボンを振り回している。
「あたしがどうかしたぁ?」
後ろを見ると、リンゴを持ったルッキーニがぽかんと二人を見ている。
「なっ!?」
「ちョッ!?」
「こらぁ〜待てルッキーニ〜!」
二人の目の前を、何かを持って駆け抜けて行くルッキーニ。それを追い掛けるシャーリー。
「お前ら、いいとこ居た。ちょっとルッキーニ捕まえるの手伝ってくれ。あたしのストライカーの部品持って逃げたんだ」
顔に焦りの色が見えるシャーリー。
「それはこっちのセリフですわ」
「ん? うわ!? 何でここにもルッキーニ?」
シャーリーがぎょっとしてルッキーニを見た。
「シャーリー、リンゴ食べる? 一個あげる。ニヒヒ」
「あ、ありがと……」
リンゴを一個貰い、とりあえずかじってみる。
「普通に美味い」
「そう言う問題じゃないと思うゾ」
「おい、あれ!」
シャーリーが指さした先には、ミーティングルームに移動するルッキーニの姿が。
台所から持ってきたらしいケーキを頬張ると、ソファーでごろって横になって寝息を立て始めた。
「こらー、待たんかルッキーニ!」
背後から聞こえる怒号。
振り返れば、向こうから全力で逃げるルッキーニを追っかけているのは美緒。
「ミーナの胸を揉みしだいた件、上官侮辱だぞ!」
今にも扶桑刀を抜刀しそうな勢いでルッキーニを追う美緒。
「ルッキーニならやりかねないな」
「てか、なんでこんなにルッキーニだらけなんダヨ?」
「わたくしに聞かれても」
「そう言えば、宮藤は元に戻ったんダッケ?」
「宮藤さんなら、今はリーネさんが“管理”してる筈ですけど」
「て言うか……」
目の前をちょろちょろと走り回るルッキーニを見て、シャーリーは呟いた。
「一体何人居るんだ、ルッキーニは……」
- 87 名前:triangular 03/03:2009/04/14(火) 00:11:51 ID:aEkaJRi.
- 「何やら基地の中が騒がしいな」
一人訓練を終え、シャワーを浴び、何か飲み物は無いかと台所にやって来たトゥルーデ。
冷蔵庫に手を伸ばす。不意に現れたエーリカに右腕を掴まれた。
「ん? どうしたエーリカ」
「トゥルーデ、あ・そ・ぼ♪」
「あのなあ。昼間っから……」
「トゥルーデ、あ・そ・ぼ♪」
左腕をエーリカに掴まれる。
「だから……ん?」
左右を見る。エーリカが二人。
「な、なんだ?」
「トゥルーデ」「トゥルーデ」
「ええい、待て待て!」
トゥルーデは腕を振り解くと、腰に手を当て、冷静に言った。
「姉妹で私をからかおうとしても無駄だ。ウルスラ、いつ501に来た?」
「私はエーリカだよ」「私もエーリカだよ」「わ・た・し・も♪」
突然背後からエーリカに抱きつかれるトゥルーデ。腰に手を回され、ぎゅっと抱かれてしまう。
「おわっ!? さ、三人? どう言う事だ?」
「三人じゃないよ〜」
ふとももをぺろっと舐められ、ぞくっとして転びそうになるトゥルーデ。足元を見ると、エーリカが居た。
「ちょっ!? よ、四人? 分身? ネウロイかっ!?」
「そんなんじゃないって」「分かってないなあ、トゥルーデ」「遊ぼうよ、トゥルーデ」「部屋いこ部屋」
「待て、お前ら!」
トゥルーデは群がるエーリカ達を集めた。
「一人以外、偽物だろ。指を見せろ、指を」
「もしかして、指輪の事?」
「ああ。私と同じ指輪をしているのが、本物のエーリカだ」
「「「「じゃじゃーん」」」」
揃って見せられた、四つの手。同じ指輪が煌めいている。
「な、なんだってー!?」
仰天するトゥルーデ。
「さ、行こうトゥルーデ」「楽しいよ、トゥルーデ」「ワクワクするよね、トゥルーデ」「何分保つかな、トゥルーデ」
御神輿宜しく四人のエーリカに担がれ、部屋に持って行かれるトゥルーデ。
「うわあ! 何でこんな事に! だっ誰か!」
「ミヤフジとリーネのプレイ見てたら、何かこう言うのもアリかな〜って」「楽しそうだったよね」「きっとおもしろいよ」「そうそう、私達も楽しもうよ」
「ちょ、ちょっと待て」
「さっきはミヤフジとイイコトしてたんだよね、トゥルーデ」「私じゃダメなの、トゥルーデ?」「流石にあれは見ててちょっとイラッと来たよ、トゥルーデ」「お仕置きしないとね、トゥルーデ」
「エーリカ、待て、話を、てか何でエーリカがこんなに沢山居るんだ、っておい……うわあ!」
トゥルーデはエーリカ達に自室に連れ込まれた。間もなく、部屋の鍵ががしゃりと閉められた。
「ナア、ペリーヌ」
「何ですの? エイラさん」
「今、バルクホルン大尉ガ、ハルトマン中尉に担がれて行くのを見た様な気がスル」
「……気のせいですわ。ハルトマン中尉が四人も居ただなんて」
「オマエ見ているナッ!?」
end
----
以上です。
完結編と言いつつ、何かますます収拾付かなくなった気も……。
まあ、あの二人ならやりかねんと言う事で。
謎の液体は……二人なら(ry
ここで、今回のネタのヒントを頂いた>>37様と>>38様に感謝を。
ちなみに、このSSは一応、保管庫No.0450「ring」シリーズ関連、と言う事でひとつ。
ではまた〜。
- 88 名前:トゥルーデ撃墜部隊:2009/04/14(火) 00:21:58 ID:e5.PRvtI
- >>87
GJです!エーリカも増えた!w
ウルスラも同じように増えたりしたら8人ですねww
私も投下させていただきます。
そろそろエーリカの誕生日なので、序章をちらっと。
一応、前スレのトゥルーデ誕生日エーゲルの続きということで…
- 89 名前:名無しさん:2009/04/14(火) 00:23:32 ID:e5.PRvtI
- 今日、お姉ちゃんがエーリカさんと一緒にお見舞いに来てくれた。
でもなんだかおかしかったの。
いつもなら、お姉ちゃんの普段の生活やお友達の事をたくさん話してくれて、ときどきエーリカさんが突っ込みを入れてお姉ちゃんが怒ったりして、すごくおもしろいんだけど…
今日のお姉ちゃんはあんまり喋らなくて、そわそわしてた。
どうしたのかなぁって思ってたら…
「ちょっと私、トイレ行ってくるね〜」
そう言ってエーリカさんが病室を出た途端、お姉ちゃんが顔を上げた。ベッドに手をついて、私にぐぐっと近寄った。
「く、クリス。ちょっと聞いてもいいか?」
「なあに?お姉ちゃん」
首を傾げると、お姉ちゃんはドアをちらっと見て、ひそひそ話で言った。
「あの…もし、もしだぞ。クリスが私と揃いの物を誰かに貰えるとしたら、どんな物だったら嬉しい?」
「お揃いのもの?」
突然の質問に目をぱちぱちさせたら、お姉ちゃんは慌てて続けた。
「あ、いや…その、知り合いに贈り物をする予定なんだが、そいつが双子なんだ。それで…」
あっ。
ぴーんときた。
確か、エーリカさんって双子だって言ってたっけ。
もしかして、誕生日とかなのかも。
- 90 名前:名無しさん:2009/04/14(火) 00:25:14 ID:e5.PRvtI
- 「う〜ん、そうだなぁ…」
私は気付かないフリをして、首を捻った。
「…ぬいぐるみがいいな。私とお姉ちゃん、今は一緒に暮らしてないから、離れててもお揃いなら寂しくないでしょ?」
半分、ほんとの思いが入っちゃったかな。
「そ、そうか…ぬいぐるみ……」
お姉ちゃんは顎に手を当ててブツブツと考え込み始めた。
う〜ん…考えてみたら、ぬいぐるみとか選ぶのってあんまりお姉ちゃんは得意じゃないかも。
「…あ、そうだ!お姉ちゃん写真上手だから、写真立てもいいな。一緒に撮った写真飾るの」
そう言ったら、お姉ちゃんはバッと顔を上げた。
「…そうか、写真立て…それはいいかもしれないな」
お姉ちゃんの目がきらきらと輝く。
えへへ、お姉ちゃんってほんとにエーリカさんが好きなんだな。
「ただいま〜。…トゥルーデ、何キラキラしてんの?」
「え、エーリカ!な、なんでもないぞ!」
エーリカさんが帰ってきて、お姉ちゃんは真っ赤になった。
「そろそろ帰らないとね」
「あ…あぁ。じゃあクリス、また来るからな」
「ばいば〜いクリス」
「うん!ばいばいお姉ちゃん、エーリカさん」
出ていく二人に手を振る。
ドアを閉める時、お姉ちゃんが小さく「ありがとう」って呟いてた。
どういたしまして。
がんばれ、お姉ちゃん!
- 91 名前:トゥルーデ撃墜部隊:2009/04/14(火) 00:26:06 ID:e5.PRvtI
- 終わりです。
誕生日当日までに本編をがしがしやります
- 92 名前:名無しさん:2009/04/14(火) 01:05:21 ID:o/cA6fX2
- >>91
続きを全裸で待ってます
- 93 名前:名無しさん:2009/04/14(火) 02:53:21 ID:DHvDP/zs
- にょろり、とこんばんはCRwGA7CAです
前スレでの皆さんの温かさに泣きました(´Д`)ありがとうございます
なんとか生き返れたので、久しぶりに見てみたら新スレおめでとうございます(遅
こっそりとリレーに参加出来て嬉しかったりw
さて、夢…と言うかなんと言うか、起きた時なんとなく覚えてたのが元ネタです
お題の「肩車」で、いいのかな…?
4レスです
- 94 名前:名無しさん:2009/04/14(火) 02:53:53 ID:DHvDP/zs
- 「なぁ、ルッキーニ。空は好きか?」
高い高い大空の下。
青い青い大空の下。
ポカポカの陽気とぬくぬくの陽射し。
ゴロリと寝転がっている草むらからは、陽射しを取り込んだ土の香りがほのかに漂う。
「んーっとね……飛ぶのは好きだよ。気持ちいいもん」
耳元で何かが動いた様な気配と共に、ルッキーニの声が届く。
大の字に身を地面に預けて倒れている私とルッキーニ。
私達は非番ついでに散歩に行こう、と基地から少し離れた草原にいた。
海から吹く潮風がなだらかな丘を柔らかに駆け登る。
「……そっか」
シャーリーは、ルッキーニの答えにポツリと返す。
特に意味のない気安いやりとり。
マッタリとお互い寝転がり、時折思った事を口にする。
眠りに落ちる直前に感じる緩い心地よさ。
「んしょっ、……ね、シャーリー」
「ルッキーニ…?」
ふと真っ青な空に影が射した。
ルッキーニが頭の上から私を見下ろしているのだ。
「なんか音がするよ」
「……音…?」
ゴロリと寝返りをうち身体を180度回転させる。
俯せになった私の前でルッキーニは再び寝転がると、地面に耳をつけ、目を閉じた。
そして、そのまま何かを聴き入っている様にピクリとも動かなくなった。
なんだろう、と私も同じ様に耳を地面に当てた。
すると、確かにソレは聞こえた。
……………。
聞いたことのある様な、聞いたこともないような不思議な音。
聞いていると、何故か非常に心地良い感覚を覚えた。
ゆったりと、けれども決して途切れる事のないその音。
「……ああ、そっか」
「……シャーリー?」
私はふとその音の正体に気が付いた。
知らないハズなんてなかった。
そう、それはなんてことない……
「ルッキーニ、あっちに行ってみよう」
「……うん」
それは地面を流れる血潮の音。
私の隣を歩いていたルッキーニが何かを見つけたのか、突然走り出した。
キラキラと大きな目を輝かせて、ルッキーニが大きく手を振っている。
「シャ、シャーリーッ!水が流れてるよ!ちっちゃい川があるよーっ!」
「おー、よく見つけたな。凄いぞ、ルッキーニ」
私達の目の前には、幅が2,30㎝もない小さな小ささ小河が流れていた。
草花の間を擦り抜ける様に流れ行く一筋の小河。
水辺だとやはり生える植物も異なるのか、先程の草原とはまた違った、彩り豊かで華々しい景色が広がっている。
- 95 名前:名無しさん:2009/04/14(火) 02:54:18 ID:DHvDP/zs
- 今まで見た事のない様な鮮やかな花々。
それは小河を挟んで向かい側により多くの種類が見られた。
「…………」
「…………」
しばらくその景色に魅入る私とルッキーニ。
そよ風は優しく私達の頬を撫で、甘い香りを運んで鼻をくすぐる。
一歩。
そう、一歩足を踏み出せば、この小さな小河を越え、彩り鮮やかなそのお花畑を堪能出来る。
それなのに
「……シャーリー…」
「…………ああ……」
私達はどうしてもその一歩を踏み出せずにいる。
何故かは分からない。
ただ、分かっている事と言えば、五感が呼び掛けるのだ。
ここから先に行くのはまだ早い、と。
理由なんて分からない。
どうして、なんて考えるのも面倒だ。
私はこんな景色を見れているだけで十分だと思った。
「……うー、ストライカーあったら空から見れるのにー」
そう零すルッキーニを見ると、ぴょんぴょんと跳びはねている。
確かにルッキーニの身長だと見える範囲も狭まるからな。
「ルッキーニ、おいで」
「うに?何、シャーリー?」
「肩車してあげる」
しばらく私が言った事の意味が良く伝わらなかったのか、二度三度と瞬きをした。
そして次第に大きな目を更に丸くして、満面の笑みをこぼす。
ああ…なんてーか、至福。
「よっ、と…どうだ、ルッキーニ」
「わ、わわわっ……ぁ…」
ぴょこん、と私の肩に跨がったルッキーニを乗せて立ち上がる。
一応、肩車なんてルッキーニに初めてしてやるし、ルッキーニもバランスを取るのが難しいのか、私の頭を抱えて右に左に、とゆらゆら揺れた。
けれども、それも最初だけ。
小さく漏らした声を聞いた後は、徐々に頭を締め付ける様にしがみついていた手が、ゆるゆると解かれる。
きっとルッキーニは今、くりくりの目をいっぱいに広げて、私にも見えないより遠い景色を見ている。
私が見ている訳じゃないけど、それでも私も嬉しくなってくる。
こっそりと見上げたルッキーニは、両の手を大きく広げ、キラキラと目を輝かせていた。
ふふ、と笑いが込み上げた。
きっとルッキーニはすっごい景色を見ているのだろう。
なら私も、今見えるこの鮮やかな景色をより鮮明に記憶しよう。
私達はそうして、小さな小さな小河の前で、飽くる事なくお花畑を眺め続けていた。
- 96 名前:名無しさん:2009/04/14(火) 02:54:56 ID:DHvDP/zs
- ◇
「………リー……シャーリー…!!」
「…んー……どーしたー…ルッキー「シャーリーッ!!」…へ!?」
どすん、と身体にお馴染みの衝撃が走る。
見れば、お腹辺りに抱き着くルッキーニの姿。
なんだかよく分からないけれど、私に抱き着いて泣いているルッキーニの頭をぽんぽんと撫でてやる。
「まったく……何をやってるんだ、リベリアン」
「……あれ、堅物…?」
声のした方を向くと、入口のドアに寄り掛かっていたバルクホルンを見つけた。
その時、私は初めて自分が部屋の中にいる事に気付いた。
「あ、あれ……私、さっきまでルッキーニと花畑を……」
飲め、とベッド横に移動してきたバルクホルンに水を渡された。
……何故か、水が凄まじく美味しいものに感じた。
そんな私の様子を見てか、ため息を吐きながら頭を抱えたバルクホルンが経緯を説明してくれた。
「…………え、と…マジで?」
「ああ。お前は基地近くの草原でグースカ昼寝をして熱中症にかかった。そして軽い脱水症状になっていた所をルッキーニが発見。医務室に放り込んで今に至る」
な、なんだそれ。
じゃ、さっきまでのが…全部夢!?
呆然としている私に、バルクホルンが肩を竦めて一枚の写真を寄越してくれた。
そこには、私の肩車に乗っているルッキーニと私の姿が写されていた。
ルッキーニは両手を大きく広げて満面の笑みを浮かべている。
その下で私が視線を少し上げてルッキーニを見ながら微笑んでいた。
手前には色鮮やかなあの花々。
斜め下から撮ったのか背景には真っ青な空が広がっていた。
紛れもなくさっきまで見ていたお花畑と私達。
よく撮れてるなぁ、と関心したのも程々に、ふとした疑問が浮かび上がる。
- 97 名前:名無しさん:2009/04/14(火) 02:56:12 ID:DHvDP/zs
- ………あれ、でもさっきのって夢だったんじゃ…?
しかもこのアングルって……
そんな事を私が考えていると知ってか知らずか、バルクホルンはフ、と笑ってから言い切った。
「私は501の写真係だからな」
……そういう問題なのか…?
ま、綺麗に撮れてるからいいよな。
しばらく寝ておけ、と部屋を去るバルクホルンの後ろ姿を見送った後、私は急激な眠気に襲われた。
ベッド横で泣き疲れて眠っているルッキーニの髪を軽く撫でてやる。
疲れていた様なルッキーニの顔がにへら、と緩んだ。
ま、こんな日もあるのかな。
次の休みにはあのお花畑でもルッキーニと探そうか。
そんな事を考えながら、とりあえず私は昼寝を満喫することにした。
おわーり
- 98 名前:名無しさん:2009/04/14(火) 02:59:16 ID:DHvDP/zs
- 以上です
実際はどっかのくさむらの中に小河があった、ってだけの夢だったんですけど…
さぁて、なんか沢山投下されてるし、今から見てきまーす
では
- 99 名前:名無しさん:2009/04/14(火) 09:28:34 ID:MASiOfLE
- 投下多すぎて読みきれん
- 100 名前:名無しさん:2009/04/14(火) 10:53:05 ID:uT355bDc
- なんか久々に賑わっててうれしい。
>>85
なんというカオスwww
しかも坂本真綾ktkr GJ!
>>91
続きを全裸で待ってます。
>>98
シャッキーニ分不足だったから超嬉しい。GJ!
描写が爽やか。いいものを読ませてもらいました。
そんなわけでOsqVefuYです。流れに乗って自分もいきます。
保管庫の892の続きの922の続き、ちっちゃくなったミーナの話の3話目です。
一応鬱展開になるのか?5レスの予定。
- 101 名前:名無しさん:2009/04/14(火) 10:55:36 ID:uT355bDc
- 芳佳【ここにはいたくなかった】
ペリーヌさんが死んでる。
それがもはや変えようのない事実だとはいえ、いざそのことを口に出してしまうと、
やっぱりそれは、私の気分をぐんと重いものにさせた。
それが本当に本当なんだと気づかされてしまうから……。
バルクホルンさん、それにニーナちゃんは、きょとんとした表情を浮かべる。
何を言ってるんだと顔に書いてある。でもそれは仕方のないことだ。
ペリーヌさんが死ぬとか、そんなことあるわけない。
そう信じたいのは私だっておんなじだったから。
死んでる、死んでる、死んでる……。
私の部屋のドアをゴンゴンと激しく叩く音とともに、エイラさんの叫び声。
なんのことだろう? 最初は虫かなにかかなと思った。
ベッドから起きあがろうとするリーネちゃんを制し、私は急いで服を着て、ドアへと向かった。
なんなんですか? 死んでるって……。
開けたドアから顔だけ出して応じる私に、顔を真っ青にしたエイラさんは告げた。
ペリーヌが死んでるんダッ!!
…………なにを言ってるんだろう?
またなにかのイタズラだろうか。でも、言っていいことと悪いことがあると思う。私は顔をしかめた。
エイラさんはなおも「死んでる」と、あまりに大声でわめき散らすもののだから、
リーネちゃんや、廊下の向こうからサーニャちゃんもやって来てしまった。
と、とにかく来てクレ。
エイラさんにそう促されて、私たちはミーティングルームに行ってみることになった。
たしかにペリーヌさんは死んでいた。
しかも、素っ裸で。
なんてことが起こってるんだろう。
こ、こういう時は……そうだ! 他のみんなにもこのことを知らせないと!
私たち4人は手分けしてみんなを呼んでくることになった。
「と、とにかくっ! 早く来てください!」
ひと通り事情は説明したものの、已然として半信半疑のバルクホルンさんたちを私は急かした。
百聞は一見にしかずだ。見てもらえればわかる。もうみんなは集まっているし。
「あっ、ああ。わかった」
バルクホルンさんはなんとかといった感じにうなずいて、私の方へと歩を進め――
けれど、それはすぐに止まった。
「――っと。その前にひとついいか?」
「な、なんですか?」
一大事だというのになんだというんだろう?
私は顔をひきつらせ、身構えてしまった。それは、それがバルクホルンさんだからだ。
床全面にぶちまけられた、なんだか見てはならない物の数々。
正直、あまり長い時間、ここにはいたくなかった。
そんな私にかまうことなく、バルクホルンさんは言った。
「実はお願いしたいことがあるんだが」
- 102 名前:名無しさん:2009/04/14(火) 10:56:41 ID:uT355bDc
- トゥルーデ【間違いなくペリーヌは泣くだろう】
「すまない。遅くなった」
私と芳佳、それにニーナは階段を急いで駆け降り、ミーティングルームにたどり着いた。
言葉の通り、遅くなりすぎたのだろう。ミーティングルームには既に全員が集合していた。
「あれっ?」
と、突然声をあげる芳佳。
「どうかしたのか?」
「いえ……なんだかひとり足りないような……」
ん? まだ来てないヤツがいるのか。誰だ?
少し考えて、アイツのことだと気づいた。それと同時に、ちょっとほっとしてした。
まさかこんなところで顔を合わせることになるのも嫌だったからだ。
――と、何人かが目をきらきらさせて私のことを見てくる。
いや、私じゃない。私の後ろに視線が注がれている。
「おい、堅物。その子は?」
私の背中にぴたんとひっつくニーナを見据えたまま、リベリアンは訊いた。
「ああ、この子は……」
「私はニーナ。おねえちゃんの妹なの」
みんなの前に出てきてそう言うと、ニーナはぺこりとおじぎをした。
そして顔をあげる。気のせいだろうか。一瞬だけニーナが、キッと鋭く睨みつけたように見えた。
その視線の先にはルッキーニがいた。
「「「ちっちゃいちゅ……」」」
リーネとエイラ、それにリベリアンは声をそろえてなにか言いかけ、が、すぐに口を閉ざす。
とはいえ、それはすぐにかしましいものに変わった。
「かわいー!」
「しかもメガネっ娘ダ!」
「堅物とおんなじ髪型してる!」
瞬く間に3人はニーナの周りに群がって、口々に言葉を浴びせていく。
いくつ? どこから来たの? お菓子食べる?
果てには芳佳まで加わってしまう始末だ。
ニンジン好き? ピーマン食べれる? 納豆にネギ入れるタイプ?
そんな4人に囲まれてしまって、ニーナはすっかり怯えている。
たしかに可愛いのは事実だし、みんなの気持ちは私にもようくわかる。
私だってこんなところに連れて来られなければ、もっとゆっくりお話しできたのに……。
なのに他のヤツらの好奇の目に晒され、さらにはべたべたべたべたとっ!
――いや、断じてこれは、嫉妬とかそういう醜い感情ではなくってだ。
ただ、私は姉として、その、つまり、そういうことだ。
「お前たちっ! いい加減にしたらどうだ!」
「え? どうしてですか?」
「知らない人間がそう何人も一辺に喋って、ニーナが困ってるだろう」
「そうカ? まんざらでもなさそうだけどナ」
「そ、それよりペリーヌはどうしたんだ? 一大事なんだろう?」
「それだったらあれです」
と、その方を指差してリーネ。
「いや、あれって言われても……」
戸惑う私に、あっけらかんとリベリアンは言った。
「全部お前に任せた。現場は発見時のままにしてあるから」
- 103 名前:名無しさん:2009/04/14(火) 10:58:19 ID:uT355bDc
- 追い出されるような格好で、私は例の死んでるとかいうペリーヌの元にやって来た。
芳佳から聞いた話の通り、仰向け、それに全裸――
私はペリーヌの手首を取り、脈を計ってみた。
――たしかに、脈はなかった。
うつ伏せになった遺体を仰向けにし、仏さんの顔を拝んだ。
間違いない。それはペリーヌだった。
しかし、なんだろう――なんだかいつもと違う。なにかが引っかかった。
が、その違和感をうまく言葉にすることができない……。
もどかしさを感じつつも、他になにか変わった点がないか思案にふけった。
鼻からだらりと血を流している。痛々しかった。
けれど、外傷はそれくらいだ。この程度の怪我で人間というのは死ぬものなのか?
とは言うものの、相当の量の血液があたりを赤々と染めあげ、
この暑さのせいだろう、もう既に乾きはじめていた。
うつ伏せに倒れた死体。しかも、全裸。
これら状況をかんがみれば、どう考えてみてもそうとしか思えない。
「これは事件だな」
重い口を開き、私は結論を下した。
「――しかも、殺人事件だ」
そんな私などは傍目に、向こうではニーナを囲んで、ぺちゃくちゃわいわいがやがやといった有り様。
さっきからなんだというんだ、この緊張感の著しく欠如した連中は。
人ひとりが死んでるというのに。これでは今にもお茶会でも始まりそうな勢いだ。
こんなところを見たら、間違いなくペリーヌは泣くだろう。私の胸にこみあげてくるものがあった。
「おい、リベリアン」
「ん? なんだよ? 今、いいとこなのに」
「いい加減にしたらどうだ。私にばっかりさせてないで、貴様も捜査に協力――」
「ああ、だったらこれ。みんなから話を聞いて、あたしがまとめたんだ」
リベリアンはそう言うと、クリップ留めのレポートの束を私に差し出してきた。
なんだ。こんなものがあるなら、さっさと渡せばいいのに。まあ、ありがたく受け取っておく。
私はそれをパラパラとめくってみた。各人ごとに朝から今現在までの行動をまとめてある。
――と、ふと、その手が止まった。無意識だった。
アイツのところだ。やはり基地にはいないらしい。
まったく、こんな時にどこでなにをしてるんだ……。
既に知ったこととはいえ、そう思わずにはいられなかった。
いや、今はそんなこと言っている場合ではない。それより、目の前の事件だ。
気を引きしめて再び、最初に戻って考えていくことにした。
《エイラ》
自分の部屋から食堂へ向かう最中、ミーティングルームで倒れているペリーヌを発見した。
(その直前、自室の前の廊下を横切るペリーヌを目撃している)
あわてて宮藤を呼びに行って、そこでリーネとサーニャとも出会う。
3人を現場に呼んで来た後、他のみんなも呼んでくることになった(本人談)。
「第一発見者はエイラ、お前で間違いないんだな?」
確認のため、私は訊いた。
「ン? そうだけど。今、いいとこだったのにナ」
エイラは心底嫌そうな顔を私に向け、答えた。
「その時からこういう状況だったのか? 服も……」
「アア。すっぽんぽん。もういいカ?」
「まだだ。――これによると、お前はその直前にもペリーヌを見てるとあるが」
「ウン、私の部屋の前をすぐ通りすぎていったけど」
なるほど。つまりコイツは生前のペリーヌをおそらく最後に目撃した人間でもあるわけか。
「それから死体を発見するまでの時間はどれくらいだ?」
「5分くらいカナ」
「5分!?」
それが本当なら犯人は、たった5分で(実際はさらに短いだろう)犯行に及んだ上に、
遺体から服を脱がせ、さらには現場から逃走したことになってしまう。
そんな早業、はたして可能なのか?
「ナー、もういいカ?」
「まだだ。――その後お前は宮藤を呼びに行ったとあるが」
「ほら、死んだ人が生き返る魔法ってあるダロ? 宮藤なら使えるかもって思ってサ」
そんな魔法、現実にあるのか? ……いや、あるはずがない。今この状況が、その証左なのだ。
エイラは言い終えるとすぐ、また輪のなかに戻って行った。
なんてヤツだ。まあいい――とにかく、他の証言とも照らし合わせていかないと。
- 104 名前:名無しさん:2009/04/14(火) 10:59:56 ID:uT355bDc
- 《宮藤》
自分の部屋で寝ていた(本人談、リーネの証言)。声をエイラが聞いている(エイラの証言)。
エイラから事件のことを聞いて一度現場に来て、その後堅物を呼びに行った。
《リーネ》
宮藤の部屋にずっといた(本人談、宮藤の証言)。声をエイラが聞いている(エイラの証言)。
エイラたちとここに来た後、エイラといっしょに食堂にいるあたしたちを呼びに行った。
《サーニャ》
部屋で寝ていた(本人談、エイラの証言)。
一度起きたが、現在はまた寝ている。
そのサーニャはといえば現在、数人掛けのソファーの隅っこで、うとうととまどろんでいる。
いつもなら哨戒任務を終えてぐっすりと眠っている時間なのだ。
こんな事件さえなければ、部屋のベッドでゆっくり寝かせてやりたいところなんだが……。
その隣には退屈そうにごろんと寝転ぶルッキーニがいる。コイツは別だ。
芳佳、リーネ、サーニャ。この3人にはアリバイがアリというわけか。
いや、待て。共犯の線も考えられるな。なにかのトリックを使ったという可能性も……
それがなにかはまだわからないが。
――とにかく、次だ。
《あたし》
ずっと食堂にいた。堅物を追い出して、少ししてから少佐がやって来た(本人談・少佐の首肯)。
みんなから聞いた話をまとめてこれを書いた。褒めて褒めて。
《坂本少佐》
食堂であたしといっしょにいた(あたしの証言)。
それより前はペリーヌといっしょにいたらしい。なにやらゴタゴタしていた模様(本人談)。
その坂本少佐はといえば、ひとり掛けのソファーに深く沈みこみ、
心ここにあらずといったふうになってしまっている。
あのいつも豪放磊落な坂本少佐がだ。それだけ悲しみが深いということなのだろう。
すっかり脱け殻となっていて、少佐のいるその場だけ、ぐんと重くよどんでしまっている。
悼んでいる……この場にいるなかで、おそらくただひとり。
こんなところを見たら、間違いなくペリーヌは泣くだろう。私の胸にこみあげてくるものがあった。
事件は猟奇的な殺人だ。
しかも、外部犯ということは考えにくい。犯人はこの場でのうのうとしているに違いないのだ。
だから一刻も早く、犯人を見つけないと――
それは、こんなになった坂本少佐のためにもだ。
こんな時にこんな話が酷なのは承知だが、致し方ない。
私は坂本少佐に話を聞いてみることにした。
「あの、坂本少佐」
「………………」
少佐からの反応はない。
「ここに今朝、ペリーヌといっしょにいたとありますが」
「………………」
「なにやら揉めていたようですが」
「………………」
「なにか、お話を」
「………………」
やはり、少佐からの反応はない。
「坂本少佐……」
なんと痛ましい姿なのだろう。今の坂本少佐から話を聞くのは不可能だった。
私もこれ以上、なにかを口にすることができそうにない。
――仕方がない、次だ。
- 105 名前:名無しさん:2009/04/14(火) 11:01:17 ID:uT355bDc
- 《ハルトマン》
廊下で探し物をしていた。お風呂場の近く(本人談)。
それをマイハニーが目撃している(マイハニーの証言)。
そのハルトマンはといえば、もうひとつあるひとり掛けのソファーにどっぷりと座りこみ、
なにやら黙々と本を読んでいる。
本を掲げるようにして読んでいるので、私からも表紙が見えた。
それは私も知ってる物語だった。
たしか、母親が義理の娘の殺害を画策するサスペンスだったと記憶している。
さて、ハルトマンは残念ながら、アリバイはアリともナシとも言えるようだ。
ハルトマンが廊下で床に這いつくばって、懸命に探探し物をしていたのは私も見ているが……。
ん? 探し物?
ふと、ふいにこれとは別のあることを思い起こした。
私の部屋が私に身に覚えのなく、見るも無惨に荒らされまくったもうひとつの事件。
コイツ、もしかして私の部屋を――
と、とにかく、話を聞いてみるしかなさそうだ。
「なあ、ハルトマン」
「邪魔」
はっ、話しかけるや否や、即答ときた。
……いや、気にするな。しらばっくれるつもりなのかもしれないじゃないか。
「ここに探し物とあるが、結局見つかったのか?」
根気よく、それとなく、私は訊ねた。
ハルトマンは無言のまま、首を横に振って答えた。
「そ、そうか……」
今日のコイツはなんだか変だ。いつも以上になにを考えているのか見当がつかない。
ただ機嫌が悪いだけなのかもしれないが、とても空気が重い。
「……いったいそんな熱心に、なにを読んでるんだ?」
沈黙を持て余して、私は訊いた。なんとしょうもない質問だろう。
「53番」
「いや、そうじゃなくて」
「そこに落ちてた」
首の動きだけでハルトマンは遺体のすぐ近くを示す。
――その瞬間、私の体に閃光が走った。
バラバラになっていた頭のなかのジグソーパズルが早急に組み立てられ、
その最後の1ピースがピタリとハマったのだ、ピタリとハマったのだ。
この本はペリーヌが犯人を知らせるため、最期の力を振り絞って残したものなのだろう。
すなわち、これはダイイングメッセージであると考えて間違いない。
そして、その本は53番――
53番といえばレッドスター。赤い彗星。
つまりキーワードとなるのは“赤”と“スピード”。
これは某大佐が通常の3倍であることから考えても揺るぎようのない事実だ。
この事件が早業であることともバッチリ当てはまっている。
――では、これらが指し示す人物とははたして誰か?
“赤”、それに“スピード”。
これらに符合する人物といえばただひとり。すなわち――
第3話 赤い彗星 おわり
以上です。いや、続くんですが。
続きの方はぼちぼちと。まあ筋は通します。
そんじゃ、これから秘め歌買ってきますノシ
- 106 名前:名無しさん:2009/04/14(火) 11:11:13 ID:GUYZFbiE
- >>105
褒めて褒めて のシャーリー可愛すぎワロタ
GJです!
自分も秘め歌買ってこよう
- 107 名前:名無しさん:2009/04/14(火) 16:19:12 ID:uT355bDc
- 秘め歌買ってきた。聞いてみた。
(*´Д`)
芳ペリーネはすっごい和んだ。芳リネは物足りないけど、ペリーヌがたまらん。
ペリーヌハブられてなくて良かった。本当に良かった。
シャッキーニはもうなんというかお腹いっぱい。
以下、ネタバレにならん程度に感想。
ジョンブル魂
芳佳wwwモノマネwww
みっちゃんキタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!
トライアングル・スクランブル超萌えた
シャッキーニイチャイチャしすぎ、会話のレベル低すぎ
あーもう一回聴き直そ。
- 108 名前:名無しさん:2009/04/14(火) 20:20:47 ID:sTzX4q2Q
- シャッキーニの秘め歌トークでニヤニヤが止まらん!
秘め歌も一番気に入ったわ
穿いてないシャーリー…
- 109 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2009/04/14(火) 20:41:11 ID:lyybZiIM
- >>91 トゥルーデ撃墜部隊様
これは続きがすごい楽しみ! GJ!
>>98 CRwGA7CA様
GJ! 描写がとてもステキです。やっぱりシャッキーニはいいですね。
>>105 OsqVefuY様
GJ! 続き楽しみにしてます。
こんばんは。mxTTnzhmでございます。
今回のSSは……最初に断っておきます。意味不明です。
理由は後でお話しします。とりあえず、どうぞ。
- 110 名前:beauty parlour:2009/04/14(火) 20:41:50 ID:lyybZiIM
- 静かなサロンに、ピアノの旋律が軽やかに流れる。
それぞれの持ち場についたまま、メロディをなぞり、リズムを取る隊員達。
その時、ピアノを弾いていたサーニャの手が止まる。耳と尻尾が生え、レーダー魔導針が輝く。
「目標、来ます」
ドアが開いた。控えめに鳴るドアベルの音。
入って来たペリーヌは絶句した。
そこに居る隊員全員がタキシード姿……いや、背広は脱いでいるが、蝶ネクタイに、ぱりっとノリの利いたシャツを着ている。
そして下は、すらりと伸びるスラックスを履き、サスペンダーできちっと留めている。
「いらっしゃいませ。今日は如何致しますか?」
前に出て来たヤケにオトコマエな美緒が、ペリーヌの眼鏡をそっと外し、耳元で囁いた。
「あ、あの……カットと、トリートメントを」
ペリーヌの言葉を聞いたミーナは、全員に号令を掛けた。
「ストライクウィッチーズ、これよりカットとトリートメントを行う。作戦開始! バルクホルン、ハルトマン前衛、行動開始」
「了解」
「了解〜」
戸惑うペリーヌの肩をがっしりと掴み、セット面にご案内。
「あ、あの、もうちょっと丁寧に……」
「ふむ、先端に癖毛が少々……」
「枝毛も結構有るね」
観察する二人。
「ですから、数センチばかりカットして頂きたいと」
「了解した」
「シャーリーとルッキーニ、シャンプー開始だ」
美緒の命令が下る。
「了解〜」
ペリーヌをシャンプー台に引き連れ、椅子に腰掛ける。
「これより椅子を下降させる。機体は背面を向けるぞ」
がくんと椅子が曲がり、思わず声が出そうになるペリーヌ。
「ちょっと熱いかもね〜 ニヒヒ」
じょばじょばと髪にシャワーを当て、濡らして行くルッキーニ。。その次はシャーリーがわっしわっしとペリーヌの髪を
クレンジングシャンプーで泡立て、すかさず洗い流す。乾ききらないうちに、ペリーヌは椅子を引き起こされた。
「目標を発見、これよりカットに移る」
「了解。気を抜かないでね」
トゥルーデとエーリカが待ち構えている。
「少佐、枝毛の位置は?」
トゥルーデの問いに、美緒は魔眼を煌めかせ、ペリーヌの髪をじっと睨み付けた。
「今確認している……有った、左側面から右下方に掛けてだ! 距離は……長さにして約二十ミリ」
「了解」
「久し振りだね。しかし随分荒れてるね〜」
「これはやりでが有るな。勲章の大盤振る舞いだ」
髪を手に取り、慣れた手つきでチャキチャキとすいて行くエーリカ。
一方のトゥルーデはカールスラント製の小型電動バリカンを持ち出した。
「ちょ、ちょっと! それで何を!?」
「面倒だ、一気にカタを付ける」
「ええっ? ここ美容室じゃ……」
カリカリと小気味良い音を立て、毛先を丁寧に削っていくトゥルーデ。その横から舐める様にすすーっとすいて行くエーリカ。
「よし、カット完了。これよりリラクゼーションシャンプーに移行する。宮藤、リーネ」
「了解」
「了解です」
優しく髪を洗うリーネ。横で治癒魔法を使い、ほんわかと光を当てる芳佳。
「少し気持ち良いですけど……」
納得行かず、何か言いたそうなペリーヌ。
「次はトリートメントだ! 気を抜くな!」
無色透明のトリートメント剤を丁寧に塗布し、その後ドライヤーを当てながら、髪を整えていくトゥルーデ。
「よぉし、おまけに、シュトルム〜!」
横でエーリカが嵐を巻き起こす。片方の髪はトゥルーデが丁寧に仕上げ、もう片方は逆立った感じになってしまう。
「何てことなさいますの! これじゃあ……」
「ミーナ、カットとトリートメントを完了」
「了解。作戦終了です。皆さん、ご苦労様」
ペリーヌを椅子から立たせる。
「お疲れ様、ナンダナ。料金は四ポンド九十五ペンスダゾ?」
エイラがカウンターでペリーヌに告げた。
「……受け取りなさい」
ペリーヌは髪が片方ぼさぼさのまま、五ポンド紙幣を差し出した。
「うむ。やはりペリーヌ様は金髪が美しいですな、はっはっは!」
美緒がそっとペリーヌに眼鏡を掛け、肩を叩く。
「そ、それはどうも! ありがとうございます!」
「また、どうぞ……」
サーニャのか細い声に見送られ、ドアを開け、外に出た。
数歩歩いて、はたと気付いたペリーヌ。
「お釣り貰ってませんわ!」
end
- 111 名前:名無しさん:2009/04/14(火) 20:44:06 ID:lyybZiIM
- あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
『寝ていたと思ったらこんな夢を見ていた』
な… 何を言ってるのか わからねーと思うが(AAry
とまあ、夢で見たのがこんな感じのウィッチーズ美容室と言う。
何でタキシード姿なのとか何で客がペリーヌなのかとか
美容室と言いつつ違うんじゃねえかとか突っ込み所満載ですが、
……こんなところで勘弁して下さい。
ではまた〜。
- 112 名前:名無しさん:2009/04/14(火) 21:00:03 ID:Adr3yy6k
- シャッキーニの秘め歌が神すぎてテンションがヤヴァイw
とりあえずこれだけ言わせてくれ。
ルッキーニママのおっぱいはシャーリーの(ry はい冗談CMはいりまーす
- 113 名前:名無しさん:2009/04/14(火) 21:04:40 ID:7X3MsSp6
- な、なんだ。今日のSSの投下量は・・。
後でゆっくり読ませてもらうよ。
>>112
ちょっ、kwsk
- 114 名前:名無しさん:2009/04/14(火) 22:04:04 ID:Adr3yy6k
- いやごめん、俺がはしゃぎすぎてただけでね。大した事じゃないんだ。
ただルッキーニの母親のバストサイズがシャーリーのばいにー☆ってだけの話さ。
- 115 名前:名無しさん:2009/04/14(火) 22:10:41 ID:/P6nQzaw
- ルッキーニのママンとシャーリーのおっぱいが同じ大きさだと!?ただ、ロマーニャのママンの体型は・・・だからな。シャーリー恐るべし
- 116 名前:名無しさん:2009/04/14(火) 22:38:27 ID:7X3MsSp6
- ふっ、なんだその程度か。
その程度では秘め歌CDを買いに行くほどではないな。
さぁ、この私を買いに走らせたくば、はしゃぎ過ぎるほどに最高だった部分を説明するんだ!
- 117 名前:名無しさん:2009/04/14(火) 23:33:27 ID:FamvkrLI
- >>111
GJ。私もストパンの夢を見たい!
- 118 名前:名無しさん:2009/04/14(火) 23:40:44 ID:sTzX4q2Q
- >>116
穿いてないシャーリーだけで足りぬと申すか?
じゃあ、ルッキーニ語をしゃべるシャーリー
これ意外と破壊力あったwww可愛すぎて死ぬ
- 119 名前:名無しさん:2009/04/14(火) 23:58:43 ID:ySAmk25.
- 会話内容のレベルが低いのは中の人の影響だったりして
だってあみっけバカだしry
- 120 名前:名無しさん:2009/04/15(水) 00:01:34 ID:IifAnwEw
- シャーリー「ウジュー。オカワリー!」
シャーリー「ウニャウニャ。」
シャーリー「ぱふぱふ〜ぅ♪」
こうか? こうなのか!?
……うわぁぁぁぁ!!?
OK。俺が悪かった。明日、買いに行こう。
- 121 名前:名無しさん:2009/04/15(水) 00:20:55 ID:ST/n2Sqk
- 撃墜っ…!
ウジューシャーリーが>>120を撃墜っ……!!
……早く明日にならないかな……。
- 122 名前:名無しさん:2009/04/15(水) 00:24:49 ID:lTbrHLqk
- うんこの話は無かったが...
- 123 名前:名無しさん:2009/04/15(水) 00:29:41 ID:2fSvgb/E
- もうゆる
秘め歌5のトークは短めな気がしたけどシャッキーニ分はかなり補充できた
ドラマCDが今から楽しみすぎて仕方ない
- 124 名前:名無しさん:2009/04/15(水) 00:34:44 ID:2buNaWTY
- あまりの勢いにスルーされかかってるようなので>>78のオチをこっそり書いてみた。
――
(1時間後……)
「ハァ…ハァ…サ、サーニャ、もうやめ、くるし…」
「もう、これからなのに」
「今日のオマエ激しすぎなんだよー」
「だって、エイラ最近あんまり構ってくれないんだもの」
「んー……そう言われてもなー……ここ数日ネウロイが出っぱなしだったし、しょうがないだろ」
「しょうがなくない!」
「はい!」
「忙しくても疲れててもしたいことはするの!」
「サーニャ、声でかいって───」
「せめて朝晩のキスくらいは絶対欠かしちゃだめだからね!」
「すいませんでした!」
「…………。」
「(ああ、どうしよう…サーニャ怒ってるのかなあ……)」
「ねえ、エイラ」
「はい!」
「ふふっ、なあにそれ。もう怒ってないからこっち向いて」
「……サーニャ」
ぱふっ
「さっきは意地悪してごめんね」
「何言ってんだよ。ワタシは頼みなら何でも聞くって言っただろ」
「あのね、エイラ」
「なんだ?」
「………ちゅ。ありがとう。それじゃ、おやすみ」
「ああ。オヤスミ、サーニャ」
「(あれ?そう言えば私、何か大事なことを忘れてるような……
………………あ、そうだ。)」
(翌日)
「エイラ、お願いがあるの。」
「何ダ?サーニャの頼みなら何でも聞くゾ。」
「ズボン脱いでお尻見せて。」
>>44に戻る。
以上です。尻切れは嫌だったので勢いで書いてしまいました。他に書いてる方いらっしゃったらすいません。
最後に>>87、>>91、>>98、>>105、>>111GJ!!この読みきれない感が久々すぎて泣けてきた。
- 125 名前:zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2009/04/15(水) 01:55:59 ID:rJ1xhgW.
- なんかラッシュだなぁ。
リレーもあったしw もっと早く気づいてれば参加したのにぃw
ってなわけでみなさんGJです^^
なかなか書くのが進まない上に長くなりそうなんできりのいいところで投下〜。
6レスくらいかな。
- 126 名前:zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2009/04/15(水) 01:56:40 ID:rJ1xhgW.
- ●スオムス1946 ピアノのある喫茶店の風景 8月18日、昼。
「ね、エイラ、これで変じゃないかな?」
鏡の向こうで視線を合わせ、長めのベルトなドレス姿のサーニャが大き目のリボンの位置を調整しながら聞いてきた。
店舗の方からは相変わらずみんなの楽しそうな声が響いている。
「んー、これはもうちょっと、こんな感じで……ウン、こんなもんカナ」
涼しげな空色――私の好きな色――のリボンをちょいちょいと引っ張って位置と形を調整して、鏡の向こうへと微笑みかける。
白と空色のツートンカラーのドレスは母親から送られた誕生日のプレゼントらしい。
もしかして、私の好きな色に合わせてくれてるのかな?なんて自惚れたくもなってしまうほど最近のサーニャの服にはそんな色のものが多い気がするナ。
わたしがウェイター服気に入っている理由の一つに、ちょっとサーニャの服と似てるからなんていう理由もあったりするんだけど、サーニャには秘密だぞ。
「ありがとうエイラ」
「ウン……」
今、私は迷っていた。
誕生日プレゼントを今この場で渡すか否かに、だ。
ホラ、なんかこうやって二人きりの時に渡したりなんかするとすごく特別っぽ過ぎて、なんていうのかなぁ……意識しすぎちゃうっていうか……こう……なぁ?
「エイラ?」
逡巡が伝わったのか、鏡像のサーニャが心配そうにその綺麗な翠の瞳を向けてくる。
心配もするはずで、そのサーニャの背に立つ両肩に手を置いたわたしの表情は明らかに何かに迷って、悩んでる人間のそれだった。
そんな自分を見てるのがちょっとだけイヤで、鏡からちょっと視線を外しつつ右手でポケットの中の感触を確かめる。
ポケットの中には用意したプレゼント。
小さいけれど8月の誕生石であるペリドットの埋め込まれた、シンプルなデザインのイヤリング。
皆がプレゼントを渡すタイミングで一緒に渡そうと思ったんだけど、何だか今渡す方が正しいような気がするんだ。
ウィッチとして、ある程度の未来予知の能力を持つものとしてこういう直感は信じるべきなんだけど……なんだけど…………あああああ……どうしよう!?
「ねぇ、どうしたの?」
スオムスの白夜を避ける為にカーテンをぴっちりと閉ざした薄暗い寝室。
部屋の中には大きめのベッド以外にもわたしの趣味のグッズがいろいろ置いてある。
言うなれば501の頃のわたしの部屋とサーニャの部屋を足して2で割ったような二人の空間。
ブリタニアで出会って、今こうして二人でいるここ、この場所。
思い出も、時間も、空間も、そして二人の存在も、色んなものがつながって結ばれて、ここに辿りついて、またずっと先へと続いてくのがわかる今。
みんなのいる場所からの喧騒も、静かな夏の日のBGMへと変わってく。
鏡を向き直って、正面を見据える。
ポケットの中の小さなケースの感触を、改めて確かめる。
そして、わたしの視線とサーニャの視線が再び交わった。
ペリドット。
オリーブグリーンの柔らかい輝きを放つ、サーニャの瞳とはまたちょっと違う緑色をした綺麗な石。
- 127 名前:zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2009/04/15(水) 01:57:30 ID:rJ1xhgW.
- 太陽の象徴でもある宝石。
サーニャがどんな夜空にいたって、照らし続けてくれる、力ある石。
幸福と平和を示すパワーストーン。
それからもう一つ、その……夫婦の愛なんて意味もあったりして……い、いや、これは、その……8月の誕生石で、ちょっと引っ込み思案な所の残るサーニャにより社交的に
なって欲しいって思いを込めて送るものであってダナ!
そそそそういう意味では、無いんだぞ!
何せ、ホラ、素晴らしいご両親から、大切な娘さんがいつか巣立つ時まで、預かっている身なんだからナ。
やましい気持ちはこれっぽっちもないし、大好きだけど……ソンナメデミテハイナイゾ!
ホントダゾ!
っていうか……ううううーんっ、ドウシヨウ!?
……………………。
『サーニャ、これ』
ちょっとだけ視線を逸らしながら、右手の中のものを鏡を見つめるサーニャの目の前へと差し出した。
『え? これって?』
疑問符と共に翠の瞳が小箱へと焦点を結ぶ。
『良いから開けてみてくれよ』
そっと両手で受け取って、柔らかい手で、優しい手つきで、大事に小箱を扱い、開く。
中には銀と緑で構成された、シンプルなデザインのリング。
『嬉しい、エイラ…………緑の石と銀の……イヤリング?』
鏡越しにじゃなくて、振り返って直接こっちに顔を向けて聞いてくるサーニャ。
『……ソノ、誕生日のプレゼントさ……緑は8月の誕生石のペリドット』
その素直すぎる悦びの表情を正面から受け止めるにはちょっと気恥ずかしくて、斜め30度くらいの角度で視線だけを受け止めて応える。
『エイラ……すごく、すごく嬉しいよ』
ウン、やっぱり私の選択は正しい。
格好をつけ続けたいって程でもないんだけど、多分今のサーニャの溢れんばかりの笑顔を正面から見据えたら、きっと私でなくてもメロメロになる。
『喜んでくれると、わたしもうれしいぞ』
だから、勿体無いな、と思いながらもちょっと視線を外しつつそう返す。
『ねぇ、つけても、良いかな?』
- 128 名前:zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2009/04/15(水) 01:58:02 ID:rJ1xhgW.
追い討ちをかけるような、甘い声の質問。
『アタリマエダロ、それはサーニャの物なんだから』
ちょっと強がった感じの、わたしの口調。
『エイラにつけてもらいたい……いい?』
そんなわたしの口調に乗るように、甘えた感じのサーニャの言葉。
『えっ』
そういわれることを期待してた。
期待はしてたんだけど、やっぱり期待通りのことが起こるとちょっと驚いちゃうよな。
『ね、いいでしょ』
顔の前で大事そうに小箱をささげもって、上目遣いのサーニャ。
『……うん、じゃ、つけるぞ』
ふふ、その瞳、その声に逆らえるはずなんて無いじゃないか。
だから、つける。
小さなひんやりとした耳に触れて、痛くないようにやさしく留め具を閉める。
わたしはサーニャに対して秘密が多い。
例えば、今こうしてイヤリングをつけるのだって、止め具の形が同じ安物のやつを買って自分の耳で何度も練習してたりとか。
だから今万全の指使いで、それを行う。
ゆるすぎて落ちないよう、痛がられたりしないよう、絶妙の力の入れ具合でその身にささやかな飾り付けを行う。
そんな幸せ。
『似合う……かな?』
取り付け終わった耳に軽く指を当てて、鏡に向かってささやくサーニャ。
『綺麗だよサーニャ。わたしが思ってた以上に……』
言葉に嘘偽りは一切ない。
本心からなんで、本とはもっと褒めるべきなのにうまい言葉が出てこない。
ああもう、つくづくこういうときにうまい言葉の出てこない自分にもどかしい。
『エイラ……私ね……』
潤んだ瞳で振り返って、鏡像から実像のわたしにささやきかけるサーニャ。
『ウン』
- 129 名前:zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2009/04/15(水) 01:58:28 ID:rJ1xhgW.
- そして、わたしたちは……。
……………………。
「エイラ?」
いきなり目の前3インチにサーニャの顔。
「う、うわああっ!?」
「きゃっ」
思わず大声を上げて後ずさって転び、しりもちをついてしまった。
「ななななんだよサーニャ。いきなりどアップで」
「何度声かけても反応が無いから、心配したよ、エイラ」
「え!? そ、そうなのか? ……ごめん」
シ、シミュレーションに没頭してたなんて口が裂けてもいえないヨナ。
座った姿勢のまま、ポケットの上から小箱の感触を確かめる……って、えええっ!?
「無いっ!?」
「どうしたのエイラ? 何が無いの?」
思わず口走ってから慌てて口をつぐんで辺りを見回す。
「エイラ、探しものって、それ?」
サーニャの指差した先には、見覚えのありまくりの小箱。
ちょっと固めの絨毯の敷かれた床に転がるそれにむかって、弾かれたように飛んで覆いかぶさる。
「ち、違うぞ、コレじゃない!」
こ、こんな間抜けな事じゃ折角のステキなプレゼントの渡し方シミュレーションが全て崩壊しちゃうじゃないかー。
ど、どうする!?
既に箱を見られた今、みんなと一緒に渡したりしたら『あ、さっきの』とか言われて事情を説明する羽目になったりするとまた恥ずかしいし。
やっぱり……やっぱり今渡すしかっ!
「サッ、サーニャッ! 回れ右してもう一度座るんだっ!」
うく、初めのサで声が裏返っちゃった。でもここまで来たら引けない。
「え? う、うん」
「まだ、準備が終わってないダロ」
「エイラが手伝ってくれたから、ちゃんとドレス着れたよ……でも、エイラがそう言うんならまだ準備終わってないんだね」
- 130 名前:zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2009/04/15(水) 01:58:53 ID:rJ1xhgW.
- 「そうだ、終わってない」
静かに鏡に向かうサーニャ。
鏡越しに右手のものが見えないようにコソコソと立ち回ってサーニャの背後へ。
いや、もう見られてはいるんだけどさ、やっぱり気分的にはそうしたいんだよ。
サーニャの身体でそれを隠しながら、開く。
中にはシンプルなデザインのイヤリング。
気合を入れて鏡を見る。
鏡像のサーニャは何処と無くうれしそうな表情のまま軽く目を閉じていた。
「よし、いくぞ!」
「うん」
白いうなじ、ちょっと癖のある髪、柔らかそうなその耳。
よし、大丈夫。
イレギュラーもあったけど、ここからはシミュレーション通りで行くぞ。
そして、そっとその心地よい冷たさを持つであろうの耳たぶへと触れようとして気付いた。
ゆ、指先がめちゃくちゃ震えてるじゃないかー。
これじゃあちゃんと出来そうにないぞっ。
深呼吸、深呼吸、す〜は〜、す〜は〜。
あとは〜……なんだっけ? 宮藤の言ってた方法が……ええと、たしか、「入」って手のひらに書いて飲み込むんだっけ?
ごきゅり。
うん、ちょっとおさまったぞ。
カンジのキャラクターを使ったおまじないとか言ってたっけか。
扶桑の文化もなかなか奥が深いヨナ。
じゃあ、改めて……。
イヤリングを手にとって、サーニャの耳へ。
「エイラ、ちょっと痛い……」
「うぁ、ご、ゴメン」
慌てて止め具を緩める。ううっ……こういうことが無いようにって何度も練習したのに……わたし、かっこ悪すぎ。
「よし、両方つけたぞ。途中で痛くしちゃってゴメンナ」
「いいよエイラ。すごく嬉しい……わぁ、きれい……」
鏡の向こうで、微笑を湛えたサーニャが翠の瞳を開いて喜んでくれた。
もうこの笑顔だけでここまでの失敗とか全部吹き飛んじゃうよな。
「エイラのプレゼント、素敵」
「あっ! あのさっ! 違うんだぞっ! プ、プレゼントは飽くまでもイヤリングじゃなくて、それをつけてやるという真心の方だかんなっ。キョウダケダカンナっ!」
「ふふ、うん。そうだね。エイラの真心、すごく嬉しい」
振り返ってそう言いながら、小さく笑う嬉しそうなサーニャ。
見上げる瞳とイヤリング。
- 131 名前:zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2009/04/15(水) 01:59:24 ID:rJ1xhgW.
- 翠と緑の共演。
もう目が離せないじゃないかー。
「この石は温かい緑だね。エイラの心みたいに温かい感じがする」
鏡を見ながら呟くサーニャ。もうその表情だけでいっぱいいっぱいだって言うのに、更にわたしを引き合いに出されると、その……なんだか、くすぐったいやら何やらっ!
そんな気持ちをごまかすように口を開く。
「その石はさ……」
と、ペリドットに関する解説を言いかけて色々用意したりしなかったりした言葉が心の中に浮かび上がってくる。
い、イキナリ夫婦ネタは走りすぎダヨナ。
何処まで言ったらいいのかな?と逡巡してると助け舟は意外な方向から来た。
「おーいっ! え〜いらーにゃ〜。折角あっためたあたしのパスタのソース冷めちゃうよ〜」
「おうっ、今イクゾっ」
返事をしながらドアの方に向かおうとすると、サーニャがわたしの服の裾を掴んでいた。
うう、石の話はいったん落ち着いてどう話すかを改めて考えてからでないとうまくいえる自信が無いからなぁ。
そんな思いで急かしてみる。
「ホラ、みんな待ってるから、その石のことだったらさ、また後でとかでも……」
「ううん、そうじゃないの。そっちも聞きたいけど、そうじゃなくて……」
「どうしたんだ、サーニャ。もしかして耳たぶ痛いか?」
「違うの……あの、あのね……さっきイヤリングの事で無理言っちゃったけど、もう一つ誕生日のわがまま、いい?」
別に誕生日じゃ無くったって、サーニャに何かして欲しい事があるんなら何だって叶えてあげるつもりさ。
サーニャのために何か出来る時ほど楽しい事は無いからナ。
「おう。どんとこい」
とは言ったものの、あんまりその、過剰な接触を強要されるような内容だと、イロイロ困る。
何が困るかって? そりゃあイロイロとしか言いようが無いダロ。
「折角こんな素敵な姿になれたから、お姫様みたいにみんなの前に登場したいな……って、ダメかな?」
「よしっ、お安い御用だぞ、サーニャ」
言うが早いか羽のような軽さのサーニャの身体をふわりと持ち上げる。
行動が突然すぎたのかサーニャはちょっと驚いたようだけど、すぐに身体の力を抜いてわたしにその身を委ねてくれた。
いわずと知れた、サウナと水浴び場間移動で毎晩しているお姫様抱っこ。
毎晩の様に緊張の極みではあるんだけれど、今なら裸じゃないから恥ずかしくないぞ。
「エ、エイラ、素早い」
「サーニャの願いだからな。シャーリーよりも早く動いて見せるぞ」
「嬉しい、エイラ。でも、実は皆の所に行く時に持っていこうと思ってたものがあったから、ちょっとその棚に近づいて」
- 132 名前:zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2009/04/15(水) 02:01:59 ID:rJ1xhgW.
言われた通りに近づくと、サーニャは大きな封筒に入った紙束らしきものを手に取って、大事そうに胸に抱いた。
「それは?」
「ナイショ……、だけどエイラにだけはちょっとだけ教えてあげる。これは父様からのプレゼントなの」
「プレゼント? その紙束がか?」
母様のプレゼントに比べるとだいぶ雰囲気が違うよなぁ。
でも、だれよりもサーニャの事考えてる素敵な人だし、きっと何かあるんだろうナ。
「あとでちゃんとわかるから……行こう、みんなのところに。エイラ……」
そう言ったサーニャはわたしの胸に頭を傾けて何か小さく呟いた。
その内容にドキッとしたけど、多分何かの聞き間違いダヨナ。
だってさ、『わたしのおうじさま』なんて、わたしの柄じゃないダロ。
以上となります。
この後やっと午後になりまつ。
っていうか、午後で終わるといいなぁ。
なんとなく白夜までもつれ込みそうな予感。
- 133 名前:名無しさん:2009/04/15(水) 09:53:21 ID:gXTfv3iE
- >>132
喫茶店キタ───!!今回もGJ!!
悶々とするエイラってのはどうしてこう素晴らしいんだろうねまったくけしからんもっとやれ。
長くなっても一向に構わないのでどんどん書いてください。白夜だって?望むところだ!
喫茶店シリーズは心のオアシス。
- 134 名前:名無しさん:2009/04/15(水) 13:09:33 ID:.rn4i.To
- >>132
喫茶店キター GJ!
続きを楽しみにしてますよ。しかし毎度エイラが良い味出してるw
- 135 名前:名無しさん:2009/04/15(水) 14:48:30 ID:7mRaDrcE
- 昼ドラ見てたら黒い瞳が流れてた!!
- 136 名前:名無しさん:2009/04/15(水) 18:06:44 ID:PLiVMbkc
- 喫茶店乙です。エイラさん、毎度毎度たまらないですwwww
ところで漢字を英訳すると「Chinese characters」なんだぜ。これ豆知識ナ。
- 137 名前:名無しさん:2009/04/15(水) 21:10:14 ID:/Lxqr2Zg
- そういや声優個人板に立てられたスレが無事落ちたね。よかったよかった
ストライクウィッチーズ 第430統合戦闘航空団
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/voiceactor/1238598085/
- 138 名前:名無しさん:2009/04/15(水) 21:28:20 ID:/Lxqr2Zg
- おっと誤爆
- 139 名前:名無しさん:2009/04/16(木) 00:46:30 ID:kxmdgt8w
- ようやく秘め歌聴いたけど何だこのシャッキーニはあああああおおおおおいやっほおおおう!!
トークはもちろん歌詞にまで抜かりないって言うか深読みしがいがあるっていうか率直に言って百合百合しい。
それにしてもシャーリーは追いかけてばっかりだなww
ペリーネの方はネタがないのか訓練訓練また訓練だったけどハアハア言ってて妙にえろかったですはい。
ジョンブル魂炸裂ですねリーネさん。
- 140 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2009/04/16(木) 01:22:01 ID:2F5D9QcU
- >>124様
GJ! リレー完結乙! ループになってるのも良い!
>>132 zet4j65z ◆le5/5MRGKA様
GJ! 喫茶店キタコレ このシリーズ大好きです。是非続きを!
こんばんは。mxTTnzhmでございます。
SS出来ましたので投下します。
恐らく結構珍しいと思われる、
ミーナ×ペリーヌ(?)のSSを書いてみました。
ではどうぞ。
- 141 名前:tender knight 01/04:2009/04/16(木) 01:22:34 ID:2F5D9QcU
- 昼食後のミーティングルーム。
その出来事は一瞬で起き、完結した。
何気なく拭いていたペリーヌの眼鏡が、遊び駆け回るルッキーニに突き飛ばされた衝撃で宙を舞い、床に落ち、
それをシャーリーが蹴っ飛ばしてしまったのだ。
「わ、わたくしの!」
ペリーヌは慌てて眼鏡を取りに、床を這い回り、見つけた。
幾度もの衝撃を受けた眼鏡は、フレームが酷く歪み、とてもではないがかけられる状態ではなかった。
「……」
「ウキャー やっちゃったー」
「悪ぃ、ごめんなペリーヌ」
手で謝罪の仕草をし、ルッキーニを捕まえるシャーリー。
「ほら、ルッキーニお前も謝れって。元はと言えば……」
「こんなところで眼鏡を拭いているわたくしが悪かった、と言いたげですわね、ルッキーニさん」
「ウニュゥ 何もそこまで言ってないのに……」
「失礼します」
ペリーヌは眼鏡を持ったまま、席を立った。
「あー、何なら整備の連中に頼んでみるか? 細かい作業得意な奴が……」
「結構です。スペアならございますから」
シャーリーの提案を拒否すると、すたすたとミーティングルームから去るペリーヌ。
残された一同は、残された何とも言えぬ空気の中、はあ、と溜め息を付いた。
「ま、気にスンナ、ルッキーニ。いつもの事ダロ?」
エイラが珍しくルッキーニをフォローする。
「でも……」
「まあ、やっちゃったもんは仕方ないよな」
シャーリーは気分転換も早く、少ししゅんとしたルッキーニを連れて行く。
「ちょっと手伝って欲しい事有るんだルッキーニ。来てくれよ」
「ウシャシャ 行く行く」
様子を見ていたミーナと美緒は、ちらりと目を合わせた。
「どうしたものか」
「そうね……」
美緒はティーカップを置くと、立ち上がった。
「どれ、私が様子を見てこよう。眼鏡が壊れていては、色々支障も有るだろう」
ミーナが美緒を止めた。
「いえ、私が行きます。と言うか、ついでにね」
「ついで?」
「ええ」
渋るペリーヌを連れ、ミーナはジープを運転し、ロンドンに向かった。
「急にごめんなさいね、ペリーヌさん」
「お役に立てれば構いませんわ」
「今日はカールスラント空軍とブリタニア空軍の連絡だから、そんなに時間は掛からないわ」
「わたくし、午後は非番ですので。それに……」
ペリーヌは、ケースに入れたままにしてある眼鏡にちらっと目をやった。
今のペリーヌは眼鏡をしていない。視界が微妙にぼんやりとし、よく見えない。
一方のミーナは、スペアが有る、と言っても何故かそのスペアをしていないペリーヌの事を、疑問に思った。
やがてロンドン市街に入り、しばしの渋滞を抜けた後、軍の司令部前に到着する。
「さあ、着いたわよ。少し待っててくれる? すぐに済ませて来るから」
「こちらが書類の鞄です。どうぞ」
「有り難う。すぐ戻るから」
「お気遣い無く」
ミーナは足早に建物に向かった。
そこはロンドンの中心部。近くの通りを見る。活気が有り人の往来も激しい。
そこだけ切り取ったら、たった今も現在進行形でネウロイと戦争をしている事など、分かる筈もない。
ふう、と溜め息を付くペリーヌ。
きっかり十分経った後、ミーナは戻ってきた。
「さあ、次行きましょう。あと二箇所ね」
「あと一箇所とは?」
- 142 名前:tender knight 02/04:2009/04/16(木) 01:22:58 ID:2F5D9QcU
- ブリタニア空軍の用事を済ませた後やって来たのは……市街地の一角に構える眼鏡店。
「リーネさんに聞いてね。ここならうまく調整してくれるだろうって」
「お気遣い感謝します」
「行きましょう」
「わたくしだけで結構です」
「あら、上官を車で待たせるの?」
「いえ、それは……」
「なら決まりね。ちょっと見学させてね」
「分かりました」
眼鏡の入ったケースを持ち、ペリーヌは眼鏡店に向かって駆け出した。足元が危ういのか、石畳で転びそうになる。
「慌てちゃダメよ。さあ」
ミーナに連れられ……手をぎゅっと握られ、ペリーヌは店に足を踏み入れた。
「いらっしゃいませ」
店員らしき老婦人が出迎える。
「この眼鏡、衝撃で歪んでしまったのですが、直して頂けます?」
「それは勿論……さあ、どうぞお掛けなさい」
老婦人は店内の椅子に二人を招くと、紅茶を用意した。
「今、裏で直してるから、少しお待ち下さいな」
「わざわざどうも」
老婦人はペリーヌとミーナの服装をじろじろと見た後、奥へ引っ込んだ。
とりあえず手持ち無沙汰になり、紅茶に口を付けるミーナとペリーヌ。
店内は静かで……奥の作業場でかちゃかちゃと何かの作業をしている音が聞こえる以外、特にノイズらしき音は聞こえない。
「この紅茶……まあまあですわね」
「紅茶の国だから、ね」
ミーナは微笑んだ。
老婦人がペリーヌの傍らに来て、声を掛けた。
「あの、お客様」
「何か?」
「眼鏡ですが、もう少し調整にお時間頂いて大丈夫ですか?」
「あとどれ位掛かりそうですの? ……中佐、時間は?」
「そうね、まだ余裕が有るから大丈夫よ」
ミーナは腕時計を見てペリーヌに言った。
「あの、どうやったらあんなにフレームがひしゃげるのかと……」
老婦人がふと疑問を口にする。
「直して頂ければ構いませんので」
ペリーヌがそれ以上何も言うなといわんばかりの口調で、老婦人を見た。
「かしこまりました。では」
老婦人はそれだけ言うと、また奥に引っ込んでしまった。
「ペリーヌさん」
ミーナはゆっくりと語りかけた。
「どうして、スペアの眼鏡を掛けて、今のを修理に出そうとしなかったの?」
「それは……」
何故か言葉に詰まるペリーヌ。ぷいと窓の外を向き、呟いた。
「わたくしの身体の一部みたいなものですから」
「それだけ?」
「……」
無言で答えの代わりとするペリーヌ。
ミーナはふっと小さく微笑んで、言った。
「人には皆それぞれ、言いたくない事も、秘密にしておきたい事もあるわよね。それはそれで良いの」
窓の外を眺めるペリーヌに、ミーナは語りかけた。
「でもね、ペリーヌさん。私達は、仲間で、家族みたいなものでしょう?」
「……はい」
「なら、少しは胸の内を明かす事も、悪い事ではないのよ?」
「……」
「勿論、ずっと秘密にしておきたいなら、絶対に人前でそんな素振りを見せてはダメよ。
墓まで持っていくつもりで、絶対出さずに、じっと、そっとしまっておきなさい」
自らの経験談か、誰かの警句なのか。ミーナの言葉が重く響く。
しかし科白の冷たさとは別に、何か温かいものを感じる。
ペリーヌは振り返り、ミーナを見た。
いつもと変わらぬ、柔和な笑みがそこにあった。
- 143 名前:tender knight 03/04:2009/04/16(木) 01:23:29 ID:2F5D9QcU
- 「お待たせしました。もう大丈夫です」
老婦人が、完璧に調整された眼鏡を持って現れた。
「つるの部分も少し曲がってましたから、直しておきました。如何でしょう?」
「……悪く、ないですわね」
「眼鏡は調整が悪いと視力を余計に悪くしますし、頭痛の元にもなりますから、悪いところが有ったら遠慮なくお申し付け下さい」
妙に態度が丁寧になった老婦人。その点が気になり首を捻るペリーヌに、老婦人は言った。
「ブリタニアを護って下さるガリアの軍人さんに、不自由があってはいけませんから」
「わたくしが何故ガリア出身だとおわかりに?」
「その軍服で……そちらの方はカールスラントの軍人さんでしょう? お二方ともウィッチだとお見受けしましたが……
あっと、お喋りが過ぎましたね。失礼しました」
「構いません。眼鏡の調整は問題有りませんわ」
「それはどうも」
「さて、調整の料金はお幾ら?」
「今回は無料でサービスさせて頂きます」
「それでは、わたくしの気持ちが……」
「では今度、ウチの店で眼鏡を作って下さいな」
「……分かりました」
もう一度、差し出された鏡越しに、眼鏡姿の自分を確認するペリーヌ。
歪み無し、ズレも無し。寸分の狂いも無い調整に、うん、と頷いた。
「ペリーヌさん、やっぱり眼鏡が似合ってるわね」
「そ、そうですか?」
「ええ」
ミーナは微笑んだ。そっとペリーヌの肩を持つと、ゆっくりと抱きしめた。
「あんまり無茶しちゃダメよ? 良い?」
「は、はい……」
きゅっと抱きしめられ……顔が胸に当たり……服を通して伝わる温かさを頬で感じ、少し懐かしい気分になり、呟く。
「お母様……」
「えっ?」
驚くミーナ。目と目が合う。
「あ、失礼しました中佐! 決して」
ペリーヌの弁解を聞き、くすくすと笑うミーナ。
「まだそんな歳じゃないわよ、私は」
「申し訳ありません」
必死に謝るペリーヌを宥めるミーナ。
「もう一度、ハグしてあげましょうか? シャーリーさんの国では親愛の印でするそうだけど」
「いえ……」
「?」
「今、抱かれた時に、少し歪んだ様な……フレームが」
「あら」
「すいません、もう一度調整を」
「ええ、何度でも」
老婦人は笑って眼鏡を持って店の奥に向かった。
「ごめんなさいね、ペリーヌさん。何か今日、ちょっと元気なさそうだったから」
「すいません。こんなつもりでは……」
「良いのよ」
ミーナは眼鏡をしていないペリーヌの顔を見つめた。
「ペリーヌさん。眼鏡をしていない時の顔もステキよ?」
「ちゅ、中佐?」
ミーナはもう一度ペリーヌを抱き寄せると、そっと抱擁した。
「貴方は本当、強い子ね。でも『強い鉄程脆い』と言う言葉も有ってね……気を付けなさい」
「……」
「私達は一人じゃない。貴方も一人でないわ。それだけは、覚えておいてね」
眼鏡が無いので遠慮なく抱きしめるミーナ。
「有り難う御座います、中佐」
ペリーヌは何かこみ上げるものが有ったが、必死に堪え、ミーナの温もりを味わった。
- 144 名前:tender knight 04/04:2009/04/16(木) 01:24:12 ID:2F5D9QcU
- 夕食が皆に行き渡り、かしましい食堂。
「お、眼鏡もう直ったのかペリーヌ」
美緒が気付いて言った。
「ええ。中佐のお気遣いで」
「そうか。良かったな、ペリーヌ。やっぱりお前には眼鏡が有った方が引き締まって良いぞ」
「ほ、ホントですか?」
「勿論、眼鏡を取ったら取ったで、こりゃまたステキなガリア美人だがな、はっはっは!」
よく分からない所で笑う美緒。ペリーヌは一瞬返答に困る。
「ウニャー ペリーヌ、さっきはごめーん。これ」
いつ来たのか、ペリーヌの横にルッキーニが居る。何かを渡した。
「なんですの、これは?」
「ストライカーの格納庫から貰ってきたの。柔らかいウエスだから、眼鏡拭くのに良いかと思って」
「有り難う、ルッキーニさん。後で使わせて貰いますわ」
「じゃあ、それでチャラね〜」
ルッキーニは笑顔に戻ると、自分の席に戻った。
ペリーヌはウエスを触って分かっていた。この布は、少し硬くて眼鏡拭きには微妙。でも、ルッキーニは一生懸命探したという事も。
それはつまり……。
「何ダ? 薄笑いカヨ」
横で見ていたエイラが突っ込む。
「何でもありませんわ」
ペリーヌは、夕食のシチューをいつもと変わらぬ様子で食べた。
end
----
以上です。
ペリーヌと言えば眼鏡! 眼鏡と言えば……と言う事で書いてみました。
ミーナは501の良き“母”だと思います。“父”は勿論(ry
ではまた〜。
- 145 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2009/04/16(木) 05:32:02 ID:2F5D9QcU
- おはようございます。mxTTnzhmでございます。
続けざまの投下と言う事で、いきます。
ちょっと前のエピソードになりますが、
保管庫No.0920「photographic album」の続きと言う事で、書きました。
なお保管庫No.0450「ring」続編ですので宜しく。
- 146 名前:loadstar 01/05:2009/04/16(木) 05:33:13 ID:2F5D9QcU
- ウィッチ四人を乗せたキューベルワーゲンは、ロンドン目指して進んでいた。
舗装されていない道を走るワーゲンは時々弾み、後方を見ると土煙がもうもうと上がっている。
後部座席で恐縮する芳佳。
「なんか、すいません。お二人にくっついて来たみたいで」
「良いんだ、元はと言えば私から無理矢理誘った事だからな」
助手席でのんびりくつろぐトゥルーデ。
「そうそう。いつも二人で、ってのもいいけど、たまには四人ってのもいいんじゃない?」
ハンドルを握るエーリカが言う。
「リーネちゃん、もうすぐロンドンだよ……ってどうしたの? 顔色悪いよ?」
微妙に青ざめた表情のリーネを見て、芳佳が問う。
「大丈夫。私は大丈夫だから……」
「ありゃ、車酔い? 車停める?」
「エーリカ、道が悪いのに飛ばし過ぎなんだ」
「早く着けばなーとか思って。どうせ対向車居ないし」
「そう言う問題じゃないだろう」
「だ、大丈夫ですから」
「まあ、あと数分でロンドンの市街に入るからさ〜」
「だからってスピードを上げるな!」
「大丈夫、このワーゲン時速八十キロちょいしか出ないから」
「おい!」
「……」
トゥルーデとエーリカはこれまた慣れた様子で路肩に車を停めた。
げっそりしてふらつくリーネに肩を貸して、降り立つ芳佳。
「バルクホルンさん、ここは?」
「クリスの居る病院だ。宮藤には頼みが有ってな」
「何でしょう? 妹さんに治癒魔法ですか?」
「いや、違う。クリスはどこかお前に少し似ていてな……まあ、勿論クリスの方がずっとずっと美人なんだが」
「はあ」
ぽかんとする芳佳を見て、トゥルーデはふと我に返った。
「ともかく。クリスの友達になってくれないか? まだリハビリも途中だし、病室で寂しい思いをしているだろうから」
「私で良ければ、お友達でも何でも」
「そうか、良かった。じゃあ行くぞ宮藤! クリスとの面会だ!」
トゥルーデは芳佳の肩を掴んだ。
「ちょっ、リーネちゃんが……」
「あー、リーネなら私が面倒見ておくから大丈夫だよ。先行きなよ」
「すまんなエーリカ。よし、改めて行くぞ宮藤!」
まるでネウロイに突撃するかの如く、芳佳を掴んでダッシュするトゥルーデ。そんな“お姉ちゃん”を見たリーネが呟いた。
「バルクホルンさん……妹思いなんですね」
「いや、あれは単に姉バカと言うか……病気だね、一種の」
エーリカは少し呆れの入った返事をした。
クリスの病室で、芳佳はぺこりとお辞儀をした。
「改めて、はじめまして、クリスさん。私、宮藤芳佳です」
「はじめまして、宮藤さん。私、クリスティアーネ・バルクホルンです。お会いするのは……お姉ちゃんの結婚式以来ですね」
「そう言えば、あの時ちらっと会った様な」
「でも、ろくに話、出来なかったし。私すぐに帰ったから」
「仕方ない。クリスは病床の身だからな」
「でもお姉ちゃん、私随分元気になったよ。リハビリも頑張ってるんだから。もうすぐ歩ける様になるってお医者さんが」
「それは本当かクリス!?」
どんと芳佳を押しのけてクリスの手を握るトゥルーデ。芳佳は思わずタックルされたかたちになり、よろけて壁に手を付く。
「あわわ……」
「お姉ちゃん。宮藤さん困ってるよ?」
「ああ、すまん。つい」
「いえ、良いんです、バルクホルンさん」
苦笑いする芳佳。
「ところでどうだクリス? これが宮藤だが、お前に感じが似てないか?」
「……そうかなあ」
実の妹にやんわり否定され、慌てる“お姉ちゃん”。
「そ、そうか? 私はちょっと似てると思ったんだ……まあ確かに変わり者だが」
「なんか酷いです、バルクホルンさん」
「ああ、そう言う意味じゃない、宮藤」
トゥルーデのフォローもそこそこに、芳佳はクリスと向き合った。
「でも、クリスさんも大変でしたね」
「私は、まだ。お姉ちゃん達の方がもっと大変だと思います。いつも危険と隣り合わせで……」
「姉思いなんですね、クリスさん」
「お姉ちゃんも私の事ずっと心配してくれてて……」
「そうなんですか。素敵な姉妹ですね」
「ま、まあな」
トゥルーデが少し顔を赤くする。
- 147 名前:loadstar 02/05:2009/04/16(木) 05:33:55 ID:2F5D9QcU
- 「ところで、宮藤さんはいつからブリタニアへ?」
クリスが芳佳に聞く。
「まだこっちに来てからそんなに長くないですよ。私、戦いはてんでダメだけど、治癒魔法が使えるから、みんなのサポートを」
「治癒魔法出来るの? すごい!」
「クリスさんにも少しやってみましょうか?」
「おお。少しデモンストレーションついでにやってみてくれ」
「分かりました」
トゥルーデに言われ、ほわわと耳と尻尾を出し、クリスの脚に手を向ける。薄くほのかな光がクリスの脚を包み込む。
「わあ、すごい! それでお姉ちゃんや他の人を助けてるんですね?」
「ええ、まあ」
「宮藤さん、凄いです。これならお姉ちゃんも心配要らないね。ねえ、お姉ちゃん?」
いきなり話を振られて答えに困るトゥルーデ。
「ま、まあな。居ないよりは居た方が有り難い」
「あ、その言い方酷いですよバルクホルンさん」
「でも、この光、ほんわかして気持ち良いな……」
「治癒魔法だからな。でもこれは魔力を消耗するからあんまり使えないんだ。……宮藤、もう良いぞ」
「あ、はい。クリスさん、少しでも楽になったなら」
「見てて面白かったし、とっても気持ち良かった。有り難う、宮藤さん」
「いえいえ」
耳と尻尾を引っ込め、魔力解放を止める芳佳。
「さて宮藤。クリスと、その……」
トゥルーデが今日の本題を切り出した。
「あ、そうでしたね。クリスさん、いきなりこう言うのもちょっとヘンだけど、私とお友達になりませんか?」
「え、本当? 良いの?」
「勿論。バルクホルンさん……お姉さんに負けない位、お手紙書きますよ?」
「嬉しい! お友達になって!」
「喜んで」
芳佳の手を掴み、満面の笑みを浮かべるクリス。
「良かったな、クリス。これでまたひとつ、お前との約束が果たせたな。私も嬉しいよ」
「トゥルーデにとってクリスちゃんは戦う理由そのものだからね〜」
いつ現れたのか、エーリカが横で言った。
「うわ、エーリカいつの間に?」
「リーネも落ち着いたし、二人で来たよ。どう? こっちは順調?」
「まあな。エーリカにリーネ、二人も遠慮せずもっとこっちに」
トゥルーデが二人を病室に招く。
「じゃあ、お邪魔しま〜す。クリスちゃん、元気だった?」
「はい。エーリカさんもお元気そうで」
「私はいつだって元気だよ〜」
「そちらの方は、確か……」
「リネット・ビショップです。宜しく。リーネで良いですから」
「そそ。ミヤフジといい仲なんだよ? そのうち婚約……」
「そうですか……って、婚約? お嫁さん?」
驚くクリス。
「エーリカ、余計な事を言うな」
「あわわ。私達、そんな……」
慌てる芳佳と、おろおろするリーネ。
「そんな? どんなカンケー?」
ニヤニヤ顔のエーリカ。
「お友達、です」
「そう、お友達。大事な仲間なの」
「夜も大事なお友達ってね〜」
「クリスの前でやめんかエーリカ!」
ふふっと笑うクリス。
「どうした、クリス?」
「相変わらずだね、お姉ちゃん。お姉ちゃんのお友達や仲間の人って、楽しい人ばかりだね」
「そうか?」
「うん。だって、四人を見れば分かるよ。この前の結婚式だって、みんなすごいいい人ばっかりだったし」
返事に困るトゥルーデを見て、笑うクリス。クリスにつられて、エーリカ、芳佳、リーネも笑った。
「と、ともかく! ここに居る皆は、クリスと友達だからな。良いな?」
「え、私も良いんですか?」
びっくりして自分を指さすリーネ。
「勿論。仲良く楽しく出来るなら、誰でも歓迎だ。なあクリス」
「もう、お姉ちゃんったら」
苦笑するクリス。
「そうだ、今度もう一度501の皆を呼ぼう。きっと皆……」
「トゥルーデ。無茶言わないの」
エーリカがたしなめた。
- 148 名前:loadstar 03/05:2009/04/16(木) 05:34:30 ID:2F5D9QcU
- 和やかな面会を終え、時間的な余裕が残った四人は、ロンドンの骨董品市をぶらついてみた。
「あ、これこれ! シャーリーさんとエイラさんが言ってたの」
芳佳とリーネが足を止め、指さした。
骨董品市の一角に小さく設けられた仕切りの中に飾られているのは、色とりどりの宝石、指輪、ネックレスなどアクセサリー。
「トゥルーデ、これ……」
「ああ。例の『ハンバーガー四個分』とか言うあれか」
二人の後ろで言葉を交わすトゥルーデとエーリカ。
「これ、可愛いね」
「うん」
芳佳とリーネは二人で盛り上がっている。トゥルーデはそんな二人に声を掛けた。
「なあ、宮藤にリーネ。何だったら本格的なのを買った方が良いんじゃないか?」
「私、良い店知ってるけど?」
エーリカも横から二人を覗き込む。
「何だったら代わりに買ってやるぞ? 家族としてだな……」
「いいええ、とんでもない! 私達には高過ぎて」
「そうか。まあ、本人達が納得するなら良いんだが」
「ハルトマン中尉、もしかして、良い店って……」
リーネが恐る恐るエーリカに尋ねる。
「そう。ロンドンのメイフェアにある……何て言ったかな。『ブリタニア王室御用達』って看板は覚えてるんだけど」
「メイフェアって、高級街じゃないですか」
「ひええ! そんなとこで買えません!」
驚くリーネ、拒否反応を起こす芳佳。
「宮藤、大声を出すな。目立つだろう」
「あ、すいません」
「芳佳ちゃん……これなんかどうかな」
リーネが手にしたのはシルバーの小粋なペンダント。ちょうどお揃いのが二つ有る。
「お、いいね。結構良いじゃん」
エーリカがひょいと二人の間から覗いて評価する。
「でも、ちょっと高いね」
「どれどれ……ざっと『ハンバーガー八個分』と言うところか」
トゥルーデが冷静に試算する。
「倍だね」
「でも、欲しいな」
決意した芳佳は、店員に声を掛けた。
「これ、ふたつ下さい」
骨董品市を出た四人は、市街の一角に有るカフェでくつろいだ。
「リーネの煎れるお茶も美味しいけど、こう言うとこで飲むお茶とお菓子も良いね」
「そうですね」
「ここに居ると、ネウロイと戦っている事など忘れそうになるな」
「ホント、ここに居る人達って平和そうですよね」
「大陸からの避難民も多いけど、何処か平和なんだよね」
「まあ、これも私達が日々頑張っているから、こそか?」
「ブリタニア空軍も頑張ってると思います」
「勿論、その通りだな。……そう言えばリーネには同じウィッチのお姉さんが居ると聞いたが」
「はい。もうすぐ二十歳なので引退するそうですが」
「そうか。ケガとかは無いか?」
「はい。大した戦果は上げていませんけど、元気です」
「元気なのが一番だ。焦って戦果を上げようとすると余り良い事は無いからな」
「そうだね。ケガしないのが一番」
「なんか、お二人が言うとあんまり説得力無いですけど」
「そう?」「そうか?」
同時に反応するウルトラエース二人。
「だって、既にお二人合わせて五百近いネウロイを……」
芳佳の言葉を聞いて、トゥルーデとエーリカは同時に笑った。
「たまたまだって。偶然偶然」
「努力の結果そうなっただけだ」
「言い切れるのが凄いです」
感心してしまう芳佳。
- 149 名前:loadstar 04/05:2009/04/16(木) 05:35:10 ID:2F5D9QcU
- めいめいがお茶とお菓子を楽しむ。そんな時、芳佳はふと思い出した様にトゥルーデとエーリカに向かった。
「そう言えば」
「どうした?」
「お二人には、悩みって無いんですか?」
「悩み? 何の?」「どんな?」
同時にトゥルーデとエーリカから問われ、答えに詰まる芳佳。
「い、いえ。お二人の間には多分何も無いと思うんですけど。……色々、他に」
「他ねえ」
「他か。クリスが早く元気になって欲しいとか」
「早くネウロイを一掃したいとか、トゥルーデの理性が飛ぶと朝まで寝かせてくれなくてヘトヘトで困っちゃうとか」
「あわわ……」
「や、やめろエーリカ! そう言う事はここで……」
「あー、これは悩みじゃないね。私も楽しいし」
「お前なあ」
呆れ顔のトゥルーデ。
「リーネちゃんとは、この前話したんです。悩み、お互い色々有るんだなって。二人だけで解決できるかどうかは別として。
で、バルクホルンさんとハルトマンさんはどうなのかなって、ちょっと聞いてみたくて」
「宮藤は、何か悩みは有るのか?」
「何も無いと言えば嘘になります。国に残してきた家族や友達の事も気になりますし、501で本当に私、
皆さんのお役に立ってるのかとか」
「芳佳ちゃん……」
リーネが芳佳の左手を取って、そっと握った。
「ミヤフジ、考え過ぎはよくないよ。ミヤフジ来てから隊の雰囲気も随分変わったよ? 良い方向に」
エーリカがテーブルに肘をついて指摘する。
「そうだな」
頷くトゥルーデ。
「その証拠がこのトゥルーデ。ミヤフジ来てから調子崩したり治ったり色々あってさ」
トゥルーデの肩を叩いて笑うエーリカ。
「言わなくて良いんだ、それは」
「ま、そう言うとこもトゥルーデらしいって言うか」
エーリカに笑顔でそう言われたトゥルーデは、言葉を一瞬失った。
「ともかく」
こほんとひとつ咳をしたあと、トゥルーデは言った。
「誰にでも悩みは有る。人間たるもの、必ず悩みと言うものは有るものだ。悩みが全く無い奴は世の中に居ないか、
もしくは頭がどうかしてる証拠だ」
「それは言い過ぎじゃない、トゥルーデ?」
「ともかく、悩む事は人間たる事の証拠だと言う事だ。悩んで迷う、それが実は向上するチャンスでもある」
「凄いですね、バルクホルンさん。偉い先生か哲学者みたい」
「……と、とある本に書いてあった」
明後日の方を見ながら呟くトゥルーデ。顔が少し赤い。
「なんだ、受け売り? 私もちょっと『おお』って思ったのに〜」
少し呆れ顔のエーリカ。
「でも、悪い事は言ってないだろう? 例えば何だ、そのエーリカだって、私に色々な事をして来るんだ。それが……」
「なあにトゥルーデ、例えばどんな?」
ニヤニヤ顔のエーリカ。
「ここで言えるかっ!」
「首輪付けたあのプレイの事?」
「こ、こら!」
「否定しない……バルクホルンさん……」
「首輪……プレイ……」
「お前らも引くな! わ、私は何も、していないぞ」
「されたんだよね〜」
「ううっ」
「なんか、お二人には悩みが無い様に見えます」
「宮藤、それは誤解だぞ」
エーリカの襟首をひっつかんだままトゥルーデが顔を赤くして答える。
「ま〜、確かに私達は見た目も中身もバカップルだけどさ〜」
「おい!」
「私は私で、家族の事、双子の妹の事とか、気になってる。それが悩みかって言われればどうかとは思うけど」
「エーリカ。それは立派な悩みだ」
「いや、決められてもね」
「何だか、よく分からないけど、参考になりました。有り難うございます」
「え?」「いいの? こんなので」
呆気に取られるカールスラントのバカップル二人。
「何か、お二人を見てたら、悩みが解決しそうって言うか。ね、リーネちゃん」
「そうだね、芳佳ちゃん」
「うう……」
- 150 名前:loadstar 05/05:2009/04/16(木) 05:36:07 ID:2F5D9QcU
- 帰り道は既に夕暮れとなり、西の空には宵の明星が輝いている。
「せめて夕食前には帰りたいな」
「じゃあもうちょい飛ばす?」
エーリカがトゥルーデににやけ顔で言った。
「リーネを何度も酔わせるな。ゆっくりで良い」
「了解〜。そう言えば、今夜の夕食当番、誰だっけ?」
「シャーリーさんです」
芳佳の答えに、一同は少々暗い顔をする。
「と言うと……またあの缶詰か」
「不味くはないけど、飽きるよね。ちょっと塩辛いし」
「仕方ないですよ。何だったら、ローストして野菜と一緒にサンドイッチにしましょうか?」
フォローになっているのかちと微妙だが、リーネが言った。
「それ良いかもね。でも、支度の時間が間に合わないよ」
「あ……そうですね」
ワーゲンはなおも道を往く。
「ともかく、二人共、今日は有り難う。クリスが喜んでくれて何よりだ。これからもちょくちょく会ってやってくれ。きっと喜ぶ」
トゥルーデは芳佳達を見て、声を掛けた。
「クリスさんが喜んでくれるなら」
「ですね。……あ、芳佳ちゃん、基地見えてきたよ。まだ遠くだけど」
「ホントだ、もうすぐだね」
「トゥルーデ、見て。一番星」
エーリカが西の空を指した。
「おお。本当だ……って横を見ながら運転するなエーリカ! 事故るわ!」
「大丈夫だって。ウィッチなんだし死なないよ」
「そう言う問題じゃない」
言いながらも、トゥルーデは宵の明星をちらりと見た。明るく見やすいので、哨戒や訓練飛行の時、目印にする事がある。
しかし、地上から、こう言うかたちで見る事は珍しかった。
「道標、か」
「どうしたの、トゥルーデ」
「いや。何でもない」
バックミラー越しに見る、芳佳とリーネ。骨董品市で買ったペンダントをお互い付けて、見せ合い、微笑んでいる。
「皆が、幸せであれば……」
「ホント、姉バカだねえ、トゥルーデは」
「何?」
「トゥルーデには、みんな妹に見える?」
「そんな事は無いぞ」
「ま、私は何でも良いんだけどね。それもトゥルーデだし」
「私が愛してるのはエーリカだけだ」
「それ、聞きたかったよ。トゥルーデ」
ふふっと笑うエーリカ。
やがて基地がはっきりと見えて来た。ついさっきまで訓練をしていたと思しきウィッチが上空から近付いて来る。
魔導エンジンの音から、ストライカーの主がペリーヌと気付くトゥルーデとエーリカ。
「あら、大尉にハルトマン中尉。今日は何の御用で?」
ワーゲンの速度に合わせて、ゆっくりと上空を追走するペリーヌ。
「妹の面会だ。宮藤達も連れて行った。基地では何か異常は無かったか?」
「ええ、いつもの通りですわ。問題が全くないと言えば嘘になりますけど」
「いつも通りならそれで良い。ペリーヌもこれから帰還だろう? 気を付けろよ」
「了解しました。お気遣い感謝致します。では、お先に失礼しますわ」
じわじわと上昇し、速度を上げて基地に帰還するペリーヌ。
「さて、帰ったらまたいつも通りか」
「そうだと良いけどね」
「どう言う意味だ?」
バックミラーを見て、と目で合図するエーリカ。ミラー越しに見えた光景は……
後部座席で、お互い肩を寄せて眠る芳佳とリーネの姿が有った。
緩く絡んだ二人の指先はどう見ても恋人同士のそれで……トゥルーデは、ふっと溜め息をついた。
「本当、仲が良いな。しかしストライカーの音にも気付かぬ程寝ているとはな。そんなに疲れたか?」
「久し振りに人混みの中、色々回ったからね。ま、それはともかく……」
エーリカは少しワーゲンの速度を落とし震動を少なくした上で、言葉を続けた。
「私達まで、とは行かなくても、もう少し進むと良いかな〜なんて。トゥルーデはどう思う?」
「私も同じだ」
少しなりとも進んでくれれば……。トゥルーデはそう付け加えた。
エーリカはハンドルを握りながら、横に座るいとしのひとに微笑んでみせた。
end
- 151 名前:名無しさん:2009/04/16(木) 05:38:52 ID:2F5D9QcU
- 以上です。
タイトルは、某歌手の某曲名を意訳して付けてみました。
曲名ヒント(元タイトルほぼそのもの)は文中に有りますので……。
それはともかく、クリスと芳佳の「お友達」の約束
(正確にはお姉ちゃんのですが)、いつか書いてみたかったんですよね。
今回は駆け足になってしまいましたが、
もうちょい深めの芳佳とクリスの話しもいつか書けたら……と思います。
ではまた〜。
- 152 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2009/04/16(木) 06:59:33 ID:2F5D9QcU
- おはようございます。mxTTnzhmでございます。
連続して投下します。
保管庫No.0450「ring」続編となりますので宜しくお願いします。
久々の甘々? な二人をどうぞ。
- 153 名前:one room disco 01/02:2009/04/16(木) 07:00:10 ID:2F5D9QcU
- テラスでくつろぐ、穏やかな午後のひととき。
お茶とお菓子が振舞われ、皆がのんびりと、かしましくお喋りする。
ここだけ見ると、まるで学校か同好の集まりに見えてしまう。
だが、彼女達は紛れも無い“天翔る戦乙女”であり、ブリタニア防空の要。
連合軍第501統合戦闘航空団「ストライクウィッチーズ」なのである。
「お黙りなさい豆狸!」
「芳佳ちゃんをいじめないで!」
「あわわ、リーネちゃん……」
「ウジャー またやってるよ」
「仲が良いって事だろ〜ほっとけほっとけ〜」
「サーニャ、ベリーのケーキあるゾ。食べヨウ」
「うん。エイラ、選んで」
「イチゴ? それともブルーベリー? それとも……」
「エイラの好きな方で」
「ううッ……ど、どれがいいカナ」
隊員達がめいめいのテーブルでお茶の時間を過ごす中、美緒はふと呟く。
「しかし、珍しく平和だな、今日は」
「そうね。ネウロイもこの前来たばかりだし……もっとも、いつ来るか最近は分からなくなってるけど」
「最近の予想はアテにならんからな。それどころか防空網のレーダーまで抜けてくる始末だ」
「油断は出来ないわね」
二人して考え込んでしまう美緒とミーナ。だが、美緒が笑って言った。
「すまん。午後の休憩なのに、堅苦しい話をしてしまったな」
「良いのよ。前に貴方も言っていたでしょう、『備えあれば』何とかって」
「休憩時間位は、少し頭を切り替えないとな。ネウロイが来てからでも別にいい」
「そうは言うけど」
「せっかくの美人が、もったいないぞミーナ」
笑う美緒。ミーナも美緒に押されたのか、苦笑いした。
「そう言えば、ウチのエースふたりはどうした?」
「あら、言われてみれば居ないわね。いつの間に……でも、お茶とお菓子は無いけど」
「まあ、良いか」
呆れ半分、諦め半分で呟く美緒。
そのエース二人はと言うと……お茶とお菓子を持って、トゥルーデの自室にこもっていた。
「はい、あーん」
「ん……うまい。よく出来てるな。さすがリーネだ」
「トゥルーデ、クリーム付いてるよ」
ぺろりと頬についたクリームを舐めるエーリカ。そのまま唇を這わせ、トゥルーデと口吻する。
今日のキスは、ケーキ味クリーム風味。
とろんとした瞳でいとしのひとを見るエーリカ。トゥルーデも目の前で一緒にケーキを食べ、
そして身体を密着させる愛する人を見、何とも言えぬ気分になる。
「トゥルーデ、あーんして」
「あーん」
ケーキの上に乗ったイチゴを、クリームをたっぷり付けてトゥルーデに食べさせる。
「今度は私に、して?」
「ほら」
「あーん」
同じ様に、クリームいっぱいのイチゴを頬張るエーリカ。
子供に近い雰囲気で、ケーキをべとべとと食べる。くっついたクリームは、気付いたところから
ぺろりと舐めて行く。最終的にはお互いの唇へと回帰する。
「ケーキ、もう無いよ」
エーリカが空になった皿を見せた。
「貰いに行くか?」
トゥルーデが聞く。
「こんな顔で?」
「……無理だな」
「また後で食べれば良いよ」
「そうだな」
「私は……」
「エーリカはこう言う、『トゥルーデ食べたい』って」
「よく分かるねトゥルーデ。エスパー?」
「お前の考えてる事はお見通しだ」
「私もだよ、トゥルーデ。同じ事考えてたっしょ」
「まあ、な」
「なら、もう決まってるよね」
「ああ」
- 154 名前:one room disco 02/02:2009/04/16(木) 07:00:49 ID:2F5D9QcU
- お互いの指についたクリームを舐め合う。唇に指が触れ、舌が指の間を舐る。
あらかた綺麗になったところで、ふたりはお互いをゆるゆると抱き合い、キスを交わした。
目を閉じ、感覚を研ぎ澄ます。触れ合う部分の知覚を高め、気持ちも昂る。
舌を絡ませ、雫がつうと垂れるのも構わず、お互いを味わう。
顎の奥がじわりと疼く様な、狂おしい感覚に襲われる二人。もっと、キモチヨクナリタイ……そんな気持ちのスイッチの合図。
「エーリカ」
「トゥルーデ」
二人は目を開け、名を呼んだ。瞳は潤み、お互いの姿しか見えない。視野狭窄ならぬ、感情、感覚、情熱、情欲の集中。
お互い、服を半分脱ぎ……はだけた状態でベッドに横になる。所々で感じる直接の肌の温もりが、また心地良い。
「愛してる、エーリカ」
「私も愛してる、トゥルーデ」
エーリカに覆い被さるトゥルーデ。両腕一杯にトゥルーデを受け入れるエーリカ。
キスを繰り返し、頬についた残りのクリームも舐め、もう一度ゆっくりとお互いの唇の膨らみ、温かさを感じる。
そして絡み合う舌、吐息。混然となったのは口元だけでなく、捉えて離さないお互いの瞳、そして腰と脚も然り。
「トゥルーデ、もっと、して?」
「ああ。エーリカ」
ふうと息を吸い、エーリカの弱い部分に唇を這わし……片手がエーリカの腰、その奥へと伸びる。
甘い声と、浅く熱い吐息がトゥルーデの顔をかすめる。
興奮しているのはエーリカだけでなく、同じ事をされているトゥルーデも一緒。
嗚呼、と声を出し、エーリカの秘蜜の部分を自分のと密着させ、ゆっくりとリズムを打った。
「ああっ……トゥルーデ、トゥルーデぇ……」
「エーリカ、愛してる、だから、だから一緒に……」
リズムは次第に早まり、やがて欲情が全身で弾け、お互いびくっと身体が反応し、がくがくと痙攣にも似た震えに打ちのめされる。
そのままぎゅうっと抱き合い、荒い息のまま、何度もキスを交わし、余韻を全身で味わう。
「はあっ……もう一回、する?」
「何度でも、何度でも……」
言葉は続かなかった。エーリカにきゅっと抱きしめられ、濃ゆいキスをされた。
それだけでもう、くらくらと眩暈にも似た感覚に揺さぶられる。
「エーリカ」
「トゥルーデ」
お互い、再び名を呼んだ。そして、愛する行為に没頭した。
時計の短針が二目盛り程進んだだろうか。
毛布をふんわりと身体に掛け、抱き合ったまま微睡むトゥルーデとエーリカ。
トゥルーデは、ふと目覚めた。結局ふたりは何度も愛し合い、何度も頂点を極め、そして堕ちた。
でも、こう言う日も悪くない。特にお互い非番の日位は。
気を失っている様にも見えるエーリカの寝顔は思わずキスをしたくなる位に愛おしく……
そっと髪を触れる。
はらはらとストレートの金髪が手からこぼれる。
ふと気付く。トゥルーデの髪縛りも、いつの間にか解かれ、緩やかなストレートの髪がベッドに広がっている事も。
エーリカだなと思うも、特に悪い気はしなかった。
同じ様に、エーリカもトゥルーデの髪を玩んだに違いない。それはそれで嬉しく思えてしまう。
そっと、唇を重ねる。
「ん……トゥルーデ」
唇に触れた感覚に起こされたのか、エーリカが薄目を開けた。
「エーリカ」
優しく呼び掛けるトゥルーデ。そっと頬に触る。
「ねえトゥルーデ、愛してるから……もうちょっと寝かせて」
「何だその言い訳は」
トゥルーデは苦笑した。
「起きろ、エーリカ。もうすぐ夕食だ」
「トゥルーデ、持ってきて〜」
「持ってきて、ここで食べるのか?」
「そそ。たまには良いじゃない」
「で、さっきみたいになるんじゃないのか?」
「トゥルーデも、そうしたいんじゃないの?」
「……」
少し考えた末、トゥルーデは顔を赤らめて頷いた。
「じゃあ、宜しく。簡単なの少しで良いから〜」
「まったく。じゃあ少し待ってろ」
トゥルーデは起きると、乱れきった服を体裁だけ整え、髪を縛ろうと髪縛りを探す。
「あれ? 髪縛りがひとつ無い」
「たまにはひとつで十分だよ〜」
「私は二つないとな」
「ひとつで十分〜」
そう呟くエーリカの手には、髪縛りのリボンが有った。
「エーリカ、いつの間に」
「いってらっしゃ〜い」
目を閉じたまま、にやけるエーリカ。
「全く、仕方ない」
トゥルーデはひとつの髪縛りできゅっと束ねると、エーリカの頬に軽くキスをして、部屋を出た。
エーリカは楽しくて仕方ない。食堂へ行くトゥルーデも同じ気持ちだ。
トゥルーデの部屋で繰り広げられる“第二ラウンド”と、その行く末が。
今夜は何だか面白い事になりそう。
二人のリズムに揺られたい。二人だけの時間、空間で。
end
- 155 名前:名無しさん:2009/04/16(木) 07:01:47 ID:2F5D9QcU
- 以上です。
たまにはいちゃいちゃらぶらぶな二人も書いてみたくなったり。
そんな気分です。
あー、この二人は書いてて楽しいなぁ。
ではまた〜。
- 156 名前:名無しさん:2009/04/16(木) 10:10:10 ID:WG5HWDzk
- >>144&&>>151&&>>155
この自重しなさ加減はあなたにしかできまいww生産速度がおかしいww連日徹夜してるようにしか見えないんだが体は大丈夫なのか。
そしてGJ!いつものエーゲルもいいがこの三本ではミーヌ(?)がツボった。ぎゅっとしてあげるってのは百合の浪漫ですよね。
ところで今携帯だからわからんけどそろそろSS三桁達成じゃね?
- 157 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2009/04/16(木) 14:21:28 ID:HExho/mg
- こんにちは。mxTTnzhmでございます。
懲りずに連続投下します。
今回はエイラとサーニャのお話し(?)になります。
では行きます。
- 158 名前:music hour 01/02:2009/04/16(木) 14:22:30 ID:HExho/mg
- ハイ〜「STRIKE TALKING RADIO」始まりマシタ〜。
私ハDJ兼MC、パーソナリティのエイラ・イルマタル・ユーティライネン、宜しくナ。
この番組ハ、サーニャのレーダー魔導針を通しテ、全世界の悩めるウィッチに秘密のラジオとしてお伝えしているンダナ。
そこ、夜間哨戒のついでとか言うナヨ?
え、この番組はどの周波数で流れてるかっテ? ズバリ言ってもいいカナ?
探セ!
すぐに教えて貰う前に、色々自分で探すノガ楽しいってもんダロ? オマエ、推理小説の登場人物紹介の所を丸で囲って
「コイツ犯人」とか書いて欲しいタイプなのカヨ? 違うダロ? そう言う事ダヨ。
エ? 探してる間に番組終わったらどうすんだッテ? そうならない様にレーダー魔導針の感度を上げておくんダナ。
あとは「愛」ダナ。……サーニャ、顔赤いゾ?
「エイラ、貴方も」
私もッテ? そそそそんな事は無いゾ? 私ハこの番組のパーソナリティだからナ?
さて、この番組デハ皆様からのリクエストとお便りをお待ちしているゾ?
ここでお手紙を一通……ドレドレ。ラジオネーム「恋するオオカミちゃん」可愛いけドちょっと怖い感じナンダナ。
『部下の二人がやんちゃでちょっと……いや相当エッチで困っています。
二人とも私と同じ国出身で、凄いいい子で、戦闘でも活躍してるし、お互い好き同士なのは良いんだけど、
何て言うかその……好き放題で、み……他の佐官も少々困っている様子。
このままだと隊の士気に関わるし。でも、二人の気持ちも考えると……
どうしたら、部下達にイチャイチャを我慢させることが出来ますか?』
フムフム。お便りくれた人ハ、何か凄い苦労人な感じがするナ。
……デハ、私ガ、ズバリ言ってもいいカナ?
ムリダナ!
多分当人達が「迷惑」だと感じるまで無理ダナ。て言うかまずムリムリ。
実は部隊の中デモ、そんなに気にされてないんじゃないノカ? 結構オープンだったりしないカ?
て言うカ、お便りをくれた「恋するオオカミちゃん」ガ、部屋デ“旦那様”とチューとかその先をしているカラ
そう言う部下が育つんじゃないカナ?
「エイラ、勇気あるね」
な、ナンカ引っ掛かる言い方ダゾ、サーニャ。
勿論、スキンシップに抵抗が有る人も居るだろうナ。あと、国や文化にもよるだろうからナ。
例えば扶桑の人は基本的に奥手だって言われてるケド……
私の周りに居る扶桑の人は全然そんな事無いナ。後ハ、個人差も有るだろうカラナ。
そう、個人差だろうナ。どう感じるかって事ダヨ。
例えばダゾ? 写真を撮る時、頼まれてもいないのに腕をぎゅっと組まれちゃう、トカ。
「エイラはそう言うとき、どうなの?」
私カ? ウ〜ン、別にナア。相手によるとしか言えないゾ。
「私だったら?」
さささサーニャが相手? それは勿論……
「私、惚れられてル?」「もしかして誘ってル?」「今夜、どう? って言ってル?」「今、腕に胸が当たっタ!」「って事ハ『抱いて』って言ってル?」
にナル……
「エイラ、妄想し過ぎ」
ゴメン、サーニャ。ちょっと飛ばし過ぎタ。
「でも、外れてないよ」
……サーニャ、唐突に変な事言わないでクレ! 少し鼻血出かけたゾ。
「だけど、エイラ、奥手だから」
べべべ別にヘンな意味じゃないからナ? サーニャが大事ダカラ……ソノ……
とにかく、部隊の規律は確かに大事ダケド、ある程度は自由な方がみんなの為にもイイ、私はそう思うナ。
ではここで一曲。「サーニャのうた」ドウゾ〜。
- 159 名前:music hour 02/02:2009/04/16(木) 14:24:10 ID:HExho/mg
- さて和んだ所で次のお便り。
ラジオネーム「アイパッチ侍」さん……何かあからさまな感じするンダナ。まあいいケド。
『私の彼女はなかなか本音を見せてくれません。
昔のヒトとどうして別れたのかとか、 そのヒトはどんな人だったかとか。
それとなく聞いても「知らなくていいわ」などと言われたりします。
どんなひとになら、心を打ち明けたくなりますか?』
ウーム、イイネ〜。ナイスレターな感じダゾ。
デハ、ズバリ言ってもいいカナ?
知らないままでイイ!
多分、知っても意味がないて言うカ、知らない方が良いと思うゾ。
「知らない方が良い事」も有るって言うじゃないカ。それと一緒ダヨ。
それとももしかして、この「アイパッチ侍」さんハ、前のひとの事を知って自分と比べたイ、そして負けたくナイ、
って感じるヒトなのカナ?
「好きなら、やっぱり前のひとは気になると思う」
ウ〜ン。気になるのは分かるケド……でも知ってどうすんだって気もスルナ〜。
そもそも恋愛って勝ち負けとかじゃないと思うんだ、私ハ。勝ち負けを気にした瞬間負けてるって気、しないカ?
じゃあ逆に言ってミヨウ。「今、好きな人と一緒に居る事が、勝ち」みたいナ。違ウカナ?
「だいたい合ってると思う」
ありがとうサーニャ。そう言って貰えると何か嬉しいゾ。……サーニャの手温かいナ。
て言うかその目は何? ちょっと、いや凄いドキッとしたんだからナ?
さて、乗って来たけど今回の「STRIKE TALKING RADIO」はここマデ〜。
このラジオでハ、ウィッチの皆様からお便りを募集しているんダナ。
ではまた来週〜。
「また、やるの? エイラ」
……ダメ?
end
----
以上です。
「エイラとサーニャのラジオ」ネタをひとつ。
他の職人さんとネタが被ってたらごめんなさい!
なお、ラジオについての各種元ネタは、実在する某ラジオ番組から頂きました。
よく聴いてたりします。「オマージュ」ととって頂ければ幸いです。
タイトルについては(ry
ではまた〜。
- 160 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2009/04/16(木) 15:23:59 ID:LKvm7E/Y
- こんにちは。mxTTnzhmでございます。
>>158-159「music hour」の続きが出来ましたので投下します。
今回は短いですが、どうぞ。
保管庫No.0957「knight of the moonlight」も関係してますので宜しく。
「voices」
ハ〜イ今夜も「STRIKE TALKING RADIO」始まりマシタ〜。
DJ兼MC、パーソナリティのエイラ・イルマタル・ユーティライネンで〜ス。
この番組ハ、サーニャのレーダー魔導針を通しテ、全世界の悩めるウィッチに秘密のラジオとしてお伝えしているンダナ。
そこ、夜間哨戒のついでとか言うナヨ? 今日だけダカラナ?
「今日だけ、なの?」
いや、そんな事は無いト、思ウ……。
さてト、この番組ではリスナーの皆様からお手紙を募集しているンダナ。
今回も一通来たゾ。ええっト……匿名希望、十代ガリアの女子。何だか普通にカミングアウトしてる気もスルゾ。
まあイイヤ。早速読むゾ。
『わたくしにはとっても大切なひとがいます。
そのひとは夜間戦闘に秀でていて、エースとして活躍しています。
彼女とは国も違い、戦う場所も違うので、いつも応援していたいけど、
あんまり応援し過ぎると彼女の邪魔になるんじゃないか、
恋愛してると戦闘にも悪影響が出るんじゃないか、
それならいっそ別れたほうがいいのではないかと思ってしまいます。
でも、わたくし、彼女のことは大好きなんです。
もう、自分でもどうしていいかわかりません。
わたくしは、どうしたらいいでしょうか?』
……何だか自分で名前言ってる気もするゾ。大丈夫カヨ?
まア、この手の質問には決まった答えが有るんダナ。ズバリ、言ってもいいカナ?
恋愛して戦闘が出来なくなる様な人だったら、 彼女のウィッチとしての能力は、最初から無いナ!
違うカ? 恋愛してるから戦えない、戦闘能力が落ちたって、それはウィッチとしてまずいダロ?
例えばダゾ? 「私、ペリーヌが好きだからネウロイを撃てない!」なんテ……
「エイラ、匿名匿名」
あ、しまッタ。ゴメンな、匿名希望のペタンヌ。ああもう匿名でも何でもナイナ。まあイイヤ。
まあとにかク、訓練でも任務でも戦闘でモ、それ以外でもそうだけド、恋愛が絡んでどうのとか言う人居るヨナ?
それがプラスになるなら全然オッケーだけド、もしすっごいダメになる様だったラ、ウィッチでなくてモ、
何やってもダメな感じスルゾ。
例えば、ウィッチじゃなくて……街の花屋の娘が「今、恋に夢中で注文間違えてお釣りも間違えちゃった」トカ……。
それ単にのろけ過ぎって言うカ。恋する乙女って感じは良いと思うけド、花屋の仕事自体はあんまり出来てない訳ダロ?
「確かに」
ましてやネウロイと戦ってるウィッチがそんな体たらくだったラ、戦闘云々の前に命が危ないゾ。
「そうだよね、エイラ」
だよナ、サーニャ。
恋愛は恋愛、戦いは戦いで、きちんと分けていけば良いんだヨ。
もしそれが融合してプラスになるのなラ、もっと良い事になるト、私は思うゾ。
頑張れ、匿名希望サン。
「エイラ、もうばれてる」
あうッ……ホント、ゴメンナ。
では今夜はこの辺で。最後に「サーニャのうた」を聴きながらお別れデス。
end
----
以上です。
思い付くままに書いてます。
ラジオの元ネタは前回と同じく、と言う事で。
ではまた〜。
- 161 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2009/04/16(木) 17:11:13 ID:BF3pZOFc
- こんにちは。mxTTnzhmでございます。
>>160「voices」の続きが出来ましたので投下します。
今回も短いですが、どうぞ。
- 162 名前:radio echo 01/02:2009/04/16(木) 17:11:44 ID:BF3pZOFc
- ハ〜イ今夜も「STRIKE TALKING RADIO」始まりマシタ〜。
DJ兼MC、パーソナリティのエイラ・イルマタル・ユーティライネンでス。皆聴いてるカナ?
この番組ハ、サーニャのレーダー魔導針を通しテ、全世界の悩めるウィッチに秘密のラジオとしてお伝えしているンダナ。
夜間哨戒のついでじゃないカラナ?
「最近、そればっかりね」
ううッ、良いじゃないカ。減るもんじゃないシ……イヤ、サーニャの魔力使うから減るカ……ゴメンナ、サーニャ。
「良いの。エイラ楽しそうだもん、続けて」
有り難うサーニャ。
では今夜も行くゾ。早速お手紙を一枚。ラジオネーム「ルッキーニ」……
「……」
アイツ、ペンネームと言うかラジオネームの意味分かってんのカァ? いきなり本名書いてるけど良いノカヨ。
まあ、とりあえず読むゾ。
『あたしの好きな人は歳上なんですけど、
思い切って告白したらOKもらったんだけど
「お前まだ子供だしなあ……」といわれました。
少しでも大人に見られるにはどうすればいいですか』
……何だか状況がありありと分かる気がするゾ。
とにかく、一言言わせて貰うゾ。
彼女の方が子供ダナ。
歳が大して違わないのにそんなこと言うなんて、彼女の方が子供なんダナ。
減るもんじゃないシ、どんどんアタック掛けて大丈夫だと思うゾ。
「でも、ルッキーニちゃん、十二歳……」
うッ……サーニャも鋭いとこ突いて来るナア。幼いって言いたいのカ?
確かにルッキーニは……もう匿名でも何でも無いナ……歳はアレだけど、もう立派なウィッチだしナ。
まあ悪戯好きでまだお子様なとこあるケド、それを逆にプッシュしていけばイイヨ。
「どう言う意味で?」
べ、別に犯罪的な意味じゃないんだからナ? 誤解するなよサーニャ?
例えば……相手を抱きしめるとカ、キス位なら良いんじゃないカ? 相手は……ここは匿名にするけド、
国が国だかラ、そう言うスキンシップとかも普通ダロ。だから大丈夫。どんどん触って行けばいいんだヨ。
「それで、エイラも一緒に胸……」
ちちち違うゾ!? 断じてそんな事ハ……イヤ……マア……。
次のお便りハ……おっ珍しイ、ロマーニャの504からダ。本名OK、竹井醇子さん。
『やっほー、美緒元気にしてる?
こっちはなかなか料理が美味しいんだけど、
ちょっと油っこいのもあって
美緒にはどうかな〜なんて。
今度一緒にまた海泳ぎに行きましょうよ。
プールでも良いけどね。
美緒の逞しい姿、また見たいわ〜』
……完全に特定の人物向けの私信なんダナ。これ電波に乗せて良いのかヨ?
「基地で中佐がアップを始めた模様……」
そ、それはマズイ! 色々な意味で危険ダ!
とにかく、一言……も何も無ぇヨ。個人的な手紙は直接本人に送ってクレ。
緊急時はともかく、公共の電波を使うのは良くないゾ。
「これ、私の……」
ああそうだっタ、ゴメンなサーニャ。
- 163 名前:radio echo 02/02:2009/04/16(木) 17:12:34 ID:BF3pZOFc
- ええっト、今夜最後の一枚ハ……ラジオネーム「ブルーベリー大好きっ娘」さん。
『私の彼女は、女性の胸に興味が有るみたいで……
でも、周りの皆もそうなんですけど、みんなして胸を触ってきます。
夜は仕方ないと思うんですけど、お風呂とか、みんなの前でも……
どうしたら良いですか?』
ズバリ言わせて貰うゾ。
諦めロ。
そりゃ、胸と言えば……ロマンだからナ。胸には無限の可能性が詰まってるンダゾ?
勿論大きいに越したことは無いケド、かたちもとっても重要ダヨナ〜。
「エイラ……胸の話になると……」
サーニャ誤解ダ!
と、ともかク、夜は仕方ないってどう言う事ダ? ちょっと気になるゾ。
でもまア、何だか楽しそうだから良いんじゃないカ? スキンシップのひとつだと思えバ。
「セクハラ……」
ううッ……サーニャ、今日は厳しいゾ。
では最後に「サーニャのうた」を聴きながら今夜はお別れ〜また来週〜。
「続くの?」
……エッ?
end
----
以上です。
思い付くまま書いて来ましたが流石にネタ切れの予感……。
てか書き過ぎですね。すいません。自重します。
ではまた〜。
- 164 名前:名無しさん:2009/04/16(木) 17:21:18 ID:oxUREjsQ
- 何事かと思ったwwww
マジですごすぎ頑張りすぎwwwww
- 165 名前:名無しさん:2009/04/16(木) 17:40:38 ID:6RJ/QnVk
- ( °д °;) ………な、何が起こってるんですか……
GJお疲れ様ですよ!?
- 166 名前:名無しさん:2009/04/16(木) 17:46:10 ID:LZjCaVc2
- な、なにが起こった!?
ありえねー、この投稿間隔は…。
とりあえず、お疲れ様。帰ってからゆっくり読むよ。
とりあえず、あれだ。GJを送る暇くらいくれw
- 167 名前:名無しさん:2009/04/16(木) 18:39:14 ID:kxmdgt8w
- お前いい加減にしろwwこっちの体が持たんじゃないかwww
もうどこから言い始めたらいいかわからんがとりあえずこれだけ言わせてくれ。
* *
* + グッジョブ!
n ∧_∧ n
+ (ヨ(* ´∀`)E)
Y Y *
- 168 名前:名無しさん:2009/04/16(木) 19:09:03 ID:ghqltxD.
- >>163
なんなんだこのペースはww
とりあえず撃墜数100突破おめでとうございます!百合神様ですよもうw
超GJでした!
さて…あと少しで全体撃墜数1000なわけだが…
まさかここまでくるとは正直思ってなかった…
- 169 名前:名無しさん:2009/04/16(木) 20:00:20 ID:fTqZ72SU
- 最近はストパンから離れてもっぱら咲で百合分補充してるが、ここの職人達はとまらないなw
GJw
- 170 名前:zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2009/04/16(木) 20:24:47 ID:EDcT8Mcg
- 色々コメントありがとうございました。
とても励みになります〜。
>>136
うろ覚えでなんとなく書いてたんで豆知識ありがとうです。
「人」ではなく「入」とか書いてるあたりでエイラもうろ覚えな感じが伝わってれば嬉しいかな~と思ってみたり。
>>163とかいっぱい
mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3さん、100本達成どころかそのまま100超えおめでとうのお疲れ様です^^
自分らが読む速度とmxTTnzhmさんが書く速度って変わんないんじゃないのかって思いますw
ちなみにまだ読みきれてないんで後でゆっくり読ませて頂きます。
- 171 名前:名無しさん:2009/04/16(木) 21:15:18 ID:3vaCyGx2
- 何この職人たちwwwwwwwwwwwwwwwwGJが止まらんwwwwwwwwwwwwwwwwwwwっうえっwwwwwww
- 172 名前:名無しさん:2009/04/16(木) 23:34:27 ID:6kJdi2r2
- ええと、mxTTnzhmさんはいつ寝ているんですか??
ちょっと心配ですよ。ともあれGJです!!
どの作品も楽しく読ませて貰いました。
ありがとうございます。
無理せず頑張って下さいね。
- 173 名前:名無しさん:2009/04/17(金) 00:41:15 ID:IBr1ue4k
- 転
サーニャの胸に芳佳の魔の手が・・・・
http://sakuratan.ddo.jp/uploader/source/date108499.jpg
- 174 名前:名無しさん:2009/04/17(金) 00:50:02 ID:xudehTE6
- 一日経ってたら1 hundred overしとる…w
速さもだがあなたは色っぽい表現もとてもいいとおもうんだ。
おめでとな百合神様!
- 175 名前:名無しさん:2009/04/17(金) 07:51:06 ID:sFrJUNzQ
- >mxTTnzhm 様
速い……。これが、電撃戦なのか。
速いだけじゃなくて、どれも最高に面白い作品ばかりです。
軽々しくGJというのがはばかられるぐらいに。
百合神の降臨する場にいあわせたことを光栄に思います。
- 176 名前:名無しさん:2009/04/17(金) 09:46:15 ID:CTYeYqj6
- apsV9PCZです。
覚えてくださっている方はお久しぶりです。初めての方は初めまして。
前に書いていた智子とビューリングのSSですが、バレンタインで頓挫して以来SSは書いていませんでした。
しかし最近のシャーゲルピンナップといい、秘め歌といい、お姉ちゃん大勝利じゃないですか。
というわけで自らのジンクスを破って501メンバーでの初SS書いてみました。
エイラ&宮藤がお姉ちゃんのおっぱいを揉みしだくどうしようもないノリだけのSSですw
楽しんで頂ければ僥倖です。3レスお借りします。
- 177 名前:名無しさん:2009/04/17(金) 09:46:59 ID:CTYeYqj6
- エイラは廊下でニヤニヤとだらしなく口端をつり上げていた。若干だが頬も赤い。
昼頃に目を覚ましたエイラは、ふと最近『誰の胸も揉んでないぞ?!』とどこかお告げめいた電波をサーニャ経由で受信した。本当かどうかは分からない。
芳佳が覚醒した今、この501にはおっぱいマイスターが三人居ることになる。
エイラとルッキーニと、芳佳。
どこか芳佳にお株を奪われている気がしてならない。ルッキーニは…シャーリーばかりだな、最近は。
と、そのような感じに部屋を飛び出したエイラである。もう通り魔のごとく揉んでやろうと画策していた。
そこに運悪く通りがかったのは、ゲルトルート・バルクホルン。
極度の姉バカで遠く離れたところで養生している本当の妹クリスに代わり、と言っては何だが芳佳を妙に可愛がっているほどの『お姉ちゃん』だ。
他人でも年上でも妹に為兼ねないおっぱいマイスターに並ぶ教祖そしてその地位をどこかで確立している。
「昔はカタブツだったのになー。最近は宮藤の所為でぐでぐでのでれでれだからな。…今ならひょっとしたら悪戯に狼狽えてくれるかもな。にひっ」
ぶつぶつと呟くエイラに、向こうへと歩いているトゥルーデは気が付かない。
「真面目ぶっているその綺麗な顔を吹き飛ばしてやるぞっ!」
無表情で足早にどこかに向かっているようだが、エイラはその足に『ジャパニーズニンジャ』――芳佳の受け売り――のごとく歩み寄り、背後から、意外とある胸を鷲掴んだ!
「とりゃぁっ!」
「なっ!」
手に柔らかい感触。うん、紛う事無きおっぱいだ。久しい感触に嬉しくなった。
「な、なな何だ、誰だ!?」
後ろを振り返ろうと躍起になるトゥルーデだが、背中からがっちりホールドしているエイラの顔を見ることが叶わない。
「よーっす、お姉ちゃーん」
「!?」
息を吸い込むような短い悲鳴のような声が口から漏れる。この呼称はもはや『姉潰し』であることをエイラはしっかり理解している。
- 178 名前:名無しさん:2009/04/17(金) 09:47:31 ID:CTYeYqj6
- 「そ、その声…ゆ、ユーティライネン少尉、か…?」
「ひひ、分かるだろー? 宮藤はここまで積極的じゃないって」
「宮藤は妹のような存在だ! 胸を揉むのも道理が分かるが、少尉の場合は理由が…分からない! 揉・む・な!!」
「いやー、お姉ちゃんの胸を揉むのは二回目だな。ちょっとは大きくなってるかー?」
「ふ…ふざけるのもいい加減に……ぃ…」
顔を真っ赤にして語尾が消え入っている。完全に思考がショートしている証拠だ。流石『姉潰し』。もはや『姉殺し』だ。
エイラの計画通り、生真面目ぶっている顔は見事に吹き飛び、ヘタレた。
「い、…急ぎの…用が、……あると、いうのに……」
トゥルーデの体温が急上昇しているのを感じ取って、エイラは満悦した。
「知ったこっちゃないねー。胸の前にはどんなことも非力だからな」
「どういう…理屈、なんだ!」
「だってさ、振り解こうと思ったらすぐに出来るだろー? 何でしないんだよー」
「そ、それは…」
トゥルーデが容赦無しに力を込めれば、エイラ一人ぐらいどうとでもなる。それをしないとはつまり、密かにその行為を認めているということ。
敏感な場所を服の上からではあるが掌に収めているエイラがそれを一番分かっていた。
「妹に手込めにされるのがそんなに好きなのか。変態ダナー」
煽るように語尾をわざとらしくする。
「ち、ちがっ! そんなこと、」
「愛しい妹にぐちゃぐちゃにされたいのかー?」
「いや…違う、そんな変態じゃ…ぁ!」
突端に触れたエイラの指に反応してしまう。これでは肯定しているようなものだ。
「ま、私は妹になったつもりは無いけどねー。それは宮藤の役目だからさ」
「…じゃあ、この行為を…すぐにやめろ!」
予想以上に反応してくれたことが嬉しくて溜まらないエイラの嗜虐心を揺さぶるほど、今のトゥルーデは可愛かった。
色んな感情が入り乱れてぐらぐらして涙が浮かんでいるその瞳も。
「宮藤にこんな姿見られたらどうする? やっぱり興奮しちゃうのかー?」
もはや流れに身を任せる形にまで崩されたトゥルーデの意志ではどうにも出来なかった。
「お……お願い、だから……やめてくれ………」
立っていられなくなって、背後のエイラに体重を預け始めるトゥルーデ。
おぉ、まさかここまでいい反応をしてくれるとは。エイラも驚きを隠せない。流石にやり過ぎたか、と思い手を胸から離して抱き留めることにした。
「…はぁ…は……はぁ………」
荒れる息を無理に直そうともせずぐったりしている。昔とは完全に別人だなぁ、と密かに髪の香りを楽しむ。
「(あぁ…なんか、耳とか…咥えたくなってくるんだけど…)」
リミッターが外れている。抑えの効かない欲望が湧き出る。
「(だけど…これ以上やると可哀想なんだよなぁー)」
脳裏をサーニャの姿が掠める。サーニャにはエイラが必要だと考えている。
「(あーうー。カウハバ基地のアホネンのこともあるし…これじゃあスオムス人も扶桑人と同じと思われちまうからなぁ…)」
そんなことを、柔らかい身体してるなぁ…、とか考えつつ。
「どうしよう…」
口に出したその時だ。
- 179 名前:名無しさん:2009/04/17(金) 09:49:42 ID:CTYeYqj6
- 「あ、バルクホルン大尉! さっきミーナ隊長が…………おっぱ!?」
すぐそこの角から曲がってきた芳佳が、条件反射的に反応し、耳と尾まで生えて尻尾に至ってはフリフリと忙しく左右に揺れている。
「…み、みやふじ」
エイラの腕に納まっているトゥルーデだが、ここに芳佳が現われたということの意味を、深く考えることができない。
よだれまで垂らしそうな状態のわんこ芳佳に、助けを求めるトゥルーデ。
「助けてくれないか…、一人じゃ…立てなくて」
「お・ね・え・ちゃーん!」
がばっ。
「ぶっ」
不意打ちの『姉潰し』。芳佳がそれを言うと『姉壊し』だ。
「わはー!」
連なる丘に顔を埋めてなすり付ける芳佳。飼い主にひどく懐いている犬そのものだった。
「み…みゃ……ぁっ」
トゥルーデの身体の力がさらに抜けたおかげで、エイラが一瞬支えきれなくなりそうだったが持ち堪えた。
「おっと」
「あ! エイラさんも居たんですか。すみません気付きませんでした…えへへ」
サーニャも好きな無垢な笑顔。純粋におっぱいが好きなだけというとんでもないわんこではあるが…。
そんな笑顔にちょっとだけどき、としたのは内緒で、エイラは返事をした。
「ひどいぞ宮藤ぃ。私は最初からここに居たって」
「すみません…。あれ、でもエイラさんバルクホルン大尉の後ろで何やってたんですか?」
トゥルーデの肩越しの会話。その間も手を休めない芳佳の凄まじい根性。
「ぃ…いやー。なんというかアレだよアレ…。今おまえがやってるようなことをやってたんだよ」
「え、そうだったんですか? 邪魔だったら譲りますけど…?」
「わ…私はモノじゃ…ない……」
「お姉ちゃんのおっぱいやわらかーい!」
芳佳の『姉壊し』一発。エイラとの会話を遮ったトゥルーデへの牽制だった。
トゥルーデは案の定頭上から湯気を出して大人しくなった。
「いや…その、なんだ…。宮藤、いやらしい手つきだな……」
寄せて上げるようにやんわりと、且つ力加減は優しすぎず。共に快楽を得られる熟練の手つき。一体どこで仕入れた。
「ありがとうございます。…あれ、どうしてバルクホルン大尉、こんなに弱ってらっしゃるんですか?」
今更気付いた芳佳に、トゥルーデが今度こそ、と反応する。
「この行為を…やめてくれぇ……。でないと、ダメに……」
「何がダメなんですか?」
「…いろ……ぃろ………」
「えー? 全然ダメじゃないですよ、むしろ手に張り付くような弾力でとても良いですよ!」
「……」
もうダメだ、とトゥルーデはある意味死を覚悟した。
芳佳は抵抗が一切合切消えたトゥルーデに、総攻撃を仕掛け、いつの間にかエイラも混じってひたすら絡んで時間を忘れた。
「(私に……胸が無ければ…)」
トゥルーデは薄らぼんやりとした頭で思う。
「(………いやしかし、胸が無かったら宮藤とここまで仲を発展させることもできなかった…)」
口から声も漏れているようだが、既に心と体は乖離状態で、身を任せている。
「(…ふ、ふふ………世の中とは、難しいものだな……ミーナ)」
ミーナ。古くからの友人の名を出した瞬間、トゥルーデの身に電撃が走った。
「(そうだ! 用を忘れていた! ミーナに荷物運びを手伝うように言われていたというのに!!)」
待ち受けることが容易に想像出来、恐怖に戦く。
「あなたたち…? 何故、昼下がりの廊下で乳繰り合っているのかしら?」
キュッ。
――
以上です。
読んでくださってありがとうございます!
- 180 名前:トゥルーデ撃墜部隊:2009/04/17(金) 10:55:56 ID:dWAdVOzk
- mxTTnzhm様
とりあえずこれだけ言わせてください。
尊敬致します!!
>>179
GJ!へろへろなお姉ちゃん可愛すぎw
「姉壊し」芳佳のわんこっぷりもいい
エーリカ誕前に一つ投下します。
なんかえろいのが書きたくなったのでもっミーナです
- 181 名前:名無しさん:2009/04/17(金) 10:57:08 ID:dWAdVOzk
Star vicino al bell'idol che s'ama,
e il piu vago diletto d'amor…
「綺麗な歌だな」
そう言うと、ミーナは歌うのを止めて私を見上げた。
「ロマーニャの古典歌曲よ。結構お気に入りなの」
ミーナは微笑み、再び美しい旋律を奏でる。
e il piu vago diletto d'amor…
…綺麗だ。
今度は邪魔をしないよう、心で呟いた。
剥き出しの白い肩をそっと抱き寄せ、温もりを味わう。
扶桑にはない独特の舌使いでフレーズを終え、ミーナは再び私を見上げた。
「“愛しい人の側にいることは、何よりも素晴らしい愛の喜びだ…”」
「ん?」
「そういう意味の曲なの」
私の肩に頭が預けられる。長い赤毛が少しくすぐったい。
「好きな曲だけど、少し前までは歌うのが辛かった」
ぽつりとミーナが呟く。
「二番の詞が…逆の意味なの。“恋い焦がれる人から離れることは、一番つらい愛の苦しみだ”って」
肩を抱く手に思わず力を込めた。
大事な人を失ったミーナの心境そのままの詞だ。
「今、すごく久しぶりに歌ったわ。この曲」
「…そうか」
「愛しい人が、側にいてくれるからかしら」
ミーナはぎゅっと抱きついてくる。肌と肌がぴったりと触れ合った。
- 182 名前:名無しさん:2009/04/17(金) 10:58:20 ID:dWAdVOzk
「美緒…」
甘えるような声に応えるように、そっとミーナの顎を取る。
薄く開いた唇を指でなぞり、微笑みかけた。
「証明してやろうか?側にいることを」
「え?」
有無を言わさず、唇を奪った。
柔らかい感触を味わいながら、抱き締めた背中を撫で上げる。
「っふ…ぅん…」
可愛らしい鼻声を漏らし、ミーナが体をくねらせた。
私の唇から逃れ、熱い吐息で呟く。
「は、ぁ…さっき、あんなにしたのに…」
「嫌か?」
染まった頬を撫でると、ミーナは小さく首を振った。
それを合図に、ミーナの体を横たえ覆い被さる。真っ白な肢体に、ゆっくりと手を滑らせた。
「っん…」
撫でただけだというのに、ミーナは甘い声を漏らした。
先程までの熱が抜けていないようだ。全く、可愛いやつだ。
「昼間に支障が出そうだったら言ってくれ」
「え…」
「自分では止まりそうにない」
ミーナの顔がかあっと染まるのがわかった。
その頬に口付け、そのまま耳元へと滑らせる。
「あっ、…」
最近気付いたのだが、ミーナは耳が敏感だ。
音楽家志望だったのだから耳も鍛えているのだろうが、そのせいだろうか。
「ミーナ…」
「ひぁっ……」
小さく囁くと、私の下の体がびくんと跳ねた。
- 183 名前:名無しさん:2009/04/17(金) 10:59:41 ID:dWAdVOzk
片手を豊かな胸に伸ばし、ゆっくり揉みながら耳の縁を舌でなぞる。
「ぁ、み…お…」
閉じた長い睫毛を震わせ、ミーナがまた小さく跳ねた。
「ミーナ…」
「あ、ぁ…」
「ふふっ…可愛いぞ」
「ッ…!」
私の腕を掴んだミーナの手に力がこもり、ぶるっと震えが伝わってきた。
「…ミーナ?」
「は…ぁ…はぁ…」
吐息が蕩けている。
…もしや。
「もう気をやったのか?」
「…!」
ミーナが恥ずかしそうに目を逸らす。
「…ふふ…はっはっは、お前は可愛いなぁ」
「み、美緒のせいよ!」
「私は胸しか触っていないが?」
からかうように頬をつつくと、ミーナはぼそっと呟いた。
「…声が…」
「ん?」
「美緒の、声が…気持ちいいの…」
「…声?」
ちらりとミーナが私を見る。
「力強くて、凛々しくて、すごく優しい声…私、美緒の声大好きなの」
快楽の余韻で潤んだ瞳に、私が映っているのが扇情的で。
「そんな声で囁かれたら、ぞくぞくするに決まってるでしょう?」
更にその言葉にトドメをさされた。
ミーナは私を止める気がないらしい。
「ミーナに声を褒められるとは光栄だ。ありがとう」
頬に口付け、その間に手を下肢に伸ばした。
- 184 名前:名無しさん:2009/04/17(金) 11:01:01 ID:dWAdVOzk
脚の間に触れると、やはりというか十分過ぎるほど濡れていた。
「私も、ミーナの声が好きだぞ」
「あっ…」
好きだと言ってくれた声を存分に聴かせてやろうと、再び耳元に顔を寄せた。
「み、美緒…」
「普段の凛とした声も、鈴を転がすように笑う声も」
私が言葉を紡ぐ度、ミーナの体がびくりとする。癖になりそうな可愛らしさだ。
「戦闘の時の熱い声も、澄んだ歌声も…」
「っひぁ…ん…」
ゆっくりと指を中に埋めていく。内壁を擦ると、高い声が漏れた。
「私しか知らない、この“歌声”もな」
「あぁッ…!」
くいっと指を曲げると、ミーナが背を反らせた。快楽から逃れようと、体を捩ろうとする。
ふふ、逃がすものか。
「や、みお…だめっ、あ…」
「ミーナ…」
切なげに声を上げるミーナをしっかりと抱き締め、上と下から徹底的に攻めてやる。
「あっ、ぁん…もぅ、…みおっ…」
「ミーナ…愛してる」
「ッあぁぁっ…!」
一際美しい歌声を響かせて、腕の中の体がびくんと震えた。
「…はぁ…っ、美緒…」
ベッドに沈んだ歌姫は、少し掠れた声で私を呼んだ。
「アンコールだ、ミーナ」
「え…ちょ、も、もう無理よ…」
「私も無理だ」
弱点を見つけたらそこを狙っしまうのは性分らしい。
私は幾度か、甘い声に酔いしれた。
- 185 名前:名無しさん:2009/04/17(金) 11:02:13 ID:dWAdVOzk
―――
「美緒のバカ…」
ぐったりと枕に顔を埋めたミーナがくぐもった声で呟いた。
「すまん。やはり止められなかった」
「昼間に支障が出そうだったら言ってくれ、って言ったのは誰よ…」
「申し訳ありません、中佐殿。本日の雑務は全て私が引き受けます」
「…当然です、少佐」
胸に手を当ててそう言うと、ミーナはくすっと笑った。
「なぁミーナ。さっきの歌…続きを歌ってくれないか?」
「え?」
「聴きたい。駄目か?」
じっと見つめると、ミーナはもぞもぞと寝返りをうち私の方を向いた。
「誰かさんのせいで、さっきほどちゃんとは歌えないわよ?」
「…根に持つな」
「ふふっ」
ミーナは、深く息を吸い込むと歌い出した。さっきより少しだけ掠れた、しかし澄んだ声で。
Star lontan da colei che si brama,
e d'amor il piu mesto dolor…
“恋い焦がれる人から離れることは、一番つらい愛の苦しみだ。”
メロディは同じだが、どこか悲しく聴こえる歌声。
e d'amor il piu mesto dolor…
ミーナには、忘れられない苦しみだろう。
だが、二度と味わわせたりはしない。
私はミーナの側にいてみせる。
だから、ミーナも私の側にいてくれよ。
手を取り指をそっと絡めた。
一番素晴らしい愛の喜びを、互いに分かち合う事を誓って。
- 186 名前:トゥルーデ撃墜部隊:2009/04/17(金) 11:04:45 ID:dWAdVOzk
- おしまいです。
Star vicinoはイタリアの古典歌曲で、一般的には有名ではないかもですが綺麗でとてもいい曲です。興味があったら是非聴いてみてください
さて仕事に戻るか
- 187 名前:名無しさん:2009/04/17(金) 12:13:31 ID:.fFvUlvk
- もっミーナ万歳っ!!
- 188 名前:名無しさん:2009/04/17(金) 14:37:58 ID:7YI6XUUE
- もっミーナ万歳!
この二人はこうゆうの似合うなー。
あなたのもっミーナは大人な雰囲気が出てて好きだー。
- 189 名前:名無しさん:2009/04/17(金) 15:18:53 ID:x2xv03tU
- >>179
お姉ちゃんがえらいことにw
ともかくお帰り&GJ!
>>186
このコンビ、良いですなあ。
情緒もあるし、GJ!
- 190 名前:名無しさん:2009/04/17(金) 16:59:44 ID:3lilvtVM
- >>179
GJ!!これはいいお姉ちゃん、エイゲルおいしいですq
>>186
もっミーナ万歳!やっぱ攻めもっさんが最高だわ
あとmxTTnzhm氏、金柏葉剣付騎士鉄十字勲章達成おめでとうございます
定員の12人まであと10人ですね。次がいるかわかりませんがw
- 191 名前:名無しさん:2009/04/17(金) 22:23:19 ID:HZLmbW3s
- >>186
なんて大人な雰囲気なもっミーナなんだ!GJです!
とにかくミーナさんがエロすぎです。
- 192 名前:名無しさん:2009/04/18(土) 02:10:30 ID:3pLQB95w
- 最近なんか面白い情報あった?
- 193 名前:名無しさん:2009/04/18(土) 02:38:08 ID:UmyouDYQ
- 夜中にこっそり投下。>>105の続きの4話です。5レスの予定。
トゥルーデ【今となっては失笑ものだな】
なぜこんなことを見落としてしまっていたのだろう。
私としたことが、とんでもないうっかりだった。
53番の本。それが意味するのは、“赤”と“スピード”。
ペリーヌの残してくれたダイイングメッセージがなければ、事件は迷宮入りしていたかもしれない……。
冷静になって思い返してみれば、“ヤツ”は最初から怪しかったのだ。
比較的捜査に協力しているように見せかけて、実のところは私の目をすっかり欺こうとしていたのだ。
――が、それももうおしまいだ。
ヤツがまとめたという聴取から、確認のためにもう一度、ヤツの項を読み返してみた。
《あたし》
ずっと食堂にいた。堅物を追い出して、少ししてから少佐がやって来た(本人談・少佐の首肯)。
みんなから聞いた話をまとめてこれを書いた。褒めて褒めて。
ふん、なにが「褒めて褒めて」だ。今となっては失笑ものだな。
一見してコイツにはアリバイがあるように思える。
だが、実のところは決してそんなことはない。
なぜならば、コイツのアリバイを証言しているのが、本人の他には坂本少佐ただひとり、
だがしかし、あの憔悴しきった少佐から聴取などできるはずがない。
そのことは既に私には実証済みだった。間違いない。
つまり、コイツのアリバイを証言しているのは、コイツ本人だけも同然ということ――
もちろんそんなものではアリバイは成り立たない。
そもそもだ。話を聞いてまとめるというのは、非常に恣意的な行為なのだ。
これを書いたのはヤツ自身――
これはどう考えても怪しくないか? 怪しいに決まっている。
事件の前――今朝から順を追って整理してみよう。
ええっと、まず最初に、私とヤツは食堂でいっしょに朝食をとっていて……
そうだ。そういえばヤツは最初か怪しかったんだった。
強引に私を食堂から追い出し(そもそも私は、ミーナに謝るような非などなにもないというのに)、
ひとりになったのも、すべてはこのため――
その後、坂本少佐が食堂に現れたというのは、他の証言と照らしておそらく本当なのだろうが、
ヤツは大方、トイレに行くとでも言って席を立ち、犯行に及び、服を脱がせ、現場から逃走し、
しれっとした顔でまた食堂に戻って来たのだろう。
ヤツの固有魔法はスピードだ。
とんでもない早業の殺人事件ではあるが、それを駆使すれば、あるいは可能……かもしれない。
そしてそのすぐ後に、エイラが倒れているペリーヌを発見。事件の発覚。
エイラはそののち、一度来た道を戻って宮藤たちを呼びに行き、そして他のみんなを呼んでくることに――
たしか食堂には、エイラとリーネが呼びに行ったんだったか。
あがっていたはずのヤツの息も、その頃にはすっかり整っていたことだろう。
そしてエイラたちに連れられ、素知らぬ振りをして再び現場にやって来る。
亡きペリーヌの姿を見た坂本少佐は悲痛に暮れ、それを見てヤツはあることを思いついた。
みんなから聴取をするという名目で、その実は自分のアリバイを偽ろうとした。
つまり、あろうことかヤツは、アリバイの偽装工作にあの痛ましい少佐を利用したのだ。
な、なんということだ……身の毛もよだつとはまさにこのことだ。
本当なら私は、仲間のひとりを疑うなんて真似、決してしたくはないが……
しかし、すべての状況がそう言っている。そうとしか考えられない。
犯人はリベリアンッ……!
いやいやいや……!
あるかもっ……!
あるかもあるかも……!
あるかもだっ……!
- 194 名前:名無しさん:2009/04/18(土) 02:39:29 ID:UmyouDYQ
- と、とにかくっ――このことをみんなにも知らせないと!
とても私ひとりの胸に秘めておけることではない。
真実というものは、かくも胸を痛めつけるものなのかっ!
早く知ら――
「なあ、堅物」
と、そんな私の目の前にひょっこり現れたのがひとり。だから私はそんな名前では――
「ヒィイッ!!」
名前を呼ばれ(いや、そんな名前じゃないがとにかく)、つい私は声をあげてしまう。
なっ、なぜ……よりによってコイツが……。
あまりのことに私は、手に持っていたレポートの束をバラバラと落としてしまった。
「ったく、なにやってんだよ」
と、リベリアンはしゃがみこみ、床に散らばった紙を拾い集め出した。
なんて間の悪いヤツ――いや、むしろ良かったのかもしれない。
「どう? なんかわかった?」
床から視線を上げることなく、リベリアンは訊ねかけてきた。
そ、そうか。コイツとしても、捜査の進展具合は気になるのだろう。気にならずにはいれないのだな。
それはそうだ。当然だよな。だって犯人は貴様なのだからな、リベリアン。
「ああ――実は犯人がわかってしまったんだ」
「本当かっ!? お手柄じゃないか!」
と、リベリアンは顔を上げ、私を見てくる。
「……あ、ああ。そうだな」
なんだというんだ、貴様は。真実にたどり着いた私に、なぜそんな嬉々とした表情を向ける?
「で、誰?」
だから貴様なのだろう、リベリアン? ペリーヌを亡きものにした犯人は……。
私にはすべてわかっているのだから。
貴様が平静をよそおっているふうに見せて、内心では心臓をバクバクさせていることを。
――もしや、この期に及んでまだ、私を欺けると思っているのか?
なんてヤツなんだ。白々しい。見損なったぞ、リベリアン。
お願いだからもうこれ以上、私に失望させないでくれっ……!
「い、今から私の推理を披露する――自首するなら今のうちだぞ」
私の言葉にリベリアンは、なんのことだと不思議そうに首をかしげた。
- 195 名前:名無しさん:2009/04/18(土) 02:40:47 ID:UmyouDYQ
- ミーナ【なんというカタストロフィ】
なにやらトゥルーデが始めるらしい。ようやく真相がわかったのだろうか。
まあ、私としてもこんな事件はさっさと解決して欲しかったところだ。
私はちやほやされてつつ、エイラさんやシャーリーさんから事件の話を聞いていた。
その話をつなぎあわせると、こうとしか考えられないじゃないの。
なのに、なぜこんな簡単なことに、誰も気づかないのかしら?
それよりも――仲間のひとりがこんなことになって(それがペリーヌさんだとはいえ)、
ほとんどのみんながなぜこんなにもゆるいのか、そっちの方が私には気がかりだった。
そのことの方がよっぽど謎らしい謎といえた。
「事件のことだが――外部犯ということは考えられない。このなかに、犯人がいる」
重々しくトゥルーデは話し始めた。さっきまで騒がしかったみんなが静まる。
「ペリーヌを亡き者にした犯人は……犯人はっ……」
え? そうじゃないでしょう。私、言った方がいいのかしら。
「……あのう、ちょっといいですか?」
と、口を挟んだのは私ではない。
リーネさんだ。すっと手を上げている。
水を差された格好になったトゥルーデは、戸惑いと安堵の入り混じった表情になった。
「なんだ?」
「このなかに犯人がいる、って言いましたけど」
「そうだが? なにか?」
「今、ここにはいないじゃないですか。ひとり、すっごく怪しい人が」
え? 誰かしら? たしかにここには11人……。
なぜかトゥルーデはぐいっと首をひねってシャーリーさんを見る。
「びっくりさせるな。いるじゃないか」
「いや、いませんけど……」
「いったい誰がいないって言うんだ?」
と、トゥルーデ。たしかに今ここには――
「ミーナ中佐です」
――――えっ!!!?
- 196 名前:名無しさん:2009/04/18(土) 02:42:14 ID:UmyouDYQ
- 「ミーナ中佐がいないじゃないですか。なんだかすっごく怪しくないですか」
なっ、なんてことを言い出すの、この肩幅は!
わからない――リーネさんがなんでそんなことを言うのか、私には理解できなかった。
目の敵にされるような覚え、私にはない。全然、これっぽっちも、かたきしもない。と、思う。
なのに、なぜなの……むしろ私は、美緒から新人に甘いって言われてるくらいなのに。
彼女が入隊してからずっと、目をかけ、肩を持ってきたのに。
なかなか部隊に馴染めず、かたじけないといったふうな彼女のことを気にかけてきたのに。
それもこれも、この隊の将来は彼女の肩にかかっていると言っても過言ではないから。
ゆくゆくは私と肩を並べるくらい、優秀なウィッチになってくれればと思うからこそ。
宮藤さんの入隊をきっかけに、ようやく肩の荷がおりたと思ったら……私が犯人だとかのたまい出す。
そんなはずがないじゃないの。
そもそも私たちは、肩を寄せあい、苦楽をともにしてきたチーム――いいえ、家族だというのに。
まわりから、ざわ……ざわ……と声が沸き出す。
誰ひとりとして、私の肩を持つ人はいない……。リーネさんの偏った暴論に傾いている。
「私だって本当は信じたくないんですけど……」
どの口が言うのか、リーネさんはそう言うと大きく肩をすくめてみせた。
「リーネちゃん。私だっておんなじだよ。でも……」
「私だってそうダ。だけどナ……」
「あたしだってそう信じたいけど……」
宮藤さんも、エイラさんも、シャーリーさんも、もはや猜疑心の塊と化してしまっている。
かたやトゥルーデといえば、愕然としている。雷に撃たれでもしたように。
「そ、そういえばミーナも赤い……」
この堅物はなにを言っているのか。赤さがなんだっていうの、赤さが!
齢18にして第一級犯罪者の肩書きなんてあまりにも重い。重すぎる。
そんなことになってしまったら、もはやカタギとしては生きていけない。
今まで積み上げてきたものはすべて形無し、うたかたのごとく消えてしまう。
――でも、私から真実を語ることはできない。
だってそんなことをしてしまったら、同時に私の正体も話さなければならないのだから。
だから、私はこの状況をただ、固唾を呑んで見ていることしかできない。
なんてことなの……。
なんて悲劇的な幕切れ……なんというカタストロフィ……。
しょるだない、じゃない、しょうがないで済ませられることではない。
かたかたと震える体をなんとか抑えこみ、私は途方に暮れて、
そしてふと、すっかり頭の片隅に押しやられていたあることを思い出す。
そうよ。私の職業は――
偏ったものの見方では、物事の真実をねじ曲げてしまう。
容易に「ミーナ中佐犯人説」などという騙りにそそのかされてしまう。
たしかに、私が怪しいという言い分は納得できる。
仕方がない。そう考えるのも難くないと思う。
リーネさんには肩肘を張ってしまう頑ななところは知っている。悪意はないのかもしれない。
しかし、だ。
ただ怪しいというだけで犯人と決めつけるなんて、そんなの片腹痛いと言わざるを得ない。
そんな推理が当たっているとあれば、肩透かしもいいところだ。
だから私は、なにがなんでも勝たなくてはいけない。私が私であるために。
でもそのためには、誰か味方してくれる人がいないと――
美緒はあんな状態だし、サーニャさんは寝ているし、フラウは読書中だし……ん?
いや、そんなことよりも。
誰でもいい。誰か、私に加担してくれる人は――いた!
- 197 名前:名無しさん:2009/04/18(土) 02:44:07 ID:UmyouDYQ
- ルッキーニ【航空歩兵探偵として】
向こうの方でなんかやってる。なんだろ? まあ、なんでもいいや。
あたしはソファーにごろりと寝転んで、なんだかうとうと。
それもこれも、シャーリーがかまってくれないせいだ。
要するに、あたしはすっかりふて腐れてた(ミーナ中佐が小さいからってなんだってんだろ)。
――と、そんなあたしの前にむくりと現れたちっこいの。
噂をすればだ。ミーナ中佐が寝ているあたしを見下ろしてて、しかもなんだか怖い顔をしている。
お……怒られるっ!
瞬間的にあたしは察知して(条件反射ってヤツ)、ソファーから飛び起き、床に着地。
ずるりと足元が滑る。なんか踏んづけたせいだ。
「アッ、ルッキーニ! 私が畳んでおいたんダゾ」
と、エイラ。
なんのこっちゃ、しーらないっと。
それより今は逃げないと。あたしはロケットスタートを切った。
――けど、それはすんでのとこでかなわない。
「いだっ! いだだだだだだだっ!!」
なっ、なにすんの、ミーナ中佐っ!
あたしの自慢の髪のはじっこを、ミーナ中佐が掴んだのだ。
前に進もうとしてたあたしは、急に止まることもできるはずなく、
つまり今、ツインテールのうち1本がピィンと張っている状態。
そしてあたしの髪はぐいっとは引っぱられ、あたしは振り向かずにはいられない。
ミーナ中佐の顔が再び、イヤでもあたしの目に入ってくる。
必死、決死、鬼気迫るとかとにかくそういうの。
「どうかしたの、おねえちゃん?」
ミーナ中佐は表情とはうらはらに、穏やかに訊いてきた。
今なら背だってあたしのがずっとおっきいのに……でもそんなのは関係ない。
小さくなってもやっぱり、ミーナ中佐はミーナ中佐だ。
引きずられるようにしてソファーの陰まで連れてこられてしまった。
ミーナ中佐は声をひそめて話し出す。おっきいいつものミーナ中佐の調子で。
でも今は、あたしよりちびっこ。なんだかそれがおかしかった。
「みんな私を犯人だって言うの。私は潔白だっていうのに。……ちゃんと聞いてるの?」
「う、うん。聞いてる聞いてる」
「私、すっごく困ってるの。ルッキーニさん、あなただってこのままじゃ困るでしょ? そうでしょ?」
しぶしぶながら、あたしはうなずく。
ここで「別に」なんて言おうものなら、なにをされるかわかったもんじゃない。
「――そんで、あたしになんなの?」
「お願いしたいことがあるの。あなたにしかできないことよ」
「ふ、ふーん」
「もちろん聞いてくれるわよね。お願いっ」
これはお願いじゃない。あたしは今、脅迫されているんだ。
――とはいえ、なにもあたしは協力しないつもりだってない。
「つまり事件を解決するんでしょ。航空歩兵探偵として」
「とにかくそういうことよ。それはよくわからないけど」
まだまだ自覚が足りていないみたいだ。本当に大丈夫なのかな?
「大丈夫よ。きっと上手くいくから。ほら――ええっと、じっちゃんの名にかけて」
私の心を見透かしでもして、ミーナ中佐は言った。けど、それ違う。
「でもわかってる? あんまり目立つようなことしちゃダメなんだよ?」
「ええ、それなら考えがあるの」
「ならいいけど……。で、あたしはなにをすればいいの?」
「今すぐ厨房に行ってきて」
「厨房? なんで?」
まあ、一刻も早くここから立ち去れるならなんでもいい。
「持って来てほしいものがあるの」
そうしてあたしは厨房へ向けて走り出した。
なんだかよくわからないけど、あたしはあたしに言われたことをやってればいいや。
それにしても今日はなんなんだろ。なんか走ってばっかの一日だ。
ミーナ中佐のことといい、ペリーヌのことといい、
正直なところあたしにだって、まだ事態が呑みこめてない。
――と、曲がる角にはなんとやら。
人とぶつかったのだ。考えごとしてたせいで、よく前を見てなかった。
今日は前方注意報の一日でもあるのかも。なんだかまたありそうな気がするし。
シャーリーの豊満な胸に慣れきっているあたしにとって、そのぺったんこは、
いい具合にクッションにはなってくれない。
あたしは床に尻餅をついた。
痛いなぁ。いったい誰……
って、ああ、なんだ。ペリーヌじゃん……。
第4話 じっちゃんの名にかけて おわり
- 198 名前:名無しさん:2009/04/18(土) 02:46:01 ID:UmyouDYQ
- 以上です。いや、続くんですが。
続きの方はぼちぼちと。
つか、ハルトマン姉妹の誕生日は明日か……。
- 199 名前:名無しさん:2009/04/18(土) 02:59:52 ID:ZBwzf6J.
- 声優ネタ自重wwwwwだがGJ!
- 200 名前:名無しさん:2009/04/18(土) 10:23:39 ID:72LqDLag
- いまさらミーナさん誕生日ネタと、もうひとつ投下
- 201 名前:遠い手紙がつくころに 21x2w2Ib 1/3:2009/04/18(土) 10:24:27 ID:72LqDLag
- ハロー、ハロー、聞こえますか?届いていますか、私の言葉。
なーんて、手紙で音まで届けられたらいいのにね。まあ無理だって知ってるから、今日も君にこうして手紙を
書いているわけだけれど。
ねえ、多分きっと、君は私の手紙なんて読み流しているのだと思うけれど、今日は、今日ばかりは、ちゃんと
読んで欲しい、聞いて欲しい。
今から私の、大切な人の話をします。その人の誕生を、一緒に祝って欲しいのです。
*
「フラウ、起きなさい、フラウ。」
優しく揺り起こされて目を覚ました。寝ぼけ眼をこすって見上げると、赤い色が目に焼きつく。あれ、この人は
誰だったっけ。瞬時にはそれを判別できなくて、うう、と言葉にならない声を上げた。
おはよう、フラウ。
その人の声は、まるで小鳥がさえずるようだ。小川のせせらぎや、木々のざわめきにも似ている。ひたすら
に耳に優しくて、まるで一つの音楽のよう。決して耳をつんざいたりはしないその柔らかな言葉に、口許が
綻ぶ。いつも私をやかましく起こしてくれる正確無比な目覚ましさんのことも嫌いではないけれど、たまには
こんな、穏やかな目覚めもいい。
「…正確にはおそようよ、フラウ?」
「…トゥルーデはぁ?」
「朝食の当番なのよ。火のついたお鍋をほうって出かけるところだったから、私が止めたの」
「…あさごはん…」
そう言えば、微かに開いた扉からほんのりいい香り。ふかしたお芋のかぐわしい匂い。頭の中で、二人の
私が相談する。どっちが天使?どっちが悪魔?そんなの私には分からない。ただひとついえるのは、それは
どちらも私だと言うことだ。
ぼやけた視界のままだから、目に映るのはひたすらに赤い色。起こす前に彼女が開いたのだろう、開け
放されたカーテンは、室内に眩しい朝の光を煌々と差し出してくる。そんなものを献上してくれなくたって、
私は充分に可愛いよ?なんて茶化していってみたくなるくらいに。
その光が赤い色を鮮やかに映し出して、私は用やっと目を見開いた。昨日トゥルーデが片付けたばかり
だからまだそこまでは散らかっていない部屋。トゥルーデにはともかく、この人に散らかり果てた部屋を見ら
れるのは何だかちょっと気恥ずかしいというか、少し怖いから安心する。
ほら、フラウ、起きなさい。
歌うように重ねられる言葉は、まるでむかしむかし母様が歌ってくれた子守唄のよう。幼い私と妹を一つの
ベッドに寝かしつけて、器用に二人の額を撫でながら歌ってくれた、その歌。そんな母様の髪も金色だった
のに、どうしてか今はその赤に母様を想うんだ。
「…みーな」
「なあに、フラウ」
「みーな、そう、みーなだ」
「どうしたの、突然」
「みーなだね」
ふと、こぼれたつぶやきは彼女の名前。無意識に口にしたそれでようやっと、私が目の前にいる人を認識
する。そうだ、この人はミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ。我らが第501統合戦闘航空団の隊長。私にとって
は、上官にも当たる人。
「そろそろ起きなさい。早く行かないとトゥルーデが心配してやってくるわよ」
「…あと、いちじ…いや、ごふん…」
「一時間でも5分でも、だあめ。ほら、起きるの。」
横たわったままの私を持ち上げて前もって用意していたらしいシャツをすかさずかぶせる。ほら、またズボン
をはいてない。くすくすと笑って差し出されたズボンに、どうしてか顔が火照る。なんでかな、トゥルーデなら
そんなに恥ずかしくないのにな。
「い、いいよ、あとは自分でやる、やるから」
- 202 名前:遠い手紙がつくころに 21x2w2Ib 2/3:2009/04/18(土) 10:25:07 ID:72LqDLag
- ジャケットまで着せてくれようとしたミーナの手を押しとどめて、ジャケットを奪って手を通す。ミーナは少し
驚いた顔をしたけれど、すぐにまた穏やかに笑った。なんだかばつが悪い。
「ほら、顔を洗って、歯を磨いて。そうしたら一緒に食堂に行きましょう?」
「…ひとりでできるよ、大丈夫だってば」
「だめ。あなた、二度寝するでしょう?」
「しな…する、かもしれない、けど」
ほら、あの、北風と太陽の話みたいに。
突然温かな日差しのような態度を向けられて、私は戸惑うばかりなのだった。いつも冷たい冷たい北風に
吹き付けられているから、意地を張って何十分も眠りなおしてしまうけれど今日はなんとなくそうも行かない。
何をしても怒られないから、決まり悪くて言われたとおりにすることしかできない。
「…用意、出来た」
「よろしい。じゃ、行きましょうか」
差し出される手。温もりの端っこ。いつもはむしろ、腕ごと引っ張られたり手を引くほうなのに。
何もかもがいつもと違っていて妙な気分で、でも不思議と居心地の悪さはない。ただ胸に湧き上がる。
きゅう、と締め付けられるような気持ちばかりが増していく。
彼女の指の先を凝視したまま固まっていたらどうしたの、と首を傾げられてしまったので、観念してその
先っちょをきゅっとつまんだ。
「こないだは、お疲れ様」
廊下を連れ立って歩く。私よりずっと背の高い彼女と歩いているときは、自然と見上げる形になる。なんの
こと?と首を傾げたら、この間の出撃よ、と付け足しの言葉が降って来た。
「…私は、別に、するべき事をしただけだから…」
「ふふふ、でも、ちゃんとみんなを連れてかえって来てくれたでしょう?一人も失わずに、ね」
「…うん」
「…大切なのは、スコアじゃない。みんなが無事に帰ってこられることが、一番大事。私はフラウの、そう
言う考え方大好きよ。素敵だと思う」
「…うん」
悪びれもなく、そんな言葉を言われて。
また降り注いできた温かな日差しに、心の皮をまた一つ脱ぎ捨てたくなってしまう。別に理由なんて何ひとつ
ないのに、涙がこぼれてしまいそうな。
だって初めてだったんだ。何も言わず、私そのものをこうして受け止めてくれる人。家族でもないし、トゥル
ーデのように長い付き合いでもないのに、彼女は最初から私の太陽だった。
通路には、おいしそうな匂いが漂っている。それは少しだけ開け放された窓からの風に乗せられて私たちの
元まで届くのだ。
その風はまだ冷たいけれど、けれども冬にはなかった柔らかさとみずみずしさを確かに含んでいる。もうすぐ
春だね。言おうと思って、彼女を見上げて…言葉にするのをやめた。だって見やったその横顔が、ずいぶん
と真剣なものだったから。
私より2つも年上のそのひとの、考えていることは私には分からない。同い年のトゥルーデなら分かるの
かな。私より高い目線で、それとほとんど同じ高さで景色を見ることの出来るトゥルーデなら。
もうすぐ誕生日だね、ミーナ。その言葉も、なんとなく飲み込んでしまった。
*
ふう、と一息ついて、姉からの手紙を折りたたんだ。ほのかに赤い色をした便箋は、この手紙の内容を示唆
しているのだろうか。あの姉に限ってそんなことはないだろうと思いつつ、いや、それでも彼女だったらやり
かねないだろうと言う気持ちが拭い去れない。
ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ。その名前は私も知っている。カールスラントいちの司令官とも名高い女性
だ。彼女自身は司令の任務が多い影響でスコアは姉に及ばないけれども、それでも目を見張るものがある。
- 203 名前:遠い手紙がつくころに 21x2w2Ib 3/3:2009/04/18(土) 10:25:37 ID:72LqDLag
- カレンダーをみる。3月11日。狙ったかのような、その日にち。
それは姉の上官の、ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケの、誕生日だというのだった。エーリカにしてはひどく
言葉少ない文面で、こわごわと言ってもいいほどの言葉の運び方だった。らしくない。いつも飄々としていて、
愛されるのが当然で、それを目一杯享受している、姉らしくない。
上官とは基本的に折り合いが合わないのだと聞いていた。彼女の手紙にしょっちゅう現れる「トゥルーデ」と
やらとも、相当の衝突があったようだった。それらはすべて手紙に書かれていたから、私はいつのまにか、
あったこともないそのひとのことを良く知っているのだ。好きな食べ物、嫌いな食べ物、得意な料理、苦手な
もの。
けれど、そう言えばこのミーナ・ディートリンデ・ヴィルケの話は今日初めて聞いたような気がする。名前は
たびたび出てきたけれど、エーリカはその「ミーナ」とやらが一体彼女にとってなんであるのかということに
言及をしなかったから。彼女が書かなければ私に尋ねる理由などなく、そう言えばそのままにしてしまって
いた。
2つ年上だということ、背が高いこと、赤い髪と、赤い瞳をしていること。元々声楽家を目指していて、歌が
とても上手いこと。
ゲルトルート・バルクホルンにたいする酷評とは打って変わった、彼女に対する好評さは私をずいぶんと
驚かせた。太陽みたいな人なんだ。ぽつりと呟くように書き足された最後の一言が、妙にリアルに耳元で
再生される。太陽ってどういうことだろう。明るい?元気?力強い?けれど文面や、噂に聞く彼女の性格
からそれはかけ離れていて。
(あってみたい)
不意に、そんな気持ちが頭をもたげる。その「ミーナ」にも、「トゥルーデ」にも、エーリカが書き連ねてくる、
にぎやかで一風変わった、多くの仲間たちにも。
彼らの前でエーリカはどんな顔をするだろうか。私の知らないエーリカが、そこにはいるのだろうか。
「…ウルスラ、なんか変な顔してるわよ」
「え」
「なんか、ニヤニヤしてるって言うか、でも、ちょっと不機嫌そうっていうか」
「そんなことない」
「わかるわよ、何年一緒にいると思ってるの」
「と、いうか、なんでここに」
「そんなの、この間ウルスラが自分の部屋をまた吹っ飛ばしたからでしょ。ここは私の部屋」
「あ…」
突然聞こえたハルカの言葉に、妙に焦っている自分がいて。ばつが悪くて眉間にしわを寄せる。でも、
どうしてか口許に力が入らない。不思議だ。
「…ハルカ」
「なあに?」
「おめでとう、と、言って上げて」
「…だれに?」
「いいから」
わかったわよ、おめでとう。これでいい?
呆れたように、それでもきちんと返してくれる言葉が嬉しい。そう言えば以前は全くそんなやり取りができて
いなかったけれど。
「おめでとう」
なんか今日のウルスラ、変。
肩をすくめるハルカをよそに、私はなんとなく、とてもとても満ち足りた気持ちになっていた。
けれど胸のどこかが不思議とぽっかりと開いているのはたぶんきっと、気のせいなのだろうと思うことにした。
了
もうひとつ投下します
- 204 名前:ハニーバースディ前話 21x2w2Ib 1/2:2009/04/18(土) 10:27:07 ID:72LqDLag
- ※0921 ハニーバースディ の前日の話です
いいじゃんかよう、たまにはさあ。
先ほどから私をとっつかまえて、袖をぐいぐい引きながら口を尖らせるハルトマンに私は苦笑いを返すこと
しか出来ないのだった。
「いや、しかしだなあ。」
こういった執務は私に向いていないためにすべてミーナに投げてしまっているから、彼女に黙ってこういった
ことをするのには抵抗があるのだ。
「しかし…」
「これに!ばばばっと、訂正を許可するサインをくれればいいの!!!あとは私がなんとかするから!
お願い坂本少佐」
「いや、だから…」
「サインしないと食堂のショウユとミソ全部捨ててやる」
「ちょっとまて、それはだめだ!!!砂糖、塩、酢、醤油、味噌の5つの調味料は扶桑料理には欠かせない
もので…」
「じゃーサインしてよ!!!」
「いや、しかし…」
先ほど通路を歩いていたところをつかまり、ブリーフィングルームに引っ張っていかれてからずっとこんな
感じだ。私は私でどうにもこうにも飲むことの出来ないものであるし、ハルトマンもハルトマンで色々と考えが
あってこうしている(のだと主張している)らしい。
「明日!ミーナを一日休ませてくれればいいの!あとは少佐がうまくやっといてくれれば何にも問題ない!」
「だからそれは、ミーナが隊員全員とのスケジュールの兼ね合いを含めて指定したシフトであって、前日に
急に変えられてもだな」
「なんだいなんだい、少佐だっていっつもミーナのシフト無視して出撃したり訓練したりしてるくせにー」
「…そう言うハルトマン、お前はシフトを無視して眠っているがな…」
「エーリカちゃんは自分のことは棚に上げるタイプなのでーす」
承諾するまでは離さないぞと言わんばかりに袖を引っつかまれている。普段無口な割にこういったときは
ずいぶんと饒舌で、しかも頑固なのだなと思った。もしかしたらそれは、ミーナやバルクホルンといった
限られた「仲間」の前でしか見せない素の彼女なのかもしれない。
「…大体、明日に一体何があるというんだ。突然やってきて、意味も分からず要求だけを突きつけられても
困るだろう」
呆れ混じりに呟いたら「はああああ。」盛大な盛大なため息。全くこれだから、フソウノマジョハ!…それは
ミーナの真似か、ハルトマン。
「…少佐ってほんと、そう言うの無頓着だね」
「無頓着、って」
「明日は!トゥルーデの!お誕生日!!!」
「…誕生日…なの、か?」
「ちなみに!11日は!ミーナの誕生日だった!!!」
「…なんだって」
驚きを隠せずに目を見開いたら、ハルトマンの不機嫌そうな顔だけが大きく映し出された。ほんとうの
ほんとうに、むとんちゃくだね!!ぷぅ、と頬を膨らませて腕を組んで。責めるように私をにらみつけてくる。
「大切な仲間だもの。お祝いした言って思うのは当然でしょ」
「いや、それはそうだが…でも、それならば隊のみんなですればいいじゃないか。どうしてミーナが明日一日
休む必要があるんだ」
「トゥルーデの妹のクリスと、一緒にお祝いしたいと思ったの!!もーほんとうに、坂本少佐は気が利かない
なあ」
「そんなことをいわれてもだなあ…」
言われて初めて、バルクホルンの妹の存在を思い出したなどとは決して言えない。…そうか、ようやく長い
昏睡状態から目覚めた妹だもの、誕生日くらい一緒に過ごさせてやりたいと思うだろう。それはもちろん、
バルクホルンやハルトマンに対して「私たちは家族よ」と言って憚らない、ミーナとも。少し遅れてしまった
けれど、彼女もまた誕生日を迎えたことには変わりないのだ。
- 205 名前:ハニーバースディ前話 21x2w2Ib 2/2:2009/04/18(土) 10:28:59 ID:72LqDLag
- …正直を言うと、ハルトマンの言葉にようやっとはっとしたと言っても過言ではないのだった。ここ10日ほど、
不規則なネウロイの襲撃があり、気が張り詰めていたせいもあるのかもしれない。当然のことながら今
ハルトマンが言い出したようなシフトの変更なんて即刻却下されていたろう。ハルトマンは、無理を通して
まで我を通す性格では決してない。むしろ、きちんと周りに目を配ることが出来るやつなのだと私も良く知って
いる。
「だいたいさあ」
「…ん?」
ふと、エーリカの声のトーンが低くなった。先ほどの不機嫌さとはまた違った部類の不機嫌さが、その顔には
現れている。訝しげに思い首をかしげても、尖った口が更に尖るばかりで。
「だいたい、ずるいんだ、坂本少佐は」
「…なにがだ」
「私より付き合い浅いくせに、あんなにミーナに頼りにされるし、トゥルーデも尊敬してるみたいだしー。特に
ミーナ!!!二人でよく話してるし!ずるいの!だからいいでしょ、明日くらい!」
ずるいから、いいでしょう?
どう好意的に受け取ってもはちゃめちゃなその理論に、私は乾いた笑いを浮かべることしか出来ない。この
シフト表にサインした場合これをミーナに報告しに行くのは恐らく私で、その説明も私がやらされることに
なるのだろう。
…が、しかし。『最近私とミーナが仲がいいからずるいと怒られました』などと報告できるはずもなく。けれど
彼女が説明を求めてくることは明白で。
口を尖らせたままのハルトマンが、じぃ、と私を見つめてくる。その瞳の奥にあるのは仲間に対する、深い
深い思いやり。彼女らの誕生を、心から祝ってやりたいと言う思い。
けれど彼女は知っているだろうか。新しく誕生日を迎えること、一つ年をとること。それは、彼女たちのウィッチ
としての死刑執行の階段をまた一つ上がったに過ぎないということを。
もしかしたら彼女たちは、あえて誕生日を見ないことにしていたのかもしれない。カレンダーなんてみる暇も
ないほど、自分の役目に打ち込んで。そうして確実に近づいているタイムリミットから、目をそらしたいと
思っていたのかもしれない。まだハルトマンには分からないかもしれないけれど、私には分かる。だって
それは私も通ってきた道だから。
(ああ、うん、でも、それでも──)
「…わかった。ただし、ミーナの説得はハルトマン、お前が責任を持ってやるんだぞ」
「…いいの!?」
手渡されたペンを手にとって、サインを施していく。毛筆でないと少し書きにくいけれど、この際仕方がない。
誕生日を迎えることが、タイムリミットへのカウントダウンを昇るに過ぎないのだとしても、それでも。自らの
誕生を、存在を、心から喜んでくれる人がいること。それを祝いたいとまで、考えてくれる人がいること。
──それは、ウィッチとしての自分よりもずっと、ずっと大切なことだと思ったのだ。
「じゃあ少佐、こっちのほうはよろしく!」
「…こっち?」
「なに、こっちの部隊では一切お誕生日を祝わないとか、そう言うの私許さないからね!!ちゃんと他の
みんなにも言っといたから、少佐も手伝ってよ?じゃあ!」
「え、え、えええええ!?」
サインの施されたシフト表を持ち去って、文字通り嵐のようにハルトマンは消え去る。なんだか夢を見て
いたような気がして頬をつねってみたけれど、ひりひりとした痛みが走るだけ。そのうち、何だか妙におかしな
気持ちになってきて、わっはっは!声を上げて笑う。なんだか胸のもやもやが一気に去ったような、不思議
な心地。
さてと、他の隊員の間ではどこまで話が進んでいるか、聞きに行こうか。
そんなことを考えながら、ブリーフィングルームをあとにした。
了
お手数ですが、保管庫No.0921 ハニーバースディの作者名を21X2w2Ibから21X2w2Ibに変更お願い出来ますでしょうか。
こちらの入力ミスで一部全角文字になってしまったようです。どうも申し訳ありませんでした。
- 206 名前:名無しさん:2009/04/18(土) 10:45:42 ID:2sNwYHTs
- >>205
リアタイキタ! しかも2本! 待ってましたよー!
ウルスラ! ウルスラ! とかもっさんあんた…w、とかいろいろいいたい事はありますが、これだけは言わせていただく
エ ー リ カ マ ジ 天 使
かわいいなぁ
- 207 名前:名無しさん:2009/04/18(土) 13:40:17 ID:nAQ8wn8c
- >>205
2の多い人GJ! 貴方の文章は毎度毎度素晴らしいですよ。
どうしたらそんなうまい文章が書けるのか…。いやはやGJ。
- 208 名前:名無しさん:2009/04/18(土) 23:09:45 ID:B59z8V8I
- >>203
GJ! ウルスラ×ハルカとは珍しいw
何故だろう。ウルスラの身がひどく心配だ。ウルスラが純なだけにw
1000まで@21。
あれだ。きっと1000まで行ったら、じっちゃんがシャッキーニ書いてくれるに違いない! たぶん。
- 209 名前:名無しさん:2009/04/18(土) 23:37:54 ID:9umATft6
- こんばんは。LWqeWTRGです。
ハルトマン姉妹生誕祭を前にしてエイラーニャ2レスを投下、またも小ネタのため会話のみですがよろしければどうぞ。
- 210 名前:名無しさん:2009/04/18(土) 23:39:08 ID:9umATft6
- 「なんか今度少佐が宮藤の学力テストをするんだっテ」
「テスト…」
「ん? どしたサーニャ」
「私、エイラに関するテストなら満点とれる自信があるわ」
「えぇ? いきなり変なこと言うナヨ〜」
「変じゃないわ。私はエイラのことならなんでも知ってるの」
「た、例えバ…?」
「例えば…、エイラは私が眠ってる隙に、キスをする練習しようと顔真っ赤にしてたり、ナチュラルに手を繋ぐシミュレーションしてたり」
「な、なぜソレを!?」
「他にも食事が終わった後、私のスプーンとかを狙ってる。私の服をたたむ時楽しむためわざとゆっくりやってるでしょ。それから――」
「――やめてえぇぇぇ!! 私が悪かっタ! 謝るからもう許して……」
「ふふふっ。…ね? 私はなんでも知ってるの。エイラのダメなとこも、優しさも、かっこいいところも…」
「サーニャ…」
「そして、エイラがいちばん私を愛してくれてることも…」
「なっ、何言ってんダヨ…」
「私はエイラのことならなんでも知ってる。エイラは私のこと知ってる?」
「あ、あああ当たり前ダロ! 私を誰だと思ってんダ!」
- 211 名前:名無しさん:2009/04/18(土) 23:40:14 ID:9umATft6
- 「じゃあ、私の気持ちもわかってるよね?」
「ぅ…」
「わからない?」
「いや…わかる、よ……?」
「うん、言ってみて」
「えぇと、サーニャは…私のことが……す、す……なんダ…」
「ちゃんと言って、お願い」
「うぅぅ…。サ、サーニャは、私のことが、すす、すきなんダ…!」
「うん、そう…。それが私の気持ち。私のいちばん大事な気持ち」
「ぇぅ…」
「じゃあこっちもわかるよね? 私が今してほしいこと」
「え…? ちょサーニャ、それは…」
「わかるんでしょ? なら、ね」
「う、あ、あぁわかるヨ。わかるケドさぁ…」
「今こそ練習の成果を見せるときじゃないの?」
「それは言わなくてイイヨ!」
「うふふふっ」
「ったくぅ…」
「あぁ、早くしてほしいな…?」
「……」
「まだかなぁ…?」
「……」
「エイラならきっとしてくれるとおも――」
「…ありがと、エイラ」
「…どういたしまして……」
「ねぇ…」
「な、なんダヨー」
「今私が言いたいこと、わかるよね!」
「ちぇ…。そうだよよーくわかるヨ…」
「じゃあ、言うよ…」
「「だいすき!」」
END
- 212 名前:名無しさん:2009/04/18(土) 23:41:14 ID:9umATft6
- 以上です。
また変な感じな会話だしこのパターン何回目だっていう。
タイトルは「伝わる心」です。
では失礼します。
- 213 名前:トゥルーデ撃墜部隊:2009/04/19(日) 00:00:04 ID:TL4Hxe8Y
- >>212
GJ!最後の「だいすき!」があったかくていいなぁ
さてさてハルトマン姉妹誕生日おめでとう!ということで、エーゲルを投下します。
>>89の続きです
- 214 名前:名無しさん:2009/04/19(日) 00:00:39 ID:TL4Hxe8Y
- 4月19日、0:00。
「Herzlichen Glueckwunsch zum Gebrutstag」
私は小さく呟いて、ワインを入れたグラスを持ち上げた。
もう消灯時間はとっくに過ぎてるから、灯りは小さなスタンドライトだけ。
ほんとはケーキを食べたいとこだけど、それは夜が明けるまで我慢。
私と、別の場所にいる私の半身の誕生日。
ウルスラと離れてからは、いつもこうやって0時ちょうどに一人でお祝いする。
「〜っ、おいしっ」
くーっとワインを飲み干して呟く。前にミーナに分けてもらったワインだけど、甘くて美味しい。
あー、やっぱりケーキほしいなー。こういう時、自分で作れないのはネックだね。
――カチャ
「?」
静かにドアの開く音がして、振り向いた。
ドアの向こうから覗いた顔は、私の一番大好きな人。
「トゥルーデ?」
「…入ってもいいか?」
「もちろん、いいよ」
音を立てないようにしながら、トゥルーデが部屋に入ってきた。
正直、私はちょっとびっくりしている。
ほんとはトゥルーデと二人で誕生日を迎えたかったけど、規律にうるさいトゥルーデが深夜に付き合ってくれるとは思わなかったから声をかけていなかった。
トゥルーデの誕生日は私が勝手に部屋行ったけどね。
- 215 名前:名無しさん:2009/04/19(日) 00:01:44 ID:TL4Hxe8Y
トゥルーデは私をじっと見つめて、言った。
「誕生日おめでとう、エーリカ」
…うわ。どうしよう、素直にすっごい嬉しい。
私がちょっと面食らっていたら、トゥルーデは目の前に何かを差し出した。
途端に香る、甘い匂い。
「…ケーキだ」
「小さいけど我慢しろよ。ちゃんとしたのは、後でリーネたちが作ってくれるだろうからな」
小さなお皿にちょこんと乗った、小さなケーキ。
チョコのプレートに、誕生日おめでとう、とカールスラント語で書かれていた。
作ってくれたんだ。私のために。
「あと…対した物じゃないが、これ…」
トゥルーデは更に、何かを2つ、差し出した。
可愛いくまのぬいぐるみが、木で出来た四角い額を持っていた。ちょうど、写真が一枚入るくらいの大きさの額だ。
右のくまは青いリボンを、左のくまは赤いリボンを首に巻いている。
「片方はウルスラに。パーティーの時にみんなで写真を撮るから、それを入れて贈ってやって……うわっ!」
言い終わらないうちに、私はトゥルーデに抱きついていた。
頬にぬいぐるみのふわふわした感触が伝わる。
「え、エーリカ…」
「トゥルーデっ…ありがとう!すっごい嬉しい!ほんとに…あ〜もうっ!」
- 216 名前:名無しさん:2009/04/19(日) 00:02:47 ID:TL4Hxe8Y
- うまく言葉が出てこないや。胸がいっぱいでいっぱいで。
言葉の代わりに、私は思いっきり抱きついた。
「エーリカ、ぬいぐるみが潰れるだろう」
「ああ、そうだそうだ」
トゥルーデに言われて、私は力を抜いた。
顔を上げた私を、トゥルーデは少し不安そうに見つめる。
「…あの…私は、ぬいぐるみとかよくわからないから…これで良かった、か…?」
「当然だよ!私はトゥルーデに貰えるならなんでも嬉しいけどさ。でも堅物のトゥルーデにしちゃ可愛らしいチョイスだね」
「…実は、クリスに少し相談に乗ってもらったんだ。ちょうど、考えていたものにぴったりのものがこれで…」
相談?いつのまに。
でもそこまで真剣に考えてくれたんだ。私だけでなく、ウルスラの分まで。
「きっとウルスラも気に入るよ。ほんとにありがとう、トゥルーデ」
にっこり笑うと、トゥルーデも安心したように微笑んだ。
「ところで、この後も付き合ってくれるんだよね?」
「…今日だけ、だからな」
どっかのヘタレ冬将軍みたいに呟いたトゥルーデは、真っ赤になっちゃって可愛かった。
もっと赤くしてやろうと、にっと笑ってみせる。
「トゥルーデ。私だけへのプレゼントはないの?」
- 217 名前:名無しさん:2009/04/19(日) 00:04:19 ID:TL4Hxe8Y
ほら、この前の誕生日のお返しだよ。
“プレゼントは…わ、た、し。”でしょ?
そう言ってやろうと思っていたら。
「…わ……私を、貰ってくれるか…?」
「……へ…?」
不意を突かれた。
まさかトゥルーデが自分から言ってくるなんて。
耳まで赤くなってぼそぼそっと呟く姿は、想像以上に可愛い。
「なっ、なんでもない!今のは忘れろ!」
つい反応出来なかった私にトゥルーデはそう言ったけど。
もう遅い。
「喜んでいただきまぁすっ!」
「うわっ!」
喜びと興奮が最高潮になって、その勢いで二人でベッドへ倒れ込んだ。
焦るトゥルーデを尻目に、ふくよかな胸をむにゅっと掴んで揉みしだく。
「あっ、…待っ、エーリカ…」
「待てません」
最高の感触を楽しみながら、トゥルーデの髪を結っているリボンを口で引っ張ってほどく。さらっとした茶髪がベッドに広がって綺麗な模様を作った。
服もさっさと脱がせて、プレゼントの開封終了。
「改めていただきます、トゥルーデ」
おでこに口付けると、トゥルーデはぴくんと震えた。
「…から…」
「ん?」
恥ずかしそうに身を縮めたトゥルーデが、小さく呟いた。
「今日は、エーリカの…好きにしていいから…」
- 218 名前:名無しさん:2009/04/19(日) 00:05:39 ID:TL4Hxe8Y
…トゥルーデ、今日は爆弾持ち過ぎだ。
そんな真っ赤なリンゴみたいな顔で、好きにしてなんて言われたらたまんないよ。
「起き上がれなくなっても知らないよ?」
「さ、最低限の加減はしろ!」
「あんな誘い方したトゥルーデが悪いんだかんね」
「な…っ!エーリカッ…ぁ…」
この夜、私エーリカ・ハルトマンは5回以上の撃墜を達成。夜の“Ace in a day”となりました。
―――
「ほら、並んで並んで」
「ルッキーニはちっちゃいからこっちな」
「わ、私はサーニャの隣でいいよな?な?」
パーティーの準備が終わって。
リーネと宮藤が作ってくれたおっきなケーキを私が抱えて、真ん中に。
その私をみんなが囲んで、カメラの方を向いた。
「よし、行くぞ」
ちょっと疲れた顔をしたトゥルーデが、ファインダーから顔を離して整備員の人にシャッターを渡した。
私は隣に入ったトゥルーデを引き寄せ、ぴったり頬をくっつける。
「ちょ、エーリカ…」
「ほらほら、前向いて」
くっついた頬がほんのり熱くなった時、乾いた音が私達を写真に閉じ込めた。
ウルスラ、私は元気でやってるよ。大事な仲間と、大好きな人と。
可愛いくまに持たせて贈るから、お前も仲間と写真撮って、私にちょうだいね。
私と、私の大好きな人から。
誕生日おめでとう。
- 219 名前:トゥルーデ撃墜部隊:2009/04/19(日) 00:06:51 ID:TL4Hxe8Y
- おしまいです。
ウルスラサイドも書きたいとこですが、いかんせん私はいらん子をまだ読んでいない故断念しました。
どなたか書いてくれたりしたら嬉しいですw
- 220 名前:名無しさん:2009/04/19(日) 00:09:33 ID:6hQhgTRw
- >>203&&>>205
GJ!!あなたの描くSSのキャラってのはどうしてこう魅力的なんだろうか。
きゅんきゅんしました。ハルトマン姉妹万歳!
>>212
何回目だろうが言わせてもらうぜ、GJ!!
スプーンを狙うとか、エイラの変態欲求をあっさり受け入れてるサーニャさん素敵過ぎるw
ああそうか、サーニャもエイラの食器やら服やらを……おっと、誰か来たようだ。
>>219
ぬおお、危うく被るとこだった、リアタイktkrそしてGJ!!
まったくこんな積極的なトゥルーデとはけしからんもっとやれ。
そしてAce in a dayワロタw
- 221 名前:名無しさん:2009/04/19(日) 00:11:52 ID:4rwo2HeM
- エーリカにウルスラ、誕生日おめでとう!!!
というわけで3本ほど投下します
- 222 名前:えりたん! その1 1/3 21x2w2Ib:2009/04/19(日) 00:15:23 ID:4rwo2HeM
- ふわり、ふわり。甘い香りがキッチンに広がって、私はそれだけで幸せな心地になる。リーネちゃんが甘い
甘いお菓子をたくさんたくさん作ってくれているのだ。
「腹減ったナー。なあなあ、ちょっとくらい味見してもいいダロ?」
つぶやくのはエイラさん。聞いたそばから返事も聞かないで山盛りのブルーベリーやラズベリー、コケモモに
手を出してつまんで食べて、「だめっていってるじゃないですかっ」と、お菓子やお茶についてはどこか厳しい
ところのあるリーネちゃんにまたたしなめられていた。それでもやめる気配が感じられないあたり、エイラさんも
エイラさんでリーネちゃんの性格をよく理解しているなと思う。
私の目の前にあるおなべの中で、小豆がお湯を赤い色に染めていく。ふんわりと、やわらかくておいしそうな
いい香りがなべから漂って、ほらまた、私のおなかの中の虫さんが一匹増えた。
「…ミヤフジさん、いったいそれはなんですの?」
「これは、お赤飯を作るための煮汁です。扶桑では、おめでたい席には必ず出るんですよ。坂本さんも大好き
です。もちろん、私も!!」
「あなたの好みなんて聞いておりませんわよ。…でも…まあ、あの腐った豆よりは食べられそうですわね。
それにしても扶桑人は豆、豆、豆ですのね。まるでどこかのカールスラントさんのお芋のようですわ」
「もー、お芋もいいかもしれませんけど、お豆には栄養がたくさんあるんですよ!特に納豆を作るのに使う
大豆なんて畑の肉とも呼ばれていて…」
「納豆の話はおやめなさいっ!」
「えええー…おいしいのになあ…」
いぶかしげな顔でたずねてきたペリーヌさんと、そんなやり取り。エイラさんはまたベリーに手を出して、リーネ
ちゃんに手をはたかれていた。口元がすっかりベリーの色に染まっているの、エイラさんは気づいてないんだ
ろうか?もっとも、気づいても気にしなさそうだとは思うけれど。
「っていうか、二人とも見てるだけじゃなくて手伝ってくださいよぉ。」
「よ、よしかちゃんそれは…」
「や、だって私、つまみ食い担当だし」
「……わ、わたくしはもちろん、お二人が失敗しないように監督をする役目でしてよ!?そんな、私がお料理を
全くできないとか、そういうことじゃ絶対!ありませんから!!」
「まーまー役立たず同士仲良くイコーじゃんか、ツンツンメガネ?」
「最初から働こうともしていないエイラさん、あなたに言われたくはありませんわっ!!」
「サンドイッチ却下したのツンツンメガネじゃんかよー」
「あなたときたらいつもそれじゃありませんか!もっとこう、レパートリーをお持ちなさいっ!!」
何もしていないのに悪びれもなく、むしろけろりとしているエイラさんと、言い訳をしながらなんだかんだ言って
あせりを隠せないペリーヌさんのやり取りがおかしくてつい噴出す。と、それがばれてしまったのかギン!と
音が鳴りそうな目でにらみつけられたのであわてて頭を抑えた。するとすかさずリーネちゃんが「まあまあ」と
困った笑顔を浮かべながらフォローをしてくれる。うん、きっと、胸の大きさと心の大きさって比例するよね。
だってほら、胸が大きければ心臓も大きくなって、心臓が大きいってことは、心が広いってことだもんね。
お赤飯に、ちらし寿司、お刺身に、お吸い物。見ているだけで心躍る、香りをかぐだけで、お腹が踊る。そんな
お祝いのお料理。どんなつらいことより、苦しいことより、優先していい「たのしいこと」。
「手伝って」と文句は言ったけれど、それが本心ではないことをみんなきっと知っている。こうして誰かのために
お料理を作る。誰かを喜ばせるためにお料理を作る。そう実感しながら作業をすることが、私はとても好き
だから。…まあ、エイラさんはともかくペリーヌさんはそもそも戦力にならな…いやなんでもないなんでもないです。
「ジュジュジュジュジュジュジュ、いいにおーい!!なになになになに、なに作ってんの!?…って、ウ、ウジャジャジャ
ジャジャジャジャーーーーー!!!」
窓から、ひょいと。現れる黒い影はルッキーニちゃん。春風に乗って運ばれた甘い香りに誘われてきたの
だろう、目がらんらんと輝いている。飛び込んできたものだからバランスを崩して、すぐそばにいたリーネ
ちゃんの胸にダイブ。もちろん怪我なんてするはずない。だってそこには上質なクッションがあるんだもの。
…いいなあ。あ、今度は顔を押し付けてる!ずるい!
- 223 名前:えりたん! その1 2/3 21x2w2Ib:2009/04/19(日) 00:15:56 ID:4rwo2HeM
- 「なんかおいしそうなもの作ってるね」と笑うルッキーニちゃんに、エイラさんが自分のことは棚に上げて
「つまみ食いすんなよ」という。口元がそんなに汚れてちゃ、ぜんぜん説得力がありませんよ、エイラさん。
そう言ったら「げっ」とばつの悪そうな顔をして、そんなエイラさんにこらえきれずペリーヌさんが笑った。
「笑ったらとてもかわいいのにね」とミーナ中佐がよくつぶやくのを聞くとおり、無防備な笑顔をもらすペリーヌ
さんは普段のとげとげしさなんて全然なくて、親しみやすい。
「お菓子とお料理を作ってるの。ほら、今日はお祝いでしょ?」
諭すようにリーネちゃんが言う。あ、そっか。ルッキーニちゃんが飛び上がった。そうだねえ、お祝いだもんね
え。そう言葉にしながらも、きっと彼女の中でそのお祝いは「美味しいものをたくさん食べられる日」と認識
されているのは明白で。
「でもでも、そのお祝いされる人はまだ寝てたよ。さっきみたもん」
重ねられた言葉に、ああ、やっぱりね。みんなで失笑。あの人はきっと、起こされなければ夕方まで起きて
こないだろう。だからこそこうしてのんびり準備をしているわけだもの。
「ねーねー、あたしパスタが食べたい!!つくってつくって!!!」
「え、パスタはちょっと…むり、かも…」
「え゛ーーーーーー!!!」
いいじゃんいいじゃん、お祝いでしょ!おいしいもの食べるんでしょ!!リーネちゃんの胸にうずまったまま、
子猫さんはじたばたする。うう、うらやましい。シャーリーさんならともかく、リーネちゃんまで独り占めするの
はずるいよう。
「こーら、ルッキーニ。あんまりわがままいうんじゃないぞー」
そんなとき、ひょいと大きな影が現れて子猫さんの服をつまんで抱き上げた。シャーリー!!!ルッキーニ
ちゃんがぱあっと顔を輝かせてその…また、例の場所に顔を摺り寄せる。やっぱりここが一番だよねえ、
なんて贅沢な発言。わかさ、わかさってなんだ。振り向かないことだ。
「おー、うまそうだなあ、どいつもこいつも。」
「味見しなくても大丈夫ダゾ。味は私が保証してやるからナ」
「ははは、つまみ食い担当もご苦労さん。夜が楽しみだ」
うーん、やっぱり胸の大きさと心の大きさは比例するらしい。ルッキーニちゃんが「エイラつまみ食いした
でしょ!?」と叫ぶのをよそにシャーリーさんは余裕の表情…と、言ってる間にいつのまにか口をもぐもぐ
させてるのは、きっと気のせいだよね、そうだよね。
ゆでた小豆と煮汁を分けて、おなべにもち米と水を足す。ほんのり褐色を帯びたまだ染められる前の白い
お米。これからしばらくつけおいて、その間に次の料理を準備しないと。おはぎとか、甘い物好きのあの人は
喜びそうだなあ。明るい色をした髪と、柔らかな笑顔を思い出す。なんだか心がほんわかしてくる。「眠って
ばかりで、怠惰で、どうしようもないやつだ」なんていう人もいるけれど、そんなところさえも愛嬌に思えるのが、
あの人のすごいところだと思う。
ほら、ね。こうしてきっと、間違いなく、絶対、誰よりもおいしそうな顔をして食べてくれるその人のことを考え
ながら手を動かすのは、本当に本当に、楽しい。
あたし、ハンバーガーが食べたいな。ぼやくシャーリーさんに「サンドイッチなら作れるぞ。大体おんなじだろ」
とエイラさんが提案して、「なんでもパンにはさめばいいと思っているでしょうあなたは!」とどうしてかまた
ペリーヌさんが怒る。ルッキーニちゃんが私の肩をたたいてきていったいなんだろうと思ったら、あんかんベー
をされたその舌がブルーベリーの青に染まっていた。エイラさん同様頬も汚しているところを見ると、つまみ
食い担当は一挙に増えたらしい。
と、そこにか細いささやきが聞こえたような気がして視線をめぐらせたら、すぐ近くにいたエイラさんはそこに
いなくて今食堂に入ってきたサーニャちゃんに駆け寄っていた。寝ぼけているのだろうか、焦点の定まらない
瞳をしたサーニャちゃんがエイラさんのほっぺたについたベリーのあとをみやって、いったい何を考えたのか
ぺろりとそれを舐め取って。サササササーニャ!!!上がる叫び声にシャーリーさんとルッキーニちゃんと
一緒に大笑い。
穏やかな昼下がりの温かな空気の中へ、笑い声が円やかに溶けて行く。私たちを急かすあのサイレンが
鳴り響かなければ、ここは本当に、単なるひとつのおうちだ。もしくは学校のようだ。仲良しが集って、時には
言い争ったりしながらも楽しく過ごす場所。
- 224 名前:えりたん! その1 3/3 21x2w2Ib:2009/04/19(日) 00:16:36 ID:4rwo2HeM
- 「で、我らがお嬢様はまだ眠り姫なのかな?」
フラウ。こんな呼び方したらバルクホルン辺りが顔しかめそうだな。肩をすくめながらシャーリーさんが笑う。
知ってる?あいつ「黒い悪魔」っ名前の方が有名みたいだけど、「ブロンド姫」ってあだ名もあったらしいよ。
その言葉に、きらびやかなドレスを来たあの人を想像してちょっと納得。…ただし、あの人の部屋の散らかり
ようはみなかったことにして置いて。けれど考え方を変えてみたら要するにそれは王子様を阻むイバラ代わり
なのかも、なんて、リーネちゃん辺りなら言いそうだ。
「はるばるスオムスから妹まで来たってのに本当にマイペースだよナー…」
「無言で掃除を始める妹さんも…」
着々と出来上がっては良い匂いを漂わせるお料理やお菓子に、みんなの笑い声を大さじでいっぱい。あの人と
違ってちょっと気難しそうに見える妹さんも喜んでくれるかな。ガラスのレンズの奥にある、あの人と同じ色を
した輝きに思いをはせる。背丈も体付きももちろん顔も本当にそっくりなあの妹さんも、笑ったらきっと可愛ら
しいんだろう。
煮汁に浸しておいたもち米を、砂糖と塩を加えて火にかけていく。こうして水分を飛ばして、水分を飛ばして。
あとは蒸したら完成で。懐かしく口の中に蘇るもっちりとした食感と、お豆のかぐわしい香りを想像して今から
舌なめずり。きっとペリーヌさんあたりはまた「やぼったい」っていうんだろうけど、私はこの素朴な味がとても
大好きだ。
「おー、良い匂いがすると思ったら、やっているな!」
「あらあら、美味しそうね」
「あ!坂本さんにミーナ中佐!!よろしければ味見しますか?」
「あら、いいの?」
「もちろん!ね、リーネちゃん、そろそろお茶の時間じゃない?」
さっきから時計をそわそわして落ち着かない様子のリーネちゃんにそう声を掛けたらうんうん!と何度も
何度も力強いうなずき。おおう、これがいわゆるじょんぶる魂って言うんだろうか?
「今日はおはぎも作ってみたんですよ、坂本さん。楽しみにしていてくださいね。」
「おはぎか…それは、楽しみだな!」
じゃあ、お祭り前のティータイムにしましょうか。ミーナ中佐の言葉にうなずく私たち。主役たちはいいの?
バルクホルン大尉も。尋ねられたら、中佐はにっこりと笑ってこう言う。
「主役は最後にでてくるものでしょう?前座は前座で、楽しんでも良いじゃない。」
不思議な説得力のあるその言葉に、みんなでそうだね、と笑い合う。バルクホルンさんにはちょっと申し訳ない
けど、きっと彼女も今を彼女なりに楽しんでいるのだろう。…あのひとの、部屋の掃除を。
扶桑に、ブリタニア、ガリアに、スオムス、オラーシャ、リベリアンにロマーニャに、カールスラント。
てんでばらばらの私たちが、今考えているのは間違いなく、たった一人の人のこと。ううん、正確には二人
だけれど。言葉少なくてちょっと不思議で、とてもとてもズボラで。それなのに世界でも指折りのウィッチで。
上の偉い人たちからはあんまり評判が良くない、なんて聞くけれど、私たちは彼女がとても素敵な人である
ことを良く知っている。だって、一緒に飛んであれほど安心できる人はきっと他にいない。にこやかな笑顔に
隠された強い信念に、それが宿った強い背中に、後ろから飛ぶ私はいつも心打たれるから。多分みんな、
きっとそうだから。
それよりきっとなによりも、一番おいしそうにご飯を食べてくれる人だから。
だからたぶん、こんなに張り切ってご馳走を作りたくなっちゃうんだろう。
「行こう、芳佳ちゃん!」
急かすリーネちゃんの声で我に返る。ティーセットを抱えたリーネちゃんがにこにこと笑っている。
お祭りの前の、静けさだから。だからちょっとのんびりしよう。
おいしそうに蒸しあがったお赤飯に、ハルトマンさんの幼く朱に染まる頬を思い出してつい笑みがこぼれた。
その1・了
- 225 名前:えりたん! その2 1/3 21x2w2Ib:2009/04/19(日) 00:18:21 ID:4rwo2HeM
- 不思議な気分だ。そう彼女は言って、少し引きつったような笑顔を浮かべた。どうしてですか。そう言わん
ばかりに彼女を見返すと、いやあ、何と言うか、その、と言葉を濁す。
ううう。
途端に漏れる、微かな呻き。それはすっかりと片付いたその空間に予想外にも大きく響いたから、私も彼女も
ついビクリと肩を震わせてしまう。もぞもぞと動くベッドの上の、毛布にくるまれたその中の塊。いよいよ羽化の
瞬間を迎えるかに思われたその蝶だか蛾だかは2・3度またもぞもぞと動くと、私たちの期待を見事に裏切っ
て、再び動きを止める。
はあ、と。大きな溜め息を吐いたのはあちらの方だった。びっくりさせるよな、もう。そしてまた、あの少し恐れの
見え隠れする不思議な笑顔をこちらに浮かべるのだ。
私も不思議な気分です。
そう、口にしたら一体彼女はどんな顔をするだろう。あの奇妙な笑顔を再び浮かべるだろうか。それとも、
困った顔をするだろうか。私にはどうも、予測しがたい。
私が今、所属している北欧スオムスから、私の姉が今、活躍しているこのブリタニアにたどり着いたのは今朝
のこと。ストライカーユニット及び銃器の補充。また、フリーガーハマーの視察。彼女の上官にそう一応の
伝達はしたはずだけれど、あの茶目っ気のある笑顔の姉の上官は何を思ったか、むしろ何も思わずすっかりと忘れてしまっていたのか、部隊のメンバーにそれを通達していなかったようなのだった。おかげで飛行機か
ら降り立った瞬間大わらわ。やれドッペルゲンガーだ、ついに分身しただなどとまるで嵐のような噂がたち
どころに舞い上がって城のような風貌の基地をぐるぐるとひっかき回していった。もっとも、一番大騒ぎして
いた茶髪と黒髪のウィッチは、最終的に誰かの拳骨を食らったようでそのうち頭を押さえて黙りこくってしまった
のだけれど。
通された執務室らしき部屋で私ははじめて姉の上官をみた。かつての手紙で彼女が褒めて称えてはばから
なかった、そのウィッチを目の前にした。傍らには黒髪で眼帯をした、たしかサカモトとか言うウィッチがいた
けれど私の目はその赤色に釘付けで。そんなに見つめられたら穴が開いてしまうわ、と彼女に言われるほど
だった。
(ごめんなさいね。フラウ…エーリカ中尉はまだ眠っているの)
(そうですか)
(きっとお昼過ぎまで眠っているだろうから、くつろいでいて。基地を案内してもいいし)
(いえ、いい、です)
(あら、そう?)
人当たりのいい、その笑顔がまっすぐに私を射止める。見透かされたような心地になって、思わず目を泳がせ
…ようとして、できなかった。だってもう、私の瞳は彼女の赤い色に見えない釘で打ち付けられていたのだから。
(じゃあ、あなたのお姉さんの部屋に行きましょうか。いま、ちょうどいい具合に散らかっているのよ。)
ミーナはすごいんだよ。かつて、手紙に書かれていたその文句が、たやすく耳の奥で、姉の声で、再生された。
*
「調子が狂うな。なんだか、フラ…エーリカが、部屋の掃除をしているみたいだ」
本当に、そっくりなんだな。
ははは。乾いた笑いとともに部屋に響いたのは、今度は彼女──ゲルトルート・バルクホルン大尉の声だった
。茶色い髪をしたその彼女は、エーリカの手紙の中で何度も目にした「トゥルーデ」その人なのであろう。茶色く
て、二つに下げた髪。けれどどこか不自然さを感じるのは、エーリカがいつもいつも書き連ねる「口うるさい」だ
とか「くどい」だとか、そういった部分がすっかり鳴りを潜めているからで。だってこの人ときたら、私がこの部屋
にやってきてからというもののずっと、ほぼだんまりを決め込んでいたのだ。
- 226 名前:えりたん! その2 2/3 21x2w2Ib:2009/04/19(日) 00:18:58 ID:4rwo2HeM
- ぱん、ぱん、と。落ち着かない様子で体についたほこりを彼女は払う。部屋を見渡したらすっかりと片付いて
いて、いまそこで眠っているエーリカが目を覚ましたら相当にいやな顔をするのではないかと思われた。あれと
きたら全くもって不可思議な性格をしていて、散らかった場所のほうが落ち着くなどとのたまうのだ。それは
小さいころからの彼女の性質で、バルクホルン大尉によっておおかた片付けられてはいたものの彼女の
散らかし癖の名残はその部屋の雰囲気から如実に感じられて、私はエーリカが、私の知っている彼女その
ままであることに非常に安心を覚えたのだった。
そう、ヴィルケ中佐に伴われてたどり着いたエーリカの部屋では、どうしてかもう一人の人物が黙々と作業を
行っていたのだった。ご苦労様、トゥルーデ。そう言われて顔を上げたその人物の、あんぐりした顔が私は
今も忘れられない。ふふふ、と楽しそうな笑い声を上げたヴィルケ中佐の目的は、もしかしたらこれであった
のではないかと思われるようなほどの、その反応。
ふらう?
毛布にくるまれた何かの塊を、つい今しがたベッドに乗せなおしていたところだった彼女は、大事そうに抱えた
それと、扉のところにいる私とを交互に見返してやっとそんな呟きをもらした。それはおそらく、私の姉に対して
呼びかけられたもので、そしてそれは私の知らない呼称で。先ほどヴィルケ中佐もこぼしていたそれに、
なんともいえない不思議な気持ちを抱いた。だって、そこには私の知らないエーリカの世界があったのだった。
私の姉は本当に、昔から相当にずぼらなひとで、私は彼女のそばにいつもいて、彼女の世話を焼いてやる
のが常だった。そんな性格をしている割に、彼女はずいぶんと器用で、類まれなありとあらゆる才能を持って
いて。しかもそれをひけらかしても人に疎まれることのない、愛嬌さえ備え持っていた。いまだって、ほら。
おじょうさん、なんて呼ばれてこんなにもかわいがられていて。けれど本人はそんなことさえ気づかないで
ぐっすりと、夢の世界で幸せに暮らしているのだ。
(フラウはそこでしょ、この子は、ウルスラ・ハルトマン。知っているでしょう?フラウの妹さん)
ヴィルケ中佐にそういわれて、ようやっとバルクホルン大尉は我に帰ったように目を細めた。ああ、うん、
ああ、そうか。うめき声のような呟きをもらして、ようやっと腕の中のそれをベッドの上に下ろして。ウルスラか、
よろしく。なんて言いながらあの、奇妙な笑顔を浮かべたのだ。
そしてそれは、今も彼女の顔に張り付いたままで。
「しらなかった。二人でやると、早いんだな」
「そうですね」
「…エーリカは、まあ、戦力にならないし」
「そうですね」
「その…手伝ってくれて、ありがとう」
「…いえ」
エーリカも大喜びだと思うよ。助かった。
私の逡巡に気づかず、重ねられる言葉にどこか怒りや、寂しさにも似た感情がわくのはどうしてだろう。この
状態の、何をエーリカが喜ぶというのか。散らかすのが大好きで、世話をかけるのが大好きで。だから私は
ずっとずっと、別れるそのときまで彼女の世話を焼いていた。それは別に私が望んだからでも、命令された
からでもなくて、ただそうしなければいけないのだと思ったからだった。そう、私を見つめたまま突っ立って
いたバルクホルン大尉をよそに、私がエーリカの部屋の掃除を始めたのは別にバルクホルン大尉のため
ではないのだ。そしてエーリカのためでもない。ただ、そうしなければいけないと思ったからそうした、それだけで。
このひとは、かつての私と同じだ、と思った。
損得勘定とかではなくて、ただ妙な使命感に駆られているから彼女もまた、私と同じようにエーリカの世話を
焼くのに違いない。そしてそれは自分ひとりに許された特権なのだと思い込んで、心のどこかで鼻高々に
なっているのに違いない。そう、かつての私と同じように。その昔私に許されていたその特権を、彼女が今
知らず知らずのうちに持っている。きっと、胸に沸くこの不思議な気持ちはそんな嫉妬心から来ているのだ。
- 227 名前:えりたん! その2 3/3 21x2w2Ib:2009/04/19(日) 00:19:37 ID:4rwo2HeM
- もしも私とこの人、どちらかを選べといわれたらエーリカはどうするだろうか?ふと、そんな疑問が頭をもた
げる。そんなことを考えてしまう自分がなんだかすこし情けない。それでもやっぱり、私の居場所であった
そこに別に誰かが座しているのを見るのは、とてもとても寂しいことなのだ。そんなこと本人に向かっては
決して言えないけれど。
今すぐエーリカが目を覚ましてくれたらいいのに。だって彼女ときたら私の思っても見ないような答えを、
ひょいとたやすく導き出してしまうのだ。マニュアルの表にないその裏まで見透かして、まるでポケットから
ハンカチを取り出すような気軽さで差し出してくる。
「不思議な気分だよ、本当に」
ぽつり。彼女の声として、私の心のつぶやきとして。今日何度聞いたかわからないその呟きを、私は再び聞く。
ふしぎなきぶんだ、ほんとうに。どうしたらいいのかわからないのだ。
そうですね。当たり障りないその答えを、私は繰り返す。ほかになんと答えたらいいものか、もうわからなく
なってしまった。私がエーリカの何であるかも、どうして自分はここにきたのかも、ぜんぶ、ぜんぶ。妙に泣き
たい気持ちになって、でも泣くわけにはいかないからうつむいたら、その頭にふわり、と柔らかな触感。思わず
「え、」と声を上げて見上げたらそこにはバルクホルン大尉の手があって、けれどもそうした彼女のほうが
よっぽど驚いた顔をしていた。
「あ、いや、その…なあ、ウルスラ?………もうちょっと、力抜いてもいいんじゃないか?
…そこのハルトマンは抜きすぎだが…
その、誕生日くらいは、少しぐらいだらけたり、わがままいったり、してもいいんと、思うんだ」
エーリカもおきたらそういうと思う、絶対。
恐る恐る続けられるその言葉に、私は彼女の本意を見て目を見開く。…エーリカの代わりとか、私の代わりと
か、この人は、決してそんなことを考えていたのではなかったのだと。
ただ、彼女は、彼女なりに私のことも、エーリカのことも、気遣ってくれていたのだ、きっと。エーリカによく似た
人物としてではなくて、ただひたすらに、ウルスラ・ハルトマンとして。
換気のために開け放した窓から、美味しそうなにおいがもれてくる。これは、今晩のために特別に用意された
ものなのだろうか。姉のために、もしかしたら、私のためにも。
おそらく気の弾みで伸ばした手を引き戻せずに、あやすように私の頭の上で動く手がある。…ああ、もしか
したらエーリカは、この人のこんなところを好いているのかもしれない。優しくて、でも不器用なところを。
「…ハルトマン、いや、エーリカが起きたらまとめて言おうと思っていたんだが、起きないならしかたないな。
…誕生日おめでとう、エーリカ、ウルスラ」
「ありがとう、ございます」
本でも読んでやろうか、恥ずかしいものだが、朗読は案外得意なんだぞ。
そう促してくる彼女に甘えるように、私は姉の脇に入り込む。かつてよくそうしていたように、彼女から毛布を
半分奪って。それでも起きる気配がない姉は、本当の本当に大物だ。
むかしむかし、あるところに…
聞こえてくるのは懐かしい、枕元でのささやき。そういえば小さいころ、こうして二人で寄り添って、母様に
物語を読んでもらった。
心地よいぬくもりと優しい言葉につつまれて、私の意識はかすかに赤みを帯び始めた外の景色にとけていった。
その2・了
- 228 名前:えりたん! その3 1/2 21x2w2Ib:2009/04/19(日) 00:20:57 ID:4rwo2HeM
- ねえ、一体これはどういったことでしょうか。夢でも見ているのでしょうか。
頬をつまんで確かめる。引っ張って伸ばして痛くって、現実と認める。いやあ、でも、それにしても、ちょっと
これはありえないでしょう。
「…うーしゅ」
私のすぐ傍らですうすうと眠りについている彼女を、起こそうと思ってそう呼びかけた。けれども意図せず
ささやき声のような、小さなものになってしまう。
「…うーしゅ、めがね、はずさないと」
お互いよく似た容姿をもった、一卵性の双子の私たち。そんな私と彼女とを唯一分かりやすく、はっきりと
判別することが可能となるそのアイテムに手を伸ばす。恐る恐る両手を彼女の頬の上辺りにやって、起こさ
ないように慎重に。その手つきは我ながらどこか恭しくて、まるで騎士の口付けのようだ、なんて思ったら少し
笑えてしまった。
胸に湧き上がるのは、多分喜びや充足感と呼ばれる類の感情。本を読みながら時折居眠りをしてしまう
彼女の、メガネをはずしてやるのは私の役目だった。そう、まるで駄目な姉だった私が彼女に施すことの
出来たたぶんたった一つの仕事だった。実際にそれをするのはひどく久しぶりだったけれども、どうやら体は
覚えていたらしい。
めがねが取り去られると、そこにはもう一人の私がいる。金色の髪をして、金色のまつげをして、少し低めの
鼻をひくひくと時折鳴らして穏やかに眠りについている。
(かわいいな)
そう思うのは、決して私がナルシストだからではないとわかってほしい。そりゃ、別に容姿に対するコンプ
レックスはないしペタンコの胸を触られようが何しようが平気だけれど、この気持ちはそれとは全く別物だ。
たとえこの子が私と同じ容姿を持っていようとも、私はそれを指してこんな気持ちを抱いているんじゃない。
トゥルーデあたりなら理解してくれるかな。それとも「お前にそんなことわかるわけない」なんてつんとされる
んだろうか。だったら、寂しいな。
もう何年会っていなかったろう。記憶の中の彼女は最後に会ったそのときそのままで、だから幼い姿をして
いて。私は夢の中で時折、私の胸の中で寂しいよと涙を流す幼い彼女をぎゅうと抱きしめてやっていたの
だった。無口で、無愛想だけれども、そんな彼女が本当はとてもとても寂しがりだということを、私はおねえ
ちゃんだからちゃんと知っていた。自分勝手にどんどんと前に行く私のことを、彼女がどれだけ心配そうに、
心細そうに見ていたか、本当はちゃんと分かっていた。
そんな彼女が、ウルスラが、その面影を残したまま、けれども確かに少し大人びて私のすぐ傍らで眠って
いる。その寝顔はあどけなくて、私が幼い頃眠った振りをしてこっそり盗み見ていたそれと全く変わらない。
ひとまず体を起こして、あたりを見回して…二倍、いや、三倍びっくりした。そうだ、そもそも私、ベッドなんかで
寝た記憶ない。それはもちろん私の部屋、とりわけベッドの上が、ひと一人落ち着いて眠りに就くことも出来
ないくらい散らかっていたからなのだけれど。
ねえ、やっぱりここは夢?それとも天国?地獄?
恐ろしいほどに片の付いた私の部屋は、開け放たれた窓から新鮮な空気を得てゆうゆうとノビをしている
ようにさえ思えた。誇らしげにどん、と私を囲んで、どうだ、これが私のあるべき姿なんだぞとえらそうに語り
かけてきている気がする。別に散らかっている部屋が好きだとか汚れてないと落ち着かないとかじゃない
けれど、こいつに屈したら負けのような気がする。
- 229 名前:えりたん! その3 2/2 21x2w2Ib:2009/04/19(日) 00:25:32 ID:4rwo2HeM
- そんなことよりも、もうひとつ。ベッドの傍らにイスを引き寄せて、その上でやっぱりくーすか眠りこけている
もう一人の人を見て呆れた声を上げる。本の朗読でもしていたのだろうか、そのおなかの上には読みかけの
本が広がっている。
(やっぱ、夢じゃないか、これ)
片付いた部屋と、ウーシュと、そしてトゥルーデ。確かのこの二人の仕業ならこんなにも部屋が片付いている
のもおかしくないけれど…でも、何かが少しずつ、不自然だ。いつもと違うんだ。
だって部屋の掃除をしていたなら、トゥルーデは確実に私のことを起こしたろう。それなのに今日は一度も
起こされた記憶がない。お前が起きなかったせいだ、と言われたらそれまでだけれど、トゥルーデの起こし
方なら一度は確実に目が覚める。また眠ってしまうだけで。
それに、ウーシュがこんなところにいるのもおかしい。あの子はスオムスにいるはずで、私が毎週手紙を
出したって半年も返してくれないくらいで。…そんなこの子が、わざわざこんなブリタニアくんだりまできて、
更には私の横で幼いあの日と同じように眠っているだなんて。
ああ、これはやっぱり夢なんだ、と納得した。だって幸福すぎるもの。世界で一番大切な妹と、頼りにして
いる相棒が、こんなにすぐ傍にいる。私は私で一度も起こされることなく目一杯寝て、そうして自ら覚醒して。
だから頭がとてもすっきりしているんだ。ここにミーナや隊のほかのみんなもいれば最高だけれど、それ
以上を望むのはちょっと傲慢すぎるかな、と思えるくらいには、
開け放された窓の外から、いい匂い。匂いがある夢なんてなんてリアルなんだろう。現実世界では夕ご飯時
なのかな。それとも、朝ごはんかな。もうすぐトゥルーデが口うるさく起こしに来るんだな。起きろハルトマン、
起床の時間だ!!って。でも、今なら許そう。こんなに幸福な夢をずっと見ていたら、きっと目が覚めたときに
とてもとても寂しくなる。
両手を伸ばして、ふわふわ。
かわるがわるに二人の頭を撫でてみた。疲れ果てているようで、それぐらいじゃ起きないほどにぐっすり
眠っているらしい。いつも私に対しては気を張ってばかりの二人だから、こういった無防備な寝顔を見られる
のはたとえ夢の中でも幸福で仕方がない。
枕元に置かれたたくさんのプレゼントやお祝いのカードにも、夢見心地の私は全く気がつかなくて、夜が
近づいてだんだんと暗がりを増していく自分の部屋の中で、幸福の笑みを漏らす。ねえ、あのね。それが
私の夢なんだよ。これが私の願いなんだ、ふたりとも。いつも心配だとか、迷惑ばかりかけてしまっている
けれど、私は本当の本当は、ちゃんと休んで欲しいって思ってる。そしてたまには私だってそんな姿を見て
労わったり、ねぎらったりしたいと思ってるんだ。
どたばたと、近づいてくる足音がする。わいわいというにぎやかな声は、私を覚醒にいざなっているのだろう
か。もうすぐドアがノックされて、そうしたらそれは現実の世界へと戻るときなのだろう。
ごめんね、いつもありがとう。目を覚ましたら今度こそ、もう少し君たちに優しく出来たらいいな。また手紙を
出すからね、ウーシュ。次はちょっとくらいなら、お掃除も手伝うから、トゥルーデ。
確認するようにもう一度、ほっぺたをつまんで引っ張ってみる。微かな痛みと引っ張られる感覚。
まったくもう、本当にリアルな夢だなあ。このまま現実になってしまえばいいのに。
そんな冗談じみたことを考えながら、私は私を覚醒へといざなうはずのみんなの来訪をもう一度毛布を被って
待ちわびることにした。
その3・了
───
題名は今から考えたりします、すみません
それと、その2 1/3の3段落目「伝達はしたはずだけれど〜」から始まる文章を以下のように改行しなおして
保管していただければ幸いです
伝達はしたはずだけれど、あの茶目っ気のある笑顔の姉の上官は何を思ったか、むしろ何も思わずすっかり
と忘れてしまっていたのか、部隊のメンバーにそれを通達していなかったようなのだった。おかげで飛行機か
すこし立て込んでいてまだ他の方のSSを読めていなくて申し訳ありません
今のうちからみんなにGJ!GJ!GJ!!
エーリカの存在に GJ!!21x2w2Ibでした
- 230 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2009/04/19(日) 00:28:10 ID:GdU1BCvo
- 職人の皆様方GJ! 何という投下ラッシュ!
>>179 apsV9PCZ様
お帰りなさい&GJ! お姉ちゃんえらいことになってますねw
>>186&>>219 トゥルーデ撃墜部隊
文章にいつもステキな愛とエロスが詰まってますね。GJ!
>>198 OsqVefuY様
GJ! いつも楽しく拝見してます。続きが気になりますよ……。
>>203&>>205&>>229 21x2w2Ib様
リアルタイムで拝見しました。貴方の文章はいつも素敵過ぎます。もう凄いの一言しか……。兎に角GJ!
>>212 LWqeWTRG様
GJ! やさしいエイラーニャいいですね。ほんわかして。
こんばんは。mxTTnzhmでございます。
保管庫No.0450「ring」シリーズ続編と言う事で書きました。
今日は何の日? と言う事でひとつ。
- 231 名前:birthday token 01/04:2009/04/19(日) 00:28:58 ID:GdU1BCvo
- 「トゥルーデ、明日は私の誕生日だよ」
午前の訓練の後、シャワーを浴び着替えを済ませたトゥルーデは、不意にエーリカから言われた。
「ああ、知っている」
「何か頂戴よ〜」
あっけらかんとしたエーリカの言葉に、トゥルーデは呆気に取られた。
「お前と言う奴は……私の誕生日の時には逆プレを要求しておいてそれか?」
「じゃあ、前祝いって事で」
エーリカはトゥルーデの腰に腕を回すと、そのままベッドに雪崩れ込んだ。
「ちょ、ちょっとエーリカ? 昼間から……」
小一時間が過ぎ、荒い呼吸を繰り返すエーリカとトゥルーデ。汗びっしょりで、せっかく浴びたシャワーも意味が無い。
ベッドの上は二人の匂い、吐息が混じり、二人をねっとりと包み込む。
「トゥルーデ、激し過ぎだよ。なんで昼間っからこんな事出来るの? 何回も」
「それは……その、エーリカ、お前が愛しかったから。て言うか最初にお前が誘ったんじゃないか」
「そう言えばそうだったね。何か照れるね」
「あのなあ……」
「でも、そういうトゥルーデ、悪くない。好きだよ」
「ストレート過ぎて返す言葉がない」
呆れ半分のトゥルーデに、キスをするエーリカ。
「とにかく、誕生日祝い、楽しみにしてるよ。準備万全なトゥルーデの事だもん。期待してるよ」
「……ああ。分かった」
- 232 名前:birthday token 02/04:2009/04/19(日) 00:29:18 ID:GdU1BCvo
- その夜遅く、トゥルーデの部屋でのんびりと過ごしていたエーリカは、用事を済ませ戻って来たトゥルーデを抱きしめ、
お帰りのキスをする。
「やっぱりトゥルーデ居ないと寂しい」
「一緒に来れば良かったのに」
「でもすぐ帰ってくるの分かってたから良い」
「どっちなんだ」
「どっちも」
ふう、と溜め息を付く。
エーリカはそんなトゥルーデにもう一度軽くキスをし、ちらりと時計を見る。
「あ、もうすぐ時間」
「ん?」
トゥルーデが振り向いた瞬間、部屋に有る時計が、十二時を刻む。
「今日は何の日だ〜?」
「お前の誕生日だ。おめでとう、エーリカ」
「ありがと、トゥルーデ。一番大切なひとに、一番最初に祝って欲しかったんだ」
「私も最初に祝うつもりでいた。一番大切だからな、エーリカは」
「ありがと。嬉しいよ」
「あと、ウルスラもな。会えなくて寂しいだろう」
「そうでもないよ。まあ全然っちゃ嘘になるけど、トゥルーデ居るからいいや」
「おいおい。双子なんだから、もうちょっと……」
「で、トゥルーデ」
エーリカはにやっと笑い、両手を出した。
「プレゼント〜」
「分かっている。抜かりは無い」
トゥルーデは両手にひとつずつ、小箱を取り出して見せた。
「お前へのプレゼントは二つある。どっちかひとつ、選べ」
「そんなの決まってるじゃん」
エーリカは指さした。
「トゥルーデ」
指さされた本人は困った顔をした。
「選べと言ってるのに、何故私を指す? とんちをやってるんじゃないんだぞ?」
「じゃあ、全部」
「何? どっちかひとつにしろ」
呆れるトゥルーデ。
「い、や、だ♪ だってトゥルーデだもん」
にこにこして言うエーリカ。
「理由になってないぞ」
「だって、『二兎を追う者はどっちも取れ』って諺知らない?」
「何処の諺だ」
「ミヤフジの国の諺だって、ルッキーニから聞いた」
「又聞きか……。なんか意味が間違ってないか?」
「ともかく、両方だからね。せっかく用意してくれたんだし」
エーリカはささっとトゥルーデの手から小箱をふたつ奪った。
「どうせ、どっちもくれる予定だったんでしょ? 嬉しいよ、トゥルーデ」
「う……」
「でもアレだね。まるで金の斧と銀の斧持って出てくる女神……って程でもないか」
「何か引っ掛かる言い方だな」
「じゃあ、最初はこの素っ気ない方……何この紙切れ」
エーリカは、小箱の紙切れを読んだ。トゥルーデの手書き。
「入浴許可証……本日より六時間限定、貸切。へえ、何処の?」
「ここの基地のだ」
「貸し切り? 他のひとは?」
「エーリカだけだ。これはミーナに特別に頼んで、そうして貰った」
「ミーナも無茶するねえ。いいの?」
「まあ、この時間は誰も入って無いだろうし……」
「それがホントのところ?」
「ち違うぞ。エーリカだけにだな……」
「まあいいや、トゥルーデ、行こ行こ」
「私もか?」
「違うの?」
顔を赤くしたトゥルーデを引っ張り、エーリカはスキップして浴場へと向かった。
- 233 名前:birthday token 03/04:2009/04/19(日) 00:29:38 ID:GdU1BCvo
- 浴場に入ったエーリカは驚いた。
浴槽一面に、真紅の薔薇の花びらが敷き詰められている。エーリカはその状況を見て、絶句した。
「トゥルーデ……」
「な、何だ?」
呆然としたエーリカの方を向いて、恐る恐る聞くトゥルーデ。
「これ、後で片付け大変だよ」
「……お前だって、私の部屋でいつも散々似た事やってるじゃないか!」
「しかもキザっぽいよ、トゥルーデ」
「うう……やっぱり、気に入らなかったか?」
「全然?」
予想と違う答えに拍子抜けするトゥルーデ。
「まあ、トゥルーデ、入ろう」
トゥルーデの手を引っ張り、プール宜しく、どぼんと入る。花びらが身体に纏い、張り付く。
「ちょっとくすぐったいね。……あ〜、でも、薔薇の良い香り。これはこれでアリだね」
「良かった。ロンドン中の花屋に頼んだんだ」
「よく持ってきてくれたね」
「私が引き取りに行ったんだ。ついでにセッティングも」
「じゃあ、片付けも?」
「……」
「トゥルーデらしいね」
エーリカはくすっと笑った。トゥルーデをそのままゆるりと抱きしめ、浴槽に沈む。
お湯の中、エーリカはトゥルーデに熱いキスをした。
やがて息が続かなくなり、二人してざばあと水面に顔を出す。
顔中花びらだらけ。二人して笑い、お互いの顔に張り付いた花びらを取った。
「トゥルーデ、覚えてる?」
「何を?」
「前にさ。ここで皆で酒飲んだ事有ったじゃん?」
「有ったな」
「あの時私言ったよね、『私のお姉ちゃんになりなよ』って」
「あ、ああ」
「その通りになった?」
「違う、エーリカ。お前は私の姉ではない」
「えっ?」
予想外の答えに驚くエーリカ。トゥルーデは真面目な顔をして、言った。
「エーリカ、お前は私にとって、もっと大事な存在だと思っている。家族で、何より恋人で、
そして、大事な夫か妻で……その、何だ、ええっと」
顔を薔薇の花びらよりも赤くして、横を向き、呟くトゥルーデ。
「それ、嬉しいよ。私の誕生日に言ってくれるって」
エーリカはぎゅっとトゥルーデを抱きしめ、もう一度キスをした。
「その言葉、聞きたかった。前にも聞いたかも知れないけど……いつでも、何度でも聞きたいよ」
「何度でも言うぞ」
二人は見つめあい、微笑んだ。
「私の旦那様だものね。ヨメでもどっちでもいいけど」
「好きにしろ」
「そうだ、今夜はお風呂、誰も居ないんだよね? 私達だけなんだよね?」
「ああ。今日はな」
「じゃあ、やりたい放題なんだ」
エーリカの顔がにやける。
「エーリカ、お前が今から何をしたいか、当ててみようか」
トゥルーデが言った。
「言葉じゃなくて、行動で教えてよね」
エーリカの科白を最後まで聞かないうちに、トゥルーデはエーリカを抱きしめ、口吻を交わす。
濃ゆいキス。待ってたとばかりに、エーリカもトゥルーデをぎゅっと抱きしめ、離さない。
やがてキスだけでなく……お互いの身体を舐り始め、そのまま行為に浸りつつ……浴槽にゆっくりと沈んでいった。
- 234 名前:birthday token 04/04:2009/04/19(日) 00:30:01 ID:GdU1BCvo
- 「良い風呂だったね、トゥルーデ。まだ薔薇の香りするよ私達」
「ああ」
風呂からあがった二人は、着替えもそこそこにトゥルーデの部屋へと戻った。
ベッドに腰を下ろすと、残るひとつの箱を手にした。
「さて、じゃあもう一つの、何か妙に小綺麗な箱を、と」
ぱかっと開けると、中に入っていたのは、シルバーとプラチナの模様が美しいネックレス。デザインはシンプルながら、
相当に高価であろう事が分かる。
「……少し地味だね」
手に取り、エーリカが呟いた。
「言うと思った」
「でも、シンプルで悪くないよ。トゥルーデっぽいチョイスだね」
「そうか?」
「これ、私だけ? ……って、よく見たらお揃いだね」
「ああ。指輪もそうだけど、もうひとつ有ったら良いかと思って」
「そうだね。ペンダントだったら、戦いの時にも、そっとしまっておけるし。でもこれいつ買ったの?」
「この前用事でミーナと一緒にロンドンに行った時にな。お前が指輪を買った店で選んだ」
「ミーナも一緒に?」
「いや、ミーナは車で待ってた」
「悪いんだ、上官を車で待たせるなんて」
「い、いや。ミーナから言ってきたんだ、『ゆっくり選んで』って」
「ミーナらしいね」
エーリカはふっと笑った。
「トゥルーデ、値段は聞かないよ。これ多分相当すると思うから」
「まあな」
「クリスちゃんの治療費は、良いの?」
「それとこれとは別だ。問題ない」
「そう。なら良いんだけど」
トゥルーデは、ふうと息をついた。
「これで私のプレゼントは全部だ。どうだった?」
「嬉しいよ、トゥルーデ。有り難う。そうだ、トゥルーデ、一緒にペンダントかけっこしようよ」
「良いけど」
お互いそっと腕を回し、首にペンダントを付け合う。
「似合ってるね。服にもピッタリ」
「悪くない。自分で言うのもなんだが」
「だんだん、私色になってきた感じだよ、トゥルーデ」
「エーリカに染まってる?」
「だって」
エーリカはトゥルーデをじっと見つめ、顔を近付けた。その距離、僅か数ミリ。
「私達同じ匂いするし、同じアクセサリーしてるし」
「そりゃ、毎晩一緒に寝ていれば匂いも混じるさ」
「混じるのはそれだけじゃないけどね〜」
「エーリカ」
「なあに? トゥルーデ」
「綺麗だ。似合ってる」
「最初に私が言おうと思ったのに」
くすっと笑って、エーリカは言葉を続けた。
「トゥルーデも似合ってるよ。お揃いのがまたひとつ増えたね」
「ああ」
「ねえ、トゥルーデ」
「エーリカ」
お互い腕を回したまま、そのまま抱き合い、キスを交わす。
今夜でもう何度目になるか、分からない程の口吻。
エーリカは、トゥルーデの髪についた薔薇の花びらをつまみ、ふっと息で拭いて飛ばした。
「エーリカ」
「トゥルーデにくっついて良いのは私だけ。本当は服も邪魔な位」
エーリカはトゥルーデを抱いたままベッドに転がり、耳元で囁いた。
「今夜は、寝かさないよ」
トゥルーデが何か答える前に、エーリカは唇を塞いだ。
翌朝。
いつの間に脱いだのか、服はベッドの下にばらまかれ、生まれたままの姿で抱き合う二人の姿が有った。
軽く毛布を掛けているが、お互いの肌で温もりを感じ、また、温かさに酔いしれ、溺れたまま微睡む。
この後、朝食の前か後に、恐らくは501の皆が誕生日祝いで何かを用意しているだろう。
でも、今はもう少しだけ、二人だけの“お祝い”を……二人だけの時間を過ごしていたい。
じゃれ合って疲れた猫や犬の様に、お互い寄り添い、二人だけのひとときを。
それは何よりも大切で、幸せな、エーリカだけの特権。
目の前に居るトゥルーデと一緒である、その事が。
end
- 235 名前:名無しさん:2009/04/19(日) 00:31:49 ID:GdU1BCvo
- 以上です。エーリカ誕生日おめ! と言う事でひとつ。
ウルスラも双子なんで同じ誕生日ですが、
「ring」シリーズと言う事で今回はエーリカメインで。
さて話は変わりますが、先日は皆様から投下数100超えのレスを沢山頂きまして、
誠に有り難う御座います。ここまでやってこれた私は幸せ者ですね、ホントに。
皆様の温かいレスとご声援有ってこそ、なので……。ホント感謝、感謝です。
今の私としては、ストウィの百合SSを書いて投下する事で、
スレに居る皆様が少しでも幸せに……と言うのは大袈裟ですが、
少しでも「ニヤニヤ」して頂けたらと思い、その一点のみで書いてます。
これからも、出来るだけそう言うのを書いていきたいなと。
ではまた〜。
- 236 名前:名無しさん:2009/04/19(日) 00:36:01 ID:BEPWxOgM
- なんという投下の嵐…
作者さん達待ち構え過ぎワロタ
こんだけの量いきなりきたので当然読み切れてないのでとりあえず作者さま皆GJ
そして言う隙間がなかったのでようやくハルトマン姉妹誕生日おめでとう
- 237 名前:名無しさん:2009/04/19(日) 00:50:21 ID:FnXqPnOU
- 日付変わる頃からすごいラッシュですね。「何だ、何が起きている…」と茫然としました。
SSこれから読ませてもらいますが、皆様超GJ!
エーリカもうーちゃんもおめでとー!
- 238 名前:名無しさん:2009/04/19(日) 00:53:19 ID:y7UnfAP2
- 元気すぎんだろお前ら
- 239 名前:名無しさん:2009/04/19(日) 10:03:46 ID:26BHQZ9o
- 朝起きて見に来たらびっくりしましたわGJ
- 240 名前:名無しさん:2009/04/19(日) 11:36:16 ID:OIb0b23I
- 職人さん達はまだまだ元気だな〜。いや、良かった良かった。
とりあえず皆GJ! そして今後も百合スレに幸あらんことを!
出来れば(最近見ない)他の職人さんにも戻ってきて欲しいな〜。
ここはこんなに活気あるのに。
そしてエーリカ&ウルスラ誕生日おめ!
- 241 名前:名無しさん:2009/04/19(日) 13:46:23 ID:y3RHoTM.
- >>205
まずミーナさんじゅう(ry誕生日話にGJ!
隊長好きすぎるエーリカかわいいよエーリカ。もっさんに絡んでるとこはなんかお父さんにわがまま言う娘みたいだw
もっさんのウィッチの誕生日に対する考え方の所で切なくなります。アニメ本編とホットミルクの話思い出すなあ
大人っぽいハルカも新鮮で良かった。でもサーニャに手を出したら智子さんに膾切りにされれば良いよね
>>229
三本立て・・・だと・・・!?それぞれ違った人物同士の絆が書かれていて面白いなあ
各話、印象の違う話が楽しめて一粒で二度どころか三度おいしいです(^q^ )
一話目の登場人物が多いにも関わらず個性を発揮させて動かす力量は流石としか。501部隊らしいにぎやかなやりとりが良いなあ
こういう話だと芳佳はすごい輝きますよね。おっぱとかわかさに壮絶に吹いた。あとリーネイラが何気にキャッキャしすぎという
二話目の隊長の茶目っ気も可愛いな。こういう所あるあるw
ウルスラのエーリカに対する愛情と嫉妬心と、お姉ちゃんらしくお姉ちゃん力発揮してるお姉ちゃんに和みます。
エーリカ愛されすぎw人に世話を焼かせる天才なのか、世話焼きに愛される天才なのか・・・
個人的には三話目の、
>そう、まるで駄目な姉だった私が彼女に施すことの出来たたぶんたった一つの仕事だった。
ここの表現がぐっときた。ずぼらでぐーたらだけど精神的にはやっぱりおねえちゃんなエーリカかわいいなあ
エーリカの座右の銘を思い出すとよりじんとくる作品ですね。最後になりましたが、本当にGJ!良いもの読ませてもらってありがとう!
- 242 名前:名無しさん:2009/04/19(日) 16:18:54 ID:g7.khPhY
- 凄いラッシュだなあ。あとでじっくり読ませてもらいます。
そんなわけで流れに乗って自分も2本行きます。
1本目は>>197の続きの5話です。誕生日関係ないですが。6レスの予定。
ミーナ【犯人はこのなかにいます!】
厨房へと走り出して行ったルッキーニさんを見送ると、私もよっこらせと腰をあげた。
今から自分の無実は自分で証明しなければいけないことはもちろん、
その際にはくれぐれも気をつけねばならないこともある。
ニーナちゃん8歳児が実はミーナ・ディートリンデ・ヴィルケであるということ――
このことはみんなには知られるわけにはいかないのだ。
私はソファーの陰から一旦出て、彼女の様子をうかがった。
よかった――まだぐっすり眠っている。
さて。それでは始めるとしよう。私は息を吐き、吸い込み、そして叫んだ。
「それは、らめぇえええええええええええええええええええっ!!!!」
いけない。ちょっと間違えてしまったわ。私は再び、ソファーの陰に隠れた。
さっきまで私を犯人だとのたまってた連中が、どうかしたのか視線を注いでくる。
「どうかしたのカ? サーニャ」
と、うちひとりのエイラさんが訊いてきた。ええっと……
「ギ●ナの高地で産湯を使い、ケ●アの荒野で運命(さだめ)に目覚め、
イ●ドの山で修業を積んだ、新感覚癒し系魔法少女のサーニャです!」
あら? これも違う?
これはサーニャさんの人の声であっても、サーニャさんの声ではない。
「ほ、本当にどうかしたのカ……?」
落ち着くのよ、わたし。落ち着くのよ、サーニャ・V・リトヴャク。
「――ううん、なんでもないの。気にしないでエイラ」
ようやく私はサーニャさんの声で、そう言った。
そう――実は私は声を自在に変えることができる。職業柄、こういうことには長けているのだ。
激安セールの人だかりで、周りの主婦に文句をつける中年主婦だとか、
孫にお小遣いをねだられるが、手持ちがないおばあちゃんだとか、実はそういうのができたりする。
頑張ればサーニャさんの声くらい出すことが可能なのだ。
「それより、みんな。実は犯人がわかったんです」
「だから、ミーナ中佐なんでしょう。サーニャちゃん?」
まだ言うか、この肩幅……じゃなかった、リーネさん。
「違います。よく考えてみてください。
いつも優しくてきれいで超美人のミーナ中佐がそんなことするわけないじゃないですか」
「なにをいってるんダ、サーニャ」
あなたこそなにを言っているのかしら、エイラさん?
「とにかくっ――」
私はめいいっぱい叫んだ。
「犯人はこのなかにいます!」
「『犯人は』?」と、宮藤さん。
「『この』?」と、リーネさん。
「『なかに』?」と、エイラさん。
「『います』?」と、シャーリーさん。
「――だって!?」と、そしてトゥルーデ。
現在、私の話を聞いてくれているのはこの5人だけだ。
美緒は未だ悲しみに打ちひしがれているし、ハルトマンは読書中。まあ、別に気にしていない。
「そ、それはいったい誰なんだ!?」
さっそくトゥルーデは食いついてきた――けれど、それを告げるのにはまだ早い。
「――と、その前に、ひとついいですか?」
私はじらすように間を置き、ゆっくりと口を開いた。
「一度整理してみましょう。バルクホルンさん、今この場所に何人いるか数えてみてください」
- 243 名前:名無しさん:2009/04/19(日) 16:20:33 ID:g7.khPhY
- トゥルーデ【ペリーヌが……いない……?】
なんだというのだろう。さっきからサーニャの様子がおかしい。
それに、犯人がわかった、と。
さっきまで寝ていたのに……と言うより、今も寝ているように見えるが。
まあいい――私は言われたとおり、右から左に指差しながら数えていった。
芳佳、リーネ、リベリアン、エイラ、ハルトマン、坂本少佐、サーニャ……
それにあわせて左手で、指を一本ずつ折る。
ん? ルッキーニの姿が見えない……あ、帰ってきた。どこに行っていたんだ?
ルッキーニはソファに近づくと、陰にいるニーナが顔を出した。
なにやらふたりは一言二言なにか話しこんでいる。が、よく聞こえない。
ルッキーニ、それにニーナで9人……あ、それに私か。
私の指は一往復し、元の開いた状態に戻った。
「ええっと、10人だな」
「ちょっと待ってください。もうひとりいるじゃないですか」
「もうひとり?」
誰のことだ? 私はちゃんと数えたのに……。
「ペリーヌさんです」
ペリーヌ? ああ、たしかに数えてなかったが。こういう場合、死人の数は数えるのか?
「ああっ!」
と、いきなり声をあげたのは芳佳だった。どうしたというのだろう? 芳佳は言葉を継いだ。
「そうだ。ペリーヌさんがいないんです」
ペリーヌが……いない……?
そういえばここに来た時、芳佳は言ったていた。「ひとり足りない」と。
てっきりミーナのことを指していると思っていたが、ペリーヌのことだったわけか。
しかし、ペリーヌがいないとはどういうことだ?
まさか死体が自分で立って移動するわけはないし、そもそもペリーヌはそこで死んでいる。
一向に事態が呑みこめないでいる私に、サーニャは言った。
「そうなんです。遅れてきたバルクホルンさんは知らないでしょうが、
ついさっきまで、ペリーヌさんがここにふたりいたんです」
「なにを言ってるんだ!? そんなことがあり得るわけ……」
それこそ信じられるわけがない。私はサーニャから視線をはずし、まわりを見まわした。
エイラやリーネが、「そういえば」とか「たしかに」と口々に声を出す。
と、とても信じられないが……どうやら本当らしい。
「じゃあ、その生きているペリーヌはどこにいるって言うんだ?」
「それならさっき、あたし会ったよ」
と、はいはいと手をあげてルッキーニ。
なんだというんだ!? みんなして私を騙そうとしているのか?
「しかし、ペリーヌはそこにいるだろう!」
私はおもいっきりペリーヌの死体を指差し、反論した。
「そうなんです」
と、サーニャは肯定する。だったらなんだって言うんだ――
「つまり、実は“12人いる!”んです!」
「じゅ、12人だと!? どういうことだ!?」
第501統合戦闘航空団は11人のはず。なのに12人じゃ、ひとり多いことになってしまう。
ドッペルゲンガーでもないかぎり、そんなことがあるわけない。
「これから説明します」
と、サーニャ。そして、たっぷり間を置いた。やっぱり寝ているように見える。
「ハルトマンさん――」
サーニャは呼びかけたものの、ハルトマンは已然として本から目を上げない。
かまわずサーニャは言葉を続けた。
「あなたは、エーリカ・ハルトマンではないですね?」
すると、ハルトマンは面倒くさそうに本から顔をあげて、無言でこくりとうなずいた。
「「「「「「な 、 な ん だ っ て ―――――――― っ ! ! ! ! ! ! 」」」」」」
- 244 名前:名無しさん:2009/04/19(日) 16:22:03 ID:g7.khPhY
- ミーナ【常識的に考えて】
「じゃ、じゃあ、いったい誰だというんだ……?」
と、トゥルーデ。ますます混乱してきているのが手に取るようにわかる。
「ハルトマンさん――いいえ、エーリカさんには双子の妹がいるんです。名前はウルスラさん。
あなたは、ウルスラ・ハルトマンさんですね?」
サーニャさん声の私が訊くと、彼女――ウルスラはもう一度面倒くさそうにうなずいた。
「そういえば、前に聞いたことがあります。たしか、無類の本好きだって」
と、宮藤さん。知っている人が多ければ、話は早い。
「でもそんな子が、どうしてこんなところにいるんだ?」
シャーリーさんが訊ねると、言葉少なにウルスラは答えた。
「遊びに来ました」
「エーリカさんとウルスラさんは双子。みんなが間違うのも仕方ありません。
本当なら、ウルスラさんはメガネをかけているんですが……」
彼女がずっとしていた探し物というのは、メガネのことだったのだ。
そしてそれは、今も見つかっておらず、だから現在もウルスラはメガネをかけていない。
時折目を細めたり、本を読むのに顔のすぐ前にやっているのもそのためなのだろう。
――ではそのメガネはどこかといえば、現在私がかけている。
このことは秘密だけど。
ルッキーニさんから手渡された時、どうしてこんなもの持ってるのかずっと疑問だったけれど、
さっきルッキーニさんから事情を聞くと、廊下で彼女とぶつかった時に拾ったのだという。
「本当にハルトマン……いや、エーリカじゃないのか?」
と、シャーリーさん。物陰に隠れた私からは見えないものの、声だけで困惑していることがわかる。
「それじゃあ証明してみましょう」
「証明? どうやって?」
「使い魔を出して見ればわかります。エーリカさんの使い魔はダックスフントでしたよね」
「ああ、そうだけど」
「じゃあ、お願いできますか」
と言って、私はソファーの陰から顔だけ出した。
フラウであれば、揉み上げにあたる部分に黒い耳が出てくる。
が、ウルスラの場合はそうではない。
座ったまま、ウルスラは使い魔の耳を出して見せた。耳の上のあたりに丸い耳が出現する。
「ほ、本当だっ……! これはタヌキ耳か?」
嬉々とするシャーリーさん。ウルスラは淡々と訂正した。
「アナグマです」
- 245 名前:名無しさん:2009/04/19(日) 16:23:34 ID:g7.khPhY
- 「エーリカが実は双子の妹だったことは理解した。
今日のエーリカはおかしいと思っていたが、まさか別人だったとはな……」
と、トゥルーデ。とは言うものの、困惑しきった顔は一向にやわらぐ様子がない。
「しかし、じゃあエーリカはいったいどこに……?」
やれやれ、まだわからないらしい。
トゥルーデだって私と同じくらい、情報は得ているはずなのに。
なぜ、ペリーヌさんがふたりいたのか。なぜ、そのうちひとりが服を着ていないのか。
これらから導き出せる結論はひとつしかないでしょうに。
「エイラ。脱ぎ散らかしたエーリカさんの衣服が、現場にあったよね?」
「アア、あったナ。私が畳んでおいたけど」
さっきルッキーニさんが蹴飛ばしたけれど、今はまたエイラさんが畳んである。
「そ、そんなものがあったのか!」
と、声高にトゥルーデ。どうやら知らなかったらしい。
「なにをやっているんだ、エイラ! こういう場合、現場保存は常識だろう!」
「だ、だって脱ぎ散らかしてあったら畳むダロ、普通……」
まあいい。話を進めよう。
「ではなぜエーリカさんは服を脱いだのか――それは服を着替えるためです」
「ふ、服を着替える?」
「そうです。ペリーヌさんの服をです」
なぜ倒れていたペリーヌさんは服を着てなかったのか、これがその真相――
「エーリカさんはペリーヌさんの服を脱がせ、ペリーヌさんに成り済ましたんです!」
「し、しかし、エーリカとペリーヌは全然違うだろう。服を着たくらいで……」
「そう。それだけでは不完全です」
私は一呼吸置いた。
たしかにそれだけでは足りない。それではただの、ペリーヌさんの服を着たフラウだ。
「ところでバルクホルンさん。バルクホルンさんの部屋が荒らされてたそうですが」
「どうしてそのことを!?」
「なにかなくなったものはありませんでしたか?」
「いや、まだ把握していない」
ふるふるとトゥルーデは首を横に振った。
「じゃあこう訊きましょう。ウィッグを所持していますよね?」
「ああ」
「金色の、長いものは?」
「持っている」
なんでそんなもんがあるんだ、とあたりからざわ……ざわ……と声があがる。
- 246 名前:名無しさん:2009/04/19(日) 16:25:13 ID:g7.khPhY
- 「服に髪。条件は揃いました。それにもともと、このふたりは身体的特徴が酷似しているんです。
身長も! 肌の色も!! おっぱいの大きさも!!!!」
「おっ、おっぱい!」
と、食いついたのは、流石というか宮藤さんだ。
「どう? 芳佳ちゃん。エーリカさんとペリーヌさんのおっぱいって同じくらいだよね?」
「うん、間違いないよ」
と、宮藤さんは自信を持って肯定。
「だよね、ルッキーニちゃん?」
「うん、サーニャの言うとおりだよ」
と、ルッキーニさんも自信を持って肯定。
「どうなの、エイラ?」
「なっ、なんで私にまで訊くんダヨ……?」
「すっとぼけないで! ミーナ中佐の胸をもてあそんだのだって知ってるんだから!」
「そ、それは、私とミーナ中佐しか知らないはずダロ!? な、なんでサーニャが……」
エイラさんは顔をみるみる漂白させていく。
本当はもっといじめたいところだけど、今は話を進めないと。
「それで、どうなの?」
「結構おっきかったゾ」
「ミーナ中佐の胸の話じゃなくって」
「ア、アア……ペリーヌとハルトマン中尉はおんなじくらいダヨ。中尉のがちょっとちいさいカナ」
「しかし、着替えたとなるとおかしくないか?」
と、トゥルーデは差し出がましくも口を挟んでくる。
「なにがですか?」
この完璧な論理展開に、いったいなんだというのかしら?
「エイラはここでペリーヌを発見する直前、自室の前を走っていくペリーヌを目撃している。
5分くらいだ。とても着替えるような時間はないと思うが」
私はため息をついた。
まったく。私の話をちゃんと聞いていたのかしら。
「だからそれが、ペリーヌさんに扮したエーリカさんだったんです」
すぐに通り過ぎたのでエイラさんも気づかなかったのだろう。まあ、充分あり得ることだ。
- 247 名前:名無しさん:2009/04/19(日) 16:26:23 ID:g7.khPhY
- 「そしてそのすぐ後に、エイラが倒れているペリーヌさんを発見します。
エイラは一度、芳佳ちゃんの部屋まで行って、そこでわたしとリーネさんも事件のことを知ります。
4人はミーティングルームまでやって来て、他のみんなを呼んでくることになりました。
その時、ちゃんとペリーヌさん――に扮したエーリカさんですが――も呼んで来てたんです」
そう、宮藤さんが私とトゥルーデを呼んできたように。
「呼んで来たのは、わたしです」
この“わたし”というのは、サーニャさんのことだ。
「本当ならこの時に気づくべきでした。寝ぼけていたんです。ごめんなさい」
「しかし……」
と、またもやトゥルーデが口を挟んでくる。
「ここにいたということは、ペリーヌの姿は私以外のみんなは目撃しているんだろう?
それがなぜ、誰ひとり気づかないんだ?」
「メガネです」
「メガネ……?」
トゥルーデはパン、と手を叩く。
「そうか。あのペリーヌはメガネをかけてないんだ」
と、倒れているペリーヌさんを指差し、トゥルーデは言った。
「それで、それがどうしたっていうんだ?」
と、トゥルーデは訊いてきた。一から十まで説明しなければいけないのか。
「そのメガネはエーリカさんがいっしょに持っていってしまったんです」
「いや、でも、メガネをかけたくらいで……」
「なにを言ってるんですか?」
こんなこともわからないなんて。私は首を傾げずにはいられない。
「メガネの有無で顔が変わるなんてよくわることじゃないですか。常識的に考えて」
「そ、そうなのか?」
「そうなんです。『転校初日なのにいきなり遅刻しそうになったので、食パンをくわえて家を出て、
同じく遅刻しそうだった美少女と曲がり角でぶつかってしまう』くらいの確率です」
「そ、それは高いのか? 低いのか?」
「――とにかく。エーリカさんはペリーヌさんの服を脱がせ、ペリーヌさんに扮して現場を離れ、
しかしまたやって来て、でも今はいない。これが事件の真相です」
「な、なんてことだ……じゃあ犯人はエーリカだというのか?」
「はい」
私は肯定した。
トゥルーデは当惑している。無理もない。彼女とフラウとは旧知の間柄なのだから。
頭では理解していても、心の方がついていっていないのだろう。
お互いに、よく相手を知りあっていると思っていたことだろうから――
「そんなっ……どうしてエーリカがペリーヌを……!?」
第5話 12人いる! おわり
- 248 名前:名無しさん:2009/04/19(日) 16:27:42 ID:g7.khPhY
- 以上です。いや、続くんですが。
というわけで双子入れ代わりでした。
まあ描写はかなり露骨だったので、途中で気づいた人は多いでしょうが。
続きの方はぼちぼちと。
もう1本は長い上に百合じゃないんでtxtでうp。パスは4/19です。
エースラの誕生日話で、一人称は二人のママンです。
http://www1.axfc.net/uploader/He/so/218600
あー疲れた。んじゃ、これから死にます。
- 249 名前:名無しさん:2009/04/19(日) 17:29:46 ID:Q2u4iGwU
- 泣いた…GJ
- 250 名前:名無しさん:2009/04/19(日) 19:36:20 ID:52fdNWVY
- 投下大杉ワロタwwwwwwwwww 職人の皆さんGJ!! メチャア!クチャア!いい作品ばっかりでしたw
- 251 名前:ハルいちばん! 1/9:2009/04/19(日) 20:04:30 ID:O8/ws2yI
- トゥルーデの寝顔。 考えてみれば、ほとんど見た事が無いかもしれない。
まじまじと見つめながら、そんな事を思う。
大抵、私の方が起きるの遅いもんね。 一時間とか二時間とかいう単位で。
「トゥルーデ、起きろー。 起きないとキスしちゃうぞー。」
んんんーと口を近付ける。 一糸まとわぬ姿で眠るトゥルーデは、ドキドキするくらいしどけない。
……冗談でやってみたけど。 な、なんだか緊張してきちゃった。 こらこら、何を考えてるのだね、私。 落ち着け、落ち着け。
ひとまず接近を中止して目を開く。 ふと見ると、目を閉じたトゥルーデの頬が紅潮している。 ……。
「こらトゥルーデ! 起きてるだろー!!」
「あたたたたた! 夢じゃなかったのか。 お前が私より早く起きているとは……。」
こめかみをグリグリしてトゥルーデを起こす。 いつものカッターに袖を通すトゥルーデ。 慌ててストップをかける私。
「ちょっとちょっと! クイズです。 今日は何の日でしょう、トゥルーデさん?」
「え?」
私の問いかけに、ちょっとだけぽかんとした表情を見せて、すぐに得心顔。 よしよし。 許容範囲。 許してあげよう。
「悪い、起き抜けでぼうっとしていた。 春を探しに行く日……だったな。」
正解。 微笑を浮かべるトゥルーデ。 私もニコニコと頷き返した。
「いやー、二人一緒の休日も久し振りだね! 私、フラワーパークに行くの初めて!」
「しかし春を探すというのは本来、初春の行為だと思うが……まぁいいか。 菜の花ガーデン。 随分庶民的なフラワーパークだな。」
「もともと家庭菜園だったらしいけど、評判いいみたいだよ。 ロイヤルガーデンとは違った味があって、いいよね。
私達もたまには季節を感じなくっちゃ! 別に新聞の折り込み広告で、たまたま目に留まったからとかじゃないよ?」
はいはいと生返事するトゥルーデをつっついていると、バスが街に到着した。
フラワーパークはちょっと外れの方にある。 アクセスマップを取り出そうとするトゥルーデを押しとどめる。
「待って、トゥルーデ。 せっかく街に来たんだし、用事無い? 先に済ませちゃおうよ!」
「え? うーむ。 幾つか欲しい雑貨はあるが……荷物にならないか?」
「ロッカーに預ければいいじゃん。 私さー、フラワーパークに着て行く服を買いたいんだよねぇ。」
「は、はぁ!? 服? 今着ているのじゃ駄目なのか? そもそもお前は服を買いすぎじゃないか? 何回も着ない癖に。」
「いーの! その時の気分が大切なんだよ。 見て見て。 ズボンだって真っ白。 今日のお出掛けのためにおろした新品だよ?」
「分かった分かった! 見せなくていい!!」
くすくす笑いながら、お気に入りのブティックへと向かう。 せっかくの休日だもん。 したい事ぜんぶやらなくちゃ!
- 252 名前:ハルいちばん! 2/9:2009/04/19(日) 20:05:06 ID:O8/ws2yI
- 「はーい、そこのかわい子ちゃん! 誰待ってんの?」
「誰じゃない! お前だお前! 一体買い物に何分かかって……。」
振り返ったトゥルーデが、私の姿を見て言葉を切った。 どうかな。 割と一所懸命で選んでみたよ。
パステルブルーのハーフトップの上から、水色の花をまぶした白いフレアワンピ。 フリルと肩口のリボンがとってもキュート。
着飾るアクセは一切無くて、パッと見ワンピしか着てない素朴な感じを出してみました。
足元は白のローヒールミュール。 頭は欲しかったキャスケットをぐっと我慢して、お嬢様然とした白いキャペリーヌ。
これまさに春のお嬢さんという出で立ちで、私はトゥルーデの前に立った。
「見て見てトゥルーデ! どう? かわいい?」
「……っ。」
「む。 何だよー、何か言えよー。」
ふいっと顔を背けるトゥルーデに不満を覚える。 そりゃキミに気の利いた言葉なんて期待してないけどさ。
それでも頭のどこかで芳しい反応を想像してた自分が馬鹿みたい。
半袖のチュニックにショートデニムで小ざっぱりしたトゥルーデは、マニッシュでいてフェミニン。 美人さと清潔感が際立っている。
だから釣り合うように色々考えたんだぞ。 本当はお揃いのシュシュを付けたいけれど、私のショートにはそぐわないのが残念。
「よくお似合いですよ。 本当に、清楚で可憐な春の花のよう。 お客様のイメージにピッタリ合っていると思いますわ。」
こちらをチラチラ見てるのに、一向に何も言ってくれないトゥルーデにむすっとしていたけれど。
店員さんの言葉に思わず微笑してしまった。 清楚で可憐な花のよう!
立てば爆薬・座れば機雷・歩く姿は戦闘機とまで呼ばれた黒い悪魔に、なんとまぁマッチした形容でしょうか!
まぁ、いいんだけどね。 可愛く見せたいと思って、可愛く見られる。 喜ぶべき事だよね。
「あ、待て、エーリカ。」
お会計のために店員さんについて行こうとしたら、トゥルーデが私の手を掴んで引きとめた。
「ん? 何?」
「あ、いや、その……なんだ。 それ。 ……よく、似合ってる。 可愛いよ。」
へっ。 柔らかく微笑んでそんな事をのたまったトゥルーデは、私の手を取ってサッサとレジへと歩き出した。
後ろから僅かに見える耳の裏はまっかっかで。 引っ張られるように歩く私も、多分ユデダコになってるに違いなかった。
「しかしまぁ……見事に化けたな。 どこのご令嬢かと思ったぞ。 クリスが見たら、お前だと気付かないんじゃないか?」
「クリスは誰かさんと違って目聡いから気付きますー! まぁね。 私が本気を出したらこんなもんよ。」
ブティックを出て、ゆるゆるとウィンドーショッピング。 ラゲッジロッカーに荷物をしまって、オープンカフェでブランチ。
さてさて、準備万端。 私達はいよいよフラワーパークへと足を運ぶ事にした。
- 253 名前:ハルいちばん! 3/9:2009/04/19(日) 20:05:38 ID:O8/ws2yI
- 「きれ〜い!」
淡い黄色、強い黄色、明るい黄色、落ち着いた黄色。 一面の菜の花にモンシロチョウが群れている。
暖かな陽射し。 頬を撫でるそよ風。 菜の花ガーデンは、息を飲ませるというより、ほっとするような美しさに満ちていた。
「いい眺めだ。 クリスにも見せてやりたいな。 ふふ。 そう言えば、お前もまるでモンシロチョウみたいだな。」
「ん? ん? それは私がミリキ的で可愛いって事かな?」
「まぁ概ねそんな感じだ……痛っ! つねるなよ、フラウ。 今日のお前はモンシロチョウみたいで可憐だ。 これでいいか?」
よろしい。 最初から正直に言えばよいのだぞー。 見回してみれば、園内はそこそこ賑わっている。
家族連れやカップルの姿がちらほら。 ……。 私も、トゥルーデに腕を絡めてみる。
「ね、トゥルーデ。 やっぱりカップルが多いね。 こうしたら私たちも……カップルに見えるかな?」
「わっ、我々は女同士だろう! せいぜい仲の良い姉妹という所だな。」
「……はいはい。 悪うございましたね、お姉ちゃん。 これでご満足ですか?」
「なんだ、その言い回しは。 やめろ。」
その語調はハッとするほど強くて。 思わずトゥルーデの顔を見た。 怒ってる。 な、なんだよ。 そんなに怒る事ないじゃん。
「私はお姉ちゃんじゃない。 お前の言葉は空虚だ。 そんな言葉を聞かされても空しいだけだ。」
「え、えっ? な、なに。 ごめん。 そんなに怒るなんて思ってなかった。 わっ。 私はただ……。」
「姉様だろ。」
「…………へ?」
「へ?じゃない! そうだろ! お前が父を父様、母を母様と呼ぶなら、私は姉様でなければおかしいだろうが!
お姉ちゃん、などと。 そんな着飾った言葉に意味は無い! 恥じるなエーリカ! 本当の自分をさらけ出せ!!
気持ちは分かる。 標準から外れた呼び方は恥ずかしいものだ。 しかし! 私はそんな小さな事にこだわる女ではなぁい!!
さぁ! もはや何も遠慮する事は無いぞ! 思う存分私を姉様と呼ぶがいい! さぁさぁ!! 早く!!!」
…………。
「……うっ。」
「う? ……う姉様? これはまた新しい呼びか……。」
「うっきゃーーーーー!!!!!」
「ぷおおぅぅぅ!!??」
ぱっちぃぃぃん。 怒りをこめて平手打ち。 ほんとにもう! トゥルーデを放っといて、ぺたりんことスタンプを押す。
「痛たた……。 何やってるんだ? それ、スタンプカードか?」
「そだよ。 園内スタンプラリー。 全部押すと景品が貰えるの。 家族用とカップル用があって……私達はカップル用。」
へっ?と間の抜けた声を出すトゥルーデ。 呆けた顔に思いっきりあかんべーして、私は菜の花畑を後にした。
- 254 名前:ハルいちばん! 4/9:2009/04/19(日) 20:06:07 ID:O8/ws2yI
- 「えーと……お二人は恋人さんなんですか? その……女の子同士ですけど。 うぅ、罰当たりです……ぼそぼそ……。」
「こ、恋人? そんな……むぐぐ。」
「そうでーす! 今ブリタニアで一番ホットなカップルでーす!」
トゥルーデを抑えて返答する私。 なんかこの係のお姉さん、ウィッチ年鑑で見た事あるような気がするなぁ。 気のせい?
カップル向けスタンプラリーの景品授受。 私達は他のカップルの間に入って、ちょっとしたセレモニーに出ていた。
「景品はこのカップルネコペンギンですー。 可愛いですよねぇー。 あ、と。 忘れてました。
景品贈呈の前に、実は、そのぉー……お二人でキスしてもらえますかぁ? る、ルールですのでぇ……。」
え。 キス? そ、そんなイベントがあるんだ。 トゥルーデの方を見れば、羞恥で真っ赤になっている。
ギャラリーの視線が私たちに集中しているのが分かる。 トゥルーデと私が向き合ったまま、何も起こらずに時間だけが過ぎていく。
早くしなよ彼氏ぃー! 品の無い野次。 こいつらぁ。 場にそぐわないにも程がある。 叩き出してやろうかな?
「やってられるか!!」
「ひぃ!!」
はっ。 竦み上がる係のお姉さん。 え、ちょっと。 突然怒りを剥き出したトゥルーデは、衆目の中、歩み去ってしまった。
「とぅ、トゥルーデ。 待ってよ! そんなに怒る事ないじゃん。 ごめんね。 調子に乗りすぎちゃった?」
スタスタと歩み去るトゥルーデに必死で追いすがる。 キッと振り返った目を見て、足が止まる。 うそ。 なんて、傷ついた瞳。
「奴らの目を見なかったのか? 好奇の視線。 女二人の列席。 私達の事を嗤っていた! こんな事。 やめておけばよかった。」
グサリと。 トゥルーデの言葉が胸に突き刺さった。 こんな事。 こんな事って。
私。 私、は。 今日一日、楽しかった。 嬉しかった。 幸せだった、のに。 トゥルーデにとっては。 こんな事。
「……トゥルーデは私といたのが恥ずかしかったんだね。 女の子同士だから? 悪かったね。
今日の事は忘れてよ。 そんでさ。 あそこにいた人たちみたいに。 素敵な彼氏でも作って、一緒に来ればいいじゃん!」
吐き捨てた後に、我に返る。 語調も、中身も。 物凄く険のある言葉だった。 私。 何を言ってしまったんだろう。
トゥルーデの顔がぐっと歪む。 怒ってるというよりも。 まるで、泣くのを我慢しているような。
「随分な言い種だな。 それはお前の願望か? 私は、とんだ悪ふざけに付き合わされたという事か。
お前こそ、適当な恋人でも作ってくればいい。 私と違って、ちゃんと一緒に楽しんでくれるような誰かと一緒にな!」
「どっ。 どうして、そういう事言うわけ? 今。 二人でいる時に。」
「先に言い出したのはお前だろう! 今日の事は忘れろ、か。 その方がいいだろうな。 ……もう、帰ろう。」
なに。 なにこれ。 頭がガンガンする。 なんで。 なんでこんな事になっちゃったの?
トゥルーデの背中を見つめながら、フラフラと歩く。 貰ったぬいぐるみの袋が、私の手の中でクシャクシャに潰れていた。
- 255 名前:ハルいちばん! 5/9:2009/04/19(日) 20:06:35 ID:O8/ws2yI
- コンコン。 ノックの音で我に返る。 見慣れた私の部屋。 今日も終わりかけている。 このノックの仕方は、多分。
「フラウ、入るわね。 お夕飯まだでしょ? サンドイッチ作ってきたのよ。 ……電気、点けてもいいかしら。」
やっぱりミーナだった。 私の様子が変だと気付いたんだ。 笑顔を向けられない。 食欲も無い。 ありがと、って呟くのが精一杯。
「素敵な服ね。 今日、買ってきたの? ……ね、フラウ。 明日も、お休みする?」
あぁ。 そう言えば、帰ってきてから着替えてない。 明日も、お休み? 軍人の言葉じゃないね。 それ。 友達の言葉だよね。
ミーナはあまりに優しくて。 あまりに暖かくて。 もう涙がこらえられなくて。 私はミーナにすがって、声をあげて泣いた。
「うん……。 うん……。 帰ってきてから今まで、一人で頑張ったんだものね。 辛かったわよね。」
ミーナは、何も聞かなかった。 ただ抱き締めてくれていて。 その温もりが心強かった。 繰言を聞いて欲しいわけじゃない。
ただ、この暖かさを一分一秒でも引き伸ばしたくて。 私は昼間の事を何もかもミーナに打ち明けた。
「えっく。 私、馬鹿だ。 トゥルーデと一緒に、休日を過ごしたかっただけなのに。 あんな事。 うぇっく。 言う、なんて。」
「そうね。 よく本質が大事とは言うけれど、本当は形式も同じくらい大事なものなの。
トゥルーデはそれをよく分かっていて、形式をとても大切にする人でしょう。 向いていなかったのかも、しれないわね。」
ミーナの手は、とても繊細。 ガラス細工でも扱うかのように、私の背中を撫でてくれる。 嗚咽が止まらない。
「でもね。 あの子、そんな事で本気で怒るような人かしら。 むしろ自分だけの問題なら、幾らでも我慢してしまう人よ。
きっとトゥルーデは。 フラウが、そんな奇異な目で見られる事が、耐えられなかったんじゃないかしら。
知ってる? あの子、自分以外の誰かがあなたを悪く言おうものなら、物凄い勢いで怒るの。 あなたの事が、大切なのよ。」
えっ。 ミーナの言葉が私の心にゆっくりと浸透してくる。 私の、ため?
トゥルーデは、私の振る舞いに怒ったのだとばかり思い込んで、他の可能性を考えてもみなかった。 私の、ため。
ミーナの言う事が本当だとしたら。 私は、トゥルーデに、なんて最低な事を言ったんだろう。
改めて泣きたくなってきた。 それは、私のちっぽけさに対して。 そして。 一言も弁明しなかった、トゥルーデに対して。
途方に暮れて、ミーナを見上げる。 ミーナは母親のように優しく微笑んで、私の事を、突き放してくれた。
「あの子と話してらっしゃい。 きっと大丈夫。 あなたもトゥルーデも、私の最愛の人よ。 私の人を見る目を、信じなさい。」
とても綺麗な笑顔。 何の根拠も無い安請け合い。 それが、私にちっぽけな勇気をくれて。 私はようやくミーナに笑顔を向けられた。
「トゥルーデ。 入ってもいい?」
「……あぁ。」
トゥルーデの部屋。 来たはいいものの、言葉が出ない。 トゥルーデも私も、最初の一言を言いあぐねたまま。
ミーナ。 勇気をちょうだい! 彼女の笑顔にすがるように、なけなしの勇気をかき集めて。 遂に私は、言いたかった事を口にした。
- 256 名前:ハルいちばん! 6/9:2009/04/19(日) 20:07:05 ID:O8/ws2yI
- 「さっきの、事だけど。 ごめん。 ごめんね、トゥルーデ。 私、腹がたって仕方無かったんだ。
トゥルーデも周りにいた人たちみたいに。 私といるより、素敵な男の人と一緒にいたいのかなって、思ったんだ。
それが普通だよなって思ったら、無性に悲しくなって。 言わずにはいられなかったんだ。 だって。 だって、わたし。」
一息に話してしまえば、と思ったけれど。 頑張ったんだけれど。 ……無理だった。 視界がぐにゃりと歪む。
「わっ、私はこんなにひっ。 トゥルーデの事。 好きなのにぃっ。」
涙がぶわっと流れ出す。 あれほど泣いたのに、ちっとも涙は涸れていなかった。
嗚咽が言葉の邪魔をする。 泣くよりも先に、言葉を紡ぎたいけれど。 あぁ。 なんて弱いこころ。
私にあの言葉を言わせた気持ち。 あの時は分からなかった。 ううん。
きっと無意識の内には分かっていたけれど。 自分から目を背けていたんだ。 もう嘘はつけなかった。
分かっていたんだ。 恋なんだって。 でも、目を閉ざしていたんだ。 言えなかったんだ。 だって。 女の子同士だから。
私はあの時、トゥルーデに拒絶されたと思ったんだ。 この気持ちを、見透かされたんじゃないかと思ったんだ。
夢想していた幸福も、これまでの親愛も何もかも、打ち捨てられてしまいそうな気がして。 そう思ったら。 あんな、ことを。
傷付けたくなかったよ。 許されなくても。 もう傍に、いられなくても。 あやまりたいよ。
トゥルーデがためらいがちに私に触れようとして、中空で手を引っ込める。 所在無げに視線を逸らしたまま、呟いた。
「……知ってるよ、その気持ち。 分かりすぎるくらい、分かる。 あの時。 私の気持ちは、今お前が言ったそのままだった。」
咄嗟に意味が理解できずに、言葉を反芻する。 私が言った、そのまま? ……私といるよりも。 素敵、な。
膝が震える。 やっぱり、私は、弱い。 トゥルーデが私を抱き寄せる。
やめて。 優しくしないで。 これなら、嫌われてしまう方がよっぽど楽だった。 やだよ、こんなの。 やめてよ!
離れようともがく私を、お構いなしにぎゅっと抱き締めて、トゥルーデが続きを喋り出した。
「きっと、私の方が酷い。 売り言葉に買い言葉で、自制を忘れてしまったんだから。 あの言葉。
私の隣に、お前じゃない誰か。 そんな事言ってほしくなかった。 朝から、あの時まで。 私はとても幸せだったのに。
お前にとっては、その程度のものだったのかと思ったら、悲しくて。 許せなくて。 ……お前を、傷つけてしまった。」
もがき続けていた体を、ぴたりと止める。 え。 今。 トゥルーデは何て言ったの。 思わず、瞳を見つめた。
「言いたくてたまらなかった。 分からないのか?って。 私が、他の誰といたいはずがあるんだって。
けど、言えなかった。 きっと、お前と同じ理由だと、思う。 怖かったんだ。 ずっと言いたかった。 好きだ、フラウ。」
自分の耳を疑いかけて、気付いた。 ……なんて見覚えのある瞳。 泣き腫らして、苦しそう。 私と同じ瞳。
そう。 言えなかったんだ。 言えないよ。 女の子が、二人。 ガール・ミーツ・ガールだなんて、誰も笑ってくれないじゃないか。
それでも、気持ちに嘘はつけないから。 私と同じように、トゥルーデもずっと、苦しんでたんだ。
あぁ。 早とちりも、すれ違いも、その全てが雪解けのように流れ去って。 私達は、身を寄せ合って泣いた。
- 257 名前:ハルいちばん! 7/9:2009/04/19(日) 20:07:36 ID:O8/ws2yI
- 「……でも、トゥルーデだって悪いんだぞ。 いっつも素っ気無い、気の無さそうな素振りして。」
「あぁ。 恥ずかしかったんだ。 私は、ちょっとした事で視野が狭くなる。 良くない癖だ。」
「すぐ冗談を本気に取るし。」
「口うるさいしな。」
「無駄に頑固だよ。」
「妹に過保護すぎるきらいもあるな。」
「バーカ。」
「その馬鹿を好きな奴がいるというから世の中は不思議なものだ……ぐっ。」
腹パンチ。 呻いて少し顔をしかめたトゥルーデが、笑い声を洩らす。 バーカ! バーカ!
「ね。 私達……両想い、なんだよね。」
「ん、む。 そ、そういう事になるな。」
「……お付き合いしちゃう?」
「そ、そりゃまぁ、そうだろう。 うん。 好きあってるのに離れるなんて、おかしな話だ。」
「じゃあ証拠。 見せあおうよ。」
……。 ほんの少しの間、唇が触れた。 こくん、と。 私の喉を伝わっていく温もり。 頭がぽーっとする。
こんなに幸せで、いいのかな。 何だかフワフワしたまま、素直な気持ちを言葉に変える。
「いつか、私。 今日をやり直したいな。 もう。 絶対、まちがわないから。」
「……そうだな。 私も、まちがわない。 もう、まちがえようがない。」
今日があったから、今の私達があるわけだけど。 やっぱりね。 まちがいは改めておきたいもんね! でもその前に、まずは今日。
「振り回してごめんね、トゥルーデ。 もう我慢しないでいいよ。 全部受け止めるから。 トゥルーデのしたいようにして。」
そうだよ。 今日も、これまでも。 なんだか、私ばっかり我侭言っちゃってるような気がする。
私はしたいようにするから。 トゥルーデもしたいようにしてほしいな。 トゥルーデの我侭ならさ。 幾らだって聞いちゃうよ。
「し、したいように? 我慢するな!? でっ、でも……あのだな。 ……いや。 分かった。」
「うん。 トゥルーデの思うように……って。 はれっ?」
こけっ。 一瞬、何が起こったか分からなかった。 こかされた私は、ベッドの上に押し倒されていて。
何も見えない。 ……ひょっとしてこれ。 お互いの顔が近すぎる? 物凄く近くで吐息を感じる。 その距離およそ0センチ。
パニックの最中、視界が戻って、トゥルーデの喉がこくりと鳴って。 私はようやく理解した。 ……いっ、今。 大人のキスされたー!?
「甘くて……暖かい。 なぁフラウ。 無理に奪う気は無いが、求めてもいいだろう? ……私の自惚れで、なければ。」
「え? う、自惚れじゃ……ないけれど。 うう奪う? 何を!? あ、あ。 味の感想なんて言うなーー!!」
あれ。 顔が熱い。 胸が苦しい。 トゥルーデの目が熱っぽい。 あれ。 あれ? こっ、この体勢。 やばくない!?
- 258 名前:ハルいちばん! 8/9:2009/04/19(日) 20:08:05 ID:O8/ws2yI
- 「ちょっ、ちょっと! なんで足、股の間にこじ入れてくるの? うう、う。 奪うつもりは無いって言ったじゃん!」
「だ、断じて奪うつもりなんて無い! でもな、これは私の自惚れなのか……?」
「自惚れ! もんのすごく自惚れですからぁー! だだ駄目だってばトゥルーデ! こういうのはもっと段階を踏んでいこうよ!」
急展開すぎて、心の準備が追いつかない。 タイム! タイムぅ! 私。 求められてる!?
湯だって煮えた私のハートは、今にも噴きこぼれてしまいそう。 無理! 嘘でも冗談でもなく、真剣に無理だよーー!!
おなかまで捲り上げられたワンピースの裾を必死で押さえながら、何とか思いとどまってくれるよう手を尽くす。
「ほら! トゥルーデのお尻撫でちゃった! こういうのまだ早いって思うでしょ?」
「綺麗だ。 なんて、柔らかい。 大切に触らなければ、壊れてしまいそうだ。 無駄の無いすらりとした太股も……。」
「ほっ、ほら! トゥルーデの胸触っちゃったよ! 恥ずかしいでしょ!? ほんとまだ早いよね!!?」
「滑らかで形のいいへそ周りも……。」
「う、あ、うぁ。 うーいぇいーーーーー!!!!!」
「ぷおおぅぅぅ!!??」
ぺっちぃぃぃん。 何を言っても止まらないトゥルーデに、ありったけの恥ずかしさを込めて平手打ち。 羞恥にまかせて言い募る。
「とぅ、とぅ。 トゥルーデのバカ! エロス! アダルト!! アナヴキっ!!! はは恥ずかしいって言ってるでしょ!!」
「なっ!? あ、アナヴキは言い過ぎだろう? 品の無いスラングを使うんじゃない!!」
「アナヴキだからアナヴキって言ったんだもん! ほんとに駄目だから! 猶予期間を要請します! ……今日は。 ここ、まで。」
トゥルーデの下唇をそっとつまむ。 ここ、という意味を強調するように、ふにふにと唇を弄ぶ。
しばらく難しい顔をしていたトゥルーデだったけれど、ふっと眉間から力が抜けて、諦めたように苦笑した。
「分かったよ。 頭を冷やす。 今日はここまで、約束する。 だからそんなに睨んでくれるな。」
「遅いよ! まったく、こうと決めたら一直線なんだから。 ……あっ、あーゆーキスは。 事前に言ってよね!」
ぺちりとオデコに一発かます。 わざと怒った顔をしてみると、トゥルーデが慌てたように弁明した。
「いっ、いやその。 私は口下手だろう? 言葉で尽くそうとしても、こんな気持ち伝えきれない。
体が動いてしまったと言うか……。 口移し、したかった。 私がお前を感じたように。 私を感じてほしかったんだ。」
怒ったふりで聞いてはみても、頬が緩んでしまう。 お馬鹿な事言ってさー。 ん。 許してあげるよ! えへへ。
「……ところで、フラウ。 今日もらったぬいぐるみ、あるだろう。 カップルになってる奴。 あれ、一つずつ部屋に飾らないか。」
えっ。 ちょっぴり頬が染まる。 おそろいのインテリア。 それ、恋人っぽい。 うん、と頷いてそそくさと取りに帰る。
「あれっ。」
「これは……。」
可愛いラッピングをぺりぺり剥がした所で、私達はちょっぴり驚いた。 いわゆる、不良品だったんだ。 でも、これは。
トゥルーデと顔を見合わせて、笑う。 カップルネコペンギン。 男の子と女の子が一対になった人気商品。
けれど今、中から出てきたのは。 仲睦まじく寄り添う、二つの女の子ペンギンだったのでした。
- 259 名前:ハルいちばん! 9/9:2009/04/19(日) 20:08:38 ID:O8/ws2yI
- 「やっぱりきれ〜い!」
「こら、走るなフラウ。 蝶が逃げてしまうだろ。」
あの日のやり直し。 シフトを弄って、また二人同じ日に休みが取れたのも、ひとえにミーナのおかげ。
職権濫用かな、なんてちろりと舌を出したミーナを思い出して、思わず微笑が漏れる。 ふふ。 愛してるよ、ミーナ。
あの日と同じ服。 あの日と同じ場所。 少しだけ雲の流れる晴れ空の下、菜の花たちは今日も並んで風に揺れている。
風が散らした淡い香りの中、モンシロチョウたちはいまだ元気に飛び回っていて、まるでそっくりあの日のまま。
「ね、トゥルーデ。 あの時のセリフもう一回言って。」
「セリフ?」
「うん。 お前はモンシロチョウみたいだ。 可愛くてたまらない。 フラウ最高!とかいう奴。」
「さりげなく捏造を入れるな! まったく。 ……どうしてもか? 改めてもう一回となると、その、歯痒いものがあるんだが。」
「どうしても! 私は意外に乙女ちっくなんだってば。 ほらほら。 可愛いエーリカちゃんのために、恥をかきたまい。」
「……こほん。 今日のお前はモンシロチョウみたいに可憐で、綺麗だ。 フラウ。 これまで以上に。 いつまでも、お前を愛してる。」
へっ。 えぅ……。 思ってもいなかった切り返しで、繋いだ手に力が篭る。 私から仕掛けた悪戯なのに、トゥルーデの方が笑っている。
「……あ、あの日はそんな事まで言わなかったじゃん。 あの日のやり直しなんだってば、今日は。」
「言いたかっただけだ。 もうやり直しはいいさ。 あの日の代わりじゃなくて、今日でいい。 今日があればいいんだ。
柔らかな陽射し。 一面の菜の花に囲まれ、辺りには蝶が舞い、大切な人と二人きり。 私に、これ以上何を望めと言うんだ?」
トゥルーデの手が、優しく私を振り向かせる。 あぁ。 心臓がうるさい。 本当は。 本当はその言葉を待っていた。
やり直すまでもなく。 今日の方がずっと素敵だって、言ってほしいと思っていた。 あぁ。 本当に。 好きだよ、トゥルーデ。
「帽子のつばが邪魔で、お前の顔がよく見えない。 取ってもいいか? ……って。 おい。 この天邪鬼!」
トゥルーデの言葉に、ぐい、とつばを引っ張ってわざと目深に帽子を被る。 駄目。 見せない。 絶対見せない。 ……あっ。
「ほら、取った。 まったく、何を隠す事があるん……だ……。」
「あぅ……。」
見られた。 取り繕う言葉も出てこない。 だって。 だってさ。 今の私。 りんご以上にまっかっかなんだもん。
今の私は、トゥルーデへの気持ちだけで出来ていて。 今見られたら。 私が本気でトゥルーデを好きなんだって、ばれちゃうじゃないか。
「……今のお前に何を返せば、その気持ちに釣り合うのか分からない。 フラウ。 心の底から、言える。 愛しているよ。」
「……私も、愛してる。 ねぇ、トゥルーデ。 言葉じゃ伝えきれないね。 こういう時は。 どうしよっか……。」
それきり、言葉は無くなって。 さぁーっと風が吹き抜けて、菜の花たちが一斉になびく。 穏やかなさざめき。
見詰め合っているだけで、何もかも満たされている、けれど。 踏み出してみるね。 もう一歩。 トゥルーデとなら、さ。
モンシロチョウがひらひらと舞う。 柔らかな陽射し。 緩やかな境い目。 どこまでがひとつ? どこからがふたり?
分からない。 私はそっとつま先だちした。
おしまい
- 260 名前:名無しさん:2009/04/19(日) 20:13:44 ID:H27rJJ4c
- エイラの誕生日の時には、あんまり投下無かったのに、なんだコノ投下量はw
読み切れてないけど、みんなGJ!
- 261 名前:名無しさん:2009/04/19(日) 20:16:43 ID:K6FuqwKs
- リアルタイムで見入ってたよ
GJです
- 262 名前:名無しさん:2009/04/19(日) 20:43:38 ID:3/Lqs65k
- エーリカ祭すごいな…w
あとSS2つで1000本だ!
- 263 名前:名無しさん:2009/04/19(日) 20:48:21 ID:/O5BSt96
- …萌えのあまりモニタの前で踊った。あなたのエーリカは本当に可愛い。
言葉とかね。仕草とかね。思考とかね。緩やかな境目とかもう! もう!
お姉ちゃんもミーナもいいないいな! GJ!
- 264 名前:名無しさん:2009/04/19(日) 20:56:26 ID:/EF1gSQg
- >>259
GJ!姉様とかマジ自重wそりゃ平手打ちされるわ・・・そして何やってるのエルマさん
>「そうね。 よく本質が大事とは言うけれど、本当は形式も同じくらい大事なものなの。
> トゥルーデはそれをよく分かっていて、形式をとても大切にする人でしょう。 向いていなかったのかも、しれないわね。」
この隊長の台詞が凄い好きだなー。カールスラントトリオの関係性が良く表れてるねえ
途中胃が痛くなったけど、最終的には幸せそうで良かった!大作乙!
>>260
百合スレ住人も天使エーリカに撃墜されまくりなのであった
- 265 名前:名無しさん:2009/04/19(日) 21:53:36 ID:sY2SGHDM
- >>259
何だか投下多すぎて感想どころかGJすら間に合わないんで直近のだけひとつ。
立てば爆薬〜の件で電車の中で吹きましたw
あと、女の子同士の恋愛をその葛藤から描くガールズラブの甘酸っぱい感じにもう身悶えっす。
無茶苦茶堪能しました〜GJ!
- 266 名前:名無しさん:2009/04/19(日) 21:54:25 ID:PJEqYqNs
- 感動した!
このスレの住民の心意気に感動した!
言いたい言葉もあるだろうにそれをぐっと飲み込み、伝えたい想いをSSにぶつけるその不言実行さに惚れた!!
よし、見習って、私も何か書いてこよう。
- 267 名前:名無しさん:2009/04/19(日) 22:15:21 ID:d//pjEoQ
- もう一つ一つコメントすることすら不可能w
すばらしい誕生祭です。投下された全職人の皆様、超GJ!
>>260,>>264
これが、スーパーエースの実力か。
ネウロイどころか百合スレ兵まで大量撃墜。
>>262
1000本超えたら何かでかいイベントが起こる予感。
- 268 名前:名無しさん:2009/04/19(日) 22:27:47 ID:6hQhgTRw
- ここで颯爽とじっちゃんが登場して#1000を奪っていったらもう一生ついてくわ。
だがその前にエーリカ誕生日おめ、そして>>229、>>235、>>248、>>259GJ!!二人とも愛されてるなあと思いました。
まあいつもの流れだとここからの駆け込みが多いわけだがどうなるかな?今夜には4桁突破するかもわからんね。
- 269 名前:名無しさん:2009/04/19(日) 23:00:26 ID:r2tBrxaw
- カチャンと音をたてて、手にした薬匙を置く。大きな実験テーブルいっぱいに並べた材料を確認し、分量等の間違いがないのを見て取る。
ついさっき、ハルカが少女のような声を発して廊下を走っていった。
この頃はめっきり貫禄がつき、かつての第一中隊長の後継とまで揶揄される彼女。きっと、隊舎の窓から待ち人の姿でも発見したのだろう。
もう少しすれば懐かしい声が聞こえてくる。これからどんな騒ぎが起きるのかも、もうわかっている。
智子に引っついているジュゼッピーナ、甲高い声を出して激しく嫉妬するハルカ。
早速始まる恋の鞘当て。外まで響くほどの、ケモノと称された悩ましい声。
口笛を吹いて囃し立てるキャサリン、地獄に落ちますよと嘆くエルマ、我関せずにタバコをふかすビューリング。
思い出の欠片が輝くような光を放つ。
それはどれだけ時がたとうと色あせない、大切な仲間達との記憶。
いらん子中隊という不名誉な愛称をつけられた統合戦闘団。
しかしいざ発足してみれば、そんな周囲の冷笑を跳ね返す快進撃。
寄せ集め部隊への蔑み、はみ出し者だった私たちの評価も180度変化した。。
だけどおかしなことに―――6年も所属して尚、第507統合戦闘団という公式名称に馴染めずにいる。
初期メンバーで現役なのは、もう私とハルカだけになってしまった。
他の皆はそれぞれ楽隠居の身。だが、なにかにつけあちこちから集ってくる。
このスオムスに。この特別な場所に。
ここに来れば、いつだってあの頃に戻れる。
きっと、皆も私と同じ。
どんな勲章よりも尊いあの輝きを、大切に胸の奥へしまっている。
今日は4月19日。つまり此度の建て前は、私の誕生日。
さあ、開幕の砲を打とう。
炸薬は五十。そう、あの頃と同じ。
部屋なんて安いもの。また作り直せばいいのだから。
「…なにこれ、姉さま」
斜め上から降ってきた冷たい声。机に向かっていた私は、その抑揚のない響きに顔を上げる。
「んー? 自伝に決まってんじゃん、お前の」
「…………」
ビリッ!
「あーーーっ?! なにするのさ! 文豪気取りの私がせっかく、可愛い妹のために一肌脱ごうと」
予告もなく破棄された力作に叫ぶ。ずぼらな私が費やした一時間の苦労が水の泡。
「嬉しくない。むしろ迷惑」
「まぁたまた、照れちゃって。実際こんな感じのくせに」
びしっと指を突きつけてからかうと、仄かに頬を染めたウーシュは眼鏡の奥の瞳を彷徨わせる。
にやにやとそんな愛らしい様子を眺めていると、ついには唇を引き結んでプイッ。
「そんなこと言う姉さまにはケーキあげない」
「ええっ?! 待って、待ってよウーシュっ! それはあんまりだってー!!」
さっきから漂っていた甘い香りの正体にあっさり形勢逆転。ころがるようにしてウーシュの背中を追いかける。
今日は4月19日。私たち二人の誕生日。
さあ、祝福のクラッカーを鳴らそう。
丸いケーキを彩る白いローソク。毎年二つずつ増えていく炎。
どれだけ離れていようと関係ない。私たちはいつだって繋がっているのだから。
__________________
賑わいに惹かれて突貫で書いてみたものの…
ナニコレ?
つまり何が言いたいかといえば、ハルトマン姉妹オメッ+4巻まだかなーと
- 270 名前:名無しさん:2009/04/19(日) 23:31:28 ID:6SAqfe9k
- >>269
GJ! ウーシュかと思いきや実はエーリカと言うのが面白い!
- 271 名前:名無しさん:2009/04/19(日) 23:47:40 ID:ozlW4vZ2
- おおー、なんかすっごい大量投下だw
じっくり読ませて頂く前に一つ投下します。
時間内に間に合ってよかった……(´Д`)
- 272 名前:名無しさん:2009/04/19(日) 23:48:20 ID:ozlW4vZ2
- その日も、観測所から報告のあったネウロイを駆逐し、全員無事に基地へと帰り着いたスオムスいらん子中隊ことスオムス義勇独立飛行中隊。
事後の反省会を兼ねたミーティングを恙無く終えた後、最近では既に聞き慣れてしまったハルカとジュゼッピーナによる智子争奪論戦を聞き流し、ウルスラは一人静かに部屋を後にした。
「………」
コツコツ、と無機質な靴の音が冷えた廊下に響き渡る。
右腕に分厚い専門書を抱えながらゆっくりと歩く。
そうして、自分の部屋へと戻るのだ。
自分の領域、自分の世界、自分の空間へと。
その事に何の不満もない。
隊の仲間にも、ネウロイとの戦闘にも、ここでの暮らしにも。
それでいても、やはり今日と言う日だからなのであろうか。
「…………」
気が付けば、ウルスラはとある部屋の前で立ち止まっていた。
自分の部屋のものではないそのドアをしばらく眺め、失礼します、とそのドアノブを握りしめた。
◇
「………ん?」
数週間前から毎度お馴染みになりつつある、ハルカとジュゼッピーナの智子争奪論戦。
その様子を適当に眺め、いい加減にキレてカタナを振り回す智子と、それを止めようとするエルマとキャサリンの勇姿を見届けた後、彼女…エリザベス・F・ビューリングはコーヒーを片手に自室へ歩を進めた。
部屋に入る前に、先程からくわえていた煙草に火を着けようと視線を下げた時に、自室のドアが少し開いていることに気が付いた。
ビューリングは軽く眉を寄せた後、煙草に火を着けずに自室のドアを潜った。
「……今日はどうした?」
「……………」
案の定、部屋の中にはビューリングの予想通りの人物がいた。
ただ、想像と外れていた点と言えば、彼女…ウルスラにしては珍しく、というか初めて本を読んでいなかったという事だろうか。
ビューリングは手頃な台に持ってきたコーヒーを置いた。
「……何か飲み物はいるか?」
「……いい」
そうか、とビューリングはポケットから煙草の箱を出して中へと戻す。
ベッドにちょこんと腰掛けるウルスラを一瞥した後、ビューリングは普段通りに椅子に座りコーヒーを啜った。
「…………」
「…………」
カチコチと時計の針の音だけが質素な部屋に響く。
- 273 名前:名無しさん:2009/04/19(日) 23:49:17 ID:ozlW4vZ2
- ウルスラは本を静かな所で読みたい、とビューリングの部屋に度々訪れていた。
そんなウルスラに気を使ってか、ビューリングはウルスラが部屋に居る時には煙草を控えていた。
普段ならば、この静かな世界に時折書物のページを捲る音が聞こえるのだが、今日に限って言えば、時計とコーヒーを啜る音しか聞こえない。
「……ビューリング少尉」
「……ん?」
どの位の時間が流れたであろうか、ビューリングのコーヒーに底が見え始めた頃、ウルスラはポツリ、と呟いた。
「……使い魔を見せてほしい」
「…………………は?」
思わず、ズルリと落としてしまいそうになったコップを慌てて掴んだ。
そしてそのコップを机に置くと、二度三度と眉間を揉みほぐして尋ねた。
「すまない。もう一度言ってくれ」
「ビューリング少尉の使い魔を見せてほしい、と言った」
じぃっ、と真っすぐにビューリングを見つめるウルスラ。
ビューリングは頬を軽く掻いてから、自身の使い魔を喚び出した。
「…………」
『…………』
それは、なんと言うか珍妙な光景であった。
無言でビューリングの使い魔…ダックスフントを、ベッドから降りしゃがんで眺めるウルスラ。
使い魔は使い魔で、喚び出された場所から一歩も動かずに、ウルスラをただ見上げていた。
「…………」
『…………』
5分だろうか、10分だろうか、そのまま時だけが過ぎ、ビューリングが再度入れてきたコーヒーが半分くらいになった頃、ウルスラがのそり、とその身を起こした。
「……やっぱり違う」
「……そうか」
ビューリングはウルスラに抱き抱えられた使い魔を引き取り、机に置いてやる。
ふっ、と走り去る様に姿を消した己の使い魔を見送った後、ビューリングはコーヒーと一緒に入れてきた、微妙に冷めたホットミルクをウルスラに渡した。
「ありがとう」
「ん」
お互いに飲み物をちびちびと喉に通し、また静かな時間が過ぎていった。
温めのホットミルクを飲み干したウルスラは、ベッドの上で三角座りをして身を丸めた。
「今日は……姉様の誕生日」
「……そうか……姉がいたのか」
程なく時間の経った頃、両の膝の間に顔を埋ずめながら、ウルスラはぽそっ、と呟いた。
あまり不必要な詮索を好まないビューリングだったが、軽く頷く事で話の続きを促した。
- 274 名前:名無しさん:2009/04/19(日) 23:49:42 ID:ozlW4vZ2
- 「姉様の使い魔も、ダックスフント」
「……ふっ、似てたか?」
「……ううん。違った」
だろうな、と言った後、ビューリングは案外可愛い所があるなとクスクスと笑った。
眉を潜めて無言の抗議の行うウルスラだった。
「あー、すまなかった。……姉とは幾つ離れてるんだ?」
「…………同じ歳。双子だから」
少しムスっとした声でウルスラが答える。
しかし、その答えにビューリングは、しばし動きを止めた。
「……なら、今日はお前の誕生日でもあるのか?」
「……そうとも言う」
そう答える言い方は、いつもと変わらずどこまでも平淡で。
ビューリングが軽く顔をしかめたその時、部屋のドアがバタン!と殴り飛ばされた様に開け放たれた。
◇
「話は聞かせて貰ったネ!水臭いよウルスラ!」
「そうですよ!ですが、お二人は至ってノーマルな方の様で私は一安心です」
なだれ込むように部屋へと突入してきたのは、キャサリン・オヘアとエルマ・レイヴォネンの二人だった。
キャサリンはウルスラの手を取ってぶんぶんと振り回し、エルマは獣さんがどうこう、と胸を撫で下ろしていた。
「コレはきちんとお祝いしないといけないネ!あの三人も呼んでくるネーッ!」
「では私はアホネンさん達にお誕生会の許可取ってきますねっ。食堂で待っていて下さい」
そう言って走り去った立ち聞き犯二名。
僅か数十秒足らずの電撃展開。
ウルスラとビューリングは一言の言葉も挟む余地なく、この後の予定が決定してしまった様だ。
開け放たれたままのドア向こうから、徐々に騒ぎが大きくなって着ている様子が伺えた。
ウルスラは普段では見られないような、ポカンとした表情をしている。
ビューリングはその様子を見てふっ、と笑うとその身に使い魔を宿した。
ぴょこん、と生える耳と尻尾。
そうして、ビューリングはポム、とウルスラの頭を撫でて言った。
「誕生日おめでとう、ウルスラ」
お前の姉には似てないだろうけどな、と付け足して、ビューリングはドアの横へと立ちウルスラに手を差し延べた。
◇
- 275 名前:名無しさん:2009/04/19(日) 23:50:15 ID:ozlW4vZ2
- 食堂からは、この短時間で何が起こったのか、締め切ったドアを挟んでも分かるほどの喧噪が漏れている。
ウルスラの誕生日会も、始まってしまえば、飲めや歌えの大騒ぎな大宴会会場と化した。
今は智子とアホネンが肩を組んで何やら大声で歌っている。
次から次へとグラスに注がれるアルコール入りのジュースを飲んでいたウルスラは、ふと出入口の扉が揺れた事に気付いた。
「……ビューリング少尉」
「……どうした?」
近くの窓を開け放ち、煙草に火を着けていたビューリングは、現れたウルスラに少々驚いた。
今日はこういう日なのか、と手にしていた煙草を携帯用の灰皿の中に消した。
「……先程はありがとうございました」
ペコリ、と頭を下げたウルスラに、ビューリングは何の事だ、と小さく笑った。
ぱちくり、と目を瞬かせたウルスラが何か言おうとするより先に、ビューリングは少ししらばっくれた様子で、手紙を一通差し出しながら言った。
「そういえば、私からはまだ言っていなかったな。……ハッピーバースデー、ウルスラ」
それはお前宛てだとさ、と食堂へ戻るビューリングを見送り、ウルスラはその手紙の差し出し人を確認した。
差し出し人、エーリカ・ハルトマン。
ウルスラは、なんとも言えない今までに感じた事のない感情を持て余しながら、ビューリング以外の面々がウルスラが居ない事に気付き、廊下になだれ込んでくるまでの間、少々煙草臭くなったその手紙を大事そうに、大切そうに抱えていたのであった。
おわーり
- 276 名前:名無しさん:2009/04/19(日) 23:51:48 ID:ozlW4vZ2
- 以上CRwGA7CAでした
この投下量、寝る前に読みきれるかなw
- 277 名前:名無しさん:2009/04/19(日) 23:53:28 ID:6SAqfe9k
- >>276
GJ! そして1000本目おめ! ……なのか?
リアルタイムで拝見しました。ビューリングとウルスラ良い味出してますね。
ハッピーバースデーウーシュ!
- 278 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2009/04/20(月) 00:14:46 ID:g7abbAjs
- 職人の皆様方GJ! まさにエーリカ祭!
そしてSS1000本達成おめでとうございます!
いや、凄いですね。勢いは止まらない!
改めてこんばんは。mxTTnzhmでございます。
>>162-163「radio echo」の続きを投下します。
今回も短いですが、どうぞ。
「happy talk」
ハ〜イ今夜も「STRIKE TALKING RADIO」始まりマシタ〜。
DJ兼MC、パーソナリティのエイラ・イルマタル・ユーティライネンダゾ?
この番組ハ、サーニャのレーダー魔導針を通しテ、全世界の悩めるウィッチに秘密のラジオとしてお伝えしているンダナ。
そこ、夜間哨戒のついでとか言うナヨ?
「今日も?」
う……なんかサーニャの目が冷たいんダナ。そんな顔するなヨ〜。
さてト、この番組ではリスナーの皆様からお手紙を募集しているンダナ。
今回も一通来たゾ。ええっト……所属他一切内緒希望、十代カールスラント出身の女子。
ホホウ、これは一見すると誰だか分からないナ。では読むゾ。
『私には双子の姉がいます。とにかく撃墜数は凄いのに、
日常は超だらしなくずぼらで、しかもしょちゅう処分や懲罰を受けてるとか。
でも私は今遠くにいるので何もすることができません。
どうしたら姉はビシッとするでしょうか?
エイラさんは気が弛んだ時はありますか?」
私カァ。少なくとも戦闘では気が緩んだ事は無いナ。何せ私は絶対に……
「エイラ、それ特殊能力……」
ウッ、ま、まあナ。だからネウロイには、サーニャに指一本触れさせないゾ。
私がサーニャを護ル。
「エイラ、有り難う」
ううッ……そんなはにかんだサーニャも可愛いンダナ。
さて、気を取り直して、お便りの答え、言ってもイイカナ?
直接会って家族会議ダ!
遠くに居るって言ってモ、たまには会えるダロ? その時にビシっと言えばいいんダヨ。
「会えないって言ってるのに……」
サーニャに言われると何か心苦しいゾ……。
でもマア、「気が緩む」のも分かるナ。私だっテ、サーニャと一緒になると「抜け殻」みたいとか言われるシ……。
「……」
サーニャ何笑ってンダ!? 卑怯ダゾ、そんな笑顔デ……。
「エイラ、話の続き……」
おおっト、ゴメンナ。
このカールスラント出身の女子さんダケド、やっぱり一度機会を作って、会った方が良いと思うゾ。
大切な姉だからコソ、とっても大事に、心配に思ってるんダロ? まずは会ってみるのが一番だと思うナ、私ハ。
会うのが無理だったラ、手紙のひとつでも書いてみれば良いンダヨ。
「でもあのひと、あんまり手紙読まないタイプだと思う……」
ウウッ、サーニャぁ〜。
ととにかク、女子さんが大事に思ってるって事ハ、相手もきっと同じ事を思ってると、私は思うナ。
家族、姉妹ってそう言うものじゃないカナ? マア姉妹と言っても色々なかたちや距離感とかが有るとは思うけどナ。
だからあれこれ悩むよりモ、まずは機会を見つけて会ってみようヨ。話はそれからダ。
「また賑やかになりそうだね、エイラ」
楽しみダナ、サーニャ。
では今夜はこの辺で。最後に「サーニャのうた」を聴きながらお別れデス。
end
----
以上です。
手紙の差し出し主は言わずと知れた……
日付変わりましたけど、一応誕生日記念ってことで。
ではまた〜。
- 279 名前:名無しさん:2009/04/20(月) 01:32:57 ID:rUbC847A
- あまりの出来事に一瞬自分の勘違いかと思った。
>>269GJ、そして>>276のCRwGA7CAさんが1000番ゲットじゃないかああああああああああ歴史的瞬間を見逃してしまったorz
そして>>278であっさり流されてるしww
その、なんだ、オメデトナ。みんなGJGJ。
- 280 名前:名無しさん:2009/04/20(月) 01:52:28 ID:o9sLnPIM
- っていうか、読みきれてないんだけど1000&1001乙!
というわけで今度は2期までに2000を目指そうぜ!
- 281 名前:名無しさん:2009/04/20(月) 01:52:49 ID:TjbuIoIs
- なんというハルトマン祭りwwwwww 職人の皆さんダンケシェン!グラッツェ!
- 282 名前:名無しさん:2009/04/20(月) 02:44:06 ID:BZ9g6uaM
- 感想文的なのが苦手ですので、上手い事表現が出来ないんですが、ニヤついたり、ニヤついたり、フィーバーしたりと、とっても良いSS群を読ませて頂きました!
あと、
( ̄▽ ̄;)
(°д°;)
σ( °д °;)
……1000…?
なんか凄まじくいらんことをしてしまった気がしているCRwGA7CAです
とりあえず一つ投下します。
- 283 名前:名無しさん:2009/04/20(月) 02:44:26 ID:BZ9g6uaM
- 後悔先に立たず。
私がその言葉の意味を重々に思い知ったのは、よりにもよって自分の誕生日だったりする。
◇
カールスラント奪還の為に新設営された基地の中庭。
新たなチームとのコンビネーションの訓練や新人の空戦指導を終え、私達は一休憩を取っていた。
「はいトゥルーデ。お誕生日おめでとう」
「今年こそは姉バカ卒業出来るといーね」
休憩もそこそこに、突然言われたミーナとエーリカからの祝辞と手渡されたプレゼント。
思いがけないサプライズに私は少々目が点となってしまった。
ふと思い返してみると何やら先日から二人ともどこかよそよそしい感じはしていたが、等と場違いな感想も浮かべてしまった。
「…そうか。今日は私の誕生日だったか。ありがとう二人とも」
…何故かジト目で返された。
何か変な事を言っただろうか?
プレゼントを開けないのがマズイのだろうか…?
いや、しかし手の平サイズの小包といえ、どうせなら自室に戻ってから開けたいと思うのだが……
むぅ、とその場で思案に陥る私を見てか、ミーナが苦笑しながら手紙を差し出してきた。
「トゥルーデ。あと、これね。クリスさんからのt…」
「クリスから!?」
ふ、ふふふ…流石我が妹だ!
姉が忘れていた誕生日に、しかも手紙まで!!
ああっ、この喜び!この感動!
開封する前から分かる、この溢れんばかりの妹からの愛を、私は確かに受け取ったぞぉおおおお!!!!
…と、そこで私はハッと我に返る。
耳を澄ませば背後から何やら聞こえてくる。
「やっぱり。もうクリス禁断症状出てるよミーナ」
「…はぁ。カールスラントに戻った途端に」
「いやぁ、ほら。501の時はミヤフジが居たから」
「……それはそれでまた」
なんか嫌な汗が背中を伝う。
もしかしたら私は今、なにか微妙に大切な物を捨て去ろうとしているのかもしれない。
どうするべきだ?
いや、するべき事など決まっている。
たしか、扶桑の諺にあったハズだ。
『気にしたら負け』だったかな。
…よし、気にせず手紙を読もう。
えー、なになに…お姉ちゃんへ、お誕生日おめでとう、か。
うん、元気でやっているようだな。
…ほぅ?…文通相手が、出来た?
……………………これは、少々詳しく聞かないといけないな。
- 284 名前:名無しさん:2009/04/20(月) 02:44:52 ID:BZ9g6uaM
- 私のクリスと、私のクリスと、わ・た・し・の・ク・リ・ス・と!文通をするのだからな……。
なんて考えていたからか、私は背後から迫り来る影に気付けなかった。
「……お、写真入ってる。見せてねー」
「……写真…?な、ま、ま待て!ちょ、ま…ハルっ、フラウ!待てぇ!?」
言われて気付いた写真の存在。
どうやら封筒に入ったままだった様だが、何の写真だ、と一瞬悩んだが、答えはすんなりと思い出される。
……ほんの茶目っ気だったんだ。
手身近な所に腰掛け、朗らかに微笑むミーナを余所に、私の心中にてタイフーン発生中。
「いいじゃん写真くらいー。お、クリスと一緒に撮ったんだ………あれ?」
「どうしたのフラウ?」
ゲルトちん、ピンチ。
いや、落ち着け私。
そうそうバレはしないさ、うん。
そうだ、とりあえず深呼吸…すー、はー、すー、ハァッ…!
よし、問題ない。
慎重に、冷静に話しを逸らして、写真を返して貰えばミッションコンプリートだ。
私は小さく鼻を鳴らし、気合いを入れた。
そして、エーリカから写真を取り返そうと近付いて――
「……ねぇ…トゥ・ル・ゥ・デ・?」
「どーして、ミヤフジが、クリスの服を来て、トゥルーデと、写真を、撮ってるの、かなぁ?」
私はその場で凍てついた。
笑っていない笑顔のミーナとエーリカがずんずんと私に迫ってくる。
引き攣った笑みを浮かべて後退る私。
……あぁ、そういえば今日は本当にいい天気だなぁ。
私は、その場で正座させられました。
◇
「……いや、だからそれで…あの、ミーナ?」
「続けなさい?ゲルトルート・バルクホルン大尉…うふふ」
私の後ろから降り懸かる声に背筋が凍てつく。
分かる。
今なら分かるぞルッキーニ。
コレ本当に怖い。
セミオートで震える自分の身体を必死で抑える。
カールスラント軍人たる者、この程度の恐怖など……恐怖、など……
「どうしたの…?お・ね・ぇ・ち・ゃ・ん・?」
怖いものは怖いんです、はい。
いや、本当に。
背中にまがまがしい様なオーラがにょろにょろと浴びせ掛けられている。
時折ぶつぶつと、私だって美緒と写真とか着せ替えとかもういっそ……、と何かが聞こえてくるから余計に怖い。
私は藁にも縋る気持ちでエーリカを見やる。
そして私は即座に視線を逸らした。
- 285 名前:名無しさん:2009/04/20(月) 02:45:19 ID:BZ9g6uaM
- 「だいたいトゥルーデは、クリスクリスミヤフジクリスミヤフジクリスクリス私ミヤフジクリスって…最近全然構ってくれないし、話なんてクリスかミヤフジの話しかしてくんないし……」
こちらもこちらで三角座りでそっぽ向きながら愚痴を延々と呟き続けている。
ただ、なんと言うか…そのエーリカの背中から青白い炎がシュゴーと燃えたぎっている気がしてならない。
前方のバーナーエーリカ、後方の呪詛ミーナ。
………ああ、これはもうダメかも分からんね。
さりげなく人外魔境の淵に追い込まれている気がしたバルクホルンだった。
その時、幸か不幸か、辺り一体にけたたましいサイレンが響き渡った。
「敵襲!?」
まさか、と叫ぶ。
つい先日ネウロイを屠ったばかりだ。
しかし、インカムからはネウロイを発見したであろうウィッチから、悲鳴の様な報告が上がる。
『て、敵襲!!総数……30以上はいるよ、アレ!?』
『お、大型も3体確認…!!』
それはありえない報告だった。
いつか坂元少佐に聞いた扶桑海事変や、祖国を離れるきっかけとなった時の様な大襲来。
一瞬、全身に冷水を浴びせ掛けられた様な感覚に捕われた。
『ジェットストライカーを赤く塗れば三倍の速度が出るでありますよ!』
『だまらっしゃい。司令室本部からウィッチ隊へ。全ウィッチは至急順次出撃!繰り返す、全ウィッチ隊、順次出撃!!』
聞き覚えのある様な声を聞いた気がしたが、今はそれ所じゃない。
私は前後に居る戦友たちを見遣り――
「ミーナ、エーリカ……あれ?」
そこに誰もいなくなっていた事に気付いた。
報告が入ってから数十秒。
一瞬の内に消えた戦友たちの声が、何故かインカムから聞こえてきた。
- 286 名前:名無しさん:2009/04/20(月) 02:45:38 ID:BZ9g6uaM
- 『シュートゥールー、ムーッ!!うにゅーッ!!』
『こちらミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ少佐。司令室、指揮権をこちらに……あら。うふふ…お馬鹿さぁん!!』
聞き覚えがあるハズなのに、聞いた事の無い気がする二人の声。
後日談になるが、この日、エーリカの総撃墜数が300を越え、ミーナの中佐昇進が決まったのだが、この日の戦いを共に空を飛んだウィッチ達は、誰一人として詳しく語ろうとしなかった。
風の噂では、その日、カールスラントの空に空飛ぶ鬼が二人程現れたそうだ。
私は空を見上げて……そして見なかった事にしてハンガーへと駆け出した。
インカムからは人間を辞めかけているらしい二人の所業が報告されている。
……これは、私のせいなのか…?
平穏が裸足で逃げ出した、私ゲルトルート・バルクホルン、19歳の誕生日。
とりあえず私は、負けて墜ちる様が微塵も感じられない戦友たちの援護に向かうべく、戦場である空へと舞い上がった。
数日後、宮藤宛てにビデオレターを送る、と言う名目でミーナが坂元少佐に探りを入れたり、ウルスラに姉様をなんとかして、と懇願されたのはまた別のお話し。
おーわり
- 287 名前:名無しさん:2009/04/20(月) 02:47:26 ID:BZ9g6uaM
- 以上です。
1000専用のSSを書いてらした方がいらっしゃいましたら、本当に申し訳なかったです
m(_ _)m
- 288 名前:名無しさん:2009/04/20(月) 03:25:31 ID:fOJIvSwM
- 1000本ってどんだけだよw
- 289 名前:名無しさん:2009/04/20(月) 03:59:55 ID:NLcbakVA
- >>276 CRwGA7CA様
1000番ゲットおめ!&GJ!
1000本目にふさわしい、すごくかわいらしいウルスラですね。
もう、今日一日ニヤニヤしっぱなしになってしまうではないかww
しかし、1000を超えてもなお衰える気配のないSS投下の勢い。
ここの住人は化け物かっwww
- 290 名前:トゥルーデ撃墜部隊:2009/04/20(月) 09:30:29 ID:bq7pFIKA
- 一晩来なかった間に凄いラッシュ&1000おめでとうございます!!すげぇや!
2本投下させていただきます。
坂芳と、エーゲルのような違うようなカールスラントリオです。
秘め歌のデュエット曲を元に書いた話なので、聴いてない方はごめんなさい
- 291 名前:プリズマティック主義:2009/04/20(月) 09:31:11 ID:bq7pFIKA
どこまでも真っ青な空と海。
静かな波の音が、潮風に乗って私の耳に響く。
この海の向こうに、ヨーロッパ大陸がある。
そこは、ネウロイからの攻撃を受けている。私がこうしてる間にも、ずっとずっと。
きっと、たくさんの人が傷付いてるんだろう。
――その力を、多くの人を守るために。
お父さんが残した言葉を心の中で反芻させて。
「守る…」
ぎゅっと拳を握った。
私に出来るんだろうか。訓練でもダメダメで、失敗ばっかりで。魔法も上手くコントロールできなくて。
自分の事もちゃんと出来ない私が、誰かを守るなんて。
「…宮藤?どうした」
突然の声に振り返った。
立っていたのは、私にお父さんの言葉を教えてくれた人。
「坂本さん…」
「もうすぐ昼食の時間だぞ。何かあったのか?」
「あ、いえ…その」
私は俯いた。何故か、坂本さんと一緒にいると弱音を吐きそうになってしまう。
どこか、お父さんに似てるからかな。女の人にはちょっと失礼かもしれないけど。
「なんだ?何でも話してみろ」
ぽん、と頭を撫でられる。
あったかい。
「あの…私、不安になっちゃって…」
「不安?」
私はもう一度、海へと目を向けた。
- 292 名前:名無しさん:2009/04/20(月) 09:32:29 ID:bq7pFIKA
「私、ちゃんとみんなを守れるのかなって…」
もしかしたら、怒られちゃうかもしれない。
でも、坂本さんに聞いて欲しかった。
「…宮藤」
しばらく黙っていた坂本さんが、少し強めの声で私を呼んだ。
「お前は、守りたいと思っているか?」
「思ってます!守りたいです!」
思わずすぐに言い返してしまった。
「今の私じゃ、何が出来るのか、どこまで出来るのかわからないけど…でも、守りたいんです!それだけは、絶対に変わりません!」
私の言葉をじっと聞いていた坂本さんは、突然私の腕を引っ張った。
「ひゃわっ…!」
バランスを崩し、私は坂本さんの腕の中にすっぽりと抱き締められた。
「さ、坂本さん…?」
くい、と顎を取られ、坂本さんの顔が近付いてくる。真剣な顔がなんだかいつも以上に綺麗で、思わず息を飲んだ。
「…いい目だ」
「へっ…?」
にこっ、と坂本さんは微笑んだ。
「強くて真っ直ぐな光が見える。とても綺麗だ」
綺麗だなんて言われて、少しほっぺたが熱くなってしまった。
「宮藤。お前は確かにウィッチとしてはまだまだひよっ子だ。しかし、誰にもまけない意志がある。みんなを守りたいという意志がな」
- 293 名前:名無しさん:2009/04/20(月) 09:33:48 ID:bq7pFIKA
そう言いながら、坂本さんは私の頭をくしゃっと撫でた。
「私も最初は不安だったものだ。本当に自分がこの世界を守れるのか、とな」
「坂本さんがですか?」
「はっはっは、意外か?」
だってだって、こんなに強くて頼りになる坂本さんが不安になるなんて。
でもちょっとだけ安心もした。私と同じだったんだ。
「その力を、多くの人を守るために」
坂本さんが、お父さんの言葉を呟いた。
「博士との約束を…いつも胸に置いて、私は飛んでいた。時に重荷になったが、それ以上に励みにもなった」
約束。
私とお父さんが交わした、坂本さんと“宮藤博士”が交わした、同じ約束。
「それでも時折、不安になることはあった。だが宮藤…お前と会って、私は確信できたんだ」
「えっ…?」
首を傾げる私に、坂本さんは優しく微笑んだ。
「お前と私が…ストライクウィッチーズのみんなが力を合わせれば、実現できる。そう確信したんだ」
「みんなが…」
「そうだ。守りたいと強く思っていればそれは実の強さになる。守りたいものは、守れるんだ」
…ああ。
私は心の中の重い物が、溶けていくのを感じた。
- 294 名前:名無しさん:2009/04/20(月) 09:35:30 ID:bq7pFIKA
「今、お前の目を見てまた確信したよ。私達は、きっとこの世界を守れる。守ってみせようじゃないか」
坂本さんの言葉が、柔らかくなった心に響いて。
いつの間にか私は、泣いてしまっていた。
「はっはっは、なんだ宮藤。お前は泣き虫だなぁ」
「な、泣き虫じゃありませんっ…」
急いで涙を拭こうとする手を、坂本さんがぱしっと掴んだ。
また顔が近付いて。
ぺろっ、と涙を舐められる。
「お前は笑っていた方が可愛いぞ。辛い時は、大きな声で笑えばいい。私のようにな」
そう言って坂本さんは、いつものように豪快に笑った。
私は笑うどころじゃない。だって、ほっぺた舐められたうえ“笑っていた方が可愛い”だなんて。ドキドキしちゃいますよ、坂本さん。
「ほら、笑え笑え。はっはっはっはっは!」
「あう…は、はっはっは…」
「声が小さいぞ!はっはっはっはっは!」
「はっはっは!」
私と坂本さんの笑い声が、青い色に吸い込まれていく。
――その力を、多くの人を守るために。
お父さん、私きっと、守ってみせるよ。
坂本さんが、みんなが一緒だから。私、頑張れる!
守りたいものは守れる。
それが、私と坂本さんとお父さん、三人の約束。
この空と交わした、約束。
- 295 名前:ダンケシェン・ウィッチーズ:2009/04/20(月) 09:36:54 ID:bq7pFIKA
- そろそろかな。
うーん、もうちょいかな。
ガタゴト揺れるバスの中、私は両隣に座った上官二人をちらちら見ていた。
「色々、あったわね」
右に座っているミーナがぽつりと呟いた。
もう、ミーナ。せっかく晴れやかな顔してたのに、またそんな寂しそうにして。
でもさっきまで小さく鼻歌なんか歌っちゃってたし、前みたいに心から沈んではいないね。
安心安心。
「色々、あったな」
今度は左側に座っているトゥルーデが呟いた。
ほんとにねぇ。元気を取り戻してくれたのはいいけど、まさかトゥルーデがあんなに変わっちゃうなんてね。
私の知ってるトゥルーデじゃないよ、ほんとに。
ま、そんなトゥルーデも大好きだけどさ。前よりずっといい顔してるよ。
「ふわぁ〜あ、お腹すいたぁ」
ちょっとしんみりした空気を吹き飛ばすように、私は両腕を広げた。
三番目と五番目だったおっぱいに、ぽふんと手を置く。
「こら、エーリカ」
「バスすごい揺れるんだもんー、掴まらせて」
「掴まる所じゃないだろう!」
トゥルーデが私に怒って、ミーナはくすくす笑って。
こういうとこは昔から変わらない、いつもの私達。
- 296 名前:名無しさん:2009/04/20(月) 09:37:59 ID:bq7pFIKA
「空が綺麗ね」
ミーナが窓の外を見上げた。
私も身を乗り出してそれに倣う。
「ほんとだー、真っ青」
カールスラントに戻ればまだ戦いは続いている。
この平和な空と、同じ空のはずなんだけど。なんだか不思議だ。
いや、この空と同じ空にさせるのが私達ウィッチの役目なんだよね。
「あっ」
反対側の窓を見上げていたトゥルーデが突然声を上げた。
「どしたの、トゥルーデ」
「いや…鳥だ」
少しぼけっとして空を見つめるトゥルーデ。
「宮藤が飛んでいたような気がして…」
「…ぷっ」
それを聞いて、私とミーナは同時に吹き出した。
「な、何がおかしい!」
「あはは、トゥルーデったらほんとに宮藤が好きだよねー」
「ちっ、違う!好きとかそういうんじゃなくて、私はただ姉としてだな…」
「はいはい、立ってると危ないわよトゥルーデ」
勢いで立ち上がっていたトゥルーデは、慌てて腰を下ろした。
「あはははは、おねえちゃ〜ん」
「っ…お前はいい加減黙らんか!」
笑いが治まらない私に、トゥルーデが掴みかかってくる。
その時。
ガタンッ!
「うわっ!」
「きゃあっ!」
車体が大きく揺れて、バスが止まった。
- 297 名前:名無しさん:2009/04/20(月) 09:39:13 ID:bq7pFIKA
「な、何だ?ネウロイか!?」
トゥルーデが周りを見回す。
すると、バスの運転手が私達乗客の方を振り返った。
「すみません、少しエンジントラブルが起きました。修理致しますので少々お待ちください」
なーんだ。びっくりした。
「…で、お前はどさくさに紛れて何をやってるんだ」
「えー?」
バスが揺れてバランスを崩したのに乗じて、私はトゥルーデの胸をがっちり両手で掴んでいた。
「いいじゃん、お腹すいたんだもん」
「何だその理由は。何の関係がある」
「お腹が満たされてないから手だけでもさぁ」
「あのなぁ…」
トゥルーデは大きなため息をついた。
「ふふっ、仕方ないわねフラウは」
ミーナが笑いながら、距離を詰めて私ごとトゥルーデの肩を抱き締めた。
後頭部にぽよぽよと柔らかいのが当たる。
「へへ、あったか〜い」
手はトゥルーデに、頭はミーナに満たされて、すごくいい気分。
トゥルーデはまたため息をつく。さっきとは違って、笑いが混じったため息だ。
ぐうぅ〜。
「…あ」
それでも、やっぱり体は正直。
「うー、お腹すいたお腹すいたお腹すいたぁ〜」
「ルッキーニかお前は」
トゥルーデの突っ込みは気にせず、脚をばたばたさせる。
- 298 名前:名無しさん:2009/04/20(月) 09:40:34 ID:bq7pFIKA
- すると、私達の所に小さな女の子が歩いてきた。
「おねえちゃん、どーぞ!」
女の子は私に向かって小さな両手を差し出す。
そこには、チョコレートが3つ乗っていた。
「くれるの?」
「うんっ」
「ありがとーっ」
私がにっこり笑って受け取ると、女の子は母親らしき女性の所へぱたぱたと走っていった。
「…いい子だな…」
自分に言われたわけじゃないのに、トゥルーデが例の言葉に陶酔している。
「はーい、おねえちゃん」
「お前は言わなくていい!」
「ミーナも、はい」
「ありがとう」
三人で一個ずつ分けて、私は早速口に放り込んだ。
甘くておいし〜。
「頑張らないとね」
「え?」
「あの子や、あの子の家族を守るのも、私達ウィッチの役目でしょう?」
ミーナが親子をじっと見つめて言った。凛々しい横顔だ。
さすが隊長。あ、元隊長。
「そうだな。必ず、この戦いを終わらせなければな」
トゥルーデも、いつもの彼女らしい真面目な表情で頷いた。
「全部終わったらさ、みんなでパーティーでもしようよ。正装してさ。…あ、でもみんなドレスアップって柄じゃないか」
「ふふ、軍服で正装?」
「綺麗な花でも摘んで胸に挿せばいいじゃん」
「それは正装か?」
- 299 名前:名無しさん:2009/04/20(月) 09:42:15 ID:bq7pFIKA
- 笑い合っている間に、修理が終わったみたいだ。
バスが再び走りだした。
ガタゴトガタゴト。
揺れる音を聞きながら、私はまた二人をちらちら見る。
そろそろかな。
「……美緒…」
ぽつりと呟く声。
やっぱり、そろそろくると思った。でもミーナが先だったか、そこは予想が外れた。
「…宮藤ぃ…」
ああ、間髪入れずにトゥルーデも。こっちは完全に泣いちゃってるよ。
「よしよし」
寂しさの限界がきてしまった上官二人の肩を、私はぽんぽんと叩く。
全く、ほんと見事に変えてくれちゃったよ、あの人達は。
でも私はすごく安心した。
私一人じゃどうにもならなかった二人の心の傷を、あたたかく癒してくれたみんな。
まぁ、厳密に言えば、扶桑の二人。
「泣かない泣かない」
「うぅ…って揉むな!エーリカ!」
「いや、元気を出させようと」
私とトゥルーデのやり取りを、うっすら涙を浮かべたミーナがくすくす笑って見ている。
「あら、そろそろ港に着くみたいね」
バスがスピードを落とし始めた。
「ほら降りるよ、泣き虫おねえちゃん」
「まだ言うかお前は!!」
「うふふっ」
バスの外は、さっき見た青空。
みんなの空と繋がった空へ、私は呟いた。
Danke schon,witches!!
おしまいです。他三曲も執筆中…
秘め歌はどれもいい曲で好きだ!
- 300 名前:名無しさん:2009/04/20(月) 09:55:19 ID:TjbuIoIs
- おいおい職人さんよう、いったい私を何回萌え死にさせれば気が済むんだい?
- 301 名前:CRwGA7CA:2009/04/20(月) 10:52:23 ID:BZ9g6uaM
- >>290 ktkr、GJです!!
他の三曲も期待していますっ!
もういっこ完成ー、投下します
- 302 名前:名無しさん:2009/04/20(月) 10:52:53 ID:BZ9g6uaM
- 運ぶ。
揃える。
積み上げる。
この単純な作業を幾度繰り返しただろうか。
有限かつ無限とも言えるその時間の中で、私達は今日も運んで、揃えて、積み上げる。
一つ、また一つ。
ズレる事なく、歪む事もなく。
私達は積み上げる。
時には二人掛かりで持ち上げる。
時には肩車をして積み上げる。
時にはテコを使ってみたりもする。
バランスを違える事なく。
形を間違える事もなく。
今日も私達は形造る。
私達が運ぶのは何かの箱的な物体。
と、言うかなんでもいい。
今私達が運んでいるものが、例え木であれ、レンガであれ、段ボールであれ、別になんだっていいのだ。
大事な事とは、運んで、揃えて、積み上げる。
ただそれだけでいいのだ。
私達は一蓮托生。
私達は一心同体。
私達はサーニャ命。
えっちら、おっちらと形が出来上がる。
徐々に全体像が出来上がる。
そう言えば、いつからこんな事をしていたのだろう。
どうして、こうまでしてコレを作っているのだろう。
私にはわからない。
そうして眺めている内に、遂にそれは完全した。
感慨に浸っているのか、出来上がったソレを見上げている彼女たち。
滑らかに揃えられた、なだらかなライン。
隙間なくきっちりと積み上げられたそのフォルム。
しばらくの後、彼女達はソレの前に立ち並んだ。
総勢501人のちっちゃいエイラ達がずらりと並ぶ。
そして、端数のちっちゃいエイラが一人、他のちっちゃいエイラ達の前に躍り出た。
そのちっちゃいエイラは完成したソレに背を向けて、他のちっちゃいエイラ達に向かって視線を巡らせる。
ザッ、ザッ!
500人のちっちゃいエイラ達が綺麗に揃って回れ右。
1000と2つの瞳がこちらを、私を捕らえる。
そうして、彼女達は宣誓するのだ。
声を高らかに、胸を張って、宣誓するのだ。
彼女達の後ろに建てられた4つの文字型オブジェを。
そう、それは――
『ムリダナー!!』
なんて堂々とした宣誓なのだろう。
501人のステレオ宣誓。
どこか自慢気な顔をしているのは気のせいなのかな?
フフン、と笑っている気がするのは気のせいなのかな?
まぁ、そんな事は割りとどうでもよくて……
ふらり、と。
私はちっちゃいエイラ達の余りの可愛らしさに、赤い色をした世界へと沈んでいったのであった。
◇
- 303 名前:名無しさん:2009/04/20(月) 10:53:39 ID:BZ9g6uaM
- 目を覚ますと一番始めに薬品の臭いがツンと鼻をついた。
医務室かな?
身体を起こそうとした時、ふと左手が誰かに握られていることに気がついた。
ん…、と私が動いた事で起きてしまったのか、ゆっくりと目を開くエイラ。
「………おはよう、エイラ」
「………うん、おは……さ、サー、ニャ゛!!?」
「え、エイラ!?」
目を開けるエイラに、私は覗き込む様視線を合わせたのだけれど、いきなり慌て出したエイラは椅子ごと後ろにひっくり返った。
「だ、大丈夫だ……それよりサーニャは大丈夫なのか!?」
「…私?」
ガバッ、と起き上がってきたエイラは私に事の次第を説明してくれた。
それによると、エイラが朝食を取りに部屋を離れて、戻って来た時、私はエイラのベッドの上で鼻血の海に沈んでいたらしい。
それでいて、私は幸せそうな顔をしてたらしく、何故かエイラが坂元少佐やミーナ中佐に色々詰問されたそうだ。
なんだか、疲れた様子のエイラを見ていると、段々と先程の夢の事を思い出してきた。
夢の中でのちっちゃいエイラ達と、今ここにいるエイラ。
私はエイラに囲まれて幸せだなぁ、と頬が緩むのを止められない。
「ねっ、エイラお願いがあるの」
「な、なんだよ、いきなり……」
ああ、胸の鼓動が高鳴ってきた。
ドキドキと、バクバクと、加速をし続ける様な私の鼓動。
ぎゅっ、と握りしめたエイラの両手に更に力を込める。
私は今どんな顔をしているのかな?
エイラは今何を考えているのかな?
私は、エイラの目をしっかりと見つめて、お願いをした。
「エイラ、「ムリダナ」って言って」
「む、ムリダ……………はぇ?」
何故か目を点にしているエイラ。
でも、言ってくれるまでは離さないよ?
ちっちゃいエイラ達だって、頑張ってるんだから。
それは、エイラが知恵熱を出して倒れる、5分前のお話だった。
おーわり
- 304 名前:名無しさん:2009/04/20(月) 15:13:32 ID:tCIXHEz2
- トゥルーデ撃墜部隊様
CRwGA7CA様
このペース、もう凄いとしか言いようがない!
しかもクオリティ高いのがもうね、何と言うかw
二人ともすんごいGJ! 百合スレの新たな伝説の始まりだ!
- 305 名前:CRwGA7CA:2009/04/20(月) 15:38:55 ID:BZ9g6uaM
- |_・)
なんか、カオスなのを一つ投下しまする。
訳分からんかもしれません。ご容赦を…というかゴメンなさい。
- 306 名前:名無しさん:2009/04/20(月) 15:39:12 ID:BZ9g6uaM
- 前略。
報告会でブリタニア本国へ行っておられる坂本さん、ミーナさん。
事件です。
エイラさんが、壊れました。
◇
ネウロイの来襲もないだろうと言われている今日この頃。
私、宮藤芳佳は昼食の準備が出来たので、エイラさんとサーニャちゃんをの様子を見にエイラさんの部屋に行きました。
コンコン…
軽くノックをします。
普段ならここで、エイラさんが出てきてくれて「今からサーニャを起こすから先に行ってて」等と話すのですが……
今日はドアが開くやいなや、部屋に引きずり込まれました。
部屋の中には、ベッドに座り込むサーニャちゃんと、仁王立ちにて私を見下ろすエイラさんが……
それだけでも何事って感じだったんです。
けれど、事態はもっと大変でした。
というのも、エイラさんが……
「私はサーニャではない」
なんか、いきなり語り始めちゃいました。
◇
私は部屋に引きずり込まれると、なんだかわからない内に床に置いてあったクッションの上に座らされました。
周囲を見回してみれば、なんだか物凄い上機嫌なサーニャちゃんがベッドの上で、クッションに顔を埋めつつ、エイラさんをチラチラと見ています。
そんな私達を見ているのかいないのか、エイラさんは空き箱の上に立つと、開口一番、先の発言です。
「生まれつきサーニャを好きな者。サーニャを愛す者。サーニャと共に生きる者。サーニャでありサーニャである者」
うわぁい。
なんだか目が本気なんですが、言ってる意味が分かりません。
……サーニャちゃん、なんでそんなに頬を染めてるんだろう…?
「サーニャのサーニャによるサーニャの為のサーニャのなサーニャであるんダ!」
そんな拳を握って言い切られましても……
あぁ、それでもなんだか口調だけはいつものエイラさんだ。
妙な安心感を得たのもつかの間。
そんな気持ちも、即座に吹き飛ばされる。
「そう、サーニャは私が愛する為にいる!」
「なんかすごい事言い切りませんでした!?」
え?あれ?
言い切りましたよ?
ヘタレってなんですか?
ヘタレじゃないから恥ずかしくないもん?
まだまだエイラさんのターンは続く。
- 307 名前:名無しさん:2009/04/20(月) 15:39:33 ID:BZ9g6uaM
- 「だからこそサーニャは日々違う発見を私に与え、そこに新たな愛が生まれる。
ヘタレは悪じゃない。ヘタレを見切りそこにある愛を見捨てる事が悪なんダ!」
あー…逆切れですか、そうですか。
つまりヤケですね?
ところでサーニャちゃんがベッドの上で悶絶しながら転がってるんですが……
……サーニャちゃん、鼻血…あ、はい。ティッシュね。うん。
「寡黙なサーニャはどうダ?アイコンタクトで会話するからもはや邪魔すら入らない。
いつも相思相愛な私達だから、サーニャのしたいことは私のしたいことでもある」
……甘やかせ過ぎじゃ…
悦に浸っているのかエイラさんの演説は止まらない。
「だが、私の部屋のなかでは違う。
愛を語り、愛を唄い、常にサーニャとにゃんにゃん出来る!
私の部屋の中だけが!私達の愛の巣であるんダ!」
両腕を大きく左右に広げた後、ガッと右手を前で握りしめるパフォーマンス付き。
小技効いてますね、エイラさん……
………え?
愛の巣…?
が、私の思考の停止がなんのその。
「毎晩部屋にサーニャが訪れるのは、エイラーニャとして私達は一つであるという証」
やめて!
芳佳の思考はもうオーバーロードよ!
「サーニャ、大好きだ!」
ぼひゅん、とサーニャちゃんの枕が真っ赤に染まった気がしたけれど、それ所じゃない。
「この部屋で、あの空で、ピアノの前で、いちゃいちゃする。その果てに未来がある!」
そしてエイラさんは右腕を荒々しく突き上げ、怒鳴る様に、叫ぶ様に、鼓舞する様に宣言した。
「オール・ハイル・エイラーニャァ!!!」
私はこの辺りから意識が途絶えた気がしました。
- 308 名前:名無しさん:2009/04/20(月) 15:39:51 ID:BZ9g6uaM
- ◇
数時間後、私は医務室にて目を覚ましました。
なんでもエイラさんの部屋で何か「オール・ハイル・エイラーニャ!」と、エイラさんと二人で叫んでいたそうで。
横を見れば鼻にティッシュを詰めて、幸せそうに眠るサーニャちゃん。
そして、当のエイラさんは、と言うと……何も覚えていないらしく、いつものエイラさんらしく、疑問顔ながらサーニャちゃんを看病していたのであった。
ヘタレメーター。
それはエイラがエイラ足り得る為の必須パラメーター。
ヘタレないエイラはエイラに非ず。
されど、ヘタレ過ぎたエイラの末路とは……。
一定以上の過剰なヘタレを蓄積し過ぎてしまった時に起こる、ヘタレメーターのオーバーロード。
頑張れエイラ。
ヘタレろエイラ。
サーニャは今日も貧血だ。
おわーり
- 309 名前:名無しさん:2009/04/20(月) 19:42:35 ID:8oVYQRvE
- すごい勢いだ。なにこの超絶ラッシュw
>>308
ちっちゃいエイラ×501再びw
なに、この馬鹿っぷる。けしからん! もっとやれ!!
- 310 名前:名無しさん:2009/04/20(月) 19:59:22 ID:zhNP09sE
- SSが多くて嬉しいけど雑談がしにく…い…
- 311 名前:名無しさん:2009/04/20(月) 20:12:29 ID:Gw8fINrI
- >>310
雑談もSSも妄想もすればいいじゃないか
すさまじいラッシュだが雑談は雑談でできると思うよ
- 312 名前:名無しさん:2009/04/20(月) 23:17:33 ID:v8V/uPig
- 雑談といっても最近なんか情報はあるのか?全然見てないから知らない
- 313 名前:名無しさん:2009/04/20(月) 23:27:51 ID:wUzTkae2
- >>308
GJ! エイラさん壊れ過ぎじゃないですかw
じゃあここで雑談と言うか。
他も入れると多すぎるので501のメンバーに限っての事だけど、
1000本を超えるSSで一度も書かれてないカップリングって存在するのかな?
全部開拓済み? 保管庫ざっと見る限りもう無い様にも見えるけど。
- 314 名前:名無しさん:2009/04/20(月) 23:49:24 ID:8oVYQRvE
- >>313
そんなこと言ったら、カップリングが芳佳かエイラしか開拓されていないよーな気がするリーネちゃんが泣いちゃうんだZE!
- 315 名前:名無しさん:2009/04/21(火) 00:31:23 ID:4bo98oQ.
- >>314
リーネは数こそ多くないけど、メジャーなカップリング以外でも
結構有りそうだと、保管庫を見ての感想。
保管庫の管理人さん、もし見ていたら、キャラ別のカップリング率とか
どの位数があるかとか……その手のデータ出して貰えると
面白いかも知れないですね。何か凄い膨大な作業になりそうだけど。
てか、ざっと見た限りではもう何が何やら……。
しかし、ペリーヌ……。
- 316 名前:名無しさん:2009/04/21(火) 07:05:20 ID:IBhZKYz6
- いや、たしかペリーヌは10人全員分とのカプがあるはず。
むしろカプ開拓が進んでないのはルッキーニな印象。シャーリー以外とはほとんどない。
リーネとミーナとのSSはたしか1本もなかったはず。
ルッキーネとかミナッキーニとかあってもよさそうなのに。
つか1000本もあると中には凄いカプがあるヨナ。
看護婦×クリスとか、もっさん×巴御前とか、芳佳×智子の扶桑人形とか(これは俺だけど)。
今ふと、サーニャ×ネコペンギン人形というのを思いついた。
長年愛用して九十九神の宿ったネコペンギン、それにメロメロのサーニャ、
そんなふたり(?)を見ておろおろ狼狽えるエイラとかなんかそんなん。
……流石にこれはねーナ。
- 317 名前:名無しさん:2009/04/21(火) 07:26:38 ID:GZ2IJB72
- 記憶が確かならリーネとミーナは肩を揉み揉みするSSがあったはず
- 318 名前:名無しさん:2009/04/21(火) 08:06:11 ID:hKrzgrwM
- たぶん、>>316が言ってるのは、ルッキーニとリーネ、ルッキーニとミーナのSSが無いってことだろう。
てか、エーリカもカップリング少なくない?
- 319 名前:名無しさん:2009/04/21(火) 08:29:12 ID:GNv7Tfq2
- やっと読み終った〜
いやはや…GJとしか言えないですよ
最高です!!
そしてSS本数4桁突入おめ!!
全部読んだのが信じられないぐらいだ;;
カプが開拓されてないのはいらんこかな〜
あんまマイナーなカプみないよな…
- 320 名前:名無しさん:2009/04/21(火) 10:06:41 ID:HVbwWgUA
- >>316
?「サーニャ…、サーニャ…」
サーニャ「ん、声…。だぁれ…?」
?「君の目の前に居るよ。君が今、抱いてる。」
サーニャ「ふわぁ…、もしかしてネコペンギン…!?」
ネコペンギン「そうだよ、人の手を渡って九十九年…、喋れるようになったんだ。」
サーニャ「すごい…。」
ネコペン「あんまり驚いてないね。」
サーニャ「ううん。とっても驚いてるよ。
喋れるんだ、可愛い〜っ」
ネコペン「そんなに強く抱きしめられると痛いなぁ」
エイラ「…サ、サーニャが人形相手に一人で喋ってる…!」
サーニャが電波な子みたいになってしまう。
- 321 名前:名無しさん:2009/04/21(火) 13:41:16 ID:AMYlARh.
- >>318
ここはひとつ、誰か統計を……と言うのは無理かorz
>>320
十分イケる気がするぞ。続きを書いてうpするんだ!
- 322 名前:名無しさん:2009/04/21(火) 16:30:05 ID:52u0Z5nM
- サーニャといえばシャーリーとの絡みを見たいと思ってました
- 323 名前:名無しさん:2009/04/21(火) 17:57:25 ID:8rYZJeRE
- >>316
ルッキーニ好きなんだけどどうにも子供過ぎて書きにくいんだよね。もっと強いキャラ付けがあったら妄想も膨らむかもしれないけど……
素直で真っ直ぐだからあれこれいじるのがなかなか難しいというかなんというか。
もっとも、あのお方だけは何かを超越した妄想性能をお持ちだったようだけどw
>>322
いつだかそんな絵が転載されたことがあったがあれは良かった
シャーリーにはサーニャをもっと強引に引っ張っていける力があると思う
- 324 名前:名無しさん:2009/04/21(火) 18:09:59 ID:fAExgJ2k
- なに、この職人への挑戦状w
- 325 名前:名無しさん:2009/04/21(火) 18:21:16 ID:yfprWqTk
- マイナーカップリングじゃなくて申し訳ないですが一本投下します。サーニャ×エイラでエーリカ×バルクホルンです
なんとなく以前書いた保管庫0964の続きみたいになってますが、これだけでも読めると思います。
よろしくお願いします。
- 326 名前:名無しさん:2009/04/21(火) 18:22:39 ID:yfprWqTk
- ワンワンわんわん
ニャーニャーにゃーにゃー
以前に比べて基地に響くようになった動物達の鳴き声。
ウィッチ達の魔力は精神状態に大きく影響する、それは使い魔も同じだ。
使い魔を外に出して行ったお茶会以来、使い魔同士にも友情や絆が生まれたようで
交流を持たせる事で部隊の魔力はより強力になり、安定していった。
501隊の隊員一人一人がなんとなくその事に気付いており、目の届く範囲で
使い魔を外に出して遊ばせる事が増えていた。
今日は4人で食堂に使い魔を介抱する。昼はやっぱり少し眠いけど、
使い魔達が楽しそうにしている様子を見るとなんだか私まで楽しくなってくる。
「トゥルーデもさー、この子みたいに私に優しくできないのー?」
「今以上お前を甘やかしてどうする!それよりもお前は朝自力で起きる努力をしろ!」
ハルトマンさんの使い魔のダックスフントはバルクホルンさんの使い魔の
ジャーマンポインターのお腹に寝そべってごろごろとリラックスしている。
その子の頭に顎を乗せてもふもふと頭を動かすジャーマンポインターの姿はとても猟犬とは思えない。
私の使い魔の黒猫はのんびりあくび。使い魔は3匹それぞれ思い思いに過ごしている…そう、3匹だ。
「エイラ…お前の使い魔は大丈夫なのか?他の使い魔は外に出ているのに
一人だけ出ていないのではストレスが溜まってお前にも影響が出るのではないか?」
バルクホルンさんの言う通り、エイラだけ使い魔を出していない。
お茶会の日から使い魔の黒狐をみないからエイラに聞いてみたけど
部屋で出してるからって言って私の前では見せてくれなかった。
「あいつサーニャに噛み付きやがったからナ、人前にはしばらく出してやらねーヨ。
尻尾の毛むしってやったからか大人しくしてるしナ」
「うっわエイラひっど!!そんなんでよくうまくやってるね?」
「扶桑マジック油揚げが効いてるから大丈夫、なんか妙に気に入ったらしーんだよナ」
「最近エイラの部屋…油揚げあるもんね」
エイラの使い魔の話題になってからなぜか私の使い魔がエイラの膝にうつって
お腹に鼻をあてて寄り添っている。
「そういえば私の部屋にこの子が好きなおやつあったような…トゥルーデ、探すの手伝って」
「それはいつの話だ!?あの部屋に食べ物を置くなと言ってるだろう!
以前ポテトが腐ったのを忘れたのか!?」
バルクホルンさんは怒りながらもハルトマンさんと使い魔を連れて部屋に向かっていった。
食堂にいる理由もなくなり、私達もエイラの部屋に戻ることにした。
「サーニャの使い魔は毛並みが綺麗だナ、なんかずっと撫でてたくなるよ」
部屋のベットに寝転び、今だ離れない私の使い魔の体を撫でながらエイラが呟く。
黒猫は撫でられたままエイラの胸やお腹辺りに擦り寄っている
「ねぇ、エイラの使い魔も出してあげたら?
中にいるままじゃ毛並みも悪くなっちゃうわ」
「ダーメ、サーニャの側には出してやらないんだナ。…んー、くすぐったいぞお前ー」
黒猫に頬を舐められてエイラは楽しそう、キスまでしてる。
…私にはそんな事してくれないのに、ばか。
- 327 名前:名無しさん:2009/04/21(火) 18:23:21 ID:yfprWqTk
- 「へへっ、使い魔に懐かれるのも悪くないナ!ちょっと小さいけど暖かいし
抱いて寝たら気持ちいいだろーナ」
「…抱いて寝るんならその子じゃなくたって…」
「ん?どうしたサーニャ」
言葉にしたつもりがないのに口から出ていたみたい、しっかり聞こえてなかったみたいで
エイラは凄く幸せそうな顔を向けてくる…なんか文句の一つでも言ってやりたくなるなぁ
こんな顔にさせてるのが自分の使い魔だって事もなんとなく悔しい
「にしてもこいつはサーニャと遊ばないのカ?なんか私のお腹にばっかり寄ってくるぞ」
「そういえば…」
私の使い魔もエイラの使い魔と同じ位人見知りだ、いくらエイラといっても
そんなに会ったことがない人にこんなに懐いた事はない。
なんでだろう、エイラは何か猫が好きな物でも持ってるのかな?
でも、リーネさんやペリーヌさんの使い魔がエイラに懐いてるのは見たことがない。
猫じゃなくて私の使い魔が好きな物…
「……あ」
あった。
私の使い魔が好きな物をエイラは持っている。あくまで私の予想だけど、それ以外思い付かない
「なんだサーニャ?何か思いついたのカ?」
「エイラ、やっぱり使い魔を出してあげて」
「だ、だからダメだってバ!またサーニャが怪我するかラ」
「私は大丈夫よ。ね、お願いエイラ」
あーとかうーとか変な唸り声をあげながら、お約束の今日だけだかんナ!って言ってくれた
エイラが目を閉じると、体が淡く光ってベットに使い魔が現れた。
「今度サーニャに噛み付いたら二度と出してやんないから…ナ…?」
ベットに現れた黒狐はまたぴくりとも動かず、黒猫を見つめていた。
その黒猫はエイラの膝からあっさり降りて黒狐に近づく、後退されてまた近づく、を繰り返した。
ベットの端まで追い詰められた黒狐はさっきのエイラのように首元に擦り寄られ
顔を舐められるたびに尻尾をびーんって逆立たせてガチガチに硬直していた。
「エイラじゃなくて、使い魔に会いたくて懐いてたんだよ」
「なんだヨー、私じゃなかったのかヨ」
わざと意地悪に言ったのを真に受けてエイラはしょぼんとしてしまった。
黒猫はもうエイラの側にいないから、今エイラを一人占め出来るのは私だけ…
自分の使い魔でも、エイラだけはダメだからね
「エイラ…」
「!?ササササーニャ!?」
俯くエイラの首に手を回してぎゅっと抱き着く。
焦ったエイラの声が耳元で聞こえて、速くなった鼓動を体全体で感じる。
あったかい…しあわせぇ…
「エイラ、さっきの私の使い魔みたいにぎゅってして頭撫でて…」
「なっ!!ム、ムリだナ!」
「…じゃあキス」
「もももっとムリだナ!!」
使い魔にはしてあげてたのに私にはしてくれないんだ。
私よりも猫がいいんだ、なんて考えると胸の奥がもやもやしてくるので考えない事にする。
「わかった、諦めるね」
「サササーニャ?じゃあ離れて…?」
離れる前にふっとエイラの肩越しに使い魔達が見えた。
黒猫は黒狐にもたれ掛かってお昼寝をしていた。
黒狐は落ち着きなく尻尾を振ってそわそわしている。
「さっきのは諦める、だからお昼寝しよ」
「おおおおう、そそその位ならいいゾ!」
そのまま横になり、私はエイラに寄り添った。エイラの体がびくってしたのが伝わる。
申し訳ないけど、使い魔ができないのにエイラが私の事抱きしめて寝てくれるなんて思えない。
だから私達は大好きな人に寄り添い、夢の中でもこの人に会いたいと願いながら
1番幸せな暖かさに包まれて瞳を閉じるんだよ?
fin
- 328 名前:名無しさん:2009/04/21(火) 18:24:44 ID:yfprWqTk
- おしまいです。
使い魔に関しては今回も「こうだったらいいな」って想像ばかりです、すみません。
前回のも含め、読んでくださった方ありがとうございました。
P/zSb9mc
- 329 名前:名無しさん:2009/04/21(火) 18:47:37 ID:UJAn7ub2
- >>328
面白かったぞ、GJ!!
ところでカップリングの話だが、受けと攻めを区別したら110通りあるんだな。数えるのってちょっと無理そうな気もする。
受けと攻めを区別しなくても55通りだからなあ…
- 330 名前:名無しさん:2009/04/21(火) 19:24:53 ID:8rYZJeRE
- >>328
この前の続きじゃあないかGJ!!積極的なサーニャはいいですなあ
ただbedがbetになってるのが気になる……
- 331 名前:名無しさん:2009/04/21(火) 22:13:01 ID:xuNW8jKw
- >>328
面白かったGJ!
前回に続き、ほんわかなノリが良いですね。
>>330
細けぇ事はいいんだよ!(AAry
面白ければ、ニヤニヤ出来ればそれでイイジャナイ?
- 332 名前:先生はお姉ちゃん 1/9:2009/04/21(火) 22:15:00 ID:IwzOxb0I
- 「宮藤さん、リーネさん。 この間の座学テストの答案を返すわね。」
食後の一時。 思い思いにくつろいでいると、ミーナがテスト用紙のようなものを持ってやってきた。
答案を覗き込むや否や、のほほんとくつろいでいた宮藤の顔が蒼白になる。
「うわっ! ヒッデー!!」
「あちゃー……。」
図々しく覗き込んだエイラとリベリアンが、揃って声を漏らす。 なんだ? そんなに酷かったのか?
たるんでるな、宮藤! ウィッチは成年でその人生を全うするわけでは無いんだぞ。 学を疎かにしては立ち行かないだろう。
釣られて覗き込んだ私の視界に飛び込んできたのは、一つの大きな丸と無数の撥ねマーク。
……こ、これは。 叱責しようと用意していた言葉が、喉に詰まって消えていった。
揶揄するのが憚られるほど、悲惨な結果。 ぜっ。 ゼロか! 0点。 正解率、きっかり0パーセント。
笑い話ではよく聞くが、まさか実際に取る事が可能だとは。 いつも朗らかな宮藤が、今はすっかり泣きそうだ。
「物凄く勉強ができる必要はないけれどね。 あまり使わないせいかしら。 理数系が、少しね。」
「宮藤。 私はお前を十代で燃え尽きるような人間にさせたくない。 ウィッチとしての技量だけではなく、その、他にもな。」
ひ、悲惨だ……。 ミーナも坂本少佐も慎重すぎるくらいに言葉を選んでいる。 なんと痛々しい光景だろう。
「わ、私。 私なりに、頑張ったのに。」
「芳佳ちゃん……。」
宮藤が頑張っているのも、好きでこの成績を取ったわけではないのも、誰にだって分かる。
しかし、人生とはとかく思うような結果がついてこないものだ。 それを笑い話にもできない場合、一体どうすればいいんだ?
宮藤の落ち込んだ顔を見ると、胸が痛む。 何と無力なんだ、私は……。
「流石にこのままにはしておけないわよね。 本当は私が教えてあげたいんだけれど……。」
「我々は体が空かないからな。 バルクホルン。 本当に済まないが、暇な時に宮藤の勉強を見てやってくれんか?」
そうだ。 このままでいいはずがない。 頼むぞバルクホルン。 宮藤を助けてやってくれ……って。 え?
「わ。 私が!? 宮藤の勉強を見る!!??」
「えぇ。 この中で一番の適任はあなただと思うの、トゥルーデ。 何とかしてあげてくれないかしら。」
「何とかって……。」
私が適任と言うより、私以外の連中の不安要素が多すぎる、というのが正直な所だろう。 宮藤の顔をちらりと見る。
「よ、よろしくお願いします、バルクホルンさん!」
慌てたようにお辞儀する宮藤。 私は眉をしかめて、軽く溜息をついた。
- 333 名前:先生はお姉ちゃん 2/9:2009/04/21(火) 22:15:39 ID:IwzOxb0I
- 「で、うまくできなかった、と。 トゥルーデかっこわりー!」
「うぐぐ……。」
ミーナの部屋で、憩いの時間。 宮藤への最初の家庭教師を終えた私。 結果は、大失敗だったと言わざるを得ない。
「遅筋は一般的に赤みがかっています。 では、白いのは何でしょう。」
「魚肉?」
「液体が固体になる事を凝固と言います。 では、固体が液体になる事を何と言うでしょう。」
「食あたり!」
「で、張り倒したと。」
「そんな気は無かったんだが、条件反射で……宮藤はすっかり萎縮しきってしまって、勉強どころではなかった。」
いつまた叱られるのかと怯える宮藤の顔を思い出すと、自分の頭を殴りたくなる。
できないから勉強が必要なんだ。 分かっていた事じゃないか。 なぜあれしきの事で叫んでしまったのだろう。
「宮藤、普段からトゥルーデに怒鳴られてるからなー。 その上、空き時間にまで怒鳴られるんじゃ、たまらないよなー。」
「ちょっと、フラウ。 言いすぎよ。」
図星すぎる言葉に、ずんずん気持ちが沈んでいく。 落ち込む私の肩をポンと叩いて、エーリカが言った。
「ね、トゥルーデ。 イメチェンしよっか?」
翌日。 またしても家庭教師の時間がやってきた。 大丈夫。 今日は大丈夫。 コンコンと宮藤の部屋のドアをノックする。
「はいっ! どうぞ!」
緊張しきった声色。 宮藤にこんな風に思われている事が悲しくなる。 恐る恐る扉を開けて、私は部屋の中に入った。
「きょ、今日もよろし……って、あれっ。 えっ? ば。 バルクホルンさん……ですよね?」
赤面しながら頷く。 キャミソールの上から、シフォンの柔らかなワンピース。 足元まで覆うそれは、既婚の図書館司書のよう。
いつものおさげをやめて、ポニーテールに結った髪。 伊達メガネだけは何とかやめさせてもらったが。
大人しく、それでいて理知的に。 今の私は普段の飾り気ない姿ではなく、どこからどう見ても文科系の温和な家庭教師だった。
「その……昨日は本当にすまなかった。 反省、している。 もう一度、私の授業を聞いてもらえるだろうか。」
「え、えっ! それは勿論! こ、こちらこそお願いします……?」
エーリカに教え込まれたマニュアルを、スラスラとそらんじる。 そう。 変わらなくてはならないのは私だ。
もう二度と私のする事で、宮藤に辛く悲しい思いをさせたくない。
私は、この家庭教師の時間だけ、軍人である自分を捨てる。 一人の、心優しい家庭教師になってみせるぞ!!!
- 334 名前:先生はお姉ちゃん 3/9:2009/04/21(火) 22:16:13 ID:IwzOxb0I
- 「1+1は幾つになるでしょう。」
「田んぼの田?」
「ミカンを手に持って手を離すと、地面に向けて落下します。 なぜでしょう。」
「手を離したからじゃないですか?」
くっ……。 張り倒したくなる衝動を必死で抑えつける。 落ち着け、私。 ふざけている感じはないじゃないか。
怒りを制御するんだ。 ここで持ちこたえねば宮藤の未来は真っ暗だぞ! エーリカはなんと言っていたか?
(クリスだと思って接してあげるんだよー。 クリスだったら、チンプンカンプンな答えでも怒鳴ったりしないだろー?)
そうだ。 クリスだと思えばいいんだ。 今の答えはクリスが言ったものだ。 もしクリスだったら……。
「あ、あの……や、やっぱり、全然とんちんかんですよね、私。」
「ふふ。 気にするな。 お前の頭が、素直で柔らかい証拠だ。 ただ、今日はお勉強だからな。 違う考え方でやってみよう。」
驚愕が見てとれる。 私の言葉に、それまでビクビクしていた感じの宮藤が、目をまぁるく見開いた。
まさか宮藤にクリスを重ねるだけで、自然に柔らかく振舞えるとは。 顔にも微笑が浮かんでいるのが分かる。
自分でも驚くと同時に、少しばかり呆れる。 参ったな、私の性格には。 これでは宮藤が萎縮してしまうのも仕方は無い。
そうだな。 生死に関わる問題でも無い。 肩の力を抜いて接してみようか。
(興味のある題材に当てはめて教えてみるのが近道だと思うわ。 具体的なイメージがあると違うものね。)
ミーナの言葉を思い出す。 興味のある題材か。 よし。 戸惑っている宮藤に少しばかり身を寄せて、優しい感じで語りかけてみる。
「身近な物で考えてみようか。 お前がリーネの胸を持つとする。」
「え! り、リーネちゃんの胸を、モツ? モツって、持つ!? ホールドアップですか!!?」
「あぁ。 下から支えるように手で持つのを想像してほしい。 重みはあるか?」
「はい!! 心地よい重みです!!!!」
先程の様子からは想像すらできなかったくらいに元気のいい答えが返ってくる。 う、うーん。 本当だ。
食いつきの良さが全然違う。 ……教育って難しいなぁ。 気を取り直して、続ける。
「そ、そうか。 なぜ重いかと言うとだな、それは重力のためだ。 重力は分かるな? 聞いた事くらいあるだろう。
その重力によって、リーネの胸が落下しようとする。 その力がお前の手にかかる。 だから重いんだ。」
「落下だなんて! リーネちゃんの胸は垂れたりしてませんっっ!!!」
「い、いや! そうだな、形はいいな。 それでだな、なぜあの形になるかと言うとだな。 それは重力のおかげなんだ。」
「え? 重力のおかげ? リーネちゃんのあの胸が!? し、知らなかった。 重力って偉い!!」
「あ、あぁ。 偉いな。 二つの物体がある場合、そこには常に引き合う力が働く。 それを万有引力と呼ぶ。」
「ばんゆーいんりょく?」
ようやく本題までこぎつけた。 宮藤の興味を惹き付けながら、学問の話まで持ってこれたのだ。 いい調子ではないだろうか?
- 335 名前:先生はお姉ちゃん 4/9:2009/04/21(火) 22:16:46 ID:IwzOxb0I
- 「その通り。 この場合、リーネの胸と引き合ってるのは、地球だな。 その力で、リーネの胸はあの形に保たれている。
無重力の場所だと、胸の形もまた違ってくるんだぞ。 この、地球と我々の間に働く万有引力を、一般的に重力と呼ぶわけだ。」
「えぇっ!! ち、地球まで惹き付けちゃうなんて……凄い! やっぱりリーネちゃんの胸は凄すぎます!!
そっかー。 私の手が皆さんの胸に吸い寄せられてしまうのも、『ばんゆーいんりょく』のせいだったんですね!」
うんうんと頷く宮藤。 確かにそこにも万有引力はあるのだが、なぜこんなにも釈然としないのだろう?
「い、いや、まぁ、そうとも言えるだろうか……。 こほん。 では、宮藤。 ここまでの話を踏まえて、もう一度。
さっきの問題をやってみよう! ミカンを手に持って、手を離す。 ミカンは地面に向けて落下する。 さて。 なぜでしょう?」
言い終わって、汗が出てきている事に気付く。 大丈夫だ。 上手くいく。 今度はきっと上手くいく。
私は上手くやれた。 宮藤だって、やればできる奴だ。 固唾を呑んで見守っていると、宮藤が朗らかに答えた。
「あっ! ……今度は、分かりました。 ミカンと地球の間に、万有引力が働いてるから、なんですね!」
太陽のような笑顔から、待ち望んでいた答えが紡がれた。
瞬間。 目の前が一気に開けたような感覚がして、私は宮藤に抱きついていた。
「へぁ!?」
「やった! やったぁ宮藤! 正解だ! お前はきっとできる奴だと思っていた!! うん。 やったぁ!」
宮藤の頭を抱き締めたまま、浮かれる私。 知らなかった。 教える喜び。 生徒が、教えた内容を吸収して、成長する。
それがこんなに嬉しい事だったなんて。 はっ。 一人で盛り上がっていた事に気付き、慌てて宮藤を解放する。
「す、すまん宮藤! あ、あんまり嬉しくて、つい。」
「いえ。 そんなに喜んで貰えるなんて、私も嬉しい、です。 ……私、ずっとバルクホルンさんに教えてもらうのが憂鬱でした。
間違ったら怒られるんじゃないかって。 迷惑をかけてしまうのは嫌だし、怒られると落ち込んでしまうから。
でも……馬鹿でした、私。 こんなに優しいなんて。 こんなに嬉しいなんて。 勉強が、こんなに楽しいなんて。
バルクホルンさんに教えて貰えてよかった。 バルクホルンさん。 先生、って。 そう呼んでも、いいですか……?」
せっっ。 せ ん せ い !!!??? 俯いて頬を染めながら、もじもじと可愛い事を言ってくる宮藤。
その桜色の唇から放たれた言葉の破壊力は、私の平常心を粉々に打ち砕くに、十分すぎる程の威力を持っていた。
先生。 せんせい。 ば、馬鹿な。 何をうろたえる、私!? ちょっと呼び方が変わっただけじゃないか。 そうだ。
何も特別な事ではない。 あぁ、だがしかし。 姉と呼ばれる以外に。 まさかここまで破壊力を持つ呼ばれ方があったとは……。
「す、すいません。 やっぱり、こんな私の先生なんて嫌ですよね……。」
「何を馬鹿な!!! お、お前の方こそ、いいのか? こんな偏屈な教師でも……。」
「勿論です。 バルクホルンさんがいいんです! ……良かった。 これからも、よろしくお願いしますね。 せ・ん・せ!」
にっこりと。 あまりに無垢な笑顔を向けて、私の手を握る宮藤。 私の思考回路はあえなくショートしたのだった。
- 336 名前:先生はお姉ちゃん 5/9:2009/04/21(火) 22:17:14 ID:IwzOxb0I
- 「リベリアン、もう食べ終わってるのか? そうなら、ついでに食器持って行くぞ。」
「お。 悪いね、ヤワラカブツ。 頼むわ!」
や、ヤワラカブツ!? 夕食を終え、食器を回収する私に、耳慣れない呼称がつけられた。
「あー、分かるぅー。 最近の大尉って、なぁんかやーらかい感じだよねっ!」
「だろだろ? 前までのバルクホルンだったら、間違ってもあたしに食器持ってくか?なんて聞かなかったよなー。」
「うむ。 心身共に充実しているようだな。 戦場でも、安心して見ていられるぞ。」
やいやい言われて面映い気持ちになる。 私が変わった? 自覚は無いのだが、そうなのだろうか。
確かに最近いいリズムで生活できている気がする。 それが表面にも現れているという事か。 おそらく、やはり。
「はいっ。 家庭教師の時も、すっごく優しく教えてくれるんですっ。 ねっ、せーんせっ。 ふふっ。」
「勘弁してくれ、宮藤。 それはその、時間限定という事で。」
そう、家庭教師。 それがとても上手くいっている。 色々と懸念もあったが、結果として私も宮藤も充実した生活を送れている。
いや、ひょっとして自分は教師に向いているのではないか、とさえ思えてきたくらいだ。
勉強を教える時の私は、相変わらず服装を女性らしく変えて、リラックスしたスタイルに変身する。
それが二人の秘密の合図みたいで、何だかくすぐったい気持ちを覚える。
「最近は座学の成績も悪くないわ。 七割くらい取れればいいかな、って考えてるテストで満点近い成績を取り続けているのよ。」
「も、もう、ミーナ中佐ったら。 人の成績をばらさないでくださいよぉー。」
「まぁいーじゃんか宮藤! これなら隊長がばらさなくなったら、アー、わりー点だったんダナ、って分かるし!」
「ほ、ほらぁ! こういう人がいるんですからぁー!」
エイラと宮藤がじゃれる。 微笑ましい。 教える程に分かる。 宮藤は、私が思うよりも、ずっと大きな可能性を持っているんだ。
私もお前に教えられてばかりなのではないかと思うよ。 照れ臭いから、口には出せないがな。
「この頃、暇な時間は大体二人っきりで勉強してますもんね。」
ん? ぼそりと呟いたのは誰だったのだろう。 言葉に秘められた沈んだ調子が、少し私の気に留まった。
さっと見回してみる。 リーネのようだったが、特別な素振りはしていない。 空耳か? 気を取り直して、エーリカに話しかける。
「なぁハルトマン。 教師としての心得で質問があるんだが……。」
「んー? もうトゥルーデはベテランだろ。 私から言える事なんて、無いと思うな。」
エーリカはそう言ってフイッといなくなってしまった。 な、なんだ。 やけにつれないじゃないか!
気付かない内に、何か気に障るような事をしたのだろうか。 戦闘でバックアップに頼りすぎているとか……?
表面上は上手くいっているように見えていた、この生活。 だが、しかし。
教師とはそれ程甘くないものなのだと、程無くして私は思い知らされた。
- 337 名前:先生はお姉ちゃん 6/9:2009/04/21(火) 22:17:45 ID:IwzOxb0I
- 沈黙。 宮藤はおし黙って。 私は言葉を探して。 それが妙な緊張感を湛えた沈黙を生んでいた。
いつものように服装を変えて、いつものようにお勉強。 ただ違うのは、私がミーナから預かった答案用紙を持っているという事だ。
30点。 いわゆる、赤点ラインだ。 最近は調子が良かったのよ、だったか。 この落ち込みようを見れば一目瞭然だな。
「そんなに気にするな、宮藤。 たまたまさ。 ちょっと短期間で詰め込みすぎてしまったかもな。 今日は復習中心にやろう。」
「たまたまじゃ、ないです。」
視線を合わせてくれないまま、搾り出すような声。 これまでが好成績だっただけに、ショックも相当だろう。
胸が痛い。 教え子の苦しみは、私の苦しみだ。 たまたまじゃない、ときた。 壁を感じているのだろうか?
自分には向いていないと思ったのかもしれない。 理由を話してくれるのかと思ったが、宮藤はそれきりまた黙ってしまった。
「なぁ、宮藤。 向き不向きを見つけるのも勉強なんだ。 嫌なら、この分野の勉強はやめて、他をやってみようか?」
我ながら、らしからぬ言葉を吐いたと思う。 家庭教師のバルクホルンは、随分と甘いものだ。
だが、心からの言葉だった。 宮藤は限られた時間で最善を尽くしている。 それは、誰よりもこの私が一番よく知っている。
もし向いていないのなら、違う方向を検討してやるのも私の務めじゃないか。 そんな教師たらんとしていた心が、一言で揺れた。
「先生が悪いんだ。」
一瞬で思考が止まった。 何を言われたのかが、上手く把握できなくて。 私は口を空しくパクパクさせた。
なっ。 何だって。 私が、悪い? それきり、またしてもの沈黙。 時間だけが、流れる。 心が少しずつ痛み出した。
私が、悪いだって。 ……そうだったのか? 上手くやれている気になっていた。 姿を変え、性格を軟化させる、芝居じみたひととき。
だが、私はそのひとときが好きだった。 教師に向いているかも、などと、思い込み始めてさえ、いた。
なのに。 それは全て、私の都合のいい解釈に過ぎなかったのだと。 いま、宮藤は確かにそう言ったのだ。
「先生が悪いんだ!」
肩口に衝撃。 ぶつかられて、横倒しになる。 半身を起こした状態で呆然と首を左に捻ると、宮藤が燃えるような瞳で私を見つめていた。
そんな。 そんな事って。 あの宮藤が力に訴えたという事実が、完全に私から思考力を奪っていた。
「私の……せい?」
頭が働かない。 私は何を図に乗っていたのだろう。 ただの一言で揺らぐような、そんな小さな誇りで。 人にものを教える、などと。
釈迦は大した人物だ。 この体勢でよくもまぁ、あれだけ寛いだ表情をしている。 私はこれ程に、頼りない気持ちになっているというのに。
宮藤が何かを喋ろうとしている。 寄る辺ない子供のような心境で、私はただそれを待つしかできなかった。
「先生が、悪いんだ。 ……勉強が、手につかないんです。 寝ても覚めても、考えるのは先生の事ばかり。
明日はどんな服着てくるのかなって。 どんな風に褒めてくれるのかなって。 そんな事ばかり考えて。
笑ってくれたら嬉しくて。 悩ませてしまうと切なくて。 ふとした拍子に触れでもしたら、もう何も考えられなくなる。
なのに、先生は平気な顔して。 こんな気持ち、知らなければよかった。 勉強なんて、できるわけない。 私。 苦しいんです……。」
- 338 名前:先生はお姉ちゃん 7/9:2009/04/21(火) 22:18:14 ID:IwzOxb0I
- …………。 は? どれだけ自分の教師としての資質を悪し様に罵られるのだろうと怯えていた私。 だが。
聞かされた言葉は、それとは全く違う種類のもの。 いや、むしろ。 より一層たちが悪いとすら言える陳情だった。
え? ぽかーんと。 怯えも何もかも吹っ飛んで、完全な虚脱状態。 間の抜けた声しか出てこない。
「え、えぇと宮藤……これは、その、なんだ。 ……ドキドキ☆課外授業とか。 そんな感じの事態なのだろうか。」
「茶化さないでください!! 私は真剣なんです!!!」
「すいません!!」
思わず謝ってしまった。 な、なんだ。 これは、まさか。 生徒と教師。 放課後の何ちゃらというシチュエーションなのかぁっ!?
「先生……この苦しさは何なんですか。 この気持ちを何て言えばいいのか、知らないんです。 教えて、ください……。」
「まっ、待て宮藤! 生徒と教師でこんな……いや! そうだ、きっとそれは思春期によくある、憧れにも似た……。」
ずずいと宮藤に詰め寄られる。 ちっ、近いっ。 なんで力が入らないんだ。 支離滅裂な言葉しか思いつかないのは何故だ?
私の胸を触りながら、潤んだ瞳で見つめてくる宮藤は、こんなにも幼さの残る外見なのに、まるで少女には見えなかった。
だ、駄目だ、こんなの。 だって、だって。 ……えぇと。 色々とまずいじゃないか!! どっ。 どうしよう?
ピピピピピピピピピピーーーーーー!!!!!!!
突然の大音量で、私も宮藤も我に返った。 耳に優しくないその音は、ホイッスル。 音源に目を向けると、そこには。
「ストップですー! なななに不純異性交遊……もとい、同性交遊してるんですかぁ! 指導! 教育的指導ですーーー!!!」
「あのね、トゥルーデ。 勉強を教えてあげてとは言ったけれど。 保健体育までしてくれなくて、いいのよ?」
涙目でホイッスルを吹き散らかすリーネ。 目のやり場に困っているように、赤い顔をしたミーナ。
そしてニヤニヤと笑う、その他大勢の野次馬たち。 我々はものの見事に晒し者となっていた。
「やれやれ宮藤。 以前から思っていたが、その、なんだ。 お前は少し、女性の胸に執着しすぎではないか?」
「あうぅ……。 ごめんなさい、坂本さん……しくしく。」
「本当に何を考えていらっしゃるの!? それでも軍人なのかしら。 我々は色恋のためにここにいるわけではありませんのよ!」
「ウンウン、全くその通り。 お前に言われたらお終いダヨナー。」
掴み合うペリーヌとエイラを尻目に、溜息をつく。 リビングには微妙な雰囲気が漂っている。
事情を説明しないわけにもいかず、結果、宮藤は見事に集中砲火されていた。
「まぁ……そんなに宮藤を責めないでやってくれ。 何と言っても思春期だ。 そういう気持ちになる時もあるだろう。
それにこう見えて私も一人前の女だ。 昂ぶった宮藤に迫られたとて、自分の身持ちくらい、自分で守れる。 騒ぐ程の事は無い。」
「……それはどうかしら。」
「相変わらず自分を知らないねぇ……。」
白い目を向けてくる面々。 な、なぜだ? 貴様ら、私を何だと思っているんだ! 守れるぞ! 自分の身ぐらい守れるんだぞ!
- 339 名前:先生はお姉ちゃん 8/9:2009/04/21(火) 22:18:44 ID:IwzOxb0I
- 「もう許してあげていーんでない? 誰も損したわけじゃないんだしさ。 でしょ、ミーナ?」
朗らかにとりなしてくれるエーリカ。 落ち着け所だと思ったのだろうか。 ミーナも頷き、それがお免状となった。
恩に着る! 礼を言おうと思って振り返ると、エーリカはさっさとリビングから立ち去ろうとしていた。
何故だろう。 その時。 その瞳に、なぜだか、見過ごせない色が見えたような気がして。 私は咄嗟にエーリカの腕を掴んだ。
「……何、トゥルーデ? 私、もう眠りたいんだけど。」
「いっ、いや。 その……お前、医者になりたいんだろう。 その割には、ちっとも勉強しているように見えないが?」
口をついたのは、いつものお小言。 むっとしたように眉をひそめると、エーリカが言い返してきた。
「心配いらないよ。 私の妹見てみ? 物凄い天才だよ。 おんなじ頭のつくりしてるんだから、へーきだって!」
「勉強はそんなに甘くないぞ。 毎日の積み重ねが大切だ。 だから、だな。 お前さえ、よければだが。 私の生徒にならないか?」
きょとん、と。 意外そうな瞳。 それはそうだろう。 私だって、自分がそんな事を言うなんて、想像していなかった。
穴の開くほど私を見つめていたエーリカが、やがて、悪戯っぽく笑った。
「いいのかなぁー。 私、相っ当ぉーな問題児だよ? トゥルーデ、胃に穴が開いちゃうかもね。」
「どこかの誰かに毎日鍛えてもらっている。 その点は問題無い。 しかも、鍛える時間が更に増えるんだからな。」
ニッと笑うと、エーリカもいつもの顔で笑い返してきた。 あぁそうだ。 これだ。 この笑顔が無かったんだ。
さっきのエーリカの笑顔は、なんだか本物では無い気がしたんだ。 それが私の目に留まったんだ。
理由は分からないが、この笑顔が戻って良かった。 安堵していると、突然、エーリカを掴んでいるのとは逆の腕を引かれた。
「わ、私は。 どうなるんですか?」
宮藤が、捨てられた子犬のような顔して、そんな事を言うものだから。 そんな顔すぐに止めさせたくて、勢い込んで答えた。
「勿論お前の面倒も見るぞ! なに、やってみせるさ。 世の中の教師は30人以上もの生徒をだな……。」
「駄目です。」
「そう、駄目な感じで……。 へっ? だ、駄目? 駄目って。 何が駄目なんだ、宮藤?」
それは、全く想像していなかった切り返しで。 思わずオウム返しに聞き返す私。
「駄目だから駄目と言ってるんです! 私かハルトマンさんか。 どっちか一人を選んでください!」
「何ぃーーーッ!!?」
何故か二者択一が発生した。 そんな馬鹿な!? これは複数解の許される問題だろう、宮藤? なぜ択一式になっているんだ?
「……私は、トゥルーデの言う事に従うよ。 でも、何の心配もしてない。 私の生徒にならないかって言ってくれたもん、ね。」
にっこり笑うエーリカ。 可愛い事を言ってくれてはいるが。 天使のような笑顔を浮かべてはいるが!
違う! この笑顔は違うぞ! これは、この笑顔は。 腹に一物隠している時の笑顔だぁーーーッ!!
- 340 名前:先生はお姉ちゃん 9/9:2009/04/21(火) 22:19:28 ID:IwzOxb0I
- 「私ですか? ハルトマンさんですか? 先生。 私、もっと先生の授業、受けていたい。 イヤですか……?」
「トゥルーデ。 面倒な事はパパッと済ませちゃった方がいいよ。 もう答えは決まってるもん、ね?」
「え、うぐ、いぁ? い、いや。 だから、それって両立可能だろう? 二人とも私が教えれば済む話だと思うんだが……。」
「「 絶対ダメ!! 」」
「何故なんだぁーーーッッ!!??」
冷や汗が止まらない。 理解不能だ。 なんでこんな事態に陥っているんだ。 二人のこの迫力は何なんだ!?
明らかに不条理な選択を迫られているのに、それを受けなければ女じゃない、とでも言うような空気が辺り一帯に満ちている。
宮藤は私の授業を受けたい。 エーリカも私の授業を受けたい。 よって、二人とも私が教える。
物凄くシンプルな式じゃないか。 どう考えても最適解じゃないか!? なぜこの答えがまかり通らないんだぁーー!!??
「先生!」
「トゥルーデ!」
詰め寄られる私。 助けを求めるようにみんなを見ても、全くの徒労。
「うーん、人生は数式みたいにはいかないんだねぇ。」
「懲戒免職だけには気をつけてね? あなた、流されやすそうだし……。」
「私が教えてあげるから! 円周率イコール3だよ芳佳ちゃん!」
「やーい! 色惚けツンツンメガネ!」
「きぃーっ! 言ったわねぇー!」
20時を過ぎて、なお喧騒のリビング。 なんと混沌とした光景なのだろう。 思わず遠くを見つめながら思う。
あぁ。 私はやはり教師になど向いていない。 生徒の方がずっといい。
仮にこの問いに答えてくれる教師がいたならば、私は今すぐにでも月謝を払うだろう。
なぁ、誰か。 誰でもいい。 聞きたいんだ。 聞かせてくれ。
どうか、今すぐ私に。 この場を上手く切り抜ける方法を教えてくれぇーーーーー!!!!!
おしまい
- 341 名前:名無しさん:2009/04/21(火) 22:54:00 ID:mtM1AofE
- GJと言わざるをえない。
- 342 名前:名無しさん:2009/04/21(火) 23:59:43 ID:UJAn7ub2
- 先生って新しいジャンルじゃないか?とにかくGJ!!としか言いようがない
- 343 名前:名無しさん:2009/04/22(水) 00:07:08 ID:rede4gOY
- GJ!
いや、ここはジャムパンくわえたリーネ先生の参加だろう!
- 344 名前:名無しさん:2009/04/22(水) 00:14:17 ID:t.MsAxg2
- > ……ドキドキ☆課外授業とか。 そんな感じの事態なのだろうか。」
息を呑みながら読んでたところで一気に噴いたw お姉ちゃんなら素で言えそうだw
エーリカも芳佳もかわいいけど、うろたえるせんせいがかわいいw
自分を知らないねぇとかツッコミ的確すぎるwwww GJでした!
- 345 名前:名無しさん:2009/04/22(水) 01:00:13 ID:2.wOboVs
- SSの数が750を越えた頃(2月の始めごろ)から密かに1000を狙って
SSを書いていたけど書くのが遅すぎて結局間に合わなかった
とりあえず皆様gjっす
- 346 名前:名無しさん:2009/04/22(水) 01:05:50 ID:4/xi9S/Q
- 日が変わって深夜にこっそりこんばんは。LWqeWTRGです。
さて、エーリカ視点のエイラーニャを投下させてもらおうと思います。7レスです。
- 347 名前:名無しさん:2009/04/22(水) 01:07:01 ID:4/xi9S/Q
- ふふん、なかなか面白いことになりそう。
エイラのあの慌てっぷりはさすがだね。
「サーニャ、どうしよう。サーニャ!」
「エイラ、落ちついっく…、落ちついて」
「うああまた1回…。どうすれバ…」
というかここまでの混乱を起こさせるなんてやるなぁ宮藤!
ま、その宮藤もオロオロしすぎなんだけど。
「あの、ハルトマン中尉?なにが起きているんですの?」
「んー? ペリーヌか」
この状況じゃなにがなんだかわかんないよねぇ。
仕方ない、このエーリカちゃんが説明してあげよう。
「サーニャがさ、しゃっくりしだして、100回したらアレで、エイラがオロオロ、あたふたしてんの」
「えと、もう一度詳しくお願いできます?」
「だからー、サーニャがしゃっくりして、100回でアウトで、エイラが右往左往してんの」
「もういいですわ…。リーネさん、説明お願いできるかしら?」
ちぇ、せっかく説明してやったのに。
でも扶桑の言い伝えではしゃっくり100回で死ぬんだ…。なんでだろ?
「ええ!? そうなんですの!?」
「はい、芳佳ちゃんによると…」
あの2人も信じちゃってんのか。
素直だねー。いや私も素直ですけど。
- 348 名前:名無しさん:2009/04/22(水) 01:08:11 ID:4/xi9S/Q
- 「だから、ひっく、みんな落ちついて。わた―っく、私大丈夫だから、ね? ひっく」
「3回も! おい宮藤! 今何回ダ!?」
「えっと…わかんないです!」
「バカアアアアアアアア!」
「えーと28回だね」
「ホントかハルトマン!」
「うん、多分だけど。だいたいあってるよ」
ま、外れてても大丈夫っしょ。
…ちょこっと多く言えばよかったかな……。
「よし! 急いで止めるゾ!」
「はい!」
「だから、それは迷信…ひっく」
うんうん、面白くなってきてるよ〜。
ゴメンけどサーニャはもうちょっとしゃっくりしててね。
「宮藤! お前んトコだとどうやって止めるンダ?」
「えっと…えっと…確かお水を一気に飲んで…」
「リーネ、水ダ!」
「はっ、はい! ……どうぞ!」
「よしサーニャ! 飲んで!」
「うっく、うん」
おーいい飲みっぷり。
あれはお酒もいける口だね。
「ぷはっ」
「どうダ?サーニャ…」
「………ひっく」
「宮藤ゴラアアアアアア!!」
「えーダメだったの…?」
「効果ネーじゃんカ!」
「わたしはこれで治ったんだけど…」
「クソー…次ダ、次!」
にゃはははっ。エイラ頑張れ〜。
さ、次はどうするー?
- 349 名前:名無しさん:2009/04/22(水) 01:09:22 ID:4/xi9S/Q
- 「ええと、他には…息を止める!」
「サーニャ死んじゃうじゃネェかバカア!」
「うええ!? 苦しくなるまででいいんですよ〜!」
「うー…。…仕方ナイ、とりあえずやってみよう、サーニャ」
「ひっく、うん…」
はい、おーきく息すってー。止めるっ!
「……」
うはぁサーニャかわいいー。
ほっぺたぷくーって膨らませてる。
「…息は大丈夫なのカ?」
「……」
「苦しくなったらやめるんダゾ?」
「……!」
「!? サーニャ、しっかり! サーニャ!!」
「エイラさん息を止めてる間くらいは落ち着いたらどうなんですの?」
「落ちついてられるカー! サーニャの危機なんだゾ!」
あはは…相変わらずだねぇ…。
「……―ぷはっ! …はぁ、はぁ…」
うわぁ顔真っ赤。サーニャよく頑張った!
「大丈夫カ!? サーニャ! …どうだ、治ったカ?」
「はぁ、はぁ、ん…、はぁ…はぁ、ひっく」
「みぃやふじいいいぃぃぃいい!!」
「ごっ、ごめんなさーい!」
ぷくくく…。残念だったねー。
ほら、早く次行こうよ。次。
- 350 名前:名無しさん:2009/04/22(水) 01:10:24 ID:4/xi9S/Q
- 「次の手は…? どうすれバ治るんダ…」
「エイラ、そのうち治まるから大丈夫よ」
「100回なんダゾ…。100回したらサーニャが…、ってサーニャ! 治ってないカ!?」
ええーうっそー! ここで治っちゃう?
もうちょっと頑張る冬将軍見てたかったのに。
「あれ? ほんとだ。治った! …ね、エイラ、だから大丈夫って言ったでしょ。………ひっく」
「治ってナイじゃんか宮藤いいぃぃい!!」
「えええ!? なんでわたし!?」
ですよねー。お約束だよね。
しっかしエイラは期待通りのリアクションくれるなぁ。
「ソウダ! お前の治療でなんとかならないのカ!?」
「そういえば…! やってみます!」
おお、私も宮藤の治癒魔法のこと忘れてたよ。
しゃっくりは横隔膜の痙攣だからね。
痙攣が怪我として反応したら治るかも?
「くっ…」
「キアイ入れろ! 宮藤!」
「頑張って! 芳佳ちゃん!」
どうなるんだ…?
「どう? サーニャちゃん」
「……っく、…ひっく…。ダメみたい、っく」
「ヒドくなったあああああ!」
「ありゃ…ごめんね…」
あーあ、宮藤ドンマイ。
筋肉の収縮が活発化しちゃったみたい。
- 351 名前:名無しさん:2009/04/22(水) 01:11:42 ID:4/xi9S/Q
- 「もう…もう手はないのカ…?」
「いいえ…、まだあります!」
「なんだ宮藤! 言ってミロ!」
「びっくりさせるんです!」
「びっくり…って驚かす、のカ…?」
「そんなことで…しゃっくりが止まるの…?」
「まさか…ありえませんわ…」
「ひっく」
それあんまし効果ないらしいけどね。
まあこれもお約束ってことで。
「サーニャ………、ワっ!」
「びっくりしない…ひっく」
「どかーん! どかーん!」
「ナニしてんだ宮藤」
「えへへ…驚かそうと思って…」
「ムリダナ」
「…ひっく」
あんまし人のネタとっちゃダメだよー宮藤。
ミーナに怒られちゃうよー。
ふぅ、よっし、そろそろ私の出番だね。
これやる前に治っちゃったらどうしようかと思ったよ。
「ねぇねぇエイラ、ちょっとこっち来て耳貸して」
「んあ? なんダヨ今それどこじゃ…」
「いいからいいから」
「…なんダヨ」
「サーニャのしゃっくり止めたいんでしょ?」
「当たり前ダロ! 100回したら…」
「そんなあなたに私、天才魔法少女エーリカちゃんが知恵を授けます」
「……この際なんでもいいヤ。教えてクレ!」
「それは…、―――」
- 352 名前:名無しさん:2009/04/22(水) 01:12:53 ID:4/xi9S/Q
- 「――はあっ!? マジ!? ムリムリムリムリ! ムリだかんな! 絶対ムリだかんな!」
「あれれぇ? サーニャのことはどうだっていいの?」
「よくナイ! ……ケドこれハ…!」
「…ふぅ、じゃあ仕方ない…。おーい、宮ふ――」
「わかったヨ! やってくるヨ!」
しめしめ、うまくいった。これで私の仕事は終了っと。
さぁて、ワクワクしてきた…。
「サーニャ……」
「エイ…っく、…エイラ?」
いけー! そこだー! やってまえーぃ!
「サーニャ…。―――ッ!」
いよーし! キッス頂きましたー!!
てゆーかエイラ豪快ぃ。どさくさで思いっきり抱きしめてんじゃん。やるなぁ!
「エ、エ…エイラ…? な、なん…」
「びっくりは…したダロ…」
「…あっ! サーニャちゃんしゃっくり止まった…?」
「え? あ……出ない。今度こそ止まったみたい……」
うーん、シーンとしてる…。まだまだここにいる子たちには刺激が強かったかな?
私もドキドキしちゃったし。エイラだいたーん。
あとしゃっくり止まるのはアレね。
びっくりっていうより意識をそらすと止まったりなんかしちゃったり、ってね。
ちゃんとエーリカちゃんは考えてるのです。
- 353 名前:名無しさん:2009/04/22(水) 01:14:11 ID:4/xi9S/Q
- 「さ、さすがです! ハルトマンさん!」
「わたしもびっくりしちゃいました…」
「でも…もうちょっと他に、……いえ、なんでもありませんわ」
なんだペリーヌ照れてんのか〜?
少佐に頼めばいいじゃん。
「ったくぅ…」
「……」
エイラはそろそろ離してあげないとサーニャが顔真っ赤で倒れそう…、いや、サーニャが抱きついてんのか。
ま、これで一件落着かな!
さて、いいもん見たし、部屋でもう一眠り…。
「ひっく」
え?
「よ、芳佳ちゃん?」
「宮藤…まさカ…」
「宮藤さん…あなたもしかしてうつって…」
「(まさかのチャンス到来!?)」
リーネこわー! 目が、目がぁ!
ちょっとここは退散しとくか…。
「よぉぉしぃぃぃかぁぁぁちゃーん!!」
「え、ひゃ、リーネちゃん!? ひっく」
あ…危ない危ない…。
んー、私もしゃっくり出してトゥルーデにキスねだろうかなぁ…。
…おや? やっぱりサーニャに火がついちゃってたか。
エイラをひっぱって今からお部屋でいちゃいちゃですか。まだ昼間だっていうのに熱いねぇ。
うんうん、これも恋のキューピットエーリカちゃんのおかげだねっ!
END
- 354 名前:名無しさん:2009/04/22(水) 01:16:17 ID:4/xi9S/Q
- 以上です。
タイトルは「しゃっくりを止めろ!」
そのまんまです…。タイトル浮かばなかったorz
スオムスとかのしゃっくりの止め方知らないので扶桑式です。
芳佳が事件の元なんですが、診療所の娘なのにしゃっくり100回説を信じているのは芳佳だからでスルーしてくださいw
あと記録集の治癒魔法の説明…もスルーをw
では、失礼します。
- 355 名前:名無しさん:2009/04/22(水) 10:16:57 ID:HHKF1PrE
- >>354
頬を膨らませて必死に息止めてるサーニャを想像したら萌え死んだ
キスでしゃっくり止めるとか最高過ぎる…
何はともあれGJ!
しゃっくりはロマンティックが原因…って分かる人居ないかw
- 356 名前:名無しさん:2009/04/22(水) 10:17:00 ID:HHKF1PrE
- >>354
頬を膨らませて必死に息止めてるサーニャを想像したら萌え死んだ
キスでしゃっくり止めるとか最高過ぎる…
何はともあれGJ!
しゃっくりはロマンティックが原因…って分かる人居ないかw
- 357 名前:名無しさん:2009/04/22(水) 10:18:22 ID:HHKF1PrE
- うわ…何故か連投…ごめんなさい…
- 358 名前:名無しさん:2009/04/22(水) 10:26:02 ID:Nu5SdD1.
- >>354
GJ、勢いのあるエイラは生き生きしてるよな、なんというか。
しゃっくりだけど、欧州では紙袋に息を吹き込むというのが主力らしい。色気がないなあ。
サーニャが息を吹き込んだ袋をこっそり回収して後でくんかくんかするエイラなら想像できるが。
- 359 名前:名無しさん:2009/04/22(水) 10:51:28 ID:8hLrcTSc
- >>354
GJ! しゃっくりネタ面白い! 光景が目に浮かびますよ。
しゃっくりの止め方は、地域によっては色々あるみたいですね。
>>345
ここではいつでも貴方のSSをお待ちしてるんだナ。
全裸で正座して投下お待ちしてます。
- 360 名前:名無しさん:2009/04/22(水) 10:56:22 ID:8hLrcTSc
- そう言えば、スレ容量400KB超えたのでひとつ。
避難所の管理人様、次に避難所スレ立てる時は、
最初に簡単なテンプレみたいなの入れるのは如何でしょう?
例えば公式サイト等のリンク先とか……。
要らないですかね?
- 361 名前:名無しさん:2009/04/22(水) 16:30:55 ID:RVMnx9Lc
- アニメスレのテンプレを軽く改造して見るとか
- 362 名前:名無しさん:2009/04/22(水) 18:30:41 ID:A9wDApEA
- 百合スレ本スレのテンプレをちょっといじればいいじゃない
- 363 名前:管理人 ◆JvGG5u6wMo:2009/04/22(水) 20:24:05 ID:qIj90KWA
- テンプレ案は随時募集中です。
- 364 名前:名無しさん:2009/04/22(水) 23:14:30 ID:86LbdKpc
- 次スレのテンプレ案を、本スレから引っ張って来ました。
ちょこちょこいじってみました。試しに投下してみますね。
- 365 名前:名無しさん:2009/04/22(水) 23:17:49 ID:86LbdKpc
- すいません、いきなりNGワードに引っ掛かって投稿できませんでした;;
もうちょい改良してシンプルなのにしますのでお待ち下さい……。
- 366 名前:テンプレ案1:2009/04/22(水) 23:23:46 ID:86LbdKpc
- ここはストライクウィッチーズ百合スレ避難所本スレです。
●前スレ
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12483/1239126523/
●Janeで避難所を見る場合
・板一覧を右クリックして「新規カテゴリを追加」をクリック(板一覧が無い場合は「表示」→「板ツリー」→「板全体」で表示できる)
・カテゴリ名を入力してOKをクリックする(例:「したらば」)
・作成したカテゴリにカーソルを合わせて右クリックし、「ここに板を追加」をクリック
・板名を入力してOKをクリックする(例:「百合避難所」)
・URLに「http://jbbs.livedoor.jp/otaku/12483/」を入力してOKをクリックする。
- 367 名前:テンプレ案2:2009/04/22(水) 23:24:43 ID:86LbdKpc
- Q.○○書いたんですけど投下してもいいですか?
A.どうぞ是非投下してください
条件は「ストライクウィッチーズ」関連であること、
「百合」であることの二つのみです。
ジャンル、エロの有無、本編にないカップリングなどに関係なく、このスレの住人はおいしく頂いております。
妄想だとか落書きだとか気にせずとにかく投下してみましょう。
但し、投下する作品が以下のジャンルを含む場合の注意事項。
ふたなり、男出没、グロテスク、スカトロ、SM、鬱展開・ED
「男出没」、「グロ」、「スカ」、「SM」、「鬱展開・ED」は先にキーワードを明記する、又はtxtで上げることを推奨します。
キーワードは1行だけでもOKです。
例:※この作品にはスカトロ、SM要素が含まれます。
「ふたなり」はtxtで上げることを推奨します。
アップロード参考URL:http://www.axfc.net/uploader/
あまりに過激すぎるモノなどは、個人の裁量に任せてtxtであげてもらえたら理想的です。
ただし、SS専用スレではないので20レスを超えるような長編は事前に断りがあると吉です。
sage推奨です。メール欄に半角でsageと入力して下さい。
荒らし、煽りは完全無視。完全スルー。
荒らし、煽りには放置が最も効果的です。
構えばあなたも荒らしです。
- 368 名前:テンプレ案3:2009/04/22(水) 23:25:47 ID:86LbdKpc
- 規制について
★改行規制
避難所スレについて、投稿本文の文字制限は4096byte(全て全角文字の場合は2048文字)、
投稿本文の最大行数は100です。
★連投規制
ここはちょっとわかりません(><; 管理人さん、ご回答を……。
★スレの容量
500KBを超えた時点で管理人さんがスレストを掛けます。
指示に従って速やかに移動をお願いします。
- 369 名前:テンプレ案4:2009/04/22(水) 23:26:15 ID:86LbdKpc
- ──リレーSSの手引き──
★基本ルール
○始める時は、リレーSSであることを宣言する。
○続ける人は宣言は不要だが、一行目に継承元の安価をつける。
○ただし、結末を書く場合は「次で終わっていいですか?」と訊いておく。
○継承先は指定できない。誰かが早い者勝ちで続きを書く。
○ただし自分自身の続きは書かない。最低2人は挟んでから。
○2レス以上にまたがらない。1レスでクールに。
○重複したら先に書いた方を優先する。
○作者名は名前欄に入れる。名無し希望は未入力でも可。
○リレー進行中は他のリレーは開始しない。
○もちろん普通のSSは、リレーの状況に関わらずどんどん投下してください。
★本文と書式
○語り手や文調はできるだけ継承する。唐突な視点変更は避ける。
○誤解を招きやすいため、科白にはキャラの名前をつける。(例:芳佳「おっぱい」)
○後に文が続く事を意識して、できるだけ色々な取り方ができる終わり方にする。
○「駄文失礼〜」「お目汚し〜」等の前書きやあとがきはナンセンスなので付けない。
★心構えと方針
○無理して面白くしようとしない。ナチュラルに妄想を爆発させるべし。
○不本意なカプの流れになっても泣かない。むしろ目覚めるべし。
○展開を強要したり口を挟まない。流れに身を委ねるべし。
○なかなか続きが来なくても焦らない。気長に有志を待つべし。
○多少の誤字脱字、設定違反、日本語おかしい文章には目を瞑る。スルーすべし。
○参加者はみな平等。新兵もエースもリレー主も一切特権はない。仲良くすべし。
○男はいらねえんだよ!ふたなりネタも自重すべし。
- 370 名前:名無しさん:2009/04/22(水) 23:30:30 ID:86LbdKpc
- ざっとこんな感じで如何でしょうか……。
不明なところ(連投規制)は、補完お願いします>管理人様
各種関連サイト(URL)についてはNGワードで引っ掛かるっぽいので
載せてません。てか無理でした。
では、皆様のご意見お待ちしております〜。
そもそもテンプレ要らないって話もあるかも知れませんが一応……。
- 371 名前:名無しさん:2009/04/22(水) 23:33:31 ID:RVMnx9Lc
- てす
ttp://changi.2ch.net/test/read.cgi/anime2/1240406219/
- 372 名前:名無しさん:2009/04/22(水) 23:36:38 ID:RVMnx9Lc
- えーと細かいところだけど、
>>366は
●前スレ
ストライクウィッチーズでレズ百合萌え 避難所2
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12483/1239126523/
の方がいいかも
URLについてはh抜きでもいいと思うけどなあ
こういう荒らしにあっている住民が多いところでの専ブラ率は高いだろうし
でも無理して載せる必要も無いか?
- 373 名前:名無しさん:2009/04/23(木) 00:04:57 ID:6iF5CXl6
- 流れ切ってすみません。
>>332先生はお姉ちゃん
とっても面白かったです。謝っちゃうお姉ちゃんに
萌えました。かわいいなー。宮藤も小悪魔だのー。
これからも頑張ってください。
- 374 名前:名無しさん:2009/04/23(木) 01:26:31 ID:dIPpcf6s
- 保管庫の歴史資料館を見た。
……管理人さん頑張り過ぎGJ!
まさかホントにデータ化するとは……。
しかし、改めてデータを見ると意外に未開拓多いなあ。
ワクワクしてきたぞ。
- 375 名前:保管庫 ◆YFbTwHJXPs:2009/04/23(木) 01:38:01 ID:Gu3XqeQk
- >>374 ああ、フライングされたww
タイミング悪くてすいません。要望が出たので統計更新しました。
ttp://lilystrikewitches.web.fc2.com/graph/stat1000.png
ttp://lilystrikewitches.web.fc2.com/graph/stat1000_all.png
ttp://lilystrikewitches.web.fc2.com/graph/stat1000_matrix.gif
一覧は縦×横順です(美緒×芳佳=20本、芳佳×美緒=3本)。詳しい説明や全キャラverが歴史資料館にあります。
あまりのエイラーニャ率の高さに正直ポカーンしましたwそして意外とたくさんあった0本カプ。
テンプレのことは任せます。
- 376 名前:名無しさん:2009/04/23(木) 01:58:54 ID:wcddMcsY
- >>375
乙以外に言う言葉があるだろうか…
マジに頑張り過ぎですw
- 377 名前:名無しさん:2009/04/23(木) 02:03:19 ID:FK4WRe.s
- >>375
保管庫さん超乙!
あと、いまさらながらトゥルーデ撃墜部隊さん30機撃墜クラブ入りおめ!
- 378 名前:名無しさん:2009/04/23(木) 06:39:39 ID:ARmNHJVE
- >>375
仕事早いよ!しかもGJすぎる!
一応1本以上はあるのはゲルト受け(これは撃墜部隊いるから納得だけど)の他に、
なんと1つだけという……。
しかもそれが、なんとペリーヌ受けというのが超意外。
受け攻め問わず0本なのは、美緒リネ、美緒ーニャ、ミナリネ、ミナルキ、ミナイラ、ミナーニャ、
エーリネ、リネルキ、リネーニャなのか。
ミーナやリーネはカプ書きづらいのか?
さて、これからもっサーニャでも書くかな。
- 379 名前:名無しさん:2009/04/23(木) 06:44:35 ID:ARmNHJVE
- 訂正orz
ミナリネ→ミナシャー
- 380 名前:名無しさん:2009/04/23(木) 07:30:53 ID:k4oNBlcc
- >>375
あまりのGJっぷりに脱帽。
- 381 名前:名無しさん:2009/04/23(木) 07:44:18 ID:yuR0MoK6
- >>375
GJ
- 382 名前:名無しさん:2009/04/23(木) 08:36:17 ID:cLae7tUc
- このいろいろ大変な時に…
すごいなあ管理人さん…
- 383 名前:トゥルーデ撃墜部隊:2009/04/23(木) 12:20:56 ID:JzqQAcHs
- 保管庫さんGJ!エイラーニャすごすぎw
>>377ありがとうございます!まさかこんなに書けるなんて思ってなかった。ここの皆さんが暖かく迎えてくれるおかげです。感謝してます!
これからもトゥルーデを撃墜していきますw
- 384 名前:名無しさん:2009/04/23(木) 20:16:10 ID:69rtFj7s
- 保管庫さま乙です!
せっかく統計出していただけましたし、未開拓カプ支援します
あまりカプっぽくない上に短いですが一本投下、ミーナ×エイラです
- 385 名前:名無しさん:2009/04/23(木) 20:17:30 ID:69rtFj7s
- 「あら?」
昨夜の雨もあがり、ゆっくりと日が出て来たお昼頃。
報告書の山を半分片付けた私は一息つこうと食堂に向かい、そこでここにはいないはずの隊員を見つけた。
不思議な色合いの銀髪にラフなパーカー姿のその子はしきりに周りを気にしてきょろきょろしながら
厨房に向かって一生懸命何かを作っていた。
「何をしてるの?エイラさん」
「い゙っ!!ミ…ミーナ隊長」
「そんなに大袈裟に驚かなくても…あら、それは?」
「あ…これハ…は、腹減ったナーって思ってさ!」
慌てるエイラさんの後ろに見えたのは出来たてであろうサンドイッチだった。
軽く焼いたライ麦パンにスモークサーモンとしゃきしゃきのレタスを挟み、
余ったレタスにトマトとスライスオニオンを添えて軽くドレッシングがかけてあった。
もう一つ小さめのお皿にはブルーベリーとラズベリー、うーん美味しそうね
「エイラさん、さっき食事したばかりじゃない?」
「ぅ…ウン…」
「私は休むように言ったと思うけど、眠れないの?」
「大丈夫だヨ、すぐに寝るかラ」
いつものマイペースぶりはどこへやら、落ち着きなくそわそわしている様子。
いじめるつもりはないんだけど、こんな姿を見ると彼女のイタズラ癖が抜けないのはわかる気がしてくるわね
「た、隊長…もう行っていいかナ?」
「急ぎたい気持ちはわかるけど…私は夜間哨戒に備えて休むように言ったはずよ?
その様子じゃ、休まないでサーニャさんの側にいるつもりでしょう?」
エイラさんは俯いて黙ってしまった。
昨夜の雨の中夜間哨戒をしたサーニャさんは体を冷やし、体調を崩してしまったのだ。
変わりの哨戒はエイラさんが自分からやると言ってくれたのでお願いしたのだけれど
睡眠を取らないでサーニャさんの側にいるのだろう。
「サーニャさんには宮藤さんもついているし、心配なのはわかるけど休むのも任務なのよ?」
「わ、わかってるヨ!サーニャが起きてお腹すいたら困るだロ?だからこれだけ…
隊長、お願いだヨ。哨戒に出る前にもうちょっとだけサーニャの側にいたいんダ…」
俯いていた顔が上がり、真剣な瞳に私がうつる。
この子は…サーニャさんの事になると本当に必死なんだから
エイラさんは15歳。リーネさんとペリーヌさん、この前誕生日を迎えた宮藤さんと同い年なのに
どうも大人びた雰囲気がある。サーニャさんという守りたい人がいるとはいえ
もう少し彼女自身周りに甘えさせてあげたいと思うのは、隊長として甘いのだろうか
- 386 名前:名無しさん:2009/04/23(木) 20:17:50 ID:69rtFj7s
- 「…仕方ないわね。哨戒の任務に支障が出なければ、今回は多めに見てあげます」
「ほ、ホントか!?」
「でーも、美緒やトゥルーデには見つからないようにね?
私もあの二人に怒られるのは嫌よ?」
「ウン、ウン!ありがとう、ミーナ隊長!」
エイラさんは嬉しそうに笑った。イタズラする時ともサーニャさんといる時とも違う
子供みたいな笑顔…こんな風に見えてしまうから宮藤さんにお母さんなんて言われちゃうのかしらね
「じゃあこれ部屋に持って行くナ!」
「ちょっと待って、エイラさん」
私が隊のお母さんなら、頑張ってる皆には甘えてほしい。特に普段を気を張りがちな子には
私は食事がのったトレイを持って首を傾げるエイラさんに近づき、ゆっくり体を引き寄せた
「エ!?た、隊長?ナニ…?」
「あなたがサーニャさんを心配なように、私もあなたが心配なのよ
お願いだから無理だけはしないで…誰かに甘えたっていいのよ?」
「……ウン」
エイラさんから体を離し、額に軽くキスをしてあげる
「サーニャさんに食事をさせたら休む事、いいわね?お休みのキスはしたわよ?」
「わかったヨー。ミヤフジも言ってたケド最近隊長はお母さんみたいだナ」
「フフフ、お母さんも悪くないわよ。
あと、自分の部屋とはいえ病人が寝てるベットでは寝ないこと」
「なんでサーニャが私の部屋で寝てるって知ってるんだヨ!」
顔を真っ赤にしたエイラさんが後ずさりしながら大声で聞いてくる。
半分ヤマをはったんだけど当たりだったみたい
「机がないサーニャさんの部屋に食べ物を持っていくのはおかしいと思ったのよ
エイラさんの部屋ならいろいろ都合がいいのよね?」
「ウゥ…隊長の魔法はホント人の心を読むんじゃないか?
怖いからもう行くヨ」
今度こそエイラさんは部屋に向かった
「隊長とお母さんの両方をこなすのは一苦労ね、また美緒に甘いって怒られるわ…あら?」
ふとさっきまでエイラさんがいた厨房を見ると、スモークサーモンのサンドイッチがお皿にのって一つ残っていた。
…これで残りの報告書も頑張れるわね
エイラさんが好む少し苦目のコーヒーをいれ、私も執務室に向かった。
fin
- 387 名前:名無しさん:2009/04/23(木) 20:22:04 ID:69rtFj7s
- おしまいです。未開拓がなくなるとおもしろいと思います!
>>330さん
思いきり間違えてました!指摘していただいてありがとうございます。
P/zSb9mc
- 388 名前:名無しさん:2009/04/23(木) 21:35:27 ID:GzVUuWcU
- >>387
エイラーナ、いいなぁ。GJ!
というか、未開拓カップル、結構書くの難しいな…。
うぅ。自分に文才が無いだけかも知れないが。
- 389 名前:名無しさん:2009/04/23(木) 22:19:49 ID:bFKMvB8s
- >>387
ミーエイラ? エイラーナ? ともかくGJ!
雰囲気が良いですなあ。未開拓カプもっともっと!
- 390 名前:名無しさん:2009/04/24(金) 02:20:28 ID:.48ZBBss
- >>387
電車で読んでニヤニヤが止まらなかった。
GJ!
- 391 名前:名無しさん:2009/04/24(金) 13:04:06 ID:hUahwAN.
- >>387
ナイスミーナイラ、GJ!!
こんな優しい隊長久々に見た気がするwいつも甘々及びわがまま兼鬼隊長って感じだからな。
まさかのハーレム隊長……いや、何でもない。
- 392 名前:名無しさん:2009/04/24(金) 14:27:22 ID:WxrJ0b1g
- 隊長ハーレムwktk!ww
しかし本命は鈍感天然ジゴロだからな...
- 393 名前:名無しさん:2009/04/24(金) 22:52:44 ID:Nd2H3By2
- 一か月くらい離れてたけど、やっぱ俺このスレ好きだ
遅ればせながら…四桁突破おめでとう!! みんな本当にGJ!!
- 394 名前:名無しさん:2009/04/24(金) 23:21:37 ID:E.YLrDEY
- 山崎ハルトマン祭りからもう一週間か 早いなあ
実は先週は投下量に圧倒されてそれぞれのSS全然読んでなかったんだよねw
金曜の夜だし一本一本読み返して楽しんでみようかな
- 395 名前:名無しさん:2009/04/25(土) 00:39:19 ID:scGSl1I2
- 山崎春のパン祭
山崎はるのパン祭
山崎ハルトマン祭
なるほど…こやつできる…
- 396 名前:名無しさん:2009/04/25(土) 11:59:52 ID:qkdTRq6A
- ああ、上手いな・・・
山崎が俺の姓名ってとこに目をつぶればよ・・・
- 397 名前:名無しさん:2009/04/25(土) 12:43:29 ID:DdWZxSRo
- 山崎パンかってこい
- 398 名前:トゥルーデ撃墜部隊:2009/04/25(土) 16:37:29 ID:wKqm2DtA
- 美味しいケーキを買ったら脳内をこんな歌が流れましたよ
さあ みんな食べろ ケーキなんだぞ
イチゴが三個増量らしいぞ
食べ過ぎは太るかもしれないぞ
でも美味すぎるんだな
ハミガキ 体操 後でしよう
入るだけいっぱいおかわり
なんかどうでもよくなってきたぞ
新しい魔法だ
隠れて食べよう こっそり机の下で
腹いっぱいの夢を
ホイップ ナッツ ジャムアンドチョコ
GOOD TASTE 食べよう!今日も食べよう!
お三時を始めよう
ぐっとクリーム なめてみちゃえ
甘くておいしい
GOOD TASTE 食べよう!まだまだ食べよう!
もしなくなった時には
ぐっとくるもの 好きなものに
砂糖かけんだぞ〜っと
おいしいものってすぐ減るな
嫌なものってほら 不味いな
でも好き嫌いはいけないんだな
でもあーんしてくれたらいいぞ
晴れたら外でピクニック
雨ならみんなでホームパーティ
なんか食う気がわいてきたみたいな
お馴染みの魔法さ
食べてみたいもの 誰だってあるから
それがこれなんだよ
でっかいホールケーキ
GOOD TASTE 食べよう!みんな食べよう!
なんだって味見しよう
クッキーorビスケット どっちだって
さくさく美味しい
GOOD TASTE 食べよう!もっともっと食べよう!
もし 怒られた時にも
ぐっと我慢だ 負けないから
いつかダイエットするーっもん
小ネタ失礼しました
- 399 名前:名無しさん:2009/04/25(土) 17:36:01 ID:kxLXG8aI
- こんにちわ、DXUGy60Mです。SSを4レス分程投下致します。
最後まで読んでいただけたら幸いに思います。
- 400 名前:Dans un autobus du crépuscule:2009/04/25(土) 17:36:47 ID:kxLXG8aI
- 傾き始めた太陽の光を浴びながら、街道沿いを走っていたバスは新たな乗客を発見すると、
粉塵を上げながら停留所へと停車した。小脇に荷物を抱えたペリーヌ・クロステルマン・
中尉は、ステップを上がり車中へと入ると、あたりを見回して空席を探した。時間が時間
ゆえに他の乗客は、ほとんど乗っていなかったが、ふと見覚えのある人物が目に付いた。
ペリーヌは、その人物が座る座席へと歩み寄ると、
「サーニャさん?」
と声をかけた。
「あ・・・ペリーヌさん」
窓の外をぼんやりと眺めていたサーニャ・V・リトヴャク中尉は、声のした方に顔を上げ
るとそうつぶやいた。
「今日は、エイラさんと一緒じゃないのですね」
「・・・はい」
「隣よろしいかしら?」
そういってサーニャの右隣を空いた手で指さす。
「・・・どうぞ」
「では失礼して」
そう言うとペリーヌはペコリとおじぎをするサーニャの隣に腰を下ろした。
ペリーヌが座席に着いたのを確認したバスは、一際高いエンジン音を上げると再び自分の
仕事を開始することとした。
- 401 名前:Dans un autobus du crépuscule:2009/04/25(土) 17:37:19 ID:kxLXG8aI
- バスが停留所を発車して数分してから、ペリーヌは後悔をし始めていた。2人の間には会
話は生まれず、バスの振動音とエンジン音によって無音ということはないものの、ペリー
ヌにとっては、あまり居心地の良い時間だといえるものではなかった。
(こんなことなら、わざわざ隣に座ることもありませんでしたわね・・・)
ペリーヌは心中そう感じたものの、さすがにまだ数十分ある道のりを、このまま2人でだ
んまりを決め込むのもどうかと思い、ペリーヌは仕方なく会話の口火を切った。
「今日はどういう用件で出かけてらしたの?」
サーニャの方を向いてそう尋ねる。
「あ、あの・・・これを・・・」
サーニャは座席の隅に置いてあった紙の包みを膝の上に置くと包みを開き、束となった
カードの一枚をペリーヌに差し出した。
「何ですのこれ?」
手に取ったカードには、何かを記入するために空欄となったスペースがいくつも設けられ
ていた。ひっくり返してみると、夜空をイメージしたのであろう、小さな星々が描かれた
黒色の背景に白抜きで「サーニャ・V・リトヴャク」とキリル文字で記され、右隅には白
い百合の花のイラストが添えられていた。
「QSLカードというもので、交信した他のナイトウィッチと交換するんです」
「ふ〜ん、ナイトウィッチ同士でそんなことをしてるのですね」
ペリーヌは興味なさげにカードを裏表とひっくり返す。
「はい。それで前に作ったのが無くなったので、新しいのを印刷屋さんに作りに行ってき
たんです」
「無くなるってことは、案外お友達が多いのですね。エイラさん以外の基地の方々とはあ
まり話もしませんのに」
ペリーヌはそう言いながらカードをサーニャに返した。
「はい・・・他のナイトウィッチの人達も、時間のズレで同じ部隊の人達との交流が少な
いことを悩んでいるみたいで・・・。私も、もっと基地のみんなと仲良くなりたいんで
すけど・・・」
「まぁ、別に無理に仲良くなる必要も無いんじゃないですの。あまり、そういった事を求
められても、相手にとっては迷惑かもしれませんしね」
「そうですね・・・」
片手を上げながら言うペリーヌの言葉を受けて、サーニャは微笑みをもらした。サーニャ
にとっては、ペリーヌの言葉は自分を励ますものに聞こえたようである。一方のペリーヌ
は、何故急にサーニャの表情が変わったのかの意味がわからず、
(急にどうしたのかしら?)
と首をかしげた。
- 402 名前:Dans un autobus du crépuscule:2009/04/25(土) 17:37:50 ID:kxLXG8aI
- 2人の会話はそこで途切れ、再び沈黙の時間が流れ始めた。だが、今度はその時間はそう
長く続くことはなかった。今度は、サーニャが話を切り出したためである。
「あ、あの・・・」
「何ですの?」
「ペリーヌさんは、どういった用事ですか?」
そう言ってペリーヌの包みにチラリと目をやった。ペリーヌはその視線に気づくと、自分
の体の影となるようにその包みを隠し、
「あなたには関係の無いことでしてよ」
と、つっけんどんに答えた。その中身が食材で、坂本少佐のために真夜中にこっそり料理
の練習をしているとは言えなかった。
「・・・すいません」
ペリーヌの言葉にサーニャはシュンとうなだれた。
「あ・・・」
ペリーヌの視線が思わず中空をさまよう。
(別に私が気にすることでは・・・)
そうは思うものの、自分の左隣にいるサーニャの姿を見ると思わず胸がチクリと痛んだ。
(ああ、もう!)
そう心の中でつぶやいて額に手をあてた。
「サーニャさん」
「・・・はい」
「何か話したいことがあれば、好きに話していいですわ」
ペリーヌは座席の手すりに肘を置き、手の甲にあごをのせながらできるだけ素っ気なく伝
えた。
「え〜と・・・じゃあ・・・」
「で・き・れ・ば、音楽の話がいいですわね」
「それなら・・・」
「あと、ガリアに関係したものがいいですわね」
「・・・あの、『Ah! Vous dirais-je, Maman』ってご存知ですか?」
「ああ、18世紀末に流行ったシャンソンですわね、存じてますわ。素敵な恋の歌ですわ
ね。特に、Belle brunette,Flore est moins belle que toi ;L'amour moins tendre que moi.
(きれいな金髪だね、君はどんな花よりきれいだよ、僕はどんな恋人より優しいよ)のあ
たりなんて」
ペリーヌはある人を思い浮かべて思わずうっとりとする。
「私は、モーツァルトがその歌のメロディーをピアノ変奏曲にした、『きらきら星変奏曲』が好きなんです」
「あら、そうですの」
「恋とかは・・・私にはまだわかりませんから」
そう言うとサーニャの顔がわずかに赤らむ。
「まぁ、『きらきら星変奏曲』もいい曲ですわね」
「はい。あの、夜間哨戒で星空の下を飛んでいる時に、星々がきらめいているのを見てい
ると、あの優しいメロディーが聞こえてくる気がするんです。ピアノの鍵盤から流れる
音に調和するように、私たちはこんなにも輝いているんだって、星たちが見ているこっちにそう伝えてくるように」
「そうなんですの」
「あと、ガリア出身の作曲家だとモーリス・ラヴェルの『マ・メール・ロワ』なんかも・・・」
この後もサーニャの話は続き、ペリーヌはそれの聞き役に徹していた。
(この娘、意外としゃべるのですね。普段は怖いほど物静かというか、エイラさんの影に
隠れているのばかり目についていましたが・・・)
自覚こそはしていなかったが、言いたい事をすぐに口に出すペリーヌにとって、何も口
にしないサーニャはどこか異質な存在にも思えていた。ただ、今目の前で好きなものに
ついて嬉しそうに語る、いつもとは違うサーニャの姿をペリーヌは微笑みながら優しい眼
差しで見つめ続けた。
そのまま時間は自然と流れていき、バスはまもなく2人を基地に送り届けるという役目を
終えようとしていた。
- 403 名前:Dans un autobus du crépuscule:2009/04/25(土) 17:38:58 ID:kxLXG8aI
- バスを降りた2人は、お互い荷物を抱えながら連れ立って歩き、1日の役目を終えた太陽
はその姿を照らして、2人の影を伸ばしていく。その影は、基地の門の前に立ち、足元を
ぼんやりと眺めていたエイラの元へと届き、それによって待ち人の帰宅に気付いたエイラ
は嬉しそうに顔を上げた。
「サーニャお帰り!・・・って、ペリーヌと一緒だったのか」
「うん。帰りのバスの中で」
エイラはサーニャに歩み寄り、その両肩に手を置くと、
「何か意地悪とかされなかったか?」
と心配そうに尋ねた。ペリーヌはその言葉にムッとし、腰に片手を当てると
「そんなことは、・・・」
「そんなことはないわ・・・、エイラ」
突然のサーニャの言葉に、ペリーヌは思わず目を丸くし、サーニャの顔をまじまじと見つ
めた。
「その・・・、ペリーヌさんは、色々私に話しかけてきてくれて・・・、私の話も聞いて
くれて・・・だから・・・あんまりペリーヌさんのことを悪く言っちゃ・・・ダメよ・・・」
エイラはその言葉に戸惑いながらも、
「そうか・・・悪かったなペリーヌ」
ペリーヌの方を向いてそう話しかけた。
「別に気にしてませんわ。それにしても、明日の天気は雪かしらね。なにせエイラさんが
素直に謝るんですもの」
ペリーヌはそう言いながら2人の横を通り過ぎようとしたが、ふと足を止めると、
「サーニャさん」
「・・・はい?」
「よかったら今度、あなたが夜間哨戒に出掛ける前に、美味しいカフェオレでも作って差
し上げますわ」
ペリーヌは正面を向いたままサーニャにそう話しかけた。
「・・・はい」
「もっとも、運よく私が厨房にいたらの話ですけどね」
ペリーヌは髪をかきあげると、2人をその場に残して基地へと歩を進めた。その顔にほん
の少し赤みがさしていたのは、ペリーヌを照らす夕日のためだけではないのであろう。
- 404 名前:名無しさん:2009/04/25(土) 18:49:18 ID:kA2qdP/s
- >>398
これは…GJと言わざるを得ないw
歌詞見た瞬間思わず口ずさんじまったw
>>403
お、ペリサーニャだGJ!!
こうしてちょっとずつ近づいていくんだな…。いい話でした。もっかいGJ!
- 405 名前:名無しさん:2009/04/25(土) 19:22:20 ID:Pe2jWHZQ
- >>403
GJ!
この頃、ペリーヌが愛されてていい感じだな〜。
- 406 名前:名無しさん:2009/04/25(土) 19:41:30 ID:DdWZxSRo
- >>403
おおーGJ!音楽の話題だとサーニャ喋りそうだよね。ペリーヌも教養ありそうだし、良い関係だなー
ラヴェルだと亡き王女のためのパヴァーヌとか好きだなあ
良い流れのお話読ましてもらいました、GJ!
- 407 名前:名無しさん:2009/04/25(土) 21:51:57 ID:53Gq0SwE
- >>398
フルステレオで脳内再生されちゃったじゃないかwwww
GJ!
>>403
GJ! こうやって見ると、サーニャとペリーヌって実は結構似た者同士って感じがしますね。
なんか、開拓のしがいがありそう。
- 408 名前:名無しさん:2009/04/26(日) 01:50:53 ID:zEQRNIZ.
- 諸君 私はおっぱいが好きです
諸君 私はおっぱいが大好きです
リーネちゃんのおっぱいが好き
坂本さんのおっぱいが好き
バルクホルンさんのおっぱいが好き
シャーリーさんのおっぱいが好き
サーニャちゃんのおっぱいが好き
ハルトマンさんのおっぱいが好き
ペリーヌさんのおっぱいが好き
ミーナ隊長のおっぱいが好き
みっちゃんのおっぱいが好き
平原で 街道で
塹壕で 草原で
凍土で 砂漠で
海上で 空中で
泥中で 湿原で
この地上で行われるありとあらゆるおっぱいが大好きだ〜〜〜
- 409 名前:名無しさん:2009/04/26(日) 03:20:50 ID:RFVJZYSc
- >>408
芳佳、自重しろw
- 410 名前:名無しさん:2009/04/26(日) 10:04:05 ID:XQa8b6GM
- >>408
誰かがやると思ってたwwwwww 続きも頼む
- 411 名前:なつび 1/7:2009/04/26(日) 18:10:17 ID:h2dXdRA2
- 遠くの方から笛の音が聞こえてくる。 優しい音色。 素朴な調べにまどろむ内に、少しずつ意識がはっきりしてきた。
肌がじっとりする。 まだ春先なのに、夏日だね。 ふぁ〜あ。 起き上がって、軽く伸び。
ぴ〜ひゃらら。 どん、どん。 趣のある、実に扶桑らしい楽器の音。 今、何時だろ。
首を巡らして、にっこり。 ショージ。 扶桑の文化の中でも、これの美しさときたら別格だ。
光に透けた模様を、暫くぼんやりと眺めていた。 おっと。 いけない、いけない。 少しでも気を抜くとこの調子。
「あれ。 起きたんですか、シャーリーさん?」
「ん。 モーニン!……でもないよな。 イブニン? 昼寝にしちゃ、ちょっと長かった?」
「今ちょうど夕方くらいですねー。」
背中から、宮藤の声。 気のおけない友人はいいもんだ。 居候にも気後れが無くて済む。
振り返らずショージに近寄って、すらりと開ける。 うわぁー。 なんて綺麗な茜色。
野山の向こうに水平線が見えるくらい、何も無いカントリー。 朴訥な美しさが胸を打つ。
みーんみんみん。 セミの鳴き声が聞こえる。 なんて気の早い奴なんだ。 セミの季節はまだまだ先だろ?
そんなに生き急ぐ事は無いじゃないか。 フライングも辞さずに駆け抜ける。 まるで、私のような奴。
ぴ〜ひゃらら。 どん、どん。 みーんみんみん。
「いい音だね。 音の繋がりに乏しいけれど、それのおかげかな。 聞いてるだけで、ノスタルジックな気持ちになる。」
「今日はお祭りですからね〜。 本当は案内したいんですけど、私もお手伝いに行かなきゃいけなくて。
浴衣だけは着付けしていきますから、楽しんできてください。 もう、随分ここに慣れてきたみたいだし。」
「ありがと。 ま、いざとなったら、あいつの友達がなんとかしてくれるでしょ。」
ショージの向こう側。 林の方で遊ぶ子供たちを見やる。 その中でも一際目を引く、美しい少女。
褐色の肌。 長い黒髪。 均整の取れた頭身。 扶桑の少年少女とは一線を画す輝き。
気付かないだろうけど、手を振ってみる。 やっぱり気付かない。 くすくすと笑って、宮藤に向き直る。
「一週間であいつも完全に馴染んだみたい。 こんなに長々と居候しちゃってごめんな、宮藤。 迷惑じゃない?」
「ぜーんぜん! ここには私と美緒さんだけですから。 いつまでもいてください!」
おっとっと。 そかそか。 もう、宮藤じゃないんだっけ。 この子はちっとも変わってないから、つい忘れそうになってしまう。
でも、ま。 あたしにとっては、いつまでも「可愛いミヤフジ」のままだから、ね。 別に気にする事は無いか。
そんな事を考えて、自嘲する。 最近の私は、こんな考えばかり。 先延ばしとか。 今はいいかとか。 そんな考えばかり。
ここに来た理由だって、あるけど。 先延ばしして、のんびりするばかり。
扶桑はあまりに平和すぎて。 スピードとは無縁の世界。 たまに、この居心地の良さが怖くなってしまう。
大戦が終わって、もうどれくらい経ったろう。 共に戦ったみんなは、どうしているだろう。
あたしは、これから、どうするべきなんだろう。 駆け回る子供たちを見やりながら、あたしは今もぼんやりしていた。
- 412 名前:なつび 2/7:2009/04/26(日) 18:10:49 ID:h2dXdRA2
- 「そう言えば少佐は祭りのお手伝いかい? ふっふっふっ。 浮気相手がここにいるとも知らずに、のん気じゃのぉ〜。」
「あ〜れ〜。 おやめになって〜。」
宮藤を抱きしめて、ふざける。 笑い合うと、まるであの頃のままのよう。 でも宮藤たちは、確実に歩みを進めている。
「あっはっは。 いけないね、こういうのは。 少佐に見られたら、セップクかな?」
「ふふふ。 シャーリーさんは冗談って分かりますから。 でも、冗談じゃない時は。 舌、噛みます。 扶桑撫子、ですから。」
息を呑む。 澄み切った目。 心の底から操に殉じていると分かる目。 あの頃の宮藤には無かった、女としての芯。
それが、ぞくりとするような色香を宮藤に与えていて。 変わってないだなんて、とんだ勘違い。 どぎまぎしちゃうよ。
「参った。 扶桑の貞操観念は、美しすぎるよ。 聞いてる方が切なくなる。 すっかり大人になったね、宮藤。」
「え、え? そういうのじゃないですよー。 ただ、誠実でいたいだけなんです。 あ。 ルッキーニちゃん、帰ってきましたよ。」
手をふりふりこちらへ駆けてくるルッキーニ。 夕日に滲むその姿は、少女と大人の間に爪先立ちするような危うさで。
私はその気持ちを押し殺すように、ルッキーニを抱きとめた。
「ただ、誠実でいたい、か……。」
「ん? なんか言ったシャーリー? あ、次はあれやろうよ! シャテキ! 全部撃ち落としてやるもんね!」
ぴ〜ひゃらら。 どん、どん。 どこの国でも田舎の夜は暗い。 でも、今日は例外。
一時の憩いを求めた人々をいざなうように、幻想的な炎が燃えている。 提灯、だっけ。 なんて美しいんだろう。
淡い灯火。 祭囃子。 行き交う浴衣の人々。 一つ一つが優しく絡まりあった幽玄な光景。 大切な人の手をとって、歩く。
「ルッキーニ、ユカタを着た時はしとやかに歩くもんだ。 急がなくても、シャテキは逃げないよ。」
「えー、シャーリーらしくなーい! 早くしないと終わっちゃうよ!」
袖を引っ張る姿に、思わず微笑がもれる。 いつもよりも、もっと明るいルッキーニ。 こっちまで嬉しくなってくる。
あたしたちは流石に目立つのか、すれ違う人たちは皆まじまじと見ていく。 たまにルッキーニが手を振る。 こっちでできた友達かな。
その中には子供もいる。 大人もいる。 子供でも大人でもない、こいつ。 あぁ、こいつの横顔。 なんて、綺麗なんだろう。
「もー、これ思った方向に飛ばなーい! 整備不良なんじゃないの〜?」
「ふふふ。 貸してみな、ルッキーニ。」
ぽん、ぽん、ぽん。 三の一。 な、なんだよ。 これじゃカッコつかないじゃん。
へったくそーと揶揄されながら、戦利品であるキツネのお面を被せてやったら。 ルッキーニは嬉しそうに笑った。
「あー、楽しかった! 少佐がタイコ叩いてるとこ、似合いすぎ! 芳佳、お嫁さんしてたねぇ〜。」
まだたけなわの広場を後にして、家路を辿る。 ルッキーニを見るたびに湧いてくる、暖かな感情。 手放したくなかった。
ずっと先延ばしにしていた。 あぁ、でも、もう。 祭りがいつかは終わるように。 私も、前に進まなくちゃ、いけないんだ。
- 413 名前:なつび 3/7:2009/04/26(日) 18:11:29 ID:h2dXdRA2
- 「扶桑か……遠くまで来たもんだね。 あたしたち、もう世界中を周ったんじゃないかな?」
「そうだね。 みんな同じ所に住んでたらいいのに。 芳佳も。 シャーリーも。 あたしのマーマも。」
「ほんとにね……。」
誰もいない、雑木林。 ここから先には宮藤たちの家だけ。 それは、逃げ場を残しておきたいという弱さだったのだろうか。
まだ家まで帰りきらない内に、あたしは歩みを止めた。
「わっとっと。 も、もう、急に止まったら危ないじゃん! どしたの、シャーリー。」
「……ルッキーニ。 真面目に、聞いてほしい事があるんだ。 あたし……。」
「ストップ!」
わわ。 びたっと。 目の前に手の平を突きつけられて、思わず言葉を切るあたし。
意表を突かれて、手の平ごしにルッキーニを見る。 はっとした。 ルッキーニの顔は、真剣そのものだった。
「その前にあたしから、いっこだけ。 ……ね。 シャーリーは、あたしのこと、すき?」
「……あぁ。」
「あたしも、すき。 だから、聞かせて。 シャーリーは。 あたしが一緒にロマーニャに住んで、って言ったら。 どうする?」
……。 駄目だ。 泣くな、あたし。 でも。 不意にこみあげたそれが、あまりにも強くて。
押さえ込むのに精一杯で。 あたしは答えられなかった。 愛しい。 どうしようもなく、ルッキーニが、愛しい。
今にも泣きそうな、ルッキーニの瞳。 分かっていたんだ。 あたしが、言おうとしてた事。
瞳を見つめれば、分かってしまう。 今日、あんなに明るく振舞っていたのも。 この時を、予感していたからなんだ。
この子は確かに、もう子供じゃなかった。 分かった上で。 あたしの言葉を待っていたんだ。
あたしの、言葉。 ……あたしは、リベリオンに帰る。 その時。 ルッキーニを連れて行く気は、無いって。 その、言葉を。
スピード狂い。 夢追い人。 そんな風に言えば、カッコはいいけれど。 きっと、欠落してるんだ。 人として、大事な、何かが。
ルッキーニを愛してる。 ルッキーニには、愛する家族がいる。 それを思えば、ロマーニャに住んだっていいはずだった。
でも、あたしには選べなかった。 リベリオンこそが、スピードを求める上で、一番適した国だから。
あたしは、愛しい人より、スピードを選んだんだ。 いや。 そんなに可愛いものじゃない。 あたしは。
スピード以外の何かが零れ落ちていっても、ぼんやり見ているだけの人間なんだ。 例えそれが、二度と戻らないものであっても。
ルッキーニには、分かっていたんだ。 あたし。 ルッキーニの事。 こんなに愛しく思うのに。 こんなに切なく思うのに。
さよならを告げられたら、決して引き留めないだろうという事を。 なりふり構わず縋り付くような人間ではない事を。
本当はスピードなんて問題じゃないのかもしれない。 引き留めたいという気持ちが無いなら、多分こんなに苦しんだりしない。
ルッキーニはローティーン。 恋に恋しているだけなのかも。 それに、母親と過ごす時間を彼女から奪うわけにはいかない。
そんな良識と、スピードというエゴイズム。 きっと、それを打ち破るだけの強さが、あたしには無いだけなんだ。
- 414 名前:なつび 4/7:2009/04/26(日) 18:12:03 ID:h2dXdRA2
- 「……何も言ってくれないんだね。」
ばいん。 ばいん。 ヨーヨーを突きながら、ルッキーニが笑う。
「あたしたち、一緒に色んな所回ったね。 楽しかったな。 大戦も終わったのに、ずるずる一緒にいて。
そんないい加減な生き方が、すごく幸せだった。 シャーリーの胸に抱かれてるだけでよかった。 ありがと、シャーリー。
こんな気持ち、教えてくれて。 あたしね。 きっと素敵な大人になる。 すれ違うみんな、振り返るくらいに。
シャーリーの事なんか忘れちゃう。 もう二度と、振り返らない。 だから。 シャーリーも振り返らないで。 約束だよ。」
胸が詰まる。 なんて健気な子。 なんて暖かな心。 あたしなんかとじゃ、最初から釣り合っていなかった。 あたし、最低だ。
この期に及んで、何も言ってやれないのか。 言わなくちゃ。 何か。 開きかけたあたしの唇に、ルッキーニが指を当てた。
「駄目だよ。 そんなの、駄目。 自分に正直なシャーリーでいて。 あたし。 そんなシャーリーが。 すき、だったよ。」
そう言って、ルッキーニはキツネのお面をススッと下げた。
キツネのお面が笑っている。 滑稽とすら言える、その姿。 でも。 震えていた。 お面とアゴの間に、雫が染み出した。
じゃあね、って。 くるりと、身を翻すルッキーニ。 あたしに、そんな資格は無いのに、思わず、捕まえようと手を伸ばして。
それが虚しく空を切って。 ぽつんと佇んだあたしの手には、何も残っていなかった。
「おはようございます、シャーリーさん。 起き抜けで、悪いですけど。 美緒さんが、呼んでます。」
「おはよ、宮藤。 分かった。 すぐに行くって、言っといて。」
とても長い夜だった。 まるで眠れずに。 何度ルッキーニの部屋に行こうと思ったか。
でも、それは一時の気の迷いに過ぎないから。 あたしは、殺しても殺しても死んでくれない心を、夜通し殺し続けた。
着替えようとして、宮藤がまだそこにいる事に気が付いた。 あたしと視線を合わせないで、宮藤が言う。
「ルッキーニちゃん、バス停に送ってきました。 次のバスで、帰るらしいです。」
「……そっか。」
「私、二人が来てくれて、凄く嬉しかった。 凄く楽しかった。 ……これが最後なんて、嫌、です。」
「……ごめんね、宮藤。」
宮藤が泣いている。 怒っている。 気のおけない友人はいいもんだ。 まるで自分の事のように、泣いてくれる。 怒ってくれる。
ちょっとの間、宮藤を抱き締めて、あたしは坂本少佐のとこへ向かった。
「おはよう、シャーリー。 いい朝だな。 そんな顔で迎えるのは、勿体無いぞ。」
「おはようございます、少佐。 本当に、そうですね。 ……あの、あたしに用事って?」
「わっはっはっ! 私はもう少佐ではない。 そんなに肩肘張らなくてもいいだろう? で、まぁ。
お前を呼んだのは他でもない。 ちょっと、車の調子が悪いんだ。 機械に強いお前に、見てもらおうと思ってな。」
へ、へっ? 車? ルッキーニの事かと身構えていた私は、ちょっと拍子抜けしながらガレージに向かった。
- 415 名前:なつび 5/7:2009/04/26(日) 18:12:35 ID:h2dXdRA2
- 「……少佐、これ、走ってる方が不思議ですよ。 あちこち限界です。 多分、新しいの買った方が安いかも……。」
「そうか、うーん。 まぁ、知り合いから譲ってもらった物に、文句を言ってもバチが当たるか。 あいつの平手打ちは痛いしな!」
土の匂いがするガレージ。 細かく点検するまでもなかった。 廃車寸前のオンボロ。
どう見ても限界。 それでも、乗り手に愛されてる車だと一目で分かって。 私は暖かな気持ちになった。
「どうだ、扶桑に来て。 お前が何かに迷っていたのは、分かっていた。 答えは見えたか?」
はっとする。 軽く車を弄っていた所に、突然の質問。 頭を掻きながら、苦笑。
「敵いませんね、少佐には。 ……見えた、つもりです。 あたしには、スピードだけ。 その思いに殉じます。」
「……そうか。 なら良かった。」
ニカッと眩しい笑顔を向けられて。 あたしは、羨ましさのあまり、泣きそうになった。
少佐だったら、こんなにみっともない結末は無かったに違いない。 宮藤は、とても幸せそうだった。
あたしが扶桑に来た理由。 少佐と宮藤がどうしてるか見たかったんだ。 それが、あたしの決断のヒントになるかもと思って。
でも結局は、あたしが酷薄な奴だって事を。 あたしと、宮藤たちの差を、見せ付けられただけだった。
「シャーリー。 一つだけ言わせてもらおうか。 何もな。 かなぐり捨てた方がスピードが出るとは、限らんぞ。」
考えに没頭していたら、少佐に肩を叩かれた。 顔を見上げる。 目と目が合った。 不思議な気持ち。 なぜだろう。
もう、少佐の右目に魔眼は無かった。 それなのに。 あたしは、この心を、完璧に見透かされている気がした。
「こんな田舎の、こんな悪路でな。 このオンボロときたら、えらいスピードが出るんだ。 私は、思う。
理屈じゃない部分が、こいつを速くしている。 込めた想いだけに。 重ねた年月だけに。 宿るものがある、と。
なぁ、シャーリー。 戯言と思ってくれていいが。 お前もひょっとしたら、捨てるより、抱え込んだ方が、速くなるのかもしれんぞ?」
えっ? 抱え込む方が、速くなる? ……あぁ。 もう間違いない。 ルッキーニの事を言っている。
そうだ。 ずっと、ずっと、一人でやってきた。 あたしとスピード。 それ以外を含んだ世界なんて、考えてもみなかった。
あたしは。 変わる勇気を、出せずにいたのだ。 ウジウジしたあたしを、少佐が怒鳴りつけてくれる。
「やってもみない内から、決め付けるな。 恐れるな。 お前は、恐れているだけだ。 自分の可能性を信じられないだけだ。
例え、信じられなくてもいい。 守るべきものくらい、抱き締めて飛んでみせろ。 お前は。 前人未到を目指す女だろう!!」
……くそったれ。 そうだ。 結局、全部あたしなんだ。 あたしが、中途半端なだけだったんだ。
本当は、ルッキーニも、スピードも、手放したくない。 そのくせ、あんなに、ルッキーニを悲しませて。
適当な言い訳を用意して、大人であろうとしただけなんだ。 両方を抱え込んで、成功してやるって勇気が、無かったから。
スピードという化け物を恐れないあたしが。 あんなに小さな子の、純粋すぎる気持ちを恐れていた。
そうだ、シャーロット・E・イェーガー。 あんたは世界最速の女じゃないか。 こんなのカッコ悪すぎる。 許されないよ!
「ありがとうございます、少佐。 やっぱり少佐は、いつまでもあたしの少佐です。 あたし。 追いかけます!!」
- 416 名前:なつび 6/7:2009/04/26(日) 18:13:05 ID:h2dXdRA2
- 「シャーリーさん、こっち! みっちゃんのおじさんのトラクター、準備してもらうから!」
「お父さんのトラクター、違法改造してあって速いんだから! 任せといて!」
猛ダッシュするあたしに、助けの声。 ありがと、宮藤、みちこ! でもね。 悪いけど、待ってられない!
玄関先にあった自転車のハンドルを掴む。 助走から一気に飛び乗って。 あたしは全速力でペダルを踏み出した。 ばひゅん!
「はっ……。」
「はやーーーっっっ!!!」
「うむ! それでこそシャーリーだ! ……ところで、芳佳。 追いかけるって、何の事だ?」
「……えー。 し、知らないで喋ってたんですかぁー……。」
宮藤たちの声があっという間に後方に消えていく。 ズババと空を切り裂く音。 あたしの魔法は、加速。 こんなもんじゃないからね!
バス停を過ぎた。 くそ、もういない! ……いないなら。 見つかるまで追いかける!
田舎でよかった。 見通しは抜群にいい。 はっ、はっ。 ……ちくしょう。 胸が苦しい。 足が酸欠になりそうだ。 なまってる!
オマケにこいつ、漕いでも漕いでも一向にスピードが出やしない。 足が空転している感じがする。
!! 焦燥感に苛まれるあたしの前に、曲がり角。 このスピードじゃ、曲がれない……?
いや。 やってもみない内から決め付けるな、シャーロット。 信じるんだ。 ここを曲がりきれたら、あたしは生まれ変われる。
ルッキーニを幸せにできる。 音速だって越えられる! あたしは。 前人未到の女だぁーーーっ!!
ぎゅがががが。 シールドを信じて、自分の足を地面に突き刺す。 衝撃が伝わる。 砕けたっていい。 曲っがれぇーー!!
スカッと。 ここしかないというポイントを、あたしはすり抜けた。 やっっ。 やった! やったぞ!!
あたし。 乗り越えられる女だ! それを裏付けてくれるかのように。 我に返ってみると、あたしはもう、バスに追いついていた。
並走。 みんながあたしを見ている。 運転手はどう思うだろうか。 いきなりスピードを落としたりしないだろうか。
くそ、そんな事を考えてる暇は無い。 聞こえないかもしれない。 でも。 言いたいんだ。 叫びたいんだよ。 聞いてよ、ルッキーニ!
「ルッキーニぃーーー!!! あたしが馬鹿だったぁーーー!!! 戻ってきてくれぇーーー!!! 悲しくて、もう駄目!!!
あたし、あんたがいないと生きていけない!!! 世界最速になったって、あんたに言えなきゃ嬉しくない!!!
あんたが来てくれって言うなら、ロマーニャにだって、何処にだって行く!!! 許してくれなんて、言えないけれど!!!
もう一度、あんたと一緒にいたいよぉーーー!!! はっきり分かったんだ。 あんたのこと。 愛してるんだぁーーーーー!!!!!」
全力で叫んで、叫んで、叫び倒した。 これが、あたしの本音。 あたし、欠落なんてしてなかった。
ずっとずっと知ってた。 分かってた。 逃げてただけだった! ルッキーニ! 戻ってきてよ!!!
そう思ってたら。 ぼん、っとバスの天井が吹っ飛んだ。 え? え? 何事!? 勿論ききぃーっ、とバスは急停止。
わわわわわ!!! あたしは急には止まれずに、明後日の方向へ驀進。 何とか止まってはみたものの、振り向いた刹那。
ぶろろろ。 ……へ? バスは、あたしの横を悠々と通り過ぎていった。
- 417 名前:なつび 7/7:2009/04/26(日) 18:13:38 ID:h2dXdRA2
- 「待っ……待てこら! 逃げても無駄だぞ! どこまでだって追いかけるからなー!」
「なんで?」
えっ。 バスに向かって拳を振り上げてると、後ろの方から声がして。 ゆっくり後ろを向いたら、さぁ。
そこには、腕を組んで仁王立ちして、あたしを睨み付けるルッキーニがいた。
「る……ルッキーニ!」
全速力で駆け寄る。 ルッキーニ! あたし。 あたし! ぱっちぃぃぃん! ……アウチ!?
いっ、て。 ほっぺた。 はたかれた。 フルパワーで。 涙を流しながら、ルッキーニが怒る。
「遅いよ!! どこが世界最速なわけ!? お、追いかけてきてくれないのかと、思っちゃったじゃん!!」
「……ごめん。 あたし、とんだビビリだったね。 でもさ。 もう絶対こんな事しないから。 ほら、指きり。」
「絶対だかんね! ほんとに針千本飲ますかんね! もう……こんなの、やだかんね。」
「……うん。」
大人とかさ。 子供とかさ。 ほんとに馬鹿だったよね、あたし。 あたしが背伸びして、大人ぶってたように。
ルッキーニだって、大人ぶってくれてたんだよね。 あたしのために。 あたしと一緒にいたい、くせに。
あたしがスピードと生きるなら、笑って見送ろうと、頑張ってくれたんだね。 そんなの、今更ようやく分かる、なんてさ。
好きだよ。 心から。 手加減無しで、きっつく抱き締めてくれる、我侭で、聞かんぼな、あたしだけのお姫様。
きーこ。 きーこ。 魔力を使いすぎたせいで、あんまし力が入んない。 ルッキーニを後ろに乗せて、ゆっくりと坂道を登る。
「ルッキーニさぁ、ひょっとしてバスの屋根が吹っ飛んだの、あれ、あんたの仕業?」
「もっちろん! 運転手さん、パニック起こしてて、止まってくれそうに無かったから。 悪い事しちゃったなぁ!」
にひひっ、と笑うルッキーニに反省の色は見られない。 う、うーん。 まぁ、あたしのせいでもあるしなぁ。
背中にもたれかかった小悪魔が、きゅう〜、と私を抱き締めて、呟いた。
「あたしが馬鹿だったぁー。 戻ってきてくれぇー。 あたし、あんたがいないと生きていけない〜。 ……えへへ。」
「え、ちょっ、こら!? き、聞こえてたのか!? 走りながらだったから、聞こえないかな、って思ったのに!」
「魔力のせーじゃない? シャーリーさぁ、ロマーニャ人になれるよ! すっごい熱烈なラブコールだったもんね! にひっ!」
ったくぅ。 まぁ、それも悪くないかもね。 あたし。 未来のロマーニャ人候補だもん、ね!
「ね、シャーリー。 あたし、リベリオンに住んでもいいよ。 いつまでも子供じゃないもんね。 一人暮らし、できるよ?」
「ばぁーか。 あんたにはまだ早い! まずはあたしがロマーニャに……。」
「いや、あたしが……ぷぅー。 あっつーい。 なんだか、言い争うのも疲れちゃう。 そこら辺は。 おいおい考えよっか!」
きーこ。 きーこ。 ゆっくり自転車を漕ぐ。 そよ風が気持ちいい。 くぁー。 まだ春先なのに、今日も夏日。
汗ばむ体。 進まない自転車。 丘を登りきったら、遠くの方に宮藤たちが見えて。 あたしたちは、元気に大きく手を振った。
おしまい
- 418 名前:名無しさん:2009/04/26(日) 18:16:40 ID:xklmu6cE
- いつもの方か
GJと言わざるを得ない
- 419 名前:名無しさん:2009/04/26(日) 18:46:37 ID:0tmRIFnI
- シャーさんかっこいい!
でもビンタされてからかわれながら二人で自転車って、とてもほっとする流れで好きだw
少佐の言葉もいいなぁ。しかも天然なのさすがですw ちょっと可愛かった。
いいお話も読ませるあなたはすごいよ。とにかくGJ!
- 420 名前:名無しさん:2009/04/26(日) 20:39:03 ID:sx66fNIA
- >>417
GJ!まだ夏じゃないのに情景が見える!
シャッキーニごちそうさまです。
- 421 名前:名無しさん:2009/04/26(日) 21:56:55 ID:BJ4EnaVE
- >>417
とても爽やかでキュンとしました。
ちょっと泣けました。
これからも頑張って下さい
- 422 名前:名無しさん:2009/04/26(日) 22:51:28 ID:zEQRNIZ.
- >>410
続き書きました。投下します
- 423 名前:名無しさん:2009/04/26(日) 22:52:11 ID:zEQRNIZ.
- 諸君 私はおっぱいが好きです
諸君 私はおっぱいが大好きです
リーネちゃんのおっぱいが好き
坂本さんのおっぱいが好き
バルクホルンさんのおっぱいが好き
シャーリーさんのおっぱいが好き
サーニャちゃんのおっぱいが好き
ハルトマンさんのおっぱいが好き
ペリーヌさんのおっぱいが好き
ミーナ隊長のおっぱいが好き
みっちゃんのおっぱいが好き
平原で 街道で
塹壕で 草原で
凍土で 砂漠で
海上で 空中で
泥中で 湿原で
この地上で行われるありとあらゆるおっぱいが大好きだ〜〜〜
荷台から吹き飛ばされて負傷したみっちゃんのおっぱい治療と称して揉みまくるのが好きだ
空中高く放り上げられたシャーリーさんの巨大なおっぱいを揉んだ時など心がおどる
鉄壁防御のミーナ隊長の美乳を撃破するのが好きだ
悲鳴を上げてベットから飛び出してきたリーネちゃんを押し倒した時など胸がすくような気持ちだった
銃剣先を突きつけた坂本さんのおっぱいを蹂躙するのが好きだ
恐慌状態のふりをしてバルクホルンさんの胸に飛び込んで何度も何度もおっぱいを揉んでいる時など感動すら覚える
敗北主義(ヘタレ)のエイラさんを縛り上げてそのおっぱいを揉んでいく様などはもうたまらない
泣き叫ぶペリーヌさんが私の振り下ろした手におっぱいを揉まれ、金切り声を上げて悶えるのも最高だ
哀れなリーネちゃんが健気にも立ち上がってき所をまた押し倒して、あの大きなおっぱい・乳首を思うさま味わった時など絶頂すら覚える
サーニャに私の胸を滅茶苦茶にされるのが好きナンダナ
必死にハルトマンさんのおっぱいを揉んだのに「フフフ・・・」としか反応しない様はとてもとても悲しいものだ
シャーリーさんのおっぱいに押し潰されて殲滅されるのが好きだ
ルッキーニちゃんにおっぱいを揉まれ「残念賞」と言われるのは屈辱の極みだ
- 424 名前:名無しさん:2009/04/26(日) 22:52:27 ID:zEQRNIZ.
- 諸君 私はおっぱいをマシュマロの様な大っきなおっぱいを望んでいる
諸君 私に付き従うおっぱい星人諸君
君達は一体何を望んでいる?
更なるおっぱいを望むか?
情け容赦のない糞の様なおっぱいを望むか?
鉄風雷火の限りを尽くし三千世界の鴉を殺す嵐の様なおっぱいを望むか?
『おっぱい! おっぱい! おっぱい!』
よろしい ならばおっぱいだ
我々は渾身の力をこめて今まさにおっぱいを揉まんとする握り拳だ
だがこの暗い闇の底で半世紀もの間堪え続けてきた我々にただのおっぱいではもはや足りない!!
大おっぱいを!!
一心不乱の大おっぱいを!!
我らは所詮おっぱい星人 4人に満たぬおっぱいマイスターに過ぎない
だが諸君は一騎当千の古強者だと私は信仰している
ならば我らは諸君と私で総力3千のおっぱい星人団となる
我々を忘却の彼方へと追いやり眠りこけている連中を叩き起こそう
おっぱいをつかんで揉み尽くし眼を開けさせ思い出させよう
連中に揉まれる味を思い出させてやる
連中に我々のおっぱいへの執念を思い出させてやる
天と地のはざまには奴らの哲学では思いもよらないおっぱいがあることを思い出させてやる
3人のおっぱい星人のおっぱい戦闘団で
おっぱいを揉み尽くしてやる
「おっぱい星人芳佳より全おっぱい星人へ」
目標英国本土ロンドン首都上空!!
第二次おっぱい作戦 状況を開始せよ
- 425 名前:名無しさん:2009/04/26(日) 23:12:20 ID:HqaNxc/A
- >>417
シャッキーニ!いいシャッキーニをありがとう!感動しました…
さりげなくからむ、もっ芳も素敵。
うーん…泣かせるなあ…。ここいちばんのGJを送りたい
>>424
…宮藤、おまえというやつは……どうしようもないおっぱいマイスターだw
お疲れ!
- 426 名前:名無しさん:2009/04/26(日) 23:15:26 ID:0ApWNJXM
- >>424 途中でなんか混じってると思ったらマイスター増えてるww
- 427 名前:名無しさん:2009/04/26(日) 23:44:58 ID:ATfe93gE
- >>426
IDが一瞬おぱに見えたw
>>424
そしてちょっとマテw
サーニャなにしてんだwww
悦んでるしもっとやっちゃえ!
- 428 名前:名無しさん:2009/04/26(日) 23:53:16 ID:XQa8b6GM
- >>424
あなたをネ申と讃えたい。そして敢えて言おう!私も芳佳に付き従うおっぱい大隊の一員になりたいと!
- 429 名前:1/3:2009/04/26(日) 23:58:15 ID:mm3UqMr.
- シャーリーとエイラーニャで3レス
保管庫271と403の間に入る感じの話です
──
なあ、シャーリー。
すぐ隣に座っているエイラが眠そうな声で耳打ちした。
だだっ広い講義室みたいなこのブリーフィングルームに、人影はまばらだ。前のほうでは隊長であるミーナ・
ディートリンデ・ヴィルケ中佐が朝礼をしているけれどもイマイチ頭に入ってこない。何しろ昨日のネウロイは
夜遅くに出現したのだ。当直だったあたしは当然仮眠から叩き起こされて出撃した。戻ってくるときには空は
白み始めていたから、それからほとんど寝ていない。要するに、眠い。
それは隣のエイラも同じようで、さっきからしきりにあくびをしようとしては、かみ殺しているのが見て取れる。
ぼんやりとした頭で理解したことには、明日から三日間、あたしらが二人一組で交代してが夜間哨戒の当番
に当たれとのこと。次のネウロイがやってくるまで間があるだろうから、これを期にみんなにもう一度ここでの
夜間哨戒を担当させておこう、と言うことらしかった。
(サーニャさんに任せきりにしておくわけにもいかないでしょう)
と言うのが、隊長の弁。そのサーニャサンって言うのがまずイマイチぴんとこなくて、隊長命令なら仕方ない、
とばかりにはあいと生返事を返す。バディは…バルクホルン大尉か。真面目で堅実過ぎるところが玉に傷だ
けれど彼女ならまあ仕事はしっかりこなすだろう。これは楽が出来そうだ。
私の普段の素行に文句をつけられそうな予感がひしひしとするのはともかく、体力的な部分では。まったく
あの堅物大尉と来たら『怪力』なんていう見た目ぴったりの特殊能力を持っている割には恐ろしく仕事が
細かくて、デスクワークも苦にならないと来ている。ちなみに私は真っ平ゴメンだね。何故って?そんないつ
終わるか分からないような書類の山と戦うなんて、始める前からゲンナリしてくるじゃないか。
「どしたー、エイラぁー?」
間延びした声で私も返す。大口を開けてあくびをしたいところだけれどここでそれをしたら中佐に怒られそうだ
からしない。…まあ、あたしもエイラも割と後ろのほうに座っているからばれないかもしれないけれど。隣の
ブロック、一番前の席に坂本少佐、その背中を眺め回したいのか後ろにペリーヌが座っている。あたしたちの
ブロックの一番前にはカールスラントの二人組が座していて、あたしたちはその二つ後ろに座っているの
だった。これからまた人員補充があるんだそうだけど、とりあえず今のところはその面子と教卓で話をしている
中佐が、この部隊の全部だ。
…と思っていたのだけれど、そうではなかったらしい。
恥ずかしいことに、エイラの囁きで私はその存在を思い出した。今まさに彼女についての話を聞いていたところ
だというのに、なんと言うことだろう。
「リトヴャク中尉、ダイジョウブかなあ。」
体壊してるんじゃないかな、とエイラは言う。聞きなれないその呼び名に首をかしげると、ちょい、ちょいと
エイラはすぐ後ろを指差した。ちらりと後ろを見ると、あたしやエイラなんて目じゃないくらいに疲れた顔で、
ひどく眠りたそうな目で、そこに座っている女の子がいる。うつらうつらして、それでも寝まいと必死に体を
起こして。
…ああ、そうだ、この子がサーニャ・V・リトヴャク中尉だ。夜目がとても利いて、地平線の向こうまで見渡せる
と言うその能力から夜間哨戒を担当している。昨日のネウロイを迅速に撃破出来たのだってこのリトヴャク
中尉がネウロイを即座に発見してくれたからだった。
- 430 名前:2/3:2009/04/26(日) 23:58:36 ID:mm3UqMr.
- 「気になるのか?」
尋ねたら、「そんなわけじゃないって!!!」と不満げに返された。それでも白い頬が朱に染まる様でそれが
本心ではないとすぐに分かってしまうのだからこいつは面白い。歳なんて私と1つしか変わらないのに、なんで
こいつはこんなにも小さな子供みたいに無垢で単純なんだろう。そう思うのは私が擦れてるだけなのかな。
なんて、自分で自分に苦笑いをしたら、エイラは自分が笑われたのだと思ったらしい。彼女の顔の両側に
ある桃色が、ぷくう、と風船みたいに膨れた。
ごめんごめん、まあ今度ハンバーガーでも一緒につくろうじゃないか。そうやってごまかそうとした、その瞬間、
エイラの表情がすとん、と沈んだ。おや、と思う間もなく、「でも、」から続く次の一言。
「…あのこ、休んでないみたいだから。昼も、夜も、ずっと」
「…そうなのか?」
その発言に、実際のところ私は驚きを隠せず固まってしまったのだった。
ついこの間この部隊に配属されたばかりの彼女は、その能力を買われただけあって最初からナイトウィッチ
要員だった。主に昼に出撃するあたしたちとちがって彼女の勤務時間は夜だ。つまりは私たちと全く逆転した
生活をしていることになる。事実、最初の顔合わせのとき以来あたしはまともに声を聞いたことさえなかった
んだ。その声さえも今となってはもうおぼろげで、よく思い出せないくらいなのに。
けれどエイラはためらいなくウン、と頷くのだった。気付いてなかったのか?そう言わんばかりの顔であたしを
見てくる。すみません気付いてませんでした、なんてとてもとても言えないような表情で。
だいじょうぶかな。もう一度、エイラが呟く。あまり機微の多いほうではない表情がゆがめられて、視線はず
っと、後ろを見ようとちらちらと動いて。なんだよ、気になるのか?もう一度尋ねてみたくなったけれど、そんな
のもう聞かなくたって分かるから止めた。同時に、自分の心の中にどこかもやもやした気持ちが生まれている
ことに気が付いてうろたえる。なんだろうこの気分。胃がもたれるような、落ち着かないような。嫉妬とはまた
違う、なんて言うんだろう、気に入っていたおもちゃをなくした気分。
何を考えているのか分からないスオミのウィッチ。確かきっかけは、お互い暇な時間はストライカーの整備に
時間を割くことが多かったからだった。もっともあちらは何の含みも無い、正真正銘、純粋な『整備』ってやつ
で、私のそれはどっちかって言うと『改造』ってやつに近いというか、改造そのものだったのだけれど相違
打った細かいところはこの際目を瞑ってもよいと思う。
工具を借してくれないか、とか、そんな口実をつけてたぶん初めて言葉を交わした。いや、そのずっと前に
「キミ、かわいいね」なんて冗談めかして話しかけてみたら相当不審な目で見られてしまったという事件が
あったけれど、それはノーカンで行こう。
寂しい、とかじゃ、決して無いけど。断じて無いけれど。すぐ後ろから聞こえてくる微かな微かな息遣いに、
衣擦れの音にああ、確かに背後に誰かがいるのである、ということを聞いて取る。さっきまで全く気付かな
かったけれど、顔だってよく見てないからまだおぼろげだけれど、でも傍らでソワソワと落ち着かないエイラを
見ていればそれは如実に現れている。それは、共に過ごしたあの整備場でいつも眺めていた、何を考えて
いるのか分からない、だからこそ妙な引力を持ったあの横顔よりもずっと、ずっと、生身の人間らしい体温を
孕んでいて。なにより、ストライカーの整備をしていても、いたずらをしていても、占いをしていても。もちろん
空を飛んでいるときでさえ失われること無かったある種の冷静さをこんなにも欠いている。まともに話したこと
も無いやつにそんなに懸想するなんて、お前ちょっと惚れっぽすぎるんじゃないか?なんて自分のことは
棚に上げて心の中で呟いて。
- 431 名前:3/3:2009/04/26(日) 23:58:50 ID:mm3UqMr.
- 「そんなに気になるなら、ぐずぐずしてないで話しかけてこいよ」
「え?」
ふ、と息をついて、囁くように耳打ち。
「今夜だったら、ほら。いつもうざったいあたしも、夜口うるさいバルクホルンもいないぞ」
「はぁ?」
なんてちょっと嫌みったらしい言葉を続けてしまうのくらいは、許して欲しい。だってお前、一応あたしのいる
横で全然違う女の子のことばっかり気に掛けるとか、失礼だと思わないの?そこまで言うのは流石にこちら
が情けないからしないけれども。
とはいえ、私の言葉の真意を測りかねているのだろう。訝しげな顔を返してくるエイラに、慌ててフォローを
入れる。
「…ま、お前は今晩は待機だし、リトヴァク中尉も夜間哨戒休みだろうし、ちょうどいいだろ、ってこと。な?」
「ああ、そっか」
あまり気持ちに余裕が無いのだろうか。普段だったらぼけっとした顔をしたままこちらの痛いところを鋭く
ついてきそうなもののエイラが妙に単純に納得して引き下がったので、私はほっとするやら、けれどちょっと
拍子抜けするやらでまた複雑な気持ちになってしまう。ううむ、やっぱりこれは嫉妬だろうか、なんて考えて、
いやいや違う、断じて違うぞと首をぶんぶんと振ったら「シャーリーさん!何をしているの!」とたしなめられて
しまった。怒られてやんの、といたずらっぽく笑うエイラに、お前のせいだよ、と口を尖らせる。
「…そっか、今夜かー…」
ぽつり、と呟かれたその一言と、いつもと同じようでちょっとだけ違うその横顔に、妙な決意を見て取る。
なんだか置いてけぼりを食らったような気持ちになったけれど、私はエイラよりもよっぽど大人だから顔にな
んて出してやらない。
明日の朝、夜間哨戒から帰ってきたら何かまた変わっているんだろうか。
もしかして、同じ北欧から来たよしみで意気投合して、まさかの同衾…なんて、ありえないか。
机をじいとみやりながら何かを考えているエイラは、もうこちらを見る余裕も無いようだった。そのくせ、後ろに
ちらちらと視線をやることだけは忘れないのが少し恨めしい。
ふう、と一息をついて、私はミーナ中佐の話に耳を傾けたら、もうすぐロマーニャから新しいウィッチの補充が
あるといったようなどうでもいい報せが胸に飛び込んできた。
了
記録集4を見る前に書き始めたので若干食い違う部分がありますが、大目に見てやってください
- 432 名前:名無しさん:2009/04/27(月) 00:09:53 ID:ZODHfJhY
- >>431
GJ!
エイラーニャのはじまりでもあり、シャッキーニの前触れでもあるんですね。
雰囲気が良いです。乙です。
- 433 名前:名無しさん:2009/04/27(月) 00:22:08 ID:iEMtnhj2
- >>431
エイラかわいいなぁ。GJ!
シャリエイラは最初から接点ありそうですもんね。気も合いそうだし。この二人も好きだー!
……で。その夜のシャーゲルと、それから同衾まで過程を何とか書いていただけないでしょうか
- 434 名前:名無しさん:2009/04/27(月) 02:57:47 ID:UdCyZnMQ
- >>417
GJ!・・・GJ!いつも良いもの読ませてもらってます!
シャッキーニも未来を感じさせる組み合わせだよね。さりげなくくっついてるもっふじもご褒美です!ご褒美です!
夏祭りの雰囲気と、人気の少ない夜の帰り道の静けさの中の別れのやり取りが脳内再生されて涙出てきたという
少佐のアドバイスもかっこいいし、天然ぶりもいい!芳佳の嫁ぶりもいい!実にいい!
ちょっと精神的に大人びたルッキーニかわいいよルッキーニ。シャッキーニらしい告白とハッピーエンドでよかったー。
独特の文のリズムも好きです。次回の話も楽しみにしてますよー
>>431
GJ!むしろGS!グッドシャイラ!ノットゴーストスイーパー!
前の話と合わせるとお互い気になってたのに新しい相手を見つけちゃって、しかもお互いそれに嫉妬づいてるとか
なんというすれ違い・・・。そしてウサギだけにシャーリーマジプレイボーイならぬプレイガール・・・
シャーリーの視線を通したエイラーニャって新鮮だなあ。傍から見たサーニャに対するエイラの、他の人との対応
の違いがよく出ててよかったー。シャイラよかったー。最後にもう一度GJ!
- 435 名前:名無しさん:2009/04/27(月) 22:04:08 ID:j4Hu7FO6
- 皆さんは娘タイプどうするのか気になる…
ドラマCD、買いますよねやっぱ。
- 436 名前:名無しさん:2009/04/27(月) 22:32:37 ID:DBHBmkoA
- >>435
正直迷います。内容がすこしでも分かれば判断つくけど、
外した時は泣けますよ。百合成分もどの位なのか気になるし。
- 437 名前:名無しさん:2009/04/27(月) 22:57:49 ID:9iUW/jCg
- >>417
あまりの素晴らしさに我を忘れて電車乗り越したわ。こう、胸に来るものがあったよ。心からGood Job!!
シャーリーの大らかさ・柔らかさと相反する真摯さ・ひたむきさ、そういう表裏みたいなものの描写にすごく引かれる。
痺れました。見事でした。とにかくGJ!!
>>431
シャーエイラは私も密かに暖めているカプだったりしたわけだがこれ読んだら全部すっ飛んでしまったぞw
やーGJ!!わかる、わかるぞーこれ。"気に入っていたおもちゃをなくした気分"。ああ、あなたには敵わないなあまったくもう。
>>435
扶桑男児たるもの、買ってから考えるべし。いや撫子かもしれんけど。
間に合わなくなってもしらんぞーっ(AAry
- 438 名前:名無しさん:2009/04/27(月) 23:14:35 ID:j4Hu7FO6
- >>436
ですよねぇ…。
秘め歌のエイラーニャ位ラブラブしてたら買っちゃうんですが…。
本の代金+送料+CD代金となると…
>>437
ということで僕等の尼で娘タイプポチッてきました。
- 439 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2009/04/27(月) 23:58:24 ID:UgE1UQUg
- 職人の皆様方GJ! レスが追いつかないw
活気有るのは良きこと哉と。
>>トゥルーデ撃墜部隊様
かな〜り遅れましたが、30機撃墜おめでとうございます!
今後も楽しみにしてます〜。
こんばんは、mxTTnzhmでございます。
今回は未開拓カプ……と行きたかったのですが、
あえて思い付くままに。
- 440 名前:fly to me 01/02:2009/04/27(月) 23:58:57 ID:UgE1UQUg
- 「宮藤が飛べなくなっただと?」
しょんぼりする芳佳を前に、美緒は首を捻った。これから訓練飛行と言う時になっての、突然の申告である。
「体調も魔力も異常なし、ストライカーも動作は快調。何処が問題なんだ」
試しにちらりと魔眼で芳佳を見るも、特に変わった所は無い。
「分かりません。でも、飛べなくて」
しょげる芳佳。横にはリーネが何とかなだめようとついているが、逆にリーネの方が動揺している。
「困ったわね。私達はまず飛ぶ事が大前提なのに……」
ミーナも顔を曇らせる。司令室に居る一行は、今後どうすべきか対応を考え始めた。
試しに、美緒は芳佳に問うた。
「宮藤。最近悩みは無いか?」
「悩みですか? ……皆さんのお役に立てているか、と言う事は」
「それは問題ない。他には? 何でも良い。もしこの場で言いにくい事なら『有る』とだけ答えれば良い。……どうだ?」
「いえ、……特には」
答える芳佳。しかし、芳佳の目が少し泳いだのを見逃さなかった美緒は、頷いた。
「だいたい分かった。行くぞ」
芳佳を立たせると、司令室のエレベーターへと連れて行く美緒。
「ちょっと、何処行くの坂本少佐?」
ミーナが声を掛ける。
「私がスカウトし、私が育てたウィッチだ。責任は全て私が負う」
「具体的には、どうするのかしら?」
「一緒に飛ぶ。と言うか飛ばす」
「ええっ、強引に?」
驚くミーナ。リーネもびっくりした顔をしている。
「お前達も来い。皆でやった方がうまくいく」
ハンガーに到着した一行。芳佳はいつもの様にストライカーを履き、魔力を解放し、ぴょっこりと耳と尻尾を出した。
魔導エンジンが唸りを上げ、アクアマリン色のプロペラが軽快に回り出し、地面には魔法陣が浮かび上がる。
「ふむ。やはり魔力の問題ではない、か」
既にストライカーを履き、タキシングして来た美緒はロープを自身に結わえると、
もう片方の端を芳佳の肩と腰にぐるっと回し、結んだ。
「ちょっと、美緒?」
同じくストライカーを履いているミーナは、美緒のやろうとしている事を察し、美緒の手を止めた。
「どうしたミーナ?」
「貴方まさか……それで宮藤さんを引っ張ろうなんて」
「そのつもりだが?」
「ダメよ! 万が一、これで宮藤さんが飛べなかったら、貴方が引っ張られて地面に激突するし、宮藤さんも……」
「そこをだ。ミーナとリーネが宮藤を抱えて、飛べば良い」
「はい?」
突然の事に聞き直すミーナ。美緒は苦笑した。
「幾らなんでも、私一人だけで引っ張り上げる訳ではないぞ。あくまでも私は先導と言うか、そんなもんだ」
ストライカーを履いて近寄ってきたリーネを手招きした。
「リーネ、お前も宮藤の脇を掴め。ミーナもだ」
二人に両脇をぐいと掴まれる芳佳。ミーナとリーネの胸が腕に当たり、ほわわと顔が緩む。
「こら宮藤、今から飛ぶと言うのに何だその顔は」
「は、はひっ、すいません」
「芳佳ちゃん……」
「よし、では全員、速度を私に合せてくれ。タイミングを合せて飛ぶぞ。三つ数えたら滑走開始だ」
美緒のカウントに合せ、一同はゆっくりとハンガーを出て、滑走路へと出た。
「速度を上げるぞ、……よし、ゆっくりと身体を引き起こせ」
美緒に合わせ、それぞれの速度が上昇していく。
「わっ私っ」
焦りの色を隠せない芳佳。
「大丈夫だ、二人がついてる。私の顔を見ろ。どんな顔をしている?」
「坂本さんですか? ちょっと怖そうです」
「ミーナは?」
「優しそうです」
「リーネは?」
「心配そうです」
「……宮藤、とにかく分かったか? 皆お前を思っての事だ。行くぞ!」
「まっ待って下さい、心の準備が……」
「飛べ! 宮藤!」
美緒は既に離陸している。ロープがぴんと張り、斜め上方に容赦なく引っ張られる。
ミーナとリーネも離陸し、滑走路ももう端が見える。
「芳佳ちゃん」
リーネが頷いた。
「私……私……」
美緒の背中を見た。
両腕を掴まれているから実際には伸ばせないが、気持ちとしては、前を飛ぶ美緒に向けて……、
腕をおもいっきり、伸ばしたかった。
あの人みたいに、自由に飛びたい。
あの日見た、憧れのひとの、姿。
- 441 名前:fly to me 02/02:2009/04/27(月) 23:59:19 ID:UgE1UQUg
- 横を見る。リーネが微笑んでいる。
「芳佳ちゃん、飛べたね」
「え?」
ミーナも、ほっとした顔で芳佳を見ている。
「宮藤さん、おめでとう。無事離陸したわよ」
「え? え?」
振り返る。滑走路は遥か斜め下に見え、高度をぐんぐんと上げている。
「あ……」
いつ寄って来たのか、美緒が芳佳のすぐ近くに来ていた。腰に手を回し、ロープを解く。
「もう、お前を束縛するものは何も無い。どうだ? 問題なく飛べるだろう?」
ミーナとリーネが芳佳からそっと離れる。芳佳は以前と変わる事無く、皆と同じく、飛行を続けている。
「え、あ、はい! 飛べます!」
両手でバランスを取り、姿勢を変えてみる。安定している。
「ロールしてみろ」
「こうですか?」
ぐるりと身体を一回転してみせる。
「出来るな。問題無い」
美緒はいつもの様に、豪快に笑った。
「良かった芳佳ちゃん! 私嬉しい!」
「ありがとう、リーネちゃん!」
リーネがぎゅっと抱きつくも、特に姿勢の乱れも失速も見られない。普段と変わらぬ、芳佳の飛ぶ姿。
「良かったわね、宮藤さん。元に戻って」
「ありがとうございます、ミーナ中佐」
「元々、お前は自由に飛べるだけの技量を持っているんだ。飛べて当たり前なんだ」
美緒は腕組みして言った。
「さあ、このまま少し辺りを飛んで、戻るか」
「はい!」
芳佳はリーネと一緒に空を飛んでいる。美緒はその姿を見て、うん、と頷いた。
「ねえ、美緒」
美緒のもとにミーナが近寄って来た。
「どうして、こんな事を? それに『飛べば治る』ってどうして」
「一度切欠を与えれば、すぐに戻る。そう判断したまでだ」
「切欠って、かなり強引ね」
「まあ、な。荒治療だが、元に戻って良かったじゃないか」
「これだから、貴方って人は……。もし宮藤さんが離陸出来ずに私達もろとも引っ張られたりしたらとか……」
「ミーナは悲観的に考え過ぎだぞ? 私は絶対飛べると信じていた」
「美緒」
「もし、賭けをしていたら私が勝っていたな」
笑う美緒。少し呆れた表情を作るミーナ。
「まったく、美緒は……。でも、どうして宮藤さんは……」
ちらりと芳佳を見る。リーネと一緒に、自由に空を舞っている。その動きはいつもと同じ、活発で堂々としたものだった。
今更失速したり墜落しそうなど、考えもつかない。
「宮藤は何処か怯えていたと言うか、自信が無かったんだろうな。でももう大丈夫だ。それに」
「?」
「お前も見ただろう。あいつの飛びたいと言う顔を」
「ええ。確かに。貴方の背中を追っていたわ」
「自由に空を飛びたい。あいつのそんな気持ちを引っ張ったと言うか。そんなとこだな」
「ねえ、美緒」
「何だ、ミーナ」
「いつか、私達も、こう言う戦いに関係ない場面で、一緒に、自由に空を飛びたいものね」
「前にも二人で言ったじゃないか。大丈夫、きっと叶うさ」
「私もそう、期待してるわ」
そっと指を絡ませ、速度を合せ、ゆっくりと飛行する。
ちらりと後ろを見るミーナ。
リーネと芳佳はいつもの通りで……美緒の言う通り、何の心配も無かった。
「扶桑の魔女、ね……」
ミーナはぽつりと呟いた。美緒は聞こえないぞと言わんばかりに、近付き、頬をくっつけてきた。
少しどきりとするミーナ。
「空では誰も、見ていない」
ふふっと笑う美緒。ミーナも微笑み、握る手の力を少し強くした。
二組のウィッチは、大空をゆったりと、飛んだ。
その夜。リーネのベッドに潜り込んだ芳佳は、リーネの耳元でひそひそと囁いた。
「夢?」
リーネが芳佳を見て言った。
「怖い夢見て。空を飛ぶと、トリモチみたいなのに絡め取られて、そのまま食べられちゃう……」
「ヘンな夢なの」
「すっごい怖かったんだから。でも、だからって飛べなくなる訳じゃない……筈なのに……」
「おかしな芳佳ちゃん」
「でも、リーネちゃんと、坂本さんと、ミーナ中佐、みんなのお陰で、もう大丈夫。私飛べるよ」
「私も、一緒に芳佳ちゃんと飛べて嬉しいし、楽しかった」
「ありがとう」
芳佳はリーネの胸に顔を埋め、幸せそうな顔をした。
リーネもそんな芳佳を見て、いつもと変わらないと確認し、そっと抱きしめ、髪をいじった。
end
- 442 名前:名無しさん:2009/04/27(月) 23:59:40 ID:UgE1UQUg
- 以上です。
今回のタイトルは、某曲名から頂きました。古い曲ですが。
未開拓カプは、そのうち是非ともやりたいですね。
ではまた〜。
- 443 名前:名無しさん:2009/04/28(火) 00:21:08 ID:RI2gz5EM
- >>442
GJ おっぱい分が足りなくて飛べなくなったのかと思ったのは俺だけの秘密
ところで、さっきν速にストパン二期スレが立ってて、娘タイプのネタばれがあったんダナ。
以下わかったことをいくつか。
・絵とロケハンの写真から察するに、二期の舞台は地中海方面。絵ではギリシア・ローマの遺跡らしきものが背景に。
写真では教会のドームが映ってた。サン=ピエトロ大聖堂のような気がしなくもない。
・「11人が再結集」つまりもっさんも召集がかかるということ
・一期は芳佳と他のウィッチとの交流が中心だったが、今回は他のウィッチ同士の交流(例えば秘め声・秘め歌のような)も描くとのこと。
・他の部隊のウィッチも出てくる。
・路線変更は無し。キャラの可愛さを大事にするとのこと。
・ズボンも勿論そのまま
・制作はGONZO←ここ大事
- 444 名前:名無しさん:2009/04/28(火) 01:52:12 ID:77T4M/Ac
- もっさんに収集がかかる←ここも非常に大事
- 445 名前:名無しさん:2009/04/28(火) 02:06:03 ID:NoGetk7I
- ・一期は芳佳と他のウィッチとの交流が中心だったが、今回は他のウィッチ同士の交流(例えば秘め声・秘め歌のような)も描くとのこと。
このスレ的にはここが大事だな
GONZO製作って咲と同じ人らが作るのかな
現咲のスタッフは百合方面に関しては分かりすぎてるから安心できるんだが
- 446 名前:名無しさん:2009/04/28(火) 03:21:54 ID:73/LIRII
- 自分的には本当に1期と全く同じ路線で同じような事やってくれるだけでいいんだけどな
それぞれのウィッチの関係とかを掘り下げてくれれば
1期や原作と同じ路線で同じような事やるとつまらんって文句が出るのを気にしてか
妙なアレンジをしてクソになっている例として、近いところでちょうど鋼の錬金術師2期があるからアレみたいな酷い目には逢わない事を願う
あと1期では奇跡的に起きなかったGONZOクオリティな展開とOPEDに糞タイアップ曲も絶対にやめてほしい
- 447 名前:名無しさん:2009/04/28(火) 06:17:30 ID:rj404ETM
- 本当に地中海・エーゲ海が舞台なら、
欧州組に加えて、アフリカ組まで出せるなあ。
妄想がひろがりんぐ。
- 448 名前:名無しさん:2009/04/28(火) 07:01:15 ID:29IrMi3.
- 喧嘩ネタをシャーゲルでやってほしい
仲直りシーンとか想像しただけでにやにやw
- 449 名前:名無しさん:2009/04/28(火) 08:10:56 ID:RI2gz5EM
- ttp://tsushima.2ch.net/test/read.cgi/news/1240838806/
これ貼っときますね。
あと、スタッフに関してはインタビューに答えてる人とその中の内容から股間督、鈴木氏、佐伯氏、浦畑氏はおそらく確定。
でも実際他のキャラを掘り下げるって言っても、あまり他のキャラメインだと主人公の影が薄くなってしまうような気がしなくもない。
ただでさえ各所のアンケートで芳佳の順位はあまり高くないわけだし。
- 450 名前:名無しさん:2009/04/28(火) 09:31:54 ID:EqPLeRQ.
- >>445
芳佳がもっさんと指切りした小指をちゅぱるとな!?
……じゃなくて、キャラ同士の関係掘り下げをメインにすると肝心の戦争がそっちのけになる恐れがある希ガス。
空を駆け敵を討つ戦乙女がたまに百合るからこそニヤッとくるのであって、
ただのキャラアニメ化は勘弁して欲しいところ。
いやまあそれはそれでおいしくいただくんだろうけれども。
- 451 名前:名無しさん:2009/04/28(火) 16:29:17 ID:Bbn410Hc
- 俺は>>448を支持する!
- 452 名前:名無しさん:2009/04/28(火) 18:59:02 ID:HHJwFUnk
- >>446
とりあえず他所の愚痴はやめとけw
- 453 名前:名無しさん:2009/04/28(火) 19:58:07 ID:o27nmFjo
- 本スレの>>237の画像持ってる方いる?
規制中で書き込めん
- 454 名前:名無しさん:2009/04/28(火) 20:31:08 ID:o27nmFjo
- とまあ誤爆なんだがな
- 455 名前:名無しさん:2009/04/28(火) 21:06:00 ID:eXuNOHQM
- 237はデリられていて見れんかったけど、これかな?
http://nagamochi.info/src/up5759.jpg
取り敢えず2期で全員出演は嬉しいです。
股間督ガンガレ
- 456 名前:名無しさん:2009/04/28(火) 21:34:09 ID:SxVpMoak
- ストライクウィッチーズは他のアニメには無い視聴者の予想を超える内容を
何度も見せられたので第二期も予想を超えたものになるかもしれない(良い意味で)
- 457 名前:名無しさん:2009/04/28(火) 21:51:42 ID:tKuikFN6
- エーリカの誕生日を忘れてたわけじゃないよ。10日近くパソコンに触れてなかっただけだからと言い訳して、時期逃しすぎのエーリカタン。
多分エーリカとエイラ。
お前ってホントに変なやつだよなぁ。いつもそう思っていた。
そんなことを伝えたって、アイツはニヤリと笑って得意気な顔をするのだろう。あぁ、やっぱりお前は変なやつだよ。
だってなにを考えているか分からないのだ。私だってそう評されるけれども、私に言わせれば間違いなくアイツの方がその度合いが高い。
いや、考えていることが分からない訳ではないか。
楽しければ。幸せならば。アイツの頭の中ってそんな感じじゃないかな。どこまでも真っ直ぐで貪欲。
どんな時でも幸せを、探している。生み出そうとしている。守ろうとしている。素行は悪いくせに、じつはどこまでも真面目なんだ。
まぁだからこそ、カールスラントの3人組の中心はアイツなんだろうな。
でも不思議なものを見つけた。どこかソワソワした雰囲気のアイツ。
変なやつの変な様子は、1周回ってあまりにも普通で。
理由なんて日付を考えればだいたいは分かる。誕生日が近づいてソワソワするなんて普通だろ?
アイツも普通の女の子だったってことだな。
「珍しいじゃないカ、ハルトマン中尉。」
私の言葉に、彼女はびくりと肩を震わせた。
その様子もまた彼女らしくなくて、目を丸くさせられる。
変だ変だやっぱり変だ。天変地異の前触れか。威風堂々ハルトマン、現状は戦々恐々。
まるで噂で聞いた彼女の初陣時の姿みたいだ。
「なぁんだ、エイラか。」
中尉があからさまにホッとした様子を見せる。
分かったことがまた一つ。中尉はただいま誰かにびくびく。もしくはドキドキ。そしてそれは私にじゃない。
心当たりならあるさ。2択のうちのどちらかだ。2択は簡単、3−1の余った2人。
落ち着きを取り戻そうとハルトマン中尉がこれ見よがしに深呼吸をしている。
小さな胸を精一杯膨らませて絶景かな絶景かな。なんという絶望の風景だ。成長はまるでなし…と。
下手するとじきにルッキーニにも抜かれるのではないだろうか。
まぁ本人はあまり気にしてはいないみたいだけれども。
なんにせよ、おもしろいモノみ〜つけた!!
「なんだとはナンダ。珍しくソワソワしちゃってサー。」
「エイラにはかんけーないでしょ!!」
そう声を張り上げると、中尉は不満そうに舌を出した。
ほっといてほしいなぁ、と言わんばかりの表情を向けてくるものだから、逆にかまいたくなってしまうというものだ。
過ぎたるは及ばざるがごとし…少し違うかな?
- 458 名前:名無しさん:2009/04/28(火) 21:52:37 ID:tKuikFN6
「お悩みカナ、お嬢さん?私でよかったら話を聞いてやるヨ。」
お嬢さんという呼び名をもった彼女は、その呼び方が不満なのか、短い手足をバタバタとさせている。
暴れるたびにふわふわと舞うブロンドが少しだけサーニャと似ているな、と思ってしまったのはなにかの間違いだ。
「むー。じゃあしっかり付き合ってもらうからね!!後悔しても遅いよ〜?」
彼女ときたらさっきまでの不満顔をすっかりと潜めさせて、代わりに、やっぱりニヤリとした笑顔を湛えていた。
あぁ、やっぱサーニャとは全然違う。サーニャの方が可愛いし歌も上手い。それに優しいし、暖かいしずーっと可愛いもの。
「えー!下手うっちゃったナー。ほっときゃよかったヨ。」
少しだけ暇つぶしの相手になってもらおうなんて、甘い気持ちで声をかけたことをさっそく後悔させられる。
人選ミスだ人選ミス。シャーリーか宮藤あたりにしとくべきだったなぁ。もしくはリーネとか…。
でも後悔先にたたずというか後の祭りというか…仕方がない、付き合ってやるかぁ。
「えへへー、ごしゅーしょーさまだよユーティライネン君!!ほらほらー私の部屋までれんこーれんこー!!」
そう言って私の腕を引っ張っていく彼女は悩みなんて全くなさそうで。
さっきまでの姿は見間違いだったみたいだなぁ。
ーーーーーーーー
バタンと扉の閉じる音が響く。返事すらする間もなく、気づいたら彼女の部屋に引きずり込まれていた。
ハルトマン中尉の部屋といったら、魔窟として有名で、人の暮らせる場所ではないという話だ。
けれども、引きずり込まれたそこは、噂とは異なり、随分と小綺麗な様子であった。
「噂はやっぱ尾鰭のつくものなんダナ。十分暮らせそうじゃないカ。」
「ふふーん!!どうだーすごいだろー!!今朝までトゥルーデが掃除してたからね!!もっと褒めてもいいんだよ!!」
彼女が、重力というものに出会ったことないであろう胸を張って、自慢気にのたまった。やっぱり絶景、楽しくない。
確かによくよく見てみると、魔窟を形成していくであろう芽が、いたるところに見てとれた。
そうか、今朝まで掃除していて既にこれか…数日のうちに噂通りの姿へと戻るのだろう。
そう考えるとバルクホルン大尉が気の毒に思えてきた。
部屋の掃除は少し早めの誕生日の準備であったろうに。このままでは大尉は、当日までにもう一回この部屋で夜を明かすことになりそうだ。
「ほらほらー、エーリカちゃんのスーパービューティフルルームに感激するのほどほどにしてよね!!相談のってくれるんでしょ?」
あぁそうだった。悩みなんてなさそうにニコニコしているからすっかり忘れていた。というか本当に相談事があったことにびっくりだ。
「仕方ないナー。そうだ、揉まれると大きくなるって話ダゾ?」
じとっとした視線が注がれているのが分かる。
なんだ、足りない膨らみのことじゃなかったのか。
「サーニャに言っちゃうよ?」
恐ろしいことを言うのはやめてくれよ。
なぜだかサーニャときたら、私が誰かの胸の話をすると怒るのだもの。
「冗談…冗談ダヨ!!お悩みは多分誕生日のことダロ?」
「よく分かったねーエイラ。そうそう。エーリカちゃんは誕生日プレゼントのことで絶賛お悩み中なんだよ!!」
- 459 名前:名無しさん:2009/04/28(火) 21:53:28 ID:tKuikFN6
- 謎のポーズをとりながら、中尉は脳天気な声をだしている。
あれは多分「正解だよおめでとう」のジェスチャーなのだろう。本当に悩んでいるのだろうか?
むぅ…それにしても誕生日プレゼントか。大人しく当日を楽しみにしていればいいのに。
「ふーん。なにか欲しいものでもあるのカ?それなら私が出来る限りリクエストに応えてやるヨ。」
私の言葉に彼女は、ニターっと悪い笑みを浮かべていた。
なんだかすごく嫌な予感がするなぁ。未来予知をつかわなくても、多分予想は当たるだろう。
「じゃーさー、サーニャちょーだい!!」
とりあえず金髪を軽く叩いておく。やっぱりくだらないこと考えてた。
あげる訳ないじゃないか!!それにサーニャはものじゃないぞ!!
「サーニャはムリダナ!!まず第一に、サーニャをソンナメデミンナー!!」
彼女は、えへへーと笑いながら頭をぽりぽりとかいていた。
あぁ、やっぱりこいつは…私をからかうためだけに変なこと言ったなー!!
「冗談だよー。サーニャは盗らないから怒るなよなー。」
当たり前だ。私の役目はサーニャを守ることだからな。本気だったらMG42が火をふくぞ!!
「ねーエイラ?エイラだったら大切な人の誕生日には何を贈る?」
私がぷんぷんと怒っていると、少しだけ真面目な声で彼女はそうポツリと呟いて。そこにはもう、さっきまでのおどけた彼女はいなかった。
ふと私の頭に、彼女と瓜二つのもうひとりの「彼女」が浮かぶ。
あぁそうか。そういうことか。中尉がそわそわしているのは彼女自身の誕生日じゃなくて、スオムスのあの人のそれか。
自分の誕生日よりも誰かを思って悩むなんて…。でもそれが、とても彼女らしい。
ぐーたらなくせに、誰よりも皆のことを考えてて。そうしてさっと美味しいとこを持っていく少しだけズルイやつだから。
「自分で考えるんダナ。多分だけどさ、中尉が悩んで決めたものならきっとそれが一番嬉しいものになるんじゃないカ?妹にはさ。」
気付かれていないつもりだったのか、彼女の双眸が一際大きくひらくのが見てとれた。
私は「彼女」のことを直接知っているわけではないけれども、あの人が嬉しそうに語った思い出の中の「彼女」は、誕生日プレゼントに込められた思いを無碍にするほど無粋な人間ではなかった。
あの人が、「あの中隊」について語るときは、いつだってなんだかんだで笑顔だったから。
私の知らない、あの人にとっての宝物。少しだけ羨ましかったのは秘密で。少しだけ憧れて私もここに来たのも内緒のことだった。
「やっぱそうかなー?実はトゥルーデにもそう言われたんだよねー。ほら、私とあの子ってさ。随分会ってないから少しだけ不安でね?」
そう言った彼女は、私の見たことのない彼女で。あぁそうか。これが姉妹というものなんだなぁと…。
姉妹も兄弟もいない私には永遠に分からないことなのかもしれないけれど。それでもすごいものだとだけは感じていて。
だって、あのハルトマンですら落ちつかなくさせてしまうのだもの。バルクホルン大尉もだけどさ。
- 460 名前:名無しさん:2009/04/28(火) 21:54:12 ID:tKuikFN6
- 「ウルトラエース様が随分と弱気じゃないカ。」
「私の心は誰かさんと違って繊細なのー。手紙とかも全然返事くれないしさー。」
少しだけ唇の先っぽを尖らせて、彼女は不満げにぼやく。
でもそれでも、彼女はほっとけずに心配しているのだから。似ているのかな、少しだけ。バルクホルン大尉と彼女の関係に。
振り回すだけ振り回す彼女が、翻弄される側にまわっていることを除けばさ。
もしかしたら彼女は、大尉みたいになりたいのかもしれないな。
「愚痴ってる暇があるんなら直接会いに行ってこればイイジャナイカー?」
なんだかんだでざわざわと五月蝿かった中尉の声が忽然と途絶えて。
変なものでも見るような視線を注がれていた。
「えーと、まさかエイラにそんなこと言われるとは思ってなかったよ。だってそんなこととは一番遠い人間だよね、エイラってさぁ。」
なんだかとても失礼なことを言われている。私はぐちぐちしたのは嫌いなんだ。
言いたいことがあるならさっさと言っちゃうほうだというのに。
「でもそうだよね。けどやっぱ直接会うのは少し怖くて。それにどちらも守る場所があるからさ。
うん、決めた!!ミーナ説得して電信使っちゃおう!!返事催促しちゃうからね!!エーリカちゃんは止まんないぞー!!」
あぁ、いつも通りのハルトマンだ。たまには静かなのもいいけれども、やっぱり太陽みたいにキラキラしているのが彼女らしい。
小さな身体を精一杯つかって暴れまわっている方が似合っているから。
「まぁ、あんま役に立たなかったけどありがとね。なんだかぶちまけたらスッキリした!!ありがとね。」
役に立たなくて悪かったな。まぁ後半だけ受け取ってやるか。
ふと気付くと、ニヤニヤした彼女の顔が目の前にあって。
「だからお礼。あとは自分でなんとかしてね?」
耳元でそう呟くのが聞こえて。無理矢理に廊下まで引っ張られている身体を止めることなどできなかった。
バタンと扉の閉じる音が響くと、もう視界には彼女の顔しか見えなくて。
「頑張って手本見せてね?」
頬に柔らかいなにかが触れると同時に、その言葉だけが脳にこだまする。
瞬きをする間に、彼女は廊下を走り始めていて、やっと意識が戻ってきた頃には既に曲がり角の向こうへと消え去っている。
なんだったのだ。最後までからかわれていたのかもしれない。もう視界からいなくなった彼女を追いかける気にもならない。
「随分仲がいいんだね?私知らなかった。」
冷や汗が止まらないのだ。確かに背後から聞こえてきた声は、あの子のものだったから。
どこから見られていたのか。そこでやっと彼女の言葉の意味に気がついた。
あぁ、あのやろーサーニャがいること知っててあんなことやりやがったのか!!
「えと、そんなでもナイデス。」
どうにかしてここを切り抜けなければ。そして誕生日プレゼントはとっておきのものを考えてやる。
そう深く心に誓うと、私は廊下を走り出した。
Fin.
- 461 名前:名無しさん:2009/04/28(火) 21:58:37 ID:tKuikFN6
- という訳で皆様GJです。
春は忙しくて困りますね。春眠暁を以下略ですからね。
エーリカ誕生日オメデトー!!!もう一ヶ月もすると二パタンとエルマタンなので早めに取り掛からねばー!!
では、なんだかんだで2ヶ月ぶりくらいのRU1ZZ/dhでした。
- 462 名前:名無しさん:2009/04/28(火) 21:59:59 ID:tKuikFN6
- あっタイトル忘れた。タイトルはお嬢さんとユーティライネン君です。
- 463 名前:名無しさん:2009/04/28(火) 22:17:33 ID:RI2gz5EM
- >>462
GJ エイラのおっぱい聖人ぶりにふいたw
あと、秘め歌なんかでも感じたけど、エーリカはいいお姉ちゃんだなあと改めて実感した。
- 464 名前:名無しさん:2009/04/28(火) 22:51:11 ID:Rn8TmbKk
- その後のサーニャのヤキモチっぷりも書いてくれるとおじさんうれしいな
- 465 名前:名無しさん:2009/04/28(火) 23:16:07 ID:aNSfboOw
- >>462
ひっさしぶりです! お帰んなせぇ。
ウルスラが絡むと弱気になるエーリカかわいい。しかも小悪魔w
オチのエイラさんのヘタレ振りにほっとしますw
- 466 名前:名無しさん:2009/04/28(火) 23:31:22 ID:P3Q/8PZU
- >>462
お帰りなさい! 貴方を待ってたGJ!
相変わらずのクオリティに脱帽です。
良いニヤニヤをありがとうございます〜。
- 467 名前:名無しさん:2009/04/29(水) 10:38:31 ID:bvFQ6xOQ
- >>462
GJ 珍しい取り合わせと言うか切り口が新鮮。イイネ。
- 468 名前:名無しさん:2009/04/29(水) 19:26:02 ID:UR6ryNmg
- >>462
おかえり、GJです!
どうでもいいけど、ウルトラってウルスラに見える…
ちょっと質問
少佐ってちゃんと自室あるんだよな? ただ描かれてないだけだよな?
- 469 名前:名無しさん:2009/04/29(水) 19:34:58 ID:mhIQA0IA
- >>468
確かオフィシャルファンブックでは「極秘事項」となっていた筈>少佐の部屋
色々妄想が膨らんだところでSSにして下さいまし。
- 470 名前:名無しさん:2009/04/29(水) 20:41:31 ID:wGo9Iw42
- >>468
少佐の部屋は確かに存在するハズ
ただ劇中じゃ描写されなかったけど。
最近SSたくさん読めてほくほくでござる。
- 471 名前:名無しさん:2009/04/29(水) 22:16:26 ID:gBfKdSLA
- ファンブックだとルッキーニは部屋を放棄だとか。
私物は毛布だけ?
- 472 名前:名無しさん:2009/04/29(水) 22:40:29 ID:9msN.GCY
- ママの写真くらいあってもいいと思う
- 473 名前:名無しさん:2009/04/30(木) 07:04:43 ID:LhNC/yB.
- >>472
秘め歌聞いた感じだと肌身離さず持ち歩いてるっぽい>マンマの写真
- 474 名前:名無しさん:2009/04/30(木) 09:06:57 ID:OiRGxNfc
- このまま何らかのメディアで公開されないと坂本さんの部屋ってお蔵入りじゃね?
2期は拠点も違うところでしょう?
- 475 名前:名無しさん:2009/04/30(木) 09:40:20 ID:61DvvgY6
- >>474
お蔵入りと考えるんじゃあない、公式が妄想の余地を残したと考えるんだ。
例えばファンブック掲載資料の検閲にミーナさんが関わっていたとする。
少佐の部屋の資料を掲載できない、もしかしたら写真すら撮らせていない理由が、
極めて個人的な希望で二人だけの秘密を隠し通すためだとしたら……?
ミーナさんにあんなコトやこんなコトをするための道具が置いてあるのかもしれないじゃないか。
または少佐自身がしてもらうためのかもしれないじゃないか。
夢が広がりんぐ
- 476 名前:管理人 ◆JvGG5u6wMo:2009/04/30(木) 10:37:31 ID:YCzptoGk
- 次スレです
ストライクウィッチーズでレズ百合萌え 避難所3
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12483/1241054950/
- 477 名前:名無しさん:2009/04/30(木) 14:48:30 ID:5.UTIzKY
- 新スレ一発目の投下は気が引ける…
- 478 名前:名無しさん:2009/04/30(木) 16:22:03 ID:t7EaTjvY
- >>476
管理人さん乙です
いつもありがとうございます
- 479 名前:名無しさん:2009/04/30(木) 23:09:39 ID:ysOzV6Ew
- もうそんな時期か、乙
この残り10kbの、もうすぐスレが落ちるから恥ずかしいこと書き放題という時期が好きなんだが、したらばだといつまでも残り続けるから困るw
あー、娘Typeの記事読んだらゲームへの期待度がかなり高まった
早く竹井少尉と坂本少佐の絡みが見たいぜ!!
- 480 名前:名無しさん:2009/04/30(木) 23:33:38 ID:kPwRFEu.
- >>474-475
自分の予想としては
もっさん無事扶桑で宮藤を捕獲
「ミーナ、新人用の部屋を一部屋用意しておいてくれ」
ミーナ新人部屋を用意する口実で殆ど物をもたないもっさん部屋を宮藤用に替える。
そしてもっさんはミーナと相部屋に。帰って来たもっさんに
「だってこの基地にウィッチーズ用の部屋はもともと10部屋しか無いのよ?
貴女が新人の部屋を用意するように言ったのよ?」
....という流れに
- 481 名前:名無しさん:2009/04/30(木) 23:34:13 ID:kPwRFEu.
- >>474-475
自分の予想としては
もっさん無事扶桑で宮藤を捕獲
「ミーナ、新人用の部屋を一部屋用意しておいてくれ」
ミーナ新人部屋を用意する口実で殆ど物をもたないもっさん部屋を宮藤用に替える。
そしてもっさんはミーナと相部屋に。帰って来たもっさんに
「だってこの基地にウィッチーズ用の部屋はもともと10部屋しか無いのよ?
貴女が新人の部屋を用意するように言ったのよ?」
....という流れに
- 482 名前:名無しさん:2009/04/30(木) 23:40:48 ID:YyFYEZ5k
- 大事な事なので
- 483 名前:名無しさん:2009/05/01(金) 03:21:13 ID:MXe9ai6A
- ミーナさんの部屋が広いって事はそうゆう事だな
- 484 名前:名無しさん:2009/05/01(金) 06:57:05 ID:koXk.Iyw
- なるほどそういうことかww
- 485 名前:名無しさん:2009/05/01(金) 15:12:16 ID:1wgsJTIk
- 今日は5月1日って事で501の日!
と思ったがネタが無い。
何か記念で書ければ良かったんだが……残念orz
- 486 名前:名無しさん:2009/05/01(金) 21:11:08 ID:koXk.Iyw
「なあ…」
「なに、もしかしてしたいの? あんたもずいぶん性欲旺盛になったねえ…」
「せ……っ! おまえは全く…直接的すぎる!!」
「でも、したいんでしょ?」
「……そんなこと、聞く奴があるかっ」
「ふっふっふ。堅物のくせに」
「な! 私はただ」
「ん、なあに?」
「おまえだから…」
「あたしだから?」
「…その、おまえじゃないと…」
「あたしじゃないと?」
「――いちいち言わせるな! おまえがいると…その、触れてほしくなるんだ! 触れたくなるんだ!」
(ちょっと。まじ? 何気にすごいこと言ってるぞバルクホルン)
「だから…っ」
「え!? おい、なんで泣くんだよ!」
「馬鹿。…欲…とか、そういうことじゃないだろう」
「う、うん。ごめん」
「ただ私は、シャーロットのことが……すきなだけだっ!」
がばっ
シャーゲルが…シャーゲルが足りぬ!だれか書いてくださいお願いします
- 487 名前:485:2009/05/01(金) 22:14:51 ID:4nPHaep6
- 次のスレで期待されてしまっては、書かざるを得ない。
超短いけど一応。
----
「ミーナ!」
「美緒、どうしたの?」
「今日は5月1日だぞ」
「そうね、美緒。でも急にどうしたの?」
「つまり日付を見ると5/01と言う事で我々501の日、と言う事だ。はっはっは!」
「……何だか強引ね、美緒。こう言うことはてっきりシャーリーさんかルッキーニさん辺りが言うかと思ってたんだけど」
「良いじゃないか。我々の記念日だ!」
「細かい事は置いとくとして……で、具体的に何をするのかしら?」
「……ミーナは何かしたい事有るか?」
「ノープランだったの?」
「いや。あくまでもミーナの希望を聞いたまでだぞ」
「急に言われても、ねえ」
「そうか」
「でも、今日が501の日って事は……明日は502、明後日は503、明々後日は504の記念日って事になるわね?」
「そう言えばそうだ」
「と言う事は、少なくとも一週間位は各地の部隊でお祝いって事?」
「……」
「ちょっと、美緒?」
「いや。何でも無い。504か……。醇子は元気にしてるかな」
「美緒」
「いや、何でも無いぞ。頼むからその目は止めてくれ」
「で、どうするのよ」
「そうだな。とりあえずシャーリーでも呼んで、バーベキューでもさせるか」
「多分、何の用意もしてないと思うわ。いきなり言っても、シャーリーさんも迷惑じゃない?」
「う〜ん。参ったな」
「貴方が言い出したのよ、美緒」
「よし、ならば宴会……冗談だ」
「貴方が言うと冗談に聞こえないから困るのよ」
「仕方ない。今日はミーナのしたい事を叶えてやろう。言い出した私にも責任が有るからな」
「『にも』って、完全に貴方だけのせいだと思うけど」
「で、どうだ? 何かしたい事有るか? 何でも良いぞ? 料理はおにぎりなら出来るが……」
「行きましょう、美緒」
「何故肩を掴む? 私を何処連れて行く気だ?」
「何でも良いのよね?」
「任務はどうした? その目、まさか……おい! ちょっと」
つづかない
----
orz
もっとネタを練っておくべきと反省。
- 488 名前:名無しさん:2009/05/01(金) 22:47:39 ID:YdjBcDy2
- >>486
久しぶりにこの組み合わせ見た気がする
続きはないのかなあなんて思ってますGJ
>>487
最近この組み合わせの魅力に気づいたんだ
書いてくれてありがとうGJ
- 489 名前:名無しさん:2009/05/01(金) 23:22:55 ID:zFNitwhs
- エイラーニャ
シャっキーニ
は百合姫S
もっミーナ
シャーゲル
は百合姫WildRose
- 490 名前:名無しさん:2009/05/02(土) 00:27:38 ID:sx/p0jH2
- ttp://up2.viploader.net/pic/src/viploader998717.jpg
これは…
- 491 名前:名無しさん:2009/05/02(土) 01:11:13 ID:FCV/dLRM
- >>490
エ イ ラ 大 勝 利
- 492 名前:名無しさん:2009/05/02(土) 01:26:55 ID:LfaMLdjg
- こういうのを望んではいたがここまでやるとはな
百合の花とかおぉもう
- 493 名前:名無しさん:2009/05/02(土) 07:12:25 ID:FmDtlcKk
- >>490
消えてる・・・気になって仕方ないぜ・・・
- 494 名前:名無しさん:2009/05/02(土) 07:58:40 ID:36RJ6.ZY
- http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org13082.jpg.html
- 495 名前:名無しさん:2009/05/02(土) 08:04:15 ID:FmDtlcKk
- >>494
うおおおおお!!マジありがとう
これは興奮して眠れそうにないぜ・・・
- 496 名前:名無しさん:2009/05/02(土) 12:53:14 ID:ATWDzbYk
- >>494
なんだこれは・・・
- 497 名前:名無しさん:2009/05/02(土) 13:13:00 ID:zBz0WZDE
- >>494
htmlぐらい外せよと
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org13082.jpg
- 498 名前:名無しさん:2009/05/02(土) 19:32:19 ID:FVdg1S4E
- これは買ってしまうな…サーニャのいとおしそうな表情が素晴らしすぎる。
- 499 名前:名無しさん:2009/05/02(土) 20:08:14 ID:G3QG0xdg
- すごいエイラーニャプッシュだな
- 500 名前:名無しさん:2009/05/03(日) 00:19:02 ID:YldRPCsg
- 容量見れないんだけどこのスレまだ埋まってない?
投下はこっちでいいですか?
- 501 名前:名無しさん:2009/05/03(日) 00:23:04 ID:uIO4Mlrg
- いま 496KBです
- 502 名前:名無しさん:2009/05/03(日) 00:27:03 ID:cmGdVFFI
- お前ら、GWだぞ。
SS投下がないのはどういうことだ、とか書いてたら>>500!
是非投下してくれ!
- 503 名前:名無しさん:2009/05/03(日) 00:29:44 ID:YldRPCsg
- >>501ダンケシェン
微妙だけど超えても止まらないからこっちで大丈夫だよね。
>>502
期待に応えられるといいな…w
改めましてこんばんは。LWqeWTRGです。
百合お題から「間接キス」です。
サーニャイラで3レスです。
- 504 名前:名無しさん:2009/05/03(日) 00:31:00 ID:YldRPCsg
- 「ハイ、サーニャあーん」
「あー…ん」
「美味いカ?」
「うん」
「ソッカ。よかった」
ああ至福の時よ、お昼の時よ、素晴らしき時よ、いつまでも…。
なんて思っちゃうくらいにエイラといちゃいちゃできるこの時間が好き。
エイラに食べさせてもらうだけで何倍にも美味しくなっちゃうから不思議。
んー、しあわせ…。
「うにゃぁ! シャーリー、スプーン落としちゃった」
「慌てて食べるからだぞぉ? ほら、あたしの使いな」
「えっ? シャ、シャーリー…の?」
「なんだイヤか?」
「うっ、ううん! でも…これって…」
「無理しなくてもいいよ。おーいリーネ…」
「だめっ! シャーリーの使うのー!」
「ぁえ? …なら、はい」
「ありがと! ニシシ〜…シャーリーと間接キス…」
「なんか言ったか? ルッキーニ」
「んーんなんにもー」
ほう…。これはいいものを見た…。
なるほど間接キスか…。
「サーニャ、あーん」
そろそろいちゃつき具合のレベルアップをしたかったところ…。
ついでに間接キスをすることでヘタレにいい刺激を与えられるかもしれない。
「サーニャ? おーいサーニャー」
そして間接キスを日常化させて、ゆくゆくは口移しに…。
- 505 名前:名無しさん:2009/05/03(日) 00:32:33 ID:YldRPCsg
- 「ふふ、ふふふふふふふ……」
「サ、サーニャ?」
「え? あ、なぁに?」
「だ…大丈夫カ?」
「大丈夫よ…? 大丈夫…大丈夫…」
「そ、ソウカ…」
ふぅ、危ない危ない。
あとはどうやってスプーンを落とすか、か。
うーん…。これは適当に落としちゃっていいかなぁ。
早くエイラのスプーンで食べたいし。
とりあえず私のを手に入れなきゃ。
「じゃあ…サーニャ、あーん」
「あー…、ん!」
「ちょ、サーニャ、スプーン噛みしめちゃ食べれないダロー」
「ん! んー!」
「なに? 離せッテ? ……はい離したゾ」
「んー」
よし、スプーンゲット。
あとはこれを落として…。
…
任務を終了しました。
「あ、エイラ、スプーン落としちゃった…」
「…なぁ、軽く放らなかったカ? 今…」
「ううん、落としたの」
「そう? まあいいケド…。リーネ、スプーンちょう…」
「だめっ!」
「は…、え? スプーンないと食べれないダロー」
「あるじゃないスプーン」
「落ちたスプーンは使わないほうがいいゾー?」
「エ・イ・ラ・の・スプーンがあるじゃない」
「え?」
- 506 名前:名無しさん:2009/05/03(日) 00:33:49 ID:YldRPCsg
- 決まったな。
これで間接キスはいただき。
さあ、エイラのスプーンではやくたーべーさーせーて〜♪
「な、い、イヤ、だってそんなことしたラ…か、間接…! うああダメ恥ずかしい!」
渋ったね。
わかってたけどね。
せっかくキスまでの段階踏んであげてるのにね。
でも、最後に笑うのは私よ。
ふふっ。さぁて…、私の力を見せてあげるわ!
「いい? エイラ。間接キスくらいは普通なの。みんなやってるのよ? 私たちなんかこうして食べさせあったりしてるのに間接キスもしないなんておかしいじゃない」
「サ、サーニャ? オイ…」
「そりゃあエイラは恥ずかしいって思ったかもしれないわ。でもね、エイラ。そうやって恥ずかしがってちゃ先に進めないの。わかる?」
「あの…ハイ…スミマセン…」
「そもそもエイラには積極性というかもっと私にアタックしてもいいと思うの。なのに私には全っ然しないで他の女の子にはすぐ近寄って胸を…………!!」
「ご、ゴメンナサイっ…」
「だから、ね? エイラのスプーンで食べさせてね」
「うぁ、あぁもー! ハイサーニャあーん!!」
うふ。
いただきます♪
END
- 507 名前:名無しさん:2009/05/03(日) 00:34:55 ID:YldRPCsg
- 以上です。
サーニャさんのお説教。
なんというかこの後も考えてしまったのでできればそちらの方も宜しくお願いします。
そういえばタイトルいるのかな…。
まあ一応…、タイトルは「まっすぐ変化球」です。
では失礼します。
- 508 名前:名無しさん:2009/05/03(日) 00:39:40 ID:cmGdVFFI
- >>507
サーニャイラGJでした!サーニャマジ女王様。
エイラをバリバリに翻弄するサーニャ…大好きだw
- 509 名前:名無しさん:2009/05/03(日) 00:41:59 ID:fyRzDiIE
- >>507
GJ そして早く続きを!
- 510 名前:名無しさん:2009/05/03(日) 00:42:12 ID:uIO4Mlrg
- >>507
スプーンいーっぱいのシアワセな物語、ごちそうさまでした
- 511 名前:名無しさん:2009/05/03(日) 10:46:56 ID:YtoD2TT6
- てす
- 512 名前:名無しさん:2009/05/03(日) 11:46:43 ID:cmGdVFFI
- 休みだし久々にssでも書こうかな
- 513 名前:名無しさん:2009/05/03(日) 16:41:24 ID:9TgxMg2E
- 501KB到達したな、次スレに移行ですよー
ストライクウィッチーズでレズ百合萌え 避難所3
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12483/1241054950/
というわけで管理人さんスレストよろ↓
- 514 名前:名無しさん:2009/05/04(月) 01:35:59 ID:i.wL8H7Q
- 終わり?
- 515 名前:名無しさん:2009/05/04(月) 02:00:01 ID:DUKQu6I2
- 避難所3で進めるか本スレに移動するかだろうけど、あれだ。
ここの管理人さん含め、みんなGWで2chに居ないんだよ。
俺も今日帰ってきて、初めて覗いたし。
- 516 名前:管理人 ◆JvGG5u6wMo:2009/05/04(月) 05:14:03 ID:WA9CNSFY
- このスレはもう書き込めません。
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