ストライクウィッチーズでレズ百合萌え 避難所5
- 1 名前:管理人 ◆JvGG5u6wMo:2010/03/07(日) 17:22:43 ID:U28RsrsU
- ここはストライクウィッチーズ百合スレ避難所本スレです。
●前スレ
ストライクウィッチーズでレズ百合萌え 避難所4
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12483/1258727255/
●Janeで避難所を見る場合
・板一覧を右クリックして「新規カテゴリを追加」をクリック(板一覧が無い場合は「表示」→「板ツリー」→「板全体」で表示できる)
・カテゴリ名を入力してOKをクリックする(例:「したらば」)
・作成したカテゴリにカーソルを合わせて右クリックし、「ここに板を追加」をクリック
・板名を入力してOKをクリックする(例:「百合避難所」)
・URLに「http://jbbs.livedoor.jp/otaku/12483/」を入力してOKをクリックする。
- 2 名前:管理人 ◆JvGG5u6wMo:2010/03/07(日) 17:23:40 ID:U28RsrsU
- 規制について
★改行規制
避難所スレについて、投稿本文の文字制限は4096byte(全て全角文字の場合は2048文字)、
投稿本文の最大行数は100です。
★連投規制
今のところありません。
★スレの容量
管理人が500KB超えに気付いた時点でスレストを掛けます。
- 3 名前:名無しさん:2010/03/07(日) 17:49:21 ID:ITv.Nha2
- 乙
早かったね
- 4 名前:名無しさん:2010/03/07(日) 18:13:13 ID:spPyp8z.
- 乙
- 5 名前:名無しさん:2010/03/07(日) 19:45:18 ID:uk87l1ZI
- >>1乙
400ちょっとでもう500越えたのか。
まあ本スレより規制が緩いからだろうけど。
それはそうとフミカネんとこにオラーシャっ娘キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
サーニャやニパの他にも、メカフェチらしいんでシャーリーなんかとも絡められそうダナ。
- 6 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/03/08(月) 01:18:30 ID:aCKtFgeI
- 新スレおめ! 避難所管理人様乙です!
さてこんばんは。mxTTnzhmでございます。
保管庫No.1245「hide and seek」の続きを思い付いたので
ちょこっと書いてみました。
新スレ祝い的に一本どうぞ。
- 7 名前:monday midnight blue 01/03:2010/03/08(月) 01:19:02 ID:aCKtFgeI
- 「竹井さんも同じ誕生日とは」
「奇遇ね。運命の二人かしら?」
「はっはっは、そんな事を言ったら宮藤とサーニャもそうなるぞ?」
先日の、シャーリーと醇子の誕生日祝いでのひとこま。
何気ない会話の中の、美緒の言葉に、心掻き乱される乙女が二人。
リーネとエイラである。
あの後、心の隅に美緒のセリフが引っ掛かって……眠れない程ではないが、冗談であって欲しいと
本気で思い詰めたりする事も。
リーネはお菓子とお茶の配分を微妙に間違え、エイラに至っては意味もなくタロットをめくっては一喜一憂。
そんな二人の心つゆ知らず、芳佳とサーニャはミーティングルームでたわいもないお喋りをしている。
リーネとエイラは、互いに顔を見合わせ、溜め息をついた。
「あれ、どうしたエイラにリーネ。顔色悪いぞ?」
たまたま通りかかったシャーリーが二人を見て言った。途端にエイラとリーネはシャーリーに食いついた。
「シャーリー、教えてクレ! ホントなのか?」
「運命の二人って、本当なんですか?」
突然詰め寄られて焦るシャーリー。
「うえっ!? 一体何の事だ? 運命って?」
「竹井大尉はシャーリーの運命の人なのカ?」
「そうですよ? 私達の死活問題なんですから、答えて下さい!」
「ちょ、ちょっと落ち着け二人とも! 順を追って話してくれよ」
二人から事の次第を聞いたシャーリーは大笑いした。
「竹井さんとあたしが? んな訳ないだろー」
「ホントカヨ?」
「本当ですか?」
「何も無いって。まあ大尉同士仲が良いのは確かかも知れないけど、戦友つうか仲間以上のものはないよ。
本当だって」
「でも……」
「じゃあさ、もしそれが本当だったら、ルッキーニは何て言うかな」
「えっ」
「なあ、ルッキーニ」
シャーリーが声を掛けると、いつの間に居たのか、エイラとリーネの背後にロマーニャの少女が立っていた。
「ウジャー 二人とも考えすぎ! だってシャーリーあたしのだもん」
「分かり易いナー」
「あたし、ジュンジュンも好きだけど、シャーリーはもっと好き。て言うか好きの意味がぜんぜん違うよ」
「そ、そうですか……」
「それに、ジュンジュンがシャーリー取ろうとしたら、あたしは全力で抵抗するもん。遠距離から狙い撃つ〜」
「おいおいルッキーニ、穏やかでないなあ。これは仮定の話だって」
「だってぇ……」
指をくわえてじと目でシャーリーを見るルッキーニ。
「あらどうしたの、みんなで楽しそうね?」
そこにやって来たのはミーナ。執務途中の休憩か、マグカップにジュースを入れてリラックスしている。
「あ、ミーナ中佐」
ミーナはジュースを一口飲むと、皆の顔を見渡した。
「エイラさん、リーネさん。元気無いわね?」
「そ、そんな事ナイゾ? なあリーネ」
「え、ええ。ちょっと、相談と言うか、質問を……」
「何かしら。私も力になれるかしら?」
休憩ついでに、話の輪に加わるミーナ。
- 8 名前:monday midnight blue 02/03:2010/03/08(月) 01:19:39 ID:aCKtFgeI
- 「じゃあ聞くけどサア、ミーナ中佐。ミーナ中佐は運命のひとって信じるカ?」
「はい?」
エイラから漠然とし過ぎた質問を受け、思わず聞き返すミーナ。
「この前、少佐が仰ってたんです。『誕生日が同じだと運命の二人』って……」
「あら、初耳よそれは」
答えながらジュースを飲み干すミーナ。
「だからサ、そうなるト、この前研修で来た竹井大尉とシャーリーが運命の二人って事ニ……なあリーネ」
「ええ。そして芳佳ちゃんとサーニャちゃんも……」
ミーナはふふっと笑うと、自分の唇に当てた人差し指をエイラとリーネの唇にそっと当てて、答えた。
「誕生日が一緒なだけで、運命とか言うのは有り得ないわね。気にしすぎよ、二人とも」
「うう……けどミーナ中佐、その根拠ハ?」
「なら逆に聞くけど、誕生日が一緒だと、必ず運命的な事に繋がるのかしら? たまたまじゃなくて?」
穏やかな口調で諭すミーナ。
「そ、それハ……」
「そう、ですよね」
「ほら、中佐もそう言ってるんだし、安心しなって。あたしと竹井さんは何も無いよ」
ジェスチャー混じりで安心させるシャーリー。ルッキーニはシャーリーの豊か過ぎる胸にもたれて遊んでいる。
「そうよね。竹井大尉とシャーリーさんは何もないわよね。問題はみ……少佐と彼女が何か有るかどうかで」
ごく一瞬ではあるが、触れたら肌が裂けそうな障気にも似たオーラを出すミーナ。
その場に居たミーナ以外の全員が、顔色を変える。
「……あらやだ。私ったら何言ってるのかしら。さ、仕事仕事♪」
ミーナはそそくさと席を立つと、笑顔で皆に手を振って、ミーティングルームから出て行った。
「あ、あの……」
「何だリーネ」
「何か、急に寒気が」
「奇遇ダナ。私もダ」
「あ、あたしも」
「あたしも……」
それから少しして、意を決したリーネとエイラは、ミーティングルームの端でお喋りに夢中な
芳佳とサーニャの元へ行った。
「芳佳ちゃん!」
「さ、さ、さサーニャ!」
背後から同時に声を掛けられ驚く芳佳とサーニャ。
「どうしたのリーネちゃん、それにエイラさん」
「単刀直入に聞くゾ。その、二人は……二人は……ええっト……」
「?」
「ああもうエイラさん! あのっ、二人は運命の人なの?」
リーネが大声を出した。
「え?」
「……どうしてそうなるの?」
意味が分からずきょとんとする芳佳とサーニャ。
「だって、少佐が……誕生日が一緒だと……って」
リーネの言葉を聞いて、顔を見合わせる芳佳とサーニャ。そして二人してくすっと笑った。
「そんな訳無いよ。ねえサーニャちゃん」
「うん。芳佳ちゃんは、ともだち。でも、運命的……」
サーニャの言葉が途切れる。思わず身を乗り出すリーネとエイラ。
「誕生日が一緒で、お祝いしてくれるのは嬉しい。それで、二人一緒に501に居る事は、運命的かも」
「うわーやっぱりダー!」
「そんなあ!」
嘆く二人。
「一体どうしたの二人とも?」
意味がいまいち分からずおろおろする芳佳。
「でもね、聞いて」
サーニャが言葉を続ける。
「『運命的』って、誕生日が一緒ってだけなら、そう言う使い方しないと思う。本当に運命的って言うのは……その……」
言いかけて顔を真っ赤にするサーニャ。
「芳佳ちゃん……続き、お願い」
サーニャはそう言うと芳佳の手を握った。
「さささサーニャ!?」
「待って下さいエイラさん、何か勘違いしてます」
芳佳はエイラを止めた。
- 9 名前:monday midnight blue 03/03:2010/03/08(月) 01:20:23 ID:aCKtFgeI
- 「迷信です」
芳佳はきっぱりと言い切った。
「宮藤まで言い切ったゾ……」
「信じて良いの、芳佳ちゃん?」
リーネも身を乗り出す。
「だって。サーニャちゃんは大切な仲間で友達だよ」
「そ、ソレデ?」
「でも、エイラさんとサーニャちゃんは、私とサーニャちゃんとはまた違うでしょう?」
「そ、そうなのかサーニャ!? 本当カ?」
顔を赤くしてこくりと頷くサーニャ。
「じゃあ、芳佳ちゃん……」
「そう。その、リーネちゃんと私も、その……ね?」
芳佳も言いかけて顔が真っ赤になる。
「芳佳ちゃん!」
たまらずリーネは芳佳に抱きついた。
いつの間にかエイラもサーニャに抱きついていた。
「何やってんだかねーあの四人は」
「ニヒヒ 面白いねみんな」
遠目に見て苦笑するシャーリーとルッキーニ。
「ほほう……。衆目も気にせず抱擁と。随分と大胆、大らかだな」
いつ来たのか、シャーリー達の裏に美緒が立っていた。ぎくりとする二人。
そして向こうに居るだらけた四人を見つけると、つかつかと近寄って怒鳴った。
「こらお前達! 皆が居る所で何をやっとるか! たるんでるぞ!」
「あ、噂をすれば!」
「少佐!」
「坂本さん!」
「少佐!」
「な、なんだ?」
逆に、四人から口々に……しかもちょっと怒った感じで……名を呼ばれ、思わずたじろぐ美緒。
「少佐酷いです! 適当な事言わないで下さい!」
「そうだゾ少佐! 幾ら冗談でもシャレにならない事って有るんダゾ!?」
「な、何の事だ?」
突然なじられて軽く動揺する美緒。
「誕生日が一緒だと運命のひとって、少佐が……」
リーネが言った。
「……はて? そんな事言ったか?」
思わず首を傾げる美緒。十秒程首を傾げて沈思した後、記憶に無い、と言わんばかりに両手を挙げてみせる。
四人は、あぁ、と肩を落とした。いつもの事か、と。
その様子を見た美緒は少し慌てた。
「ま、まあ……良いじゃないか。扶桑の諺に『雨降って地固まる』と言うのが有ってだな」
「ナンダヨソレ」
「つまり、もめたりした後、前よりも状態が良くなるって事だ。今のお前達はそうじゃないのか?」
「えうっ……」
「そ、その……」
一同はそれぞれの姿を見る。確かにエイラとサーニャ、芳佳とリーネはそれぞれしっかり抱き合っていた。
「まあ、そう言う事だ。私が何を言ったか詳しくは良く覚えてないが、気にするな」
「えっ?」
「戦場は別として、日常生活に於いては、気にしすぎは良くない! 細かい事でクヨクヨするな!」
強引に笑いながら、美緒はそそくさとその場を後にした。
「何か、少佐に引っ張り回されたと言うか」
「……まあ良いんじゃないカ」
「疑惑も晴れたし」
「そうだよね。やっぱり私はリーネちゃんが良い」
「芳佳ちゃん……私も」
「エイラ。後で一緒にサウナ……」
「今すぐでもイイゾ!?」
「……くどいぞミーナ」
美緒は苦り切った顔をしていた。執務室で二人っきりになった途端、ミーナから繰り返し質問攻めに遭っていたのだ。
「本当ね? 本っ当に何も無いのね? 竹井大尉とは何も?」
「無い無い。何度も繰り返させるな。しかしミーナも一体全体どうしたって言うんだ。突然そんな事を問い詰めるなんて」
「貴方が根も葉もない事を言うからっ!」
「わ、私の……せいなのか?」
「こっ、これだから……ッ!」
「一体どうすればいいんだ……」
取り乱す寸前のミーナを前に幻滅気味の美緒。憂鬱な夜は更けてゆく。
end
- 10 名前:名無しさん:2010/03/08(月) 01:21:26 ID:aCKtFgeI
- 以上です。
「運命のふたり」って一体どういうものなんですかね〜。
色々なかたちがあると思いますが。
それにしても……、
フミカネブログも次々と新キャラ(新設定)が出て来てワクワクしますね。
アニメもラジオも楽しみだ〜。
ではまた〜。
- 11 名前:Laevatein ◆nc1Kth5AW6:2010/03/08(月) 14:43:00 ID:SVTJBQM.
- 新スレ乙ですー。
>>10
もっさんがいい味出してるwwやっぱもっさんはこうじゃないとw
新作ですー。
[思いを馳せる海の向こう] 需要全くないであろう変則CPに挑んでみた。
ttp://sky.geocities.jp/tsuki_no_tomo_sibi/swss/omoi.txt
トゥルーデ×あのひと。カールスラントコンビとだけ言ってみる。
800行ほど。
- 12 名前:名無しさん:2010/03/09(火) 10:10:41 ID:/wVWZBxQ
- >>11
GJ! ゲルトお姉ちゃんとマルセイユとはまた珍しい
ゲルトが色っぽい。とにかくGJ
- 13 名前:名無しさん:2010/03/09(火) 17:04:17 ID:9IyEtlEI
- J( 'ー`)し トゥルーデへ たまにはおやすみをとったらどう
(`Д) 私の命はウィッチーズに捧げているんだ うるせー
J( 'ー`)し たまにはクリスのおみまいに いってあげたら
(`Д) それよりネウロイの殲滅だ 今日は基地に帰らないからな
J( 'ー`)し 美緒!今日はトゥルーデ帰らないらしいわよヽ(∇⌒ヽ)(ノ⌒∇)ノ♪
久しぶりにHしましょう(*≧▽≦)ノ キャー
J( 'ー`)し 坂本少佐へのメールでした まちがいました ごめんなさい
('A`)
というテスト
- 14 名前:名無しさん:2010/03/11(木) 14:59:00 ID:TtGBziY2
- オラーシャの新キャラはニパと絡みがあるのかな
フミカネブログだと、502にニパが居そうな気もするけど
- 15 名前:名無しさん:2010/03/11(木) 19:01:57 ID:MfUsUhG2
- ミーナ中佐誕生日おめ!
お祝いSSは無理だったけど一応。
- 16 名前:名無しさん:2010/03/12(金) 23:57:43 ID:9IpYR1Vc
- ミーナさんの誕生日だったのに過疎っているな…
- 17 名前:名無しさん:2010/03/13(土) 01:42:11 ID:7e6OZPk.
- だってミーナさんってもう歳とって喜べる年齢じゃ(ry
こんな時間に誰か着たみたいだ
- 18 名前:名無しさん:2010/03/13(土) 14:46:59 ID:7kI6arvg
- ミーナさんは永遠のじゅうはっさいですよ?
ウィッチーズの母は強かった。
もっさんは父ちゃん。
- 19 名前:名無しさん:2010/03/14(日) 17:12:13 ID:gLxQvPZQ
- 車校から。アクセス媒体がPCじゃないからSSうぷできんorz
- 20 名前:名無しさん:2010/03/14(日) 17:13:50 ID:6Y/acH4A
- 無理すんなww
落ち着いてからいいssを
- 21 名前:名無しさん:2010/03/14(日) 17:18:40 ID:gLxQvPZQ
- まあやろうと思えばここに直接かけばかけなくもないけどw
問題はここがフリーのアクセスポイントだから屋外なこと・・・orz
- 22 名前:名無しさん:2010/03/15(月) 01:34:18 ID:eMjR2JzI
- 自動車といえば秘め声の1でお姉ちゃんの運転が危なっかしいって会話があったな。
誰かシャーリーがお姉ちゃんに運転教えるSSを書くべき。
- 23 名前:名無しさん:2010/03/15(月) 01:36:21 ID:bmgXKops
- そこまで書いたんだから最後まで書くべき。
- 24 名前:19:2010/03/15(月) 09:39:38 ID:Hazkggjg
- エーリカが教えてるSSならかいてるお、家で・・・
- 25 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/03/15(月) 22:06:31 ID:Sny.WIhc
- こんばんは。mxTTnzhmでございます。
保管庫No.0450「ring」の続編出来ましたので投下します。
ではどうぞ。
- 26 名前:please, my sister 01/07:2010/03/15(月) 22:07:18 ID:Sny.WIhc
- のどかな春のある日、507JFWからウルスラがやって来た。目的は新兵器のテストだ。
「テスト」と言うだけあってやたらと多くの機材を持ち込み、自身もストライカーを履かず輸送機に便乗した。
近くの空港に着陸した輸送機は、トラックに多くの機材、そしてウルスラを乗せ替えて、ようやく基地に到着した。
案内され、執務室に通されるウルスラ。
「いらっしゃいウルスラさん。長旅お疲れ様。歓迎するわ」
ミーナが書類を受け取り微笑んだ。
「お気遣い有り難う御座います、ヴィルケ中佐」
エーリカと比較すると妙に穏やか、物静かな口調で、ウルスラが答える。研究者らしく、軍服の上に白衣を着ている。
「滞在中、何か問題が有れば遠慮なく言うと良い。お前の姉も居る事だし、施設を好きに使え。案内は姉にして貰え」
美緒も言った。そして改めて、横に居るエーリカとウルスラを見比べた。うーむと顎に手をやり呟く。
「しかし……双子とは言え、本当によく似ているな」
「はい。小さい頃はよく間違えられました」
「ま、黙って座ってたら、の話だけどねー」
双子はそれぞれの“昔話”をする。なるほど、と頷く美緒。
「そう言えば……改めて、おめでとうございます」
突然ウルスラに話を振られたトゥルーデはどぎまぎした。
「え? な、何の話だ?」
「姉との婚約です」
「あ、ああ。有り難う。あの時電報を貰ったから別に構わないぞ」
「連絡が突然で、スオムスの507から出られませんでした」
「良いって良いって」
エーリカがウルスラの肩を持って笑う。
「そうだ、話の途中悪いが、ウルスラは何処で寝泊まりするんだ?」
美緒の問いにエーリカが答える。
「私の部屋にする? ちょっと散らかってるけど」
「『ちょっと散らかってる』で済む話じゃないだろう……あそこは人が踏み込める場所じゃない」
「やっぱり」
「知っているのかウルスラ」
「なら、姉様のお部屋をお借りします。そのついでに少し……」
「ついでに掃除しといてよ」
「姉様も手伝って下さい」
「えー」
だらけたエーリカにトゥルーデが雷を落とす。
「えーじゃない! お前の部屋だろ」
「しょうがないなあ。行こう、ウーシュ」
「はい、姉様」
二人は執務室から出て行った。やれやれと言った感じで二人を眺めるトゥルーデ。
「おい、バルクホルン」
「少佐、何か?」
「二人を見ていなくていいのか?」
「いや……せっかくの姉妹水入らずも良いかと思って」
「トゥルーデったら」
ミーナがくすっと笑う。
「しかし、あの二人だからな。何か有ったら困るんじゃないか?」
美緒が呟いた何気ない一言。琴線に触れたのか、トゥルーデは踵を返すと執務室から早足で出て行った。
「やっぱり気になるか」
トゥルーデの後ろ姿を見て呟く美緒、呆れるミーナ。
「美緒、貴方ねえ……」
「ん? 何かヘンな事でも言ったか?」
- 27 名前:please, my sister 02/07:2010/03/15(月) 22:07:44 ID:Sny.WIhc
- 「入るぞ」
ノックと同時にエーリカの部屋の扉を開け、中に踏み込む。
「うっぷ……凄い埃だな」
口元を押さえるトゥルーデ。部屋の真ん中には、埃だらけになった双子が居た。
「あ、トゥルーデ。トゥルーデも手伝ってよ」
「その為に来たんじゃない」
「えー」
「姉様、そっちを持って」
「あれ? これは必要なんじゃないの?」
「これは要りません」
「そう……。じゃ、これは?」
「これも要りません」
ウルスラがエーリカの“私物”を「仕分け」している様だ。
作業も大分進んでいると見え、何とベッドが本来の姿を見せている。普段は常に何かに埋もれている筈なのに。
「凄いな、ウルスラは。ゴミの分別が巧い」
「ゴミって言うなー」
「これは……もう効果が期待出来ませんね。要りません」
「それも捨てちゃうの?」
「もう少し片付けようと言う気持ちはないのか、エーリカ」
「だってー」
「あのなあ。お前の代わりにいつも私が片付けてやっていたんだぞ? 少しは……」
「ちょっと待って下さい」
トゥルーデのセリフを遮るウルスラ。
「どうかしたか?」
「『やっていた』とは、過去形ですよね? しかもこの部屋、最近使われた形跡がまるで無い……」
「ま、まあ、その通りだが」
頷くトゥルーデ。
「最近は物置みたいにしか使ってなかったからねー」
あっけらかんと答えるエーリカ。
「では、姉様は何処で寝起きを?」
エーリカは答える代わりに、トゥルーデの袖を引っ張ってニヤニヤした。顔を赤くするトゥルーデ。
「そうですか。お二人共幸せそうで何よりです」
「ウーシュも今晩一緒に寝る? トゥルーデも良いよね? 三人で楽しく」
「待て」
「何か問題でも?」
「大アリだ。エーリカとはともかく、ウルスラは関係無いだろ」
「義理の妹だよ?」
「続柄的にはそうだが、それとこれとは話が別だ」
「そう言えば、改めて貴方を何と呼べば良いか、まだ聞いていませんでした」
ウルスラがトゥルーデを向いて聞いた。
「私を、か? 確かに『バルクホルン』とかだと、何かかしこまり過ぎだからな……」
「トゥルーデで良いじゃん」
「それだと区別が」
「では、続柄的に、姉様」
「ね、ねえさま?」
トゥルーデは目をぱちくりさせた。
「ねえさま、か……うーん」
悩むトゥルーデ。
「ウーシュ、トゥルーデは『お姉ちゃん』って言って欲しいんだよきっと」
「なるほど」
「こらエーリカ! 勝手に決めつけるな」
「トゥルーデお姉ちゃん?」
「うっ……まあ、何でも良い」
ウルスラに呼ばれ、まんざらでもなさそうなトゥルーデ。
- 28 名前:please, my sister 03/07:2010/03/15(月) 22:08:16 ID:Sny.WIhc
- 片付けを終えてすっかり綺麗になったエーリカの部屋。
トゥルーデは怪力持ちなのを良い事にゴミの運び役となり、部屋とゴミ捨て場を何度も往復した。
「まったく、魔法の無駄遣いとはまさにこの事だ……あれ?」
部屋に戻ると、双子の姿が無い。
とりあえずエーリカのベッドに腰掛けてみる。
普段は閉め切られて暗い部屋だが、今は窓が開け放たれ、外の新鮮な空気が部屋をぐるりと回り、廊下へ、また窓へと抜けて行く。
「まるで別人の部屋だな」
トゥルーデは呟いた。
「ああ、そうか。ウルスラが居るから、か」
視線を落とす。いつ掃除したのか、床も綺麗になっている。
「姉と妹、か」
思いを巡らせるトゥルーデ。しかし時間が過ぎても双子は一向に戻る気配が無い。
トゥルーデは二人を捜しに部屋を出たが、途端に、廊下を歩いてきた芳佳とぶつかった。
「おお、すまん宮藤」
尻餅をついた芳佳に手を貸すトゥルーデ。
「いえ、私は大丈夫ですけど……、バルクホルンさん、どうかしました?」
「何か急ぎの用事でも?」
芳佳と一緒に居たリーネもトゥルーデに声を掛ける。
「いや。エーリ……、ハルトマン達を見なかったか? 彼女の妹が来ていて二人一緒なんだが」
「さっきまで私達と一緒にお風呂に入ってましたよ。私達は先に出てきましたけど」
「お二人とも何だかとっても汚れてたみたいで」
「そうか。風呂か……」
トゥルーデもゴミ処理をしたので割と埃っぽくなっている。風呂にはちょうど良い。
「分かった。宮藤、リーネ、有り難う」
トゥルーデは風呂場へと向かった。
途中、慌てて着替えを準備して、改めて風呂場へと向かう。
脱衣所に着くと、既に双子は風呂から上がり着替えを済ませていた。
「エーリカ、ウルスラ。何も言わずに風呂に行くとは酷いじゃないか。一言声くらい掛けて……ん?」
双子の様子が何かおかしい事に気付く。
「さーて、どっちがどっちだ?」
トゥルーデの前で揃って指をわきわきさせる双子。
「あえて服装を変えてきたな」
眼鏡をしている筈のウルスラがエーリカの服を着ていたり、服や装身具がごちゃ混ぜになっている。
「当てたらご褒美」「間違えたらお仕置き」
口々に問い掛ける双子。
「なんだそれは」
「「さあ、どうぞ」」
双子からの挑戦。
「そう言われても、見分けがな……うーむ」
トゥルーデはしばし考え込んだ末、ぽんと手を叩いた。
おもむろに白衣を着た方に迫ると、唐突に服のボタンを外し脱がしにかかった。
数秒後、二人から同時にビンタを受け、たじろぐトゥルーデ。
「な、何するんだ……」
「それはこっちのセリフだよトゥルーデ。いきなりウーシュ襲うなんて何考えてるの?」
「違う! 話を聞けエーリカ……って、エーリカはお前だな」
両方の頬を代わる代わるさすりながら指差すトゥルーデ。
「それは当てたとは言わないのでは」
「で、話って? 言い訳聞こうか」
双子の姉妹から迫られ、壁際に追い詰められるトゥルーデ。
「うう……その、エーリカとは昨日一緒に寝たから……だから、その、私が付けたキスの痕とか付いてると思ってだな」
「ヘンタイ」
「ち、違うんだ」
「じゃあ、同じ様な痕ついてたらどうするつもりだったの?」
「ウルスラに付いてる訳無いだろう」
「有りますよ」
「えっ?」
「ウーシュ、誰と?」
「507で実験中に」
「実験……」
「何の実験をしてたんだ」
「そう言えば姉様。姉様の部屋からトゥルーデ姉様までの部屋の距離はどれ位有りますか」
「距離ねえ。私の部屋の隣だから」
「なるほど。大まかに見当が付きました」
「? 何の話だ」
「お気になさらず」
「じゃあ、私達は先に出るよ〜」
エーリカとウルスラは服を本来のものに着替えると、仲良く脱衣所から出て行った。
「まったく……何なんだ一体」
トゥルーデはぶつぶつ言いながら、一人入浴した。
- 29 名前:please, my sister 04/07:2010/03/15(月) 22:08:44 ID:Sny.WIhc
- その日の夜。
エーリカとウルスラはエーリカの部屋で一緒に寝る事となり、トゥルーデは一人自室のベッドに居た。
いつもはエーリカが横に居るのだが、今夜は居ない。ウルスラが帰るまで、暫くはこの状態だろう。
同じ部隊だし部屋も近いし寂しくはない……筈。言い聞かせる様に呟くトゥルーデ。
「まあ、たまの再会だし、実の姉妹で積もる話も有るだろうな」
トゥルーデは誰に聞こえる訳でも無く独り言を言うと、毛布を掛け、久々の「ひとり」の睡眠を開始した。
ところがものの十分しないうちに、奇妙な感覚に襲われた。
全身が熱くなる。ランニング直後みたいに、全身が、中から熱せられる感じだ。身体が火照る。
しかも何故だか……身体ががくがくと震え出す。そして、思わず声を上げた。
「う……ううっ……あっ……んんんっ……あああっ!」
トゥルーデは痙攣しつつ、身をよじらせた。だらりと汗が垂れ、荒く息をついた。快楽にも似た、いや快感そのものが全身を巡る。
そして不意に快感が消え、はっと我に返り、起き上がる。
「……あれ?」
確か、一人で寝ていた筈。エーリカもウルスラも彼女達の部屋で寝ているから何も無い筈なのに、今の感覚は一体何なのか。
まさかな、と自嘲気味に笑うトゥルーデ。
エーリカは同じ基地に居るのに、同じベッドに居ない。
ウルスラが来ているから仕方ないと理性が冷静に分析するも、疼く感情が訴える事はただひとつ。
エーリカと一緒に居たい。一緒に寝たい。キスしたい。いちゃいちゃしたい。
……これじゃ四つか。
トゥルーデはぼんやりと考え、再び毛布を被った。しかし数分と経たずに、またさっきの謎の“感覚”に襲われ、がばと身を起こした。
「私は……そんなに欲情に飢えているとでも言うのか? まさにヘンタイだな」
苦笑いし、毛布を頭からかぶり、何とか寝ようと試み……また暫く経って、喘いで起きた。
翌朝。朝食の席に現れたトゥルーデを見て、美緒は驚きの声を上げた。
「どうしたバルクホルン、何があった? 随分とやつれたな」
「……そう見えるか、少佐?」
げっそりとしたトゥルーデを、心配そうに見る美緒。
「何か悪いモノでも食べたの?」
ミーナも気になったのか、トゥルーデの顔を覗き込む。
「そんな筈は無い。皆と同じモノを食べている」
余りの変貌ぶりに、ペリーヌまでもがトゥルーデに声を掛ける。
「大尉、どうされたのですか? お身体が悪いとか。医務室に行かれては如何ですか?」
「問題無い。……ただ、自分でもどうしてこうなったのか、訳が分からないんだ」
トゥルーデの曖昧な答えに、首を傾げる美緒とミーナ、ペリーヌの三人。
「またまた堅物は〜。ハルトマンが恋しいって素直に言いなよ」
横から軽口を叩くシャーリー。
「なっ? そんな事は無い。恋しいも何も無い。それにたった一晩位で……」
「強がるところもまた堅物だね〜。あたしは違うぞ? なあルッキーニ」
「ウニュニュ シャーリーだいすき!」
「お前達は自由過ぎるんだ、リベリアンにルッキーニ!」
腐ってもそこはトゥルーデ、怒る所は変わらない。
「姉様、501は面白い所ですね」
「でしょ?」
そんな一同を後目に、ハルトマン姉妹はゆっくりと朝食を取った。
その後、昼間は新兵器の試験とやらで各ウィッチ……夜間哨戒明けで寝ていたサーニャまでも……を連れ出し、
見た事もない武器をずらりと並べ、射撃テストを行った。
機関銃各種、ロケット弾の改良型、対戦車ライフルの強化版など、種類は多岐にわたった。
滑走路端から海上の模擬標的への試射、ストライカー装着状態での試験など、普段の訓練とはまた違う体験の数々に
隊員達は興味津々と言った様子だ。
日も暮れかかった頃、ようやくテストは終了した。武器を片付けた後、ウルスラは隊員達に礼を言った。
「皆さんの協力のお陰で、貴重なデータが収集出来ました。感謝します」
そしてウルスラは実験データをびっしり書き込んだ書類に目を通し、満足そうに頷いた。
「あとは……」
「? まだ何か有るんですか?」
「いえ。大丈夫です」
ウルスラの視線の先には、げっそりしたままのトゥルーデが居た。
- 30 名前:please, my sister 05/07:2010/03/15(月) 22:09:06 ID:Sny.WIhc
- ふらつくまま、食事もろくに取らずに自室へと戻り、ベッドに突っ伏すトゥルーデ。
殆どと言って良い程、疲れる事はしていないのに、何故か疲労困憊の有様だ。
もうダメだ。
今日は寝よう。
そう思い、毛布を掛けて目を閉じる。
が、またあの感覚に襲われ身体が身悶え、髪の毛まで逆立ち、悲鳴に近い喘ぎ声を上げ、がばっと起き上がった。
「また、か。何なんだ一体」
トゥルーデは荒く息をつき、ベッドから這いずり出ると、そのまま立ち上がる事無く身体を這わせたまま廊下に出た。
「アレ? 大尉何ヤッテンダ? 新しい訓練カ?」
偶然にも、エイラとサーニャに出くわした。
「ああ。二人とも」
「大尉、顔色悪いゾ……ってか悪過ぎダゾ」
「バルクホルンさん、どうしましたか」
「いや、何でも無いんだ」
「何処がダヨ」
「本当に何でも無いんだ。まあ強いて言えば、悪霊に取り憑かれたみたいな……」
「そう言えバ、この基地は昔修道院として使われてて……」
「その話は前に聞いた」
「そう言えばそうだっタ。まア、大尉に限ってそんなのはネーヨ」
笑いかけたエイラを、サーニャがたしなめる。
「エイラ」
「ああっゴメンな大尉。ほんの冗談ダヨ、冗談」
「……あれ」
「? どうかしたか大尉?」
トゥルーデは不思議と身体が軽くなるのを感じていた。部屋に居ると謎の感覚に襲われるが、廊下では何も無く、
普段、本来のコンディションに戻る。
「何故だ?」
トゥルーデが疑問を口にする。
不意に、サーニャの魔導レーダーが、ばっと光った。
「サーニャ、どうしタ? ネウロイなのカ?」
サーニャは魔導レーダーを出したまま途端に顔を真っ赤にして、エイラの服の袖をぐい、と思い切り強く引っ張った。
「な、何ダヨどうしたんだサーニャ、様子ヘンダゾ?」
サーニャの異変に驚くエイラ。
「エイラ、しよ? 今すぐ」
「え? エ? ……エエエ!?」
意味が分からないまま、エイラはやる気満々のサーニャに引きずられ、そのままエイラの部屋に籠もってしまった。
丁寧にがちゃりと鍵まで掛ける辺り、サーニャの入念さと本気が窺える。
「サーニャにまで異変が……確か、何かに反応していた様な……」
トゥルーデは辺りを見回した。何も無い。ごく普通の廊下、ごく普通の基地……
普通でないのは……そう言えば……。
- 31 名前:please, my sister 06/07:2010/03/15(月) 22:09:37 ID:Sny.WIhc
- おもむろにエーリカの部屋に踏み込むトゥルーデ。
いつ持ち込んだのか、エーリカの部屋は多くの機材が建ち並び、さながら実験室の様相を呈していた。
そしてトゥルーデの部屋に向かって、直径六十センチ程の小型アンテナが何本も立てられている。
「こ、これは……私の部屋に向けられているじゃないか」
「流石はカールスラント空軍が誇るエース。勘付くのも早いですね」
「お……お前らか! お前らの仕業か! 夜な夜な私にヘンな事をしていたのは!」
「これも全部ウルスラ・ハルトマンって奴の仕業なんだ」
「お前もだエーリカ!」
耳元で囁いたエーリカの首根っこを掴むと、双子を揃ってベッドに座らせた。
「さて、じっくり話を聞こうじゃないか」
「大した事有りません」
「大アリだ! この二晩の私の苦しみと言ったら……」
「本当に苦痛でしたか?」
「……っ!?」
思わず身体を隠す様に腕を交差させるトゥルーデ。そして改めて言葉を続ける。
「ともかく、何でこんな事を」
「姉様の旦那様……いえ、お嫁様かは分かりませんが」
「そう言う言い方はエーリカと同じなんだな」
「トゥルーデ姉様がどんな方なのか、知りたいと思いました」
「だからって、何を知ろうとしてたんだ。根本的におかしいぞ。まるで人体実験じゃないか。
私の部屋の前を通り掛かったサーニャも様子がおかしくなっていたぞ」
「ああ……多分ここからの電波を拾ったんだと思います。大丈夫、数時間で元に……」
「で、電波? ウルスラ、電波ってどう言う事だ!? 何の電波だ?」
「分かったトゥルーデ。」
エーリカが言葉を遮る。
「ウーシュ、この装置付けっぱなしにしてさ、私達三人で向こうに行ってみようよ」
「それは……」
「トゥルーデが楽しんだみたいに、きっと楽しめると思うよ」
「エーリカ、お前って奴は……」
「トゥルーデ、そんなに良かったの?」
「よ、良くない!」
「それはおかしいですね。肉体的な快感を与える様にセッティングした筈……」
ウルスラの前にトゥルーデが立ちはだかる。
「やはりそう言う事か」
「はい」
「よくも私をオモチャにしてくれたな!」
「だが私は謝らない」
「謝るとかそう言う問題じゃない! とっととこの物騒な装置を……」
「行こうトゥルーデ、ウーシュ。面白いよきっと」
「だからそう言う問題じゃないと……」
「じゃあ、この部屋に電波を集中させよう」
エーリカはそう言うと、アンテナの向きを変え、何かの装置のダイヤルを適当にぐるりと回した。
途端に三人の身体がびくりと痙攣し、がくがくと震え、数分しないうちに全員が絶頂を迎え、ベッドに仰向けになった。
「エーリカ……だから止めろと言ったんだ……よりによってこの三人で……」
「いいじゃん。これ、面白いかも。せっかくだから三人で楽しもうよ」
「そもそもこれは何の装置なんだウルスラ……うひゃっ!?」
「うう……我慢出来ない……んあっ」
「ウーシュも可愛いよ」
「こら、姉妹で何をやっ……ん、あああっ……」
「トゥルーデも一緒に、ね……」
エーリカは快楽に身を任せ、ウルスラを抱き、トゥルーデに濃厚なキスをして、そのまま身体をびくつかせた。
やがて日が昇る頃、服も髪もぐしゃぐしゃに乱れきった三人は、ようやく止まった装置を後目に、
ぐったりと疲労しながら、緩く抱き合っていた。
「ウーシュってあんな声出すんだ。可愛いよ」
「姉様だって……それに、トゥルーデ姉様も随分と」
「うっうるさい! こんな装置で身体を玩ばれるなんて……」
「でも、気持ち良かった筈ですよね?」
「……」
「否定しないんだ。私は面白かったからいいかな」
「何処まで楽天的なんだ、エーリカは」
「ウーシュも自ら実験に加われて良かったんじゃないの?」
「……ええ、まあ」
顔を赤らめて恥じらいの表情を見せるウルスラ。トゥルーデは彼女を見て、溜め息を付いた。
本当に同じ、双子の姉妹なのか? と。いやむしろ双子だからこそ、この様な悪魔的天才による悪魔的実験を
行うのだろうと思いを巡らす。
「とりあえず、この装置を片付けたら……」
トゥルーデはゆっくりと身体を起こし、エーリカとウルスラの身体も起こした。
「身だしなみついでに、朝風呂に行こう。こんなみっともない格好じゃ、皆に何て言われるか分からない」
- 32 名前:please, my sister 07/07:2010/03/15(月) 22:11:39 ID:Sny.WIhc
- 帰りの日。
501近くの空港でスオムス行きの飛行機に乗り込むウルスラ。見送りに、基地からトゥルーデとエーリカも来た。
「では、お元気で、姉様、トゥルーデ姉様」
「ウーシュも元気でね」
「身体に気を付けろよ」
「大丈夫。私にも、頼もしくて楽しい仲間が居ます」
「それは良かった」
「今度紹介してよね」
「勿論です。それに、確かめたい事がはっきりして、良かったです」
「確かめる? 何を?」
「お気になさらず」
「そう言われると気になる……まさか」
「まあまあトゥルーデ。ウーシュの考える事は大体分かるよ」
「姉様……」
「ま、分かってくれただけでも、ウーシュの姉として、トゥルーデの……旦那かヨメかは分からないけど
ちょっと嬉しいかな」
「あのなあ」
呆れるトゥルーデに、ウルスラが声を掛けた。
「あの」
「? どうしたウルスラ」
「例の装置の事は、どうかご内密に。まだ試作段階ですので」
「あれで試作なのか? 一体何を作ろうとしているんだ」
「秘密です」
「ウーシュずるーい。教えてよ」
「姉様にも内緒です」
そろそろ出発の時間となった。
ウルスラは最後の荷物を積み込むと、鞄を肩に掛け、飛行機に向かった。
「ではまた」
「また近いうちに会おう」
「楽しみにしています」
「元気でね」
「ご武運を……あ、そうだ」
トゥルーデに近付くと、耳を貸せ、とジェスチャーするウルスラ。
「? どうした? 飛行機のエンジン音で聞こえないのか?」
トゥルーデが耳を貸すと……ウルスラは耳元で囁くと見せかけ、トゥルーデのほっぺにそっとキスをした。
「……ッ!」
「妹からの、愛情の証です。では」
「ウーシュいつの間にそんな事覚えたのよ」
「今度お話しします」
それだけ言うと、はにかみながら笑顔を見せ、タラップを昇っていった。
ウルスラと機材を乗せたJu52/3mは、カールスラント空軍から送られてきた護衛のウィッチに守られて、507JFWに帰って行った。
飛行機の姿が見えなくなるまで、ぼおっと機影を見つめるトゥルーデ。
「ちょっと、トゥルーデ」
「何だエーリカ」
「ウーシュに何したのよ?」
「したんじゃない。されたんだ」
「まあ、そっか」
「あのなあ……ウルスラが来てから、私がどれだけ苦しめられたか」
「でもウーシュ、楽しそうだった。そこはちょっと、ほっとしたかな」
「そうか。まあ、その事に関しては良かった」
「でも」
エーリカはトゥルーデの腕をぐいと引っ張ると、強引にキスをした。
「幾ら実の妹でも、トゥルーデは渡さないよ」
「大丈夫だ、心配するなエーリカ。幾ら姿がそっくりだからとは言え、二人は……」
「本当かな〜?」
にやけるエーリカ。そして空をもう一度ちらりと眺め、不敵な笑みを見せた。
機上の人となったウルスラは、トゥルーデの事、エーリカの事を考えていた。
「お幸せに」
そう呟くウルスラ。そして、トゥルーデをもう一度思い返した。
「姉様が夢中になるのも、無理ないか……」
エーリカの弾ける笑顔を思い返し、
「ずるい」
自然と呟いてしまう。
そして、はっと気付く。
嫉妬の言葉が誰の何に向けられたか、ウルスラはあえて考えない事にした。
鞄から本を取り出し目を通しているうちに、軽い眠気に襲われ、程なくして身を任せた。
end
- 33 名前:名無しさん:2010/03/15(月) 22:12:16 ID:Sny.WIhc
- 以上です。
本当はウーシュと他の隊員達の交流とかも書きたかったんですが
そこまで力及ばず……。ネタは有ったんですけども。
ウーシュが装置を使ってどんな電波を出していたかはご想像にお任せします。
ではまた〜。
- 34 名前:名無しさん:2010/03/16(火) 10:40:04 ID:utXYrcos
- ウルスラさんなにしてんすかwwww
面白かったです、GJb
- 35 名前:19:2010/03/16(火) 21:25:39 ID:FSQgSbfg
- さっきDSでトゥルーデといちゃついてきたら試験中ニヤニヤがとまらへんかった・・・
呼び方変わっただけであれは反則すぎだろ、もしジュンジュンとトゥルーデくっついたら確実に血液不足するw(鼻血的な意味で
それに比べてエーリカ他多数キャラの冷遇っぷりといったら・・・あのイベントのどこに萌えろと・・・。スタッフに愛が足り無さすぐる。。。
そんな教習所の夕方と夜・・・。うーむ、紙にSS書いてがんばって写してみようかなw
- 36 名前:名無しさん:2010/03/17(水) 11:50:02 ID:Sbp3yBMs
- がんがれ、超がんがれ
- 37 名前:名無しさん:2010/03/17(水) 20:14:23 ID:99HFPByw
- ラジオシリーズとスオムス喫茶シリーズのファンです。
何時も楽しみにしています。
頑張って下さい
- 38 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/03/19(金) 22:27:56 ID:LLOQ2aLU
- こんばんは。mxTTnzhmでございます。
今回も保管庫No.0450「ring」シリーズ続編です。
No.1186「touch-and-go」も微妙に絡んでいますが適当に。
今回は、賑やかなお花見というのをイメージして書きました。
適当ですがご勘弁を。
- 39 名前:flowers 01/04:2010/03/19(金) 22:28:25 ID:LLOQ2aLU
- その日の明け方早く、シャーリーの部屋で、二人は至近距離で顔を付き合わせていた。
「しかし意外だね〜、堅物の方からやりたいと言ってくるとは」
「違うだろリベリアン。私の本心じゃない」
「またまた〜。あたしが恋しくなったんだろ?」
「ち・が・う! 誤解を招く様な言い方をするな」
「またまた〜。ロンドンのあの事思い出して」
「こら、それは言うな!」
ドアががんがんとノックされる。
「なにやってんの二人とも? 早く出てきなよ〜」
「ああ、ルッキーニ、今行く、ちょっとドアから離れてろよ! さて、じゃあそっち持って、ゆっくり持ち上げて」
「てっきり私ひとりで持たされるのかと思った」
「あたし自作の大事な道具だからね〜。他の奴には触らせないんだ」
「じゃあなぜ私に手伝えと?」
「……分かってるくせに」
いじらしい目で、トゥルーデを見るシャーリー。
思わず手の力が抜けかけ、持っていたバーベキューセットを落しそうになる。
「あぶねっ! ちゃんと持てって」
「お前がヘンな事を言うからだ!」
「真に受ける方がどうかしてる」
「からかう方もどうかしてる」
「トゥルーデ、どうかしたの?」
ドアが開き、エーリカが様子を覗き込む。彼女のすぐ下にはルッキーニも居た。
「大丈夫、今から出る」
「よーし、出発〜」
501基地の庭の中、春になると鮮やかな花を咲かせる木が有る。
扶桑人の言う「桜」と言う木だ。
静かに花見、と言うのも乙なものだが、「なんだか物足りない」と誰かが言ったのを皮切りに、
じゃあバーベキューでもやろうかと話が膨らみ、シャーリーとトゥルーデが準備する事となった。
張り切った一部の隊員達は、普段よりも早起きし、準備に取り掛かった。
「食材の方はどうなってる?」
「ほいほい〜。リーネ軍曹と芳佳軍曹が下ごしらえ実行中でありますぅ〜」
シャーリーの問いに、ルッキーニが茶化しながら話す。
「ミーナにはこの話、ちゃんと伝えたか?」
「後で少佐と一緒に来るってさ」
トゥルーデの脇をくすぐりながらエーリカが答える。
「こらくすぐるなエーリカ! 力が抜ける」
「落すなよ堅物、これ結構手間掛かってるんだからな」
「大丈夫だ」
- 40 名前:flowers 02/04:2010/03/19(金) 22:28:49 ID:LLOQ2aLU
- 桜の木からやや離れたところにバーベキューセットを設置すると、同じく準備した炭や火種をセットし、
さっそくもくもくと煙を出し始めた。
「う〜ん、今日も良い調子だ」
バーベキューグリルの空気調節弁をいじりながら、満足そうに笑みを浮かべるシャーリー。
「まるで炭焼き職人だな」
その様子を腕組みしながら眺めるトゥルーデ。
「いいじゃないか。今日はグリルも持ってきてるんだ」
「グリル? あの火柱を派手に上げる網焼きか」
「そうそう。手軽なのが良いんだよ」
そこへルッキーニがボウルに入った食材を持って現れた。
「ダジャーン!! 食材とうっちゃく〜 まずは魚と、エビと、カニね」
「魚とかはグリルで焼いた方が良いな」
「芳佳が食べやすいようにって切ってくれた〜」
トングで切り身を掴み、シャーリーに見せる。
へえ、と呟いたシャーリーは、他のボウルも覗き込んだ。数種類の海老や蟹に混じり、見慣れない海洋生物の姿を見つける。
「ルッキーニ、それは?」
「イカ」
「イカって言われても……」
そこに、肉や野菜を持って芳佳とリーネがやって来た。
「なあ宮藤、これ何だ?」
「烏賊ですね」
「名前は良いんだけど、どうすんだよこれ」
「芳佳とリーネと、港行ったら、漁師さん捨ててたからもらって来た〜」
呑気に答えるルッキーニ。
「これ、食べるのかよ?」
驚くシャーリ−。
「ロマーニャじゃ食べるよ?」
「私の国でも食べますけど……他の国ではどうでしょう」
「なんか、ヌメヌメして、足いっぱいあって……やっぱり気持ち悪いよ、芳佳ちゃん」
「うーん」
そこへやって来たのは美緒とミーナ。美緒が烏賊を見て言った。
「ほら皆、食べ物を無駄にするなよ。よし宮藤、ここはひとつ、焼き烏賊を作れ」
「焼き烏賊ですか」
「焼き烏賊なら大した手間も掛からんだろう。これだけ新鮮なら、残ったワタを使って塩辛も良いな……私は作れんが」
「分かりました。厨房借りますね。ちょっとやってみます」
「おお、宮藤チャレンジャーだな」
「私はこれから烏賊の下ごしらえと、塩辛作ってきます。リーネちゃん、お肉とお野菜宜しくね」
「分かった、芳佳ちゃん」
「リーネ、野菜は後でこっちの網焼きで焼いてくれ。で、肉は今すぐバーベキューグリルに入れてくれ。ちょっとむせるぞ」
「はい」
「みんな楽しそうね」
ミーナが微笑む。
「普段の教練の時も、皆これ位元気だと良いんだがな」
複雑な表情の美緒。
「まあまあ」
苦笑するミーナ。
- 41 名前:flowers 03/04:2010/03/19(金) 22:29:10 ID:LLOQ2aLU
- 陽も真ん中を過ぎ、皆の腹が空いた頃、バーベキューグリルでじっくり焼いた肉が出来上がった。
芳佳も焼き烏賊用の切り身と塩辛を作り、扶桑酒と一緒に持ってやって来た。
頃合いを見計らったかの様に、エイラと眠そうなサーニャ、そして何処からともなくペリーヌが現れ、全員集合となった。
「よし、皆グラスを持て!」
美緒が音頭を取る。
「今日の良き日に、乾杯!」
「「「「「「「「乾杯!」」」」」」」」
「イエ〜」
「ワキャー」
ゆっくりグラスを傾ける者、一気に呷る者、それぞれが楽しく飲み物……一部アルコール類……を楽しむ。
「肉焼けたぞ〜みんなもってけ〜」
シャーリーがホロホロに焼けた肉を皿に取り分け、皆に回す。
芳佳とリーネは網焼きの上で野菜を焼き、隅で魚や甲殻類、烏賊を焼いていく。
「おお宮藤、塩辛出来たか! どれどれ」
美緒は嬉しそうに箸でつまむと一口食べた。
「良い感じだ。明日になったらもっと味が馴染むな」
「はい」
「でも、この塩梅でも丁度良い。酒が進むぞ!」
豪快に笑い、扶桑酒をぐいと飲んだ。
「ミーナも塩辛どうだ?」
「じゃあ少し。……あら、意外と美味しいのね」
「わたくしには、磯臭さがどうも……」
「ペリーヌさん無理しないで下さい。リーネちゃん、お肉取ってあげて」
「はいどうぞ」
「あら、気が利きますのね。有り難う」
じっくり焼かれた肉を堪能し、一息つくペリーヌ。そこへ美緒が大ぶりの海老を皿に盛ってやって来た。
「ペリーヌ、無理せずに海老でも食え! これは鬼殻焼きと言ってな、縦真っ二つに包丁で割った海老を焼くんだ」
「は、はあ」
「こうやって、殻を剥いて……どうだ、食べてみろ」
「随分素朴な料理なんですね。……美味しい」
「だろう? シンプルなのは美味い!」
笑う美緒。ミーナも横で微笑んでいる。
「じゃあ美緒、私も頂こうかしら」
「おお。海老も蟹も有るぞ。好きなのを選べ、私が身をとってやるぞ」
ミーナは大ぶりのロブスターを選んだ。美緒はいとも簡単に身をほぐしミーナに食べさせた。
「これも美味しい」
「そうか、良かった良かった」
「坂本さん、焼き烏賊出来ました」
「おお、待ってたぞ宮藤! この醤油の香ばしさがまたたまらんなあ! 美味い!」
焼き烏賊をかじりながら扶桑酒を飲む美緒。いつになく上機嫌だ。
「焼き烏賊、何かゴムみたいな感触ね」
もぐもぐと噛み続けながらミーナが苦笑した。
「そうか? この味がまた良いんだがな。少し醤油を付けると食べやすくなるぞ」
「芳佳ぁ〜あたしにも焼きイカちょーだい!」
「熱いからふーふーして食べてね」
「いっただきー アチッ」
「ほらーもー言ったのにー」
「うん。でもおいしい!」
「良かった。喜んで貰えて」
「芳佳の作る扶桑の料理、変わったの多いけどあたしすきー」
「ありがとうルッキーニちゃん」
- 42 名前:flowers 04/04:2010/03/19(金) 22:30:40 ID:LLOQ2aLU
- 「芳佳ちゃん、一段落付いたら一緒に食べよう?」
「分かったリーネちゃん」
「じゃあ、シャーリーさんからお肉貰ってくるね」
「有り難う」
一方で、木陰に陣取る北欧カップル。バーベキューの皿を手に、桜を見上げている。
エイラが肉を一口食べた。
「シャーリーのバーベキューは美味いナ。サワークリームとベリーのジャムが有るともっと嬉しいケド」
「贅沢言わないの」
「分かってるッテ。サーニャが横に居てくれるだけで私は十分ダゾ?」
「エイラったら」
サーニャは笑って、グラスの飲み物に口を付けた。そしてエイラの顔を見た。
「ねえエイラ、口汚れてるよ」
「エ、ホント?」
「私が取ってあげる」
そのままエイラと唇を重ねるサーニャ。
「うはー、見せつけるなあ!」
「もう二人結婚しちゃえよ」
ちゃっかり見ていたまわりの隊員達から冷やかされるエイラとサーニャ。
「そ、そんなんジャネーヨ……」
「エイラ」
全く気にせず、腕を絡めてくるサーニャ。拒めず、困った顔をしながら肩をそっと抱き寄せるエイラ。
「ひゅーひゅーやるじゃーん」
「こらエーリカ。二人とも困ってるだろ」
「じゃあ、私達もやろうか?」
「競ってどうする……」
悪戯っぽい笑みを浮かべるエーリカ。これは何か企んでる顔だと直感したトゥルーデは一歩身を引いた。
「逃げないのトゥルーデ」
「何かしようとしてるだろう」
「もちろん」
「ほら堅物、肉焼けたぞ。食わないのかい?」
「いや、貰おう。私は、お前の国の焼肉は嫌いではない」
「素直に『美味いから好きだ』って言えないのかね〜」
「トゥルーデだからね〜」
「あはは、ハルトマンが言うと説得力有るな」
「な、なんだと?」
「トゥルーデ、はい、あーん」
「えっ、いや別に……あーん」
「美味しい?」
「あ、ああ……うん」
にやけるエーリカ、顔を真っ赤にするトゥルーデ。
「これだから二人は〜」
「ふたりわ〜 ニヒャヒャ」
シャーリーの胸にもたれかかるルッキーニ。
「あたしにはやってくれないのシャーリー?」
「ほい、あーんして」
「あーん」
「今日は皆浮かれてるな」
美緒が周囲を見渡し、呆れた表情を作る。
「貴方だってそうじゃない?」
ミーナが美緒の横にそっと佇み、控えめな笑顔で言った。
「たまには、こういうのも良いんじゃない?」
隊員達を包み込む桜の花。
ふと、一陣の風が舞い、花吹雪となり、皆を包んだ。
「なるほど。確かにミーナの言う通りだ。良いかもな」
「美緒ったら」
二人はそっとグラスを合わせ、きゅっと飲み干し、微笑んだ。
end
- 43 名前:名無しさん:2010/03/19(金) 22:31:39 ID:LLOQ2aLU
- 以上です。
特に盛り上がりもなければオチも無いと言う……。
ただ、のんびり&和やかな日常を書いてみたかっただけで(汗
そろそろ花見の季節ですね。
ではまた〜。
- 44 名前:laevatein ◆nc1Kth5AW6:2010/03/20(土) 16:22:38 ID:ckM3YKOM
- 上空。飛び去る一機の機影。渦柄のプロペラシャフトは、無骨とも
言うべきフォルムとは似つかわしくない優雅さで以て、大空を舞っていた。しばしの
空中散歩の後、機は踵を返して巣へと戻り行く。その気高き翼は、一度はもがれながらも
尚空にこだわり続けた、いわば空の僕の果ての形であった。
* BLUE SKY *
「異常なし。帰投する」
哨戒飛行という名目の下、空中散歩を楽しんだゲルトルート。しかしそろそろ
飛行時間の限界が近くなったため、帰路へつくことにした。
フラッケウルフ、Fw190。その中でも彼女の駆るD~6型、プロトタイプのエンジンが
生み出すパワーは、魔導エンジンに勝る勢いで機を推し進める。魔導エンジンの独特のサウンドや
振動、何よりあの自由な操縦感覚は手放し難いものがあるが、戦闘機も
決して悪くない。ウィッチ程とは呼べないまでも、ある程度の自由な
操縦感覚。ウィッチと共に飛べる速度。そしてそれらを超越して、
今の彼女にとってはこの空からの景色が楽しめるだけで、素晴らしい翼と言えた。
- 45 名前:BLUE SKY (2):2010/03/20(土) 16:43:09 ID:ckM3YKOM
- 現在のゲルトルート・バルクホルン少佐に、自らの体を飛ばす程の魔力はない。
せいぜいネウロイの障気から身を守る程度のものである。それもネウロイの絶えた
今となっては必要とされず、それでも空に魅入られた彼女は、こうして"哨戒飛行"に
出る他なかった。一応戦技教官や緊急時の指揮官は務めるものの、訓練生の
少ないこの基地において、戦闘機での戦闘経験のないパイロットなどお役御免だ。
まだウィッチ候補生が多数いれば居場所もあるのだろうが、ネウロイのいない
今ではそれも望めない。今や軍がゲルトルートのわがままを聞いていると
言っても過言ではなかった。
「でも、大・・・じゃない、少佐なら当然だと思います」
「は? いきなりどうした」
「いや、いつもパイロットって立場に疑問を持っていらっしゃるじゃないですか」
「・・・まあな」
つい最近、転属になった通信兵。ミーナと同じく、管制業務と戦闘員を
兼任するウィッチだ。
「でも、あれだけの活躍をされたんですから、空に残りたいと思うのも、
それをきいてもらえるのも当然だと思います」
「あのな、レンナルツ。本来軍というのは常に戦力の求められる場だ」
「で、でも・・・」
- 46 名前:名無しさん:2010/03/20(土) 16:46:50 ID:ckM3YKOM
- 車校の人ことlaevateinであります。トゥルーデ誕生日SS書いたんですが(紙にて)、あいにく時間がなく写しきれず・・・orz
続きは明日ということで・・・ごめんよトゥルーデ・・・orz
路上教習楽しいです、はい
- 47 名前:名無しさん:2010/03/20(土) 18:07:16 ID:hi/bnlEk
- >>46
誕生日SSGJ! 続き待ってます。
ついでに要らぬ助言。
3月からGW辺りまでは何処も道混雑しがち(特に大都市圏)
だから路上教習大変だと思うけど頑張れ。
ぶっちゃけ路上教習終えて免許取ってからが「本当の勉強の始まり」「日々勉強」
だと、私の担当だった鬼教官が言ってました。
(自身の少ない経験からは)全くその通りだと思うので……
まあ何が言いたいかと言うと、サクっと免許取ってしまえ〜。頑張れ若者。
- 48 名前:BLUE SKY (3):2010/03/21(日) 14:01:20 ID:qk5NPWz.
- ヘルマは言い返そうとしたが、ゲルトルートにかぶせられてしまい、それ以上
続けることができなかった。
「お前もいずれ分かる。わがままを聞いてもらえるほどに成績を残した頃にはな」
望んで手に入れたものに対してこんな評価だなんて、皮肉なものだ。しかし
それも、また飛べると喜んでいたあの時と冷静になった今とでは、考えが
変わるのも無理のない話であった。
だが、ヘルマは小さく漏らす。
「・・・かわいそうです」
「え?」
真意をはかり損ねたゲルトルートが聞き返すと、普段はゲルトルートに
憧れの眼差しを向けるヘルマが、珍しく厳しい口調で言った。
「ハルトマン大尉やヴィルケ中佐がかわいそうです」
・・・なるほどな、と思った。少しの間をあけて、ゲルトルートは長く息をはく。
最近、二人の元気がないと思っていたが、そういうことだったのか。
「最近、ずっと悩んでるんですよ、あのお二人」
「知ってるよ。・・・そうか、私のせいだったか」
「え、あ、いや、そういうわけでは
「いや、いいんだ。礼を言う、ありがとう」
ゲルトルートは深く背もたれに身を預け、大空を見上げた。不思議なもので、
空は空から見ても美しい。
- 49 名前:BLUE SKY (4):2010/03/21(日) 14:19:52 ID:qk5NPWz.
- 「・・・そうか」
「・・・だから、少佐は笑っていてください」
「ああ、そうさせてもらうよ。ありがとう」
まだ振り切ることはできないけれど、それでも。少しでも笑っていようと、
ゲルトルートは前を向いた。それきり会話は途絶えたが、二人は妙な安堵感に包まれていた。
・ ・ ・ ・ ・
半年ほど前の三月。ウィッチを卒業したゲルトルートが地上勤務に就いて、
二月が過ぎた頃だった。
「新型機の納入?」
「うん。今度の二十日」
「ふうむ・・・」
プロトタイプが新しく納入される、という話だった。エーリカから聞いた
それに持った最初の感想は、この基地にそんなものを操れるウィッチなど
居ただろうか、という至極現実的なものだった。もう空には上がれぬ身の
ゲルトルートにとって、新しい翼など手の届く代物ではない。そうなると、
興味が薄れるのも必然であった。
「・・・気にならないの?」
「まあ、もう空の人間ではないからな」
「そう・・・」
少し残念そうにするエーリカが印象的だったが、すぐに顔は入れ替わり、お披露目の際には立ち会ってほしいという業務連絡に変わった。
- 50 名前:BLUE SKY (5):2010/03/21(日) 14:38:04 ID:qk5NPWz.
- 士官であるゲルトルートが、テストとはいえ新型の納入に立ち会わないのは
問題だろう。ゲルトルートは快諾すると、エーリカと雑談に興じた。
・・・だが、ゲルトルートの読みは大きく外れることとなる。
迎えた三月二十日。ハンガーに向かったゲルトルートの目に留まったのは、
嘘のような光景だった。
「え・・・」
「あ、トゥルーデ!」
嬉々として走り寄ってくるエーリカ。ゲルトルートは、ただ呆然と
立ち尽くすのみだった。
そこにあったのは、グレーのシートに覆われた一機の戦闘機。この基地で
パイロット免許を持つ者は多くなく、すでに全員に一機ずつ割り当てをもらっている。
・・・否、唯一例外がある。ゲルトルート・バルクホルン少佐は、
パイロット免許を持ちながらも未だに機体を与えられていなかった。まさか、と思う。
「バルクホルン少佐、貴女には機体がない」
「は、はい」
基地指令直々に言われ、少しばかり気迫に圧される。だが、次に放たれた言葉には、
流石に絶句せざるを得なかった。
「こいつがこれからの君の愛機だ」
指令官がそう言うと、シートが丁寧に外される。
- 51 名前:laevatein ◆nc1Kth5AW6:2010/03/21(日) 14:43:58 ID:qk5NPWz.
- また夕方に続きを書きます(この後学科のため・・・
今日は峠走ってきました、楽しかった・・・
助言ありがとうございました。日々向上心を忘れないようにします。
つかPSP、打ちにくい上に変換がIME未満・・・
嬉々とか流石とかなんで出ないん・・・流石をりゅうせきで変換するとか小学生以来や・・・
- 52 名前:名無しさん:2010/03/21(日) 18:27:21 ID:WVox2rCM
- 行きつけのゲームショップの新品コーナーに
PS2版ウィッチーズのパッケが並んでて
「絶賛SALE中!」となっててびびった。
まだ出てもいないのに(予約でもないのに)あれは一体何だったんだ……。
- 53 名前:BLUE SKY (6):2010/03/21(日) 19:20:25 ID:edbHKdwQ
- ・・・ゲルトルートのかつての愛機と、全くといっても過言ではないほど
似通ったフォルム。無骨さの中に比類なき強さのイメージを持つその機は、
あまりに眩しい。それもそのはず、その塗装はゲルトルートのストライカーと
全く等しかったのだから。
この機が誰かの愛機となり、そのオサガリを譲り受ける・・・、
それだけでも夢物語だと思っていたゲルトルートにとっては、あまりに
予想外すぎる展開であった。
「い、いえ、ですが
「トゥルーデ、前から飛びたがってたじゃん」
「だ、だが
「それともう一つ、君の親友から手紙だ」
指令官はそういうと、一通の手紙を懐から出し、そして・・・
「『トゥルーデ、お誕生日』」
・・・無数のクラッカーの炸裂音が、一度に重なった。
『おめでとうございまーす!!!』
そこに集まっていた全員から、そんな言葉を投げられて。ゲルトルートの
頭は真っ白になった。
「続きだ。『いつかまた、空で会える日を楽しみにしています』」
・・・ミーナもまた、アガリを迎えると同時にパイロット免許を取得した。
つまりは、そういうことなのだろう。
「国からの誕生日プレゼントだ。受け取りたまえ」
- 54 名前:BLUE SKY (7):2010/03/21(日) 19:38:26 ID:edbHKdwQ
- ゲルトルートの膨大な戦果は、ただそれだけで価値のあるものだ。だが
祖国奪回戦闘における戦果は、それに増し加えてさらに大きな意味を持つ。
守れなくとも、取り返した・・・、それだけでも、専用機授与という報酬でも
足りないほどの成果だった。
「トゥルーデ。乗りなよ」
エーリカが、笑みを浮かべる。・・・だが、不意に疑問が頭をよぎった。
いくらまだ現役とはいえ、単純な撃墜数、僚機無損失、他様々な面において
エーリカはゲルトルートを上回っているはずだ。なのに、たとえ今日がゲルトルートの
誕生日であろうとも、エーリカに褒美が無いのは不自然だ。加えて言えば、
統合戦闘航空団の運営という大役を務め上げたミーナが型落ちの機体を
受領しただけというのも頷けない。それを問おうとして・・・しかし、
エーリカが無理矢理背中を押す。
「はいー、いいからちゃっちゃと乗るー!」
「おい、ちょ、待、まさか
「はいはーい、乗りましょうねー」
恥ずかしそうな笑みを浮かべるエーリカ。そこまでしたら、もう答えを
言っているようなものだ。・・・つまり二人は、自分を犠牲にしてまでゲルトルートに
新型を渡した。
- 55 名前:BLUE SKY (8):2010/03/21(日) 19:50:09 ID:edbHKdwQ
- ・・・そこまでされてしまっては、拒むことなどできるわけもない。
確かに、新しい機体などへの興味は薄れていた。それでも心のどこかでは、
可能ならば翼がほしいと切望していた身。拒む理由など、もはやなにもなかった。
ゲルトルートは小さく笑って、そして愛する友たちの自分へ向けてくれた
愛情の深さに、わずかな涙を浮かべながら・・・
ありがとう。大事にするよ。
・・・三月二十日。誕生日おめでとう、ゲルトルート・バルクホルン。
彼女は今日も、大空を舞い続ける・・・・・・。
fin.
でした。かなり急いだので、後日パソにて書き直します。ともあれ、トゥルーデおめでとう!
- 56 名前:BLUE SKY (8):2010/03/21(日) 19:50:09 ID:edbHKdwQ
- ・・・そこまでされてしまっては、拒むことなどできるわけもない。
確かに、新しい機体などへの興味は薄れていた。それでも心のどこかでは、
可能ならば翼がほしいと切望していた身。拒む理由など、もはやなにもなかった。
ゲルトルートは小さく笑って、そして愛する友たちの自分へ向けてくれた
愛情の深さに、わずかな涙を浮かべながら・・・
ありがとう。大事にするよ。
・・・三月二十日。誕生日おめでとう、ゲルトルート・バルクホルン。
彼女は今日も、大空を舞い続ける・・・・・・。
fin.
でした。かなり急いだので、後日パソにて書き直します。ともあれ、トゥルーデおめでとう!
- 57 名前:名無しさん:2010/03/21(日) 19:51:28 ID:edbHKdwQ
- だああああああみすったああああああああああああorzorzorzorz
ほんとすみません・・・
- 58 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/03/22(月) 19:47:02 ID:.eO8duJU
- >>57 laevatein ◆nc1Kth5AW6様
PSPでよく頑張ったGJ!
てか免許の方も頑張れと言うかそっちを(ry
こんばんは。mxTTnzhmでございます。
保管庫No.981「music hour」のシリーズです。
短いですがどうぞ。
- 59 名前:truth:2010/03/22(月) 19:49:08 ID:.eO8duJU
- ハ〜イ今夜も「STRIKE TALKING RADIO」始まりマシタ〜。
DJ兼MC、パーソナリティのエイラ・イルマタル・ユーティライネンでス。皆聴いてるカナ?
この番組ハ、サーニャのレーダー魔導針を通しテ、全世界の悩めるウィッチに秘密のラジオとしてお伝えしているンダナ。
夜間哨戒のついでじゃないカラナ?
今夜は久々にサーニャと二人で静かにまったりと進行するゾ。ゲスト? ……もう勘弁してクレ。
各方面から苦情だの色々来て困っ……イヤ、何でもナイ。
「人が多い方が、楽しいと思うけど」
いや確かにそうなんだけド、本来は私とサーニャの番組ダシ、いいじゃんカヨー。
「エイラがそう言うなら……でも」
分かったヨ! 分かったからその目は止めてくれサーニャ。色々な意味で怖イ……。
さて、今日もお便り来てるゾ。気分転換がてら早速読ませて貰うゾ。
まず一通目。所属他一切内緒希望、十代カールスラント出身の女子。
前にもこの人から来た事有ったナ。今度は何だろウ?
『エイラさんに質問です。次のストライカーの音を聞いて、機体を当てて下さい。
ブォォワアアアアアアアアアアアアーーーーーーーーーーーブィーン
当てたらご褒美、外れたらお仕置き。ではどうぞ』
ホホウ、挑戦カ。受けて立とう。ズバリ、言わせて貰うぞ。
……分かるカッ!
「珍しい、エイラのノリツッコミ」
サーニャも感心しなくて良いカラ。てか手紙の文面の、文字だけでどうやって判断しろって言うンダヨ?
絶っ対無理ダナ、無理無理! そもそもこれ聴覚じゃなくて視覚ダシ!
「じゃあ、エイラお仕置きされちゃうの?」
どうしてそうなるんだヨ? てかサーニャが私をどうかしたがってる顔してる気がスル……。
「代理処罰……」
意味が分からなイ!
「じゃあ帰ったら、お仕置きしてあげる、エイラ♪」
いや、だからネ……その嬉しそうな顔がまた……何でもナイ。
ではお時間となりましタ、今夜はこの辺で。
最後に、「サーニャのうた」を聴きながらお別れデス。
end
----
以上です。
元ネタは言わずと知れた(ry
まあ単なる冗談って事で……。
ちょっと思い付いただけなので深い意味はないです。
次はゲスト入れたいですね。
ではまた〜。
- 60 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/03/22(月) 22:48:26 ID:.eO8duJU
- こんばんは。mxTTnzhmでございます。
保管庫No.981「music hour」のシリーズです。
続けて投下しますがどうぞ。
- 61 名前:delightful 01/02:2010/03/22(月) 22:49:08 ID:.eO8duJU
- ハ〜イ今夜も「STRIKE TALKING RADIO」始まりマシタ〜。
DJ兼MC、パーソナリティのエイラ・イルマタル・ユーティライネンでス。皆聴いてるカナ?
この番組ハ、サーニャのレーダー魔導針を通しテ、全世界の悩めるウィッチに秘密のラジオとしてお伝えしているンダナ。
夜間哨戒のついでじゃないカラナ?
さてさテ、今夜はナント素敵なゲストをお招きしてるんだゾ! 勝手に付いてきたとかそう言うんじゃない……カラナ。
今夜のスペシャルゲスト、ナント二回目、501JFW「STRIKE WITCHES」隊長のミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ中佐デス! 拍手ゥ!
ぱちぱちぱちぱち〜
「こんばんは。また突然でごめんなさいね」
「人が多い方が楽しいですから」
「ありがとう、サーニャさん」
ホント、今回もありがとナンダナ、ミーナ中佐。
一応聞くけど今回のゲスト出演について、何か言いたい事とか伝えたい事とか、有るカナ?
「坂本少佐は私のですから」
またそれカヨ〜。
「ロマーニャの504JFWの方でまたも動きが……」
「美緒は私のですから」
もう分かったカラ! 何度も言わなくて良いカラ!
「大切な事なので二回言いました」
「お約束、って事ですねミーナ隊長」
「お約束……そうね、強いて言えば愛よ愛! みなぎる愛! ひとは愛が無くては……」
えーっと熱弁の途中で悪いケドお便り行くゾ。
まずは……ロマーニャの匿名希望十代女子さんから。
『恋人とのキスがうまくいきません。
私は私なりに頑張ってるんですけど、どうも長く出来なくて。息が詰まるって言うか。
エイラさん、どうすれば良いですか?』
微妙に漠然として難しい質問ダナ。ミーナ中佐はどう思うカナ?
「そうね。その子、キスが苦手なのかしら?」
そんな感じに読めなくもナイナ。
「キスはね、長さじゃなくて、上手かどうかで決まるのよ。上手いキスが出来るかどうか」
「上手い、キス……」
サーニャ、何で生唾飲み込んでるンダヨ……。
「そうよ、サーニャさん。キスを上手にすれば、時間なんてあっという間に過ぎて行くのよ? 分かったかしら」
「は、はい! ありがとうございますミーナ隊長」
サーニャが質問したんじゃないダロー! 何顔真っ赤にしてるんダヨー! ミーナ中佐もその誇る様な笑みヤメロー!
と、とにかくこの質問解決って事デ。とりあえず、ここで「サーニャのうた」ドウゾ〜。
- 62 名前:delightful 02/02:2010/03/22(月) 22:49:46 ID:.eO8duJU
- ひとまず和んだところで今夜最後のお便り。ラジオネーム「砂漠のとある鳥」さん。
オッ、アフリカからダゾ。
『私には好きな人が居るんですが、この前食事の席で
「お前には1番素の私が出せるんだよなぁ〜」と言われました。
これはどう解釈して良いんでしょうか? 分かりません。
エイラさんならどうしますか? 教えて下さい』
これは、どんな状況で、相手からどんな態度で言われたかによるだろウナ〜。
ミーナ中佐はどう思うカナ?
「一瞬心ときめくけど、冷静に考えると都合の良いただの友達って感じもするわね」
ちょっと毒舌チックだけどそう言う解釈もアリダナ〜。ちなみにサーニャは?
「エイラと同じ。時と場所と場合と態度によると思う」
ナルホド。
「でも、もっとポジティブに考える事も出来るわよ。
その人の前では素が出せる、って事はつまり『信頼できる仲』と言う訳でもあるでしょう?」
オオ! 流石ミーナ中佐! 良い事言ウ!
「そうよ、その通りよエイラさん。つまりはその先も有る……って解釈で良いのかしら?」
エッ、最後疑問形?
「希望を捨てずに、接していけば良いと思う……」
サーニャが無難にまとめたゾ。
てか何カ、今夜のミーナ中佐は微妙に飛ばしてる気もしなくないゾ。
「あら、何言ってるのエイラさん。気のせいよ気のせい」
なら良いんだけど。
「そうよ。だから、美緒は私のなの♪」
意味分かンネー! 今夜も結局ぐだぐだダ〜!
「では今夜はこの辺で。
最後に、ゲストのミーナ中佐の「リリー・マルレーン」を聴きながらお別れです。また来週」
エッ、最後サーニャがシメ? また来週っテ……
end
----
以上です。
ラジオシリーズは一旦走り出すと止まらない。
ではまた〜。
- 63 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/03/23(火) 00:13:59 ID:UPslmG2w
- こんばんは。mxTTnzhmでございます。
保管庫No.981「music hour」のシリーズです。
三連続投下ですがどうぞ。
- 64 名前:don't stop the music 01/03:2010/03/23(火) 00:14:28 ID:UPslmG2w
- ハ〜イ今夜も「STRIKE TALKING RADIO」始まりマシタ〜。
DJ兼MC、パーソナリティのエイラ・イルマタル・ユーティライネンでス。皆聴いてるカナ?
この番組ハ、サーニャのレーダー魔導針を通しテ、全世界の悩めるウィッチに秘密のラジオとしてお伝えしているンダナ。
夜間哨戒のついでじゃないカラナ?
今夜はナント! 501JFWから「サムライ」こと坂本美緒少佐がゲストで登場! 拍手ゥ〜。
ぱちぱちぱちぱち〜
「はっはっは。改めて紹介されると何だか照れるな」
つ、遂にこの日が来たカ……。
「どうしたエイラ? 何をそんなに怖い顔してるんだ?」
イヤッ何でもないゾ。いつもとおんなじ、まったり進行だからナ。
「で、私は何をすれば良いんだ? ミーナやサーニャみたいに上手く歌う事は出来んが、やれと言われれば別に構わんぞ?」
歌わなくて良いッテ! 何で歌う気満々ナンダヨ? 色々お便り来てるカラ、経験と実戦豊富な少佐がアドバイスしてクレヨ。
「なるほど、アドバイスか。経験と実戦、と言われても、空戦位しか私には無いが」
いやそこは真面目に答えて貰わなくテモ……。
「坂本少佐、宜しくお願いします」
「うむ、こちらこそラジオは初めてだ、二人とも宜しく頼む!」
微妙にやりにくいゾ……。
今日最初のお便り。ラジオネーム「扶桑陸軍のひと」さん。
「ほほう、扶桑からか。海軍からの手紙は無いのか」
無いナ。陸軍だってサ。読むゾ。
『今度私達、合同で野外演習を行う事になったんですけど、よりによってあの501と聞きました』
「『よりによって』、だと? 何か引っ掛かる言い方だな」
「エイラ、続けて」
ああ分かっタ。手紙最後まで読むから少佐も落ち着いて聞いてクレ。
『これって別にヘンな意味じゃないんですけど、ずっと扶桑陸軍に居た私達にとっては超アウェーみたいな感じで、
どうやってあの501の凄いエースの人達と接すれば良いか、全然分かりません。
エイラさん、どうしたらいいんでしょうか?』
ナルホド。ズバリ、言ってもいいかナ?
「何事も笑顔、そして大きな声で挨拶! これで万事解決だ! はっはっは!」
ま、まあ、普通なんだけど少佐が言うと……イヤ、その通りダナ。
「エイラ、私は何か不味い事でも言ったか?」
とんでもなイ! 至極真っ当なご意見頂きましタ、ハイ。
……とりあえず、ここで「サーニャのうた」どうぞ〜。
- 65 名前:don't stop the music 02/03:2010/03/23(火) 00:15:06 ID:UPslmG2w
- 辛うじて和んだところで次のお便り。今度も扶桑からダゾ……所属は内緒で、ラジオネーム「飛行学生」さん。
今日は何だか扶桑スペシャルダナ。ゲストもお便りも扶桑からダゾ。
「私に合わせてくれたみたいで何かすまんな、はっはっは!」
いや別にそう言う意図じゃなくて偶然だと思うケド……とりあえず読むゾ。
『遠距離恋愛の恋人は約半数の人が浮気したり別れると言う噂を聞いたのですが、
私の彼女を浮気させない、別れない方法を教えて下さい』
これは……何て答えたら良いンダ? 少佐は何か意見有るカナ?
「諦めろ! その甘い考えを捨てろ!」
まさに一刀両断ダナ。とりつく島もないゾ。
「そんな甘っちょろい考えだから相手に隙を突かれて浮気だのなんだのされるんだ。
もっと覚悟を決めて、一直線に付き合え! 何なら遠距離で有る事を捨てろ!」
また何て無茶振りヲ……。
「違うかエイラ? 浮気する、しないは自分もそうだが相手にも問題が有る。つまり半々だ。
お前も含めて浮気するかしないかはそいつの性格の問題だから、浮気をする様な奴は何をやってもするんだ。
まあ、逆もそうだがな」
イヤ、私が説得されてモ……このお便りの人ニ……
「では仮に聞こう。仮にエイラ、お前とサーニャが遠距離恋愛になったとして、浮気しない絶対的な確信は有るのか?」
ズバリ、有るナ。私とサーニャを舐めて貰っちゃ困るゾ。こう見えても私達ハ……
……サーニャ、目そむけないでくれるカナ?
「信じてる、から」
さ、サーニャぁ〜!
「はっはっは! やはりお前達は大丈夫だ。この私が言うんだ、問題無い!」
嬉しいケド、何だかよく分からない展開ダゾ……。
- 66 名前:don't stop the music 03/03:2010/03/23(火) 00:17:03 ID:UPslmG2w
- 最後のお便り。……これも扶桑からダゾ、今日は珍しいナ。ラジオネーム「匿名希望の元ウィッチ」さん。
『二十歳を超えて、シールドを張るのも厳しくなりました。
でも出来る限りウィッチでありたい、空を飛びたい、人を守りたいと思います。
どうしたら歳を取らずに済みますか?』
難しい問題ダナ〜。年齢ってウィッチなら絶対に避けて通れない問題だからナー。
「そうだな。しかし、この手紙の人は、誠実さが文面から滲み出ているな。素晴らしい事だ」
同感ダナ。
「しかし、悲しい事に、年月は人に関係無く平等に訪れるものだ。ウィッチとしての寿命は微妙に異なってくる様だが」
「あの、坂本少佐もそろそろ厳しいって、ミーナ隊長から聞きました……ミーナ隊長、とっても心配していました」
「そうか……。心配してくれていたのか。そうか。嬉しいぞ」
それで、このお手紙の質問なんだけド、少佐は何か有るカナ?
「質問?」
つまり、歳取らずにと言うか、若々しくある秘訣? みたいナ。
「若々しく、か……。甘い。甘いな」
甘い? と言うト?
「『若々しく』などもう古い! 目標はもっと大きく持て!」
大きくと言うト?(何か嫌な予感がスル……)
「不老不死に決まってるじゃないか」
それこそ無茶振りも良いとこダゾ少佐!
「それ位目標は高く持てと言う事だ! 後は鍛錬で何とかなる! はっはっは!」
流石気合と根性の人ナンダナ……。てか結局そこに行き着くんだナ。
「だから少佐、毎朝あんなに早くから厳しいトレーニングを……」
「まあ、それも有るが、身に染み着いたものだからな」
ナルホド。
「私もこの手紙の人と同じ、出来る限りウィッチでありたいが、どうかな」
「ミーナ隊長も、無理しないで、って言ってました。後進の指導など如何でしょう?」
「それも、ひとつの方向としては良いな。指導か。……本を書くのも良いかもな」
とりあえずミーナ中佐を安心させてあげてクレ。
「エイラも珍しい事を言うな! 気を利かせたつもりか? こりゃ雨が降るぞ! はっはっは!」
ミーナ中佐と少佐を気遣ったのに、酷い言われ様ダゾ……。
「エイラ、そろそろ時間……」
オッ、本当だ。
さて、ではそろそろお時間となりましタ、今夜はこの辺で。最後に……
「……辛い別れに悲しい別れ、色とりどりの別れ有り。
今の歳とももうお別れ、嗚呼言わないで歳の事。
歳は食っても喰われるな、ウィッチの花道咲かせます。
歌いますのはこの私坂本美緒、『大空の……」
少佐なにどさくさ紛れにセルフ前口上言ってンダ!
演歌歌う気満々じゃないカ! 誰か止めロ!
「無理ね」
サーニャが言うなア! ウワァァァァァ……
end
- 67 名前:名無しさん:2010/03/23(火) 00:17:30 ID:UPslmG2w
- 以上です。
急いで書いたので、もっさんの暴走具合が微妙……。
もっさんの演歌前口上は、某動画から拝借しました。
次はもう少しきちんと? 書いてみたい気も。
ではまた〜。
- 68 名前:名無しさん:2010/03/24(水) 18:48:56 ID:QYRo4..w
- ライーサかわいいよライーサ
- 69 名前:名無しさん:2010/03/25(木) 10:26:14 ID:j/6/heME
- music hourまじおつすぐる・・・毎回楽しませてもらってますw
なんかネタが雨と一緒に降ってきた気がしたんだ・・・
- 70 名前:【第501統合戦闘航空団】ライブのお知らせ:2010/03/25(木) 10:41:35 ID:j/6/heME
- STLIVE WITCHES 2010
平成22年8月15日(日) 日本武道館
前売 ¥4,500 当日 ¥5,200
開場:18:00 開演:18:30
第501統合戦闘航空団が、世界の枠を越えてやってくる!
1944年のブリタニアから、2010年の日本へ! ついにウィッチ達が画面から飛び出す!
エーリカ・ハルトマン "2 hundred over"
宮藤芳佳&リネット・ビショップ&ペリーヌ・クロステルマン
"トライアングル・スクランブル"や、
サーニャ・V・リトヴャク "Twinkle star"
シャーロット・E・イェーガー&フランチェスカ・ルッキーニ
"ムーンライト・セレナーデ"を始めとする、内容盛りだくさんの二時間半!
チケットの予約はお早めに!
- 71 名前:名無しさん:2010/03/28(日) 01:03:31 ID:ad4WFJgU
- 車校の人、ついに車校から卒業です。卒検70点というギリギリっぷり。
これでようやっとSSがかける……!
- 72 名前:名無しさん:2010/03/28(日) 01:37:40 ID:rLPd3yxg
- >>71
いや、SSの前にですね……、
忘れないうちに早いとこ免許の本試験(筆記)受けた方が良いと思うよ……。
やらないと交通規則とかあっという間に忘れちゃうから(汗
何かSSでもと思ったけどどうにも浮かばない。
トゥルーデと芳佳とか、トゥルーデとシャーリーとかトゥルーデとルッキーニとか思い付くんだが
……なんだかお姉ちゃんばっかりだな。
- 73 名前:名無しさん:2010/03/28(日) 08:54:50 ID:ad4WFJgU
- >>72
いあ、もちろんすぐに受けに行きますよ^^;
土日はやってないんで明日受けに行きます。
というか、明日受けないと明後日からは会社の
研修やら入社式やらで二泊三日東京に連れて
行かれるんで……^^;
- 74 名前:名無しさん:2010/03/29(月) 01:39:29 ID:JjL60JCI
- 自分語りいらん
頑張れよ
- 75 名前:名無しさん:2010/03/30(火) 00:29:03 ID:It15Yzio
- 無事受かりました、応援ありがとうございました。
東京から帰ってきたらまたなにか書きます。
- 76 名前:名無しさん:2010/03/31(水) 23:55:57 ID:jdqTrc4Q
- おめでとう
- 77 名前:名無しさん:2010/04/03(土) 15:54:24 ID:JlHL/I4g
- 今日娘買ってきた。
ハルカさん、エラい成長し……てないな、うん(遠い目
まあ秘め声の時点でわかってたけどね……ハルカと
ニパエイラのカラみとかも見てみたい。
あと芳佳には悶絶したというか、蒸気機関車の汽笛が轟いた。
てことは芳佳もスオムスにおんのかな……?
それともあれか、スオムスから扶桑にとどいてんのか。
- 78 名前:名無しさん:2010/04/04(日) 00:21:52 ID:aNkwu4vw
- Blue-ray Box発売って……
DVD全部持ってる俺はどうすれば良いですか?
- 79 名前:名無しさん:2010/04/04(日) 00:25:03 ID:P4MOdkAY
- >>78
その他特典を目当てに買えばいいと思う
懐がスオムスになっても知らんが
そうか、逆に考えればいいのか、スオムス=エイラーニャry
- 80 名前:名無しさん:2010/04/04(日) 00:30:17 ID:aNkwu4vw
- >>79
第501統合戦闘航空団全記録が212ページってそんなにたくさん増えてるのかな?
声優さんのライブ映像とか正直興味ないのに、買う価値はあるのか?
- 81 名前:名無しさん:2010/04/04(日) 07:39:43 ID:It/sRDrA
- R.O.Dとかみちゅ!と灰羽のBOXも出るというのに。
せめてコメンタリつけば即決なんだけどな。
ま、見返す頻度考えれりゃなんだかんだ言っても買っちゃうんだろうけど。
>>80
DVDの記録集が1冊97ページで×6だから、分量的にはむしろ1/3くらいまで減ってるのな。
さすがにすべてが再録ではないと思いたいが……
- 82 名前:名無しさん:2010/04/04(日) 10:01:41 ID:P4MOdkAY
- >>80
いやぶっちゃけ、アレに買う価値を求めてはいけないと思う……
というかBD-BOXはBD好きな人以外買う必要ないと思う
画質綺麗だのなんだの言われてるけど、BDってバックアップ用の
大容量記憶デバイスだろjk
- 83 名前:名無しさん:2010/04/04(日) 14:32:56 ID:sEkSQIKo
- BDBOX買えない貧乏人の俺はDVD(初回特典付き全巻)で我慢。
ついでに娘type通販で買った秘め声CDで我慢。
あとはここの妄想で(ry
- 84 名前:名無しさん:2010/04/11(日) 23:31:30 ID:g2DuzIe6
- スレチだが灰羽BDBOXでるのか……。
DVDではなんかフィルターかけてわざとぼやけたようにしていたらしいし
それ外れてくっきりなら嬉しいなぁ
- 85 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/04/12(月) 20:24:50 ID:TBPoF7j2
- こんばんは。mxTTnzhmでございます。
保管庫No.0450「ring」シリーズ続編です。
短いですがどうぞ。
- 86 名前:vitamin drop:2010/04/12(月) 20:25:25 ID:TBPoF7j2
- 一人テラスに佇むトゥルーデ。手摺に手を置き、優しく吹き抜ける海風に髪を揺らし、その瞳は何を見ているのか。
表情は険しい……と言う訳では無いが何処か暗く、群青の海と空を前にして、何を考えるとでもなく、
ただただ、美しい景色を“睨んで”いるだけにも見えた。
「トゥルーデ」
聞き覚えのある声に振り向くと、何かが視界に飛び込んできた。ボールかと思い思わず手でぱしっと掴む。
見ると、真っ赤に熟した林檎だった。
「エーリカ、これは?」
「ビタミンのもと」
「何?」
「リンゴだよトゥルーデ。一日一個、リンゴを食べると医者が要らないとか、聞いた事無い?」
「栄養豊富な果物と言う事は知っている。具体的に何が豊富かまでは知らないが」
「ま、そう言う事」
「どう言う事だ」
「食べよ、トゥルーデ」
「あ、ああ」
エーリカに言われるまま、かぷっとリンゴをかじる。エーリカもトゥルーデの横でリンゴを食べる。
手摺にもたれかかりながら、二人はのんびりとリンゴの味を確かめる。
「甘いな」
「酸っぱさもちょうど良いよね」
「そうだな」
「今日は海風が穏やかで良いね」
「ああ」
それっきり、無言でリンゴを食べ、景色を眺める。
「このリンゴはね」
エーリカが口を開いた。
「リーネの実家から送られて来たんだって。大量の木箱に入ってた」
「ブルーベリーの次はリンゴか。リーネの実家は農園でもやっているのか」
「さあね。少し痛んでるのはリーネとミヤフジがジャムか何かにしてるみたいだよ」
「ほう」
「明日の朝食とかお茶会が楽しみだよね」
「まあ、な」
海風が二人の頬を撫でる。
「ねえ、トゥルーデ」
「ん?」
不意に、頬にキスされる。嫌がる素振りもなく、少し顔を赤らめるトゥルーデ。
「また、余計な事考えてたでしょ?」
「そう見えるか?」
「トゥルーデが一人でぼけーっと空眺めてるって、普通有り得ないし」
「何だそれは」
「似合わないよ、って事」
「私にだって、一人で過ごす時間位有っても良い、じゃないか」
「でも、その時間が悲しみにくれる時間だったら、私はそれを投げ捨てるよ」
「……」
「だからさ、トゥルーデ」
エーリカはちょっとにやけて、トゥルーデに腕を絡めて言った。
「もっと一緒に居ようよ? 一緒に楽しい事しようよ? その方が幸せと思うよ……でも、たまには」
「?」
「二人でこうして、景色を眺めるのも悪くないと思う」
「ああ」
「ずっと私達こうして居られたら良いのにね」
「同感だ」
「でも、そうもいかないか」
エーリカが基地の司令塔を見上げた。その瞬間、警報が基地全体に鳴り響く。
「行こう、トゥルーデ。私達の出番だよ」
「その様だな……ああ、エーリカ」
「どうしたの?」
「リンゴ、美味かった。有り難う」
「トゥルーデってば」
もう一度、軽くキスを交わす二人。
「楽しみは、後に取っておかないとね」
「そうだな」
二人はいつもと変わらぬ様子で、走り出す。守るべき者の為、守りし者となる為に。
end
- 87 名前:名無しさん:2010/04/12(月) 20:27:43 ID:TBPoF7j2
- 以上です。
エーリカとトゥルーデは書いていると何故かほっとする。
しかし新規カプに挑戦すべきか……悩みどころ。
ではまた〜。
- 88 名前:名無しさん:2010/04/12(月) 22:08:19 ID:CfSHVUv2
- >>87
GJ
- 89 名前:名無しさん:2010/04/12(月) 22:45:42 ID:Ts6C.KwM
- >>87
く、久々のSS投稿は俺が一番乗りになろうと思ってたのにw
だらだらとサボりつづけてたらこうなったw
センチメンタルなキャラってなんというか、かっこいいんだけど
それだけじゃないというか、深いよなぁと思う。
リーネとかミーナさんはもともとその気があるからあまり目立たないけど、
4話以降のトゥルーデとか芳佳とかシャーリーとかエイラとか、普段
元気な人たちがそういう雰囲気だとかなり強いメッセージ性がこめられて
いい感じな気がします。
ともあれGJ
- 90 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/04/14(水) 23:37:03 ID:dzplRGeo
- こんばんは。mxTTnzhmでございます。
ちょっと思い付いたネタを少々。
続きものですが、まずは前編的なものをどうぞ。
- 91 名前:i miss you 01/02:2010/04/14(水) 23:37:58 ID:dzplRGeo
- とある晴れた昼下がり、501にウィッチがやって来た。
とは言ってもストライカーを履いて飛来した訳ではなく、ロンドンの軍事務所への用事ついでに立ち寄ったのだ。
その人物の名は、ニッカ・エドワーディン・カタヤイネン。
彼女の渾名の如く、到着するなりニッカは全身で落胆の色を浮かべた。
「居ないのかよ、イッル……なんだよそれ」
「イッル?」
「誰です、その人って?」
ミーティングルームでニッカに紅茶を出したリーネ、お菓子を持ってきた芳佳が揃って尋ねた。
「あー、君らには分からないか。エイラ・イルマタル・ユーティライネンって馬鹿がここに居るだろ? そいつだよ」
「エイラさんの事だったんですか」
「でも何で『イッル』なんですか?」
「イルマタルの愛称でイッル。逆にイッルは私の事をニパって呼ぶけどな」
「エドワーディンなのに?」
「私はニッカだからニパ。その辺は細かい事言わない」
ニッカは紅茶に口を付けた。
「ほお、良いお茶だねぇ。こんなご時世に贅沢で良いね」
「リーネちゃん、お茶淹れるのうまいから」
「芳佳ちゃん、ここでそんな事言わなくてもっ」
「へえ〜、二人は仲良いんだ」
「いえ、それ程でも……いたたっ」
「はい、とっても」
芳佳とリーネのやり取りを見ていたニッカは笑った。
「分かったよ。仲良いって事で」
ニッカはクッキーをつまみ、お茶を飲み、ふうと一息付いた。
「エイラさんは、今日付き添いでロンドンに行ってます」
事情を説明する芳佳。
「イッルが付き添い? 誰の? ロンドンに? 何で?」
疑問を口にするニッカ。
「サーニャちゃんが、オラーシャ陸軍の用事で出掛ける事になって、それでエイラさんが」
リーネも説明を補足する。
「それで……ってのが理解出来ないな」
「エイラさんはサーニャちゃんの事が……」
「あー大体分かった」
あっさり言葉を遮るニッカ。そして、はあ、と溜め息を付いた。
「イッルも昔は随分とんがってたのになぁ……」
「それ、どう言う事ですか?」
「聞きたい?」
「「はい」」
揃って頷く芳佳とリーネ。
「じゃ、暇だし話すか。イッルは昔から悪戯好きでさ、私達仲間をよくおちょくっては一人腹抱えて笑ってた」
「エイラさんらしいですね」
「でも、あいつはあいつなりに、色々仲間の事を考えてたんじゃないかって、今は思う」
「それはどうしてですか?」
再び軽く溜め息を付き、話を続けるニッカ。
「だってさ。私達が居るのはネウロイとの戦いの最前線。いつ襲ってくるか分からない。いつ出撃するかも分からない。
いつ休めるかも分からない。そして、いつ死ぬかも分からないって状況でさ……」
「……」
「気休めってか気晴らしって言うか、そう言うくっだらない馬鹿やって皆の気を紛らわせてたんじゃないかって」
「そうだったんですか」
「それにあいつは、仮にもスオムスのエースだ。エースらしく何か考えていたんじゃないか。もしくは全く何も考えてなかったか」
「それは……」
「エイラさんらしいですね」
苦笑する芳佳とリーネ。
「でもまあ、あいつにも501(ここ)で安心出来るツレを見つけたって事は……どうなんだろうね」
ニッカは寂しさが少し混じった笑みを浮かべると、紅茶を一気に飲み干した。
その頃、ロンドンでしきりにくしゃみをするウィッチがひとり。
「何ダヨ今日……風邪でもひいたカナ?」
「大丈夫?」
「全っ然問題ナイゾサーニャ。用事済ませたら何処か寄ろウ?」
- 92 名前:i miss you 02/02:2010/04/14(水) 23:38:34 ID:dzplRGeo
- 暫く談笑していたニッカは、ふとミーティングルームに置かれた時計を見た。やれやれ、と口にする。
「もうすぐ出発しないとな」
「エイラさん、あと少しで帰ってくるのに」
「大丈夫。イッルの事だ、どうせ先読みだか何だかして、帰って来るの遅くなるよ」
「そんなあ」
「カタヤイネンさんはエイラさんに嫌われてるんですか?」
「どうだろうね」
「でもこの前来た時は……」
「大体想像付くよ。イッルは基本悪戯好きで大胆だけど、いざとなると……な?」
「た、確かに」
「流石、元同僚ですね」
「だから、そのサーニャとか言う娘にも、アレなんだろ?」
「いや、私達は、その件についてはノーコメントで」
「言わなくても分かるって。……てかその言い方で分かるから」
笑うニッカ。そして指をぱちんと鳴らして言った。
「そうだ、良い事思い付いた」
「はい?」
「前にイッルにやられた悪戯を、代わりに奴にやり返しといてくれない?」
「えええ? それはまずいですよ」
「私も、ちょっと……」
腰が引ける芳佳とリーネ。
「なんだなんだ、宮藤軍曹にビショップ軍曹。カタヤイネン曹長の命令だぞ?」
「こんな時だけ権力の行使は止めて下さい!」
「まあ良いじゃないか。なぁに、簡単な事だよ。ちょっとした催眠術だから」
「催眠術?」
「そう。催眠術。イッルは占いとかするだろう?」
「ええ」
「そう言う奴に限って、実は意外に掛かりやすかったりするんだ、これが」
「本当ですか?」
「多分ね」
「催眠術効かなかったらどうするんですか」
「大丈夫だって。じゃあやり方教えるから」
「は、はあ」
「ま、何か有ったら宮藤軍曹とビショップ軍曹の責任だから」
「えええ!」
「それは……」
「文句言うな! カタヤイネン曹長の命令だぞ?」
「ひ、ひどい……」
501基地を出て、待っていた乗用車に乗り込むニッカ。
車は手を振り見送る芳佳とリーネを残し、基地を後にした。
後部座席にふんぞり返ると、ぼんやりと空を眺める。
「ツレ、か」
ぼそっと呟く。
「今頃、イッル何やってるんだろうな……」
ふう、とため息が出る。
「イッルの、馬鹿」
小さく呟き、目を閉じた。
end
- 93 名前:名無しさん:2010/04/14(水) 23:39:27 ID:dzplRGeo
- 以上です。
この続きが有りますので、完成し次第投下します〜。
ではまた〜。
- 94 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/04/15(木) 01:03:12 ID:dds1pDGI
- こんばんは、mxTTnzhmでございます。
>>91-92「i miss you」の続きが出来ましたので投下します。
連続ですがご容赦を。
ではどうぞ。
- 95 名前:i have control 01/03:2010/04/15(木) 01:03:58 ID:dds1pDGI
- 小雨が降る、とある日のミーティングルーム。
サーニャと仲良くクッキーを食べるエイラのところに、芳佳とリーネがやって来た。
「おお宮藤にリーネか。どうかしたカ?」
「これ、扶桑のおまじないなんですよ。こうして、穴の空いた硬貨に糸を通して吊して……」
「何だソレ?」
「さ、催眠術なんですよ」
いきなりここでネタばらしに走るリーネ。
「アノナア。そんなんで催眠術なんて出来るのカヨ」
「なら、試しにやってみます?」
「ウニャ? なんであたしが?」
突然“実験台”として引っ張り出されるルッキーニ。
「リーネちゃん、この硬貨吊した糸持って、ゆっくり硬貨振ってね。一定のリズムで。
あ、リーネちゃんは硬貨見なくて良いからね」
芳佳はルッキーニをぶら下がった硬貨の前に座らせると、額に手を当て、ゆっくり揺り、回した。
「じゃあルッキーニちゃんいくよ〜 この硬貨を目で追ってね。いい〜? ずーっと見ててね……」
「ちょっと芳佳ぁ。なんであたしなのー」
「ま、良いじゃないかルッキーニ、試しにやってもらいなよ」
一緒に居たシャーリーも笑いながら様子を見ている。
芳佳はルッキーニの頭をゆっくりと揺りながら、耳元で囁いた。
「肝油がとっても美味しく感じます……肝油がとっても美味しく感じます……まるでオレンジジュースみたいに」
「ウジュワ……」
「随分とかけ離れた味にするんだナー」
呆れ半分のエイラ。
「はい、どうぞ」
目を回しかけたルッキーニの前に、ぽんと肝油の入ったコップが置かれた。
「ヴェ…」
以前体感した“あの味”を思い出して後ずさりするルッキーニ。
「大丈夫だって。ほら、美味しいから」
芳佳は嫌がるルッキーニに無理矢理肝油を飲ませた。一口含んだ途端びっくりするルッキーニ。
「あ、あれ? あれれー? これオレンジジュースだ! あっま〜い!」
芳佳の手から肝油の入ったコップを奪い、ごくごくと一気飲みする。
「おいしい! おかわり!」
「おいおい……ホントに催眠術に掛かったのか?」
少し焦るシャーリー。
「シャーリー、これ美味しいよ? 甘いよ? シャーリーも飲む?」
「いやいやいやいや、どうやってもエンジンオイル味だろ、それは。あたしは無理。絶対無理」
全身で拒絶するシャーリー。その様子を傍目で見ていた美緒がやって来た。
「はっはっは! ルッキーニがやっと肝油を気に入ったか! 身体に良いからどんどん飲め!」
「あ、坂本さん」
「宮藤、これは使えるな。全員を暗示に掛けて肝油を飲ませるのにもってこいだ」
「そう言う使い方はいけないと思います」
「そうか?」
「芳佳ぁ! もっと肝油ちょーだい!」
「芳佳ちゃん……そろそろ催眠術を解かないと」
リーネが少し心配そうに言う。
「あ、そうだね。じゃあルッキーニちゃん、座って」
「ほえ?」
ルッキーニを座らせると、ぶら下げた硬貨を見せながら、ぽん、と手を叩いた。
「はい、元通り」
「ヴェ〜口の中に肝油の味がぁ〜ダディゴデ〜」
突然悶え苦しむルッキーニ。
「なんだ、だらしないなルッキーニ。よし宮藤、もう一度ルッキーニを……」
「少佐、勘弁してやって下さい! てかホントに、そう言う使い方はどうかと思いますよ」
慌ててフォローに入るシャーリー。
「う゛〜気持ち悪い……シャーリー助けて……」
「分かった、じゃ本物のオレンジジュース飲みに行こう、な?」
げっそりしたルッキーニはシャーリーに抱きかかえられてミーティングルームから出て行った。
- 96 名前:i have control 02/03:2010/04/15(木) 01:04:33 ID:dds1pDGI
- 「と、言う訳で」
芳佳とリーネはエイラに向き直った。
「と言う訳でじゃないダロ! 私に何させようってンダ?」
「エイラ。試しに、されてみて?」
興味津々なサーニャ。
「エ? サーニャまで乗り気? てかなんで私ガ!?」
「お願い、エイラ」
「うー、何で私がこんな訳の分からない事に……」
「ではいきますよ〜 この硬貨を目で追って下さいね。いいですか〜? ずーっと見てて下さいね……」
頭をゆっくり振られていくエイラ。芳佳が何を言ったかは、記憶に残らなかった。
ふと正気に返る。芳佳とリーネ、そしてサーニャが興味津々と言った感じでエイラを見ている。
「な、ナンダヨ。何ともナイゾ。扶桑の呪術なんてたかが知れてるナ」
「そんな事有りませんよ! エイラさんは絶対に……」
「……絶対に? ナンダヨ?」
「いえ、その……大丈夫です」
「ナンダヨソレー!」
その日の夜。
サーニャがエイラのベッドに横になった。いつもと違って、何か恐る恐ると言った感じだ。
「どうしたんだサーニャ。何か有ったノカ?」
「な、何も。……エイラは?」
「私は何ともぉ……? うッ!!!」
サーニャの下着姿を見て、エイラは全身に火が点いた様な……とてつもない興奮を覚えた。
サワリタイ。
そう思った時には、サーニャを押し倒し、ブラを外し、露わになった胸を掌全てで感じていた。
「ち、違うんだサーニャ、こ、これハ……」
「エイラ」
サーニャが名を呼んだ。
キスシタイ。
片腕をベッドにぐいと押さえつけたまま、エイラは力任せにサーニャの唇を奪った。長く、荒々しいキス。
浅く早い息。鼓動の高まりと共に、エイラの心にはひとつの情欲が火山の如く突き立った。
サーニャを……
「ねえ、エイラ」
エイラは、頭の片隅に僅かに残った“理性”の欠片で、どうしてこうなったのか、考えた。
私は何てコトをしているんだと。まさか……
しかし、拒むどころか両腕でエイラを抱きしめ、控えめに耳たぶにキスをしてくるサーニャを前に、理性は完全に消え、
エイラは欲望のまま、サーニャの唇を奪い、身体を奪い、味わう行為にただただ耽った。
「ねえ、芳佳ちゃん」
「どうしたの、リーネちゃん」
「エイラさんとサーニャちゃん、大丈夫かな?」
「大丈夫。カタヤイネンさんの言った通りに、しておいたから」
「どう言う事?」
エイラの“猛攻”に遭ってなお、サーニャは喜びに満ち、エイラを全身で包み込み、受けとめた。
そして自らもエイラの乳房を舐り、吸い口を付ける。
熱い吐息を互いの頬に当て、二人は尚も絡み合う。それはとても淫靡で、魅惑的。
「エイラ、エイラ……私のエイラ」
「サーニャ、大好きダ、だからモット、もっとシタイ」
「うん、もっとして。私を、あげる」
「嬉しい、サーニャ」
火照った身体を合わせ、何度も絶頂を迎え、痙攣し、また行為に耽る二人。
いつになく積極的な……積極的過ぎるエイラを、サーニャはひたすらに受け入れた。
嬉しい。
でも、どうしてだろう。
エイラ、どうして?
いつものエイラじゃない。
それは、少し悲しい。だって……
- 97 名前:i have control 03/03:2010/04/15(木) 01:05:15 ID:dds1pDGI
- 「えっとね……催眠術が解ける、暗示をひとつ入れておけって言われて」
「それは?」
サーニャは自然と、一筋の涙を流していた。ぺろっと舐めたエイラは、唐突に我に返った。
「さ……サーニャ? 一体誰がこんな事……って私カ」
「エイラ、一人ツッコミ?」
サーニャは涙目ながら、笑った。
「サーニャ、ゴメン。私、こんなつもりじゃなかったンダ。身体が、頭が勝手に……サーニャの事がどうしても……」
「良いの、エイラ」
サーニャはエイラの頭を、ぎゅっと胸に抱いた。控えめな乳房が、エイラの顔に当たる。
「だって、これは私が望んで、芳佳ちゃんとリーネさんに頼んだ事だから」
「エッ!?」
「エイラは、ただ暗示に掛かってただけ。積極的なエイラ、少し見たかったの」
「イヤ、積極的過ぎダロ私……サーニャに酷い事ヲ……」
「嬉しかったよ。でも、それは本当のエイラじゃないって思ったら、どうしてかな……」
サーニャは上を向いた。涙が零れるのを防ぐ為。
「やっぱり、エイラ……」
「ご、ゴメン、サーニャ」
エイラは腕を回し、サーニャを抱きしめた。
「私ガ……私がいつもだらしないからサーニャに悲しい思いさせて……」
「エイラ、でも」
「サーニャ、こんな私でも、まだ好きでいてくれるノカ?」
「当たり前でしょ? エイラはエイラだもの。いつも、ずっと大好きよ、エイラ」
エイラは、大声でサーニャの名を呼んだ。そしてぎゅっと強く抱きしめ、口吻をした。
「サーニャ、大好きだ、サーニャ」
今度のエイラは、催眠術でも暗示でも何でもない、勇気を出した“ほんもの”のエイラ。
「サーニャ、シヨウ? もっと、もっとシヨウ?」
「良いの? だって……」
「サーニャが良いなら、私は……」
「来て、エイラ」
二人はそのまま腕、脚を絡ませ、汗と雫をまぜこぜに、そのままひとつになった。
「ね、リーネちゃん。エイラさん、サーニャちゃんの涙が、暗示を解くスイッチになってたって訳」
「凄いね、芳佳ちゃん」
「催眠術自体は、カタヤイネンさんの受け売りなんだけどね……って言うか、カタヤイネンさんは
エイラさんにやられたって言ってたから、元を辿ればこれってエイラさんの催眠術?」
頭を掻いて苦笑いする芳佳。
「私が知ってた方法は、ただ、こうやって硬貨を使う事だけ。詳しい事は殆ど……。
でもカタヤイネンさん、エイラさんに仕返しとか言って、全然そんな事なってないよね?」
くすっと笑う芳佳。もじもじそわそわしているリーネ。
「リーネちゃん?」
「芳佳ちゃん……私」
突然リーネに飛びつかれ、そのまま床に転がる芳佳。
「リ、リーネちゃん?」
「エイラさん達見てたら、その、私……我慢出来なくて……芳佳ちゃん」
「ちょ、ちょっとリーネちゃん、せめてベッド……っんんっ」
「芳佳ちゃん……私だけの芳佳ちゃん……食べたい」
「リーネ、ちゃん……」
リーネは返事を聞く間も与えず、そのまま芳佳に襲い掛かった。
end
- 98 名前:名無しさん:2010/04/15(木) 01:06:38 ID:dds1pDGI
- 以上です。
いわゆる「催眠術」ネタをやってみたかったんですが
他にも色々パターン有りそうですね。
ちょっと考えて(妄想して)みようかなと。
ではまた〜。
- 99 名前:名無しさん:2010/04/15(木) 04:33:48 ID:fmEmkLZ2
- >>98
GJ!面白かったです。
しかし、エイラはなぜこんな催眠術を知ってるんだろうww
- 100 名前:名無しさん:2010/04/16(金) 22:13:26 ID:6VeofXUg
- 恋もまた催眠術ということでしょうかw
それはそうと肝油は飲みすぎると危ないですよ坂本さん!
- 101 名前:Fermata / rQBwlPEO:2010/04/17(土) 23:36:48 ID:s3p6u5JU
- ニパ→エイラ前提のアレクサンドラ×ニパ。成人向け表現がありますのでtxt上げ。
ttp://www1.axfc.net/uploader/Sc/so/104269.txt
pass:SW
>>98
肝油は! 肝油はまずいよwww!! 面白かったです。
催眠術をかけられたニパさんが気になって仕方ありません。
- 102 名前:名無しさん:2010/04/18(日) 01:04:52 ID:CRhqpmYo
- >>101見られぬ
- 103 名前:名無しさん:2010/04/18(日) 01:29:41 ID:NtUTxwXc
- >>101
二パ×アレクサンドラおいしゅうございました
相手が誰を想っていても恋焦がれるしかない片思いの関係は切ないけど好きです
>>102
半角小文字のswで開けますよ
ところでアレクサンドラの愛称はサーシャでいいのかな?
- 104 名前:名無しさん:2010/04/18(日) 01:36:56 ID:CRhqpmYo
- >>103
thx
- 105 名前:rQBwlPEO:2010/04/18(日) 19:35:45 ID:m7vz2ATk
- すみません間違えました! >>103様ありがとうございます(土下座
愛称は元の人が「サーシャ」だったと聞きましたが、どうなんでしょうかね。呼び方にも呼ばせ方にも困ります。
- 106 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/04/18(日) 23:32:06 ID:cGs8718.
- >>101 rQBwlPEO様
GJ! アレクサンドラ×ニパご馳走様です。
切なさ炸裂! 実にお見事です。描写もステキですわー。
改めてこんばんは、mxTTnzhmでございます。
さて今回は某所での思い付きから発生した短めのをひとつ。
いつもの通り保管庫No.0450「ring」シリーズ続編となります。
ではどうぞ。
- 107 名前:washing soap:2010/04/18(日) 23:35:47 ID:cGs8718.
- “些細な事”が切欠で洗濯当番となったカールスラントのエース二人が、ぞんざいな手つきで隊員の服やズボンをより分けている。
「これでよし、と。リベリアンの国の自動洗濯機は便利だな」
「ホントだね〜」
適当に洗濯物を仕分けして、洗濯機に放り込む。
「後で誰が誰のか分からなくなるな」
「気にしな〜い」
「エーリカお前……。ルッキーニからズボンを……しておいてそう言う事言うのか」
「何の事?」
爽やかな笑顔を見せるエーリカ。
「そんな顔してもダメだ。誤魔化そうとしてもそうはいかんぞ」
「トゥルーデ、カタいなあ」
「大体お前が……今回の洗濯当番だって……」
突然エーリカに唇を塞がれる。そのままゆるゆると抱き合い、味わう様にキスを交わす。
横ではリベリオン製の大型自動洗濯機が轟音を発しながら服などをがらんごろんと洗濯している。
「トゥルーデ?」
「またこうやって誤魔化そうとする……」
「でも、嫌いじゃないでしょ?」
「当たり前だ」
二人が洗濯当番になった切欠は、エーリカのずぼら加減にも問題の一端があった。朝食前の出来事。
「フラウ、履いてないの? ちゃんと履きなさい?」
「えー面倒〜。もう換えも無いし。それにミーナ。坂本少佐も言ってたよ『空では誰も見ていない』って」
「こ、これだから扶桑のウィッチはっ……! とにかく、不足分はちゃんと洗いなさい」
「はーい」
「トゥルーデ、フラウをちゃんと見ておくのよ? あと何か代わりのを貸してあげて」
と言う訳で、今エーリカが履いているズボンはトゥルーデのそれだ。
「トゥルーデのズボンだぼだぼ〜」
「うっうるさい! エーリカは……」
「何よ」
「何でもない」
「酷い事言おうとしたでしょ」
「あのなあ、大体洗濯を怠るから私のズボンをだなあ!」
「トゥルーデ顔真っ赤だよ」
「うぐぐっ」
服の半分位を洗ったところで、エーリカが重要な問題に気付いた。
「ああトゥルーデ、大変だよ」
「どうしたエーリカ?」
「洗濯機に、石けん入れるの忘れちゃったよ……汚れ落ちてないし、なんかごわごわ」
「困ったな。もう一度洗い直すのも面倒だし……」
「じゃあこのまま持って行こ」
「いや、それでは皆に示しが……」
「じゃあ最初から? 洗い直す時間有るかな?」
トゥルーデは柔らかに照らす陽射しを、手を遮りつつ見た。この時期に太陽があの高度、角度なら……
「よし。やり直しだ」
「えー」
「面倒でもダメなものはダメだ」
「かったいなあ、トゥルーデ」
「ほら、さっさと作業だ」
「何でそんなに焦るの?」
「焦ってるんじゃない」
もう一度服を洗濯槽に入れ、石けんを入れ、スイッチを入れる。
そしてエーリカを横に座らせ、そっとキスをする。
「洗濯機が止まるまでの間、もう一度こうやって二人でゆっくり出来る。……洗濯機の音が五月蠅いけど」
「トゥルーデってば」
エーリカはにやけると、トゥルーデをぎゅっと抱きしめ、キスの続きに耽った。
end
- 108 名前:名無しさん:2010/04/18(日) 23:38:09 ID:cGs8718.
- 以上です。
リベリオン製の大型自動洗濯機についてのネタは
保管庫No.0649「incoming」等を参考にして頂ければと思います。
最後に
>>101 rQBwlPEO様
催眠術をかけられたニパさんは、ネタが思い付き次第何か書きたいなと。
個人的に、何かギャグに走りそうな気もしなくは……w
ではまた〜。
- 109 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/04/19(月) 23:56:02 ID:PUub3nio
- こんばんは、mxTTnzhmでございます。
今日は何の日と言う事で、誕生日祝いSSをひとつ。
日付が変わるまでに間に合うかどうか。
いつもの通り保管庫No.0450「ring」シリーズ続編となります。
ではどうぞ。
- 110 名前:choker 01/03:2010/04/19(月) 23:56:27 ID:PUub3nio
- 「と、言う訳で」
ウルスラは昼食の真っ最中だったエーリカとトゥルーデを前に言った。
「何か下さい」
両手をトゥルーデの目の前に出すウルスラ。
その言葉を受けて、エーリカとトゥルーデは顔を見合わせ、残りのパスタを食べきった。そして再度ウルスラを見る。
「と言う訳で、って言われても」
「姉様忘れたのですか? 今日は私達の誕生日ですよ」
「あ、そう言えばそうだった。トゥルーデ何か頂戴」
「とぼけるなエーリカ。お前なあ、昨日の夜から散々……」
にやけるエーリカ、そして顔を真っ赤にするトゥルーデ。
「姉様はもう誕生日祝い貰ったんですか?」
「うん。貰ってる最中」
「?」
首を傾げるウルスラ。満足そうに頷くエーリカは、ウルスラを見て言った。
「そうだねー。ウーシュも何かプレゼント無いと。トゥルーデ、何か有る?」
「いきなり言われても、流石に二人分は用意してない。と言うかウルスラは何で501に?」
「用事が有ったので。他に何か」
「いや、いい」
言葉に詰まるトゥルーデ。
「ウーシュは何か欲しいモノある?」
「物、ですか。物は、今は特に何も……ただ」
「ただ、何?」
「この前の実験で判明したことが一つ有ります。それはトゥルーデ姉様の……」
「この前の実験って、あの妙な電波か!」
火が吹き出そうな程の表情を作るトゥルーデ。
「じゃあ、トゥルーデを一時間レンタルするよ」
「トゥルーデ姉様を、ですか?」
「今回はそれでいいでしょ? ウーシュ」
「はい」
「じゃあトゥルーデ、そう言う事で」
「どう言う事なんだ」
「じゃあトゥルーデ姉様、行きましょう」
「え、何処へ?」
手をひかれ、連れて行かれるトゥルーデ。エーリカは微笑みながら二人を見送った。
「おいハルトマン、良いのか? 堅物放りっぱなしで」
横でやり取りを見ていたシャーリーがエーリカに声を掛ける。
「大丈夫だよ、あの二人なら」
「そうか? あの堅物だぞ? 普段は堅いけどいざとなったら……」
「いざとなったら〜ウキャー」
ニヤニヤ顔のシャーリーとルッキーニ。
飲みかけのコーヒーをぐいと一気に飲み干すと、エーリカは席を立った。
「もう、そんな事言ったら少し心配になっちゃうじゃん」
「あはは、悪い悪い。でも見張っといた方が良いぞ?」
「まあね」
エーリカは食器を片付けると、トゥルーデ達の後を追った。
- 111 名前:choker 02/03:2010/04/19(月) 23:56:47 ID:PUub3nio
- 「ここが基地のテラス……何度来ても、景色は素敵ですね」
「ああ。晴れた日はここでお茶会をする。なかなか良いぞ」
「恵まれてますね、501は」
「そうか?」
「トゥルーデ姉様はここにずっと居るから、分からないのでは」
「いや、各地の戦況や生活待遇の悲惨さについては、私もよく聞いている。それに、ここに来る前も相当なものだったからな。
だから501で自由にやらせて貰ってる事自体は感謝している……ってそんな目で見るなウルスラ」
「どんな目、してましたか?」
「何と言うか……エーリカと双子なのに、何か違うんだよなぁ」
「姉様と私は違って当たり前です」
少し拗ねた表情のウルスラ。
「そ、そうだよな。かたやカールスラント空軍のエース、そしてウルスラ、お前は軍きっての技術者だ。
お前の様な優秀な技術者が居なければ戦況はもっと酷かったと思うぞ」
「慰めですか?」
「実際の評価だ。501でもサーニャがフリーガーハマーを使っているが、あれも元は……」
「言葉はもういいです」
ウルスラは退屈そうにテラスに寄り掛かると、トゥルーデの服の袖をくいと引っ張った。
少し頬を赤らめる。
「どうした、ウルスラ」
「ウーシュ、と呼んで下さい」
「良いのか?」
「だって、私達家族でしょう?」
「ま、まあ、エーリカと……だから、うん。まあそうだよな」
何とか自分を納得させようとあれこれ考えるトゥルーデ。
「ウーシュ。これで良いか?」
「はい」
はにかみながら、小さく笑うウルスラ。
「あの、トゥルーデ姉様。良ければ」
「?」
「もう少し、二人でこうしていませんか?」
「ああ、良いぞ」
二人して、空を、海を眺める。海風が優しく二人の髪を撫でていく。
「そう言えばウーシュ」
「はい?」
「さっき、この前の実験がどうの、って言ってたよな」
「ええ」
「分かった事って、何だ?」
「それは……」
答えかけ、口ごもり、頬を染めるウルスラ。
「な、何だ? 私に言えない様な事なのか? 私の身体が何処かおかしいとでも?」
焦るトゥルーデ。
「違います。違うんです」
「なら、何だ」
「それは……トゥルーデ姉様」
そっと、トゥルーデにもたれ掛かるウルスラ。思わずびくっとしてしまうトゥルーデ。
幾らエーリカと同じ姿格好をしているとは言え、家族……義理の妹とは言え、それ以上の事はしないし出来ない。
そんなトゥルーデをよそに、ウルスラはそっと腕を伸ばし、“義理の姉”の身体を包んだ。
「おい、ウーシュ」
「ねえ、トゥルーデ姉様?」
「な、何だウーシュ?」
「私……」
「はいストーップ! そこまで!」
元気いっぱいのエーリカに割り込まれ、二人の距離が遠ざかる。
「姉様、まだ時間は……」
「残念、私の時計少し早いみたい」
笑うエーリカ。少し残念そうなウルスラ。そしてどうして良いか分からないトゥルーデ。
「じゃ、三人でお風呂行こ。ね」
- 112 名前:choker 03/03:2010/04/19(月) 23:57:08 ID:PUub3nio
- 扶桑の設営隊が腕によりをかけて完成させた豪華な風呂。
そこにハルトマン姉妹とトゥルーデは到着し、ゆったりと湯に浸かった。
ウルスラはトゥルーデの首に細い何かが付けられているのを見た。服を着ている時は目立たず分からなかったのだが。
「トゥルーデ姉様、それは? チョーカーですか?」
聞かれたトゥルーデは何故か焦り慌てふためいた。
「あー、これね」
エーリカがくすくす笑う。
「ウーシュの言う通りチョーカーだよ。でもただのチョーカーじゃないんだ、これが」
「見た目普通の装身具のチョーカーですよね?」
「うん。でも、チョーカーの持つ意味って知ってる?」
「意味ですか?」
「チョーカーってぎゅっと締めてるでしょ? つまり『首輪』って事」
「姉様……じゃあ」
「今日一日、トゥルーデは私のモノ。ご主人様の命令には絶対だよ、トゥルーデ」
「エーリカ、お前……っ」
「成る程。分かりました」
そしてはあ、と溜め息をついて湯に浸かるウルスラ。
「どうしたのウーシュ」
「そう言う事をする、される。そしてそれを受け容れてる二人は、余程なんですね」
「ヘンな意味に取るなよウーシュ? 別に私達はアブノーマルな訳では」
「トゥルーデ落ち着きなよ。今更いいじゃん」
「あのなあ……」
「じゃあトゥルーデ、ウーシュをお姫様抱っこして」
「えっ?」
「エーリカ、何でまた」
「良いから」
言われるがまま、渋々ウーシュを抱っこするトゥルーデ。顔が真っ赤になるウルスラ。
「ウーシュどう?」
「どうって言われても……」
「エーリカやめないか。困ってるじゃないか」
「喜んでるかなーとか思って」
「お前……妹に対して何て事を」
「いえ」
「?」
「どきどきしました……どうも」
「どうもって……意味が分からん」
「トゥルーデ、鈍いねえ」
エーリカは苦笑いした。ウルスラもつられてくすくす笑った。トゥルーデはただ首を捻った。
その日の夜。ウルスラが501を離れ、エーリカとトゥルーデは同じベッドに横になった。
「まったく、妹を玩ぶとは、エーリカも何を考えてるんだ」
ぼやくトゥルーデ。
「だって今日は私達の誕生日だよ?」
「そうだが、それと何の関係が」
「私だけってのも、何かアレかなーって思って、ウーシュにもね」
「はあ?」
「でも、やっぱり二人見てたら、許せなくなったよ」
そう言うと、エーリカはトゥルーデのしている細いチョーカーを触り、そのまま唇を奪った。
「まだ日付変わってないよね?」
「ああ」
「じゃあ、誕生日の夜最後のお願い、しちゃおうかな」
「お願いと言うより命令だろう……」
「いいじゃんトゥルーデ。日々の生活にも変化を持たせないとね」
「変化し過ぎだエーリカ」
「とにかく、最後のお願い聞いてよね」
にやけるエーリカを前に、トゥルーデは小さく溜め息を付いて、頷いた。
「ああ」
エーリカは、何かを耳元で囁き、そのままキスをした。トゥルーデもエーリカを抱きしめる。
誕生日の夜、最後の楽しみが始まった。
end
- 113 名前:名無しさん:2010/04/19(月) 23:57:54 ID:PUub3nio
- 以上です。
ハルトマン姉妹誕生日おめ!
急いで書いたので結構あやふやな部分も……何卒ご容赦を。
ではまた〜。
- 114 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/04/20(火) 00:22:47 ID:v7pnWS2Q
- こんばんは、mxTTnzhmでございます。
>>101 rQBwlPEO様のご希望に合うかどうか、
ニパエイラを書いてみました。
ではどうぞ。
- 115 名前:love is blind 01/02:2010/04/20(火) 00:24:04 ID:v7pnWS2Q
- 曇天のスオムス。ようやく吹雪が収まったその頃、基地では隊員達がのんびりだらだらと暇な時間を持て余していた。
「なあ、何か面白い事無いか?」
戦友とのポーカー勝負で三度目の敗北を喫したニッカが、隣に居たエイラに向かって声を掛ける。
「面白いって、お前自体が面白いんじゃないか」
「違ぇよ。そう言う意味じゃなくて。なんか退屈でさ」
「ハンガー掃除もしてきたらどうだ?」
「ふざけんな!」
「じゃあ、ちょっとした余興をやろうじゃないか。ニパ、頭貸せ」
「はあ?」
何かをやり始めたエイラとニッカ。二人の様子に気付いた隊員達が、興味津々に辺りに集まる。
ニッカの目を閉じさせ、何か耳元で囁きながら、頭をゆっくりと振り、揺り動かす。
魔法の儀式にも似た行為が終わると、エイラはニッカを立たせた。
「ほれ、ニパ目ぇ開けてみ」
「? ……何とも無いじゃないか。何が面白いんだよ」
「ねえねえイッル、今の何?」
「じきにわかるよ」
ふふ、とにやけ目を逸らすエイラ。
「ニパ、何とも無いの?」
隊員のひとりがニッカの目の前に立ち、まじまじと見て呟いた。
「ああ。所詮はイッルのいたず……」
きつく抱擁し、目の前に居る隊員にキスをするニッカ。
余りの突然の事に、隊員達は最初何が起きたか理解出来なかった。
「ぷはあっ! ちょっと何するのよニパ!」
「わ、わ、私だって何の事だか分かんねーよ!」
キスした隊員にビンタされるニッカ。
「いきなり酷いよ」
「そんな事言われても! 私にも訳が……」
「ニパ、キス魔になってるぞ」
「酔ってないよな?」
「酔ってねえ! 私はしらふだ!」
「じゃあなんでいきなりキスなんか……」
隊員のひとりをつかまえ、強引にキスをするニッカ。
「ふざけんな! 何しやがる!」
「私のせいじゃない!」
「キスしてきたのお前だろニパ!」
「違う! これには何か……」
そう言えば、さっきニッカの背後でげらげら笑っていた人物が居たのを思い出す。
エイラだ。
「イッルてめえ! 何処行った?」
「イッル? さっきサウナに行くとかで……んんんっ!」
ニパに話し掛けた隊員の一人がまたニッカのキスの餌食になった。
「な、何がどうなってるんだか分からねえ」
わなわなと震えるニッカ。
「さっきイッルになんかされてたじゃん?」
「てかニパ、あんたさっきから人と目が合うたびにキスしまくってるけど」
「そうそれ! それだ! 原因はそれ!」
「じゃあ、こっちみんなニパ」
「……」
原因らしきものが何となく分かった途端、距離を置き目を逸らす隊員達。
「ひでえ! みんなひでえ!」
「だってー」
「ニパに襲われるのはちょっと」
「私だって襲いたくて襲ってるんじゃない! これは全部イッルの仕業なんだ」
「でも実際襲ってくるのニパだし」
「イッルか、イッルなら何とかしてくれるんだな?」
「何とかって……原因そのものじゃないの?」
「そう言やそうだった。何処だイッル!?」
- 116 名前:love is blind 02/02:2010/04/20(火) 00:24:41 ID:v7pnWS2Q
- そこへやって来たのは、エルマ。隊の上官として皆を纏める立場にある彼女は、書類を小脇に抱え、
全員に集合を掛けた。
「皆さ〜ん、集まって下さ〜い。これからのスケジュールですけど……」
隊員達の様子がおかしい事に気付く。特に挙動不審なのがニッカだ。
「ニパさんどうかしたの? なんか落ち着き無いけど」
「悪いけど私に関わらないで。こっち見ないで」
顔を背けるニッカ。
「え? 何処か具合でも悪いの?」
「だからこっち見ないでって!」
心配になったのか、エルマはわざわざニッカの横に来て、顔を覗き込んだ。嫌でも目が合う二人。
当然の如く、一秒後にはニッカの熱いキス攻撃を受けていた。
「……ひ、ひどい」
ニッカを派手に突き飛ばし、涙目のエルマ。ニパは部屋の掃除ロッカーまで転がっていたが、バケツやらホウキやらを撒き散らしながら立ち上がり叫んだ。
「だからこっち見んなって言ったのに!」
「初めてだったのに……」
しくしくと泣き出すエルマ。
「あ……、いや、これは事故、事故だからノーカウント! だってこれはイッルに呪いを掛けられて」
「呪いですって?」
エルマの表情が変わる。そしてまたニパと目が合った。そして二度目のキス。
「ニパさん、私の事そんなに愛されても……」
「違う! エルマ中尉が好きなんじゃなくて……いや、そう言う意味ではなくて、とにかく違うんだってば!」
困惑したニッカは叫んだ。
「イッルの馬鹿は何処だーっ!」
恥じらいの表情を見せつつ、目は逸らして、エルマはニッカの服の袖を掴んで言った。
「責任、取ってもらいますよ?」
「えっ?」
一時間後。ホウキを手にしたエイラとニッカがハンガーのど真ん中で突っ立っていた。
「それで、この騒ぎの罰として、私とニパがハンガー清掃三日なのか?」
「全部お前のせいだイッル! 何でハンガー掃除なんてやんなきゃならないんだ」
「まあニパはよくやってるからコツつかんでうまいよな、ハンガー清掃」
「ふざけんな! てか目見て話せ!」
「嫌だね」
「手前ぇ! あとさっきのヘンな呪い解けよ!」
「さっきの? ああ、催眠術の事か?」
「催眠……、術? 何だそれ?」
「暗示みたいなもんだよ。条件反射みたいに行動したり、身体が勝手に動いたりするな」
「なるほど……って気楽に解説してんじゃねー! イッルのお陰で私がどんだけ酷い目に遭ったか」
「さっきエル姉泣いてたぞ」
「全部お前のせいだイッル!」
繰り返し強調するニッカ。
「大体目があった奴と片っ端からなんて……隊の皆と今後どう接していけばいいんだよ?」
「知るか。節操も雰囲気も無いよなニパは」
「イッルてめえ!」
怒り心頭のニッカは、ぐいとエイラの襟首を掴んだ。
目と目が合う。
二人同時に、あっ、と言う顔をする。揃って顔が少し赤くなる。
「イッル……」
「ニパ」
しかし、何も起きなかった。
「あ、あれ?」
「暗示も時間が経てば解けちゃうよ」
「な、なんだ。そう言う事か」
ははは、と乾いた笑いで誤魔化すニッカ。
「ま、ニパと私がしたところで何もないけどなー」
照れ隠しか、ニッカの手を解くと、顔を背けてひゅーと口笛を吹くエイラ。
「イッルの馬鹿ーっ!」
ホウキをぶんぶん振り回して追い掛けるニッカ、けらけら笑いながら逃げてゆくエイラ。
こうしてスオムスの夜は更けてゆく。
end
- 117 名前:名無しさん:2010/04/20(火) 00:26:54 ID:v7pnWS2Q
- 以上です。
エルマさんが何故部隊に居るのかとか、
(時期的に)いつの話か、と言うツッコミはご容赦を。
あくまでその辺はアバウトに……。
催眠術に掛かったニパ、如何でしたか?
何処かに似たネタが有った気もしないではないですがキニシナイ!
ではまた〜。
- 118 名前:5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2010/04/20(火) 00:41:43 ID:h73OqgYc
- >>109-117
GJです。
こんばんは、以前保管庫NO.1273「Ein Geburtstag」を投下したものです。
40分以上遅れちゃいましたが、ハルトマン姉妹の誕生日SSを投下します。
今回もトゥルーデ×エーリカです。
- 119 名前:5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2010/04/20(火) 00:42:24 ID:h73OqgYc
「エーリカ、まだ起きてるのか?」
私が深夜、不意に目を覚ますといつもは隣で寝ているエーリカが机で編み物を編んでいた。
「あっ、ごめん。もしかして起こしちゃった?」
エーリカは編み物を編む手を止め、私のほうに向きなおりそう言った。
「いや、気にするな。それにしてもお前が編み物とは珍しいな」
「うん、もうすぐ私とウルスラの誕生日だからあの娘にプレゼントを贈ろうと思って」
エーリカは再び机のほうに向きなおり編み物を再開しながら言った。
「そうだったのか……」
「それで、宮藤とリーネに編み方を教わって……ふわぁ……」
話の途中でエーリカが可愛らしい欠伸を洩らす。
時計を見ると時刻はすでに深夜の1時を回っていた。
「もう夜の1時だ。今は寝て続きは起きてからにしたほうがいいんじゃないか?」
「うん、そうだね……そうする……ふぁ」
エーリカは机から離れ、再び欠伸を掻くとそのまま私の隣で眠ってしまった。
「……すー……すー」
「……もう寝たのか? 随分と寝付くのが早い奴だ……」
それにしてもエーリカの奴、妹のために慣れない編み物を頑張っていたんだな……
「……すー……すー」
私は可愛らしい寝息をたてながら眠っているエーリカの髪をそっと撫でる。
「……私もお前へのプレゼントを考えないとな」
さすがに例年通りに目覚まし時計をプレゼントするのはやめたほうがいいだろう。
しかし、一体何をプレゼントすればエーリカは喜んでくれるだろうか?
- 120 名前:5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2010/04/20(火) 00:43:00 ID:h73OqgYc
「え? ハルトマンへの誕生日プレゼント?」
朝食の時間に私はエーリカと仲の良いシャーリー大尉とサーニャに
何をプレゼントすればいいかを尋ねた。
「う〜ん、本人にさり気なく聞いてみるのが一番いいんじゃないか?」
「そうしたいところなんだが、エーリカの奴、朝食を食べ終わるや否や宮藤達を
自分の部屋に連れ込んで3人でずっと編み物をやっているみたいでな。中々話しかけづらいんだ」
「あの寝坊助のハルトマンが私らより早く起きて編み物とはねぇ〜」
シャーリー大尉が感心するような口調で言った。
「ハルトマンさん、妹さんのために頑張ってるんですね」
「ああ、だからこそ私も頑張っているあいつに日頃の感謝を込めてなにかプレゼントを
贈りたいんだが、何がいいだろう?」
私は再び2人に問いかける。
「う〜ん、そうだな〜……ハルトマンの奴、イモが好きだからイモ料理とか振舞えば喜ぶんじゃないか?」
「もちろん、誕生日当日には私が料理をつくるつもりだが、
それとは別に何か形に残るものをプレゼントしたいな」
「そういえば……ハルトマンさん、前にぬいぐるみが欲しいって言ってました……」
サーニャが不意に呟く。
「それは本当か?」
「はい、前にハルトマンさんとお話したとき、自分の部屋にぬいぐるみを飾ってみたいって言ってました」
「ハルトマンがぬいぐるみを? そりゃ意外だな」
シャーリー大尉が驚きの声をあげる。
私も口にこそしなかったが、内心ではかなり驚いていた。
エーリカがぬいぐるみを欲しがっていたなんてまったく知らなかった。
- 121 名前:5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2010/04/20(火) 00:43:53 ID:h73OqgYc
「あら、みんなしてフラウの誕生日プレゼントの相談かしら?」
そこに朝食のトレーを抱えたミーナが食堂に入ってきた。
「ミーナ、エーリカがぬいぐるみを欲しがっていた事、知ってたか?」
私がミーナに尋ねると彼女は首を振った。
「いいえ、知らなかったわ。でもそんなに驚くほどのことでもないんじゃないかしら」
「そ、そうなのか?」
「ええ、フラウだって年頃の女の子よ。ぬいぐるみを欲しがったって不思議じゃないわ」
ミーナが笑顔で私に応える。
「……ぬいぐるみをプレゼントにもらって嫌がる女の子はいないと思いますよ」
サーニャがミーナに賛同するように頷く。
「……そういえば昔クリスの誕生日にぬいぐるみをプレゼントしたら、とても喜んでくれたな」
「女の子はみんなぬいぐるみやお人形さんを欲しがるものよ……それじゃ、行きましょうか」
朝食のスープを飲み干したミーナが言った。
「行くってどこに?」
「フラウの誕生日プレゼントを買いに行くのよ。ネウロイの来襲予定はまだ先みたいだしね」
ミーナが微笑みながら言った。
思い立ったらすぐ行動に移すところがなんとも隊長らしい。
- 122 名前:5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2010/04/20(火) 00:44:58 ID:h73OqgYc
――1時間後、私たちは街中の雑貨屋さんに到着した。
店の商品棚には多数のぬいぐるみや人形がびっしりと並んでいた。
「……これなんて中々良いんじゃないか。迫力もあるし」
「こっちのぬいぐるみも可愛いわね」
「私はこれが可愛いと思います……」
ゴリラに、狼に、ペンギン。
シャーリー大尉、ミーナ、サーニャの3人はぬいぐるみの選び方も三者三様だった。
そんな中、私は商品棚の端っこにあるぬいぐるみに惹かれ、気づけば『それ』を手に取っていた。
「おっ、バルクホルンはそのぬいぐるみにするのか? ちょっと地味なんじゃないか?」
「あら、私はとても素敵だと思うわ。あなたらしいチョイスね」
ミーナは私が手に取ったぬいぐるみを見て微笑んだ。
「ご主人、このぬいぐるみを買わせてもらおう」
私たち4人はそれぞれぬいぐるみを購入し、店を後にした。
- 123 名前:5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2010/04/20(火) 00:45:34 ID:h73OqgYc
――そして4月19日の夜……
「あ〜おいしかった! トゥルーデの料理、最高だったよ」
「喜んでもらえて何よりだ」
誕生会を終え、私とエーリカは宿舎のテラスでくつろいでいた。
テラスのテーブルの上にはエーリカが誕生会でもらったプレゼントが置いてある。
「シャーリーもミーナもサーニャもみんなしてぬいぐるみをくれるもんだから、
ビックリしちゃったよ。本当は私も編み物でぬいぐるみを作ってウルスラにプレゼント
しようと思ったんだけど、思ってたより難しかったから途中で断念しちゃった」
「それじゃ、結局ウルスラには何を編んで贈ったんだ?」
私はエーリカに尋ねる。
「えっとね、帽子と手袋とマフラー……あははっ、全部冬に着用するものだね」
「そういえば、何でお前はウルスラに編み物をプレゼントしようと思ったんだ?」
私は再びエーリカに尋ねる。
「……昔ね、母様が言ってたんだ。『大切な人には心を込めて作ったものをプレゼントしなさい』って。
それで、母様が昔よくやっていた編み物にチャレンジしようと思ったんだ」
「そうだったのか……」
「まぁ、途中難しいところはほとんど宮藤やリーネに編んでもらったんだけどね」
エーリカが苦笑いしながら言った。
「いや、それでも寝坊助でグータラで不真面目で時間にルーズなお前が、妹のために
不慣れな編み物に挑戦したのは立派なことだと思うぞ」
「それって褒めてるの? それとも貶してる?」
「あ、すまん……とにかく、お前はいつも妹や仲間のために影で頑張っているからな。
そんなお前に私から日頃の感謝を込めたプレゼントだ」
私はあらかじめテーブルの下に隠しておいたエーリカへのプレゼントを取り出し、彼女に渡す。
- 124 名前:5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2010/04/20(火) 00:46:31 ID:h73OqgYc
- 「開けてみてくれ」
「うん……」
エーリカは私の言われるままにプレゼントの箱を開く。
「わぁ、可愛い……」
「その、サーニャからお前がぬいぐるみを欲しがってるって聞いてな……それで私たち4人でそれぞれ
お前へのプレゼントのぬいぐるみを選んだんだ……その、私の選んだぬいぐるみ、気に入ってくれたか?」
「うん、とっても可愛いよ。このアナグマのぬいぐるみ」
エーリカはアナグマのぬいぐるみを抱きかかえながら微笑んでくれた。
「……店に入ったら、商品棚の端っこのほうにそのアナグマのぬいぐるみが置いてあってな。
それを見て、ウルスラの使い魔がアナグマだということを思い出して……
気づいたらそのぬいぐるみを買ってたんだ」
「ウルスラの使い魔、覚えててくれたんだ……そういえば今年のトゥルーデからの
誕生日プレゼントは時計じゃないんだね」
エーリカのその言葉を聞いて私は苦笑いをした。
「ああ、今年はいつもと違うものをプレゼントしたいと思ったんだ。それにしても水臭いじゃないか。
ぬいぐるみが欲しいなら私かミーナにそう言ってくれれば良かったのに」
「だって、そんなこと言ったら子供っぽいって馬鹿にされるんじゃないかと思って……」
「馬鹿になどするものか。それに、私はお前の子供っぽい一面も好きだぞ」
私はエーリカの頭を優しく撫でる。
「……本当にありがとう。トゥルーデ、私も大好きだよ」
エーリカはそう言うと、私の頬に唇を重ねた。
「エ、エーリカ……こんなところで……」
「えへへ、ごめん……でもトゥルーデが愛しくなっちゃって……でも、誰も見てないからいいでしょ?」
エーリカは今度は私の唇に自分の唇を重ねる。
そのとき、背後から聞き覚えのある声が聞こえた。
「あら、ごめんなさい。お取り込み中だったかしら」
私たちが慌てて振り返るとそこにはミーナがいた。
「え、えっと、ミーナ、これはその……」
私もエーリカも顔がりんごのごとく真っ赤になっていた。
……穴があったら入りたい。
「フラウ、あなた宛ての荷物がさっき届いたわ」
ミーナは何食わぬ顔でエーリカに小包を渡す。
「え、あ、ありがとう……」
「それじゃあ、ごゆっくり」
ミーナは母親からご褒美をもらった子供のような笑顔を浮かべてその場を去って行った。
私はしばらくその場に呆然と立ち尽くしていたが、エーリカの持っている小包が誰からきたものなのか
気になったので、彼女に尋ねてみた。
「……えっと……エーリカ、その小包、誰からのだ?」
「え? えっとね……あっ、ウルスラからだ」
エーリカが小包を開けると、中にはバースデーカードと手編みのセーターが入っていた。
「すごい……これ、ウルスラが編んだんだ……」
「……どうやらウルスラも母親から教わったことを覚えていたみたいだな。だからこうやって
大切なお前に手編みのセーターを贈ってきたんだろう」
「うん、そうみたいだね……ありがとう、ウルスラ」
エーリカはセーターを大事そうに抱えながら呟いた。
- 125 名前:5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2010/04/20(火) 00:47:10 ID:h73OqgYc
――同じ頃、カールスラント……
「ウルスラ技術将校、寒いんですか?」
1人のウィッチがウルスラに尋ねる。
「平気」
ウルスラは応える。
「ではなぜ、毛糸の帽子と手袋とマフラーを着用しているのですか?」
「……姉様が贈ってきてくれたから」
〜Fin〜
- 126 名前:5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2010/04/20(火) 00:47:37 ID:h73OqgYc
- 以上です。
- 127 名前:名無しさん:2010/04/20(火) 09:01:02 ID:sK1q/q0Q
- >>126
GJ!読みながらニヤニヤした。
- 128 名前:5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2010/04/20(火) 23:46:47 ID:h73OqgYc
- すみません、タイトルを忘れていました。
>>119のタイトルは「Ein Dachs」、ドイツ語でアナグマという意味です。
- 129 名前:名無しさん:2010/04/21(水) 00:18:44 ID:HInwwKNA
- >>126
GJ!これは良いエーゲル
- 130 名前:101:2010/04/22(木) 00:04:29 ID:f0EjC7zI
- >>117
ニパは催眠術に弱そうと思っていたらこんなことにw
振り回されているのがかわいくてニマニマしました! GJあざっす!
>>126
アナグマを贈るゲルトさんが男前でさらにかわいい。
ラストのウルスラも良かったです。GJ!
- 131 名前:名無しさん:2010/04/23(金) 23:00:49 ID:1dZJ.NRY
- もっさんとお姉ちゃんの抱き枕カバーサンプル画像が某所で見られる
こんなのもっさんじゃないと思ったけどミーナさんなら全部買い占めるであろうと(ry
- 132 名前:ねこぺん:2010/04/24(土) 00:33:13 ID:LSxytMs6
- ttp://www1.axfc.net/uploader/Sc/so/106283
エーリカ、ウルスラ誕生日SSです。楽しんでもらえれば、嬉しいです
ひどく遅れましたがお納め下さい。パスはswです。よろしくお願いします。
というわけでねこぺんでした、でわでわ
- 133 名前:名無しさん:2010/04/24(土) 00:49:03 ID:m6fAxpLo
- >>132
GJ!ハルトマン姉妹素敵過ぎる
日にちは少し位遅れてもキニシナイ!愛があれば問題なし!
とにかくGJ
- 134 名前:名無しさん:2010/04/24(土) 15:50:32 ID:Y0ZVHkNM
- >>132
お久しぶりですGJ
これは何とステキな姉妹でしょう!
読んでニヤニヤしました。
- 135 名前:laevatein ◆nc1Kth5AW6:2010/04/29(木) 02:20:41 ID:Ot4iCEDM
- どうもお久しぶりです、Laevateinです。
かなりいろんな方から「エース」設定の続きが読みたいと
リクをいただいてたので、書いてみました。
[流るる刃を携え] 芳佳&リネット
ttp://sky.geocities.jp/tsuki_no_tomo_sibi/swss/nagaruru.txt
それなりに長い空白行も含むので、文字の行だけで言うと680行程度
CPのほうも、リクがあったのでそのとおりにしてみました。芳リーネって
ほどじゃないですが、普通ならいちゃいちゃな行動が自然に出ちゃうあたりが
二人の仲のよさの証だと思ってます。
- 136 名前:laevatein ◆nc1Kth5AW6:2010/04/29(木) 21:59:03 ID:Ot4iCEDM
- すみません、早速間違いを発見しました……
最初のほうにて、"少女"の年齢は
×十四 ○十五
でした……orz
- 137 名前:名無しさん:2010/05/01(土) 10:39:18 ID:Um4BK3kQ
- >>135
GJ! 芳佳がすごくかっこいいですね。
リーネとの仲の良さもうまく表現されててさすがです。
それと、こういうお姉ちゃん好きですww
- 138 名前:名無しさん:2010/05/01(土) 17:30:25 ID:.MeK3gLI
- >>135
GJ!なかなかにカッコヨくてイイヨイイヨー
「ボーイズライフル」をボーイズラブと読み間違えた俺は病気
ところで今日は5月1日、501の日! ……なんて。
お姉ちゃんのフィギュア発売(の予約)も各地で始まった事だし、
今後が楽しみだー
- 139 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/05/01(土) 23:11:57 ID:64G01JO2
- >>123 5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2様
GJ! 素敵なエーゲル、読んでほこほこしました。
ウーシュも可愛い!
>>132 ねこぺん様
お久しぶりですGJ!
ハルトマンの姉妹愛(?)が素敵過ぎる……っ!
>>135 laevatein ◆nc1Kth5AW6様
GJ! 何かとってもカッコイイ!
ハリウッド映画的なノリの良さがいいですね〜。
改めてこんばんは、mxTTnzhmでございます。
今日は501の日? と言う事でひとつ。
実は昨日夢で「お姉ちゃん視点でエーリカとウーシュに説教する」と言うのを
見てしまいまして。そこでそのネタを元にSS化してみました。
と言っても夢と同じくぐだぐだですけども(汗
ちなみに今回も保管庫No.0450「ring」シリーズ続編です。
No.1283「choker」の続きでもありますので宜しくです。
ではどうぞ。
- 140 名前:piece by piece 01/04:2010/05/01(土) 23:12:45 ID:64G01JO2
- 「無くしたものを見つける」
そんな走り書きが記された紙切れを見つけたトゥルーデは首を傾げた。
「何だこれは?」
じっと紙片を見る。ノートか書類を破って急いで書き留めたものらしい。殴り書きに近く、誰の字か、までは分からなかった。
「まあ、後でミーナに渡しておくか」
彼女なら朝礼やミーティング等で、それとなく持ち主を捜し当ててくれる、そんな気がしたからだ。
「さて、問題は……」
紙片をポケットにそっとしまったトゥルーデは、悲壮感漂う決意にも似た溜め息を付き、とある人物の元へと向かった。
執務室へ“連行”し、裁定を下す為だ。
「一体何回言ったら分かるんだ!」
執務室に響く怒鳴り声。呆れ半分ながらも怒声の主を諫めるのは501隊長のミーナ。
美緒はミーナの横で腕を組み、いつもの事かと無表情。
同じく「いつもの事」と怒られるのも気に留めず横を向いてあっけらかんとしているのはエーリカ。
同様に、毎度毎度の如く、雷を落としているのは、トゥルーデ。
「だってぇ〜。トゥルーデ、この前もそれ聞いたよ」
「だから、何度同じ事を言わせれば分かるんだと言っている! 貴様それでもカールスラント軍人か!」
「規則規則って、うるさいなぁ」
「規則を守り、規律を守らねば、軍は成り立たん!」
握り拳を作って今にも殴り掛かる勢いのトゥルーデ。溜め息をつくエーリカ。
「それで? 今回の懲罰は? トイレ掃除? 自室禁固?」
「貴様っ! 全然反省してないだろ!」
トゥルーデとやり取りしてもラチが開かないと思ったのか、後ろの美緒とミーナに視線を送るエーリカ。
「ハルトマン、お前も少しは反省しろ」
「そうよハルトマン中尉。バルクホルン大尉は貴方の為を思って言ってるのだから」
二人から返って来た言葉も、毎度お馴染みのセリフ。
部屋の中が煮詰まりかけたその時、執務室の扉が控えめにノックされた。
「はい。何か?」
ミーナが代表して、ノックしてきた人に向かい、声を掛ける。
「し、失礼します。あの、ウルスラ・ハルトマン技術将校が今お見えになって……こちらへ……」
おどおどした声のリーネがドアの隙間から顔を出す。付き添いか、横に芳佳の姿も見える。
「後にしろ。今は……」
「は、はいっ」
いつになく刺々しい声のトゥルーデ。リーネは声を聞くなり怯えてすぐに引っ込んでしまった。
扉が閉められる。やれやれ、と溜め息を付く美緒とミーナ。
「トゥルーデ。貴方も少し怒り過ぎよ。リーネさん怖がっていたじゃない」
「間が悪い」
ぴしゃりと言い放つトゥルーデに、美緒が首を傾げながら言った。
「バルクホルン。ミーナの言う通りだ。お前も少し頭を冷やせ」
「しかし、元はと言えば……」
「はいはい。バルクホルン大尉、もう退出して宜しい」
ミーナはトゥルーデに向かって声を掛けた。
「なっ、何? どうして」
「お前は少し休憩して来い。ミーナはそう言う意味で言ったんだ。ハルトマンの裁定は私達二人が下す。
問題無いだろう」
「あ、ああ……。分かった。失礼する」
「……」
エーリカはわざとトゥルーデを見ないフリをして、頭の後ろで腕を組んで平静を装った。
それがまた気に障ったのか、トゥルーデはいらつきながら扉へ向かい、今にも破壊されそうな勢いで閉めた。
ミーナと美緒はその態度を見届け、改めて揃って溜め息を付いた。
「トゥルーデも怒り過ぎだよね」
ぽつりと言ったエーリカだが、何処か寂しさが感じられた。
「ハルトマン、お前ももう少しちゃんとしろ」
美緒が呆れと諦めが混ざった顔で声を掛ける。ミーナは美緒を見て一瞬ふっと苦笑したあと、エーリカの方を向き、
書類に目を通し、凛とした声で告げた。
「ではハルトマン中尉。今回の処罰は……」
- 141 名前:piece by piece 02/04:2010/05/01(土) 23:13:10 ID:64G01JO2
- 「自室禁固七日だってさー」
特別に面会を許されたウルスラは、いつの間に“増殖”したのか恐ろしくモノが散らかり放題の姉の部屋で
処罰の報告を聞くと、眉間に皺を寄せた。
「姉様。私が来る時にタイミング良く禁固処分なんて止めて下さい」
「だってー」
「全く。仮にもカールスラント空軍のエースがそんな体たらくで……」
「トゥルーデみたいな事いわないの。……それとも、心配してくれるの?」
「当然。大事な姉様だから」
「ありがと、ウーシュ」
エーリカは笑うと、がらくたを脇に無理矢理押しやって開けたベッドのスペースに座り、
部屋の中から発掘されたワインを取り出し、これまた何処からか出て来たグラスふたつを並べて置いた。
「ちょっと汚れてるけど、ま、いっか」
服の袖できゅっきゅとグラスをこすって、ワインをこぽこぽと注いだ。
「今日は501(ここ)に泊まっていくんでしょ? 飲んで飲んで」
「有り難う、姉様」
「モノは沢山有るけどどれが何なのかよく分かんなくてさ〜」
笑うエーリカ。つられて苦笑するウルスラ。
「また、片付けます?」
「どうせ禁固だし暇だし、良いかもね。明日にでも……」
そこに、手荒に扉をノックする音が。誰〜? と抜けた声で返事をすると、がちゃりと鍵が開けられ、
同郷のウィッチが食事を持ってやって来た。
「ほら、晩飯だ……って二人で何を飲んでるんだ!」
「自室に有るモノだし、いいじゃん」
「不真面目にも程があ……」
「トゥルーデ姉様、落ち着いて下さい。シチューが零れます」
「あ、ああ。すまん」
宥められたトゥルーデは、ベッドの脇にシチューの皿、スプーンを置き、パンを並べた。
「ほら、ちゃんと食べろよ」
「トゥルーデ、晩ご飯は?」
「まだだ。これからだ」
「じゃあ一緒に食べようよ」
「あのなあ。今夜はウルス……ウーシュの分も食堂に有るんだ」
「じゃあ持ってきてよ」
「何で私がそんな事を……」
「お願いしますトゥルーデ姉様」
「ウーシュまでどうした?」
「せっかく二人に会いに来たのに……寂しいじゃないですか」
伏し目がちに答えたウルスラ。その姿を見て心揺さぶられたのか、トゥルーデはぶつぶつと文句を言いながら部屋を出、
数分後、三人分の食事が部屋に並んだ。
「今日の食事当番、リーネとミヤフジだね」
「そうだが? 何故分かった?」
「シチューの具。切り方にちょっとした癖が有るんだよね。あとは味付け?」
「成る程な」
「確かに、単純な塩味だけではない様な……」
ウルスラもシチューを食べながら化学の実験らしく味の組成を確かめようとしている。
「あらかた、隠し味だとか言って醤油でも垂らしたんだろう」
「あ、それだよトゥルーデ」
「流石トゥルーデ姉様。当たっているかも知れませんね」
「な、何? 当てずっぽうで言ったんだが」
「独特の香味にまろやかな塩分……」
ウルスラの科学的味覚分析。
「おいしー! トゥルーデ、おかわり」
「食堂からここまで持ってくるの、面倒なんだが」
「だってー。お腹空いたー」
「じゃあ私のを食べるが良い」
「ありがと、トゥルーデ」
エーリカはトゥルーデの皿を取るとシチューをぱくついた。
ウルスラはかいがいしく、エーリカの口の端を拭ったりしている。
- 142 名前:piece by piece 03/04:2010/05/01(土) 23:13:35 ID:64G01JO2
- そんな微笑ましい光景をぼんやりと見、肘をついてすっかり和んでいたトゥルーデは、はっと我に返った。そして怒鳴った。
「貴様ぁっ! たるんでるっ!」
「いきなりどうしたのトゥルーデ?」
「トゥルーデ姉様?」
「いかんいかん。危うくお前のペースに乗せられる所だった」
トゥルーデは咳払いをすると、何かを言おうとした。
「また説教?」
何気ないエーリカの反抗の一言が余計にトゥルーデの心に火を付けたのか、トゥルーデは立ち上がり、
今にも怒鳴る寸前の顔をする。
意外にも、止めたのはウルスラだった。
「トゥルーデ姉様。座って下さい。せめてご飯が終わるまで」
「し、しかし……」
「私達家族でしょう? たまにはゆっくり食事、したい……」
トゥルーデの服の袖をくいっと引っ張るウルスラ。
「あ、ああ……うん。そう、だよな」
トゥルーデはしおしおとしぼんだ蕾の如く、部屋の床にへたり込むと、手近に有ったワイングラスを取り、中身を一口飲んだ。
「それ、私の」
「少し位良いだろ。家族、なんだし」
ウルスラの言葉をそのまま返すトゥルーデ。それを聞いたエーリカは微笑んだ。
「そうそう。家族だもんね」
何処か納得いかないまでも、そのもやもやした気持ちをワインと一緒に飲み込んだ。ふうと息を付く。
「トゥルーデ姉様?」
「何だウーシュ?」
「トゥルーデ姉様の気持ち、分かります」
「な、何だ唐突に」
「分かります。姉様と、トゥルーデ姉様を見ていれば、すぐに」
「な、何故に」
たじろぐトゥルーデ。
「いつも私を心配してくれてるんだよね、トゥルーデ」
シチューを食べ終わったエーリカはトゥルーデに寄り掛かり、笑顔を見せた。
「わ、私は……同じカールスラント軍人として、だな……」
「ありがと、トゥルーデ」
「……」
「私からも言わせて下さいトゥルーデ姉様。有り難う御座います」
「ウーシュにまで礼を言われる筋合いは……」
「姉様をしっかり守ってくれている。分かります」
「そ、それは……」
エーリカがトゥルーデの腕を持ち、皆の前で手を持ち上げ見せた。
二人の指に輝く、お揃いの指輪。一片の曇りもない、二人の愛の証。
ふと、トゥルーデの頬に柔らかい何かが当たった。エーリカの唇だとすぐに気付く。
トゥルーデは下を向き、呟く様に喋った。
「それは……、確かに。放っておけない、から」
「それだけ?」
「エーリカ……。ウーシュの前でそれ以上の事を言わせる気か!?」
「良いですよ、言わなくても」
ウルスラはにっこりと笑い、目の前のバカップルな“家族”二人を見つめた。
「それ程まにで、二人はお互いを心から信頼している。だからこそその裏返しで、と言う訳ですね」
「裏返し?」
「執務室の怒鳴り声、外まで聞こえて来ましたよ?」
「あの時外に居たのか、ウーシュ」
「ええ。後で改めてヴィルケ中佐にはお会いしましたけど」
「そうか。済まなかった」
「それは、案内をしたビショップ軍曹にも言ってあげて下さいね」
「あ、ああ。リーネにも悪い事をしたな……」
「トゥルーデってば」
- 143 名前:piece by piece 04/04:2010/05/01(土) 23:14:00 ID:64G01JO2
- そのまま、ワインを回し飲みしているうちに時間も経ち酔いも回って来た三人。
適当にその辺にある毛布を引きずり出すと、モノが散らかり狭いベッドに寝転がり、身体に掛けた。
「親子みたい」
「何で?」
「こう言うの、『川の字になってる』とか扶桑で言うらしいよ。家族の象徴なんだって」
「聞いた事無いな……宮藤か?」
へへ〜、と笑って誤魔化すエーリカ。
「トゥルーデ姉様の背中、おっきくて暖かい」
酔ったウルスラもトゥルーデの背中を指でつんつんとつつき、さすり、甘えてみせる。
「ウーシュ、飲み過ぎじゃ……」
「あー、ウーシュだめだよ、トゥルーデは私のだからね」
「分かってますけど……少し位良いじゃないですか」
「少しだけだよ。三センチね」
「何でそこだけ具体的な数値なんだ」
「さあ」
「エーリカ、お前も酔ってるだろ」
「そんなことないよー」
「まあ、良いけどな」
何か吹っ切れた顔をするトゥルーデ。そんな愛しの人を見たエーリカは、不意にぎゅっと抱きしめ、言った。
「ごめんね、トゥルーデ」
「今更何だ」
「色々と、さ」
「気にするな、エーリカ」
「ありがと、トゥルーデ」
二人はそっと距離を縮め、軽く唇を触れ合わせた。微かに混じる、シチューとワインの味。
「姉様、ずるい……」
ぼそっと呟く背後の声に驚き振り返ると、ウルスラは既に浅い眠りに入っていた。寝言か、とトゥルーデは微笑むと
ウルスラの顔からそっと眼鏡を外し、テーブルの上に置いた。
「あとでウーシュにもしてあげてね」
「いや、それは流石にどうかと」
「じゃあ、その分私に、もっと」
「ああ」
ゆるゆると抱き合い、もう一度唇を重ねる。目を閉じ、感覚を集中させる。絡む舌、僅かに滲む汗、染まる頬。
「長い、キスだったね」
余韻に浸るエーリカ。
「私の気持ち、だから」
顔を赤らめ、答えるトゥルーデ。
「じゃあ、愛してるって、言って?」
「ウーシュに聞こえるだろ」
「寝てるよ」
ウルスラには聞こえぬ様、耳元でそっと囁く。
「……愛してる、エーリカ」
「トゥルーデ、大好き」
二人はもう一度、お互いを確かめるべく、もっと長いキスに浸った。
翌朝、目が覚めたトゥルーデはポケットの中に仕舞いっぱなしの紙切れを思い出した。
もっさりと起きてきたハルトマン姉妹に、それを見せる。
「あ、これ私の」
「エーリカの、だったのか」
「これ何処で拾ったの?」
「廊下に落ちていた」
「そっか。ありがと」
「しかし、この意味は何だ?」
「新聞か雑誌に書いてあった星占いでね。今週の私の運勢なんだって」
「なるほど。じゃあ私も姉様と同じと言う事ですね」
「そうなるよね」
「でも、これが占いだとしたら、当たってないんじゃないか? 無くしたものなんてそもそもないし」
「だけど、『見つける』って意味では当たってるかも」
「?」
「ね、ウーシュ」
「ですね、姉様」
くすくす笑うハルトマン姉妹を前に、首を傾げるトゥルーデ。
「トゥルーデ見ぃつけた!」
「えいっ」
エーリカとウルスラから同時に抱きつかれ、ベッドに押し倒される。何となく合点が行く。
こんなひとときも悪くない……と流されっぱなし、頬が緩みっぱなしの“堅物”の姿がそこにあった。
end
- 144 名前:名無しさん:2010/05/01(土) 23:14:37 ID:64G01JO2
- 以上です。
トゥルーデとエーリカはもっといちゃいちゃするとイイヨ!
みたいなノリで。
色々と考えるはするけど、結局この二人なんだなあ……うーむ。
ではまた〜。
- 145 名前:名無しさん:2010/05/03(月) 21:46:32 ID:n1vQ80cU
- >>143
乙!
三人ともかわいいな。
- 146 名前:名無しさん:2010/05/03(月) 21:54:08 ID:aL76h6fM
- 娘買ってきた
おれ は 芳リーネ にめざめた!
あとヘルマがテラいい味だしてた。流石すぐるw
最後は予想GUYというか、とりあえず5月29日マダー?
- 147 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/05/07(金) 00:16:10 ID:Z18oukeM
- こんばんは、mxTTnzhmでございます。
今回は某所での思い付き? から発生したネタをひとつ。
いつもの通り保管庫No.0450「ring」シリーズ続編となります。
ではどうぞ。
- 148 名前:baby sister 01/03:2010/05/07(金) 00:17:10 ID:Z18oukeM
「エイラの、馬鹿」
その呟きに至るまでのプロセス、そして始発点は、小一時間程遡る事になる。
基地の庭の片隅には、海を見渡せる木陰が有る。隊員達がそれとなく訪れてはのんびりしたり
愛を語り合ったり、ひとり瞑想に耽ってみたり。
今日その場所にぽつんと陣取り、海を“睨んで”いるのはトゥルーデだった。
時折ふう、と深く息を吸い、吐く。そして唯々海に目を向ける。
穏やかに揺れる水面は太陽の光をきらきらと反射させ、優しい海風がトゥルーデを包む。
だが険しい表情は緩む事は無く、ゆったりとした時間だけが流れて行く。
足音が近付いて来る。振り向くと、そこにはエイラの姿があった。いつになく幻滅した顔をしている。
「何だ、エイラか」
突き放された物言いに、エイラは口を尖らせた。
「『何だ』とは随分酷いじゃないカ、大尉」
トゥルーデはその姿を見て、不意におかしくなった。
くすっと笑うと、エイラは苛ついたのか、トゥルーデの元に詰め寄った。
「何だヨー! 私が来ちゃダメなのかヨ!?」
「いや、何でもない、気にするな」
「気にするヨ」
「どうした、何か用事か?」
「大尉に用事って訳じゃネーヨ」
「そうか」
トゥルーデは不機嫌なエイラを見、追い払おうと一瞬思いもしたが、彼女の目を見てその思考を払い除けた。
悲しげな瞳の色。今にも涙が溢れそう。うつむき気味の顔。
エイラらしくもない。
トゥルーデは自分の事を忘れ、エイラの腕をそっと取った。
「少しゆっくりしていけ」
「いつからここ大尉の場所になったんダヨ」
「良いじゃないか」
二人して、腰を下ろす。抵抗するかと思ったエイラも案外すんなりとトゥルーデを受け容れた。
「海が綺麗だな」
「アァ」
少し風が強くなった。肩を寄せ合い、海と水平線の方を見やる。
風の強さとは裏腹に、水面は穏やかなまま、陽射しも変わる事なく二人を照らす。
エイラは何か言いたそうで、だけど何も言えない雰囲気で。
「どうした」
トゥルーデは短く端的に聞いた。
少しの間を置いて、エイラはぼそぼそと呟いた。
「サーニャと、喧嘩、した」
「なるほど」
「あ、今笑ったダロ? 私の事笑ったナ?」
「私は人の不幸を愉快に思う様な人間ではないぞ、エイラ」
「うう……じゃあ何で」
「同じさ。私も」
「?」
物憂げな表情で、そっと、薬指に輝く指輪を撫でるトゥルーデ。
「大尉は、中尉と喧嘩したのカ」
エイラの問いに頷き、答える。
「ああ、したさ」
「随分開き直ってるんだナ」
「してしまったものは仕方ない……今更悔やんだところで」
「……」
- 149 名前:baby sister 02/03:2010/05/07(金) 00:17:37 ID:Z18oukeM
- 風になびく前髪をさっとかきあげ、トゥルーデは言った。
「なあエイラ。物事が起きるには、必ず何か原因もしくは理由が有る筈だ。そうは思わないか」
「哲学カヨ? 私にはよく分かんねーヨ」
「その原因さえ分かれば、後は対策のやりようが有ると言う事だ」
「なんかカールスラント軍人らしい考え方ダナ」
「私はそのカールスラント軍人なんだが」
「そうだっタ」
「で、エイラは原因分かったのか?」
「それが分かれば苦労なんてしねーヨ……」
「そうか。まあ、世の中には分からない事も多いからな」
「大尉、さっきと言ってる事違うゾ」
「私にだって、分からない事くらい、有る」
「そりゃそうダロ」
呆れるエイラ。
「まあ、同じ境遇だし、少し考えてみるのも良いんじゃないか?」
「何だか反省会みたいダゾ……」
「一人で惨めな気分になるな、エイラ」
「なるヨ! だっテ、サーニャが私の事『嫌い』なんて言うから! サーニャが、サーニャが……」
「サーニャに嫌われるとは、何をしたんだ?」
「何もしてネーヨ! ……何も」
「それだろう、原因は」
「へっ?」
「何もしない事に、サーニャは怒ったんじゃないのか」
「なにその頓知みたいな理由」
「発想の転換と言って貰いたいな。大体エイラは……」
「今度は説教カヨ!」
「待てエイラ」
ぐいと手を伸ばし、立ち上がりかけたエイラを掴む。よろけ、バランスを崩したエイラをしっかりと抱き止めた。
偶然にもお姫様抱っこの状態になったエイラは、かあっと顔を赤くした。
「な、何すんだ大尉」
「落ち着け」
「わ、私はそんな気無いからナ? 私は……」
いつになく真面目な顔をしたトゥルーデを見て、口ごもるエイラ。
「エイラ」
トゥルーデの腕の中で、小さく震えるスオムスの娘。
「お前が心配なんだ」
真顔で言われ、困惑する。
何て言い返せば良いか分からない。茶化しても通じないであろう表情。
「は……離して」
途切れ途切れに拒絶の言葉を口にするのが精一杯。でも身体は動かず、動けず。
馬鹿真面目なカールスラント軍人も、じっと腕の中の娘を見つめている。
「私には分からないな。何故に彼女はお前を拒絶するのか」
「えっ」
「こんなにも、美しくひたむきなのにな」
「な、何イッテンダ!? 私を口説いてるのかヨ?」
再びじっと見られ、それ以上何も言えなくなるエイラ。
「私は……大尉の妹じゃないゾ」
辛うじて放った言葉にも、まるで動じない。
「妹、か。隊の皆は家族。そうじゃないか?」
「つまり皆『いもうと』って事カヨ?」
「ミーナもそう言ってた」
「ミーナ中佐まで……」
それっきり何も話さず、お互いに、抱かれ、抱いたままの状態が続く。
風に流されるエイラの髪は陽に当たり美しく輝く。トゥルーデのおさげも風に揺れる。
経験した事の無い状況に陥り、エイラは激しく動揺する。
……目の前の大尉から、逃げられない。
- 150 名前:baby sister 03/03:2010/05/07(金) 00:18:10 ID:Z18oukeM
- でも、エイラは抱っこされて気付いた事もあった。
トゥルーデの身体はとても温かく、何だか居心地が良い。
彼女の香りは、サーニャのそれとはまた違った良さが有って、不思議な気分。
何故だか自分の事を本気で心配してくれている、であろう事も。
それを感じた瞬間、ほんの少しだけ安堵した自分が居る。その事実を突きつけられ、心の中で悶える。
大尉こそひたむきじゃないか、浮気じゃないのかと思ったけど、何故か言えない。
そんな空気じゃない。
いやむしろここは空気を読まずに動くべきなのだが、動けない。
エイラは抱っこされたままの自分を呪った。
どうしてこんな目に。
どうしてこんな目に見つめられているのか。自分が映り込む程に近い瞳の色は、宝石にも似て綺麗で。
何故離れられないのか。
気付いていなかったが、ふたりの距離は相当近い。
エイラは自然と、トゥルーデの服の袖を掴んだ。更にじわりと接近する。
ごくりと唾を飲み込む。袖を掴む腕が震える。目を閉じる。
間も無く交錯する……。その時。
突然にふたつの手が伸び、二人の距離を引き離した。
「何やってんのトゥルーデ」
「……エイラ?」
エーリカとサーニャだった。二人とも怒った顔をしている。
一足早く我に返ったエイラは、あたふたと両手を振って弁解した。
「さ、サーニャ! こ、これは違うンダ」
「違うって、何が? バルクホルンさんが、いいの」
「違ウ! これは事故ダ!」
「説明、してくれる?」
「も、もちろん! だからサーニャ、怒らないで話を聞いて……」
答える暇も無くずるずると引きずられていくエイラ。
サーニャは獲物を逃がさぬ猫科の動物宜しく、愛しのひとを引きずったまま何処かへと消えた。
「へえ。一応は一歩前進した……、って事で良いのかな」
エーリカがその様子を見て頷いた。
「何の事だ?」
トゥルーデの問いに、エーリカは呆れ気味に答えた。
「あの二人だよ。サーニャ、今日エイラと口聞いてないって言ってたから」
「そう言えば、喧嘩したんだってな。酷く落ち込んでた」
「だからって、トゥルーデがエイラをお姫様抱っこしてキスして良いって事にはならないからね」
「待て! 私はそんな事……」
「そう見えたんだもん。違うとは言わせないよ。例え未遂でもね」
「いや、それでも……」
「言わせない」
エーリカは自分の唇でトゥルーデの唇を塞いだ。そして腕を回すと、トゥルーデに全身を預けた。
思わぬ行動を取られ、よろけ気味にエーリカをお姫様抱っこするトゥルーデ。
「さ、私達も行こう、トゥルーデ。それで、私にもさっきの理由、聞かせてよ」
「……」
「答えによっては……」
「よっては、何だ?」
「どうしようかな〜。前の喧嘩の事もあるしね」
苛立ち半分、にやけ半分と言った感じのエーリカ。多分きつい「お仕置き」を考えているに違いない。
(どうしてこうなった……)
トゥルーデは思わず、呟いた。
「エイラの、馬鹿」
その言葉は図らずも、サーニャ、エーリカも内心思い、口にしていた。
言われた当の本人は、そんな事も知らずに、ただただ目の前の愛しの人に、許しを乞うていた。
愛に囚われた人の、情けなくもひたむきな姿。
だからこそ、隊の皆からそっと見守られ愛されている事を、彼女は未だ知らない。
end
- 151 名前:名無しさん:2010/05/07(金) 00:19:11 ID:Z18oukeM
- 以上です。
お姉ちゃんとエイラは皆の人気者!
……と思って書いてたら結果この有様だよ!
まさに書いてて「どうしてこうなった」状態。
あと秘め話CD3の「何だとはご挨拶だな」を
逆バージョンでやってみたかったんですが……。
ではまた〜。
- 152 名前:名無しさん:2010/05/07(金) 03:08:34 ID:yJ/EXOfw
- >>151
GJです!
エイラはどんなキャラと絡ませてもいろんな魅力が出ますねー
あとゲルトイケメン杉ワロタw
- 153 名前:名無しさん:2010/05/07(金) 10:31:20 ID:26GnMso.
- >>151
トゥルーデに超惚れた
いや、前からトゥルーデ一筋だけど
でも惚れた
- 154 名前:名無しさん:2010/05/09(日) 23:57:35 ID:KzK8aCB.
- 200000ヒット越えおめです
- 155 名前:3K5frGcU:2010/05/10(月) 00:17:59 ID:4nPnktb6
- お久しぶりです。3K5frGcUです。
年末に家が類焼に合ってそりゃもう大変大変…
火元の人間がにげまわってるとか愚痴りたいのを我慢して4レス程エイラーニャ投下していきます。
ノープランで書き始めるとエイラーニャになってしまうのは愛ゆえに。
- 156 名前:3K5frGcU:2010/05/10(月) 00:18:23 ID:4nPnktb6
- ガリア上空に位置していたネウロイの巣が無くなってから数日。
501統合戦闘航空団は正式に解散となった。
と言っても急なことだったし、次の配属先を決めるまでの数日間は皆惜しむように基地でゆっくりしていた。
相変わらずハルトマンさんはズボンを履いてなくてバルクホルン大尉に怒られてるし、ルッキーニちゃんは
そのとばっちりを受けていた。笑ったり呆れたりしながらも、その顔は皆満足感に溢れていた。
リネットさんと芳佳ちゃんはいつもの様にごはんを作ってくれて、でもいつもより少し量が多かったり
豪華だったりした。
基地に残った食料は街の人に分けようという提案で纏まったけど、当日街まで持って行ったミーナ中佐と坂本少佐
が困り顔で倍の量の食材を積んだトラックで帰ってきた時には流石にみんな驚いていた。
「最後まで私たちに気を使ってどうすんですか。最後ぐらいみんなでパーッとやってくださいよ」
ということらしい。
野菜や果物、ワインまで。街の人たちがどんどんトラックに詰め込むものだから、中佐も諦めてしまったみたい。
「厄介払いされるより断然良いだろう。これも街の人々との交流を大切にしてくれていたミーナのおかげだな!はっはっは!」
と言うのは坂本少佐の言葉。
そんな事があってか、芳佳ちゃんは食材を早く使ってしまいたいからと言っていたけど、本当の理由はそれだけじゃないと思う。
みんな食事の時間を楽しみにしていたし、バルクホルンさんに至っては芳佳ちゃんの料理ばかり選んで
食べていたように思う。ナットーと言う発酵食品まで涙目になりながら食べていたけど。
ペリーヌさんはナットーを出されたことに対して文句を言ってはいたけどちゃんと全部食べていた。
- 157 名前:3K5frGcU:2010/05/10(月) 00:18:43 ID:4nPnktb6
扶桑の料理は奥が深い。中でも扶桑の家庭の味、オミソシルを近いうちに芳佳ちゃんに教えてもらおうかな。
そんなことを考えながら視線を落とすと、強い風が吹き抜けた。木陰で休んでいた私たちの髪が強風に煽られて暴れ、
ざわざわとゆれた木から何枚か葉が落ちた。ものすごい速さで目の前を通り過ぎたのは、シャーリーさんだ。
音速を超えた時の感覚が忘れられなくて、暇を見つけてはチャレンジしてるみたい。
私も早くお父様、お母様と会いたい。シャーリーさんのように、諦めずに探せばいつか合えると信じている。
突風で乱れた髪を直しながら、私の膝を枕にして寝ている人を見やる。彼女も突風の洗礼を受けて髪がぐしゃぐしゃだ。
少し驚いてしまうほどの突風なのに、小さく呻いただけで目を覚まさないなんて、普段とは逆だな。なんて思ったりして。
ゆっくりと、起こさないよう彼女の髪を手櫛で直して行く。さらさらと流れる髪の感触が心地良くて、整えた後も
頭を撫でる事でその感触を楽しんでいた。
だって、普段起きている時はこんな事させてもくれないでしょう。膝枕をしているのだって偶然で。
木陰で寝ていた彼女を見つけたのはリネットさんのお茶を頂いた後。
起こさないよう近付いて横に座ったのに、もぞもぞと動いて当然のように膝に頭を乗せてきたものだから、
起きてるのかと驚いたけど、寝ぼけてただけで。
でもそんな彼女を見るのも珍しいから好きなようにさせていたら、私の膝の上で良い位置を見つけたらしく、
満面の笑みを浮かべてまた眠ってしまった。
今は寝ているこの人も、私の両親探しを手伝ってくれるそう。スオムスで待っているお友達は良いの?
と以前聞いた事があった。
「あいつの固有魔法は超回復なんダ。あいつ、変な所でツいてるからナー。よっぽどの事が無い限り生きて会えるサ。
もしかしたらその内私達の前に堕ちてきたりしてナ。そんな予感がする。」
ニヒ。と空を見上げて笑う彼女。遠く離れた彼の地に居る、ニパさんの事を考えているんだろう。
- 158 名前:3K5frGcU:2010/05/10(月) 00:19:22 ID:4nPnktb6
- 信頼されているニパさんを羨ましく思ったのと同時に、妬ましく思った。
彼女のほっぺをつねる事で少しは解消した気分にはなったけれど。
私はいつも心配されていたから、長い間会えなくなってしまったらこの人はどうなってしまうんだろう。
その前に私自身、この人が居ないと気が狂ってしまうかもしれない。彼女の居ない日々なんて考えられない。
会えないだけならまだいい。もし彼女を紛争で亡くしてしまったら…
そこまで考えて撫でていた手を止め、不安を振り払うかのように彼女の髪を掬い上げる。
はらはらと数本の毛が手から零れ落ちた。彼女特有の暖かな香りが鼻腔を埋める。自然と涙が滲んでいた。
――エイラ、どこにも行かないでね。大好きよ。だから、私を置いて行かないで
自然と口から零れてしまった告白の、なんて身勝手なこと。
それでも言われた当の本人は寝息を立てていて、私の精一杯の告白を聞いているのは背もたれにしているこの木だけ。
――ねぇ、好き。大好きよ。エイラ…愛してる
エイラが好き。彼女の頭を撫でながら、感情を押し留めること無く、目に涙を溜めながら思いの限り彼女にささやき続けた。
それは言葉では埋め尽くせないほどの感情。一つ一つ、吐き出す度に何倍にもなって膨れ上がる感情。このまま言い続ければ
いつか心臓が破裂するんじゃないかと顔を真っ赤にしながら本気で思って、案外私もヘタレだな、と気付き始めた頃
ふわり。と柔らかな風が吹いた。
シャーリーさんの起こすような力強い突風ではなく、暖かい春の風のような。
さわさわと木の葉が音を立て、雲の切れ間から柔らかい日差しが差してきた。このまま私も眠ってしまおうか。とも思ったけれど
まだ煩い心臓のせいでそういうわけにも行かず、自分を落ち着ける為にふぅ、と息をついて「ムリダナ」と呟いた。彼女のマネだ。
そうして彼女の頭をもう一度撫でる。
感情のたがが外れてあんなことを言ってしまったけれど、今思えばものすごく恥ずかしい。
誰にも、それこそエイラにも聞かれてなくて良かったけど。でも、やっぱり恥ずかしい。
きっと、時期が悪いんだ。あとエイラも。こんな時に、こんなところでお昼寝してるなんて。
- 159 名前:3K5frGcU:2010/05/10(月) 00:19:39 ID:4nPnktb6
理不尽な言い訳をしながらも、エイラの頭を撫でるのはやめない。
…ぱた……ぱた。
ふと、視界に動くものが見えた。
エイラの頭を撫でるのを止め、動くものを追っていくと…見つけてしまった。
見慣れた黒くてもこもこの尻尾。大好きな人の、エイラの尻尾が嬉しさを我慢するかのようにふらふらと揺れていた。
慌ててエイラの顔を覗き込むと、耳まで真っ赤になりながら「寝たフリ」を決め込んでいた。小刻みに震えたりもしている。
いつから起きていたのか、どこから聞いていたのか、聞きたいけれど、聞いたら後戻りできなさそうで。
さっきとは似てるけど少し違うドキドキが胸を支配する。きっと告白した時と同じぐらい真っ赤になってる。
たった数秒が何時間にも思えた。実際、告白をしたのはほんの数分だろうけど。
シャーリーさんの計測を終えたルッキーニちゃんに見つかってからかわれるまで、そのまま動けなかった自身がある。
エイラが「ソンナンジャネーヨ!!!」と勢い良く起き上がって、それで私も正気に戻ったのだから。
元気な救世主には「二人とも顔真っ赤ー!」とからかわれたけど。
- 160 名前:名無しさん:2010/05/10(月) 21:08:34 ID:tzTTks.A
- >>159
GJ!エイラーニャはやはり良いものです!
フミカネサイトに502JFWの新キャラが続々と。
キャラ関係見るだけでも面白そう。
- 161 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/05/14(金) 20:33:24 ID:VGfpwHBk
- >>159 3K5frGcU様
GJ! エイラーニャ良すぎるGJ
甘々で詩的。素敵です〜。
こんばんは、mxTTnzhmでございます。
食べ物ネタという事でひとつ短めのを。
ではどうぞ。
- 162 名前:fusion cuisine 01/02:2010/05/14(金) 20:34:05 ID:VGfpwHBk
- 「あら、また缶詰?」
ミーナは何気ない呟きのつもりだったが、言われたシャーリーは顔をひきつらせた後、
ややぶっきらぼうに、ぼそぼそと答えた。
「え、ええ、また缶詰です。……栄養、有りますよ」
彼女の“らしくない”反応に気付いて、慌てて言葉を足した。
「あのシャーリーさん、悪い意味で取らないでね。ただ、最近続いたから、その意味で。ヘンな意味じゃないのよ?」
「ええ。分かってます」
シャーリーは全員に缶詰を配ると、席に戻り、もくもくと食べ、一足先に席を立ち食堂から出て行った。
「私、悪い事言ったみたい」
目の前の缶詰を見、呟くミーナ。隣に座っていた美緒がミーナの顔を覗き込んだ。
「そんな事無いぞ」
「そうかしら」
「だって皆そう思ってる」
美緒は頷いた。
「でもね、み……坂本少佐。彼女の国からの有り難い支援物資な訳だし」
「しかし、こうも缶詰肉、缶詰肉、と続くと、流石に飽きるのも事実だな」
「今日もSPEM〜 あっしたもSPEM〜」
缶詰を開けずに手でくるくる回して遊ぶルッキーニ。食べる気は無いらしい。
「どうしたら良いのかしら」
途方に暮れるミーナ。
「缶詰以外を要求したらどうだ?」
「それは一層良くないと思うのだけど……」
「でも実際、缶詰余ってるよ」
中身を半分トゥルーデに押しつけたエーリカがミーナに言う。
「困ったわ」
「どうしたものか」
「あの……いつもそのままで食べるから、良くないんじゃないでしょうか」
リーネが意を決して発言する。
「つまり料理、と?」
美緒が聞き返す。自信なさげな返事を聞いた後、うーむと首をひねった美緒は芳佳を呼んだ。
「おい宮藤」
「なんでしょう?」
「扶桑料理、と言えばお前だな」
「は、はい? いきなりどうしたんですか坂本さん」
「よし宮藤、お前に命令だ。この缶詰肉を使って、シャーリーが喜ぶ様な何かを作れ」
「ええっ!? 扶桑料理で、ですか? それ、難しいですよ」
「何事も挑戦だ。任せたぞ宮藤! 扶桑料理の奥深さを見せてやれ!」
「は、はあ……」
美緒の笑い声を前に、気の抜けた返事しか出来ない芳佳だった。
厨房に並んだ野菜や調味料。その一角に置かれた、幾つもの青い缶詰肉。
「もう見るのもイヤだね」
手に取って苦笑いするエーリカ。
「そんな事無いぞ。これはこれで栄養が有り、空腹を満たせる」
トゥルーデの反論に更に反論するエーリカ。
「じゃあトゥルーデは、もう一個食べたい?」
「いや、さっき食べたばかりだし……今は」
「ほらー」
「芳佳ちゃん、何作るの?」
リーネに促され、芳佳はあれやこれや考えていたが、何か閃いたのか、頷いてみせた。
「リーネちゃん、手伝ってくれる?」
「いいよ、何でも」
「お、ミヤフジが動き始めた」
「何か手伝う事は無いか」
「あれ、トゥルーデやる気?」
「同じ隊の仲間は家族だ。つまり家族の手伝いをすると言う事で……」
「はいはい分かったよトゥルーデ。私も何か……」
「エーリカお前は何もするな! 見てるだけでいい」
「芳佳ぁ、あたし缶詰なら開けられる〜」
「宮藤さん、ここはひとつガリアの肉料理に倣ってみては如何かしら?」
「ペリーヌさん、私、ガリアの料理はよく分からないので教えて頂けますか?」
「あらそう。ではいいこと? ガリアの肉料理に欠かせないのはソース、つまり……」
「芳佳ちゃん、何か手伝う事有ったら……」
「サーニャまで?」
何だかんだで、隊の全員が厨房に集まり、芳佳を中心に料理を作り始めた。
「……何か凄いな、この意気込み」
傍で見ていた美緒は他人事の様に呟いた。
「美緒、貴方が言い出したんじゃない」
ミーナは呆れ気味に言った。
- 163 名前:fusion cuisine 02/02:2010/05/14(金) 20:34:49 ID:VGfpwHBk
- 「ねえシャーリー、お昼だよ。早く来てよ」
ルッキーニに起こされる。今日は非番だったので部屋でくつろぐつもりが、何故かもやもやした気持ちが晴れぬまま
適当に機械いじりをしているうちに、うたた寝をしていた。
「ああ、お昼か。食事当番は誰だっけ?」
「ニヒー 全員!」
「はあ? 何を言ってるんだ」
「いいから早く来てよシャーリー」
ぐいぐいと腕を引っ張られ、食堂に連れて行かれた。
テーブルに並んだ料理の数々を見、シャーリーは驚いた。
「何だこりゃ! SPEMだらけじゃないか!」
「お前が言うか?」
トゥルーデのツッコミも気にせず、シャーリーは料理をひとつひとつ見て回った。
「凄いな! SPEM入りのスープに、SPEM入りのサラダ、SPEMのソテーに、SPEMの……こりゃ何だろ?」
「ちらし寿司に細かく刻んだのを混ぜてみました。缶詰肉は細かく賽の目に切って焼いてるんですよ」
「……これは?」
「おにぎりに軽く炙ったのを具として入れてみた。形は気にするな、はっはっは!」
「はあ……少佐ですか」
厨房を見る。散らかり放題の調理器具、あちこちに飛沫やら汚れやら……奮闘の跡が見てとれる。
「でも、何でこんな事を?」
いまいち理由が分からないシャーリー。
「お前を思っての事だぞ、リベリアン」
トゥルーデが腕組みして、シャーリーに言った。
「あたしの? 何でさ?」
「お前の国の缶詰肉でも、これだけ出来ると言う事を、隊の皆で示したんだ」
「それ、あたしに対する当てつけかい?」
「……何でそうマイナスな方へと取るんだリベリアン。皆を見てみろ」
言われるがままに、隊員を見る。
胸を張った顔、ちょっと気まずそうな顔、苦笑いした顔、やりとげたと言った顔……
そこに悪意は微塵も感じられなかった。
「さあ、シャーリーさん、座って」
ミーナに促され、ひとり席に着くシャーリー。そこへ隊員達が次々と料理を持ってきた。
「まずは前菜に、サラダです」
「ああ、ありがとうな……うん、普通にうまい」
「次に主菜ですわ。これはガリアの肉料理をヒントに、わたくしの監修で味付けを……」
「そ、そりゃどうも……」
「そのソテーは芋を挟んで焼いている。栄養的にも良い筈だ」
「合ってるけど、ボリューム有るな……」
「これ、お味噌汁です。油分抜くのにカリカリに焼いてみたんですけど、いまいちでしたね」
「……確かにいまいちかも」
「ちらし寿司と、おにぎりです。相性、意外と良いですよ?」
「……悪くないかな」
一通り食べてみたシャーリーは、皆の顔を見た。全員がシャーリーを見て、彼女の言葉を待っている。
「あー、えっと……」
何を言うべきか迷った。味はどうだとか、缶詰肉が……とか、細かい事は有ったが、その核心はただひとつ。
「みんな、ありがとう。嬉しいよ。おいしかった」
「良かったー」
「お気に召して頂けて何よりですわシャーリー大尉」
「これで缶詰肉も大丈夫だな、はっはっは!」
笑顔の隊員達。改めてここで全員で“試食”となり、賑わいを増した。
「あ、これならあたし毎日食べたい! ねえ芳佳ぁ」
「ええっ、結構大変なんだよルッキーニちゃん」
「ガリアのソースは絶品という事ですわね」
「良かったね芳佳ちゃん」
「リーネちゃんもありがとう。みんなのお陰でシャーリーさんに……」
「この酸味のあるご飯、おいしいわね美緒」
「それはちらし寿司と言ってな、めでたい時に食べるんだぞミーナ」
「おめでたい時、ねえ……」
様子を見ていたシャーリーの肩を、ぽんと叩くトゥルーデ。
「良かったなリベリアン。皆お前を心配していたんだぞ」
「心配されなくても別に……。でもまあ、嬉しい事は確かかな」
「リベリアンらしくないな。もっと楽観的に構えたらどうだ」
「カールスラントの堅物に言われたくはないよ」
大尉二人は揃って苦笑いした。
翌朝の食卓。ほかほかの蒸かし芋を囲む二人の大尉。
「また芋かぁ?」
「栄養が有って身体にも良い。食べ飽きないしな。そもそも、食えるだけでも有り難いと思え」
「あたしは飽きた」
「なら全部私が貰う」
「待て待て! じゃあこうしよう。この前のSPEMみたいに、何かバリエーションいっぱいの料理を……」
「リベリアン、お前料理出来るのか?」
「やるさ。宮藤とか……」
「他人任せか」
end
- 164 名前:名無しさん:2010/05/14(金) 20:36:14 ID:VGfpwHBk
- 以上です。
SPEMの元ネタSPAMは美味しいデスヨ。
個人的にはスライスしたのをカリカリに焼いてパンに挟むとか
シンプルで好きですね。
実際にSPAM料理は色々有るみたいですね。詳しくは知りませんが。
ではまた〜。
- 165 名前:名無しさん:2010/05/14(金) 23:08:57 ID:90Q98VGA
- >>164
SSの題材がSPAMとはww
SPAMにあうソースがどんなものかちょっと気になります。
シャーリーとトゥルーデの漫才風なやり取りも面白いですw
GJ!
- 166 名前:名無しさん:2010/05/16(日) 04:27:40 ID:NsP1Wdz6
- SPEM美味そう。
SPEMが食いたくなるSSだった。ごちそうさま>164
- 167 名前:黒猫の端午:2010/05/16(日) 11:22:38 ID:xVaMHvLo
- こんにちは、DXUGy60Mです。今更ですが、端午の節句をテーマにSSを書いて見ました。
最後まで読んで頂けたら、幸いに思います。
「あの・・・坂本少佐へのお届け物だそうです」
そう言いながら、サーニャはおずおずと手にした箱を差し出した。
「おお、すまない」箱に添付された宛名を見ると、坂本少佐は思わず顔をほころばした。
「おっ! ようやく届いたか。もう、間に合わないかと思ったが」
「あの・・・なんなんですか箱の中身は?」
箱は横に平べったく、一見すると皿でも入っているように見える。
「んっ? そうだなぁ、じゃあ後30分ぐらい経ったら中庭に来てくれないか?」
「えっ? ・・・はい」
「じゃあ後でな」
サーニャはそう言って立ち去る坂本少佐の背中を見つめながら、先送りにされた答えの正体に首をかしげた。
30分後、中庭に訪れたサーニャを一陣の風が出迎えた。風はサーニャの柔らかな髪をた
なびかせる。だが、その風は少々強く、サーニャは片目をつむりながら、髪を押さえた。
その時、どこからかカラカラという音が聞こえた。サーニャは、何だろうかと音のした方
向に視線を移し、自分の視界に飛び込んできた不可思議な光景に目を見張った。大きな何
かが風に揺られてたなびいていた。よく見るとそれは、魚を模した大きな布であり、黒い
大きな魚を一番上にし、その下には赤い小さめなものが二匹長い棒に取り付けられていた。
カラカラという音の正体は、棒のてっぺんに付けられた風車状の飾りによるものであった。
サーニャがその見慣れない光景をまじまじと見つめていると、自分を呼ぶ坂本少佐の声が聞こえた。視線をそちらに移すと、サーニャは慌てて坂本少佐の方に駆けていった。
「あのこれは?」
「鯉のぼりというものだ」
「コイノボリ?」
「扶桑では、5月5日の端午の節句の時にこれを揚げるんだ」
「タンゴノセック? ・・・踊りを踊ったりするんですか?」
「んっ!? いや・・・そっちのタンゴじゃないんだが」
「あっ・・・すみません、変なこと言って」
サーニャは顔を紅潮させ、恥ずかしそうにうつ向く。
「まぁ、端午の節句というのは、簡単に言えばこどもの日だ」
「こどもの日?」サーニャは横目に、坂本少佐を見る。
「こどもが立派に成長しますようにと祈る日だ。この鯉のぼりも、それを祈って揚げるんだ」
「さっきの荷物の中身はこれですか?」
「あぁ、内心ヒヤヒヤしてたんだ。今日中に揚げられないんじゃないかと。うちの部隊に
は、まだまだ成長して欲しいものばかりだからな」そう言いながら、いつものようにハッ
ハッハッと高笑いをあげる。
「でも、親子仲良く気持ち良さそうに泳いでいるだろ」
「・・・あれは親子なんですか?」
「そうだ、大きいのが父親でその下のが子ども達だ」言い終わってから、坂本少佐はサー
ニャの悲しげな横顔に気付いた。
「そうだ、良かったら食堂に行かないか?扶桑の菓子があるんだが」坂本少佐からの提案にサ
ーニャは、ハッと顔を上げると「・・・はい」と首を縦に振った。
- 168 名前:黒猫の端午:2010/05/16(日) 11:23:21 ID:xVaMHvLo
「ほら、柏餅というものだ」
食堂の座席に座ったサーニャの前に、葉っぱで包まれた平べったい餅が出された。
「カシワモチ?」
「ああ」
「これもタンゴノセックに食べるものなんですか?」
「ああ、柏の葉は新芽が育つまでは古い葉が落ちないことから、家族の繁栄を意味してい
るんだ、ほら、早く食べてみろ」
「あっ、いただきます。・・・あの」
「ん? ・・・ハッハッハッ、すまないすまない、柏の葉は食べなくていいんだぞ」
サーニャの戸惑いの表情の意味を読み取った坂本は少佐、そう伝える。サーニャは、柏の
葉を丁寧に取り、白い餅を頬張った。
「・・・美味しい」
「そうか?」
「これも坂本少佐が?」
「いや・・・作ったのは宮藤なんだ」
「やっぱり・・・あぁ!」サーニャは失礼な事を言ってしまったと思い、慌てて口に手をあてた。
しかし、坂本少佐は気にするような素ぶりを見せないまま、話を続ける。
「本当は自分で作ろうとしたんだが・・・形を上手く作れなくてなぁ。団子なら作れたんだが」そう言って坂本少佐はため息をついた。
「そうだったんですか」
「あぁ、端午の節句ならぬ団子の節句というところだな」
「・・・」
「・・・」
「えっと・・・」
「そうだ、今夜は一緒に風呂に入らないか?」
「お風呂ですか?」
「あぁ、今夜は菖蒲湯にしようと思ってな」
「ショウブユ・・・どんなお風呂ですか?」
「菖蒲というを風呂に浮かべるんだ、菖蒲は邪気を払うと言われていて、武運も向上する
とされている・・・その・・・なんだ、必ず倒そう」
「え?」
「ネウロイを・・・必ず」
そう言ったきり、坂本少佐は口をつぐんだ。そして、二人の間には沈黙が流れる。ただ、
その沈黙はどこか暖かで、静けさが心地好かった。坂本少佐が何を想ってそんな言葉を発
したか、サーニャにはその意味が心の中に流れ込んでくるように感じた。
「・・・はい」小さく、だが力強くサーニャはそうつぶやいた。
「そうだ、チャンバラでもやらないか?」
坂本少佐はそう快活に提案をし、沈黙に幕を閉じた。
「チャンバラ?」
「扶桑では、新聞紙で剣や兜を作って戦って遊ぶんだ。菖蒲風呂に入る前に一汗かこうじゃないか・・・ハッハッハッ、手加減をするに決まっているだろ」
「あっ・・・そっ、そうですか」坂本少佐の言葉にサーニャの不安は拭い去られた。
「そうだ、折角だ、宮藤やルッキーニたちも呼んで皆でやろう」
その後坂本少佐の提案に数名が集まり、新聞紙で作った剣や兜でチャンバラに講じた。
その最中、基地の片隅でミーナは探し物をしていた。
「おかしいわね、今日の新聞はどこかしら?」
END
- 169 名前:名無しさん:2010/05/16(日) 20:18:34 ID:/wf/vEGI
- >>168
GJ!ほのぼのした!
もっさんがサーニャのお父さんみたい!
サーニャはもっさんの娘!
- 170 名前:名無しさん:2010/05/16(日) 23:11:46 ID:S3iBYxws
- >>168
もっさーにゃとはこれまた……珍しいものを見させていただいた。
ぐっじょぶです。
- 171 名前:名無しさん:2010/05/16(日) 23:42:13 ID:T8g1f.Ug
- >>168
もっさんのパパっぷりがいい感じですwGJ
- 172 名前:名無しさん:2010/05/17(月) 00:00:52 ID:Qe.7t.PQ
- >>168
ほのぼのしたもっさーにゃいいですね!
今日の新聞使ってミーナ母さんに怒られるとこまで、もっさん完璧にお父さんですww
実は本文読む前にタイトルで吹きましたw
GJ!
- 173 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/05/18(火) 20:02:13 ID:y1yk1rqc
- >>168 DXUGy60M様
GJ! もっさんとサーニャの組み合わせは珍しい!
ほのぼのなのも素敵です! まるで父と娘みたいでGJ!
こんばんは、mxTTnzhmでございます。
仕事の合間にちょっと思い付いた独白的なものをひとつ。
ペリーヌ→芳佳と言った感じでどうぞ。
- 174 名前:bad apple:2010/05/18(火) 20:03:42 ID:y1yk1rqc
- まったく、いまいましい。
横で林檎をしゃりしゃりとむいている、あの手。
リーネさんもリーネさんですわ。何であの豆狸に付き合っているのかしら。しかもとびっきりの笑顔で。
それまで綺麗なまるい形、つやつやで、赤い色をしていた芸術の実が、いともたやすく「果物」に変わる。
全部、あの手のせい。一見して不器用そうな、細く華奢な指。
うさぎさん、とかかっこつけている場合でして?
リーネさんもそこは笑うところじゃありませんでしてよ? シャーリー大尉にルッキーニさんまで。
あら、わたくしに、ですの? それは……い、いただきますわ! 捨てるなんてとんでもない!
せっかくの林檎が可哀想ですわ。
不思議なものですのね。
もとは同じものなのに、切り方ひとつで食べやすくも、面白い形に細工も出来る。
その手……。いえ、手の動きを褒めているのではなくてよ。その果物ナイフ、よく切れると感心していただけですから。
そう言えば、坂本少佐も仰ってましたわね。
「扶桑には『活人剣』というものがある」
と。流石は武士道に通じた坂本少佐ですこと。
……詳しくは忘れましたけど、要は「人のためになれ」ということですのね。
ガリアの「ノブレス・オブリージュ」に近いのかも知れませんわね。
宮藤さんの扶桑料理。確かに辟易するものも多いですけど、ひたむきな事だけは確かですわね。
栄養だけでなく、色々と皆に気を使っている事も。
貴方は坂本少佐やわたくしと違って剣を振るう事は無いけれど、別のかたちで……ひとを活かし、
元気付けているのですわね。
治癒魔法もそう。その掌から放たれる光は、やさしく人を包み込む。一体何人のウィッチを助けて来たか。
その手が。
貴方の手が作り出す、料理。目の前にある、見事にむかれ、切り分けられた林檎ひとつとってもそう。
……うさぎさん。
ルッキーニさん、その林檎はシャーリー大尉ではありません! 食べてどうするのです!
と言うかそれわたくしのですわ! お待ちなさいこの泥棒猫ッ!
……え、もう一個切るから良い、ですって? シャーリー大尉と宮藤さんがそう言うなら。
また目の前で林檎がむかれていく。皮が長く、切れずに綺麗に帯の如く。
またうさぎさん、ですの? 他には何かありませんの? 耳を短く切って、……猫? こじつけですわ!
まあ、いいですけど。いただきますわ。
リーネさんのご実家から差し入れられた林檎は、とてもみずみずしくて美味しい。それは事実。
わたくしも、出来るならば、もっと料理がうまくなりたい。たとえ果物を切り分ける、そんな些細な事でも良いから。
そうすれば、わたくしも、もう少しは皆に認めて貰えるかも知れない。
宮藤さんの、その手が有れば。その手さえ。
……いえ、手だけ有っても仕方ないですわね。わたくしったら一体何を考えているのかしら。
何でも無くてよ、宮藤さん。こっ恐い顔なんかしてませんわ!?
わたくしも今度、リーネさんと宮藤さんに料理を……。機会が有れば……。
end
- 175 名前:名無しさん:2010/05/18(火) 20:04:27 ID:y1yk1rqc
- 以上です。
今回はちょっと短めです。
ペリーヌはこっそり(芳佳の料理の腕とか)
羨ましがったりしてるんじゃないかと思ったり。
決して猟奇的な意味ではないですよw 手だけとか怖いし!
ではまた〜。
- 176 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/05/18(火) 22:43:41 ID:y1yk1rqc
- こんばんは、mxTTnzhmでございます。
某所での会話から思い付いた独白的なものをひとつ。
連投ですが、ではどうぞ。
- 177 名前:twilight 01/02:2010/05/18(火) 22:44:16 ID:y1yk1rqc
- またあの夢。
気付いた時にはベッドから飛び起きていた。胸の鼓動が止まらない。額の汗を拭う。
深く深呼吸してみる。ごくり、と唾を飲み込み、息を深く吐き出す。
そのまま、あの“想い”も何処かへ行ってくれれば良かったのに……、まだ私の胸に留まり、突き刺さり、かきむしる。
忌々しい。
晴れぬ気分のまま、誰一人居ない廊下を抜け、テラスに出てみる。
夜風はひんやりと心地良く、汗ばんだ身体をクールダウンしてくれる。
夜の海は漆黒の闇。星と三日月が微かに海面を照らし、さざ波の輪郭が朧気に浮かぶ。
あの時。
どうして言えなかったのか。
あの時。
何故、もっと強く腕を掴めなかったのか。
どうして。
もしかしたら、僅かでも変わっていたかも知れない。
なのに、私にはその勇気が無かった。ちからも無かった。
もうどうしようもない過去の事なのに、今も私の胸をきつく締め上げる。
テラスを叩いたところで刻が巻戻る筈も無く。
ただいたずらに夜が過ぎていくだけ。
そう、今は眠りの時。皆、棺に寝かされた者の如く、静かに過ごしていく。
「夜風に当たり過ぎは身体に毒だぞ、ミーナ」
……びっくりした!
美緒、驚かせないでよ。いつからここに?
「先程お前が廊下を歩いて、テラスに向かったのを見掛けたんでな、様子を見ていた」
気にしなくても良かったのに。それに、ずっと見ていたなんて趣味が悪いわ。
「放っておけるか。随分と深刻そうな顔をしていたじゃないか」
それは……。
やっぱり貴方の目は「魔眼」なのね、美緒。
ちょっと昔の事をね。思い出していたの。正確には夢で思い出して。それで、ちょっと……
「そうか。無いとは思うが、まさか身投げでもしやしないか、気が気ではなかったぞ」
やめてよ。そこまでする程、私は馬鹿じゃない。
でもね、美緒。
思う時があるのよ。
あの時どうして、一言言えなかったの、って。どうして、もっと何か出来なかったの、って。
「それでなにかが変わっていたかも知れない、と言う事か?」
ええ。そう言う事になるかしら。
何故笑うのよ、美緒。しかもらしくなく苦笑いなんて……。
ちょ、ちょっと美緒やめて。誰か見ているかも知れないのに、ここで抱きしめるのは……
「考え過ぎだ、ミーナ」
耳元で囁かないで。
「確かに、過去を顧みる事は必要だ。でも、過去ばかり見ていては、未来は見えない」
……。
「前を向いて、進むしかないんじゃないか? ミーナ」
分かってはいる。分かってはいるけど……。
違うのよ、美緒。
「何故泣く」
貴方のせいよ。美緒。
「すまない。お前の気持ちを考えもしないで。でも、ミーナ、お前にはいつも笑っていて欲しいんだ」
そんな事、今のタイミングで真顔で言われても、……何だかおかしくなっちゃう。
「気苦労が絶えないからな、ミーナは」
心配してくれるの?
「勿論だ。……何故かって? それはミーナだからだ」
- 178 名前:twilight 02/02:2010/05/18(火) 22:45:21 ID:y1yk1rqc
- 美緒、そろそろ、部屋に戻りましょう? ここで涼んでばかりも……。
「そうだな。夜風に当たり過ぎは良くない……って、これはミーナ、お前が以前、私に言った言葉だぞ」
あら、そうだったかしら。
「ああ。前に私が同じ様に外に居た時、気を遣ってくれた。覚えてないか」
……そんな事も有ったかしら。
「じゃあ、あの時のお返しだ。私が茶でも淹れよう。リーネみたいに美味くはないが、ミルクティーでもどうだ」
嬉しいわ。
「温まってよく眠れる。……まあこれもお前がしてくれた事なんだが」
ちょっと、美緒ったら。
「まあ、ともかく……」
どうしたの、改まって。
「悩み事が有ったら、遠慮なく私に言ってくれ。何でも聞く。出来る事なら何でもする」
どうしてそこまで私を? って聞くのは野暮ね。有り難う、美緒。
私は、確かに昔幸せではなかったかも知れない。
現に今、戦いの最中にある。死と隣り合わせの日々。仲間をいつ失うかも知れない恐怖。
でも、大事なひとが、私の肩を支え、夜風から身を守り、折れかけた心をいたわってくれる。
こんなに幸せな事、有って良いのかしら。
いつもは何かと大笑いするのに、こう言う時だけ笑わないのも、貴方らしいわ、美緒。
だから、私は貴方と……。
「どうしたミーナ、私の顔に何か付いてるか?」
ちょっと。
「? ……ってミーナ! 誰か見ているかも知れないって言ったのお前だろうに。ここでキスなどしなくても」
少し位なら大丈夫よ。慌てても遅いんだから。
「……ま、まあ、ミーナは大丈夫だな。さっきに比べて顔色も良くなった」
貴方のお陰ね。有り難う。
「私はこれと言って……」
そうやって、照れ隠しなのか天然なのか分からない所も、貴方の魔力、いえ魅力なのかもね。
扶桑の魔女。
貴方と居ると、前を向いて進む気になる。不思議ね。
貴方が好き……、だから、この気持ちは忘れない。
明日の朝も、きっと素敵。貴方も、私も。
end
--
以上です。
美緒の言った「前に同じ様な事」とは、
保管庫No.0575「cycloid」でのひとこまです。
他にも似たシチュエーション有ったかも知れませんが……忘れました(汗。
ではまた〜。
- 179 名前:名無しさん:2010/05/22(土) 12:05:47 ID:YCU8T6ZE
- こんにちは。6Qn3fxtlです。
フミカネブログで、502メンバーがたくさん紹介されてますね!
どの隊員もとてもかわいらしくて2期が楽しみになります。
ということで、502で書いてみました。
登場してる限りでは、オールキャラのはず……。
ほぼオレオレ解釈です。あらかじめご了承ください。
2レスお借りします。
- 180 名前:ロスマン先生の軍事教練 1/2 @6Qn3fxtl:2010/05/22(土) 12:07:01 ID:YCU8T6ZE
- 「はい。では、今日の講義はこれでおしまい。
今日やったところは各自よく復習しておいてくださいね」
教卓の上のカールスラント空軍教範をエディータ・ロスマン曹長がぱたりと閉じる。
その瞬間、いままで大人しかった生徒がざわつき始めるのはいずこも変わらぬ、
世の常である。
「ふぅ〜。やっと終ワッタ〜」
椅子に座ったまま、ニパことニッカ・エドヤーディン・カタヤイネン曹長が
ぐうっと伸びをする。
「やっと、ってほどのもんか?ま、ニパは普段から勉強してないからな」
とつっかかるのは、小さなデストロイヤー、菅野直枝少尉。
「ナンだよ。そういうお前はどうなんダ?」
「ふん。オレはこう見えても文学少女なんだぞ。
お前みたいな奴と一緒にすんな、バカ」
「バカとはなんダ!バカとは!」
「っんだよ!やんのかコラ!」
「もう〜、管ちゃんもニパちゃんも喧嘩はやめようよ〜」
そんな二人を見ていて、困ったような泣きそうな顔をしているのは
ジョーゼット・ルマール少尉。
ちなみに、きちんと授業を聴き、教本を開き、ノートをとっていたのは
彼女だけだったりする。
「ほーら!二人とも喧嘩はしない!仲良く、仲良く。ね?」
ロスマンが直枝とニパの間に立ち、二人をなだめる。
「でも!なんで私がこんなちんちくりんにバカっていわれなきゃならないんダ!」
「バカにバカっていって何が悪いんだよ、バーカ!」
「もう、二人とも、やめなさいって!」
ロスマンが直枝を、ジョーゼットがニパを押さえて二人を引き離す。
「そんなに力が余ってるんだったら、二人とも滑走路走ってきなさい!」
「それとも、ハンガーで正座のほうがお好み?直枝さん、ニパさん?」
「ゲッ……」
「ポ……ポクルイーシキン大尉……」
ニパと直枝がひきつった顔で教室の後ろを振り返ると、
いつの間にやってきたのか、そこにはアレクサンドラ・ポクルイーシキン大尉の姿があった。
整った人形のような顔は笑っているのに、目だけはまったく笑っていないのがとても怖い。
「訓練の準備をしにハンガーへ行ったら壊れたストライカーユニットが
2台転がってたんだけど、どうしてかしらね?」
「あ……イヤ……なぁ、直ちゃん」
「そ、それは……なぁ、ニパちゃん」
お互いにアイコンタクトをとり、口を濁す二人。額からは冷や汗がたらりとたれている。
「とにかく。二人からはくわしく話を聞きたいからハンガーまでいらっしゃい」
「あ……」
「え……」
「安心しなさい?ヴァルトルート中尉ならもう先にいってるから」
「じ、自分で歩けるッテ……!」
「オ、オレは無実だぁ……」
魔力を解放したアレクサンドラに抱えられ、二人はドップラー効果を残してハンガーへ消えた。
「二人とも相変わらずねぇ」
ロスマンは思わず苦笑する。今まで見てきたいろいろな子たちに負けず劣らず、
あの二人も個性的だ。
「あの……ロスマン先生」
「なぁに、ジョーゼットさん」
「低高度での回避機動についてお話を伺いたいんですけど、後でお部屋にうかがってもいいですか?」
「もちろん。いつでも大歓迎よ」
ロスマンが頭を優しくなでると、ジョーゼットがくすぐったそうに微笑んだ。
「あなたはいつも真面目で助かるけれど……
でも、たまには息抜きすることも覚えないとだめよ?」
「はい」
「うん。よろしい」
ロスマンが微笑む。
- 181 名前:ロスマン先生の軍事教練 2/2 @6Qn3fxtl:2010/05/22(土) 12:07:53 ID:YCU8T6ZE
- 賑やかな教練も一段落し、ラウンジでコーヒーを飲みながらロスマンは思う。
猪突猛進で誰よりも熱いハートを持った直枝さん。
筋は悪くないのになぜかいつもついてないニパさん。
真面目で頑張り屋さんだけど、ちょっと押しの弱いところのあるジョーゼットさん……。
今回の子たちも、一筋縄ではいかない面白い子ばかりだ。
「あの子たちと最後まで一緒にいられるかどうか、わからないけれど……」
どの子もきっといいウィッチになるだろう。成長したあの子たちの姿を早く見たいものだ。
「お疲れ様、エディータ」
「あら、ラル」
呼ばれた声に振り返ると、第502統合戦闘航空団司令、グンドュラ・ラル大尉が
入ってきたところだった。ロスマンは自分のとなりをラルに勧める。
「あなたこそお疲れ様、ラル」
「空よりもデスクワークのほうが疲れるわ」
ソファに腰をおろしたラルがふぅっと息を漏らした。
「それで……どう?生徒さん達の様子は?」
「どの子もすっごく元気よ。もう大変」
「まるで小学校みたいな騒がしさだものね」
ラルも苦笑する。
「本当はもう一人、教育してほしい問題児がいるんだけど」
「あら。ヴァルトなら私、お断りよ」
ロスマンがいたずらっぽく笑う。
「あの子は私の手には負えないもの。
それに、私のかわいいハルトマンをぐうたらに変えた相手の面倒なんて見たくないわ」
「それなら、教育隊に送り返すしかないかしら」
「それがいいかもしれないわね」
二人のベテランウィッチが笑う。
噂の相手は今頃くしゃみをしていることだろう。
「いろいろ、大変だとは思うけどよろしくね、エディータ」
「こちらこそ。あなたも気の休まる暇なんてないでしょうけど、
お互い無理だけはしないようにしないとね」
「それは、あの子たち次第ね」
窓の外に目をやると、ニパに直枝、それにヴァルトルートまでがアレクサンドラの
号令で滑走路を走っているところだった。
「ほら!もっと気合入れて!足上げて!」
「もう……限界ダ……」
「オレも……」
「僕は……新兵じゃないんだけどな……」
そんな3人を、ラルとロスマンいとおしむような、ちょっと困ったような顔で眺めていた。
fin.
- 182 名前:6Qn3fxtl:2010/05/22(土) 12:08:40 ID:YCU8T6ZE
- 以上です。
ロスマン先生があまりにも可愛くて暴走しましたw
ジョーゼットも健気な感じとふわふわのしっぽがいいです。
ではまた。失礼しました。
- 183 名前:名無しさん:2010/05/22(土) 20:49:34 ID:LQX23qy6
- GJ!
やっぱり502は良いキャラが揃ってますね
- 184 名前:名無しさん:2010/05/22(土) 23:19:50 ID:3mWAf0Ck
- >>182
GJ!早くも502のSSキター
日常風景(?)に和んだ。
- 185 名前:名無しさん:2010/05/23(日) 18:26:03 ID:u3G5Uw9Q
- >>182
くそ、先を越されてしまったw
ほのぼの日常乙であります。
しかしニパのセリフがエイラ仕様なのは仕様?w
- 186 名前:名無しさん:2010/05/25(火) 08:21:29 ID:.YzWlJMw
- こんにちは
高○純次語録から合いそうなものを拾って、ちょっと書いてみました
まだキャラがつかめないのでテキトーです
- 187 名前:ニセ伯爵と従順な猫:2010/05/25(火) 08:24:26 ID:.YzWlJMw
- 「これで基地の設備は全部よ。なにか質問はあるかしら、ジョーゼット・ルマール少尉?」
「いいえ。案内ありがとうございました」
感謝をこめて、折り目正しく頭を下げる。
そんな私を目を細めて見やるのは、かの高名なエディータ・ロスマン曹長。階級は士官学校をでた私のほうが上だけど、軍歴はといえば比べものにならず、礼を失するわけにいかない。
「どういたしまして。
ではストライカーが到着するまで、あなたは基地待機となります。個性的なメンバーばかりで大変だろうけど、部隊にはやく溶け込めるよう心がけてね」
「…はい。できるだけ頑張ってみます」
しゅんと、こうべを垂れる。
つい数時間前のこと。玄関前ではちあわせた管野少尉に話しかけたら、思いっきり睨まれた。
「ああ、そうそう。あなたの長所は素直で従順なところだけど、それがあだになる場合もあるから気をつけて」
「え? は、はい」
「具体的にはクルピンスキー中尉に気をつけること! 人気のない場所に連れ込まれそうになったら大声をあげるか、急所に一撃いれて逃げなさい。手加減は無用よ」
がっしと両肩をつかまれ、顔を寄せられる。
それって痴漢の撃退法じゃないでしょうかと思ってはみても、迫力にのまれた私はただコクコクと頷くことしかできない。
やがて満足したのだろうか、人当たりの良い雰囲気にもどった曹長は、片手に持った教鞭で手のひらをピシピシたたきながら去っていった。
「はぁ、なんだったんだろ、今の……クルピンスキー中尉って『伯爵』と呼ばれるステキな人だって聞いてたけど、実際は違うのかなぁ―――――ひゃ?!」
ぼやきつつ踵を返した廊下の先に、すらりとした長身。
「こんにちは。いつもステキなヴァルトルート・クルピンスキーです」
「あう……」
独り言をもろに聞かれた。恥ずかしくて顔から火がでそう。
赤面して口ごもっている間に、クルピンスキー中尉はその長い足をとばして距離をつめてくる。上背のある人なので、こんなにも間近に立たれると、どうにも居心地が悪い。
「あ、あの、なにか御用でしょうか?」
しり込みしようとする自分を叱咤し、おずおずと伺いをたてる。
背中に嫌な汗。もしも不快にさせてしまったなら謝らねばならない。これからこの部隊でうまくやっていくために。
そんな緊張しきりな私をのぞきこむ中尉が軽く首をかしげた。
「キミ、僕の好みだね。なんとかしないといけないね」
「……は?」
言葉の意味をとらえかねて戸惑う。
中尉と同様に首をかしげてそのまま停止。しかし、待てども答えは返ってこない。
「ええっと、クルピンスキー中尉?」
「キミの目、かわいいね。そのかわいい瞳に今、僕が映ってるんだ」
「―――――!」
真顔で放たれたセリフに情けないほど動揺する。
宿屋を営んでいた両親に習い、色めいたお客のあしらいはわきまえているのに。
「ああ、そうだ。今から僕の部屋で一杯どう? キミのために取り寄せた特別なワインがあるんだ」
「ええ?! で、でも私は待機中でして」
先ほどのロスマン曹長の忠告はこのことだったらしい。
教わった対処法が頭をよぎるも、私はなんとか穏便にこの場を切り抜けようとする。
- 188 名前:ニセ伯爵と従順な猫:2010/05/25(火) 08:25:16 ID:.YzWlJMw
- 「いいから、いいから。どっちみちキミも僕もストライカーがないから出撃できないし」
朗らかにそうのたまう伯爵は、物腰はソフトなのに人の話を聞かない。
いつの間にか掴まれていた手首を引かれ、心底あせる。
このままではまずいことになりそう。自分で言うのもなんだけど、私は流されやすさには定評がある。
「た、確かに私のストライカーはまだここに届いてませんが……あれ? 『僕も』ってどういう」
中尉のストライカーが故障でもしたのだろうか。
聞き流しかけた情報を確認しようとしたところ、廊下の天井にそなえつけられたスピーカーから突然の大音声。
「クルピンスキー中尉! クルピンスキー中尉、ハンガーへ出頭なさい!
繰り返します! クルピンスキー中尉は今すぐハンガーへ!! 私はまだ正座をやめていいとは言っていませんよ!」
ビリビリと空気がふるえる。
私は思わずふさいでいた両耳から手を離した。
「この声って……ポクルイーシキン大尉?」
「おやおや、いいところだったのに。空気の読めない熊さんだ」
「だ、だめですよ中尉! こんなところで上官のことをそんなふうに言っちゃ」
無関係な私のほうが蒼くなる。誰がどこで聞いているやもしれない。
軍では上下関係が最重要視される。部隊や上官をおとしめるような言動には厳しい処罰があるはずだ。
「ははは、キミは真面目だね。上官っていうのは悪口を言われるためにいるようなものなんだよ」
当の伯爵はといえば飄々としたもの。
どこまで本気かわからない持論を展開する人の前で、私ばかりが右往左往。
「で、ですからタブーを口にするのはまずいですって」
「アレクサンドラ大尉は怒らせると怖いけど、陰険じゃないからね。聞かれたとしても、ぜいぜい正座1時間プラスくらいさ」
なんだろう、この動じなさは。
反骨心というものとはたぶん違う。もしかして、なにも考えてないんじゃないだろうか。
「それじゃあ、今回は失礼するよ。誘っておいて悪いね。この償いはいずれ」
「―――――!」
腰をおって優雅に一礼。スイッとすくい上げた私の指先にキスをひとつ。
人の心をかき乱すだけ乱したその人は、すたすたと長い両足をとばして去っていく。
気が抜けた私は廊下にヘナヘナとくずれおちた。
「私、大変なところに配属されたみたい……」
今までの常識が通用しない。
これが統合戦闘航空団というものなのかと、はやくも招聘に応じたことを後悔した。
- 189 名前:名無しさん:2010/05/25(火) 08:25:59 ID:.YzWlJMw
- 以上です。
ありがとうございました
- 190 名前:名無しさん:2010/05/25(火) 10:14:13 ID:VYnV2baU
- >>189
痴漢の対処法ワロタwww
でも、伯爵はそのくらいじゃくじけなさそうですけどねw
ジョゼの、押しに弱そうなところがかわいらしいです。GJ!
- 191 名前:名無しさん:2010/05/25(火) 14:25:08 ID:4qLmcei2
- >>189
GJ!伯爵ワロタ
502キャラは早くも人気だなあ。楽しみすぎる
- 192 名前:名無しさん:2010/05/25(火) 19:53:53 ID:gFSf6zMY
- >>189
伯爵いいキャラだなぁ……ワロタww
伯爵の事になるとテンションが変わるエディータ先生も素敵だ。
- 193 名前:名無しさん:2010/05/25(火) 22:34:21 ID:reoy0sXA
- >>189
伯爵テラワロスwwwww
いろいろとステキすぐるwww
ぐっじょぶでありますゞ
- 194 名前:名無しさん:2010/05/26(水) 12:16:31 ID:OR.ltg0A
- おい、治癒魔法を使うと「体が熱くなる」体質ってなんだよ
どれだけwkkさせる気なんだよ
- 195 名前:名無しさん:2010/05/26(水) 12:30:40 ID:u4HdQtvY
- 502は怪我して帰ってくる奴が多そうだから必然的に…
- 196 名前:名無しさん:2010/05/26(水) 21:42:55 ID:azmXxZ2.
- >>195
「ジョゼー、さっき擦りむいちゃってさー。治癒魔法で治してくれよ」
「おいニパ、割り込んでんじゃねぇ! 俺が先だろ!」
「おやおや2人とも何を言っているんだい? 初めて会った時からずっと狙ってた僕が1番だ」
「じゅっ、順番にお願いします。はぁはぁ……」
というのを妄想した。
もちろん怪我は全員わざと。
- 197 名前:名無しさん:2010/05/26(水) 23:26:08 ID:itM8XLBA
- >>197
で、全員アレ熊さんに「調子に乗るなあぁぁ!!!」って怒鳴られるわけですね、わかります。
- 198 名前:名無しさん:2010/05/26(水) 23:34:03 ID:ZxF.FSg2
- >>196
しかもニパに至っては自分で治せるしw
- 199 名前:名無しさん:2010/05/27(木) 18:06:49 ID:2nTYfSbI
- ゲーム買った奴いる?
- 200 名前:名無しさん:2010/05/27(木) 23:00:12 ID:AK4e5mOo
- >>199
家に帰ったら不在通知がありました
- 201 名前:名無しさん:2010/05/27(木) 23:13:57 ID:VybFnDn2
- PS2壊れてるんだよなぁ
PS3か箱○なら買ってたのになぜ今更PS2・・
- 202 名前:名無しさん:2010/05/28(金) 00:11:54 ID:q.fZ9cVA
- >>199
いまだに迷ってる
さすがにあの戦闘シーンはないわ……
というわけで今からドラマCD聴いて来る
- 203 名前:名無しさん:2010/05/28(金) 01:24:01 ID:QjNmzqbM
- もっさんの中の人変わっちゃうらしいね…
- 204 名前:名無しさん:2010/05/30(日) 18:23:23 ID:JDHKxURM
- PS2版、トゥルーデルートクリアしてきた
やべえマジ萌える
というか芳佳が積極的すぎてもうね(百合的な意味で
いやー、思いのほかすばらしかった。最後とか完全にバカップルだった……
イイゾモットヤレw
- 205 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/05/30(日) 23:30:14 ID:JpEUXJv.
- >>182 6Qn3fxtl様
GJ! 早速の502お見事です! 和みました。
>>189様
GJ! 高田純次ワロタ どことなく想像してしまうw
こんばんは、mxTTnzhmでございます。
某所から頂いたネタをひとつ。
いつもの通り保管庫No.0450「ring」シリーズ続編になります。
ではどうぞ。
- 206 名前:is that love? 01/02:2010/05/30(日) 23:31:13 ID:JpEUXJv.
- 皆が眠り、静寂が支配する基地の中。
厨房の中で一人奮戦するのはトゥルーデ。
しんと静まりかえる厨房にひとり立ち、数々の材料を前に、黙々と、作業を進める。
テーブル上のメモに時折目をやり、手順を確かめる。
人はその行為を一般的に「料理」または「お菓子作り」と言うが、トゥルーデのやっている事はさながら
「実験」か「手術」とも言える程慎重、正確、繊細であった。
「ええっと、次は小麦粉を百七十五グラム……」
時折独り言の様に呟きながら、ひたすらに作業に熱中する。
砂糖とバターを混ぜ、卵を割り入れ……、正確無比に計量した小麦粉とベイキングパウダーを入れ、無言でかき混ぜる。
ボウルとかちゃかちゃと擦れるホイッパーの音だけが、厨房に響く。
やがて十分に攪拌された材料は粘性を帯び、うんとひとつ頷いたトゥルーデは型取りの器に流し込む。
よく温まったオーブンの蓋をおもむろに開き、今までの「作業の結果」を慎重にセットする。
位置がずれてないか、温度は適切か……リーネや芳佳が見たら「早く蓋を閉めて下さい!」と言われる程じっくり確かめ、
ようやく蓋をすると、再びテーブルに置かれたメモに目を通す。
「あとは温度を百九十度に保ったまま、五十から六十分待機、と」
作業が一段落したトゥルーデは、作業台に寄り掛かり一呼吸したあと、メモを見直した。
脇に置く。手を洗い、胸のポケットにしまっていた指輪を取り出す。
失せる事の無い輝きを見、何故かほっとする。
同じものを身に付けた愛しの人は、就寝中。寝た隙を見て抜け出してきたのだ。
勿論、エーリカの誕生日とか、何かの祝いと言う訳では無い。但し、こう言う事になった切欠はエーリカ本人にある。
「たまにはトゥルーデの作ったケーキが食べたいなぁ〜」
期待ともぼやきともとれるセリフの後、だらりだらりと抱きつかれてまとわりつかれては、
任務どころか気分的にも落ち着かない。当然、隊の皆にも冷やかされる。
そこではたと思考が立ち止まる。
何故、気分が落ち着かなかったのか。
それはエーリカが、私に期待してるからだ。何を? ケーキを。
けれどじゃあ何故真夜中にこそこそと作る必要が有る? 驚かしてそのはちきれんばかりの笑顔を見たい為。
笑顔を見たい。
つまりは好きと言う事。……でも、好きって何だ?
トゥルーデは思考が空転しつつ、「内なる探求」を尚も続ける。
私はエーリカが好きだ。それは間違い無い。
彼女も私の事が好きだと言ってくれている。それも間違い無い。
お互いとても大切だ。
でも、私は何故彼女の事が好きなんだろう。
エーリカは、ああ見えてしっかりと相手の「心の内」までを見通している、そんな気がしてならない。
空戦で絶対負けず、敵を捉え続けるかの如く。
じゃあ翻って私はどうなんだ? 彼女の「心の内」を見る事は、出来ているのか?
……正直、分からない。
それは、本当に彼女の事を理解していると言えるのか?
それは「好き」と、本当に言い切れるのか?
そもそも、「好き」って何だ?
「トゥルーデ、何か焦げ臭いよ」
耳元で囁く、聞き慣れた甘い声。
「うわっ!? エーリカ、いつの間に!?」
「いきなり起き上がってどっか行ったまま帰って来ないから、心配して探して来たのに」
「ああそうか、済まなかった……で、何だ」
「いや、だから焦げ臭いよって話」
「ん? うわ!? しまったああああ!」
トゥルーデは慌ててオーブンに駆け寄った。
- 207 名前:is that love? 02/02:2010/05/30(日) 23:32:43 ID:JpEUXJv.
- 「それで、作り直して徹夜したのかい? 堅物らしくないね〜」
ケーキを一切れ食べてにやけるシャーリーを前に、トゥルーデはカッとなり反論する。
「作り直しではない! これは予備だ。……いや、最初のはむしろ予行演習と行ったところだ」
「素直に失敗して余った材料でリカバーしたって言えば良いのに」
「うっ五月蠅い!」
「まあまあ落ち着いてトゥルーデ。美味しいじゃない」
ミーナが一切れ、口にして微笑む。
「ニヒー もう一切れ〜」
「ルッキーニ、お前は食べ過ぎなんだ!」
「えー、いーじゃーん減るモンじゃないし」
「見ろ! 確実に減っている!」
皿毎取り上げるトゥルーデ。フォークを口にくわえていじけるルッキーニ。
「そんなムキにならなくてもー。で、それ誰に作ったの?」
「ルッキーニも意地悪だね。言わなくても分かるだろ?」
ニヤニヤ顔のシャーリーはルッキーニを胸に抱いて、自分が手にしている残りの一口を食べさせた。笑うルッキーニ。
取り上げたトゥルーデの皿から一切れケーキをつまみ、うん、と頷いたのはエーリカ。
「美味しいよ」
「そ、そう、か?」
二人で一切れを半分こしたリーネと芳佳は、美味しいね、と笑顔を作り、トゥルーデに向かって聞いた。
「これ、何て言うケーキですか??」
「ああ、これか? チョコレート・オレンジケーキだ。カールスラントでは割と簡単でありふれたものなんだが……
他にもトルテと言って生地も違うし、もっと上に色々とデコレーションするのが有って……」
「まあトゥルーデはケーキ焼くのあんまり美味くないからさ、勘弁してやってよ」
説明途中のトゥルーデに乗っかる格好でぴったりと寄り添うと、エーリカは笑った。
「にっ苦手ではないぞ? 作った事が無いだけで……」
「無理しちゃって〜」
「うぐっ」
「大尉もケーキ作るんだナー。今日は雨が降るゾ」
「エイラ。今度はエイラの番よ?」
「何でそうなるんだサーニャ!?」
エイラとサーニャもそう言いながらケーキをしっかりと食べている。
「まあ、何事も挑戦だな!」
いつもの様に笑う美緒、横でちまちまと食べて「ガリアのケーキが……」と呟くペリーヌ。
そんな中、トゥルーデは皿に残ったケーキをエーリカに差し出した。
「あれ? 何で余ってるの?」
「多めに作ったんだ」
「みんなで食べようよ」
「皆もう食べた。後はお前のだ」
「?」
「本当は……」
「あー、言わないで。言わないでいいよ」
「……」
「だから、私が貰うね」
とびっきりの笑顔を見せ、ケーキを食べるエーリカ。
周りのからかいや野次も気にせず、単純に「愛しの人」の言葉に照れる、カールスラントの堅物な乙女。
私は、本当に……
心の呟きにも似た葛藤は、不意にされたキスで霧散した。
「なっ何するんだ、皆の前で!」
「お礼」
ふふっと笑うと、エーリカはトゥルーデに飛びついた。思わず抱っこするトゥルーデ。
周囲は「ああ、いつものが始まった」と言わんばかりの表情。
だけど構わず、トゥルーデはエーリカに聞いた。
「私は、お前の事を本当に分かっているんだろうか」
「どうしたの急に?」
「ケーキを作ってる時から考えていたんだ。私は、お前の事を本当に分かっているのかどうか」
「トゥルーデ、考え過ぎ」
「えっ」
「好きなら好き、で良いじゃん」
「そ、そうか?」
「それにね。そう言う回りくどい事は、トゥルーデには、似合わないよ」
「なっ! 私は、ただお前を……」
唇を塞がれる。エーリカの意志の現れか、言葉を行動で示したのか。理由は分からない。
ただ、はっきりしているのは、お互いがとにかくお互いを好きである事。
それだけで十分かも、とトゥルーデはエーリカを抱きしめながらその問に答えを出した。
end
- 208 名前:名無しさん:2010/05/30(日) 23:33:15 ID:JpEUXJv.
- 以上です。
PS2版は買ったけど本体が無い罠。
ドラマCDを聞くのが精一杯です。無念。
502ネタも盛り上がってるけど今の私には無理です……。
と言う訳で空気も読まず平常運転です。反省はしていない。
ではまた〜。
- 209 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/05/31(月) 01:05:48 ID:xPUn3VJk
- こんばんは。mxTTnzhmでございます。
今日はついてない人の誕生日! と言う事を聞かされ急遽書きました。
今回は保管庫No.981「music hour」のシリーズです。
連投ですが、ではどうぞ。
- 210 名前:名無しさん:2010/05/31(月) 01:06:31 ID:xPUn3VJk
- ×聞かされ
○聞いて
ちょっとした間違いが誤解をorz
では改めてどうぞ。
- 211 名前:phoenix 01/02:2010/05/31(月) 01:08:12 ID:xPUn3VJk
- ハ〜イ今夜も「STRIKE TALKING RADIO」始まりマシタ〜。
DJ兼MC、パーソナリティのエイラ・イルマタル・ユーティライネンでス。皆聴いてるカナ?
この番組ハ、サーニャのレーダー魔導針を通しテ、全世界の悩めるウィッチに秘密のラジオとしてお伝えしているンダナ。
夜間哨戒のついでじゃないカラナ? さて今夜は……
「知ってるか? 今日は私の誕生日なんだぜ!」
言う前から出て来たヨ……。自重しろヨ〜。
「ほらほら、早く紹介しろよ」
じゃあ紹介〜。またもや勝手に付いてきた……いや「ついてない」カタヤイネンこと
スオムス空軍飛行24戦隊曹長、ニッカ・エドワーディン・カタヤイネンだナ。
拍手は要らないゾ。今は502JFWに居るらしいゾ。いつの間に左遷されたンダ?
「左遷じゃねえ! って、『らしい』って、随分適当だな。戦友の事気にならないのかよ?」
ならないネ。
「……エイラ、私は?」
サーニャは勿論気になるゾ。だってサーニャは私の……
「何だよ。言えよイッル」
ニパには言えないな。
「何だよそれ」
まあともかく今夜もお便り来てるゾ。おっ珍しい、502からダゾ。ちょうどニパが居るとこじゃないカ?
「まあ、そうだけど、……なんか嫌な予感がする」
ええっと、カールスラント出身、ラジオネーム「伯爵」さん。
『この前の事なんだけど、ちょっとした用事でブリタニアに行った時のことさ。
街で可愛い子に会ったんだけど、特に二人めに現れた子がタイプでね。
だからどうしたって言われると困るんだけど』
……。
「……」
「あいつ、また適当な事を……」
一応続き有るから読むゾ。
『しかしブリタニアは雨が多いし、食べ物があまり口に合わないんだよね。行ったことないけど……
いや、バルクホルンの妹さんのお見舞には行ったよ。
でも花束を持って行ったら、バルクホルンから『私の妹に手を出すつもりかっ』ってキレられてね。
ボクはどうしたらいいんだろう?』
どうしたらって言われてもナー。
じゃあ、ズバリ言ってもいいカナ?
「伯爵だからに決まってんだろ! 少しは自重しやがれ!」
よく事情が飲み込めないけど、この「伯爵」サンって人はそんな様に見られる人ナノカ?
「こいつ、メチャメチャいい加減で女好きなんだぞ。ホント、困ってるんだ」
まあ……ニパがそこまで力説するならそうなんだろうナ。
「あれ、珍しくイッルが認めた」
特に意味は無いカラナ!
- 212 名前:phoenix 02/02:2010/05/31(月) 01:10:32 ID:xPUn3VJk
- 最後のお便り。これも502からダナ。ラジオネーム「しろいくまさん」
可愛いラジオネームダナ〜。……ニパどうした? 顔色悪いゾ?
「気のせい。きっと気のせい。正座とかないから」
?? 何の事ダ? まあ読むゾ。
『私の隊の部下の事です。幾ら心配しても、逆ギレされてしまいます。
別にストライカーの損耗とか……まあ確かにそれも頭の痛い問題ですけど……
でも、万が一の事が起きないよう、いつもきつく言うのに
「私は不死身だ!」
の一点張りで話を聞いてくれません。もう正座させるのも疲れました。
エイラさん、どうしたら彼女は話を聞いてくれますか?』
これは……ニパ、お前の事ダロ?
「ちっ違う! 私だけじゃない! ナオも伯爵もだ!」
「私、噂で聞いた事ある。確か『ブレイクウィ……』」
「わあ、言わないで!」
サーニャのツッコミに珍しくニパが慌ててるんダナ。
まあ、ズバリ言ってもいいカナ?
皆でペットを飼うとイイゾ。
「ペット? 何で? 私達には使い魔居るだろ」
違うヨ。普通の動物ダヨ。
動物って可愛いよナ〜。でも大抵人間よりも早く死んじゃうから、命有る者皆限りあるって事が身をもって分かるンダナ。
「そりゃ、いつかは死ぬだろ。不死身じゃないんだし」
ホホウ。でも502ではニパは自分で「不死身」だと言ってるそうじゃないか。ホレホレ、このお手紙に書いてるゾ。
「だからそれは……正座だけは勘弁して、マジで」
でもそれだけ「しろいくまさん」はウィッチのみんなを愛してるし、大切に思ってるって事ダロ?
だからそれに応えてあげないと、「しろいくまさん」もかわいそうじゃないカ?
「まあ……うん」
せっかくの誕生日なんだし、少しは人の話聞けよナ。
「あ、ああ。……って、祝ってくれるのかイッル?」
「おめでとう、カタヤイネンさん」
おめでとナ。何も無いけど。
「いや、別に何も無くて良いけど。……素直に言われたのって初めてな気がして。……嫌だな、なんか視界が悪い」
泣いてるのカ? ニパは泣き虫だからなァ。
「泣いてねえ! 泣き虫でもねえ!」
「カタヤイネンさん、はいこれ。どうぞ」
「え、花束……?」
「エイラと二人で考えたの。受け取って下さいね」
「あ、有り難う。バラかぁ……い、いてっ! トゲがっ」
やっぱりニパだな。そう言う所は必ず外さないナ。
「こうなるの分かってバラを渡したな? イッルの馬鹿ーっ!」
さテ、ではそろそろお時間となりましタ、今夜はこの辺で。最後に、「サーニャのうた」を聴きながらお別れデス。
end
- 213 名前:名無しさん:2010/05/31(月) 01:11:31 ID:xPUn3VJk
- 以上です。
502ネタはいつかちゃんとした感じで書いてみたいけど
もうちょっと追加情報が欲しいなあ、と言うのが正直なところです。
とにかく、色々書いてみたいです。
今後もフミカネ先生から目が離せませんね!
ではまた〜。
- 214 名前:名無しさん:2010/05/31(月) 01:13:53 ID:xPUn3VJk
- 肝心な事言い忘れてた。
ニパ誕生日おめでとう!!!!
ではまた〜。
- 215 名前:名無しさん:2010/05/31(月) 01:35:08 ID:tDDaeXWk
- 呟いたらマジでくるとかw
速さに脱帽。
502はもっと情報欲しいですよね〜。
ニパおめでとうのGJです^^
- 216 名前:6Qn3fxtl:2010/05/31(月) 21:42:12 ID:LcL4PKcQ
- >>213 mxTTnzhm様
伯爵&白熊さん、ラジオ進出オメw
どうやっても伯爵はやっぱり伯爵なんですね。
「しろいくま」にビクビクしてるニパもかわいいです。GJ!
誕生日でもニパはやっぱりオチ要員なんですねw
こんばんは、6Qn3fxtlです。
恥ずかしながら私もニパ誕投下していきます。誕生日の割にはちょっと切ないかも……。
2レスお借りします。
- 217 名前:kirje 1/2 @6Qn3fxtl:2010/05/31(月) 21:43:07 ID:LcL4PKcQ
- kirje
「ニパく〜ん。君あてに手紙が届いてるよ〜」
手に持った封筒をひらひらと振りながらやってきたのは
例の女たらしの伯爵、クルピンスキー中尉。
……通信部の連中もなんでよりによってこんな奴に渡すかな。
私あての手紙なら本人に渡せっての、まったく。
「え〜っと……これはブリタニアからの国際郵便だね」
「ブリタニア!?」
私は伯爵の手から手紙をひったくった。
ブリタニアから502の私に手紙を出してきそうな相手なんて
アイツしかいないじゃないか。
封を切る時間も惜しいけど、丁寧に急いで手紙を取り出した。
名前なんて、見なくてもわかる。
この整ってない、丸っこいスオムス語の書き文字。イッル以外にいるわけない。
私は久しぶりに見るイッルの書いた文字に目を走らせた。
お誕生日おめでとう。
相変わらずストライカーユニット壊して正座させられてるのか?
サーニャから聞いたんだけど、そっちにいるポクルイーシキン大尉ってのは
厳しいらしいな。イタズラもほどほどにしとけよ。
私はここブリタニアでサーニャと一緒に毎日戦闘と訓練に励んでる。
こっちが落ち着いたらオラーシャに行ってサーニャのご両親を探すつもりだ。
ニパのことだから心配はしてないけど、身体には無理するな。
超回復力があったって不死身じゃないんだから。
じゃ、また。気が向いたら手紙くれよ。
手紙の内容は大体こんな感じだった。
……なんだよ、手紙でもラジオでもサーニャ、サーニャってデレデレしやがって。
人の誕生日にノロケ話なんか書いて送ってくるなっての。
人の気も知らないで……。この……バカイッル。
手紙を最後まで読んでもう一度最初から読み直したら、なぜだが涙があふれてきた。
イッルからの手紙が、嬉しくて、切なくて、寂しくて。
うまく言えないけど、とにかく涙が出てきて仕方なかった。
「……、昔の恋人からかい?」
「ずっと……そこにいたのかよ」
強がりをいって顔をあげたら、すごく優しい顔で微笑む伯爵の顔があった。
こういうとこずるいよな、こいつは。
「……内容、聞いてもいいかな。ニパ君さえ嫌じゃなかったら」
- 218 名前:kirje 2/2 @6Qn3fxtl:2010/05/31(月) 21:43:42 ID:LcL4PKcQ
- ハンガーのすみっこに伯爵と二人並んで、さっきの手紙の中身を簡単に説明した。
「……っていうようなことだよ。変な内容じゃない」
「そっか」
私の横に座った伯爵が小さく息を吐いた。
「ニパ君は、そのイッルって子、好きだったんだね」
「……そんなんじゃねぇよ」
搾り出すみたいに声をだして、私は続けた。
「イッルとは訓練生の時代からずっと一緒で、一緒にバカやって、怒られて、
ハンガー掃除させられて。
でもアイツ、空戦じゃすっごく強くってさ。アイツ、未来予知の魔法が使えるから
絶対に被弾しないんだ。で、どんどん強くなって、どんどんスコア稼いで……
それで、ブリタニアの501にいっちゃったんだ」
「そう」
「あいつ、ブリタニアにいってから全然手紙くれなくてさ。
ようやく手紙くれたと思ったらサーニャっていう、知らないオラーシャウィッチの
ことばっかりでさ」
「ラジオで私にがんばれ、がんばれっていってくれたの、嬉しかった。
こうやって誕生日に手紙くれるのも嬉しい。でも……」
こらえきれずにあふれた涙が、イッルと同じ空色の軍服にぽつりと落ちる。
「でもなんか……なんていうか……」
そこまで言ったところで、私は後ろから不意に伯爵に抱きしめられた。
「クルピンスキー……?」
「うん」
伯爵はなんにも言わない。でも、私を離さない。
ぎゅっと抱きしめて、頭を撫でてくる。
ああ、もう。どいつもこいつも本当に……。
「少し、落ち着いたかい?」
「あぁ。大分おちついた」
泣き腫らした目をぐしぐしとこすりながら、私は言った。
「恥ずかしいとこ、見せちゃったな」
「なに。私たちウィッチだって、泣きたいときには泣かなきゃだめさ」
伯爵がきざったらしく微笑む。
「時々くみ出さなきゃ、心の海があふれちゃうからね」
「……バカ」
でも、ありがとうな、伯爵。
「ニパ君、たまには酒を飲んで気持ちをリセットするのもいい方法だよ?
よかったら今夜一緒にどう?」
「かっ、考えておく!」
はっと我にかえって、急いで答える。
……危ない。もう少しで落ちるとこだった。
ロスマン先生が「伯爵には気を付けなさい」って言ってた意味が良くわかったよ。
「いつでも部屋においで。君のためにグラスとワインを用意しておくから」
伯爵は身をかがめて、私の髪をそっとかき上げると……。
ちゅっ。
おでこに小さくキスをした。
「なっ……なにすんだ、バカヤロー!!」
「そうそう。ニパ君はそうやって元気なほうが似合ってるよ。じゃ、またね」
そう言い残して、伯爵は向こうへ走り去ってしまった。
……まったく、どいつもこいつもろくな奴がいない。
私は大きくため息をついた。
こうなったら、今日訓練が終わったら、イッルに手紙を書いてやろう。
そして、サーニャさんとのことをめいっぱいからかってやる。
それぐらいのことしたって、罰はあたらない。
「その前に、やんなきゃいけないことはたくさんありそうだけどな」
滑走路の向こうに目をやると、さっき走り去っていった伯爵が
ポクルイーシキン大尉に引きずられてこっちにやってくるところだった。
私は苦笑いしながら、ブラシとバケツをとりに、ハンガーの用具入れに向かった。
fin.
- 219 名前:6Qn3fxtl:2010/05/31(月) 21:45:41 ID:LcL4PKcQ
- 以上です。
kirjeはスオムス語で「手紙」という意味だそうです。
- 220 名前:名無しさん:2010/05/31(月) 22:23:37 ID:grpJPzvQ
- >>219
GJ!ニパ誕生日おめ!
伯爵も良い味出してますね。がんばれニパ。
- 221 名前:5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2010/05/31(月) 23:23:59 ID:/djlOR6Q
- こんばんは、なんとか間に合ったのでニパ誕SS投下していきます。
アレニパで5レスです。
- 222 名前:恋の風邪 1/5:2010/05/31(月) 23:25:00 ID:f8FxMXjw
「ん……」
医務室が持つ独特の薬品の匂いが私の鼻につく。
ここは、私が戦闘で怪我をするたびにお世話になっている場所だ。
ただ、私が今ここにいる理由はどうやら怪我とは関係なさそうだ。
「身体が……重い……」
この何ともいえないダルさはなんなんだろう。
私は中々ベッドから起き上がれずにいた。
「あ、目が覚めましたか? 良かった……」
ベッドの横の椅子から聞き覚えのある声が私の耳に飛び込んできた。
「ジョーゼット少尉……私はどうしてここに……?」
「覚えてないんですか? ニパさん、今朝訓練中に突然倒れたんですよ」
私が訓練中に? そういえば昨日の夜くらいから身体がだるかった気がする。
「それでみんなで慌てて医務室まで運んだんです。疲れからきた風邪なんじゃないかって
お医者さんは言ってました。ここしばらく遠征続きで大変でしたからね……安静にしてれば
2〜3日でよくなるみたいですよ」
「そうか……」
これでも身体は丈夫なほうだと自分では思っていたが、訓練中に倒れるなんてまったく情けない。
もしイッルがここにいたら、『体調管理ができてないな〜』って言われて笑われてただろうな。
- 223 名前:恋の風邪 2/5:2010/05/31(月) 23:25:49 ID:/djlOR6Q
「……じゃあ、もしかして少尉がずっと私の看病をしてくれてたのか?」
私が尋ねるとジョーゼット少尉は首を横に振った。
「いえ、私は数十分前に代わったばかりで……その前まではアレクサンドラ大尉がずっとニパさんの
看病をしてくれてたんですよ」
「……大尉が?」
「ええ、大尉だけじゃなくナオちゃんもクルピンスキー中尉もみんなニパさんのこと心配してたんですよ?
それで、みんなで交代でニパさんの看病をすることにしたんです」
そうだったのか……大尉もナオも伯爵もみんなこんな私のことを心配してくれてたのか……
「そっか……じゃあみんなの為にも早く風邪、治さないとな」
「ええ、その為にはまず薬を飲まないと……何か食べれますか?」
「……りんごくらいなら」
「分かりました、じゃあ摩り下ろして持ってきますね」
そう言うとジョーゼット少尉は椅子から立ち上がった。
「少尉、その……色々とありがとう」
「ふふ、どういたしまして」
ジョーゼット少尉は年相応の少女の笑みを浮かべながら医務室を去って行った。
- 224 名前:恋の風邪 3/5:2010/05/31(月) 23:27:01 ID:/djlOR6Q
「はぁ……」
少尉がいなくなった後、私は小さな溜息をついた。
スオムスにいた頃も被弾してはエルマ先輩やイッルら同僚に迷惑をかけていたっけ。
502に来てからもナオや伯爵とストライカーユニットを壊しては大尉に迷惑をかけている。
全然変わってないな、私は……
――十数分後……
「ニパさん、りんごの摩り下ろしできましたよ」
「ありがと……って、大尉!? どうして……」
摩り下ろしたりんごをトレーに乗せ、医務室にやってきたのはジョーゼット少尉ではなく、
アレクサンドラ大尉だった。
「どうしてって……ニパさんのことが心配だったからに決まってるじゃないですか。
ジョーゼット少尉にニパさんが目覚めたって聞いたらいても立ってもいられなくなって、
少尉に代わってりんごを摩り下ろしてきたんですけど……もしかして、私の摩り下ろしたりんごは
食べたくなかったですか?」
大尉が不安そうな表情で私の顔を覗く。
その大尉の表情が可愛らしくて私は一瞬ドキッとした。
「そ、そんなことないよ……わ、私も大尉が来てくれて嬉しい」
馬鹿、散々心配させといて何言ってるんだ私は。
「そう? よかった……起き上がれますか?」
「あ、ああ……」
私は重い身体をなんとか起こす。
次に大尉はトレーに乗せてたお皿を私の前に差し出し、耳を疑うようなことを言った。
「私が食べさせてあげますからあーんしてください」
「え? えええええ!?」
い、いきなり何を言い出すんだこの人は。
私の心臓の鼓動がさっきより一層早くなる。
「こ、これくらい自分で食べれるよ……」
「こら、病人さんが強がり言わないの。いいからあーんしてください」
「……あ、あーん……」
やばい、すごい恥ずかしい。
「どう? 美味しいですか?」
「う、うん……」
「あれ? ニパさん、さっきより顔が赤くなってますけど大丈夫ですか?」
いや、今私の顔が真っ赤なのはあなたのせいですよ、大尉。
- 225 名前:恋の風邪 4/5:2010/05/31(月) 23:27:52 ID:/djlOR6Q
数分後、食事を終え薬も飲み終わった私はようやく少し楽になったような気がした。
「今、体調のほうはどうですか?」
「うん、少し楽になったと思う……その、大尉……いつもごめんな。
私、大尉に迷惑かけてばかりで……大尉だけじゃなくラル隊長や他の隊員にも迷惑かけてばっかで……
私なんてここに来ないほうが良かったのかもな」
私は自嘲気味に呟く。
「ニパさん……」
すると大尉は優しく私を抱きしめてくれた。
「え? た、大尉……?」
「ホント、あなたもナオちゃんも伯爵さんも出撃のたびにストライカーユニットを壊しては
私を困らせてばかり……でも、私ニパさんがここに来なければ良かったなんて思ったこと一度もないですよ。
だって、ナオちゃんあなたと話すようになってからよく笑うようになってくれましたし、ラル隊長だって
『あいつが来てから部隊が賑やかになった』ってニパさんのこと褒めてましたよ。みんな、あなたのことが
大好きなんですよ。502にはあなたが必要です」
その言葉を聞いて私は泣きそうになったけど、涙を堪え大尉を優しく抱き返す。
「ありがとう、私もこの隊のみんなが大好き……」
私たちはそのまましばらく抱き合った。
- 226 名前:恋の風邪 5/5:2010/05/31(月) 23:28:23 ID:/djlOR6Q
――さらに数分後……
「本当にアリガトな、大尉。おかげで色々と楽になったよ」
「いえいえ……あっ、そういえばもうすぐニパさんの誕生日ですよね?」
「え? あ、そう言えばそうだった……」
今日は5月29日、気がつけば私の誕生日は明後日に迫っていた。
「何かプレゼントに欲しいものはありますか?」
「う〜ん、そうだなー……大尉の愛が欲しい……なんちゃって」
私は冗談交じりに言った。
「愛ですね……分かりました」
そう言うと大尉は私の頬に自分の唇を寄せた。
「たたたた大尉!?」
私は自分の心臓が跳ね上がるのを感じた。
これって、いわゆるキスって奴じゃないだろうか。
「これが私のニパさんへの愛の証です。今度は口にしたいんで明後日までに風邪、治してくださいよ?
それじゃ、おやすみなさい」
そう言って大尉は医務室を去って行った。
大尉がいなくなった後、私は自分の胸に手を当ててみる。
「どうしよう、胸の鼓動が止まらないや……」
どうやら私はどんな特効薬でも治せない恋の風邪をひいてしまったようだ。
〜Fin〜
- 227 名前:5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2010/05/31(月) 23:30:07 ID:/djlOR6Q
- 以上です。
ニパ、誕生日おめでとう!
- 228 名前:名無しさん:2010/06/01(火) 01:10:02 ID:N6b2IZSw
- 怒濤のSSラッシュ。
書く人乙。
やっぱ燃料が投下されると違うな。
- 229 名前:名無しさん:2010/06/01(火) 01:24:37 ID:wqqxxpg2
- ゲームまだ空けてないんだけど、もしかして芳佳が攻略するルートしかないの?
エイラーニャは無いの?
- 230 名前:名無しさん:2010/06/01(火) 08:49:51 ID:gMjjtRcE
- スオムス娘はオラーシャ娘に弱いw
- 231 名前:名無しさん:2010/06/01(火) 10:27:46 ID:C7Q6X/V2
- いやもしかしたら逆かもしれない
- 232 名前:名無しさん:2010/06/01(火) 20:39:40 ID:CjBSu0Ew
- >>229
基本的なCPを元につくられてるみたいだから、エイラーニャもあるよ。
芳佳×誰かじゃなくて、例えば芳佳→エイラ×サーニャって感じ。
- 233 名前:名無しさん:2010/06/01(火) 22:33:29 ID:.CXiF6Y.
- >>226
GJ!ニパとアレクサンドライイネー
良いニヤニヤをどうもですよ。
- 234 名前:名無しさん:2010/06/01(火) 23:26:31 ID:ZW5BapIk
- ぼーっとしてる間にニパ誕がたくさん!皆様GJです!
>>214
しろいくまさんに怯えたり泣いちゃったりと忙しいニパが可愛いです。
あと伯爵レターの書き出しがいい加減伝説すぎてワロタw
502はキャラが濃くて楽しそうですよね。
>>219
ひそかにこういう伯爵ニパ読みたかったので嬉しいです!
女の子ニパが可愛いくて萌えが有頂天になりました。余裕の伯爵もさすがです。
>>227
ニパやるじゃないですか、とニヤニヤしました。
この二人は何だかかわいらしくて応援したくなります。
- 235 名前:名無しさん:2010/06/06(日) 15:49:43 ID:2sdhR4hw
- こんにちは
まだキャラの相互関係がはっきりしないので怖いですが、
502のssいかせてもらいます
- 236 名前:破壊王と流されやすい苦労人:2010/06/06(日) 15:51:07 ID:2sdhR4hw
- カチャカチャ、キュッキュッ。
ただっぴろいハンガーに、そんな微かな物音が響く。
私ことジョーゼット・ルマールは教わったとおりのストライカー整備にいそしみながら、隣で黙々と手を動かす人物をちらり盗み見た。
「…なんだよ」
「い、いえ、なんでも」
ぎろりと睨みつけられ、慌てて視線を外す。
コミュニケーションをとるべくなんとか話しかけようとするのだけど、こうもあからさまにツンケンされるとその意気もしぼむ。せめてあと一人、この場にいてくれたなら状況も変わるだろうに。
「ポクルイーシキン大尉、どこ行っちゃったのかなぁ……」
居心地の悪さに、小さく呟く。
整備の要領を私たちに指導したのち、くだんの大尉はハンガーから姿を消した。
専門の整備士がいるのに何故こんな作業をさせられているのかというと、自分のストライカーの構造を詳しく知っておけば、もしもの際の状況把握や処置対応に役立つからだ。
「クルピンスキーを引っ張ってくるのに手を焼いてるんだろ、どうせ」
ふん、と不機嫌そうに鼻が鳴る。
答えが返ってくると思わなかった私は目をぱちくり。
階級上位を呼び捨てしたことはさておき、その声の拗ねたような響きにピンとくる。
「大尉は管野少尉にかかりっきりが多いですものね。放っておかれるとやっぱり寂し―――あいたっ」
ガコンッという音、目の前には星がチカチカ。
「うっせーんだよ。黙ってろ」
「あうぅ……なにも拳骨で殴らなくても」
ズキズキする頭頂部をさする。ウィッチだから普通の人より頑丈とはいえ、痛いものは痛い。しかも聞いたところによると、管野少尉は拳でネウロイのコアを打ち砕いたことがあるという。
言われたとおり、もう口を閉じていようと顔をもどす。
「……くにの、ちゃんに、てんの」
すると、なにやら管野少尉がごにょごにょ。
対応に困った私はあわあわ。聞き返したならまた怒らせてしまうだろうか。
「あ、あの」
「だ・か・ら、あの人は故郷の姉ちゃんに似てんの! 見た目じゃなくて雰囲気が!」
ガアァーっとほえられて、私の体からびょんと耳と尻尾がとびだす。
いきなり怒鳴るのは心臓によくないのでやめてほしい。なんて思ってみても言えるわけがないので心の戸棚にしまいこむ。
「そ、そうなんですか。じゃあ、しっかり者のお姉さんですよね」
「…まあな。オレが誰かに迷惑かけたり危ないことをしたときは、板の間にきっちり正座させられて、すんげぇなげー説教くらったもんだ」
「それはなんとなく目に浮かぶような……」
というより、つい先日も見たかもしれない。
敢闘精神が旺盛なこの部隊では日常ともいえる光景だろう。
「うちの親は子供に厳しいばっかで、よそよそしくってさ。あの家の中で姉ちゃんだけだったな、なんだかんだとオレに構ってくれたのは……あ〜あ、お前が気の抜けるような顔してっからおかしな話をしちまった。笑うなら笑えよ」
小さく舌打ちして、管野少尉ははきすてる。
いつもの言動とかけ離れたそれを笑う気にはなれなかった。粗野で乱暴な面ばかり目立ってしまうが、彼女だって一人の生身の人間だ。
「なんだか父さんと母さんに会いたくなってきちゃいました。私は力の発現がはやかったから、あまり親孝行できなかったんですよね」
「…なあ。お前の親御さんってもしかして」
「あ、違います。二人とも疎開先で元気にしてますので御心配なく」
- 237 名前:破壊王と流されやすい苦労人:2010/06/06(日) 15:52:03 ID:2sdhR4hw
- パタパタと手を振って杞憂を打ち消す。
あさっての方を向いていた管野少尉の手元でバキンという音。ついで、のびてきた手に上着の襟元をつかまれる。
「なら、まぎらわしい言い方すんなよ! 大体その丁寧口調はなんだ?! お前の方が年上だろうが。もっとしゃんとしろ、しゃんと!」
「す、すみま―――ひゃあ?! で、できるだけ努力しますから殴らないで」
ぎゅっと目を閉じ、振り上がった拳から頭頂をガード。
恐怖のカウントダウン。くるか、くるかと思われたガコンッという衝撃は、いつまでたっても訪れない。
やがて、トンッと突き放すように襟を解放された。
「ふん。わかったならジョゼ、これからは普通に話すんだぞ。普通にな」
「う、うん……あれ? いまジョゼって」
聞き違いかと確認すれば、尖った目つきでぎろりと睨まれる。
不思議なことに、今はそうされてもあまり怖くない。
「ねえ、私もナオちゃんって呼んでいい?」
「おいこら。調子にのんな」
「のってないよ。普通に話してるだけだから、普通に」
「ぐっ……てめえ」
拳をかためて目を吊り上げ、歯をギリギリ。
こういう例えは失礼かもしれないけど、噛みぐせのある子犬みたいでなんだか可愛い。
そうこうしているうちに、ハンガーに続く通路から足音が近づいてきた。
「ごめんなさい、待たせてしまって。ヴァルトルートさんがなかなか起きてくれなくて」
「やあ。おはよう二人とも」
溜め息をつく上官の後ろで、まったく悪びれたふうもなく手をあげるクルピンスキー中尉。
くるっと振り向いた大尉がその鼻先へ指を突きつける。
「もうお昼よ? あなたは一日をもっと有効につかうべきです」
「僕にとって『有効な一日』っていうのは、ズボンをはいてない女性に会うことだよ」
「ヴァルトルートさんはそこに正座!」
「イエス、マム」
来て早々に長い足をたたむ。あいかわらず、つかみどころのない人だ。
「ナオちゃんもよくああやって叱られてるよね」
「なんだと?! オレとあんなのと一緒にすんじゃ―――なあジョゼ、これってこんなだっけ?」
その視線の先をたどってみれば、なにやら重要そうなプラグがぶらぶらと。
二人して顔を見合わせ、しばしのちにサアアーっと蒼ざめる。
「あわわ、早く元に戻さないとっ」
「ええいくそっ、どこに繋げばいいんだよチクショウめ」
額をつきあわせて、あくせく。
そんな私たちの頭上に、ヌウゥ〜っと影がさす。
「チクショウめ、じゃありません! ストライカーは乱暴に扱うべからずと、いつも言って聞かせているでしょう!」
「「 イエス、マム!! 」」
座ったまま垂直に飛び上がり、正座で着地する。
条件反射なナオちゃんはもちろん、流されやすさ標準装備の私まで。
かくして、ポクルイーシキン大尉による恒例のお説教がはじまった。
- 238 名前:名無しさん:2010/06/06(日) 15:53:46 ID:2sdhR4hw
- 以上です。
前回、感想ありがとうございました
- 239 名前:名無しさん:2010/06/07(月) 06:51:09 ID:zfVwoFLc
- >>238
お姉ちゃんっ子な管野かわいいな。GJ
- 240 名前:名無しさん:2010/06/07(月) 19:28:13 ID:a8KzdE.k
- GJです
菅野がオレっ娘ってのは公式ですか?
- 241 名前:名無しさん:2010/06/07(月) 22:06:50 ID:eb5p3Q/I
- 公式ですよ、ソースはフミカネサイト
- 242 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/06/07(月) 22:42:17 ID:cW24Oy4.
- >>219 6Qn3fxtl様
GJ! 伯爵とニパの可能性を見ました。良かったです!
>>227 5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2様
GJ! ニパさんもアレクサンドラ大尉も素敵過ぎる!
>>238様
GJ! ほのぼのな502良かったです! ナオちゃん良い味出てる!
こんばんは、mxTTnzhmでございます。
ここは流れで502ネタをひとつ……
かなり雑ですが、とりあえずどうぞ。
- 243 名前:team 01/03:2010/06/07(月) 22:44:06 ID:cW24Oy4.
- ネウロイとの交戦で被弾し炎上するストライカー。お構いなしにとどめの一撃を食らわせ敵を粉微塵にした後、
すぐさま帰還するも出力が低下し、基地の目の前で不時着を試みるひとりのウィッチが居た。
着地スレスレでふわりと身体を浮かせ、うまくタッチダウン。
そのままストライカーを脱ぎ捨て、服に伝う火の粉を慣れた手つきで振り払う。
煙を上げて燃えるストライカーを眺め、ひゅーと口笛を吹いた後、一部始終を目撃していた基地の同僚ウィッチ達に笑顔で近づく。
「やあナオちゃん。いつもカッコ良くてごめんね〜」
腕組みして不機嫌そうな、小柄な扶桑のウィッチに語りかける。
「……どこがだよ。燃えてるじゃないか」
呼ばれた直枝は、呆れ半分に言った。
「ナオちゃんだってよく壊したり燃やしたりじゃないか。もやしっ子同士仲良くしようよ。ついでに皆で幸せになろう?」
「誰が『もやし』だ。伯爵の言うことはいちいち含みがあるから困る」
うんざりした表情の直枝。
騒ぎを聞きつけ、続いてやって来たのはニッカ。
「あーあー。ストライカー燃えてるぞ伯爵」
「誰かさんみたいに派手に壊すよりは良いんじゃないかな。これもひとつ滑走路誘導灯の代わりに……」
「なんねえよ!」
「それよりハンガー掃除どう? 進んでる?」
「今日は掃除じゃなくて正座だよ。でも何で正座なんだよ。拷問じゃないか」
ニッカの愚痴も聞き流しながら、すたすたと歩きつつ基地に戻る三人組。
ネウロイを恐れず、ストライカーの破損も自らの命も上官のカミナリをも恐れぬ
彼女達のことを、ひとはこう呼んだ。
「ブレイクウィッチーズ」と。
- 244 名前:team 02/03:2010/06/07(月) 22:45:21 ID:cW24Oy4.
- 「そうそう、この前のことなんだけど聞いてくれるかな?」
「聞きたくも無い……って言っても喋るんだろどうせ?」
「ちょっとした用事でブリタニアに行った時のことさ。街で可愛い子に会ったんだけど、特に二人めに現れた子がタイプでね。
だからどうしたって言われると困るんだけど」
「オレもどう返せばいいか困る」
「しかしブリタニアは雨が多いし、食べ物があまり口に合わないんだよね。行ったことないけど」
「さっき行ったって言ったの嘘かよ?」
「いや、同僚のバルクホルン……、彼女の妹さんのお見舞には行ったよ」
「そういうとこはマメなんだな」
「で、どうだった?」
「回復したって言うんでお祝い代わり花束を持って行ったんだけど、バルクホルンから『私の妹に手を出すつもりかッ!』って
えらくキレられてね」
「そりゃそうだ」
「……伯爵なら有りそうだよな」
「おいおい待ってくれよ。誤解だよ二人とも。まさか同僚の妹さんに手を出すなんて……」
「有り得る」
「だな。現に何人ものウィッチが毒牙に……」
「そりゃないよ。確かに素敵な女性に声を掛けるのはボクの義務だけどさ」
「義務とか言うな」
「ボクも流石に幼女には興味ないよ。ただ好みの女性の年齢層は、下は0歳から上は……」
「対象範囲広すぎだろ」
「もういいよ。何でもアリじゃないか」
「あれ? この話興味ない? じゃあ他の話にしようか?」
「……」
「お前に興味が無い」
「つれないなあ。そういえば知ってた? 扶桑の女湯は女ばっかりなんだって。これホント、ナオちゃん?
今度入ってみようかな?」
「伯爵が言うと洒落にならんからやめてくれ」
「女湯に女って当たり前だろ」
「えっ、そうなの?」
「驚くところが違うぞ」
「やっぱり伯爵ヘンだよ」
「そうか、やっぱりボクは軽い変態なんだ」
「言われなくても皆知ってるからいちいち言わんで宜しい」
「冷たいなあ。そうだ、こんな話を知ってるかい?」
「今度は何だよ」
「ナオちゃんって身長12センチ位しかないらしいよ。ウソだけど……ってナオちゃん暴力反対」
「オレの身長の事で馬鹿にする奴は……」
「おおっと待った待った。そうやって顔を険しくするのは良くない。せっかくの扶桑美人が台無しだよ」
「オレを口説いてどうする」
「えっ、違うの?」
「訳わかんねーよ伯爵」
「こういう話をするとナオちゃんから二〜三発殴られるんだ」
「当たり前だろ。懲りないなぁ。ナオ怒ってるぞ。あとサーシャ大尉も怒ってたぞ。帰還したら指令所に来いってさ」
「仕方ない。ナオちゃんとニパ君の分も怒られてくるか」
「今日はオレは何も壊してない!」
「私もだぞ伯爵!」
「まあまあ、それは言葉のあやって事で……ところであやって何だろうね? ニパ君知ってる?」
「知るか。もう行けよ。大尉待ってるぞ」
クルピンスキーを足蹴にし、基地へと戻る直枝とニッカ。
「しかし、ガリア奪還は501がやってのけたってのに、オレらときたら……」
「ガリアかぁ。ガリアと言えば華の都パリだよね。パリは寒い時に行くといいよ。行ったことないけど」
「伯爵まだ居たのかよ! 早く行けって!」
- 245 名前:team 03/03:2010/06/07(月) 22:47:08 ID:cW24Oy4.
- 「クルピンスキー中尉、聞いてますか?」
「いや、勿論聞いてますとも」
「今回の不始末、どう責任を取るつもりですか?」
「どうって言われてもねえ……ネウロイが来たから迎撃しただけだよ。まあたまたまボクも被弾しちゃったんだけどね」
「たまたま、ですか?」
「たまたま……たまたま……弾弾、なんてね。ああ、じゃなくてビームビームと言った方が良かった? あれ? 違う?
いや、そんな怖い顔しなくても」
「中尉、そこに正座なさい」
「そう言えばサーシャさん、この前風でベルトがめくれたんだって? ベルト二重に履いててよかったね〜寒かったでしょ」
「真面目に話を聞きなさい!」
「いや、だって場を和ませないと。これがボクの役目だと思ってるんだ」
「貴方には役目の前にする事が有ります。……分かってますね?」
「で、二時間正座させられてどう思った?」
「いやあ、ちょっとした冒険だったね」
「冒険?」
「それ本気かよ」
「訂正。ちょっとした拷問、かな」
「まったく。足ふらふらじゃないか伯爵。しびれてるだろ」
「ああっ、触っちゃダメ……あんっ」
「気色悪っ! 伯爵が身悶えるって何かヘン」
「ナオもそう思うか? 私もだ」
「二人揃って酷いな。だいたい、正座は扶桑の人しかしないって話だよ? 何でボクらもやる必要があるんだろうねぇ? ねぇ?」
「こっちみんな」
「ま、とりあえず、ストライカーの整備でもしようか」
「伯爵のストライカーはオーバーホールが必要とかで、後送されたぞ。どうすんだよ。暫く出撃すら出来ないぞ」
「じゃ、暇潰しに雑談でもしようか」
「またこれだよ……」
「こんな話はしたっけ? ボクはどんな暗いところでも、ハルトマン姉妹を見分ける自信があるよ」
「だから何よ」
彼女達は、ネウロイが蔓延る最前線で戦う、ブレイクウィッチーズ。
いつも何かしらピンチだが、助けを借りたい時は、いつでも言ってくれ。
end
--
以上です。
特徴的な3人は何となくキャラ掴めて来たんですが、
他のウィッチはもうちょっと情報が欲しいなーとか思ったり。
でも皆面白そうでワクワクしますね。
ではまた〜。
- 246 名前:名無しさん:2010/06/07(月) 22:51:03 ID:wy9BeXTs
- >>244
お前に興味がないで吹いたwwwww
この三人最高すぐるwwwww
イイゾモットヤレwwwww
- 247 名前:名無しさん:2010/06/07(月) 23:12:17 ID:A4iB/nrs
- >>244
伯爵のいい加減さにフイタwwwこいつらwww
- 248 名前:名無しさん:2010/06/08(火) 07:04:32 ID:ymKB6Xug
- >>238
GJ! ガキ大将みたいな直ちゃんとおとなしそうなジョゼがかわいいです。
「噛みぐせのある子犬」って、なかなか的を射た表現だと思います。
>>245
伯爵、めちゃくちゃすぎるwww
反省する気ないだろww
完全に振り回されてる直とニパもいい味だしてます。
GJ.
- 249 名前:名無しさん:2010/06/11(金) 00:36:55 ID:mfcAZEcw
- 今日はリーネの誕生日だな
ところでまたDSでゲームが出るらしい
芳佳がぷにぷにしていくとか言ってたけど一体どんな…
- 250 名前:名無しさん:2010/06/11(金) 00:49:36 ID:4oEDEMrU
- >>249
ttp://www.amiami.jp/shop?vgForm=ProductInfo&sku=TVG-NDS-2613&template=review.html
これの事ダナ?
発売日と言い、内容と言い全てが?だらけだ。とりあえず尼で予約したけど。
で、リーネ誕生日おめ!
- 251 名前:名無しさん:2010/06/11(金) 00:50:00 ID:0/wkNs/6
- >>249
良く分からないけど、とりあえず予約してきた
まだPS2の方を開けてすらないのに
- 252 名前:名無しさん:2010/06/11(金) 01:29:30 ID:4cSjb/IE
- リーネちゃんお誕生日おめでとう!
- 253 名前:5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2010/06/11(金) 23:44:18 ID:zo0B7bpM
- リーネちゃん、誕生日おめでとう!
今回もなんとか間に合ったので芳リネで4レス投下していきます。
- 254 名前:Marmalade Cake 1/4:2010/06/11(金) 23:45:05 ID:zo0B7bpM
「ふんふん……なんか良い匂いがするな〜」
「うんうん、とっても良い匂い〜」
ハルトマンさんとルッキーニちゃんが上機嫌な様子で厨房に入ってきた。
どうやらオーブンから漂う良い匂いにつられてやってきたらしい。
「ねぇ芳佳、今何つくってるの?」
ルッキーニちゃんが興味津々な表情で私に問いかけてくる。
「マーマレードケーキだよ、今日はリーネちゃんの誕生日だから、バルクホルンさんに
作り方を教わって作ってみたんだ」
そう、今日は私の一番の友達、リーネちゃんの誕生日。
私の作ったマーマレードケーキ、リーネちゃん、喜んで食べてくれるといいな。
「なるほど、リーネへのお誕生日ケーキってことだね……あれ? そういえば、
そのリーネは今どこにいるの?」
「ああ、リーネなら朝早くミーナと街まで出かけたぞ」
ハルトマンさんの問いかけにバルクホルンさんが答える。
「ああ、そういえば昨日ミーナがリーネの誕生日プレゼントに新しい服を買ってあげたいって言ってたけ」
「リーネちゃんの新しいお洋服かぁ……」
ミーナ隊長、リーネちゃんにどんな服をプレゼントするのかな。
リーネちゃんなら何着ても似合いそうだなぁ、えへへ。
- 255 名前:Marmalade Cake 2/4:2010/06/11(金) 23:45:43 ID:zo0B7bpM
「どうした〜宮藤? ニヤニヤしちゃって」
ハルトマンさんが、不思議そうな表情で私に問いかけてくる。
いけない、私ったら。
リーネちゃんの新しいお洋服を想像してたら無意識のうちにニヤけてたみたい。
「え? な、なんでもないです」
私はなんとか平然を装って応える。
「ふ〜ん、そうなの……てっきり私は宮藤がリーネの新しいお洋服を想像して
ニヤニヤしてるのかと思ったよ」
うぅ……どうやらハルトマンさんには全部見透かされたみたい。
「リーネの新しいお洋服かぁ……リーネって白いワンピースとか似合いそうじゃない?」
「いやいやルッキーニ、やっぱりリーネには裸エプロンでしょ」
「エーリカ、それはもはや洋服ではない……おっ、どうやらケーキが焼きあがったみたいだ」
バルクホルンさんがオーブンからケーキの入った容器を取り出す。
そのケーキを少し冷ました後、私はハルトマンさんらにケーキの味見をしてもらった。
「芳佳、このケーキすっごく美味しいよ!」
「うん、甘酸っぱくていい感じだよ、これ」
ハルトマンさんもルッキーニちゃんも満面の笑みでそう言ってくれた。
「良かった……初めて作るケーキだったから、美味しく作れてるか心配だったんですよ。
バルクホルンさんが丁寧に作り方を教えてくれたおかげで美味しく作れたみたいです、ありがとうございました」
私は深々と頭を下げ、バルクホルンさんにお礼の言葉を述べる。
「礼には及ばない。私は姉として当然のことをしたまでだ」
「いつから宮藤の姉になったんだ〜? ところでさー、
どうして宮藤は今まで作ったことのなかったマーマレードケーキを
リーネへの誕生日ケーキにしようと思ったの?」
「えっとですね、それは――」
私がマーマレードケーキを作ろうと思った理由を話すと、ハルトマンさんは笑いながらこう言ってくれた。
「ははは、宮藤らしい理由だね。とても素敵だと思うよ。その想い、リーネに伝わるといいね」
- 256 名前:Marmalade Cake 3/4:2010/06/11(金) 23:46:22 ID:zo0B7bpM
――その日の夜、食堂でリーネちゃんの誕生会が行われた。
隊のみんながそれぞれリーネちゃんへの誕生日プレゼントを渡し、
その後はミーナ隊長のプレゼントの新しいお洋服をリーネちゃんが披露したり、
エイラさんが『運気の上がるおまじない』と称してリーネちゃんのおっぱいを
揉んだり(私も揉みたかったな)して誕生会は大いに盛り上がった。
「芳佳ちゃん、このマーマレードケーキとっても美味しいよ!」
そう言ってくれたリーネちゃんの笑顔がとても眩しかった。
――午後十時頃、リーネちゃんの誕生会はお開きとなった。
「ごめんね、リーネちゃん。誕生日なのに後片づけ手伝わせちゃって」
「ううん、気にしないで。私、ぼーっとしているより食器洗いとかしているほうが好きだし」
誕生会の後片付けを済ました私たちは、宿舎のテラスでミルクティーを飲みながらゆったりしていた。
こうやってリーネちゃんと二人っきりでいると私はとても幸せな気持ちになる。
この気持ちって……恋なのかな。
「ねぇ、どうして芳佳ちゃんは私の誕生日にマーマレードケーキを作ろうと思ったの?」
リーネちゃんが私に、先ほどのハルトマンさんと同じ質問をしてきた。
「え? い、言わないと駄目?」
「うん、今まで作ったことのないケーキを私の誕生日に作ってくれた理由、知りたいかな」
リーネちゃんが目をキラキラさせながら、私の顔を覗いてくる。
……その瞳、眩しすぎるよリーネちゃん。
本人の前でこの理由を話すのはちょっと恥ずかしいけど、
私は勇気を出してハルトマンさんの時と同じように答えることにした。
- 257 名前:Marmalade Cake 4/4:2010/06/11(金) 23:46:55 ID:zo0B7bpM
- 「えっとね……私のリーネちゃんへの想いがマーマレードケーキに似てたからかな」
「マーマレードケーキに似てる?」
「うん、マーマレードケーキって甘酸っぱいでしょ? 私もリーネちゃんのこと考えると
胸がドキドキしちゃって、甘酸っぱい気持ちになるんだ……ごめんね、何かいきなり訳の分からないこと言っちゃって」
「ううん、芳佳ちゃんの気持ち、すごく伝わったよ」
リーネちゃんはそう言うと、私の唇に自分の唇を重ねてきた。
「リ、リーネちゃん!?」
「ふふ、芳佳ちゃんの唇ってすごく甘酸っぱいね。私も芳佳ちゃんのこと、考えると胸がドキドキするんだよ?
今だってそう……ほら、聞いてみて」
リーネちゃんが私の耳を自分の胸の辺りに当てる。
うわ、やっぱりリーネちゃんのおっぱいってすごく柔らかい……
「聞こえてる? 私の胸の鼓動」
「うん、でも今は私の胸の鼓動のほうが大きいよ、絶対……」
――この甘酸っぱい気持ちが恋なのかはまだよく分からないけど、
今は時間の許す限りこうやってリーネちゃんに抱かれていたいな……
〜Fin〜
- 258 名前:5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2010/06/11(金) 23:47:48 ID:zo0B7bpM
- 以上です。
- 259 名前:名無しさん:2010/06/12(土) 03:34:54 ID:QtRtBWB.
- GJです!ナイスイチャイチャ!
- 260 名前:名無しさん:2010/06/12(土) 18:57:19 ID:5LTCs89.
- >>258
甘酸っぱいっていいよね・・・GJ!
- 261 名前:名無しさん:2010/06/17(木) 02:31:22 ID:/lfAMqb.
- >>258
GJ! 甘酸っぱい気持ちに味……ゴチになります。
- 262 名前:名無しさん:2010/06/17(木) 07:15:58 ID:OPHW0pg2
- おいwwwwwwwwwwwwwwwwww
なんだ箱○版のトゥルーデの扱いはwwwwwwwww
エイラばりにすばらしいのを期待したのに
なんでおっぱいなんだよwwwwwwwwwwwwwwwwww
- 263 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/06/17(木) 22:39:43 ID:XRH5schM
- >>258 5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2様
GJ! 甘酸っぱい芳佳とリーネでお腹いっぱいです!
こんばんは、mxTTnzhmでございます。
もうすぐ2期開始ですね、楽しみです。
今回は保管庫No.0450「ring」シリーズ続編になります。
ではどうぞ。
- 264 名前:only you 01/03:2010/06/17(木) 22:40:25 ID:XRH5schM
- 悲劇は突然訪れた。
夜間哨戒の最中、突如としてトゥルーデの履くストライカーユニットの調子が悪くなったのだ。
雨が降りしきる最中、哨戒区域の海上をひとりぼっちで飛行していた彼女は、「調子が悪いから」と誰かに肩を貸して貰う、
と言う事も出来ない。
しかしそこは冷静なもので、司令所と通信を密にしながら対処法を探る。
「司令所へ。機関の魔法圧が下がっている様だ。このままではいずれ魔導エンジンが止まり墜落する」
『バルクホルン、レーダーでお前の飛行位置は把握している。直ちに救援チームを向かわせる』
無線越しに聞こえる美緒の声。
「了解。出来る限り基地に近付く様にする。……付近にネウロイの形跡は無し」
『こちらのレーダーでもネウロイは見えない。まずは飛行に専念してくれ』
「りょうか……」
膨脹を伴う爆発音が、脚の先から聞こえた。慌てて振り向くと、左ストライカーの外装がめくれ、黒煙が吹き出している。
「まずいな。左ストライカー出力低下。これ以上の稼働は危険と判断、左ストライカー機能停止」
『あとどれ位持ちそうだ?』
「分からない。持ってあと数分……高度が落ちてきた。2500……2100……」
腕にはめた腕時計型の高度計を見る。見なくても分かる程、みるみる高度が下がるのを体感する。
『たった今、宮藤を含む救援チームをそちらに向かわせた。到着まで五分だ。可能な限り持ち堪えてくれ』
「了解」
トゥルーデは飛行に意識を集中させる。無理に魔法力をストライカーに注ぎ込んでも暴発する危険がある。
特に左ストライカーの機能が停止した今は、辛うじて動いている右のストライカーひとつで何とかするしかない。
しかし右のストライカーも咳き込み始めた。
理由は後で分かるだろう。ともかく今は一メートルでも基地に近付く事。救援チームが到着するまでの五分が勝負。
それが任務だ。
だがトゥルーデの必死の操作虚しく、右ストライカーユニットも出力が低下し、ゆっくりと動きを止めつつある。
ストライカーの停止は、すなわちウィッチの自由落下。墜落を意味する。
これ以上の飛行は不可能と判断したトゥルーデは、海面への不時着を決意する。
「司令所へ。これ以上の飛行は不可能と判断、これより海面への着水を行う」
『あと二分だ。持ち堪えられないか』
無線に答えようとした矢先、右ストライカーもくぐもった音と共に黒煙を上げた。煙に混じり炎も見える。
「これより降下、のち着水する。位置の捕捉を頼む」
『了解した』
美緒の声に焦りが混じるのを感じる。
辛うじて残っている飛行パワーを緩やかな降下に使い、そろりそろりとと海面に降りる。
「降りる」と言ってもかなりの角度で落下しているのだが、仕方ない。
「これより着水する」
トゥルーデは無線でそう呼び掛け、ストライカーの出力を絞り、海面への「不時着」を試みる。
訓練通りの、的確、適切な動き。海面間際でホバリング体勢に移り、間も無く着水。
雨天とあって海面は意外とうねりが高く、波のかぶり方によっては海没の危険も有る。
しかし落水時の訓練も欠かしていないトゥルーデは、特に不安を感じていない。
あと十メートル、あと八メートル……あと五メートル……あと……
突然、真横から高波が押し寄せた。
「なっ!?」
声を上げる間も無くざばあと飲み込まれ、トゥルーデの姿が消えた。
- 265 名前:only you 02/03:2010/06/17(木) 22:40:58 ID:XRH5schM
- 目を覚ます。
いつの間に連れて来られたのか、基地の医務室、ベッドに寝かされている事に気付いた。
右横には先程まで治癒魔法を使っていたのか芳佳が眠りこけている。一方の左横には同じく寝ているエーリカの姿があった。
着水直前までの事は覚えている。しかしその後の記憶が無い。
何が起きた? そして一体どうなっている?
トゥルーデは考え込んだ。
誰かが医務室に入り、トゥルーデの所にやってきた。ミーナと美緒だ。
すやすやと寝息を立てる芳佳とエーリカの姿を見て、苦笑するふたり。
ミーナは二人にそっと毛布を掛け、小声でトゥルーデに話し掛けた。
「起きたのね。どう、具合は?」
「悪くない。今すぐにでも動ける位だ」
「顔色も良さそうだし、大丈夫そうだな」
美緒がトゥルーデを見、ミーナに話し掛ける。ほっとしたのか、ミーナはトゥルーデの手を握った。
「良かった、無事で」
「心配させて済まなかった。着水寸前の事までは覚えているんだが……、その後私に何が有ったんだ?」
「救援に向かった連中の話では、バルクホルン、お前は高波に飲まれて海中に没していたそうだが」
美緒が説明する。
「そうか。泳ぎに自信は有ったんだが……確かに、横から妙に高い波が来たのは微かに覚えてるな」
「その高波と着水の衝撃が加わって一時的に気を失ったのだろう。当時周辺海域は高波の注意が出ていたからな。
お前を海から引き揚げるのに苦労したと皆言ってたぞ」
苦笑する美緒。
「申し訳ない。私とした事が。……そう言えば私のストライカーは?」
「現在回収して修理中よ」
「しかし何故急にストライカーの動作が……」
「この前の整備でユニットの部品交換をした際、不良品が混入していたのでは、と報告が来ているわ」
「不良部品、か……飛行前にきちんとチェック出来ていれば……」
悔やむトゥルーデを、美緒が宥めた。
「お前はあの状況下で、出来る範囲で十分に頑張った。今はそれで良いじゃないか」
ぽんとトゥルーデの肩を叩く美緒。
「ミーナと少佐、それに隊の皆には心配を掛けたな。あと宮藤と、ハルトマンにも」
「貴方が無事で何よりよ」
微笑むミーナ。
「快気祝いに酒でも飲むか?」
笑いかけてミーナの視線を受け、自重する美緒。
「とにかく、今日はゆっくり休んで頂戴。落ち着いたら自室に戻っても構わないけど、メディカルチェックは受けてね」
「有り難うミーナ。助かる」
頷くと、二人はそっと医務室から出て行った。
「あれ、今坂本さんの声が……」
芳佳が目を覚ました。
「宮藤、済まなかったな。治癒魔法を使わせてしまって」
「いいえ、私に出来る事って、これ位ですから」
「私はもう大丈夫だ。問題無い。……波に呑まれて気を失うとは情けない限りだが」
「ストライカーが爆発したら普通は溺れるだけじゃ済まないって、みんな言ってました」
「爆発……そうか。ともかく有り難う宮藤。疲れただろう、戻って休め。私はもう大丈夫だ。
あと、私からもお前の今日の訓練を止めさせる様言っておく」
「あ、ありがとうございます……では、失礼します」
芳佳は部屋を出て行った。医務室の外に人の気配がした。声の伝わり方から、恐らくリーネだろうと推測する。
芳佳を待っていたのだろう。
- 266 名前:only you 03/03:2010/06/17(木) 22:41:27 ID:XRH5schM
- 簡単なメディカルチェックを受けた後、トゥルーデは背伸びして、自分の身体を確かめた。
異常なし。負傷無し。ストライカーが火を噴き、海面に不時着したにしては上出来だ。
……と、鏡を見て、額に包帯が巻かれている事に気付く。
怪我をしていないのに何故? と思った瞬間、後ろからぎゅっと抱きしめられた。感覚からエーリカだと分かる。
「トゥルーデ、もう良いの?」
「ああ、起きたのかエーリカ。心配掛けて済まなかった。部屋に戻ろう」
「いいよ」
二人して医務室を出、トゥルーデの部屋に戻る。
「やっぱり自分の部屋は、医務室よりかは落ち着くな……うわっ」
突然エーリカにタックルされ、ベッドに押し倒される。
「な、何をするんだ」
上からトゥルーデを押さえつけるエーリカ。不思議な顔をしていた。
目に涙を溜め、でも笑っている。
「無事で良かったよ、本当に」
ぽろぽろ涙をこぼしながら、エーリカは笑顔を見せた。
「すまない。心配を掛けて。私はもう大丈夫だから、泣かないでくれ」
「海から引き揚げても、声掛けても、トゥルーデ青い顔して、目、覚まさないんだもの」
「そう、だったのか」
「ミヤフジがずっと治癒魔法掛けてた」
「ああ。聞いた」
「私は、横で祈ってるしか無かった。トゥルーデが目覚めますようにって」
「ありがとう」
そっとエーリカを抱きしめる。
「絶対、トゥルーデを死なせない」
エーリカもトゥルーデをきつく抱きしめる。
「死なせないって……何故」
「何故って? 私が一番好きって選んだひとだから。トゥルーデ」
涙を拭って、エーリカが答えた。
「……そう言って貰えて、私は幸せ者だな」
「私に一番って言わせるなんて、相当だよ、トゥルーデ?」
「ありがとう、エーリカ。私は……」
「分かってるなら良いよ」
じっと見つめ合う。エーリカとの距離が縮まる。目を閉じ、そっと唇が触れ合う。
そのまま、じっくりとお互いを味わう。
「やっぱりトゥルーデだ。安心した」
「当たり前だ。私は私だ」
「でも、海の味はしないね」
「あのなあ」
エーリカがくすっと笑う。トゥルーデも笑った。
「今度さ、またケーキ作ってよ」
「ケーキ? どうして?」
「トゥルーデの快気祝い」
「私が回復したのに、自分でケーキを作るのか?」
「それで、私にあーんして食べさせて」
「食べたいんだろう? 分かった、今度作る」
「絶対だよ?」
「約束する」
「楽しみだね」
エーリカはそれだけ言うと、トゥルーデにキスをした。トゥルーデも抱きしめる力を強める。
服を通して伝わる二人の温もり、心の鼓動。
どちらが言うとでもなく、ふたりはもう一度、口吻を交わし、お互いの存在を確かめた。
end
- 267 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/06/17(木) 22:43:11 ID:XRH5schM
- 以上です。
早速、この続きを連続投下します。ご容赦を。
勿論保管庫No.0450「ring」シリーズ続編ですのでよしなに。
ではどうぞ。
- 268 名前:chocolat 01/03:2010/06/17(木) 22:44:00 ID:XRH5schM
- 雨降りしきる午後のひととき。
食堂に隣接する厨房には、トゥルーデの姿があった。周りには暇つぶしがてら見物の隊員が数名、
一方の芳佳とリーネはメモを片手に真剣な表情で向かっている。
「それで、次に小麦粉を百七十五グラム。ベーキングパウダーを……」
教師さながら、エプロン姿のトゥルーデは準備された材料を正確過ぎる程慎重に計量し、ボウルに混ぜていく。
「パウンドケーキに似てますね」
リーネの一言に、トゥルーデは曖昧に返事をした。
「ああ、似てるな。生地の製作工程はほぼ似通っているし、多分同じ様なものだろう。カールスラントには、
『トルテ』と言う菓子が有ってだな。見た目とても華やかなものなのだが……ええっと……前にも言ったか」
説明しかけて言いよどむトゥルーデを前に、にやけ気味のエーリカがぷにぷにとトゥルーデの頬をつついて言った。
「ほら、トゥルーデって料理下手でしょ? だから無理なんだよね〜」
「むっ無理じゃない! やろうと思えば出来なくはない……筈なんだが」
わたわたするトゥルーデを前に、芳佳は苦笑した。
「まあ良いじゃないですか。とりあえず目の前のケーキの作り方、続き教えて下さい」
本当は単にトゥルーデがケーキを焼くだけだったのだが、話を聞いた芳佳とリーネが教えを乞うたのだった。
「そ、そうだったな。次にこの生地を合わせて、よく撹拌する。ざっくりとで良い」
「……それにしてはずいぶん力入ってるね」
「気のせいだ」
シャーリーの呟きを前に、頬に汗を一筋流しつつ生地を混ぜ、捏ねていく。
「ニヒー この前のチョコレートケーキ♪」
ルッキーニは完成が待ち遠しいらしい。シャーリーの胸にもたれかかってご機嫌だ。
「で、生地の半分を別のボウルに移して……片方に、ココアパウダーを振る……スプーン二杯だ」
「はい」
「スプーン二杯、と……」
真面目にメモを取る芳佳とリーネを見て、トゥルーデは手を止め、笑った。
「二人とも、軍事教練じゃないんだし、もっと気楽で良いんだぞ? そもそも料理や菓子はお前達の方が得意じゃないか?」
「何事も勉強だって、坂本さんが言ってました」
「ああ……」
「少佐ならそう言うだろうね」
当人の姿と声を思い浮かべて苦笑いするカールスラントの乙女二人。
「ねーねー、フルーツ乗せないの? フルーツぅ〜」
「これからオーブンで焼くんだ、今から乗せてどうする。黒焦げだぞ」
「あ、そっかー」
「タルトなら、生地焼いた後にたくさんフルーツ乗せるんだけどね。今日のはそう言うの無いんだ」
トゥルーデの代わりにエーリカがルッキーニに説明する。
「ウェー つまんなーい」
「この前バクバク食べてたくせに良く言うヨ」
呆れるエイラ、じっとトゥルーデの手つきを見つめるサーニャ。
「よし、次だ。良いか、宮藤、リーネ」
「はい」
「もう片方の生地に、オレンジジュースと細かく切ったオレンジの皮を入れて、混ぜる……っ」
「力入り過ぎじゃないか?」
「問題、ない」
呆れ気味のシャーリーをよそに、真剣な表情で木べらを持ち、生地を混ぜ合わせる。
「で、混ざったら、先程のココア入りの生地と合わせて、ざっくり混ぜて……型に流し込む。
このときぐるっと生地を軽くかき混ぜると、焼いた時にマーブル模様が美しく出る」
「なるほど」
「面白いですね」
「そうだな。見た目よし、味よしと言う訳だ」
「トゥルーデ、メモ見ながら言ってもあんまり説得力無いよ」
「……つ、次だ」
エーリカのツッコミに若干くじけながら、作業を進めるトゥルーデ。
そんな中、ペリーヌは皆の陰に隠れるかたちで、こそっと様子を伺っていた。
本当は「素晴らしいガリアの焼き菓子」について言及したいところだが、ヘタに何か言ってしまって「じゃあ作って下さい」
と言われる事だけは何としても避けたい。よって今回は慎重に様子見に徹している。
「どうしたペリーヌ? 何をコソコソしている」
トゥルーデに見つかり、ぎくりとするペリーヌ。
「いえ、皆の邪魔にならないよう、ちょっと見ていただけで……」
「ガリアのお菓子は世界一じゃないの?」
にやけるエーリカに、ペリーヌは何か言いたい気分になったが、ぐっとこらえた。
「こ、ここはそう言う事を言う場ではありませんことよ?」
「じゃ、次はガリアのお菓子に期待するからね。よろしく〜」
ニヤニヤ顔のエーリカを前に、絶句気味のペリーヌ。
「よし、では生地をオーブンに入れる。温度は万全か?」
「百九十度です」
「よし、では早速入れてだな……焼き上がりにムラが出来ないよう、慎重に位置を調整して……」
「あの、バルクホルンさん」
「どうした?」
「早くオーブンの蓋閉めないと、温度が……」
「ああ、すぐ閉める」
- 269 名前:chocolat 02/03:2010/06/17(木) 22:44:44 ID:XRH5schM
- 「焼いている間に、ケーキに掛ける……アイシングと言うらしいんだが、これを作る。
卵白、粉砂糖にオレンジジュースを少し入れて、混ぜて……これを出来たケーキの上に掛ける」
「ああ、これが、ケーキに掛かってた白くて甘いものの正体だったんですね」
芳佳が納得する。リーネは知っているかの如く頷く。
「そうだ。これが、味の大きなアクセントとなる」
別のボウルに卵白と粉砂糖、少々のオレンジジュースを入れ、ホイッパーでかき混ぜる。
「ハルトマン。時間はあと何分だ?」
「あと三十分……ってトゥルーデ、これはトゥルーデが計るんじゃないの?」
「……この前考え事をしていて思いっきり焼き過ぎたからな。万全を期す為にも、私の他にも、誰かに見ていて貰いたい」
「自信無いって言えば良いのに」
「う、うるさい!」
「みんなでにぎやかにやるのも楽しいと思います」
リーネが助け船を出す。
「そ、そうだな。たまにはこういうのも良いよな? な? リベリアン」
「何であたしに振るかねー」
「お前はよくバーベキューをやるじゃないか。火柱と黒煙を上げて」
「あたしのバーベキューと一緒にしないで貰いたいね」
「そうだな。お前のは単純で繊細さの欠片も無いからな」
「何だと? 堅物みたいに何かの実験みたいな……」
「はーいストップストップ」
「ケンカはやめてェー」
間に割って入るエーリカとルッキーニ。
きっちり時間通り、オーブンから慎重に取り出すと、型をこんこんと叩き、ふんわりと焼けたケーキを皿に出した。
オレンジとココアの絶妙な香りが辺りに漂う。
アイシングをケーキの上からこれでもかと言う程に掛け、ふうと一息付いた。
「出来上がり? ねえ、出来上がり?」
早く食べたくて仕方ない様子のルッキーニ。
「ああ。完成だ。これから切り分ける」
「早く早くー」
「焦るなルッキーニ」
「そうソウ。慌てるナントカは貰いが少ないっテナー」
「何それ?」
「少佐が前に言ってタゾ?」
「よく分からないけどなんかムカつく」
「何でダヨ」
「ほらお前達、言い争いは良くないぞ。食べてみろ」
均等に切り分けられたケーキを一切れ渡される。
「やったーケーキ、ケーキ……って、アレ? 一切れ減ってない?」
皿を見て不思議がるルッキーニの横で、口元をハンカチで拭うエーリカの姿が。にこっと笑った彼女を見て、
「ずるーい! 何で先食べちゃうのー」
と口を尖らせた。
「いや、味見を頼んだんだ。大丈夫らしいから、皆でどうだ」
「そうやって聞くと、私が毒味係みたいに聞こえる」
「とんでもない! お前に一番先に食べて欲しかったんだ」
「ホント、堅物はサラっと言ってしまうっつうか、隠せないっつうか……まあいいけどね」
またも呆れるシャーリーは、皿からケーキを一切れ掴み、もぐもぐと食べてみた。
「へー。この前よりしっとりしてて美味いね」
「本当か?」
「ああ。普通に美味いよ」
「良かった」
「堅物もやるねえ。愛の力ってか?」
「……」
エーリカに頬をふにふにされて、返事出来ず困るトゥルーデ。それを見て苦笑するシャーリー。
「ま、ウチの隊の連中は大抵皆何かしら作れるから、戦いが終わったら食べ物の店を皆でやるのも良いかもな〜。どうだい?」
「じゃあ私はブリタニアのお菓子と紅茶を」
「私は扶桑のお料理とお菓子を」
「あたしはバーベキューだな」
「シャーリー、缶詰だけは勘弁ね ニヒヒ」
そこに現れたのはミーナと美緒。執務の合間、休憩に通り掛かったらしい。
「あら、みんなで楽しそうね。何をしてるのかしら」
「あ、中佐。今話してたんですよ。あたしらは大体料理出来るから、戦いが終わったら皆で食べ物屋でもやろうかって」
シャーリーの提案を聞いたミーナは苦笑した。
「料理、ねえ。悪くないアイデアだけど……今の私達の任務とはあんまり関係ないわね」
「まあ、地元住民や他の部隊との交流の時には使えそうなアイデアだな」
一緒に来た美緒もそう言って笑った。
「ミーナと少佐も来たか。じゃあ改めて皆で試食だ。沢山有るから遠慮なく食べてくれ」
「いっただきー」
「あら、美味しい」
「皆さん、お茶が入りましたよ〜。一緒にどうぞ」
リーネが淹れた紅茶も皆に配られ、ちょっとした午後のお茶会が始まった。
- 270 名前:chocolat 03/03:2010/06/17(木) 22:45:22 ID:XRH5schM
- その日の晩。エーリカはトゥルーデの部屋で、残ったケーキを食べていた。
「まだ結構有るね。実は人数分よりも多めに作って、切り分けてたって事なの?」
「ああ。お前に食べて貰いたかった。それに約束したじゃないか。ケーキを作るって」
「そうだったね。じゃ、遠慮なく」
「……ほら」
「?」
「こうして食べさせて欲しい、って言ってたじゃないか」
「トゥルーデ覚えてくれてたんだ。じゃあ言って?」
「ほら……照れるじゃないか」
「言ってよ」
「あーん」
「あーん……、うん、美味しい」
もぐもぐと頬張り、満足の表情を浮かべるエーリカ。
「前より腕上げたね」
「エーリカがきっかり時間を計ってくれたお陰だな」
「そう言う事?」
「ああ」
「じゃあ、トゥルーデとの共同作業だね」
「まあ、そう……なのか?」
「とにかくありがと、トゥルーデ。またケーキ作ってくれて」
「約束は守る。それに、私もたまには……と思ったから」
「そうそう。私も、トゥルーデにケーキのお礼有るんだ」
「? お礼にお礼か?」
差し出されたのは、ロンドンの百貨店で売ってそうな菓子店の包み。開けると、可愛らしいクッキーが幾つか入っていた。
「エーリカ、これは?」
「この前、ロンドンに用事で出掛けた時に買っておいたんだ。私、料理しちゃダメってミーナもトゥルーデも言うから、
じゃあ、って思って出来たの買ってきたんだけど……ダメ?」
「買ってきたものなら……そのままなら問題無いぞ」
「ま、いいけどね」
トゥルーデはエーリカが買ってきたクッキーを一口、食べた。
バターの風味が効いていて、素朴ながら美味。
「美味しい」
「良かった。どれにするか、結構悩んだんだよ」
「有り難う」
「私も本当は料理とかして、トゥルーデに食べさせてあげたいんだけど」
「気持ちだけでいい」
「言うと思った。だから、せめてこうして」
「本当、気持ちだけで良かったのに」
「でも、たまには『かたち』も必要だよね」
「……かもな」
「ね、トゥルーデ」
天使か小悪魔か。歳不相応の妖艶な笑みを浮かべると、トゥルーデに抱きつき、そっとキスを交わす。
クッキーの甘さか、ケーキの風味か、えも言われぬ“味”が混じる。
じっくりと長いキスを続けたふたりは、抱き合ったまま頬を合わせ、微笑んだ。
「やっぱり、こうしているのが一番良いな」
「私もだ」
「もっと、しよう? いいよね?」
答えの代わりに、そっと耳たぶに唇を這わせるトゥルーデ。熱い吐息と甘い声を発し、きゅっときつく抱きつくエーリカ。
腕の中で身悶える愛しのひとを見、情欲が沸き上がる。首筋に……頬に……そして唇に自らの唇を当てる。
「トゥルーデ、キス巧くなった?」
「そうか?」
「私が言うんだから間違いないよ。でも他の人に試させるつもりはないけどね」
「エーリカ以外にするつもりもない」
「それ聞いて安心した。ねえ、トゥルーデ……」
ベッドの上で絡み合う二人。
テーブルの上に仲良く並んだケーキとクッキーは、後で二人の“夜食”となる。
かたちは違えど紛れもない、ふたりの愛情の証。
end
- 271 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/06/17(木) 22:49:17 ID:XRH5schM
- 以上です。
今回この2つのSSは同時進行で書いていたのですが
何故か難産でした。
結局はいちゃつくトゥルーデとエーリカを書きたいだけなんですが(汗
そして続きまして別のSSを一本投下します。
502キャラで思い付きました。
ではどうぞ。
- 272 名前:elder sister 01/02:2010/06/17(木) 22:50:38 ID:XRH5schM
- 「皆さん、反省しましたか?」
アレクサンドラの凛とした声が響く。目の前には正座させられる「ブレイクウィッチーズ」三人組の姿が。
「うう……」
「今日はやけに長いね大尉……ボク達はそんな壊してないと思うけど」
呻くニッカ、ぼやくクルピンスキー。
「……」
一人歯を食いしばって耐える直枝。
アレクサンドラは血相を変えた。
「三人揃ってストライカーユニット全損ですよ!? 分かってますか? これ以上壊す余裕なんか有りません」
「でも、倒さなくて良いネウロイなんか、いないよね? 損害の前にボク達の戦果を見て欲しいよね」
軽口を叩くクルピンスキー。
「私だって今日はナオと一緒にデカいのを二機やったんだ。それだけでも凄いじゃないか? なあナオ」
自画自賛のニッカをぎろりと睨み付けると、アレクサンドラは言い放った。
「……あと三十分追加です」
「ええーっ?」
腕時計の針を見る。きっかり三十分経ったところで声を掛ける。
「では今日はこの辺で」
「この辺もクソもあるかよ……」
「まあまあニパ君。あんまり言うと熊さんがまた……」
アレクサンドラの視線を受け、肩をすくめてニッカと一緒に部屋を出る。正確には、二人でふらつく足を支え合って……
二人三脚みたいな足の引きずり方で、部屋を出た。
一人、正座したままの直枝。
「もう、行っていいんですよ?」
「あの……大尉」
顔を真っ赤にして、直枝はしどろもどろに言った。
「お願い……」
「またですか。仕方ないですね」
アレクサンドラは慣れた様子で、おずおずと差し出された直枝の手を取り、引っ張った。
小柄で華奢な直枝の身体は、ふわりと持ち上がり、そのままアレクサンドラの胸に飛び込む。
ふるふると、しびれが直らない足に力を入れ、アレクサンドラを抱きしめる。
「いけない娘……」
アレクサンドラはそのまま椅子に腰掛け、直枝を上に跨がらせる格好で抱きしめた。
「いけないってのは、オレだって分かってる、けど……」
「貴方のお姉さんに似てるから? でしたっけ?」
「……」
「本当、いけない娘」
アレクサンドラはそう繰り返すと、直枝の唇を奪った。そっと、しかし確実に。
ぼおっとする直枝。アレクサンドラの顔を見つめ、自らの表情もうっとりとしたものに変わる。
「ああ……」
「髪の毛の先、焦げてる」
「戦火に飛び込んだから……」
「せっかくの美しい黒髪が台無し」
「でも……奴等を倒さないと」
「貴方が倒れては、どうしようもないでしょう?」
「お、オレは不死身だっ」
強がる直枝。
「ニパさんも、クルピンスキー中尉も同じ事を言うけど……皆が心配なの。分かって?」
「わかって……る」
首筋にキスされ、ぞくっとなる直枝。ぎゅっと強く抱きしめる。
「お願い」
ズボンの上から、ゆっくりと秘めたる部分をさすり合い、合わせ、擦り合う。
「うう……、いけないって分かってるのに……大尉……」
唇を塞がれ、何も言えなくなる直枝。アレクサンドラも動きを止めない。
椅子の上で小刻みに揺れる二人。部屋で炊かれた薪ストーブの、ぱちぱちと薪がはぜる音以外、
聞こえるのは二人の荒い息遣いだけ。
がくがくと震える。
「……さま」
こられきれずに、小さく呟く直枝。
「だめ」
アレクサンドラは、強引に直枝の唇を塞ぎ、動きを早める。
びくり、とお互い絶頂に達し、そのままがくがくと身体を震わせ、足がぴんと張り、つま先が伸びる。
ゆっくり息を整えながら、緩やかに抱き合い、もう一度唇を合わせる。
「ごめん、なさい。また……」
「良いの。貴方が落ち着くなら」
「分かってるんだ。こんな事しちゃいけないって。でも大尉……」
「良いから」
アレクサンドラは直枝の頭を優しく撫でた。もう一度、ゆっくりとキスを交わす。
- 273 名前:elder sister 02/02:2010/06/17(木) 22:51:42 ID:XRH5schM
- 部屋を出た直枝は、廊下の天井を見、ふうと息を吐き出した。白く、靄となり拡散していく。
「姉様……ごめん。オレ……」
直枝は考えた。大好きな姉様に会いたい。でも……。
だけど、アレクサンドラの事が最近気になる。彼女の姿を見るだけで自分の顔が赤くなる。嫌でも分かる。
既に「単に姉に似てるから」、という理由だけでない事も。けれど、認めると何かが壊れる気がして……。
「ああもう! どうすりゃいいんだ!」
頭を振ると、直枝はズボンが少し湿っているのも気にせず、ずかずかと歩き始めた。
「あの娘ったら」
アレクサンドラは、ズボンに残った直枝の残り香と染みを、手に取り、嗅いだ。
彼女の、におい。少々の甘酸っぱさ。
「私も、失格よね……遠く離れた彼女の姉をダシにして」
思わず出る溜め息。
「出来るなら、私を通して姉を見るんじゃなくて私自身を……」
言い淀む。目が泳ぐ。窓の外を歩く直枝を見つけ、視線が自然と彼女を追っている事に気付く。
このまま射止めてしまう様に。けれど直枝は気付かず、宿舎へと消えていった。
ぽつりと寂しげに言った。
「不思議。扶桑の魔女って……」
ハンガーで全損した自分達のストライカーユニット(の残骸)を眺めていたニッカは、ふと辺りを見回した。
「あれ、そう言や、ナオは何処行った?」
横に居たクルピンスキーはふふんと笑った。
「気付かなかったのかいニパ君? まだまだ君も青いな……って服の色の事じゃないよ」
「うるせえ。スオムスの制服馬鹿にすんなよ? それにこのセーターは私の自前だ。で、ナオは?」
「大方、熊さんと食事してるか、されてるかどっちかだね」
「はあ? 何だそれ?」
「知ってるかい? オラーシャの熊は大きくてコワイらしいよ?」
「また適当な事を……」
「まあ、ボクはどっちかと言うとジョゼ好みだね。何故って、暖かくて暖房の代わりになるから。ジョゼ暖房、みたいな」
「意味わかんねーよ伯爵。そうやってまた適当な理由つけてジョゼにセクハラするつもりだな?」
「とんでもない。とりあえずジョゼの所に行って暖まろう。あ、その前にまずボクが彼女を温めないと」
「温めるって何だよ! 待ちやがれこの変態!」
「そう、ボクは軽い変態なんだ」
「認めんな!」
軽やかに走り出すクルピンスキーは、廊下でラルとロスマンの二人にすれ違った。
「あー、ラルさんにロスマンさん。いつもご機嫌麗しぅ。このクルピンスキー、いつでも何なりと……」
「まーた下らない事考えてたろエセ伯爵」
「また新人にちょっかい出したりしたら許さないからね?」
「酷いな二人共、ボクはまだ何もしてないよ?」
「する気満々じゃねえか、その顔……」
「いや、本当言うとボク以外の他の娘には全く興味が無いんだ」
「嘘つけ! じゃ何処行くんだよ! 待てって!」
「あ、クルピンスキー中尉……」
「やっほ〜いつもカワイイね、いとしのジョ……」
「逃げろジョゼ!」
喧噪と静寂が交叉し、502の夜は更けていく。
end
- 274 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/06/17(木) 22:54:31 ID:XRH5schM
- 以上です。
言い忘れましたがちょっとえろいかも知れませんので
お気になる方はご容赦を……。
アレ熊さんと直枝ってどうなんでしょうね。
関係が色々気になる所です。
最後に、毎度お馴染みの保管庫No.0981「music hour」シリーズを一本。
ではどうぞ。
- 275 名前:i can fly 01/03:2010/06/17(木) 22:55:29 ID:XRH5schM
- ハ〜イ今夜も「STRIKE TALKING RADIO」始まりマシタ〜。
DJ兼MC、パーソナリティのエイラ・イルマタル・ユーティライネンでス。皆聴いてるカナ?
この番組ハ、サーニャのレーダー魔導針を通しテ、全世界の悩めるウィッチに秘密のラジオとしてお伝えしているンダナ。
夜間哨戒のついでじゃないカラナ? さて今夜は久々にサーニャと……
「……」
「……ねえ、エイラ」
うん、分かってるサーニャ。
……おいニパ、何でそんなゲッソリした顔してるんだヨ。いつものツッコミはどうしたんダヨ。何か言えヨ。
「もう良いんだ……忘れてくれ502の事は」
ハア!? 何言ってんだニパ!? お前の所属する立派な統合戦闘航空団じゃないカ!
「もう良いんだ……ストライカーユニット壊したり、正座したり、話したり……アハハ……」
ニパしっかりシロ!
ああもう分かってると思うけど一応、なんかフラフラしながら勝手に付いてきた
……いや「ついてない」カタヤイネンこと、ニッカ・エドワーディン・カタヤイネンだナ。
拍手は要らないゾ。502JFWに居るらしいケド……、今日は何か様子が変なんだナ。
「わはー空とんでるー」
「カタヤイネンさんしっかり!」
サーニャにまで心配されてるゾ……一体何が有ったンダ?
まあとりあず今夜もお便り来てるから読むゾ。所属「ブレ……」
「ひいっッ!! ブレイクしてない!」
なんでそんな過剰に驚くんダヨ。最後まで聞けヨ。所属「ブレイブウィッチーズ」、ラジオネーム「姐御&先生」さん。
なるほど、二人で一枚のお便りみたいダナ。……ニパ、顔色悪いゾ?
「き、気のせい」
こりゃとりあえず早めに読んで帰った方がイイナ。ええっと……
『あのさエイラさん、ニセ伯爵の暴走を止める良い方法って有ると思う?』
……。
「……」
「……」
とりあえず、ズバリお答えするゾ。
無いナ!
「無えよ!」
「無いですね」
……三人揃って意見が一致したゾ。珍しいナ。
「エイラも珍しく丸投げ」
サーニャだって……。でも、私とサーニャはその話題の「伯爵サン」てひととと直接会った事ないんダケド。
「絶対会わない方が良い。一生後悔する」
断言するのカヨ、ニパ……何が有ったンダ?
「言わせる気かーっ!? イッルの馬鹿ーっ!」
私が何言ったンダヨ? ニパ絶対おかしいゾ?
- 276 名前:i can fly 02/03:2010/06/17(木) 22:56:35 ID:XRH5schM
- 次のお便り。これも502からダナ。
「イッル、それ私への当てつけかよ?」
仕方ないダロ。私とサーニャのラジオは「来るモノ拒まず」だからナ。
ラジオネーム「デストロイヤー」さん。何かリングネームみたいダナ。読むゾ〜。
『あの、オレさ、前から……、いえわたくしは、姉に似ているとの下らない理由で
上官とあらぬ関係を持ってしまいました……』
何で文章の途中から一人称と書き方が変わってるんダ?
「これは……多分ナオだな。いつもは自分の事『オレ』呼ばわりで粗暴なんだけど、
小さい頃は儚げな文学少女だったらしい。前にちょこっとだけ聞いた事ある」
へー変わったひとダナ。……ってお便りは基本匿名なのに名前出しちゃ駄目だろニパ! まあ続き読むゾ。
『ついつい求めてしまうのですが、お互い疲れているのか、続きません。
どうしたら何回も続ける事が出来ますか? 教えて頂けませんか?』
……。
「……」
「……」
続けるって、何ヲ?
「い、言わせんなイッルの馬鹿!」
ホント、今日はニパおかしいナ。じゃあ、ニパのいやらしい想像通りだったとして……
「だっ誰がいやらしい事なんかっ!!!」
顔真っ赤にして言っても説得力無いからナ。
ズバリ言うぞ。
二人して酸欠なんじゃないカ? ハンガーから酸素ボンベ拝借して酸素呼吸ダ!
「酸素? 何でだよイッル?」
激しい運動とかスポーツすると酸素の量が減って頭フラフラになるんダヨ。
あと私達ウィッチは魔法シールドで周囲の環境を保護してるけど、戦闘機に乗ってるパイロットさんは
高い高度だと酸欠になるからほぼ必ず酸素マスクをするダロ? もしくは機体を予圧するトカ。
だからデストロイヤーさん、1ラウンド終わったら二人して酸素ボンベから酸素を
(シュ〜)
っと吸えば良いんダヨ。シャキッとするゾ。
「なんでイッルそんな事知ってるんだよ?」
さあネ。
「……エイラの、ばか」
「イッルもリトヴャク中尉も何か様子おかしいぞ? 何やってんだよ!?」
でも吸い過ぎると、覚めるかも知れないけどナー。「私達何やってんダロ」みたいナ。
「イッル、またろくでもない事教えやがって……」
ならズバリ言うゾ。
愛し合う事はスポーツダ! アスリートのように一対一の真剣勝負……
「エイラ?」
はい、調子乗り過ぎました、やめマス。
- 277 名前:i can fly 03/03:2010/06/17(木) 22:57:24 ID:XRH5schM
- 「イッルってリトヴャク中尉の言う事だけは素直に聞くんだな……。いいよなあ、イッルは……」
ニパ、本当に今日はドウシタ? 一体何が有ったンダヨ?
「いいよな、イッルは501でさ……。私なんか……私なんか……」
ニパ危なイ! 高度落ちてる! 墜落スル! ……よいしょット。何で抱っこしなきゃ飛べないんだよニパ。
それに何で泣き顔なんだヨ。……悩み事有るなら相談に乗るゾ?
「本当かイッル? 流石長年の付き合いだけある! やっぱりイッルは最高だ!」
ちょ、ちょっと何で抱きついて来るンダ、ニパ! 止め……誤解されるダロ……はッ! もしやk
(フリーガーハマーのバックブラスト音)
「今日は都合により、エイラとカタヤイネンさんは早退しました。今夜はこれでお別れです。
最後に、この前録音したミーナ隊長の『リリー・マルレーン』を聞いてくださいね。
では皆さん、良い夜を♪」
end
- 278 名前:名無しさん:2010/06/17(木) 22:59:30 ID:XRH5schM
- 以上です。
4本連続投下してすいません。
でも溜めておくよりは投下した方が良いかな、と思って。
とにかくアニメの2期が楽しみですね。
他にも娘typeの漫画展開やドラマCD、ゲームなど
楽しみが多くてワクワクします。
ではまた〜。
- 279 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/06/18(金) 00:02:28 ID:ngH4AFIw
- あ、言い忘れました。
>>268-270「chocolat」は保管庫No.1298「is that love?」の続きでもあります。
いずれも「ring」シリーズの一つと言う事で。
分かりにくいですが、よしなに。
ではまた〜。
- 280 名前:名無しさん:2010/06/19(土) 23:37:25 ID:BkzuM3aQ
- GJ!
毎度毎度ご馳走様です
- 281 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/06/20(日) 23:32:13 ID:VX213xwA
- こんばんは、mxTTnzhmでございます。
先日は「みんでき」が有って色々盛り上がったそうで、
アニメ2期期待大ですね!
と言う訳で、残念ながら参加出来なかった私は
全然関係無い事を適当に妄想してひとつ書いてみました。
ではどうぞ。
- 282 名前:galactic storm 01/02:2010/06/20(日) 23:32:51 ID:VX213xwA
- 「お黙りなさい! そのことば、聞き捨てなりませんわっ!」
まったりした雰囲気のミーティングルームに雷の如く響く、ペリーヌの怒鳴り声。
指差されて怒鳴られたリーネは顔を紅潮させてペリーヌを睨み返す。
「黙りません! ペリーヌさんは、ご自身がそうでないからそんな事言えるんです!」
「なんですって!?」
唐突に始まった喧嘩を見て、居合わせた隊員達は顔を見合わせた。一体どういう経緯で起きたのか皆目見当がつかぬ。
ぐぬぬ、と一歩も引かぬふたりを見、すっくと立ち上がったのはゲルトルート・バルクホルン。隊の先任尉官だ。
「どうした二人共。いきなり言い争いを始めるとは、一体何事だ」
「一体何が始まるんです?」
芳佳がおどおどして周りを見た。
「第三次せ……」
「ハルトマン、お前が出てくるとややこしくなる」
芳佳の耳元で囁くエーリカを話の輪からつまみ出すトゥルーデ。
「ヤヤコシヤー、ヤヤコシヤー」
面白そうに茶化すルッキーニ。
「で、ペリーヌにリーネ。何が原因で言い争いになったんだ。話してみろ」
「えっ」
「えっ」
途端に頬を赤くし、顔を見合わせるペリーヌとリーネ。
「何だ、話せない事なのか? 私達は家族みたいなものだろ。遠慮など不要だ。さあ、このお姉……いや、上官である私に話してみろ」
ずいと近づくトゥルーデ。ぞくっと一歩ひくペリーヌとリーネ。
「堅物はホント堅物だね〜。話せない事ならそっとしといてやりなよ」
後ろで腕を組み、のほほんと構えるシャーリー。
「また後で問題が再発しては困る。ここははっきりと原因を突き止め、遺恨が残らぬ様、解決に導かねばならない。
それが隊の先任尉官たる私のつとめだ」
「じゃああたしも同じ大尉として話を聞こうじゃないか」
ぽんとトゥルーデの肩を叩くシャーリー。
「……まあ、良いだろう。さて、二人共。早速だが、原因を話して貰おう。大丈夫だ、秘密は厳守する」
「あの、大尉……皆の目の前で秘密の話と言われましても」
「バルクホルンさん、いいんです、その」
「良くはないだろ。それとも、皆の前では話しにくい事なのか? ならば後で……」
「な〜んか、あんたが言うとどうもいやらしく感じるんだよ、堅物は」
「何だとリベリアン? 私には、やましい気持ちなど欠片も無いッ!」
躍起になり拳を握り否定するトゥルーデ。
「そう言えば、ペリーヌさんとリーネちゃん、胸の事で話してました」
横で様子を見ていた芳佳が、ぽろりと核心を口にする。
「なっ!?」
「芳佳ちゃん!」
「こっ、この豆狸ッ……! 何処まで節操がない……」
「胸が大きいのと小さいのどっちが良いか、でもんで……いえ、もめてました」
「芳佳ちゃんの馬鹿ッ!」
「密告だなんて、なんて卑怯、破廉恥な!」
「そうか、胸、か」
トゥルーデとシャーリーは、二人同時にペリーヌとリーネのそれを見比べた。ばっと胸を隠すペリーヌとリーネ。
「あの、大尉、シャーリー大尉? お二人とも、何か目がいやらしいですわ」
「その、見られても、困ります」
「良いじゃないか減るもんじゃなしに。なあ堅物」
「そうだな。胸のサイズをはっきりさせたいなら……」
「はい、メジャー」
「おお、気が利くなハルトマン。では実測……」
「ちょっ! そ、そういう話ではありませんでしてよ!」
「あれ、違うのかい?」
「勝手に話を進めないで下さいまし!」
「じゃあ、何をもめてたのさ?」
「あの……」
「だから、胸が大きいのと小さいのどっちが良いか、でもんで……いえ、もめてました」
「宮藤は、ほんと胸にこだわるね」
「なるほど。大と小、どちらが優れているか、か……ふむ」
「あた〜しはおっきーいのがいい! だからシャーリーのが一番!」
「あはは、ルッキーニは可愛いなあ。まあそれは良いとして……どうするよ堅物」
「困ったなリベリアン」
- 283 名前:galactic storm 02/02:2010/06/20(日) 23:33:54 ID:VX213xwA
- 「あたしはほら、隊で一番だからさ、何とも言えないね」
「どういう理屈だそれは」
「色よし張りよしバルクホルン♪ ってね〜」
「こ、こら、やめんかハルトマン!」
隙を突き背後から胸を揉みし抱くエーリカに翻弄されるトゥルーデ。
「あの……大尉」
「本当に、もう良いですから」
おろおろするペリーヌとリーネ。
「じゃあ、宮藤に判断してもらうか? 一応治癒魔法の専門家だし、メディカル的な意味で」
シャーリーに名指しされた芳佳は目を光らせ指をわきわきさせながら近付いた。
「お任せ下さい! おっぱ……いえ、胸に関して私はオーソリティですからご心配無く!」
「みっ宮藤さん貴方! そもそも、この豆狸は大艦巨砲主義ならぬ巨乳好きですから不公平ですわ!」
「えっ、私そんなんじゃ……」
「確かに芳佳も、おっきいのスキだよね?」
頷くルッキーニ。
「そっそんな事無いよ。私、おっきいのは勿論好きだけど、本当はみんなのが好き! ……あれ、何この空気?」
芳佳から一歩身を引く隊員達。
「宮藤はともかく、ならば私が判断しよう」
「どうやって」
「目視だ」
「見るんだったら少佐連れてきた方が良いんじゃないか?」
「幾ら何でも魔眼の無駄遣いを頼む訳にはいかないだろう」
「無駄遣い、ねえ」
トゥルーデは、しげしげと、やがてじっくりと、果てはこれでもかと言う程にふたりの胸を見比べた。
「……」
「あの、大尉」
「恥ずかしいです」
「女同士恥ずかしい事は何もない。ふむ」
トゥルーデは頷いて言った。
「この勝負、引き分けとする」
「なっ!?」
「勝負?」
「引き分け!?」
「どう言う事だよ堅物。説明しなよ」
「良いだろう。分かり易く説明しよう。まず、二人の年齢、身体の全体的な発達具合を勘案してだな」
「一応真面目に考えてたのか」
「あとは運動や飛行時の影響を考えて」
「……」
「……で?」
「ペリーヌはこれから。リーネはこれ以上はやや危険、と判断した」
「意味が分からないです、バルクホルンさん」
一人だけ納得する芳佳、一方の困り顔のリーネを前に、トゥルーデは真面目な顔をして答えた。
「つまりだ。要は二人とも、大事な家族として、私の大事な妹としてだな、お姉ちゃんである私に……はっ放せリベリアン!」
「はいはい、病室はこっち」
「トゥルーデ、向こういこー」
シャーリーとエーリカに肩を掴まれ引きずられ、ミーティングルームから強制的に連れ出されるトゥルーデ。
「一体、なんでしたの……」
「さあ……」
渦中のふたりは、呆気にとられ顔を見合わせた。
「ま、胸の大きさイコール強さって事じゃないって事ダロウナ。ほらみんなこれでも食って落ち着けヨ」
エイラから渡された飴玉を口に入れ、途端に悶える一同。
「ぐっえっエイラさん! 貴方!」
「ひどいです、エイラさん……」
「ヴェー」
「ま、まずい……」
ひとりニヤケ顔のスオムス娘はサルミアッキの箱を手にひゅーと口笛を吹いた。
「元気付けのつもりだったんだケドナー……いててッ!?」
「エイラ? こっち来て反省しましょ?」
「はうっサーニャ!?」
耳を引っ張られてそのまま何処かへと連れ去られた。
「何だか賑やかね」
「いつもの事だろう」
通りがかったミーナと美緒は、ちらりと様子をみて特に何を言うでもなく、その場を後にした。
end
- 284 名前:名無しさん:2010/06/20(日) 23:35:22 ID:VX213xwA
- 急いで書いたので自分でも意味不明です(><;
何処までも馬鹿真面目なお姉ちゃんが書きたかったのかなあと。
あと少しでアニメ2期開始ですね。
楽しみです。
ではまた〜。
- 285 名前:名無しさん:2010/06/20(日) 23:51:33 ID:PDGOMmck
- 乙、笑った。良い雰囲気だなー。
- 286 名前:名無しさん:2010/06/20(日) 23:59:11 ID:RJ8Oivi6
- おっぱ!
トゥルーデの裁きは見事でしたw
それはそれとしてタイトル見て脳内でprotmindの再生が止まらなくなったんですがw
- 287 名前:zet4j65z:2010/06/21(月) 00:53:12 ID:.oY73oE2
- おひさしぶりで〜。
502でサーシャとニパ中心の話です。
●カールスラント1944 雪のように降りしきる彼女の為に
ちらつく雪。
零下の空。
雪原を往く。
新雪を掻き分け、足を引き摺り、痛む体に鞭打って、往く。
思い返してみれば色々あった。
ケチの付き始めは多分人のストライカーで出撃した所からだ……と思いたい。
何日か前の出撃の際に私が無傷でユニットが全損した。
同じ日、同じ基地に展開していた別部隊のウィッチが負傷してリタイヤ。
そいつのストライカーの損傷は軽微だった。
無事な方同士を組み合わせて2コ1にすればあっという間に航空歩兵の一丁上がりだ。
かなり無理を言って借りてきたらしいこっちの部隊のサーシャは出撃前、心配そうに「壊さないでね」とか言ってた。
「いくら私だってそんなに連続で壊されたりしないさ」
正直その時は本当にそう思っていて軽い気持ちで返事をし、整備兵の手を借りて地上で機材の調整を行った。
調整が終わる前に奇襲があって迎撃に出て、戻ってきたら友軍地上部隊の支援の為に更に緊急出撃になって敵を追い返したところ迄はよかったんだけど、追撃中に運悪く対空砲撃の弾幕に捉われてしまった。
その砲弾の食らい方がツイてなかった。
高度設定を見誤ったのか炸裂する前の砲弾が偶然にもストライカーに直撃。ユニットはひしゃげてこちらも吹き飛ばされ、あっという間に高度を落とし墜落した。
墜ちた先に常葉樹、その下には新雪もあったお陰で致命傷は免れたんだけど全身を打ったのには変わりない。
しかも柔らかい新雪に人の字をスタンプしたせいで思うように動けず、そこから抜け出すだけでかなりの時間を擁してしまった。
寒いのには慣れているからといって半ば雪に埋もれた状態に長時間耐えるのは正直拷問だ。
震えながら数時間ぶりに立った雪原は既に低い太陽のオレンジに染められていた。
夜が近かった。
故郷のスオムス程ではなくともかなり緯度が高めのこの地では冬の季節の日の出は遅く、没するのも早い。
今まで寝転がっている間はストライカーの支援で環境保護シールドの中にいられたけれど、帰還する為にはストライカーを捨てねばならない。
寒気による遭難を避けるならばもう暫くストライカーの世話になって一晩明かし、日が昇って気温が上がってから移動を開始するべきなのだけれど、そのころまでにネウロイの地上部隊が来ないとの保証はない。
それに、もうひとつ。
どちらかと言うと個人的に気分的にはこちらの方が重要なんだけれど、早く帰らないとサーシャに怒られる。
何せ不可抗力でストライカー壊した時だってハンガーの冷たく硬いコンクリートの上で正座させられたり一週間掃除当番やらされたり散々な目にあうわけだから、半ば無理やりストライカーを奪うようにして出撃した上に事実上全損させた今回はどんな目に合わされるかわからない。
というか、数日前から何故かハンガーに置いてある対潜哨戒仕様のSB-2……あれが絶対に怪しい。どう考えても怪しい。
誰に聞いてもはぐらかされたり目線をそらされたりする。イッルからよく空気読めと言われていた私だけど流石に今回はわかるぞ。
今度ストライカー壊したら次はアレに乗れっていうサーシャからの無言のメッセージだ。
なので少しでも心証を良くする為に早く帰りたい。
だから、歩く。
方向は大体あっているはず。
前へ前へと進む事に集中する内に、いつの間にか体中の痛みが引いている事に気付いた。
便利な体だと思う。この能力が無かったらジョゼの奴にはもっと負担をかけていただろうし、それどころかもうずっとずっと前に未帰還になっていただろう。
痛みに配慮せずに動けるようになると、前進する速度も上がってくる。
同時に痛みのせいで麻痺気味になっていた耐え難い寒気が頭をもたげ始める。
忍び寄る死という現実から生命力と魔力が勝利をもぎ取り、今度は第二回戦で気力、体力の勝負になったわけだ。
「基地は、遠いな……」
程なくして日没を迎え、気温は急激に低下していく。
- 288 名前:zet4j65z:2010/06/21(月) 00:53:46 ID:.oY73oE2
- 独り言を呟いた分だけ歯の隙間から暖気が逃げていく気がして口を噤んだ。
歯の根が合わなくなり、雪に触れ続けた手と足の先の感覚が失われていく。
曇天、雪のちらつく闇は深く、零下の大気は容赦なく浸透し続け、心を絶望感が塗りつぶしていく。
諦めるなニッカ! 帰ったらきっと何だかんだで怒りながらも隊員のケアを欠かさないサーシャが暖かいボルシチでも用意してくれてるさ。
心に点る僅かな灯火に縋り、ただただ歩を進める。
雪を掻き分ける腕は重く、膝から下の感覚も無くなって、それでも前のめりに、新雪に体をねじ込むようにして小刻みな行軍を続けていく。
故郷スオムスや502の仲間たちのことを考えるうち、体が熱を持った気がした。
暑い。
服を脱ぎ捨てて雪原に身を埋め、火照った体を冷ましたかった。
でも、その欲求には従えない。
それは悪魔の誘惑だ。
心の中のどこか冷静な部分が現実を受け止め、戒める。
この感覚は錯覚だ。服を脱いだら凍死する。
歯を食いしばって幻の熱に耐える。
そうしているうちに自分が横たわっている事に初めて気付いた。
いつから倒れていたんだろう。
いや、そんな事はどうだっていい。
立ち上がって、進まなきゃ。
みんなのところへ帰らなきゃ。
でも、思いは空回りするばかりで下半身の感覚はほとんど無くて、腕も肘まで動かすのがやっとの状態だった。
無理、しすぎたかな……。
でも、ちゃんと帰らなきゃ、サーシャにどれだけ怒られるかわかんないよな。
サーシャの貌を心に思い描く。
いつもいつも怒られてるにもかかわらず、心に浮かぶ彼女の表情は笑顔ばかりだった。
そうだ、ずっと笑顔。
笑顔のままでいて欲しいもんな。
意志力と体力を総動員して這い続けたけれど、自分でもいつそうなったか分からないほど自然に、そうなるのが当たり前だったかの様に……意識は、失われた。
――――――――
なんだか、ひんやりとあったかい。
変な表現かも知んないけど本当にそうなんだ。ひんやりあったか。
そんなひんやりあったかな柔らかいものを抱いてる。
背中側から包み込むようなぽかぽかな暖かさが届いてくる。
ちょっと熱いかなって思えるくらいの熱が心地いい。
あと柔らかい。
ふにふにというかぷにぷにというか、そんな感触が体の前後にあって、足先の方も同じ感触に包まれている。
目を閉じたまま、抱いているひんやりあったかいそれに手を這わせると、柔らかくすべすべとした感触が返ってきた。
触っていてとっても気持ちが良いのでそのまま思いのまま、なめらかな感触を楽しみながら手を滑らせていく。
「……っ!」
なんだか私のものじゃない音が聞こえた気がした。
続いて胸元にからあご辺りにかなり熱い吐息が吹き付けられる。
あれ? だれか目の前に居るのか?
ん……? そういえば……そもそも私は何で目を閉じてるんだ……って、ああ、寝てたのか?
そこまで考えてから目を開けた。
「えっ!?」
そこには顔を真っ赤にして目に涙を溜めた怒り顔のサーシャの顔が合った。
え? 何でサーシャが? とか疑問を口にするよりも早くサーシャの唇が動いた。
「手……」
手?
何が手なんだろう? 私の手だったら今なんだかさわり心地のいい柔らかいものに触れていたな。
あまりにも触り心地が良いのでそのままむにむにと揉み込んでみる。
うん、すべすべしてぽにょぽにょして気持ちいいぞ。
「お、おし……」
ん?
おし? 何だろう……?
「おしり……」
おしり?
- 289 名前:zet4j65z:2010/06/21(月) 00:54:15 ID:.oY73oE2
- ってぇえええ!?
今まで触ってたのはサーシャのお尻だったようだ。しかも、感触からして素肌……ズボンはいてない?
やっと気がついた私はあわててサーシャのそこから手を引っ込める。
「ニパさん!」
「は、はい!」
そして改めて目の前数インチの距離にサーシャの怒り顔。
更によくよく見てみるとサーシャは服を着ていない。っていうか私も裸だし。
えっと、正直どういうシチュエーションだか分からないんだが、誰か説明……してくれそうな雰囲気ではない気がするな。
「いきなり変な所を触るのはよくないと思います!」
ぐっと乗り出して更に顔を近づけて来るサーシャ。
いや、あの、胸の先端が触れてるんだけど……流石にこっちにツンツンと当たるのはどうかと思うんだけどむしろこれは私が怒るべきなんだろうか?
そもそも裸で抱き合っていると言うのは一般論で定義するところの『変な所を触る』よりも段階的には上なんじゃないかと思ったり思わなかったり。
「え、いや、まぁそれは言わんとするところは分かるんだけれどさ……無意識だったんだ。故意じゃない……そう、私のストライカーが壊れるのと一緒だよ。そ、それに先っぽが……」
「そういう問題じゃありません!!」
状況が掴みきれない私のしどろもどろな答弁に対し、サーシャはぴしゃりと言い放つと、更に乗り出す。
ぐぐっと互いの顔の距離が詰まった。
さ、さすがに距離感を気にして欲しいと思いつつも今の私に主張できる余地は全く無いように思える。
むしろこれはイッルや伯爵なら鼻息荒くしてうはうはなシチュエーションなのかもしれないけれど、私の場合は……なんというかその……困る。
「あなたまで伯爵みたいな真似はしないで下さい!」
「いや、だから……あのさ……」
「大体! だいたい……その、冷たいあなたの姿を発見した時、もう駄目かと思ったんです。いつもいつもストライカーを壊して、いつか帰ってこれなくなる日が来るんじゃないかと思って、ずっと怖かったんですよ」
涙声。
なんだか話が変わった。
あ、うー……まずいな。こういうのは苦手だ。状況はよく分からなくて裸で抱き合ってる理由も不明なままだけど、サーシャの涙が本気だって言うのはひしひしと伝わってくる。
宥めようにも下手な事言ったら余計に怒られそうだし……。
そもそも私はサーシャを怒らせたくないから無茶を……そうか、私、無理に帰還しようとして雪原で意識を喪って……みんなに、助けられたのか?
でも、何で裸なんだ?
「私……本当に心配して……」
深い色をした青の水面が決壊して、涙声が嗚咽に変わる。
お互い服を着てないのが恥ずかしいとか、無意識とはいえ狼藉に近い事を働いてしまったとかいう負い目や罪悪感を、死にかけて心配をかけたっていうより大きな感情が塗りつぶしていく。
だから、私は素肌を合わせたまま泣き続けるサーシャをそっと抱きしめ、呟いた。
「ごめんな。サーシャ」
彼女を悲しませたくない。
本当はずっと君の笑顔を見ていたい。
万感の思いを込めて、雪のように降りしきる彼女の為に。
――――――――
- 290 名前:zet4j65z:2010/06/21(月) 00:55:04 ID:.oY73oE2
「あ、あのう……私はもうお暇して大丈夫なんでしょうか?」
「へっ!?」
唐突に背後から上がった声に驚いて、ぎゅっとサーシャを抱きしめながら首だけ振り返る。
「あの、感動的ではありますし、ニパさんの意識が戻ったのはとても喜ばしいんです。でも、その……暑いですしおなかも空きましたし、なによりもその……何となく目のやり場に困るというか……」
「ジョゼ?」
そこには至近距離で頬を赤らめて呟くジョゼの顔があった。
そういえば背中側もぽかぽかして暖かかったんだった。そうか、ジョゼか。
ってことは足の方の感触は?
「おはよう、カタヤイネン曹長。どうやらすっかり回復したようだな。大分よさそうだからジョゼも離れてくれて良い」
頭を持ち上げて足元を見るとそこには足先を胸で挟むようにして抱き込んだラル隊長が居た。
そりゃあ足先が柔らかくて暖かい訳だ。っていうかイッルだったらどんな反応をしてたんだろうと心の中のどこか冷静な部分が平板な表情で想像する。
「あ、はい。ありがとうございます、隊長。じゃあ、その……離れますね」
そう一言断ってから背中からぬくもりが離れる。
同時にラル隊長も立ち上がったらしく足先をひんやりした空気が包んだ。
「あら、目を覚ましたのね。無事で何よりだったわ」
「ははっ、オレ達の出番は無かったか。さすがニパだな」
そういって部屋に入ってきたのは素肌にシーツだけをまとったロスマン曹長とナオだ。
「フフ、残念だよニパ君。もう少しそのままでいてくれれば合法的に、部隊公認で生まれたままの君を抱けたって言うのにね」
二人の後からは伯爵が入ってきた。
洒落にならない事をわざわざポーズをつけて髪をかき上げながら呟くのはまぁいつもの通りではあるんだけど、全裸でシーツを纏ってすらいないのは流石にどうかと思うぞ、伯爵。
「でも、羨ましいなぁニパ君。クマちゃんをそんなにしっかり抱きしめちゃってさ。僕もちょっとその辺で体冷やしてこようかな?」
言われてから思い出して腕の中へと視線を落とすと、そこには真っ赤になったサーシャが居た。
っていうか、なにげにこれは恥ずかしいシチュエーションなんじゃないのか?
と、言うところまで思考が届くが早いかサーシャが口を開く。
「二、ニパさん、いつまでこうしてるんですか?」
「え?」
「決まってるさ、くまちゃんがその気になるまでだよね、ニパ君」
「ちょ、伯爵! 何言って……」
「ニパさんまでそんな……伯爵時空に引き摺り込まれてるなんてっ! もう知りませんっ!」
「えっ、あのっ、サーシャ……?」
言い放つと勢い良く私の腕の中から立ち上がってベッドの上で全裸仁王立ちするサーシャ。
- 291 名前:zet4j65z:2010/06/21(月) 00:55:31 ID:.oY73oE2
「ニパさんはここで正座! あと伯爵はそこで正座っ……ってぇ!」
「ふふふ、ぼくは温めてもらえる体を造りに言ってくるよ」
「あっ、こ、こらっ! 何を言ってっ! まちなさーい!!」
相変わらず全裸のまま軽やかなステップを踏んで部屋から出て行く伯爵と、シーツをひっつかんで身に纏いつつ彼女を追いかけるサーシャ。
あー……いっちゃった。
正座って言われても、なぁ……。
正直状況を掴みきれてないんだが。
「あの、とりあえず、私はどうしたら?」
「君達のことはポクルイーシキン大尉に一任してある。なので彼女の指示に従ってくれればいい」
状況の説明を求めてラル隊長の方に顔を向けると隊長は優雅に微笑みつつベッドの横で制服を身につけながらそんなことを言う。
「え、ええと……」
「ま、とりあえずそこで正座してればいいんじゃないかしら?」
逡巡しているとシーツをまとっただけの姿のロスマン曹長がそう言った。
「ここで?」
「そう、冷たく固いコンクリートじゃなくて、この柔らかくてあの娘の温もりの残ってる、このベッドの上で」
曹長はベッドに腰掛けるとそのぬくもりを確かめるようにベッドを撫でる。
「ニパ、羨ましいな。ストライカーぶっ壊した罰がヌルめでさ。オレはいつもの通り暫くハンガーだったぞ」
「大尉はニパさんが戻らないことに気づいてすぐに近隣の部隊にも手を回して捜索隊を編成してくれたんです。それで……」
ロスマン曹長と同じ姿のナオが心底羨ましそうに呟き、ジョゼが服を着ながら事情の説明を始めてくれた。
みんなは冷え切って意識を失った私を人肌で温めてくれて、それを率先して行ったのもサーシャだったらしい。
そうか……そうだったな。
私は無理をして死に掛けたんだ。
なんでそんな無茶をした?
無防備な状態でネウロイに襲われる事への恐怖?
それとも、自分に対しての過信?
やっぱりサーシャに怒られるのが怖かった?
私は……。
「『選りすぐりのエースを貸してくれたスオムスに申し訳が立たない』って言ってましたけど、それだけでラル隊長よりも迅速な対応ってできるものなんでしょうかね? って、聞いてます? ニパさん」
「サーシャ……」
なんだか自分の中でまだ凄くもやもやしてるけど、多分……きっと、私は一番にはサーシャに心配かけずに帰りたかったのかなって思う。
だからといってそれは今回の一件の責任をサーシャに求めるわけじゃない。
死に掛けたのは自分の未熟さのせいだ。
だから改めてきちっと謝って、そのあとちゃんとありがとうって言おう。
「さ、理解したのなら呆けていないで与えられた命令を復唱なさい」
制服の襟を直しながらのラル隊長の凛とした声が響く。
「え、っと……ニッカ・エドワーディン・カタヤイネン、命令あるまでここで正座します」
「よろしい。では、私は補給品の折衝に向かう。ロスマン、後は頼む」
「了解よマム。はい、ニパ」
ロスマン曹長がセーターを渡してくれた。
私は手早くそれを着込んでその場に正座し、足元からほんのりと伝わってくる体温を感じながら、サーシャのことを想った。
- 292 名前:zet4j65z:2010/06/21(月) 00:57:06 ID:.oY73oE2
- 以上となります。
フミカネブログでアレ熊さんが登場した直後くらいから書き出してだらだらしてるうちにキャラ増えてあれもこれもと言う感じでなんだかまとまりが無い感じに……。
久しぶりなんで許してください〜。
- 293 名前:名無しさん:2010/06/21(月) 01:11:01 ID:mrKvSgP2
- >>292
GJ!&お久しぶりです。
ニパとサーシャ良いです。502メンバーも良い。おいしういただきました。
- 294 名前:名無しさん:2010/06/21(月) 09:35:08 ID:1SqrQCsI
- ニパーシャいいよニパーシャ
- 295 名前:名無しさん:2010/06/22(火) 00:07:30 ID:bbCX26Og
- >>292
ニパもサーシャもかわいい!
目覚めのシーンにドキドキしました。502も本当にいいキャラぞろいですよね。! GJ!
- 296 名前:名無しさん:2010/06/22(火) 01:31:37 ID:MCIswC0Y
- イベントとか502ラッシュとか2期まであと少しとかで久しぶりになんか書きたくなったでござる
けど上手く書けないだろうから誰か代わりに頑張ってプリーズ
- 297 名前:名無しさん:2010/06/22(火) 02:28:08 ID:KByynrU6
- >>292
GJ!
前半のシリアスな描写がお見事ですね。
その上、後半の”人肌で温める”シーンのドキドキ感が。
あと、伯爵はいろいろ自重しろwwww
- 298 名前:Laevatein ◆nc1Kth5AW6:2010/06/23(水) 00:10:36 ID:30HkbRzM
- お久しぶりです、Laevateinです。
こないだのイベントめがっさ楽しかった。
PS2版といいエイラ団扇といいいろいろあってエイラ株が
急上昇中なので思わず書きました。
[暮れた朝]
ttp://sky.geocities.jp/tsuki_no_tomo_sibi/swss/midnightmorning.txt
エイラメインとか初めて書いた気がします。名前は何人か出てきますが
登場人物は二人だけです。エイラーニャですらありません。ご了承ください。
あと、超久々に書いたクセにものの2時間ぐらいしかかけてないので、
クオリティの低さに磨きがかかってますのでその辺もご了承ください。
それではー。
- 299 名前:名無しさん:2010/06/23(水) 11:14:35 ID:OS33.UU.
- >>298
珍しいカップリングGJです〜。
エイラーニャとも両立出来ている気がします。
2時間で書けるなんてすごい。
イベント行ってたんですね〜。
自分も行ってました。
一話先行を見たせいで放送始まるのが余計に待ち遠しい。
- 300 名前:名無しさん:2010/06/23(水) 23:08:58 ID:ktuGNLac
- >>298
お久しぶりです。
これは新鮮なカップリングですね。
エイラの優しさとかりりしさが見えて、ますますエイラ株が上がります。GJ!
そういや、お酒飲んでるエイラっていうのも珍しいですね。
- 301 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/06/23(水) 23:20:39 ID:62aRkdy6
- >>298 Laevatein ◆nc1Kth5AW6様
GJ! 珍しいカップリングですね。
描写も素敵でした。ナイス、ミーエイラ(?)。
こんばんは、mxTTnzhmでございます。
もう幾つ寝ると、アニメ2期〜
と言う事で全然関係無いネタをひとつ。
またも502のネタですがどうぞ。
ちなみに>>272-273「elder sisiter」の続きとなります。よしなに。
ではどうぞ。
- 302 名前:i'll be there 01/03:2010/06/23(水) 23:22:15 ID:62aRkdy6
- 誰も居なくなった食堂兼ミーティングルームに居残る二人。隙間風が時折強く吹き込み、薪ストーブの炎の勢いが陰る。
小柄な扶桑の娘と、青色のセーターを身に纏ったスオムス娘は、二人共同じ様に足をさすりながら、
ぶくつさと文句を言っていた。
「全く……正座で全部済ませられるかっつうの」
「どうしろってんだよ、なあ」
それっきり、押し黙り、テーブルに置かれた湯飲みとカップを手に取り、熱々のコーヒーを一口含む。
「ふう……ちょっと生き返った」
ニッカが上を向いて言った。
「ちょっとか?」
直枝が首を傾げる。
「ちょっとだよ。大体ナオは反抗し過ぎなんだって。アレクサンドラ大尉めっちゃ怒ってたぞ」
「あれは……その」
顔を真っ赤にする直枝。
「こっちが詰問されてんのに『そんなん出来たら苦労せんわー』とか普通キレて叫ばねえよ。
挙げ句、ナオから『そう思うだろ?』とか無茶振りされた私の身にもなってくれよ」
「それは、その……、だってそう思わないか? ネウロイ倒すのがオレ達の役目だろ? 違うか?」
「そりゃそうだけど、さあ」
呆れるニッカ、早口でまくしたてる直枝。
「ニパだって何だかんだ言ってめっちゃストライカー壊してるじゃないか。オレだって必死に戦った末の事だ」
「……必死過ぎだろ」
「どの辺が?」
「どの辺がって……いちいち指摘しなきゃいけないのかよ。まず突進して銃撃ちまくって」
「そりゃ誰だってやるだろ」
「銃弾が無くなったら扶桑の剣で斬り掛かって……」
「それも扶桑のウィッチなら皆そうする」
「ホントかよ? 扶桑のウィッチって全員あんな剣術やれるのか!? すげえな扶桑人って」
「いや……、ごめんちょっとだけ誇張した。出来ないウィッチも居る」
「やっぱり……。でだ。剣が折れたら素手で殴りに行くとか体当たりとか、普通じゃねーよ」
「オレの固有魔法を使えばイチコロだ。ネウロイのコアだってぶん殴って見せらあ」
「いや、それ何度か見たし……で、結局相打ちみたいな形になって墜落してるじゃねーか。意味ねーよ」
「意味有るだろ!? 大物は即座に落とさないと味方の被害がでかくなる。第一、この辺はネウロイの巣みたいなもんだ。
倒しても倒しても次から次へと、ヤブ蚊かゴキブリみたいに湧いてきやがる。一匹でも多く仕留めないと」
「だからって、ナオが死んじゃ意味無いだろ」
「ってニパが言う資格有るのかよ?」
「私は不死身だからな。超回復能力でバッチリだ」
「卑怯だぞそれ。……ま、どうせストライカーさえ無事に戻って来れば良いんだ。上はそう考えてるさ。オレには分かる」
「それ、前にも同じ事言って隊長に殴られたよな?」
「だって……違うのかよ?」
「違うも何も、ストライカー使えるウィッチが減ったら、どの道上の連中だって困るに決まってる。戦力の喪失なんだぞ?」
「代わりは幾らでも……」
「い・な・い」
きっぱり否定するニッカを前に困惑する直枝。
「なんで、大尉みたいな言い方するんだよ……ずるい」
「間に挟まれる私の身にもなってみろってんだ。毎回どうフォローすれば良いのやら」
「だって! ……だって」
「だだっ子じゃあるまいしさあ。それに、大尉だってナオの事妙に心配してるし、ナオだって大尉の事……」
「わあ、言うな! ごっ誤解だかんな! オレは何も……何も、何も」
「ほほう。顔真っ赤だぞ」
「うるさい!」
直枝は湯飲みのコーヒーをぐいと一気に呷った。まだ冷えてないコーヒーで舌を焼く直枝。
「あっちっ!」
力任せにテーブルに置いたせいか、湯飲みがばりんと割れた。
「カップまで壊すなよ……」
「つい、力が」
「仕方ないな。待ってろよ。代わり持ってきてやるから……あーあー、真っ二つに割れてるし」
ニッカは慣れた様子で湯飲みを片付けると、マグカップに代わりのコーヒーを注いで、直枝の横に置いた。
「ほら。替わりの」
「悪い」
「熱いからすぐに口つけるなよ?」
「大丈夫……あちっ」
「子供かよ。せめてふーふーして冷ませって」
「置いとけばそのうち冷える」
「なら私のと交換しよう。良い感じに冷えてきた」
「じゃあ、貰う」
ずずず、とコーヒーを飲む直枝。やれやれ、と言った表情のニッカ。
- 303 名前:i'll be there 02/03:2010/06/23(水) 23:22:54 ID:62aRkdy6
- 「そう言えば」
唐突に直枝がニッカの方を向いて言った。
「ニパも、大尉と何か有るんじゃないか?」
飲みかけのコーヒーをぶーっと吹くニッカ。
「な、ナニイテンダ? 馬鹿言うな!」
「思いっきり噛んでるぞ。何でそんな慌ててんだよ」
「ナオがヘンな事言うから!」
「お前、大尉は好みじゃないのか?」
「ナオじゃあるまいし……」
「お、オレだって……、その……その……」
もじもじしながら、所在なさげに指をいじり、頬を染める直枝。
「大尉とは何も無いよ。だから安心しろナオ」
「安心って……。じゃ、じゃあ、ニパは伯爵と……」
「それこそ何も無い」
言い切るニッカ。
微妙な空気が二人の間に漂う。
「わ、悪かったな。こんなオレで」
唐突に直枝が拗ねる。
「何言ってんだよこの位の事で。スオムスの頃は、もっとどかーんどかーんと派手に……」
「またスオムスの話か?」
「少し位いいじゃんかよ。前に話したっけ? 一人馬鹿な奴が居てさ。そいつのお陰で隊はいつもしっちゃかめっちゃかだった」
「伯爵みたいな奴だっけ?」
「あんなのと一緒にすんな。イッルはもっと違うんだ。まあ悪戯好きだけど、なんつーか……」
「ホント、ニパはその『イッル』とか言う子の事話すよな。楽しそうに」
「そうか?」
「そいつの事、好きなんじゃないかやっぱり?」
今夜二度目のコーヒー噴射をしたニパは、口を拭うと椅子から立ち上がって直枝を見た。
「あ、あのなあ……ナオ」
「違うのか?」
きょとんとした純粋な目で見られたニッカは、何か言いかけて、結局ぶっきらぼうに答えた。
「……わかんねえよ、私も」
そのままどっかと椅子に腰掛けるニッカ。
「そっか。まあ、故郷の戦友とか、知り合いの事って気になるよな」
適当にお茶を濁す直枝。
「なるなる。それは同感」
「みんな、何してるんだろうな。扶桑では皆達者でやってんのかな」
「イッルなんて手紙のひとつも寄越しやしない」
「あ、それは良い事かもよ」
「何が?」
「扶桑の言い伝えで『便りの無いのは良い便り』ってのが有ってな」
「何だそれ?」
「何か良くない事が起きれば連絡が来るだろ? だから何も無いって事は、相手が元気でやってる証拠って意味さ」
「ナオはそう言う事は詳しいつうか博識だよな」
「そうか?」
「まあ、今度休暇が取れたら、イッルに会いに行くか、手紙でも書いてみるかな。……アイツの事だろうから読まなそうだけど」
「やっぱりニパはイッルって人のこと……」
「だからわかんねえよ! 何度も繰り返すな」
「ごめん」
「ナオだって大尉との事聞かれたら嫌だろ?」
「嫌だ」
「何で嫌かは知らないし知りたくもないけどさ、人って何かしら聞かれたくない事って有るじゃん?」
「あるある」
「だから、まあそう言う事だよ」
「悪かった。……それにしてはオレ達、よく話すよな」
「まあね」
二人揃ってぐい、とコーヒーを飲む。
- 304 名前:i'll be there 03/03:2010/06/23(水) 23:23:37 ID:62aRkdy6
- 「じゃあボクも混ぜてくれないかい?」
ぬっと顔を出すクルピンスキー。
「何だよ急に! 居たのかよ伯爵?」
「いつから!?」
「そうだね〜。ナオちゃんの勇気溢れる戦いについて議論している時から、かな」
「そんなに前から居るんだったら、隠れてないで顔出せよ」
「いやー、なんか見目麗しき乙女同士の可憐な恋話になっちゃったから顔出すに出せなくなって」
「どこが恋話だ」
「とにかく盗み聞きすんな! 余計タチ悪いわ」
「まあ、ボク達は天下に名だたる『ブレイクウィッチーズ』だし、三人仲良くし……」
「しねえよ」
「どっか行け」
「酷いな二人共。じゃあボクの恋の話、聞いて貰おうかな」
「行こう、ニパ」
「ああ行くか、ナオ」
「ちょ、ちょっと待ってくれよ。ボクの恋の話はまたこれが壮大でね、ページにするとなんと三行で」
「単位違うじゃねえか!」
「随分と薄っぺらいんだな三行って」
「これが紙に書くとオラーシャ大陸を三往復もするんだ」
「長過ぎだろ。どんな絵巻物だよ」
「良い事言うね。ボクの人生はまさに絵巻物……」
「『鳥獣戯画』がいいとこだろ」
「なんだいそれ? それって扶桑のオペラか何か?」
「伯爵、馬鹿にされてるっていい加減気付け」
「大丈夫。ボクは軽い馬鹿だからね」
「認めんな! てか重症だろ」
「あ、ちょうど良い所にジョゼが来た。は〜いジョゼ、これからボクと一緒に……」
「ポケットに酒瓶忍ばせて何処行くつもりだ伯爵!」
「伯爵を止めろ! ジョゼ逃げろ!」
「ふええっ!? いきなりなんですかっ」
夜も更け、急ごしらえで設営された宿舎に戻り、寝袋にくるまるニッカ。
「はあ……今日も疲れた。戦闘以外の事で戦闘以上に疲れるってどう言う事だよ」
独りごちるも、狭い個室で、誰もニッカの愚痴を聞く者は居ない。
「……イッル、か」
天井を見上げる。急ごしらえの吊り下げフックから垂れるバッグが、隙間風に揺れる。
「どうなんだろうな。わかんねえよ」
ニッカは溜め息を付くと、寝返りをうった。
同じ頃、直枝はアレクサンドラの個室を訪ねていた。
「ごめん、今日は……その」
「もう良いから。それより、どうしたのこんな夜遅くに」
「あの、その……」
もじもじする直枝を見て、アレクサンドラは手を取り、中に招き入れる。
外をちらりと見、すぐに扉を閉める。
「? 何か?」
「何でもないわ。さあ、いらっしゃい」
ふらふらと、アレクサンドラの胸に寄り掛かる直枝。
「ゴメン。いつも、こんな……オレで」
「良いから」
アレクサンドラは直枝をぎゅっと抱きしめると、そのままベッドに転がり、頬に唇を這わせ、そのまま唇を重ねた。
end
- 305 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/06/23(水) 23:27:20 ID:62aRkdy6
- 以上です。
ニパとアレクサンドラも良いけど、
個人的には直枝とアレクサンドラも良いかな、と。
あんましドロドロしたのは書けないですけど(汗
さて、今夜はもう一本。
>>302-304「i'll be there」までの502を含んでの事、
と読んで頂ければ幸いです。
こちらは保管庫No.0981「music hour」シリーズを一本。
ではどうぞ。
- 306 名前:love and passion 01/02:2010/06/23(水) 23:28:39 ID:62aRkdy6
- ハ〜イ今夜も「STRIKE TALKING RADIO」始まりマシタ〜。
DJ兼MC、パーソナリティのエイラ・イルマタル・ユーティライネンでス。皆聴いてるカナ?
この番組ハ、サーニャのレーダー魔導針を通しテ、全世界の悩めるウィッチに秘密のラジオとしてお伝えしているンダナ。
夜間哨戒のついでじゃないカラナ? さて今夜は久々にサーニャと二人っきりだからナ。
……エ? この前サーニャに撃墜されてたじゃないかッテ? 大丈夫、私はそれを見越してニパを盾にしてたから無傷ナンダナ。
「ふざけんなイッル。道理で妙にしっかりくっついてた筈だ」
じゃないと当たっちゃうジャナイカ?
「じゃないか、じゃねー! 私を盾にすんな!」
まあ、そう言う訳で今夜もゲスト……でもないのに何故か勝手に付いてきた
……いや「ついてない」カタヤイネンこと、ニッカ・エドワーディン・カタヤイネンだナ。
拍手は要らないゾ。502JFWに居るらしいケド……、今日はどうしたンダ?
「どうしたもこうしたも有るか? たまにはここでのんびりさせてくれよ」
いつからこのコーナーがニパのくつろぎの場になったンダ? サーニャに撃たれるぞ?
「えっ?」
「えっ?」
「ちょっと、何でそこでリトヴャク中尉も驚くの? リアクションおかしくね?
てか何でフリーガーハマーのセーフティ外したのか意味わかんね」
かわいそうなニパ……。
さて、今日もお便り来てるゾ。前回の放送で反響が有ったみたいダナ。
「反響って、どの内容?」
まあまあ、今から読むからお楽しみニ。
ラジオネーム「ロマーニャのクロヒョー」……格好付けてるけどどこか惜しいンダナ。
まあ読むゾ。
『この前、ラジオで、続けてえっちする時に酸素吸うといいってきいたから、
シャーリーと一緒にハンガーからボンベ持ってきて、しゅーっと吸ってみたの! キャハ!』
「おいイッル、この手紙、あからさま過ぎるだろ」
「『シャーリーさん』って、実名が……」
……いいカラ、続き読むゾ。
『そしたら、なんかそれ酸素ボンベじゃなかったみたいで、吸ったとたんにあたしたちヘンな声になっちゃって、
笑ってるうちに頭クラクラしてそのまま寝ちゃったぁ。おもしろ〜い!』
「……それ、ヘリウム?」
「クラクラって、酸欠になったんじゃないか?」
そう言えば、あの二人「高価なモノで遊んだ」とかでミーナ中佐と少佐から怒られてたけどコレだったノカ……。
てか何やってんダヨ〜。ヘリウムって貴重な気体で、水素ガスのボンベよりも高いンダゾ? そりゃ怒られるナ。
でも何で501の基地に有ったかは謎ダケド。
- 307 名前:love and passion 02/02:2010/06/23(水) 23:29:16 ID:62aRkdy6
- で、ズバリ言ってもいいカナ?
酸素を吸エ! それはヘリウムダ!
「それってエイラ、つまり、もう一回チャレンジしろって事?」
そう言う事になるナ。酸素ボンベだったら幾つか有ると思うし……いやでも勝手に使ったら怒られるから
それはその……まあ頑張レ。
「前から思ってたんだけど、イッルは何か経験ありげなんだよな。経験済み?」
えっ何ガ?
「誤魔化すな。酸素吸ってシャッキリとか、前のラジオで……」
へろへろのつもりでちゃんと聞いてたんダナ、ニパは。
「エイラの、ばか」
「だからそこが分からない! 何でリトヴャク中尉が怒るのか……はっ! もしかして」
(フリーガーハマーのバックブラスト音)
私の予想通りダナ。かわいそうなニパ。
じゃあ次……今日最後のお便り。ラジオネーム「小悪魔」さん。
『前に『酸素が良い』って聞いたので、早速私の素敵な旦那様……まあヨメでもいいんだけど、私のフィアンセと
試してみました。彼女の朝の訓練が終わるなり、すぐさまベッドに引っ張り込んで、しました♪』
……なんか、これはコレで生々しいゾ。
「これってもしかしてハル……」
サーニャ具体的な人名を言っちゃダメダ! つ、続き読むゾ。
『で、早速二回戦に向けて、ふたりして酸素を吸いました。
それで頭は多少スッキリしたんですけど、何故か強烈な眠気に襲われ、二人揃って夜まで爆睡してしまいました。
二回戦どころじゃなかったんですけど。どうしましょう?』
どうしましょうって言われてもナー。……この前二人夕食にも起きてこなかったのはそのせいカヨ。何やってんダヨ〜。
「何でこっち見るの、エイラ?」
いや何でもナイ。
「小悪魔」さんにズバリ聞きたいけど、どれ位吸ったンダ? てかどんだけハードなんダヨ?
勿論吸い過ぎは身体に良くないシ、あんまり吸わなくても逆効果ダカラナ?
あと言っとくケド、酸素吸うのは頭をシャッキリさせる為の事デ、二回戦三回戦に行くパワー補給の為ジャナイゾ?
何か勘違いシテナイカ? それは別のモノ使わないとダメダゾ?
それと、 ※ 効 果 に は 個 人 差 が ア リ マ ス ! ※ これ重要ダカラナ。
「エイラ、なんか怪しい通販やってるみたい」
だって勘違いしてる人、多いカラ。
「じゃあ、私達は、どうしてあんなに……」
「だああ! やっぱり二人で試してたんだな! イッルのエッチ! イッルの馬鹿ーっ!」
いきなりヘンなタイミングで復活するなニパ! 話が余計ややこしくなるダロ!
(フリーガーハマーのバックブラスト音)
……サーニャも結構強引ダナ。
「すっきりさせてみた」
う、ウン。後で撃墜されたニパを拾いに行かないト。
……さテ、ではそろそろお時間となりましタ、今夜はこの辺で。
最後に、「サーニャのうた」を聴きながらお別れデス。
end
- 308 名前:名無しさん:2010/06/23(水) 23:31:46 ID:62aRkdy6
- 以上です。
史実をぐーぐる先生で調べたところ、
ヘリウムはWWIIでは殆ど使われなかったらしいのですが
(水素ガスが主流とのこと。あやふやですいません)、
とりあえず話を面白くする為に出しました。
考証がなってませんね。すいません。
2期が待ち遠しいですね。ワクワクします。
ではまた〜。
- 309 名前:名無しさん:2010/06/23(水) 23:35:19 ID:ktuGNLac
- >>304
GJ! 甘酸っぱい香りの漂う直とニパいいですね!乙女のような中学生男子のような。
アレクサンドラ大尉のなまめかしさも素敵です。
まぁ、伯爵はいつも通りということで。
- 310 名前:名無しさん:2010/06/24(木) 22:27:17 ID:cbaC1Ipw
- 二期番宣来た
けどイベント行った身としてはなんだあの下手糞な番宣は……
本編もっとむっちゃくちゃかっこよかったぞ!
こう、編隊とか、空戦とか、艦隊とか、いろいろ!
ネタバレ避けたいのはわからんでもないがもっとシーン選ぼうぜ……
- 311 名前:名無しさん:2010/06/24(木) 23:55:15 ID:ZKTVLW0U
- あたしが寂しくルッキーニをしていると
ドアをジョーゼットジョーゼット叩く音が聞こえた
「あなた1人でルッキーニなんてしてるの? フフ、あたしがガランドしてあげる」
彼女のリトヴャクなレンナルツがあたしを誘う。躰はアーデルハイトに輝いている。
彼女があたしのクリスティアーネをころころと弄ぶと、あたしのアメリーした
黒江がむくむくと大きくなる。エリザベス!といわんばかりに屹立した
あたしのビューリングはまさしくメルダースと呼ぶに相応しい。
彼女はビショップと口をあけ、舌を五色に中島と絡みつかせる。
あたしも彼女のカタヤイネンをエーリカ、エルマと愛撫すると、ウィルマしてくる。
そろそろか。彼女のオヘアはもうペットゲンだ。
あたしは立ち上がると彼女のグランドュラなペリーヌにチュインニをディートリンデする。
真寿々、天姫、美千子、美緒とリズミカルにイルマタル。
彼女のマルヴェッツィしたロスマンがジュンジュンを奏で始める。
「クルピンスキー!クルピンスキー!トゥ・・・トゥルーデになっちゃう!
リ・・・リーネ!リーネ!芳佳ー!ハイディ、ハイディ、シュナウファアッッ!!」
彼女は体をポクルイーシキンさせウィステリアした声をあげる。そしてあたしのアホネンからはシャーロットとハルカが迸る。
彼女の管野からはキャサリンとしたアレクサンドラが漏れ出た。
横川の女は最高だぜ・・・。
- 312 名前:名無しさん:2010/06/25(金) 00:02:10 ID:usNlpMAo
- >>311
ツボったwwwwwwwwww
- 313 名前:名無しさん:2010/06/25(金) 01:12:40 ID:FLeFxJeQ
- >>311
何これwww
- 314 名前:名無しさん:2010/06/25(金) 04:28:26 ID:1QtMhJj2
- >>311
ちょwwww
- 315 名前:6Qn3fxtl:2010/06/25(金) 06:29:50 ID:1QtMhJj2
- おはようございます。
某所で話してた「エイラにお姉さんがいたら”お姉ちゃん”がアップ始めて大変」みたいなネタをSSにしてみました。
ほとんどネタだけなのですが、ご了承ください。
- 316 名前:6Qn3fxtl:2010/06/25(金) 06:30:01 ID:1QtMhJj2
- 姉バカ大尉とダイヤのエース
「エイラ・イルマタル・ユーティライネン少尉っ!」
ある日の、午後のお茶の時間のことだ。
バルクホルン大尉が、妙にうれしそうな顔をして、
サーニャと私の座っている席のところまでやってきた。
心なしか、赤い顔をして息を切らしてサ。
これはヤバイ。
とてつもなく、悪い予感がする。
未来予知を使う必要もないくらいに明らかにヤバイ。
私はとっさにサーニャを私の後ろに隠した。
「少尉……、いやエイラにはお姉様がいらっしゃるそうだなっ!」
「あ……ね、姉チャンね……」
背中につつーっと嫌な汗をかく。そして、嫌な予感が確信に変わったことを知った。
……全く、誰ダヨ、教えた奴!
「スオムスにいるヨ。あの辺はネウロイの攻撃も受けなかったカラ」
「お姉さんがいるということは、エイラ、お前は妹……なんだな?」
「あ……まぁ……そう、なる、カナ?」
近い。顔、近い。あと、息が荒いゾ、大尉。
私の肩をがっしりと抱いて、とても大事なことを確認するように聞いてくる大尉。
そりゃ、バルクホルン大尉にとってはすごく大事なことだろうケドさ……。
「水くさいじゃないかっ!! どうして今まで秘密にしてたんだっ!!
私たちは家族じゃなかったのかっ!!!」
「こうなるから言いたくなかったんダヨ!!」
あー、もう。本当誰ダヨ、バラした奴!ほとんどの奴は知らないはずなんダケドっ!
「エイラ……お姉さんがいたの……知らなかった」
「ごめんな、サーニャ。隠してたってわけじゃないんダケド」
「サーニャにも秘密にしてたのかっ! エイラ……貴様という奴は……!!」
なにがどうツボに入ったのか、わなわなと震えだす大尉。
横目でちらっとサーニャを見ると、申し訳なさそうに小さくなってタ。
ゴメンな、サーニャ……。本当、ゴメン。
「あぁ、いや。私どころか一番接している時間の長いサーニャにも秘密にしていたということは、
エイラがそれだけ寂しい思いをしていたということだろう。
本当は姉に会いたくて仕方のない気持ちを、『姉なんていない』と自分を偽ることによって
抑えていたんだな……。なんて不憫なんだ……」
自分で勝手にストーリーをでっちあげて、おいおいと泣き出す大尉。
オーイ、変なスイッチ入ってるぞ。誰かこの姉バカを止めてくれヨ、本当。
「いや……そんなことないカラ」
「エイラ……もう、寂しい思いはさせないぞ。私たちは家族じゃないか。
いつでもこの私を、実の姉だと思ってくれていい」
なんでそんなに優しそうないい笑顔ナンダヨ!!
もう、訳分かんないゾ!! 誰か急いで医者呼んでコイ、医者を!!!
「いつだって甘えてくれていいんだぞ。寂しい夜は一緒に寝たっていい。
私が思いっきり抱きしめてキスしてやろう。
そうだ。眠れなければ絵本を読んだっていい。
クリスも小さい頃によく読んでやったもんだ……」
「イヤ……!そういうの、間に合ってるから……!!」
「えっ?」
「えっ?」
驚き、悲しそうな顔をする大尉と……なぜか驚いた顔をするサーニャ。
何で、サーニャまで驚いてるんダ?
「あー、いや……そうか……。うん、すまない。そういうことだったのか」
何をどう勘違いしているのか、独り合点する大尉。これはこれで何か嫌ダゾ。
「だが、それでもやはり、姉という存在は大切だろう。必要なときにはいつだって私を……」
「はいはい。姉バカ病はその辺にしなよ、トゥルーデ」
「エーリカ……!」
「ごめんね〜、エイラーニャ。うちの旦那が迷惑かけてさ」
本当ダヨ。自分の旦那にはちゃんと責任を持ってくれヨナ。
あと、エイラーニャって言うナ!!
「あとでたっぷりお仕置きしとくから。さっ、いくよ、トゥルーデお姉ちゃん♪」
そういってバタバタと暴れる大尉の首根っこをつかんでずるずる引っ張っていくハルトマン中尉。
お仕置きってどういう……とかは考えないほうがいいんダヨナ。ウン。
「ひどい目にあっタ……」
残ってたクッキーとお茶でちょっと一息つく。
せっかくのサーニャとのお茶の時間だったのに……。
「ねぇ……エイラ」
あぁ、サーニャ。ごめんナ、嫌な思いさせちゃって。
「やっぱり……私もそういうことしたほうがいいのかな……
抱きしめたり、とか……キス……とか」
サッサーニャ……!ナ、ナニイッテンダ……!
「だって、さっき『間に合ってる』って……」
それは言葉のあやでっ……!変な意味じゃなくてっ……!
「今夜は……絵本、読んであげるね、エイラちゃん」
うぅ……サーニャまで……。
「私をソンナ目でミンナ〜!!」
fin.
- 317 名前:6Qn3fxtl:2010/06/25(金) 06:30:50 ID:1QtMhJj2
- 以上です。では〜。
- 318 名前:名無しさん:2010/06/25(金) 06:49:08 ID:.WjaHSWc
- >>317
GJ! 暴走お姉ちゃんワロタw
サーニャさんもなにげに乗り気w
- 319 名前:名無しさん:2010/06/25(金) 06:50:45 ID:i8buOwvE
- >>317
ワロタwww お姉ちゃん見境ねぇな
- 320 名前:名無しさん:2010/06/29(火) 06:06:01 ID:fumfcgfU
- エイラって姉ちゃんいるんですか?
姉ちゃんにだけは素直に子供に戻って甘えることができるエイラとか想像してしまった。
- 321 名前:名無しさん:2010/06/29(火) 14:56:10 ID:yXG/mITA
- >>320
l/:::::::::::::::::::l:::/l::::::::/ハ:l \:::::l::!:::::::::::::::';::::',
/::/::::::::::::::::::;ィ:/ l:://::l V! ヽ!:l::::::::::::::::::';:::l
/:/!:::::::::_::/::/ l::! /イ:::::::::! ヽ l::ト、:::::::::::::::V!
. /:/.l::::i:::::::::!:7>!K ヽ::::::::l ヽ _jノ x−:::::::::::ヘ
j/ l:::;|:::::::レ' r≠=≧x ヽ:::::L _ ≦≠x、ヽ!:::::::::ハ:::!
. !/ !:::::ハ く, r' ハ ! ヽl、 ' l_ノ l ) V::::ハ .ソ
' !:::::l ヘ ヾ、_.ソ V_,ク ハ:::!ノ
';::::l、 ハ / _V
V ヽ_l、 ' /≦ _
iこヽ、 _ ノ くー-'
/:::i> ´ _` .イ_ハ:::::':,
/:::::::/ ri>/ ヽ、イト、 l、:::::':,
/::::::::::/ /r'i/ />ーヘ )! \ .V:::::':,
. /::::::::::;;ノー' !l '´ / V l iヽ V:::::':,
/:::::::;イ / . l! ´ /V! レニ\:::::.':,
- 322 名前:6Qn3fxtl:2010/06/29(火) 16:44:50 ID:mGvyYxyE
- >>520
残念ながら、今のところはオリジナル設定
(正しくは別のある方のオリジナル)です。
最初にオリジナル設定ありと明記しておくべきだったかも。すいません。
- 323 名前:名無しさん:2010/06/29(火) 17:48:45 ID:3qVoA5V6
- アンカミスってますよw
鈴木さんがエイラ姉の設定、
ツイッターに書き込んでたと思うので
半公式みたいなもんだと思いますよ
- 324 名前:名無しさん:2010/06/29(火) 18:37:22 ID:5gnlvJhs
- エイラの姉って元の人からするに陸軍系だよな
- 325 名前:名無しさん:2010/06/29(火) 21:24:57 ID:2OFxnAaE
- >>321
何か言いなさいよw
>>324
鈴木氏のツイッター書き込みを見ると
「主任務はニパの回収」
とあったから(超端折り)、これはこれで面白いと言うか
ステキな百合になりそうな気もしなくはない。
秘め声CDのお姉ちゃんは一体なんだったんだw
- 326 名前:320:2010/06/29(火) 22:21:30 ID:2SuykflM
- みなさん、返答ありがとうございました。
エイラの姉さんか…色々妄想が膨らむ…
>>322
いえいえ、気にしないでこれからも素敵なSS投下しまくちゃってください!
- 327 名前:名無しさん:2010/06/30(水) 00:05:42 ID:HmgVznic
- こんなやりとりもあるな。
本スレより転載。
908 :名無しさん@秘密の花園:2010/06/24(木) 09:21:28 ID:/ilSbBe5
502は別としてフミカネのつぶやきから想像できるのはエイラ姉×ニパか
エイラが結構しゃべるから無口系かな>エイラ姉
909 :名無しさん@秘密の花園:2010/06/24(木) 11:17:15 ID:VwZV4Ii7
>>908
史実だとピクニックにでも行くようにはしゃぎながら出撃して生身で戦車撃破してきたりとか、
クリスマスのミサに部隊のみんなをしんみりさせるトークしたりとか、
「コッラは持つか?」「コッラは持ちます。我々が撤退を命じられない限り」
と、創作物かよってくらいカッコいいセリフを言えちゃう人なんで、無口じゃない気がする。
部下のシモ・ヘイヘの方が無口キャラじゃないかなぁ。
っつーかむしろニパってフラグ立ちすぎな気がしてきたw
910 :名無しさん@秘密の花園:2010/06/24(木) 11:28:02 ID:/ilSbBe5
>>909
なら、もっさん系の豪放無頼な感じかもしらんな
- 328 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/07/01(木) 23:45:24 ID:qyktlKgc
- >>317 6Qn3fxtl様
GJ! 「姉バカ」というか「バカ姉」なお姉ちゃんワロタ
こんばんは、mxTTnzhmでございます。
もう幾つ寝ると、2期開始〜
と言う事で全然関係無いネタをひとつ。
またも502のネタですがどうぞ。
ちなみに>>302-304「i'll be there」の続きとなります。よしなに。
ではどうぞ。
- 329 名前:protomind 01/02:2010/07/01(木) 23:46:25 ID:qyktlKgc
- 長く塞がれていた唇が、そっと離れる。
名残惜しげに、雫がつうと垂れて服の染みとなる。
また堪えきれずに唇を重ねる二人。舌も絡み、抱き合う力は強くなる。
「もっと、感じたい……ベルト邪魔」
「あっ、はあっ……」
直枝は無理矢理にアレクサンドラのベルトに手を入れ、ずらし、露わになったふとももに自分の脚を載せ、絡ませる。
肌の温もりを感じ、より情欲が高まったのか、鷲掴みに近い指の形で、直枝をぎゅっと抱きしめる。
お互いに、一定のリズムで腰をくねらせ、時折小刻みに震わせ、次第に息遣いが荒くなる。
やがて二人は極みに達し……がくがくと軽い痙攣を全身で感じながら、お互いの胸の中にある、いとしの人を愛でる。
僅かにズボンが湿り気を帯びる。
息が整う暇も無く、二人は目を潤ませ、もう一度抱き合ったまま、深く濃いキスを交わし、重ねた。
服を整え、ふうと息を整え、表情を変える直枝。
先程までの「恍惚とした恋する乙女」の表情は既に無く、いつもの野性的ピュアファイターとしてのウィッチに戻っていた。
「さて、と。行くか」
直枝は部屋を出ようと、足早にドアに向かった。
「待って」
言うよりも早く手が伸び、直枝の腕を絡め取る。そのままぐいと引っ張られ、アレクサンドラの胸に飛び込む格好になる。
「ちょ、ちょっと……大尉」
「行かないで」
きつく抱き止めるアレクサンドラ。
「行くなって言われても……あんまし、こう言うのも。それに、他の連中に知れたら……」
途端にしどろもどろになる直枝。
「その時は、その時で」
「ええっ?」
「私、まだ足りない。貴方が足りない」
「そ、そんな……オレ」
「自分だけ満足したら、それで良いの?」
「そ、そんな事……」
言いかけて、直枝は口ごもった。
ストーブの、薪がぱちぱちと燃える音だけが微かに聞こえるアレクサンドラの部屋。二人の息が絡まり、溶けていく。
「やっぱり、やめよう。オレが、悪いんだ。大尉に無理強いして……」
「どうして?」
「だってこんな関係、許される訳ないだろ?」
「私が許します。だから貴方も許して」
「何を言ってるんだ大尉」
「公認の仲になりましょう?」
「そんなん出来たら苦労せんわ……、ってまさか」
直枝はアレクサンドラの顔を見た。
泣いている。
微かに滲む涙を見、直枝は少し震える手で、涙を拭った。
アレクサンドラはうつむいた。前髪がはらはらと崩れ、しだれ落ちる。
直枝は片手で金の髪をすくい取り、感触を確かめ、匂いを嗅いだ。紛れもない、彼女由来の香り。
「大尉、もしかして」
「何処までも鈍いのかしら、貴方って人は。扶桑の魔女だから?」
「オレを、慰めてくれてるだけじゃ……」
「ばか」
直枝は何も言えなくなった。
アレクサンドラは一人涙を流す。止む事の無い、雨の如く。
そんな彼女を見た直枝は、ぽつりと言った。
「何だか、一線を越えてしまったら……、なんか、表現しにくいけど、オレ、……どうかなっちゃいそうで」
黙って頷くアレクサンドラ。
「でもオレ、大尉の気持ち、全然考えてなかった。ゴメン。いや、今更やめてとか許して貰おうなんて、甘いよな」
「ずるい」
「だけど、大尉の気持ち聞いて……揺らいだって言うか、後戻り出来ない、いや、したくない」
意を決したかの如く、ぎゅっと強くアレクサンドラを抱きしめる直枝。
「こんなオレで良ければ、大尉」
- 330 名前:protomind 02/02:2010/07/01(木) 23:47:11 ID:qyktlKgc
- 「サーシャ」
アレクサンドラは直枝の顔を見て、そう言った。
「へ?」
「二人っきりの時は、そう呼んで。ナオ」
「良いのか?」
こくりと頷くアレクサンドラ。
前髪がほつれた姿のアレクサンドラは、普段と違ってまた艶めかしい。ごくりと唾を飲み込み、そっと頬に手を触れ、顔を近付ける。
(姉様……もう後戻り出来ないみたいだ。オレのせいだ。ごめん、なさい)
直枝の脳裏に、祖国で暮らす実姉の姿が一瞬過ぎる。だが目の前に居るアレクサンドラの姿とかぶり粉雪の如く溶けて消えた。
「さ、サーシャ」
「ナオ」
名前を呼ばれ、ぞくっとする直枝。押さえ込んでいた情が緩み、やがて雪崩の如く理性を飲み込み、心を圧していく。
「サーシャ」
直枝は、サーシャをベッドに押し倒した。荒々しいキス。
何度も繰り返す。
「ご、ゴメン。オレ、その、ヘタで」
「そう言うナオ、好き」
「本当に?」
小さく頷いたアレクサンドラは、直枝を全身で受けとめ、受け容れる。
服もまた乱れ、肌が露わになるも、手近に有った毛布をばさっと掛けて、寒さをしのぐ。
ベッドの中で、二人は密になり、身体を重ね、時を過ごした。
「あれ、ナオは何処行ったんだ? せっかく替わりのストライカーユニット到着したのに」
ハンガーで各種機材にまみれたニッカは辺りを見回して呟いた。
「ああ。ナオちゃんは多分、お食事中。ボク達もお食事するかい?」
「伯爵が言うと何か違う意味で聞こえるんだよなあ。で、伯爵の言う『食事』はパス」
「残念。じゃあ、代わりにボクとえっちな事しようよ」
「馬鹿っ、ストレート過ぎるんだ! ちっとは自重しろ!」
「たまにはニパ君とするのもいいかなー、な・ん・て♪」
「その流し目キモいから止めろって。……だからってジョゼのとこ行くな! 待て!」
end
--
以上です。
何故アレ熊さん×直枝を書いているのか自分でも分からない……。
自然と妄想が膨らんでしまった次第です。
アレ熊さんの愛称が「サーシャ」と言う事については
zet4j65z ◆le5/5MRGKA様(のSS)から頂いております。
この場を借りて御礼を。どうもありがとうございます。
ではまた〜。
- 331 名前:zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2010/07/02(金) 00:03:03 ID:o2VFGkNg
- ナオとサーシャのゆりゆりした空気がイイ!
とか思ったら相変わらず伯爵が全部持っていくというw
いろんな意味でGJです〜
ところでアレクサンドラの愛称っていっぱいあるんですね……。
アレクサンドラАлександа
サーシャСаша
サーニャСаня
サーシュカСашка
サーシェンカСашенька
サーシェチカСашечка
サニョクСанёк
前のSS(保管庫1310)では全然説明なくポクルイーシキン大尉のことを「サーシャ」
として扱ってましたね、自分。
今度からもっとちゃんと説明入れるようにします〜。
それはそうと、たまにトリをつけないと自分のトリがわからなくなるな……。
- 332 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/07/02(金) 04:28:10 ID:whUqfdb6
- >>331 zet4j65z ◆le5/5MRGKA様
ご感想頂き有り難う御座います。また愛称の件有り難う御座いました。
今後もこのかたちで行けたらと思います。
で、いきなりですがすいません、訂正です。
>>329-330のタイトル、正しくは「protmind」でした。思いっきり間違えました。
由来は某ゲームの曲なんですけども。
ではまた〜。
- 333 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/07/05(月) 00:09:49 ID:S/t/hjS2
- こんばんは、mxTTnzhmでございます。
最速地域ではあと数日で2期開始!
と言う事でまたもや全然関係無いネタをひとつ。
502のネタですがどうぞ。
ちなみに>>329-330「protmind」の続きとなります。よしなに。
ではどうぞ。
- 334 名前:so high 01/02:2010/07/05(月) 00:11:40 ID:S/t/hjS2
- 寒風吹き荒ぶ中、戦が始まる。
「よし、全機攻撃開始! 化け物共を全部地面にキスさせてやれ!」
お馴染みの、ラルの威勢の良い攻撃開始の合図。鬨の声である。
「管野一番、攻撃開始ッ! うおおお!」
直枝は銃を構えると真っ先に速度を上げ、小物はハナから相手にせず奥に陣取る大物目掛けてネウロイの群れに飛び込んでいく。
「あー、ナオちゃんまた先行しちゃったよ」
「見てないで追いなさい中尉!」
「大丈夫、役割はわかってるつもりさ、可愛い熊さん」
笑顔を作って手を振った後、直枝を追うクルピンスキー。ニッカもしょうがないと言う顔をしつつ、
直枝に取り付こうとする小型ネウロイの掃討に掛かる。
「管野少尉、先行し過ぎです! カタヤイネン曹長、フォローを」
「了解。てかもうやってるって」
「まあ、ナオちゃんは言っても聞くとは思わないけどね」
みるみる戦渦が広がり、辺りの空域は混沌と化した。
戦は辛うじてウィッチ達の勝利に終わり、全員がハンガーに集められた。
「戦果は上々、と。化け物共も粗方片付けたと。ふむ。……でだ、そこの三人」
メモを取っていたラルは、片隅に座る三人組に声を掛ける。
「管野も地面にキスしろとは言ってないんだが?」
「たまたまだ。大物はオレ一人で三匹仕留めた。それで良いだろ」
「弾切れして扶桑の刀折って体当たりして、ストライカー壊してまでする事かい?」
「あれは体当たりじゃない。オレの固有魔法を応用したコアへのパンチだ」
「パンチはともかく、ストライカーユニット……」
「奴等を倒す。それがオレの仕事だ」
「もはや趣味だよね」
ラルは何か言いかけたが、クルピンスキーが間を遮り、笑ってみせる。ラルは呆れ顔を作った。
「そう言やエセ伯爵だって着陸までストライカーユニット持たなかったじゃないか。基地の手前で不時着とはどう言う事だい」
「いやあ、あれはボクなりの華麗なる着陸のつもりだったんだけど、そう見えなかった?」
「見えるかっ! ……で、珍しく今日は何も無いと思ったら、どうして着地後に火を噴かすかね、カタヤイネン曹長?」
「整備の奴に聞いたら、ユニットの部品に不良品があったんだってさ。だからあれは私のせいじゃないな」
慣れた調子のニッカ。着地後の出火で火傷を負ったが、驚異的な自己治癒能力で殆ど回復している。
「ホント、ついてないよね」
「全くだ」
「……結局、今日もユニット三機破損、うち一機全損か。ああジョゼ、管野の治療はその辺にしとけ」
「あ、はい」
ジョーゼットは治癒魔法の反動でのぼせ、ふらつきながら立ち上がる。ロスマンが肩を貸す。
「いつも悪いな。もう大丈夫だ」
ぶっきらぼうに直枝は言うと立ち上がった。
「待ちなさい」
アレクサンドラは三人の前に立ち塞がった。
「おや、今日もお説教タイムかい?」
「……そうやって何故茶化しますか!?」
怒り心頭のアレクサンドラを前に、ブレイクウィッチーズは顔を見合わせた。
「さて。ジョゼ、エディータ、あたし達は行くよ。夕食が冷めるからな。大尉、悪いが後は任せる」
ラルは他のウィッチを引き連れ、ハンガーから出て行った。
「では、ハンガーでは余りに可愛そうですから、私の部屋で“反省会”をしましょう。良いですね?」
アレクサンドラの言葉に、はあ、とうなだれるニッカとクルピンスキー。
- 335 名前:so high 02/02:2010/07/05(月) 00:12:08 ID:S/t/hjS2
- 「しかし」
食堂でミートボール入りのシチューを豪快に頬張りながら、不意にラルはそう言った。
「最近、アレクサンドラ大尉は雰囲気変わったな」
「あら、グンドュラにもやっぱりそう見える?」
横に座っているロスマンも同意する。
「あたしの目はまだ確かなつもりさ。……ま、その代わり時々ボケッとしてる馬鹿タレが一人増えたが、まあ良いか」
「ユニットの損害的な意味で?」
「部隊全体の士気的な意味で、の話だよエディータ」
くすっと笑い合うカールスラントのウィッチ二人。
「あの……、隊長」
「ん? どしたジョゼ」
「ずっと隊長に抱きつかれてて、私、すごく恥ずかしいです……」
「悪い、もうちょっとだけ。寒くて寒くて。ジョゼ暖かいから手放せなくてさ。暖かくって気持ちいいな〜、ジョゼ」
「はあ……」
呆れ顔のジョーゼット、苦笑するロスマン。ラルはジョーゼットに頬ずりして満面の笑みを作った。
「では、今日はここまで」
腕時計を見、アレクサンドラは声を掛けた。正座をやめ、よろけながら立ち上がるブレイクウィッチーズ。
「はいはい、お疲れ様お疲れ様、っと」
「まだ反省してませんね?」
「とんでもない。ボク達は山よりも深く海よりも高く反省しておりますとも、大尉殿。なあニパ君」
「……なんか違くね?」
「まあいいです。早く食事に行きなさい」
意外にあっさりと赦したアレクサンドラを、クルピンスキーはびっくりした顔で見た。
「あれれ、ボクの渾身のギャグはスルー? じゃあこんな諺を……」
「もう余計な事言うな! つまんない戯言は良いから、行くぞ伯爵」
クルピンスキーの服を引っ張るニッカ。
「ニパ君、そんなにボクと、お食事、したいのかい?」
「腹減ってるだけだって! 伯爵とどうこうするとか有り得ないし」
「たまにはどうかな〜、なんて。ボク寂しいの」
「キモいからやめてくれよ、その流し目」
ニッカとクルピンスキーはそそくさと部屋を後にした。
部屋にぽつんと残された、直枝とアレクサンドラ。
「行かないんですか?」
「……」
もじもじと、何か言いたそうで、だけど言い出せない直枝。
「食事、無くなりますよ?」
アレクサンドラの言葉を聞いても、直枝は動かない。
所在なさげに指を動かし、下を向いたままだった直枝は、不安と期待が混じった目で、アレクサンドラを見上げた。
「あ、あの」
ごくり、と唾を飲み込む。そして一言。
「サーシャ」
その言葉がトリガーとなったのか、アレクサンドラは直枝を抱きしめ、ぐいと持ち上げた。
小柄な直枝の身体が地面から浮き上がる。
そのままアレクサンドラは直枝ごとベッドに転がり……二人はキスを交わした。
「どうして、いつも無茶をするの、ナオ」
「許して、サーシャ」
「貴方が死んだら、私どうすれば」
「オレは、死なない」
「だって……」
「サーシャが居る限り、オレは、死なない。いや、死ねない」
「それ、約束してくれる?」
「勿論」
「嬉しい」
アレクサンドラは、直枝の頬に唇を這わせた。ぞくっと身体を震わせる直枝。
ふぁさっと毛布が被せられ、二人の(公然の)秘め事が始まった。
end
- 336 名前:名無しさん:2010/07/05(月) 00:12:27 ID:S/t/hjS2
- 以上です。
なんかもうちょっと書きたかったのですが、
ひとまずこんなところで。
また折を見て書いていけたらと思います。
ではまた〜。
- 337 名前:名無しさん:2010/07/05(月) 23:46:52 ID:cXuwWpyk
- アレ熊さんとナオナオのカップルがすっかり定着してきましたね。
ラルxジョゼも確定でしょうかw
GJ!
- 338 名前:名無しさん:2010/07/06(火) 10:56:38 ID:Q6JyUkB6
- ニパーシャ派はおらんのか
- 339 名前:名無しさん:2010/07/06(火) 18:36:17 ID:Jhp0ftAk
- クルピンはアレ熊か先生かで悩む自分はいる
- 340 名前:名無しさん:2010/07/06(火) 19:33:08 ID:UvP90u0U
- 早いところだと明日が二期の一話目?
- 341 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/07/06(火) 19:46:19 ID:ltrLQlEY
- こんばんは、mxTTnzhmでございます。
最速地域では明日深夜から2期開始! めでたい!
と言う事でまたもや全然関係無いネタをひとつ。
502のネタですがどうぞ。
>>334-335「so high」の続きとなります。よしなに。
ではどうぞ。
- 342 名前:elements 01/02:2010/07/06(火) 19:47:01 ID:ltrLQlEY
- 雪が吹きすさぶ502基地周辺は酷く寒い。いつもの事だ。
だが寒さで何もかもが凍結している分、まだマシかも知れない。夏になると酷い泥濘と蚊の群れに悩まされるからだ。
そんな502基地の食堂では、いつもの光景が繰り広げられていた。
食事の傍ら書類を横に置き、訓練プログラムを練るロスマン。
食事を済ませいそいそと部屋に戻るアレクサンドラ。
仲間のウィッチを見たり、何か思いついたのか天井を見てニヤニヤしているクルピンスキー。
そんな「伯爵」に呆れ、突っ込みを入れるニッカ。突っ込みを入れた後は横に座る直枝に話しかける。
食べる事もそこそこに、ひとり呆けている直枝。最近はニッカとの会話もどこかちぐはぐだ。
アレクサンドラが部屋に戻ったとニッカから聞かされると、顔を真っ赤にして慌てて食堂から出て行った。
行き先は言うまでもない。
「まあ、いつもの事だぁね」
昨日と同じ具、同じ味のシチューを食べ終わると、ラルはウィッチ達を見てそう言った。
「あら、良いじゃない。悪い方に変わってしまうよりは」
ペンを置いたロスマンが答える。
「まあね。何だかんだで死人も出ず、502(ウチ)はよく頑張ってるよ」
うんうんと頷くラル。
「あの、隊長」
「ん? なんだい?」
「私、いつまで隊長に抱っこされてないといけないんですか?」
ジョーゼットは頬を染め、ラルの膝の上に居た。
「ああ、ごめんごめん。食事済んでなかったな。はい、あーん」
「そ、そうじゃなくて! 私一人で食べられますから!」
「気にするこたぁないよ。隊長のあたしが良いって言ってんだから」
「ええ!?」
「ほら、ジョゼも食べないとダメだろ。回復魔法が使えるの、ウチじゃジョゼだけなんだから」
「だからって、あーんされても困ります……」
「あたしは気にしないんだが」
「私が気にします!」
「ほら、ジョーゼットも困ってるわよ、ラル隊長?」
わざとかしこまった呼び方で注意するロスマン。
「仕方ない。ならあたしの横で食べるんだ。身体離しちゃダメだよ?」
「ふええ、どんな罰ゲームなんですか」
「しっかし、ジョゼはいつもよく食べるね。今日は三人分か……」
「よく、言われます」
ラルの部屋で、ジョーゼットはベッドメイクをしていた。
ベッドと言っても簡素なもので、シーツ、毛布と寝袋がごっちゃになった「寒さしのぎ第一」なつくりだ。
ジョーゼットは慣れた手つきでシーツをぴんと張り、寝袋、上に掛ける毛布を綺麗に敷いた。
「出来ました、隊長」
「有難う。いつも悪いね」
「いえ、慣れてますから、こういうの」
「そうかい。じゃあ早速」
ラルは頷くと、ジョーゼットをガッとひっ掴み、ベッドに潜り込んだ。寝袋の中で密着するふたり。
「たっ隊長!」
もがくジョーゼットを、絡め取る様に腕と脚で押さえつけるラル。
「はあ……暖かい」
幸せそうなラル。
「隊長、暖房がご所望でしたら何か用意しますから!」
「ジョゼで良い」
「私、暖房器具じゃありません!」
「ジョゼ暖房」
「クルピンスキー中尉みたいなこと、言わないで下さい……」
「少し位良いじゃないか」
「……」
押し黙るジョーゼット。ぬくぬくと暖まるラル。
- 343 名前:elements 02/02:2010/07/06(火) 19:47:27 ID:ltrLQlEY
- 「ジョゼは……」
唐突にラルが呟いた。
「はい?」
「とんでもないとこに来た、と思ってるだろ?」
「えっ、いきなり、何を……」
言葉に詰まるジョーゼット。ラルはそんなジョーゼットを見、笑った。そして不意に真面目な顔をして言った。
「確かにここ(502)は、あたしが言うのもなんだけど、変人揃いの部隊さ。ユニットの損耗も結構きつい」
真顔でジョーゼットに迫り、言葉を続けるラル。
「でも何とか頑張ってる。何故だか分かるかい?」
「それは、皆さん凄腕のウィッチだから……」
「それだけじゃないな」
「えっ?」
「人を守る、守りたいと思う愛。それが有るからこそ、あたし達は頑張って、今日を戦い、明日へと生き延び、また戦う」
「……」
「ジョーゼットだって、ここへ来る前は随分と活躍したって話じゃないか。あたしも聞いてるよ」
「私なんか、皆さんに比べたら……」
「謙遜すんなって。それに、今こうやって、冷えきったあたしを暖めてくれてるだけでも、十分、ありがたいってもんだよ……」
「えっ、隊長、それってどう言う意味ですか」
「……」
「隊長?」
ラルはしっかりとジョーゼットを抱きしめたまま、いつの間にか眠りに落ちていた。
普段は見せない、柔らかな寝顔。規則正しいリズムの寝息がジョーゼットの頬をかすめる。
ラルの髪がはらりとなびき、ジョーゼットの頬に当たる。辛うじて自由になった左手で、髪を触ってみる。
さらっとしたストレートの髪。毛先が少し痛んでる。
間近で見ると、ラルの肌は少し荒れ気味だ。日々の激務のせいだろうか。それとも過酷なオラーシャの気候のせいか。
「ジョゼの肌、すべすべして気持ちいいな……」
どきりとする。ラルの寝言だ。一体どんな夢を見ているのか。
幸せそうな顔をしている。でも、
「えっ、えっちな夢はいけないと思います!」
思わず口にするジョーゼット。
だがラルは起きる素振りも見せず、安らかな寝息を立てていた。ジョーゼットは身体を動かそうと試みた。
……動けない。
ジョーゼットは身体をラルにがっちり押さえられているから、身動きが取れない。
今夜も、目の前で寝ている「隊長」と一緒に寝る事になる。
そう思うと、溜め息をつかずにはいられない。
だけど。
こんな子供みたいな可愛い寝顔を見せる相手は、きっと他に居ない。
ふとそんな事を思うと、同情、と言う訳ではないが、ラルを拒む訳にはいかない。拒めない。
そっと左手でラルの頬を撫でてみる。
うぅん、とラルは寝言で反応した。
「ホント、子供みたい」
くすっとジョーゼットは笑った。
あと一時間もすれば、寝相が悪いラルは自然と身体がよじれ、そのスキにジョーゼットは自由になれる。
だけど今夜は、ラルに添い寝してみよう。ジョーゼットは何故かそんな気分になった。
end
--
以上です。
いよいよ間もなく二期開始と思うとワクワクしますね。
ではまた〜。
- 344 名前:名無しさん:2010/07/07(水) 19:44:57 ID:8oLROuMc
- すんません、保管庫に七夕関連のSSってありますか?
あったら、ちょっと見てみたいなぁ、って思ったもので。
- 345 名前:名無しさん:2010/07/07(水) 22:24:15 ID:aO5tqy8k
- >>344
保管庫ナンバーの1114とか1123が七夕SSなんダナ。
あー、あと数時間で2期か。うちじゃ見れないのに緊張してきたw
- 346 名前:名無しさん:2010/07/07(水) 22:54:08 ID:8oLROuMc
- >>345
サンキュー!
見てみるよ。
- 347 名前:5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2010/07/08(木) 00:07:16 ID:OLnKTP2Y
- こんばんは、オールキャラ(501+アメリー)物の小ネタが出来たんで、
6レスほど投下していきます。
- 348 名前:フーフーするの 1/6:2010/07/08(木) 00:08:06 ID:OLnKTP2Y
「ミーナ、お茶を淹れたんだが一緒に飲まないか?」
「あら、いいわね。じゃあ頂こうかしら」
「ああちょっと待て……ふー、ふー……さ、どうぞ」
「わざわざ冷ましてくれたの? ありがとう」
「なに、我らが部隊長の可愛い舌を火傷させるわけにはいかないからな」
「み、美緒……」
「お茶請けに羊羹もあるんだ。羊羹だけによう噛んで食べろよ。はっはっは!」
「もぅ、美緒ったら……」
- 349 名前:フーフーするの 2/6:2010/07/08(木) 00:08:38 ID:OLnKTP2Y
「お〜いルッキーニ、パスタが出来たぞー」
「わ〜い、パスタパスタ〜♪ いっただきまーす!」
「お、おいちょっと待て」
「熱っ! う〜、シャーリー、このパスタ熱いよ〜」
「そりゃそうだ。出来立てなんだから。どれ、ちょっと貸してみろ。ふー、ふー……これでどうだ?」
「うん、食べやすくなった……でもなんだろ、いつものパスタより不思議な味がする……
きっと、シャーリーがフーフーしてくれたおかげだね」
「あはは! なんだよ、それ〜」
「ね、私にもシャーリーのパスタ、フーフーさせて」
「あ、ああ」
「ふー、ふー……どう? ルッキーニ風味の特製パスタは?」
「ああ、確かにいつも食べるパスタより美味いな。最高だよ、このルッキーニ風味の特製パスタ」
- 350 名前:フーフーするの 3/6:2010/07/08(木) 00:09:21 ID:OLnKTP2Y
「ほらサーニャ、私特製のコーヒーだぞ」
「ありがとう、エイラ」
「今日は冷えるからなー。これ飲んで身体温めて……熱っ、さすがにちょっと熱すぎたか」
「エイラ、大丈夫? ちゃんと冷まさないと……ふー、ふー……」
「サ、サーニャ!? い、いきなり何を……」
「……これで少しは冷めたと思うわ。飲んでみて」
「あ、ああ……うん、さっきより飲みやすくなった。あ、ありがとう……サーニャ」
「どういたしまして……ねぇ、今度はエイラが私のコーヒー、フーフーして」
「え!? わ、私なんかがフーフーしていいのか?」
「うん、エイラにフーフーしてもらうのがいいの」
「わ、分かった……ふー、ふー……ど、どうかな?」
「うん、エイラがフーフーしてくれたからとても美味しい……本当にありがとう、エイラ」
- 351 名前:フーフーするの 4/6:2010/07/08(木) 00:10:19 ID:OLnKTP2Y
「ペリーヌさん、カモミールティーです、どうぞ」
「ありがとうアメリー……熱っ」
「出来立てで熱いから気をつけて飲んでくださいね」
「……そ、そういうことは先に言ってくださるかしら?」
「ごめんなさい……ペリーヌさん、ちょっとカップ貸してください」
「え? ええ、どうぞ」
「……ふー、ふー……」
「ちょ、ちょっとアメリー! 何をなさってますの!?」
「ええと、ペリーヌさんが飲みやすいようにカモミールティーを冷まそうと……
もしかして迷惑でしたか?」
「そ、そんなことありませんわ……その……ありがとう」
「……アメリーが冷ましてくれたおかげでとても飲みやすくなりましたわ。
それに、アメリーみたいに暖かくて優しい味……とても美味しいですわ」
「よかった、気に入ってもらえて……ぐすん、私っ、嬉しいです」
「こらこら、誇り高きガリアのウィッチが泣くもんじゃありませんわ。涙を拭きなさい」
「は、はい……」
「ねぇアメリー、その……これからも私に美味しい紅茶を淹れてくださるかしら?」
「は、はい! もちろんです!」
- 352 名前:フーフーするの 5/6:2010/07/08(木) 00:10:58 ID:OLnKTP2Y
「うむ、やはり芋のスープは美味いな」
「でもトゥルーデ、このスープ、ちょっと熱くない?」
「出来立てのスープだからな、当然だ。カールスラント軍人たるものこの程度の熱さで
音を上げてはいかんぞ、エーリカ」
「そうは言われても熱いものは飲めないよ……トゥルーデがフーフーしてくれたら飲めると思うけど。
ねぇトゥルーデ、私のスープにフーフーして」
「な!? い、いきなり何を言い出すのだ貴様は……自分で冷ませばいいだろう」
「だって、トゥルーデが冷ましてくれたほうが美味しそうなんだもん……それとも、トゥルーデは
私のスープにフーフーするのが嫌なの?」
「そ、その上目遣いはやめろ……反則だ」
「トゥルーデがフーフーしてくれたら、やめてあげてもいいよ」
「わ、分かった……フーフーすればいいんだな? ふー、ふー……」
「こ、これでいいか?」
「うん、トゥルーデがフーフーしてくれたから、いつものスープより一段と美味しいよ」
「な、何を馬鹿なことを……」
「今度は私がトゥルーデのスープにフーフーしてあげるね。ふー、ふー……どう、美味しい?」
「あ、ああ……エーリカがフーフーしてくれたおかげでさっきより美味しくなった……」
「えへへ、よかった。トゥルーデが喜んでくれて」
- 353 名前:フーフーするの 6/6:2010/07/08(木) 00:11:47 ID:OLnKTP2Y
「ふぅ、今日も訓練疲れた〜」
「お疲れ様、芳佳ちゃん。ミルクティー淹れたから一緒に飲もう」
「わ〜い、リーネちゃんのミルクティー大好き! いっただきまーす!」
「あ、ちょっと待って、芳佳ちゃん!」
「な、なに?」
「ホットミルクティーだからまだ熱いよ。少し冷まさないと」
「あっ、そっか……そうだよね、あははは……」
「もぅ、芳佳ちゃんったらせっかちなんだから……ちょっと待ってね、ふー、ふー……
はい、これで飲めると思うよ」
「ありがとう、リーネちゃん……うん、すごく美味しい」
「本当?」
「うん、リーネちゃんのミルクティーっていつも美味しいけど今日のはリーネちゃんが
フーフーしてくれたからいつも以上に美味しいよ」
「フーフーで味って変わるのかなぁ?」
「変わるよ。今度は私がリーネちゃんのミルクティー、フーフーしてあげる。
ふー、ふー……どうかな、リーネちゃん」
「……本当だ、芳佳ちゃんの優しさが詰まった味がする……ふふふ、フーフーで味って変わるんだね」
〜Fin〜
- 354 名前:5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2010/07/08(木) 00:13:42 ID:OLnKTP2Y
- 以上です、扶桑以外の国でフーフーの文化ってあるんでしょうか?
いよいよあともうちょっとで2期が始まりますね。
楽しみですね。
- 355 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/07/08(木) 01:13:57 ID:rN8.aawE
- >>354 5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2様
開幕直前GJ! それぞれのフーフーにそれぞれの一番がある!
良いニヤニヤをどうもです。
こんばんは、mxTTnzhmでございます。
最速地域では今夜から2期開始! めでたい! 超ワクワク
と言う事であんまり関係無いネタをひとつ。
ではどうぞ。
- 356 名前:i, my, mine! 01/04:2010/07/08(木) 01:14:28 ID:rN8.aawE
- 昼の訓練が終わった後、芳佳と一緒にひとっ風呂浴びたリーネ。
飲み物を探しに厨房に向かうと、そこには缶詰を手にしかめっ面をするシャーリーの姿があった。
「シャーリーさんどうしたんですか?」
「ああ、リーネに宮藤か。いや、困ったんだよ」
「缶詰の賞味期限切れたとか」
「いや、そう言うんじゃないんだけど……」
「なんでしょう?」
芳佳とリーネから迫られ、言葉に詰まるシャーリー。うーん、と呟くと、困った顔で話し始めた。
「今日、あたし夕食の当番だろ?」
「そうですね」
「でも、あたしが当番って言うと、みんなにテキトーに缶詰配って終わり、みたいな感じになるじゃん?」
「そうですね」
「だから、何かこう、缶詰を使って料理したいと思ったりなんかする訳よ」
「「ええっ!?」」
「なんでそこハモるかねー。前に、これ使って扶桑の料理作って貰ったじゃん?」
「ええ。作りましたね」
「でもあたしには扶桑の料理は出来ないし。何かないかねー」
「うーん……」
困り果てる芳佳、何かを思い付いたリーネ。
「なら、薄くスライスしてソテーして、パンに挟むとか」
「サンドイッチか。悪くないけど、夕食だしさ。もうちょっと手の込んだものを……」
「でしたら、ジャガイモと混ぜて焼いてみては如何でしょう?」
「缶詰肉を、かい?」
「コンビーフとジャガイモを混ぜてハンバーグみたいに焼く料理の事、聞いた事有ります。それの応用で……」
「なるほど! そいつぁ名案だ! よし、リーネ、早速手伝ってくれ! 夕食まで時間が無いぞ! スピード勝負だ!」
「は、はい!」
シャーリーとリーネはいそいそとエプロンを身に付けた。
「でも良いんですかシャーリーさん」
「何が?」
ジャガイモを洗いながら、シャーリーはあっけらかんと答えた。
「コンビーフの代わりに缶詰肉……言い出したのは私ですけど、合うのかなって」
「あはは、気にしない気にしない」
シャーリーは笑って、言葉を続けた。
「どうせ腹の中に入っちまえば皆同じさ。だから大丈夫」
「そう言うもんですかね」
「それにリーネの掩護も有るんだ、きっと大丈夫さ!」
やけに自信満々のシャーリー。
「ブリタニアのお茶とお菓子はともかく……、料理は食べられたものじゃありませんわ。料理のセンスがありませんわ」
「リベリアン。自分の当番なのに、非番のリーネに手伝わせるとは何事だ」
ペリーヌとトゥルーデが揃って厨房を覗き込んだ。
「あー、うるさいのが来たなあ。こっちは真剣に料理中なんだから向こう行った行った」
「ちょっと何ですの、その態度」
「おい、手を動かしてるのはリーネばっかりじゃないか」
「あたしは洗うの苦手だから缶詰を開ける作業に移っただけだ。文句言うなら食うなよ」
「……」
「全く。……ペリーヌ、ちょっと食堂に行くか。先程行った模擬戦について、少々話したい事があるんだが」
「あ、はい。分かりましたわ大尉」
トゥルーデはそれとなくペリーヌを引き連れ、厨房を後にした。
「文句しか言えないのかね、あの二人は」
呆れるシャーリー。
「多分、シャーリーさんとリーネちゃんだから、だと思います。それにバルクホルンさん、気を遣ってた様な」
横で様子を見ていた芳佳が話す。
「どう言う意味だい、それは」
「だって、気になるじゃないですか。ライバルって言うか、仲間の事」
「単純にそうだと良いんだけどね」
五つめの缶詰肉を開けてボウルに放り込むシャーリー。
「ねえ、芳佳ちゃん」
「どうしたのリーネちゃん」
「さっきからシャーリーさんと私の胸ばっかり見てる!」
「ええっ!? そんな事ないよ」
「じゃあ、少しは手伝って」
「わ、分かった」
芳佳は指をわきわきさせながら割烹着を身につけ、調理の和に加わった。
- 357 名前:i, my, mine! 02/04:2010/07/08(木) 01:15:27 ID:rN8.aawE
- 「まず、ジャガイモは蒸し器で蒸かして、皮を剥いて、つぶします」
リーネの言う通り、調理を進める芳佳とシャーリ−。
「缶詰肉も、よく混ざる様によくつぶしましょう」
「こりゃ簡単な作業だね。あたしにも出来るわ。単純な力仕事だったら堅物にやらせた方が……」
「何か言ったかリベリアン?」
「うわ、近くに居たのかよ堅物?」
「食堂に居れば嫌でも話し声は聞こえてくる。今夜はお前の当番だからな。私はあえて何もしないぞ」
「そうやってチラ見するのかい? あたしの事が気になるのかい?」
「そ、そうやって挑発するな! ……でだ、ペリーヌ。お前は稀に背後に隙が生じる事がある。それは」
厨房のすぐ横の食堂でペリーヌと空戦技について話し込むトゥルーデ。
「……微妙にやりにくいな」
「そうですか? バルクホルンさんもペリーヌさんも静かだし、良いじゃないですか」
「まあ、ね。しかし宮藤、手つき良いな」
「扶桑の料理で、似たもの有りますから」
「なるほどね……でも、捏ねる手つきが、なんかな」
「はい?」
「いや、何でもない」
「ハンバーグ風にするには、つなぎに卵を入れたり、炒めたみじん切りの玉葱入れるともっと美味しくなりますけど」
「ついでだ、時間掛からないならやってみよう」
「はい」
「じゃあ私玉葱みじん切りにするね」
「お願い、芳佳ちゃん」
「あたしは何するかな」
「混ぜるまで、付け合わせの料理をひとつ作りましょう」
「おっ良いねえ……なんか、涙出て来た」
「うっ……リーネちゃん優しい。泣けてきますね」
「芳佳ちゃんにシャーリーさん、それ玉葱切った時になるから!」
「あ、そうなの?」
「そう言えばそうだったね」
混ぜた具をぽんぽんと形にし、油を敷いたフライパンで手際良く焼いていく。
「リーネ、ソースとか要らないのか?」
「缶詰肉の塩分で大丈夫かと思いますけど」
「せっかくだからケチャップでも掛けるか」
「その程度なら」
「リーネちゃん、焼けたよ。お皿出してね」
「ウジュワー、いいにおい!」
「あ、ルッキーニ。ちょうど良かった。そろそろメシだぞ」
「シャーリー作ったの?」
「そうだぞ。あたしの……」
言いかけてリーネをちらりと見る。少々複雑な顔をしたリーネを察し、
「いや、あたし達の特製ハンバーグだ」
と言い直し、ルッキーニを抱き上げた。
- 358 名前:i, my, mine! 03/04:2010/07/08(木) 01:15:53 ID:rN8.aawE
- 「ほう、ハンバーグか?」
興味深そうに料理を覗き込む美緒。
「どうぞどうぞ。あたし達の合作だ。遠慮なく食べてくれ!」
一同はナイフとフォークを手に取り、“ハンバーグ”を食べてみた。
「あら、美味しい」
ミーナが少し驚いた顔をする。
「しかし、ただのひき肉ではないな。妙な塩気が……」
一口食べて、首を傾げる美緒。
「少佐、流石ですね。これ、SPEMが入ってるんですよ」
「あの缶詰肉か」
「ええ。ジャガイモと混ぜて、つなぎ入れて、焼いてみたんですよ。どうです? ってアイデアはリーネなんですけどね」
「なかなか美味いぞ、シャーリー。見事だ」
頷く美緒。
「いやあ……」
「シャーリー大尉にしては美味すぎると思ったらリーネと宮藤が手伝ってたノカ」
「美味しいです、シャーリーさん」
北欧コンビから色々言われ、苦笑するシャーリー。
「アイデアは悪くないですわね」
もう一言言いたそうだが、あえて抑制しつつ食を進めるペリーヌ。
「リーネと宮藤が居たからこそ、だぞ?」
釘を刺すトゥルーデ。言いつつも、もくもくとハンバーグを食べている。
「ま、まあね……で、どうよ味は」
「悪くない。だがちょっと味付けがくどいな」
「一言多いね、堅物は」
「おイモの味がして私は好きだなー」
笑顔でハンバーグを食べきるエーリカ。
「シャーリー、おかわり無いの?」
「悪い、人数分しか作ってないんだ」
「なら私のをやろう。食べかけで良いなら食べるが良い」
「ありがとトゥルーデ」
「堅物、気に入らなかったのかい?」
「そう言う意味ではない」
「じゃあどう言う意味だい?」
「言わせるな。……ほら、すぐさまルッキーニのところへ行ってやれ」
「ん? 何で?」
「一切れ落としたとかで、今にも泣きそうだぞ」
「おおっと! 良く見てるね堅物は。じゃ、そう言う事で」
「まったく……」
「トゥルーデは料理良いの? お腹空くよ?」
「少し位平気だ」
少し顔を赤らめるトゥルーデ。笑顔でハンバーグを食べるエーリカ。
一方ルッキーニは半べそをかいていた。慌てて駆け寄るシャーリー。
「ウエーン、シャーリーごめんなさーい」
「どうしたルッキーニ!? 不味かったか?」
「落としちゃった……」
「ああ、食べかけのを床に落としたのか。大丈夫、あたしのをやるよ」
「え、でもシャーリー……」
「あたしは味見で摘み食いしてるから大丈夫。ルッキーニ、あたしの分も食べてくれよ」
「良いの?」
「えっ、シャーリーさん……」
「あの……」
何か言いかけた芳佳とリーネに向かって『何も言わないで』と目くばせすると、ルッキーニに向き直った。
「ほら。たくさん食べて大きくなれよ?」
「うん! いっぱい食べて大きくなる! シャーリーみたいに!」
「ほら、あーん……」
「あーん……ウキュー シャーリーおいしい!」
「あはは、良かったな! 皆でハッピーになろう!」
機嫌良くハンバーグを食べるルッキーニ、笑顔のシャーリーを見て、芳佳とリーネはひそひそ話した。
「確か、摘み食いなんて……」
「一口もしてないのに……」
「で、でもさあ。さすがボリューム満点だね。すごいよ、リーネちゃんにシャーリーさん」
と、ハンバーグを誉めながら何故か胸を見ている芳佳。
- 359 名前:i, my, mine! 04/04:2010/07/08(木) 01:17:43 ID:rN8.aawE
- 夕食後ルッキーニととりとめないお喋りをしていたシャーリーは、ルッキーニがうたた寝したのを見ると
そっと毛布を掛け、自分の寝室に運ぼうとした。
「あの、シャーリー大尉?」
「待てリベリアン」
振り返ると、ペリーヌとトゥルーデが立っていた。
「あれ。二人共どうした? 今更ハンバーグの文句は聞かないよ」
「馬鹿者」
トゥルーデは呆れながら、皿をひとつ差し出した。
「これは……サンドイッチ? 何で堅物とペリーヌが?」
「お前は何も食べてないだろう。これでも食べておけ」
「……バレてたんだ」
「私は仮にも隊の先任尉官だからな。隊員の事は分かっていないとな」
「こう言う時に、そう言われてもね」
「そもそも、このサンドイッチはペリーヌが気を利かせて作ったんだ。礼はペリーヌに言うんだな」
「あ、ああ。ありがとな」
「いえ、ただ、具材を挟むだけですから、わたくしにもその位は」
「料理はセンスだって、言ってなかったかい?」
少しからかいながら、シャーリーはサンドイッチを頬張った。
「うん。美味いよ。ありがとな」
「では、わたくしはこれで」
「私も戻る。やる事が有るからな」
「うい。ありがとな」
照れ隠しにすたすたと早歩きで去っていくペリーヌ、ふっと笑みを見せた後、部屋に戻るトゥルーデ。
「まったく……」
残りのサンドイッチをもぐもぐと食べ尽くす。
「悪いね、二人共」
そう言うと、横で寝ているルッキーニに目をやった。
「もっと、大きくなって欲しいね」
可愛いおでこにそっと、軽いキスをした。
end
--
以上です。
第2シーズン開幕直前にお邪魔しました。
間も無くですね。楽しみです。
ではまた〜。
- 360 名前:名無しさん:2010/07/08(木) 13:49:14 ID:IyIpyO4Y
- >>354
フーフーでにやにやできました。
すごく微笑ましいです。
GJ!
>>
シャッキーには鉄板!
それはそうとお腹がすきましたw
GJです!
- 361 名前:名無しさん:2010/07/08(木) 21:53:11 ID:RKA6NgGg
- >>354 5uxL6QIl様
これはすばらしいバカップルっぷりですね〜(褒め言葉
ニヤニヤが止まりません。ごちそうさまでした。
>>359 mxTTnzhm様
シャーリーが料理するっていったときの芳リーネの反応ワロタw
シャッキーニは本当いい親子ですね。和みます。
- 362 名前:名無しさん:2010/07/10(土) 02:52:54 ID:XF.Ytx6.
- 2期の1話を見て真っ先に思ったんだがシャッキーニが無人島でいちゃいちゃしてたSSあった希ガス
そんでもっさんが見つけるオチだったと思うんだけど1話の展開と頭の中で被って仕方が無かった
シャッキーニに脳を犯されてるわ
- 363 名前:名無しさん:2010/07/10(土) 03:56:40 ID:kYsJ6oeM
- BSで見てたがなんかもういろいろと素晴らしかった
- 364 名前:名無しさん:2010/07/11(日) 01:18:55 ID:9UqhuV0c
- みっちゃんちょっとかわいそうだった
- 365 名前:名無しさん:2010/07/11(日) 01:54:24 ID:igMvUrD6
- かわいそうではあるけど、きっちり軍ヲタになってるみっちゃんにちょっと吹いた。
- 366 名前:名無しさん:2010/07/11(日) 02:00:46 ID:oksqYfY6
- 軍ヲタネタはドラマCD発だっけ
- 367 名前:名無しさん:2010/07/11(日) 06:08:42 ID:RD64UqnE
- みっちゃんはもともと軍オタじゃなかったっけ?
- 368 名前:名無しさん:2010/07/11(日) 06:50:48 ID:X3TfDZ1g
- みっちゃんって言うか女学生の大半がウィッチ憧れていて、みっちゃんのみ軍ヲタ。
ドラマCDで土方と艦船話で盛り上がってたから。
- 369 名前:名無しさん:2010/07/11(日) 07:01:14 ID:X3TfDZ1g
- カールスラントの昼はほの暗い。
それが晩秋のテンペルホーフ空軍基地となればなおのことだ。
その晩秋の曇天を白い閃光が塗り潰す。
ついでに轟音が鳴り響き、小規模の爆発音が追走する。
歩哨が一瞬足を止めるが、またか、と溜め息一つで任務に戻る。
ここはテンペルホーフ空軍基地。
地から天へと雷鳴が昇る基地。
轟音を司令室で聞き、ハンナ・ルーデル大佐は今週三回目の補給物資陳情書の下書きを始めた。
直後、司令室を目指し甲高い足音が響いてくる。
下書きを机の引き出しにしまい立ち上がり扉に向かいつつ数を数える。
一つ、足音が近づく。
二つ、空気が帯電し始める。
三つ、司令室の扉が蝶番を引きちぎり内側の壁にめり込む。
四つ、甲高い声が響く前に、その発生源をふさぐ、自分自身の口で。
五つ、噛み付かれないように注意しながら、目標の弱点を己の舌で蹂躙する。
それから、ゆっくり10数え大きな音と共に舌を抜き取る。
まず、快楽に砕けた腰が下がり、力の入っていない脚が立つ事を放棄する。
ほうっておけば転けるのは明らかだ。
しかし、そうはならなかった。
「大佐。お戯れが過ぎます」
凍らせた薔薇の美貌が背後から、支えたからだ。
「今更だアーデルハイド、この司令室を四度も壊されてはかなわないからな。」
熱烈な口付けを交わした後だと言うのにルーデルは眉一つ動かさずに、その薔薇の秘書官告げる。
「扉のみの破壊を数に含むならば19度目になります」
「律儀だなアーデルハイド」
「出来れば次回以降は二人の時に決着を付けて下さい」
「は、ベッドの上では私の一人勝ちになるからな」
「存じております。上がる前も上がった今も航空魔女に撃墜された事が無いのが大佐の自慢ですから」
「そう褒めるなアーデルハイド。仕事を続けたいそのシャルトリューには轡を噛まして縛り上げ私の部屋に転がしておけ」
「何時もの縛り方でよろしいでしょうか」
「カールスラント軍正式の捕縛術も美しいが扶桑のなんと言ったか米俵を縛る縛り方を頼む」
「了解しました大佐。亀甲縛りですね」
ネウロイの脅威がオストマルク国境に下がった今、カールスラントは平和であった。
一人のガリア令嬢の除き
- 370 名前:名無しさん:2010/07/11(日) 07:03:53 ID:X3TfDZ1g
- はじめてSS投下させてもらいました。
カップリングはルーデル×ペリーヌになります。
- 371 名前:名無しさん:2010/07/11(日) 11:45:13 ID:vLG4F9m6
- 本スレ新スレ立ったよ
ストライクウィッチーズでレズ百合萌えpart30
http://babiru.bbspink.com/test/read.cgi/lesbian/1278760395/
- 372 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/07/11(日) 17:54:51 ID:MA9RlUpY
- こんばんは、mxTTnzhmでございます。
いよいよ2期開始しましたね! 早く第2話が見たいです。
と言う事で時事ネタ的なものをひとつ。
ではどうぞ。
- 373 名前:duty:2010/07/11(日) 17:57:17 ID:MA9RlUpY
- 「と、言う訳でこれより選挙を行います」
「イエーイエー」
「おいちょっと待て、選挙って何だ? 一体何の選挙だ?」
「あらトゥルーデ、何も知らないの?」
「何も聞いてないが」
「やっぱり。実は何の選挙をするか決めてなかったの。ふふふ」
「ふふふじゃないだろミーナ! 無茶をするんじゃない」
「じゃあ、こうしましょう。誰が隊長に相応しいか、候補を募って投票……」
「してどうするんだ? ヘンな結果が出たらどうする?」
「その時は……」
「MG42しまってくれないか。物騒だから」
「じゃあ候補を募ります。皆さん、立候補お願いしますね」
「ウジャー あたし出る!」
「おいおい、ルッキーニ、隊長に立候補するのかよ?」
「知らないの? あたし、ロマーニャのゆーしゅーな若い少尉なんだよ?」
「……まあ、そうだろうけどあんまり年齢の事は言わない方がイイと思うぞ」
「シャーリー、あたし応援してね?」
「うーん……まあ、いいのかなあ」
「じゃあ、出ます」
「さ、サーニャも立候補するノカ?」
「ううん、私じゃなくてエイラが」
「えッ他薦アリ?」
「じゃあ私も出る〜」
「ならば私も出よう」
「ではわたくしも」
「なんか凄い事になってきたね、リーネちゃん」
「芳佳ちゃんは出るの?」
「出ないに決まってるよ! リーネちゃんは?」
「私も、なんか隊長とかまでは……」
「はっはっは、二人共弱気ではいかん、皆を見習え、この向上心!」
「えっこれって向上心なんですか?」
「と言う訳でミーナ、私も含めて三名追加だ!」
「その……、居酒屋の席取りみたいなノリ止めて貰えますか坂本さん」
「あら、隊の殆どが立候補したのね。じゃあ黒板に名前を書いていきますね……」
「……さりげなくミーナも立候補してるんだな」
「さて。ではここに投票用紙が有りますから、名前を書いて下さいね」
「この『氏名』って欄は何?」
「投票者の氏名に決まってるじゃないの」
「無記名投票じゃないのか!?」
「それって何かコワイ」
「そんな事ないわよ〜」
「だからMG42かたせって! 要らないだろ!」
「じゃあ投票してね。投票箱はこっちね」
「何の罰ゲームよ、これ……」
「はい、みんな書けたわね? では開票するわよ」
「えっもう?」
「何か、学校のクラス委員決めるみたいダナ」
「あらあら、見事に票がばらけたわね。では得票の多かったルッキーニさんとエイラさん、坂本少佐で決戦投票を」
「多いって、皆二票しか……」
「ちょっと待って下さいミーナ中佐! 候補者も自分に入れていいんですか?」
「良いんです」
「えーっ!?」
「あら、間違いが有ったら訂正しても良いのよ? 私の名前を書いてくれても良いし」
「うう、そう言われると何か心苦しい……」
「あら、私も二票になったから、決選投票ね!」
「決戦でも何でもナイジャナイカ」
「じゃあ投票してね」
「やたー! あたしが隊長!」
「ウソだろ……ルッキーニが隊長だなんて」
「誰ダヨ票入れたノ?」
「あたしとルッキーニ位しか……」
「これは不正だ! やり直しを要求する!」
「異議は認めません。決定事項です」
「だからミーナ、MG42しまえって!」
「で、ミーナ中佐、あたし隊長で何すればいいの? みんなをスキにできるの?」
「それじゃゲームだろ……しかも宴会とかの」
「じゃあ、はい、これ♪」
「え? 掃除用具……なにこれ?」
「今日一日、ルッキーニさんはトイレ掃除の隊長さんね。じゃあよろしく♪」
「ギニャー! 何も悪い事してないのに!」
「まあ、目立ち過ぎは良くないと言う事だな」
「そう言う坂本さん、二位だったじゃないですか」
「気にするな」
「しますよ」
「501はもうだめだ……」
そんな、午後の気怠いひととき。
end
- 374 名前:名無しさん:2010/07/11(日) 17:59:05 ID:MA9RlUpY
- 以上です。
今日は参議院選挙の投票日! 有権者の方は是非投票に!
と言う事で? 適当に書いてみました。
所要時間ざっと20分位。超適当ですが……。
ミーナさんが崩壊気味なのはいつもの事と言う事で。
ではまた〜。
- 375 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/07/11(日) 21:24:21 ID:MA9RlUpY
- どうもたびたびこんばんは、mxTTnzhmでございます。
タイムアタック! と言う事で10分でどれだけ書けるかチャレンジしてみました。
SSと呼べるのか、百合と呼べるのか分かりませんがとりあえず投下。
- 376 名前:ceramic heart:2010/07/11(日) 21:25:32 ID:MA9RlUpY
- あたいの相棒……いや、主はとっても面白い。
なんたってスピード命。スキを見ては速度勝負。帰りの速さを仲間と競う事も。普段はマイペースなんだけどね。
で、それが原因であたい共々原隊から放り出される感じで501に来たんだけど、ここって結構いいとこなのよ。
ずらりと居並ぶ各国の精鋭達。
最初はちょっと気後れもしたけど、あたい達のスピードに皆メロメロ。
あたいの主は、ことあるごとにいじくり回して、なんとか速度上げようと必死。
でも結構きついんのよ。エーテル噴流型なら可能性は有るけど、そうじゃないから。
ああそうだ、気に食わない奴もいる。あのロマーニャのちっこい奴。あいつむかつく。
この前なんかあたいをぶっ倒してバラバラにした挙げ句テキトーに組んで逃げやがった。
だけど不思議な事に、その時だけ……すんごい速くなった。
音速超えたのかも。
主もすんごい喜んでた。でも、その後もう一度頑張ろうとして、結局出来ず終いな感じでヘコんでた。
だけど最速なのは嬉しいね。主が嬉しいと、あたいも嬉しい。
あたいは誰かって? もう分かってるでしょ?
音速のリベリアンこと、シャーロット・E・イェーガーのストライカーユニット、P-51Dさ。
今日も音速目指して主の脚となり空を駆け巡る。一心同体となってね。
もう一度音速を超える、その事を目指して。
主の太もも、最近ちょっとだけきつくなったって内緒だよ。でもカワイイ主だから許す。
end
- 377 名前:名無しさん:2010/07/11(日) 21:26:31 ID:MA9RlUpY
- 以上です。
ストライカーユニットが主人公のSSってそんなに無い様な気がして、
ちょこっと書いてみたんですが如何でしょう。
「そこは使い魔だろ!」と言うツッコミは無しでお願いしますw;
ではまた〜。
- 378 名前:名無しさん:2010/07/12(月) 00:11:19 ID:QQBhOJPY
- >>370
なんか久し振りにエロスなのがきたきがしますw
経緯と続きを希望!
>>377
20分とか10分っていうのはすごいなですね。
って言うかルッキーニ頑張れw
そういえば船は女性として表す慣習はあるけれど、飛行機ってどうなんだろう?
シャーリーの場合はソードフィッシュのこともあるしやっぱり女性なのかな。
- 379 名前:ルーデル×ペリーヌの作者:2010/07/12(月) 00:39:46 ID:y2/zt3d2
- >>378
感想感謝します。
こいつは元々ペリーヌ好きの友人に送った物なんですよ。
経緯はどっかで見た現実のクロステルマンとルーデルが戦後に友好を深めたって所から妄想を広げてみました。
- 380 名前:リーネの秘密任務:2010/07/12(月) 00:52:07 ID:y2/zt3d2
- 消灯時間を少し過ぎた時間。
リネット・ビショップ軍曹は週に一度の秘密任務を遂行するべく戦場へ単身向かった。
任務を阻害しかねない悪戯「仔猫」には就寝前に実家のセバスチャンに取り寄せさせた、象でもイチコロ殺しても起きない! がキャッチコピーの睡眠薬入りのフィッシュ&チップスを何時も通り与えておいたから大丈夫だろう。
回を重ねる毎に利きが悪くなっているので対策が必要かも知れない。
脳内で以後の対策を考えていたら戦場に到着した。
本来ならばボイラーに火を入れたいが、感の鋭いババ……中隊長にバレかねないので、中継地点で確保した薬缶で我慢する。
任務を達成するべく着衣を脱ぐ、芳香ちゃんが着任してから胸が成長する速度が増した。
可愛いブラが付けられなくなったのは恨めしいが、私の胸を揉む芳香ちゃんの至福の表情を見れるのだから諦めよう。
薬缶のお湯を洗面器に移し、タオルを浸し蒸しタオルを作る。
初めてした時に蒸しタオルを作らなくて血まみれになって酷い目に遭ってからの教訓だ。
蒸しタオルを目標に当て少し待機する。
ここで焦ってはまた血まみれになる、我慢我慢。
剃刀を構え始めようとしたその時。
「あっれ〜? リーネ何やってるのさ?」
胸にSPEMを詰め込んだリベ公が乱入しやがった。
「ええっと……」
想定外の事態に頭がついていかない。
シャーリーがリーネが手にしている剃刀を見て。
「! だ、誰か! リネット軍曹が自殺しようとしている!!」
ちゃっ、この脳SPEM何絶叫しやがりますか!?
次のお茶会でエンジンオイル混ぜてやる。
近寄ってくる破滅の足音を聞きながらリーネは復讐を胸に誓うのだった。
ステポテチーン
- 381 名前:6Qn3fxtl:2010/07/12(月) 01:12:04 ID:vP1UZ8DY
- >>370
これはドキドキするカップリングですね。
続きが楽しみです。GJ!
>>374
時事ネタwww ミーナ隊長、大人気ないw
ルッキーニ、がんばれ。
>>377
ストライカー擬人化ですか。そういえばなかったかも。
でもシャーリーの恋人ですしw
どうも。6Qn3fxtlです。2期は竹井さんや504の面々も登場してますます
賑やかになりそうですね。
っということで、訓練生時代の竹井さん、坂本さんを妄想してみました。
2レスお借りします。
- 382 名前:一人じゃ泣きそうな(1/2) @ 6Qn3fxtl:2010/07/12(月) 01:13:42 ID:vP1UZ8DY
- 一人じゃ泣きそうな
裏山の桜がきれいだったから。
私の大好きな坂本先輩はそういってこっそり学校を抜けだした。
そんなことはだめだって、規則違反だって何度も何度も言ったのに、
坂本先輩はそんなことお構いなしに、いつも通り豪快に笑い飛ばして、
その上、「お前も来るか?」なんて事もなげにいってくるのだ。
そんな言葉と一緒に差し出された手は、なんだかすごく大きいようで、
安心できるようで――。
そうして、違反者がもう一人増えた。
「さっ、坂本先輩っ……!待ってくださいよぉ……!」
「はっはっは!醇子、こんなもので音を上げてるようじゃ
この先の訓練は務まらんぞ!」
「そっ、そんなこといっても……!」
誰かに見つかりはしないかとひやひやしながらの私とは対照的に、
坂本先輩はさも慣れた道であるように、足場の悪い山道を
ひょいひょいと軽やかに登っていく。
「誰かに見つかったらどうするんですかっ……!」
「大丈夫だ。こんなところまで誰も来ない」
「そうかもしれませんけどっ……!」
去年の4月に、新入生の教育係である坂本先輩に出会って。
一年間、訓練のことから寮生活の悩みまでいろんなことの相談に乗ってもらって。
いつも親身に、時に厳しく教えてもらったけど、
その度に「豪快な人だなぁ」っていう印象を抱かせる人だった。
いろんなことを考えすぎるところのある私はいつも坂本先輩に
引っ張られていくようで、一緒にいると楽しいけれどちょっと
気圧されるようなところがある。
……軍隊って、こんな人ばっかりなんだろうか。
この先がちょっと不安になる。
「ほら、もうすぐだぞ、早く来い!」
「あっ、はいっ!」
坂の上から坂本先輩の声が飛んでくる。
力を振り絞って、ようやく坂本先輩に追いつくと、そこにあったのは――。
「……すごい……きれい」
坂の上にあったのは、青い空をバックにした満開の大きな桜の木。
眼下には私たちの街が見え、その先に大きな海が広がる。
「きれいだろう?」
坂本先輩がにっと笑う。
「ここからは街全体が見渡せるんだ。その先には海も見えるしな」
「全然、知りませんでした……」
「地元の人間でも知る者はほとんどいない、秘密の展望台だな」
坂本先輩は近くの岩に腰を下ろして、私をその横に誘ってくれた。
「はい。お茶です」
「ありがとう。気がきくな」
こっそり持ってきたお茶とお団子を食べながら、二人できれいな景色を眺める。
「先輩は、よくここに?」
「ん?あぁ。訓練や勉強に煮詰まったときに時々な」
「えっ?」
先輩が煮詰まるとこなんて……失礼だけど全く想像できない。
「信じられない、という顔をしているな」
「すっ、すいません!」
「私だって、一人の学生でしかないからな」
そういって坂本先輩は苦笑した。
「私だって、訓練が辛いときもある。うまく出来ない自分に、
歯がゆさや未熟さを感じることだってある。
そんなとき、私はここにきて、この街と広い海を眺める。
自分が何処に向かっているのか、誰のために戦おうとしているのか、忘れないようにな」
「誰のために……」
やっぱり、先輩はすごい。私は未だに訓練や勉強に必死についていく毎日で、
自分のことで精一杯で、自分が何のために軍に入ったのか、
何を目指して、誰を守ろうとしているのかなんて、考える暇もなかった。
「……と、まぁ、格好のいいことをいってるが、要するにサボりを正当化しとるだけだ!」
坂本先輩のわっはっはという大きな笑い声が山に響く。
その言い方がなんだか妙におかしくて、私もつられて笑ってしまう。
- 383 名前:一人じゃ泣きそうな(2/2) @ 6Qn3fxtl:2010/07/12(月) 01:15:41 ID:vP1UZ8DY
- 「そうそう、醇子。お前ももっと笑わなきゃだめだ」
「えっ?」
「醇子は真面目で熱心なのはいいが、いかんせん硬すぎる。
もっと肩の力をぬいて、しなやかさを持っていないと大切な局面で折れてしまうぞ」
しなやかさ……。
でも、士官学校での毎日にようやくついて行っているような私に、
先輩みたいな余裕や大胆さなんて、そう簡単に身につくわけない。
「そうだな……。まず、その『坂本先輩』というのを止めてくれないか。
どうにも堅苦しくてかなわん」
「えっ……でも、あの……いいんですか?」
「訓練中や指導中はなかなかそうもいかんだろうが、
こうして二人でいるときぐらいは名前で呼んでくれていい」
「はぁ……」
いくらお互いに階級で呼び合わない海軍だとはいえ、
下級生が先輩を名前で呼ぶなんてことはやっぱりとんでもないことで、
それをさも当然のように求めてくる坂本先輩というのはやはり
大物だというか、大胆だというか……。
でも、その大胆さも、少しは見習うべきなのかもしれない。
「わかりました、せんぱ……いえ、坂本さん」
「美緒だ」
驚いて振り向いた私を坂本さんがまっすぐ見つめている。
「美緒でいい。お前は後輩だが、共に学ぶ仲間なんだからな」
「はい……!美緒さん!」
「美緒さん……か」
私の答えに、美緒さんがちょっと困ったような複雑な顔をする。
「だめでしたか……?」
「大分よくなったが、まだ硬いな。ま、そこはおいおい直していけばいいか」
「が、がんばります」
その時、学校のほうから大きなサイレンの音が聞こえた。
「緊急招集!?」
「脱走したのがバレたかな。醇子、1週間の謹慎くらいは覚悟しておけよ?」
「はいっ!大丈夫ですっ!」
私の声が思いのほか明るかったからか、美緒さんはちょっとびっくりした顔をしてから、いつものように優しく笑った。
fin.
−−−−−
以上です。この後の回ではもっさんと竹井さんのからみが出てくるんでしょうかね。
楽しみです。
- 384 名前:名無しさん:2010/07/12(月) 01:47:33 ID:3rUpO9I.
- >>383
GJ! 若い時代の坂本さんと醇子さんイイ感じ!
これが後のもっさんとジュンジュンになるんですね。
- 385 名前:名無しさん:2010/07/12(月) 03:11:28 ID:QQBhOJPY
- >>380
剃刀を使って何の手入れをするつもりだったのか?
非常に気になりますw
でも自分は白リーネ派なんでリーネちゃんをあんまり黒くしちゃいやんw
>>383
もっちゃんとじゅんじゅんのセーラー&『服』姿が思い浮かびます。
「美緒」と呼び捨てにすることのできる次の一歩は戦場でだったりするのかな?
GJです!
- 386 名前:HEART TO HEART:2010/07/12(月) 09:16:25 ID:hEygx.1s
- ねぇね、聞いてよ。
うん、そう。またなの。今月何度目だって話。
死にかけた。
うん、今はへいき。だから心配しないでいいよ。
けど、今度という今度はほんとにあぶなくって、もうちょっとでスクラップになるとこだったわ。
え? あいつの方はどうかって?
あー、ぴんぴんしてるわよ。いやんなるくらい。
ニパのやつ、自分はいくらけがしても平気だからって、こっちのことはおかまいなしなんだもの。
まったく、わたしのことなんだと思ってるのかしらね。つきあわされるこっちがたまったもんじゃないわ。
これでも一般庶民には一生手のとどかない高級品よ高級品。
腕はけっして悪くないんだから、なおのことたちが悪いんじゃないの。
それにくらべておねえちゃんはいいよね。絶対に被弾しないパートナーなんて。
わかりっこないよね、おねえちゃんには。わたしの気持ちなんて。
被弾したときの意識がぶっ飛ぶようないたみや、ボディが傷つくかなしみ。そういうのわかる?
いいえ、ぜったいわからないわ。
もう、なぐさめないでよ。口ばっかり。
あーあ。あたしのパートナーが――
あ、やっぱ今のなし。
ちがうー! そんなんじゃない! おねえちゃんがかわいそうになっただけ!
交換してなんて言ってないでしょ? どうしてそうなるかな。だいたいどうやって交換するわけ?
なに笑ってるのよ。
……もういい。
あーっ。それもこれもぜんぶニパのせいなんだから!
ねぇ、ちゃんと聞いてる?
それでね、ニパっていえば……ああっ、思い出しただけで腹たつ。
ああ、ごめんごめん。
えっと、基地に帰投した時の話ね。
ポクルイーシキン大尉が仁王立ちでハンガーに待ちかまえててね、ニパったら背中に冷や汗かいちゃって。
それで第一声に「なんか壊れたみたいです」だって。
ちがうでしょ! 「壊れた」じゃなくて「壊した」よ! わたしは壊されたの!
そう! そうなの! 言ってみれば被害者よわたしは。
なのにニパってば「しょうがない」だの「どうしようもなかった」だの口から出てくるのはいいわけばかり。
加害者意識ゼロってありえなくない? 責任とれって話よ。
もちろん大尉はきっちり反論してくれたわ。わたしよりずっと論理的にね。
ああ、わたしのことわかってくれるのはポクルイーシキン大尉だけよ。
もしあの人がいなかったらわたしは何度溶鉱炉をいったりきたりしてることか。
それにはニパもだんだんいたたまれなくなっちゃって、言うにことかいて「私だけじゃないだろ!」よ。
なんなのそれ!?
ひどいと思わない? 思うっしょ?
――ま、たしかにここには壊し屋さんがせいぞろいしているけれど。
502ではブレイクウィッチーズ被害者の会の設立を検討中よ……って話を戻すわね。
それにはとうとう、いつもはやさしい大尉のきげんもななめっちゃって。
そのあとみっちりお説教されてたわ。バツ当番もね。ホントいい気味。
今日はいろいろとぐち聞いてくれてありがと。楽しかったわ。
ためこんでちゃだめね。ストレスで機体がきしみそう。
じゃあね。また同じ空でごいっしょできることを祈って。
そうそ、ニパもイッルにすっごく会いたがっているわよ。
Bf109G-6よりBf109G-2へ
- 387 名前:名無しさん:2010/07/12(月) 09:18:23 ID:hEygx.1s
- 以上です。
>>376というぶっ飛んだ(褒め言葉)SS読んでたらこんな電波を受信しました。
なんだかロリっぽいのは単なる俺の趣味ですが、実際のBf109G-6たんは
カールスラント的にもっと委員長委員長してるはず。すいません。
- 388 名前:名無しさん:2010/07/12(月) 09:54:04 ID:vvq9HWyo
- もうラッシュが開始されつつあるのか…!
- 389 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/07/12(月) 22:37:42 ID:L6bUbtMg
- >>383 6Qn3fxtl様
改めてGJ! もっさんは昔から凛々しく、竹井さんは優しいんですね。
>>387様
GJ! これは良い雰囲気! 擬人化はストライカーユニットもアリですね!
あと、私のSSが何かの切欠になって頂けたならこれ以上嬉しい事は無いです。
どうも有り難う御座います。
こんばんは、mxTTnzhmでございます。
今夜もタイムアタック! と言う事で30分でどれだけ書けるかチャレンジしてみました。
まあ実際には40分以上掛かってしまったんですけど。
結構雑ですが、とりあえず投下します。
- 390 名前:kiss me, kiss you:2010/07/12(月) 22:39:27 ID:L6bUbtMg
- フラフラと廊下を彷徨い歩くエイラ。寝不足か、はたまた疲労か、顔は心なしかやつれ、生気がない。
「あれ、エイラさんどうしたんですか? 朝食まだ食べてないんじゃ……エイラさん?」
食堂から出て来た芳佳が、エイラの異変に気付く。慌ててエイラの手を握る。
……アタタカイ。
エイラは突然芳佳を全力で抱きしめ、鯖折りに近い状態で拘束すると、芳佳に濃いキスをした。
「んんっ……くっ……ぷはあ」
長いキスを終えると、手を緩めた。芳佳は慌てて離れ、わなわなと震えた。
「……な、な、何するんですかエイラさん!? いきなり酷いです!」
「宮藤、カ……」
まるで感触で相手を判断したかの如く、虚ろな目を彷徨わせ舌なめずりするエイラ。
「え、エイラさん? ちょっとと言うか凄くおかしいですよ? 一体どうしたんですか?」
「宮藤は一度でイイヤ」
「ええっ? どう言う事ですか」
そこに、食堂から出て来たウィッチ達が二人を見つけた。
「た、大変です皆さん!」
「どしたの芳佳ぁ?」
「エイラさんが、エイラさんがヘンなんです!」
「そりゃいつもの事だろ」
「違うんです、そうじゃなくて!」
ふと気付くと、ルッキーニの姿が無い。あれ? と辺りを見る一同。エイラは廊下の隅でルッキーニを同じくきつく抱きしめキスをしていた。
「ぐふっ……たたた、助けてシャーリー!」
「おい! 何やってんだエイラ!」
口を拭ってシャーリーのもとに走るルッキーニ。しかしそれよりも早く、エイラはシャーリーの唇を奪っていた。
「うぷっ……う……」
全力でエイラを引きはがし、口を拭うシャーリー。
「いきなり何だ、エイラ!?」
「ヴァー あたしのシャーリー……」
「あたしだって大切なルッキーニを……おいエイラ、これはどう言う事だ?」
「ルッキーニにシャーリー大尉カ。まずまずダナ」
「何だって?」
「ちょっと皆さん、朝から何を騒いでますの?」
「あ、ペリーヌ来ちゃダメ……って遅かったか」
言う暇も無くエイラの餌食になったペリーヌはしおしおと腰を落とし、一体何が起きたのか理解出来ずただ絶望した。
「え、エイラさんに……そんな」
「エイラ、どうしたんだ?」
「マアマア満足ってとこカナ?」
「はあ?」
「エイラ待て!」
「あ、でもうかつに近付くとまたエイラさんに……」
「なんだか手当たり次第に噛んでくる犬みたいだな。どうすんだよ」
「どうした。騒がしいな」
「あ、坂本さん」
「エイラがどうかし……」
襲い来るエイラを本能的に察知した美緒は、たまたま手にしていた扶桑刀を瞬時に抜き放った。
交錯する身体。
美緒の唇に触れる直前でエイラはがくりと姿勢を崩し、倒れ込んだ。
「ちょ、ちょっと少佐?」
「まさかマジ斬りとか」
「軽い峰打ちだ。居合いの要領でな」
「凄い殺気だったね」
「で、エイラがどうしたんだ?」
「えっ? 斬ってから気付くんですか坂本さん?」
「なんか、エイラさんがキス魔に」
「手当たり次第に襲って来たんですよ」
「わたくし……暫く立ち直れそうにありませんわ」
「あ、エイラ。ここに居た」
一同が振り向くと、下着姿のサーニャがぽつんと立っていた。
「あ、サーニャちゃん。夜間哨戒明けで、寝て無くていいの?」
「大丈夫。エイラを連れに来たから」
「え?」
「エイラが何かしてたら、ごめんなさい」
眠そうな目をしたまま、サーニャは気を失ったエイラをずるずると引きずって、エイラの部屋に籠もってしまった。
「一体、何だったんだ……」
「サーニャにも話を聞きたかったが……うーむ」
一同はただ呆気に取られた。皆揃って、唇を服でごしごしと擦った。
「さあ、エイラ。おいで」
「サーニャぁぁぁ」
エイラは呼ばれると条件反射の如く、サーニャの首筋に唇を這わせ、そのままキスをした。
「やっぱりサーニャが一番ダヨ」
「ふふ。可愛いエイラ。もう他の人にしちゃだめだからね?」
「したいケド、サーニャが言うナラ、絶対シナイ」
「うふふ。可愛いエイラ。おいで、私のエイラ……」
エイラは甘える子猫の如く、サーニャに抱きついた。自然に受け容れるサーニャ。
机の上には、「今日から貴方も出来る! 催眠術」と書かれたぼろぼろな本が置いてあった。
この本がどうして此処に有るのか、エイラに何が起きたのか、知るのはサーニャただ一人。
「エイラを愛するのは、この私だけで、いい」
エイラのキスを受けながら、サーニャはふふふ、と笑った。
end
- 391 名前:名無しさん:2010/07/12(月) 22:40:03 ID:L6bUbtMg
- 以上です。
「○○がキス魔に」と言うネタは皆さんやられていますが、
じゃあエイラは? 原因は? と思って書いてみました。
ではまた〜。
- 392 名前:名無しさん:2010/07/12(月) 23:00:55 ID:inkbs1fU
- サーニャ…、恐ろしい子…!
- 393 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/07/12(月) 23:52:31 ID:L6bUbtMg
- たびたびこんばんは、mxTTnzhmでございます。
>>390「kiss me, kiss you」のオチですが、ちょっとアレかなーと思い
ちょっと加筆的な感じで書いてみました。
より悪化したかも知れませんが(汗
と言う訳で>>390「kiss me, kiss you」の続きです。
ではどうぞ。
- 394 名前:kiss me, more:2010/07/12(月) 23:54:18 ID:L6bUbtMg
- 「ハ? 私ガ、キス魔ニ? 冗談言うなヨ」
エイラは笑って否定した。
「プンプン! エイラあたしに無理矢理キスした!」
「あたしも見てたっていうかされたぞ」
「わたくし、舌も入れられて……」
「エイラさん、いきなり酷いです」
ルッキーニ、シャーリー、ペリーヌ、芳佳から詰め寄られ、只ならぬ気配を感ずるエイラ。
「え、イヤ……私は全然覚えが無いゾ。イヤ本当ニ」
「エイラお前、もしかして酔っ払ってたか?」
「そんな筈無いに決まってるダロ!? もし仮に酔ってキスしたら酒臭い筈ジャナイカ」
「そう言われれば……特に何も」
「でもあたし達にキスしたのは事実なんだから、認めてよね!」
詰め寄るルッキーニ。
「認めろって言われてもナー。私に記憶が無い以上はどうニモ」
「私に斬られた記憶はないのか?」
「うわッ、少佐。何で少佐ガ?」
ぬっと現れた美緒を見てエイラは驚いた。
「エイラ、お前は私にも飛び掛かって来たんだぞ。まあ、峰打ちで済ませたが。痣は出来てないか」
「エッ!?」
言われて腹の辺りを探ると……微かに痣らしきものが直線で引かれた様に付けられていた。
「私もこの目でお前の奇行を見た。これだけ目撃者と被害者が居るんだ。いきさつを説明して貰おうじゃないか」
「ちょっちょっと待ってくれ皆! 私、全然記憶が無いシ……」
「言い逃れは許されんぞ。酩酊状態で犯行に及んだのなら尚更タチが悪い」
「そ、そんなァ!」
「……それで、自室禁固一日の処罰を受けたの?」
「アア。すんごい納得いかないゾ」
エイラの部屋で会話する、エイラとサーニャ。サーニャは食事を運ぶ役として特別に入室を許可されたのだ。
「昨日の夜から何にも覚えてないシ、特に変わった事も無かったシ……サーニャもそう思うダロ?」
「エイラ……」
「大丈夫、一日なんてすぐだからまた元通りになるッテ。……ただ、何でこうなったのかだけはさっぱり分からないケド」
「……」
「そんな悲しそうな顔スルナヨ、サーニャ。私がついてル」
「ごめん、なさい」
「へっ?」
サーニャは机の上に置いてあった、古びた本を見せた。
「あれ? これは確か本棚にしまってあった……」
「私、読んだの」
「サーニャガ?」
「私、試したの」
「サーニャガ?」
「エイラで」
「サーニャガ? ってえええエッ!? 試したって一体何ヲ!?」
「エイラに、もっと愛されます様にって。でもなんかどこかおかしかったみたいで、エイラ、起きたら廊下に出て……」
「じゃあ、皆にキスしたのは本当だったのカ……」
「エイラで遊ぶつもりじゃなかったの。ごめんなさい」
「いや、まァ……」
答えに困るエイラ。
「私、ただ純粋に、エイラが欲しくて。でも、うまくいかなかった。みんなにも迷惑掛けたし……」
「何処行くんだサーニャ?」
「ミーナ隊長に話してくる。元はと言えば、全部、私のせいだから」
「サーニャ待っテ」
エイラは、ドアノブを掴みかけたサーニャの手を取ると、そのままベッドに連れ帰った。
「確かに、サーニャは共犯者かもしれナイ」
「うん」
「でも悪いのは私ダ」
「だけどそれじゃエイラが可哀相過ぎる! 自分の意志じゃないのにみんなを襲って……それは明らかな事実だし」
「だからってサーニャが可哀相な目に遭うのハ、私ガ絶対に許さなイ」
「エイラ」
「例え悪戯したからってサーニャが怒られるのモ、サーニャまでヘンな目で見られるのモ、どっちも許せなイ」
「……」
「だかラ、私ガサーニャの分まで、背負うヨ。真実を知る事も大切ダケド、それで全てが解決するとは限らナイ」
「でも、嫌われるよ、エイラ。エイラは悪くないのに」
「構わないヨ。サーニャが変わらず私を好きで居てくれるナラ。だから行かないでサーニャ」
「エイラ……ごめんなさい」
涙をぽろぽろとこぼし、エイラに抱きつくサーニャ。エイラの胸の中で、サーニャは囁いた。
「私、今日はエイラと一緒に居る。ずっと」
「本当? 嬉しいヨ、サーニャ」
エイラはサーニャをそっと抱きしめ、優しく頭を撫でた。そしてゆっくりと、キスを交わす。
確かに、エイラ自身に原因は無かった。しかしそんな事はどうでも良かった。
二人が求めるもの、それは何も変わらぬ強い絆と愛。その為に、エイラはサーニャの「沈黙する守り人」となる。
end
- 395 名前:名無しさん:2010/07/12(月) 23:54:56 ID:L6bUbtMg
- 以上です。
なんか余計に墓穴を掘った様な気も(汗
サーニャさんはエイラさんが好きで好きで仕方ないと思うのです。
そんなエイラさんもサーニャさんがとっても大事で好き好きだから、
「夢への共犯者」と言う事で。
ではまた〜。
- 396 名前:名無しさん:2010/07/13(火) 00:19:29 ID:eKsIeYIo
- >>387
スオミだと機体ナンバー毎に管理されてて誰が使ってたかまで分かるから、
ニパのバッファロー(BW-365号機)とウィンド&ルーッカネン(BW-393号機)のバッファローの会話とかも想像出来るなぁw
楽しかったです。GJ
>>395
エイラーニャご馳走様でした。
前半がイケメンエイラ、後半がヘタレエイラなイメージですねw
GJです。
- 397 名前:名無しさん:2010/07/13(火) 01:00:26 ID:g8LMlEBs
- >>395
私はサーニャイラが大好きです(キリッ
素晴らしかったですマジでありがとうございました
もうなんかずっとすっごいワクワクしてる
またなんか書きたいなーとか思いつつ全力で2話待機
- 398 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/07/13(火) 19:05:01 ID:V9g/z49g
- こんばんは、mxTTnzhmでございます。
二期も始まって、2話が待ち遠しい今日この頃。
動画配信もされるなんて、夢みたいですね。
さて、また一本出来ましたのでどうぞ。
- 399 名前:sweet recipe 01/03:2010/07/13(火) 19:05:42 ID:V9g/z49g
- 「ねえ芳佳ぁ、なんかおいしいのたべたい!」
突然現れたルッキーニの、いきなりの要求に驚く芳佳。
他の隊員達は夕食後のくつろぎを終え、それぞれの部屋に戻っている。
「ルッキーニちゃん、晩ご飯ならさっき食べたでしょ?」
「やだー! 足んない! てかご飯じゃないのたべたい!」
だだをこねるロマーニャ娘。
「じゃあ、どんなのが良いの?」
「んーとね。あまーくて、やわらかーくて、おいしいの!」
「うーん。難しいなあ」
悩みながらも、芳佳は割烹着を取りに厨房に向かう。その後をニヤニヤしながらついて行くルッキーニ。
厨房であれこれと材料を揃え、鍋でぐつぐつと煮込む芳佳。暇そうに芳佳を眺めるルッキーニ。
「ねえ芳佳ぁ」
「なぁにルッキーニちゃん」
「なんで芳佳って料理うまいの? 扶桑料理だけだけど」
「だけって……。まあ、扶桑のお料理なら、お母さんとおばあちゃんに教わったから」
「ふーん」
つまらなそうに答えるルッキーニ。
「どうしたの?」
「マンマのパスタおいしかったなーって思い出した」
「そっかぁ」
「でも今はパスタはいいよ?」
「お夕飯食べたばかりだもんね?」
お玉で汁をひとすくいして、味を見る。横の網焼きの上ではぷっくりと餅が焼けている。
「塩辛いのは食べたくないよ」
「大丈夫、もうちょっと待っててね」
芳佳はきつね色に焼き上がったお餅を、鍋に入れた。
「はい、お待たせ」
ルッキーニの前に出されたのは、お汁粉。残りの餅など、あり合わせの材料で手際よく作ってみたのだ。
「なんか熱そう。湯気でてる」
「熱いからふーふーしてね。あとお餅入ってるから一気に食べるとのど詰まるよ」
「なんかこわーい料理だね」
「そうかな?」
「じゃあもらうね。……アチッ」
「ほら、ふーふーしないから」
「だってぇ……」
「も、しょうがないなあ」
芳佳は慣れた手つきでお餅を少し取り、汁と絡ませ、優しくふーっと息を吹きかけた。
「はい、どうぞ」
「あーん……あまーい! やわらかい! おいしい!」
満面の笑みを浮かべるルッキーニ。
「もっともっと!」
「急いで食べるとのど詰まるって」
「だいじょうぶ」
お汁粉をぱくつくルッキーニ。が、案の定のどに詰まり悶え出した。
「あーほら、いわんこっちゃない。ごくって飲み込んで?」
「ヴェー」
芳佳は、苦しむルッキーニの背中を上方に向けてどん、と叩いた。その拍子に詰まりが取れた。
「く、苦しかった−」
「ほらもう、次は気をつけてね?」
ルッキーニは大きく深呼吸すると、席を立った。
「もーいらない! お汁粉こわい!」
「えー? まだ有るのに」
「だってぇ……」
- 400 名前:sweet recipe 02/03:2010/07/13(火) 19:06:17 ID:V9g/z49g
- 「じゃあ私が貰うとしよう。宮藤、一杯頼む」
替わって椅子にどっかと座ったのはトゥルーデ。いつの間に現れたのか分からないが、居て当然と言う顔をしている。
「あ、バルクホルンさん」
「アジュワ……」
「なんだルッキーニ。私に怒られるとでも思ったのか?」
「いやあの、その……」
「あんまり宮藤を困らせるな」
「ごめん、なさい」
「あと、戦闘でもないのにのど詰まらせたりするな。そんな事で命を落としたら……」
「バルクホルンさん、ちょっと大げさです」
芳佳が苦笑する。
「……まあ、私が言いたい事はだな。自分を大事にしろ、と言う事だ」
「ほえ?」
意味が分からないルッキーニ。
「お前が悲しい事になると皆悲しむからな」
そう言ってトゥルーデはお汁粉を食べ始めた。
「それって……シャーリーのこと?」
「馬鹿者。あのリベリアンだけではない。隊の皆だ」
「あう……、ってあれ?」
何かに気付くルッキーニ。
「てことは、バルクホルン大尉もあたしのこと……」
ぽかんとした顔でトゥルーデの顔を見るルッキーニ。カールスラントの堅物は顔を少し赤くしながら言った。
「わ、私もそうだし、宮藤もだ。そうだろう?」
「そ、そうだよルッキーニちゃん。私も心配」
「ウジュー」
ルッキーニは席に戻り、少しさめたお汁粉をちまちまと食べた。
「うん。やっぱり、芳佳の料理、おいしいな」
しみじみと言うルッキーニ。
「ありがとうルッキーニちゃん」
「でも、マンマのパスタも食べたい」
「私はロマーニャ料理よくわからないから……今度教えて?」
「あたし味しかわかんなーい。料理のやり方わかんなーい」
投げやりなルッキーニに、トゥルーデが提案する。
「なら504の連中にでも聞いたらどうだ? 同郷だし、レシピとか分かるんじゃないか?」
「ちがうの! ロマーニャって言っても北のほうと南のほうで味ぜんぜん違うし、街ごとにもビミョーに違うんだよ?」
「ほう」
「ルッキーニちゃん、詳しいんだね」
「マンマがそう言ってた」
「同じ国でも地域によって様々な味がある。これは万国共通の様だな」
一人頷くトゥルーデ。
「じゃあ、今度一緒にレシピ探してみよう?」
「うん。芳佳とならいいよ」
「珍しいなルッキーニ。リベリアンはどうした」
「シャーリーは大好きだけど、料理……」
言いよどむルッキーニ。
「素直だな、ルッキーニは」
「ルッキーニちゃんかわいい」
微笑む芳佳とトゥルーデ。ルッキーニはぷんすかと箸を振り回した。
「違うもん! あたし違うもん!」
「ほらルッキーニ、席に戻れ。まだお汁粉食べ終わってないだろう」
「あう」
「おかわり要るならどうぞ。まだたくさんありますから」
「まだ有るのか? どれくらい?」
トゥルーデの問いに、芳佳は鍋を見て答えた。
「あと六、七人分くらい、ですかね。ちょっと作り過ぎました」
「そうか。ハルトマンとミーナにも食べさせてやりたいと思ったが……」
「ならあたし食べる!」
「え?」
「何?」
驚く芳佳とトゥルーデ。
「食べておっきくなるもん! そんでシャーリーに負けないナイスバディになるんだもん」
「それは間違うと太るだけに終わるぞ」
「ウジュ……」
- 401 名前:sweet recipe 03/03:2010/07/13(火) 19:06:47 ID:V9g/z49g
- 「とにかく、はい、おかわりどうぞ」
「ありがと芳佳。もらうね」
今度は失敗しない様に、餅を小さく……よくのびるが……してからよく噛んで食べるルッキーニ。
「ルッキーニちゃん、ちょっと」
「ほえ?」
「ほら、口汚れてるよ。お餅も少しついてるし……取ってあげる」
芳佳はルッキーニに顔を近づけると、そっと口元に指を這わせ、こびりついたお汁粉と餅を拭う。その指をぺろっと舐めてみる。
「ありがと、芳佳」
一部始終を見ていたトゥルーデは何か言いたそうで何かして欲しそうだったが、理性が彼女を抑えている。
「芳佳ってさ」
「どうかした?」
「時々、なんか……」
「?」
「んー、なんでもない。もしあたしが扶桑に行く事があったら」
「うん?」
「芳佳をあたし専属の料理人にしてあげる」
「え、なにそれ」
笑う芳佳。
「あーすまない芳佳、いや宮藤。ちょっと口元が……」
「あ、バルクホルンさんも何やってるんですか」
苦笑すると、芳佳はそっとハンカチでトゥルーデの口元を拭いた。
少々の喜びと幾分のがっかりが混ざった表情の“お姉ちゃん”。
「芳佳ぁ! もっとおかわり!」
「そんなに食べて大丈夫?」
「おなかすいてきた!」
「はいはい」
芳佳はルッキーニにお椀を手渡した。そんな二人を見て、箸が止まるトゥルーデ。
「トゥルーデ、顔にやけてるよ」
「うわ、ハルトマンなんだいきなり」
「まるで妹達を見る様な……」
「余計な事を言うな!」
「ミヤフジー、なんか残ってるなら私にも欲しいな」
「あ、はい。ただいま」
「芳佳ちゃん、何作ったの?」
「あ、リーネちゃん。お汁粉作ったんだけど食べる?」
「少し頂戴」
「何か宮藤が夜食作ったみたいダゾ。サーニャ、一緒に食べてみるカ?」
「うん……エイラとなら」
気付けば隊員の大半が食堂に集まっていた。匂いにつられたか、あるいは……。
「こ、これあたしの!」
ルッキーニが叫ぶも、芳佳になだめられる。
「みんなで楽しく、ね?」
「ウジュー あたしの芳佳なのに」
「えっ?」
「りょ、料理の事!」
「ルッキーニちゃんたら」
芳佳はくすっと笑いながら、隊員達にお汁粉を振る舞った。
こうしてのんびりと501の夜は更けていく。
end
--
以上です。
芳佳×ルッキーニと言うカプはそんなに無い様な気がして
書いてみました。
もうちょっと芳佳が頑張った方が良かったでしょうか(何ヲ
ではまた〜。
- 402 名前:名無しさん:2010/07/13(火) 22:51:44 ID:4HeohP0c
- 乙です、この二人の組み合わせも中々微笑ましいですね〜
まだプレイしてないのですが、PS2 版のルッキーニルートが予想外に百合百合しいとか
- 403 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/07/14(水) 18:46:33 ID:zEbPAmeg
- こんばんは、mxTTnzhmでございます。
今夜は最速地域で2話ですね。楽しみです。
さて、また一本出来ましたのでどうぞ。
保管庫No.0450「ring」シリーズ続編となります。
またNo.1307「elder sister」シリーズも関連しておりますのでよしなに。
- 404 名前:ring a ding dong 01/07:2010/07/14(水) 18:47:41 ID:zEbPAmeg
- 霧雨の降り止まぬ、とある日の事。
501の基地に飛来したそのウィッチは、雨中華麗に着地を決め、ハンガーにタキシングした後、
格納装置にストライカーユニットを固定し、すらりと脱いだ。そして涼しげな顔で出迎えの者に握手を求めた。
「やあ、お出迎え有り難う、感謝するよ。ホント光栄の至り」
笑顔のカールスラントウィッチ三人を前に、クルピンスキーも笑顔で応じた。
「相変わらずだな、クルピンスキーは」
「まあね。502(こっち)はこっちで毎日が楽しいよ」
「ロスマンさんとラルさんは元気でやってるかしら?」
ミーナの問いに、クルピンスキーは笑って頷いた。
「勿論。我らカールスラント空軍のウィッチは精鋭揃いだからね。簡単にくたばりはしないさ」
腕組みしたトゥルーデはクルピンスキーを見て言った。
「そう言えば話を聞いたぞ、壊し屋三人組の噂を。お前……」
「あちゃー、耳に入ってたか〜。まあ大した事してないよ。たまたま戦果と墜落がちょっとかぶっただけの話で」
「またそう言う事を……」
「それより二人はどうなんだい? こっちでも君達の噂を聞くよ?」
「あ、それは、まあ……」
「伯爵と同じ。毎日が楽しいよ」
エーリカはしろどもどろになったトゥルーデの腕を引っ張り、お揃いの指輪を見せた。
「おお、良いねえその指輪。似合ってるね。ちょっとボクに見せてよ貸してよ触らせてよ」
「だっダメだ! お前に触られると穢れる」
エーリカと合わせて手を引っ込め隠すトゥルーデ。
「そんな事無いって。ちょっと外してペロペロするだけだから」
「こっこのっ!」
「伯爵の変態〜」
「ボクは軽い変態だからね」
「と、とりあえずクルピンスキー中尉? ここで立ち話も何だから、向こう行きましょう?」
ミーナが促すも、クルピンスキーは立ち止まり、ミーナの顔をじっと見た。
「あ、あら? 私の顔に何かついてる?」
「いやあ、いつもミーナさんは美しいなと思って。特に今日は美しい」
「またそうやって、502でもウィッチを口説いてるんでしょう?」
慣れた感じであしらうミーナ。
「ばれた? でもミーナさんも、いい人見つけたみたいだね」
「そ、そんな事なくてよ?」
「ボクは何でもお見通しさ」
「適当言ってるだけだろ」
「それはまだ言っちゃダメだって」
「ほら、早く行くよ?」
エーリカは皆の手を引っ張った。
- 405 名前:ring a ding dong 02/07:2010/07/14(水) 18:49:29 ID:zEbPAmeg
- ミーティングルームに通されたクルピンスキーは、501に集うウィッチ達の中で、まずサーニャに目を付けた。
「おお、これは美しい! まるで雪国に舞う華麗な幼女……いや少女」
「あ、あの……貴方は」
「おっと紹介が遅れて失礼、ボクはヴァルトルート・クルピンスキー。カールスラント空軍が誇る天才ウィッチさ。よろしくね」
「コイツ何かヘンダゾ。自分で天才とか言ってル」
横でエイラが囁くも、クルピンスキーは意にも介さずサーニャに迫る。
「君の名は? その髪に透き通る肌の色艶、どことなく北欧の可憐な香りがするよ。まあ気のせいなんだけどね」
「私はオラーシャ出身です」
「オラーシャ? あのオラーシャかい? 凄いなオラーシャは! 何て懐が深いんだ」
「あの、何がでしょう」
「いや、502(ウチ)にもオラーシャ出身の熊が居るんだけどね、これがまた恐ろしい熊で」
「「熊!?」」
エイラとサーニャの声がハモる。
「いや、正確にはホッキョク熊が使い魔のウィッチなんだけどね。また可愛いんだこれが」
「はあ」
「でも権力を笠に着て事有る毎にボク達に体罰を加えるんだ。とんでもない事だと思わないかい?」
「あの……話が良く分かりません」
「まあ、ボクがおいおい話して行くから、まずは軽く一杯」
「サーニャにナニ酒飲まそうとしてんだヨ! サーニャから離れロッ!」
警戒心がレッドゾーンを超え、サーニャとクルピンスキーの間に割って入るエイラ。
「おや、その服にその髪の色……君、可愛いねえ!」
「へ?」
突然自分に興味が移った事に気付かないエイラ。今回ばかりは持ち前の「危機回避」能力も不発か。
「うん。君、やっぱり可愛いよ。どうだい、ボクと一緒に付き合わないかい?」
「いきなり何言ってンダ!? バカじゃないのかオマエ?」
「そう、ボクは軽い馬鹿だからね」
「何だコイツ」
「ああ、軽いデジャヴを感じるよ……、同じ様なツッコミをしてくるスオムスのウィッチがボクの戦友に居る事を思い出したよ。
確かニパ君だったかな」
「ああ〜、あいつカ。じゃあ私の代わりにアイツやるから我慢してクレ」
「そりゃないよ。せっかくはるばる遠路来た事だし、一緒に……」
「だが断ル」
「つれないなあスオムスのウィッチは。可愛いのに」
「何か腹立つ言い方ダゾ」
そこにやって来たのはシャーリーとルッキーニ。
「おや、誰だい? 助っ人か新人かい?」
「ウヒャ 新人?」
すかさず背後に回りクルピンスキーの胸を掴み揉みし抱くルッキーニ。嗚呼っ……、とクルピンスキーは甘い溜め息を付いた。
「ウジャジャ??」
いつもと少々勝手が違う事に若干戸惑うルッキーニ。すかさず両手を握られ、するりとお姫様抱っこさせられてしまう。
顔を間近に付けて、囁く。
「やあ、愛しのハニー。分かるよ、ちょっとした挨拶、ボディランゲージだね?」
「ウ、ウニャ?」
「うん。見た目はちょっと幼いけど、とっても可愛い幼女……いや少女だね。元気いっぱいな君の瞳にかんぱ……」
「キャーちょっと待って! あんた誰?」
「自己紹介がまだだったねマイハニー。ボクの名はヴァルトルート・クルピンスキー。神が二物を与えたもうた唯一無二の天才さ」
「え?」
「ちょっとこれからボクと一緒に夜明けまでランデブーしないかい?」
「や、ヤダー! しないしない! シャーリーたすけて!」
嫌がるルッキーニを見て、シャーリーがクルピンスキーの肩を掴む。
「ちょっと、いきなり何だいあんたは?」
「おお、目に眩しいナイスバディ! ミラクルボディ、奇跡の身体とはまさに貴方の事だ」
「ほえ? あたし?」
振り向くなりルッキーニを離しシャーリーの手を取るクルピンスキー。ルッキーニはそのまま落下ししたたかに尻を打ち悶絶した。
「ここではこの可愛い子みたいにボディランゲージで会話するって聞いたけど本当かい? ボクも混ぜて欲しいな」
「ちょっと、いきなり何だよ」
「ボクは君にはかなわないけど、君を満足させる事は出来るよ?」
「あんた、酔ってないか?」
「ボクはボクに酔っているのさ」
「ダメだこりゃ。行こうルッキーニ」
「ウジュー いきなり落とすなんてひどーい! サイアク!」
- 406 名前:ring a ding dong 03/07:2010/07/14(水) 18:50:16 ID:zEbPAmeg
- 「なんですのルッキーニさん、さっきから大声を出して……」
遅れて部屋に来たペリーヌを見たクルピンスキーはさも自然にペリーヌの手を取り満足そうに頷いた。
「これはまた美しい金髪の美少女! ボクの好みドンピシャだよ」
「ちょっと、なんですの、突然?」
「おおっと言わなくても分かるよ。君は……その服、ガリアの子だね?」
「いかにも、わたくしはガリア出身ですが、何か?」
「いいねえ、そのツンツン具合。ますますボクの好みだ」
「なんですの気持ち悪い」
「ガリアと言えばパリだよね。パリは良い所だよね。行った事無いけど」
「貴方、いい加減に……」
「あの、さっきからの騒ぎは一体……」
現れた芳佳とリーネを見つけるなり、クルピンスキーは待ってましたとばかりに飛びついた。
「おお、愛しきブリタニアの少女! 素朴ながら咲き誇る可憐なその胸っ!」
「えっ!?」
「宜しければボクと……恥ずかしくて言いにくいけどボクとえっちな事をしないか……」
「リーネちゃんに何て事言うんですか! 貴方一体誰なんです?」
リーネをかばう芳佳を見て、クルピンスキーは目の色を変えた。
「おお、君は……その黒髪、扶桑のフロイラインかい? やっぱり扶桑の魔女はひと味もふた味も違うなあ」
「あの……」
「君はまだまだだが、うーん、なかなか良い味をしている。扶桑の魔女はやっぱり最高だね! そう思わないかいミーナさん?」
先程から一部始終を見ていたカールスラント三人組に振り向き、声を掛ける。
「どうして、そこだけ私に同意を求めるのかしら?」
「だってミーナさん……おお、噂をすれば伝説のサムライではないですか! お目にかかれて光栄の至り」
美緒を見つけたクルピンスキーは美緒の元に騎士宜しく跪いた。
「ん? 何だ貴官は? 501(ここ)の所属ではないな」
「申し遅れました、このわたくしヴァルトルート・クルピンスキー、カールスラント空軍が誇るエースウィッチです。
サムライこと坂本少佐のお噂、このクルピンスキー重々存じ上げております」
「ふむ。クルピンスキーか。私は扶桑海軍所属の坂本だ、宜しく頼む」
「では、早速お供致しましょう」
「何ッ? 私は今から風呂に行く所だが、ついてくるのか?」
「このわたくし、どこへでも……扶桑の風呂は裸のコミュニケーションを取る場所だと……」
「ちょっとクルピンスキー中尉!」
ミーナが怒鳴る。
「いい加減にしろクルピンスキー」
トゥルーデも呆れながらクルピンスキーを止める。
「止めても無駄だよバルクホルン。ボクは今幸せだなあ。501に配属されれば良かったと心底思うよ」
「他の部隊行ってもそう言うだろう」
「よく分かるね」
改めて501の全ウィッチが集められ、クルピンスキーの紹介と、人となりを“簡単に”説明される。
「だから、こいつに何か声を掛けられたり色仕掛けされたら適当に拒否すればいい」
トゥルーデが注意を皆に伝える。
「色仕掛けの冒険に挑むボクを止められるかな?」
「何が冒険だ! やめんか! だから人の話を聞けと言うに!」
クルピンスキーとトゥルーデの掛け合いは何処か新鮮で、隊員達は興味を持った。
「ああそう言えば思い出したよバルクホルン。回復した妹さんのお見舞いに行ったんだけど……」
「知っている。私の妹のクリスまで狙ってるんだってな?」
「とんでもない! それは流石に誤解だよ」
「本当か?」
疑いの目を向けるトゥルーデを必死に説得するクルピンスキー。
「とりあえず、お茶にしましょう」
テラスは雨の為使えず、ミーティングルームでの質素なお茶会となった。
「へえ、こりゃまた上質なお茶だね。淹れ方もうまい」
「分かるの伯爵?」
「いや全然?」
「おい……」
しかし、紅茶のカップを持つ仕草はさりげなく上品で、飲み方、お菓子の食べ方など、美しくもあった。
すらりと伸びた指先でお茶を一口飲むと、ひとつ頷いてみせた。
「実に見事だ」
「あ、ありがとうございます」
遠慮と若干の警戒が混ざったリーネを見て、クルピンスキーは微笑んで言った。
「君はもっと自信を持つべきだよ。こんなに美味しいお茶を淹れる事が出来るのだから」
「あ、ありがとう、ございます」
芳佳はほへえ、と感心した。
「流石、『伯爵』って言われるだけあってなんか上品で素敵ですね」
芳佳に向かってクルピンスキーはウインクしてみせた。
「そう、ボクは心も上品でステキなんだ」
「その一言さえ無ければな……」
「何か言ったかいバルクホルン?」
「いや……」
- 407 名前:ring a ding dong 04/07:2010/07/14(水) 18:50:55 ID:zEbPAmeg
- その日の晩は、夕食もそこそこに序盤からハイペースでカールスラント組主体による「飲み会」が始まった。
基地中にあったビールをかき集め、がんがん飲んでいく。
「懐かしいよね、こうやって三人で飲むのって」
「全くだ。再会を祝して乾杯!」
飲みながら、昔話に花を咲かせる。
「そう言えば、輸送中の飛行機でもこうやって飲んでたよね」
「ああ、ボクの後ろに居たバルクホルンは貨物室に入れられていたよ」
「また適当な事を!」
「あー有ったよねそんな事。間違えて荷物と一緒に……」
「無い無い! エーリカまで話に乗るな!」
元々カールスラント空軍の同じ部隊に居たトゥルーデ、エーリカ、クルピンスキーは昔話に花を咲かせ盛り上がる。
それを傍目で見ていた501の隊員達は、ひそひそと何かを囁き合った。
あらかた飲んだところで、不意にクルピンスキーはトゥルーデとエーリカを見て言った。
「しっかし羨ましいなあ二人は。まさか婚約するなんてさー」
「まあな」
「羨ましい?」
「同じ原隊のよしみで、ボクにも分けてよ」
「分けられるかっ」
「ケチな事言わずに」
「だ・め・だ。クルピンスキー、お前、ロスマンさんに散々言われてるだろう?」
「ロスマンさんとは良い友人としてだね」
「また適当な事を。『かわいいハルトマン』がお前のせいでこんな事になったと嘆いてたぞ」
「ボクは楽しい軍隊生活をレクチャーしただけさ? ねえ、ハルトマン」
「色々教わったよ」
「色々、が問題なんだ」
「例えば」
クルピンスキーはエーリカをそっとお姫様抱っこしてみせた。
「こんな事とか」
「お、おい」
「この先とか」
「なにぃ!? その先!? なんだそれはっ!」
「まあそれは冗談として」
「お前が言うと冗談に聞こえないから困るんだっ!」
「まあとりあえず、天使ちゃんとの再会を祝して」
クルピンスキーはエーリカに軽くキスをした。
「じゃあ昔みたいに?」
酔っているのか、腕を回してキスしたあと、けらけら笑うエーリカ。
刹那、ぐしゃっと言う音が部屋に木霊する。
トゥルーデが、握っていたビールの杯を握り潰したのだ。
「おやおやバルクホルン、飲み過ぎで力のコントロールが利かなくなったのかい?」
「貴様ぁ」
エーリカを退け、クルピンスキーの胸倉を掴み吊し上げる。
「暴力反対だよ、ボクとしては」
「してはいけない事も、有る」
「お互い様じゃないかい?」
「教育が必要だな」
「やめて二人とも!」
エーリカがトゥルーデの腕を押さえる。解放されたクルピンスキーは、にやりとして言った。
「もっと楽しくいこうよ。JG52時代みたいにさ」
挑発と受け取ったトゥルーデは拳を鳴らした。
「来いよクルピンスキー、下手な冗談なんかやめて掛かってこい!」
「冗談も通じないとはヤキが回ったね、“大尉殿”。君はもうおしまいだ」
「どうした、怖いのか? そうやって下らん冗談で人をからかうのがせいぜいだろ? 来いよクルピンスキー。
カールスラント空軍の規律を教えてやる」
「じゃあハルトマンと一緒にお願いしようかな」
「やめなさい!」
突然怒鳴られ、空気が固まった。
その場に現れたのはミーナ、そして美緒。
「何となくこうなりそうな予感はしたけど……何をやってるの」
「昔話をちょっとね」
「取っ組み合いが昔話ですって?」
「バルクホルン、飲み過ぎだ。仮にも客人にする態度ではない。今すぐ部屋に戻って頭を冷やせ。これは命令だ」
美緒が言う。
トゥルーデは椅子から立ち上がると、無言で部屋から出て行った。
「バルクホルンはあんなに酒癖悪かったかな?」
気まずい空気の中、一人しれっととぼけてみせるクルピンスキー。
- 408 名前:ring a ding dong 05/07:2010/07/14(水) 18:51:35 ID:zEbPAmeg
- トゥルーデはそのまま一日の自室謹慎を命じられ、部屋にこもった。
その間、クルピンスキーは呆れ気味の501の隊員を前に、昔の……JG52時代の話を聞かせた。
「昔からバルクホルンはいじられキャラでね」
「あの堅物がかい? まあ何となく想像は付くけど、でも何で謹慎なんて……あんた一体何したんだ?」
気になったシャーリーの質問を受けて、ふふんと笑ってみせる伯爵。
「いやあ、ちょっと天使ちゃんのハルトマンと、一緒に遊んでただけだよ。バルクホルンの目の前で」
「あー、何となく想像つくわ。そりゃダメだわ」
呆れるシャーリー。
「女性の事で我を忘れるなんて尉官失格だよね」
すました顔でお茶を飲むクルピンスキー。
「それ、あんたが言えた義理じゃないだろ。501(ここ)に来て早々のアレは何だい」
冷静にツッコミを入れるシャーリー。
「あれはボクなりの軽い挨拶なんだけど、まずかったかな?」
「堅物が怒る気持ちも何だか分かる気がするよ……」
「その哀れみの目、止めてくれないかな」
少々困惑するクルピンスキー。
謹慎が解けても、トゥルーデは部屋に籠もったままだった。
隊員達が一体どうしたものかと囁く中、エーリカは心配になり、トゥルーデの部屋の扉の前に立った。
鍵にピンを差し込み、かちゃかちゃと外す。
解錠ににきっかり九十秒掛かり、そっと部屋に入る。
窓辺にトゥルーデが座っている。いつの間に何処から持ち込んだのか、ビールの瓶が何本か転がっている。
「エーリカだな」
振り返りもせず、トゥルーデが呟く。手には栓の開いたビール瓶が有った。ぐい、と飲む。
「トゥルーデ、あのね……」
言葉を荒い溜め息で遮られる。それでもエーリカは続けた。
「トゥルーデ、聞いてよ」
「聞きたくない。今は何も」
「トゥルーデ、誤解してる」
「私は、誤解も何もしていない」
「だって」
「仮にも、酔った挙げ句、来客相手の狼藉だ。懲罰を受けて当たり前だ」
「でも、私のせいで、トゥルーデ……」
語尾が消えかかるエーリカの声。それを聞いたトゥルーデは窓の外を見、呟いた。
「自覚が有るだけ、マシか」
「えっ」
「本当、あいつには困ったもんだ」
トゥルーデはもう一度深く溜め息を付いた。
「私ね、トゥルーデ……」
言葉を手で遮り、三度溜め息を付くと、澱んだ目をしたまま、話し掛けた。
「エーリカ。お前は、クルピンスキーと……」
「それ、話した方が良い? トゥルーデが気になるなら。私、伯爵とは別に何も……」
「いや、聞きたくない。聞いてどうなるものでもないしな」
「トゥルーデ……」
気まずい沈黙。
トゥルーデは最後に残ったビールの瓶をぐいと呷り全部飲み干すと、瓶を適当に床に転がした。
そしてエーリカに言った。
「私は、過去のお前を許すつもりはない」
「えっ、トゥルーデ……そんな」
息を呑むエーリカ。
「でも、今のお前は許す」
「ど、どう言う事?」
「過去は過去、今更変える事など不可能だ。許そうにも、出来ない。でも、これからは幾らでも変えていける。二人で。違うか?」
「う、うん」
「そう言う事だ。だから」
トゥルーデはエーリカをそっと抱きしめると、言葉を続けた。
「ずっと、私だけのエーリカで居て欲しい。それだけだ」
「そ、そう言う事か。なんだ」
エーリカは少し安心した。ふふ、と自嘲気味に笑った後、言葉を続ける。
「なんか……ありがと。それで、ごめんね」
涙が一筋流れる。トゥルーデはそっと指で拭うと、エーリカの頭を胸に埋めた。
「誰が何と言おうが、お前と昔に誰と何をしようが、今私はこうしてエーリカを愛している。それは変わらないし、揺らぐ筈も無い。
これからもずっと」
「ありがと、ありがとね。トゥルーデ」
仲直りの印に、口吻を交わすふたり。
「泣かせてすまなかった。私のせいだ」
そっと涙を拭い、もう一度優しく抱きしめる。
「トゥルーデの、ばか」
「すまない」
エーリカの頬に唇を当てる。くすぐったい、とエーリカは嬉しそうに呟く。
ふふ、と笑い合うふたり。トゥルーデの目にも生気が戻り、エーリカを抱き直すと、もう一度キスをする。
「私は、本当に悪い奴だ。愛しの人を泣かせるなんてな」
「でも、今は私達笑ってる。それでいいよ。私もトゥルーデを許すよ」
「そうか。ありがとう、エーリカ。こんな私を……」
もう一度、口吻を交わす。
- 409 名前:ring a ding dong 06/07:2010/07/14(水) 18:52:08 ID:zEbPAmeg
- 「さて、これでどうだ、クルピンスキー?」
トゥルーデはエーリカをお姫様抱っこした格好で、扉の方に振り向いた。
二人の視線の先には、いつから居たのか、お手上げと言った顔のクルピンスキーが居た。
ニヤニヤしながらも、少し呆れ、そして少々の羨望が混じった複雑な顔をしていた。
「バルクホルンは相変わらず、お堅いねえ。ま、でも安心したよ、昔と変わらずで」
「悪かったな。生憎私はこう言う行き方しか出来ない」
「それが君のいいところさ。ボクには持ってないものを、君は持ってる。ボクが出来なかった事を君らはしてる。流石だね」
「伯爵ってば、負け惜しみ?」
「とんでもない。ボクからのささやかな祝福だよ。出来ればそのいちゃいちゃにボクも混ぜて……」
「断る」
「ごめんね」
同時に二人から言われ、ははは、と笑うクルピンスキー。
「まったく。ハルトマンも少しバルクホルンに汚染されて堅くなったんじゃないかい?」
「そんな事無いよ」
「ま、それはそれだ。何ならもう一度、三人で飲み直すか?」
「良いね。連チャンとはJG52以来久々だ」
「よし、酒を持ってこよう」
「その必要は無いよ、ボク達の方からお出迎えすればいいのさ」
「あったまいい伯爵」
「厨房で飲むつもりか」
「手近にあった方が何でも便利さ。行こう二人共」
「ああ」
「行こう、トゥルーデ、伯爵」
エーリカはトゥルーデから降りると、二人と手を繋いだ。
そして文句を言ったりふざけ合いながら……ちょっと前、JG52時代の如く……三人は厨房へと向かった。
「で、どうしてこんなぐてんぐてんに酔い潰れるかね、カールスラントの皆さんよ」
呆れ顔でシャーリーがトゥルーデ達に言う。
「ウジュワー 酒くさー」
シャーリーの横でルッキーニが飲んだくれ三人組をつついて回る。
「うるさぁい! たまには良いじゃないかぁ〜」
「これがカールスラントの名だたるエースとはねえ」
呆れるシャーリー。
「ああ〜、でもこう見えても、ボクは君が三人に見えたりはしないよ。君と同じ姿の背後霊ならたくさん見えるけどね」
「そりゃ世の中じゃ酔ってるって言うんだよ」
「この指何本?」
「そりゃOKサインだ」
かなり適当な受け答えをして無邪気に笑い合うJG52のメンバーを見て、シャーリーはやれやれと言った表情を作った。
同時に、何か自然と解決した感じを受け、心なしかほっとしていた。
- 410 名前:ring a ding dong 07/07:2010/07/14(水) 18:52:38 ID:zEbPAmeg
- 帰り際、ハンガーでクルピンスキーを見送るカールスラント組。
「また暫く会えなくなるな」
「ボクが恋しくなったらいつでも502においでよ。歓迎するよ」
「歓迎、ねえ」
「しかし、501は良いねえ。魅力的なひとばかりだ」
「伯爵にはそう見えるだろうね」
「ミーナさん、ボクとバルクホルンをトレードしませんか」
「悪いけどお断りするわ」
苦笑するミーナ。
「まあ、また今度ゆっくり話でもしよう。その頃には二人はもう結婚してるかな?」
「どうだろう」
「まずは戦いが終わらないと」
「……そうだね。ボク達も頑張らないとね」
不意に真面目な顔をするクルピンスキー。
「で、さっさとネウロイをやっつけて、今度は天使ちゃんとステキな……」
「断る」
「バルクホルン、つれないなあ。でもまあ、君で良かったと思うよ。安心したよ」
「どう言う意味だ?」
「ボク達の大事な大事な天使ちゃんを、宜しく頼むよ」
「言われるまでもない。安心しろ」
「流石だよ。後は任せた」
クルピンスキーは笑うと、ストライカーを起動させ、格納装置から切り離し、ゆっくりとタキシングした。
「ではまた」
それだけ言い残して、彼女は空へ舞い上がり、502へと戻った。
「クルピンスキー中尉、大丈夫かしら」
ミーナが呟いた。
「どうして?」
「502は激戦で機材の損耗が激しいと聞いているから。ストライカーユニットだけじゃなくて……」
「大丈夫、あいつは簡単に死んだりするもんか。ああ見えてもJG52では……」
「ええ、勿論分かってはいるんだけどね」
「今度は、伯爵といつ会えるかな」
「さあ。でも、次はきっとまた面白い話を持ってくるだろう」
「トゥルーデ、私達も話のタネ作らないとね」
「な、何?」
ふふ、とエーリカは意味ありげな笑みを浮かべた。困惑するトゥルーデを引っ張り、ハンガーを後にする。
そんな二人を見たミーナは、静かに首を横に振り、苦笑した。
「それで、501はどうだった? 皆元気だったか? ヴィルケは? バルクホルンとハルトマンは?」
502に帰還するなり、出迎えたラルから矢継ぎ早に質問される。
「大丈夫。みんな元気いっぱいだったよ」
「ウソじゃないでしょうね?」
ロスマンが疑いの目を向ける。
「この事に関しては、ボクは嘘は一言も言ってないよ」
いつになく真面目な顔をしたクルピンスキーを見て、ロスマンはほっとした表情を見せた。
「そう。安心した。彼女達、色々つらい事有ったから……」
「だから言ったでしょ? 大丈夫だって
とびきりの笑顔を作ったクルピンスキーは、言葉を続けた。
「それに、向こうでみんな良い仲間を見つけたみたいだし」
「良かったわ」
「そっか。元気にやってる、か」
ラルはかつての同僚達、そして同郷の仲間に思いを馳せた。
「いつかまた皆で会えれば良いな」
「そうだね」
「いつかきっと」
極北のカールスラントウィッチ三人は、揃って空を見上げた。鈍色の空から、薄日が差し込んだ。
end
- 411 名前:名無しさん:2010/07/14(水) 18:53:01 ID:zEbPAmeg
- 以上です。
501に伯爵を混ぜてみたらどうなるか?
最初に思い付いて色々書いてるうちに長くなりました。
伯爵は基本いい加減で適当だけど、見るべきとこはしっかり見てて……
そんなステキな人だと思うのです。
うまく表現しきれませんでしたが。
ではまた〜。
- 412 名前:5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2010/07/14(水) 23:06:44 ID:XR1tCd1s
- こんばんは、隊長×エイラのSSが出来たので4レスほどお借ります。
- 413 名前:天使ミーナVS悪魔ミーナ 1/4:2010/07/14(水) 23:07:40 ID:XR1tCd1s
「隊長、本当にごめんっ」
時刻は22:00を少し過ぎた頃、エイラさんが半分涙目になりながら
私の部屋で何度も頭を下げている。
なんでも、私の食器を誤って割ってしまったらしい。
とはいえ、私自身その食器に特別な思い入れがあったわけではない。
形あるものいつかは壊れる運命にある。
だから、エイラさんを責めるつもりは全くない。
むしろ自分が割ったと、エイラさんが正直に告白してくれたことが嬉しかったくらいだ。
「エイラさん、本当にもういいから頭を上げて頂戴。食器なんてまた買い直せばいいんだから」
私がそう言ってもエイラさんは頭を上げようとはしなかった。
「……でも、ハルトマンが言ってたぞ。あの食器、隊長がとても大事にしてたものだって。
だから私っ、うっ……えっぐ」
とうとうエイラさんはその場で泣き崩れてしまった。
きっとフラウのことだから、私の食器を割って慌ててるエイラさんを見て、
『その食器、ミーナがとても大事にしてた奴だよ。うわっ、エイラ可哀想〜。
ミーナのこわ〜いお仕置きが待ってるね』
みたいなことを言って、エイラさんを怖がらせたに違いない。
全く、フラウったらしょうがない子ね。
それにしても……
「うぅっ、ぐすん……」
泣きじゃくっているエイラさんって、なんていうか可愛いわね……
もちろん普段のエイラさんも可愛いのだけれど今のエイラさんには
普段とは違う不思議な魅力があった。
今の彼女を見てるとなんだか胸がドキドキしてくる。
しかも今の彼女は、私の食器を割ってしまったことに責任を感じている。
つまり、今のエイラさんになら多少無理なお願いをしても聞いてくれるはず……
- 414 名前:天使ミーナVS悪魔ミーナ 2/4:2010/07/14(水) 23:08:20 ID:XR1tCd1s
(だ、駄目よ私、何考えてるの……!)
エイラさんは大切な家族じゃない、そんな大切な家族にあんなことやこんなことをしようだなんて……
『ミーナ、何いい娘ぶってるのよ』
(あなたは……悪魔ミーナ!)
不意に心の中で悪魔の自分が囁きかけてくる。
『フラウのおかげで今のエイラさんはあなたの大事な食器を割ってしまったと思い込んでいるわ。
これはまたとないチャンスよ。食器を割った代償としてエイラさんにあんなことやこんなことをするの。
考えただけでもドキドキしてこない?』
(駄目よ……やめて!)
『ミーナ、気をしっかり持って!』
(天使ミーナ……!)
今度は天使の自分が囁きかけてきた。
『あなたは誇り高き第501統合戦闘航空団の隊長なのよ? 純真無垢な隊員を汚そうだなんて
考えちゃ駄目よ』
『何綺麗事言ってるのよ、天使ミーナ! 失敗した隊員を罰することこそが隊長の義務よ』
『悪魔ミーナ、エイラさんは故意に食器を割ったわけじゃないのよ? しかもこうやって正直に
申し出て謝っているわ。罰する必要なんかないんじゃないかしら?』
私の心の中で天使と悪魔、2人の自分が言い争っている。
もちろん天使ミーナの言い分のほうが正しいのは分かっている。
分かっているはずなのに……
『ミーナ、自分の気持ちに正直になりなさい』
悪魔ミーナが再び囁きかけてくる。
『あなた、ずっと前から気になっていたんでしょ? エイラさんのお尻』
(え、ええ……)
そう、私はウィッチのお尻が大好きなのだ。
カールスラントにいた頃、眠っているトゥルーデやフラウのお尻をそっと触ったこともあった。
いつかの『ハルトマン中尉ズボン紛失事件』で宮藤さんやルッキーニさんの生尻、
それにペリーヌさんのストッキング越しのスケスケのお尻を見たときには、
自分の理性を抑えるのに一苦労したものだ。
特にエイラさんのお尻に関しては、彼女と初めて会ったときからずっと気になっていた。
北欧少女らしい白い肌、触りがいのありそうな素晴らしいお尻だと思った。
『もう一度言うわよ、ミーナ。自分の気持ちに正直になりなさい。
このチャンスを逃したら、エイラさんのお尻を触る機会なんて二度と来ないかもしれないわよ』
『ミーナ、悪魔の囁きに耳を傾けちゃ駄目よ!』
(……ごめん、天使ミーナ。私、自分を偽ることなんてできないわ)
『え?』
悪魔ミーナの言う通り自分の気持ちに正直になろう。
(私、エイラさんのお尻触りたい!)
こうして2人の自分の戦いは悪魔ミーナの勝利に終わった……
- 415 名前:天使ミーナVS悪魔ミーナ 3/4:2010/07/14(水) 23:09:02 ID:XR1tCd1s
「ねぇ、エイラさん」
私はエイラさんの銀髪を撫でながら、彼女に囁く。
「私のお願いを一つだけ聞いてくれないかしら? それで食器の件は帳消しにしてあげるわ」
「ほ、本当か……? その条件って何だ?」
「あなたのお尻を少し触らせてほしいの」
「へ? え、えええ!?」
エイラさんは顔を真っ赤にしながら困ったような表情を浮かべる。
当然といえば当然の反応だ。
それでも私は言葉を続ける。
「私、ずっと前からあなたのお尻を触ってみたかったの。ズボンを脱いで
そこのベッドでうつ伏せになってくれるかしら?」
私がそう言うと、2人の間に少しの沈黙が流れる。
エイラさんは依然顔を真っ赤にしたままだ。
やがてエイラさんは重たい口を開いてこう言った。
「……分かった。ズボン、脱ぐよ」
エイラさんはそう言うと白タイツとズボンに手をかけ、それを一気に下ろしていく。
彼女の白くて綺麗なお尻が露わになった。
そして、エイラさんは私の指示通りベッドの上でうつ伏せになってくれた。
「いい娘ね」
いよいよだ、いよいよエイラさんのお尻を触れる。
私は心臓の鼓動が早くなるのを感じた。
「……じゃあ、行くわよ」
「あ、ああ……」
私はエイラさんのお尻をそっと撫でる。
……なんて柔らかいんだろう。
「素晴らしいわ、エイラさん。想像以上の柔らかさよ」
「た、隊長……ひゃぁんっ」
こんなに柔らかいものがこの世に存在するなんて思ってもみなかった。
「これは病みつきになるわね」
私は一層激しくエイラさんのお尻を撫でる。
「た、隊長ぉ……あぁん」
エイラさんの可愛い喘ぎ声が部屋に響く。
そんな声で喘がれたら私もスイッチ入っちゃうじゃない。
「エイラさん、もっと気持ちよくしてあげるわね」
私はそう言って、エイラさんのお尻を激しく揉み始めた。
「隊長、もうだめっ……ひゃうっ!」
そのまま私はエイラさんのお尻を10分ほど揉み続けた……
- 416 名前:天使ミーナVS悪魔ミーナ 4/4:2010/07/14(水) 23:09:26 ID:XR1tCd1s
――――――――
「……これで食器割ったことはチャラにしてくれるのか?」
「そのことなんだけどエイラさん、私あなたに謝らなければいけないことがあるの」
「な、なんだ?」
「実は……エイラさんが割ったっていう私の食器、別に大切にしていたものじゃないのよ」
「え、ええええええ!?」
「あなた、エーリカにからかわれたのよ」
「じゃ、じゃあ私の尻を揉んだのは……?」
「あなたのお尻に興味があったっていうのは本当よ。だから触る口実が欲しかったの。
普通にお願いしても触らしてくれなかったでしょ?」
「……た、隊長の馬鹿〜! 私、本当に怖かったんだかんな……ぐすん」
「本当にごめんなさい。ほら、もう泣かないで」
私は再び泣きじゃくったエイラさんをそっと抱きしめ、彼女の頭を優しく撫でる。
やがて泣き疲れたエイラさんはズボンも穿かずに眠ってしまった。
「ぐー……すー……」
「ふふっ、可愛い寝顔……お休み、エイラさん」
エイラさんの頬に口づけをし、私も深い眠りについた。
〜Fin〜
- 417 名前:5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2010/07/14(水) 23:11:38 ID:XR1tCd1s
- 以上です、エイラのお尻ってエロいなーて考えてたらこんなの書いてました。
>>403
GJです、なんという伯爵無双
- 418 名前:名無しさん:2010/07/15(木) 01:53:23 ID:cyARoTpA
- >>411
伯爵は表向きいい加減だけど発言は相手をよく見てなきゃ出来ないってところが深いですね。GJ
>>417
ミーナさんがそこまでお尻キャラだったとはw
も、もしかして次はサーニャが危ない!?
天使ミーナがんばれ!
- 419 名前:名無しさん:2010/07/15(木) 03:08:57 ID:Fb4TTfxo
- >>417
ミーナさんがお尻フェチとはまた斬新な発想。GJ!
これは501全員が危ないw
- 420 名前:名無しさん:2010/07/15(木) 03:59:08 ID:h2OYIyu6
- まさに逆転の発想…
ハッ
まさかリーネはおpp
- 421 名前:名無しさん:2010/07/15(木) 23:48:56 ID:Vi5U1o.E
- 久々の連続投下で全部コメントできないww
いいぞ、もっとやってくださいw
>>390,395
サーニャさんなにやってんすかwww
このぐらい暴走(?)しちゃうサーニャもいいですね。
エイラはそうでもしないと気づかないだろうしww
>>417
これは……アブナイというかドキドキするというかw
ミーナの新境地って感じですね。
ハッ、1期でミーナだけみんなと一緒に風呂に入ってなかったのはこのせいか!(違
- 422 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/07/16(金) 01:47:38 ID:l1R6F6sg
- >>417 5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2様
GJ! ミーナさんに新たな1ページがw 面白かったです!
こんばんは、mxTTnzhmでございます。
また一本出来ましたのでどうぞ。
保管庫No.0450「ring」シリーズ続編です。
また>>404-410「ring a ding dong」の後日談的なものとなります。
ではどうぞ。
- 423 名前:haze in daylight:2010/07/16(金) 01:48:36 ID:l1R6F6sg
- 「トゥルーデはさ」
薄曇りの、静かな午後のひととき。
トゥルーデの部屋、ベッドの上に座り、紅茶を飲みながらエーリカは目の前の婚約者を前に問うた。
「どうして私が好きなの?」
答えづらい質問を前に、トゥルーデは首を傾げた。
「それは……好きだから、じゃあダメか?」
「好きだから好き、ねえ。何か哲学みたい」
エーリカは笑うと、リーネが丹精込めて焼き上げたクッキーを一口かじった。さくっとした歯触りが心地良い。
「他にどう答えれば良いんだ」
うーむと考え込んだトゥルーデは、紅茶をくいと飲むと、ポットからおかわりを注いだ。
雲の隙間から緩く日差しが差し込み、窓越しに二人を照らす。飴色にも似た色が二人を包む。
「なら、エーリカはどうして私が好きなんだ?」
トゥルーデの言葉に、エーリカは照れ笑いを浮かべた。
「トゥルーデと居ると楽しいから。だから好き」
「楽しい、か」
「あと、言っても良い?」
「ああ」
「トゥルーデ、たまに危なっかしい所有るから、私が守らなきゃって思う時も有るよ」
「それはどう言う事だ?」
「だって、たまに暴走するし。そんな時はしっかり背中を守らないとね」
「暴走って……」
「それに分かってるよトゥルーデ。上のエラい人から、私をかばってくれてること」
「うっ……そ、それは、その。優秀で大切な仲間だ、つまらない規則や偏見ごときで失うなど許せない」
「顔赤いよ、トゥルーデ」
「……」
照れ隠しに、クッキーを一口で食べる“お姉ちゃん”。
「普段はうるさく規則規則って言ってるのに、トゥルーデの口から『つまらない規則』とか」
ふふ、と笑うエーリカ。トゥルーデは何と言えば良いか分からなくなった。
「でもね、トゥルーデ」
エーリカは言葉を続けた。
「そういう理由も幾つか有るけど……やっぱり全部ひっくるめて、トゥルーデが好き」
「何だそれは」
「最終的に行き着くのはそこかな。トゥルーデと一緒」
カップに残った紅茶を飲み干すと、エーリカはトゥルーデの背にもたれかかった。
トゥルーデもエーリカの行為を自然に受け入れる。
「一緒か」
「安心した?」
「……ああ」
「それに、こうして二人で一緒に居て、のんびりして、背中を合わせてるだけでも、良いなって思うよ」
エーリカはトゥルーデに体重を預けた。
ふっと笑みをこぼすカールスラントの“堅物”。
背中を合わせ、ただただ、くつろいでいる。それだけの事が、とても大事で、幸せに感じる。
静かに目を閉じるトゥルーデ。同じタイミングでエーリカも目を閉じた。
喧噪らしい喧噪もなく、時折廊下を通る誰かの控えめな足音、外で囀る小鳥の歌、風に揺られる木々のさざめきが、微かに聞こえる。
そして、背中越しに感じる、お互いの温もり。
「ねぇ、トゥルーデ」
「どうしたエーリカ?」
目を閉じたまま二人は名を呼び合う。
「伝わった?」
「何を?」
「私が考えた事」
「……言った方が良いのか?」
「まるで全て分かってると言いたそうだね」
「恐らくは」
トゥルーデはエーリカをそっと抱き寄せると、頬に軽く唇を当てた。
「カッコつけてる、トゥルーデ」
「そ、それは……」
「照れるトゥルーデも可愛い」
そう言うとエーリカは同じ事をして返した。そのまま唇を重ね、緩く抱擁する。
長く甘いキスを交わした二人は、そのまま抱き合ったまま、お互いを感じる。
「伝わってて安心した」
はにかむエーリカ。
「そうか。良かった」
「トゥルーデだもん。だからこそだよ」
エーリカはそう言うと、服の袖をくいと引っ張り、もう一度と求めた。
トゥルーデは愛しのひとを抱き直し、ゆっくりと、味わうかの様にキスを交わした。
やがて訪れる微睡みを前に、目を閉じ、二人は余韻を楽しんだ。
午後の、優雅で気怠くも贅沢なふたりの、ふたりによるふたりのための時間が過ぎて行く。
end
- 424 名前:名無しさん:2010/07/16(金) 01:50:09 ID:l1R6F6sg
- 以上です。
疲労と眠気MAXで書いたのでどこかおかしい気もしますが
ご容赦下さい……。
ただ単純に、トゥルーデとエーリカのいちゃいちゃが書きたかっただけなんです……。
ではまた〜。
- 425 名前:zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2010/07/16(金) 02:38:04 ID:DMowvQ06
- >>424
いつもの二人、ごちそうさまでした。GJ!
っていうかこっちが先に書き始めたのに描き上がるの速すぎですw
>>417と>>420
で妄想がムラムラと来たので久しぶりに短いのを書いてみました。
- 426 名前:zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2010/07/16(金) 02:38:32 ID:DMowvQ06
- 【ブリタニア19XX リーネがおっぱ(ry】
最近、他の人の……――……が、きになる。
気がつくと他の人の、その……――……を目で追ってたりする。
エイラさんとサーニャちゃんが「揺れる」ソレの分水嶺になっていて、一番大きいのはシャーリーさんで二番目に……ミーナ隊長、その後に坂本少佐で……。
わ、私はそんなに大きくないよ、きっと。
部隊に入った時の身体検査では……だだだ大丈夫。
でも、私のことは置いておいて、どうしても気になっちゃう。
シャーリーさんのおっきいのから、ルッキーニちゃんの成長前の迄、みんなそろってるなって思うと柔らかさとかを知りたいというかなんというか自分のと比べて何がどうなんだろうというか……。
もうっ! 芳佳ちゃんがあんまりジロジロ見たり触ったりするからいけないんだよ。
ああ……触りたいなぁ。
あ、そうだ!
私結構ドジって思われてたりするし、転んだふりをしてそうしたり出来ないかな?
芳佳ちゃんみたい自然にさりげなく出来る自信はないけれど、頑張ってみよう!
やっぱり、一番に試すならシャーリーさんかな。芳佳ちゃんもいいかな。あ、でもそういう部分はハルトマンさんが一番無防備っぽい話を聞いたし……でもでも、ミーナ隊長とかバルクホルン大尉なら近くで躓くだけで受け止めてくれそうな気もするし。
どうしようかなー……と考え事をしながらも一番初めに思い浮かべていたシャーリーさんの姿を求めてハンガーへと向かっていた足がその目的地にたどり着く。
「よぉ、リーネ。何か用かい?」
「えっ!? きゃっ……っと、っと、っととととととと……」
やましい事を考えていた上に上の空だったのが行けなかったのか、私は落ちていたスパナに躓いた挙句オイルで滑ってバランスを崩して……。
「きゃあっ!」
どんがらがっしゃーん。
と、整備中だったストライカーユニットに向けて思い切り突っ込んで、そのまま意識を失った。
- 427 名前:zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2010/07/16(金) 02:39:01 ID:DMowvQ06
- 「ん……」
「おい、大丈夫か?リーネ」
目を覚ますと目の前には何か大きな遮蔽物があって、その向こうからシャーリーさんの心配そうな声がする。
そっか、私気絶して……シャーリーさんに膝枕されてるのか。
と、言うことはこれは……?
自然に手が伸びてソレに触れる。
やわらかい。
押した分だけ指がめり込む感触。
そのまま少し顔を持ち上げて下から埋めてみる。
やっぱりやわらかい。
ちょっと硬くてごわごわした軍服の生地に包まれていてもその優しい感触は損なわれていなくて、なんだかとっても落ち着いて心が安らぐ。
そっか、芳佳ちゃんやルッキーニちゃんはこんな気持ちだったのかな。
「オーイ、リーネ? なんだー、おまえもルッキーニや宮藤みたいに甘えたいのかぁ?」
「え!?」
あ、あ、あ……私ってばなんてこと!
「あ、あのこれは違……」
「……だったら、それっ!」
「むぷっ!」
シャーリーさんは鮮やかな手つきで自分の前のボタンをいくつか外すとそのまま前かがみになってきた。
わ、顔が谷間に挟まれて大変なことにっ!
ででででも、やわらかくて気持ちいい。
「力抜いて、もっと楽にしていいんだぞー」
「む、むぅ」
返事をしたけれど谷間に挟まってるんでちゃんとした声にならない。
「お前ももっと自信持ってさ、他人を受け止めてやればいいんだよ」
言いながら少し腕の力を緩めてくれたんでちゃんと喋れるようになった。
「受け止める、ですか?」
「あっはは。その通り。ま、物理的にじゃなくてもいいんだけれど、折角リーネの場合はこんなにいい武器を持ってるんだからちゃんと利用しないと損だぞー」
突然シャーリーさんの片腕が私のソレに伸びてきてむにゅむにゅとされた。
「ひゃあっ!」
「おおっ、いい声で鳴くじゃないか。ホラホラ」
「あっ、あんっ」
だめですよシャーリーさん。やめてくださいっ! と、口に出そうとするけれど全部喘ぎ声に変わっちゃう。
恥ずかしいよ……。
「何してんの? シャーリー?」
え? この声は?
「おお、ルッキーニか。リーネがさ、芳佳を甘えさせたいって言うからちょっと見本を見せてやってたんだ」
「え、違っ……うぷっ」
あああっ、また柔らかい谷間に押し付けられた。
「じゃあ、シャーリーが埋まってるからあたしリーネに協力するっ!」
え?え?え?
「えいっ、とーつげきー!」
きゃ、ルッキーニちゃんが私の胸に飛び込んできた!
シャ、シャーリーさんにするみたいにされると……あああんっ!
結局、私の邪な思いはなんだか二人にもみくちゃにされて吹き飛びました。
でも、芳佳ちゃんを今まで以上に受け入れる一助にはなった気がします。
- 428 名前:zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2010/07/16(金) 02:41:01 ID:DMowvQ06
- 以上となります。
本当は、
http://twitter.com/yamibun/status/18607738162
コレのネタ絡めて二人羽織でおっぱおっぱとかやりたかったんですが、
長くなりそうだったんでそれはまた別の機会にw
- 429 名前:名無しさん:2010/07/16(金) 09:03:47 ID:XW9wuvVY
- >>428
何と言うおっぱ無双w GJ
- 430 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/07/17(土) 21:46:42 ID:YPmKyDr.
- >>428 zet4j65z ◆le5/5MRGKA様
GJ! シャッキーニの連鎖攻撃とおっぱ無双吹いたw
こんばんは、mxTTnzhmでございます。
一本出来ましたのでどうぞ。
今回は軽く短めに。
- 431 名前:attract:2010/07/17(土) 21:47:52 ID:YPmKyDr.
- 「あー、肉食いてえ」
夕食前、一足早く食堂に来たシャーリーはぼそりと呟いた。
「おっにく〜、おっにく〜♪」
一緒に居るルッキーニが同調する。
「どうしたんですかシャーリーさん」
シャーリーの呟きに気付いた芳佳が厨房から出て来て声を掛ける。
「あー、なんか肉食いたいと思ったんだ」
「今晩のご飯、お魚なんですけど」
「サカナは嫌いじゃないよ。ただ、今は肉が食いたい、そんな気分なんだ」
身振り手振りを交えて話すシャーリー。
「あったしはおいしければなんでもいい〜」
ルッキーニは気楽だ。
「そうですか。すいませんけど、今日はお魚で我慢して下さい。ちょうど近くの漁港から新鮮な魚介類が届いたんですよ」
「また煮たり焼いたりするのか?」
「ええ。扶桑の味付けですけど……お魚以外にも幾つか有りますよ。貝とか……」
「あ、芳佳ぁ! ついでにタコヤキ作ってよ! タコ食べたい!」
「ちょ、タコは勘弁……。あんなもの何で食えるのかあたしには分からないよ」
「おいし〜いのに。シャーリー損してるよ〜」
「その点だけは、ルッキーニと永遠に分かり合えない気がする……」
軟体動物の話を聞き幻滅する音速のリベリアン、扶桑の蛸料理に思いを馳せるルッキーニ。
「ごめんねルッキーニちゃん。今日はタコ無いから」
「つまんなーい」
「でも、何かを無性に食べたくなる事って、有りますよね?」
芳佳と一緒に料理を作っていたリーネも、手を休めて厨房から出て来た。
「やっぱり有るよな」
リーネの言葉を聞いて頷くシャーリー。
「暑い日はアイスを食べたくなりますし」
「分かる分かる」
「寒い日は暖かいココアを飲みたくなります」
「こっこあ! こっこあ!」
言葉を聞いてくるくる回るルッキーニ。その横で、リーネがふと考えを巡らせる。
「でも、何でそう思うんでしょうね?」
「何でだろうな」
シャーリーも理由を探してみる。
「例えば、何かがきっかけとか」
芳佳が答える。
「きっかけ?」
「暑さ寒さもそうですし、直前に何処かで何か食べ物の事を見たり聞いたりしたり」
「見たり聞いたりか」
「あと、身体が栄養を求めてるから、食べたくなるって事有りますよ。扶桑の医学で、食べ物と健康の事を……」
「そうなんだ。芳佳ちゃん詳しいね」
ほわっとした目で芳佳を見るリーネ。少しもじもじしている。
「あー、難しい理屈はパス。まあ、食いたいって思うだけでいいじゃん。そんでさ、宮藤」
「はい、なんでしょう?」
「あたしに何か肉料理作ってくれよ?」
シャーリーの願いを聞き、食料のストックを思い出す。
「今すぐ作れるのは、肉じゃがくらいですかね……」
「それもうまいけど……もっとガッツリ肉を食いたいんだ」
「だったらバーベキューとか」
「そ、れ、だ! ……あ、でももう夕食の準備してるんだよな。時間もあんまり無いし」
「なら、手軽にシャーリーさんの缶詰はどうでしょう?」
「缶詰か……」
ぽんと渡された青い缶詰を見、少々複雑な表情を作るシャーリー。
「まあ、これも確かに肉だけどさ……今は何か違うんだよなー」
「あたしはそれパス〜」
うんざりした表情のルッキーニ。
「あ、芳佳ちゃん、ご飯そろそろ炊けるよ?」
「ありがとうリーネちゃん、今行くよ」
夕食後。
芳佳の部屋を訪れたリーネは、どうしたの? と聞いた芳佳をいきなりベッドに押し倒した。
「リーネちゃん? 急にどうして」
「芳佳ちゃん……食べたい」
「ええっ? どうしたの急に?」
リーネは芳佳にぎゅっと強くキスをし、潤んだ目で芳佳を愛で、言った。
「芳佳ちゃん、言ってたよね? 食べたくなるのは『身体が求めてる』って。だから私……芳佳ちゃんを我慢出来ない!」
「リーネちゃん、何か違うよ……ああんっ」
リーネは慣れた手つきで芳佳の服をするっと脱がすと、すぐさま濃厚な「食事」を始めた。
end
- 432 名前:名無しさん:2010/07/17(土) 21:49:45 ID:YPmKyDr.
- 以上です。
早速2話のネタを少し入れてみたり。
タコ話で吐きそうになるシャーリーも可愛いですが
嬉しそうにタコを語り両手を広げるルッキーニも可愛いと思います><
ではまた〜。
- 433 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/07/18(日) 20:41:43 ID:mESf8shc
- こんばんは、mxTTnzhmでございます。
一本出来ましたのでどうぞ。
今回も軽く短めに。
- 434 名前:save me:2010/07/18(日) 20:42:39 ID:mESf8shc
- 「また残務処理か?」
夜も更けた頃、執務室に入ってきたのは美緒。机に向かっていたミーナは顔を上げ笑顔を作った。
「ええ、ちょっとね。でももうすぐ終わるわ」
どうだか、と言った顔をした美緒は、湯気がほのかに香るカップを差し出した。
「コーヒーを持って来た。ミルク入りだが、飲むか?」
「あら、有り難う。ちょうど、少し何か飲みたかったのよ」
ミーナは微笑み、美緒からコーヒーのカップを受け取り、口を付けた。
眠気を覚ます香味と、ほのかな甘味がミーナに滋養を与える。
「美味しいわ、美緒。有り難う」
「まあ、たまたま近くに居たリーネに頼んで作って貰ったんだがな。私はただ運んだだけだ」
「それだけでも嬉しいわ」
カップのコーヒーを半分程飲み、机の脇に置く。そしてもう一度ペンを取り書類に向かう。
「あんまり無理は良くないぞ、ミーナ」
心配する美緒を前に、ミーナは苦笑した。
「貴方に言われたくはないわ、美緒」
「何故」
「扶桑の刀をシールドにするなんて……無茶もいいとこよ」
「防げばどうということはない」
「もし折れたらどうするのよ。或いは別角度から攻撃がとか……正面から来るとは限らないし」
「その時は、その時だ。……いや、この刀は簡単には折れない。何しろこの私が鍛えたんだからな」
笑う美緒。苦笑するミーナ。もう“扶桑の魔女”は止めても無駄だと分かっているので、笑うしかなかった。
「どうしたミーナ? 何がおかしい」
「いえ。幾ら止めても無駄だから、私、どうする事もできなくて」
「心配ないさ」
「いつも思うのだけど……どうしてそう言い切れるのか不思議だわ」
「理由か?」
美緒はミーナの席の後ろに立ち、ミーナの両肩に手を置き、言った。
「何故なら、それは私だからだ」
「ますます分からないわ」
「それでいい」
美緒はミーナがすらすらと記入している書類を覗き込んだ。頬が微かに触れ合う。
「なんだ、まだ結構有るじゃないか。私も手伝おう」
「大丈夫よ。一応仮にも私は……」
「そうか」
手を置いたまま、じっと覗いている美緒。暫く仕事をしていたが、不意にペンを置き、ミーナが振り返る。
「美緒。気持ちは嬉しいけど……背後から見られていると、少し気になるわ」
「なら、掩護しよう」
美緒はゆっくりと、ミーナの肩を揉んだ。
「お前は色々と背負っているから、肩も重くなるだろう。せめて身体だけでもリラックスして貰いたい」
「美緒ったら」
ミーナは美緒の手で微かに揺り動かされながら、ふうと気持ちよさげに息をついた。
そっと、美緒の手に自分の手を重ねるミーナ。
美緒は揉むのを止め、どうした? と聞いた。
手を置いたまま、暫くこのままで、と呟くミーナ。
美緒は分かった、とだけ言い、そのままミーナの肩を温める。
「私は宮藤みたいに治癒魔法は使えないが……」
「貴方がそばにいてくれるだけで良いの」
「分かった。終わるまで居よう」
「遅くなるわよ?」
「構わないさ」
ふっと笑い合うふたり。
互いの信頼と情愛が混じり、ゆっくりと時が流れる。
戦いの最中、仕事の狭間に出来た、安らぎのひととき。
二人は重ね合わせた手を通してお互いを慈しみ、心を許しあい、想う。もう少しこの時間が長く続けば、と。
end
- 435 名前:名無しさん:2010/07/18(日) 20:44:09 ID:mESf8shc
- 以上です。
じわじわと2期のネタを入れ始めています。
未見の方には申し訳ない次第。
しかし、やっぱり放送有るとテンションが上がりますね!
次回も楽しみです。
ではまた〜。
- 436 名前:5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2010/07/19(月) 00:03:08 ID:qmqR11L.
>>423
GJです。
mxTTnzhm ◆hjpN6vNb5.様のトゥルーデとエーリカはいつ見てもニヤニヤさせられます。
>>431のリネ芳と>>434の美緒ミーナも微笑ましいです。
>>425
zet4j65z ◆le5/5MRGKA様
GJです、胸フェチのリーネちゃん可愛いです。
こんばんは、海の日にちなんで海辺でイチャイチャするエーリカとトゥルーデを書いてみました。
- 437 名前:海 1/1:2010/07/19(月) 00:03:55 ID:qmqR11L.
「トゥルーデ、ほら早く泳ごうよ!」
「待てエーリカ、準備体操もしないで海に飛び込むのは心臓に悪いぞ」
「大袈裟だなー、大丈夫だから早く早く!」
私はトゥルーデの手を引っ張って一緒に海に飛び込む。
ひんやりとした水しぶきが気持ちいい。
「えへへ、冷たくて気持ちいいね、トゥルーデ」
「ああ、そうだな……だがこの水着は少し恥ずかしいな」
「私たちしかいないんだし、恥ずかしがることないでしょ。
それに、その水着、トゥルーデにとてもよく似合ってるよ」
「そ、そうか?」
私がそう言うと、トゥルーデは照れながら頬を赤らめる。
もう、本当に君はいちいち可愛いな。
「その……お前も似合ってるぞ、エーリカ」
「ありがと、トゥルーデ」
今、私たちが着ている水着はこの前ミーナが街で買ってきてくれたものだ。
私が着てるのは白と青の縞々のビキニ、トゥルーデのは黒の紐ビキニで、
私たちが今まで着ていたカールスラント軍支給の水着よりも幾分色っぽい。
特にトゥルーデの黒ビキニは彼女の白い肌とセクシーさを引き立たせていて、
とても可愛らしかった。
本当にミーナは人の水着を選ぶのが上手いな。
おっと、いつまでもトゥルーデの水着に見とれてる場合じゃないね。
せっかくもらったお休みなんだから思いっきり遊ばないと。
「トゥルーデ、ビーチボール投げ合いっこしようよ。いくよ〜! そ〜れ!」
私はトゥルーデから少し離れ、持ってきたビーチボールを思いっきり投げる。
「ま、待て! いきなり投げるな」
と言いつつ、ちゃっかりボールをキャッチするトゥルーデ。
「やるじゃん」
「今度はこっちからいくぞ、それ!」
「うわっ、さすがトゥルーデ。強烈〜!」
私たちは、それから20分ほどビーチボールを投げ合いっこして遊んだ。
普段は『501のWエース』なんて呼ばれている私たちも、
休暇中の今は19歳と17歳の少女に過ぎない。
だからこそ、今日は年相応の普通の『少女』として精一杯この休暇を楽しもうと思った。
「あ〜、楽しかった!」
陸に上がった私は砂浜の上で大の字になって横たわる。
燦々と照りつける太陽が気持ちいい。
「どうしたエーリカ、もうダウンか?」
「まさか、私はまだまだ元気だよ。なんならあそこの岩場まで競争する?」
「勝負か、受けて立とう。もっとも犬掻き一辺倒のお前に負けるつもりなどないがな」
「あっ、犬掻きを馬鹿にしたな〜!? 私だって負けるつもりはないよ。
犬掻きの本気、見せてあげる」
こうして私とトゥルーデは岩場まで競争することになった。
――数分後……
「あー、負けた〜」
私はさっきと同じように砂浜の上で大の字になって寝っ転がった。
……やっぱり私の犬掻きじゃトゥルーデのクロールには勝てないか。
「本当にトゥルーデは負けず嫌いなんだから……少しは手加減してくれてもいいのに」
「何を言うか。例え遊びであろうとも、勝負事に手を抜くのは性分ではない」
トゥルーデは真剣な表情でそう言った。
ま、そんなどんな時もいつも本気のトゥルーデが私は大好きなんだけどね。
私は起き上がり、トゥルーデの水に濡れた髪をそっと撫でる。
本当に綺麗な髪……
「ね、トゥルーデ。目、瞑ってよ」
「なぜだ」
「いいから早く」
「あ、ああ……」
トゥルーデは戸惑いの表情を浮かべながらも私の指示通り目を瞑ってくれた。
私は少し背伸びをして、彼女の唇に自分の唇を重ねる。
「トゥルーデ、んっ……」
「エ、エーリカ!? いきなり何を……」
トゥルーデは顔を真っ赤にしながら、驚きの表情を浮かべる。
もう、何度もキスしてるんだからいい加減慣れてほしいな。
「なにって、勝ったご褒美のキスだよ」
「そ、そういうことは先に言ってくれ。こっちにも心の準備ってものがあるんだ」
「そう? じゃあ仕切り直し……ね、トゥルーデ。競争に勝ったご褒美にキスしてあげるから、
目、瞑って」
「ああ……」
「トゥルーデ、愛してるよ」
私たちは砂浜の上で再び唇を重ねあった……
〜Fin〜
- 438 名前:5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2010/07/19(月) 00:06:40 ID:qmqR11L.
- 以上です、去年のあくしずのピンナップのビキニエーゲルが可愛かったので、
書いてみました。
もっとエーリカとトゥルーデのピンナップ、増えてほしいです。
- 439 名前:6Qn3fxtl:2010/07/19(月) 06:10:39 ID:Kr6Rov8o
- >>428
これはwwwそうかー、おっぱ病って伝染病だったんだw
なかなか斬新な切り口で面白いです。GJ!
>>432
医食同源ってやつですね!
おいしい食事は体が求めてきますよね!(マテ
>>438
エースウィッチから二人の少女に戻ったエーゲル、いいですね。
浜辺でいちゃいちゃしてる二人、かわいいです。
しかし、トゥルーデって二人で海に行っても遠泳とかして体鍛えてそうなイメージがw
どうも。6Qn3fxtlです。
妙な電波を受信したので、ジョセナオの微エロSS投下していきますw
2レスお借りします。
- 440 名前:あったか治癒魔法(1/2) @6Qn3fxtl:2010/07/19(月) 06:11:32 ID:Kr6Rov8o
- あったか治癒魔法
「う……ん……」
牛乳をたらした水みたいに視界がぼやけてる。
その奥にぼんやり見える、大きな梁、電球のほのかな光、白いカーテン……。
窓の外には霞がかった月。あぁ、ここは医務室か。……またやっちまったな。
大型ネウロイと戦ってる最中に、目の前にコアが見えたところで弾切れになって、
思わずげんこつでコアをたたき壊したところまでは覚えてるんだけど……。
ユニットは無事、なわけないよな。あぁ、また正座とハンガー掃除の日々か。
本当、502は楽しいよ。
「うっ……!」
姿勢を変えようと軽く体を動かしただけで体の隅々に痛みが走る。
はは……思ってたより無茶しちまったらしい。
こりゃまた、サーシャにみっちり怒られるな。
「あなたはどうして自分の命を大切にしないの!」って。
ごめんな、サーシャ。でも、不器用なオレにはこんな生き方しかできないんだよ。
それにしても、医務室のベッドがこんなに気持ちのいいものだなんて全然知らなかった。
裸の肌に触れるシーツはぱりっとしているし、背中もお腹もなんだがあったかい。
遠い昔、お母様に抱かれていた頃を思い出すような、不思議な感じだ。
幸せに包まれてるって、こういう感じのことをいうのかもな。
ゆっくりと体の向きを変えると、不意に左手がなにか柔らかいものに触れた。
なんかしっとりしてて、ハリがあって、あったかくて……。
「うひゃぁぁぁ!!」
体の痛みも忘れて、オレは思わず飛び起きた。
「ちょっ、えっ、ばっ」
なっ、なんでジョゼが裸でオレの隣に寝てるんだよ!
って、オレも裸じゃん!今気がついたけど!
「う〜ん……」
オレの大きな声に目を覚ましたのか、ジョゼが目をこすりながら体を起こした。
「あ……ナオちゃん。気がついたんですね〜。よかった〜」
「え……と……お前、何してんの……」
「ナオちゃんに治癒魔法かけてたんですよ〜。元気になってよかったです〜」
そういっているジョゼの体は右に左にゆらゆら揺れている。
……だめだ、こいつ半分寝ぼけてやがる。
「ほら〜。ナオちゃんはケガ人なんですから、ちゃんと寝てないとだめですよ〜」
「ちょっ、おいっ……!ジョゼ、やめっ……!」
まるでぬいぐるみのようにジョゼに抱きつかれたまま、ベッドの上にぼふっと横たえられる。
「ジョゼ……はなして……一人で寝れる……」
「ふゎ、ん……」
次の瞬間、すぅすぅと可愛らしい寝息が。魔力を解放したまま寝てしまったから、
ジョゼにがっちり挟まれたまんま抜けられなくなってしまった。
寝ろといわれたって、こんな状況ではいそうですか、と寝られるわけがない。
ジョゼに抱きつかれて身動きとれないし、ちょっと重いし、
……なによりドキドキして眠れやしない。
しかし、改めてよく見ると、ジョゼってかなりかわいい顔してる。
まつげは長いし、目鼻立ちははっきりしてるし、髪はさらさらだし。
姉ちゃんが持ってた青い目の人形みたいだ。
伯爵じゃなくても、ちょっかい出したくなる気持ちはわかる。
……ちがうよ、サーシャ。浮気じゃないって。
「う……ん……」
ジョゼがもぞもぞと体を動かして、オレをもう少し強めに抱きしめる。
……やばい、これはやばい。
ジョゼのやわらかな胸がオレの貧相な胸にあたってる。
丸められたしっぽが太ももと腹の下のあたりでさわさわしてる。
しかもいつのまにか足を絡められてる。
このままじゃあまりにもまずい。
少し離れようと体をよじると――。
「んっ、はぁ……」
ジョゼから甘い吐息が漏れた。そのとき、オレの中の何かがはじけ飛んだ。
- 441 名前:あったか治癒魔法(2/2) @6Qn3fxtl:2010/07/19(月) 06:12:08 ID:Kr6Rov8o
- 気がつくと、オレはジョゼにキスしていた。
ジョゼの唇はやわらかくて、甘くて、頭の奥がじんじんしびれてくる。
そっとジョゼの背中に触れると、肌はすごくすべすべしてて、しっとりしてて、
手に吸いついてくるみたいだった。
そのまま手を前に持ってきて、ジョゼの膨らみに手を添える。
サーシャのよりおおきいそれは、やわらかいのに張りがあって、
オレの手をしっかりと押し返してくる。
やわらかくて、あったかくて、気持ちいい。
オレのもこのぐらい大きかったら、触って気持ちいいのかもな。
猫の頭を撫でるみたいにジョゼの胸をそっと触っていたら……
誰かに手首をつかまれた。
「ずいぶんとお楽しみのようね、管野直枝少尉」
「さ、サーシャ……!」
いつの間にか、ベッドの横にサーシャが立っていて、
白熊でも殺せるんじゃないかってぐらいの鋭い視線でオレを睨んでいた。
魔力を解放してないはずなのに、ものすごい力で手首が締め付けられる。
「そろそろ目を覚ましてる頃だと思って様子を見に来たら……。
私がどれだけ心配してたか、あなたわかってるの!?」
「あ……ポクルイーシキンたいぃ……おはようございます〜」
まだほとんど寝たままのジョゼがなんとも呑気にサーシャに話しかける。
お前、本当空気読めよ!
「ありがとう、ジョーゼットさん。直枝少尉はずいぶん回復したみたいだし、
後は私に任せて、あなたはゆっくり休んでちょうだい」
「あ……はい〜。よろしくお願いします〜」
サーシャのとびっきりの笑顔に隠された全然笑っていない目に気がつかないまま、
ジョゼはシーツに潜り込んで寝てしまった。
「さっ、ナオ。私の部屋でじっくり話を聞こうかしら?」
「え……あの……」
「大丈夫よ。まだ夜は長いから『そういうこと』をしたいんだったらたっぷり付き合ってあげる……」
固まったまんまのオレを、サーシャは軽々と抱え上げて医務室から連れだした。
「あれだけのケガをしたんだから、明日は一日休んでても、誰も不思議には思わないわよね、ナオ」
……その後、サーシャがオレにどんなことをしたのかは軍事機密扱いなのでしゃべることはできない。
というか、思い出したくないのでしゃべらせないで欲しい。本当に。
fin.
- 442 名前:6Qn3fxtl:2010/07/19(月) 06:14:45 ID:Kr6Rov8o
- 以上です。
微エロといいながらエロさ控えめかもしれませんが。
- 443 名前:zet4j65z:2010/07/19(月) 08:09:47 ID:ZewCKrHc
- ひとまず携帯から投下してみようと思う。
【スオムス19xx サーニャがおっぱ(ry】
スオムスの冬は寒い。
寒さは人の温もりを恋しくさせる。
…………。
夜間哨戒明け。
高緯度地方の冬の夜は長いから、
よく暖房の聞いた部屋、いつものようにエイラのベッドに滑り込もうとしてちょっと考える。
真っ暗闇の中だから、明るい朝とはちょっと自分の調子が変わるのか、あまり眠くない。
なので、倒れこんで寝るだけじゃなくてちょっと頑張ってみる事にした。
でも、がんばるっていってもどうしよう?
エイラには私の気持ちが伝わっているのかどうなのかがいまいち分からないから、積極攻勢に出るべきだというのは分かってる。
で、積極攻勢って一体どうしたらいいんだろう?
私の国だと徹底的に重砲による予備砲撃を行ってから新劇を開始するんだけれど、この場合そのドクトリンは応用できそうに無い。
あとは……色々と思い返してみる。
傍目にも両思いの仲良しさんって言うとシャーリーさんとルッキーニちゃん、芳佳ちゃんとリーネさんかな。
二組の共通点は……。
スキンシップ?
おっぱい?
- 444 名前:zet4j65z:2010/07/19(月) 08:11:10 ID:ZewCKrHc
- と、考えに至ってから自分の胸を触ってみる。
オラーシャの年頃の女の子としては、小さい方な気がする。
それでも501の頃は下にペリーヌさん、芳佳ちゃん、ハルトマンさん、ルッキーニちゃんがいたけれど、スオムスに来てみたらボーイッシュな人が多いのにみんな私より大きい気がする。
エイラも芳佳ちゃん程じゃないけれどおっきいのが好きみたいだから、私の事をどう思ってくれてるのかよく不安になる。
あ、こんなに沈んだ気持ちになっちゃいけない。
エルマさんも言ってた。ポジティブシンキングだって。
やっぱり、スキンシップかな?
構図としては、おっぱいの大きい娘の方が小さい娘の方を甘えさせている感じになるはず。
ちょっと、やってみよう。
寝相のいいエイラの右側からベッドの入り、そっと膝立ちになる。
エイラを起こさないように毛布をはだけてからその肩のラインより下の辺りの両側に手を付き、身を沈めていく。
外から帰ったばかりの私の頬はまだ冷たいからきっと触れたらエイラを起こしてしまうけれど、後先の事を考えるのはやめてまずはそのやわらかそうな谷間へと降りてみようと思う。
素肌の部分が触れた。
あったかい。
- 445 名前:zet4j65z:2010/07/19(月) 08:12:28 ID:ZewCKrHc
- ひっ、と言う声が上がってエイラが目を覚ます。
その気配と引き換えに温もりを得た私は一気に夢の中へと落ちていく。
だって、ここに素肌同士で触れ合う事がこんなに心地いいなんて知らなかった。
明日はもっと温もりが欲しいよ、エイラ。
…………。
昨日は芳佳ちゃんやルッキーニちゃんの味わっていた幸せを実感する事ができた。
凄く幸せな気持ちになれたから、今日はもっと冒険してみようと思う。
具体的に言うと、もっと素肌同士を触れ合わせたい。
それには胸を覆う布が邪魔だから取り外してみよう。
昨日と同じ様にエイラの部屋に辿り着いてからベッドへ登り、静かに毛布をどける。
まだ冷たい指先でエイラの素肌に触れないように注意しながら、その胸元を覆う余計な布を慎重にとり除く。
私の目論見は成功し、エイラの形のいいおっぱいが部屋の空気の中に晒される。
薄明かりの中、私は観察する。
雪の様に白い肌と、その頂点に佇む淡いピンクの可愛い乳首。
私みたいに子供みたいに小さいそれだと大きいのが好きなエイラにとっては興味の対象から外れてしまうのは仕方の無い事かもしれないけれど、だからと言ってまだ諦めたくは無い。
- 446 名前:zet4j65z:2010/07/19(月) 08:14:11 ID:ZewCKrHc
- 好きな人に揉んでもらったりすると大きくなるって話も聞くけれど、揉んでもらう為にはまず興味を持ってもらわないといけないよね。
うう……見比べてから自分の胸に手を置いて、また気持ちが沈む。
ダメダメ、サーニャ。ポジティブシンキング。
さぁ、エイラから温もりを貰って今日もぐっすりと休みましょ。
またその両側に手を付いて身体を近づけていく。
今日は私の冷たい頬全体がエイラの素肌に触れていく。
うひあ! と、昨日よりも派手な声が上がってエイラが目を覚ます気配。
昨日よりもいっぱいの体温を貰った私はあっという間に夢の中へ。
明日はもっと触れ合おうね、エイラ。
…………。
はだけた胸を見下ろしながら物思いに耽る。
昨日まではほっぺで触れてその冷たさで体温を味わって、エイラの目覚めと引き換えに私が安らぎと眠りを得てきた。
でも、エイラには昼のお仕事があるんだから、毎日こんな時間に起こしちゃいけないよね。
だから今日は予め温タオルを使って頬を暖めてきた。
考えてみると手も温まっているから、手で触れてもエイラはおきないよね。
手で……触ってみようかな。
- 447 名前:zet4j65z:2010/07/19(月) 08:16:03 ID:ZewCKrHc
- 逡巡の後に思い切って右手を伸ばしてみる。
人差し指だけを立てて恐る恐る、つんと乳首に触れてみる。
部屋の空気は外に比べれば暖かいとは言え、一般的には冷気と言ってもおかしくない温度。
そんな大気に晒されたせいでピンクの先端は少しだけ硬くなっていて、見た目よりもしっかりした感触が返ってくる。
左の手を自分の胸元へと差し入れて直接指で触れてみる。
なんだか頼りないのが悲しい。
それよりも、ドキドキしてくる鼓動の方が気になった。
そうして胸の奥から湧き上がってくる衝動に従って次の行動に移る。
両方の人差し指を「うんめいせ〜ん」の要領で立ててから改めてつつき、押す。
んっ……と、エイラが悩ましげな声を上げた。
なんだか、私の見たことのない表情かも。
ドキドキが加速する。
このままじゃ眠れなくなっちゃいそう。
でも、こんな状態を長く続けたらエイラも風邪引いちゃうよね。
大丈夫だよエイラ。
二人で体温を逃がさないようにしましょ。
- 448 名前:zet4j65z:2010/07/19(月) 08:17:40 ID:ZewCKrHc
- エイラの胴体をまたいで膝立ちをしてから毛布を自分の肩まで引き上げて、温タオルからのしっかりとした熱を保ったままの手でエイラのおっぱいに触れる。
私の小さな手にも誂えたかのように程よく掴める大きさの形もよくて張りもあるエイラのおっぱい。
手で触れて、寄せてその温もりで両の頬を包むようにして顔を埋めていく。
眠れなくなるなんて杞憂だった。
やさしい体温はすぐに私を深い安らぎへと連れて行ってくれた。
…………。
夕べのように冷えた所を暖めた状態でエイラの部屋へ。
3回目ともなるとだいぶ脱がす事にも慣れてきた。
目の前のエイラは無防備な姿を晒していて、私はエイラを跨いで膝立ちをしながらその素敵な身体を見下ろしている。
冷静になった考えると、結構凄い事をしている気がする。
今日の飛行中、毎晩の感触を反芻していたら思い至ってしまった。
私、顔をそこに埋めた時、その胸の谷底へとキスしてる。
いつもなら私には谷間が無いよねって落ち込んでしまうところだけれど、そんな事が吹き飛ぶくらいに心の中で何かが盛り上がってる。
- 449 名前:zet4j65z:2010/07/19(月) 08:18:53 ID:ZewCKrHc
- もしかしたら今、私は芳佳ちゃんやルッキーニちゃんと同じ表情をしているのかもしれない。
胸の奥のドキドキに誘われるままに両胸に手を伸ばし、やさしく掴む。
指を動かす。
手のひらを動かす。
強弱と抑揚をつけた動き。
それは、揉むという行動に他ならない。
はぁっ……と、エイラの顔が上気して喘ぎに近い声を上げる。
私のお腹の下のほうがなんだかキュンとしてくる。
雰囲気に飲み込まれて、ぼうっとする。
そして思い出す。
キスと言う行為。
胸の谷間へとそうしたのだから、他の場所にそうしても、同じ……だよね?
心の中で誰にでもなく問いかけてから胸へと顔を近づけていく。
淡く、硬く、柔らかいピンク色の乳首の先端を凝視。
多分私今より目になって変な顔になってる。
そんなことを考えても冷静になんてなれず、唇を半開きにして異質な口づけへと備え、最期の数センチの空隙を越える。
唇に触れ、唇で甘くくわえ込む。
ひぃん……と声が上がる。
多幸感に酔いしれながらも心のどこか冷静な部分が歯を立てないよう細心の注意を払ってる。
甘いでもしょっぱいでもなくてエイラの味のする乳首をついばむ。
- 450 名前:zet4j65z:2010/07/19(月) 08:20:32 ID:ZewCKrHc
- 始めは右、次に左。
ドキドキを感じる。
その鼓動が自分のものだかエイラのものだか判別が付かなくなってきて、気がつけば腰が砕けてエイラの上にぺたんと座ってる。
エイラ、おきちゃうかな?
でも、この幸せな感触をずっと味わって居たいと思った私は、エイラの左の乳房の頂点へとしゃぶりついたまま眠りに付いた。
明日は、エイラからどんな温もりをもらえるかな?
以上となります。
某所で「エロいSS書くからリクエストくれ!」って自分から言い出した割には
リク貰ったエイラーニャでうまいエロが作れなくなる自分はヘタレ。
それはそうとSSが増えたのは嬉しいな。
みんなGJ
- 451 名前:名無しさん:2010/07/19(月) 08:48:11 ID:JUzquqHE
- 起きてみたら微エロなSSが2つも! GJです!
>>442
我慢できなくなる直ちゃんにニヤニヤしました! かわいいなぁ。
オチのどたばたも面白かったです!
>>450
これ絶対エイラは起きてるよね! そう思うとエイラの心理をいろいろ考えてしまいます。
サーニャのドキドキしながらも触れたいと言う気持ちが、じっくり書かれているのはとてもエロいと思いました!
- 452 名前:名無しさん:2010/07/19(月) 13:23:39 ID:DIPMUou2
- ラッシュなのでこっそりおそらくエイラーニャなもの5レスくらい。
みなさん華麗にスルーしてくれることでしょう。
最初に謝っておきます。
本 当 に ご め ん な さ い。
- 453 名前:さにゃがにゃんにゃんエイラーかめん:2010/07/19(月) 13:24:58 ID:DIPMUou2
- 最終話「甦れ!ジャスティン・ミラクル・ミラクル」
えいらー えいらー えいらー
それは山びこのように、耳をすませば聞こえてくる。ような気がする。
ていうか聞こえてますか? なにか聞こえたって人は今すぐ病院に行った方がいいと思う。
オレンジに縁取られる荒野の地平。
吹きすさぶ砂嵐に羽織るポンチョを棚引かせ、ゆっくりヤツが歩いてくる。
エイラ・イルマタル・ユーティライネン。
あ、実際は夕日とか砂嵐はないっす。ここって基地の中だし。室内だし。
じゃあここまで書いたことってなによ? イメージ映像? 考えないようにしようっと。
カランカラン。
エイラは食堂へ入ると、一番奥の椅子に座った。エイラの特等席である。
「テキーラ」
「はい、エイラさん。朝はやっぱり牛乳ですよね」
芳佳はエイラの前にキンキンに冷えた牛乳を置いた。
エイラはそれをぐぐっと一気に飲み干した。
爽やかな笑顔。ウン、朝はやっぱり牛乳ダナ、とエイラは思うのだった。
その後、エイラは芳佳と小一時間ばかり小粋な会話を楽しんだ。
些細な世間話からはじまり、釣り鐘型とお椀型のどちらが究極かという、専門的かつ学術的な話に及んだ。
扶桑人のくせして釣り鐘型を推す芳佳に対して、エイラは断固としてお椀型を力説する。
互いの主張は平行線をたどり、一時はあわや乳繰りあいという一触即発の雰囲気にまでなったが、
結局はエイラが折れる形となり、「釣り鐘型こそ究極」という結論に達した。
その代わり、「お椀型は至高」という称号を獲るに至ったのだった。
これは事実上、エイラの勝利と言っていい。究極と至高ならやっぱり至高だよね。
「そういえばサーニャちゃん遅いですね」
なんとなく思い出したように芳佳は言ったが、なにがそういえばなのだろう? エイラは首を傾げた。
今までの会話からなにかサーニャを想起することがあったろうか。サータンならばともかく。
「ンー、そういえばそうダナ」
エイラはとりあえずうなずいたが、たしかにサーニャの様子が気がかりではあった。
なんだろう。なにか嫌な予感がする。考えれば考えるほど、もやもやは顕在化していった。
「私、ちょっとサーニャを探してくるヨ」
そういうことになった。
「サーニャ! サーニャー!」
大声を張りあげながら、基地中を駆け回るエイラ。
しかし、一向にサーニャは見つからない。サータンも。いや、サータンなら部屋ですけどね、エイラの。
疲労と憔悴からとうとう、エイラはへなへなと地べたにくずおれてしまった。
たった数行で? とお思いになるかもしれないが、1行1行で結構時間が進んでいるのだ。
さながら浦島太郎である。髪の毛も真っ白である(もともと)。
「どうかしたんですの、エイラさん。どこか体の具合でも……」
そんなエイラを見かねてか、さも偶然そこを通りかかったふうにペリーヌは声をかけた。
今、エイラの前に現れたことがペリーヌの運の尽きである。
エイラはゆっくりと顔をあげ、ペリーヌと顔をあわせる。
その瞬間、エイラは悟ったのだった。
アレ? コイツ、怪しくね? って。
言われてみれば、そう見えなくないような気がしないでもない。
たとえるなら、いつものツンツンメガネがツンツンツンメガネくらいに。
「そうカ、そういうことなんダナ」
わなわなと立ちあがるエイラ。武者震いが抑えられない。
その時エイラの頭の中では、みるみるこれまでのストーリーが構築されていく。
さっき飲んだ牛乳の味とか、芳佳との会話とか。これまでの辛い授業とか、育んできた熱い友情とか。
やがて、エイラは1つの結論に至った。
なにせペリーヌだ、西部劇でいえば町を牛耳る保安官である。胸の星が泣いているぜ!
「オイ、ペリーヌ! サーニャをどこに連れ去った!」
「サーニャさん? サーニャさんでしたら――」
「問答無用ッ!」
エイラはタロットカードを素早く抜き取る!
それをトランプ手裏剣の要領でペリーヌめがけて投げつけた!
ぷしゅー
悪は滅びた。
見事タロットカードはペリーヌの脳天に突き刺さり、血飛沫をあげた。
ばたん、と立てた本でも倒すように、ペリーヌはそのまま地べたに倒れた。
「大成敗ッ」
くるりと背を向け、エイラは再び歩き出した。
いくらなんでもやりすぎなんじゃ……そう思われるのも致し方ないかもしれない。
もし相手が悪の小悪党ではなく善良な一般人なら、各所方面から苦情殺到なところだね。反省反省。
- 454 名前:さにゃがにゃんにゃんエイラーかめん:2010/07/19(月) 13:27:58 ID:DIPMUou2
- しかし、サーニャの行方はてんで掴めずじまいだった。
カバンの中も、机の中も、探したけれど見つからないのに。
それでも踊る気になんてなれなかった。エイラはまだまだ探す気だった。
くるっぽー。
と、そんなエイラの前に。
鳩である。
なぜに鳩? オリーブはくわえていない。豆鉄砲も。だったらこれしかあるまい。
『お元気ですか。私は元気です。
ネコは好きですか。イヌよりネコ派ですか。実は私、ネコを拾いました。とてもかわいい黒ネコです。
エイラ、いいえエイラーかめん。もう気づいたようね。そう、その黒ネコとはサーニャちゃんのことです。
サーニャちゃんを返してほしくば、正々堂々、私と勝負しなさい。勝ち取りなさい。
ンジャメナ』
なんだンジャメナって。いや、アフリカのどっかの都市だけど。
最後に書かれているということは、差出人の名前だろうか。そんな人、エイラは知らないが。
っていうか、ンからはじまる名前ってどうなんだ。出席番号絶対最後じゃないか。
いや、それよりも。
なんだエイラーかめんって。
だって私の“正体”は、サーニャだって知らないはず……
ぐるぐるぐるぐる、エイラは考えを巡らせた。
悠長に考えている場合ではなかった。
私がサーニャを助けなきゃ。
ぐしゃり。手にした紙を握りつぶし、エイラは固く心に誓ったのだった。
決戦の朝をむかえた。
場所はコロッセオである。
決戦といえばコロッセオ。常識である。テスト範囲である。蛍光ペンか赤ペンでアンダーラインである。
しかし、待てど暮らせど、その場にエイラが現れることはなかった。
これにはンジャメナさん(仮)もご立腹である。
腕時計をチラチラ。銀の髪をふわりかき乱す。巌流島の小次郎状態だ。ってそれ負けフラグじゃん。
ついぞエイラが現れることはなかった……
「ひとつ火の粉の雪の中」
その代わり、颯爽と現れたのはエイラーかめんだった!
といっても客席に。最前列に。腕組みして。
なんてったってヒーロー。登場は高いところからってもんだろ?
「ふたつフミカネ原作者」
ちなみにこれは、エイラーかめんお決まりの口上である。念のため。
「みっつみっちゃん出番なし――エイラーかめん見参!」
とうっ……!
勢いよくエイラーかめんはぐるぐる回って飛び降りた。
説明しよう。エイラーかめんとはひっくり返せばかめんエイラーになるのだ。
とどのつまり、サーニャの味方、サーニャ限定のお助けヒーローである。
その仮面の下の素顔がエイラであることは誰も知らない……!
ぐにゃり
あと、視界も悪くなるのだ。仮面つけてるから。
かっこよく月面宙返りでも決めようとしたところ、見事に着地に失敗してしまい、
足首をひねったかと思えば、ごろごろと地面を転がっているエイラーかめん。ヒーローですよ?
登場早々の負傷に、エイラーかめんはなかなか立ちあがれなかった。
それは足首の痛みより、カッコつけようとして逆にカッコ悪いことをしてしまった羞恥心が勝っていた。
心身ともに散々である。
ちなみに本日はお日柄もよく、見事な決戦日和――つまりサンサン(Sun Sun)である。
もしこれから決闘でもしようものなら、エイラーかめんの敗北は必須の大怪我をおってしまった……!
「クソッ……サーニャを返せ! 私のサーニャ!」
残る力を振り絞って、エイラーかめんは立ち上がる。
つか、ぬけぬけと「私のサーニャ」とか言っちゃってますよ奥さん。
正体がバレてないからってちょっと大胆すぎじゃありませんこと奥さん。
「それはできないワ」
が、ンジャメナさんはきっぱり拒否。
「サーニャちゃんを返してほしくば私に勝ちなさいと書いてあったはずヨ、エイラーかめん」
「やはり戦うしかないのカ……」
本当ならエイラーかめんは戦いたくなんてなかった。
それは怪我のこともあるけど、なんだかンジャメナさんとは戦う気が起きなかったのだった。
本当は敵同士じゃない、そんな気がするのだ。
ンジャメナさんからどこか懐かしいものを、エイラーかめんは感じていた。
一体誰かは知らないけど――っていうか誰?
それもそのはず。実はンジャメナさんも仮面をつけていたからだ。
奇遇にもエイラーかめんも仮面をつけていたりする。
これから仮面舞踏会の幕開けだろうか。あるいは武道会。ま、そんなわけないけどね。
- 455 名前:さにゃがにゃんにゃんエイラーかめん:2010/07/19(月) 13:30:00 ID:DIPMUou2
- 当たり前だが、対決方法はタロットである。
他になにがありますか?
22枚の大アルカナと56枚の小アルカナを組み合わせた自分だけのデッキを構築し、
さらに正位置・逆位置の配置などまさに無限の戦略が楽しめる、今世界中で大人気のカードバトルである。
みんなもう知ってるよね。細かいルールはググるなり友達に聞くなりしてほしい。以上。
「私のターン! ドロー! 《硬貨の1》を正位置に配置!」
先攻のエイラがターンエンドを宣言する。続いてンジャメナさんのターン。
「ドロー! 《剣の1》を正位置に配置! 《硬貨の1》に攻撃!」
「なんだっテ!?」
ダイヤのエース破れたり。
数字が同じなためライフこそ削られないものの、早々に《硬貨の1》はアボーンしてしまった。合掌。
「な、なかなかやるようダナ……しかし私は負けるわけにはいかないんダ!」
その台詞はむしろ悪役っぽいぞエイラーかめん。
ともあれ、やられっぱなしのエイラーかめんではない。
100メートル走ならまだしも、タロットバトルなら絶対に負けない自信があった。
周到に用意した布石、算段と言っていい。
それと言うのはガンパイならぬガンタロットである。語呂よく言えばガンロット? 語呂悪いな。
自身の最強カードをシャッフル時にわざと手札の上に来るように忍ばせておき、
あとは場に特殊召喚、一気に勝負をつけてしまおうというアレだ。
エイラーかめんお得意の戦略であるのは周知のとおりである。最終回にわざわざ述べることでもなかったか。
まさに一撃必殺。バレた瞬間に反則負けが決定する諸刃の剣でもあるが。
「私のターン! ドロー! ………………アレ?」
引いたのは《硬貨の2》である。なんてこった、とんだクソカードである。
「どうかしたノ、エイラーかめん」
「なっ、なんでもないゾ!」
「だったら早くしてヨネ。それともターンエンド?」
「ちがっ……《硬貨の2》を逆位置に配置……ターンエンド」
しどろもどろになりながら、エイラーかめんはぼそぼそタロった。
むろんのこと、こんな好機を見逃すンジャメナさんではない。
「《剣の1》を生け贄に《皇帝》を正位置に召喚! 特殊効果〈絶対王政〉を発動!
《硬貨の2》を場から無効化し、相手プレイヤーを直接攻撃!!!!」
「うぼああああああああああっ!!!!」
あまりの攻撃に悲鳴をあげるエイラーかめん。
そればかりか、まるで紐で引っ張られでもしたかのように、後ろに数メートル吹っ飛んでいった。
これはそういうノリのバトルなのである。
「クソッ! 一体なにが起こったっていうんダ……?」
エイラーかめんは立ち上がった。
しかし、その体はもはやボロボロである。その足取りはまるで生まれたての馬。
なにが起こったのか、エイラーかめんにはわからなかった。
自分のガンロットは完璧だったはず。ではなぜ《硬貨の2》なんて引いてしまったのだろう。
デッキからカードが1枚だけなくなっているなんてこと、果たしてあり得るだろうか?
ではみなさんも考えてみよう。
シンキングタイム10秒。
9、8、7、6、5、4、3、2、1……ブブー!
正解はペリーヌに投げつけたのをうっかり回収し忘れたでした。
……本当にごめんなさい。
- 456 名前:さにゃがにゃんにゃんエイラーかめん:2010/07/19(月) 13:31:08 ID:DIPMUou2
- エイラーかめんの基本戦術は前述のとおり、1枚の最強カードに依存したものである。
他のカードはその1枚をいかに活かすかということを考えてデッキを構築している。
では、あろうことかその1枚だけが抜け落ちてしまえば、デッキはどうなってしまうだろうか。
紙くずである。捨てる時には燃えるゴミか古紙のリサイクルである。
エイラーかめん、完全敗北の瞬間であった。
「私のターン。ドロー。《硬貨の騎士》を逆位置に配置。ターンエンド」
エイラーかめんがそう告げた時、事実上の勝負はついていた。
《硬貨の騎士》は小アルカナではそこそこの強カードではあるのだが、
大アルカナ屈指の攻撃力を有する《皇帝》の前では屁みたいなもんだ。
これがまだ《女王》や《王》なら《皇帝》の〈絶対王政〉に反旗を翻らせることもあるいは可能だったのに。
ンジャメナさんのターンがやってきた。
「特殊効果〈絶対王政〉を発動! 《硬貨の騎士》を場から無効化し、相手プレイヤーに直接攻撃!!!!」
それはまさに死刑宣告と呼ぶにふさわしい。
生身の人間が蒸気機関車に立ち向かうような、埋められない圧倒的戦力差とどこまでも深い絶望感。
エイラーかめんは死の瞬間、恐怖からぎゅっと目をつむった。
「うぼああああああああああっ!!!!」
後に残されるのは断末魔のみである。
全身が張り裂けんばかりに駆けめぐる叫声。
そのあまりのリアルさに、エイラーかめんはそれが自身のものであるとすっかり錯覚していた。
そう、エイラーかめんの命はまだ尽きてはいなかった。
ゆっくりと目を開けるエイラーかめん。その瞳に真っ先に映るものとは。
エイラーかめんの前に両手を広げて立ちふさがる人物、それは――
「サーニャが! サーニャが守ってくれたんダ……!」
- 457 名前:さにゃがにゃんにゃんエイラーかめん:2010/07/19(月) 13:31:53 ID:DIPMUou2
- 「ずっとずっと思ってた。わたし、エイラを守りたかった。
いつもわたしのこと守ってくれて、でもわたしからはなにもお返しできなくて……
エイラ。わたし、少しはエイラの役に立てたのかなあ……?」
「アア! そんなこと当たり前じゃないカ! エイラーかめんはそう思うゾ!」
くずおれるサーニャの体を受け止めながら、エイラーかめんはぶるんぶるんとうなずいた。
手と手をぎゅうとかたく結ぶ。もうけっして離れてしまうことがないように。
「ありがとう、出会ってくれて。ありがとう、いつも守ってくれて。ありがとう、いっぱいやさしくしてくれて。
ありがとう、エイラ……じゃなかった、エイラーかめん」
「うわあああああああああ!!!! サーニャアアッ!!!!」
感情に身を任せるまま、エイラーかめんは泣いた。
仮面の間から溢れたそれは、汗っかきの汗のような、ものすごい涙だった。
「とんだお邪魔虫が入ってたワネ」
へたりこむ2人を見下ろし、ンジャメナさんは荒ぶるブルマのポーズ。
こんなことになってしまったのに表情ひとつ代えずに。だって仮面つけてるしね。
「オマエの血は何色ダ――――ッ!!」
怒髪天をつくエイラーかめん。
「ちはチーカマのチー!!」
対抗して思いついたことをそのまま言い返すンジャメナさん。
「もう争うのはやめて!」
そんな2人の仲裁に入るサーニャ。残りわずかな力を振り絞って、たどたどしく言葉を続ける。
「だって2人はし」
そこまで言ってとうとうサーニャは事切れた。多分一番肝心なところを言わずに。
もしエイラとエイラーかめんを言い間違えてさえいなかったら……!
サーニャをそっと寝かしつけ、エイラーかめんは立ち上がった。
もう涙は止まっていた。
たとえ倒れる時でも必ず前のめりに――
それがヒーローとして、百合者として、タロッターとしてのエイラーかめんの矜持であるのだから。
「せっかく命拾いした命でまだ戦いを挑もうとユーノー?」
「アア。たしかに私は弱いナ……愛する人1人守れず」
哀愁ただよう背中。手をグーに握り、振るう。
キッ、とンジャメナさんを睨みつけ、エイラーかめんは叫んだ!
「ケド、私は1人じゃない!」
傍らに眠るサーニャを想い。
「私には、なににかえても守りたい人がいる!」
そうか。そういうことだったんだ。
「共に己を高めあえるライバルがいる!」
ペリーヌである。おでこの絆創膏が痛々しく光る。
客席最前列に腕組みをして。登場はピンチに高いところがライバルってもんだろ?
「べ、別にエイラーかめんを心配してとかそういうことじゃありませんわ! 勘違いなさらないことね!
ただ、あなたを倒すのはわたくしと、そういうことですわ!」
保安官の心は悪に染まってはいなかったのだ!
ペリーヌは指と指の間に挟んだタロットを、トランプ手裏剣の要領でエイラーかめんに向けて放った。
エイラーかめんは受け取ると、こくんと無言でうなずいた。
「そして、応援してくれるみんながいる!」
いつのまにか、コロッセオの客席を埋め尽くすように観客がごった返していた。
人々は口々にそう声のかぎり叫ぶ。
えいらー えいらー えいらー
耳をすませば、その声はちゃんと聞こえてくる。
もうみんなにも聞こえてるよね? なにか聞こえたって人は今すぐ病院に行った方がいいと思う。
「こ、これがエイラーかめんの力だとユーノー……!?」
「私のターン! 特殊召喚! 大アルカナ《正義》のカードを正位置に配置!
特殊効果〈正義の鉄槌〉を発動! 《皇帝》はその権限を失い、破壊される!
相手プレーヤーに直接攻撃! ジャスティン・ミラクル・ミラクル!」
「うぼああああああああああっ!!!!」
戦いは終わった。
わなわなとンジャメナさんの仮面にヒビが走り、粉々に砕け落ちた。
その隠されていた素顔とは――
「おっ、お姉ちゃん!!!?」
- 458 名前:さにゃがにゃんにゃんエイラーかめん:2010/07/19(月) 13:33:25 ID:DIPMUou2
- なんてこった。ンジャメナさんがお姉ちゃん!?
お姉ちゃんと言ってもゲルトルート・バルクホルン大尉のことではないので、くれぐれもお間違いなきように。
そうではなく、エイラの実姉である。
フンニャ・フニャララ・ユーティライネンさん。年のころは16歳以上。
「ひさしぶり、エイラ。元気してタ?」
「なっ、なんで姉ちゃんがこんなとこに!?」
おや、たしか先ほどエイラは「お姉ちゃん」と呼んだはずである。まあ本人的にいろいろとあるんだろう。
「アラ? 果たし状にちゃんと書いておいたはずヨ」
「果たし状だっテ?」
くしゃくしゃになった紙を広げ、しげしげと眺めること13秒。
『お
ネ
エ
サ
ン
思わずエイラは両手のひらを仮面にあてた。
まさかこんな簡単な縦読みを見逃していたなんて。レベルが低すぎて逆に気づかなかったぜ。
「まさかお姉ちゃんが負ける日がくるなんテ。強くなったワネ、エイラ」
「姉ちゃん……」
本当なら、エイラは今すぐにでもお姉ちゃんの胸に飛びこみたかった。
故郷を襲った戦禍で生き別れた、この世でたった2人の姉妹。互いを思わない日はなかったのだから。
けれど、それは許されない。
エイラーかめんはヒーローで、お姉ちゃんはンジャメナさんで。
「心配させやがっテ! 一体今まで、どこをほっつき歩いてたんダ!」
せきを切ったように溢れ出す感情そのままに、エイラはまくし立てた。
それにお姉ちゃんはくるりきびすを返す。
「それじゃあ、ごきげんよう。またたびに出るわ」
「またたび?」
「世界中を武者修行して、今度こそエイラに負けないように、ネ」
ああ「また旅に」か。エイラは納得した。
「いや、ちょっと待テ! なんでダ! せっかく再開できたんダゾ!」
「老兵は死なずただ去りゆくのみ。それより、あなたにはもっと大切な人がいるじゃナイ」
そういえばそうだった。まさか忘れていた人はおるまいけど(作者以外)。
「サーニャアッ!」
エイラはサーニャの元に駆け寄った。
人工呼吸? 心臓マッサージ? どっちダ、どっち……
「ちょっと気を失ってるだけヨ」
「そ、そうなのカ」
不謹慎にもちょびっと残念がるエイラ。
なにせタロットバトルは未来のカードゲームだ。命は賭けても、まさか本当に死んだりするはずがない。
お母さんも安心してお子さまにオススメできます。ご購入は全国のスーパーや薬局で。
「サーニャちゃん……いい子を見つけたワネ。大切にしてあげなきゃダメヨ」
「ナッ! ナニ言ってんダ! 全然意味ワカンネーシ!」
「アラアラ」
エイラがいくら否定しても、お姉ちゃんは笑うばかり。
「また会いましょう」
そう言うと、お姉ちゃんはサドルにまたがり走り出した。
チリンチリン。
「アア、またナ!」
どんどん小さくなっていく自転車に、エイラはグッと親指を立てた。
また会える気がする。
2人がタロットを続けてさえいれば。
きっとまた……
以上です。
ぶっちゃけカブトボーグ見ながら書いた。反省はしてません。
- 459 名前:laevatein ◆nc1Kth5AW6:2010/07/20(火) 08:04:29 ID:UsTsAdhA
- お久しぶりです、Laevateinです。
いろいろ楽しく読ませてもらっています。
というわけで今日は『エース』シリーズの関連話をば。
[時間と場所と、状況と。] エーリカ中心のある意味ドタバタ。割とシリアスめな感じで。
ttp://sky.geocities.jp/tsuki_no_tomo_sibi/swss/time_place_and.txt
こんなエーリカもありかなと。ちなみに「fin.」の後は余談というか
ただのネタなので深い意味はありません。
- 460 名前:名無しさん:2010/07/20(火) 11:11:34 ID:DGeIZ9DA
- >>459
これは、引き込まれるというか、心が引き締まるというか。
自分もいろいろ反省しなきゃなーと思わされました。
ごめんなさい、お姉ちゃん、中佐。
さすがの筆力です。GJ.
- 461 名前:名無しさん:2010/07/20(火) 19:08:24 ID:6V4.DGP6
- 帰省して帰ってきたら大量投下キテタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!
皆様GJです!
- 462 名前:名無しさん:2010/07/20(火) 19:52:42 ID:0wWoeLeU
- >>458
カオスなノリで中々良かったんじゃない?、俺はどっちでもいいけど
- 463 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/07/20(火) 21:44:43 ID:ksF9Wutw
- >>職人の皆様方
皆様GJです! いきなりの大量投下に驚嘆していたり。
流石本放送が始まると勢い出てイイナー。
こんばんは、mxTTnzhmでございます。
一本出来ましたのでどうぞ。
今回も軽く短めに。
- 464 名前:slightly refraction:2010/07/20(火) 21:45:21 ID:ksF9Wutw
- 「それにしても珍しいわね、貴方が風邪をひくなんて」
ミーナは病室の片隅、ベッドに居る美緒に語りかける。
「たまたまだ。私だって風邪をひく事くらい有る」
不機嫌そうな美緒。
「そうね。たまには風邪位ひいてもらわないと」
「何っ? どう言う事だ」
「だって、そうでもしないと、朝からゆっくりするなんて出来ないでしょう?」
「なるほど、そう言う考え方か」
「ものは考えよう、よ。美緒」
微笑むミーナを前にしても、美緒はうーむと納得出来ない様子。
「私がたるんでいたばっかりに……」
「そうやって自分を責めるのが、貴方の国の武士道というもの?」
「違う。ただ、自分の不甲斐なさを……」
言いかけて、ミーナの人差し指で口を遮られる美緒。
「悔いるより前を向けって、美緒前に言ってたでしょう?」
何か言いたそうな美緒に微笑みかけると、真っ赤に熟れたリンゴと果物ナイフを取り出し、さりさりと皮を剥いていく。
皮を剥き、一切れ切り分けた。差し出すと、美緒は黙って受け取った。
「ゆっくり食べるのよ」
「子供じゃあるまいし」
「時々大人げなくなるからね、貴方は」
「悪かったな」
と言いつつも、綺麗に切られたリンゴをじっと見る。
「なかなかだな」
「まだ食べてないのに」
「いや、切り方だ」
そう言うと、美緒はおもむろにリンゴを食べた。
しゃりっと瑞々しい味わいが口の中に広がる。
「甘いな」
「良かった」
ミーナも一切れ食べてみる。確かに甘いわね、と感想を呟く。
窓辺から差し込む陽射しはまだ柔らかく、朝の澄んだ空気と相まって、どこか落ち着いている。
今はまだ朝食前、食堂では隊員達がいつもの騒ぎを繰り広げながら食事を待っている頃だ。
「すまない、ミーナ。心配させて。隊の任務にも差し障りが……」
「良いのよ。部下を見舞う事も上官の役目。それに誰だって少し体調崩す事は有るわ。……でも」
「でも、何だ?」
ミーナからまた一切れリンゴを貰い、食べながら美緒が聞く。
「ネウロイをビーム毎斬り落とす程の貴方が、風邪でダウンというのもおかしくて」
「わ、悪かったな」
「良いの。さっきも言ったでしょ。たまにはゆっくりしないと」
「そうだが……」
ミーナは美緒に顔を近付け、言った。
「大丈夫。他の子もみんな、頑張っているから。貴方だけじゃない。心配しないで」
「……」
「そうそう、ひとつ確かめたい事が有るんだけど」
「どうした、ミーナ?」
不意にキスされそうになり、慌てて身を引く美緒。
「何のつもりだ。風邪がうつったら大変な事になる」
「宮藤さんから聞いたわよ。扶桑では『風邪をうつすと治る』って言うらしいわね」
「宮藤め、余計な事を……。って、だからと言ってミーナが風邪をひいたらこの部隊はどうする?」
「残念」
ミーナは身を引いた。美緒に一切れリンゴを渡し、自分も最後の一切れを食べると、言った。
「だけどね、美緒」
「?」
「こうしてゆっくりしていられるのも、良いと思って。勿論早く治って欲しいんだけど、たまには……」
ミーナは少し複雑な笑みを浮かべた。
美緒はそんなミーナを見、手の中にあるリンゴを見つめた。それを味わいながら食べ、呟いた。
「そう、かもな」
「美緒ったら」
くすっと笑うミーナ。
病室はとても静かで、二人を包む空気は重苦しいものではなく、窓から入る穏やかな陽射しと相まって、二人を癒すかのよう。
ちょっとだけ、でもちょっとでも、もう少しだけ。
ささやかな願いを胸に、二人は同じ部屋で同じ時を刻む。
end
- 465 名前:名無しさん:2010/07/20(火) 21:45:36 ID:ksF9Wutw
- 以上です。
もっさんとミーナさんは夫婦!
そして501の父と母!
ではまた〜。
- 466 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/07/20(火) 22:18:10 ID:ksF9Wutw
- こんばんは、mxTTnzhmでございます。
早速一本出来ましたのでどうぞ。
今回も軽く短めに。
- 467 名前:mess:2010/07/20(火) 22:19:10 ID:ksF9Wutw
- 「なあ、今度の休暇、暇だろ?」
音速のリベリアンは、斜向かいに座るカールスラントの堅物に声を掛けた。
「ああ、暇だが、何か有るのか?」
「いつも短い休暇だとのんべんだらりと過ごして終わるじゃん? だから今度はみんなも楽しめる事しようかと思ってさ」
「ほほう。リベリアンにしては良い考えだな。で、何をするんだ?」
「早食い競争」
がたっと立ち上がったトゥルーデはシャーリーを睨み付けた。
「この、馬鹿者! 大切な食料を無駄にする気か!」
「そんな高価なモノ食う訳じゃないし、大丈夫だって。堅物こそ、何食うと思ったんだよ」
「そ、それは……」
口ごもるトゥルーデを後目に、シャーリーは自分の案を述べた。
「あたしが考えたのはホットドッグの早食いなんだけどね」
「何だそれは」
「ホットドッグ知らないのかい? パンにソーセージを挟んで……」
「食品の事は知っている! 何故にそれを早食いするんだ? 意味は?」
「あたしの国じゃ、建国記念日にホットドッグを早食いする競争が有ってさ。毎回凄いのなんのって」
「それを501で再現されても困る。貴重なソーセージを一気食いなど、とんでもない」
「じゃあ、イモの早食いにするとか」
「同じだ同じ」
「イモおいしいよね、トゥルーデ」
話を聞いているのか聞いていないのかよく分からない答えを返すエーリカ。
その横でやり取りを聞いていた芳佳が、ぽつりと言った。
「あの、私……、ホットドッグはよく味わって食べたいです」
「私も」
リーネも同調する。
「うーん。結構良いかなーと思ったんだけどね〜」
「スピード勝負のお前には良いかも知れないが、競うものじゃないだろう。宮藤やリーネの言う通りだ」
「シャーリー、こんどホットドッグ作ってよ!」
ルッキーニがシャーリーの膝の上に乗って笑顔を振りまく。
「おう、良いぞ。今度たっぷり食べさせてやる」
「やったー」
「あ、そう言えば、扶桑ではわんこそばって言うのがあって、小分けにしたお蕎麦を何杯食べられるか競争するのが……」
「宮藤も競争から離れろ」
呆れるトゥルーデ。
「しかし堅いねー堅物は。たまにはいいじゃん」
「戦時でないなら、色々と祭りやらで楽しみも有るだろうが、仮にも今は戦いの最中だ。そんな無駄をやっている暇があるか」
「でも暇な事は暇だよ。休暇だし」
「ああ言えばこう言う……」
「じゃあ、あたしと勝負するかい? この際食べるものは何でも良いけど」
「……っ。危うく承諾しかけるところだった。その挑発には乗らん」
「残念」
「際限なく数を競うから駄目なんじゃないでしょうか」
ふと、芳佳が意見を述べる。同時に、ばっと振り向く大尉ふたり。
「そうだ、それだよ宮藤!」
「数を予め決めておくなら問題無いな。なるほどタイムアタックと言う訳か、なかなか合理的な判断だ」
「で、で、何を食べるの〜? ナニナニ?」
乗り気のルッキーニ。
「数を決めるか、ならばクッキー十枚とかどうだ」
トゥルーデの意見に呆れるシャーリー。
「そんな少ないの、一気に飲み込んで終わりだろ。別の意味で勝負にならないって」
「じゃあ、ある程度は食べにくく、一定の数が必要になるな」
「そんな都合の良い食材、有るか?」
大尉ふたりは揃って芳佳とリーネを見た。
「それが……残念ながら余ってる食材が無くて……」
リーネが申し訳なさそうに呟く。
「でも、これならたくさん有ります」
芳佳とリーネがサンプルとして差し出したのは、青い缶詰。シャーリーの国自慢の缶詰肉。
缶詰の色、書かれた文字を見て、一同は途端にやる気が萎え、はあぁ、と溜め息を付いた。
end
- 468 名前:名無しさん:2010/07/20(火) 22:19:34 ID:ksF9Wutw
- 以上です。
早食い競争そのものを書いても良かったんですが
あのキャラ達だと何だか収集つかなくなりそうなので
今回はこの辺の無難な? オチで。おちてませんが。
ではまた〜。
- 469 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/07/20(火) 23:29:38 ID:ksF9Wutw
- たびたびこんばんは、mxTTnzhmでございます。
また一本出来ましたのでどうぞ。
今回も軽く短めに。
ちなみに今回は保管庫No.0981「music hour」シリーズとなります。
- 470 名前:infinity:2010/07/20(火) 23:30:56 ID:ksF9Wutw
- ハ〜イ今夜も「STRIKE TALKING RADIO」始まりマシタ〜。
DJ兼MC、パーソナリティのエイラ・イルマタル・ユーティライネンでス。皆聴いてるカナ?
この番組ハ、サーニャのレーダー魔導針を通しテ、全世界の悩めるウィッチに秘密のラジオとしてお伝えしているンダナ。
夜間哨戒のついでじゃないカラナ? さて今夜は本っ当に、久々にサーニャと二人っきりだからナ。
ああ〜嬉しいヨ、サーニャ。
「それは良いから……お便り」
あ、そうだよナ。じゃあ早速……今回は502JFWからダゾ。ラジオネーム「ついてないひと」……
「……」
居ると面倒だし居なくてもハガキ送ってくるってどんだけアレなんダヨ。
まあいいヤ。
『イッル聞いたぞ、この前試験とか受けて中尉になったんだって?
私をさしおいて何勝手に昇進してんだよ! 絶っ対許さないぞ!?
でも何で急に速成士官教育受けようとしたの? やっぱりウインドさんが言うみたいに』
(ハガキを破く音)
ゴメン、手が滑っタ。
「エイラ……」
わ、私ハ! 疾しい所なんてこれっぽっちも無くテ、
ただ単に階級上げようかなーとか思ったり、
サーニャと一緒の方がイイナーとかそう言うつもりじゃなくテ……
「エイラ、嬉しい」
な、何でサーニャが喜ぶンダ?
「だって、一緒だから。私と一緒に」
ウン。サーニャと一緒ならどこまでも……
「でも、私がエイラに命令できなくなったね。エイラが階級下だったら楽だったのに」
エッ!?
「それが目的?」
ちちち違ウ! 私はただ……
「じゃあ、エイラは永遠に私のモノね」
も、モノって言われても……
「じゃあ、奴隷?」
ど、奴隷!? どうしてそう飛躍するのか意味が分からなイ!
「でも、嬉しい。エイラ、有り難う」
いや、まあ……その……、これからも宜しくナ、サーニャ。
「ふふっ。大好きよエイラ」
サーニャ……なんか鼻血出そウ。
「じゃあ帰ったら……」
な、なら今すぐ帰ろウ!
きょ、今日の放送はここマデ! ちょっとサーニャと一緒に急用を思い付いたゾ!
最後に、「サーニャのうた」をワンフレーズだけ聴きながらお別れデス。
end
- 471 名前:名無しさん:2010/07/20(火) 23:31:25 ID:ksF9Wutw
- 以上です。
そして次に続くのであった……という感じで。
ではまた〜。
- 472 名前:管理人 ◆JvGG5u6wMo:2010/07/20(火) 23:41:18 ID:Oauox/Ng
- 皆さんいつも乙です。
500KBが近づいたので次スレを立てました。
500KBを超えたら移動して下さい。
ストライクウィッチーズでレズ百合萌え 避難所6
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12483/1279636474/
- 473 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/07/20(火) 23:57:56 ID:ksF9Wutw
- >>472管理人様乙です〜
いつもお世話になってます。本当有り難う御座います。
今夜四回目のこんばんは、mxTTnzhmでございます。
また一本出来ましたのでどうぞ。
今回も軽く短めに。
>>470「infinity」のその後、と言う感じで書きました。よしなに。
- 474 名前:kiss me, right now:2010/07/20(火) 23:58:26 ID:ksF9Wutw
- 夜間哨戒を終え、報告を手短に済ませた後、二人で一緒にシャワーを浴びる。
いつもと同じく、温水をざーっとかけ流しながら……髪を洗いっこして……汗を流して……
服を着て、一緒に部屋に戻るまで、エイラは一人悶々とした気分のまま、
どうしようか、どうなってしまうのかとあれこれ思いを巡らせていた。
そんなエイラを知ってか知らずか、サーニャは時折エイラの方を恥ずかしげにちらっと見、また余所の方を向いてしまう。
エイラにとってはそんな仕草のサーニャも大好きで仕方ないのだが、だからと要って手を出す事も躊躇われ、
結局そのままふたりはいつもの……エイラの部屋へと戻った。
「じゃあ、少し寝よウ、サーニャ」
「うん……でも、だめ」
「エッ、何で? 寝ないと次の夜間哨戒に……」
「分かってない、エイラ」
小さな手から想像出来ない位強い力で腕を引っ張られ、そのまま二人揃ってベッドに転げ込む。
「サーニャ?」
「エイラ、何かしてくれるんじゃないかって、ずっと待ってたのに」
「ええッ!?」
「報告終わって自由になった時、シャワー浴びてる時、二人で一緒に髪を洗ってる時、服を着る時、
部屋に戻る時、ずーっとエイラの事待ってた」
「サーニャ……てか流石に他の奴の目につくところでそれはどうかと思うンデスケド……」
「分かってない」
拗ねた表情を見せるサーニャ。さっきから離さずにいたエイラの腕を更に引っ張り、エイラの手を、サーニャ自身の胸に当てた。
どきりとするエイラ。
「分かる? この気持ち」
「えット……」
ちょっと怒った感じのサーニャも可愛い。などと思うも、このままだと本格的にサーニャを怒らせてしまう予感(警報)が
頭中に響いたので、サーニャの胸に当てられた手を、そっと動かしてみた。
甘い吐息が、サーニャの口から漏れる。手はそのまま、サーニャの肩をそっと抱き寄せた。
「サーニャ、聞いテ」
「うん」
「サーニャは、私にとって一番大切。誰よりも大好きダ。だから、見ているだけで幸せナンダ」
「でも、それじゃ私もエイラも……」
「分かってル。サーニャがこの先に何をしたいのか、トカ」
「ならエイラ……」
「でもサーニャを傷付けてしまいそうで、私……」
「そんな事ない。その証拠に」
サーニャは自分から服を半分脱ぎ、露わになった素肌をエイラに見せ、手を触らせる。
ごくりと生唾を飲み込むエイラ。
「だから、エイラ……私だけのエイラで、居て欲しい」
「サーニャ、良いのカ?」
「エイラの事、大好きだから。愛してる、エイラ」
サーニャはそう言うと、唇を重ねた。一筋の涙がこぼれ落ちる。
エイラは服の袖で拭い、少しぎこちない格好で、サーニャにキスを返した。
二人の身体がゆっくりと、確実に近付く。
「本当は、もっと一緒に居たい。離れたくない。服の隙間も要らない位」
エイラの服を脱がし、中途半端に脱げかかった。
部分的に、二人の肌が密着する。
脱ぎかけの服から見える、お互いの下着、素肌。
くらっと理性が飛びかけたエイラは、サーニャにキスをする。首筋に唇を這わせ、つーっとなぞる。
「ああっ……はぁ……」
サーニャの喘ぎにも似た吐息を五感で感じ、ますます欲求が昂ぶる。
モット、シタイ。
サーニャを抱きしめたまま、もう一度濃厚な口吻を交わす。
漏れる吐息が焼け付く程熱く、お互いの頬を撫でる。
体温の上昇を感じる。
頭が真っ白になりそう。
「サーニャ」
「エイラ」
お互い何度も名前を呼び合い……そのたびにキスを繰り返し……、きつく抱き合う。
「積極的なエイラ、大好きよ。だから、もっと。お願い」
「サーニャが望むなラ」
もう、それ以上は何の言葉も交わさなかった。
何か話すよりも、たくさんキスをして、いっぱいお互いを感じる。
その行為に没頭する。
寝る間も惜しんでずっと続く逢瀬。
汗だくになりながら、二人は微笑んだ。
サーニャはエイラが、エイラはサーニャが居るだけで、他には何も要らない。
好き、愛してる、そんな言葉を言うより先に、五感で感じ伝えたい。
二人の思いはひとつに。
疲れ果てて微睡みに誘われ眠りに落ちるまで、二人は何度も繰り返した。
end
- 475 名前:名無しさん:2010/07/20(火) 23:58:44 ID:ksF9Wutw
- 以上です。
自分で書いててエイラーニャなのかサーニャイラなのかよく分かりませんが、
とにかくいちゃいちゃしてるのはどうかなあとか思ったり。
エイラーニャのSSはとにかく数が最多なので、
ネタとか細かい所で他の職人様とかぶってないか心配ですが
(もしかぶってたらすいません>< )
宜しかったらどうぞ〜。
ではまた〜。
- 476 名前:名無しさん:2010/07/21(水) 09:09:20 ID:hz1O7yoM
- た、たらんのぅたまらんのぅ
あまりの甘さに血糖値が上がってしまった
皆様GJ!!
- 477 名前:名無しさん:2010/07/21(水) 09:11:08 ID:p9JRUJ7A
- 1日に4つとか超次元すぎるww
超GJなんですが、もうグッドじゃ足りないんじゃね? とも思う今日この頃であります
あとネタ被りなんか気にせずもっとえいらにゃを書くべき。みんな書くべき
- 478 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/07/21(水) 22:40:06 ID:RsEb2BbM
- こんばんは、mxTTnzhmでございます。
一本出来ましたのでどうぞ。
今回も軽く短めに。
- 479 名前:life:2010/07/21(水) 22:40:42 ID:RsEb2BbM
- 「では、この目薬を点しますので、上を向いて下さいね」
「こうか」
医務室でのやり取り。美緒は定期的な健康診断のついで、普段酷使している目の検査を行う事となった。
「この目薬は瞳孔を一時的に広げるもので、数時間で元に戻ります。暫く眩しいかと思いますが……」
「分かった。検査は手短に頼む」
「はい。では……」
医師と看護婦が検査を開始した。
検査そのものは数分で終わったが……「絶えず瞳孔が開いている」事に戸惑う美緒。
「うーむ……普段薄暗い廊下でさえこんなに眩しく、歪んで見えるとは」
外をちらりと見る。天気が良く強い陽射しが辺りを照らす。
照り返しを見ただけでくらくらする。
「うおっまぶしっ……」
壁に手を付く。はあ、と息を整える。
「あら美緒どうしたの、具合悪そうだけど」
「その声は……ミーナか?」
美緒は振り向いたが、視界がぼやけ何もかもがぼんやりとしか見えないのでミーナの顔の輪郭を捉えるのがせいぜい。
「あら、今日は健康診断と目の検査じゃなかった?」
「それがこの有様だ。……すまんミーナ、頼みがある」
「何かしら、私で良ければ……っ!?」
美緒は言うより早く、ミーナに全力でしがみついていた。
ミーナの身体、服、髪、そして肌を感じると、やっと安心したかの様にふっと笑った。
「美緒、大丈夫? 医務室で横になっていた方が……」
「一緒についていてくれれば良いんだ。わざわざ医務室の厄介になる必要もない」
「なら、良いけど……でもどうするの? そんな具合で」
「まあ、今ネウロイが来たら、多分私は役に立たんな」
「それどころじゃないと思うわ」
「ともかく、少しの間だけで良いんだ、私の目の代わりになってくれ」
「そんなにしがみつかれても、大丈夫よ美緒」
くすっと笑うミーナ。美緒の手を取り、そっと引っ張る。
「今、私を笑ったな?」
ちょっと不満そうな美緒。
「だって、いつもは背筋をぴんと張って堂々と歩いている貴方が、まるで……」
「まるで、何だ」
「貴方の名誉の為に、言わないでおいてあげるわ」
「……まあいい。とりあえずどうしたものか」
「私は休憩がてら食事でもと思ったんだけど、美緒は?」
「私も付き合おう」
「でもそんな目の見え方で、食事大丈夫なの?」
「なぁに、何事もチャレンジだ」
無理に笑ってみせる美緒。しかし窓際から差し込む陽の光をもろに見てしまい、
「ぐあっ」
と呻いてしまう。
「何だか、貴方吸血鬼みたいよ?」
苦笑するミーナ。
「今日のお昼はサンドイッチですよ」
リーネが皿を差し出す。
「ごめんなさいね、食べるのが遅くなってしまって。片付けも遅くなって大変でしょう?」
職務が長引いたせいで、食堂に居るのはミーナ、そしてついてきた美緒だけ。
「いいえ、そんなに手の込んだ料理ではないですから。芳佳ちゃんも手伝ってくれてますし」
「ほほう、宮藤がか、感心感心」
「で、私は良いとして、貴方大丈夫なの?」
「試しにやってみよう」
ぼやける視界でサンドイッチを一切れ持つ……つもりが、感覚を間違え中の具だけを掴んでしまう。
「ちょ、ちょっと?」
「だ、大丈夫だ。そうだ、飲み物を」
横に置かれたマグカップに手を伸ばし、そのまま勢いよく転がしてしまう。中身がだーっとテーブルに流れ出た。
リーネが慌ててフォローする。
「大丈夫です、すぐ拭きます!」
「坂本さん、どうしたんですか? なんか目、辛そうですけど」
「検査でこうなっただけだ。暫くすれば元に戻る! 心配ない!」
「でも、今は酷いありさまですよね」
「ぐっ……」
強がってみたものの痛い所を突かれ、美緒は答えに窮した。
「リーネさんに宮藤さん、私達は大丈夫よ。悪いけど、替えの飲み物を持ってきて貰える?」
「はい、只今」
「そう言えば美緒、さっき言ったわよね? 貴方の目の代わりになるって」
「ああ」
「だから今は目を瞑っていても大丈夫よ。はい、あーんして」
「そ、それは……宮藤達が見ていないか」
「大丈夫。はい、あーんして」
「……あ、あーん。……ふむ、まあ、悪くは、いや、その」
照れと困惑が混じった顔の美緒、笑顔のミーナ。
美緒とこうしているのが嬉しいのか、それとも美緒で遊んでいるのか。
のほほんとした、二人の食事は暫く続いた。ゆっくりと、そしてしっかりと。
end
- 480 名前:名無しさん:2010/07/21(水) 22:42:10 ID:RsEb2BbM
- 以上です。
もっさんをいたわるミーナさんシリーズその2
みたいな感じで書いてみました。
続きませんけどねw
もっさんとミーナさんは良い夫婦だと思うんです。
ではまた〜。
- 481 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/07/21(水) 23:32:57 ID:RsEb2BbM
- たびたびこんばんは、mxTTnzhmでございます。
また一本出来ましたのでどうぞ。
今回も軽く短めに。
- 482 名前:it's raining:2010/07/21(水) 23:33:57 ID:RsEb2BbM
- ざーざー。ぽたぽた。ざばざば。
雨音と一口に言っても、降り方、ものへの当たり方、風……様々な要因でその音は聞こえ方が違う。
よく聞くと、ひとつも同じ雨音なんて無いんだよ。
サーニャの優しい父はそう言って、幼いサーニャの為に即興でメロディをつけて、微笑んだ。
「お父様」
ぽつりとサーニャが言った。流れる一筋の涙。
彼女の寝顔をのんびりと眺めていたエイラは慌てふためいた。
起こすか、起こすまいか。
とりあえず、ハンカチでサーニャの涙を拭ってみる。
皮膚に触れた感覚で、サーニャが薄目を開けた。
「エイラぁ」
胸に飛び込まれ、余計に慌てるエイラ。
でも何となく察しが付いたので、エイラは息を整えるとそっとサーニャを抱き、優しく髪を撫でた。
銀の髪がさらさらと指の隙間からこぼれ落ちる。
サーニャの呼吸が少し落ち着いたところで、エイラは囁いた。
「夢、見たノカ?」
「うん。お父様の……」
「サーニャ、泣いてタ。悲しそうダッタ」
「悲しくは、ないよ」
「でも、泣いて……」
「久しぶりにお父様と、夢の中で会えて……でも、夢だと分かって、醒めたらまた居なくなるって分かって……」
「それで悲しくなったノカ?」
こくりと頷くサーニャ。
エイラはカーテンで閉じられた窓を見る。微かに漏れる光は鈍く、さーっと微かに雨音が聞こえる。
「雨、降ってル」
「うん」
「前にサーニャ言ってたナ。雨の音で……」
「即興のメロディね」
エイラの胸に埋もれたまま、サーニャはそっと目を閉じる。
雨音が、確かに、微かだが聞こえる。
でも、それよりも力強く、そして暖かく聞こえるのは……
「エイラの、鼓動」
「えッ?」
「エイラの肌、暖かい」
「えッ、う、ウン。こんな私で良けれバ」
「私、歌うのは好き。音楽は好き」
「サーニャ……」
「でも、エイラの胸の音、聞いていると何か、ほっとする。そして絶対に離しちゃいけない、そんな大事な感じ」
「サーニャ、それっテ」
「一番大事なひとだから、エイラ」
「私だっテ、サーニャが一番大事ダゾ? だから泣かないデ。私もサーニャの悲しい顔見るのハ、辛いヨ」
「ごめんねエイラ、心配させて。でも、もう大丈夫」
サーニャはそう言うと、エイラをしっかりと抱きしめ、頬を撫で、緩くキスをする。そして囁く。
「エイラが居るから、私は大丈夫」
「サーニャ」
二人は見つめ合い……サーニャの瞳は少し潤んだ感じで……、唇を重ねた。
「雨、まだ止まないね」
「いつになったら止むんだろうナー」
「でも、雨は嫌いじゃない」
「ソッカ」
「雨は必要だから。でも一番好きなのは」
サーニャはエイラに寄り添い、頬に軽くキスをする。
「こうやって、エイラと一緒に居る事。愛してる、エイラ」
エイラはサーニャのはにかんだ笑顔を見て、
「私も、愛してル、サーニャ」
そう返し、サーニャの頬に同じ事をした。
止まない雨は無い。しかし、しばし降り続く雨も、二人を癒す為には必要なもの。
しっとりと全てを濡らし、優しいノイズで辺りを覆い、二人を包み込む雨。
その中で、ふたりは肌を重ね、何度も口吻を交わした。
end
- 483 名前:名無しさん:2010/07/21(水) 23:35:42 ID:lyeQ2low
- エイラーニャかサーニャイラかちょっと分かりませんが(マタカヨ
エイラとサーニャの、のんびりとしたひとときを書いてみました。
この二人は流石と言うか奥が深い! 毎回悩みます。
ではまた〜。
- 484 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/07/22(木) 01:56:39 ID:6XsRw.jk
- 三度こんばんは、mxTTnzhmでございます。
また一本出来ましたのでどうぞ。
今回も軽く短めに。
- 485 名前:dive:2010/07/22(木) 01:57:10 ID:6XsRw.jk
- 朝礼後、朝のミーティングルーム。黒板の前に陣取るふたり。
「だから、こうギュイーって頭突っ込んで、ギュワーって加速して、地面近くなったらウジャーっと上がればいいんだよ」
よく分からない擬音とジェスチャーで、何かを必死に伝えようと努力しているロマーニャ娘。
「でもねルッキーニちゃん。私のストライカーユニット、急降下には向いて無くて」
「芳佳のユニット貧弱ぅ!」
「でっでも運動性能では負けないよ?」
「高い高度だとどうかな〜ニヒヒ」
言い合う芳佳とルッキーニ。
「まあ、言いたい事もわからなくないけどさ」
「それぞれのユニットには特性があるからな」
傍目で見ていた大尉ふたりが、芳佳とルッキーニを諭す。
「特性?」
「ああ。ストライカーユニットの特徴。良いとことか悪いとことか、さ」
「今お前達が話していただろう」
シャーリーとトゥルーデに言われた芳佳は困った顔をした。
「特性、ですか。私は自分のストライカーの事でいっぱいいっぱいで」
トゥルーデは腕組みすると、芳佳の方を向いて、黒板にチョークで幾つかメモを書いた。
「我々航空ウィッチのなすべきこと。その重要な事のひとつが、自分の使うストライカーユニットの特性を把握する事だ」
「なるほど」
「ここ501には各国の様々なストライカーユニットが揃っているが、それぞれ特徴が有るのは知っての通りだ。
自分のユニットは、何が得意で何が劣っているか。敵より勝るものがあれば、それを最大限活かして攻める。
これが、我々ウィッチが戦場ですべき大事な事のひとつだ」
「はあ」
「模擬戦の場合は、相手のストライカーユニットの事も知っておいた方が良いだろう。より戦いを有利に進められる。
勿論、模擬戦で得た経験は実戦の時、幾らか役に立つ」
トゥルーデはさながら「教師」の如く理論を並べている。
「まあ、要は自分の事をよく知れって話だよ。あとは、チームワークかな」
後ろ手で腕を組んだシャーリーは気楽に答えた。
「ひとりでしゃかりきになっても、多数対多数だとどうしようもないからね〜」
ちらっとトゥルーデを見るシャーリー。確かにそうだとゆっくり頷くトゥルーデ。
「勉強になります」
神妙な面持ちで答えた芳佳にルッキーニが噛み付いた。
「芳佳、まじめすぎ! なんかつまんない! あたしが言いたいのはちがうの!」
「ルッキーニはさっき何を話してたんだ?」
シャーリーが飛びついてきたルッキーニを豊満な胸で抱き止め、聞いた。
「うんとね。上からギュイーンって突っ込んで、ギュワーっと加速して……」
「急降下の一撃離脱戦法か」
「むずかしいことよくわかんないけど、多分それ」
「大型ネウロイ相手には定石のひとつだな。あと、小回りの利く厄介な相手を一撃で仕留めるにも向いているかもな」
「なるほど」
「だから宮藤も気を付けた方が良いかもね」
「えっどう言う事ですか」
「ほら宮藤、後ろ」
「へっ?」
言われて振り向くと、そこにはリーネが立っていた。
「芳佳ちゃん」
「あ、ごめんリーネちゃん、話が有るんだったよね。待たせてごめんね」
「リーネ、芳佳に用事?」
「うん」
「ごめんねルッキーニちゃん、さっきの話、また今度ね」
「うー、中途半端でつまんなーい」
「まあまあ、ルッキーニ」
「しかしルッキーニも真面目に色々考えているんだな」
「ムキー あたしはいつだって……」
芳佳とリーネは、まだ何か言いたそうなルッキーニ、そして大尉二人を残しミーティングルームから出た。
「それで、話って何だっけ」
リーネの部屋に通された芳佳は、あっけらかんとリーネに聞いた。
何故か厳重に鍵を掛けていたリーネは、振り向くと、一瞬何か言いかけた。
「リーネちゃん?」
刹那、芳佳はリーネに飛びつかれ……そのままベッドに組み伏された。
「り、リーネちゃん!?」
「芳佳ちゃんの、ばか」
リーネは芳佳の服をさらっと脱がすと、自分の服も半脱ぎ状態で芳佳に“襲い掛かった”。
「あう……うあんっ……リーネちゃん」
「芳佳ちゃん……我慢出来ない……もっと、芳佳ちゃん、芳佳ちゃん」
リーネはただただ芳佳の名を呼び、芳佳の身体を抱き、無理矢理に唇を重ねた。
回避出来ない。リーネから、逃げられない。
数分後、抵抗虚しく芳佳はリーネに“撃墜”され、ぼおっとした顔のまま、荒い息をついた。
「芳佳ちゃん……私だけの芳佳ちゃん」
リーネは満足そうに、ぼんやりとする芳佳を抱きしめ、頬ずりした。
end
- 486 名前:名無しさん:2010/07/22(木) 01:58:47 ID:6XsRw.jk
- 以上です。
オチが強引ですが言い訳はしない(ぇ
これから最速地域では間も無く3話!
楽しみですね。
ではまた〜。
- 487 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/07/22(木) 14:01:56 ID:kby6xOTE
- こんにちは、mxTTnzhmでございます。
埋めと言う事で一本出来ましたのでどうぞ。
- 488 名前:dive into the sky:2010/07/22(木) 14:03:21 ID:kby6xOTE
- ふむ、私の主の事か? 真面目なひとだ。
規律正しく、戦技も卓越している。
ウィッチのやるべき事のひとつ、それは私達のポテンシャルを限界まで引き出し、
敵よりも優れている部分が有ればそこを活かして徹底して攻める事。
主はその点見事で、私をうまく扱い、ネウロイでも、模擬戦でも容赦無い。それは頼もしく強い証。
実際に撃墜したスコアがそれを証明している。
でも、何だかんだで仲間にも当たり過ぎるのもどうかとは、少々心配である。
私の部隊は混成部隊、だから様々な国のウィッチが、ストライカーユニットが集う。
決して負けたくはないし、また常に先頭に立ち、皆の模範に立たねばと思う。
だけど。
私は知っている。主は傷付きやすく、誰かが必要なこと。
私は主を、そこまでサポート出来ない。それが残念でならない。
でも、もう一人の天才ウィッチや、仲間達が居るから、主は頑張れる。
私も、いつもより頑張れる。少し位の無茶なら引き受ける。
私の主、それはカールスラント空軍が誇るエース、ゲルトルート・バルクホルン。
そして私の名はFw190D-9。
主と同じく、皆をリードし、導いていきたい。仲間として、家族として。
今日も主は私を履き、空へ舞う。主の思いは魔力というちからとなり、私のちからとなる。
こら、むせてる場合か? これから戦いだと言うのに。しっかりしろ。横で飛ぶ“家族”に気合を入れる。
間も無く交戦。これからが、主と私の、真価を見せるとき。高まる魔力を受けとめ、私は一層頑張る。
皆の為、主の為に。
end
--
以上です。
ストライカーユニット擬人化? 第二弾。
ストライカーのモデルの事は良く知りませんので(汗
何となくイメージです。
主に似るって感じですかね。
ではまた〜。
- 489 名前:管理人 ◆JvGG5u6wMo:2010/07/22(木) 18:54:01 ID:8mwd3b0E
- >>487
埋め乙です。
500KBに達したのでこちらはスレストにします。
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