ストライクウィッチーズでレズ百合萌え 避難所6
- 1 名前:管理人 ◆JvGG5u6wMo:2010/07/20(火) 23:34:34 ID:Oauox/Ng
- ここはストライクウィッチーズ百合スレ避難所本スレです。
●前スレ
ストライクウィッチーズでレズ百合萌え 避難所5
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12483/1267950163/
●Janeで避難所を見る場合
・板一覧を右クリックして「新規カテゴリを追加」をクリック(板一覧が無い場合は「表示」→「板ツリー」→「板全体」で表示できる)
・カテゴリ名を入力してOKをクリックする(例:「したらば」)
・作成したカテゴリにカーソルを合わせて右クリックし、「ここに板を追加」をクリック
・板名を入力してOKをクリックする(例:「百合避難所」)
・URLに「http://jbbs.livedoor.jp/otaku/12483/」を入力してOKをクリックする。
- 2 名前:管理人 ◆JvGG5u6wMo:2010/07/20(火) 23:35:24 ID:Oauox/Ng
- 規制について
★改行規制
避難所スレについて、投稿本文の文字制限は4096byte(全て全角文字の場合は2048文字)、
投稿本文の最大行数は100です。
★連投規制
今のところありません。
★スレの容量
管理人が500KB超えに気付いた時点でスレストを掛けます。
- 3 名前:名無しさん:2010/07/21(水) 10:24:38 ID:GaObbGeY
- 紙とペンを用意するかテキストファイルを開いてください。
あなたは仕事で新しいパートナーができました(仮にMさんとします)。
あなたとMさんは最初は衝突しながらも、次第に互いを認めあっていきました。
これにはかつてあなたとパートナーを組んでいたEさんも面白くありません。
あなたとEさんはやがて疎遠になっていき、EさんにはSさんという新しいパートナーができました。
ある時あなたの前に魔法使いが現れました。
あなたは魔法使いにどんな願いをしますか?
またあなたは誰ですか?>>1乙
- 4 名前:名無しさん:2010/07/22(木) 14:04:18 ID:kby6xOTE
- >>1
管理人様乙です〜。いつもお世話になってます。
- 5 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/07/22(木) 19:44:24 ID:Mh6bYq7I
- こんばんは、mxTTnzhmでございます。
新スレ記念と言う事で、早速一本どうぞ。
- 6 名前:dive into your body:2010/07/22(木) 19:44:48 ID:Mh6bYq7I
- 「シャーリー!」
そう言って隊一番のナイスバディに飛び込むのはルッキーニ。
シャーリーも慣れた様子で、しっかりと抱き止める。
「まるで親子ね」
和む光景を目にしたミーナが微笑む。
「えっ、中佐……流石に『親子』って言うのはちょっと。仮にも、あたしまだ……」
「具体的な歳の問題じゃないわ。二人の関係と言うか、そんなところよ」
「関係、ですか」
「ごめんなさいね、ヘンな事言って。私の言った事、忘れて頂戴」
ミーナは笑顔で手を振り、執務室へと戻った。
「関係、か……」
シャーリーはぼそりと呟いた。
「どうしたんだリベリアン、難しい顔をして。食事が冷めるぞ」
「ん? ああ……」
昼食の席、どこか浮かない……と言うより何か解けない謎を前にした感じのシャーリー。
そんな彼女を目にしたトゥルーデは少々心配になり声を掛けた。
「何か悩みでも有るのか」
「悩みって訳じゃないんだけどねー」
「何だ、リベリアンらしくもない。いつもの楽観主義は何処へ行った」
「なあ、堅物」
「どうした」
「あたしとルッキーニってさ」
「お前達がどうした?」
「……いや、何でもない」
「質問を寸止めする奴があるか? 気になるじゃないか」
「じゃあ、笑うなよ? あたしとルッキーニってどう見える?」
「どう見えるって……私に言わせる気か」
「まさか、堅物……」
「なら言おう。二人共、私の家族であり妹みたいな……」
「そうじゃない! 堅物の趣味を聞いてるんじゃないんだ」
「趣味と言うな」
「で、どうなのよ」
「……まあ、二人は仲の良い者同士にしか見えないな」
「仲良し、か」
スプーンをくわえたまま、後ろ手に腕を組んで天井を見るシャーリー。
「しかしいきなりどうしたんだ、そんな事を聞いて」
「いや……」
生返事のまま、食事を終えるとシャーリーは食堂から出て行った。
「何だ、リベリアンらしくもない」
文句を言うトゥルーデの脇を、エーリカがつんつんとつつく。
「気になる? シャーリーの事」
「悩み事だったら話せばいいものを」
「トゥルーデらしいね」
エーリカは呆れ、苦笑した。
「ニヒー シャーリー!」
ぽよんとシャーリーの胸に飛び込むルッキーニ。でもいつもと様子がおかしい。
「なあ、ルッキーニ」
「なぁに、シャーリー?」
「あたしとルッキーニって、何なんだろうな」
「どうしたのシャーリ−? なんかヘンなものでも食べた?」
「いや、ちょっと考えちゃってさ。親子みたいとか言われたり、仲良しこよしみたいに言われたり」
「ふーん」
「まあ、歳の問題とかそう言うんじゃないんだけど、なんて言うか」
「シャーリー、考えすぎだよ」
「うえっ?」
「だって、シャーリーはシャーリーだし、あたしはあたしだよ?」
「うん、まあそうだよな」
「だから、あたし達はあたし達。違う?」
「よく分からないけど……まあ、そうなんだろうな」
「そうだよシャーリー。深く考えちゃダメダメ!」
ルッキーニはそう言うと、シャーリーの豊満な胸に顔を埋め、幸せいっぱいの顔をする。
「あたしはシャーリーだいすきだよ?」
笑顔で言われ、心のモヤモヤが晴れていく。
「そっか。確かにそうだ」
「シャーリ−?」
「あたしはそんなルッキーニが好きなんだ。だから考えるよりも感じてた方が良い」
そう言うとシャーリーはロマーニャ娘をぎゅっと強く抱きしめた。
「えへへ。いつものシャーリーだ」
「ああそうとも。さあおいでルッキーニ」
ルッキーニを抱擁し、軽く頬にキスをする。
「くすぐったい」
「なんかこうしたい気分なんだ。ありがとな、ルッキーニ」
「ウジュジュ シャーリーだいすき!」
眩しい笑顔を見せるロマーニャ娘を抱いた音速のリベリアンは、微笑み、もう一度キスをする。
ありがとう、そして大好きの印として。
end
- 7 名前:名無しさん:2010/07/22(木) 19:45:21 ID:Mh6bYq7I
- 以上です。
アニメも2期が始まり、スレもどんどん活気づくと良いですね!
ではまた〜。
- 8 名前:名無しさん:2010/07/22(木) 20:35:28 ID:SPbiQzyk
- >>1
乙です
>>6
ニヤニヤが止まりませんw
シャッキーニ最高
- 9 名前:名無しさん:2010/07/22(木) 21:38:01 ID:puDvPWtI
- >>1乙
- 10 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/07/22(木) 22:18:48 ID:Mh6bYq7I
- たびたびこんばんは、mxTTnzhmでございます。
今夜も出来ましたので投下します。
2期1話ラスト辺りのシチュエーションですので
未見の方はご注意を。
ではどうぞ。
- 11 名前:aboard an airplane:2010/07/22(木) 22:20:43 ID:Mh6bYq7I
- 「坂本さん」
「何だ宮藤」
「……いえ、何でもないです」
「ん? 気になった事が有るなら遠慮なく聞け。今更遠慮する程の間柄でもないだろう」
「は、はい……」
微妙な空気が流れる。
「あの、坂本さん」
「何だ?」
「坂本さん、変声期、ですか」
「んっ?」
「いえ、あの、ほら大人になると声変わりするじゃないですか。だから坂本さん、変声期なのかなーって」
「要するに何が言いたい、宮藤」
「いえ、何でもないです」
「……」
気まずい空気が流れる。
「あ、でも、坂本さんの事ですから、きっと何か成長されたに違いないですよ」
「まるで私をずっと見てきたかの様な言い方だな」
「あ、いえ、お会いするのは久しぶりですけど……なんか雰囲気変わったなって」
「何処も変わってないぞ私は。例えば何処が」
「例えばって……坂本さん、変わりすぎじゃないですか。例えばその服です」
「この外套か?」
「それ、外套なんですか……蓑傘かと思いました」
「何処が蓑傘だっ! お前の目は節穴かっ!?」
「ごっごめんなさい、違うんです。なんか、何処かを放浪してたみたいで」
「放浪はしていない」
「だって、訓練の教官をお辞めになったと聞きましたが」
「戦いが始まれば、出るしかないだろう。……それの準備だ」
「その準備の為に、放浪してたんですか」
「だから放浪していないと言ってるだろう!」
「す、すいません……」
機内の空気が微妙なものになる。
「あの、坂本さん」
「何だ、宮藤」
「この飛行機、大きいですよね」
「二式飛行艇、いわゆる二式大艇だ。世界最高水準の性能を持つ飛行艇だ。扶桑の誇りだな」
「そうなんですか」
「最高速度、航続距離、防御火力、防弾装甲、操縦性……どれをとっても二式大艇に並ぶ飛行艇は無い」
「なるほど、凄いですね、扶桑の技術って」
「うむ。自信を持って良いぞ、宮藤」
「は、はあ。それで、質問なんですけど」
「おお、何でも良いぞ、気になる事が有ればどんどん質問しろ」
「はい。ストライカーユニット、私のと坂本さんの二機分積んでますよね」
「ああ。見ての通りだ」
「これ、今飛んでいる状態でネウロイから攻撃されたら、どうなってしまうんでしょう」
「まあ、今はストライカーとして機能していないからただの機械だしな。
仮にネウロイのビームが直撃したとしたら、木っ端微塵だな」
「あわわ……でも、ネウロイが来たら、私が出撃すれば大丈夫ですよね?」
「まあ、飛べばな」
「そうすれば、坂本さんの紫電改も、大丈夫ですよね?」
「そうだな。当たらなければ問題無い、はっはっは!」
(ほ、本当かな……)
昼夜をまたぎ、美緒と芳佳を乗せた二式大艇は目的地を目指し飛んでいく。
end
- 12 名前:名無しさん:2010/07/22(木) 22:21:23 ID:Mh6bYq7I
- 以上です。
もっさんと芳佳の事だから、何かしら会話は有ると思って
想像(妄想)してみました。
ではまた〜。
- 13 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/07/22(木) 22:58:15 ID:Mh6bYq7I
- 三度こんばんは、mxTTnzhmでございます。
またひとつ出来ましたので投下します。
2期3話冒頭辺りのシチュエーションですので
(勿論、ネタバレは殆ど有りませんが)
こだわる方はご注意を。
ではどうぞ。
- 14 名前:ride on truck:2010/07/22(木) 22:58:57 ID:Mh6bYq7I
- 504への連絡を終え、美緒と芳佳を乗せたトラックが砂煙を上げ、道を走る。
「坂本さん、504、大変な事になってしまいましたね……」
「ああ。負傷、離脱したウィッチ達が気がかりだ。ただ、個人的には、醇子……いや、竹井大尉が無事なだけでも良かった」
「でも竹井さん、辛そうでした」
「504は再編中だ。きっとまた甦るさ。ウィッチが慢性的に不足しているから厳しいだろうが」
「でも、どうなるんでしょう」
「どうもこうもない。我々501が再結成されたんだ、我々で驚異を排除するしかない。覚悟は出来ているか、宮藤」
「は、はい!」
「良い返事だ、宮藤」
「そうだ、宮藤」
「何でしょう、坂本さん」
「お前は何故、あの時基地に居たんだ?」
「えっ……お話ししませんでしたっけ? 父からの手紙が届いたので、坂本さんなら分かるかなって」
「ああ、そうだったな。安心しろ、あの手紙は技術部へ送っておいた。近いうちに何かしらの返答が有るだろう」
「なるほど」
「しかし困ったものだな。毎度タイミングが悪いと言うか」
「いえ。あの手紙がなかったら、私、ここに居なかったと思いますし。
これはきっと、お父さんが『行け』と言ってくれたんだと思います」
「はっはっは! 宮藤らしい前向きな考え方だ!」
「でも、もし最初の手紙と一緒に、二枚同時に来ていたら、私、どうなってたんでしょうね」
「……それは言うな、宮藤」
「えっ何でですか」
「色々有るんだろう、察しろ、宮藤」
「は、はあ……」
「そう言えば、宮藤」
「はい、なんでしょう?」
「久々に皆と再会して、どうだった?」
「嬉しかったです。リーネちゃんが無事で……本当に良かった。リーネちゃんの声、無線で聞いた時から私……リーネちゃんが」
「リーネリーネとうるさい奴だ。そんなにリーネの事が気になったのか」
「なります! 仮にも一緒に戦った仲なんですよ?」
「疾しい気持ちじゃないだろうな?」
「と、と、とんでもない!」
「なら良いんだが。確かに、戦友の事を思いやるのは大切な事だぞ?」
「はい」
「だからと言って、またベタベタしたりはするなよ?」
「えっ!? し、しません、よ……多分」
「何だその頼りない返事は?」
微妙な空気が車内に流れる。
「そう言えば宮藤」
「何でしょう、坂本さん」
「お前、民間人に戻り、半年経って、どうなった? 学校は」
「卒業したばかりです。本当は、診療所を継ぐ筈だったんですけど、リーネちゃんの声聞いて……」
「ふむ」
「守りたいんです!」
「その言葉、何度も聞いた。しかし、お前は随分と成長したな。魔法力も安定している」
「あ、有り難う御座います」
「しかし……」
美緒は眼帯をめくり、芳佳をじろっと見た。
「な、何ですか、坂本さん。急に……」
しばし芳佳を見た後、眼帯を戻すと、美緒は呟いた。
「身体は余り成長してない様だな」
「な、何て事を言うんですか! て言うか坂本さん、何故見てるんです!? てか前向いて運転して下さい! 危ないです」
「はっはっは。少し気になっただけだ。この年頃の女子は成長著しいと言うじゃないか」
「そ、そうなんですか? たった半年でそんなに分かる程成長するのも、どうかと」
「そうか?」
「坂本さんみたいに声変わり……いえ、何でもないです」
「……」
気まずい車内。二人を乗せたトラックが道を往く。
end
- 15 名前:名無しさん:2010/07/22(木) 23:01:01 ID:Mh6bYq7I
- 以上です。
凄いネタバレは無いと思うのですが、細かいところでちょこっと。
気にされる方には申し訳ないです。
この、もっさんと芳佳の何気ない会話のシチュエーションって、
意外と面白いんじゃないかと思うんです。
あのもっさんに、あの芳佳ですからね。
ではまた〜。
- 16 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/07/22(木) 23:59:18 ID:Mh6bYq7I
- たびたびこんばんは、mxTTnzhmでございます。
またひとつ出来ましたので投下します。
- 17 名前:inception:2010/07/22(木) 23:59:41 ID:Mh6bYq7I
- ……これは、夢?
宮藤とリーネ、ペリーヌが、基地近くの海面……アドリア海の上を歩いている。
そんな馬鹿な、とエイラは呟いた。
よく見る。ストライカーユニットも履いていない。
扶桑の曲芸……でもなさそうだ。
「サーニャ、見てみろヨ。あそこで宮藤とリーネが歩いてル」
「ホントだ。涼しそうだね、エイラ」
(そう言う問題カヨ……?)
エイラは内心呟きつつ、平静を装い、目の前で四切れ目となるケーキを頬張るシャーリーを見た。
「あれ? サーニャは何処ヘ?」
シャーリーはもそもそとケーキを食べ、呟いた。
「はあ? サーニャなら寝てるだろ」
「おやつ食べて、おねんね〜♪ あたしもシャーリーとおねんねー」
「食べたらちょっくら昼寝でもするか〜」
「気楽ダナ」
「まあね〜」
なにかがおかしい。
良く見るとシャーリーとルッキーニが、ズボンの上にズボンを履いてベルトまでしている。
横に居る、肝油を飲んでいる美緒とミーナを見る。ズボンの上にズボンを履いてベルトまでしている。
妙だ。
これはきっと夢だ。
そう思ったエイラは、試しに目の前に居るトゥルーデの胸を揉んでみた。
「アレ? シャーリーじゃなイ!」
「……そ、それが私の胸を掴んだ言い訳か、エイラ?」
「だあッ今目の前にシャーリー居たのニ!」
「お前の目の前に居るのは誰だ? よく見ろ! そして早く手を離せ」
「あ、アア……」
(でも夢なんだよナ、これって?)
席を立つと、おもむろにトゥルーデの胸をわしわしと掴む。
「トゥルーデの胸に興味有るんだ?」
「あレ、いつの間に中尉。まあどれだけ成長したかって興味は有るネ」
「じゃあ私もトゥルーデを確かめよ♪」
「こら、二人揃ってやめんか!」
「……もう私の知ってるトゥルーデじゃない」
「何を言い出すんだ!」
「二人共お幸せにナ」
エイラは席を立つと、テラスを抜け基地の中へ。
ふと見ると、基地の建物が見えない何か……空気に侵食され、音もなく崩れていく。
「ウワ、何だコレ?」
崩れかけた建物に入る。サーニャは何処だ? サーニャを探さないと。焦るエイラ。
廊下に足を踏み入れた瞬間、天地が逆さまになり、まるで水中を泳ぐ魚の様に、ゆっくりと回転しつつ落ちていく。
「どうなってるンダ?」
ゆっくりと……しかし廊下の壁を進み、部屋へ向かう。サーニャは何処へ?
扉を開ける。
そこは懐かしい、ブリタニア基地の、エイラの部屋。
「あ、アレ? 何でブリタニア?」
窓に駆け寄り、外を見る。確かに平穏なブリタニア基地。
ベッドの上にはサーニャが腰掛け、微笑んでいた。
「サーニャ!」
サーニャに抱きつき、事情を説明する。
「とにかく基地が崩れル! 早く出ないト!」
「大丈夫よ、エイラ」
「どうしテ? 巻き込まれたら、サーニャも私モ……」
「心配しないで」
微笑んだサーニャは、身体がゾッとする様な、冷たい声で言った。
「だって、全部私の夢の中だもの」
突然の暗闇。深淵に吸い込まれるエイラ。悲鳴にならない叫び声を上げ、ただただ落下した。
「エイラ」
ベッドの上で苦しそうに呻くエイラをそっと抱きしめるサーニャ。
頭の周りで輝いていた魔導針をそっとしまうと、エイラにそっとキスをする。
「ううゥ……サーニャぁぁぁ」
「大丈夫よ、エイラ」
サーニャは目を閉じたまま必死に抱きついて来るエイラをしっかりと受けとめ、もう一度優しくキスをする。
エイラは知ってか知らずか、何度も繰り返されるキスを受けるうち、幸せそうな顔をして眠りに落ちる。
「私だけのエイラ。だから」
サーニャはエイラを抱き直し、長いキスを、もう一度した。
end
- 18 名前:名無しさん:2010/07/22(木) 23:59:51 ID:Mh6bYq7I
- 以上です。
タイトルそのまんまですね。
公開される映画のCMにヒントを得て……
と言うかかなりパクり気味ですが
最初から夢オチと言う。
もっと過激なのでも良かったのですがそこは抑制。
ではまた〜。
- 19 名前:名無しさん:2010/07/23(金) 00:43:10 ID:e2YK7Kg6
- 秘め録CDなる物がにゃんタイプで誌上販売しているのを今まで全然知らなかった
危うく買い逃すとこだったぜ
- 20 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/07/23(金) 01:05:43 ID:jmhkyO4A
- 日付を変えてこんばんは、mxTTnzhmでございます。
またひとつ出来ましたので投下します。
>>17「inception」の続きとなりますのでよしなに。
ではどうぞ。
- 21 名前:power of magic:2010/07/23(金) 01:06:46 ID:jmhkyO4A
- 「えっ、夢を見た、だって?」
げっそりとしたエイラから話を聞いたシャーリーとルッキーニは顔を見合わせ、笑った。
「な、何で笑うンダヨ!? こっちは真剣に聞いてるノニ」
「だって、夢だろ? 夢で起きた事なんて気にしてどうするよ?」
「どうするのよー ニヒャヒャ」
「予知夢ってのも有るの知らないノカ。幸せダナ」
「なんか引っ掛かる言い方だなエイラ」
「でも、おかしな夢を見たのは確かなんだよね?」
「ああそうだゾ、ルッキーニ。皆出てた」
「しかもあたしらオールスター出演か、よりによって」
「アァ」
「じゃあ逆に聞くけど、それが何か意味有るのかい?」
「意味……あんな夢にどんな意味があるのかって私が知りたいヨ」
「あんまり考えない事だな」
「でも、シャーリーとルッキーニが……」
「あたし達はちなみに夢の中でどんな事してたよ?」
「いつもと変わらなかった」
「なんだいそれ。じゃあ尚更気にする必要なんて無いよ」
「でも何か引っ掛かるんだよナ〜」
シャーリーは背後の人影に気付いて、空気を察して言った。
「じゃあ、後ろの人に聞いてみなよ」
「? さ、サーニャ!?」
「エイラ、一人で起きて何処行ってたの」
「イヤ……その……」
サーニャはエイラの横に座ると、聞いた。
「エイラ、何話してたの。面白そうだった」
「イヤ……夢の話」
「どんな夢?」
エイラは聞かせた。訳の分からない夢、最後奈落の底に落ちていく結末。
「それでエイラ、汗だくだったんだ」
「何かサーニャは訳知ってそうだな」
シャーリーがにやける。
「サーニャは何か分かる? ってエイラじゃないから分からないかー」
ルッキーニはつまらなそうに、シャーリーの胸にもたれかかった。
サーニャはエイラの手を握り、言った。
「ごめんね、エイラ」
「何でサーニャが謝るンダ? 私が勝手に夢見ただけダゾ?」
「だって、私……」
興味津々なシャーリーとルッキーニの視線を受け、口ごもるサーニャ。
「こらーお前らサーニャをそんな目でミンナー!」
「だってー、気になるし〜」
「話しちゃいなよ。気になる気になる!」
「うん。話す」
「えッ、サーニャ乗り気?」
驚いて椅子から立ち上がったエイラを椅子に座らせると、ゆっくりと話し始めた。
「私が、エイラが良い夢見られる様にって、魔導針使って……」
「サーニャ、私にそんな事ヲ……」
「サーニャって、魔導針使った魔法でそんな事出来るのか。すげえな」
「夢操れるの? あたしもやってほしい〜」
驚くエイラとシャーリー、楽しそうに聞こえるルッキーニ。
「そうしたらうまくいった……ううん、やっぱりうまくいかなかったみたい」
「どうして?」
「エイラ、うなされたから」
「まあ確かに、うなされたゾ」
「だから、ごめんなさい」
「でも、お二人さんは何か、幸せそうに見えるけどね」
「けどね〜」
シャーリーとルッキーニから言われ、同時に互いの顔を見るエイラとサーニャ。
「エイラも怒ってないだろ?」
「そりゃ……怒る訳ないダロ」
「なら万事解決じゃん」
「そう言うモンなのカ?」
「気楽にいきなよ。愛の力、いや、魔法の力が愛に、みたいな?」
「みたいな〜ニヒヒ」
再び顔を見合わせるエイラとサーニャ。テーブルの下で、そっと手を握り、うつむくサーニャ。
「顔赤いよ〜ニヒヒ」
「う、うるさイ!」
その日の夜。
「じゃあエイラ、気を楽にしてね」
「本当にもう一回やるのカヨ」
「もしかしたら……今度こそ」
「サーニャは一体何を目指してるンダ?」
「エイラと一緒に、幸せになれますようにって」
「それは嬉しいケド……」
サーニャはエイラの瞼にそっと手を載せ、魔導針を発動させ、ゆっくりと息を吸い、吐いた。
二人の輪郭が、うっすらと輝く。
その後二人がどうなったかは、謎のまま。次の日まで二人は部屋から出てこなかったから。
だが身体のそこかしこに残る痕跡を見れば……二人が何をしていたか想像は付く。
そんなエイラとサーニャを見た隊の皆は、揃って苦笑いした。
end
- 22 名前:名無しさん:2010/07/23(金) 01:08:22 ID:jmhkyO4A
- 以上です。
結局何を書きたいのか分からないが
つまりは誰の前でも自然とくっつき(いちゃいちゃし)がちなエイラーニャ、
と言うのをですね……。
ではまた〜。
- 23 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/07/23(金) 02:19:53 ID:jmhkyO4A
- たびたびこんばんは、mxTTnzhmでございます。
またひとつ出来ましたので投下します。
連投しまくりですがご容赦を。
ではどうぞ。
- 24 名前:color of love 01/02:2010/07/23(金) 02:20:48 ID:jmhkyO4A
- 「色? 何で色なんだ」
昼下がり、ストライカーユニットの整備(と言う名の改造)をしていたシャーリーはルッキーニから突然問われて答えに困った。
「シャーリーとあたしの色!」
「色って言われても……単純にあたし達の肌の色とかそういうのじゃなくて?」
「そういうのじゃないのー」
「色ねえ。あたしとルッキーニ、か」
うーんと首をひねるシャーリー。突然「二人の色は何?」と聞かれても答えようが無い。
シャーリーは機材を大雑把に片付けると、立ち上がった。
「行こうルッキーニ。ヒントを探しに行くぞ」
「行く行く!」
「色、ねえ」
執務室で、シャーリーから問われたミーナはうーんと指をこめかみに当て、悩んでみせる。
「あたしとルッキーニの。何かイメージ有ります?」
「難しくて抽象的な質問よね」
「そうなんですよ。正直あたしも分からなくて。でも、中佐なら分かるかなって」
「そうねえ……」
ミーナは、腕組みするシャーリーと、まとわりついて笑顔のルッキーニを見比べた。
ミーナの横に居た美緒は、そんなやり取りを聞いていたが、不意に呟いた。
「太陽がふたつ」
「太陽? ふたつ?」
「いや、何となくだ。気にするな、忘れてくれ」
「はあ」
「そうね。美緒の言う通りかもね」
ミーナは頷いた。
「どう言う事ですか、中佐」
「シャーリーさんは隊のムードメーカー的存在よね?」
「そう見えます?」
「で、ルッキーニさんは隊の……賑やかな存在でしょう?」
当たり障りのない言葉を選ぶミーナ。とりあえず頷いてみるシャーリーとルッキーニ。
「だから、それで良いんじゃない」
「色としては」
「眩しい光の色かしら」
「はあ……」
「お前達の色だと?」
昼食の席で、唐突に聞かれたトゥルーデとエーリカは互いの顔を見合わせた。
「ま、イメージで良いんだよ。あたしとルッキーニのカラー」
「オレンジっぽい感じかな」
エーリカが答える。
「そりゃなんでまた?」
「日の光を浴びて実った果実、みたいな」
「うまいこと言うね」
「ハルトマン。お前、何かヘンな事を考えてないだろうな?」
「あれ? トゥルーデこそ何考えてるの? やらしー」
「私はいやらしい事など何も考えていないッ!」
「あー分かった分かった。ありがとな」
シャーリーはルッキーニを連れ、面倒な事になりそうなカールスラント軍人コンビから離れた。
「シャーリーさんとルッキーニちゃんの、色?」
質問を聞いたリーネと芳佳、そしてペリーヌはきょとんとした表情をした。
「ばっと思い付いたイメージで良いから、何か無いかな」
「そうですね……シャーリーさんは青い感じで、ルッキーニちゃんはオレンジ」
「そりゃあたし達のストライカーユニットの色じゃないか?」
「そう言われれば、そうですね」
「肌色……」
「宮藤さん、貴方その手つきは何ですの? いやらしい!」
「えっそんなつもりじゃ……」
「芳佳のえっちー」
- 25 名前:color of love 02/02:2010/07/23(金) 02:21:29 ID:jmhkyO4A
- エイラとサーニャは、シャーリーから同じ事を聞かれて、ぽかんとした顔をした。
おもむろにタロットを取り出し占うエイラ。
「太陽の正位置ダナ」
「それって意味は?」
「マァ、簡単に言うとパワフルで明るい関係ってとこカナ。二人にぴったりダゾ」
「なるほどねえ……」
あんまりエイラの占いを信用していない二人は、生返事をしてその場から立ち去った。
「おい待テ! 私の占い信じて無いダロ? 顔に書いてるゾ!」
「シャーリー、結局分からなかったね」
「まあ、比較的近い色は、太陽とかオレンジ……でも太陽って時間帯によって色変わって見えるしなあ」
「ウニュー なんだろー」
聞いて回っても分からず、二人は基地のテラスに寝そべり、頭上に燦然と輝く太陽を見た。
手ですかしてみる。
眩しい。
「眩しい存在、って事なのかなあ」
ぽつりとシャーリーが呟く。
「それってつまり?」
「あたし達は太陽そのものって事さ、ルッキーニ」
笑うシャーリー。きょとんとしていたが、ルッキーニもつられて笑顔を見せる。
その時、基地のサイレンが鳴り響いた。敵の来襲。
「行こう、ルッキーニ。あたし達の出番だ」
「らじゃー」
「太陽の輝きを知れ、か」
ぽつりと呟くシャーリー。
どうしたの? と聞いたルッキーニに何でもないと言って軽くキスをすると、ブリーフィングへと急いだ。
end
--
以上です。
多分皆さんのイメージでは、それぞれのウィッチ毎に
「カラー」が有ると思うのですが、如何でしょう?
シャッキーニは太陽が似合うと思うのです。色じゃないですけどw
ではまた〜。
- 26 名前:名無しさん:2010/07/23(金) 03:00:43 ID:fxjpQr16
- >>25
一本一本は短いのに読むのが追いつかないw 読み終わったけどw
個人的に各キャラの色は↓こんな感じかなぁ。
芳佳は薄い青、坂本さんは白、ペリーヌは青
エーリカは黒、トゥルーデは緑、ミーナは赤、
エイラは空色、サーニャは藍色、青系が多いなぁw
- 27 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/07/23(金) 03:40:09 ID:jmhkyO4A
- 何度もこんばんは、mxTTnzhmでございます。
またひとつ出来ましたので投下します。
空気読まずに連投しまくりですがご容赦を。
保管庫No.0450「ring」シリーズ続編になります。
ではどうぞ。
- 28 名前:thousand nights:2010/07/23(金) 03:40:56 ID:jmhkyO4A
- 真夜中、任務を終えたトゥルーデが部屋に戻る。
部屋ではベッドに腰掛けたエーリカが帰りを待っていた。
まずは軽く、お帰りのキスを交わす。
任務……と言っても書類整理だの雑用をミーナ達に手伝わされて困った、と愚痴るトゥルーデ。
「お陰で遅くなってしまった。すまない」
「良いよ。時間が無くなる訳じゃないから」
エーリカは前向き発言をして笑った。
その屈託のない笑顔に何度励まされて来たか。トゥルーデは思わずぎゅっとエーリカを抱きしめる。
「どうしたの、トゥルーデ?」
「こうしていたいんだ」
「トゥルーデがしたいなら、良いよ」
「ありがとう」
エーリカの温もりを、腕から、重ねた服から、胸からじわりと感じる。そしてほっとする。
「トゥルーデ、分かるよ」
「何が」
「今、スキだらけだよ」
「そう言われてもな……」
「それだけ安心してくれるんだね。嬉しい」
エーリカも、手を伸ばしてトゥルーデの髪を触る。
「書類整理とか片付けしていたから、埃っぽいかも」
「別に大丈夫。私の部屋で慣れてるから」
そう言って笑うと、エーリカはトゥルーデの髪しばりをふたつ、するりと解いた。
自由落下に任せた髪は、緩くひとつのまとまりとなり、首筋にしだれ落ちる。
エーリカはその髪をそっとすくい、さらさらと指から零してみる。香りを嗅ぎ、唇を当てる。
「トゥルーデの匂いだね」
「汗臭いか? もう一度風呂に……」
「このままで、良い」
「分かった」
トゥルーデもエーリカの首筋にそっと唇を這わせる。強く吸い口を付ける。
エーリカの身体が微かに震えるのを感じる。
「トゥルーデ、何してるの」
「つ、つい。思わず……」
「じゃあ、私も」
エーリカも同じ事を、トゥルーデの同じ場所にする。あっ……と短くため息が出る。
「トゥルーデはさ、何で髪縛ってるの?」
「それは……髪がまとまっていないと戦闘中邪魔だから」
「髪を下ろしたトゥルーデも似合うよ」
「そう言ってくれるのはエーリカだけだ」
「だって、髪しばり外すの、トゥルーデ以外だと私位でしょ?」
「まあ、確かに」
「トゥルーデもさ、早く制服脱いで、寝よう?」
「ああ」
トゥルーデはしゅるりと服を脱ぎ……それをエーリカが適当に辺りに放り投げていく。いつもの事なので、トゥルーデとしてももはや諦めているフシがある。
下着姿の二人は、揃ってベッドに横になる。エーリカがトゥルーデの胸に顔を埋める。
「トゥルーデ、結構有るよね」
つんつんと胸の膨らみをつつく。
「戦いには必要無い」
「でも、何かしらの意味はあると思うよ。ルッキーニじゃないけど、私はこうしてトゥルーデと一緒に居るのが好き」
「私も、お前と一緒に居ると、何故かほっとする」
「同じだね」
くすっと笑い合う。そして見つめ合い……距離が近付き、そのまま唇が触れ合う。
軽く触れただけのキスは間も無く深く濃ゆいキスへと変わり、頬も紅色に染まる。
唇を離す。吐息が頬を撫でる。
「ちょっと眠いけど……トゥルーデは、寝る気無いでしょ」
「もう少し」
「良いよ。トゥルーデなら」
実はトゥルーデも眠気が強くなっていたが、お構いなしにエーリカと口吻を交わす。
いつまでもそうしていたい。それが無理でも、出来るだけ、していたい。沸き上がる情欲を抑えきれない。
やがて二人は抱き合ったまま眠りに落ちる。直前までしていた行為の痕を身体に刻みつけたままの、浅く緩い眠り。
起きた時には「またやってしまった」と少々後悔する事もしばしば。
だけど、隣に居るいとしのひとを見ると、そんな気分も何処かへ飛んでしまう。
それだけの価値が有り、それ程の魅力を互いに感じ、離さない。
これからもずっと重ねられるであろう二人の“愛情表現”は、変わる事なく、続く。
end
- 29 名前:名無しさん:2010/07/23(金) 03:44:20 ID:jmhkyO4A
- 以上です。
久々? のトゥルーデとエーリカのSSです。
二人のいちゃいちゃは書いていて飽きません。
ではまた〜。
- 30 名前:名無しさん:2010/07/23(金) 04:11:41 ID:ug1izOg6
- >>29
GJです…大量の萌えを毎度ありがとうございます!!!
- 31 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/07/23(金) 05:06:48 ID:jmhkyO4A
- 何度もこんばんは、mxTTnzhmでございます。
またひとつ出来ましたので投下します。
空気読まずに連投しまくりですがご容赦を。
保管庫No.0981「music hour」シリーズになります。
ではどうぞ。
- 32 名前:starry sky 01/02:2010/07/23(金) 05:07:44 ID:jmhkyO4A
- ハ〜イ今夜も「STRIKE TALKING RADIO」始まりマシタ〜。
DJ兼MC、パーソナリティのエイラ・イルマタル・ユーティライネンでス。皆聴いてるカナ?
この番組ハ、サーニャのレーダー魔導針を通しテ、全世界の悩めるウィッチに秘密のラジオとしてお伝えしているンダナ。
夜間哨戒のついでじゃないカラナ? さて今夜はサーニャと二人っきりでお送りするゾ。
ああ〜嬉しいヨ、サーニャ。
「もう、それは良いから……お便りは?」
ああ、お便りお便りット。じゃあ早速、504JFWの……ってチョット待てヨ。
「エイラ、確か504って……」
エライ事になってる筈だけど良いのかナァ……まあ読むゾ。504JFW所属「赤のウィッチ」さん。
『エイラさん聞いて下さい。私の親しい仲間なんですけど、寝てる時に変な癖が有るんです。
寝てる時、私の……おっぱいの先の部分をクリクリしてくるんです』
またダイレクトな書き方なんダナー。放送して大丈夫なのかコレ?
「多分ぎりぎりセーフだと思う」
じゃあ続き読むゾ……
『仲間のその妙な癖のせいで、私、結構ストレス溜まってしまいました。
しかも、最近になってその変な癖が他の仲間にも移ってしまって、
左右両方から先の部分をクリクリされるんです!
一体どうしたらいいんでしょう?』
こ、これハ……
「なんかルッキーニちゃんとエイラが両サイドに居るみたいな感じね」
何で私も入るんだヨ? 私はそんなに……その視線が痛いよサーニャ。
では、ズバリ言ってもイイカナ?
「赤のウィッチ」さんもクリクリやり返セ!
仲間の、同じ部分をクリクリしてやるんダゾ。
頑張って続ければきっと解決するゾ。
「エイラ、それってあんまり解決になってないと思う。そもそも、どうして……触るの?」
どうしてかっテ? それハ、きっと普段寝ている時じゃなくてもクリクリしてるからダナ。
サーニャも私の部屋を覚えてて、寝惚けてても必ず戻って来る事が出来るダロ? それと同じ事ダナ。
つまり、普段からクリクリしてるから、暗くて寝る時でも思わずクリクリしちゃうって事ダナ〜。
イイネー、寝ても醒めてもいつでもクリクリ。
「エイラの、変態」
さ、サーニャ待っテ! ご、誤解ダッ!
とりあえず、ミーナ中佐の「リリー・マルレーン」を聞いててクレ!
急用を思い付いた! サーニャぁぁぁぁ……
- 33 名前:starry sky 02/02:2010/07/23(金) 05:09:28 ID:jmhkyO4A
- さて、サーニャも何とか戻って来てくれたところデ……
「まだやるの、エイラ?」
まだッテ……いやそノ、今夜最後に告知をひとつするゾ。
次回より新コーナー開催ィ! を予定ィ〜! その名も
エイラのカップル占い〜
ぱちぱちぱちぱち〜
拍手どうもアリガトなんだナ。単純に普通の占いじゃない所がポイントなんだナ。
カップルなら公認自認、自薦他薦を問わズ、私のタロットでズバリ占ってみせるゾ。
「何で普通の占いじゃないの?」
それハ……内緒。
「じゃあ、まずは私とエイラを占って♪」
いやそれハ……。帰ってからにシヨウ?
「楽しみにしてる」
う、ウン。……ともかく、皆さんのお便りをお待ちしてるんだナ。
このラジオはアナタのリアルな発言が生命線なんだナ。だから遠慮せずバンバン送ってクレ!
「それでエイラ……もし殺到したらどうするつもり?」
その時ハ、また考えるヨ。だっテ……
「自信持って、エイラ」
サーニャの優しさが心にしみるヨ〜。
「エイラったら……」
さテ、ではそろそろお時間となりましタ、今夜はこの辺で。
最後に、「サーニャのうた」を聴きながらお別れデス。
end
--
以上です。
「エイラのカップル占い」は、まあ冗談半分と言う事で(汗
普通の占いだとリアルなラジオともろかぶりするし(何
流石に連投し過ぎですね。ちょっと自重します(汗
ではまた〜。
- 34 名前:名無しさん:2010/07/24(土) 02:14:20 ID:p/fePPro
- >>33
気にしないでどんどん投下してください
超GJ!
- 35 名前:名無しさん:2010/07/25(日) 01:00:52 ID:kQxPaVVk
こんばんは、DXUGy60Mです。もう明けてしまいましたが、梅雨空で悩まされて
いた時に書いたSSを投下します。
最後までお読み頂けたら幸いに思います。
- 36 名前:相合傘:2010/07/25(日) 01:04:43 ID:kQxPaVVk
「あ〜ついに降りだしたか」
私は愚痴を吐きながら、空からの水滴の弾丸を避けるため、「CLOSED」そう書かれた板が
吊り下げられているパブの軒先に避難した。
ツイてた。
私の目の前に広がる世界は、一面が水のカーテンに覆われ、水滴が地面を叩く音だけが耳
に響いた。あと、10秒遅かったら、雨宿りをする必要はなくなってた。
多分あいつなら、もうずぶ濡れだろう。
簡単に思い浮かぶその情景に、私はクスクスと笑いをもらした。
「ツイてないなぁ」
そうあいつの声が頭の中に聞こえると、
「まぁ・・・私も似たようなものか」
そうポツリとつぶやいた私の声は、雨音の中に溶け込んだ。
ぐつついた空だとは気づいていた。でも、こんなに早く泣き出すとは思わなかった。
「どうしようかな・・・」あやす術のない私は、泣き続ける空をぼぅっと見ていることし
かできなかった。視界にはいつしか、太い縦縞が現れていた。軒先から勢い良く水が垂れ
ている。まるで水の牢獄だ。
「じゃあ私は、囚われの姫君?」自分でそうつぶやいておいて―らしくないなぁ―と苦笑
いをした。でもどうしようかな。このまま雨が止むのを待つのもなんだし・・・走るか。
基地に戻ったらサウナに入ればいいや。
そう思った矢先に見覚えのある人影に気がついた。あれは―。
「お〜い隊長!」私の呼び掛けに人影はだんだんと輪郭を帯びてきた。
「どうかしたの、エイラさん?」
「どうかしたも何も、雨宿りしてるんじゃないか。なぁ、基地まで入れてってくれよ」
「ごめんなさい、私これから用事があって」
そうだ、隊長は基地の方角から歩いて来ていた。
「いいよ、用事の間私待ってるからさ」
「ごめんなさい、私急いでいるから」
「いや、えっ?」私を置き去りにしたまま、隊長は駆けていった。
何だよ一体? 人に見せられない秘密の用事なのか? ・・・このまま、追いかけてみようかな。
そう思った時、ぼんやりとした人影が見えた。輪郭をなしていないそれは、雨のカーテンに浮き出た
黒っぽい染みにしか見えなかった。でも、私には一目でその影が誰なのかがわかった。
「サーニャ!」
調子いいことにサーニャの名前を呼んだ瞬間、隊長のことなんか綺麗に忘れてしまった。
- 37 名前:相合傘:2010/07/25(日) 01:09:43 ID:kQxPaVVk
「サーニャ、む、迎えに来てくれたのか?」
「うん、エイラ、出掛けるとき傘持っていなかったから」
どうしよう、これだけで舞い上がりそうだ。
「あっ、ありがとな・・・で、傘は?」
「・・・あっ!」
忘れ物に気づいたサーニャは目を丸くする。サーニャは見た限り何も持っていなかった。
「なんだよ〜忘れたのか〜、サーニャも意外と抜けてるな〜」
そう言いそうだったけど、せっかく来てくれたのに、そんな言い方をするのは不味いと思った。
でも、慰めるのも変だしなぁ。お互いに何も言わずにモジモジしていると、
「一緒に入って帰る?」
・・・喜んで!!
「そ、そうだな。しょうがないよな〜、か、傘は一本しかないんだし・・・ほら、傘は私
が持つよ、私の方が背が高いから」
「うん」
サーニャから手渡された傘の握り手は少し温かく、その温度は私の右手を通して、心臓に
まで届いたような気がした。
一本の傘の小さな面積を分けながら2人で歩いた。大したことない話がいつもよりちょっ
とだけ盛り上がる。でも、一分前の話の内容も覚えていない。
それどころじゃなかった。
顔では何でもない振りをしてたけど、どうしよう、ドキドキする。
世界が2人だけのものになったみたいだ。
2人が一緒に足を踏み出したところだけが、私達の世界になる。
サーニャの歩調に合わせて歩く。それはいつものことなのに、「傘」と「雨」の二つが、
なんだかそれを特別なものにしている。
「エイラ、だいぶ濡れたの?」
「へっ?・・・いや、そんなに。どうしてだ?」
「顔が赤いから、もしかして濡れて風邪でも引いたんじゃないのかなって」
―サーニャ、顔が赤いのは。
「大丈夫だよ。雨にもほとんど当たってないし。風邪なんか引いてない。でも、もし引い
てたらどうしたんだ? こんなに近いと、うつるかもしれないから傘から出そうとしたと
か? ひどいじゃないか〜」
私はわざとサーニャをからかうようにしてニヤけた顔をサーニャに向ける。
本心を見られたくないから。
「ううん、逆。もしエイラが風邪を引いてたら、私は傘はいらないと思ったから・・・どうしたのエイラ?
顔が本当に真っ赤よ」
「あっ、いや、これは・・・その・・・あっ、歩くのに疲れちゃて、それで」
「ごめん、私歩くの速かった?」
「い、いや違う、な、なんでもない!」
私は心配そうに私の顔をのぞきこむサーニャの瞳をまともに見られなくなった。
人の照れ隠しを優しさで返すなんてずるいぞ―。
- 38 名前:相合傘:2010/07/25(日) 01:16:59 ID:kQxPaVVk
私は恥ずかしさでサーニャの顔を見られなくなり、それ以外の部分をチラチラと見ていた。
ふと、私はサーニャの小さな肩が目につく。視線をそのまま上に向ける、この傘は2人で
差すには少し小さい。サーニャの肩は、傘から落ちる水滴にジッと濡れていた。
・・・このままじゃ、風邪をひくのはサーニャかもしれない。―どうしよう。
私の頭の中に天使と悪魔が現れた。
天使「このままじゃ、サーニャさんが風邪をひいてしまうわ。小さな傘を有効に利用するために
―サーニャさんを抱き締めなさい!」
悪魔「こいつは良いチャンスだ、風邪を引かせないためだって言い訳しながら
―サーニャを抱き締めちまいな!」
・・・私の中の天使と悪魔の意見は完全に一致してしまった。・・・役立たずだな。
私はサーニャの肩をもう一度じっと見つめる。
私は、ただサーニャが風邪を引くのを防ぐためで・・・。
私はそっと左手をサーニャの肩に近づける。
「どうかした?」
「ひぃやぁうわぁ」
突然サーニャは私の方を振り向き、出しかけた手は勢い良く引っ込めた。
「い、いや別に・・・」
「そう」サーニャは首を少し傾ける。
このまま、手を引っ込めたままにしようとした。
でも、でも・・・。
私はもう一度左手を出して、勢い良くサーニャの肩を掴んだ。
その肩は細く、やっぱり冷たかった。
そしてそのまま、サーニャの身体を私の方にグッと近づけた。
サーニャは目を丸くして私を見つめる。
「エイラ?」
「いや・・・こ、これは・・・サーニャの肩に水滴が落ちてるだろ。折角迎えに来てもら
ったのに、風邪を引かせちゃあ・・・あれだって、そう思ったから」
「・・・そう」
「へっ! うわぁ!」
サーニャは突然私の胸元に身体を寄せてきた。
「でも、こんなに温かいなら・・・風邪を引きたくても引けなそう」
胸にそんなに顔を近づけるなよ・・・。鼓動が、心臓の音が聞こえるかもしれないだろ。
ただ、私のドギマギなんてどこふく顔で、サーニャは口で旋律を紡ぎだしている。サーニ
ャのお父さんのように雨の音メロディーに変えているのかもしれない。
人の気もしらないでさ・・・。
「あのさ」
「ん?」
「サーニャはどうやって私を見つけたんだ? 魔導針で?」
「そうだけど。どうして?」
「いや、もしサーニャがどこかで雨に降られて、雨宿りしてたら・・・私もきっと迎えにいくから。
サーニャみたく魔導針はないけど、きっと迎えにいくから」
「・・・うん。待ってる」
そうしたらまたこのドキドキを味わえるかもしれない。
心の片隅でそんな風に思う。それは・・・いけないことじゃないよな?。
Fin
- 39 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/07/25(日) 22:23:40 ID:KnW0SttM
- >>38 DXUGy60M様
GJ! エイラさん(ヘタレだけど)優しいですね。
雰囲気凄く良いです。
こんばんは、自重しないmxTTnzhmでございます。
ひとつ軽いのが出来ましたので投下します。
- 40 名前:puppy love:2010/07/25(日) 22:24:36 ID:KnW0SttM
- しとしとと雨が降り止まぬ基地周辺。
季節柄でもなく、時折遠雷が聞こえ、雨も止む気配がない。
そんな中、する事もなく部屋のベッドでだらりとくつろぐエイラとサーニャ。
雨の音に耳を傾け、頭の中でメロディを作っているのか、どこか楽しそうなサーニャ。
そんな彼女を見て、自然と頬が緩むエイラ。めくりかけたタロットの手も止まる。
暫くカーテン越しに窓から外の風景を見ていたサーニャは、エイラの方を見た。
「どうしタ、サーニャ?」
「なんか、少しじめっとするね」
サーニャはそう言うと、手で扇ぐ仕草をした。要するに、少々部屋が蒸し暑いらしい。
微妙に汗をかいているエイラも、ううー、と唸った後呟く。
「なんか、最近天気がヘンなんだよナア。蒸し風呂みたいな感じ?」
「どうしよう、雨降ってるから窓も開けられない」
その時、エイラは何か閃いたかの様に、おもむろにサーニャをぎゅっと抱きしめた。
「エイラ、どうしたの?」
聞かれたスオムス娘は悪戯っ気混じりの笑顔で言った。
「知ってるカ、サーニャ? 世の中には不思議な現象が有るんダゾ? その名も『人間冷房』って言っテ、
抱きつくと涼しくなるんだッテ」
「本当?」
純真無垢な瞳で見つめられたエイラは数秒も持たずに陥落した。
「ゴメン、嘘」
微妙な空気が二人の間に流れる。
「でも、エイラ」
サーニャの方から、ぎゅっと抱きつかれる。
「こうしていると、なんか不思議。暑いけど、なんか、気持ち良い」
「ほ、ホントカサーニャ?」
「エイラだから、かな」
くすっと笑うサーニャ。うっすらとかいた汗、ぴとりと触れ合う肌が二人の距離をゼロにし……、
お互いの汗が混じり合い、ぽたり、と一滴の雫となり、ベッドのシーツに落ちる。
エイラもつられて笑う。
下着姿のまま、二人はきゅっと抱き合う。サーニャがエイラの上に乗る形で、胸を合わせ、鼓動を感じる。
お互いの体温、それが僅かずつ上昇していくのを感じる。
じっとりと汗をかくのもそのまま、サーニャはエイラに顔を寄せ、そっと唇を頬に当てる。そのままスライドし、唇を塞ぐ。
軽いキス。
長いキス。
ねっとりと甘いキス。
舌を絡ませる、深く濃ゆいキス。
次第に二人は本格的に愛し合い、抱き合う切欠が何であったかも忘れ……ベッドの上で盛大にお互いを貪る。
二人の熱く短い吐息がベッドの周囲に響き、消えていく。
二人だけの時間を楽しんだ後、手を繋いでシャワーを浴びに行く。
「やっぱり、涼しいね」
「エ?」
「汗かいた後って、何でも涼しく感じる」
「そ、そうだよナ」
「だからエイラ、貴方の言った事、正しいかも」
「エッ?」
びっくりした顔のエイラに、そっと唇を重ねる。
周りで誰か見てやしないか……そんな気恥ずかしさと気まずさを感じるエイラにも、サーニャはお構いなし。
「行こう、エイラ。シャワー浴びたら、また」
そう言って笑うサーニャ。その姿は何処か儚げ、でも妖艶で、エイラの心を揺さぶる。
エイラはサーニャの手をしっかりと握り、うん、とひとつ頷くと、シャワーを浴びるべく風呂場を目指した。
end
- 41 名前:名無しさん:2010/07/25(日) 22:25:30 ID:KnW0SttM
- 以上です。
しとしと雨の情景ってエイラーニャの二人に合うと思うんですよ。
気怠い部屋の雰囲気とか色々。……全然表現できてませんが(汗
真夏の太陽みたいな、明るいSSも書いてみたいものです。
ではまた〜。
- 42 名前:名無しさん:2010/07/25(日) 22:36:47 ID:GVJx4jd2
- そりゃ全員好きだが、このスレ見てるとサーニャの性格が悪く思えてたまらん
- 43 名前:名無しさん:2010/07/25(日) 22:37:25 ID:GVJx4jd2
- すみませんモロ誤爆です
- 44 名前:名無しさん:2010/07/25(日) 23:31:48 ID:f6R2NT86
- >>41
ほっこりしました。サーニャがとても積極的ですね。
お約束のごとくいちゃいちゃしてるのがいいです。
GJ!
- 45 名前:5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2010/07/26(月) 00:23:44 ID:8TkLq/jY
- >mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.様
たくさんの萌えをいつもありがとうございます。
その執筆速度が羨ましいです。
>DXUGy60M
エイラーニャとっても可愛らしいです。
天使と悪魔の意見が一致するとはさすがエイラ
こんばんは、小ネタが1本出来たので投下させていただきます。
保管庫NO.1319「フーフーするの」の504Verです。
- 46 名前:フーフーするの Ver:504:2010/07/26(月) 00:25:44 ID:8TkLq/jY
CASE1:マルチナとルチアナの場合
「わ〜い、パスタ、パスタ♪ いっただきま〜す!」
「あっ、ちょっと待って、マルチナ!」
「……あつっ! うー、ルチアナ〜このパスタ、美味しいけど熱いよ〜」
「はいお水、出来立てなんだからフーフーして食べないと」
「ありがと……ね、ルチアナ」
「なに?」
「フーフーして」
「え、私が?」
「うん、ルチアナがフーフーしてくれたらもっと美味しくなると思うから」
「そ、そうかな? じゃあ……ふー、ふー……はい、どうぞ」
「……うん、ルチアナがフーフーしてくれたから、
いつも食べてるパスタより美味しいよ。ありがと、ルチアナ」
「マルチナにそんなこと言われるとなんだか照れるな……」
CASE2:ドミニカとジェーンの場合
「マルチナはルチアナに対して随分積極的だな」
「大将、フーフーで味って変わるもんなのでしょうか?」
「どれ、試してみるか……ふー、ふー……」
「た、大将!? いきなり何を……」
「何って、私のフーフー入り特製コーヒーだ。少し飲んでみてくれ」
「は、はい……ゴク」
「味のほうはどうだ?」
「……このコーヒー、大将らしい優しくて豪快な味が詰まっててすごく美味しいです!」
「ははは、そうかそうか。よしよし、お前は本当に素直でいい娘だな、ジェーン」
「大将、なでなではやめてください……は、恥ずかしいです」
CASE3:醇子とフェルナンディアの場合
「全く、マルチナ達もドミニカ大尉達もちょっとイチャイチャしすぎじゃないかしら」
「あら、仲がいいのは良いことだと思うけど」
「それはそうなんだけど、もうちょっと場所をわきまえてほしいわ。
大体、フーフーしたくらいで味なんて変わらないと思うけど」
「そうかしら? 想いで味って変わるものよ。ふー、ふー……はい、フェル」
「た、竹井大尉!? あなたまで何を……」
「私がフェルのことを想ってフーフーしたスープよ。飲んでみて」
「え、ええ……ゴク」
「どう?」
「その、何て言うのかしら……いつもと同じスープなのに、いつも飲んでるのより美味しいわ」
「ね、言った通りでしょ? 想いで味は変わるものなのよ」
「想いの力ってすごいのね。その……ありがとう、竹井大尉」
「ふふっ、どういたしまして」
〜Fin〜
- 47 名前:5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2010/07/26(月) 00:30:26 ID:8TkLq/jY
- 以上です、フミカネさんのツィッターのリベ魔女2人がドツボだったので、
ちょこっと出してみました。
2期での504の隊員たちの安否が気になるところですね。
みんな無事だといいんですが。
DXUGy60M様、>>45で誤って敬称を略してしまいました。
申し訳ありません。
- 48 名前:名無しさん:2010/07/26(月) 00:34:18 ID:g8YnzSaE
- >>1乙です〜。
>>3
で、答えを知りたいんダナ
>>38
相合傘いいですね〜。甘酸っぱくて好きです。天使と悪魔GJ
>>41
サーニャのフォローがかわいいです。GJ
- 49 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/07/27(火) 00:14:34 ID:owDIDQlA
- >>47 5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2様
GJ! 504もとっても微笑ましくてニヤニヤしました。
素晴らしいです。
こんばんは、mxTTnzhmでございます。
某所で頂いたネタからひとつ出来ましたので投下します。
- 50 名前:U-501 01/02:2010/07/27(火) 00:15:14 ID:owDIDQlA
- 「今夜はウナギです」
料理当番の芳佳はそう言って、皆に丼を配った。
甘辛いソースにたっぷり浸かった謎の食材が、ご飯の上に乗っている。
「芳佳ぁ、これ何?」
「ウナギだよ、ルッキーニちゃん」
「さっき近くの川で捕ってたあの細長くてヌメヌメしたやつ?」
「うん」
「へえー」
不思議そうに目の前の鰻丼を見るルッキーニ。
「……しかし、何でこう扶桑の食材は不気味なものが多いんだ? タコと言い、納豆と言い」
幻滅しているシャーリー。
「まあ食べてみて下さいよ。鰻は栄養が有って良いんですよ? 目にも良いし」
芳佳の説明を聞いて、ふと思い出す隊員一同。
「そう言えば……」
「肝油もヤツメウナギとか言う魚から……」
全員が芳佳を見る。
「大丈夫ですよ。美味しいですよ」
「皆何を心配している? 鰻と言えば蒲焼き、そして丼に鰻重だ!」
一人美味そうに食べる美緒。
「しかし宮藤は何でも出来るな。鰻までさばけるとは。板前にでもなったらどうだ?」
誉める美緒、恐縮する芳佳。
「いえ、全部見よう見まねで……結構失敗しちゃって」
「問題無い! 夏はやっぱり鰻だな! 皆もさあ食え!」
美緒にけしかけられ、恐る恐る口にする。
「あら、美味しい」
ミーナは一口食べて微笑んだ。
「まあ、ソースも甘めだし、悪くないかな」
「身はまあ良いとして……皮の部分が何かゴムっぽいぞ」
「悪くはないですけど……小骨が」
反応が微妙に分かれる。
「じゃあ、もう一品用意しました。うどんです」
丼に小分けされた、暖かいうどんを持ってくる芳佳。
「今度はヌードルカヨ。 でも何で魚にヌードルナンダ?」
エイラに聞かれた芳佳は当たり前の様に答える。
「今日は土用丑の日ですから」
「何それ」
「扶桑では、夏のこの日に『う』の付くものを食べると、夏を元気に過ごせるって言い伝えが有るんですよ?」
「『う』、ねえ」
「だったら他のモノでも良いじゃないカー」
「『う』……他に何が?」
「うーん……」
「とりあえず用意されたモノは食べろ! 冷めるぞ!」
美緒は箸の進まない皆をけしかけながら……、うどんもさらっと食べきると豪快に笑った。
- 51 名前:U-501 02/02:2010/07/27(火) 00:16:25 ID:owDIDQlA
- 食後、シャーリーとルッキーニはミーティングルームでのんびりくつろいでいた。
しかし疑問が残ったのか、ルッキーニはシャーリーの膝の上にぴょんと乗っかると、聞いた。
「う、だって。シャーリー」
「う、ねえ……」
「扶桑のことわざっておもしろーい」
「ことわざじゃないだろ。言い伝えだってさ。……しっかし謎だよな、扶桑の風習って」
「だから芳佳と少佐も面白いんじゃない?」
「おいおい、それを言っちゃあ……」
辺りに美緒と芳佳が居ないか気にするシャーリー。
「大丈夫だな。あんまり変な事言うなよルッキーニ」
「ほえ、何で?」
「いや……」
「そう言えば!」
ルッキーニは何かを思いだしたかの様に、シャーリーを見るとにやっと笑った。
「どうした、ルッキーニ?」
「シャーリーの使い魔って?」
「あたしの? ウサギだけど……おい、まさか」
「ジャジャーン! いっただきー」
ルッキーニはシャーリーの胸に飛び込むと、シャツのボタンを外し、露わになった肌にちゅっとキスをする。
突然の事にびっくりして尻尾と耳が出るシャーリー。
「ちょ、ちょっとルッキー、やめっ、あはぁっ……」
人目もはばからずいちゃつくルッキーニとシャーリー。
「ねえエイラ、私の本名覚えてる?」
「へ? いきなりどうしたんだサーニャ?」
部屋に戻るなり、突然の質問に驚くエイラ。ええっと、と一言呟いてから、答えを言う。
「アレクサンドラ・ウラジミーロヴナ・リトヴャク、だったよナ?」
「そう。当たり。で、エイラ。気付かない?」
「何ヲ?」
「う、が付いてる」
「だからどうしたんだ……ってまさかッ!?」
言うよりも早く、エイラの腕を取り、まるでダンスを踊る様にくるっと回り、そのままベッドに倒れ込む。
「エイラ……」
「さ、サーニャ……」
言われるがまま、されるがまま、エイラはサーニャの頬に、肩に、胸にキスをした。
「エイラが元気でますように」
サーニャは顔を紅くし、微笑む。その姿がまたたまらなくなり、エイラは欲情に流されるがまま、サーニャとキスを交わす。
土用丑の日は、こうして普段と余り変わらず過ぎて行く。
end
--
以上です。
日付変わってしまいましたが、欧州はまだ26日だ! と強弁。
相変わらずオチらしいオチが無いのはご勘弁……。
まあみんなでいちゃいちゃすれば元気になるヨ!
とか思ったり。
ではまた〜。
- 52 名前:zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2010/07/27(火) 00:56:12 ID:Z9ImP7g6
- >>51
ぐっじょぶですw
時間がなくて書けないモノが形になってくれるのはありがたい事ですw
そのままウルスラちゃんとウィルマさんとウルリッヒさんと使い魔が穴うさぎの人も誰か食べてあげてください!
特にうなじから食べるのがオススメです!!
(他人任せw
- 53 名前:LWqeWTRG:2010/07/27(火) 01:06:53 ID:bE2LjqFQ
- >>51
土用の丑の日はまだある…
つまり……ゴクリ
いつもいつもGJな作品ゴチです
というわけでこんばんは。
3話のお風呂シーンから書いちゃいました。
なので未見の方注意です。
タイトルは「ヒリヒリするの」3レスです。
- 54 名前:名無しさん:2010/07/27(火) 01:07:51 ID:bE2LjqFQ
- 「ペリーヌさん」
「なんです?」
「大丈夫ですか……?」
「へっちゃらですわ」
「あのっ、わたし治療します!」
「そうですよ、芳佳ちゃんに治してもらえばお風呂に……」
「こんな恥ずかしい所を任せられるわけないでしょう!?」
「でも……」
「でもじゃありませんわ。我慢すれば平気です!」
チャプ…
「〜〜〜〜〜っ! んんぅ……!」
「あの……」
「なんっ、ですのリーネさん……!」
「やっぱり治療したほうが……」
「お断り……! しますわっ……!」
「ダメです!」
「みや、ふじさん……?」
「わたし、守りたいんです!」
「守る……」
「芳佳ちゃん……」
「わたし、ペリーヌさんの大事な所を、守りたいんです!!」
「……ふ、わかりましたわ」
「ペリーヌさん!」
「あなたの気持ちは本物ですのね……。お願い、致しますわ」
「はいっ!」
- 55 名前:名無しさん:2010/07/27(火) 01:08:43 ID:bE2LjqFQ
- 「それじゃあペリーヌさん、まずタオル外しましょうか」
「う……。や、やっぱり止めてもよろしくて?」
「えーっ、だめですよ!」
「だって、恥ずかしい……」
「ペリーヌさん綺麗だから大丈夫です!」
「なっ! でもその、そういう問題ではなくて……」
「肌も白くて綺麗だし、すべすべしてて気持ちいいんだもん」
「……」
「だから、ね?」
「……はい」
「あの、あんまり見ないで……」
「すごい綺麗……」
「んんん……」
「それじゃあ、始めますね……」
「ええ……」
「はぁっ! んっ、だめ…っ!」
「我慢してくださいね」
「あっ、まっ…! んんぅっ!」
「もう少しです……」
「やぁ…、ぁぁ……ん……」
「はい、終わりましたよ」
「はぁっ……、はぁ……はぁ……」
「もう大丈夫です」
「あ…、ありがとう、ございましたわ……」
「ペリーヌさん、かわいかったです」
「な、なにを言ってますのよ……、はあ…はあ…、ん……。この豆狸は……」
「えへへ……」
「まあ、感謝いたしますわ……」
- 56 名前:名無しさん:2010/07/27(火) 01:09:31 ID:bE2LjqFQ
- ――――――――
「ねぇ、芳佳ちゃん」
「リーネちゃん? どうしたの?」
「なんかね、怪我したみたいでね、胸、がチクチクするの」
「えっ!? 大変! 早く治療しないと!」
「うん、お願い!」
END
以上です。
ペリーヌさんがエロすぎて我慢できませんでした。
ペリーヌかわいいよペリーヌ
それでは失礼します。
- 57 名前:6Qn3fxtl:2010/07/27(火) 07:04:26 ID:87BB9dgo
- >>56 LWqeWTRG様
ちょwww エロいwww 宮藤何守ってるのww
何気に策士なリーネもいいですね。GJ.
さて。フミカネ先生のtwitterでしか紹介されてませんが、504にリベリアン出身の新キャラ2名、
ドミニカ・ジェンタイルとジェーン・ゴッドフリーが登場したので、勇み足ながら書いてみました。
ドミ×ジェーンです。1レス借ります。
- 58 名前:One-man AirForce(1/2) @6Qn3fxtl:2010/07/27(火) 07:06:01 ID:87BB9dgo
- One-man AirForce
「えっと……天気図は貼ったし、資料は配ったし……」
私、ジェーン・ゴッドフリーは今日も今日とて朝からバタバタと
基地を動きまわっておりました。
今日は朝のブリーフィングと一緒に、定例の戦況報告もあるから大忙しです。
「ジェーン、お茶とお菓子、用意しておいた」
「あ、ありがとうです、マルチナ」
このすらっとした黒髪のウィッチはロマーニャのルチアナ・マッツェイ少尉。
最初にあったときは無口で何を考えているのかよくわからない人だなぁと
思いましたけど、優しくてすごく気がきく、お姉さんみたいな人です。
「そろそろ始まるよ。もう、みんな会議室にそろってる」
「うちの大将は?」
「見てない」
はぁ……予想はしてたけどやっぱりですか。
たまにはいい意味で予想を裏切ってほしいです。
「わかりましたです。連れてきますんで、先に行っててください」
こくんと頷くとうなづくルチアナとわかれて私は浜辺に向かいます。
宿舎を抜けて急いで浜へかけていくと、やっぱりいました。
砂浜にぼけーっと座って、風船ガムを膨らました我が大将、ドミニカ・ジェンタイル。
戦果はきちんとあげてるし優秀なウィッチだから私と同じ大尉ではありますけど、
集団生活が苦手というか、一匹狼というか……。
もうすこし協調性というのか、全体を見ることも覚えてほしいです。
「ドミニカ!こんなとこでなにやってるですかっ!」
ドミニカは気怠げに私のほうをちらっと見ると、またアドリア海を眺めて風船ガムをぱちん。
「もう会議始まりますよ!早く来る!」
「……やだ」
「やだってなんですか!やだって!」
「だって、めんどいもん。ジェーン、代わりに聞いといてよ」
「なっ……」
きっと、このときの私は頭から湯気が上がりそうなぐらい真っ赤になってたと思います。
「ドミニカ!あなたは大切なブリーフィングを一体なんだと思ってるんですか!
もう少し、軍の規律だとか、自分の立場だとかをよく考えないとだめですっ!」
「……まぁ、でも、要は勝てばいいだけだし」
「そういう問題じゃないです!」
「うるさいなぁ。お前は母親か」
ようやくドミニカが、裾の砂を払いながら立ち上がります。
「わーったよ。行けばいいんだろ、行けば」
「なんですか、その態度は!」
手をひらひらと振って、呼びに来たはずの私よりも先にいってしまったドミニカを、
私は急いで追いかけました。
「――というわけで、高度18000付近で乱気流がある以外は気流も安定していますが、
明後日以降は大きく乱れるとの――」
ふあぁ……。早起きして準備していたので、さすがにちょっと眠たいです。
大将にああいった手前、ちゃんと聞かなきゃいけないのは当然ですけど、
さっきから細かくて難しい話が多くて……。
「次に、ネウロイの出現予想ですが――」
ドミニカはどうしてるかなとちらっと盗みみると、ガムをくちゃくちゃと噛みながら
ぼんやり窓の外を眺めています。
……あいつ、やっぱり話きいてないです!
「――ということで、本日の哨戒はロマーニャ空軍が担当。
マルチナ、ルチアナの2名は待機、他のものは準待機とします。解散」
- 59 名前:One-man AirForce(2/2) @6Qn3fxtl:2010/07/27(火) 07:06:46 ID:87BB9dgo
- 他の隊員に混じって、さっさと会議室を出て部屋にもどっていくドミニカを追いかけて
私も会議室を出ました。本当は片付けもあるんですけど、まずはバカ大将に一言いってやらないと
気が済まないです。
「ドミニカ!」
「……何だよ」
立ち止まったドミニカが苛立たしそうに返事します。
「あなた、さっきからの話、全然聞いてなかったですね!そんな態度では軍務に支障が……」
「ジェーン」
不意に、ドミニカがはっきりとした口調で私の名前を呼びました。
「すぐ飛ぶよ。悪いけど、ジェーンと二人分、許可とってきて。高度15000ft、グリッドE4からW6まで」
「えっ……」
突然何を言い出すですか、この人は。
……でも、目はすごく真剣で、ふざけて言ってるんじゃないっていうのはすぐわかりました。
「……出撃、ですか」
ドミニカが力強くはっきりとうなづきます。
「予想じゃネウロイは出ないっていってるけど、ここ数回の出現パターンから考えて、
そろそろ偵察に来てもいい頃。明後日から天気が乱れるとしたら、今日偵察して明日攻撃にくる。
さっきから見てると、高層の雲の動きが速くて不安定だから、18000ftの気流は思ったより乱れてる。
敵も飛行体なら高度下げてくるはず。それに、海岸線は安定してるけど、沖のほうは波が
高そうだから、この天気も午後には一度崩れる。としたら、敵が仕掛けてくるのは午前中。
今から上がってれば先手を打てる」
……まったく、本当何なんですか、この人。
ぼーっとしてるような顔しながら私よりもずっと真剣に戦況読んでて。
全然聞いてないふりしながら、大事なところは絶対聞き逃さないで。
上の見解と食い違おうがなんだろうが、自分が間違いなく信じる結論を導きだしてくる。
そして、信じたものは絶対曲げなくて、揺らがなくて。
……こんなとき、どっちを信じるべきなのか、私はちゃんと知ってます。
どういうわけか、それは毎回、軍の規律を乱すことになるんですけど、
でも、誰も守れない規律よりもみんなを守れるわがままのほうがずっといいです。
「二人だけで大丈夫ですか?」
「あんまり大勢上がると敵に警戒される。気づかれる前に叩く。ジェーンなら大丈夫だよね」
「当たり前です」
私を誰だと思ってるですか。リベリオン最強のワンマン・エアフォース、
ドミニカ・ジェンタイルの相棒ですよ?
「先にハンガーに行っててください。急いで許可とってくるです」
「了解」
その後。ドミニカの予想通りロマーニャ空軍の防衛網をかいくぐって
中型偵察ネウロイが出現して、私たちはまたひとつ、共同撃墜スコアを伸ばしました。
fin.
- 60 名前:6Qn3fxtl:2010/07/27(火) 07:07:40 ID:87BB9dgo
- 以上です。
1レスといいながら入り切りませんでした……。すいません。
- 61 名前:名無しさん:2010/07/27(火) 15:18:23 ID:foHeq8oU
- >>56
GJ! 芳佳エロ杉&リーネ策士杉ワロタ
>>60
GJ! 早速のSS化ナイス!速くて面白かった!
- 62 名前:名無しさん:2010/07/27(火) 18:40:47 ID:lznR/whw
- 26 風の谷の名無しさん@実況は実況板で [sage] 2010/07/27(火) 02:45:56 ID:d8NJxYVd0
>ジェーン・ゴッドフリー、リベリオン陸軍大尉はドミニカ大尉の相棒にして世話焼き女房。
>二人組での「ワンツーパンチ」戦術で多くのネウロイを葬ってきた。
>「うちの大将がまたなんかやらかしたですか!?」
>派手な戦果から「ワンマン・エアフォース」と称されたドミニカだが、
>彼女は「ジェーンがいないと私は戦えない」と話した
>ああ、こういわれると弱いなあと思うジェーンである
>ゴッドフリーさんは大将の愚痴を言ってると、いつのまにノロケになる
もうこの2人は公式で夫婦確定なのか
- 63 名前:名無しさん:2010/07/27(火) 20:12:11 ID:Jg5LbDow
- >>60
GJ、ドミニカの性格がど真ん中ストレート直球ホームランだった。
いいぞもっとやれ。
ところですまん、気になったんだが
>「ジェーン、お茶とお菓子、用意しておいた」
>「あ、ありがとうです、マルチナ」
>このすらっとした黒髪のウィッチはロマーニャのルチアナ・マッツェイ少尉。
>最初にあったときは無口で何を考えているのかよくわからない人だなぁと
誤植?
- 64 名前:6Qn3fxtl:2010/07/27(火) 20:22:14 ID:87BB9dgo
- >>61、63
どうもありがとうございます。
いろいろ固まる前に先走りすぎたところもありますが、ご容赦ください。
で。
>>63
ぐああぁぁぁ!!!やっちまった!!すいません。完全に誤植です。両方ともルチアナです。
大変失礼いたしました。固有名詞の間違いは絶対に許されないミスだというのに……。
チェックが足りませんでした。ごめんなさい。
保管庫管理人様、申し訳ありませんが、転載時には修正のほどよろしくお願いいたします。
- 65 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/07/28(水) 21:02:50 ID:1VTrZgww
- >>56 LWqeWTRG様
GJ! 芳佳さん何を守るおつもりですかw
リーネさんも何を狙っとるんですかw
>>60 6Qn3fxtl様
GJ! フミカネ先生の呟きから早速のSS化グッジョブです。
ドミニカの観察眼もお見事! 多少のミスはキニシナイ!
こんばんは、mxTTnzhmでございます。
>>50「U-501」の続きみたいなものが出来ましたので投下。
短いですがどうぞ。
- 66 名前:take my life:2010/07/28(水) 21:04:01 ID:1VTrZgww
- サウナで湯気と熱気にまみれ、噴き出す汗を全身に感じ、室内に座る二人。
エイラとサーニャである。
二人はよくサウナを使う。元々サウナ文化が盛んなお国柄の二人ではあるが……
特にエイラは「サウナには妖精が居る!」と言う程、サウナ好きである。どんな妖精かはよく分からないが……
芳佳は「扶桑で言う○○の精ですか?」「じゃあ付喪神ですか?」などと言ってエイラを困らせたが
ともかくエイラにとってサウナとは、神聖な場所であり、かつ、安らぎの場でもある。
サーニャとてそれは同じで、エイラが横でのんびりと構え、白樺の枝葉で時折身体をぴしゃぴしゃと軽く叩いてくつろいでいる
のを見るだけでも安心する。
但しサウナの中で身体を密着させるのは少々危険で、少し離れた位置に座り、じっくりと身体から汗を出す。
サウナを出た後は水浴びに限る、とエイラは言う。
有言実行、二人はサウナから程近い、小さな川べりにやって来た。
誰も見てる人なんていない。二人だけの秘密の場所。
川のせせらぎは身体の火照りを冷やすのにちょうどよく、少し行った先にはちょっとした深みもあり、
身体を沈めてじっくりと汗と熱を取る事も出来る。
近くの川べりにある岩に腰掛け、ふう、と一息つくエイラ。
すぐ横にサーニャが座る。
「今日ハ、歌わないのカ?」
「うん。今はエイラの横に居たいから」
「そ、そッカ」
手を伸ばして肩を抱くか、その度胸を振り絞り葛藤しているうちに、サーニャはエイラにもたれ掛かってきた。
自然と手が伸び、サーニャの肩を抱く格好になる。
二人の肌が密着する。小川の冷たさでサウナの熱気は既に飛んでいたが、二人の体温がお互いを温める。
「気持ちいいね、サウナ」
「ダナ〜。やっぱりサウナはイイ」
「エイラも、良い」
「えッ?」
「どうしたのエイラ。身体、暖かくなってる」
「そ、それハ……」
サーニャが真横に居て、身体が密着して、胸が当たってるから……と言いたいのをぐっとこらえるエイラ。
こらえればこらえる程、体温が上昇する。
誤魔化しついでにもう一度川の水に浸かろうかとも思ったが、いつの間にかサーニャに腕を取られ、身動きが取れない。
「ねえ、エイラ」
「サーニャ?」
「もっとゆっくり、二人でこうしていられたら良いのにね」
「わ、私ハ、いつだってサーニャの横に居るゾ」
「本当?」
「嘘言わないッテ」
「じゃあ、そのまま居てね?」
「う、ウン」
サーニャはエイラの方を向くと、そっと、耳たぶにキスをした。ぞくっとなるエイラ。
サーニャは構わず、一度うなじの方になぞり、そしてエイラの顎から頬へと舌をちろっと這わせ、彼女の唇に回帰する。
おずおずと、サーニャを抱きしめる。素肌が触れ合い、胸と胸が重なり……サーニャはエイラの太ももに乗る。
キスを続ける二人。エイラの頭は沸騰寸前。足の先に浸り、流れる小川の冷たさが感じられなくなる。
目の前に居るサーニャだけを、感じていたい。もっとしたい。
二人は時間の流れも気にせず、川べりで愛し合う。
やがて幾度目かの極みに達した二人は、ふらふらと体勢を崩し、ざばんと川面に落ちた。
そのまま数メートル流され、二人はゆっくりと抱き合う。すぐに川べりに流れ着くと、二人はくすくすと笑い合った。
「気持ち良いね、エイラ」
「そうだナ、サーニャ」
「ねえ、エイラ、少しお腹減っちゃった」
「じゃあ何か作るカ? いや待てヨ、ちょうどそろそろ夕食……そうだ良い事思い付いタ」
「?」
「で、何で二人だけ饂飩を食べているんだ?」
夕食の席、美緒が不思議そうに聞いてきた。
「いやァ〜それがちょっト、何と言うか手違いデ……」
「私が芳佳ちゃんにお願いしたんです。無理言って作って貰って」
「そうか。まあ、材料と余裕が有るなら別に構わんがな。二人共しっかり食べて健康になれよ!」
美緒は笑って席に着いた。
「サーニャ……ホントの事言わなくてモ」
どぎまぎするエイラを見、サーニャはくすっと笑った。
「本当の事は言ったけど、言ってない事も有るよ?」
「ま、マァ、ネ」
二人は見つめ合うと、頬を染め、つるっと饂飩を食べた。
この前聞いた、扶桑の「言い伝え」とやらを信じ試す為に。
end
- 67 名前:名無しさん:2010/07/28(水) 21:04:57 ID:1VTrZgww
- 以上です。
いちゃいちゃすれば何でも元気になるヨ!
と言いつつ毎回オチ無いですけど……。
エイラーニャ好きな方へ、如何でしょう?
ではまた〜。
- 68 名前:名無しさん:2010/07/28(水) 21:11:32 ID:IsyBvcjI
- 2828282828282828
いいぞもっとやれサーニャ!
GJナンダナ!
- 69 名前:名無しさん:2010/07/28(水) 23:38:47 ID:4JNb6MCM
- >>66
同じ丼から二人で摘んだうどんが長くてちゅるちゅるやってるうちに実は一本の両側を気づいて
(計画通り)なサーニャと、
(コッ、コレハ……以下原稿用紙20枚分の葛藤が現在進行中)なエイラの接近する唇と唇という妄想をした。
というわけでGJ!
- 70 名前:名無しさん:2010/07/28(水) 23:41:59 ID:wAMpIamo
- http://skm.vip2ch.com/-/hirame/hirame107482.jpg
- 71 名前:名無しさん:2010/07/28(水) 23:48:41 ID:v8.oXvfY
- あ、はいてない…
- 72 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/07/30(金) 00:27:16 ID:ExK6Trs.
- こんばんは、mxTTnzhmでございます。
今夜も一本出来ましたので投下します。
保管庫No.0981「music hour」シリーズになります。
ではどうぞ。
- 73 名前:firefly 01/03:2010/07/30(金) 00:28:13 ID:ExK6Trs.
- ハ〜イ今夜も「STRIKE TALKING RADIO」始まりマシタ〜。
DJ兼MC、パーソナリティのエイラ・イルマタル・ユーティライネンでス。皆聴いてるカナ?
この番組ハ、サーニャのレーダー魔導針を通しテ、全世界の悩めるウィッチに秘密のラジオとしてお伝えしているンダナ。
夜間哨戒のついでじゃないカラナ? さて今夜は……
「あーやっぱりここはくつろぐなぁ! あー楽しい、なあイッル?」
……言ったそばからこれカヨ。
「『これ』とか、酷いな」
「そうね」
「……何今の微妙なハモり? リトヴャク中尉、なんか穏やかでないぞ?」
可哀相なニパ……。
とりあえず紹介〜。またもや勝手に付いてきた……いや「ついてない」カタヤイネンこと
スオムス空軍飛行24戦隊曹長、ニッカ・エドワーディン・カタヤイネンだナ。
拍手は要らないゾ。今は502JFWに居るらしいケド……いつの間に戻って来たンダ?
「たまには良いだろ? 減るモンじゃなし」
減るヨ。
「減るけど」
「なんでそこで二人ハモるのか意味が分からない……しかも全否定だよ」
さて今夜もウィッチの皆さんのお悩みや相談に全方位からお答えしちゃうゾ。
今日のお便りは一枚……ラジオネーム「砂漠の某ウィッチ」さんから。
『最近、年上のひとと仲良くなり、付き合う様になりました。
私はとっても幸せなんですが、周りから「絶対に遊ばれてるだけだから本気にならないほうが良い」って言われて……
私も、どうして良いか分からないんですが、相手が年上だからとても良くて、ついついのめり込んでしまいます。
エイラさん、そもそも、のめり込まずに済む恋って有りますか?』
フムフム。ズバリ言っても良いカナ?
のめり込まない恋なんて恋じゃないゾ!
「のめり込む、ねえ」
夢中になるから恋じゃないのカ? 醒めたままってそれは違うだろと私は思うナ。
「私もそう思う」
サーニャもそう思う? 嬉しいナ。
「な、なに、この空気。なに、この敗北感みたいな」
- 74 名前:firefly 02/03:2010/07/30(金) 00:28:37 ID:ExK6Trs.
- まあ残念だけど落ち着けニパ。それよりこのお便り、興味深い事が書いてあるゾ。
「え、何処に何が?」
『とても良い』ってトコ。年上だから良いんだってサ〜。
ニパも目指したらどうヨ?
「なんで私が」
502に年上のウィッチ居ないノカ? 案外楽しいかも知れないゾ……って何で顔色悪いんダ?
「気のせい」
まあイイヤ。ところでニパ、このとても良いってどう言う意味だろうナ。
凄く気になるゾ。ニパもなるダロ? どう言う意味かっテ。
「そりゃあ、決まってるだろ」
ホホウ。じゃあせーので、何が良いのか言ってミヨウ。
せーの。
「エッチ……」
居心地。
なッ! いやらしーナ〜、ニパはァ〜。
「イッルの馬鹿ーっ!」
ニパはダイレクト過ぎるんだヨ。もっとオブラートに包めヨ。どこのエロ学生ダヨ。
例えばちょっとした気遣いとかを含めた、居心地。
そう言うのだと私は思うんだけどナ。まぁしかし、ニパのトークはホント残念ダナ。
「今回もイッルにはめられた気がする……」
- 75 名前:firefly 03/03:2010/07/30(金) 00:29:06 ID:ExK6Trs.
- さて、次はいよいよ新コーナー!
「エイラのカップル占い」今夜から始まりましタ〜。
ぱちぱちぱちぱち〜
拍手アリガトー。今回から新しくコーナー始めたゾ。
カップルなら公認自認、自薦他薦を問わズ、私のタロットでズバリ占ってみせるゾ。
前回予告したから早速一枚来てるゾ。ラジオネーム「姉」さんと「小悪魔」さんのお二人から早速頂きましタ〜。
どうもありがとなんだナ。
「エイラ、占いって、タロット? 飛びながらどうやって?」
飛行前に予めシャッフルしてあるからナ。飛びながらでもめくれるゾ。で、こうやって一枚めくって、と……。
……。
「どうなのエイラ?」
「どうなんだよイッル?」
うーんとネ。「姉」さんと「小悪魔」さん。ズバリ言ってもいいカナ?
……私が言うのも何だけどナ、貴方達もう終わってるヨ。
「エイラ、それってどう言う意味?」
「もしかして破局する、もしくはもうしちまった、って事か?」
違うヨ。二人共凄過ぎて異次元の彼方、どうこう言う前に終わってるって意味ダヨ。
何か別の世界に居る、みたいナ? だから安心してイイゾ。
「抽象的ね。喜んで良いのか」
「微妙だな〜。やっぱりイッルの占いは当てにならないって事か?」
そんな事言うナ、二人共! れっきとした占いだゾ!? あと私の占いは当たル!
「嘘だッ!」
最後に、二人のラッキーアイテムは「指輪」ダナ。
二人で肌身離さず持っていると良い事あるかも知れないゾ。
ともかく、こんな感じで占ってみるので、占って欲しい方々はどんどんドウゾ。
お待ちしてマ〜ス。
「えっ、これ続くの?」
「えっ?」
……な、何だヨ。二人して私をそんな目でミンナー!
さテ、ではそろそろお時間となりましタ、今夜はこの辺で。
最後に、「サーニャのうた」を聴きながらお別れデス。
end
- 76 名前:名無しさん:2010/07/30(金) 00:31:30 ID:ExK6Trs.
- 以上です。
新コーナーは他のシリーズと微妙にリンクしてますが
そんなに気にしなくても大丈夫です。
皆様に、お気に召して頂けると良いのですが。
ではまた〜。
- 77 名前:名無しさん:2010/07/30(金) 12:38:08 ID:MEjhE45k
- 二期ではミーナとエイラが仲よくするシーンが出てくるといいな
一期の三話を見た感じから深い信頼関係で結ばれてそうな気がするけど実際あんまり一緒の場面に出てこないのが残念
- 78 名前:名無しさん:2010/07/30(金) 20:00:00 ID:tU7EZf56
- ttp://img.5pb.org/s/10mai481433.jpg
ttp://img.5pb.org/s/10mai481434.jpg
- 79 名前:名無しさん:2010/07/30(金) 20:41:44 ID:VcK0A6VI
- >>77
サウナ作ってくれたからいい人なんダナ
- 80 名前:名無しさん:2010/07/30(金) 21:18:43 ID:zfRdBpPk
- >>78
4話のおかげでシャーゲルがメジャーになりつつ・・・嬉しいわほんと
- 81 名前:名無しさん:2010/07/30(金) 23:48:57 ID:tU7EZf56
- ... ------ ..
. イ´ ミ 、
/ /´ ヽ\
' /イ ハ. \
. / .′ ィ:′ ノ } ヽ
′ ′ l .//: /} | ヽ i
i | i .:/ ,./:ムミ| , ム.L i }
| | |...;//イ j /}′}i: |i′
{ .:{ |:/ /斗=ミ/,/ /}ム=y}} ||
|:. ::: :. | 〃{:::n}ソフイ /' {:n}ハノi
i:::.. :ハ i :.. :| ヘ. V..ソ じ'{:..... |
∧{::::.....ハ{、 .::::.. { , i:......′
{\::{::....∧..:::从 ノ:. /
ヽヽト、:ヽ..: トヽ )ー ,.イ:./}′
ヽハ:.{ .._ / }/
,ィ{ー 廴__ {  ̄ ´ ノ
/:::::\ `7ハ
,ノ ::::::\ / {{∨\
ノうミ 、 ::\ |∨:: ト、
/__ // \ 7ヽ |ヽ》、
/´  ̄ `〈 ヽ \ / {{ ハ_} {ハ
{ ∧ 、 >‐ ' ∨; { {{ '.
| ハ \ __,. ャ {:/ヽ ヽ }
∨ ヽ.:.. \ `¨ー’ / 二j VYヽ/:{,ィイ
V }::: ヽ .′ 丶〉ハ{:,:} : }:.ノ/}
} ヾ{::: ....::i:::: i r 〉} :}:.'{_ノイ ハ
{:. ::.. ∨.::::::::::::: ,{ /イ::「`< __ノ ノ
∨:. ::. {:r‐y'´{ノ ノi:::::ハ 7´ー ´)
V:. ..斗/ / ハ ,.イ:::}}::/:∧ と二 ブ
V::.. ..:/ ∧:. ..:.:∨::》:::/'::{:::::/} ‘7¨´
}V::::: ..:::::\:___:ノ::::{{::: i ,{ | /
- 82 名前:名無しさん:2010/07/31(土) 12:08:31 ID:/x72hY6E
- >>81
イモ・イモ・イモ!
箱○版が意外と楽しい、ボス戦は思ってたより弾幕激しかった
PVで戦略性がどうのこうのとか言っててゲラゲラ笑ってたら
実は結構考えて行動しないと割と死にゲーでした^q^
- 83 名前:名無しさん:2010/07/31(土) 12:52:05 ID:Dai2l0bk
- /ヽ/ , \「 i ..-―┐
「 ̄ ̄{_, .イハ 、 丶 寸ヽ |
| /, / ' / || |i \ \ \〉 |
| ∨/ / / :|| || \ \ .:|',ヽ |
| // ' / ||,. || 、 丶 ',ヽ.:l?睚| |
| ,//?睚 .:i: /`' ー || リ ` ー \ . :i ',|| |
|〈/ :|: :,:|.:/f¨下云` '下云.丁ヽ.:| .::} || /
| /レ'{ |ハヽ弋iり 弋iり '゙ /fN:}/i Ll / 最近シャーリーが構ってくれないー
| ./ | 'l:.:i:. , .:' i|x| :| ∧
|.:/ :| :|.:八 _ ...、 ノ´,リ i| .′'.
|:′ i| i|:′ \ ( __ ) / ″ ,从 :.
/ i .:|| リ /{> .. __ .. <ヽ}\ 〃 :. i
: |. :从 ' / V ` ー ´ ∨ \.{i i .:i|
|: .i |〃. :,>ヘ マ宀、 ,x宀/ /\ | . :||
|:/| |': :へO∧ \ / ∧O ヘ. |.: : :|.:
- 84 名前:名無しさん:2010/07/31(土) 22:00:23 ID:oP4cweOQ
- >>83
5話を楽しみに待とうな
- 85 名前:名無しさん:2010/07/31(土) 23:04:50 ID:OY0299dQ
- 4話見たんだがシャーゲル回と思いきやシャッキーニもエーゲルも程よい感じでごちそうさまでした
- 86 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/07/31(土) 23:53:11 ID:Q6YtjVu6
- こんばんは、mxTTnzhmでございます。
今夜も一本出来ましたので投下します。
保管庫No.0450「ring」シリーズ続編になります。
話としては、ウィッチーズ2、4話のその後、と言う感じで書きました。
ネタバレ要素が入っていますので未見の方はご注意を。
ではどうぞ。
- 87 名前:witch doctor remix 01/04:2010/07/31(土) 23:54:36 ID:Q6YtjVu6
- ●case 1
「おお、元気かバルクホルン!」
「ああ……少佐か。どうかしたか?」
「どうもこうも有るか。魔法力が弱っているそうじゃないか。どうだ、具合は」
「ミーナに暫くの間飛行停止と自室待機を命じられた。まあ、自業自得だな」
「お前が居たからシャーリーが助かりネウロイも倒せた。そう自分を卑下するな。
それに、逆に言えばそれだけミーナがお前を思っての事だ。ミーナの為でも有る、決して無理はするなよ?」
「少佐が『無理するな』と言うとは……」
「おかしいか?」
「いや。何でもない。とにかく、私は大丈夫だ。見ての通り暫くはおとなしく寝ているから……ん? な、何だこの臭いは?」
「お待たせしました!」
「おお、来たか宮藤」
「宮藤!? 一体何事だ」
「バルクホルンさん、ちゃんと寝てなきゃダメですよ」
「こんな不気味な臭いを嗅がされて、おとなしく寝ていられるかっ!?」
「まあ落ち着けバルクホルン、お前をどうこうするつもりはない」
「いや、その異臭で言われても説得力が……。で、二人にひとつ聞きたいのだが」
「何だ」
「何でしょう?」
「宮藤が持っている、その標本らしき物体は何だ?」
「ハブ酒です。あと、スズメの黒焼きに、マムシの黒焼き……」
「標本じゃないのか。と言うか何故そんなものをここに?」
「これ、食べると元気になるんですよ?」
「扶桑ではこういったものを食べると精がつくと言ってな。無理を言って、お前の為に用意した」
「い、いや……、気持ちは嬉しいのだが……」
「遠慮するな! 宮藤も一生懸命料理したしな! はっはっは!」
「はい! バルクホルンさんの為に頑張りました!」
「まあ……。た、確かに、ははは……。栄養が有れば味など関係ないッ! 有り難く頂こう!」
「さ、坂本さん、バルクホルンさんが倒れました!」
「うむ。あまりの旨さに気を失ったか。もしくは、精が付き過ぎたか? はっはっは!」
「違うと思います。とにかくお医者さんを呼ばないと」
「宮藤、お前、診療所の娘だろ? 何とかならんか?」
「ええっ?」
- 88 名前:witch doctor remix 02/04:2010/07/31(土) 23:55:31 ID:Q6YtjVu6
- ●case 2
「何だいバルクホルン、せっかく見舞いに来てやったのにその姿は。だらしないなあ」
「だらしな〜い、げんきなーい!」
「ああ、シャーリーにルッキーニか……何の用だ」
「……あれ? 何か、倒れる前よりもやつれてね?」
「そ、そんな事は無い。ただ、食欲が無い時に食べ慣れない物を無理に食べたのでちょっと気分が」
「そっか。じゃあこれは要らないか」
「何だ、それは?」
「鼻も利かなくなったのかい。重症だな。まあ、これ食って元気出せよ。あたし特製のバーベキュー」
「で、こっちのフライドポテトはリーネと芳佳に揚げてもらったの。さますのはペリーヌの役目〜」
「ば、バーベキューか。食べたいのは山々だが、今は食欲が……」
「じゃあ、ポテトはあったしがひとくちもらっちゃうよ〜」
「……あれ? この前まで食欲有ったのにどうした? そう言えば筋トレもしてなかったっけ?」
「ウジュー バルクホルン大尉、元気なさそう」
「お前ら……見て気付け!」
「堅物、何か顔色悪いぞ?」
「だから寝てるんだろうが!」
「この前芋の皮むきしてた時は割と元気だったのに」
「扶桑の……いや、何でもない」
「さては宮藤に甘えさせて貰ってメロメロなんだな?」
「なんだな〜? ニヒャヒャ」
「……この顔色で、そんな事出来ると思うか?」
「そういやそうだ。でも、甘えたかったんだよな」
「ち・が・う」
「じゃあ、あたしのこの胸に飛び込んで来な! 今日だけサービスするぞ!」
「サービスサービス……ってこれあたしの!」
「そんなサービスは、要らん」
「何で一瞬間が空いたの?」
「気のせいだ」
「まあ良いから食いなよ。料理はあたしのサービスだ」
「……そこに置いといてくれないか? 後で改めて貰う」
「冷めたらまずくなるぞ?」
「ぞぉ〜?」
「どんな料理だそれは……もういい、皿を貸せ!」
「何だ、食いっぷり良いじゃん」
「これ位、カールスラント軍人とし……うっぷ! 何だこの味付けは!?」
「焼いたり煮たりの調理は、あたし」
「あじつけは、あったし〜! 厨房に有った調味料全部入れてみた! ウジュジュ」
「この、でたらめで下衆で限度を知らない味の加減……貴様ら、私を殺す気かっ!?」
「わーいバルクホルン大尉がおこった〜」
「逃げろ〜」
「貴様らあっ! うっ、いかん、吐き気が……立ちくらみまで……ぅああっ」
- 89 名前:witch doctor remix 03/04:2010/07/31(土) 23:56:00 ID:Q6YtjVu6
- ●case 3
「どーしたんだヨ、大尉。元気ダセヨ」
「バルクホルンさん、元気出して」
「ああ、エイラとサーニャか。お前達こそ、こんな時間にどうした?」
「私とサーニャは夜間哨戒ダゾ。その前にちょっと顔見に来タ」
「見て楽しい様な顔じゃないぞ」
「大尉が冗談言うとは珍しいネ〜。アレ、何だこの料理……」
「いかん! それは食べるな! 窓から投げ捨てろ!」
「えっ何その危険物みたいナ」
「……なんか匂いがおかしい」
「シャーリーとルッキーニが、でたらめに作ったバーベキューとか言う代物だ。食うと吐くぞ」
「オイオイ……」
「それで、こんなにげっそりして……」
「いや、その前にも少々有ったんだがな」
「バルクホルンさん、宜しければ、これ」
「それ、は……?」
「サーニャが作った、オラーシャの『ペリメニ』ダゾ。美味いから食えよナ」
「何故美味いと分かる? まさかエイラ、引っ掛けじゃ……」
「んな事アルカ!? 仮にもサーニャの料理でイタズラなんてしねーヨ!」
「そ、それもそうだ……疑ってすまなかった」
「でも、何でバルクホルンさん、そんなに疑い深く……それに前よりもやつれて見えます」
「色々有ってな。謎の料理を食わされたり、破壊された味付けの食……あれはもはや食料でも無いが、を食べさせられたり」
「じゃあもうお腹いっぱいカ?」
「サーニャの料理なら食べるぞ」
「はい、どうぞ。食べやすい様に、コンソメスープ仕立てにしてみました」
「ふむ。有り難い。胃が激しく荒れていたんだ……うーむ。美味い。これぞまさしく料理だな」
「何感慨に耽ってるんだよ大尉。まるで今まで拷問を受けてきたみたいだぞ」
「みたいじゃない。そのものだ」
「一体何が有ったんだヨ……」
「しかし、サーニャの料理は優しい味がするな。まさに妹の様な……」
「ちょっと待て大尉。途中からおかしいゾ」
「何か変な事でも言ったか?」
「自覚なしカヨ」
「そう言えばエイラ。お前にはお姉さんが居ると言う話を聞いたぞ。本当か」
「うえッ!? 何処からその話を……」
「何でも装甲歩兵だと聞いたが……陸戦ウィッチか? さぞや苦労されている事だろう」
「ま、まあネ。でも何で大尉と関係あるんダヨ?」
「分かる、分かるぞ。同じ妹を持った姉として、その辛さ、よぉ〜く分かる」
「ちょっト、大尉?」
「確かにサーニャと比べるとお前は全然妹らしくないが、こうしてみると、なかなかどうして妹らしいじゃないか」
「大尉やっぱり寝てた方が良いゾ。悪化してるゾ」
「そんな事は無い。この通り、ペリメニも最後のひとつまで……ん。何だこの食感……うぇっぷ」
「当たりダゾ大尉。その中身はスオムスの銘菓、サルミアッキだゾ。それを占いに……」
「貴様ぁっ!」
「用事を思い付いたし夜間哨戒だからサヨナラなんダナ大尉。逃げようサーニャ」
「でも……」
「お、おい、待て……けほっ、ぐへっ……何で、私がこんな目に……」
- 90 名前:witch doctor remix 04/04:2010/07/31(土) 23:56:58 ID:Q6YtjVu6
- ●case 4
「トゥルーデ、大丈夫?」
「ちっとも元気にならないじゃん。どうしたの」
「ああ、ミーナにエーリカ。すまない。心配掛けて」
「……なんか、この部屋おかしな臭いがするわね。色々なものが混ざった様な。トゥルーデ大丈夫?」
「混ざり過ぎで困ってるんだ」
「何が有ったのトゥルーデ」
「こ、これだけは言える。……無茶苦茶な皆の料理のせいで、私の身体はボロボロだ!」
「叫ばなくても顔色見れば分かるわよ」
「やっぱり、ジェットストライカー履いたから?」
「いや、あれは試作機だから。その後がだな……」
「じゃあ、芋の皮むきで倒れたとか?」
「そうじゃない!」
「何だ、顔色の割には元気そうじゃん」
「あのなあ……」
「とりあえず、元気そうで安心したわ、トゥルーデ。もう無茶しないでよ。これは命令ですからね」
「わかった、ミーナ。心配掛けて済まなかった。どうしてもあいつを助けたかったんだ。分かってくれ」
「解ってるわ。だから、ゆっくり休んで」
「すまない、ミーナ。……ところでミーナ?」
「どうかしたかしら? 私の顔になにかついてる?」
「何か、今日は肌の張りが妙に良いな。色艶も良い……」
「ええ、ちょっと。さっき宮藤さんから身体に良い料理を少し分けて貰って……」
「あ、あれを食べたのか!?」
「美味しかったけど、どうかした?」
「いや……味覚は人それぞれだからな。何でもない、気にしないでくれ」
「そう。じゃあ、私は任務が有るから先に失礼するわね。ゆっくりしてって」
「有り難う、ミーナ。……エーリカは行かないのか?」
「心配だからね。居るよ」
「有り難う。……でも、料理は作ってないだろうな?」
「私に作るなって命令したの誰よ?」
「そうだったな」
「それに、もうトゥルーデ何も食べたくないんでしょ?」
「あ、ああ。今は……」
「じゃあ、私が食べる」
「何を」
「トゥルーデを」
「はあ? エーリカ、お前は一体何を言って……ちょっ、放せ、何をする!」
「病人らしく包帯でちょっと縛ってみました〜」
「みました〜じゃないだろ! こっこれくらい」
「魔法力回復してないから力出ないよね?」
「う、言われてみれば……何か前にもこんな事が有った様な気が……」
「じゃあ、いただきま〜す♪」
「ちょ、エーリカ、やめ、今は……あっ……んん……んあああっ!」
endless
- 91 名前:名無しさん:2010/08/01(日) 00:00:07 ID:shHOCgxg
- 以上です。
エイラの姉さんについては、
軍事考証、世界観設定の方の呟きからネタを頂きました。
しかし、4話最高ですね!
シャーゲルと思いきやシャッキーニとエーゲル、さりげなく全ておさえてる。
お姉ちゃんメインの回は毎回楽しませて貰ってます。
次はもろシャッキーニっぽいし、毎回次が楽しみです。
ではまた〜。
- 92 名前:名無しさん:2010/08/01(日) 00:02:15 ID:shHOCgxg
- >>91
エイラの姉さんについては
http://twitter.com/yamibun/status/15431838689
こちらをご参照下さい。URL発掘しました。
ではまた〜。
- 93 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/08/01(日) 00:44:28 ID:shHOCgxg
- たびたびこんばんは、mxTTnzhmでございます。
>>90辺り「ミーナさんの味覚がヤバイ」とのご指摘を頂きましたので、
ミーナさんメインの、その後をちょっとだけ。
崩壊気味ですがお気になさらず。
- 94 名前:witch doctor remix 05/04:2010/08/01(日) 00:46:23 ID:shHOCgxg
- ●case 5
「ねえ、美緒」
「どうしたミーナ」
「宮藤さんから、扶桑の身体に良い料理を少し分けて貰ったわ。お酒に、焼いたものに……」
「ほほう、ミーナもか。って、大丈夫だったか? バルクホルンはあれで……」
「あの子はちょっと味覚がおかしいから。私は平気。美味しかったけど?」
「そうか、なら……どうした?」
「ねえ美緒。し・ま・しょ?」
「お前は何を言っているんだ」
「二度も言わせないで♪ ね、美緒♪」
「ちょっと、何のつもりだ……ってこら! 強引にベッドに連れ込むな!」
「逃がさないわよ、美緒♪」
「な、何だ!? いつもより力が増している……ミーナの魔法力が高まっている!」
「うふふ。トゥルーデに肌の張りも良いって誉められたわ。扶桑の料理ってステキね、美緒と一緒で」
「お、おい! 一体どうなっているんだ!?」
「私の身体が熱いのよ! この火照りを美緒、貴方で冷やして! いえ、もっと熱くなりましょう!」
「鬱陶しいわ! み、宮藤! 宮藤は居ないか! 誰かぁ! うわあ!」
end
- 95 名前:名無しさん:2010/08/01(日) 00:46:55 ID:shHOCgxg
- 以上です。
まあ、ミーナさんならやりかねないかなーとか思ったり思わなかったり。
ではまた〜。
- 96 名前:6Qn3fxtl:2010/08/01(日) 07:38:07 ID:TmjbcIvI
- >>91,94
踏んだり蹴ったりのトゥルーデさんかわいそうwwwww
扶桑組のありがた迷惑ぶりとか、シャッキーニの悪乗りっぷりとかが最高です。
GJ!
あ、あとミーナさん、自重してください。
さて。短いですが1本投下していきます。
サーニャ×エイラ、エーリカ×トゥルーデ 前提の サーニャ&エーリカです。
- 97 名前:Kaffee-Kantate @ 6Qn3fxtl:2010/08/01(日) 07:38:47 ID:TmjbcIvI
- ――さーにゃん、最近よくコーヒー飲むようになったね。
金色の髪をした私の友人がほがらかに微笑みながらそういった。
そんなこと、誰かにいわれるまで全然気がつかなかったのだけれど。
オラーシャにいた頃は、ほとんどコーヒーを飲まなかった。
留学先のオストマルクでコーヒーを知ったけれど、それでも私は紅茶のほうが好きだった。
コーヒーを飲むことを覚えたのはこの501に来てからで、
私の祖国と同じく紅茶文化のこの国でコーヒーの味を覚えたのなんて、
間違いなく北欧から来たあの人のせいだった。
あの人には好き嫌いはないし、リーネさんの入れる紅茶だっていつもおいしそうに飲むけれど、
それでも二人だけのときには、それは見事な淹れ方でコーヒーを振舞ってくれるのだった。
銀色のケトルから挽きたての豆に熱いお湯が注がれ、香ばしい独特な香りが部屋を包みこんでいく。
一滴ずつ、ゆっくりと、マグカップに注がれたそれは夜の闇のような色をしていて、
そのなかにあの人は、真っ白なミルクと砂糖をたっぷりと入れて、私の前に置く。
初めてあの人の淹れたコーヒーを飲んだときに、苦いといって顔をしかめた私のために、
あの人が特別に作ってくれる、私だけの特別な飲み物。
その特別なコーヒーを本当に嬉しそうに飲む私に、そんなに甘いものよく飲めるよなと
ちょっと苦笑しながら、あの人はいつも砂糖もミルクも入れないコーヒーを飲む。
作って、作ってと子供みたいにせがむ私に、あの人はいつだって嫌な顔一つせずに
私のためだけにコーヒーを淹れてくれて。
そのうち、あの人が任務でいないときに、あの優しさやあったかさを思い出したくて
自分で淹れるようになって。
気がついたら最近は、紅茶よりも飲む回数が増えてきたかもしれない。
入れる砂糖やミルクの量も、少しずつ少なくなってきた。
――きっと、エイラのおかげだね。
すてきだね、好きな人の好きなものをいつの間にか好きになってるのって。
私の目の前の友人は、そういってまた、からかうように笑うのだった。
でもね、ハルトマンさん。あなただって、自分のことには気づいていないじゃないの。
空いたカップを手にして嬉しそうに洗い場に向かう背中に、私はこっそりつぶやいた。
fin.
- 98 名前:6Qn3fxtl:2010/08/01(日) 07:43:29 ID:TmjbcIvI
- 以上です。
Koffee-Kantateというのは、バッハが作曲した歌曲だそうで、歌詞が面白いのでタイトルに使わせてもらいました。
参考: ttp://www.ebach.gr.jp/kaisetsu/bwv211.htm
- 99 名前:名無しさん:2010/08/01(日) 13:50:45 ID:dmHoIZkA
- >>98
GJ! サーニャカはすばらしいです。
表現もステキです。ごちそうさまでした。
- 100 名前:名無しさん:2010/08/02(月) 03:33:38 ID:zhdLwjJ2
- コーヒーカンタータ知ってるよ
- 101 名前:名無しさん:2010/08/05(木) 21:30:27 ID:56VGg9wM
- ドミニカとジェーンの絡みが見たい
文才があれば…
- 102 名前:名無しさん:2010/08/06(金) 07:32:51 ID:05q8OLT6
- 空気を読まずに投下
DS設定です
- 103 名前:秘密のコクミンSHOW:2010/08/06(金) 07:34:42 ID:05q8OLT6
- 「あ、坂本さん。ボタンが取れかかってますよ」
夕食後の自由時間にて。
上官たちのために緑茶のカップを運んできた芳佳は、美緒の胸元を指差す。
縦に並んだ金ボタンの一つがグラグラ。今にもポロッと取れてしまいそう。
「ん? またか……扶桑海軍の士官服はヤワでいかん」
「坂本さんが酷使しすぎるのよ。私のはそんなにすぐ磨耗しないもの」
一週間前にも外れたとぼやく美緒へ、対面に座った醇子が突っ込む。
ウィッチの軍服は魔法繊維で頑丈に作られている。ボタンを縫い付けている糸も同様で、ちょっとやそっとでは緩んたりしない。それをこうも早いサイクルでとなると使用者に何らかの問題があるはずだ。
「はっはっは、竹井は傷む前に繕うからな。私もリバウでは世話になったものだ」
「竹井さんが坂本さんの繕い物をされていたんですか?」
芳佳は驚いて目を瞬く。
リバウでは醇子のほうが上官だったという。その行為自体は大したものでなくても、なんだか不思議に感じる。
「だって、坂本さんったら色物の糸を持ち出してくるのよ? この真っ白な生地によりにもよって!」
醇子は自らの上着をたたき、憤まんやるかたない様子で身を乗り出す。
立ち振る舞いの優雅さに定評のある彼女にしては珍しい。
「縫えてさえいれば糸なんて何色でもいいだろう」
「よくないわよ。見栄えが悪いでしょ」
「ええと、それは確かに……」
らしい無頓着さに半笑いし、芳佳は醇子に同意する。
刺繍などの特別な目的でないなら白地には白糸を使うのが大原則だ。
言うべきことを言ってすっきりしたのだろうか。醇子は洗練された仕草でカップをすくいあげ、緑茶を一口。
「それで見るに見かねて私が繕ってたんだけどね。他の子たちにはうがった目で見られるし、おかしな噂はたつし、散々だったわ」
「ですよね……お察しします」
芳佳は、溜め息をつく醇子と首を傾げる美緒の間に、煎餅を盛った皿をおく。
これは扶桑海軍艦隊からのありがたい差し入れである。異国の地でのささやかな贅沢だ。
「あら、ありがとう宮藤さん。お煎餅なんて懐かしいわ」
「やはり緑茶には煎餅だな。ところで噂とは何のことだ、竹井?」
「あ、やっぱり気づいてなかったんだ。まあ、昔のことなんてどうでもいいじゃない」
「それもそうか」
あっさり頷く美緒。前向きな性格なので昔話は苦手だ。
本当に困った人だと、醇子は苦笑する。それでもこの僚友から距離をおこうと思ったことはない。
芳佳は美緒の胸元をチラチラ。別におっぱいを盗み見ているわけではなく、取れかけのボタンがどうにも気になっている。
「あの坂本さん、私がボタンを付けましょうか?」
「いいのか、宮藤?」
「はい。こうみえても針仕事は得意なんですよ」
「はーはっは、さすがは私が見込んだ扶桑撫子だ。では頼むとしよう」
申し出をうけた美緒はからからと笑う。
パッと顔を輝かせた芳佳が、裁縫道具をとりにサロンを出ていく。
残された上官たちは、まったりと茶をすすり、少女が戻ってくるのを待った。
- 104 名前:秘密のコクミンSHOW:2010/08/06(金) 07:35:38 ID:05q8OLT6
- 針に糸をとおしてチクチク。
本人が言ったとおり危なげなく、あっという間にボタンが縫い付けられていく。
集中する視線。リーネ、ペリーヌ、ミーナ―――後からやってきた者たちも加わり、興味深げにその様子を見守る。
「これでよし、っと」
生地の裏で結びをつくり、はさみでチョキン。
芳佳は預かった士官服に引き攣りがないのを確認し、持ち主に返した。
「どれどれ……うん、しっかり縫いつけられているな」
「それだけじゃないわよ。縫い目も目立たないようにしてあるわ」
さっそくの出来栄えチェック。
美緒は合わせの強度を確かめ、ボタンに顔を近づけた醇子がしきりに頷く。
手放しの賞賛を贈られた芳佳は耳まで赤くなる。
「そ、そんな。大したことありませんよ、これくらい―――あいたっ?!」
針山に刺そうとした縫い針が、左手の親指をグサリ。
指を押さえて飛び上がった芳佳へ、近くに控えていたリーネが駆け寄る。
「大丈夫? 芳佳ちゃんっ」
「う、うん。ちょっと突いちゃっただけ。はあ〜びっくりした」
まじまじと見やる視線の先に小さな紅玉。
悲鳴のわりには軽症。不意をうたれた驚きが勝ったのだろう。
思わず腰を浮かせてしまったペリーヌはそれを誤魔化すように鼻を鳴らす。
「…まったくもう、この豆狸は。調子にのっているからですわ」
「宮藤さんの治癒魔法は自分自身に使えないから気をつけてね」
隊長であるミーナは釘を刺すことを忘れない。
回復担当の芳佳は部隊の命綱であり、その安全には誰より気をはらわねばならなかった。
「はい……すみませんでした」
「まあまあ、そう落ち込まないで。じゃあ、左手を心臓より高く上げて」
「そこまでするほどの怪我でもないだろう。どけ、竹井」
ぱくん。
時が―――止まる。
「さ、ささささか、坂本少佐っ?! な、なななにを」
ショックのあまりペリーヌの眼鏡もクルクル。
かろうじて繋ぎとめた意識へ鞭打ち、憧れの人に真意をただす。
芳佳の手首をガッシリと掴んだ美緒は、奇声の上がった方向に目をやり、ふくんでいた指を解放する。
「なにって手当てだが? お、血が止まったようだぞ宮藤」
「は、はい。その……ありがとうございました、坂本さん」
「はっはっは、なんだこれしきのことで」
帯電していく空気に気づかない扶桑師弟はほのぼの。
もじもじしていたリーネが一念発起し、芳佳に擦り寄っていく。
「あの、芳佳ちゃん。私でよければいつでも」
「竹井さん、ちょっといいかしら―――扶桑ではああいった治療が普通なの?」
「え? ……そ、それは、親しい間柄ならまあ」
笑顔のミーナに圧力を感じた醇子は、目を泳がせつつ必死のフォロー。
美緒が絡むと、どうあってもこうなる役回りだった。
- 105 名前:秘密のコクミンSHOW:2010/08/06(金) 07:36:38 ID:05q8OLT6
- XXX
「あ〜やっと終わった。自由時間をまるまる使うなら何日かに分けてくれればいいのにさー」
「愚痴はよさんか、ハルトマン。あちらだって何度も謝っていただろう」
ゲルトルートは大きく伸びをするエーリカに喝。
長々と取材をこなした二人は、乾いた喉をうるおすべく廊下を急ぐ。
「そういうトゥルーデだってずっと仏頂面してたくせに」
「なにを言う。私はもともとこんな顔だ」
にやつく僚友に、ゲルトルートはしかめっ面。
頭の後ろで手を組むエーリカが笑う。あいかわらずカッチカチだが、501JFW配属当初に比べれば随分まるくなったものだ。
開いていた食堂のドアをくぐる。すると、部屋の中には少女がひとり。
「宮藤!」
ぎょっとしたゲルトルートが声を荒げる。
ぐらぐらする丸椅子にのり、皿やカップを天井棚に押し込んだ芳佳は、背後からの大声にバランスを崩す。
「わ、わわっ?!」
「危ない―――――!」
間一髪。
雑多物を弾き飛ばし、走りこんだゲルトルートが小柄な体を抱きとめる。
「バ、バルクホルンさん?! ありがとうございます」
「ありがとうございます、ではない! 安全意識が欠落しているぞ! こんな不安定な足場に身を任せるなど以ての外だ!! 私がここへ来なかったら一体どうなっていたことか」
「すっ、すみませんっ」
芳佳はゲルトルートの怒気に身を縮こまらせる。
腕に当たる色よし張りよしな膨らみが心地良いだなんて、とても口に出せない。
「どっちかっていえば、トゥルーデが急に大声だしたせいだと思うけどね」
マイペースさを発揮してテーブルにつくエーリカ。
聞きとがめたゲルトルートがギロリ。
「それは引き金にすぎん。宮藤が万全の態勢でのぞんでいれば防げたことだ」
「あ〜もういいや。かわいがっている宮藤に怪我がなくてよかったねー」
「か、かわいがっているっ?! な、ななななんの根拠をもってそんな! ちっ、違うぞ、私は上官としてだな」
「隠さなくてもいいじゃん。もうみんな知ってるんだし」
慌てふためく堅物と、にやにやする黒い悪魔。
エースとしての威厳は影も形もない。
「あの、お二人ともお茶でも淹れましょうか? あと、そろそろ下ろしていただけると……」
いまだ抱きかかえられたままの芳佳が控えめに上申する。
当事者なのに、なぜか傍観者の有様だった。
ようやく解放されて、しばし。
上官たちのためにコーヒーをいれようとした芳佳は、目にした赤にハッとなる。
- 106 名前:秘密のコクミンSHOW:2010/08/06(金) 07:37:20 ID:05q8OLT6
- 「バルクホルンさん、指から血がっ」
「なに、血だと? ……ああ、どこかに引っ掛けたか」
視線を落としたゲルトルートが鼻を鳴らす。
短めに整えられた爪のひとつに血が滲んでいる。どうやら爪の端を割ってしまったらしい。
「すぐに治療します!」
「宮藤。前々から思っていたのだが、お前は魔法に頼りすぎだ。こんな小傷、ウィッチなら1日で治る」
ゲルトルートは固有魔法を発動しかけた芳佳を押し留める。
治癒魔法の安易な使用は推奨できない。術者自身の負担になるばかりではなく、当人が備える自然治癒のリズムまで狂わせてしまう。
きっぱり拒否をされても、頑固なところのある芳佳は納得しない。
「でも、私のせいで怪我をしたのに」
「勘違いするな、これは自分自身の不手際だ。まあ、お前がどうしてもと言うなら、魔力を用いない普通の治療にしてくれ」
ここで無難な折衷案を提起。
テーブルに頬杖をついたエーリカが微笑む。なんだかんだと言ってゲルトルートは芳佳に甘い。
芳佳はかざしていた両手をもどかしげに下ろす。このうえ主張を押し通すなら、それはただの自己満足だ。
「…わかりました。では」
はむっ。
時が―――とまる。
「……み、みみみみ宮藤、なななななにを」
「ひゃい? ひゃにほっへ……魔力を用いない治療ですけど?」
ちゅっと音をたてて含んでいた指を解放し、芳佳は首を傾げる。
ピュアな瞳に二の句をつけないゲルトルート。そんな上官を不思議そうに見やり、芳佳はまた指先を口に含む。
ちろりちろりと舌が傷のあたりを這うにつれ、ゲルトルートの顔がメチャアクチャアになっていく。
「宮藤ぃ。傷口には唾をつけとけって扶桑では言うらしいけど、あれって迷信なんだぞー」
「ええっ?! 本当ですか、ハルトマンさん!」
「まあね〜、うちの父様は医者だし。かえって雑菌が入るから良くないんだってさ」
すまし顔のエーリカが傷を舐めるという民間療法をただす。
固定観念をくつがえされた芳佳はおろおろ。
「そ、そうなんですか。すみませんバルクホルンさん、すぐに消毒薬をとってきます!」
「…待て宮藤。それには及ばん」
ゲルトルートは、踵を返した芳佳のセーラーカラーをつかむ。
「でも傷口からバイキンがっ」
前へ進もうとする靴の裏が甲高い音をたてる。
しかし、部隊一の力自慢に首根っこを押さえられてはどうしようもない。
「ひ弱な菌ごときが、この私の体内で好き勝手できるわけなかろう。よしんば侵入したとしても電撃戦で葬りさってくれるわ」
「あ、あの、バルクホルンさん……」
靴底が床を離れる。
ぶらんと吊り下げられた芳佳の視界が180度ターン。
「それともなにか、お前が送り込んだ雑菌は私の強靭な免疫に打ち勝つとでも? そんな取るに足りない幻想に浸っているなら早々に扶桑に帰ったほうが身のためだぞ―――――ハアーハハハッ!!」
正面にもってきた少女に顔を近づけ、そりくりかえって高笑う。
そうしてようやくゲルトルートは芳佳をわきへ下ろし、開いたドアからギクシャクと出て行った。
ぽかんと呆気にとられる芳佳、腹を押さえてテーブルに突っ伏すエーリカ。すると今度は大小のお騒がせコンビが駆け込んでくる。
「なあ、バルクホルンのやつ、どうしたんだ?! 頭でもやられちまったのか??」
「こぉ〜んな茹で蛸みたいな顔してね、ハアーハハハッって笑ってるんだよ! 気持ちわる〜い」
「ええ?! や、やっぱり今からでも消毒したほうが良いんじゃ……どう思いますか、ハルトマンさん?!」
ひたすら真面目なその表情。
さすがは扶桑の魔女だと、エーリカは我慢しきれず噴き出した。
- 107 名前:秘密のコクミンSHOW:2010/08/06(金) 07:38:13 ID:05q8OLT6
- XXX
「はあ〜あ、疲れた」
醇子は首をコキコキさせて、静まった廊下を歩む。
すでに消灯時間を大幅にすぎている。サロンから退散しようとしたところを囲まれ、今の今まで聴取にあっていた。
扶桑独特のウェットな付き合いを欧州人に理解してもらうのは難しい。それぞれの意中の人が絡んでいるなら尚更である。
「美緒にも宮藤さんにも困ったものね……」
朴念仁すぎる二人は騒動の種だけをまき、さっさとどこかへ。
ふぅ〜と、ひとり溜め息をつく。弟子は師に似るというが、そんなところまで似なくてもいいのにと思う。
つらつらと考えているうちに食堂前にさしかかる。聞こえてくる話し声に首を捻り、ひょいと中をのぞきこんだ。
「あら、エイラさんにサーニャさん」
「なんだ竹井大尉か。デイシフトはもう寝る時間だぞー」
「エイラ、目上の人に失礼よ」
ざっくばらんな言動をたしなめるサーニャ。よく睡眠をとったのか、その目はパッチリと開いている。
上下意識が希薄な扶桑海軍所属の醇子は、特に気にしたふうもなく微笑む。
「二人はこれから夜間哨戒?」
「はい。フライトまで少し時間があるので飲み物でも、と」
「大尉も一杯やるか? カハヴィを飲んでシャキっと―――あ、だからって哨戒には同行しなくていいんだぞ。私たちだけで十分だからな」
しっかり予防線を張るエイラ。二人きりの夜間飛行を邪魔されてはたまらない。
醇子は深く追求することなく室内に歩を進める。
「じゃあ、いただこうかしら。ちょうど喉がからからで」
「すぐに用意します。お待ちください」
「あ、サーニャ! 私がやるって」
「いいから。私の分はエイラが淹れてくれたでしょう?」
ごく控えめにサーニャは微笑む。
そんな可憐さと、厨房に立つ後ろ姿に見とれていたエイラは、隣の椅子がきしむ音にハッとなる。いつもは物音をあまりたてないのに珍しいなと思い、観察してみるとやけにどんよりしたそのオーラ。
「なあ大尉、悩み事があるなら相談にのるぞ。なんならタロットで占ってやろうか?」
「はい?―――悩み事? 占うってなにを?」
「…なんだ違うのか。紛らわしいんだよなぁ、もう」
きょとんとした茶色い瞳に脱力し、艶やかな金髪に手を突っ込んでクシャクシャ。
そんなエイラに首を傾げていた醇子は、思考をめぐらせてみてやっと、気遣ってもらったという事実に思い至る。
「心配してくれてありがとう、エイラさん。ちょっとボーッとしていただけよ」
「べ、べつに心配なんてしてないぞ。それより、きついなら訓練を減らしてもらったほうがいいんじゃないか」
「うふふ、坂本さんにそんなこと言おうものならメニューを倍にされちゃうわ。それに今回は訓練と関係ないのよ」
「…なにかあったんですか?」
ポットを火にかけたサーニャが会話に加わる。
集中する視線。頭の中で話の流れを組み立てた醇子は、事の経緯について語り出した。
- 108 名前:秘密のコクミンSHOW:2010/08/06(金) 07:38:57 ID:05q8OLT6
- 「ふ〜ん、そのせいか……廊下ですれ違ったツンツンメガネの髪が逆立ってたのは」
「他の皆も、なんだかおかしかったです」
聞き終えたエイラとサーニャは納得顔でうなづく。
ペリーヌ、ミーナ、リーネをはじめ、なぜかゲルトルートまで普段と様子が違った。
椅子に背をあずけた醇子は、眉尻を下げて天井を見上げる。
「説明を求められても国民性の違いとしか答えようがないのよね……こうして母国の外に出て思うんだけど、やっぱり扶桑って極東の島国なんだわ」
「どうしたんだよ、大尉。溜め息なんてついて?」
「なにげなくする行為にこれほど驚かれるのは、世界スケールでみた扶桑人が相当変わっているからよ。私はあまり突飛なことをしないよう気をつけているけど、坂本さんと宮藤さんはあの調子だし」
「私は……変わっていることは悪いことじゃないと思います。芳佳ちゃんも坂本少佐も竹井大尉も、扶桑の人はみんな魅力的です」
恥ずかしそうに頬を染めながら、サーニャはそう言い募る。
複数人がいる場では話だけ聞くことの多い彼女にしては珍しい。
年下の少女にこんな事を言われてはクサってもいられず、醇子はだらんとしていた上体を起こす。
「ありがとう。私もね、サーニャさんのこと、かわいくて魅力的だと思うわ」
「そ、そんなこと……」
てらいのない返しに赤面するサーニャ。
「…気をつけてるなんて嘘だろ」
半目になったエイラがぼそり。
やっぱり扶桑人は油断ならないと、監視の目を強くする。
コンロの火をとめ、シュンシュンと音を立てるポットを手に、サーニャはテーブルへ。
「お待たせしました、竹井大尉。砂糖とミルクはどうされ―――熱っ?!」
らしくないミス。
サーニャは蒸気穴にかぶせてしまった指を引く。
ガタンと椅子を蹴倒し、エイラが弾かれたように立ち上がった。
「だ、大丈夫かサーニャっ?! ヤケドしたのか? すぐ宮藤を連れてくるからっ」
「待って、エイラ! もう消灯時間をすぎているのよ。それに、一瞬だったから大したことないわ」
無事な手で空色の背中をつかみ、振り返った心配そうな瞳に微笑む。
反対側に回り込んだ醇子は、細い手首をそっとつかまえ、握りこまれていた拳をひらく。
「指が赤くなってるわね……サーニャさん、手をこっちへ」
ぴとっ。
時が―――とまる。
「…あ、あの、竹井大尉?」
「ここは人体のなかでも体温が低いのよ。熱いものを触ったときは活用するといいわ」
醇子は、まじまじと見つめてくる翠の瞳へ薀蓄をたれる。
上官の耳たぶに指を添える現状に、当のサーニャはパニック。しかし、指の上から手を重ねられているので、どうすることもできない。
「な、なにやってん―――わあっ?!」
突然上着を放されたエイラは、つんのめって床にダイブ。
さすがの未来予知でも、扶桑人のイレギュラーな行動を100%予測するのは難しいらしい。
「どう? まだ熱いなら反対側にかえましょうか?」
「は、はい……お願い、します」
近すぎる距離、見つめあう瞳と瞳、重なる手と手。
完全に思考停止したサーニャは、醇子の提案に上気した顔でうなづく。
「あーもう、なんだよ、なんだよっ! 竹井大尉だって宮藤や坂本少佐のこと言えないじゃないかあああぁーっ!」
ひとり蚊帳の外におかれたエイラは地団太。
無自覚に他人を惹きつける―――そんな扶桑の魔女たちほど、厄介なものはなかった。
- 109 名前:名無しさん:2010/08/06(金) 07:46:06 ID:05q8OLT6
- 以上です
白銀設定にするべきでしょうが、持ってないので
ありがとうございましたー
- 110 名前:名無しさん:2010/08/07(土) 03:49:58 ID:CpYj86xA
- >>109
これだから扶桑の魔女どもはwwww
顔真っ赤にしてギクシャク歩いてるお姉ちゃんや
竹井さんにポーっとしてるサーニャを怒りながら見ているエイラとかが
目に浮かんでニヤニヤしました。GJ!
- 111 名前:名無しさん:2010/08/08(日) 01:57:14 ID:MSUdWCrM
- >>108
すごくニヤニヤしながら拝見させていただきました。
扶桑魔女の天然ジゴロ属性やばすぎるw GJ!
白銀はDLC落としたんだけどコミケ明けまで我慢だなぁ。
- 112 名前:名無しさん:2010/08/08(日) 18:52:00 ID:q4TVQmCc
- >>109
ニヤニヤがとまらないwwww
扶桑の魔女超自重してください、いやまじでw
白銀、昨日までステ3まではノーコンでいけたのに、さっきやったらステ3
コンティニュー……ステ2の雑魚ラッシュはだいぶ余裕になったのに、なんで
ステ3で……。一回コンティニューになって悔しくてすぐやり直してまた
ステ1から始めたら二回目もステ3で1死……だるくなったのでやめ。
やっぱりあれか、手前で散々FPSやってそこそこ疲労感たまってる状態で
やったのが原因か(ぉ
- 113 名前:名無しさん:2010/08/08(日) 21:48:31 ID:JMWNGdFU
- >>109
ほんとにこれだから扶桑魔女はwwwwって感想しか出てこねぇwww
面白かった。GJ!
- 114 名前:≠ (NOT EQUAL) (1/3):2010/08/08(日) 23:03:11 ID:Thn1NI9A
- rQBwlPEOと申します。遅れに遅れたハンナ(ハッセ)・ウィンド大尉誕生日SS、の名を借りたニパSSです。ハッセ×ニパで。
----
「お……」
パーティーの準備が出来たことを告げにハッセの部屋を訪れたところで、私は言葉を失った。
「んー? どうしたんダ? ニパー?」
ハッセの周りをくるくると回って彼女の様子を確かめながら、イッルがとぼけた声で言う。
「この格好、選んだの、お前?」
「そうだゾー。ハッセの誕生日だからナ」
「──どうかな? ニパ」
いつもの落ち着いた顔で、それでもわずかに照れながら、ハッセが私に聞く。
「……い、いいんじゃねーの」
咄嗟の事もあって、そんな返答しか出来なかった。
「何だヨー。もっとホメロヨー」
服を見立てたイッルは、私の答えに不満そう。
イッルがハッセに贈り、そして今ハッセが身に付けているのは、パーティ用に新調した衣装。
礼服みたいに丈の長い細身のジャケットと、ドレスシャツの胸元にリボン。どこからどう見ても男装なのはまぁ、受け入れるとして、こいつがこういう服を身に着けると様になる。こいつの持つ、落ち着いた穏やかな雰囲気がより際立つというか。
「分かってないよナー、ニパは」
イッルはハッセに手鏡を渡し、どうだー? と聞く。うん。いいよ、と鷹揚に応えるハッセ。
戸口に突っ立ったままで、私はそんな二人の姿を眺める。
咄嗟の事で淡白な感想しかいえなかったけれど、私はハッセの姿に目を奪われている。お揃いのセーターでなくなると、こうも違って見えるんだろうか。
似た顔の形、似た髪の色。確かに違うのは瞳の色だけ。
私達に言わせれば全然似ていないけれど、からかいの種になる程、良く似た顔の私とハッセ。同じセーターを着る様になってからは「見分けがつかないから何とかしろ!」という苦情が出る程だけど。
きっとこいつだから、こういうのが様になるんだよな……。
頭の中のどこかでは、同じ姿だと思っていたのかもしれない。だから違う服装をされると、改めて差異を意識してしまうのかもしれない。
いつも柔らかな笑みを湛え、皆をにこやかに見守っている、そんな大人びた雰囲気のあるハッセと、イッルに何か言われる度に(される度に)、怒鳴り返してしまうとげとげしい自分。
どんなに似た顔をしていても、二人は別の人間。性格も能力も、まとっている雰囲気もまるで違う。
(私も、こんな怒りっぽい奴じゃなかったら、こう言うのが似合うのかな……)
よく似た容姿を周囲がからかう中で、私を私自身として認め、信頼してくれているハッセ。その事を知っている筈なのに。それでいいと思っている筈なのに。
それでもそんな事を考えてしまうのは、やっぱりイッルが悪い。こいつがハッセにこんな格好をさせるから。
「ハッセは大人っぽいからな、こういう格好させると似合うヨナ」
にひひ、と得意げなイッル。悔しいけど当たってる。──イッルだってやっぱり、そう思うよな。
「後で写真取るカラナ。年少組からリクエストされてるんダ」
「え? なんだよそれ」
「ハンナ先輩の男装姿拝ませてくださいよー、それと写真っ、て。ずいぶん前から頼まれてんダ」
「へぇ。……あのさイッル、それで、これを選んだの?」
「さーなー。どーだかナー」
プレゼントの裏事情を暴露するイッルと、それに対して満更でもなさそうな反応を返すハッセ。ハッセは余裕を持ってこの状況を楽しんでる、そんな気がする。
「それにしても、胸ちょっとゆるくないカ?」
「そうかな。そんな気はしないけど」
「んー。私の見立てではもう少し育ってると思ったんだけどナー。やっぱり見た目だけだと信用できないナー」
実測は大事ダヨナ。イッルがわきわきと指を動かし、手をハッセの方に伸ばしかける
(──何やってんだよ)
割り込んでやりたいけれど、うまい言葉が見つからずに、気持ちばかりがざわめく。じゃれ合う二人の姿を見ながら、胸の前で手を握り締める。
- 115 名前:≠ (NOT EQUAL) (2/3):2010/08/08(日) 23:04:10 ID:Thn1NI9A
「やっぱり触れて確かめないとナ。実測は大事ダナ」
「ははははは。駄目だよイッル」
イッルがハッセの胸に手を伸ばしかけた一瞬の隙を突いて、ハッセはそばにあった輪ゴムを手に取ってイッルの顔を撃つ。いてーと言いながら、額を押さえて笑うイッル。
「痛いなーもー。でもナ知ってるカー? どっかの国じゃ、おっぱいは揉むと大きくなるって言うんだぞ」
「いやいや、別にイッルのお世話にならなくてもー」
「だーめーだー。こう言うのは若いうちからの訓練が物を言うんだしサー……」
「いつまでやってんだよ! みんな待ってんだぞ!!」
「え……」
思わず上げた私の声に、二人の動きが止まる。…
二人は目をぱちくりさせながら、顔を並べて私の方を見ている。……しまった。
「え、えっと。とにかくパーティーの準備が出来てるし、そろそろ……」
しどろもどろに言いつくろう──。なんだか、すごく悔しい。これじゃ、私がじゃれ合う二人に嫉妬してるみたいじゃないか。
「何だヨニパ。お前もこういうの着たいのカ?」
「え?」
イッルがハッセの首に手を回してにやあっと笑った。ハッセがイッルの言葉を聴いてにっこり笑う。
「あ、いいねぇ。セーターもいいけど、もっと色々な格好を見てみたいしさー」
「どーせなら二人お揃いでやってみようぜー。絶対受けるカラ」
「でもニパはさ、もっとこう『かわいい』感じの方が……」
「ソウカー。いっそフリルのついたヒラヒラの……」
「何言ってんだよ! 何の罰ゲームだよそれ!」
「私は見たいけどな、ニパ」
「な……」
突っ込んだ言葉をさらっとハッセに返されて、絶句する私。
一瞬の内に頭の中に「そういう」服を着せられた自分を思い浮かべて、
「だめだめだめだめ! ……似合う訳ないって!」
ぼん、と顔から火が出た。
「そうかなぁ」
「そうだよ!」
間延びした声でにっこり笑うハッセ。全力で否定する私。私の肩に、イッルが手を置いて意地の悪い声で言う。
「ナニ照れてんダヨー」
「何で私が照れなくちゃいけないんだよ!!」
「そうだよ。照れなくてもいいよ、ニパ」
「ダヨナー。見たいヨナー」
「何だよ! 二人一緒になって!!」
私をダシにして意気投合してる二人を見て、私の声が更に尖がった。
「いいから早く食堂に来い! みんな待ってるんだからな!」
怒鳴り散らして背を向ける。またもいらいら。私はいつもこうだ。
----
- 116 名前:≠ (NOT EQUAL) (3/3):2010/08/08(日) 23:05:31 ID:Thn1NI9A
パーティ会場となった薄暗い食堂で、ようやく人だかりが途絶えたハッセの隣に立った。
飲み物と切り分けたケーキの皿を、ハッセの前に置く。どこかでイッルが騒いでいる声と、それに呼応するざわめきが聞こえる中、黙ってハッセの隣に座った。
「……ごめんな。ハッセの誕生日なのに、あんな風に怒鳴っちゃって」
またやっちゃった、というお決まりの自己嫌悪を感じながら、私はテーブルの上のケーキにフォークを入れた。
「いいんだよ。私もイッルも、調子に乗り過ぎてたみたいだし」
そう言いながらハッセはグラスを持った手を伸ばして、私のグラスに打ち当てる。ちん、と澄んだ音がした。
「それにしたって、私また、あんな風に怒っちゃってさ」
ははっ、と沈み気味の心を吹き飛ばすように空笑い。
「……すぐ熱くなっちゃうからなー、私」
「──」
ハッセは黙って、ケーキをフォークで切り分ける。ちん、と皿をフォークが打つ音。
「でも、私はニパのそういう所好きだよ」
「え……?」
「うん」
ハッセの突然の言葉に、顔を上げて彼女の顔を見た。フォークでケーキを突きながらハッセは言う。
「強い思いを持って、それをすぐ口に出せるのは、うらやましいよ」
「そうかなぁ」
「私はそういう事、あまりしないしね」
「……」
「似てるからさ。そういう事を、よく考えるんだ」
私より少しだけ細く、私より少しだけ長い指を組んで、ハッセは微笑む。
似た顔の形。似た髪の色。確かに違うのは瞳の色だけ。
いくら似ていても、二人は違う人間。それでも似てるから、お互いを無視できない私達。
「ところでさ。ねぇ、ニパ」
「え?」
少しだけトーンを落とした声で、ハッセが私の事を呼ぶ。その声を聞こうと身を乗り出した私の顔をハッセが覗き込む。
「さっき怒っていたのはさ──」
「うん」
「──私とイッル、どっちに妬いてたのかな」
「え……」
──さっきって、ふざけてるハッセとイッルに怒鳴っちゃった時のことだろうか?
「どっちに対して怒ってたのか、私は知りたいんだけど」
「え、ええっと……」
普段は穏やかなハッセの瞳にちらりと覗く、穏やかでない何か。
良く似た顔が私を見つめている。ただそれだけのはずなのに。それだけで、こんなに胸が騒ぐわけは無いのに。
「……そんなの、分かんないよ、私」
静まらない胸の動悸。ハッセの目を見ていられなくて、私は急に目をそらした。
おわり
----
読んで下さって有難うございました。
ハッセさんはにこにこしながらぐいぐい迫るのか、遠まわしに分かりづらく迫るのがいいのかは、迷うところです。
- 117 名前:名無しさん:2010/08/09(月) 03:32:02 ID:7PuPuI5g
- >>116
GJ! これは新鮮で素晴らしい! 良いニヤニヤをご馳走様です。
- 118 名前:名無しさん:2010/08/09(月) 22:32:45 ID:xJ1.9Ie.
- >>116
ハッセとニパの新たな可能性を見た! これはGJと言わざるを得ない。
- 119 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/08/10(火) 22:18:22 ID:iIISRhUI
- >>98 6Qn3fxtl様
GJ! お互い思いの人がありながら……でも良いですね。
これはステキです。
>>109様
これはまた「扶桑の魔女」ですね。GJです。
>>116 rQBwlPEO様
お久しぶりですGJ!
思わずやきもちを焼くニパと、実は気になるハッセが良い味出してます。
こんばんは、mxTTnzhmでございます。
先日某所で話に出た「エイラの先読み魔法」の解釈
並びに「カッコいいエイラ」について、
私なりにちょこっと書いてみました。
色々とボロボロな文章ですが、どうぞ。
- 120 名前:no limit:2010/08/10(火) 22:18:48 ID:iIISRhUI
- MG42を構える。首をこきりと軽く鳴らした後、軽いピクニックに向かうかの如く、おぞましい弾幕に一人飛び込んでいく。
彼女を貫き砕かんとする禍々しい光線が、針の山の如く眼前に広がり、その身に迫る。
エイラの頭中には“次に取るべき”行動が瞬時に描かれ、それに合わせ自然と身体が動く。軽くフリップ、次にスライド、ロール……
身体に染み込んだ空戦機動が次々に繰り出され、シールド無しで全てのビームをかわしていく。まるでビームの方が遠慮して避けているかの様に。
周囲の地形も全てエイラの手の内に有るよう。山の頂をふわりと掠め、谷間を踊る様にすり抜ける。
不可能な未来、“自分が居ない”未来など、有り得ない。“自分が居る”未来のみを自分で知り、動き、切り開き、掴み取る。
瞬間瞬間に見えては消える膨大な“未来”の奔流を無意識に近い感覚でひとつひとつ丹念かつ、超高速で選択し、行動する。
その結果が、恐ろしいまでの回避運動。
ぴたりと核心(コア)の前に辿り着いたエイラは銃口を向け、トリガーを引いた。
間も無く、周囲に白銀の欠片が舞い降りる。
「エイラ……」
無数に散らばる破片の中、寄り添うサーニャ。
「ナ。見たダロ? 私は絶対に当たらないヨ。だから大丈夫」
MG42を肩に担ぎ、おどけてみせるエイラ。
「でも、エイラ一人で行くなんて……」
「心配ないヨ。だってサーニャが近くで見ていてくれたカラ」
「えっ、それってどう言う……」
「いや……」
二人のもとにシャーリーが近付いてきた。
「戦闘終了とは言え、油断禁物だぞ二人共。……あー、司令所へ、ネウロイの撃破を確認、これより基地に帰還する」
無線で通信を終えたシャーリーは、エイラとサーニャに笑顔で言った。
「さ、みんなで帰るぞ〜」
「リョ、了解」
基地へ帰還した後、報告を手短に済ませると、エイラとサーニャはサウナでひとしきり汗を流す。
二人は近くを流れる小川に向い、足を浸け、火照りの余韻を味わう。
「ねえ、エイラ」
「ン? どうしたサーニャ」
「さっきの、続きなんだけど」
「続き? 何ノ?」
とぼけているのか素で忘れているのか判断しかねたサーニャは、エイラの手を握った。
「エイラ」
呼ばれてぎくりとする。
「忘れたの? さっき、私が『どうして一人で行ったの』って聞いたのに」
「そ、それは……サーニャが近くで見ていてくれてカラ」
「その言葉は聞いた。その次」
「次?」
「教えて。続きを」
「ウーン」
エイラは困った顔をして、言葉を選ぶ。流石に、サーニャに関する未来予知は苦手なのか。
「じゃあ。言うケド、笑うなヨ?」
こくりと頷くサーニャを前に、エイラは言葉を続けた。
「私は未来予知の魔法が使えるダロ? だから絶対にやられたりしないヨ。私には『これは大丈夫』みたいな予知って言うか、
そう言う間近の事が正確に分かるんダ。だから……」
「当たらないって、事?」
「そうそウ。間近の事なら絶対に分かル。言わば私は既に未来を掴んでいル、と言えるナ」
誇らしげに言ってから、サーニャの顔を見て照れるエイラ。
「ゴメン、ちょっト、かっこ付け過ぎタ」
「じゃあ、エイラ……」
エイラの手を自分の胸に当てる。びっくりしたエイラの身体にそっと腕を回すサーニャ。
身体が固まり掛けたエイラに、サーニャは言う。
「エイラ。貴方は未来を掴んでいるんでしょ? これからも、掴み続けるの?」
「それ、は……」
「私は? 私の未来は?」
サーニャがエイラの頬にキスをする。エイラの手はサーニャの胸の膨らみの上。声がうわずり、うまく言葉に出来ないエイラ。
「お願い、エイラ」
サーニャの潤んだ瞳を見つめ……エイラはサーニャの肩に手を触れ……じわじわと接近し、距離が縮まり、やがてひとつになる。
軽く触れる事から始まる、長く、濃いキス。
二人の未来は、二人を照らす夕日の如く手、紅く、美しく輝く。
end
- 121 名前:名無しさん:2010/08/10(火) 22:19:17 ID:iIISRhUI
- 以上です。
タイトルは車のCM……
ではなく、同名の音楽から拝借。古いですが。
歳がバレますねw
ではまた〜。
- 122 名前:名無しさん:2010/08/10(火) 23:32:03 ID:BjJFZJYU
- 6話にエリーヌ来るぞ!!!
- 123 名前:名無しさん:2010/08/10(火) 23:33:53 ID:jp15/lKI
- >>122
エイラなのかエーリカなのか
- 124 名前:名無しさん:2010/08/10(火) 23:44:02 ID:BjJFZJYU
- エイラ×ペリーヌ
- 125 名前:名無しさん:2010/08/12(木) 02:04:11 ID:JdESASvA
- >>122-124
残念、それは見せかけで実はエイラーニャ&ペリリーネだ。
- 126 名前:名無しさん:2010/08/12(木) 09:22:27 ID:vBmqCyHU
- エイペリ・エーニャのシーン思ったより短かったのは残念
メイン以外の定番カプもやはり安定してたな
もっミーナの夫婦っぷりもすごいしシャッキーニのイチャイチャもたまらなかった
- 127 名前:名無しさん:2010/08/12(木) 09:23:46 ID:N4hG0jBw
- >>125
なにそれ両方とも俺得
- 128 名前:名無しさん:2010/08/13(金) 00:56:02 ID:D0gqr3jk
- それより「おねえちゃんのにおいがする……」だろjk……
トゥル芳はジャスティス
ていうか6話全体的に神がかり杉
いよいよスタッフ本気出してきたな
- 129 名前:名無しさん:2010/08/13(金) 01:37:55 ID:aOTg8rgg
こんばんは、DXUGy60Mです。
まだ6話は視聴していないのですが、次の7話でもう折り返しかぁと考えていたら、
一期の7話を思い出しまして・・・ということで、短いものを2レス分程投下させて頂きます。
お目汚しです。
- 130 名前:スースーさせたのは誰?:2010/08/13(金) 01:40:19 ID:aOTg8rgg
映写機は光を吐き出すのを辞めた。
華やかな画面は、ただの白い布にへと戻っていく。
「どうだった?」
「どうも何も嫌な思い出しかない」
「やっぱそう?」
つい今しがたまで流れていた映像は、例の連続ズボン盗難事件ないしスースー事件の記録
フィルムである。この映像を見るために、席は二つ用意されていた。部屋は未だに暗い。
そのような中、右側の影は立ち上がる。
「私は結構楽しかったけどね」
その言葉に左の影は大きくため息をつくと「当たり前だろ」とげんなりした調子でつぶやいた。
「だいたい、事件の黒幕というか、騒動を引き起こした張本人じゃないか」
左の影は恐らく非難めいた視線をエーリカ・ハルトマンに投げ掛けた。
しかし、エーリカはそれを無視して壁の方向にへと進む。背中に当たる視線に全く気を止めない。
「でもさ、あの事件の原因って私かな」
エーリカの言葉を耳ざとく拾うと「はっ? 当たり前だろ?」影は何の迷いも無く、そうエーリカに投げ掛けた。
ただ、エーリカはその言葉に答えるわけでもなく、自分のペースで話を続ける。
「一番の原因はさぁ、私のズボンが無くなったからだよね」
「・・・まぁ、そうだな。でも、それだって自分の整理整頓が悪かったからだろ? あの
部屋じゃズボンの一枚や二枚が無くなっても不思議じゃない」
「確かにそうだけどさぁ、やっぱり変だよ。だってさ、何で無くなるの?」
「何で無くなるか? どういう意味だ?」影はエーリカの背中に質問をぶつける。
「私のズボンは私の寝ている間に無くなったんだよ。寝ている間にズボンを脱いだんだと
したら、ベッドの周りにあるのが普通でしょ」
「寝惚けたまま脱いで、寝惚けたままどっかに片付けたんじゃないのか? それで、朝起き
たら、しまった場所がわからなくなった。これなら辻褄があうだろ」
エーリカの自説を半ば遮るように、影は結論めいた言葉を述べた。しかしそれは、
「いくら、寝惚けてても、私が片付けなんかしないと思うんだ」と簡単に覆され、
そのバカバカしい根拠に部屋にはまた一つため息の音が流れた。
「で、結局何が言いたいんだ?」
「私も被害者なんだと思う」
「被害者ぁ? 何の・・・あぁ、ズボンを盗られたってことか。でもさ・・・誰に?」
「それはさ・・・」壁際に来たエーリカは、電灯のスイッチをひねった。
「エイラじゃない? 私はそう思ってる」
煌々と電灯に照らされたエイラは、椅子に座ったまま振り向いたエーリカの顔を何も言わずにじっと見つめていた。
- 131 名前:スースーさせたのは誰?:2010/08/13(金) 01:44:51 ID:aOTg8rgg
「どうして私が中尉のズボンを盗んだんだと思うんだ」
「一つは、いつまでも寝てたことだね」
エーリカは再び椅子に腰を下ろした。
「あの日、エイラだいぶ遅くまで寝てたでしょ。私のズボンを盗るのに、朝早くや夜遅く
に行動してたら、誰かに見られるかもしんない。だから、行動を起こすとしたらみんな
寝静まる2時や3時―」
「そんな時間まで起きてたら、寝てから起きる時間も人一倍遅いってことか」
「そゆこと」エーリカは覗き込むようにして、左にいるエイラに笑顔を向ける。
「でも、それだけで私が中尉のズボンを盗った証拠にされてもな〜」
エイラは、腕を後ろに組んで椅子を揺らす。
「動機もあるよ」エイラは半ば見下す形でエーリカの瞳を見つめる。
「どんな?」
「嫉妬だね」
「嫉妬?」
「うん、私がサーニャと仲良くしているから妬いたんでしょ。それで、腹いせに私のズボ
ンをこっそり忍び込んで持ち出した。で、事件の後にこっそり部屋に戻した。これが真相じゃない?」
「・・・真相も何も、全部中尉の憶測じゃないか。それに、もし本当に私が中尉のズボンを盗っ
た犯人だとしたら、中尉は私をどうしたいんだ?」
「別に何もしないよ。もう前のことだし、やり返してもエイラが喜ぶだけで意味ないし」
「お、おいっ、なんで私が中尉にズボン盗られて喜ばなきゃいけないんだよ」
「だって、どうせ代わりにサーニャのズボンを盗むんでしょ」
エーリカはあっけらかんとそうつぶやく。
「す、するわけないだろ! そんなこと!」
「どうかな〜」エーリカは狼狽するエイラの顔を見ながら、キシシシと笑いをもらす。
「あっ、そうだ。サーニャに言っておかないと、サーニャのズボンが無くなったら、犯人は間違いなくエイラだって」
「人の信用を落とすようなこと言うなよ!」
「ついでにエイラのズボンが無くなっても、自作自演だから同情する必要ないよって、むしろズボンを・・・」
「もういい!」エイラは頬を膨らましながら憮然として立ち上がる。
「サーニャに言っておかないと、中尉が私を貶めようとしてるって」
エイラはわざとらしくズカズカと足音を鳴らしながら、部屋を出ていった。
「ちょっと困ったな・・・サーニャにエイラの言ってることは本当か? って聞かれたらなんて答えよう・・・まぁ、なんとかなるか」
エーリカは気楽な顔のまま立ち上がり、出入口にへと近づいていく。
「サーニャはエイラのこと信用してるにエイラはサーニャのこと信用しないんだ、ぐらい
言っておいても良かったかな・・・それはちょっと意地悪過ぎるか」
そうつぶやきながら、電灯を消した。部屋は真相と共に闇に包まれた。
Fin
- 132 名前:名無しさん:2010/08/13(金) 06:22:22 ID:zPh6Phf6
- >>131
エーリカ×エイラなのかな?
ここに登場しない人物の方が想像出来るw GJ!
- 133 名前:名無しさん:2010/08/13(金) 13:42:20 ID:pd.UAd.M
- >>131
GJ!これは珍しいカプですね
- 134 名前:名無しさん:2010/08/15(日) 03:02:40 ID:jgSg9Dh2
- 6話を見たがやはりエイラーニャは別格だった
- 135 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/08/16(月) 00:19:40 ID:Ce.Fgblo
- こんばんは、mxTTnzhmでございます。
第6話の後の事を、エイラ視点で短く書いてみました。
ではどうぞ。
- 136 名前:critical:2010/08/16(月) 00:20:48 ID:Ce.Fgblo
- 超高高度攻撃任務の後、私は「軍規違反」と言う事で数日の飛行停止と自室待機を命じられた。
仕方ない、当初の計画を全部ひっくり返して独断専行しちゃったんだし。皆に迷惑も掛けた。
……だけど、それだけサーニャを守りたいって強い気持ちが有った。
だからこそ、しっかりシールドも張れて、サーニャを守れた。任務も遂行出来た。
何より、僅かに見た満天の星空、二人で見たオラーシャの大地……、そしてサーニャの笑顔が、たまらなく嬉しい。
「サーニャ?」
私は横で寝ているサーニャにそっと声を掛ける。
極限環境下で魔力を使い果たしたのか、疲れ切って寝ている。
まるで死んだ様に眠っている。
……まさか、と思い、控えめに掛けられていた毛布を少しずらす。
サーニャの顔、肌が見える。
私の頬を、彼女の頬に当てる。
彼女の頬は少し冷たく……でも、温かさは残っていて、感触から、少し前は汗をかいていたと分かる。
「サーニャ」
そっと目を開ける。ぼんやりとした目で私を見る。
「エイラ」
「サーニャ……大丈夫カ?」
「私は、大丈夫よ。エイラ」
「サーニャ、その、あの、ええっと……愛してル?」
「うん。エイラ」
こくりと頷き、微笑むサーニャ。
その言葉を聞きたくて、でもそれ以上は聞きたくなくて……そっと唇を重ねる。
「行こう?」
「何処へ?」
ゆっくり身体を起こしたサーニャに、パーカーを着せた。
私はエイラの手を取り、部屋の扉の前に立つ。
外に誰か居る気配は無い。
そして、誰かが来るであろう予感も無い。
だけど私もかなり魔力を消耗しているので、予知魔法が微妙な部分も有る。
慎重を期して、そっと扉を開ける。
誰も居ない。
サーニャの手を引き、部屋の外へ。
ふと、扉の脇に台車が置かれ、上にトレーが乗っている。
……サンドイッチとおにぎりが、それぞれ二人分置かれていた。
リーネと宮藤の仕業か。
二人でそれを手に、少しずつ食べながら、先を警戒しつつ進む。
別に、何処かへ逃亡しようと言う訳じゃない。外に出る為の理由だって有る。
ただ、今は誰にも見つかりたくない。
サーニャを連れ、私と一緒に階段を下りた。
向かうはサウナ。小さいけど、妖精が住む、私達の憩いの場。
私が食べきったサンドイッチ、サーニャが飲み込んだおにぎり。少しの糧になる。後で何か言っておこう。
私達は手を取り、誰の目にも触れる事なく、目指す場所へと向かう。
「エイラが行きたいなら、私、良いよ」
サーニャの呟きを聞いて、私は彼女を握る手に力が入った。
end
- 137 名前:名無しさん:2010/08/16(月) 00:21:02 ID:Ce.Fgblo
- 以上です。
某映画のラストを見ていて
何故かエイラ視点の話が浮かんできたと言う……。
謎ですが。
ではまた〜。
- 138 名前:名無しさん:2010/08/16(月) 01:40:00 ID:sBYgd8z.
- >>136
GJ!!やっぱエイラーニャはいいな
- 139 名前:名無しさん:2010/08/16(月) 03:39:32 ID:kWGbjxnY
- 6話見たときの涙腺崩壊率100%な自分きもい
ロケット2段目からサーニャを見つめるエイラの時点でもうきてしまう自分マジきもい
- 140 名前:名無しさん:2010/08/16(月) 13:25:35 ID:BajtCD9k
- だいぶ久しぶりに百合スレ行ったら過疎すぎワロタ
避難所が本スレになった感じか
- 141 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/08/16(月) 18:27:01 ID:NYnerZsA
- こんばんは、mxTTnzhmでございます。
6話放送直後(地域によっては直前)と言う事で
エイラーニャ祭り最高潮の今、あえて別カプを。
保管庫No.0450「ring」シリーズ続編となります。
ではどうぞ。
- 142 名前:fifty-fifty 01/04:2010/08/16(月) 18:27:45 ID:NYnerZsA
- ふと目を開けるトゥルーデ。窓の外が明るい。もうすぐ日の出か。
(そろそろ少佐は朝の訓練に出ているだろうな)
……と、霞が掛かった頭でぼんやり考える。
もぞもぞ、とトゥルーデの胸を這い、肩に回る腕を感じる。同じベッドで眠るエーリカのものだ。
普通ならここで「起きろハルトマン、朝だぞ」となるのだが、昨晩の行為の疲れが取れていないのか、
はたまたエーリカの肌が恋しいのか……何も言わず、そっと片方の腕でエーリカの身体を抱く。
ふわふわした髪。
ぷにぷにした肌。
控えめな胸。
少し小さめだが、艶っぽい唇。
うぅん、と小さく呻き、ぎゅっとしがみついてくる。
(抱き枕にされているみたいだ……)
無意識に抱きついてくるエーリカを優しく受けとめ、思う。
エーリカの温もり。
夜明け前の静けさ。
覚めない眠気。
トゥルーデは起こしかけた身体をもう一度ベッドに沈め、エーリカを抱いたまま、ゆっくりと目を閉じた。
「トゥルーデ、ちゃんと起こしてよね」
「すまん、つい」
二人背中合わせの格好で、いそいそと服を着る。
「いつもなら『カールスラント軍人たるもの〜』とか言ってるくせに」
「こ、こう言う日だって、有る」
口ごもりがちなトゥルーデ。エーリカはベッドの傍らに置かれた目覚まし時計に目をやった。
「目覚ましも鳴らなかったよ。どうして?」
「私がいつも鳴る前に起きているからな」
「だから止めてたって? トゥルーデらしくないなあ」
「だ、だって! 仕方ないじゃないか! ……あ、いや」
握り拳をもって何か訴えかけたトゥルーデだが、はっと正気に戻った素振りをみせ、制服に腕を通す。
「トゥルーデ、はっきり言いなよ」
先に着替え終えたエーリカが、トゥルーデの肩に腕を回し、顔を近付けて来た。
間近で聞こえ、顔をなぞる愛しのひとの吐息に負け、トゥルーデは白状した。
「お前が……抱きついてくるお前が、とっても気持ち良かったから」
「何それ。私、抱き枕?」
「それはこっちのセリフだ!」
「ふふ、でも良いよね。こうしてゆっくり睡眠を満喫出来るってさー」
「と、とりあえず、行くぞ」
わたわたと着替えを済ませたトゥルーデ。
エーリカは、ひとつ忘れ物だよ、と小声で言った。
振り向いたトゥルーデのほっぺたに、軽いキス。そのまま、唇を重ねる。
数秒の緩い口付けだったが、それでも二人の気持ちを伝え合うには十分。
「行こう、トゥルーデ」
「ああ」
エーリカに手を引かれ、二人は部屋を出た。
- 143 名前:fifty-fifty 02/04:2010/08/16(月) 18:28:20 ID:NYnerZsA
- 「珍しいな、バルクホルンが遅れて来るなんて」
驚きと呆れが混ざった顔を作るシャーリーを前に、トゥルーデはもそもそと朝食を食べた。そして言い訳をする。
「たまにはそう言う日も有って良いじゃないか。と、前にお前も言っていたよな?」
「それはそうだけど。……まあ、大体理由は分かるけどね」
何か言いかけたトゥルーデに手を振り、ニヤニヤ顔のシャーリーはルッキーニを連れて食堂から出て行った。
「そんなに、ヘンか? 私が……」
「トゥルーデ、早く食べないと」
横に座るエーリカは、早く早くとせかしながらも自分はマイペースで食事を取っている。
「このサンドイッチおいしい。リーネかな?」
「はい。喜んで貰えて、嬉しいです」
笑顔のリーネは、サンドイッチに添えられたスープを指して言った。
「こっちのお味噌汁は芳佳ちゃんですよ」
「まあ、味噌のスープは分かるよ。ミヤフジの定番だもんね」
「あ、ちょっと塩辛かったですかハルトマンさん? ごめんなさい」
「大丈夫、ちょうど良いよ。ね、トゥルーデ?」
「問題無い」
「美味しいって言いなよトゥルーデ」
「……う、うん。まあ、美味しいぞ、二人共」
「「ありがとうございます!」」
芳佳とリーネの声がハモる。
ブリタニアのサンドイッチと扶桑の味噌汁。一見奇妙な組み合わせだが、そうしたものが平然と出てくるのが
この501の食卓であり、またそれを自然に食べてこそ501の隊員である。
サンドイッチの最後の一切れを食べきると、トゥルーデは食器を片付けた。
「よし、食べ終えたぞ。宮藤にリーネ、遅れて済まなかったな。片付けが遅くなってしまって」
「大丈夫ですよ」
「お気になさらず」
笑顔のふたり。
「トゥルーデ、ちょっと待ってよ。もう少し〜」
「もうちょっと機敏にだな……」
「じゃあ、はい、あーん」
「え? え? ……あーん」
唐突にエーリカの残りのサンドイッチを食べさせられ、口をもぐもぐさせながら困惑するトゥルーデ。
「よっし、私の分も終わり〜。片付け宜しくね」
くすくす笑う芳佳とリーネに、エーリカはにかっと笑い返し、赤面したままのトゥルーデを連れて、食堂を出た。
- 144 名前:fifty-fifty 03/04:2010/08/16(月) 18:29:31 ID:NYnerZsA
- 「任務と訓練の後の風呂は、いつ入ってもいいものだな」
肩まで浸かり、うんうんと頷く美緒。横に居たミーナは苦笑する。
「もう、貴方ったら何かと言うとお風呂の事ばかり」
そんな二人の脇に、すすーっと入ってくる人影が。トゥルーデとエーリカである。
「あれ、お邪魔?」
エーリカが美緒とミーナに声を掛けるが、二人は笑って否定した。
「皆で同じ風呂で汗を流す。素敵な事じゃないか」
美緒はそう言って笑った。
「異文化交流だな」
トゥルーデがそう言って風呂に身を沈める。
「そうだな。この501には各国からウィッチが集まっているからな」
「……あれ、そう言えばペリーヌは?」
エーリカが気付いて辺りを見回す。
「さっきエイラとペリーヌが一緒にサウナの方に行った様だが……何か相談事か?」
「さあ」
「あ、サーにゃんだ」
めざとく見つけるエーリカ。風呂に隣接したサウナに入っていくサーニャを見つける。
直後、慌てて出てくるエイラとペリーヌ。エイラは踵を返してサウナに舞い戻ったが、残されたペリーヌはブツブツ言いながら風呂場にやって来る。身体を冷ます温めの湯を浴び、浴槽にちょこんと座る。
「どうしたペリーヌ。風呂よりサウナか?」
「い、いえ、そう言う訳では」
「まあ、何はともあれ皆仲良くだな。はっはっは!」
美緒はひとり笑った。
「わたくしは、どちらかと言えばサウナよりお風呂の方が……」
「そうか! じゃあ今度扶桑に来た時はまた温泉を手配しないとな!」
「まったく、扶桑の魔女って……」
いつもの、ちょっと騒がしくも気楽な入浴の風景。変わらない光景。
「楽しいね、トゥルーデ」
横でこそっと言われ、振り向くと、笑顔のエーリカの顔が間近に有った。
「ああ、気楽で良い」
「トゥルーデ、もっとのんびりしようよ〜」
「あんまりお前みたいにグダグダでも、軍人らし……ひぃやぁあっ!」
説教しかけたトゥルーデの胸を背後から鷲掴みにするエーリカ。
「お、ちょっと成長してる?」
「こっこら! やめんか!」
逃げようと湯の中をざばざばと駆け回るトゥルーデ、背後にぴったりついたままのエーリカ。
その場を目撃した一同は、揃って苦笑した。
- 145 名前:fifty-fifty 04/04:2010/08/16(月) 18:30:03 ID:NYnerZsA
- 「さて、今日こそ早めに寝るぞ」
「そうだね」
夜着に着替えた二人は、部屋の明かりを消すと、揃って同じベッドに寝転がる。
毛布をふぁさっと掛ける。
目を閉じる。
しかし、意識は混濁せず……密着してくるエーリカの身体、いつの間にかするりと握られている手の温もりを感じ、
むしろ覚醒し始める。
(いかん、これでは昨日と同じ事に……)
トゥルーデはあえてエーリカに背を向けようとしたが、ぐいと肩毎引っ張られた。
目を開けると、当然の如くエーリカの顔が間近に有る。
「エーリカ……」
「分かってるよ、トゥルーデ」
エーリカはそう言うと、トゥルーデをゆっくりと抱きしめ、そっとキスをしてくる。
(そうじゃないんだエーリカ! そう、じゃない……ん……)
繰り返されるキスを前に、理性がどんどん薄れ、情欲が強まる。
もう、止まらない。止められない。
トゥルーデは気付かぬまま、エーリカの首筋に吸い口を付け、もう一度濃いキスを交わす。
エーリカも負けじとトゥルーデの鎖骨から胸にかけて、唇を這わせる。
そしてお互いを味わった後、唇を重ねる。熱い吐息が絡み合う。
とろんとした瞳で、お互いを見る。
「今夜も良い夢見れれば良いね。でも」
エーリカは、魅惑的な、そして小悪魔の様な笑みを見せ、言葉を続けた。
「暫く寝かさないよ、トゥルーデ」
もう一度キスして、エーリカを抱きしめたトゥルーデはふっと笑う。
「それはこっちのセリフだ、エーリカ」
end
--
以上です。
ここんところ自分のSSでエイラーニャが続いたので、
あえてエーゲルを。
トゥルーデとエーリカ、ふたりの何気ない日常のいちゃいちゃを
書いてみたいなあと思った次第で。
ではまた〜。
- 146 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/08/16(月) 21:11:42 ID:NYnerZsA
- たびたびこんばんは、mxTTnzhmでございます。
ウィッチーズ2、4話のその後を想定して書いてみました。
例によって保管庫No.0450「ring」シリーズ続編になります。
ではどうぞ。
- 147 名前:red shoes 01/03:2010/08/16(月) 21:12:21 ID:NYnerZsA
- 「トゥルーデ、やめて!」
「駄目だ! 私が、この私にしか出来ない事なんだ! 退け!」
「誰か、誰かあっ!」
エーリカの悲痛な叫び声に驚いたのか、基地中の隊員達が駆け寄ってきた。
「どうしたんだよハルトマンにバルクホルン、何か雰囲気おかしいぞ」
「退け、リベリアン。私には……、私には、やるべき事があるんだ!」
「はあ? 何だよそれ」
「シャーリーも止めて! トゥルーデ、またあのジェット……」
「うるさい!」
突き飛ばされ、呻くエーリカ。
「おい何て事を! ってええ!? まさか、あのジェットストライカー有るのか? この前持ち帰ったんじゃ……おい待て!」
驚くシャーリー。そして全力で駆け出すトゥルーデを追う。
慌てて隊員が群がり、全員でトゥルーデを羽交い締めにし、止めようとする。
トゥルーデはお構いなしに魔力を発動させると、怪力で全員を振り払う。と言うよりなぎ払った。
壁や床にしたたかに打ち付けられ、うう、と呻く隊員達。
トゥルーデは振り返りもせず、そのままハンガーに駆け出す。
「ま、待て、堅物……いたた。あいつ、全力出しやがった」
「この前ので懲りたんじゃなかったのか、バルクホルンは」
「あの子、様子がおかしいわ。とにかく皆で止めましょう。全員、バルクホルン大尉の拘束を」
「りょ、了解」
閉ざされたハンガーの扉をいとも容易く開ける。そこには、トゥルーデが恋い焦がれた、赤に塗られたあの機体が確かに有った。
外見は、きちんと修復されている。
「やはり、これは私にこそ相応しい。私が、履く!」
制止する整備員を片っ端から突き飛ばすと、トゥルーデは格納装置に駆け上がり、ストライカーに足を通す。
一瞬、魔導エンジンが唸る。
が、すぐにそれは止まった。
「な、何故だ? 整備不良か? 私の魔力は万全の筈だ!」
焦り、ストライカーを見回す。外見は何処にも問題は無い。しかし、動かない。
間も無く、全身から何かを抜き取られる様に、トゥルーデはそのままは意識を失った。
ベッドに寝かしつけられたトゥルーデ。
ストライカーで飛行した訳でもないのに不思議と顔はやつれ、生気がない。
「おいおい、この堅物は一体全体どうしたって言うんだい?」
流石に不安になったのか、太ももの青アザをさすりながらミーナに聞くシャーリー。
先日、仮にもピンチを助けて貰った手前、同僚が気になる。
「私にも、訳が分からないのよ。一体どうしてこうなったのか」
投げられた時に打った腰をさすりつつ、ミーナはトゥルーデの顔色を見た。
頭にコブを作った美緒は医師から渡された診断書をぺらぺらとめくり、言った。
「医師の診断では……、前と同じく、今のバルクホルンには魔法力が残っていないそうだ」
「えっ、じゃあ……」
「やっぱりあのジェットストライカーが?」
「また暫くは飛行停止、自室待機……と言うより隊員全員にこの狼藉だ。暫く謹慎させた方が良いな」
診断書をミーナに渡し、やれやれと言った表情を作る美緒。
「……とりあえず」
トゥルーデを囲む隊員達に、ミーナは言った。
「バルクホルン大尉を、状態が改善するまで全員交代で監視します。また変な行動に走らない様に」
その後、トゥルーデは眠り続けた。誰が見張りに立っても、何時間経っても、身動きひとつしないまま。
見張りはエーリカの番になった。
ただただ眠るトゥルーデを見、つまらなそうに頬杖をついた。
時が流れる。恐ろしい程の静けさ。
額にそっと手をやる。ぞっとする程冷たい。
「トゥルーデ……」
どうしてこんな事に。エーリカはトゥルーデの傍らで、手を組むと額を付け、はあ、と溜め息を付いた。
「姉様。こんな所に」
エーリカは妹の声を聞き、振り返った。
「ウーシュ。来てたんだ」
「はい。ジェットストライカーの件で……」
「あのジェットストライカー、早く持って帰ってよ。トゥルーデがあれ来たって聞いた途端に暴れ出して……」
「既に話は伺ってます。あと、トゥルーデ姉様の症状と状態も」
ウルスラは手にした書類に目を通した後、頷いた。
「やっぱり、私の推測した通りですね」
ウルスラの言動を訝しんだエーリカは立ち上がると、ずいと近付いた。そして顔を近付け、ゆっくりと言った。
「ウーシュ。何を知ってるの? まさかトゥルーデに……」
- 148 名前:red shoes 02/03:2010/08/16(月) 21:12:49 ID:NYnerZsA
- 「姉様。姉様は……」
言葉を遮られ、焦るエーリカ。
「いきなり何、ウーシュ?」
「『赤い靴』の童話を知っていますか」
ウルスラは自分の足元を指差し、軽くぽんっと、慣れないステップを踏んで見せた。そして言葉を続けた。
「とある少女が、赤い靴を履いてダンスパーティーに行くのです。だけど靴が、勝手に踊り出して、止まらなくなる……」
ウルスラはぎこちないステップを幾つか踏み続けると唐突に動きを止め、エーリカに語りかけた。
「あのジェットストライカーも同じです。全ての魔法力を吸い尽くすまで、飛び続ける……」
「一体、どう言う事?」
「この前の再現です。今回は原因究明の為、魔導エンジン起動後のプロセスを一部省略して、飛行出来ない様に細工してあります」
「ウーシュ」
「そして、トゥルーデ姉様は何故か再び吸い寄せられる様に履いて、恐ろしい勢いで魔法力を吸い取られ、昏倒した」
エーリカはウルスラに顔を近付け、睨んだ。
「ウーシュ、許さないよ。私の大切なトゥルーデで……」
「話を聞いて下さい、姉様。何もトゥルーデ姉様で実験しようとか考えていませんから」
「でもこれじゃまるで……」
「私も、トゥルーデ姉様をこれ以上苦しめたくない。原因はあらかた特定出来ています。ご心配無く」
ウルスラはエーリカの手を引き、トゥルーデの枕元に立った。
「このままだと、トゥルーデ姉様はジェットストライカーの“魔力”に魅入られ、眠りから覚めません」
「え?」
「だから、姉様が、少しの魔力を込めて、トゥルーデ姉様を起こしてあげて下さい。お互い愛し合ってる姉様にしか、出来ない事です」
「どうやって?」
「こう、手を握って」
ウルスラはエーリカの手を取ると、だらりと垂れるトゥルーデの手を取り、指を絡ませる。
控えめに輝く指輪が微かに擦れる。
「それで、目覚めのキスを……」
「ちょっとウーシュ。今度は『眠り姫』ってオチ?」
「そうとも言います」
「あのねえ」
「効果は期待出来ます。と言うかこれしか有りませんから」
真顔で言われ、エーリカは頷いた。
「わかった」
トゥルーデに顔を近付ける。ふと、背後の視線が気になって振り返る。
「ウーシュ、何見てんの」
「あっち向いてます?」
「頼むよ……」
呆れ気味のエーリカは、気を取り直し、もう一度真顔でトゥルーデに向かった。
(お願い、トゥルーデ。元のトゥルーデに……)
ゆっくりと、唇を重ねる。柔らかな感触が、エーリカの温もりと、僅かな魔力を伝える。
冷たかったトゥルーデの唇が、そして指輪が熱くなる。そんな錯覚に陥った。いや、唇も身体も手も、体温は上昇している。
不意に手をぎゅっと握られ、びっくりする。
トゥルーデは目を開けぬまま、無意識か、そのままエーリカを求めてきた。
「ん……」
「んむっ……んんっ……」
暫く、お互いの感触を確かめ、味わう。
やがて、トゥルーデは目覚めた。
「エーリカ、か」
「トゥルーデ、おはよう。どう、調子は」
「悪くない。……嫌な夢でも見ていた気分だ」
そのままもう一度キスを求めるトゥルーデ。軽く唇を重ねた後、エーリカは聞いた。
「何か、変な気持ちとか無い? その、ジェットストライカーとか、思い当たる事とか」
トゥルーデは苦笑いして答えた。
「あれはもうたくさんだ。魔力を吸い取られるからな」
「じゃあ、私を突き飛ばした事とか、隊の皆をぶん投げた事とかは記憶にあるの?」
「それは……、その。とにかく、エーリカ。お前に助けて貰った気がするよ」
「気がするじゃなくて、したんだけどね」
「すまない。出来れば、もう一度キスを……」
「良かった。トゥルーデ姉様、私の推論通り、お目覚めになりましたね」
「ウ……ウーシュも居たのか」
「はい」
それまでウルスラに気付かなかったトゥルーデは、直前にエーリカと行っていた行為を思い出し、顔を真っ赤にした。
エーリカも、ウルスラも、笑った。
- 149 名前:red shoes 03/03:2010/08/16(月) 21:13:13 ID:NYnerZsA
- 「結局、あのジェットストライカーは何だったんだい?」
シャーリーは呆れ気味に、厳重に梱包され輸送機に積まれる「魔物」を顎で指し、呟いた。
「さあな。帰ってもう一度確認するそうだ。本格的な試験飛行は、問題が解決してからだな」
美緒が腕組みして見送る。
「何はともあれ、トゥルーデも元に戻って良かったわ。まあ、色々やってくれたけど……」
呆れ気味のミーナ。
「まあ暫く、バルクホルンは自室禁固だし……、そもそもあいつに魔法力が戻るまで、暫く待つしかないな」
トゥルーデに“投げられた”隊員達は、それを聞いて、誰とも無しに溜め息をついた。
そんなトゥルーデの部屋(エーリカとの相部屋)では、ベッドの上で、トゥルーデとエーリカが盛んにキスを交わしていた。
「ん……もっと……エーリカ、お願いだから」
「トゥルーデ……昨日からキスばっかり」
「もっと、もっとしたいんだ」
「小っちゃな子供じゃないんだから」
「頼む……」
「そんな目で見ないで。ほら、トゥルーデ」
まるでキス魔だね、とぼやきながらも、悪い気はしないエーリカ。
無邪気にじゃれついてくるトゥルーデの手を取り、もう一度口吻を交わした。
end
--
以上です。
「赤い靴」にまつわるネタ(解釈)は
ストライクウィッチーズ(アニメ)まとめwikiから頂きました。
勝手に頂いてしまってすいません。その点は陳謝。
でも、本当に「赤い靴」だとしたら恐ろしいですね。
しかし本編で、もしお姉ちゃんでなくシャーリーが履いていたら……
と思うとゾッとしますね。きっと暴走したでしょうし。
でも、ルッキーニ辺りがなんとかしてしまう気もしないではないですがw
ではまた〜。
- 150 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/08/16(月) 22:25:48 ID:NYnerZsA
- 三度こんばんは、mxTTnzhmでございます。
>>147-149「red shoes」の続きを書いてみました。
例によって保管庫No.0450「ring」シリーズ続編になります。
ではどうぞ。
- 151 名前:double joker 01/02:2010/08/16(月) 22:26:14 ID:NYnerZsA
- 芋料理だらけの食卓を囲み、テーブルに頬杖をつく大尉ふたり。
気怠そうに料理を口に運ぶ。
「そんでさあ、バルクホルン」
「何だシャーリー」
珍しく名前で呼び合う二人。
「ジェットストライカーってのはそんなに良いモノなんかね」
「当然だ。あれは素晴らしい機体だ。量産された暁には、戦局を一変出来る筈だ。
お前もその目で見ただろう。めくるめくスピード、そして圧倒的な破壊力」
「で、あんたが意識失って魔法力をカラにするまで飛んでって、あたしが音速を超えて拾い上げる、と」
「……またその話か」
シャーリーの言葉は聞き飽きたと言いたげに、肉じゃがを食べるトゥルーデ。
「まあつまり、隊の中ではレシプロなあたしが最速って解釈で良いんだよな?」
「結局はそこにこだわるんだなリベリアンは。お前こそスピードに取り憑かれてるぞ」
シャーリーは手近にあったフライドポテトをつまんで、トゥルーデを指した。
「だってあたしが拾わなかったら、あんた死んでたかも知れないんだぞ?」
「そ、それは……元々、お前が苦戦してるから、私が出向いたまでだ」
「わざわざ、禁止されてたジェットストライカーで?」
「あの時お前を助けるにはあれしか無かったと、何度言わせれば……」
シャーリーはその言葉を聞くと、にやりと笑った。
「あたしを助ける、ねえ。堅物からそんな言葉が出てくるとはね。悪い気はしないね」
「お前……」
「勿論感謝はしてるさ。ジェットストライカーが壊れたのは残念だけど、結果オーライってね。
でも、あたしも履いてみたかったなあ……」
「本国に持って帰ったからな。もう無いぞ」
「バルクホルン、そこを何とか頼めないか?」
「開発途中のモノを他国のウィッチに使わせるなどとんでもない! 仮にまた危険な事故でも起きたらどうする」
「事故って、……あんたの時みたいにウィッチの魔法力を吸い尽くすとか」
「それも有る。他にも機体の爆発とかだな……、それこそ我がカールスラントのこ……」
「ま、要するにあたしを心配してくれてるって解釈で良いんだよな?」
ニヤニヤするシャーリー。うんざりした表情のトゥルーデ。
「何が言いたいんだ、リベリアンは」
「そういう事」
「どう言う事だ」
「まあ、あの時ルッキーニがあたしを止めてなかったら、どうなってたんだろうって考えた事は有るね」
「……ふむ」
「そうしたら、隊で一番速いあたしが更に速くなったら、もう誰も止められない訳だろ?」
「理論的にはそうだな」
「だから結果としてはあれで良かったと思う事にしてるんだ。……まだ、レシプロでやり残した事も有るしな」
シャーリーは寂しそうに呟くと、ポテトサラダを一口食べる。
「なんだその顔は。お前の言う通り、ルッキーニが異変を感じてお前を引き留めたからこう言う結果になった。
ルッキーニをもう少し評価してやっても良いんじゃないか?」
「堅物らしくないね、その言い方」
ぼんやりとフォークをくわえて上を見るシャーリー。
「ともかく、私は体力を一刻も早く回復せねばな」
サクっと揚がったコロッケを食べるトゥルーデ。
しばしの沈黙。
だがシャーリーはポテトシチューを一口飲むと、スプーンを持ったままトゥルーデに言った。
「でも、あの日の後、夜な夜なハルトマンといちゃついてるって話聞いたぞ」
「そっそれは」
「そんなコトしてて、体力戻るのかね?」
「きっ貴様、いやらしい顔をしおって! 私は何も……」
- 152 名前:double joker 02/02:2010/08/16(月) 22:27:21 ID:NYnerZsA
- 「はいはーい、そこまでー」
「まーたケンカ?」
エーリカとルッキーニがやって来た。二人が食べかけた料理をさっと横取りし、揃って口に運ぶ。
「ケンカじゃないよ、議論だ議論」
あっけらかんと答えるシャーリーに、トゥルーデはフォークを握りしめ唸った。
「ああ言えばこう言う……」
「もう良いじゃんトゥルーデ。さ、ちゃんと食べないとね」
エーリカはトゥルーデのフォークを持つと、コロッケを一切れ、トゥルーデの目の前に差し出した。
「な、なんだ」
「はい、あーん」
「おい、わざわざ目の前で……うん、まあ、うまい」
否応なく食べさせられ、赤面するトゥルーデ。
「流石ここまで来ると何も言えないねえ、ルッキーニ」
シャーリーの膝の上に飛び乗ったルッキーニは、シャーリーの方を向いて笑った。
「ねえねえ、あたしにもあーんして、シャーリー」
「はい、あーん」
「あーん……うん、おいしい! これ誰作ったの? リーネ? 芳佳?」
「二人だ。わざわざ作ってくれたんだ」
「まあ、あんだけ芋があればね」
エーリカもフライドポテトを頬張って、笑顔で答えた。
「色々な芋料理が堪能出来るのは、良い事だよな」
頷くシャーリー。
「じゃあ、そろそろこれ連れて帰るから」
エーリカは有無を言わせずトゥルーデを引っ張ると、食堂を出、ずるずると部屋につれて戻った。
「ちゃんと元気にするんだぞー」
シャーリーの声に、何か言っているトゥルーデ、手を振り笑うエーリカ。やがて姿は見えなくなった。
ルッキーニはシャーリーの顔を見上げた。
「ねえ、シャーリー」
「どうした、ルッキーニ?」
「あたし思うんだ。そのうち、もっとすごーいストライカーが出てくるんじゃないかって。だからシャーリーもね」
「分かってるって。カールスラントのアレだけがジェットストライカーって訳じゃないだろうし……
まあ、そのうちリベリオンで作るとしても、その時あたしが現役で居られるかどうかは分からないけどね」
「シャーリー……」
「大丈夫だって。今回の一番のお手柄はルッキーニ、お前だぞ?」
「ほえ? なんであたし?」
ふっと、シャーリーは笑った。
「分かって無くて、いいのさ」
シャーリーはルッキーニをきゅっと抱きしめた。
ルッキーニは訳が分からない顔をしていたが、シャーリーの温かさを感じ、弾ける笑顔を見せた。
end
--
以上です。
シャーゲルなのかエーゲルなのかシャッキーニなのか
判然としませんが、まあ適当に。
お互い口ではああだこうだ言ってても
ちゃんと信頼し合ってるなあってのが
TVシリーズでは伝わってきますね。流石です。
ではまた〜。
- 153 名前:名無しさん:2010/08/17(火) 03:23:17 ID:l8QnbuLc
- 6話のベットとかクローゼットの感じからしてエイラーニャは同じ部屋なんだな
- 154 名前:名無しさん:2010/08/17(火) 06:32:02 ID:x94yjVEA
- エーゲル、エイラーニャは相部屋(二人部屋)
あと何話か忘れたが宮藤が2段ベッドで寝てた気がする
一応階級順で良い部屋使ってる?
ペリーヌ、リーネ、宮藤で3人部屋の可能性もあるな
- 155 名前:名無しさん:2010/08/17(火) 08:57:06 ID:IDkaFBuY
- エヴァにも興味ある方は、リツコとマヤの第弐発令所にも参加お願いします。
職人さんもお待ちしてます。
↑管理人さん、宣伝まずかったら削除して下さい。
- 156 名前:名無しさん:2010/08/17(火) 14:06:06 ID:2n63NlYA
- 2段ベッドでエイラが下とか、これって
夜間哨戒で疲れきったサーニャ→上にのぼるのが面倒でエイラのベッドへのコンボだよね。
- 157 名前:瞬間移動下着:2010/08/17(火) 23:54:08 ID:9UsBtwQ.
- >>130のSSを読んでたらこんな電波を受信しました。
前半サーニャ視点、後半エーリカ視点で2レスです。
「……スースーする……」
ぽつりつぶやく。
それもそのはず、ズボンがない。
ストッキングの方ではなく、その下に履く白い方が。
それがどうしてかは今は置いておいて、とにかくなくなったズボンを探さなくては――
わたしは自分の部屋をこっそり抜け出、ズボン探しを開始した。
服の裾を下に引っ張って、けしてひるがえらないように注意して歩く。
もし万が一にも突風が吹こうものなら、現在何物にも覆われていない局所部は、まず間違いなくあぶない。
見える。確実に。その……恥ずかしい部分が。
いくら基地の中とはいっても、そうなってしまってはもう生きていけない。
廊下の壁に背中を向けてよたよた横歩き。
「うう……」
どうしてこんなことになってしまったのだろう?
情けない。なんだか泣きたくなってくる。
人間というのがたった1枚の布切れの有無で、こうも無防備になれるだなんて。
――と。
「どうかしたのカ、サーニャ?」
「エイラ」
ちょうどよかった。まだ部屋を出て少しもしていないところにエイラがいて。
「どうしたんダ? 具合でも悪いのカ?」
「そういうわけじゃないけど……エイラの部屋におじゃましていい?」
「? アア、別にかまわないけど……」
エイラはうなずくと、部屋のドアを開けてわたしを招き入れた。
わたしはその中へといそいそ退避。そっと胸を撫でおろした。
「それで、どうしたんダ?」
心配そうにわたしの顔を覗きこんで、エイラは訊ねてくる。
わたしはそれに簡潔に答えた。
「ないの」
「?」
「ズボンがないの」
「ンナッ……!?」
声をあげるエイラ。視線をうつむけ、わたしの下半身をまじまじと見てくる。
その顔はみるみる真っ赤に染まっていく。
「ナイって、その……ナイのカ?」
うん、とうなずく。
「つまり、履いてないってことカ!?」
うん、ともう一度。
服の裾をたくしあげれば信じてもらえるだろうか。
もちろんわたしがそうすることも、エイラの口からそう言ってくることもないけれど。
「エイラ、その……エイラのズボンを」
貸してくれない?
わたしがそう言い終わるより前に、エイラは自分の腰回りへと手を伸ばしていた。
でも、なにか思い止まったように体を硬直させると、今度はくるりときびすを返した。
エイラはチェストの引き出しを開け、替えのズボンを取り出そうとしているのだとわかった。
けれど、
「アレ――?」
エイラは首をかしげる。
おそらくそこにあるはずであるズボンが、やはり消えていたのだ。
「アアッ……サーニャァ、ゴメンナ……」
半分涙目にエイラはテンパっている。
そんなつもりじゃなかったのに。なんだかわたしの方が悪い気がしてくる。
「エイラ……」
「そ、そうダ! ちょっと待っててクレ」
エイラは言うと、手を腰に体を折り曲げ、そうして自分の履いていたズボンを、一気に下へずりおろした。
――あった。
エイラはズボンを脱ごうとした。
けれど、エイラはもう1枚ズボンを履いていて。
見間違えるはずもない。だってそれは、わたしがずっと探していたもの。
そこにあったのは、わたしのズボンだった。
- 158 名前:瞬間移動下着:2010/08/17(火) 23:55:22 ID:9UsBtwQ.
- 「――ということがあったんです」
サーにゃんはすべてを話し終えたように、そう締めくくった。
いいや、それが本当に“すべて”だったのかな。
ま、不思議なこともあるもんだよねー。ズボンがさながら瞬間移動したみたいにさ。
「それで犯人はエイラだったってわけ?」
私は問いかけた。
サーにゃんの話だけを聞けば、そう結論をくだすのもトーゼンすぎるほどトーゼンだけど。
――けど、本当にそうなのかな?
なにも言わずに小首をかしげるサーにゃんに、かまわず私は話を続けた。
「だっておかしくない? 本当にエイラが犯人なら、行動が不可解すぎでしょ。
反対にサーにゃんは、最初からなんだか落ち着きすぎていた。自分のズボンがなくなってるのにだよ」
「なにを言っているんですか、ハルトマンさん?」
「たとえば――あくまでこれは仮定だけど――こんなふうに考えられない?
エイラの部屋はいつも鍵はかけられていない。
だって部屋に鍵をかけてたら、サーにゃんが間違って入ってこれないもんね。
つまり、入ろうと思えばいつでも入りこめるわけだ。
犯人はサーにゃんのズボンをこっそりエイラのズボンに忍ばせておく。
この時、エイラのズボンにすっかり被さるように、サーにゃんのズボンを内側にして。
エイラのズボンはサーにゃんよりもずっと大きいし、これならパッと見で気づくこともない。
そうしてエイラがズボンを履こうとすると、なんと一緒にサーにゃんのズボンも履けちゃうってわけ。
とすると、それが出来るのは、エイラが朝起きてズボンを履き替えるより前。
犯人はエイラの部屋に侵入して、ズボンを仕掛け、あとエイラの替えのズボンもこの時持ち去った。
でもそれじゃあおかしなことになるよね――サーにゃんのズボンは一体いつなくなったんだろうね?
ずいぶん前のことのはずなのに、なぜだかサーにゃんはズボンがなくなったことに気づかなかった。
なくなったのは朝方、あるいは前の日かもしれないのに」
「そんなはずないじゃないですか。だってわたしには夜間哨戒が――」
「『空では誰も見ていない』ってね。坂本少佐の言葉だよ」
言うと、サーにゃんはすっかり押し黙ってしまった。
「チッチッチッ。簡単な推理だよ、サーニャ君」
人差し指を立てながら、したり顔で私は言った。
「ハルトマンさん」
「ん? なに?」
「いくらなんでも履く時に二重になってるのに気づかないなんて無理がありませんか?
たとえその時には気づかなくても、履いていれば気づくはずです」
「え、そう?」
「はい。ハルトマンさんならともかく普通は」
さらっと失礼なこと言ってない? いいけど。
私はお手上げのポーズをとって立ちあがった。
「ま、真相なんてわかりっこないけどね」
それを言ったらおしまいよ。
たった1つの答えなんて導き出せるもんじゃなし、だから謎って面白い。
真相は闇へ、世界はまた暗転する。
以上です。よくわからない話をすいません。
一足お先にサーニャ(と芳佳)誕生日おめでとう!OsqVefuYでした。
- 159 名前:名無しさん:2010/08/18(水) 00:08:21 ID:Aonoekjc
- GJ&お帰りなさい!
はいてないサーニャエロいよサーニャ
- 160 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/08/18(水) 00:25:27 ID:hSIO1lBc
- >>158 OsqVefuY様
お久しぶりですGJ! サーニャ×エーリカ良いですね。
エーリカの無茶な推理ちょっと笑ったw
こんばんは、mxTTnzhmでございます。
今日は何の日〜と言う事で、一本書いてみました。
ではどうぞ。
- 161 名前:lily-white:2010/08/18(水) 00:26:09 ID:hSIO1lBc
- 賑やかなふたりの誕生パーティーが終わり、隊員達はそれぞれの部屋へと戻った。
主役のひとりの芳佳は、リーネと一緒にいそいそと(会場となった)食堂から退室した。
もう一人の主役、サーニャはと言うと……エイラが居なくなっている事に気付く。
さっきまで居た筈なのに、姿が無い。
辺りを探し、他の隊員にも聞いてみたが、はっきりした答えは無かった。
一人サウナに入り、汗を出し切ったところで、近くの川で水浴びをする。
川面にふわふわと浮いているサーニャ。
すると、不意に手を掴まれた。
びっくりして川面から立ち上がる。
エイラだった。
「ゴメンナ、サーニャ。遅くなった」
サーニャは突然居なくなった事、また再びいきなり現れた事に少し腹を立てた。
「何処行ってたの、エイラ」
「よ、用意してたンダ。これ……」
エイラが差し出したもの。
よれよれの包装紙にくるまれた、花束。
恐らくは、余りこう言う事は器用でないエイラが、頑張ってチャレンジしたと思しき跡が見られる。
包まれていたのは、そこら辺の野原に生えていそうな、名も無き可憐な赤い花、小さく可愛いブルーの花……、
そしてこれだけは何処かで買ってきた様な、立派な白いユリ。
「サーニャ、今日誕生日ダロ? だからせめて花をって思っテ」
「それで、居なかったの?」
「ごゴメン。花は、イヤだったカ?」
「エイラ」
サーニャはエイラの手を見た。月明かりで微かにしか見えないが、それでも、エイラの奮闘の跡が
指のあちこちに付いた小さな傷から見て取れた。
「ホントは、パーティーの最後に渡すつもりだったンダ。でも……」
「でも?」
「自分で包むのも全部やるって頑張ってたら、時間が……ゴメンナ」
「エイラの、ばか」
言葉とは裏腹に、そっとエイラの手を握るサーニャ。
「気持ちだけでも、嬉しい。ねえ、飾ろう? 二人で」
「アア」
サーニャはエイラの手を引き、川面を離れた。
改めて、部屋に花を生ける。
「エイラ、このお花、何処で?」
「ち、近くの街で買ってきたモノも有るケド、大体はこの近くにある花を見つけて……その」
「エイラったら」
窓から差し込む月明かりが、生けた花を幻想的に、白く浮かび立たせる。
「この、ユリの花ダケド」
「うん。素敵」
「この色のユリ、この辺りじゃ今の時期滅多に咲いてないらしくて……探し回っタ」
「何してるの、エイラ」
サーニャは笑った。
「だっテ、サーニャに喜んで貰いたくテ……」
「みんなにお祝いして貰っただけでも、私は嬉しい。エイラにも」
「う、ウン」
「そして何よりも、エイラがそれだけ私の事を想ってくれているって……」
そっとエイラの手を取る。傷だらけの手を、頬に当てる。
「でも、こんなに傷付かなくても、良いのに。私達で、分かち合っても良かったのに」
そう呟いたサーニャの瞳から、涙が一筋零れた。
「サーニャ……、ゴメンナ。私……」
「私の一番大事なエイラだから、傷付いて欲しくない」
「ゴメン、サーニャ。また、私のせいでサーニャが泣い……」
「これは、嬉し涙」
サーニャは気丈に笑ってみせた。その表情に耐えきれず、エイラはサーニャをぎゅっと抱きしめた。
サーニャも、そっとエイラの腰に腕を回す。
「エイラ、ありがとう」
「サーニャ、ゴメンナ。そして、改めて、誕生日おめでとナ」
「ありがとう……」
ねえ、とサーニャはエイラの服の裾を引っ張った。エイラはぎこちなく、サーニャにキスをした。
もう一度、今度はサーニャからエイラに、濃いキスをお返し。
二人お揃いのパーカーを着、肩を寄せ合い、月明かりに映える花を愛でる。
「綺麗」
「アァ」
「見て、エイラ。白いユリが、月明かりでもっと白く見える」
「不思議ダナ」
「ねえ、明日、二人で花を探しに行かない?」
「エ? 少なかっタ?」
「二人で、色々、しよう?」
その意味をようやく察したエイラは、顔を真っ赤にして、こくりと頷いた。
純なエイラの姿を見たサーニャは、エイラの頬に手を伸ばし、そっとキスをする。
月は柔らかな輝きを増し、花と、二人を淡く照らす。二人の気持ちを高める、不思議な光り。
もう一度、ふたりは口吻を交わした。見ているのは月と花だけ。
end
- 162 名前:名無しさん:2010/08/18(水) 00:26:46 ID:hSIO1lBc
- 以上です。
本当は芳佳も一緒にお祝いしてあげたかったけど、
6話のインパクトが強過ぎです!
と言う事でストレートにエイラーニャを。
芳佳とサーニャ誕生日おめでとー!
ではまた〜。
- 163 名前:名無しさん:2010/08/18(水) 02:19:38 ID:1jP89K0E
- >>162
SSがポンポン出てくるその凄さに脱帽です!
超GJ!!
- 164 名前:名無しさん:2010/08/18(水) 09:47:32 ID:YO2wLox.
- >>161
GJ!今日もこれで生きていける・・・
- 165 名前:名無しさん:2010/08/18(水) 11:04:08 ID:S.4jCSro
- コミケ前一週間くらいの分からまとめて読んだ〜。
みんなGJ!
芳佳とサーニャ誕生日おめでと〜!
- 166 名前:5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2010/08/18(水) 23:47:26 ID:Aonoekjc
- >>162
GJです、これはいいエイラーニャ。
ご馳走様です。
こんばんは、今日は芳佳とサーニャの誕生日ということで捻りもなく
エイラーニャと芳リネで一本。
ではどうぞ。
- 167 名前:Dolls 1/2:2010/08/18(水) 23:48:49 ID:Aonoekjc
「おい、リーネ」
「は、はい! 何ですか?」
「……なんでお前は、私が声をかけたらおっぱいを防御するんだ?」
「ごめんなさい、エイラさんの声を聞いたら腕が勝手に……」
私は餌に飢えてる猛獣かよ。
まぁ、リーネのおっぱいを触りたくないって言えば嘘になるけど……って、今日は
そんなことをお願いするために声をかけたわけじゃないんだな。
「あのさ、今時間あるか? ちょっと用があるんだけど」
「へ!? ま、まさかわ、私の胸を……」
「だから違うって。大事な話をしたいんだな」
「大事な話……ですか?」
「ああ。ここじゃまずいから……そうだな、ハルトマン達の部屋で話をしよう」
この時間ならハルトマンはまだ寝てるだろうし、バルクホルン大尉はさっき坂本少佐と訓練に
出かけたからな。
内緒話をするなら絶好の場所というわけだ。
「邪魔するぞー」
「お邪魔しまーす……」
「んー、むにゃむにゃ……」
私たちがハルトマン達の部屋を訪れると、
案の定、そこには寝息を立ててぐっすりと眠っているハルトマンの姿があった。
……よくこんな汚い部屋で寝れるな、こいつ。
「それで、話って何ですか?」
リーネがハルトマンを起こさないように小声で私に尋ねてくる。
「その、だな……もうすぐサーニャと宮藤の誕生日だろ? それでさ、リーネはもう宮藤への
誕生日プレゼントとか決めてんのかなーって思ってさ」
そう、今日は8月11日。
サーニャと宮藤の誕生日まであと1週間だというのに、
私はサーニャへの誕生日プレゼントをまだ決めていなかった。
そこで、リーネが宮藤に何をプレゼントするのか参考程度に聞こうと思ったんだけど……
「えっとですね、実はまだ決めてないんです」
「え? リーネも宮藤へのプレゼント、決めてないのか?」
「はい、芳佳ちゃんが何を欲しいのか分からなくて……」
「宮藤本人には聞いてないのか?」
「えっと、聞こうと思ったんですけど、いつも聞くタイミング逃しちゃって……」
おいおい、しっかりしろよな……って、私が言えたクチじゃないか。
「う〜ん、サーニャに何をプレゼントしたらいいんだろう?」
私たちがしばらく悩んでいると、いつの間にか目を覚ましたハルトマンが不意に一言。
「ねぇ、手作りの人形をプレゼントするってのはどう?」
「へ? 人形?」
「うん。ほら、宮藤もサーニャもそういうの結構好きじゃん」
確かに、サーニャはぬいぐるみとか人形といった類のものが大好きだ。
そう言えば宮藤も穴拭智子中尉の扶桑人形を気に入ってたっけ。
「でも、何で手作りなんだ? 人形ならお店で買えばいいんじゃないか?」
「分かってないなぁ、エイラは。大切な人に、心を込めて作ったものをプレゼントすることに
意味があるんだよ」
「なるほど、確かにそれは言えてるかもな。でも、私ほとんど編み物なんてやったことないから、
上手く作れる自信がないぞ」
「それなら大丈夫。ね、リーネ?」
「はい! エイラさん、私も手伝いますから一緒に頑張りましょう!」
リーネが私の手をとって、微笑みかけてくる。
おお、なんだか頼もしいな。
「よし、一丁やってみるか」
こうしてサーニャへの誕生日プレゼントは手作りの人形に決まった。
サーニャ、私頑張るからな。
- 168 名前:Dolls 2/2:2010/08/18(水) 23:49:24 ID:Aonoekjc
――それから3日後……
「おっ、リーネの作ってるのはワンちゃんだね。可愛い〜」
「はい、芳佳ちゃんの使い魔の豆柴です」
ハルトマンとバルクホルン大尉が、私たちの編み物を興味津々に覗きこんできた。
(サーニャと宮藤に見つからないように、私たちはハルトマン達の部屋を借りて、
人形を編んでいた。)
「エイラの編んでいるのは何だ? クラゲか?」
「いや〜トゥルーデ、イカじゃないかなこれは」
私の制作途中の人形を見ながらニヤつくハルトマン達。
……お前ら、好き勝手言いやがって。
「これはサウナの妖精なんだぞ、馬鹿にすんな〜!」
「「サウナの妖精?」」
「ああ。私が小さい頃にサウナで見たんだ。私たちがサウナで温まれるのも
このサウナの妖精がいるからなんだぞ」
「へぇ〜」
「あ、その目は信じてないな? いいか? サウナの妖精は本当にいるんだからな」
私は詰め寄りながらハルトマン達を睨みつける。
って、何をムキになってるんだ私は。
サーニャとサウナの妖精のことになると、熱くなっちゃうのは私の悪い癖だな。
「……えっと、その、ごめん。ついムキになっちゃって」
「いや、私たちもからかったりして悪かった。エーリカ、シャワーでも浴びに行かないか?」
「うん、そうだね。2人の邪魔しちゃ悪いし……じゃ、エイラ、リーネ、編み物頑張ってね」
そう言ってハルトマンとバルクホルン大尉は、部屋を後にした。
元々ここはハルトマン達の部屋なのに、なんだか申し訳ないな。
「なぁ、リーネ」
「なんですか?」
「サーニャ、この人形気に入ってくれるかな」
「大丈夫ですよ。エイラさんがサーニャさんのことを想って作った人形なら、
絶対サーニャさんも喜んでくれますよ」
「……リーネのおかげで自信が持てたよ、あんがとな」
さ、もう一息だ。
サーニャの笑顔のために頑張るぞ、私。
――そして、サーニャと宮藤の誕生日当日
「サーニャ!」
「芳佳ちゃん!」
2人の誕生日パーティーが終わり、他の隊員たちが各々の時間を過ごしている頃、
私とリーネは、談笑をしているサーニャと宮藤にそれぞれ声をかける。
「なに、エイラ?」
「どうしたの、リーネちゃん?」
「「誕生日おめでとう!」」
私たちは、作った人形を差し出しながら改めて2人に祝福の言葉を贈った。
プレゼントを渡す瞬間ってすごい緊張するな……
「リーネちゃん、この子って……」
「うん、芳佳ちゃんの使い魔の豆柴だよ」
「この妖精さん、エイラが作ったの?」
「ああ。ところどころリーネに教わりながらだけどな」
「嬉しいわ、ありがとうエイラ」
「この人形、とっても可愛いよ。ありがとう、リーネちゃん!」
そう言ってサーニャも宮藤も微笑んでくれた。
良かった、2人とも喜んでくれて。
私とリーネは顔を見合わせて笑った。
――その直後、宮藤はリーネの唇に、サーニャは私の唇に自分の唇を重ねてきた。
こ、これってつまり……キ、キス!?
「よ、芳佳ちゃん!?」
「サ、サササーニャ!?」
「えへへ、プレゼントのお返しだよ。ね、サーニャちゃん」
「うん。エイラもリーネさんも本当にありがとう」
――そう言って微笑んだサーニャの顔は、今までに見たどんなものよりも綺麗だった。
―――――――――
「わ〜お、2人とも中々やるね〜」
「み、宮藤もサーニャも少し大胆すぎじゃないか?」
「私も2人を見習って今日は大胆になってみようかな。
久しぶりに部屋で2人っきりになれるしね」
「エーリカ、それはどういう意味だ?」
「またまた分かってるくせに〜。さ、行こっトゥルーデ」
「こ、こら! 手を引っ張るな〜」
〜Fin〜
- 169 名前:5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2010/08/18(水) 23:50:14 ID:Aonoekjc
- 以上です。
芳佳もサーニャも誕生日おめでとう。
ではまた
- 170 名前:5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2010/08/18(水) 23:58:02 ID:Aonoekjc
- こんばんは、もう1本できたので投下していきます。
>>70のピンナップネタのトゥルーデ×エーリカです。
ではどうぞ
- 171 名前:Disposition 1/2:2010/08/18(水) 23:59:27 ID:Aonoekjc
「おはようございます、バルクホルンさん!」
「ああ、おはよう宮藤」
ランニングを終え、食堂に入ると、宮藤が笑顔で私に挨拶をしてくれた。
嗚呼、なんてすがすがしい朝なんだろう。
お前の笑顔でお姉ちゃん、今日も1日頑張れるよ。
「おはようトゥルーデ。どうしたの? 随分嬉しそうね」
「ああ、おはようミーナ……嬉しそう? 私がか?」
「ええ。もしかして、宮藤さんに挨拶してもらったのがよっぽど嬉しかったのかしら?」
「な!? そ、そんなことはないぞ……」
「ふ〜ん、そうなの……あら? ねぇトゥルーデ、フラウがどこにいるか知らない?」
ミーナが周りを見渡しながら、私に尋ねる。
変だな、エーリカなら私が朝のランニングに行く前に起こしたはずだが……
「さてはあいつ、二度寝だな。全く、仕様のない奴だ」
私は、同室の眠り姫を起こすために一度食堂を後にする。
「おいエーリカ! 起きないか」
私は、部屋中に散らばっているエーリカの衣服や家具をかき分け、彼女のもとへ歩み寄る。
「う〜ん、あともうちょっと……あと40分……」
タオルケットに身を包んだエーリカが、眠たげな声で呟く。
「ええい、なにがあと40分だ! 早く起きろ……ひっ!?」
私が強引にタオルケットを奪うと、そこにはタンクトップのみを身に付けたエーリカの姿があった。
つまるところ、今のエーリカは下半身裸だった。
「ふぁ〜あ、おはようトゥルーデ……」
「おはようじゃない! な、なぜお前はいつも下だけ脱いで寝てるんだ! は、早く穿かんか!」
「んー、髪掴まないでよ……トゥルーデのほうこそ、いつもお風呂で私の裸見てるのに、
なんでそんなに恥ずかしがってんの?」
「そ、それはだな……」
確かに、私たちは6年以上の付き合いでお互いの裸など見慣れたものだ。
いや、だからこそ今のエーリカの格好は妙に扇情的に感じる。
私はJG52時代の同僚、クルピンスキーとの会話を思い出しながらそんなことを考えていた。
――――――――
『バルクホルン、下だけ裸っていうのは全裸よりいやらしいと思わないかい?』
『何を言っているんだ、お前は』
『例えば僕がロスマン先生のズボンを脱がすとする。こうやってね』
『きゃっ! ちょ、ちょっと何するのクルピンスキー!?』
『例えばじゃなくて本当に脱がしてるじゃないか』
『ほら、今のロスマン先生の格好、全裸よりそそられるものがあると思わないかい?』
『いや、特にそうは思わないが……それより早くロスマンにズボンを返してやれ』
『そうか、バルクホルンにはまだこの魅力が分からないか……残念だ』
『ズ、ズボン返しなさい! このエロ伯爵〜!』
『うわっ、先生が怒った! 逃げろ〜!』
『待ちなさい!』
『……はぁ、確か私たち、今戦争してるんだよな……?』
――――――――
- 172 名前:Disposition 2/2:2010/08/18(水) 23:59:48 ID:Aonoekjc
クルピンスキー、あの時お前が言いたかったこと、今なら少し分かる気がする。
確かに、下だけ裸というのは全裸よりいやらしく、とてもそそられる。
「エーリカ、実は私、全裸のお前より上だけ着ているお前を見るほうが興奮するんだ」
「へ?」
突然の私の告白に目を丸くするエーリカ。
まぁ当然といえば当然の反応だろう。
「その……一緒に風呂に入ってるときは何ともないんだが、今みたいに下だけ脱いでいるお前を
見ていると胸がこう、ドキドキするんだ……すまない、いきなり変なことを言ってしまって」
「ふ〜ん、つまりトゥルーデって変態さんなんだ?」
「それに関しては否定できないな」
「あはは。私、とんでもない人を好きになっちゃったみたい……でも、トゥルーデが
どんな性癖を持ってたとしても、私のトゥルーデを愛する気持ちは変わらないよ」
エーリカはそう言って私に微笑みかけてくれた。
やばい、可愛すぎる。天使だ、天使が私の目の前にいる。
「エーリカ、こんな私を、愛してくれてありがとう」
私はエーリカのことをたまらなく愛おしく思いながら、彼女を優しく抱きしめた。
「トゥ、トゥルーデ!? い、いきなりハグだなんて、ちょっと恥ずかしいんだけど」
「下に何も穿いてなくても平気なお前が今更、何を恥ずかしがることがあるんだ?」
「それとこれとは話が別だよ。好きな人にいきなり抱きしめられて、恥ずかしがるなって
言うほうが無理なんだけど……」
エーリカが顔を赤らめながら俯きそう答える。
私は先ほどより胸の鼓動が早くなるのを感じる。
ああもう、お前のその可愛さはなんなんだ。
「エーリカ」
「……なに?」
「愛してる」
私は、エーリカの頬に口付けを落とし、彼女を一層強く抱きしめた……
〜Fin〜
- 173 名前:名無しさん:2010/08/18(水) 23:59:49 ID:DVq3uwdw
- >>169
GJ!それぞれのカプにそれぞれの一番がある!
甘々でステキでした。
- 174 名前:5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2010/08/19(木) 00:01:09 ID:oO16qV0s
- 以上です。気がつけばあともう数時間で7話ですね。
1期のスースー回に匹敵するくらいのお馬鹿回だといいな。
ではまた
- 175 名前:173:2010/08/19(木) 01:17:43 ID:h2AZw8vE
- >>174
連投GJ!お姉ちゃんちょっと変態だけど愛し方がステキです!伯爵自重w
あと割り込んでしまい申し訳ないです
- 176 名前:名無しさん:2010/08/19(木) 02:35:59 ID:ZZufdnhc
- やばい、超えるどころか伝説が生まれたw
どんな細かい事も吹き飛ぶ…だがとりあえずもうツッコミたくないw
とりあえずアイキャッチが素晴らしい
- 177 名前:名無しさん:2010/08/19(木) 02:45:31 ID:Otc3qrQ2
- 本スレ荒れてんなあ
まあ相当数書き込めない鯖あるからまともな住人はかなり締め出されてるのかな
- 178 名前:名無しさん:2010/08/19(木) 02:55:44 ID:ZZufdnhc
- >>177
荒れてるってかに関係ない話で暴れるからなぁ
腹が立つ以前に面倒くさい…
- 179 名前:名無しさん:2010/08/19(木) 07:47:19 ID:ZySVDfJ2
- 今回大して面白くなかったなぁ
ずーっと同じことしてばっかりで、同じ話を観てるだけなのにマンネリ化してるし
一期の頃はドタバタしつつ次々にイベントが起こってたけど、今回は
アクション起こしてもまたすぐにもとのネタに戻っちゃうし、そもそも
アクション自体があまり起こらない
しかもオチに至ってはニコニコから拾ってきただけじゃね?って感じ
公式はうちらの想像のはるか上を行ってくれると思ったけど、なんか予算不足?
確かにオチは予想外だったけど、悪いほうに予想外だった気がする
面白さというよりただ単に品が無かっただけに感じた
どうせやるなら二話とか六話並の本気を出してほしかったなぁ
- 180 名前:名無しさん:2010/08/19(木) 07:47:31 ID:uZfm.VmE
- 酷い話だった。良い意味で
- 181 名前:名無しさん:2010/08/19(木) 14:42:20 ID:F2DIO3R2
- なぜ千葉は放送が遅い…
- 182 名前:LWqeWTRG:2010/08/19(木) 23:56:18 ID:/e84fUHs
- 1日遅れたけどサーニャ、宮藤、誕生日おめでとう!
さてこんばんは。
誕生日会ではなくその後のエイラーニャを書いてみました。
短いですがどうぞ。
- 183 名前:名無しさん:2010/08/19(木) 23:57:16 ID:/e84fUHs
- 「サーニャ、改めて誕生日おめでとな」
ベッドの上、2人並んで横になる。
今日は8月18日、いやもう19日かな。
エイラに、みんなにお祝いしてもらって幸せな気持ちでいっぱいだった私は、お酒を飲んだわけじゃないけど、なんだかふわふわしていた。
せまいベッドの上、エイラの手を握って、横顔を見つめてしまうくらいに。
「うん…、ありがとう、エイラ」
「楽しかったか?」
「うん、とっても」
「そっか、よかった」
エイラも握り返してくれて、さらにふわふわ。
今日はとっても楽しくて、とっても幸せな1日だったよ。
へへ、と笑うエイラにそんな思いをこめて腕を伸ばす。
案の定びっくりしていたけど、今日は好きにさせてくれるようだ。珍しい。
そうしてゆっくりと流れる時間の中、私のふわふわした頭はとんでもないことを考えていた。
「ねぇ、エイラ」
ぐっと縮まった距離にドキドキしながら、全身に感じるエイラの体温にドキドキしながら。
「キス、してもいい?」
- 184 名前:名無しさん:2010/08/19(木) 23:59:26 ID:/e84fUHs
- いきなり変なこと言って怒られるかな? と思ったけど、不思議と断られる感じはしなかった。
いつもはすぐ逃げちゃうエイラなのにね。なんだか今日は許してくれる気がした。
私は上半身を起こしてエイラの顔に近づいた。
赤くなったエイラの顔。
さっきの言葉になにも言わなかったエイラだけど、目をつむって少し唇を突き出していた。かわいい。
ちゅ。
小さく音がなる。
私はエイラの身体を抱きしめて、エイラは私にそっと手をそえて。
私たちの夜は始まった。
END
――――――
以上です。
タイトルは「誕生日の夜」です。
サーニャが王子様。
そんな6話再生が止まりません。
7話も楽しみです。
それでは。
- 185 名前:名無しさん:2010/08/20(金) 01:53:53 ID:bytIkkyM
- >>184
GJ!これは良いサーニャイラ。
- 186 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/08/20(金) 21:30:09 ID:EKmemlHo
- >>169>>174 5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2様
連続投下GJです!
皆名コンビと言うか素敵なカップルです。ほっこりしました。
>>184 LWqeWTRG様
GJ! 積極的なサーニャさんが色っぽい!
エイラさんももっと積極的に……ムリカナ?
こんばんは、mxTTnzhmでございます。
第7話の、その後をちょっと書いてみました。
微妙にネタバレ入ってますのでご容赦を。微妙、ですけども。
「少しでも気になる!」と言う方はお気を付け下さい。
- 187 名前:open-air spa:2010/08/20(金) 21:30:41 ID:EKmemlHo
- 眺望の素敵な露天風呂。
その浴槽に浸かる二人のウィッチ。
「はあ……」
大きく息をついたのは、501の隊長ミーナ。
横で少し小さくなって入っているのは、時折湯気で眼鏡が曇るペリーヌ。
「この前は散々だったわね」
誰とも無しにミーナが呟く。ペリーヌは思い出したくもないと言った感じだったが、沈黙に気圧され、
「ええ、まあ」
と返し、自分の尻をさすった。
「まったく、油断も隙も無いわね、ネウロイは」
ミーナがまた呟く。ペリーヌはミーナの方を見て、うんうんと頷く。
「でも中佐は、問題のネウロイを……その……」
ミーナの視線を受け、黙り込む。
微妙な空気が流れた後、ふう、と溜め息を付くとミーナは肩まで湯に身を沈め、何とも言えない表情を作った。
「あんな破廉恥なのが……皆に見られたのよ?」
「ええ、まあ」
「それにペリーヌさん、貴方私の方に突っ込んで来て脱がしたでしょう」
「え、いえ、それは、わたくしは問題の解決を最優先に……、その……、申し訳ありません」
「もう、いいのよ」
顔を赤く染め、反省するペリーヌを見、苦笑するミーナ。
「そう言えばみ……坂本少佐から聞いた事が有るわ。お風呂に肩まで浸かって、百、数えると身体に良いそうよ」
「百?」
「血の巡りが良くなって疲れがよく取れるんですって」
「な、なるほど。扶桑の入浴には細かいルールが有るのですわね」
微妙に勘違い気味のペリーヌ。
「一。二。三……」
ゆっくりと数を数えながらリラックスするミーナ。
「そう言えば、少佐の姿が見えませんが、どちらへ?」
ペリーヌの問いに、間を置いて答えるミーナ。
「九、十、十一……そうね、さっきまでみんなの訓練を監督するとか言っていたけど。もうすぐ来るんじゃないかしら」
「そ、そうですか」
「二十、ちょっと一区切りね」
湯から出て、縁に腰掛けるミーナ。上気した肌が艶めかしい。
「流石にいきなり百は無理ね。のぼせちゃうわ」
「そう、ですわね」
実はペリーヌは何も言わず四十まで心の中で早くカウントしていたのだが、ミーナの一言でカウントが途切れた。
同じく、ざばあと湯から出て、縁に座る。
「この戦争が終われば……」
「はい」
「ここも、良い観光名所になるかも知れないわね」
「基地が観光名所に?」
「だって、この辺り一帯は、元々素敵な場所でしょう?」
「確かに」
「それにほら、見て」
ミーナはペリーヌの肩を抱き、海の向こうを指差した。
海の彼方、水平線の向こう。
「美しいでしょう? この空、海……私達が戦争をしてるなんて、全然思えないわね」
「ですわね。でも……」
「だから、こうやって、平和な時間を少しゆっくり楽しむのも、良い事なのよ?」
ミーナはペリーヌの肩を抱いたまま、微笑んだ。
純粋なことば、こころに触れたペリーヌは、何も言わず、こくりと頷いた。
「暫く、このまま海でも見てましょうか」
えっ、っと驚くペリーヌを見、ミーナは笑った。
「そうね。あんまりのんびりし過ぎると坂本少佐に怒られちゃうわね」
「いえ、わたくし、そう言う意味では」
「それに……」
下の脱衣所で聞こえる歓声、嬌声。
「訓練が終わったみんなの番ね。私達はそろそろ退散しましょう」
「は、はい」
「百まで数えるのは、また今度ね」
ミーナは微笑み、ペリーヌの肩、鎖骨の辺りをつんつんとつついた。
赤面したままのペリーヌの手を引き、ミーナは浴場を後にした。
end
- 188 名前:名無しさん:2010/08/20(金) 21:31:47 ID:EKmemlHo
- 以上です。
ミーペリって需要有るんだろうか……。
7話は史上稀にみる酷ぇ回(誉め言葉)だと思いますw
「考えるな、感じろ!」と言う某名言がぴったりな回だと思います。
必見です。
ではまた〜。
- 189 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/08/20(金) 22:16:09 ID:EKmemlHo
- たびたびこんばんは、mxTTnzhmでございます。
フミカネ先生ツイッターからのキャラで一本。
短いですがどうぞ。
- 190 名前:gleaning:2010/08/20(金) 22:19:21 ID:EKmemlHo
- 「だーかーらー、何度言わせるんですか! ちょっと話聞きなさいって!」
「面倒いし。だるいし」
「なんでそういつもいつも……」
戦闘後、ロッテを組み基地への帰り道。ドミニカとジェーンのコンビだ。
「良いですか、基地に帰るまでが戦闘なんですよ? 大物落としたからって、調子こいてちゃダメです!」
「基地に帰るまでって……遠足か」
「何ですかそのノリ!」
ぐい、とドミニカの服の裾を引っ張るジェーン。堪忍袋の緒が切れたらしい。
「おっと」
バランスを崩したドミニカは、ジェーンの身体にしがみつく。
「ちょ、ちょっとドミニカ?」
体勢を変えたまま……抱きついたまま……偶然視界が別方向を向き……
刹那、何かを捉える。
「……なるほど。流石ジェーンだ」
言うなりジェーンをぎゅっと抱きしめ、急上昇する。
「ちょ、ちょっとドミニカ?」
そのまま捻り上げる様にロールし、高度と位置を取った。太陽を背に、絶好のポジションだ。
肩に掛けていた銃を構える。マガジンの弾を確認する。
「まだ何発か残ってるな。いけるか」
「え? え?」
「中型のネウロイだ。単機で行動してたから、群からはぐれたのかもな。もしくは帰り道のあたしらを狙ってきたか」
「でも深追いは……」
「相手の方からこっちに来てんだ、やられる前に殺れってね」
言うなり、ドミニカはネウロイ目指して急降下を始める。
ジェーンも慌てて銃を構え、後に続いた。
数十秒後、逆に不意を突かれた形になったネウロイは、白い破片を撒き散らし、消滅した。
ネウロイの残骸が舞う中、ジェーンはドミニカに詰め寄った。
「何でもっと早く言ってくれなかったですか!? びっくりしましたよ」
「戦闘に予告なんて有るかい」
「ま、まあ確かに……」
「それに、ファイタースウィープって可能性も有るし、見過ごす訳には行かないな」
「そう、ですね」
「まあそうへこむなジェーン。あんたがあたしを引っ張って、視界を変えてくれなかったら、
気付くの遅れてあたしらもっとヤバイ事になってたかも知れない」
「え、さっきのあれが……」
「だから、ジェーンの言う通りだって事さ。『基地に帰るまでが戦闘』ってね。まったく、あんたは正しいよ」
ドミニカはそう言うと、照れ隠しのつもりか、ガムを噛み、ぷうと膨らませた。
何か言いたげなジェーンに、ドミニカは言った。
「まあ、ジェーンが居ないとね」
「とととりあえず、すぐ帰りますよ!」
ジェーンは顔を真っ赤にし、ドミニカの手をぐいと引っ張り、速度を上げた。
ドミニカは後ろ向きになり、遠ざかる白銀の欠片を見、やれやれ、と呟いた。
end
--
以上です。
他の職人様のドミジェン程洗練されてはいませんが……
ちょっと思い付いたネタを入れてみた次第です。
ではまた〜。
- 191 名前:zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2010/08/21(土) 00:16:49 ID:5uuTyUo2
- 最近書き込んでなかったから纏めてGJ
>>190
ペリーヌは熱いのが苦手なんじゃないかというイメージがあります。
二人ののどかな雰囲気がいいと思います。
ドミジェンだけでなく504の情報をもっと欲しい今日この頃。
っていうか中島は錦が確定したとして、諏訪って誰だよ!
んで、自分の方。
某所での呟き合いから生まれた妄想です。
●ファラウェイランド1945 舞台裏の取引
「ちょ、ちょっとこれはどういう事っ!?」
「見ての通りだが?」
眼を覚ましたらいきなり下着姿+リボンで拘束&デコレーションされていて天蓋付きのベッドに転がされていた。
ベッドサイドには黒髪に黒い下着とズボンを纏って首からスコープを提げた女性がたっていて、私を見下ろしている。
イヤ、ホント分けわかんないんだけれど……。
「しかしなぁ……」
目の前の女性はこちらが眼力で殺す勢いで睨みつけてるのをものともせずにこちらの胸元を覗き込み……。
「はぁ……」
と、大きく溜息をついた。
ちょ、何か失礼じゃないのその態度!
「何のつもりよっ!」
「いや、残念な大きさだと思ってね」
「お、大きなお世話よっ!」
「だが、こうしてみるとキミも悪くない」
「え、ちょっと何? どういう事っ!?」
「妹の方が好みではあるが、『鉄火場の女』の名はキミの方がよく似合う」
ベッドに膝から上がってのしかかってくる黒髪の女性。
言葉は、カールスラント訛り?
って、そんな事を冷静に観察してる場合じゃない。
リボンで縛られているせいで動きの不自由な私はあっという間に組み敷かれてしまう。
暴れようとしても相手の方が力が強い。
こっちだって上がりを迎えてるとは言えウィッチだって言うのに……相手もウィッチ?
「もっと抵抗しても構わない。好きに暴れてみてくれ」
「くっ」
唇をかんでにらみつけるけれど、ちょっとあってから考え直して全身の力を抜いた。
相手が女性なら、貞操の事も何も無い。犬に噛まれたと思って済ませられるからだ。
「フ、観念してしまったのか。では楽しませてもらうとしよう」
彼女の進撃が始まった。
そして、身を任せたのが失敗だったとう事にはすぐに気付く事ができた。
彼女は真性で、女性の弱点を確実に突いてきた。
指使いが、舌使いが、的確で気持ちよすぎて何度も意識が弾ける。
女性同士は際限が無い。まるで快楽の迷宮に囚われたかのように彼女の技巧に嵌まり込み、いつしか解かれていた拘束も私に逃亡する気を起こさせることは無かった。
そして気が付くと、私だけがベッドに寝ていて、彼女はロッキングチェアに深く腰掛け、ウィスキーの入ったグラスを傾けていた。
- 192 名前:zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2010/08/21(土) 00:17:18 ID:5uuTyUo2
「目が覚めた?」
暗い照明の下で見る彼女の物憂げな流し目は、同姓の私でも胸を高鳴らせるほど色っぽかった。
「じ、事情を話してくれてもいいんじゃない?」
気圧されない様に、雰囲気に流されないように精一杯の虚勢を張って、強い口調で言う。
でも、私の言葉など意に介さないかのように彼女は口を開く。
「夜は短い。夜明けと共に魔法は解ける。君が望むなら次のラウンドだ。先ほど以上に素敵な時間を約束しよう」
魅力的な声でそう告げてから、再びグラスを煽る。
「あ、あのねぇ、わたしには……んむっ」
上半身を起こして反論しようとした私に対して、優雅に立った彼女はそのまま唇を重ねてくる。
ウィスキーの強いアルコールと彼女の仄かな体臭とが、柔らかく固い舌と共に私の口腔へと押し込まれて絡みつく。
長い長い大人のキス。
数分の間、お互いに舌を絡み合わせて快感を貪り合う。
「……いいわ」
彼女の言葉に期待を得てしてしまった私は、自己嫌悪から目線を逸らして頷く。
「フフ」
妖艶な笑みを浮かべ私を見下ろす彼女。
流されてしまった。
毒を喰らわば皿までとか色々と心の中で言い訳してみるけど、雰囲気と快楽に流されたのには違いない。
次にやってくる悦楽へと期待の眼差しを向けてしまった彼女が次にとったのは奇妙な行動だった。
首から提げたスコープで、私を見ている。
「?」
期待の眼差しは疑問系に変わり、奇妙な彼女を首を傾げて見つめ返す。
「ここ?」
すると彼女はおもむろに手を伸ばし、私の体に触れた。
「ヒッ!」
指一本で、軽く下腹へと触れただけなのに、電撃のような強い刺激が走る。
そして、彼女の攻勢は続く。
スコープ越しに私を見ながらひたすら肌の上に指を走らせる。
指の向かう先からは信じられないほどの快感が溢れて来て、翻弄される。
色々とはしたない事を叫んだような気もするけれど、意識が殆ど飛んでいたのであまり覚えていない。
そして気が付けば朝。
「おはようウィルマ」
「お、おはよう……」
「キミも想像以上に良かったよ。さすが私のお目がね適った少女の姉だ」
「もしかして、あなたリーネの事を欲しいって言った……」
「いかにも。私がガランドだ」
「ちょっ、この変態将官!」
「まぁまぁ、抑えて欲しい。キミの行為で妹は親友と共に飛べるんだ」
「え?」
「なぁに、色々と取引があったのさ」
「ちょっとぉ、それどういう事!?」
「ヒミツだ……それとももう一晩付き合うかい?」
「バカッ」
「ルースポリ大尉からの最新の写真も全て君に届けよう」
「え?」
「そのくらいの権限はあるということさ。今後ともいい関係を続けたいものだ、ウィルマ」
「ベーだ」
子供っぽいかと思いながらも思いっきりあかんべーをして、急いで服を着て高級ホテルだったらしい部屋を出て、心のどこかでまた呼ばれてしまう事を期待してる自分を抱えたまま家路へと付いた。
501JFWが再結成されたというニュースを聞いたのは、それから数日後のことだった。
以上となります。
先にガランドxウィルマという妄想ありきで書いたんで背景とか状況とかかなり適当です。
っつーか、書き始めたらフミカネブログ更新されてて「リーネって娘が欲しい」発言が史実の物に置き換わってるしwww
6話が良すぎて暫くエイラとサーニャを書ける気がしないので代わりにこういう方向はどうでしょうという事で。
変態じゃないリーネx芳佳とかも書きたいなぁ。
- 193 名前:名無しさん:2010/08/21(土) 00:22:06 ID:Z8DMcuSA
- >>192
GJ!大人の雰囲気イイヨイイヨー
ガランド少将マジイケメン
- 194 名前:名無しさん:2010/08/21(土) 14:33:24 ID:RM9/reb2
- >>190
504もいいキャラが揃ってますね
三期を別部隊でやるなら、ここか502かなーと
リベリアン夫妻、よかったです
>>192
おお、盲点なカップリング!
二回三回と呼び出されるうち二人とも泥沼になれば、なんてw
続きがあれば是非
- 195 名前:zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2010/08/26(木) 11:33:36 ID:0XWDmt3s
- 坂本さん誕生日おめでとうです。
誕生日記念&誰も書いてない気がするので西沢x坂本です。
西沢の口調とかはかなり適当に妄想してます。
時間軸的には一期の誕生日になります。
あと、もしかしたら食事中の方には気分を害する表現が含まれているかもしれません。
●ブリタニア1944 魔王の鬼退治
「やほー坂本」
8月26日、夏のブリタニア。
ドーバーに突き出した501基地。
その廊下にて、気の抜けた声と共に背後から殺気が迫る。
死角である右からの一撃。
左から振り返ったら間に合わない。
気配を頼りに右から身体を回しつつ仰け反る様な姿勢で腰の入った正拳をやり過ごす。
「いきなり何を……お、西沢じゃないか」
「ワハハハハ、久しぶりだな、坂本」
「はっはっは、本当に久しぶりだ。元気してたか? こんな所にどうした?」
久しぶりに会ったその顔は合いかわらずの様子で、軍務で来たのではないのか上着は制服のセーラー服ではなく、黒字に白で大きく『鬼殺し』と描かれたシャツを着ていた。
いろいろな意味で相変わらずな奴だ。
「どうしたも何も、アレだ。あたしが一番自由だったんだよ」
「自由?」
「お前ハタチだろ? 悩んでんじゃないかって竹井とか横川サンとか他何人かと……そうだ、陸軍の連中も心配してたぞ」
「それは……私は……」
そうだ、もう私の魔力は限界を迎えている。
ストライクウィッチとして飛び続けるのは難しい。
潮時だろうというのは分かっているのだ。
「ワハハハハ、なにを会った早々辛気臭い顔してんだよ。気にすんな気にすんな。今日は魔王と一緒に鬼退治しようぜ!」
「え?」
そんな私の表情を読み取ったのか西沢は高笑いで全てを吹き飛ばし、更に言葉を繋ぐ。
「なんか難しい話もあったけど忘れた」
「お、おい……」
「でもアレだ。あたしに頼むって事がどういう事かって位は頼む方もわかってんだろ。ワハハハハハハ」
幾らなんでも適当すぎる……とは思うがそもそもこいつは昔からこういう奴だ。
「西沢……」
何も考えていないような――いや、実際考えていないのかもしれないが――彼女の高笑いに色々と救われたような気がした。
確かに悩んでいても仕方ないものはある。
私は最善を尽くして日々を過ごしてきたつもりだ。
それが報われないのなら、報われぬ事実は天命として受け入れるとして、後はどう足掻くか……。
……って!
「お、おいっ! いきなり何をする!」
「え? 脱がしてんだけど」
瞑目して自らを省みるうちにいきなり士官服の上着を脱がされかけていた。
「そ、そのくらいは分かる。何故いきなり脱がす?」
「だから今日は鬼退治しようって言ったじゃんか」
「それとこれとが……」
「ほらコレ」
と言いながら西沢が得意げに取り出したのは彼女と色違いでおそろいのシャツ。それは私を意識したのか青地に白抜きで『鬼殺し』と描かれている。
「竹井用の赤いのも作ったんだけどなかなか3人揃えないんだよなー、残念」
いや、醇子は流石にそれは着ないだろう。
私もかなり抵抗があるのだが……。
「これは着なきゃいかんのか?」
「え、着ないの?」
そんなまさかしんじられないといった表情で言う。
彼女の中では既に決定事項らしい。
「いや……なんというかその、そもそもこの鬼殺しというのは?」
「え? 今日お前誕生日だろ」
「ああ、いかにも8/26は私の誕生日だが」
「じゃあ一緒に鬼殺しだ」
え、ちょっとなんだか言葉が通じていない気がするんだが。
これはどうなんだろうか?
「まあまず気付に一杯だ。お前が非番だってことくらいちゃんと調べてるぜ」
廊下のど真ん中だと言うのにいきなり胡坐を書いて座り込み、背負っていたかなり大き目のリュックの中から一升瓶を取り出し、枡へとなみなみと注ぐ。
「ホラ、いっとけ」
「全く仕方のない奴だ。乗ってやろう」
枡を受け取り、煽る。
かなり強めの酒精が舌を、口腔を、喉を炙りながら胃へと流れ落ちていく。
辛口の効いた、それでいて口当たり、喉越しの悪くない日本酒。
訓練後の乾いた身体には多少強すぎる嫌いはあるが、これはこれでまた心地よいものだ。
- 196 名前:zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2010/08/26(木) 11:35:46 ID:0XWDmt3s
- しかし、こちらのシフトの調べが付いているとはな。
何故かこういうところだけは無駄に用意がいいのは、この件――西沢の来訪――のバックにはさっき名前が出た通り竹井達の何らかの思惑でもあるんだろうか。
酒精に思考を揺られながらそう考えていると、いつの間にか上着のボタンが全て外されて目の前に青の鬼殺しシャツが突き出された。
青いシャツの向こうには西沢の無邪気な笑顔。
どうやら着る以外の選択肢はないように思えた。
「よしっ! 準備は出来たなっ!」
「あ、ああ……しかし……」
「いくぞっ! 鬼退治じゃああああ!」
結局これは何をするつもりなんだ?と尋ねる余裕などこの小さな魔王は与えてくれなかった。
手を引かれて廊下を駆ける。
駆ける間に枡を傾けて鬼殺しを補充、毀れた酒をシャツで拭う。
適当な扉を開いては「鬼退治じゃー」と叫び非番の人間を見つけては鬼殺しを流し込む。
全く酷いいたずらだ。
こんな事は許されていいはずも無い。
無いがしかし、楽しい。
すきっ腹に走りながら酒の枡を煽るものだから、強い酒精が全身に行き渡って更に楽しさを加速する。
そして気が付くと二人は尖塔にいた。
絶好の見晴らしに背を向けてその壁へと寄りかかり、二人で酌をし、枡を傾けあう。
「はっはっは、これは後で懲罰ものだな」
「ワハハ、いいんじゃね? 坂本お前誕生日だから無礼講だろ」
「はっはっは、それでごまかしきれればいいがな」
「ワハハハハ」
「はっはっはっはっは」
ひとしきり笑ってから立ち上がり、風に当たる。
直立するとくらくらして座っているよりも気分がいい。
「おおっ、こりゃあイイ感じだな」
西沢も立ち上がり、海風に身を晒す。
「なー坂本。今日は色んな鬼を退治できたと思うんだけどさ」
「うん?」
「お前のはどうなった?」
ぐっと拳を突き出し、私の鳩尾の辺りに当てる。
「私の?」
「ああ、お前の中の鬼だよ。そいつはどうしてる? 暴れてるのか? 退治したのか? それとも仲良く暮らしてるか? 何にせよ、お前の中にはまだいるんだろ、鬼が」
「西沢」
「ワハハ、魔王様にはサムライの悩みなんぞ全てお見通しだぜ」
「お見通しって……お前そもそも難しい話は忘れてとか……」
「ワハハハハ、気にすんなって。とにかく元気は出たろ。元気出たなら前向きにいけるぜ。魔力なんて切れたって飛べるんなら飛んじゃえよ。悩んでる方がもったいないんだから」
「に、西沢……そんなことを言われたら、私は本当にそうしてしまうぞ」
お前の背後にいる連中は、無理しそうな私を止めようとしてるんじゃなかったのか?
「いいんじゃね?お前飛んでる方がカッコイイし、剣使わせたら悔しいけどあたしより上だし。だからお前がもういいやってところまではやり続けちゃえよ」
西沢は、鋭い。
普段から直感だけで生きているように見えて、意外と頭も使っている。
少なくとも自分が今興味を持っていることに関して、それが例えどんなものであろうと真摯に向き合い、真面目に考える。
それが逆に彼女を思慮の浅い人間だと見せてしまう事は大いにありえていると思うのだが、この際それは関係ない。
彼女が鬼と呼んだもの。
それは自分の中に、人の中にある何か。
自分の魔眼でも見通せない存在。
酒で一時的に退治する事が出来ても、本当の意味でそいつを何とかするにはそんなものの力を借りずに自分で何とかするしかない気がした。
そして、彼女は今、そんな私の内の鬼の所在を問い、問うておきながらさっさと自分で答を出して進んでいってしまった。
「西沢、私は……」
「うぷっ、やべぇ、飲みすぎたかも。気分悪くなってきた」
「なっ!? お、おい西沢っ、しっかりしろっ!」
いきなり顔色を悪くしてうずくまる西沢。
さっきまで真面目な話をしたと思ったらこれか……あまりにもマイペース過ぎるぞ。
「さ、さかもと〜……」
「少し我慢しろ、すぐにトイレに連れて行ってやる」
情けない声を上げる小柄な彼女を背負い、大きく振動させないようにして階段を降り始める。
が、背中の西沢は既に手遅れのようだった。
「む……り……」
「ちょ、まてっ! おまえそれはっ!!!!」
- 197 名前:zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2010/08/26(木) 11:36:08 ID:0XWDmt3s
- …………。
まぁ、なんというか結果的に奴の持ってきたシャツに着替えておいて良かったと、そういう事になったと言う事だけは言っておこう。
風呂で肩まで浴槽につかりつつ一日を振り返る。
今日と言う日、私の誕生日はリバウの魔王の来訪によって散々な一日になった。
しかし、同時に覚悟を決める一助になったと言えなくも無い。
彼女が鬼と呼んだもの。
私の中に棲んでいる悩み、恐れ、不安、そういった負の思考たち。
今はきっとそいつらは暴れているのだと、そう思う。
迎え酒と称し、風呂に盆を浮かべて相変わらず鬼殺しを煽っている古い相棒の能天気な横顔を見つめながら、「まぁ、なんとかなるさ」と呟いた。
広い基地の風呂には、上機嫌の西沢の調子外れで景気のいい鼻歌が響いていた。
以上となります。
考えてみると魔王西沢に振り回される坂本さんが書きたかっただけかもしれません。
あと、二人の鬼殺しによって鬼退治されたのが誰だったかを考えるのも楽しくなってきますが……キリが無いので書かないかなぁ、多分。
実は自分的にはこの話の前日譚的な話もあるんですが、どのタイミングで投稿してよいものやら悩み中。
>>194
あー、やっぱり続き気になりますよね。自分も続きを妄想したりしてました。
こういう場所への投稿なので旦那がいる描写って言うのは控えたんですが、冷静に考えてみるとこの関係が進展した場合って妻を女にNTRれるファラウェイランドの将校が涙目で面白い気もしました。
続き、書けるかなぁ。
- 198 名前:名無しさん:2010/08/26(木) 12:40:18 ID:h.lQO5bA
- 続きといえば「クロウカシスの虜」まだかなー・・・
- 199 名前:名無しさん:2010/08/26(木) 21:03:48 ID:aJmz3AoI
- おk、芳佳をキレさせたら命がないことはよくわかった
- 200 名前:名無しさん:2010/08/26(木) 22:50:38 ID:zhfht/tU
- >>197
GJ!魔王がいかにも魔王らしくてワロタ
もっさんも悩める一人のウィッチなんですね。
- 201 名前:5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2010/08/26(木) 23:20:23 ID:V/yrmjbg
- >>197
GJです! さすが魔王西沢
こんばんは、今日は坂本少佐の誕生日ということなので、
短いですが一本投下していきます。
- 202 名前:I want to know you.:2010/08/26(木) 23:21:33 ID:V/yrmjbg
「坂本美緒少佐」
「なんだ?」
月明かりが照らす夜、他の隊員たちがすでに眠っている頃、隊長室に私は呼び出された。
私を呼び出した張本人、ミーナの顔を窺うと彼女は気難しそうな表情で私を見つめている。
何かミーナの機嫌を損ねるようなことを仕出かしてしまっただろうか、
心当たりを考えてみるが全く思い浮かばない。
そんなことを考えている私にミーナは更に言葉を続けてくる。
「あなたに渡さなければいけないものがあります」
「私に渡すもの?」
何だろう、ミーナの表情を見るに私にとってあまり喜ばしくないものなのかもしれない。
まさか転属命令書か? いやいや、それは困る。
まだまだ私には宮藤やリーネ、ペリーヌらに教えてやらなければならないことが多々ある。
何より私は、ミーナともっと一緒にいたい。
「ミーナ、私は」
「目を瞑ってください。私がいいと言うまで目を開けちゃ駄目ですよ?
もちろん魔眼を使うのも禁止です」
「あ、ああ……」
私はミーナの言う通りに目を瞑った。
私が目を開けたとき、目の前に転属命令書が突き出されているなんてことないよな?
「目、開けて」
「ああ」
目を開けると私の首元には銀色のネックレスがかかってあった。
「ミーナ、これは?」
「誕生日おめでとう、美緒」
いつもの優しい表情に戻ったミーナが笑顔で私にそう言ってくれた。
ふと時計を見ると、針は零時を指していた。
そうか、今日は8月26日か……
つまり、このネックレスはミーナからの誕生日プレゼントというわけか。
「よく似合ってるわよ、美緒」
「ありがとうミーナ。それにしても驚いたぞ。
神妙な面持ちで『渡したいものがある』なんて言うものだから、
てっきり転属命令書でも渡されるかと思ったよ」
「ふふふ、ごめんなさい。でも、こうでもしないとあなたにプレゼントを渡せなかったから」
「どうしてだ?」
「だって、素の私であなたと接するとその……胸がドキドキしちゃって……」
ミーナが顔を赤らめ俯きながらそう言う。
そのミーナの表情が可愛らしくて、私も思わず笑みが零れる。
「はっはっは! ストライクウィッチーズの隊長も今日ばかりはただの一人の少女のようだな」
私は顔の火照ったミーナをそっと抱きしめた。
「み、美緒?」
「隊長としてのお前も素敵だが、一少女としてのお前をもっと見てみたいな」
私はミーナを更に強く抱きしめ、言葉を続ける。
「お前をもっと知りたい」
私はミーナの唇にそっと自分の唇を寄せる。
「美緒、んっ……」
普段の凛々しい彼女からは想像できないほど可愛らしい声をあげるミーナ。
私はそんなミーナが今まで以上に愛しくなり、彼女を一層強く抱きしめた。
「ミーナ、私の知らないお前をもっと見せてくれ」
「美緒、んんっ」
私たちはそのまましばらくの間、お互いの唇を重ねあった。
――素敵な誕生日プレゼントをありがとう、ミーナ。
〜Fin〜
- 203 名前:5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2010/08/26(木) 23:23:33 ID:V/yrmjbg
- 以上です。坂本少佐、誕生日おめでとう!
- 204 名前:名無しさん:2010/08/27(金) 00:07:49 ID:ZAQ1..eY
- >>203
GJ!甘々なもっミーナさん達最高です。
7話アイキャッチも反則だったけど、もう夫婦でいいと思うこの二人。
- 205 名前:名無しさん:2010/08/28(土) 20:52:59 ID:bSVww13I
- >>203
良い雰囲気だなあ、マジ夫婦。GJ!
- 206 名前:名無しさん:2010/08/30(月) 23:18:51 ID:2xkpXZTI
- >>203
こういうのいいな〜GJ!!
- 207 名前:名無しさん:2010/08/31(火) 00:04:03 ID:c13Sq8vU
- 娘TYPEでカップリング考察があったらしいですが
どんな内容だった?
- 208 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/09/05(日) 23:48:24 ID:cSEPRvT.
- >>197 zet4j65z ◆le5/5MRGKA様
GJです。ガランド×ウィルマは意外な着想。
もっさんと魔王(魔女王)はなんか安心感みたいなものが有りますね。
>>203 5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2様
GJ! 甘々なもっミーナ、これは良い!
個人的には2期9話の後でこうなって欲しいけど……9話は……。
こんばんは、mxTTnzhmでございます。
保管庫No.1376「double joker」の続きを書いてみました。
当然No.0450「ring」シリーズ続編となりますのでよしなに。
ではどうぞ。
- 209 名前:nidification 01/04:2010/09/05(日) 23:49:00 ID:cSEPRvT.
- 「ハルトマンがおかしい? どこが?」
聞かれた美緒は首を傾げ、横に居たミーナは頭を振った。
「朝、起床時刻にきちんと起きていた。おまけに、朝の座学とやらをしていてだな……」
トゥルーデは自分が目の当たりにした事を聞かせた。
「それ、徹夜とかじゃなくて?」
ミーナの問いにトゥルーデは否定した。
「そんな筈はない。私がこの目と身体で確かめたんだからな」
「か、身体? ……まあ良い。しかし、ハルトマンもようやく真面目になったと言う事か?」
「そうだと良いんだが。……いや、真面目になってもらわんと困る。仮にもカールスラントの……」
「はいはい。要するにフラウの事が心配なんでしょう、トゥルーデ?」
言葉を遮り、苦笑するミーナ。明後日の方を向き、顔を赤くして答えるトゥルーデ。
「……まあ、そうとも言う」
「とりあえず、少し様子を見てみたらどうかしら」
「そうだな。何か新たに問題が起きたら、私達も力になろう」
ミーナと美緒の言葉を聞き、少しほっとした表情を見せるトゥルーデ。
「それは心強い。感謝する。では」
頷いて、トゥルーデは部屋を後にした。
「なあ……」
美緒がミーナに問う。
「どうしたのかしら、美緒?」
「おかしいのは、ハルトマンではない様な気もするが」
「そう?」
部屋の扉を開ける。
「あ、お帰りトゥルーデ。何処行ってたの?」
机に様々な書物を広げ、メモを取っていたエーリカ。トゥルーデの姿を見るなり、本をしまいペンを置きトゥルーデに近付く。
「ちょっと、相談事だ」
「相談なら私にしてくれれば良いのに」
「いや、お前じゃダメなんだ」
「どうして? 私じゃ役に立たないから?」
「違う。違うんだ」
トゥルーデはエーリカをさっとお姫様抱っこすると、顔を近付けた。
「エーリカだからこそ、なんだ。お前が心配で、心配で……」
「トゥルーデ……顔、近過ぎるよ」
「じゃあこうしよう」
軽く唇が当たる。
「くすぐったいよ」
じゃれるエーリカに構わず、トゥルーデは唇を重ねた。
冗談ぽく付き合っていたエーリカも、次第に本気になり、トゥルーデの腰に腕を回す。
長く、濃いキス。
繰り返しているうち、ベッドに二人して倒れ込み……そのまま次の幸せのステップへ。
- 210 名前:nidification 02/04:2010/09/05(日) 23:49:43 ID:cSEPRvT.
- 「私が? 至って普通だぞ?」
美緒に問われたトゥルーデは平然と答え、昼食のパスタを食べる。
「そうか、私の思い過ごしだと良いんだが。うーむ、気のせいだったか」
美緒は手を顎にやり、首を捻る。
「少佐もらしくないな。私ならこの通り、心配無用だ。魔法力もだいぶ戻っているし体調も万全だ」
「分かった。なら良い」
自信たっぷりのトゥルーデを前に、美緒は苦笑いして席を離れた。
やがて隊員達が居なくなり……食堂はエーリカとトゥルーデの二人っきりになる。
「トゥルーデ、いつまで食べてるのさ」
「これでも戦いに備えて、腹八分目だ。そう言うエーリカだって、食べるの遅いぞ」
「少しはのんびり食べさせてよね」
「ほら、もっと食べないと」
トゥルーデはパスタをフォークでくるくると巻くと、ごく自然に、エーリカに差し出した。
「ちょっと、トゥルーデ? あーんしろって事?」
「そうだが?」
「遠くでミヤフジとリーネ見てるよ」
「気にしない。これ位で動揺してどうする」
「……あーん」
「ほら、ちゃんと食べるんだぞ。あーん」
「あーん」
食堂に面した厨房の奥で、芳佳とリーネが何かひそひそ話をし、時折ちらっとトゥルーデ達を見ている。
トゥルーデとエーリカが厨房の方を向くと、芳佳とリーネは慌てて背を向けた。
「おかしな二人だ」
そう呟きつつ、最後の一口を食べさせる。
「ごちそうさまトゥルーデ」
「じゃあ、行く前に」
トゥルーデはごく当たり前の様に、エーリカを抱きしめると、濃厚なキスをした。
キスの味はミートソースのパスタ味。
長い長いキスを終えると、二人はしばし抱擁し、そっと手を繋ぎ、外に出て行った。
「バルクホルン、が……?」
芳佳とリーネの話を聞いた美緒は絶句した。
「トゥルーデ、あの子どうしちゃったのかしら」
心配そうなミーナ。
「私も、何て言って良いか分からなくて……」
思い出して恥ずかしげに芳佳の手を握るリーネ。
「バルクホルンさん、いつもは真面目で、人前ではしないのに……、あの、人目も気にしないで、その……」
芳佳も何と言って良いか分からず困惑する。
「一体何が原因なのかしら?」
ミーナの問い掛けに、美緒が考え込む。
「最初は、ハルトマンがおかしいと言っていた。バルクホルン本人が。しかし、実際は私の予想通り……いや、待てよ」
「どうかしたの?」
ミーナの問いに美緒が頷く。
「最近、バルクホルンに何か変わった事が起きたか調べ……」
「またあのジェットストライカーの事? あれはもう本国に返却済みで、影響は無い筈よ。
ハルトマン中尉、ああ、これは妹さんの方ね……も、確か『大丈夫』って言ってたじゃない」
「しかし……隊のエース二人があの体たらくでは困る」
「でも、二人共地上での訓練自体は全然問題無いのよね。不思議な事に」
「困ったな」
言葉を繰り返す美緒。そして呟く。
「まさか、二人を自室謹慎にする訳にもいかんだろうし……」
「それって逆効果だと思います!」
「わ、私もそう思います……」
芳佳とリーネに言われ、ああ、と気付く美緒。
ミーナはふふっと笑うと、美緒に言った。
「ハルトマン中尉も直に治るって言ってたんだから、暫く様子を見るので良いと思うわ。
まあ、目に余る様なら流石にまずいけど」
「ミーナがそう言うのなら……もう暫く様子を見て見るか」
そう言うと、美緒はやれやれとぼやき、窓の外を見た。
- 211 名前:nidification 03/04:2010/09/05(日) 23:50:08 ID:cSEPRvT.
- 夕食を自室で食べる二人。芳佳とリーネに頼んで二人分運んで貰ったのだ。
芳佳とリーネは少し心配そうに、台車で運んできた二人の分のシチューとパン、サラダを渡した。
「大丈夫ですか、バルクホルンさん。身体の具合が悪いなら……」
「大丈夫だ。どこも悪くない。すまんな、二人には無理を言って」
「いえ、大丈夫ですけど……」
「もう行って良いぞ。食器は後で厨房に持って行く」
まだ何か言いたげな芳佳とリーネを追い払うかの如く、トゥルーデは声を掛け、扉を閉めた。
鍵を閉め、ふう、と息を付く。
「エーリカ」
「トゥルーデ」
まずはぎゅっと抱き合う。
食べるのが先か、キスが先か。人目をはばからずいちゃつきながらの食事。
「わーい、おっいもー」
「沢山食べて早く元気にならないとな」
「そうだよトゥルーデ」
代わる代わるスプーンをお互いの口に運び、もぐもぐと食べ、そして合間に軽くキスをする。
「エーリカが食べさせてくれるなら、何だって美味しいに決まってる」
「肝油も?」
「それは……微妙だな」
「ま、とりあえず食べよう」
ベッドの脇にテーブルを寄せ、ごろごろと寝転がりながら、食べたりお喋りしたり笑ったり。
そしてキスをしたり。
「トゥルーデ、でもここんとこどうしちゃったのさ。べたべたして」
「い、嫌か?」
「嫌じゃないけど……」
「そうか。私も、カールスラント軍人として、もっと……」
「キスしたいんでしょ?」
そのまま唇を塞がれ、しばしの沈黙。唇を離すと、トゥルーデはちょっとムキになって言った。
「わ、私は……もっと完璧に物事を……」
「ねえトゥルーデ」
「?」
「完璧な人間なんて居ると思う?」
「しようと努力してる者は居るだろう」
「それは居るかもね。でもはじめっから最後まで全部完璧な人なんて、居ないと思うよ」
言葉を失うトゥルーデ。
「誰にだって、弱い所は有るよ。私だって、部屋汚かったり、私生活ぐちゃぐちゃだったり……」
「……」
「でもそういうところ含めて、私は全部トゥルーデが好きだし、トゥルーデも私の事好きなんでしょ?」
「ま、まあ、そうだ」
「じゃあ、おいでよ、トゥルーデ」
そっと手を広げるエーリカの胸に、トゥルーデは倒れ込んだ。
華奢な身体でしっかり受けとめ、そのままベッドに沈み込む。
「トゥルーデ」
「エーリカ」
ほのかに灯る明かりの下、二人は指を絡ませ、ベッドの上で名を呼び合う。
お互いの声に満足したのか、ゆっくりと顔を近付け、そのまま唇を重ねる。
何度も繰り返す。唇だけでなく、頬、首筋、耳たぶ……唇を這わせる。
じんわりと染み出てきた汗も気にせず、ゆっくりと、じっくりと味わう。
そのまま、更に続きへと躊躇無く進む二人。夜は静かに更けていく。
- 212 名前:nidification 04/04:2010/09/05(日) 23:51:12 ID:cSEPRvT.
- トゥルーデが疲れ果てて眠りに落ちた頃、エーリカはそっと部屋を抜け出し、通信室へ向かう。
当直の通信士に頼んで、とある所に電話を繋いで貰う。
「あ、ウーシュ? 私だけど」
『姉様。トゥルーデ姉様の様子はどうですか?』
「変わらないよ。いつになったら治るのさ」
『そのうち』
「そのうちって……私の身体が保たないかも」
『でも、トゥルーデ姉様を放っておくつもりは無いでしょう?』
「当然」
電話の先でウルスラがくすっと笑ったのを感じる。
『もうすぐ、治ります。魔法力が一定のレベルに戻ったら、いつものトゥルーデ姉様に戻ります』
「そっか。そうなったらいつものトゥルーデになるんだね」
そこでエーリカは少し考え、言葉を続けた。
「でもそれはそれでちょっとつまらないかも」
『姉様の為にも、トゥルーデ姉様の為にも、頑張って下さいね』
「それ、応援だか皮肉だかわかんないよウーシュ」
『だから、私はあの量のイモを置いていったんですよ?』
倉庫に積まれたイモを思い出し、ああ、とエーリカは頷いた。
「そう言う事ね。わかったウーシュ。見てなよ、トゥルーデすぐに元通りにしてみせるから」
『応援してます』
エーリカは電話を切ると、足早に部屋に戻った。
部屋に戻ると、トゥルーデが起きてエーリカの帰りを待っていた。
「何処行ってたんだ」
「ちょっとトイレ〜」
「それなら一声掛けてくれても良いのに」
「寝てるトゥルーデ起こす訳に行かないでしょ」
「だって……」
「心配性だね、トゥルーデは。大丈夫、私はここにいるから。ね?」
エーリカはトゥルーデの頬をそっと掌ですくい、軽くキスをしてみせる。
トゥルーデはエーリカをぎゅっと抱きしめ、キスの続きをねだった。
(こう言うトゥルーデも悪くない、かも)
ぼんやりとそんな事を考えながら、エーリカはトゥルーデと、“愛の営み”の続きに耽る。
気を失うまで、何度も繰り返す。
end
--
以上です。
魔法力のバランスがおかしくなってベタベタになってしまうお姉ちゃん、
と言うのを書いてみたかったんです。
基本、お姉ちゃんはそんなにベタベタする方じゃないかなーとか思って。
あとエーリカが色々考えて行動してるのは、最近のフミカネ先生ツイッターや
(半)公式的な設定などから推測。スーパー気配りガール!
気付けば2期も残り数話。早いですね!
ではまた〜。
- 213 名前:名無しさん:2010/09/06(月) 00:25:37 ID:qom6NuSY
- >>212
トゥルーデは本調子に戻ったあと「あ"〜っ」って頭をかかえるんだろうなあと思うとニヤニヤが止まらないw
GJです!
- 214 名前:名無しさん:2010/09/09(木) 02:12:50 ID:e5xjqxOc
- マルセイユが本編に出るとは思わなかった…
マルセイユ×エーリカはアリだな
- 215 名前:名無しさん:2010/09/09(木) 06:31:52 ID:QQ3Q2CYI
- 今回エーリカみなおしたよ
まじ優しい子&おねえちゃん大好き!だったんだね
- 216 名前:6Qn3fxtl:2010/09/13(月) 21:53:39 ID:YrGglL/s
- >>212
いちゃいちゃエーゲル最高です! べたべたしてるお姉ちゃんっていいですね……。
10話のエーリカもものすごく可愛らしかったです。ほんま、天使やでぇ。
さて。先日のフミカネ先生のつぶやきにこんなのがありまして。
“東部戦線のウィッチたちに広がるうわさ話 戦場を舞う謎のウィッチ「ナインテイル」
所属、目的すべてが不明。捕捉しようとした幾多のエースたちを軽くあしらい雲中に消えていった”
これをもとにちょっと妄想を膨らませてみました。
ロスマン&クルピンスキーです。2レスお借りします。
- 217 名前:Nine-tails (1/2) @ 6Qn3fxtl:2010/09/13(月) 21:54:47 ID:YrGglL/s
- 「そういやさ、ちびっ子先生、最近飛んでないよね?」
お昼の教練後のコーヒーブレイク、なんとも礼儀を欠いた言い方で
失礼なことをいってきたのは、案の定あの軽薄なニセ伯爵様だった。
「あなた達みたいな問題児が多いから、飛んでるどころじゃないのよ」
その脳天気な物言いに少しとげのある返し方をしてしまったけれど、
当のヴァルディは全然こたえていない様子で、思わずため息が漏れてしまう。
「教えなくちゃいけないことは、それこそ山のようにあるんですからね」
今までたくさんの新兵を見てきて、いろんなタイプの子たちを教えてきたけれど、
ナオちゃんといい、ニパさんといい、ヴァルディといい、
この部隊の問題児達はどうも今までとは勝手が違って、少し戸惑ってしまう。
……まずなにより、ストライカーを壊さない、という基本的なルールから
頭に叩き込んでやらなきゃいけないなんて初めての経験だ。
「噛みグセのある子犬に芸を仕込むのって、こんな気分かしらね」
「おっ、なかなかうまいこというね〜、先生」
「ふざけないでちょうだい」
マグカップのコーヒーをくっと飲み干して立ち上がる。
ナオちゃんがまたストライカーを壊したせいで、訓練計画を練り直さないといけない。
「でもさ〜、あんまり飛んでないと、勘が鈍るんじゃない?」
「……どういうこと?」
ラウンジの扉に手をかけたところで、ヴァルディの声に立ち止まる。
「いやいや。空戦テクニックなんかは頭が覚えてても体が動かなくなったり
しないかな〜なんてね。僕でよければ模擬戦つきあうけど?」
その言い方に、いかに私でもついに堪忍袋の緒が切れた。
へぇ、ヴァルディ、あなたは私のことをそんなふうに見くびってるわけね。
かわいいハルトマンのことも、502にきてからのチャラチャラした態度も、
新兵に悪い影響を与えてることも、一度がつんといってやりたいとは思っていた。
面白い。もう金輪際へらへらできなくしてやろうじゃない。
「……そうね。ヴァルディのいう通りだわ。
たまには体を動かさないといい考えも浮かんでこないしね」
「そうでしょ?じゃ、これから一戦する?」
「えぇ、お願いするわ、クルピンスキー中尉」
とびっきりの笑顔でそう答えたけれど、ちゃんと本心を押し隠せたかどうかは自信がない。
------
「お互いに5マイル離れたところで反転、戦闘開始でいいわね」
「了解。じゃ、始めますか」
先に5秒間、相手の背後を取ったほうが勝ちという簡単なルールだけ確認して、スロットルを開く。
予定したポイントに到達したところで反転、上昇。
ヴァルディのように、正面から突っ込んでくる敵にそのまま斬りかかるのは得策ではない。
まずは高度をとって、相手の動きを見極める。そしてチャンスをはかって攻撃。
ヴァルディは左へのターンにちょっと癖があるから、仕掛けるとしたらそのタイミングだろう。
水平飛行に移り、右ロールを開始した瞬間、インカムに切羽つまった声が飛び込んできた。
「こちらオラーシャ海軍。スオムス湾沿岸海域にてネウロイと接触、被害多数。
至急応援を要請する。繰り返す、至急応援を」
ノイズ混じりの交信は、もはや一刻の猶予もないことを示していた。
502基地からすぐに発進するよりも私たち二人が直接向かった方が早い。
敵情が把握しきれないのはやや不安だが、考えている暇はなさそうだ。
「ヴァルディ、訓練中止よ。すぐに救援に向かうわ」
「もちろん」
当該海域へ向けて変針。全速力で救助に向かった。
- 218 名前:Nine-tails (2/2) @ 6Qn3fxtl:2010/09/13(月) 21:56:27 ID:YrGglL/s
- 要請のあった海域に着くと、煙の上がった戦艦が何隻も見えた。
ネウロイからの攻撃は依然として続いており、ビームの隙間を縫った回避行動も限界といった様子だ。
敵の様子はといえば、中型が1機、小型が15機。小型機はおそらく護衛だろう。
訓練飛行のため、あまり弾薬を持たないで上がったけれど、これならなんとかなる。
「ヴァルディ、本当ならば、私はあなたの指揮下に入らなければいけないんだけど」
「うん?」
「艦隊を護衛しながら母港まで連れ帰って。ネウロイは私が」
「……一人で、大丈夫?」
「悔しいけど、護衛をしながら攻撃するだけの余裕がないの」
病弱で体力の面で他の隊員に劣る私は長期戦には向かない。
艦隊を護衛しながら撤退し、ネウロイのほうは別部隊に任せるほうがいいのだろうけど、
私の魔法力はそこまでもたない。足手まといになるどころか艦隊への攻撃を許す結果に
なってしまうかもしれない。
それならば、ネウロイをここで落とすしかない。
「それじゃ、お願いね」
「待って」
そういってヴァルディが私に投げてよこしたのは予備の弾倉。
「大丈夫。エディータが落とせば、いらなくなるから」
そういってきざったらしく笑うニセ伯爵。
あなたのそういうところが嫌なのよ。
上着のポケットに弾倉を押し込み、艦隊をヴァルディに任せて、そのまま一気に高度を上げた。
どうやらこのネウロイは地上、海上への攻撃に特化した型のようだ。
護衛のネウロイも下方もしくは同高度からの攻撃を想定しているように見える。
それならば、上後方から一気に攻撃を仕掛ければいい。
敵に気づかれないように雲の切れ間から様子をうかがう。
小型とはいえ、15機もの護衛機に追い回されては魔法力が持たない。
相手が体制を整える前に叩く。チャンスは一度きりだ。
私は大きく一つ深呼吸をして、ネウロイの後方から急降下をかけた。
機関銃から吐き出された弾丸が、中型ネウロイの装甲をえぐっていく。
虚を付かれた護衛ネウロイの何機かが、急激な機動に耐えきれずお互いに衝突して海へと落下していった。
ビームによる応戦を避けながら機首後部を攻撃する。動きから考えると、コアはそこに……。
「見えた!」
ルビー色のコアに弾丸を叩き込み、すぐさま上昇して回避。
次の瞬間、コアが弾け、ネウロイは白い破片となって海に降り注いだ。
「撃墜を確認。お疲れ様、先生」
インカムからヴァルトの声が聞こえた。どうやら艦隊も無事逃げおおせたようだ。
------
「みんな、おはよう」
「あっ、おはようございます、ロスマン先生」
翌朝、食堂に行くと、朝食を摂りながら皆なにやらわいわいと盛り上がっているようだった。
「何かあったの?」
いつものように朝食を用意してくれた下原さんに尋ねると、彼女は目を輝かせて私に話しかけてきた。
「昨日、九尾のウィッチが目撃されたんですって。先生、知ってます?」
「九尾のウィッチ?」
「はい。昨日、航行中のオラーシャ艦隊がネウロイに襲われたらしいんですけど、
そこに尻尾が9本ある狐のウィッチが現れて、ネウロイを倒していったそうです。
所属も名前も不明で、一説には東部戦線で活躍した伝説のウィッチ『ナインテイル』じゃないかって。
憧れますよね、そういうの」
恋に落ちた少女のようにうっとりとした目でその幻のウィッチについて語る下原さんに、
私は苦笑せざるを得なかった。
fin.
以上です。では。
- 219 名前:名無しさん:2010/09/13(月) 22:06:33 ID:POQ0xei2
- >>218
GJ!伯爵がやっぱり噛んでますねw
帰投後の伯爵とロスマン先生に何があったか想像してしまいます。
- 220 名前:名無しさん:2010/09/13(月) 23:32:42 ID:g3uh6sdY
- >>218
GJです! 戦闘カッコよかった!
伯爵はどこでどうやってナインテイルの為の精気を供給したのかw?
- 221 名前:6Qn3fxtl:2010/09/14(火) 07:47:04 ID:XyyHKGuA
- ごめんなさい、一箇所ミスです。
”「撃墜を確認。お疲れ様、先生」
インカムからヴァルトの声が聞こえた。どうやら艦隊も無事逃げおおせたようだ。”
保管の際、この部分の「ヴァルト」を「ヴァルディ」に修正してください。
- 222 名前:名無しさん:2010/09/19(日) 23:17:23 ID:OjAT8QGg
- フミカ姐さんの502SS来たよー
大分参考になるな
humikane
http://www.ne.jp/asahi/humikane/e-wacs/502.txt
定子接触編 文章はあれだが雰囲気くらいは・・・
4分前 webから
- 223 名前:名無しさん:2010/09/20(月) 00:52:00 ID:TkMYRSYQ
こんばんわ、DXUGy60Mです。10話のマルセイユ登場のエピソードで思いついた
ものを投下致します。最後まで読んで頂けたら幸いに思います。
>>222
502いいなぁ〜。
- 224 名前:Le Petit Prince:2010/09/20(月) 00:55:03 ID:TkMYRSYQ
「こんな夜更けにまで私を追いかけてくれるのは嬉しいが。生憎、サインはしない主義でね。子猫ちゃん」
「え?」
廊下には柔らかな月光が差し込む。
目前のマルセイユからいきなり投げ掛けられた言葉に、サーニャはどうしたらいいのかわ
からず、マルセイユをジッと、不安げな瞳で見つめていた。
「冗談だ。これから夜間哨戒なんだろ? リーリヤ」マルセイユは退屈な顔でそう呟いた。
「は・・・はい」
「まぁ、気をつけてな」
そう言い残して立ち去ろうとするマルセイユをサーニャは、
「ちょっとだけお話してもいいですか?」と言って呼び止めた。
「なんだい気が変わったのか? 私の方はそうじゃないんだが」
「い、いえ。サインとかじゃなくて」
「じゃなくて?」
「あ、アフリカの話を聞いてみたくて」
「・・・悪いが、睡眠時間を削ってまで人に自分の昔話を話す程、私はまだ年を喰ってな
いし、あの世界はあそこに行った人間にしかわからないよ」
「そう・・・なんですか」
「まぁ、機会があれば一度来てみればいい。案内ぐらいはしてあげるさ。オラーシャ生ま
れのあんたには、厳し過ぎる程の暑さだと思うけどね」
「あ、ありがとうございます」そう言って頭をチョンと下げるサーニャを見て、マルセイ
ユはほんの少しだけ口の端を上げる。サーニャの生真面目な態度が少々面白いのだろう。
「丁寧だな。ご褒美に、万が一サハラ砂漠の真ん中にストライカーごと墜ちたとしても、助けにいくよ。Le Petit Princeのように颯爽とね」
「Le Petit Prince? あのサンテグ=ジュペリのですか?」
「ん? あぁ、作者はそんな名前だったか」
「本はお好きですか?」
「いや、本は枕にする方が生に合っている。Le Petit Princeを読んだのも、読みやすかったのと仲間が貸してきたからだしな」
「どうでしたか? 好きなお話でしたか?」
「ん? ふふ、はははは!」
マルセイユは突然笑いだした。その表情は心から何かを楽しんでいるようだ。
ただ、サーニャに笑いの意味が汲み取れず、
「あの、私変なこと言いましたか?」と心細そうな顔で尋ねた。
「いや、すまない。今まで色々とインタビューは受けてきたが、本の感想を求められたのは初めてだからな」
マルセイユは笑い終えるとサーニャの瞳をジッと見つめる。サーニャは無意識に背筋をピョンと伸ばした。
「生憎、詩的な表現は苦手でね、感想を一言にすれば共感できる話だというところかな」
「共感?」
「実体験としてもいいな。男が砂漠で出会ったあの大公殿は、束縛からの解放を意味して
るんだろ? なら、私はあのアフリカという地で、大公殿と出会い。別れることなく今も共にいる」
サーニャは真剣な面持ちでマルセイユの話に耳を傾ける。
「もっとも、私は蛇に咬まれるヘマなんてできないね。私は・・・もう自身が星となった。守らなければならない花がいくつもできた」
マルセイユの視線が再びサーニャを捕らえた。
サーニャの胸は射すくめられたような鼓動を打つ。
淡い月の光を纏うアフリカの星は、神々しい存在にへと変貌し、僅かばかりの憂いを残す
瞳だけが、人間らしさを留めていた。
「こんな所でいいか?」
「えっ!あの・・・」サーニャはドギマギとし、上手く返事ができない。
その態度にマルセイユは何かを感じとると、ツカツカと歩を進めた。
「どうかしたか?」
「いえ、何も・・・」
距離が近づいたことでサーニャはマルセイユを見上げる形になった。
近くでみると、その美貌は一層際立った。
「そうか、ずいぶんと慌ててるじゃないか」
マルセイユは指をサーニャのあごにスッとあて、軽く上に持ち上げた。
2人の視線が絡み合う。
「花の手入れは嫌いじゃないんだ。あんたは、リーリヤ(白百合)だろ」
「えっ? えっ?」マルセイユの意図がつかめず、サーニャはしどろもどろになるばかりだ。
花。
確か、Le Petit Princeで花が意味しているのは・・・?
- 225 名前:Le Petit Prince:2010/09/20(月) 00:56:37 ID:TkMYRSYQ
「そういえば、スオムスのダイヤのエースもこの部隊にいたな」
サーニャの思考を遮るようにマルセイユは、そうつぶやいた。
「そいつに伝えておいてくれ、未来が視える者同士の戦いにも興味があると」
「あっ・・・はい」
「じゃあ、気をつけてな」
「・・・はい」サーニャはわけがわからぬまま、マルセイユの背中を見送ることになった。
そして、夜間哨戒のため自身も踵を返した。
あぁ、柱の影から睨まれていたんじゃ敵わないな。
マルセイユは苦笑をもらす。
あの2人がどんな関係かは知らないが、まぁダイヤのエースにとって、余程リーリヤが大切なんだろう。
ん? そういえば、l'essentiel est invisible pour les yeux と教えるのは狐だったか。
あいつにとっては、それは戦いのための未来予知かそれとも・・・。
マルセイユは呆れたような笑い顔をみせるのだった。
Fin
- 226 名前:名無しさん:2010/09/20(月) 16:46:04 ID:9RTXI/Vk
- >>225
マルセイユさん雰囲気あるなぁ……。
詩的な文章が素敵です。GJ!
- 227 名前:名無しさん:2010/09/21(火) 00:35:34 ID:QBOsnhnc
- >>225
マルセイユが凄く雰囲気よくてカッコイイです。
エイラとマルセイユの戦いも見たいなぁ。
- 228 名前:名無しさん:2010/09/21(火) 02:15:00 ID:AQJseFzE
- >>225
Bravo!マルセイユさん格好良過ぎる!
星の王子様ネタもぴったり!
- 229 名前:名無しさん:2010/09/21(火) 19:24:52 ID:AIdxenhQ
- http://www9.uploda.tv/v/uptv0084921.png
- 230 名前:名無しさん:2010/09/22(水) 00:38:16 ID:caYdsiFY
- >>222
見てきたけどフミカ姐さん502SS更新しまくりだなw
下原さん×ナオちゃんってアリダナ。
>>225
マルセイユさんかっけええぇ!
サーニャ大好きのエイラ可愛すぎるw
- 231 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/09/22(水) 01:04:58 ID:Qb2WM9cA
- >>225 DXUGy60M様
GJ! 星の王子さまネタがすごいしっくりきます。
マルセイユさんマジイケメン。詩的な内容が素晴らしいです。
こんばんは、mxTTnzhmでございます。
保管庫No.1307「elder sister」シリーズ続編です。
ではどうぞ。
- 232 名前:hear 01/03:2010/09/22(水) 01:05:28 ID:Qb2WM9cA
- 飴玉の包みをポケットから取り出す。
口の端できゅっと引っ張って解き、中身をそのまま口中に転がす。
やがて湧いてきた唾液に混ざりじわっと広がる、微かな甘味。
手と目は黙々と動き続け、自身のストライカーユニットに向かっている。
……今日も壊したよ。
……流石「ブレイクウィッチーズ」だな。
直枝は、そんな皮肉とも嫌味とも取れる言葉を整備士や同僚ウィッチ、上層部、その他基地の者達から嫌という程聞いてきた。
そんな事にも、もう慣れた。上官の怒号にも正座にも。
だけど。
結局は自分が何とかしないと、ストライカーユニットは飛ばない。
(飛ばないウィッチは只の無駄飯喰らいだ。飛ぶウィッチは只の壊し屋だ。……いや、オレは訓練された壊し屋、か。)
直枝は内心呟き、自嘲気味に口の端を歪めるも、数秒後、険しい顔つきに戻る。
黙々と、寒風が吹き込むハンガーの片隅で、作業を進める。
人手も資材も足りない時、ストライカーの調整や補修は自分で何とか、工夫するしかない。
がりっ。
手にしたレンチに力を入れた時、不意に飴玉が砕けた。舐めてるつもりが、気付けば奥歯で噛んでいた。
構わずそのままごりごりと噛み砕き、凝縮された甘味を無理矢理喉に流し込む。
魔導エンジン周りのワイヤー結線を元に戻し、外装を閉める。
ひとまず、ストライカーユニットは片付いた。
「あとは工具の後片付けだけね。お疲れ様」
背後で発せられた声にぎくりとして振り返る。
いつの間に居たのか、定子が微笑みを浮かべて直枝を見下ろしている。
「い、いつ来た?」
「管野さんが修理してる間、邪魔しちゃ悪いかと思って見てた」
「声位掛けろよ」
邪魔しちゃ悪いでしょ、と定子は繰り返した。
「で、何か用か?」
整備中にせよ背後を取られっぱなし、それに全く気付かなかった事も少し苛立ちに加わり、直枝はぶっきらぼうに呟く。
「お夜食用意したんだけど、どう?」
「別に要ら……」
途端に直枝の腹が鳴る。食欲とはかくも正直なものだ。
「ほら、お腹減ってるじゃない。おいで」
定子は直枝の手を取った。
「ちょ、ちょっと待った」
直枝は慌てて定子の手を振り解く。
「?」
「オイルやら煤やらで汚れてるんだ。洗ってくる」
「はいはい」
定子は笑顔で待った。
- 233 名前:hear 02/03:2010/09/22(水) 01:05:50 ID:Qb2WM9cA
- 閑散とした食堂に連れて来られた。テーブルの端、ストーブ近くの暖かい場所に座らされる。
用意されていたのは、綺麗に海苔が巻かれたおにぎりが五個。たくあんが二きれ。夕食の残りの味噌汁に、肉じゃが。
何もかもが不足気味の基地では、夜食が出る事自体が信じられない事だ。でも目の前に整然と並んでいる。
「おつゆと肉じゃがは温め直したから、少し味が濃いかも」
定子は直枝の箸をそっと置いた。
「少し位大丈夫。何たって下原の飯はウマい」
直枝は箸を掴んだ。
「どうぞ、召し上がれ」
定子が言う前から直枝はがっついていた。
「やっぱりお腹ペコペコだったんでしょ?」
定子の問いに、直枝は一瞬手を止め、目を合わせずに、こくりと頷いた。そしてすぐさま食事の続き。
「幾ら何でも、ストライカーユニット壊した罰で食事抜きって酷いよね」
定子が呟く。聞いた直枝は何とも言えない表情を作る。
「どうしたの管野さん?」
「いや……だって、壊したのはオレのせいだし」
「だけど、管野さん今日も頑張ったよ? 大物を三匹に、小物は……」
「ザコは無視。でも鬱陶しいのは四つ落とした」
まるでハエを追い払ったかの如くしれっと言ってのける直枝。トップエースなのか大物の器なのか単なる命知らずなのかは“謎”としておきたい。
「じゃあ、全部で七つ。凄いね、管野さん。私には出来ない」
「オレの真似すると、死ぬぞ?」
定子は思わず吹き出した。つられて直枝も笑った。
四つめのおにぎりを食べ終わり、残りの肉じゃがに箸をつけたところで、定子は不意に真面目な顔をして言った。
「でも、自分も最後墜落しちゃ、良くないよ? みんな、凄い心配してたんだから」
「嘘だろ? いつもの、日常茶飯事程度にしか思ってないって」
「そんな。少なくとも、私は思ってないよ。心配したんだから」
定子は直枝の真横に座ると、ぎゅっと抱きついた。
「ちょ、ちょっと……まだ食べてる途中だって」
「食べてる管野さん可愛い」
「ええっ?」
「戦ってる管野さんは凛々しくて」
「な、何言ってるんだ? おだてても何も無いぞ」
「私のご飯を残さずたくさん食べてくれる」
「ウマい飯を残すなんてバチが当たる。下原の料理はウマいし」
「誉めてくれてありがとう。もっと食べてね」
「……うん」
顔を紅く染めて頷く直枝。もそもそと箸を動かす。
「あ、照れてる。可愛い」
「下原がからかうから!」
「ふふっ」
定子は小柄な直枝を持ち上げると、自分の膝の上に乗せた。
「ちょ、ちょっと……食べにくい」
「あーんしてあげようか?」
「いや、それは流石に……とにかく食べないと」
本能かそれとも別の予感か、慌てて箸を進める直枝。
食べられる時にしっかり食べておけ。とは訓練生時代に言われた事だが、今の直枝はまさにぴったりの状況だった。
夕食を食べ損ねた分、しっかりと取り返しておかないといけない。腹が減っては戦どころではない。
ひとしきり食べ終わり……おにぎりにたくあん、味噌汁を全部平らげ、肉じゃがはつゆまで綺麗に飲み干し、ようやく一息ついたところで直枝は箸を置いた。
「ご馳走様」
こう言う時でもきちんと礼を言うのは直枝の素直で良いところ。
「どういたしまして」
定子は直枝を抱っこしたまま微笑んだ。頬と頬の距離が近い。
「なんか、少し、ほっとした」
ぽつりと呟く直枝。
「しっかり食べたからね」
「ああ。だって……」
「だって、何?」
しばしの沈黙。
「下原の作る料理って、何か、こう、……ああ、何て言えば良いんだろ」
「焦らないで。ゆっくり聞かせて?」
「うーんと。だから、その……」
「あっ……」
定子が目ざとく何かを見つけた。一瞬、ぎゅっと直枝を抱く腕に力が入る。その力のせいか、二人の頬が触れ合う。
「えっ?」
直枝が定子を見る。何かを見て、怯えているのか。それとも?
- 234 名前:hear 03/03:2010/09/22(水) 01:06:19 ID:Qb2WM9cA
- 正面を見ると、いつ来たのか、アレクサンドラが仁王立ちしていた。
「管野少尉、何をしていますか」
「うわっ、大尉!? いつの間に!」
「そんなスキだらけだから撃墜されるんです! 下原少尉も、何故管野少尉に夕食を?」
「夕食ではありません。整備のついで、軽い夜食にと思って……」
テーブルに広がる皿とお椀の数を見てアレクサンドラは苦々しく言った。
「これのどこが軽いんですか?」
「分かりました、すぐ片付けます」
「中身はもう全部無いでしょう!」
呆れ半分のツッコミを入れた後、アレクサンドラは、はああ、と溜め息を付いた。
「良いです。下原少尉、食器の片付けを。管野少尉、来なさい」
「えっ」
「何か?」
ぎろりと見返すアレクサンドラの瞳。只の怒りではない、嫉妬が混じるその色を見、直枝は硬直した。
「どうしたの管野さん」
「いや違う下原、違うんだ。サーシャも違うんだ、その」
「サーシャ? えっ、呼び捨て? それってどう言う……」
聞き慣れない言い方に戸惑う定子。
「ば、バカっ! 人前で何て事をッ! このバカっ!」
アレクサンドラは顔を真っ赤にし、焦ってぽかぽかと直枝の頭を叩き、腕をがっしり掴むと、ずかずかと歩き出した。
「あ、管野さん……」
「ま、待って! 下原、これやる! 夜食の礼だ!」
直枝が慌てて投げて寄越したのは、ポケットにしまっていた飴玉。
それだけを“形見”代わりに定子に託すと、アレクサンドラに引きずられ、直枝は部屋から居なくなった。
ぽつんと一人残された格好の定子は、嵐が過ぎ去った食堂に一人佇み、空の食器を見つめた。
鍋や食器を全て片付け、洗いながら、ふと飴玉を口にする。
ほのかな甘露が、舌の上でゆらりゆらりと踊る。
「甘いね」
定子は少し寂しそうに、呟いた。
end
--
以上です。
続きはこのあとすぐ!
まさかのフミカネ先生のつぶやき&SSに驚きの今日この頃です。
ではまた〜。
- 235 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/09/22(水) 01:07:57 ID:Qb2WM9cA
- と言う訳で>>232-234「hear」の続きを即投下しますのでどうぞ。
ややエロ、と言うか人によっては割とエロいかも知れません。
嫌いな方はご注意を。
ではどうぞ。
- 236 名前:white breath 01/03:2010/09/22(水) 01:09:24 ID:Qb2WM9cA
- 自室に連れ込むなり、厳重に鍵を掛け、その上でぎろりと直枝を睨む。
びくりと身体を震わせる直枝。アレクサンドラはそのまま直枝の襟首を掴んだままベッド際までよりきった。
「説明、して貰おうかしら?」
ぎりぎりと首を絞められる直枝。
「ち、違うんだ、誤解だ……誤解なんだって……わっ!」
ベッドにどーんと突き飛ばされ、転がる直枝。乱れた息が咳となり、少し止まらずにけほけほとむせる。
ちらっと上を見る。真上にアレクサンドラの顔がある。
「どうして、下原少尉のお膝に抱っこなんか?」
「あ、あれは下原が勝手に」
「拒まなかったのですか」
「だって、食事中だし」
「扶桑では食事の最中には、ああ言う行為をするんですか」
「……普通はしない」
「じゃあ、下原少尉とは」
「ホント、何も無いんだってば! ああもう、何度も繰り返させるな!」
思わず怒鳴って、はたと気付く。アレクサンドラが涙ぐんでいる。怒らせて、しまいに泣かせてしまった直枝は自分を呪った。
「ご、ゴメン」
「バカ」
直球の一言に心えぐられる直枝。
「サーシャ、信じてくれ。オレは、サーシャだけなんだってば」
おろおろしながらサーシャの肩に触れる。「触らないで!」と腕を弾かれるのを覚悟で。
そっと、肩を抱く。ベッドに座らせ、ゆっくりと抱き寄せる。
こうでもしないと、落ち着かない気分だった。直枝自身が。
ふと気付くと、ベッドの上でがっしり肩を押さえつけられている事に気付く直枝。
「い、いつの間に?」
「そんなだから、いつもいつも……」
「いやいやいや、今のは確実に動きが違うぞ!? 軍隊格闘術(コマンドサンボ)的な何か……ぐるじい、首絞めないで」
「じゃあ、首の骨をずらす?」
「死ぬわ!」
「死なないわ。やり方によっては。身体が一生動かなくなるけど」
「それはもっと嫌だ!」
「大丈夫。私が一生面倒を見てあげるから」
ふふふ、と笑うアレクサンドラ。目にはいくばくかの狂気が涙と混じり、不思議な色を見せる。
「サーシャ、誤解なんだって」
「下原少尉とご飯を食べて、いちゃいちゃして……」
「そ、それは……。誤解させたなら謝るから……」
「悪い子には罰を与えないと」
アレクサンドラは直枝を組み伏せると、しゅるりと服を脱がしに掛かった。
「サーシャ?」
「おしおき」
そのまま足を器用に絡ませると、直枝のボディスーツをあっという間に脱がしてしまう。
「なっ! や、やめ……」
直枝の言葉は続かなかった。熱い吐息に変わり、やがて規則的な、悲鳴にも似た喘ぎ声に変わる。
アレクサンドラの手が、直枝の秘めたる部分をしつこく、舐る。アレクサンドラの唇が直枝の首筋をなぞる。
そして彼女の舌が、荒い呼吸を繰り返す直枝の唇を舐め、入り込み、舌を絡ませる。
太腿をぐいと押しやり、直枝の股を無理矢理に開かせる。
「まるで犬ね。私の可愛い……」
アレクサンドラは直枝の耳元でそう囁くと、くちゅ、と音を立てて直枝を玩ぶ。
「だめ、だめだっ、そ、こは……。あ、ああぁああ! ……っ、あ、う、ううっ……ん……」
悶えそのままびくびくと全身を痙攣させ、ぐたりとベッドに沈む直枝を、アレクサンドラはぐいと引き起こし強引にキスに持ち込む。
濃いキス。
快楽の絶頂を迎え、恍惚の表情の直枝。全裸の姿を愛おしそうに肩越しに眺め、もう一度唇を重ねる。
これでもかと言う程、舌を絡ませる。
為す術の無い直枝は、アレクサンドラの全てを受け容れ……なすがままにされる。
「まだ、これから……貴方をもう一度撃墜したら、今度は一緒に、ね?」
アレクサンドラは耳をはむっと唇でくわえ、耳たぶをねっとりと舐める。手はそのまま直枝の敏感な所を更に刺激する。
「んっ……う、……う、ああっ、うわああぁあぁぁああ……」
獣の奴隷と成り果てた直枝は、ただただ、玩ばれた。
二度目の痙攣。身体の震えは前よりも一層激しく、快楽の果てに、ぱしゃあとベッドの上に飛沫を撒き散らす。
「あっ、ああぁ……。止まらない……」
「ふふっ。素直な子。好きよ、ナオ」
「サ、サーシャぁ……」
瞳を潤ませ、直枝はアレクサンドラのキスをねだった。
「さあ、次は私の番……一緒に……」
アレクサンドラは直枝の手を握り、自分のズボンの中に入れ、手を握ったままちゅくちゅくとかき混ぜる。
「サーシャ……」
何かに気付いた直枝。ぼおっとした顔をアレクサンドラに向ける。
「貴方のそんな顔見てると……私だって、うっ……んんっ」
アレクサンドラは直枝と絡み合ったまま、ベッドに倒れ込んだ。
- 237 名前:white breath 02/03:2010/09/22(水) 01:09:55 ID:Qb2WM9cA
- 何度絶頂を迎えたのだろう。快感へのスイッチとなる手と指はお互いの敏感な部分に絡ませたまま……、
アレクサンドラと直枝は涙を浮かべながら身体を震わせ、熱い吐息を頬に掠らせながら、もう一度キスを交わす。
「サーシャ……もう、ダメ」
「まだ、まだよ。まだ終わってない」
「お願いだから……もう」
アレクサンドラは、涙ながらに懇願する直枝の顔を見て、このまま自分のベッドの上で“快楽漬け”にして溺れさせてしまいたい、そんな衝動に駆られた。
おもむろに腰をうねらせ、絡んだ指先を敏感な部分にあてがい、動かす。
びくりと身体を震わせ、がくがくと痙攣する直枝。
「さ、サーシャ……ああ……あ……」
だらりと差し出された片手をぎゅっと握り、だらしなく半開きのままの唇を塞ぎ、じっくりと味わう。
直枝はアレクサンドラと口吻したままびくり、と身体を大きく震わせ、そのままぐったりと倒れた。
気を失った直枝の身体にまたがり、微かにぴくりと震える直枝の指を掴み、自分で快楽を呼び起こす。
まるで死者に鞭打つかの如く、直枝の太腿、秘所を己のそれにあてがい、押しつける。
暫く直枝の手で自らの身を玩んだ後、身体をびくつかせ、アレクサンドラも直枝の横に倒れ込んだ。
むわっとした、独特の臭い。少々の酸味。
部屋にこもる「事後」の臭気にまみれながら、アレクサンドラと直枝は全裸のまま抱き合っていた。
寒さ凌ぎの為、毛布をぞんざいに身体に巻き付ける。
「サーシャ、ごめん。ベッド汚した……」
「後で掃除するからいいわ」
アレクサンドラはそう言うと、直枝に身体を預けてきた。触れ合う素肌。肩を寄せ合う。
解けたブロンドの髪が、はらりと直枝の顔をくすぐる。手に取って臭いを嗅ぐ。
紛れもない、アレクサンドラの香りが染み込んだ、彼女の髪だ。さらさらしてて、くすぐったい。
直枝は大きく深呼吸する。吐息が微かに白い。意を決したかの如く、愛しの人の名を呼んだ。
「サーシャ、聞いてくれ」
「何?」
「あれは、本当に、夜食を食べさせて貰っただけで、オレと下原とは何も……」
「もういい」
「えっ?」
「貴方って何処までも愚直なのね、ナオ」
そう言ってアレクサンドラは直枝の唇を塞いだ。
しばしお互いを味わうと、そっと唇を離し、微笑んだ。
「分かってる。貴方は嘘がつけない人だから」
「えっ……じゃあ」
「ごめんなさい。分かってても、それでも、何か悔しい事って有るでしょう?」
黙って話を聞く直枝。目が合う。続きを促した直枝に向かい、少し寂しげな表情を作るアレクサンドラ。
「嫉妬、ではないけど……。どうしても、確かめたくて」
「確かめる?」
「私と貴方」
アレクサンドラは寂しげに笑う。
「貴方の弱みにつけ込んで……私も悪い子、ね」
「そんな事無い! オレのせ……」
言いかけた直枝の唇に、人差し指をそっと重ねるアレクサンドラ。
「もう良いから。だからナオ、最後にもう一度だけ、して?」
「わ、分かった……」
ごくりと唾を飲み込むと、そっと口吻を交わす。
それが延長第一ラウンド開始の合図。
二人は迷わず、お互いの身体に絡み付き、そのまま深みに溺れていった。
- 238 名前:white breath 03/03:2010/09/22(水) 01:11:55 ID:Qb2WM9cA
- 部屋を片付け……濡れたベッドシーツを洗いに出し……服とズボンを着込み、可能な限り身なりを整える二人。
外はまだ暗いが、時計の針はそろそろ隊員達の起床時間が近い事を示している。
「さて。行くか」
「ええ……あ、思い出した」
「?」
「私には、くれないの?」
「何を?」
「飴玉」
「ああ……。あれは下原にあげたので最後だ。また扶桑から補給が来たら……」
「楽しみにしてる」
「でも飴玉だったら、扶桑以外にも甘くて美味しいのが……」
「貴方がくれるのが、良いの」
「分かった。じゃあ、先に行く」
「待って。最後に」
アレクサンドラは直枝の顎をすくいあげると、そっとキスをした。
舌を絡ませ、最後とばかりにじっくりと味わい尽くす。絡まるお互いの唾液が、雫となってこぼれ落ちる。
「これ以上は……、また始まっちゃうから。そうね。今夜も」
唇を離したアレクサンドラは苦笑した。
「そ、そうだな。つ、次はもっと……」
「もっと、何?」
「な、何でもないッ! では失礼する」
直枝は顔を真っ赤にして、アレクサンドラの部屋から大股で出て行った。
外の冷たい風がドアから一瞬吹き込み、部屋の空気を掻き乱す。それはアレクサンドラの心と一緒で……
いつになったら直枝とずっと一緒に居られるのか、いつまでもこう言う関係で居られるのか。
不安が渦巻く。
ばたんと勢い良く閉まるドアの音が、淋しさを強くする。
いけないいけない、とアレクサンドラは頭を振った。
こんな気持ちにさせるのは、数多くのウィッチの中でも、管野直枝ただ一人。
勿論、いけないのは私も一緒。でも、もっといけないのは、私の、扶桑の魔女。今夜は、もっと……。
ふと口の端に笑みが浮かぶ己を戒めると、アレクサンドラはいつもの「戦闘隊長」としての凛とした表情を作り、部屋を後にした。
end
--
以上です。
エロスな表現は難しいですね。もっと修行を積まなければ。
と言うかストライクウィッチーズは空戦、恋愛、情景描写、時にエロスと
全方位の表現力が試されるので難しいですね。
今回、偶然にもフミカネ先生執筆のSSが502の面々と言う事で
びっくりしました。なるべく(呼称とかで)整合性を持つ様にしましたが
色々な差異等はご了承を……。
ではまた〜。
- 239 名前:今日の502:2010/09/23(木) 00:08:20 ID:xpnd.o/g
- 「まったくあのニセ伯爵、人のことをいつもいつも……」
「どうかしたんですか、サーシャ大尉」
「ああ、ジョゼさんに下原さん……いやね、クルピンスキー中尉が私のことを呼ぶでしょう」
「?」
「ほら、アレよアレ」
「熊さんのことだろ」
「ニパさんっ!!」
「い、言ってるのは私じゃないだろ! 怒んなよな!」
「…………ええそうよね。こんなことニパさんにはわかるわけない話よね」
「なんだよその言い方」
「それじゃあニパさん、あなたの使い魔は?」
「フェレットだけど」
「ジョゼさんは?」
「ペルシャ猫ですが」
「下原さん」
「扶桑ウサギです」
「なんで私だけホッキョクグマなのよ――――っ!!」
「お、落ち着けって。熊にだっていいとこがたくさんあるだろ」
「――たとえば?」
「………………」
「どうして黙るんですか!」
「えーと、ほら、あれだ。白い」
「別にいいところじゃありません。他には?」
「え、他?」
「たくさんあるんでしょう?」
「あー、あれだよあれ――な、ジョゼ」
「えっ、私? えっと……ごつい」
「それはむしろ悪いところでしょう!?」
「ご、ごめんなさい……えーっと……ねっ、定子ちゃん」
「えっ、私ですか? えーと……空手家に倒される」
「それも違う! ていうか倒されちゃダメ!」
「――あっ、そうだ。女の子とか熊のぬいぐるみ好きじゃないですか。可愛いですよね」
「あー、それはあるかも……」
「まあ可愛いのはぬいぐるみだけで、実物はというと」
「おい、下原!」
「フォローになってない! 定子ちゃん、フォローになってないよ!」
「そ、それより――そういえば知ってますか? ナオちゃんの使い魔はブルドッグだって」
「あー、なんかぽいな」
「ねー」
「ロスマン先生は狐なんだってな」
「いいですね、賢そうだし可愛いし」
「ラル隊長は狼ですよね」
「おー。かっこいい」
「ところでサーシャ大尉は?」
「ホッキョクグマです……ってなに言わせるんですかっ!」
「おや、こんなところで集まってどうしたんだい? みんなで猥談?」
「う゛……最悪のタイミングでクルピンスキー中尉が」
「みんなの使い魔について話してたんです。そういえば中尉の使い魔ってなんでしたっけ?」
「ん。ワイマラナーだよ」
「わいまらなー、ですか?」
「そう。カールスラントの狩猟犬でね、獲物となるのはウサギとか狐、
大きいものになると熊なんかも獲るんだけど……おや、どうかしたのかい?」
- 240 名前:名無しさん:2010/09/23(木) 00:10:48 ID:xpnd.o/g
- 以上です。
フミカ姐の読んでたら自分の使い魔気にしてるサーシャに頭の回線がやられました。すいません。
あと全然絡ませられなかったけどナオちゃん誕生日おめ!
>>234,238
なにこのやきもちサーシャかわいい!
そんなのどうだっていいから冬のせいにして暖めあえばいいと思うよ! 思うよ!
つか最速ではもうじき最終回なのか……orz
- 241 名前:5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2010/09/23(木) 00:56:46 ID:OJJgUq4U
- >>234、>>238、>>239
GJです。サーシャ大尉は可愛いなぁ
こんばんは、502ラッシュにあやかって自分も1本書いてみました。
定子さん×ナオちゃんで1レスお借りします。
ではどうぞ
- 242 名前:あなたのために:2010/09/23(木) 00:57:42 ID:OJJgUq4U
「いや〜下原の作ってくれる肉じゃがは世界一美味いな」
「ええ!? そ、それは大袈裟ですよ〜」
「あら、謙遜することないわ。下原さんの肉じゃが、とっても美味しいわよ」
「はっはっは! こんな美味い料理を毎日食べられるなんて、将来下原の夫になる奴は幸せ者だな」
「さ、坂本さん! やめてくださいよ〜私にはまだそういう話は早いです」
「ふふふっ、そうね。でも、いつか下原さんの前にも現れると思うわ。自分の料理を
毎日振舞ってあげたくなるような運命の人が」
「そ、そうでしょうか……?」
――竹井さん、坂本さん、私、運命の人を見つけました。
『あなたのために』
――9月23日深夜、菅野直枝少尉の部屋前
「下原です。一緒に金平糖、食べませんか?」
私がそう言って石造りの部屋の扉をコンコンと叩くと、数秒もしないうちに部屋の主さんが扉を開けてくれた。
「おう、入れ入れ」
満面の笑みを浮かべ、私を招き入れてくれる菅野さん。
ふふっ、本当に菅野さんの笑顔は可愛いな。
「か〜んのさん! えい!」
私は、仔犬のように可愛い菅野さんを思わずぎゅっと抱きしめていた。
菅野さんの身体、すごく暖かくて柔らかい。
「わっ! 馬鹿やめろ、な、なんでいきなり抱きついてくるんだよ」
「だって、菅野さんが可愛いかったから」
「だってじゃない! 離れろ」
菅野さんを抱きしめていた私の腕は、不機嫌そうな彼女の腕によって引き剥がされた。
もうちょっとぎゅってしてたかったのに、残念。
「大体、オレは今日で16歳になったんだ。可愛いなんて言われる年齢じゃねぇよ」
「そんなことないですよ。ほら、菅野さんって同い年のニパさんと比べると背が低いから
幼く見えますし」
「怒るぞ」
菅野さんが頬を膨らませて私を睨んでくる。
ああもう、怒ってる菅野さんも可愛いな。
「その表情、反則です。可愛すぎます。えいっ!」
私は菅野さんの細見の身体を再びぎゅっと抱き寄せる。
「だから、抱きつくな〜! 全く、下原といると調子狂うなぁ……金平糖、一緒に食べるんじゃなかったのか?」
「あっ、そうでした。はい、どうぞ」
私はポケットから小瓶を取り出し、中の金平糖を数粒菅野さんに渡す。
「おお、サンキュな……うん、美味い」
「ええ、甘くてとっても美味しいですね」
「なぁ、下原」
「なんですか?」
「その……今日は本当にありがとな。下原の料理、すごく美味しかったよ。あっ、もちろんいつもの下原の料理も
美味いけど、今日のは格別に美味しかった」
菅野さんが今日一番の笑顔を浮かべながら言ってくれた。
その笑顔、眩しすぎです菅野さん。
「喜んでもらえてなによりです。喜んでる菅野さんを見てるとこっちまで嬉しくなっちゃいます。
私、これからも毎日菅野さんが喜んでくれるような料理、作りますね」
「ば、馬鹿! 何恥ずかしいこと言ってんだよ……でも、定子の料理、本当に美味いから毎日食べてやってもいいぞ」
菅野さんが少し顔を赤らめながら、さり気なく私を名前で呼んでくれた。
もう駄目、可愛すぎて我慢できない。
「ナオちゃん、大好き!」
「わっ!」
私は本日3度目のハグをした。
さっきより一層強くナオちゃんを抱きしめる。
本当に暖かい。
「ねぇ、ナオちゃん」
「な、なんだ?」
「改めて、誕生日おめでとう」
「……ありがと」
――竹井さん、私、巡り合えましたよ運命の人に。
〜Fin〜
- 243 名前:5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2010/09/23(木) 00:59:00 ID:OJJgUq4U
- 以上です、ナオちゃん誕生日おめでとう!
それにしてももう2期終わっちゃうのか・・・あっという間の1クールだったなぁ
ではまた
- 244 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/09/23(木) 01:27:53 ID:VO3GJJ..
- >>240様
GJ! 使い魔談義可愛いです! ほっこりしました。
オチの伯爵が……w
>>243 5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2様
GJ! これは良い定ナオ。運命の人ですね、これは。
さらっと凄いことを言うナオちゃんも萌えます。
こんばんは、mxTTnzhmでございます。
保管庫No.1307「elder sister」シリーズ続編です。
>>232-234「hear」、>>236-238「white breath」の続きという事で
短いのをひとつ書いてみました。
ではどうぞ。
- 245 名前:aqualovers:2010/09/23(木) 01:28:13 ID:VO3GJJ..
- 吹雪が一段落した、502基地周辺は視界が白く遮られていた。
そんな中、黙々とハンガーの脇で整備を続ける直枝。
今日の出撃の結果は半壊に近い状態だった。いわゆる「全損」ではないのがせめてもの救い。
整備士がある程度の状態まで回復した後は、自分の好みに合う様幾らかの「調整」をしないといけない。
基地施設……屋根の補修が追いつかず、直枝の近くに、ストーブの熱で溶けた雪の痕が、ぽたりぽたりと滴り、小さな水たまりを作る。
だがそんな事にはお構いなしの直枝。
ポケットに手をやる。何も無い。
飴玉は、そう言えばこの前下原にあげたので最後だった、と言う事を思い出す。
無いものは、仕方ない。
直枝は作業に戻る。
完全とは言えないまでも、きちんと修理・修復された部品を確かめる。
「問題なし、か」
ぽつりと呟き、外装を元に戻し、工具を片付ける。あらかた終わった所で、背後に人の気配を感じ、顔を向ける。
アレクサンドラだった。
「大尉……」
呼ばれたアレクサンドラは、辺りを見回して微笑んだ。
「今はサーシャでいいわ、ナオ。周りには誰も居ないし」
「あ、ああ、サーシャ。どうかしたか?」
「はい、これ」
アレクサンドラは、可愛く折った包みを差し出した。
作業用の手袋を取り、タオルで手の汚れを拭き取ってから、渡された包みを開けてみる。
キャンディー。キャラメル。各国の様々なお菓子が、少しずつだが入っていた。
「これは……」
驚く直枝に、アレクサンドラは顔を近付けて聞いた。
「こう言うのは、嫌い?」
「いや、好きだけど。でも、どうして?」
「いつも頑張っているから、ご褒美」
「ご褒美……」
「あと、今日は貴方の誕生日でしょう? ちょっとしたお祝いも兼ねて」
「ああ、そうか。すっかり忘れてた」
「自分の誕生日くらい、覚えてなさいよ」
アレクサンドラは苦笑する。
「本当はもっとお祝いしてあげたいけど、502(ここ)ではこれが精一杯。ごめんなさい」
「サーシャが謝らなくても。サーシャは何も悪い事してない」
直枝の言葉に、サーシャは笑顔を作る。
「有り難う、ナオ」
「それはこっちのセリフだ。有り難う、サーシャ。気を遣って貰って」
「だって私の大事な……」
ぎゅっと直枝を抱きしめるアレクサンドラ。顔を真っ赤にして、抱かれるままになる直枝。
「ひとつ、良いか?」
「どうぞ」
キャラメルをひとつ、食べる。寒さでこちこちに固まっていた欧州菓子は、口で温められるうちに
まろやかな口当たりになり、まったりとした口溶けで直枝の気持ちをほぐしていく。
「どう?」
「ん。うまい」
「良かった」
「サーシャの事だ、きっと色々無理を言って……」
「そう言う事は、言わないの」
「ご、ゴメン」
「私にも少し、分けて?」
「え、どれを?」
包みに手を伸ばす直枝の手を取り、アレクサンドラはそっと、くちづけをした。
自然と絡み合う舌。きゅっと抱きしめる腕に力がこもる。
ふたりの吐息が混じり合い、辺りにうっすらとこぼれ、拡散し、消える。
「本当。甘いね」
ぽつりとアレクサンドラは言い、微笑む。
「うん」
「整備はもう明日にして……今夜は、ね?」
耳元で囁くアレクサンドラの誘いはとても甘美で……抗えない。
こくりと頷く直枝。
二人は肩を寄せ合い、ハンガーを後にした。これから始まる二人だけの“お祝い”の為、足取りも自然と早まる。
end
- 246 名前:名無しさん:2010/09/23(木) 01:28:57 ID:VO3GJJ..
- 以上です。
フミカネ先生のSSは物凄い影響がw
ともあれ、ナオちゃん誕生日おめでとーと言う事で。
間も無く、最速地域では最終回。
あっという間でしたが、ウィッチーズの世界は
まだまだ続いていくものと思いたいです。
ではまた〜。
- 247 名前:名無しさん:2010/09/23(木) 01:53:37 ID:7.nNohGo
- >>mxTTnzhm様
GJです!elder sisterシリーズ大好きです!
ヤキモチを焼く熊さんが可愛すぎるけど怖いw
熊さんをヤキモキさせるナオちゃんは快楽漬けにされてしまえー!
hearの下原さん→ナオちゃん(違っていたらゴメンナサイ)も切なくて良かったです。
途中までお母さんと娘的なほのぼの話かと思っていましたw
最後の「甘いね」の文章を読んだ後にもう一度読み直すと違った視点で読む事が出来て二度美味しい!
ナオちゃんが下原さんに何が言いたかったのか凄く気になります。
次回作期待しています!
>>239
ホッキョクグマ可愛いのに!!気にする事無いのに!!
でも気にしちゃって悩む熊さんが可愛い。
一番空気読めそうな下原さんが一番空気読めてない所に笑いましたw
>>5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2様
ニタニタしながら読ませて頂きましたw
苗字呼びから名前呼びに変わると何か一線を越えた感じでドキドキしますね…
お互い遠まわしに告白してる所に萌えます。
- 248 名前:名無しさん:2010/09/23(木) 01:56:47 ID:7.nNohGo
- 書いている間に新作が…orz
- 249 名前:名無しさん:2010/09/23(木) 05:40:05 ID:B9/rgnrM
- ラッシュにレスが間に合わない。
レスだけじゃなくてナオの誕生日合わせも間に合わない予感。
みんなGJです!
- 250 名前:名無しさん:2010/09/24(金) 00:45:48 ID:t3NXF54Y
- どうも。6Qn3fxtlです。
フミカネ先生のSS連投にびっくりしていたら、こっちも投稿ラッシュ!
皆さんGJです!
>>239
使い魔のこと気にしてるアレ熊さんかわいい!
伯爵がいろいろと狩りしちゃうのも使い魔が使い魔だから
仕方ないんですねw
>>242
定ナオいいですね……。読んでてほっこりしました。
冒頭でさりげなく扶桑の魔女っぷりを発揮してるもっさんもいいキャラです。
>>245
この二人は、というか、このシリーズのサーシャは艶めかしくていいですw
積極的なサーシャが魅力的です。
さて。この流れで投下するのはちょっと恥ずかしいんですが、
ナオ誕置いていきます。
2レスお借りします。
- 251 名前:502の、ちょっと隠し事な一日 ( 1/2 @ 6Qn3fxtl ):2010/09/24(金) 00:47:04 ID:t3NXF54Y
- 最近の502基地は、変だ。
いや、変なやつが多いっていうのは前から変わらないんだけど、
そういう意味じゃなくて、何か様子がおかしい。
なんだかやけにそわそわしてるやつが多いし、妙にこそこそしてるやつもいる。
でも、ラル隊長もロスマン先生も何にもいってこないから、
ネウロイの動きが活発になってるとかいうことではないみたいだ。
ニパは相変わらず俺と一緒にハンガー掃除ばっかりしてるし、
伯爵は伯爵で、今度は街の娘に手出してるらしい。
サーシャは相変わらず訓練中は厳しいし、
ロスマン先生の授業は面白いし、
ラル隊長は何やってんのかよくわかんないし。
何にも変わっちゃいない。それなのに、なんか隊の雰囲気がおかしい。
気に食わない。
大体、最近は大型が全然出てきてないから余計にむしゃくしゃする。
ユニットの壊しようがないからサーシャに怒られることはないけど、
ザコの相手ばっかりは正直、つまらない。
やっぱ、戦いってのはネウロイとガチンコ勝負してこそだろ。
それやると毎回サーシャにすっげー怒られるけど。ユニットもぶっ壊れるし。
あぁ、いらいらする。いらいらすると腹が減る。
下原に頼んで、何か食べるもん、もらってくるかな。
-----
食堂に行くと誰かが台所で料理の下ごしらえをしてるみたいだった。
水音や包丁の音に混じって聞き覚えのある鼻歌が聞こえてくる。
「ジョゼか?そこにいるの」
「あっ、ナオちゃん……」
俺の声にびくっと体を震わせて、ジョゼが振り向いた。
なんとなく、嫌そうな顔をしてるのが気になる。
「ど、どうしたんですか?こんなとこに」
「いや、腹へったからなんか食うもんないかと思って」
「す、すぐに食べられるものはちょっと……」
「ふぅん……」
そうやって話してる間もジョゼは妙にそわそわしてて、
俺が向こうに行くのを待ってるみたいだ。
「おい、ジョゼ」
「はっ、はいっ!」
「お前、なんか俺に隠してるだろ」
「そっ、そんなことないですよ」
「うそつけ。さっきからソワソワしやがって。
そこに何か隠してんだろ!」
「あっ、台所はダメですっ!」
「やっぱりなんか隠してるんじゃねーか!!」
「だから、ダメですってば!!!」
「こら、ナオちゃん。ジョゼさんいじめないの」
「下原さぁん……」
後ろから下原にぽふっと抱きしめられて動けなくなる。
ジョゼは心強い味方にほっとしたのか泣きそうになっている。
「だめよ、ナオちゃん。人の嫌がるようなことしちゃ。
そんな悪い子にはお菓子あげないよ?」
下原はニコニコした声で俺の頭を優しくなでてくる。
くすぐったいし恥ずかしい。
「だって、ジョゼの奴、俺に隠し事しやがって……」
「じゃあ、お菓子いらない?」
「……いる」
俺の答えに下原が嬉しそうに笑う。
「一緒に来て。昨日、扶桑からたくさん届いたの」
そういって下原は俺の手をひいて、裏の物資倉庫に連れていった。
-----
下原もジョゼも、やっぱり何か隠してる。
ベッドに座って、ふ菓子をかじりながら俺は一人考えていた。
さっきはうまくごまかされたけど、どうも俺になにか隠し事をしているらしい。
しかも、下原やジョゼだけじゃなくて隊全体がこそこそしてる。
気に食わない。
俺にいえないってことは、何か俺にとって都合のよくないことが起こってるってことだ。
例えば、ストライカー壊しすぎたから本国に送りかえされるとか。
……心当たりがありすぎて不安だ。
もしかしたら、ブレイクの3人はみんな首かもな。
これまた十分ありえる話だから困る。
そうすると、今日いきなり訓練が中止になったのも納得できる。
もう首になるやつらに訓練する必要なんてないもんな。
……なんだか、情けなくて悔しくて、涙が出そうになる。
扶桑に帰れるのは嬉しくないとはいわない。
姉ちゃんにも母ちゃんにも会いたい。
でも、こんな形で帰るのなんて嫌だ。
だって、姉ちゃんと約束したんだ。
俺が絶対姉ちゃんを守るって。
俺がネウロイを倒すって。
それなのに……。
- 252 名前:502の、ちょっと隠し事な一日 ( 2/3 @ 6Qn3fxtl ):2010/09/24(金) 00:51:53 ID:t3NXF54Y
- 不意にドアを叩く音がして、はっと我にかえる。
「開いてるよ。勝手に入れ」
「では、失礼」
なんと、扉を開けて入ってきたのはラル隊長だった。
「どうかしたのか?元気がないが」
「……当然だろ」
そんな俺の態度に、ラル隊長は不思議そうな顔をしていた。
「夕飯の支度ができたそうだ。もうみんな、食堂に集まってるぞ」
「え?」
「早く来い。菅野がいないと始まらないんだ」
なんでラル隊長が呼びに来たのかよくわからなかったけど、
隊長に急かされるまま部屋を出て、一緒に食堂へ向かった。
食堂にいくと、もうみんな席についていた。
いつもは給仕をしてる下原やジョセまで全員だ。
「連れてきたぞ」
ラル隊長は、いつも自分が座っている席に俺を座らせて、俺の席に座った。
隊長が席についたのを見計らって、ロスマン先生が立ち上がる。
「それでは、全員そろいましたので
――あのニセバカ伯爵はまたどこかをほっつき歩いてるようですが――
始めたいと思います。司会は、僭越ながら私、エディータ・ロスマンが。
本日はネウロイの襲撃もなく、みんなそろってお祝いの席を――」
そのとき、食堂のドアがばんと勢いよく開いた。
「ナオちゃん、お誕生日おっめでとう〜!!」
「伯爵!」
入ってきたのは、大きなバラの花束を抱えたクルピンスキー中尉だった。
「え?おめでとうって……?」
「何いってんの。今日はナオちゃんの誕生日でしょ?
花屋のエレナちゃんに頼んで花束作ってもらってたら、遅くなっちゃった。
まぁ、花束作るのはすぐに終わったんだけどね」
伯爵はいつもどおりヘラヘラと笑いながら俺に花束をずいっと押し付けた。
「はい。ナオちゃんの歳の数だけバラを用意したんだけど、ちょっとキザすぎたかな」
伯爵の突然の登場に呆然とする一同。
俺も一体何が何だか、わけがわからない。誕生日っていわれた気がするけど……。
「中尉、空気読めなさすぎ」
「そうですよ。まだロスマン先生のお話もすんでないのに……」
「クルピンスキー、あとで正座」
次々に不満を浴びせる502メンバー。
当然、一番怒っているのはロスマン先生で。
「この、バカ伯爵!!!」
思いっきり背伸びをして、伯爵の胸ぐらを投げ飛ばさんばかりにつかんでいた。
「あんたのせいで全部台無しじゃないの!どうしてくれんのよ!!」
「あんまり話ばっかり長くなるとせっかくのケーキが冷えちゃうよ、ちびっ子先生。
あ、ケーキは別に冷えてもいいのか」
ものすごい剣幕で伯爵に怒鳴るロスマン先生と、まるで人ごとのように笑っている伯爵。
これはなんだ、一体。
- 253 名前:502の、ちょっと隠し事な一日 ( 3/3 @ 6Qn3fxtl ):2010/09/24(金) 00:53:06 ID:t3NXF54Y
- 「と、いうことだ。お誕生日おめでとうな、菅野」
いつの間にか俺の隣にきていたラル隊長が、ぽんぽんと頭をなでる。
「えっ……あっ……」
そうだ。今日、俺の誕生日なんだ。すっかり忘れてた。
みんな、知ってたんだな。こうやって祝ってもらえるのは嬉しいけど――。
「……なんか、恥ずかしい」
「なんだ、菅野。お前の誕生日だろ。何にも恥ずかしがることはない」
「そうですよ、ナオちゃん。今日はナオちゃんがこの世に生まれて、
私たちがナオちゃんと出会うきっかけができた大切な日なんですから、
盛大に祝わせてください」
「隊長、下原……」
隊長には頭をなでられ、下原にはぎゅっと抱きしめられ。
ちょっと苦しくて、恥ずかしいけど、なんだかすごく嬉しい。
「そうそう。大好きな人の誕生日を心から祝うなんて当たり前のことだよ。
おかげで僕は毎週パーティーが入ってて大変なんだけどね。
来週はオラーシャ空軍のアンナちゃんの誕生日があるし……」
「あんたは少し黙ってなさい、このニセ伯爵!」
あまりにも当たり前に会話に混じってくる伯爵。
それを怒っているロスマン先生。
呆れてるニパ。
おろおろしてるジョゼ。
ちょっと不機嫌そうなサーシャ。
そして、下原とラル隊長。
みんな、楽しそうでにこにこしてて。
こいつらみんな、俺に誕生パーティーのことを隠すためにこそこそしてたのかと思うと、
そして俺はとんでもなく妙な勘違いをしていらいらしてたのかと思うと、
なんだかおかしくて笑えてくる。
「さっ、ナオちゃん。
今日はナオちゃんの大好きな肉じゃがを作ったから、たくさん食べてね」
「私も……これ、焼いたから」
サーシャが台所から持ってきたのは大きなケーキ。
一体、いつの間に用意してたんだろ。
「ナオちゃん、願い事してろうそく消してください」
ジョゼにちょいちょいと袖口を引っぱられる。
伯爵がさりげない手つきで電気を消した。
ろうそくの光の向こうに、隊のみんなの笑顔が揺れてる。
俺はちょっと大きく息を吸い込んでろうそくを吹き消した。
この大切な仲間の幸せな日々が、ずっとずっと続きますように――。
『Happy Birthday, ナオちゃん!』
みんなの声が重なった。
fin.
*****
以上です。すいません、2レスで入りきりませんでした……。
書き忘れましたが、一応、オールキャラ(直枝×サーシャ)のつもり。
- 254 名前:名無しさん:2010/09/24(金) 01:09:23 ID:z8tPu7mg
- ナオがかわいいのはいいとして、相変わらず美味しいところを持っていく伯爵が素敵過ぎるw
GJでした〜。
- 255 名前:名無しさん:2010/09/24(金) 23:12:50 ID:InxNE4rY
- >>253
GJ!ほのぼのしててイイ!
伯爵は相変わらずw
- 256 名前:名無しさん:2010/09/26(日) 08:09:46 ID:0iqAb9vM
- なんだかとても502が人気なようで、三期501やらないんだったら
502がいいかな〜w
伯爵、ロスマンが見てみたい!!
初めてのSS投下します。
11話でのエイラーニャです。誘い受け、小悪魔なサーニャもいいけど
動揺するサーニャも素敵だな〜と思い書いてみました。
初めて文章書いたので拙いところを多いかと思いますが、
お目汚し失礼いたします。
- 257 名前:名無しさん:2010/09/26(日) 08:14:53 ID:0iqAb9vM
- 「ねえ、エイラ・・・」
「ん?どうした?サーニャ」
ロマーニャでの最終作戦発動前の夜、二段ベットの上にネコペンギンを抱っこしたままサーニャはエイラに声をかけた。
「もし明日、作戦が失敗したらみんなとはお別れになっちゃうんだね。」
「ん〜〜〜、そうだナア。でも、サーニャも言ってたとおり、負けなきゃいいんだよ。私たちは11人なんだ。大丈夫ダヨ。」
力強くサーニャに言った。これ以上サーニャを不安にさせないために。
「そうだよね。。。がんばらなきゃ!!」
サーニャは笑顔でそう答えた。
「うん、だからもう寝て、明日に備えないとナ!」
「・・・うん。」
エイラとサーニャの部屋が静寂に包まれる。
もう寝ちゃったかな?エイラは、自分も寝る態勢に入り、襲いつつある眠気に身を任せようとしたところで
サーニャが声を発した。
「えいら。」
「んえっ?ん〜〜ナンダ〜〜?さーにゃ〜」
「今日、みんなでお昼に一緒にお風呂入っていたとき、何を見ていたの・・・?」
ためらいがちにサーニャが聞いてきた。
エイラはぎくっ!とした。
いつもはサーニャの裸を恥ずかしさのあまり直視できなかったのに、今日に限ってちらりとのぞいてしまったのだ。
そしてそのまま日光の下にさらされる、湯気を身にまとって少し紅潮したサーニャの透き通る白い肌に目が釘付けとなってしまい、
そのまま目を離すことができなかったからだ。
「ねえ、、、エイラ。」
「い、いや、そんなコトあったケ・・・?」
顔が熱い。
(ばれてないよなナ〜〜〜ばれてないよなナ〜〜///ちょっと目が合った気もするけど、きっと気のせいだヨナ〜〜////)
- 258 名前:名無しさん:2010/09/26(日) 08:15:50 ID:0iqAb9vM
- 「んもうっ。エイラの・・・ばか・・・」
「サ、サーニャがなんのことを言ってるのかわからないナ〜//」
すると、突然、サーニャが二段ベットから下りてきて、エイラのベットに入ってきた。
エイラはビックリして、がばっ!と上半身を起こした。
「なっ!なんだヨっ!サーニャ、いきなりっ!」
「エイラ。。。」
ジーっとサーニャはエイラを見つめ、こう言った。
「私を、見てたよね・・・?」
そう言ったとたん、サーニャは顔を真っ赤にした。
ドキン。
エイラの心臓が、力強く跳ねた。
気が動転して、頭が正常に働かない。サーニャは顔を赤らめたまま、上目遣いで私のことを見つめてくる。
逃げたい。そう思う一方で、あぁ・・・サーニャの瞳はなぜこんなにも美しいのだろう。
吸い込まれてしまいそうなほど綺麗だ、なんて思ってしまう自分が情けない。
「うん。見てたヨ。サーニャの体があまりにも綺麗だから、ずっと見てタ。」
「っ!!??」
私は口を手のひらで覆った。
今、私はなんて言った!!??なんだかとんでもなく恥ずかしいことは言ってしまった気がする!!
どうしたんだ!?私!!いつものヘタレはどうした!
発言した自分にビックリしながら、サーニャはどう思っただろうと不安に思い、サーニャに視線をやった。
「・・・。」
サーニャは、とてもビックリしたようで目を丸くし、その後、耳まで真っ赤にして、顔をそむけた。
「っ!!な、ななな、何を言っているの・・・?エイラ・・・。」
「ごごごご、ゴメン!!!!い、い、今のナシっ!!!!」
慌てて、エイラも顔をそむけた。
- 259 名前:名無しさん:2010/09/26(日) 08:44:24 ID:0iqAb9vM
- 沈黙が続く。
(い、息苦しいっ・・・!なんナンダ、この空気は!というか、何言ってんダ、私は!)
この重苦しい空気に耐えられなくなったのか、サーニャはエイラのベットから下り、部屋の窓を開けた。
窓から月光が差し込む。とても深夜とは思えないほど空が明るい。
(気づかなかった。今日はとても綺麗な月夜なんだナぁ。)
(じゃなかっタ!今はそんなことより、大切なコトガっ!!)
窓を開け放し、夜空を眺めるサーニャに視線をやる。
ここからは顔がハッキリとは見えない。
サーニャがこちらを見ていないことをいいことに、目を懲らしサーニャを見やった。
サーニャの耳が赤い。赤いなんてものじゃない。真っ赤だ。
心なしか、体が震えていた。
(サーニャを泣かしたっ!?)
焦った私は、思わずサーニャに声をかけた。
「サーニャ?」
「・・・。」
サーニャは何も答えない。
心配になった私は、サーニャのところまで駆け寄っていき、サーニャの肩に手をかけ顔をのぞき込もうとした。
「だ、だめっ!」
サーニャが叫んだ。
「エっ!!」
「・・・。ちょ、ちょっと・・・顔・・・見ないで・・・。」
うつむいたままのサーニャ。
「で、デモ・・・。」
「あ、あああ、あの、ほんと、なんでもないから、ちょっと暑くなっちゃって夜風に当たろうと思っただけだから、
ほ、ほんと大丈夫だから ・・・。」
「あっ!!あああ、あぁ、そうか。うん、わかった、じゃあちゃんと鍵は閉めるんダゾっ!」
サーニャの肩にかけたままだった手を離し、ベットに向かう。
- 260 名前:名無しさん:2010/09/26(日) 08:59:22 ID:0iqAb9vM
- 続きは、仕事から帰ってきてから投下します。
とりあえずはここまで。
- 261 名前:名無しさん:2010/09/26(日) 23:29:02 ID:HY5dibUg
- 続き楽しみです!わっふるわっふる
- 262 名前:名無しさん:2010/09/27(月) 01:06:36 ID:/tRZeYbs
- し、仕事はまだ終わらないの?
- 263 名前:名無しさん:2010/09/27(月) 05:18:32 ID:W76VjZPA
- すみません。遅くなりました。
>>259の続きです。
- 264 名前:名無しさん:2010/09/27(月) 05:20:08 ID:W76VjZPA
- ベットに向かう・・・はずだった。
なのに、どうしたことだろう。
わたしは・・・どうかしてしまったんだろうか?
自分が世間で言うところの“ヘタレ”というものに属していることは重々承知していた。
大変不名誉ではあるが。
サーニャが、窓枠に両手を置いたまま俯いていたことまでは覚えている。
ただし、今のこの状況の自分は理解できない。
わたしは、そのサーニャを何かから守るかのように、まるで神聖なものを世界中にはびこる悪や邪といったものから守るかのように、自分では決して触れないように、サーニャの両手の外側から自分の両手も置き、
サーニャを包み込んでいた。
「ど、どうしたのっ!?えいら・・・」
「ウン。」
「うん、だけじゃ分からないわ・・・」
サーニャはこちらを見ようとしない。サーニャがベットを下りてから、一度もサーニャの顔を見ていなかったことに気づく。
(サーニャの顔が見たい・・・。もし501が解散してしまったら、世界の情勢が変わってしまったら、もう今みたいに一緒にいられなくなるかもしれない。こうやって、そっとそばでサーニャを守れなくなるかもしれない。)
わたしは思い切ってサーニャの顔を見ようと、肩に手をかけ振り向かせた。
「!?」
サーニャは泣いていた。それはもう顔を真っ赤にして、声が出ないように口元をキュッと結び、眉毛を八の字にして、こちらを睨むようにして。
口から出そうになっている心臓をやっとの思いで体の中へ押し込んだ。
「エイラは・・・ずるい。ずりゅいっ!!」
興奮しているからだろうか。サーニャが噛んだ。サーニャは一層顔を真っ赤にした。
(かわいい。すごくかわいい。サーニャマジ天使。いやイヤ!今は会話が先ダっ!)
「なあ、サーニャは私に見られるの、その・・・い・・・イヤだった・・・カ?」
「イっ、イヤじゃないっ!」
サーニャは首をぶんぶんと振った。まだ真っ赤だ。
- 265 名前:名無しさん:2010/09/27(月) 05:21:01 ID:W76VjZPA
- 一連の可愛らしいサーニャの仕草に、つい「ふっ」と微笑んでしまい、肩の力が抜けてしまった。
「ヨカッタぁ!もう心配したんダゾっ!サーニャがこっちを向かないから、傷つけちゃったかと思ったんダカラナー!」
重苦しい空気が和み、サーニャが傷ついてないと分かるやいなや、それまでの一連の流れもすっかり忘れてしまいエイラは満面の笑みで、それはもう眩しいほどの笑顔でサーニャにこたえた。
その時だった。
フワッ
ん?サーニャの匂いだ。いい匂いだナー・・・。
「っっっつ!!!!????」
サーニャの唇がわたしのそれを捕らえた。
とういことをハッキリと認識したのはどれだけの時間が経ってからだろうか。
サーニャの唇が震えている。目を開けると、ギュッと固く結んだままのサーニャのまぶたが見えた。
そして、それが、私の見た今夜の、いや、今生の眺めだった・・・。
- 266 名前:名無しさん:2010/09/27(月) 05:21:30 ID:W76VjZPA
- ―翌朝―
「ん〜〜〜っ!よく寝たな〜〜!なんかとてもイイ夢を見た気がするぞ!今日はなんだか頑張れそうだ!」
不意に右手にぬくもりを感じ、右に目をやった。
サーニャが寝ている。しかも、サーニャと手を!手を!つないでいる!!
フッとまた気が遠くなるような気がしたが、なんとか持ちこたえる。
「サ、サ、サ、サーニャと手をつないで寝てたんダナぁ〜〜!!」
「こんなこと初めてダっ!!///」
嬉しさとドキドキのあまり声に出してしまうエイラ。
きっとサーニャが寝ていると思い、つい気がゆるんでしまったのだろう。
「も、もっかい、寝ヨウット!!」
そしてエイラは、とても幸せそうに二度目の眠りについた。
エイラの寝息を確認した後、サーニャはおもむろに体を起こした。
実はサーニャは興奮して眠れず、ずっと起きていたのだった。
その表情は不機嫌そのもの。気を失ったエイラをベットまで引っ張っていったのはもちろんサーニャである。
手をつないだのも。そして、キスをしたのも・・・。
しかも、そのことを彼女は、「イイ夢を見た」と賜ったのである。一世一代の勇気を振り絞った結果がこれである。
「エイラの・・・ばか・・・。」
幸せそうなエイラの寝顔。なんだか少しムカッとした。
ムカッしたので、サーニャはエイラにはお仕置きをした。
記憶のない中で、二度も唇を奪われるという、エイラにとってはとてつもなく悔しいお仕置きを。。。
〜FIN〜
- 267 名前:名無しさん:2010/09/27(月) 05:23:39 ID:W76VjZPA
- 以上です。
予定していた量の3倍くらいになってしまいました。
ほんとはエイラからキスをさせたかったけど、どうしてもヘタレのエイラに
キスをさせる案が浮かばなくて結局こうなっちゃいました。
ありがとうございました。
- 268 名前:名無しさん:2010/09/27(月) 14:11:57 ID:zS/ZouX6
- キスまで来るとやはりイケメンエイラさんにならないと厳しいか…
動揺するさーにゃんもいいねGJ!
- 269 名前:名無しさん:2010/09/29(水) 14:30:33 ID:Bx2BYUDU
- >>267
GJ!エイラ−ニャは正義!
- 270 名前:名無しさん:2010/09/29(水) 18:05:11 ID:e6fiSg/Y
- 『netshop ビック電器.com
9月リニューアルOPEN!!リニューアルOPENを記念いたしまして液晶TVを50000円から販売しています。
9月末までの限定価格!!Yahooで『netshop ビック電器.com』と検索下さい。当店のHPやブログが出てきます!!』
- 271 名前:名無しさん:2010/09/30(木) 17:32:32 ID:fULUVNdc
- >>267
エイラとサーニャの関係がイイ感じ。
例えイケメンエイラでもサーニャの前ではヘタレナンダナw
GJです。
- 272 名前:<削除>:<削除>
- <削除>
- 273 名前:名無しさん:2010/10/01(金) 09:58:05 ID:D1RxCs.o
- エイラーニャはスバラシイ
次も期待します
- 274 名前:名無しさん:2010/10/05(火) 23:20:05 ID:rFB2aXCU
- オリコカードのストライクウィッチーズカードが欲しいけど、外では使えないよね
- 275 名前:名無しさん:2010/10/06(水) 08:03:59 ID:QpnouJSU
- 外で使おうにも通販以外で使う機会が思いつかないナ
- 276 名前:名無しさん:2010/10/06(水) 22:21:59 ID:8pLWbNh.
- JCBェ……
- 277 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/10/09(土) 23:33:49 ID:qsjVl5MM
- >>253 6Qn3fxtl様
GJ! ほのぼの502に相変わらずな伯爵! 素敵です!
>>267様
GJ! ツボを押さえつつ、読んでほっこりするエイラーニャは素晴らしいです。
こんばんは、mxTTnzhmでございます。
今回は保管庫No.1307「elder sister」シリーズ続編です。
ちなみにアレ熊さんは「サーシャ」との呼称、等々
(秘め話CD、フミカネ先生の502SS等で)
キャラ間での呼称がある程度把握出来たので、
今後は基本的にそれらに準拠していくつもりです
(それでも言動や敬語とかは、かなりいい加減ですがご容赦を)。
ではどうぞ。
- 278 名前:private eyes 01/04:2010/10/09(土) 23:34:14 ID:qsjVl5MM
- 部屋の片付けを終え、廊下に出た定子はサーシャから声を掛けられた。
「下原さん」
「はい、サーシャ大尉、何でしょう?」
「ちょっと……」
「?」
訳も分からぬまま、サーシャに手を引かれた。
厨房の隅に腰掛け、定子はサーシャから話を聞いた。
「管野さんの事ですか」
「ええ」
「また何か問題起こして正座とか」
「そ、それはいつもの事……」
言い淀むサーシャ。
定子はそんな彼女を見て、ぽんと手を叩いた。
「じゃあ、サーシャ大尉は、管野さんの……」
「ちちち、違います! ただ私は管野少尉の好物について、その、あの……」
躍起になって否定するサーシャを前にぽかんとした表情を作る定子。
「違うって……管野さんの好きなものとかを知りたいんですよね?」
「そ、そうですよ? あくまでも“人心掌握”と言うか、彼女の扱いをどうするかと言う意味でですね……」
サーシャのちぐはぐな答えを聞いてくすっと笑う定子。それを見たサーシャはどきりとした。
「な、何か変な事でも?」
「いえ。サーシャ大尉は優しい方ですね。そう思っただけです」
真っ赤な顔をしてうつむいてしまうサーシャ。その可愛げな姿に見とれ、おもわずぎゅっと抱きしめたくなるも
ぐっとこらえる定子。
「扶桑料理が良いと思います」
「料理? 扶桑の?」
「聞けば502(ここ)ではあんまり扶桑の食事が出ないと言う事ですし」
「確かに、今までは……。なる程。故郷の料理を食べて、ホームシックを解消する、と」
ちょっと違う、と定子は思いつつも、受け答えを続ける。
「確か管野さんのお姉さん、得意料理は……」
「下原さん、何で管野少尉の家庭事情まで詳しいんですか?」
「同郷と言う事で、この前少し話が弾んでしまって。それで色々と……」
定子の言葉を聞いて複雑な表情をつくるサーシャ。ぐっと拳を握りしめ、定子に言った。
「あの……扶桑料理、私にも作れますか?」
サーシャの問いに、びっくりする定子。
「え? ええ、料理にもよりますけど、基本はそんなに難しいものではないから、材料さえ有れば……」
「なら今夜は扶桑料理にしましょう。ラル少佐にも許可を取ってきます。私にも手伝わせて下さい」
「え? は、はい……」
- 279 名前:private eyes 02/04:2010/10/09(土) 23:34:40 ID:qsjVl5MM
- 厨房では、手際よく料理する定子の手元を、メモ片手に凝視するサーシャの姿があった。
「なるほど。これが以前食べた『肉じゃが』と言う料理ですか。そちらは味噌汁……スープですね」
「ええ……」
ほんの一動作も見逃さない、そんな「狩り」にも似た目つき・態度に、定子は少々の脅威を感じた。
よく見ると、サーシャの頭から可愛い熊の耳が出ている。
「あの、サーシャ大尉?」
「どうかしましたか?」
「別に魔力解放してまでやる事ではないですよ、扶桑料理って」
「え、ち、ちが……ッ!」
思いっきり見られている事に今更気付き、耳を押さえて慌てふためくサーシャ。
固有魔法を使って「料理の手順」を“記録”していた事は内緒だったのだが。
「大丈夫です、一緒に作りましょう? 教えますから」
定子は抱きしめたい衝動を抑えながらサーシャの手を取った。
「え、ええ……」
「今日は扶桑料理だって? 下原、期待してるぞ!」
夕食のメニューを聞いた途端上機嫌になった直枝は、食堂の扉を開け放って言った。
その後ろからニパとクルピンスキーが付いて来る。
「カンノは本当、扶桑料理となると……」
「ナオちゃんは完全に餌付けされちゃったねぇ。ま、ボクともなると扶桑でも何でも食べられるけどね」
「伯爵の『食べる』は意味も対象も違うだろ……」
席に着くなり、いただきますの声もそこそこに箸を握り、配膳された食事に手を付ける直枝。
肉じゃがを頬張る。
一瞬「?」と言う顔をするも、まあいいか、とばかりに再びがっついた。
「おかわり!」
「はい、すぐに!」
厨房から定子の声が飛ぶ。
「今日もナオちゃんは平常運転だ」
「伯爵、見てないで食べろよ」
「ニパ君もね」
「やっぱ扶桑食は良いな!」
肉じゃがをおかわりし、笑顔の直枝。ふと、厨房の奥から誰かの視線を感じる。
今まで気付かなかったが、ずっと見られていたらしい。
視線の方を向くと、その人影はぱっと引っ込んでしまった。
「?」
直枝の様子に気付いたのか、クルピンスキーが声を掛ける。
「どうしたんだい、ナオちゃん。おかわり欲しいならボクのを……」
「いや違う。厨房に誰か居る様な」
ニパも直枝を見、厨房の方を見て言った。
「シモハラ少尉が食事係で居るじゃないか。ほら、あそこ……」
「違う。他に誰か……」
「ナオちゃんは気にしすぎだよ。食事が冷めたら君も悲しむし定子ちゃんも悲しむし、ボクも悲しむな」
「何でそこで伯爵が出てくるんだ」
“ブレイクウィッチーズ”はわいわい言いながら、結局視線の事は忘れていつも通り、食事を進め、おかわりをした。
- 280 名前:private eyes 03/04:2010/10/09(土) 23:35:10 ID:qsjVl5MM
- 定子は厨房の陰からこっそりと食堂を見る……と言うより「狙いを定めている」かの様なサーシャの行動に疑問を持った。
「あの……」
「静かに。貴方は普通にしていて下さい」
まるで探偵ばりの隠密行動、そして雰囲気だ。
「やっぱり初めから言った方が良かったんじゃ……」
「いえ、これも私の料理の腕がどれ位か確認する為に必要なんです」
陰に隠れて囁くサーシャを見て、定子は気付いた。
サーシャの頭から、耳が出ている。そして彼女の視線の先に居るのは、何も知らず呑気にご飯を食べる直枝。
食堂の方を見ていると、クルピンスキーが時折ちらちらっと厨房の方を見ている事に気付く。
「クルピンスキー中尉、こっち見てます……今、ウインクしましたよ? やっぱり気付いてるんじゃ……」
「あの馬鹿……後で正座させます」
「ええっ」
食後、ひとり食堂に残り、ずずずとお茶を飲む直枝。とりあえず、たらふく食べて満足した顔だ。
お茶を飲み終わると、湯飲みを持って厨房に向かい、片付けをしている定子に問い掛けた。
「下原」
「管野さん、どうしました? お茶おかわり要ります?」
「いや、茶は良い。ご馳走様」
湯飲みを定子に渡す。慣れた手つきで定子は湯飲みを洗う。直枝は、定子に言った。
「で、今夜食った肉じゃがだけど」
「ええ」
「少し、味付け変えたか? 前と……」
「ええっと……」
咄嗟にどう答えて良いか悩む定子の前に立ち塞がったのはサーシャ。いつから厨房に居たのかと、ぎくりとする直枝。
「た、大尉? ど、どうした? 何で厨房に?」
そこで改めて、先程の視線の“主”の事を思い出す。
「ま、まさか、さっきからオレの事見てたのか?」
「少し、様子を」
「す、少し? なんで見てるんだよ!?」
「……今日の料理はどうでしたか?」
逆にサーシャから問われ……しかも凄みのある声で……、逆に答えに困る直枝。
「え? いや、どうって……。美味かったよ。ちょっと、前と味変わったかなって思ったけど。普通にうま……」
それを聞いたサーシャはぐすっと涙ぐんだ。顔を手で覆う。
何故泣かれたのか訳が分からず、おろおろする直枝。
「管野さん、今日の料理ですけど」
定子が助け船とばかりにサーシャの肩を持ち、言葉を続けた。
「今日はサーシャ大尉が手伝ってくれたんですよ? と言うか殆ど大尉の……」
「えーっ!?」
定子の言葉を全部聞く暇も無く、思わず大声を上げる直枝。
「し、下原! そう言う事は食う前に言えよ! てかサーシャも何で黙って見てるんだよ!」
焦りまくる直枝に、言い訳をする定子。
「言う前に食べ始めちゃったから……でも、サーシャ大尉のご飯、美味しかったでしょ?」
「そ、そりゃ……さっきも言っただろ、美味かったって」
「ですって、サーシャ大尉。良かったですね」
言われて、こくりと頷くサーシャ。
「ああもう、下原もサーシャもまどろっこしいなあ! ちょっと」
直枝はサーシャの手を取ると、厨房から連れ出した。
定子はそんな二人をのんびりと見送っていたが、ふと気付いた。
「管野さん、サーシャ大尉を呼び捨てにしてた……」
厨房の床に視線を落とす。
「サーシャ大尉って、やっぱり……」
それ以上は言わず、定子は後片付けの続きに取り掛かった。曇りがちな表情は何を意味するのか、定子本人ですら分からなかった。
- 281 名前:private eyes 04/04:2010/10/09(土) 23:35:29 ID:qsjVl5MM
- 「サーシャ、一体どう言う事だ? どうして肉じゃがをサーシャが? 食事当番でもないのに」
サーシャの部屋で、まだ少し涙目のサーシャに問い詰める直枝。
「貴方に……」
ぽつりと言葉を発するサーシャ。
「お、オレに? 何?」
「もっと……笑顔で居て欲しかったから」
「な、何だよその理由! サーシャの前ならオレはいつだって」
「馬鹿」
その一言で直枝の動きが止まる。硬直した直枝を、あっという間にベッドの上に組み伏せるサーシャ。
「ちょっとサーシャ? 前にもこんな事が有った様な……」
「私がどう言う思いで、扶桑の食事を作ったか、どう言う思いで下原さんに頼んで……」
ぐぐぐ、と直枝の首を絞める。
ギブアップとばかりにばんばんとサーシャの腕を叩く直枝。
息切れしてぜえぜえ言う直枝を強引に抱きしめると、唇を奪う。
無理矢理なキスを暫く続け……まるで限界までの潜水を終えた海女の如く、ぷはあっと直枝は荒く息をついた。
「本当、馬鹿」
サーシャはそれだけ言うと、直枝に絡み付く様に抱きついた。そして意地悪に言った。
「私の事、気付かないなんて……それでも扶桑のエース?」
乱れた呼吸を整えながらも直枝はサーシャの涙の理由を知り、彼女の少し乱れた髪を撫でた。
「だってサーシャ隠れてたし、その……。ゴメン」
「……」
直枝はそっと自分の手を彼女の手と重ねる。うつむいたサーシャに、頬を重ねる。
「オレ、自分で言うのも何だけど……、そう言うの、鈍いから」
「知ってる」
「でも、サーシャを想う気持ちは誰にも負けないし。その……、あ、あ、愛してるから……」
「うん」
顔を真っ赤にして言葉を続ける直枝、彼女の言葉ひとつひとつをかみしめ頷くサーシャ。
「サーシャの作ってくれた料理、美味しかった」
「有り難う」
「礼を言うのはオレだって」
少し、表情が和らぐサーシャ。直枝は言葉を続けた。
「今度は、サーシャ手作りのオラーシャ料理食べたい。出来れば、その、オレだけに……」
「本当?」
「嘘言ってどうする? サーシャがオレの事知りたいのと一緒で、オレもサーシャの事、もっと知りたい」
「嬉しい。今度頑張って作る。貴方だけの為に」
「有り難う」
微笑む二人。ちらっと目が合う。直枝は言葉を詰まらせながら、サーシャに言った。
「できれば……その。ずっと、オレと一緒に……」
直枝の言葉は続かなかった。唇を塞がれる。ゆっくりと繰り返されるキス。
「私も、貴方と一緒に居たい」
「オレも、サーシャとなら」
抱き合い、じゃれ合う様に口吻を繰り返す。
「私もナオの事、愛してるから」
そっと呟くサーシャの控えめな笑顔が、たまらなく愛しい。
直枝を抱き寄せ、小柄な彼女をその大きな想いと共に受け容れる。
今夜も長くなりそう、とサーシャが囁く。直枝はこくりと頷き、キスを求めた。
end
--
以上です。
最近は502が(個人的に)マイブーム。
いや501キャラも書きたいですけど。
ではまた〜。
- 282 名前:5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2010/10/10(日) 23:53:35 ID:PF9UiNcg
- こんばんは、なんとか間に合ったのでヘルマの誕生日SSを2レスほど
投下していきます。
- 283 名前:ヘルマとエーリカ 1/2:2010/10/10(日) 23:54:26 ID:PF9UiNcg
――1946年10月カールスラント
「ハルトマン中尉! ハルトマン中尉!」
石造りの扉をコンコンと叩き、私はその部屋の主の返事を待つ。
しかし、いくら待てども部屋の主からの返事はない。
こういう時はあれしかないか。
「強行突破するしかないみたいですね……ええい!」
私は意を決して、ハルトマン中尉の部屋に突入する。
……果たしてこれを部屋と呼んでいいものなんだろうか。
床には本や衣服が散乱していて、足の踏み場がまるでない。
ほとんど物置と貸しているベッドの上でハルトマン中尉は、すやすやと寝息を立てて眠っていた。
……この前私が手伝って(というより半ば手伝わされ)、片付けたはずなんだけどなぁ。
よくもまあ、たった数日でここまで部屋を酷くできるものだ。
この人と一時期相部屋だったというバルクホルン大尉って、色んな意味ですごい人だったんだと改めて実感させられる。
「ハルトマン中尉! 起きてください!」
私は床に散らばっている本や衣服をかき分け、なんとかベッドに辿り着き
幸せそうな顔を浮かべて眠っている中尉の身体をさする。
「う、う〜ん……ふぁ〜あ、おはようヘルマ」
「おはようじゃありません! もうお昼であります! 早く着替えて食堂に来てください!」
「はいはい……あれ? ズボンがないや。ねぇヘルマ、ズボン貸して」
「貸しません!」
「なんだよケチ〜……あっ、そうだ。ね、ヘルマってさ最近休みとってないよね?」
ハルトマン中尉が軍服に袖を通しながら、唐突に私に問いかけてきた。
「へ? え、ええ。それが何か?」
「明日さ、トゥルーデんとこに行くんだけどヘルマも一緒に来ない?
てゆうかもうヘルマの休みも申請しちゃったんだよね」
「ええ!? 何勝手に人の休みを申請してるでありますか!」
「まぁまぁ、堅いこと言わない。ヘルマだって久しぶりにトゥルーデに逢いたいでしょ?」
「え、ええまぁ……」
私の最も尊敬する人、ゲルトルート・バルクホルン大尉は今年の3月にあがりを迎え、
現在はウィッチ養成学校で後進の指導にあたっている。
自身が飛べなくなっても、次代の育成に力を注いでくださっている、
まさにカールスラント軍人の鑑と呼ぶにふさわしいお方だ。
それに引き換え、この人ときたら……
「よし、決まり! じゃ、ご飯食べに行こ」
「ズ、ズボンも穿かないで食堂に行く人がありますか〜!」
……バルクホルン大尉、この人フリーダムすぎます。
- 284 名前:ヘルマとエーリカ 2/2:2010/10/10(日) 23:54:57 ID:PF9UiNcg
――そして翌日。
「ふんふんふっふ、ふ〜ん♪」
「あの〜、ハルトマン中尉」
「なに、ヘルマ?」
「なんで私、目隠しされてるでありますか?」
ガタゴトと揺れるキューベルワーゲン、
運転席には上機嫌な様子で鼻歌を歌うハルトマン中尉。
助手席の私はというと何故か目隠しをされていた。
「う〜ん、なんでかって言うとヘルマを驚かせたいからかな?」
「私はいつも中尉に驚かされてますよ、色んな意味で」
「あはは……まぁ着いたら目隠しとってもいいからもうちょっと待ってて」
「はぁ……」
風のように掴みどころのない人、それが私の彼女への第一印象だった。
バルクホルン大尉をも上回る空戦技術を持っているのに地上ではとにかくだらしのない人で、
私や大尉がその自堕落な私生活をいくら注意しても彼女はまるで聞く耳を持とうとしない。
それなのに彼女はバルクホルン大尉やミーナ中佐を初め、多くの人に愛されていた。
正直、なぜハルトマン中尉のような不真面目な人がこんなにも周りから愛されているのか最初はよく分からなかった。
でも、同じ部隊に配属されて彼女と多くの時間を共有するようになってからは、
なんとなくだけどその理由が分かったような気がする。
それはきっと、
「さ、着いたよ。足元気をつけて」
「あの〜ハルトマン中尉、まだ目隠しをとったら駄目でありますか?」
「うん、もうちょっと」
私は目隠しをされたまま、ハルトマン中尉に引っ張られながら少しの間歩かせられた。
「はい、もう目隠しとっていいよ」
「は、はい」
私が目隠しをとるとそこには――
「「「誕生日おめでとう!」」」
色とりどりの紙吹雪が舞い、目の前にはバルクホルン大尉とミーナ中佐、そしてハルトマン中尉の姿。
テーブルには美味しそうな料理が並ばれており、その匂いが私の食欲を掻き立てる。
「え、えっとこれは……?」
あまりにも予想外の出来事で私はこの状況を理解するのに少し時間がかかった。
「えへへ、ささやかだけどヘルマの誕生日パーティーだよ。今日はヘルマの誕生日でしょ?」
「え、えっと……」
「あら? もしかして今日が自分の誕生日だっていうこと、忘れてたのかしら?」
「あはは、まるでトゥルーデみたい」
「う、うるさい! とにかくだな、ヘルマ曹長、誕生日おめでとう」
バルクホルン大尉が笑顔で私にそう言ってくれた。
「あ、ありがとうございます……でもなんでミーナ中佐までここに?」
「ふふっ、1週間ほど前にエーリカから電話で、ヘルマさんの誕生パーティーを開きたいから
協力してくれないかって頼まれてね」
「それで、私もミーナも休みをとって2人が来るまでの間にパーティーの準備をしていたんだ」
「え? このパーティー、ハルトマン中尉が企画してくれたんですか?」
私はハルトマン中尉のほうを向き直り、彼女に問いかける。
「うん、トゥルーデやミーナと一緒に君の誕生日を祝いたかったから。
だって、ヘルマは私たちの大切な仲間だからね」
満面の笑みを私に向けてそう言ってくれたハルトマン中尉。
――この人はいつもさり気ない気配りで周りを明るくし、部隊のみんなを気遣ってくれる。
そういった仲間想いのところがきっと、彼女がみんなに愛されている所以なのだろう。
本当、この人にはかなわないや。
「あ、ありがとうございますっ……ハルトマン中尉」
「あれ? もしかしてヘルマ、泣いてる?」
「な、泣いてなんかないでありますっ……」
「あーはいはい、ヘルマは強い娘だから泣いたりしないよね。
ほら、プレゼントもあるんだよ、開けてみて」
「は、はい……」
私はハルトマン中尉からプレゼントの入った箱を受け取り、それを開けてみた。
箱の中に入っていたのは……
「なななな、こここれはなんと…!! 私、幸せでありますぅううっ……バタッ」
「ちょ、ちょっとヘルマさん、大丈夫!?」
「ありゃりゃ、ヘルマにはちょっと刺激が強すぎたか」
「エーリカ、一体ヘルマ曹長に何をプレゼントしたんだ?」
「トゥルーデのあられもない姿をいっぱい撮ったただの写真だよ」
「えっ」
〜Fin〜
- 285 名前:5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2010/10/10(日) 23:58:30 ID:PF9UiNcg
- 以上です。ヘルマ曹長&高村監督誕生日おめでとうございます。
>>281
恋するサーシャ大尉は可愛いなぁ。
GJです。
- 286 名前:名無しさん:2010/10/11(月) 00:16:43 ID:U2BuOVbM
- >>281
サーシャは練習してしまえば料理とか器用にこなせそうな気がします。
ナオはオレ口調と本質の可愛さのギャップが最高だと思います。GJ
>>285
いろいろな意味でエーリカにしてやられ続ける感じのヘルマがかわいいです。
マニアっておめでとうです。GJ!
あと10/10は終わっちゃったけどヘルマと高村監督誕生日おめでとうございました。
- 287 名前:名無しさん:2010/10/11(月) 10:35:01 ID:o.MKrGN6
- エイラスレより勝手に転載
594 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2010/10/11(月) 01:07:28 ID:2P+3Mdb00
久しぶりにニパに会ったエイラが、「大きくなったなー」とニパの胸を揉むんだよ。
昔から何度も繰り返してたやり取り。けど、ニパは思わず甘い吐息を漏らしてしまう。
途端、思わず無言になる二人。無碍に「やめて」と言うことも出来ないニパ。
堪えるように必死に声を押し殺すニパに、エイラは思わず「ごめん」と謝って慌てて手を止める。
けど、ニパはエイラの手に自分の手を重ね「もう少しだけ……」と懇願して――
俺は正気に戻った。ニパイラって妄想難しいな。
- 288 名前:名無しさん:2010/10/11(月) 12:22:46 ID:815CwpGE
- 502でなにか書いてみたいけどどうすればいいかわからんくらい百合があるw
- 289 名前:名無しさん:2010/10/11(月) 13:08:24 ID:FepjC6Yc
- >>285
GJ!さすがエーリカ。カルスラ組は安定感がありますね。
それにしても最近の502は燃料投下がスゴイ
何をどう書くべきか迷うほどw
- 290 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/10/11(月) 22:50:56 ID:jGZex1D6
- >>285 5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2様
GJ! スーパー気配りガールなエーリカはマジ天使。
カルスラ組は安定感抜群ですね!
こんばんは、mxTTnzhmでございます。
2期10話放送後
http://twitter.com/#!/humikane/status/24194914717
フミカネ先生のこんな呟きが。
これをヒントに一本書いてみました。
と言う訳で2期10話、マルセイユさんのその後を妄想。
ではどうぞ。
- 291 名前:2D or not 2D 01/03:2010/10/11(月) 22:51:45 ID:jGZex1D6
- 輸送機のタラップを降りる。砂混じりの風が頬をなぞる。
「やーっと帰って来たかー」
うーん、と背伸びをするマルセイユ。501を出た後、暫く「所用」で方々を周り、やっとアフリカの大地に戻って来たのだ。
「やっぱりここが私のホームだな」
セピア色の風景を見て頷く。
そこに大股でずかずかとやって来たのはケイ。ストームウィッチーズの隊長だ。
「やあ、ケイか、今帰っ……へぶしっ」
いきなりどつかれ、よろけるマルセイユ。
「な、何するんだいきなり!」
頬をさすり睨み付けると、それよりも恐ろしい眼光で凄んでくるケイの姿が。さすがに一歩ひくマルセイユ。
「それはこっちのセリフよ! 見なさい!」
目の前に突き付けられた文書の数々。ブリタニア語で書かれた文書のひとつを見、最初の数行を読んでマルセイユは一言
「大体分かった」
とだけ言った。が、ケイはそんな素振りを許す筈も無く、マルセイユの首根っこを掴むとずるずるとテントに引きずっていった。
宿舎代わり、執務室代わりのテントの中で、こんこんと説教が続く。
「何で501(向こう)で暴れたりするかな、君はぁ? はしゃぎ過ぎにも程が……」
「あんなの、はしゃいだうちに入らない。旧友とのちょっとしたトレーニングだって」
「向こうの大尉ととっ掴み合いしたり、挙げ句向こうのエースと実弾で撃ち合いが、トレーニングですって!? あらやだ!
カールスラントって変わった文化持ってるのね〜」
「それは嫌味か、ケイ」
「501の指揮官からも、えらく控えめだけど、どうにかしろって文書が来てるのよ!」
怒り心頭のケイはマルセイユの襟首を掴んでぶんぶんと振った。
「あんたストームウィッチーズの手助けに行ったの? それともストームウィッチーズを潰しに行ったの?」
「いや、そこまで大袈裟に言う事無いだろ。少なくとも知名度は上がったと思うぞ?」
マルセイユのジョークを前に、無言で始末書や報告書をちらつかせるケイ。ああ、と横で頭を抱えるライーサ。
「この落とし前どうつけてくれるのよ? せっかく上層部向けのウケ狙いで行ったのに、逆に心象悪くしてどうするの!?」
「それは……その」
「とりあえず、ストームウィッチーズ隊長の私からも貴方を処罰しないとね」
「な、何っ!? 謹慎とか嫌だぞ? こんな暑苦しいテントの中でじっとしてろなんて……」
言いかけたマルセイユの横のテーブルに、どっさりと何かが置かれる。持って来たのは真美。結構重いらしい。
「何だこれ?」
包みを解いて仰天した。マルセイユの写真……何百枚有るか分からない量だ。
「この写真に、直筆でサインしなさい。一万枚用意したわ」
「い、いちまん? はああ!? 冗談じゃない! 私はサインはしない主義だ」
「じゃあ謹慎一週間、いえ二週……」
「わ分かった、書く! 書けば良いんだろう! でも一万枚も書いたら手がつって戦闘の支障になる!」
「……そう言えばそうねえ」
「だから、大サービスだ。十枚しか書かないからな」
「九千九百九十九枚」
「じゃ、じゃあ二十枚」
「九千九百九十八枚」
「たったの二枚引き!?」
愕然とするマルセイユ。にこっと笑うケイからペンを渡され、言い様の無い絶望感に襲われる。横に居るライーサに目を向ける。
「ラ、ライーサ?」
「何、ティナ?」
「手伝ってくれないか? 私に筆跡似せれば少し位……いててて」
「馬鹿言ってないで、とっとと書く!」
ケイに怒鳴られ、手をつねられ……仕方なく、サインを始めた。
ライーサはテントの外から他のウィッチに呼ばれ、テントを後にした。何かの用事らしい。
- 292 名前:2D or not 2D 02/03:2010/10/11(月) 22:54:12 ID:jGZex1D6
- 「私は映画スターじゃないっての」
すらすらとサインしながらも、ぶーたれるマルセイユ。
「貴方は知名度も人気も、映画スター以上よ。それは誇りに思って良いし、私達の希望の星だもの」
「ならこんな事させるなよ」
「なら501(あっち)であんな事しちゃダメよ」
にこやかに返され、言葉を失うマルセイユ。何となく一枚上手なケイに、にっちもさっちも行かない。
「仕方ないだろ。人類最高のエースがどっちか決める、千載一遇のチャンスだったのに」
(どうしてハルトマンは、何で、あんなシスコンのクソ石頭なんかを……何故、私とまともにやり合わない?)
501滞在時を思い返し、イラッと来るマルセイユ。そこにケイがぽつりと言った。
「それはストームウィッチーズを潰すに値する事なの?」
「うっ……」
思わず手が止まる。
「もうちょっと大人しくやってくれるかと思ったけど……やっぱり私の思った通りだったわ」
ケイが呆れた顔をする。
「だって……」
「手を止めない!」
「はい……」
居残り勉強をさせられている女生徒、監督する教師の様な関係を見て、周囲のウィッチ達はくすっと笑った。
「まったく。幾ら相手が現役のエースウィッチで、シールド有るから銃弾は問題無いとは言え、もし、万が一何か有ったらどうするつもりだったの?」
「私の目標はただひとつ。人類最高のエースになる事だ」
キリッとした表情で言うマルセイユに微笑むケイ。
「人気は世界一だから安心して」
「だからってこのサインの量は無い!」
弱音を吐くマルセイユ。
「貴方が自分の写真にサインを書いてそれを配れば、貰った兵士の士気が上がり、民間人はより希望を強く持てる。
そして部隊としては物資調達や補給物資の面でプラスになる。ついでに貴方にはファンから酒もプレゼントされる。
ついでに地元の写真屋も儲かる。良い事尽くしじゃない?」
「前にも聞いたぞ、そんな話……」
「ま、ともかく。501と私に詫びを入れるつもりで頑張りなさい」
「詫びってどう言う事だ!? 迷惑なんてかけ……いたっ痛い……痛い。書くよ、書くから!」
ケイに頭をげんこつでぐりぐりされ、言葉が詰まるマルセイユ。
気怠そうにサインするマルセイユ。
「これでざっと百枚だ」
「真美、悪いけど数えてくれる?」
「了解です」
ぱらぱらとめくりながら枚数を数える。数えた枚数を、真美が報告する。
「ぴったり百枚です」
報告を聞いたケイは、渡されたサイン入りの写真を丁寧に紙で包み、しまう。
「さて、じゃあ次は、マルセイユの名前の前にこう書いてね。『みんな頑張れ、私がついている』って」
「何だそれは!? 私はヒーローか何かか?」
「そのものじゃない。“アフリカの星”」
「誉めてるのか馬鹿にしてるのか分からないぞ」
マルセイユは言われるまま試しに一枚書いて、その写真をぺらぺらとめくってみせた。
「はあ……」
自分の笑顔が写る写真を見て、溜め息をつく。
「どうしたのマルセイユ」
「いや。こんなの、私が写ってるだけの、ただの紙っきれだろ」
腕組みして話を聞くケイ。言葉を続けるマルセイユ。
「私本人でもない。動きもしない、喋りもしないこんなちっぽけな紙っきれに、どんな価値があるんだ」
ケイはふっと笑った。
「それはさっき言ったでしょ? 繰り返させないの」
「写真を撮られて、その写真にサインさせられてる私には実感が湧かないって事さ。私は生憎、“戦う”か、そうでないか、しかないからな」
マルセイユのぼやきを聞いたケイは、穏やかな表情で言った。
「確かにマルセイユの言う通り、それはただの紙切れ。インクの載った印刷物。だけど、それに何が写ってる?」
「私の顔だ」
「そう。微笑む貴方を見て、人は感動し、希望を抱く。要は人の心の問題なのよ。だから、媒体がどうだとかそんな事は関係無いの。
ブロマイドだろうが映画だろうがそれは同じ事。これは元魔女(エクスウィッチ)、そしてカメラマンとしての私の経験、そして思いよ」
「しかし……」
まだ何か言いたげなマルセイユに、ケイは言い放った。
「ならいっそ映画スターになったら?」
「何だいきなり」
「その美しい顔立ち、モデル顔負けのナイスバディ。しかもカールスラントのみならず人類最高のエースと讃えられ……」
「ああもう沢山だ」
ペンを投げ出し、うんざりした表情のマルセイユ。
- 293 名前:2D or not 2D 03/03:2010/10/11(月) 22:55:32 ID:jGZex1D6
- その時、届けられた郵便物を持ったライーサがテントにやって来た。マルセイユに一通の手紙を差し出す。
「ティナ。貴方宛ての手紙よ」
「ファンレターならそこに置いといてくれ、暇な時にでも見る」
「同じカールスラント空軍からのだけど……」
「誰から?」
怪訝そうな顔をするマルセイユ。
「エーリカ・ハルトマンって書いて……」
ばっと封筒をひったくるマルセイユ。検閲済みの印も気にせず、べりっと開封する。
中から出て来たのは「お届け物だよ」と一言だけ書かれた小さな紙切れ。そして、別の封筒が出て来た。
「何だこれ? この封筒、差出人は……バ、バルクホルン? いや、待てよ」
書かれたファーストネームを何度も見て、確信した。頷くマルセイユを見て、ケイが聞く。
「誰から?」
「いや、ちょっとね」
マルセイユは封筒を開いた。
可愛い字で書かれている手紙を読む。
『このたびは、わざわざ私の為にサイン入りの写真をありがとうございました。おかげで、とっても元気が出ました。お姉ちゃんも喜んでます。お姉ちゃんが迷惑かけてたらごめんなさい……』
「あのシスコンのクソ石頭が……」
ぶつくさと文句を言いながらも、先を読む。
『話では、アフリカにはほとんどお花が無いそうですね。せめてこれだけでも、せいいっぱいの私の気持ちとして受け取ってください』
手紙の間から、何かがはらりと落ちた。そっと指でつまむ。
「熱い長旅」で変色しているが、何かの花である事は確かだ。押し花らしい。
そして文章は続く。
マルセイユは押し花を玩びながら、一見、退屈そうに読んでいる。
一瞬、下を向く。指で目をこする……拭った様に見えた。
「ティナ?」
「何でもない。砂埃だ、気にするな」
心配したライーサに声を掛ける。目を少し赤くしたマルセイユは、手紙と押し花をそっと仕舞った。
「あら、マルセイユが珍しい。誰から? 何て書いてあったの?」
「プライベートな事に口出ししないでくれ」
「あらごめんなさいね」
無言で写真に向かい、サインを書き、言葉を加える。
不意にマルセイユは言った。
「手紙、最後に『ご活躍とご武運をお祈りしています』ってさ」
「あら、嬉しいじゃない。ファンが増えたわね」
「元からファンらしい。……しかし姉も姉なら、妹も妹だな。真面目過ぎだ」
マルセイユは強がって見せた。
「まあ、そう言う事ね」
ケイが笑った。
「な、何の事だ?」
「貴方はそれだけ凄いチカラを持ってるって事。貴方の存在そのものがね」
「分かったよ。こんなので皆が元気になるなら、幾らだって書いてやるよ」
そして黙々とサインを続ける。
「これで二百枚目だ」
真美に渡す。きっかり二百です、と真美が報告すると、ケイは頷いた。
「宜しい。今日の授業はここまで」
「はあ?」
「まずはこれだけ有れば、カールスラントの子供達も元気付くでしょうし、これで補給もバッチリね」
「何だそれは」
「あんまり筆記で腕を酷使させるのもアレだし」
「ま、まあ……」
「それに貴方が言ったでしょう? 『こんなので皆が元気になるなら、幾らだって書いてやる』って」
「あ、あれは勢いで言っただけで本心では……」
ケイは傍らに置かれたマルセイユ宛の手紙を見せた。
「これを見て読んで、そう言う?」
「こら、返せ! それは私のだ!」
「本心でしょ?」
「だから……ッ!」
手紙の差出人、クリスティアーネ・バルクホルン。
ある意味で“石頭”だったマルセイユを手紙ひとつで変心させた、幼き“魔法使い”。
後日、花は小さな額に飾られ、殺風景な隊に少々の彩りを与え皆を和ませたと言うが、それはまた別のお話し。
end
- 294 名前:名無しさん:2010/10/11(月) 22:57:33 ID:jGZex1D6
- 以上です。
しかし、サイン一万枚は流石に酷です(><;
でも、マルセイユさんはきっとこんな感じかなーと思って書いてみました。
おケイさんが若干崩壊気味ですがキニシナイ!
手紙の検閲システムとか細かい事もキニシナイ! でお願いします。
ではまた〜。
- 295 名前:名無しさん:2010/10/11(月) 23:49:14 ID:U2BuOVbM
- >>284
おケイさんとマルセイユのやりとりがいいかんじ。
こういうエピソードを公式で見たかったなーとか思います。GJ
- 296 名前:名無しさん:2010/10/12(火) 06:48:54 ID:xi29pMuQ
- >>284
10話フォローおもしろかったです。
私はテレビと鈴木小説のマルセイユがどうも一致しないのですがw
アニメのほうが若々しいですよね
- 297 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/10/13(水) 21:53:51 ID:5UN8znYU
- >>296様
私も、“公式”同人誌(アフリカの魔女シリーズ)と
TVアニメ版のマルセイユさんは別人じゃないかな、と思いますw
各メディアの間を取って……京極先生の漫画版も入れつつ……
今回は解釈してみた次第です。
改めてこんばんは、mxTTnzhmでございます。
今回は保管庫No.1307「elder sister」シリーズ続編です。
各所にフミカネ先生のSSネタ等が入っております。ご容赦を。
かなり混線気味ですが、ではどうぞ。
- 298 名前:venus and mars 01/06:2010/10/13(水) 21:54:29 ID:5UN8znYU
- それは、定子の部屋での出来事。
ベッドの上で、正座して向かい合う定子とサーシャ。
奇妙な光景の中、話は始まった。
「何か、前にもこう言う事、しましたよね」
「扶桑の文化を教えて貰いましたね。なかなか良いと思います」
真面目な顔で頷くサーシャに、定子は控えめに意見を言った。
「正座は精神修養の為で、懲罰行為ではないのですけど……」
「乱れきった精神を正す意味では良いんじゃないですか?」
(何か違う)
定子は内心思いながら、この話題を打ちきった。
「それで、サーシャ大尉」
「ええ、話って何ですか? ……正座しながら話、と言うのもちょっとおかしいですけど」
「足、大丈夫ですか?」
「今はまだ」
サーシャの答えを聞いた後、定子はいきなり核心を突いた。
「サーシャ大尉と管野さんって、どう言う関係なんですか?」
ぎくりとするサーシャ。
「どうって、上官と部下の関係ですが、何か」
努めて冷静を装うサーシャに、定子が膝をついと詰めて迫った。
「じゃあ、どうして管野さんはサーシャ大尉の事を呼び捨てにするんですか?」
「えっ……そ、そんな事有りましたっけ?」
何時聞かれたのか、と内心記憶を辿りながらも、シラを切るサーシャ。
「この前だって……」
言いかけた定子に、サーシャは穏やかな口調で言った。
「でも、下原さんこそ、私と管野少尉の事を聞くなんて、どうしたんですか? 管野少尉の事で何か問題でも」
「そ、それは……」
とても気になる、とは流石に言えない。でも実際二人が“こそこそ”と何か示し合わせたかの様に何かしている、
その事については非常に興味がある。
いや、興味があると言うより、何をしているのか。二人は一体何を……。
定子はその事を考えると、何故か心穏やかで居られなくなる。
だからと言って、直枝、サーシャ、どちらかを特に気に入っているとか好きだとかそう言う感情は持ち合わせていない、
と定子自身は考えている。
しかし「考え」と心の奥底に眠る「感情」は全く別である事に、定子は今も気付かない。
だから、こうしてサーシャを自室に呼び込み、不躾な質問をしてしまう“不器用”な子なのだ。
唐突に考え込む定子を見て、どう答えていいものか、居心地が悪くなったサーシャは頬を少し染め、視線をベッドに落とす。
うつむき加減のまま、思いを巡らせるサーシャ。
(正座したまま何でこんな事を……下原さんは一体)
と思っていると、不意に定子が動いた。
何が起きたか理解するのに、しばし時間が掛かった。ようやく、サーシャは定子に抱きつかれている事に気付く。
(え……どうして?)
サーシャは訳が分からず、ただ呆然とした。
- 299 名前:venus and mars 02/06:2010/10/13(水) 21:54:56 ID:5UN8znYU
- (またやっちゃった……)
定子はサーシャに抱きつき、ぎゅっと腕の力を込めながら、内心後悔した。
サーシャのブロンドの長髪はとても綺麗で、最前線で戦っているとは思えない程手入れがきめ細かい。
目の前で恥じらいの姿を見せるサーシャを眺めているうちに「抱きつきたい」衝動に駆られ、本来の目的を忘れて彼女に飛びついてしまったのだ。
サーシャの甘い香りを感じ、肌触りを確かめ、しっかり抱きしめる定子。
「あ、あの……下原さん?」
戸惑うサーシャ。定子は弁解するつもりで、口を開いた。
「サーシャ大尉、可愛いです。凄く」
弁解どころか、誤解を招くに余りある発言を聞き、サーシャは顔を真っ赤にして抗った。
「し、下原さん! 私、そんな軽い女じゃありません!」
ぎくりとして、逃げかけたサーシャの身体を更に強く抱きしめる定子。
「ち、違うんです! 可愛い……」
不意にドアが開いた。
ドアを開けた主は、唖然とした顔で立ちすくんだ。
定子とサーシャは同時に、ドアの方を見た。
ドアを開け、そこに居る人物。最初に話題にのぼり……と言うより今回の「会談」の切欠ともなった人物。
管野直枝その人であった。
「な、何やってん……だ?」
定子とサーシャが抱き合っている現場を見た直枝は、唾を飲み込んだ末に、ようやく言葉を発した。
「ち、違うんです管野さん!」
「管野少尉、誤解です!」
とは言うものの、離れる気配は何故か無く……直枝は呆然としたまま、微かに頷いた後、ゆっくりとドアを閉めた。
足音が早く遠ざかる。駆け出してるに違いない。
「し、下原さん……」
ようやく腕を解いた定子の前に、サーシャが憤怒の表情で立っている。
「ああ、サーシャ大尉……ごめんなさい」
「貴方の意味不明な行動のせいで、管野少尉に誤解をうっ……」
突然サーシャは崩れ落ち、もがいた。正座のし過ぎで足がしびれたのだ。
「あっ足がっ……くああっ」
足をひきつらせ、ベッドの上でもがくサーシャ。
「ああ、サーシャ大尉……慣れない正座を続けるから」
「そう言う問題じゃ……もっと大事な事がッ」
「ま、まずは足のしびれを直さないと。こう、ゆっくり足をさすると血の巡りが良くなって早く治りますから」
「ちょ、やめて……きゃああああははははははやめてー」
定子の部屋の前を通り掛かったニパとクルピンスキーは、ドアの隙間越しに定子とサーシャの行為を見た。しばしの沈黙の後、顔を見合わせる二人。
小声と小ぶりなジェスチャーで互いに“意思疎通”を試みる。
「何で、シモハラ少尉とポクルイーシキン大尉がいちゃついてるんだ?」
「さあねえ。しかし定子ちゃんは本当に凄いね。着任初日でナオちゃんを餌付けし、ジョゼちゃんを落とし……
今日は何とあの怖い熊さんまで食べようとしてる」
「食べるとか言うなって」
「ここまで来ると、ボクもちょっと自信喪失しちゃうよ。これは502に留まらず、近隣部隊とも密接に交流しろって解釈で良いのかな?」
「どんな解釈だよ。てか伯爵はそもそも交流の仕方がおかしい」
「じゃあ詳しく説明しようか?」
「……こんな所で二人に勘付かれたらどうすんだよ、行くぞ」
苦々しい顔をしながらクルピンスキーを引っ張るニパ。扱いにも慣れている様だ。
- 300 名前:venus and mars 03/06:2010/10/13(水) 21:55:22 ID:5UN8znYU
- 居場所が見つからず、誰も居ない食堂で一人ぼけっとお茶をすする直枝。
さっき見た光景。
あれは一体何だったのか。
あの時の情景を思い出すたびに思考が止まる。
飲みかけの湯飲みから唇が離れる。つーっと熱いお茶が太腿にかかる。
「あっつっ!」
その声を聞きつけたのか、通り掛かったジョーゼットが直枝の所にやって来た。
「どうしたんですか? 今悲鳴みたいな声が」
「な、何でもない」
「あ、お茶こぼして……太腿やけどしてるじゃないですか」
「こんなの火傷のうちに入らない」
「ちょっと待って下さいね」
ジョーゼットは慣れた様子で、魔力を発動させ、赤くはれた直枝の太腿を治癒する。
「良いって。こんなんで魔力を浪費すんな」
「すぐ終わりますから」
ジョーゼットの言う通り、すぐに治療は終わり、元の綺麗な肌に戻る。
ほんのり顔を赤めるジョーゼット。いつもの様に「発熱」している。
「座れよ」
直枝はジョーゼットを座らせると、厨房から湯飲みを持ち出し、急須からお茶を注ぎ、ジョーゼットに渡した。
「礼代わりだ。飲むと少しは落ち着く」
「ミルクティーみたいですね」
「甘くはないけどな」
「ありがとうございます」
ふーふーしながら、そっと口を付けるジョーゼット。顔色は元に戻りつつある。
直枝はそんなジョーゼットを見て、一安心する。自分の不手際でジョーゼットに要らぬ気苦労をさせてしまうのは心苦しい。
直枝は湯飲みを持ち、お茶をすする。
「あの……」
「どうした?」
「管野少尉、今日、どうかされました?」
「どうって?」
「何か顔色悪い気がしますけど」
「そんな事無い。ちょっと……」
「ちょっと、どうかしたんですか? 私で良ければ相談とか……あっごめんなさい、余計な事言って。お節介でしたね」
「いや……」
直枝は湯飲みをテーブルに置くと、だらりと突っ伏した。
「今だけは、嘘でもそう言って貰えると助かる」
「深刻そうですね。本当、私で良ければ……」
「ジョゼは、本当、優しいな」
ぽつりと、直枝は言った。
「えっ、そんな事……」
ちょっと慌てるジョゼに、直枝は聞いた。
「なあ、ジョゼ。下原ってどう思う?」
「下原さんですか? とっても優しい方で……料理も上手で……その……」
もじもじと、言葉を選ぶジョーゼット。
「そう言えば、ジョゼと下原って、下原がここに来た時から何か……」
「そっその話は無かった事に!」
「ま、いいけど」
なげやりな直枝。
「下原さん、なんか可愛いもの見ると抱きしめちゃう癖があるって、話してました」
思い出すかの様に言うジョーゼット。
「抱きつき魔か……」
(かわいけりゃ何でもいいのかよ)
直枝は内心思った。そう言えば、この前夜食をご馳走になった時も、抱きつかれた事を思い出す。
「ああ……確かにそうだな」
「管野少尉も抱きつかれた事が?」
「ああ、ちょっとな」
「良いじゃないですか」
「どうして」
「可愛いって証拠ですよ」
「はあ? 可愛いって、誰が得するんだよ」
「下原さんのお墨付きですよ?」
「そんな箔要らん」
愚痴る直枝。しかし、定子の“癖”を改めて思い出し、何となく気分が軽くなる。
次にすべき事が見えた気がする。
ジョーゼットが茶を飲み終えると、湯飲みを受け取った。
「悪いなジョゼ、付き合わせて。大体分かった」
「ほえっ? 私、何かしました?」
「いや、良いんだ。ありがとな」
直枝はそれだけ言うと、湯飲みと急須を持って厨房に向かった。
- 301 名前:venus and mars 04/06:2010/10/13(水) 21:55:56 ID:5UN8znYU
- 直枝が部屋に戻ると、部屋の前にはサーシャが立っていた。
「ナオ」
「サーシャ」
同時に呼び合ってしまい、微妙に気まずくなる二人。
「サーシャ」
ナオは意を決して、サーシャの元に近付くなり、ぎゅっと抱きしめる。
「ちょ、ちょっと……」
「良いから」
「その……」
「何も言うな」
直枝に言われ、サーシャは言葉が出ない。
「色々誤解してたみたいだけど、オレにはやっぱりサーシャしか居ないんだ」
「……っ」
「だから、愛してる。何度でも言う」
「いやっ、それはっ」
「? ……!?」
嫌がるサーシャを怪訝に思った直枝が振り返ると、そこには定子が立っていた。
「サーシャ大尉に、管野さん……」
その後ろから、ひょいと顔を出したのはクルピンスキー。更にその後ろでは、ニパが呆然とした様子でこちらを見ていた。
「こりゃ、またお邪魔しちゃったね」
「うわあ……」
直枝は一同を見、顔から湯気が出る程……と言うより蒸発する位の顔色で否定した。
「ちっ違う! これは違うんだ!」
「違うと言っても、ふたりでぎゅーと抱き合ってたし、おまけに告白だよ。聞いただろ、定子ちゃんに、ニパ君?」
「お、お二人ってやっぱり、その……」
「う、うわあ……」
ニヤニヤするクルピンスキー、顔を赤くする定子、ただ唖然とするニパ。
「な、何で何も言ってくれなかったんだ」
直枝がサーシャに囁くと、サーシャは直枝に怒りの眼差しを向けた。
「何も言うなと言って、挙げ句隊員の面前で告白など……」
ひそひそ声でやりあう二人をみて、ふっと笑うクルピンスキー。
「とりあえずおめでとう、と二人の門出を祝福したい気分だけど、なんかブレイクウィッチーズとしては複雑な気分だね、ニパ君?」
「うわあ……」
「『うわあ』ばっか繰り返してないで、ニパも他に何か言えよ!」
焦る直枝にも、ニパは同じ反応を繰り返すだけ。
「管野さん」
「な、なんだ下原」
「……何でもないです」
定子は顔を曇らせ、足早に立ち去った。
「ちっ違うんだ下原! 話を聞け! 待てって!」
「おっと、これは意外な展開だ。定子ちゃん、もしかして二人のどちらかに気があったとか? いやでも彼女はジョゼちゃんと……」
「と、とりあえず、行くぞ伯爵!」
ここでやっと我を取り戻したのか、ニパは直枝とサーシャから視線を逸らしたまま、まだ何か言いたげなクルピンスキーを引きずって行った。
再び、静寂に包まれる廊下。ぽつんと佇むサーシャと直枝。
「とにかく、部屋に」
直枝はサーシャの腕を掴み、抵抗も気にせず部屋に入った。
- 302 名前:venus and mars 05/06:2010/10/13(水) 21:56:27 ID:5UN8znYU
- ばたんとドアを閉める。鍵を掛ける。とは言っても外から合鍵で開けられればすぐに開くのだが、念のため。
直枝は、改めてサーシャの顔を見た。
(怒っていらっしゃる)
直枝はまた力技でベッドに組み伏せられるのかと、一応自分のベッドを確認した。
「あの、サーシャ」
「これで、完全に、隊に広まってしまったわね。私達の事」
「ご、ごめんなサーシャ。オレそんなつもりじゃ……」
「『ごめんなさい』で、済むと思って?」
ずいと一歩近付くと、早業で直枝ごとベッドに倒れ込む。直枝に問い質すサーシャ。
「もう、私達後戻り出来ないのよ? 覚悟は出来ていて?」
サーシャに組み敷かれ、まるで脅迫の様な声が部屋に響く。何も言わない直枝を前に、サーシャが言葉を続けた。
「答えて、ナオ」
「オレは……」
サーシャの顔を見る。
「オレは、逃げない」
「?」
「誰からも、サーシャからも、逃げない。そして、サーシャを守る」
「守るって、どうやって? 私達揃って部隊の風紀を乱しておいて」
「それでもオレが守る! サーシャはオレが! 絶対に!」
心の叫びを聞き、くらっと来るサーシャ。
僅かに緩んだ手を、直枝が取り、優しく抱き合う格好になる。
「全部、オレのせいだ」
「どうして、全部背負い込むの」
「サーシャが好きだから」
「私だって……ナオの事」
「サーシャは仮にも戦闘隊長だろ? こんなつまらない事で処罰受けても……」
「つまらない訳無いでしょ!? 私と貴方よ?」
「……」
黙り込む直枝。
そっと、頬を重ね、温もりを感じるサーシャ。
「私ね。私達の事がばれたらって……怖いって思う事も有る。でも、貴方となら、大丈夫」
「本当か?」
「だって。これでもう、私達、公認みたいなものだし」
本当は、既に察しの良いラルやロスマンが“それとなく”黙認していたのだが、二人は知る由もない。
「でも、もし、誰かが……」
「ナオは私を好きだと言ってくれた。だから、大丈夫。私も貴方の事、好きだから」
ぽろっと涙が零れるサーシャ。指でそっとなぞり、雫を拭う直枝。
「ご、ごめん。オレのせいで、また」
「バカね。悲しい涙じゃないの」
サーシャは直枝を抱きしめると、唇を重ねた。
もう何度も繰り返してきたキス。でも今日は、何か張り詰めていた糸が切れた……束縛から解放された様な気分。
「オレ、完全に吹っ切れた。サーシャの為なら、何でもする。何だって」
「嬉しい……ねえ、ナオ?」
サーシャの求めを受け容れ、直枝は身体を絡み付かせ、そのままお互い愛し合う行為に耽る。
定子は、自室で日記に向かっていた。
でも、何を書く訳でもなく、鉛筆を置くと、日記を閉じた。
何故かは分からないが、溜め息だけが繰り返される。
(私は、管野さんみたいに誰かを「愛してる」とか、そう言う事は……)
内心呟く。自分への弁解の様に。
ただ、どうして憂鬱な気分なのかは、定子自身ですら分からなかった。
- 303 名前:venus and mars 06/06:2010/10/13(水) 21:56:57 ID:5UN8znYU
- 翌朝。
定子がぼんやりと目覚め、支度をして部屋を出ると、直枝が立って待っていた。
寒い廊下で腕組みをして、むすっとした表情でそこに居る。
「管野さん」
「下原、話がある」
「ええ。部屋、来ます?」
「そうだな」
直枝は定子の部屋に入った。
「それで、要件って?」
「下原、何か勘違いさせていたら、済まない」
直枝はそう言って頭を下げた。
「な、何で謝る必要が? ……私こそ、何か、二人を、その、誤解させちゃったみたいで……特にサーシャ大尉とか」
「下原の抱き癖だろ? オレから話しておく」
「……ごめんなさい」
「オレの方こそ。でだ。サーシャとは……もう噂は広まってると思うけど」
「……」
「事実だ」
あっさりと認める直枝。
「オレ達の事は、他に弁解のしようがない。……それだけだ」
「風紀乱したとかで、ロスマン曹長とラル隊長に何て言われるか」
「覚悟は出来てる」
真面目な顔で言う直枝。
「……強いんですね、管野さん」
「オレなんか、姉様に比べたら全然……サーシャと比べても全然」
「そんな事無いですよ」
凛々しい直枝。意を決したその表情は、とても素敵で……
定子は、もふっと直枝を抱きしめていた。
「……おい」
「ご、ごめんなさい。ちょっと」
「『可愛い』と、思ったのか?」
「素敵だなって。私も、管野さんみたいな人、欲しかった……」
「えっ」
「ゴメンなさい。今のは冗談。忘れて」
定子はそっと直枝を離した。
「さあ、行かないと。もうすぐ朝の朝礼ですよ?」
「そうだな。じゃ、先に行く」
「はい、どうぞ」
直枝を送り出した後、定子は、八割の安堵と二割の未練が自身の中にある事を感じる。
これで一件落着なのに……どうして?
そんな筈は無い。でも……。
定子は頭を振って、気を取り直すと、朝礼に向かった。
end
--
以上です。
定子さんはフミカネ先生のSSを読む限りでは「可愛いもの好き」ですね。
抱きつき魔というのがまた……。扶桑の魔女は難しいw
ではまた〜。
- 304 名前:名無しさん:2010/10/13(水) 23:34:48 ID:ezrXP/.c
- >>303
やはり、関係が公になってからはringシリーズの様に容赦なく普段からいちゃラブになるんだろうかw
今後の展開が楽しみです。
あと相変わらず伯爵が面白い〜。GJ
- 305 名前:mxTTnzhm ◆hjpN6vNb3.:2010/10/14(木) 19:57:17 ID:W8he7QLE
- こんばんは、mxTTnzhmでございます。
今回は保管庫No.1307「elder sister」シリーズ続編です。
各所にフミカネ先生の502SSネタ等が入っております。ご容赦を。
ではどうぞ。
- 306 名前:limelight 01/03:2010/10/14(木) 19:57:58 ID:W8he7QLE
- 厨房での出来事。
夕食の食事当番を任され、いつもの様に準備を手際よく進める定子。
横にはジョーゼットがかいがいしく付き添い、サポートをしている。
「どう、しました?」
エプロン姿のジョーゼットが突然定子の顔を覗き込んで言った。
「えっ、何がです?」
割烹着姿の定子は、突然の質問に戸惑った。
「顔色悪いですよ?」
「そんな事無いです。体温も正常、何処も怪我してないし」
ふっと笑うジョーゼット。
「扶桑の人って、そうやって強がる所は一緒なんですね」
「えっ、どう言う事ですか」
「秘密です」
「えーずるーい、教えてジョゼさん」
「だめです」
くすっと笑うジョーゼット。
黙々と作業をしていると、日常の些細な事や、嫌な事、そういった雑音が消えていく。
特に料理をしている時は、皆にしっかりとしたものを出さないと、と言う緊張感からか、味付けや量の加減と言った事に気を取られる。
だけど。
今日は何処かおかしい。肉じゃがを作り、味噌汁を作り……そのたびに、彼女の笑顔がちらつく。
彼女の、きりっと引き締まった顔。凛々しい顔。鋭い眼光。
お菓子を前にした、弾けるばかりの笑顔。
(ああもう、どうして!?)
だん、と作業台を叩き、ふう、と溜め息を付く。
そして、はっと気付く。今日は一人じゃなかった。
横を見ると、突然の仕草にびっくりしたジョーゼットが、おどおどしながら、心配そうに定子を見ている。
「大丈夫、ですか?」
「えっ……、いや、何でも。ちょっと、思い出しちゃって」
「そうですか。何か、とっても辛そう」
「そんな事、ないです……。本当に……」
言い淀む定子。
正直、辛い。
どうしてこんな気持ちになるのか、どうしたら治るのか分からない。
でも、だからと言って“彼女”にこのもやもやした気持ちを言ったところで、困るだけ。
誰も得をしない。良い事がない。でも……
「そうやって、自分の中にばかり溜め込むの、良くないです」
どきりとして声の主を見る。
いつになく真面目で、ちょっと怒った感じのジョーゼット。
「下原さん、いい人なのに、そんなに困らせる人が居るんですか」
「ち、違うのジョゼさん。これは、私だけの問題、で……その、だから」
ジョーゼットは定子の傍らに立つと、そっと、定子を抱きしめた。
魔法を使った直後みたいな、かあっとした熱は無い。
でも、ほんのりとした肌はとても気持ち良く、あたたかい。
「もう隊の人にはばれてますけど……秘密、ですよね。私達の」
「え、ええ」
「だから、今日は私から、しちゃいます。勇気を出して」
「えっ?」
「だって下原さん、見ていて悲しくなるから」
「ごめん、なさい」
厨房で抱き合う二人。
抱かれっぱなしの定子も、お玉を置き、そっとジョーゼットの腰に手を回す。
ジョーゼットは、定子の目を見て言った。
「言いたければ言えば良い、悲しければ泣けばいいと思うんです。扶桑の人は、何でも我慢するのが美徳みたいですけど」
「そ、そんな事……」
「もっと自分の気持ちに、正直になって下さい。そうでないと、私も、悲しい……」
ぎゅっと抱く力を強めるジョーゼット。
- 307 名前:limelight 02/03:2010/10/14(木) 19:58:22 ID:W8he7QLE
- 定子は、ジョーゼットの目を見た。
はっと、気付く。
ジョーゼットの目に、うっすらと涙が滲んでる事。
紛れもなく、定子を心配している事。
そしてそれ以上に、定子の事を思っている、と言う証拠。
(どうして、どうして気付かなかったの!? 私のバカ!)
定子は、自分を恥じた。そしてジョーゼットに向かい言った。
「ごめんなさい、ジョゼさん」
えっと言う顔をするジョーゼット。定子は、そっと頬をくっつけた。そしてジョーゼットに呟く。
「私、遠くに居る人を見てて……、もっと、凄く近くに居る人の事、見てなかった」
ジョーゼットの小さくも“精一杯の勇気”が、定子を気付かせ、気持ちをまっすぐに戻す。
「ジョゼさん、ありがとう」
「下原さん」
くすっと、定子は笑った。ジョーゼットもうっすら涙を浮かべ、ぐすっと微笑む。
「でも、ジョゼさんも、ストレートには言わないんですね」
「えっ?」
「だって……」
「そ、そんな事、言わせないで下さい、恥ずかしい……」
かあっと熱くなるジョーゼット。
「ねえ、ジョゼさん」
「はい?」
「もうひとつ、秘密、作りませんか?」
「それって……」
言いかけたジョーゼットの唇に、そっと自分の唇を重ねる。
目が点になり、そして、間も無く、瞳が潤む。
「私達だけの、秘密」
「下原さん……」
「定子、で良いですよ」
「定子さん」
「私、自分の癖に振り回されていた感じで……本質を見てなかった。固有魔法でも、見たままの事しか」
「……」
「でも、今ははっきりと見えました。いえ、感じました。そして見ています。ジョゼさん……」
もう一度、軽く触れ合う唇。
「私、ジョゼさんと、その、……だめですか?」
ジョーゼットは今更な事を聞かれ、涙ながらに苦笑した。
「扶桑の人って、やっぱり何かおかしいです。順番とか」
「えっ?」
「これからも宜しく、定子さん」
今度はジョーゼットの方から、キスを求められた。二人はしっかりと抱き合い、お互いの気持ちを確かめた。
- 308 名前:limelight 03/03:2010/10/14(木) 19:58:47 ID:W8he7QLE
- 夕食後。
扶桑食を存分に食べてご満悦の直枝は、食堂に残り、一人お茶を飲んでいた。
ずずず、と番茶をすする。
そこに、割烹着を着たままの定子がやってきた。
「おう、下原、どうした?」
「今日も可愛いですね、管野さん」
「はあ? いきなり何だ……っておい、ちょっと!」
突然に抱きしめられ、湯飲みを落としそうになる。慌ててテーブルに置く。
ぎゅーっと抱きしめられ、もがく直枝。頬をすりすりされる。
「はーっ、すっきりした」
定子は満足した様子で、直枝を解放した。
「な、何だ、いきなり!?」
「ゴメンなさい、癖で」
「あのなあ、誤解されるだろう」
「管野さん、誤解は解いてくれたんですよね?」
先日の事を言われたと気付いた直枝は、途端に顔色を変え、真面目な顔でひとつ頷いた。
「なら、良いんです。生憎、私、そういう所は変えられないみたいで」
「変えろよ! てかその癖直せって! そんな癖持ってて大丈夫か?」
「でも、もう私、問題無いですから。大丈夫です」
いまいち会話が噛み合わない二人。
厨房では、二人のやり取りを見ていたジョーゼットが、くすくす笑っている。
「だけど、どうしても、もう一度だけ抱きしめたかったんです。ありがとう、管野さん」
「はあ?」
定子は軽い足取りで厨房に戻った。そしてジョーゼットと一言二言交わし……
次の瞬間、直枝は信じがたい光景を見た。
定子とジョーゼットが、キスをした。一瞬だったが、まるで軽い挨拶の様にしたのを、確かに見た。
お茶を吹きかけ、ごほごほとむせる。
「な、何なんだ。今度は一体……」
「どうかしたの? ナオ」
いつの間に立っていたのか、書類を小脇に抱えたサーシャが直枝の横に立っていた。
とりあえず、見間違いではないかと思った直枝は一言
「い、いや。下原の抱き癖に付き合わされた」
とだけ言った。
「そう、大変ね。彼女も困った癖を持ってるから……」
「まあ、とにかく。お茶飲むか?」
「これから残務が有るから今はいいわ。終わったら、呼ぶから部屋に……」
「わ、分かった」
それだけ言い残して、サーシャは廊下へと出て行った。
「502(ここ)もいつの間にか、賑やかになって来た……のかな」
直枝はお茶を全部飲み干すと、湯飲みを置き、席を立った。
end
--
以上です。
フミカネ先生の502SSを更に発展させるとこんな感じかなー、
と思って書いてみました。
かなーり強引な感じもしますがキニシナイ!
定子さんも幸せになってくれればと思います……。
ではまた〜。
- 309 名前:名無しさん:2010/10/14(木) 20:10:51 ID:iOcObEOU
- >>308
二つめのカップリングが成立ですね。
自分から抱きに行くジョゼがかわいいと思いました。
あとは誰と誰がどういう形で成立するのやらw
GJです〜。
- 310 名前:absol:2010/10/15(金) 22:17:36 ID:yf0g2stQ
- ってか501消えかかってるな。
- 311 名前:mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2010/10/16(土) 18:20:07 ID:Zv2bK/IY
- こんばんは、mxTTnzhmでございます。
気分転換に、ちょっとトリップ変えてみました。
今後はこれで行きますので宜しくです。
さて、今回は保管庫No.1307「elder sister」シリーズ続編です。
また保管庫No.1303「team」の続き? でもあります。
各所にフミカネ先生のSSネタ等が入っております。ご容赦を。
ではどうぞ。
- 312 名前:"B" team 01/02:2010/10/16(土) 18:20:48 ID:Zv2bK/IY
- 戦が終わり、基地へと戻る三人のウィッチ。
のんびりと軽くロールを打ちながら、横を飛ぶ小柄な扶桑のウィッチに近づく長身のウィッチ。
「いやー今日も大活躍だったね、ナオちゃん」
「いつもと同じだ」
むすっとした表情で答える直枝。
「大物ひとつに、ちっちゃいのは……」
「誰か数えてるだろ。オレにはそんな暇無い」
「その澄ましたお顔もクールでキュート、なんてね」
「さっきから何だ、伯爵。気味が悪い」
伯爵、と呼ばれたウィッチ……クルピンスキーは、両手でジェスチャーを交えながら答えた。
「最近のナオちゃんの攻撃だけどね。なんか、向こう見ずさが少し減ったかなって思ってさ」
「……?」
怪訝そうな顔をする直枝を前に、笑うクルピンスキー。
「ある程度ニパ君と連携取れてたし、被弾はしたけどかすり傷だし。何より墜落していない」
「たまには、そういう日もある」
クルピンスキーから目を離し前を向く直枝。
「地上の回収班には悪い事しちゃったかな? あの娘(こ)達のお仕事減っちゃってさ」
「あのさぁ伯爵。私達が墜落して当たり前みたいな事言うなよ」
二人の様子を眺めていたスオムス出身のウィッチが、文句を言う。
「そうかいニパ君? ボクは喜んでるんだけどな。ナオちゃんは少し丸くなった感じだし、ニパ君も少しずつトラブルが減ってきてる」
「伯爵の言い方は、何かいちいち含みがあるんだよな」
「そう言うニパ君は、回収班のユーティライネン隊長と……」
「何もない。イッルの姉さんってだけで何もない」
クルピンスキーとニパのやりとりを、横目で見る直枝。
「でもニパ君、それにしては良く……」
「うるさい! 伯爵だけ回収班に回すぞ!」
背中に背負った銃に手を掛ける仕草をするニパ。両手を挙げ大袈裟な素振りを見せるクルピンスキー。
「おっと味方同士で撃ち合いは良くないなあ。せめて裸での付き合いにしようよ」
「……行こう、カンノ。相手してるだけ無駄だわ。……ん? カンノ、どうした?」
直枝が、クルピンスキーのはるか後方に、意識を集中させている。
「ニパ、見えるか? ネウロイだ。四時の方向。距離はおよそ……」
手で指し示す。ニパも振り返る。遠くに、ぽつぽつと黒い点が見える。
「……ああ。さっきやったばかりなのに、懲りもせずまた湧いてきたのか」
すかさず、三人の無線に、凛とした声で通信が入る。
『心配有りません。そのネウロイは少数、現地部隊が迎撃するとの連絡です。貴方達は速やかに帰還しなさい』
サーシャの声だ。戦闘後一足先に帰還し、現地部隊との連絡調整を行っていたらしい。
「現地部隊、ねえ。今日の出撃、確か搭乗割りは、アンナちゃんにオリガちゃんか……」
指折り数えるクルピンスキー。
「伯爵、何で知らない現地部隊の事知ってんだよ」
「そりゃあ、色々とね……」
言いながら身体を反らし、華麗にターンを決めるクルピンスキー。
「ちょ、何処行くんだ伯爵!」
ニパが追う。
「あの子達にはちょ〜っと大変かなと思って、軽いお手伝いだよ」
「待て、帰投命令出てるんだぞ!?」
直枝も止めに入る。
「じゃあ二人は先に帰っててくれないかな?」
「……そう言われて、『はいそうですか』と帰れるか?」
「そう来なくっちゃね」
三人は揃ってネウロイに向かう。背中に背負っていた銃を構えた。
「あんまり残弾無いぞ。それに魔法力だってそんな残ってないし……」
「まあ、その辺は騙し騙しで。弾数については、ナオちゃんは心配してないよ」
「何かとげのある言い方だな、伯爵」
言いながらも、ニパに銃を投げ渡す直枝。そしてすらりと扶桑刀を抜き放った。
「カンノ、銃は」
「どうせ残弾僅かだ。撃ち終わったら棒きれ代わりにでも使ってくれ。オレにはこれが有る」
扶桑刀を見せる直枝。
「そいつはどうも」
肩に背負うニパ。
- 313 名前:"B" team 02/02:2010/10/16(土) 18:21:14 ID:Zv2bK/IY
- 黒い点が、微かなシルエットとなって近づいてくる。
「数はおよそ十、雑魚八に中型二ってとこだ」
直枝は見た感じをざっと述べる。
「じゃあ、中くらいのはナオちゃんお願い。ボクとニパ君は現地部隊の援護をしよう。ばりばり落としちゃって構わないから」
『何処へ行くのですか三人共! 今すぐ帰還しなさい!』
サーシャの怒号がインカムから聞こえる。
「現地部隊からのSOSがね、出るんだよ」
『何ですって? そんな報告……』
「今から必ず出るから、待っててね、熊さん」
『ちょっと……』
「おっと無線のトラブルだ」
そう言うとクルピンスキーは無線のチャンネルを変えて、至近距離に近づくと二人に言った。
「二人ともチャンネルは12で宜しく。……さてと、ナオちゃん、ニパ君、行きますか。もう一仕事増えたぞ」
「またサーシャ大尉に怒られるかと思うと気が重いよ」
「まったくだ。正座付きだろうな」
言いながらも無線のチャンネルを合わせる二人。
「現地部隊とは言え、あの子達新人でまだ配属されたばかりだからね。その二人であの数は辛いよね」
「何で配属時期とか、そう言う事まで知ってるんだよ」
「あとで詳しく教えてあげるよ。そうそう、オリガちゃんはすらっとした黒髪がステキなオラーシャ美人でね、とってもボク好みなんだ。会った事ないけど」
「おい! 会った事無いのかよ?」
「でもアンナちゃんなら有るよ? ちょっと小柄だけど芯の強い子でね〜。落とすのになかなか苦労したよ」
「落とすって……まさか」
「あれは雪の降る寒い日だった。ボクとアンナちゃんはこう、手を取り合って……」
「聞きたくねえよ、そんな話!」
無線に、現地部隊の混乱ぶりが伝わって来た。いざ迎撃には出たものの、敵の数を確認するなり支援を要求している。
そして支援が無い等とやりあっている。
「ほらね。SOSだ」
にやっと笑うクルピンスキー。
「何で現地部隊が使う無線チャンネルまで知ってるんだよ」
呆れるニパ。
「お喋りは終わりだ。もうすぐ交戦距離に入るぞ」
直枝がきっと、前を向いた。間近にネウロイが迫る。刀を持つ手に力が入る。
「よし、ナオちゃんお願い。行くぞ、ニパ君!」
「ったく、しょうがないなあ……」
呆れるニパを追い越し、直枝が突進した。
「管野一番、突撃する! うおおお!」
「で、帰りは結局こうなるのかよ……」
驚異的な回復をみせつつも、自分で傷口に包帯を巻きながら溜め息をつくニパ。
ハーフトラックの荷台に揺れながら、ぼけっと流れゆく景色を眺める直枝。応急手当で額と腕に包帯が巻かれている。
「いやー、ボク達の専用タクシーは快適だね〜。アンナちゃんもオリガちゃんも無事だったし、ネウロイも撃退したし、
今日もよく働いたね、こりゃ今夜は酒がうまくなりそうだ」
裾の端が焦げた服のポケットから、小瓶を取り出すクルピンスキー。
三人のストライカーはいずれもボロボロ、荷台にごろんと転がされている。直枝の扶桑刀は折れていた。
「って何ポケット瓶の酒飲んでるんだよ!」
ニパの突っ込みに、クルピンスキーは小瓶を差し出した。
「仲良く一緒に飲むかい? おっと、こうなるとボクと間接キスに……」
「誰が飲むか」
「黙ってないと揺れて舌噛むぞ」
直枝が短く言う。
「ええっ、ボク達乗り慣れてるじゃないか」
おどけたクルピンスキーに何も答えず、ぷいと横を向く直枝。
「まあ、向こうの観測員もボク達の戦果確認してるから大丈夫だって」
気楽に言うクルピンスキーは、小瓶をくいっと呷る。
「大丈夫じゃない。問題だろ」
「ナオちゃんが中型一、共同で一、ボクとニパ君が単独で二ずつ、アンナちゃんとオリガちゃん達と合わせて共同四ってとこかな。上々だね」
「そういうとこだけは良く見てるんだな」
「今日のアンナちゃんはピンクだったよ」
「どさくさ紛れにどこ見てんだエロ伯爵!」
揺れる荷台の上で“雑談”が続く。
「そろそろ基地だ。言い訳考えといた方が良いぞ、伯爵」
直枝がクルピンスキーに言う。
「ここは、部隊の長機としてボクに任せて貰おうかな」
基地が見えてきた。門の前に立っている人影を見て、ニパは青ざめた。
「サーシャ大尉と……ロスマン曹長じゃないか? 二人共怖い顔して待ってるぞ」
「いやー、ボク達の戦いは始まったばかりだね!」
「巻き込んどいてよく言う……」
呆れる直枝。
彼女達は、ネウロイが蔓延る最前線で戦う、ブレイクウィッチーズ。
いつも何かしらピンチだが、助けを借りたい時は、いつでも言ってくれ。
end
- 314 名前:名無しさん:2010/10/16(土) 18:21:40 ID:Zv2bK/IY
- 以上です。
たまにはスーパー伯爵タイム!
502はこうでないと(違
ではまた〜。
- 315 名前:名無しさん:2010/10/16(土) 18:46:33 ID:7F5rGbIQ
- >>314
伯爵のスペックが高すぎるw
二人も付き合いがいいというか仲間思いでいいですね。
ある程度先の展開は読めるのに笑ってしまいました。GJです。
- 316 名前:名無しさん:2010/10/16(土) 22:20:57 ID:kFsX1bNM
- >>314
Aチームワロタw
ところでアンナちゃんとオリガちゃんについて詳細を聞かせてもらおうか。
>>310
一理ある。502も好きなんだけど501分が足りない。
なんか新シリーズが始まってからあまり語られなくなった前のシリーズ的な寂しさというか。
最近シャッキーニがないから自分で書いてみようと思ったけど
ギャグしか思い浮かばない……
- 317 名前:名無しさん:2010/10/16(土) 23:50:14 ID:zyQRjxMQ
- >>316
自分も501が足りないと思ってるんでそのギャグのシャッキーニを是非見たいと思います!
ヨロシクお願いします〜。
- 318 名前:名無しさん:2010/10/17(日) 07:38:50 ID:XWeMTx6A
- >>310,316
最近502ばっかりであんまりなぁ。別に502嫌いじゃないしそれ自体は
文句ないけど、501ももっと見たい。と言いつつ、自分もまだ書き途中の
ものばっかりで投下できない状況なんだけども……やっぱり言うからには
自分が率先してやらにゃいかんかなとも思うから、近いうちに完成
させようかなとは思ってるけど。
- 319 名前:名無しさん:2010/10/17(日) 20:26:57 ID:gPzLheig
- 一言言おう…
お姉ちゃんが大好きだぁぁぁぁぁぁぁ!!!
- 320 名前:mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2010/10/17(日) 22:33:53 ID:LFanK7dQ
- こんばんは、mxTTnzhmでございます。
今回は保管庫No.981「music hour」のシリーズです。
ではどうぞ。
- 321 名前:overture 01/03:2010/10/17(日) 22:34:26 ID:LFanK7dQ
- ハ〜イ今夜も「STRIKE TALKING RADIO」始まりマシタ〜。
DJ兼MC、パーソナリティのエイラ・イルマタル・ユーティライネンでス。皆聴いてるカナ?
この番組ハ、サーニャのレーダー魔導針を通しテ、全世界の悩めるウィッチに秘密のラジオとしてお伝えしているンダナ。
夜間哨戒のついでじゃないカラナ? さて今夜は……
「……」
何だヨ、ニパ。言いたい事有るなら言えヨ。
「心の友よっ!」
いきなり抱きついて来るなんて、何だヨ気味悪いナ。502で何が有ったンダヨ?
そう言えば原隊にこの前帰ったって、ウインド大尉から聞いたケド、何か有ったノカ?
……何で顔真っ赤なんダ、ニパ?
「イッル、何を聞いたんだ!? まさか変な事聞いて無いだろうな!?」
くっ苦しい首絞めるなニパ!
「ニパさん、何か慌ててる……」
サーニャに説明シヨウ。ウインド大尉は私とニパが元々居たスオムスの部隊の上官ナンダ。
ニパに姿が似てるからよく間違えられるんだけど、ウインド大尉は結構まんざらグエッ……
「それ以上言ったら絞め殺す!」
ナ、何か有ったナ……。
まあ、改めて紹介〜。またもや勝手に付いてきた……いや「ついてない」カタヤイネンこと
スオムス空軍飛行24戦隊曹長、ニッカ・エドワーディン・カタヤイネンだナ。
拍手は要らないゾ。今は一応502JFWに居るらしいケド……
「もう定型文的な紹介なんていいからハガキ読めよ!」
ニパから要求されるなんて……熱有るのカ?
「ねえよ!」
何なんだ今日のニパは……。
さて今夜もウィッチの皆さんのお悩みや相談に全方位からお答えしちゃうゾ。
今日のお便りは一枚……ラジオネーム「恋するオオカミちゃん」さんから。
おッこの人、常連さんダナ。
『私のみ……いえ、私の彼女なんですが、お風呂でたまに歌うんですけど、……その、微妙なんです、歌が。
女性ながら声が低いと言うかハスキー気味なので、どうも聴いていて、歯がゆい思いです。
彼女は『扶桑の演歌は“気持ち”だ! だから気持ちをこめて歌えば良い! はっはっは!』と力説して満足していますが、
彼女の歌う演歌はどうも私にはいまいち馴染まなくて、……でも面と向かっては言えなくて。
彼女がうまく演歌を歌う方法を教えてください。きっちりと彼女に指導します』
指導……。まあミ……いや、「恋するオオカミちゃん」さんならやりそうだよナ。
「歌上手だし」
「え、この『恋するオオカミちゃん』って人誰? まさか501のヴィ……」
(MG42の射撃音)
(フリーガーハマーのバックブラスト音)
ニパは「守秘義務」と言う言葉を知らないらしいから教育したゾ。
さてと、改めてズバリ言うゾ。
「恋するオオカミちゃん」さん、気になるならキーを上げて歌わせればイイと思うゾ!
「すごく真面目な答えね、エイラ」
たまには真面目にネー。いっそハイトーンな、ノリノリの演歌ソングにしちゃえば良いンダヨ。
「ノリノリの演歌ソング……」
サーニャ、何眉間にしわ寄せてるンダ? 私何か変な事言ったカ?
一回聴いてみたいネ、そのハイトーンでノリノリの、「恋するオオカミちゃん」さんの彼女サンの演歌。
「でもハイトーン過ぎると、歌そのものがおかしな事になると思うし、喉痛めるよ、エイラ」
まーその辺は慣れだよナ。歌う人も周りの人モ。
「イッルにサーニャさん、いきなり酷いじゃないか! ゲホッ……ゴホッ……」
ちなみに今のニパの声は「ハスキーボイス」ダナ。
- 322 名前:overture 02/03:2010/10/17(日) 22:35:03 ID:LFanK7dQ
- さて次のお便り。カールスラントの、ラジオネーム「姐御」さん。
『大事な部下が日々成長してくれるのは嬉しいんだけど、
最近はあんまりプライベートな事、例えば恋愛事情を話す機会が減ってね。
「これも部隊全体の成長の証拠かなー」とか気楽に考えてはいるよ。悲観はしてない。
ただ、上官としては部下のプライベートに口出しし過ぎず、でも少しは知っておいた方が色々と良いと思うんだ。
で、それもさておき、部隊の上官として部下の恋愛話にちょっとばかり興味があるのも事実なんだなぁー。
そこでどうすればうまく聞き出せるか、良い方法無いかな? 部下はどうすれば私に言ってくれると思う、エイラさん?」
ナルホド。ズバリ、言っても良いカナ?
「姐御」さん、まずは「姐御」さんの恋愛話から話せばイイゾ!
「……え、えええええぇ!?」
なんでドン引きなんだよニパ。
想像してみろヨ。例えばニパの上官が「私、今好きな人がいるのっ♪」って話してくるんだゾ。
「ねえエイラ、『姐御』さんの現状を話すの? 昔の話とかじゃなくて?」
リアルタイムの答えが聞きたいなら、リアルタイムの話を言わなきゃ教えてくれないんじゃないカ?
「もし、同じ部隊の人の名前とか出たりしたらどうするの?」
うーん、結局言いたくないだろうから言わないだろうなッテ。
逆説的だけどそう言う事ダヨ、サーニャ。
「まあ、そうだよな……。上官に面と向かって言われたら、正直ひくしヘコむわ。まさかラル隊長が……」
ちょっ、実名アウト!
(フリーガーハマーのバックブラスト音)
サーニャ、ナイスフォロー。
「とりあえず撃ってみた」
ニパはそれで大丈夫、問題ナイゾ。
しかし、何でニパも実名だすかなァ。……いや、「姐御」さんがさっきの人とは限らないゾ?
「エイラ、もう遅い」
さ、サーニャぁ。せっかくのフォローがぁー。
「さっきから酷いや、二人共……」
お、ニパ今回は帰り早いナ。
「いや、まあ、なんかへこんだ」
何だソリャ。……まァ、さっきの話に戻るけど、無理ダナ。無理無理。聞けないし言えないから、諦めてクレ。
プライベートはそっとしておくべきダゾ? 相手が話したがってるならともかく。
- 323 名前:overture 03/03:2010/10/17(日) 22:35:24 ID:LFanK7dQ
- さて、次は新コーナー第二回目! かなり間が開いた気がするけど気のせいダカンナ?
「エイラのカップル占い」はい拍手ゥ〜。
ぱちぱちぱちぱち〜
拍手アリガトー。前回から新しく始まったコーナーダゾ。
カップルなら公認自認、自薦他薦を問わズ、私のタロットでズバリ占ってみせるゾ。
さて今回は「アイパッチ侍」さんと「恋するオオカミちゃん」さんのお二人からリクエスト頂きましタ。
早速占ってみせるゾ。
……。
「どうなのエイラ?」
「どうなんだよイッル?」
うーんとネ。「アイパッチ侍」さんと「恋するオオカミちゃん」さん、ズバリ言ってもいいカナ?
『美女で野獣』と言うカ、『大人だけど大人気ない』って言うカ。そんなとこダナ。
「誉めてるの、それ?」
「なんか聞いてて複雑な気分だぞ、イッル。ホントにそれ占いか?」
バカ言うナ、れっきとした占いだゾ!? あと私の占いは当たル!
「嘘だッ!」
最後に、二人のラッキーキーワードは「節制」ダナ。
お互い自重しながらゆっくりつきあっていくと良い事あるかも知れないゾ。
ともかく、こんな感じで占ってみるので、占って欲しい方々はどんどんドウゾ。
お待ちしてマ〜ス。
「えっ、これまだ続くの?」
「えっ?」
……な、何だヨ。二人して私をそんな目でミンナー!
さテ、ではそろそろお時間となりましタ、今夜はこの辺で。
最後に、「サーニャのうた」を聴きながらお別れデス。
end
--
以上です。
久々のラジオシリーズ! と言う事で一本。
ではまた〜。
- 324 名前:名無しさん:2010/10/18(月) 14:49:42 ID:i5hEFoto
- 501のメンバーがどの順番に顔合わせしたかって公式で設定ある?
- 325 名前:名無しさん:2010/10/18(月) 15:09:52 ID:i3GqGjMs
- カルスラ組と坂本が出会ったあと他の連中が来たとは思うんだけれど、どうなんだろうね。
サーニャは多分ダイナモ作戦と同じタイミングでブリタニアに渡っているから意外と早いかも。
今のところドラマCDとかコミックから情報を読み取って推測するしか無いんじゃないかな。
- 326 名前:名無しさん:2010/10/18(月) 15:35:05 ID:5SpbZ6.o
- リバウでミーナ(カルスラ組?)ともっさん
501初期メンバーに上記+ペリーヌ、他の501メンバーはいない
これぐらいか
- 327 名前:名無しさん:2010/10/18(月) 19:04:12 ID:H7AEouHc
- うろたん漫画では、時期不明だけど
そこにエイラとルッキーニが加わってたな
そのあと、サーニャ、シャーリー、リーネの順だろうか(予想)
- 328 名前:名無しさん:2010/10/18(月) 20:15:56 ID:KdI5EILo
- ルッキーニよりシャーリーが先じゃなかったっけ?
501に入ってシャーリーに出会って変わった云々ってのをどこかで見た
- 329 名前:名無しさん:2010/10/19(火) 03:22:31 ID:i10e6.t6
- どれが公式でどれがパラレルかいまいち把握できてないんだけど
天空の乙女以外の漫画と小説とアフリカ同人は公式?
- 330 名前:mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2010/10/19(火) 20:44:59 ID:aWhT8KHU
- >>324様
ドラマCDでブリタニアの501結成メンバーに関する話が有った筈。
詳しくは失念しましたが。
>>329様
アニメ本編とドラマCD(秘め話CD、秘め録CDシリーズ)は
ほぼ確実に公式と思って良いかと。絶対とは言えないですけど……。
他は、微妙に設定とか細かい所が違ったりするので……どうでしょうね。
こんばんは、mxTTnzhmでございます。
保管庫No.1391「nidification」の続きを書いてみました。
当然No.0450「ring」シリーズ続編となりますのでよしなに。
ではどうぞ。
- 331 名前:dip dip dip! 01/02:2010/10/19(火) 20:45:33 ID:aWhT8KHU
- 食卓を前に、不機嫌そうに顔をつきあわせる“大尉”が二人。
「なあ、シャーリー」
「何だよバルクホルン」
「何でお前達の不始末を私が引き受けないといけないんだ?」
「不始末じゃないだろ。パスタ用のミートソースを作り過ぎたから色々使おうって話だよ」
先日シャーリーとルッキーニが食事当番の時パスタ料理を作った際「たまにはミートソースでも作るか、作り置きできるし」と
盛大に料理をやり始めたら派手に分量を間違え、大量に余ってしまったと言う訳である。
その“とばっちり”を目の前に、トゥルーデは一言、更なる説明を求めた。
「……それで?」
「へへん。このミートソースは、何にだって応用が利くんだぞ? 例えばこの蒸かし芋」
「わーいお芋〜」
「ハルトマンはちょっと黙っていろ。で、どうするんだ」
芋を前にはしゃぐエーリカ。ほかほかと湯気を上げる蒸かし芋。その横に、ミートソースの皿の横にどんと置くシャーリー。
トゥルーデの疑問にあっさりとシャーリーは答えた。
「ソースつけて食うに決まってるだろ」
トゥルーデは思わず立ち上がって抗議した。
「待て! 芋は、あくまで芋だけで食べるべきだ。芋の素朴で繊細な風味が損なわれる」
「カールスラントのシチューに、あんたらよく芋を砕いて入れて食べてるじゃないか。あれ何だい」
「そ、それはだな……」
椅子に座り直す“堅物”大尉。
「まあ良いから試してみなって。こうやって、フォークで刺して、ソースにつけて、食べる! うん、美味い!」
大袈裟な身振りで、食べて笑顔を見せるシャーリー。
「本当か? 引っかけじゃないだろうなリベリアン」
「嘘じゃないって! なあルッキーニ」
横に居るルッキーニも同じ様に芋にソースを付けて食べる。
「うん! お芋もソースもシャーリーもおいしい!」
「あはは、ルッキーニはいつも可愛いなあ。ほら、ソースで口の周りがべたべただぞ。拭いてっと」
「ありがとシャーリー。愛してる〜」
「ルッキーニは可愛いなあ」
「……おい、話題がずれてきてるぞ」
呆れるトゥルーデ。
「で、どうなのよ堅物は。ミートソースとの相性は」
「相性……」
「ほらトゥルーデ、あーんして」
「ちょ、ちょっといきなり何だエーリカ!」
慌てる余り、愛しの人を普通に“ファーストネーム”で呼んでしまうトゥルーデ。
「昨日もこうやって一緒に食べてたじゃん」
がたっと席を立つトゥルーデ。顔が真っ赤だ。
「あっあれは……あれは……ち、違うんだ」
「何が違うのさ」
「バルクホルンもいちいち面白い奴だなあ。早く食えって」
にやけるシャーリーとルッキーニ。
「はい、あーん……」
エーリカがフォークに刺した芋をトゥルーデの口元に持って行く。
「だからそれは……あーん」
頬を染めながら、結局もぐもぐとソース付きの芋を食べさせられるトゥルーデ。
「どうよ?」
「……悪くない」
「素直に美味いって言えないのかねー」
「私は美味しいと思うよ」
「本当か、ハルトマン?」
初めてまともな意見を聞けたとばかりに顔を向けるシャーリー。エーリカは一口食べながら感想を言った。
「うん。そうだね、もうちょっと味濃いかスパイシーだともっと良いかもね」
「なるほど、スパイシーか。今度試してみよう。アドバイスサンキュッ」
上機嫌のシャーリーは笑った。
- 332 名前:dip dip dip! 02/02:2010/10/19(火) 20:46:12 ID:aWhT8KHU
- 「そうだ。さっき宮藤にも扶桑料理に何か使えないかさっき聞いといたから、色々な料理で出てくるんじゃないか?」
シャーリーは皆に言った。
「ふ、扶桑の料理にミートソースか? 例えば?」
「焼き魚にミートソースとか」
「それは……」
「おでんにミートソース」
「うーむ」
「納豆にミートソース」
「良いのか、それは」
「味噌汁にミートソース」
「……それは、やってはいけない気がする」
「肝油にミートソー……」
「既に人間の食べ物じゃないだろう」
「まあ良いからトゥルーデ、食べようよ。はい、あーん」
「あーん……うむ、まあ、食べ慣れると、悪くないか」
「だから素直に『美味い』って言いなって話だよ」
「そうか?」
「はい、ちょっとソース多めね。あーん」
「あーん……ちょ、ちょっと、ソースが頬に付いたぞ?」
「じゃあ……」
エーリカはトゥルーデの頭を押さえると、ぺろっとトゥルーデの頬を舐め、ソースを“取った”。
「こら、くすぐったいぞ」
思わずふふっと笑うトゥルーデ。
そんなカールスラントのバカップルを見ていたシャーリーは唖然とした顔を作った。
「どうしたリベリアン? 私の顔に何かついているか?」
普通に聞き返すトゥルーデ。
「ソース」
「いまいちなリベリアンジョークだな」
「ジョークでも何でも無いっつうの! 何なんだあんたらは」
「シャーリーも気にしないで、食べよーよ」
横で様子を見ていたルッキーニがシャーリーに言う。
「おいルッキーニ、また口の周りソースだらけじゃないか。ほら、ちゃんと拭いて……」
「ありがとシャーリー、愛してる〜」
弾ける笑みを見せるルッキーニ、それを見て微笑むシャーリー。二人を見ていたトゥルーデは真顔で言った。
「そう言うお前達は親子みたいだが」
「ぐっ……そう言う表現は止めてくれ」
エーリカは自分もソース付きの芋をぱくっと食べて言った。
「まあ、良いじゃん。好きに食べれば」
「ま、そうだな」
「そうそう。特にこう言う非番の日はね」
「いつネウロイが来るか分からんのに……」
「食べとかないといざという時動けないって言ってたのトゥルーデだよ」
「……そう言えばそうだ」
「一人ボケツッコミって珍しいな堅物」
「ほらトゥルーデ、あーんして」
「あーん……じゃあエーリカも……」
「あーん」
シャーリーは頬杖をついて言った。
「あんたらもあれだな、何気に強気だよな」
「強気?」「何で?」
同時に聞かれて苦笑いするシャーリー。
「二人共自覚なしって時点で、あたしはもう何も言えないよ」
先日からの“癖”が抜けず、トゥルーデもエーリカも麻痺しているのかも知れない。
でも、幸せそうに食べ合う二人を見ていると……すっかり変わったなと感じるシャーリー。
一時期トゥルーデの事を「気を張り過ぎ」だと感じていたが、今の二人を見る限り心配なさそうだ。
「どうしたシャーリー。私の顔を見てニヤニヤして」
「いや。バルクホルンは面白い奴だと思ってさ」
「何? どう言う意味だ」
「ほらトゥルーデ、続きの一口だよ、あーん……」
「あーん……」
「シャーリー、あたしにもあーんして」
「はいはい、ほら」
食堂の入口では、ミーナと美緒が二組の様子を見て、このまま食堂に入っていいものか躊躇っていた。
「あの子達……ちょっと……どうしましょう、美緒」
「ふーむ。仲が良いのは良いが……なら私達もやってみるか?」
「えッッッ!!!?」
「冗談だ。何をそんなに驚いてるんだミーナ」
「もう……」
こうして、のんびり朝のひとときは過ぎて行く。
end
- 333 名前:名無しさん:2010/10/19(火) 20:46:38 ID:aWhT8KHU
- 以上です。
たまには面と向かっていちゃいちゃ。
ではまた〜。
- 334 名前:名無しさん:2010/10/19(火) 22:36:01 ID:I3e99Gvo
- >>334
GJ! お姉ちゃん、すっかりエーリカのペースでバカップルになっちゃってwww
こういう王道いちゃいちゃには王道ゆえのよさがありますね。
ところで、ルッキの「お芋もソースもシャーリーも」ってどういう意味(ry
- 335 名前:名無しさん:2010/10/19(火) 22:43:52 ID:ZDzmcxKA
- やはり良い!!
501良い!!
エーゲル良い!!
お姉ちゃん良い!!
最っっ高だぁぁぁ!!
- 336 名前:Laevatein ◆nc1Kth5AW6:2010/10/19(火) 22:56:27 ID:ghxLeV3k
- お久しぶりです。
みんなエーゲル好きすぎだろ……イイゾモットヤレ!
といいつつ深刻な芳ゲル分の不足にどうにかなってしまいそうな
今日この頃、久々に新しいの置いてきます。
「エース」シリーズの続き。『流るる刃を携え』よりは手前の話に
なります。
[剣の切っ先] 芳佳&クリス
ttp://sky.geocities.jp/tsuki_no_tomo_sibi/swss/tsurugi.txt
……芳ゲル不足とか言いながら書いたのはクリスという……
そういやこないだまで気づいてませんでしたが、気がついたら
いつの間にかヴィクトリア十字章頂いていて恐縮です……
- 337 名前:名無しさん:2010/10/20(水) 11:54:29 ID:0eKEYjFc
- >>336
お久しぶり。全部長編ってスゴイゾw
勲章もオメデトナンダナ。
- 338 名前:mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2010/10/23(土) 22:54:52 ID:Ymr2sbXQ
- >>336 Laevatein ◆nc1Kth5AW6様
お久しぶりですGJ。
勲章おめでとうございます! これからもご活躍を期待してます〜。
こんばんは、mxTTnzhmでございます。
短いですが、保管庫No.1420「dip dip dip!」の続きを書いてみました。
当然No.0450「ring」シリーズ続編となりますのでよしなに。
ではどうぞ。
- 339 名前:circle:2010/10/23(土) 22:56:18 ID:Ymr2sbXQ
- 「最近、こうして二人で居る事が多いな」
「そうか?」
食後、食器を片付けながら話し合う二人。
「大尉二人揃っての食器洗いなんてね〜」
「何だ堅物、気味が悪い。ただの洗い物だろうが」
言いながら食器をてきぱきと洗って片付けていく二人。
トゥルーデの手を見たシャーリーが気付いた。
「あれバルクホルン、指輪は?」
「こう言う水仕事の時は、指輪は外すに決まってるだろう。間違えて水に流してしまったらどうする?」
「まあ、そうだよな」
暫くの無言。
「バーベキューが食べたいな〜」
「いきなり何だ、リベリアン」
「この前話してたじゃないか。バーベキューの事。あんたも教わりたいって言ってたじゃないか」
「バーベキューについては確かにそう言ったが、食後の直後に言わなくても良いだろう」
「何かね……」
言いかけたシャーリー、うん? と疑問を顔に出したトゥルーデの間に割って入る小柄なロマーニャ娘。
「シャーリー、お腹空いた!」
「ほら、こう言う事」
シャーリーは抱きついてきたルッキーニをあやすと、トゥルーデに言った。
「何かうまく誤魔化された気がするが」
「でも良いじゃんトゥルーデ、今度バーベキューやろうよ」
エーリカもいつの間にか話の輪に加わっていた。厨房の一角が賑やかになる。
「で、バーベキューとはどっちのバーベキューなんだ」
食器洗いを全て済ませたトゥルーデは、食堂の椅子に腰掛けシャーリーの答えを待った。
「へえ、堅物はいつの間にバーベキューに詳しくなったんだい?」
「前に色々話したろ。網とか鉄板の上で豪快に火柱を上げるのが『グリル』で……」
「そうそう。専用のバーベキュー専用グリルでじっくり火を通すのが、ホンモノの『バーベキュー』! 分かってるじゃないか」
「この話はリベリアン、前にお前から聞いたんだぞ」
「そうだっけ?」
「ドラム缶を半分に切って装置も作ってただろ」
「ああ。……そう言えば。あれブリタニア基地に置きっぱなしだった。ロマーニャに持ってくれば良かったか?」
「また作ればいいじゃん」
「そうだな、こっちでもまた作るか」
ルッキーニに言われ、ノリノリのシャーリー。
「さてバルクホルン、バーベキューの何から話をしようか」
目を輝かせるシャーリー。
「いや、そこまで詳しくなくても。とりあえず手軽に出来る方でも良いじゃないか」
「まあ、そっか。みんなでわいわいやるのも良いね」
「じゃあ、どっかから鉄板か網調達して来ないとな」
「エンジンオイルまみれの鉄板は勘弁だぞ」
「扶桑の肝油じゃあるまいし、良く洗えば大丈夫だって」
「私、お芋スライスしたの焼きたい」
「ハルトマンは芋好きだな〜。まあ、野菜焼くのも良いけどね」
シャーリーが色々頭の中でプランを練る。
「我々はソーセージを用意しようじゃないか。焼いて食べるのに適しているのは何だったか……」
「美味しければ何でも良いよ、トゥルーデ」
「いや、確か最適なのが有った筈なんだが……こらやめろエーリカ、くすぐったい」
エーリカから首筋にキスされ、笑みがこぼれるトゥルーデ。
「見せつけるな、こんちくしょー」
「じゃああたし達もやる?」
「競うもんじゃないし。とりあえずバーベキューだバーベキュー」
盛り上がるシャーリーとルッキーニ。
「何だか楽しそうね。お喋りサークルみたい」
「本当だな。……しかし、補給が暫く来ないと言おうと思ったのだが、何やら言いにくい雰囲気だな」
トゥルーデ達の様子を見て、食堂に入るのを躊躇うミーナと美緒。
「どうしましょう」
「現地調達、と言えば良いんじゃないか? 気分転換にもなるだろう」
「それは良い考えね、美緒」
ミーナは微笑むと、食堂のドアを開けた。
end
- 340 名前:名無しさん:2010/10/23(土) 22:56:32 ID:Ymr2sbXQ
- 以上です。
バーベキューについての云々は
保管庫No.0583「christmas resistance」No.0600「talk to me」
で書いたネタを元にしています。
“本場”のホンモノのバーベキューは色々と細かいらしいですw
DVDとBD2巻の秘め声CD弐はシャーゲル!
聴いてて色々想像してるうちにひとつ思い付きました。
また何か書きたいですね。
ではまた〜。
- 341 名前:名無しさん:2010/10/24(日) 16:10:45 ID:y87pL80.
- 誘導されたんでこっちで質問
荒れるような質問だったり、タブーな質問だったとしたらスルーして下さい
最近ストパンにはまって百合に手を出し始めて、まとめサイトをよく見るようになったんだが、
t26gFAxT氏の学園ウィッチーズシリーズって今どうなってるんだ?
作者の都合で一旦執筆が停止してるのか、それとも何もわかってないのか…
はたまたまとめサイトに載ってないだけなのか
何か知ってる人がいたらもしよかったら教えて欲しい
- 342 名前:6Qn3fxtl:2010/10/24(日) 16:35:15 ID:nNvqQFdc
- >>336 Laevatein様
勲章おめでとうございます。しかもすべて長編。
「エース」シリーズは、SSというよりスピンオフといっても
いいぐらいの世界を作っておられて、純粋にすごいなぁと思います。
GJ!
>>338 mxTTnzhm様
シャッキーニ、エーゲルのわいわいがやがや具合が楽しいですw
バーベキューに「バーベキュー」と「グリル」の違いがあるというの、
初めて知りました。シャーリーに語らせたら長そうw
さて。
あんまり流れも関係なくヘルマ&ウルスラ置いていきます。
元ネタはフミカネ先生のtwitter絵ですが、あんまり関係ないかもw
2レスお借りします。
- 343 名前:ヘルマのバルクホルン人形 @ 6Qn3fxtl (1/2):2010/10/24(日) 16:36:06 ID:nNvqQFdc
- 「レンナルツ曹長、扶桑から小包が届いてます」
「あっ、ありがとうございますっ!」
郵便物を届けてくれた通信兵の手からひったくるようにして荷物を受け取ると、
急いで部屋の奥に。
私のあまりの慌てように通信兵は驚いたようですが、
今はそんなの構ってる場合ではないのです。
ふっふっふっ。
ついに、ついに手に入れたであります。
「世界のエースウィッチシリーズ vol.2
ゲルトルート・バルクホルン大尉」
精密さとかわいらしさの両方を極限まで追求したという全長50cmほどの
ぬいぐるみは箱の中でなんとも優しくほほえんでいます。
あぁ、本物の大尉と同じぐらい、魅力的ですてきでかっこいい……。
ぬいぐるみになってもその魅力を少しも失わない大尉はさすがであります。
そして、大尉の素晴らしさをとてもよく理解している角州書店と、
それを見事にぬいぐるみに仕上げた扶桑の職人、ぐっじょぶ。
これはもはや美術品の域に達しているであります。
家宝にして、代々大尉の素晴らしさを伝えていく所存であります。
ああっ、見とれている場合ではありません。大尉を箱から出して差し上げねば。
しかし、私のようなものが――ぬいぐるみとはいえ――軽々しく大尉に触れて良いものでしょうか。
朝早くからちゃんとお風呂に入って、身体をすみずみまで丁寧に洗って準備していたとはいうものの、
なかなか心の準備ができません。
心なしか箱を持っている手が小さく震えております。
はっ、いけません。誇り高きカールスラント軍人たるもの、
どんな時にも冷静沈着、平常心を持って任務を遂行しなければなりません。
こんなときはまず深呼吸。すーはーすーはー。
それでもダメなら少し体操。いちにっ、いちにっ。
……ふぅ、少し落ち着きました。では、いよいよ。
この包装は外からよく見えるだけではなくて、開けやすいようになっているのですね。
こういう細やかな心配りがさすがであります。
包装をとき、そっと大尉に手を触れると……。なんですか、この肌触りは。
普段、私たちが軍服で使っているのよりもずっと上等な生地を使っていることは間違いありません。
さすがに魔法繊維を織り込んだ特殊素材は簡単に手に入るような代物ではないので
使われてはいませんが、その分、肌触りのいい、ぱりっとした布を使っているようです。
しかも、大尉の美しい茶色の髪はさらさら。
上着からのぞく、白いブラウスはやわらか。
そして、おそれ多くもうっかり触ってしまった大尉の手はほんのりとあたたかい。
恥をしのんで、あの諏訪天姫とかいう扶桑軍人にお願いした甲斐がありました。
はぁ……大尉すてきでかわいいであります。頭なでなでしたいであります。
ぎゅーっと抱きしめたいであります。ふかふかもふもふしたいであります。
……憧れの上官に対してそんな劣情を抱くのは、カールスラント軍人以前に
人間として間違っているのは承知しておりますが、もう我慢できません。
人形ですし、自分の部屋なら誰も見ていないですし、ちょっとぐらいなら大丈夫でありますよね。
毎日訓練も頑張っているであります。さみしいときも泣かないであります。
苦手なにんじんも、たまにしか残さないであります。
だから……今日ぐらいは、ちょっとぐらい許されるでありますよね――。
「あっ……」
思わず、ため息が漏れてしまいました。気持ちいい……。
人形を抱きしめているのは私なのでありますが、なぜか私のほうが大尉に
抱きしめられているかのような、あたたかく包み込まれる感じがします。
「大尉ぃ……」
もしも私が大尉の妹になって、大尉に抱きしめられられたらこんなふうなのでしょうか。
あたたかくて、安心できて、心が落ち着いて――。
『ヘルマ、いつもよく頑張っているな。姉として鼻が高いぞ』
「あぁ……大尉。ありがたきお言葉」
『どうした、ヘルマ。私たちは姉妹なのだから、そんな堅苦しい言葉はいらないぞ。
“お姉ちゃん”と呼べばいい』
「はい、お姉さま……。ヘルマは、幸せ者であります……」
『ふっ……ヘルマはかわいいな』
「お姉さまぁ……」
幸せすぎて、なんだか胸のドキドキが止まらないであります。
ぎゅっと抱きしめる手に力を込めると、大尉の顔が目の前に。
もうすこしで、唇が、触れそうで……。
- 344 名前:ヘルマのバルクホルン人形 @ 6Qn3fxtl (2/2):2010/10/24(日) 16:37:23 ID:nNvqQFdc
- 「レンナルツ曹長。午後の実験のことですこし……」
「うひゃああぁぁぁ!!!」
やや抑揚のない声でドアを開けて入ってきたのは、
難しそうな書類を抱えた、ウルスラ・ハルトマン中尉。
私がテストしているジェットストライカーの開発主任であります。
「……ごめん。呼んでも返事がなかったし、鍵あいてたから」
ヘルマ・レンナルツ、一生の不覚であります!
まさか大尉の人形が届いたことに舞い上がって、そんな初歩的なミスを犯してしまうとは!
ほんの小さなミスが戦場では死に直結すると、カールスラント空戦教範の冒頭にも書いてあるというのに!
「あの……ウルスラ中尉……みっ、見たで、あります、か……」
「見た」
まるで実験結果を告げるかのように淡々としたウルスラ中尉の口調が
余計に現実味があってこたえるであります。
「あっ、あのっ! これはっ!」
「別に、変なことじゃない。憧れの人の写真や本を持っているのは普通のこと」
そうはおっしゃられても、やっぱりこれは……。
「もしヘルマが変態でも、任務さえきちんとこなしてくれれば私は気にしない」
やっぱり変態だって思ってるでありますか!
「うぅ……。私は、カールスラント軍人失格であります……」
「軍にはもっと変態な人がたくさんいるから大丈夫」
ベッドに座り込んでしょぼんとしている私のことはあまり気にしていない様子で、
かたわらの大尉人形を手に取ります。
「それにしても……よく出来てる」
ウルスラ中尉は手にとった人形をくるくる回しながら、いろんな角度から眺めていました。
あっ、逆さまにすると、大尉のお腹がみえちゃうであります……。
「ヘルマ曹長」
「はっ、はいぃっ!」
「これの……エーリカ・ハルトマンのは?」
「えっ、エーリカ・ハルトマン中尉でありますか……?」
ハルトマン中尉はだらしないイメージがかなり強烈ではありますが、
撃墜数カールスラント第一位のウルトラエースウィッチでありますから……。
「たしか、vol.1がハルトマン中尉であります」
「そう……」
ウルスラ中尉の声が心なしか嬉しそうな響きに変わったように思いました。
「もし、お買いもとめになられるのでありましたら、
私が、扶桑陸軍の諏訪天姫にお願いしておきますが……?」
私の言葉に、ウルスラ中尉がびくっと身をすくめたように見えました。
「……父様……母様に……」
先ほどとはうってかわって、中尉の声が消え入りそうなぐらい小さく、
ぼそぼそといったものに変わりました。いつもはちゃんとお話になる方なのですが。
「父様と母様に送りたいから……別に、私が欲しいわけじゃ……ない……」
「……そうですか?それなら、送り先は中尉のご実家でお願いしておきますか?」
ウルスラ中尉はぶんぶんと首を横に振り、
「私から送るからいい。ここに、3体送ってもらって」
「3体も……ですか?」
「お願い」
「了解しました。では、必ず注文しておきます」
「できるだけ、急がせて」
「はい」
「今ので不都合なら、最新のジェットストライカー貸し出してもいい」
「いや、中尉、それはちょっと……」
さすがにめちゃくちゃであります。そんなに急いでおられるんでしょうか?
後日。所用でウルスラ中尉のお部屋にお邪魔したというウィッチから聞いたのでありますが、
なんでも、ウルスラ中尉のお部屋には件のハルトマン中尉人形が2体あり、
しかもそのうちの一体は我々と同じ緑の軍服を着ていたそうです。
なぜでしょう?
fin.
--------
以上です。アニメ本編にヘルマが登場しなかったのが、返す返すも残念……!
- 345 名前:名無しさん:2010/10/24(日) 18:13:53 ID:sErWJfCw
- >>344
GJ! ヘルマもイイ感じでおかしいw
ウルスラもさりげなくおかしいw 面白かったです
- 346 名前:名無しさん:2010/10/24(日) 18:43:59 ID:1Ag3TSFQ
- >>341
荒らし酷くなってから見なくなった書き手さんも多いから
単に投下されてないだけだと思う
トリップで検索すると同人活動自体は続けられてるみたいだから
WEB拍手ついでに続きについて聞いてみたら?
- 347 名前:sage:2010/10/24(日) 23:31:02 ID:F9TkaIbQ
- こんばんわ、初めて投稿させていただきます。
内容はエイラーニャです。
それでは、申し訳ありませんが4レスほどお借りいたします。
- 348 名前:その名前を口にして(1/4):2010/10/24(日) 23:32:15 ID:F9TkaIbQ
- なんとなしに寝返りをうつと年代物であろう二段ベットがキシリと音を立てた。
どれ位古いんだろうなー、100年くらいかなーなんてことを考えてみたりするが、
答えなど出るはずもないし別に調べる気も起こらない。
大切なのはあくまで寝心地のよさや、それ自体を気に入るかであって、そしてなにより、こうして隣、
それも私の胸の辺りで胎児のように体を折り曲げて退屈そうに寝ているサーニャが、それをお気に召しているかだ。
そういった苦情はサーニャの口からは出たことがないから、おそらくはそれは大丈夫なのだろう。
サーニャはどこでも寝てしまうから、どうでもいいのかも知れないけれど。
「退屈だなー」
そんな大して意味のない考えを払拭するよう発したその声は、二人で過ごすには十分すぎる広い部屋に、
思った以上に大きく響き渡った。
部屋が石造りで出来ているせいだろうか? 特別大きな声を出したわけでもないのにやけに大きく響き渡る。
「そうね、エイラ」
続いて、サーニャの声。サーニャは先ほどと同じ格好で、顔だけ動かして私の顔を見つめた。
その少し眠そうな顔はとても魅力的で、何時までも見つめていたくなる。
そういえばサーニャとこうして二人で眠るようになったのは、いつのことだっただろう?
1年も経っていないはずなのに、もうそれははるか昔の出来事のように感じた。
といっても、夜間哨戒明けのサーニャが私のベットに倒れ込んでくる時なんかは未だにびっくりするし、
ドキドキするし、その寝顔を見るときは何とも言えない幸せな気持ちになる。
きっと一生このままなのだろうなーと、最近では諦めの気持ちも出てきていたりする。
「まあ、贅沢な悩み……ってやつなんだろうな」
「? ……どうしたの、エイラ?」
「な、なんでもないぞ!」
どうやら声に出ていたらしい心の呟きをごまかしながら、慌てて私は首を窓の方へと向けた。
ベットからでは窓の外は見えなかったが、日の入り方から晴れではないことがハッキリと分かった。
耳を澄ませてみるとご丁寧にシトシトという雨音まで聞こえてきたから、きっと空は生憎の雨模様に違いない。
「はぁ……」
思わず大きなため息がこぼれ出た。
今日は私もサーニャも久々の非番で、サーニャと二人で街にネコペンギンを買いに行く予定だった。
間違いなく、絶対に、確実に、誰がなんといおうと正真正銘のデート。
サーニャを誘ったときも凄く自然に誘えたし、いつぞやと違って他のメンバーの外出も被っていない。
なにより昨日の夜にしてみたタロットカードの結果が、『審判』の正位置だったのだ。
私の占いは非常によく当たるので、これは絶対にいいことあるなーと、内心すごくウキウキしていた。
「してたのにさ……」
恨めしそうにもう一度だけ窓の方を見つめてみる。何度見ても結果は同じ。
雨の音はシトシトシトシト…………
なんだかさらに雨足が強まったかのように聞こえる。
もちろん出かけられないほどひどい雨ではないのだろうが、サーニャが濡れて風邪でも引いたら大変だし、
こんな雨では買い物には不向きだろう。あのぬいぐるみは思っている以上にでかいのだ。
と言うわけで、なんだかんだ理由を付けて買い物は中止。
折角の非番だというのに二人でゴロゴロしていたわけである。
なにが私の占いは良く当たるだ。昨日の自分に文句を言ってやりたいぐらいだ。
まあ、サーニャと二人でこんな風に過ごすのもけして悪くはないんだけど……
「エイラ、今度は顔が赤いよわ」
「えっ? ホントか?!」
サーニャにそう言われて、私は慌てて深呼吸を繰り返す。
今度は声ではなく顔に出ていたらしい。私ってもしかして気持ちが顔に出やすいのか?
そんなことを考えつつ、何度か深呼吸を繰り返すと、なんだか顔の火照りも収まったよう気がした。
- 349 名前:その名前を口にして(2/4):2010/10/24(日) 23:33:05 ID:F9TkaIbQ
- 「け、けど、本当に暇だな」
「ふふふっ、さっきからそればっかり」
話題を逸らすよう呟いた言葉にサーニャはそう言ってほほえんだ。
そのほほえみが可愛くて魅力的すぎて、私は曖昧に笑いながら体を起こした。
なにげなく当たりを見渡すと、机に広げられているタロットが目についた。
片づけていないので、配置は昨日の夜のまま。ご丁寧に『審判』のカードがこちらを見つめている。
タロットでもしようか、そんな考えが一瞬頭によぎる。
「…………」
どうにも気分が乗らななかった。なんだかもやもやして気持ちが身に入らない
そんなときに無理矢理占ってみても絶対に当たらないことを、経験上私は知っていた。
「サーニャ、なんか退屈だし、一緒にサウナにでも行こうか」
こんな気分の時にはサウナが一番だった。
気分転換にもなるし、その後の水浴びはこんな気持ちをあっという間に吹き飛ばしてくれる。
雨が降っているのが気になるが、すぐに戻れば大丈夫だろう。
「そうね、行きましょう、エイラ」
サーニャはそう言うと、すっと体を起こす。そんないつもと変わらないごく普通のやりとり。
だけどそんなやりとりの中に、今更ながらそれが気になったのは、きっと理由なんて無い。
しいていうならきっとこのパッとしない天気のせいに違いない。
「……エイラ?」
「なあ、サーニャ。もう一度私の名前呼んでみてくれないか?」
「? ……どうしたの、急に?」
サーニャが不思議がるのも無理はないだろう。
でもそこは勘弁して貰えないかな。ちょっとした好奇心なんだ。
「まあいいから、いいから」
「おかしなエイラ」
サーニャは不思議がりながらも、もう一度名前を呼んでくれた。
それは何度聞いても飽きない、いつまでも聞いていたい声。
「んー。うん、やっぱりだ!」
「なにがやっぱりなの?」
何をしているのかよく分からないと行った表情のサーニャ。
まるでクエスチョンマークが頭の上にたくさん浮かんでいるかのようだった。
「ごめんごめん。あのさ、サーニャってさ、私を名前を言うときのアクセントが他の人と違うんだよ。
みんなは普通に『エイラ』って言うんだけど、サーニャはさ、『イ』の時に少し高くなるんだ。オラーシャ訛りなのかな?」
「えっ、本当? 自分じゃよく分からないけど……」
サーニャはそう言うとブツブツと私の名前を呟き始めた。
なんだか……ちょっと照れくさい。
「直した方がいいかしら?」
「えっ、別に構わないぞ。ちょっと気になっただけだから」
「でも今、気になったって……」
サーニャは悲しそうな顔をすると、アクセントを確認するかのように『エイラ』と呟いた。
「ああ、ごめん。そ、そう言う意味でじゃないんだな。
気になったっていうのは……あの…その……だから…………」
「だから?」
「わ、私はサーニャに名前で呼んで貰えるのが大好きで……
だからさ、何で好きなのかなってちょっと気になったんだよ。うん、そうだそうだ。そうなんだな。」
「そうなんだ……」
「う、うん」
サーニャのそんな顔にきっと慌ててしまったのだろう。そうでなければこんな言葉がつらつらと出てくるはずがない。
そんな普段なら絶対に言わない言葉を言い終えると、その反動で、思わず顔が赤くなった。
心臓の鼓動がやけに早く感じるし、なんだかのどが渇いてくる。
私は気持ちを落ち着かせるように、大きく一回深呼吸した。
「それにサーニャみたいに私の名前を呼ぶのは、サーニャしかいないから。だから、直さないでいいよ」
「……分かった。じゃあ、直さない」
サーニャの悲しそうな顔が微笑みに変わって、私はようやく落ち着くことができた。
私に幸せを与えてくれる、そんな微笑みだ。
- 350 名前:その名前を口にして(3/4):2010/10/24(日) 23:34:13 ID:F9TkaIbQ
- 「ねえ、エイラ?」
「な、なんだ?」
「私も……エイラに名前で呼んで貰えると……嬉しい」
「さ、サーニャ……」
今度は先ほどとは別の意味で顔が赤くなる。
こんなに何度も何度も顔を赤くして、一体今日の日だ?
「ねえ、エイラ。私の名前呼んで?」
「えっ……」
「呼んで」
有無を言わさないその言葉に、私は思わず息を呑んだ。
私はサーニャに言われたとおり、ごく普通に、何時も通りに言おうとした。『サーニャ』と。
だけど声に出たのは『サ』の部分だけで、どうにもその先が口に出ない。
何百何千と口に出している名前が、さっきも口に出してたその名前が、なぜだかとても重く感じた。
それはいつの間にかにそれを重ねていたからだろうか?
あの絶対に言えない言葉の代名詞として『サーニャ』という名前を。
私が『サ』という発音を何度も何度も繰り返している間、サーニャはじっと私のことを見つめていた。
何も話さず、もちろん私を急かすこともなく、ただじっと私を見つめていた。
シトシトシトシトと雨音だけが部屋の中に響き渡った。
「サ、サーニャ……」
ようやく言えたその名前はなんだかひどくおかしな発音だった。
初めてあって話したときでさえ、もっとまともだったのではないかと思う。
「エイラ」
それでもサーニャは心底嬉しそうに笑いながら、そう答えてくれた。
それがなんだか嬉しくて、もう一度、今度は何時も同じようにそれを口にした。
「サーニャ」
「エイラ」
聞き慣れた自分の名前なのに、何度も言われている名前なのにすごく満ち足りた気持ちになった。
それをもっと味わいたくて、もう一度、もう一度だけと思いながら口にする。
「サーニャ」
「エイラ」
名前を呼ばれたら、呼び返す。まるでオウム返しのような言葉のやりとり。
もしこの場にみんながいたらどう思うだろう?
やっぱりからかわれるのだろうか? それとも、大きなため息一つつかれて呆れられるのだろうか?
そんな他人を見るような考えが頭の中によぎる。
でも……
それでもサーニャに名前を呼ばれるのが嬉しくて……
私を見ていてくれることが幸せで……
だからサーニャが私の名前を呼んでくれたら、思わず答えてしまうんだ。
「サーニャ」って。
私のこの幸せが、ほんの少しでもあなたにも伝わるようにと気持ちを込めて。
- 351 名前:その名前を口にして(4/4):2010/10/24(日) 23:35:02 ID:F9TkaIbQ
- 「サーニャ」
「エイラ」
もう何度繰り返したことだろう。
それでも足りなくて、聞きたくて、何度だって続けてしまう。まるで何かの中毒のよう。
「サーニャ!」
「エイラ!」
だんだんと声が大きくなっているのがハッキリと分かった。
私もサーニャも普段なら絶対にすることはない大声。もしかしたら、基地中に響き渡ってるかも知れない。
でも、それでも、止められないし、止める事なんて出来ない。
「サーニャ!!」
「エイラ!!」
誰に急かされるわけでもないのに、だんだんと早口になっていく。
少しでも早くその声が聞きたくて、自分の名前が聞きたくて……
「サーニャ!!!」
「エイラ!!!」
でもそんなオウム返しも……
「サーニャ!!!!」「エイラ!!!!」
不意に私達の声が重なることで、あっけなく終わりを告げた。
「あっ……」
「ん……」
声が重なったのはきっと偶然。
合わせようとしたわけでもなければ、終わらせようとしたわけでもない。
サーニャだってきっとそうに違いない。いや、多分……きっとおそらくは。
「…………」
「…………」
さっきとは裏腹に、今度は私もサーニャも言葉を発することはなかった。
そもそも何を話していいのか分からない。募るは、もどかしいほどの恥ずかしさばかり。
だんだん顔が赤なってきて、熱を帯びてきているのがハッキリと分かった。
私の目に狂いがなければ、それはきっと……サーニャも同じで……
「…………」
「…………」
何も話さず、何も語らず、ただただ互いの赤い顔を見つめ合う。
そんな空間に響くのは外から聞こえるシトシトという雨音ばかり。
それがなんだか妙におかしくて……
「あはは!!」「ふふふっ!!」
やっぱり同じタイミングで、クシャリと二人で笑いあった。
「サウナ……行こっか!」
私はベットから起き上がると、スッとサーニャに手を伸ばした。
サーニャは嬉しそうにうなずくと、私の手を取った。
サウナに行くためにモゾモゾと部屋着を着込む。
もやもやした気分はとうに吹き飛んで、なんだか満ち足りた気持ちでいっぱいだった。
シトシトという雨音ももう気にもならなかった。
着込み終わり、ふと机を見てみるとそこには昨日と同じタロットカード。
私はサーニャに気づかれないように笑うと誰に言うわけでもなく、心の中で呟いた。
な、言っただろう? 私の占いは……良く当たるんだ。
- 352 名前:名無しさん:2010/10/24(日) 23:35:40 ID:F9TkaIbQ
- 以上です。
お目汚し失礼いたしました。
- 353 名前:5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2010/10/24(日) 23:42:24 ID:pu/zyeYM
- 皆様、いつもGJです。
>>336 Laevatein様
勲章おめでとうございます、いつもLaevatein様の長編、楽しく読ませて頂いています。
今回の芳佳の心情描写も素晴らしいですね。本当にGJです。
>>338 mxTTnzhm様
シャーリーとトゥルーデの学友みたいな関係、大好きです。
シャーゲルの新作にも期待です。
>>342 6Qn3fxtl様
これは面白い組み合わせですね。
トゥルーデ大好きなヘルマとエーリカ大好きなウルスラが可愛らしくて微笑ましいです。
>>347 F9TkaIbQ様
素晴らしいエイラーニャですね。
この2人にはもっとイチャイチャしてもらいたいです。
こんばんは、504の話を一本思いついたので2レス投下していきます。
では、どうぞ
- 354 名前:キスとワインと催眠術 1/2:2010/10/24(日) 23:43:12 ID:pu/zyeYM
「天姫……んっ」
「な、中島さん……んんっ」
触れ合う唇と唇。
私、諏訪天姫は今、幼馴染で親友の中島錦少尉と熱い接吻を交わしています。
なぜ私達がこんな事をしているのかと言うと、事の発端は今から数十分程前に遡ります……
―――――――――――――――――――――
「誕生日おめでとう!」
今日我が第504統合戦闘航空団では、誕生会が開かれていました。
ドッリオ隊長の提案で、今月が誕生日のアンジェラさん、フェルナンディアさん、
そして、中島さんの3人をまとめて祝うことになりました。
隊のみんなで、誕生日プレゼントを渡したり、ジェーン大尉とルチアナさんが作ったケーキをみんなで分け合って
食べたりして、誕生会は大いに盛り上がったのですが……
「大将! みなさんに何飲ませてるですか!」
「何ってワインだが」
私とジェーン大尉とルチアナさんが誕生会の後片付けを終え、談話室に戻るとなんとドミニカ大尉が
みなさんにワインを飲ませていました。
ドミニカ大尉に無理矢理飲まされたのか、普段は大人しいアンジェラさんまですっかり酔っ払ってます。
「あ、あの〜ドッリオ隊長と竹井大尉は?」
「2人なら書類の記入があるとかでミーティングルームのほうに行ったよ。それより、ジェーン達も飲まないか?」
「飲みません! 大将ったらまったくもう……きゃっ!」
あわわ、なんと酔ったフェルナンディアさんとアンジェラさんがジェーン大尉に抱きついちゃいました。
「ふふっ、ジェーン大尉って暖かいわね……」
「本当、暖かいな」
「はうっ、ふ、2人ともく、苦しいですぅ」
「は、早くジェーン大尉を助けないと……」
「よしっ、私に任せろ〜」
そう言って、酔ってる中島さんがポケットから取り出したのは、糸で吊り下げられた古い硬貨。
「な、中島さん! それはまさか……」
「フフ、扶桑陸軍の秘技・催眠術!」
それはまだ陸軍でも研究段階なのに、私がそう言って止める前に中島さんはアンジェラさん達の目の前で
振り子をゆっくりと振り始めました。
本当に大丈夫なんでしょうか。
- 355 名前:キスとワインと催眠術 2/3:2010/10/24(日) 23:44:29 ID:pu/zyeYM
「随分賑やかね。みんなどうしたの?」
中島さんがしばらく振り子を振っていると、そこに竹井大尉がやってきました。
えっと、今のこの状況をどう大尉に説明すればいいんでしょう。
「……竹井」
ずっと振り子を見ていたフェルナンディアさんは竹井大尉を見ると否や、
抱きついていたジェーン大尉から離れな、なんと竹井大尉の口元にキ、キスを……!
「中島さん! フェルナンディアさんに一体どんな催眠術をかけたんですか?」
「どんなって、普通にジェーン大尉から離れるように念じたんだけど、失敗だったかな」
「いや、ある意味成功じゃないか。結果的にフェルはジェーンから離れたわけだし」
「うんうん。なんだか面白くなってきたし、結果オーライ」
と、ニヤニヤ顔で2人の様子を見守るドミニカ大尉とパティさん。
「竹井……んっ」
竹井大尉の唇に一層深い口付けを落とすフェルナンディアさん。
なんだか見ているこっちが恥ずかしくなってきます。
「んっ……ふぅ」
――数分後、竹井大尉から離れたフェルナンディアさんは、満足げな表情で眠りに就いちゃいました。
「あらあら、フェルったら随分と大胆ね。じゃあ、私はフェルを連れてくからみんなもお酒はほどほどにね?
それじゃ、おやすみなさい」
竹井大尉はそう言って悪戯っぽく笑うと、フェルナンディアさんをお姫様抱っこして連れてっちゃいました。
ていうか、いくらなんでも動じなさすぎですよ竹井大尉。
「……さすが竹井大尉ですね。『リバウの貴婦人』の異名は伊達じゃありません」
と、感心したように呟くルチアナさん。
「うんうん。あれ? アンジーったら、いつの間にかジェーンから離れてパティのところにいるけど、
何してるんだろ?」
マルチナさんの言う通り、いつの間にかジェーン大尉から離れていたアンジェラさんは、
今度はパティさんに抱きついていました。
「……パティ」
「わわっ! どうしたの? アンジー」
「パティ……んっ」
「ふぇ……ア、アンジー……んっ」
あわわ、アンジェラさんは先ほどのフェルナンディアさんと同じように自分の唇をパティさんの唇に重ねちゃいました。
「ほう。アンジーも中々大胆だな」
「……ドミニカ」
「ん? どうした、ジェーン?」
「ドミニカ、はぅんっ……」
なんと、フェルナンディアさんとアンジェラさんに続き、ジェーン大尉までもがキス魔になっちゃいました。
「中島さん! なんで、ジェーン大尉にまで催眠術をかけてるんですか!」
「ごめん、間違えた」
「間違えたって……どうするんですか? この状況」
「別にどうもしなくていいんじゃない? みんなまんざらでもなさそうだし」
「うん。それにドミニカ大尉達は普段とあまり変わらないような気がしますし」
にこやかな表情でそう言う赤ズボン隊の2人。
なんだかこの状況を楽しんでるようにも見えます。
「それにしても、催眠術ってすごいね。ぼくもやりたい〜」
マルチナさんは、目をきらきら輝かせながら振り子を取ると、それを中島さんの前で振り始めました。
「うわっ、やめろ、マルチナ……うっ、ん……」
振り子を見ていた中島さんは段々と眠たそうな表情になっていき、ゆっくりと私のほうに迫ってきました。
「な、中島さん?」
「天姫……ぅんっ」
「中島さん……んっ」
――こうして、私の唇は中島さんに奪われちゃいました。
―――――――――――――――――――――
- 356 名前:キスとワインと催眠術 3/3:2010/10/24(日) 23:44:54 ID:pu/zyeYM
「天姫……んっ」
「な、中島さん……んんっ」
それから、どれくらいの時間が流れたんでしょうか。
5分くらいしか経ってないのかもしれませんし、ひょっとしたら30分以上経ったのかもしれません。
とにかく、時間の感覚が麻痺するくらい中島さんの唇は柔らかくて、暖かったです。
彼女の唇があまりにも暖かったから、なんだか、眠くなって……きちゃいました……
―――――
「んっ……」
「あ、目が覚めましたか? おはようございます」
「ルチアナさん……ここは?」
「談話室ですよ。みなさん、昨日はここで眠っちゃったんです。その……キスしたあとに」
私が周りを見渡すと、隣には中島さん、少し離れたソファでドミニカ大尉とジェーン大尉、
アンジェラさんとパティさんがそれぞれ仲良さげに眠っていました。
「そっか……昨日私、中島さんとキ、キスを……」
あわわ、なんだか思い出しただけでも恥ずかしくなってきました。
「昨日はマルチナがごめんなさい。中島さんに、催眠術をかけちゃったりしちゃって……」
ルチアナさんが自分の足元で眠っているマルチナさんを見ながら、困惑した表情で私に謝ってきました。
「気にしないでください。最初に催眠術を使ったのは中島さんですし……それに、」
「それに?」
「いつもと違う中島さんが見れて、私は嬉しかったです」
私は、隣で可愛らしい寝息をたてて眠っている中島さんの頬をつつきながら、笑顔でそう応えました。
〜Fin〜
- 357 名前:5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2010/10/24(日) 23:46:02 ID:pu/zyeYM
- 以上です。ごめんなさい、2レスじゃなくて3レスでした……
錦が催眠術使ってるのはPS2版のエーリカルートが元ネタです。
本当はフェルちゃんの誕生日までに完成させたかったんですが、ぷにぷにしてたら遅れちゃいました、すみません。
それにしても「ぷにぷにする」の年長組(美緒・ミーナ・トゥルーデ)の可愛さは異常です。
あと、フェルちゃんの喋り方が独特でエイラとはまた違った意味で癖になりそうです。ではまた
- 358 名前:今日の504:2010/10/25(月) 00:06:05 ID:XkC0/Rz2
- 「さて、お誕生日会の準備も整ったわけですが……」
「ああ」
「まあ」
「なんと言いますか」
「あれよね」
「はい……」
「えっとね、みすぼらしい」
「ティナ、あんまりはっきり言ってはダメ」
「じゃあなんて言うの?」
「粗野とか貧乏ったいとか……」
「それ変わってないです。ていうかむしろ酷くなったです」
「質実剛健とか」
「さすが竹井。そういうことにしておこうか」
「まあ言葉でどう言おうと現実は変わらないんだけどね」
『………………』
「うがー! なんでこんなに補給がままならないんだ――――っ!!!?」
「いつもは温厚な中島さんがキレた!」
「お、落ち着いてください中島さんっ!」
「これが落ち着いてられるか! 天姫、今すぐ扶桑に帰るぞ!」
「そんなっ……」
「どうする、ジェーン? 私たちもリベリオンに戻るか?」
「大将、しかし……」
「私はともかくお前にまでこんな目にあわせてられんからな」
「…………」
「そんなっ……本当にみんな帰っちゃうの?」
「ティナ、大丈夫。私はずっとここにいるから。だから泣かないで」
「ルチアナ……」
「だって私たちには帰る国はないから」
「それに今日はせっかくの隊長の誕生日なのにねー」
「「「「………………」」」」
「すまない。さっきは言いすぎた」
「私もすまなかった。国に帰ると言ったのも取り消させてくれ」
「ありがとうございます。中島さん、ジェンタイル大尉」
「そもそもどうして私たち、こうも困窮しているんでしょう?」
「そういえば、501はどうしてるですか」
「あ、それだったら問題ないみたいよ」
「えっ!? ホント!? なんでなんで!?」
「ほら、501にフランチェスカ・ルッキーニさんっているでしょう」
「ああ。あの最年少少尉の人ですか」
「なんて彼女がロマーニャの王女様と仲がいいらしいの。この間はピアノが送られてきたとか」
「えっ!? ピアノって食べれるの!?」
「ティナ、落ち着いて。ほら口ふいて」
「じゃあねー、ボクたちもその王女様と仲良しになればいいんじゃないの?」
「あら。それはいい考えね、マルチナさん」
「それじゃあボク、さっそく行ってくるね」
「あっ。ティナ、待って!」
「ん? ルチアナ、なぁに?」
「いい? あなたは行かなくていいから。他の人が行くからとにかくダメなの」
「うん、よくわかんないけどわかった――それで誰が行くの?」
「あ、うちのも貸さないからな」
「ちょっ、大将。あまり人前でそういうことはですね」
「わ、私もムリです」
「天姫が行かないなら私もいいかな」
「じゃあアンジーはどうだ?」
「入院中です」
「そうだったな。そういえばパティはどうした」
「そのお見舞いにいきましたです」
「またか。隊長は?」
「今、誕生日会の準備が終わるのを待ってるところです」
「そっちじゃなくて」
「私か? 私も行かんぞ」
「大将! 大将じゃなくて隊長です!」
「そうかすまん」
「フェデリカ隊長だったら例の彼女のとこです」
「またなの?」
「ええい、ままならん!」
「あの、ちょっといいですか」
「なにかしら、諏訪さん」
「そもそもどうやってその王女様と仲良くなるんでしょう?」
「それは……ローマの町を歩いてたらたまたまお忍びの王女様に出くわしてそれで――」
「おいおい。そんな映画かアニメみたいなことあるわけないだろ」
「ですよねー」
「とにかく、今はじっと補給を待つしかないわね。軍人には必要なことなのよ」
「ゔぇー、また素パスタなのー?」
「大根メシか! また大根メシなのか!」
「またあの木の根を食えと?」
「みんな落ち着いて! あとジェーンさん。あれはゴボウと言って扶桑ではちゃんとした食材なのよ」
「ああ……思えばあの日から、訓練とリハビリの毎日……いいことなんてなにも……」
- 359 名前:今日の504:2010/10/25(月) 00:07:22 ID:XkC0/Rz2
- 「どうしたの、みんな? そんな辛気くさい顔ならべて」
「あっ、隊長。これは……」
「今日は私の誕生日でしょう。みんなでお祝いしてくれるんじゃなかったの」
「それがその……」
「えっとですね……」
「うわーん! ごめ゙ん゙な゙ざい゙ー!」
「す、諏訪ちゃん! どうして泣き出すの?」
「せっかくの中尉の誕生日なのに、ろくにお祝いもできなくって、それで」
「天姫ばかりが悪いんじゃない。私だって」
「ボクも。ごめんね、隊長」
「本当にごめんなさい」
「そうだ。来年。来年こそこれを何倍にも」
「私、その時はケーキを焼きますです! すっごく豪華なやつです!」
「みんな……ううん、いいの。ありがとう」
「隊長……」
「部隊がこんな逼迫した状況でも、みんながこうして私の誕生日を祝おうとしてくれている――
私にはそれが最高のプレゼントよ。
たとえ今はひもじくても。どんなにひもじくても」
「今、ひもじいって2回言いましたです」
「お腹がすいたわ。パーティーをはじめましょうよ」
「ええ、そうね――いい、みんな。ツナはスプーン2杯、ミルクは1口、ビスケットは1枚よ」
「「「「「「「はーい」」」」」」」
『フェルナンディア・マルヴェッツィ中尉、お誕生日おめでとう!!!!』
- 360 名前:名無しさん:2010/10/25(月) 00:08:29 ID:XkC0/Rz2
- 以上、そんなわけで気づいたらもう3日遅れになったけどフェル誕おめでした!
なぜかいつもラッシュと被って気後れしてしまう……
>>344
なんですかこの可愛いヘルマとウルスラは。
夜に抱いて寝てるの妄想するだけで超萌えるんですけど。
つかハルトマン人形が1体で2度美味しいとかなんというシ●レ&コ●レ。
とにかくGJしたっ!
>>351
名前呼び合うだけで萌え転がりそうになるとかなんという破壊力。素晴らしいす。
>>357
錦×天姫の幼馴染み(・∀・)イイ!!天姫は錦ちゃんとか下の名前で呼べばいいのに。
あとやっぱりパティはアンジーなんですね。
この流れにスレ汚し失礼しました。
- 361 名前:名無しさん:2010/10/25(月) 08:43:34 ID:4KortjHU
- >>346
レスありがとうございます、>>341です
過去スレは一通りざっと見てみたんですが、web検索はかけていませんでした
早速やってみます
- 362 名前:名無しさん:2010/10/25(月) 21:11:34 ID:vNkWYazU
- エイラスレより
2枚目はコラ?
ttp://brunhild.sakura.ne.jp/up/src/up471189.jpg
ttp://loveeila.bob.buttobi.net/cgi-bin/file/file243.jpg
ttp://loveeila.bob.buttobi.net/cgi-bin/file/file244.jpg
- 363 名前:名無しさん:2010/10/26(火) 09:18:45 ID:fhh/9O0o
- サーニャに対してヘタレじゃないエイラなんて…
- 364 名前:名無しさん:2010/10/26(火) 11:09:05 ID:PULVJMBo
- サーニャさんがアップを始めたようです。
「積極的なエイラ……!」
- 365 名前:名無しさん:2010/10/26(火) 11:50:25 ID:za70LVGM
- 職人さんのラッシュで読んでたニヤニヤなんだナ。
皆さんGJ!
「いやぷに」は面白いの? 買ってみようかな。
- 366 名前:名無しさん:2010/10/26(火) 16:13:57 ID:FEdr8c3Q
- 久しぶりに感想レスが間に合わない幸せな状態w
みなさんGJです!
>>365
いやぷにはオススメです!
キャラクターのやりとりが色々よすぎてニヤニヤが止まりません。
同じベッドで寝てる坂本&ミーナとか芳佳にお姉ちゃんと呼ばれてうろたえるバルクホルンとかいいネタがいっぱい。
- 367 名前:名無しさん:2010/10/26(火) 16:44:32 ID:U5tzjrVo
- >>362
追加
ttp://loveeila.bob.buttobi.net/cgi-bin/file/file248.jpg
- 368 名前:名無しさん:2010/10/27(水) 14:37:39 ID:g0j.IcaY
- >>366
そ、それは見たい!
これから買います。情報どうもでした。
- 369 名前:名無しさん:2010/10/27(水) 23:20:38 ID:rYwXn7hg
- 本スレでいつも投稿させて頂いてるHwd8/SPpです。
本日はここに投稿させて頂きます。
【前向きエルマさん】
「はぅぅぅ…」
「どうしたんダ?エル姉」
「元気ないけど、どうした?」
訓練を終え、基地に戻ってきたエイラとニッカ。
その基地の食堂に置かれた大きなダイニングテーブルでエルマはうなだれていた…。
「今日ですね…軍の教官の採用試験があったんです」
「あ、それ今日だったカ」
「で、どうだった?!」
すると、首を横に振る。
「はぁ…どうせ私なんて…私なんて」
「げっ、元気出せよナ!」
「そうだそうだ!またチャンスはあるんだろ?」
「…そうですよね!前向き前向き!!!」
と急に自分の頬を叩き出すエルマ。
「今回落ちたのはたぶん、私の体調が十分でなかったのかもしれません!」
「うわあ…なんて前向き…」
「次回こそ!」
「なあ、教官になってそもそも何がしたいんだ?」
「何って…もちろん新人のウィッチを指導してこの国を守ってもらいます!」
「うんうん」
ニッカは頷き、エルマは意気揚々と話しかける。
「私が指導したウィッチが活躍して…全世界からネウロイが消滅してほしいですね」
「だな、教官になったらやっぱ実績を上げて欲しいなぁ」
「いつか『美人過ぎる教官』として全世界に知れ渡るようになりたいです!」
「うんうん…え?」
「そして、教官として5年くらい活躍して…自叙伝書きます!ワニブックス辺りで!」
「おーい…飛躍し過ぎだぞ…?」
「教官を引退して、女性誌でセミヌードを披露したいです!」
「え、エル姉脱ぐの?!」
「はい、それなりの覚悟は出来てます!」
若干、呆れるニッカ。
エイラはと言うと、あからさまに「興味ナシ」と言った感じで近くのソファーで雑誌を寝ながら読んでいた。
「いや、エル姉…良い意味で…良い意味でだよ?ほら、癒し系でしょ?」
「え!?グラビアに挑戦しろと??!!」
「違う違う!カウハバ基地の癒し系だからさ…そんなね、アクティブに活躍しなくても良いんじゃ…」
「え…他の部隊で活躍すれば良いって話ですか?」
「だぁーっ!!違う、だからっ!!教官としてではなく、もっと今のまんま他に軍で貢献出来ると言うか…」
「広報ですね?!いつか『さんま御殿』にも出てみたいです!」
「なんでタレントに転身しちゃうんだよ!?」
「一度出てみたかったんですね〜」
「そんなの知りたくもないし、興味もない!イッル、お前からも何か言ってやれ!!!!」
「えぇー…私?」
めんどくさそうに、読んでいた本を閉じて顔をこちらに向けると...
「なあエル姉、自分が思ってる以上にそんな『出来る』人間じゃないゾ?」
「………」
「イッル………それ、言い過ぎ…」
それから半日、エルマは自室に籠って泣いていたという…。
【おわれ】
- 370 名前:mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2010/10/28(木) 01:15:33 ID:TceIKbCU
- 職人の皆様GJです!
賑やかな事は良き事哉。ちょっと見ない間に凄い数!
個々にレス出来ずすいません。
改めてこんばんは、mxTTnzhmでございます。
フミカネ先生のイラストから始まった某所での話題を元に、
ざざっとまとめてみました。
かなり粗いつくりですがご容赦を。
- 371 名前:alternative 01/03:2010/10/28(木) 01:15:56 ID:TceIKbCU
- 「いやー、今日も元気に墜落だね」
「バカ言ってないで、早く自分のストライカーを何とかしなさい!」
急ぎ足のロスマンに、道すがら炎上する物体を指差し叱られる“伯爵”。
「はいはい」
適当に答えながら適当に消火器のノズルを炎上するストライカーに向ける。クルピンスキーは口笛を吹いた。
「あー、ボクのストライカーが……。こりゃ全損……でもないかな?」
「どう見ても全損だろ」
いつの間にか後ろに立っていたラルが一言呟く。余りに堂々とした見物っぷりにクルピンスキーは笑った。
「そいつはどうも」
「今日辛うじて無事だったのは結局管野だけか。ニパはどうした?」
「着地に失敗して、滑走路脇に激突して……」
ジョーゼットがおろおろする。
「よし、まずはそっちが先決だ。救護班の準備を。行くぞ」
ストライカーも服もぼろぼろになったニパは、地面で呻いていた。
「クソっ、こんな時に何で急に……痛っ!」
左腕が言う事を利かない。いや、右足も。どちらも途中の激しい痛覚だけで、先の感覚が無い。
「折れたか? 千切れてなきゃ良いけど……」
僅かに残った魔法力を発動させる。身体の方々が、じわりと熱くなる。
「痛ててっ……結構きついな」
そこに、ハーフトラックに乗った一同がやって来た。
「大丈夫か、ニパ!」
ラルの一声に、弱々しい声で応えるニパ。
「何とか」
「すぐにメディカルチェックを!」
焦るサーシャ。
「ストライカーは整備班に回せ……ってこりゃダメだな。ストレッチャーでニパを医務室へ」
ラルの指示が飛ぶ。
「ちょっと待った。このまま動かしたらニパ君の怪我が余計酷くなるよ。ここは医学にも通じたこのボクに……いたたっ」
ぴしゃぴしゃと腕と頭を叩かれるクルピンスキー。
「エセ伯爵、なんで貴方ここに居るのよ!? 自分のストライカーの始末は?」
「いやーもうあれは処置無しかと思って、処置アリの方に来……いててっ、先生、体罰は良くないな」
「ど、どうしましょう」
おろおろするサーシャ。
「あの、私の治癒魔法で」
「そうだな。ジョゼ、やってくれ」
「はい」
ニパの傍らに座ると、両手をかざし、ほんわかとした光を放つ。
ニパの自己治癒能力と相まって、酷い怪我もみるみるうちに治っていく。
「はあ、助かった……何とかなりそうだ」
ニパはそう言うと、目を閉じた。
ジョゼは必死に、応急手当目的の包帯を巻きながら、治癒魔法を全力でニパに掛けていく。
「よし、大丈夫そうだな。ニパを医務室へ。そこで改めてメディカルチェックだ。必要ならもう暫くジョゼ、頼む」
「了解です」
ニパは直ちにハーフトラックに載せられ、基地の医務室へと運ばれた。
- 372 名前:alternative 02/03:2010/10/28(木) 01:16:32 ID:TceIKbCU
- 医務室へ戻った後もジョーゼットの治癒魔法は続けられた。
やれやれ、と隊員達は一仕事終え、更なる厄介事の“片付け”へと向かったが、サーシャは一人残り、ジョーゼットとニパを見ていた。
(ニパさんにあんなベタベタ触って……)
自分の思考とは別に、何処か穏やかでないもう一人の自分が居る事に、内心気付くサーシャ。自分がどんな顔をしていたか、ジョーゼットがサーシャを見る目の色で、窺い知った。
「あの……サーシャ大尉……」
「何か?」
「いえ、何でもないです……」
怯えにも近い表情のまま、ニパを治療するジョーゼット。
かと言ってどう言い訳して良いかも分からず、ただ、ニパとジョーゼットを“見る”サーシャ。
たまにジョーゼットが振り返り、びくり、と身体を震わせ、ニパに視線を戻す。
もどかしい。ジョーゼットもサーシャも。
ただ一人、張本人ながら“蚊帳の外”のニパは、幸か不幸か、気を失っていた。
そんな中、ふと舞い込んできた“エセ伯爵”。やあ、と場違いな挨拶して軽やかに近付くと、ジョーゼットの耳元で囁いた。
「ねえジョゼ、おかしいと思わないかい?」
「サーシャ大尉ですか? おかしいと言うか、目つきが怖いです……」
「その理由、教えてあげるよ」
ジョーゼットの耳元で声を小さくして囁くクルピンスキー。
「あの熊さん、キミのことが好きなんじゃないかな? それで嫉妬してるんだよ」
「ふ、ふえええっ!?」
ジョーゼットは驚く余り、横に置いてあった傷薬の瓶を倒してしまう。
「ちょっと中尉、今何か余計な事を言いましたね!?」
「おっと、熊さんに噛まれたら大変だ。じゃあ、頑張ってね」
「ああ、そんな中途半端な……」
クルピンスキーは言うだけ言って去ってしまった。
残されたサーシャ、ジョーゼット。そして意識のないニパ。転がって中身があらかた出てしまった薬瓶。
薬瓶を拾い、僅かに残った溶液を確かめ、蓋をするサーシャ。
「貴方も、中尉の虚言にいちいち惑わされたりしないで。皆ウソだし、言う事に中身なんて無いんだから」
サーシャはそう言うと、薬瓶を軽く振って見せた。
「そ、そうでしょうか?」
ジョーゼットはおろおろしながらも、自分の意見を続けた。
「あの、さっきの、中尉の言葉……なんですけど」
「ええ」
数秒の沈黙。ジョーゼットはごくりと唾を飲み込んだ後、問うた。
「も、もしかして、(私のことが)気になるんですか?」
サーシャは突然の問いに動揺した。思わず薬瓶を落としそうになる。
ジョーゼットの瞳はいつになく真剣だった。
目を閉じたまま、静かに横になるニパ。
サーシャは天井を見、ぽつりと呟いた。
「いつからだったかしらね────気付いたら、(ニパのことを)目で追うようになってたの」
「それってつまり、……(私を)好き、ってことですか?」
「そうね────ええ、(ニパが)好き、なのかも。」
「えええ!? 私、困ります!」
「え!? え!? どう言う事? ジョゼさん?」
二人しておろおろする。
そんなやり取りを、僅かに開くドア越しから見ていた直枝。頬に貼った絆創膏から僅かに血が滲む。
「サーシャ大尉……」
何故か分からないが溜め息が出る。苛つく程の勢いで。
左に人の気配がした。振り向くと、そこには定子が立っていた。定子は直枝に問い掛けた。
「どうしたんですか管野さん」
「下原か、何でもない」
「ニパさんが、気になるんですか」
「違う」
とだけ言って、もう一度、ドアの隙間の向こうのサーシャを見た。
「何でだよ」
ぽつりと言った。少し悔しそうな、でも負けたくない様な、微妙な表情。
直枝のそんないじらしさを見て、定子は思わずぎゅっと抱きしめたくなった。
が、直枝の居る廊下の向こう側からロスマンの視線を感じ、定子は動きを止めた。
「と、とりあえず行きましょう管野さん。もうじきご飯ですから」
- 373 名前:alternative 03/03:2010/10/28(木) 01:16:53 ID:TceIKbCU
- 騒ぎも収まり、誤解を解き、ほっと胸をなで下ろす二人。
(やっぱり……)
と、二人の思いは共通していた。
でも、その安堵の次にやって来たのは、不思議な感情。
ジョーゼットは、どこか少し寂しいような、大切な何かを無くした、そんな気持ちになる。
一方のサーシャは、気持ちをジョゼに話したことで感情に整理をつけた筈なのに、何処か居心地の悪い、もやもやしたものが胸の中で渦巻くのを感じる。もしかして私、ジョゼさんのこと……
ふと、目と目が合った。
「「あの」」
声が重なった。ジョーゼットは何故か悲しくて、うつむく。
サーシャは、そんなジョーゼットの顔を見たくて、彼女の顔を覗き込む。
「サーシャ大尉?」
言われた本人は……そっと、ジョーゼットを抱きしめていた。
治癒魔法を全力で使っていただけあって、ジョーゼットの熱気がサーシャを包む。
「あの、私……」
「もしかしたら、誤解じゃなかったのかも」
サーシャの告白に、ジョーゼットはどきりとした。
「それって……」
優しく抱かれながら、心配そうにサーシャを見るジョーゼット。
「大丈夫よ。これは私と貴方だけの秘密」
「ど、どれがですか? 何をです?」
「それは……」
「やあ二人共、食事の……おっと、こっちは食事中だったかい?」
間が良いのか悪いのか、ドアをノックもせずに現れたのはクルピンスキー。
「ふえっ!?」
「あ、ずるいなー熊さん、ジョゼ暖房独り占めぐはっ……」
本気の「グーのパンチ」を受けて思わず仰け反るクルピンスキー。
そのままずかずかと去っていくサーシャを後ろ目に見る。
「あちゃー、熊さん、虫の居所が悪かったかな」
「あの……」
ジョーゼットに声を掛けられ、クルピンスキーは無理矢理笑顔を作った。
「はっは。こう言うのは良くないよね」
「中尉、鼻から血が」
「えっ!?」
サーシャは何故全力で殴ってしまったのか、分からなかった。照れ隠し? それともジョーゼットをかばう為? それとも……。
胸の中で、心配そうに自分を見つめるジョーゼット。彼女の顔を思い出す。
服にまだ温かさが染み付いている。
(この気持ち、もしかして本当に……。どうすれば……)
サーシャは深く深呼吸をする。気持ちはまだくるくると独楽の様に回っていたが、とりあえず真っ直ぐには歩けそうだ。
足早に、食堂へ向かった。
end
--
以上です。
サーシャとジョゼの新たな可能性を見た!
と言う事で。
502はホント百合の魔窟ですね!
ではまた〜。
- 374 名前:mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2010/10/30(土) 23:05:02 ID:qWFh.H2Y
- こんばんは、mxTTnzhmでございます。
とある歌が切欠でちょこちょこと書き始めたSSです。
ではどうぞ。
- 375 名前:old fashioned love song 01/04:2010/10/30(土) 23:06:05 ID:qWFh.H2Y
- スオムスの冷たい風が頬を撫でる。
オラーシャの刺さる様なブリザードとは違った“寒さ”を肌で感じ、戻って来た、と言う安堵となる。
「いよ、お帰りニパ」
ハンガーで同僚の一人が出迎える。
「今日は着陸時に墜落とかしなかったのか、ニパ?」
別の同僚がからかう。
「誰がするか。今日は502からの連絡で来ただけ。あれ、ウインド大尉は?」
「司令所に居るよ」
「ありがとな」
ニパはストライカーを格納装置にドッキングさせるとするりと脱ぎ、靴を履き、鞄を肩に掛け、司令所を目指した。
「お帰り、ニパ」
いつもと変わらない、控えめな笑顔。ハンナの顔を見て、ニパは安らぎにも似た安堵感を得た。
「ただいま、ウインド大尉……あれ?」
「どうかした?」
「そのセーター、まだ着てるの?」
「ニパから貰ったものだからね。大切にしてるよ」
お揃いのセーターの袖を持って、おどけて見せるハンナ。
「そ、そりゃどうも……」
「それに、このセーターで居ると、ニパと間違えられた時に都合が良い」
ハンナはくすっと笑った。
「ちょっ、それどう言う意味だよ!」
すねるニパに、ハンナは問い掛けた。
「そう言えば502(向こう)はどう? きちんとやってる? 色々と噂は聞くけど……」
「変人と変態が居るけど……。まあまあ、かな」
前半はストレートに、後半は言葉を選んで感想を言うニパ。
「そっか」
聞いて笑ったハンナは、ニパの顔をじっと見て聞いた。
「今日はこのまま502へ蜻蛉返り? それとも基地に一泊?」
「流石に一泊位はさせてくれよ。ヘトヘトだよ」
「じゃあ……」
ハンナは少し言い淀んだ後、平静を装って言った。
「久々に、一緒にサウナでもどう? 仕事たて込んでて、入ってないの私だけなんだ」
「サウナ? そっか。いいね。行こう」
連絡用の書類をハンナに渡した後、二人揃ってサウナに向かった。
- 376 名前:old fashioned love song 02/04:2010/10/30(土) 23:06:37 ID:qWFh.H2Y
- じりじりと石が焼ける。水がぱしゃっと掛けられ、熱気が更に上がる。
「やっぱり良いね、スオムスのサウナ」
「オラーシャのとは違う?」
「微妙に違う気がする。まあ、一緒に入る奴が違うからだと思うから」
ニパの言葉を聞いて、ハンナは微笑んだ。
「私となら、良いって?」
「いや、まあ……」
照れにも似た困り顔をするニパを見るハンナ。
ニパの姿を目に焼き付け、ごくり、と唾を飲み込む。そして慌てる様に、いけないいけない、と頭を振る。
「どうかした?」
ニパがハンナを見て言う。
「ニパ、胸また大きくなった? 一層見分けがつきやすくなるね」
「またそう言う……イッルみたいな事言わないでくれ」
「イッルか……懐かしいな。みんなでわいわいやってた頃を思い出すよ。彼女は今、元気かな」
「手紙の一つも寄越しやしない。でも、元気なんだろうな。あのオラーシャの娘と宜しくやってるんじゃないか?」
「そっか……」
少し考え込むハンナ。
「ウインド大尉、どうした? さっきから考え事?」
ニパが顔を覗き込む。ハンナはすっと、僅かに距離を取った。
「ウインド大尉?」
「あの、さ……」
ハンナは白樺の枝を手にしたまま、言葉を続けた。
「例えばの、例えばの話だよ?」
「うん。何?」
「『私達の友情は嘘だった』って言ったら、どうする?」
「え? いきなり何の事?」
事情が飲み込めないニパ。ハンナは言葉を続けた。
「大切な話だから。もし私達の関係が、壊れるとしたら……」
言葉を止め、一呼吸するハンナ。彼女の言葉の“真意”を図りかね、困惑するニパ。
「ウインド大尉、意味が分からない……」
ハンナは続けた。
「みんなと色々やって来たけど、今日で、私達が終わりだとしたら?」
「どう言う事? ……はっ! もしかしてウインド大尉、何処かに行くの? でもスカウト断ったんじゃ……何処の統合航空戦闘団に?」
「もう、バカ」
苦笑し、ぴしゃっと白樺の枝でニパの頭を小突く。そして、耳元に近付き、囁いた。
「愛してる」
突然の告白に、ニパは仰天して後ずさった。
「な、な、いきなり……えええ!?」
「冗談でも嘘でもない。今までの、上官と部下、この関係のままは、もう嫌」
ニパの手を取って、言った。
「愛してる。ずっと側に居て欲しいの。ニパ、貴方を私の『恋人』と言わせて」
「ちょ……冗談、でしょ?」
ハンナの目を見る。真剣な瞳の色を見て、もう一度見る事は出来なかった。
伏し目がちのニパの手を取ったまま、ハンナは歌う様に、言葉を続けた。
「友情は普通だけど、ニパに対してはそれだけじゃなかった。気付いたら、いつの間にか愛情に……」
「ウインド大尉……」
「けど、いつまで経っても『好き』って言えなくて。たった一言なのにね。でも、もう限界。ニパ……」
「な、何か古臭い告白、じゃない?」
ハンナの言葉を遮り精一杯の抵抗をするニパ。でも、ハンナの目は真剣で、返って来た言葉も同じく真っ直ぐだった。
「好き嫌いに古いも新しいも無いよ。ニパ、愛してる」
「ちょ、ウインド大尉……。外出よう、あ、熱い……」
変な汗が噴き出てきた。サウナだけでなくハンナの熱気にやられ、フラフラとサウナから出るニパ。
そのまま数歩歩いた後、雪の中にぼさっと突っ込み、気を失った。
- 377 名前:old fashioned love song 03/04:2010/10/30(土) 23:07:40 ID:qWFh.H2Y
- ハンナの声が聞こえる。
「ニパ。大丈夫、ニパ?」
「ウインド大尉……」
頭が接地する感覚が心地良い。ふと気付くと、服をぞんざいに着せられたまま、ハンナの膝枕の格好で寝転がっていた。
「動かなくて良い。大丈夫、さっきのは誰にも見られてない。今の私達も」
「う、うん」
ニパは、さっきのサウナでの告白が冗談かどうか、ハンナの目を見た。
「愛してる」
ニパを眺める優しい笑みと共に発せられた言葉が、ニパの心を射貫く。
「私の言葉、嘘でも冗談でもないから。ねえニパ、側に居て? 恋人と呼ばせて」
「どうして、私を?」
「それは、ニパが一番知ってると思うな」
「……」
ハンナの愛おしい顔を直視出来ず、ニパは呟いた。
「側に居たいのは、私だって同じだよ」
そう言うと、ニパはハンナの太腿に顔を埋めた。
静かな時が流れる。
しばしの沈黙。二人の規則的な呼吸が、肌を通して伝わる。
不意にニパは言った。
「502はそれなりに良いとこだけど、やっぱり、何か寂しいよ」
「それは私が居ないから?」
黙ってこくりと頷くニパ。
「イッルでもなくて?」
もう一度、頷くニパ。
「でも、ニパは明日にも502に戻らないといけない。何て悲しい運命なんだろうね、私達」
「ウインド大尉……」
「ねえ、ニパ」
ニパの髪の毛を優しく撫でながら、ハンナは言った。
「私を『ハンナ』って呼んでみてくれる?」
「ハンナ」
「もう一度」
「ハンナ」
「何か、嬉しいな」
「良いのかな……こんな事」
「上官の私が良いと言ってるんだから」
「う、うん」
素直に頷くニパ。
「ニパが居たから私達は戦って来れた。ニパが居たから、私は私でいられる」
「ハンナ」
ハンナはニパの身体をそっと持ち上げ、抱きしめた。ニパの腕ごと抱きしめたので、ニパの手は自然とハンナの胸の上に。
柔らかく、温かい。ハンナの鼓動、生きている証。
「502に戻る……いや、再び『行く』前に、もうひとつお願い、良いかな」
「うん?」
上を向いたニパに、覆い被さり、そっと唇を重ねるハンナ。
控えめで、優しいキス。触れ合い、確かめ、何度も繰り返す。
「これで、ニパは私の。決まりだね」
「決まりって……」
「異論は?」
「……無い」
「宜しい」
ハンナはくすっと笑った。そして言葉を続けた。
「こんな事言って、ニパに嫌われたらどうしよう、逃げられたらどうしようって、ずっと思ってた。
でも言わずに後悔するより、言って後悔した方が良いかな、と思った」
「うん」
「ごめんね。ニパの気持ちも考えずに。でも、ずっと、いつどうやって、なんて言おうか考えてた」
「いや、良いんだ。ウイ……いや、ハンナがずっとそう想ってくれてたなら」
「え、まさか、ニパも私の事……」
「ハンナ程じゃないけど、何て言うか、一緒に居てほっとすると言うか……何だろう、この気持ち」
ふっと笑うハンナ。飾らない素朴な笑顔、見ているだけでとても安心する。
不意に視界が曇る。原因が自分の涙だと知ったニパ。ごしごしと目をこする前に、ハンナにつつっと、涙を指で拭われる。
「ニパ」
ハンナの声を聞くたび、涙が溢れてくる。止まらない。
「あれ、どうして……」
「ごめん。ニパ泣かせちゃったね」
「ち、違うんだ、これは、でも……うえっ……ハンナぁ……」
胸に顔を埋めるニパ、頭をそっと撫でるハンナ。
暫く、抱き合ったまま時を過ごす。お互いの体温で、じっくりと温めあう。
「ねえ、ハンナ」
「何?」
「私、ハンナの気持ちに応えたいけど、どうすれば……」
ニパの消え入りそうな声を聞いたハンナ。頭の中で何かにどーんと背を押された感覚に陥る。
「じゃあ、もうひとつ、お願いしちゃおうかな?」
「え、何? それは……」
言葉は続かなかった。
部屋の明かりが消え、ニパはあっという間に服を脱がされ、ハンナの“餌食”となった。
- 378 名前:old fashioned love song 04/04:2010/10/30(土) 23:08:44 ID:qWFh.H2Y
- 「ニパの502帰還が延期になった? どうして?」
ラルはスオムスからの電信文を受け取り、唖然とした。そして椅子に座ると、頬杖をついた。
「まさか、向こうで着地に失敗して墜落したとか、そう言うオチか?」
ラルのぼやきを聞き、電信文を受け取ったロスマンは、つらつらと内容読み、こほんと咳をして言った。
「体調不良で数日飛べないそうですが?」
「……まったく、あだ名の通り、本当についてないな。今日から暫く編成シフトを少々変更する必要が有る」
「ですね」
「まったく……」
ラルは執務室の窓から、鈍色の空を見上げた。
吹雪くスオムスの兵舎。ハンナの部屋で、一糸纏わぬ姿でベッドに眠るニパ。
疲労か情欲の末か、規則正しく息をしながら、眠っていた。最後のハンナの“一撃”で、気を失ったとも言う。
そんなニパをそっと抱きしめ、微笑むハンナ。
せめてもう少しだけ。
糸の切れた操り人形みたいに、くたっとハンナに身体を預けるニパの首筋に、きゅっと吸い口を付けた。
これは、私だけの“獲物”。そのサイン。
「愛してる、ニパ」
ハンナはそう言うと、自分によく似た髪をしたスオムス娘を抱き直し、口吻をする。ニパが起きるまで、何度も。
end
--
以上です。
保管庫No.1417「overture」でニパが慌てていたのはこれが原因です。
「overture」を書いた時、ハンナ×ニパのプロットは出来ていたのですが。
このふたりの流れを決定付けて頂いた「2の人」には
ここで改めてお礼の言葉を。
ではまた〜。
- 379 名前:5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2010/10/31(日) 23:27:51 ID:zkVMYK0Q
- >>358 XkC0/Rz2様
フェルちゃんの誕生日がすごく質素なのに何だか心が温まります。
天姫が錦のことを名前で呼ぶ話はいずれ書いてみたいですね。
>>369 Hwd8/SPp様
エルマさんかわいいよエルマさん。
エルマさんにはぜひ、優秀な指導教官として活躍してもらいたいですね。
>>370、>>374 mxTTnzhm様
サーシャ×ジョゼ (・∀・)イイ! すごくいいです。
ウィンドさんとニパの話も読んでてすごいドキドキしました。
こんばんは、ハロウィンのエーゲルSSを思いついたので4レスほど投下していきます。
では、どうぞ
- 380 名前:ハロウィンの想い出 1/4:2010/10/31(日) 23:28:40 ID:zkVMYK0Q
「待て待て〜! お菓子をくれないとイタズラしちゃうぞ〜!」
「フフフ、お菓子をくれないリーネにはイタズラなんだな」
「や、やめてくださ〜い!」
「随分と騒がしいな。何をやっているんだ? あいつら」
私とトゥルーデが食堂に入ると、黒い帽子とマントを身にまとった
ルッキーニとエイラがリーネを追いかけまわしていた。
2人のその格好を見て、私は今の状況を把握する。
「そっか、今日はハロウィンだったっけ」
お菓子をくれなかったらイタズラしてもいい日だなんて、イタズラ好きのあの2人にしてみたら
夢のような行事だね。
「あら、バルクホルン大尉にハルトマン中尉」
「ペリーヌ、どうしたんだ? 髪が乱れているぞ」
「どうもこうもありませんわ。ルッキーニさん達がいきなり『トリックオアトリート?』と
訊いてくるものですから、『何も持ってませんわ』と答えたらこんな目に……本当、年中騒がしい方々ですこと」
「悪戯にも限度というものがあるだろうに……本当にしょうがない奴らだ。
おい! 何をやっているんだ? お前たち」
「うじゃー、バルクホルン!」
トゥルーデは、リーネに『イタズラ』を実行しようとしていたルッキーニとエイラにつかつかと歩み寄る。
ありゃりゃ、2人ともお気の毒さま。
それにしても……
「ハロウィンか、懐かしいな」
私は、ルッキーニ達を叱るトゥルーデの背中を見ながらふと呟く。
「あら? ハルトマン中尉は前にもハロウィンをやったことがあるんですの?」
「うん、随分前にね。JG52にいた頃だから、もう6年前になるのかな?
丁度その頃ハロウィンについて詳しく書かれてた本が手元にあったから、それを読んで私も、
仮装して隊のみんなからお菓子を貰おうって考えたんだ。それでね……」
- 381 名前:ハロウィンの想い出 2/4:2010/10/31(日) 23:29:08 ID:zkVMYK0Q
――――――――――――――――――――――――――――――――
「これでよし、と」
部屋の鏡に映るいつもとは少し違う自分の姿。
黒い帽子とマント、それにお手製のステッキ。
うん、我ながら完璧な仮装だね。
さてと、まずは誰からお菓子を貰いに行こうかな。
う〜ん……そうだ! ロスマン先生のとこに行こっと。
「せ〜んせい!」
部屋を出てすぐにロスマン先生を発見した私は、先生の背中にハグをする。
本当に先生の背中は暖かいな。
「きゃっ! もう、ハルトマンったらいきなり驚かせないでよ。それに、その可愛らしい格好は何?」
「えへへ、ハロウィンだよ先生。とりっくおあとりーと!」
私はお手製ステッキをくるくると回しながら、イタズラっぽく笑ってみせる。
「ふふっ、飴玉くらいしか持ってないけどこれでいいかしら?」
先生はそう言うとポケットから飴玉を取り出して、それを私にくれた。
「わ〜い! ありがとう、先生。じゃ、私もう行くね」
「ええ。みんなに迷惑かけちゃ駄目よ?」
「は〜い!」
さてと、次は誰のところに行こっかな。
おや? あそこにいるのはハンナだね。
「お〜い、ハンナ」
「ハルトマンか。その格好は何だ?」
「ハロウィンだよ。とりっくおあとりーと!」
私がステッキをくるくると回すと、それを見たハンナはニヤリと不敵な笑みを浮かべた。
う、何だか嫌な予感……
「生憎今は何も持ってないな。だがお前にイタズラはしたい」
そう言ってハンナは、私に一歩ずつ詰め寄ってくる。
えっと、ハロウィンって「貰う側」がイタズラされる行事なんだっけ?
なんてこと考えてる場合じゃない、これは逃げたほうが良さそうだね。
「ごめん! 私、大事な用事を思い出しちゃった。じゃ、またね!」
「あ、待て!」
「ふぅ、なんとかまいたかな」
私は辺りを見回して、ハンナの姿がないことを確認する。
「それにしても、びっくりしたなぁもう」
「やぁ、フラウ。何がびっくりしたって?」
「あ、伯爵」
気がつくと私の前にはヴァルトルート・クルピンスキー少尉、通称伯爵の姿があった。
伯爵は私の格好を見るや否や、こう訊いてきた。
「その格好はハロウィンの仮装かな? 可愛いワンちゃん」
「うん、そうだよ。伯爵は何かお菓子持ってる? とりっくおあとりーと!」
私が三度ステッキを回すと、伯爵はさっきのハンナと同様ニヤニヤしながらこっちのを見てくる。
うぅ、またしても嫌な予感……
「悪いね。何も持ってないんだ。さ、ボクに好きにイタズラしていいよ」
そう言って伯爵は軍服のボタンを一つ一つ外し始める。
ちょ、ちょっと待って! なんでこの人は脱ごうとしてるの!?
「ど、どうしてそうなるの〜」
「あっ! 待って、フラウ!」
- 382 名前:ハロウィンの想い出 3/4:2010/10/31(日) 23:29:42 ID:zkVMYK0Q
「結局、今のところの収穫は先生から貰ったこの飴玉だけか……」
伯爵からなんとか逃れた私は、飴玉を見ながらぽつりと呟く。
ハロウィンでお菓子を貰うのって結構大変だね。
次は誰のところに行こうかな。
「あれ? ここは……」
しばらくの間、誰のところに行こうか考えながら歩いていたら、
私はいつの間にかトゥルーデの部屋の前に来ていた。
そうだ、トゥルーデなら何かお菓子くれるかも。
そう考えた私はトゥルーデの部屋の扉をそっと開け、彼女の部屋に侵入する。
トゥルーデは、机と向き合って何かを書いていた。
よっぽど集中してるのか、まだ私の存在には気づいてないみたい。
よ〜し、それならそっと近付いてトゥルーデを驚かせちゃおうっと。
私は一歩、また一歩とトゥルーデに近づいていき、彼女の背中を思いっきりハグする。
「とりっくおあとりーと!」
「わわっ! は、離れろハルトマン!」
「はーい」
私がトゥルーデから離れると、彼女は椅子から立ち上がり驚いたような表情を浮かべこう訊いてくる。
「貴様、いつからそこに……?」
「結構前からいたけど。トゥルーデこそ、私に気付かないほど集中してたみたいだけど、何書いてたの?」
「そ、その……妹への手紙を」
なるほど、それで私の存在にも気付かなかったわけか。
本当、トゥルーデったら妹のクリスちゃんのことになると周りが見えなくなるんだから。
「ところでお前、私に何の用だ? それにその格好は……」
「えへへ、今日はハロウィンだから何かお菓子ちょうだい!」
「悪いが、今は忙しいんだ。他をあたってくれ」
「あ、待ってよ!」
私は、椅子に座ろうとしたトゥルーデの腕を引っ張って引きとめる。
「そんなこと言わずにさ、今日ぐらいいいでしょ? ね……お、お姉ちゃん」
「なっ!?」
うわっ、私ったら何言ってんだろ……
しばらくの間、私とトゥルーデの間に沈黙が流れる。
うぅ、何だかすごく恥ずかしい。
「ハルトマン」
沈黙を破ったトゥルーデが、私の肩を掴んできた。
あれ? 心なしかトゥルーデも顔真っ赤だ。
「その、だな……少し待ってろ」
「え?」
――数十分後、厨房
「さ、焼けたぞ」
「わぁ、美味しそう!」
トゥルーデがオーブンから取り出したケーキがテーブルの上に乗せられる。
う〜ん、とっても良い匂い。
「いっただきまーす!」
私はトゥルーデが作ってくれたケーキを一口、口の中に運ぶ。
「美味しい……このケーキ、すごく美味しいよ! トゥルーデ」
「ほ、本当か?」
「うん、甘みが広がって口の中がすごく幸せ。何でこんな美味しいケーキを作れるの?」
「昔、クリスに頼まれて作ったことがあったんだ……まだ世の中が平和だった頃に」
トゥルーデが、寂しそうな表情を浮かべながらそう言う。
きっと、昔家族と平和に暮らしてた時のことを思い出してるんだろう。
私も父様や母様、ウーシュとまた一緒に暮らせるようになりたいな。
「ね、トゥルーデ」
「何だ?」
「早く来るといいね。クリスちゃんにまたケーキを作ってあげられるような平和な日常が」
「ああ、そうだな」
寂しげな顔だったトゥルーデの表情が少し和らぐ。
うん、やっぱり君には笑顔が一番似合ってるよ。
「さて、世界をネウロイの異形どもから守るためには我々はもっと強くならければならない。
ハルトマン、訓練の時間だ」
「ええ!? まだ全部食べ終わってないよ〜」
「『ええ!?』じゃない! ほら、行くぞ!」
「ちょ、ちょっと! 手、引っ張らないでよ〜」
――――――――――――――――――――――――――――――――
- 383 名前:ハロウィンの想い出 4/4:2010/10/31(日) 23:32:29 ID:zkVMYK0Q
「……ってことがあってね。あの時トゥルーデが作ってくれたケーキ、
本当に美味しかったなぁ」
「は、はぁ……そうなんですの」
「エーリカ、一体何の話をしてたんだ?」
「「うぅ、痛い……」」
ペリーヌへの話が終わると同時にトゥルーデが頭にタンコブを作ったエイラとルッキーニを従えてやってきた。
うわ、2人とも痛そう〜。
「ハロウィンの想い出話をしてたところだよ。ねぇ、またあの時のケーキ作ってよ。お姉ちゃん」
「なっ!?」
私は6年前と同じようにトゥルーデにお菓子をねだる。
あはは、トゥルーデのリアクションまで6年前と同じだね。
「そ、そうだな……久しぶりに作ってみよう。リーネ、手伝ってくれるか?」
「はい! じゃあ芳佳ちゃんも呼んできますね」
「やたっ! ケーキだ! シャーリーに教えてこよっと」
「サーニャ、起きてるかな」
「私も坂本少佐達を呼んできますわ!」
「いってらっしゃーい」
私は、みんなを呼ぶために食堂を出て行った隊員達の背中を見送る。
「ねぇ、トゥルーデ」
2人きりになった食堂で私はトゥルーデに声をかける。
「何だ、エーリカ」
「あの時私が言った『平和な日常』にはまだほど遠いかもしれないけど、
平和な世の中が1日でも早く訪れるようにこれからも頑張ろ」
「ああ。これからもよろしく頼む」
私とトゥルーデはがっしりと腕を組み合う。
これからもよろしくね、トゥルーデ。
〜Fin〜
以上です。
そういえば、映画化が決定しましたね。今からとても楽しみです。
ではまた
- 384 名前:名無しさん:2010/10/31(日) 23:44:53 ID:VK6r3xq6
- >>383
うおー超GJです!なんて素敵なハロウィン!
エーゲルは今も昔もほっこりして良いですね!
JG52のメンバーも面白いしw
- 385 名前:名無しさん:2010/11/02(火) 18:25:35 ID:4a0O.64A
- >>383
イイハナシダナーGJ
お姉ちゃんいいですね
- 386 名前:名無しさん:2010/11/02(火) 22:03:05 ID:pHvQ9iQQ
- >>374
ハッセさん積極的www
本当、504は風紀の乱れ(?)がひどいwww
>>383
ほのぼのして、いいお話!
ロスハルトマンも、エーゲルもあったかくていい関係ですね。
GJ!
- 387 名前:名無しさん:2010/11/03(水) 10:43:05 ID:e5SxUqYU
- 501!
- 388 名前:名無しさん:2010/11/03(水) 11:44:13 ID:XrB.0wlE
- >>386
ニパって502じゃね?
501も良いけど、502や504の話ももっと読みたいなあ。
501は保管庫でもたくさん見られるし。
- 389 名前:名無しさん:2010/11/03(水) 16:11:32 ID:cfVjr8Yc
- 501以外誰が誰だか分かんねぇ・・・
ニパしか分からん
- 390 名前:386:2010/11/03(水) 18:30:13 ID:pTGtxlZo
- >>388
間違えた……orz ご指摘どうもです。
- 391 名前:5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2010/11/03(水) 21:47:33 ID:FoW.dnYQ
- >>384-386
コメントありがとうございます。
喜んでもらえて嬉しいです。
>>388
自分ももっと502や504の話は書いてみたいですね。
今から投下するのは501の話ですが……
こんばんは、公式の映像記録集 第弐巻を観てたら思いついたネタを4レスほど投下していきます。
当然ながらネタバレを含みますので、映像記録集 第弐巻を観てない方はご注意を。
シャーゲルでちょこっと芳リネな話です、ではどうぞ
- 392 名前:一生一緒? 1/4:2010/11/03(水) 21:48:21 ID:FoW.dnYQ
- ――ある日の午後、基地のミーティングルームにて
「リーネちゃんとだったらいくらでも合体するもん」
「よ、芳佳ちゃん! 嬉しい!」
「しかし、これで戦うのもなかなかできることではない。もはやお前たちの得意技と言えるかもしれないな」
「「うふふふ」」
その日、芳佳、リーネ、トゥルーデの3人は司令部から届いた映像記録、
すなわち、第501統合戦闘航空団のウィッチ達の戦いの軌跡を鑑賞していた。
今3人が観ている映像は、かつてアンナの訓練施設に現れたネウロイを芳佳とリーネが連携を用いて応戦しているときのもの。
トゥルーデにも自分たちの合体技を褒められた芳佳とリーネは思わず顔を赤らめてしまう。
(なんでだろう……芳佳ちゃんと一緒ならどんなネウロイが相手でも勝てる気がするよ)
(リーネちゃんと一緒なら私、今まで以上にみんなを守れる気がする)
無言で見つめあいながら、芳佳とリーネはお互いのことを考えていた。
「あー、2人ともそろそろ戻ってきてくれないか」
すっかり自分たちの世界に入ってしまった芳佳とリーネを見たトゥルーデがぽつりと呟く。
「「あっ! す、すみません!」」
トゥルーデの一声でハッと我に返る2人。
(やれやれ……2人とも一瞬、私の存在を忘れてたんじゃないか?)
トゥルーデは、心の中で溜息をついた。
――それから十数分後、洗濯物を干しに行ったリーネと入れ替わりにシャーリーがミーティングルームにやってきた。
トゥルーデと芳佳はシャーリーを交え、3人で映像記録の続きを鑑賞していたのだが……
「まったく、新鋭機に踊らされるとはバルクホルンらしくない」
新型のジェットストライカーを装着し飛行しているトゥルーデの映像を観たシャーリーが、いつになく真面目な口調で言う。
「あぁ……自分でも痛感している。これでは宮藤に説教もできんな」
シャーリーの言葉を受け、かつての自分の行動を反省するトゥルーデ。
「ジェットストライカーでしたっけ……凄い性能でしたけど……」
「くっくっくっ、ユニットの性能で自分が強くなったと勘違いするなんて、新兵みたいだな!」
今度はからかうような口調でそう言うシャーリー。
それを聞いたトゥルーデも思わずムキになってしまう。
「う、うるさいぞ! いつまで言うつもりだ!」
(本当にこいつはいちいちムキになっちゃって……可愛い奴だな)
そんなトゥルーデの反応を可笑しく思ったシャーリーは、つい本音を漏らしてしまう。
「ふふーん、こんな面白いことやめてたまるか。一生言い続けてやるぞ」
「く……っ!」
一瞬、2人の間に流れる沈黙。
(あ、あれ? あたしったら何言ってるんだろ)
(い、一生だと!? シャーリーの奴、いきなり何を……)
何気なく口から出てしまった「一生」というフレーズに困惑するシャーリーと、
思わず顔を赤らめてしまうトゥルーデ。
(ふふ、このふたり、おばあちゃんになってもこうなのかな?)
そんな2人の様子を心の中で微笑ましく思う芳佳であった。
- 393 名前:一生一緒? 2/4:2010/11/03(水) 21:49:02 ID:FoW.dnYQ
- ――数十分後、トゥルーデとエーリカの部屋
「一生だなんて、シャーリーの奴……いや、深い意味はないのかもしれん。だが……」
映像鑑賞を終えた後、自分の部屋に戻ったトゥルーデは、部屋を行ったり来たりしながら
先ほどのシャーリーの発言について考えていた。
「まさかあいつは、私とずっと一緒にいたいのか……? いいや! あいつのことだ、きっと私をからかっているだけだ。
うん、そうに違いない」
トゥルーデはそう自分に言い聞かせ、椅子に腰掛けた。
「リベリアンの気まぐれな発言に振り回されるなんて、まだまだ修行の足りない証拠だ。
そうだ! 明日以降の訓練のスケジュールでも立てるとしよう」
シャーリーの何気ない発言に心を乱されたのは、自身の修業が足りないからだと自分の中で結論付けたトゥルーデは、
精神を鍛えるため、明日以降の訓練のスケジュールを立てることにした。
しかし……
『ふふーん、こんな面白いことやめてたまるか。一生言い続けてやるぞ』
『おまえに礼なんて言われたら、逆に気持ち悪いぞ!』
『別にいつでも触っていいんだぞ? ほれほれ、ほれほれ』
「ああ! なんでお前が出てくるんだ!」
どういうわけだか、スケジュールを組む作業もシャーリーのことが気になって全く進まない。
トゥルーデは、自分の中のシャーリーを必死に振り払おうとするが、考えれば考えるほど余計に意識してしまうのであった。
「トゥルーデー、うるさいんだけど」
ジークフリート線の向こうで眠っていたエーリカも相方の様子がおかしいことに気づき、目を覚ます。
「何かあったの?」
「な、なんでもない」
「いきなり大声出しといて『なんでもない』はないんじゃないの? 私たちパートナーなんだからさ、
何かあるんなら話してよ」
エーリカが、屈託のない笑顔でトゥルーデの顔を覗き込みながら言う。
「……そうだな。お前には話すよ」
エーリカの無邪気な表情を見て、気持ちの落ち着いたトゥルーデは先ほどのシャーリーとのやり取りを話すことにした。
「ふ〜ん、『一生言い続けてやる』ねぇ……」
「まぁ、あいつのことだから半分冗談だとは思うが」
「トゥルーデはさ、それを聞いた時、どう思ったの?」
「う、それは……」
エーリカの思いがけない問いに一瞬口ごもるトゥルーデ。
「その……あいつとこれから先もずっと、そうやってくだらないことで言い争ったりするのも悪くないと思ってしまった」
しばらく間を空けた後、トゥルーデはゆっくりと口を開いた。
それを聞いたエーリカも思わず顔がほころんだ。
「えへへ、私もトゥルーデとシャーリーがくだらない話で盛り上がったり、笑いあったりしてるとこ、ずっと見てたいかな。
もちろん、ネウロイがいなくなって平和な世の中になってもずっと……だって、私たちはミーナの言うように『家族』なんだから」
「エーリカ……」
「それじゃ、行こっか」
「行くって、どこに?」
「シャーリーんとこに決まってんじゃん。ほら、行くよ」
「こ、こら! 引っ張るな」
- 394 名前:一生一緒? 3/4:2010/11/03(水) 21:49:26 ID:FoW.dnYQ
――同じ頃、シャーリーとルッキーニの部屋
「あたし、なんであんなこと言ったんだろ」
ベッドの上で大の字になりながらシャーリーはぽつりと呟いた。
(一生言い続けるだなんて……あたしはあの堅物とずっと一緒にいたいんだろうか? う〜ん……)
「シャーリー、どったの?」
エーリカ同様、自分の相方の様子がいつもと少し違うことに気付いたルッキーニが、心配そうな表情でシャーリーの顔を覗きこむ。
「なぁ、ルッキーニ」
「なに、シャーリー?」
「ルッキーニは……あたしとずっと一緒にいたいか?」
「うん!」
シャーリーの問いかけに即答するルッキーニ。
「随分即答だな」
「だってあたし、シャーリーのこと、大好きだもん! 好きな人とずっと一緒にいたいと思うのは当たり前のことでしょ?」
笑顔でそう応えるルッキーニにシャーリーも思わず笑みがこぼれる。
「あはは! そうだよな。好きな奴と一緒にいたいって思うのは当たり前のことだよな。
よし! じゃあ、バルクホルンんとこに行ってくる」
シャーリーはベッドから立ち上がり、部屋の扉を開けると、そこにはバルクホルンとハルトマンが立っていた。
「あっ」
「おっ、ちょうどいいところに。2人ともどうしたんだ?」
「トゥルーデがシャーリーに話があるんだって。ね、トゥルーデ?」
「あ、ああ……その、だな……シャーリー。さっきの件なんだが」
「へ?」
「さっきお前は『一生言い続けてやる』と私に言っただろ? それはつまり、私とずっと一緒にいたいということなのか?」
トゥルーデが頬を染めながらシャーリーにそう尋ねる。
「え、えっと……」
「少なくとも私は、お前とずっと一緒にいたいと思う……親友として、家族として」
「……参ったな。あたしも同じこと言おうと思ってたのに」
「え?」
シャーリーは顔を朱に染めてるトゥルーデを、そっと抱き寄せる。
「お、おい! シャーリー……」
「あたしもあんたと気持ちは同じ。あんたやルッキーニ、501のみんなとずっと一緒にいたいと思ってるよ」
「わ、分かったから離してくれ……」
「遠慮するなよ。あたしの身体は暖かいだろ? ほれほれ」
「あ、ああ……悪くない」
- 395 名前:一生一緒? 4/4:2010/11/03(水) 21:52:06 ID:FoW.dnYQ
「ねぇ、ハルトマン。なんだかあたし達蚊帳の外みたいじゃない?」
「う〜ん、そうだねぇ……私たちもシャーリー達にハグしちゃおっか?」
「それ賛成! シャーリー、えいっ!」
「ル、ルッキーニ!?」
「トゥルーデー! えいっ!」
「うわっ! エ、エーリカ!?」
ルッキーニがシャーリーに、エーリカがトゥルーデにそれぞれ背中から抱きついた。
「よ、芳佳ちゃん、なんだかすごいことになってるね」
「バルクホルンさん、いいなぁ。シャーリーさんのおっぱいを……」
そんな4人のやりとりをたまたま傍から見ていた芳佳とリーネ。
「ねぇ芳佳ちゃん、私たちも……ずっと一緒だよね?」
リーネは芳佳の手をとり、彼女の顔を覗き込みながら言った。
「うん! 私たちもずっと一緒だよ! リーネちゃん」
芳佳もリーネの手を握り返し、笑顔でそう応えるのであった。
〜Fin〜
――――――――
以上です。映像記録集が相変わらずいい意味で「公式が病気」状態で安心します。
芳佳とリーネちゃんは早くくっつけばいいのに
地味に3人称視点でSSを書いたのはこれが初めてだったりします。
ではまた
- 396 名前:mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2010/11/03(水) 22:33:04 ID:3eHAdMkY
- >>383 5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2様
リアルタイム投下GJです! ステキなハロウィンエーゲルをありがとうございます!
読んでいて優しい気分になれますね。JG52メンバーも良いですね。
こんばんは、mxTTnzhmでございます。
ちょっと時期を外しましたが、出来ましたのでどうぞ。
- 397 名前:名無しさん:2010/11/03(水) 22:39:41 ID:3eHAdMkY
- がーん! リロードし忘れました;; 何と言う初歩的ミス。
>>395 5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2様なんかかぶってすいません。
SS早速拝読しました。
これは良いシャーゲルというか501皆家族!
素晴らしいです。これぞまったりでほんわかな501ですね。
……では何だか申し訳無いですが、改めて投下します。
- 398 名前:trick blade II 01/02:2010/11/03(水) 22:41:19 ID:3eHAdMkY
- 「とりっく おあ とりーと!」
「そうそう、そんな感じですよ皆さん。そうやって聞いて回るんですよ」
基地の敷地内で子供達に教えて復唱させ、うんうんと頷くジェーン。
絵本に出てくるいかにもな魔女っぽい服を着てやる気十分だ。
この日504では、欧州やリベリオンで風習となっている行事を、住民との親善目的で(かたちだけでも)やろうと言う事になり、
当日、基地の片隅に近隣の子供達を招いていた。
子供担当は、お国柄ハロウィンに詳しいだろう……と言う事でドミニカとジェーンに任されていた。
熱心なジェーンに比べて、ドミニカは普段の格好のまま、ガムを噛んだりぷーと膨らませたりで、それだけでやる気の無さを体現している。
「お姉ちゃん、ガムふくらませるのうまい!」
「ちょっとしたコツが要るんだ。……ほれ、お菓子持ってきな」
話し掛けて来た子供にお菓子をぽいっと寄越すドミニカ。
「わーいありがとー」
えっと驚いたジェーンに、ドミニカは気怠そうに促した。
「さっさとお菓子やらないと」
「大将何言うですか! いきなりハロウィンの核心と言うかお楽しみに迫ってどうしますか!?」
「いいから。ほれ、持ってきな」
ジェーンが持っていた飴玉やらお菓子やらを、手近な子供達にほいほいと与え始めるドミニカ。
「あ、ちょっと大将……」
「わーいありがとーおねーちゃん」
「いい子にするんだぞー」
いつの間にか配給に並ぶ行列に様変わりし、お菓子が全員に配られる。
「あー、ハロウィンが終わる……」
ドミニカは、悲観に暮れるジェーンを気にする事なくお菓子をあっという間に配り終わった。
「さ、気を付けて帰れよー」
「はーい」
子供達は貰うものだけ貰ってさっさと帰ってしまった。これには、傍から様子を見ていた醇子も驚いた顔をする。
「ねえ。ハロウィンって、こんなあっさりした行事なの?」
「違うんです! 違うんです! もっとこう、雰囲気のあるものなんです!」
魔女衣装のジェーンが抗弁する。
「おかしをくれないといたずらするぞ〜、って、練り歩くんです! それで、家々を回ってですね……」
抗弁ついでのジェーンの説明を聞く醇子は、思わず呟いた。
「へえ、面白いわね。扶桑の『なまはげ』みたいなものかしら」
一瞬の間。
ドミニカとジェーンは顔を見合わせた。『ナマハゲ』なる物体については知る筈も無かったが、二人共直感的に
「多分違う」
と口を揃えた。
「まあ、お菓子配るだけってのも、なんかね。来年はもう少し面白くなるといいわね。じゃ、後宜しくね」
醇子はそれだけ言って、現場を後にした。
「ああ……竹井さんまで……。大将どーするんですか! 竹井さんにまで呆れられちゃったじゃないですか!」
「別になあ。無理にやっても」
「そんなあ……」
「じゃ、部屋戻るぞ」
後片付けをさっさと済ませ、部屋に戻るドミニカ。ジェーンは一人おいてけぼりにされ、ぼそぼそと残った飾り物を片付けた。
- 399 名前:trick blade II 02/02:2010/11/03(水) 22:42:15 ID:3eHAdMkY
- 一仕事終え、部屋に戻り、扉を閉めるジェーン。何故か虚しさが残る。魔女の帽子を脱ぐ。
「もっと、本当は楽しいんです、ハロウィン」
ぽつりと呟き、所在なさげに、ベッドに腰掛ける。どうしてこんな結果に、と後悔が残る。
「何で、大将はあんな……」
「うぼわぁ!」
「ぎゃーーーーーッ!!!!」
部屋の隅から突然現れ奇声を発した謎の物体を見、思わず悲鳴を上げるジェーン。
口を塞がれ、そのまま部屋のベッドに押し倒される。
「たったすけ……、あれ? この匂い。もしかして、たいし……」
「もうバレたか」
被っていたフードとマスクを外し、何処から持って来たのか、黒のマントをぽいと投げ捨てるドミニカ。
「私の体臭で気付くなんて、ジェーンもなかなか成長したな」
にやりとするドミニカ。
「それは……私達二人して同じ石けんとか使ってるから……って何言わせるんですか恥ずかしい!」
「まあ、それは良いとして」
「良くないです! てか何やってるですか! そう言う事は子供達相手にした方がいいです! 何で私おどかして! ……え?」
「……」
ぼそっと耳元で呟くドミニカ。聞き取れず首を傾げるジェーン。
「大将? 今なんて?」
今度ははっきりと、聞こえた。
「今からお前に、いたずらを、する」
「え、えええええ!? ちょ、ちょっと待って大将、心の準備というか普通お菓子とか色々聞いたりてかも何も、うっ……」
唇を塞がれる。
濃厚なキス。
絡み合う手。抗えない身体。しゅるりと脱がされる服。
「まさか、大将……」
「せっかくのハロウィンなんだ、私達が楽しまないでどうする」
「それで、子供達をさっさと帰して……」
「さあ、続きを」
ジェーンにそっと口付けしたところで、部屋の扉が勢い良く開いた。
「さっきの悲鳴、何……って、あんた達何やってんのよ」
部屋の扉を蹴破って入ってきたのはパティ。ジェーンの悲鳴を聞いて何事かと駆け付けたのだ。
だが、目の前で起きている事と言えば……、控えめに言って“おしどり夫婦”がベッドの上でいちゃついている、それだけ。
パティは眉間に皺を寄せた。改めて問い質す。
「で、これは何の騒ぎ?」
ドミニカはそんなパティに事もなく言った。
「ハロウィンだ」
「はあ? 何そのリベリアンジョーク。笑えな〜い」
しばし唖然としていたパティだが、ベッドの上でそのまま絡み合う二人に見つめられ……
「全く……」
とパティはぶつくさ言いながら部屋から出て、扉を閉めて行ってしまった。
「ちょ、ちょっと大将……」
「何か問題でも?」
「パティさん呆れてましたよ」
「別に、構わないさ」
「そんなあ……」
「さ、続きだ」
結局、その日二人は部屋から出てこなかった。
end
--
以上です。
ちょっと時期はずれましたけど、ハロウィンネタで!
ステキな妄想を提供して下さった某氏には多大なる感謝を!
そしてもろかぶりしてしまってホント申し訳無いです……。
ではまた〜。
- 400 名前:名無しさん:2010/11/04(木) 20:07:59 ID:gQ5G1C4I
- ttp://loveeila.bob.buttobi.net/cgi-bin/file/file289.png
- 401 名前:名無しさん:2010/11/04(木) 21:49:19 ID:RoV37KoA
- 一つ質問なんですが、キャラが幼女化する話って
保管庫NO.837と892以外にありますか?
- 402 名前:mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2010/11/05(金) 00:11:42 ID:Ta6H77g6
- こんばんは、mxTTnzhmでございます。
今回はNo.0450「ring」シリーズ続編となりますのでよしなに。
ではどうぞ。
- 403 名前:saunatonttu 01/04:2010/11/05(金) 00:13:12 ID:Ta6H77g6
- 「へー、珍しいじゃないカ、大尉達がサウナに入るなんて」
申し出を受けたエイラは心底びっくりした顔をした。
「おかしいか?」
「いや、いつもは扶桑の風呂に皆してわいわい入ってるからサ〜」
「まあ、たまには異国文化を経験するのも……」
「ぶっちゃけ面白そうだからねー」
真面目そうな言い訳をするトゥルーデを遮り、にやけ顔のエーリカが言った。
「サウナはそんな面白いモンじゃないゾ。風呂よりも暑くて、入りすぎるとのぼせて死んじゃう事も有るンダゾ?」
「でもみんな気持ちよさそうに入ってるじゃん。エイラもサーにゃんも」
「それは、元々私達の国のものダシ、昔から慣れてるからナ」
「へえ、じゃあ教えてよ」
まずかけ湯で汚れを落とし、バスタオルで身体を包んだ四人は、サウナ部屋の前に立った。
トゥルーデとエーリカだけでは勝手が分からないのでエイラがお手本を見せると言う。
何故か三人に交じり、エイラにそっと寄り添うサーニャ。
エイラが先生ぶって説明する。
「入り方その一。サウナには妖精が住んでるんだゾ。だからこの妖精に悪い事をしちゃいけないンダ」
「妖精? 非科学的だな」
「ウィッチの私達が言う事じゃないよトゥルーデ」
「……まあ、それはそうかもな」
エイラが何か言う前に、あっさり問題解決してしまうカールスラントのコンビ。エーリカは続けてエイラに聞いた。
「で、決まり事とか有るの?」
「今からそれを言おうとしたんじゃないカ。サウナの妖精はトントと言って、一番最後にサウナを使うンダ。
だからサウナから出る時はきちんと綺麗にしておかないと駄目なんだゾ。そもそもサウナは神聖な場所で……」
「その妖精は見えるのか。どんな姿をしているんだ」
馬鹿真面目に質問したトゥルーデに、エイラは首を傾げた。
「私は小さい頃見た事有るけど、今は……。姿は、こう、水色の服を着て、帽子を被っテ……って説明するの面倒ダナ。
でもちゃんとスオムスから連れて来てるから安心してクレ」
「連れて来た? どうやって?」
「服のポケットに入れて」
「……タバコか何かかそれは」
「違ウ! サウナの妖精ダ!」
「まあ良いから入ろうよ」
待ちきれないエーリカはサーニャの肩をとんと押した。サーニャはごく自然にサウナの扉を開けた。
「こらーサーニャに触るナー!」
「まあいいじゃん。入ろうサーにゃん」
「え、うん……」
「おい二人共……」
「ちょ、ちょっと待てヨー」
のそのそと狭いサウナに入る四人。
- 404 名前:saunatonttu 02/04:2010/11/05(金) 00:13:40 ID:Ta6H77g6
- スオムスのサウナは色々な特色がある。特定の地域でとれた特別な石を熱し、水を掛ける事で独特の蒸気の流れが発生し、
身体を芯から温めること。そしてサウナの部屋はただ「蒸し暑い」だけでなくきちんと換気を考えているので、
汗臭くなったり蒸れたりする事なく、蒸気の流れを楽しめること。
そして、ある程度汗をかいたら休憩して身体を洗いまたサウナで身体を温めること。
つらつらとサウナの蘊蓄を説明するエイラを前に、カールスラントのコンビは次第に口数が減っていった。
「あつー」
「なんの、これしき……」
エイラはお構いなしに、石に水をじゅわっと掛ける。熱風と化した蒸気が全員を包み込む。
「エイラ、いきなり暑くし過ぎちゃダメ。二人共初めてなんだから」
汗ばむサーニャがエイラをたしなめる。
「ちぇー、分かったヨ。じゃあ、もう一つの楽しみダナ」
エイラは葉っぱのついた白樺の枝を取り出した。
「これはヴィヒタって言って白樺の若枝を束ねたものダゾ。これで身体を軽く叩くと健康に良いんダ」
ふふんと笑うエイラ。
「何故だ、私には拷問に見えるが」
顔をしかめるトゥルーデ。
「ねえトゥルーデ、大丈夫?」
「問題無い」
エーリカの問い掛けに、ぼそっと呟くトゥルーデ。全身から汗が滝の様に落ちている。
「しかし、サーにゃんとエイラはよく平気だね。慣れてるから?」
エーリカの問いに、エイラとサーニャは揃って頷いた。
「私達はせいぜいシャワー程度だけどね。501来て初めて知ったよ。扶桑の風呂に、スオムスのサウナに……」
「扶桑の風呂はナー、少佐が妙に力入れるからナ」
「そうね。坂本少佐、凄いお風呂好き……」
「多分、次に別の基地に移ってモ、絶対に豪華な風呂作るゾあの人は」
エイラはそう言って苦笑した。美緒が無駄に張り切る様子を想像し、苦笑する一同。
「そうダ、サーニャ、今度ここでさ……」
サーニャの耳元で何か囁くエイラ。聞いたサーニャは大丈夫なの? と問いながらも笑顔を見せた。
「どうした二人共。何か有ったのか?」
「いやー、ちょっとね。思い付きダヨ」
「なるほど。しかし暑いな」
「サウナだから暑いに決まってるダロー?」
「ま、まあ……、そうだな」
「トゥルーデ、たまに面白い事言うよね。天然?」
「何でそうなる?」
カールスラントコンビのやり取りで、またサウナに笑顔が広がる。
そうこうしているうちに、数分が過ぎ……。
汗がぽたり、ぽたりと落ち、木の床に染み、うっすらと消えていく。
誰もが皆、等しく汗を流し、じんわりと熱気の中に身を置く。身体から流れる汗を実感しながら。
たまに、慣れた感じでエイラがサウナストーンに軽く水を掛ける。蒸発した水分が熱気となり四人を包む。
- 405 名前:saunatonttu 03/04:2010/11/05(金) 00:14:28 ID:Ta6H77g6
- しばしの無言。
体内から水分がこれでもかと言う程に流れ出る。エイラとサーニャは慣れた様子ですましている。
一方のカールスラントコンビは、我慢比べをしているかの様に、じっと熱に耐え、水分を流している感じだ。
ちらりとエーリカの肌を見るトゥルーデ。
(流れる汗の量は同じ位か……)
変な所で分析してしまう。そして自分の身体を見る。だいぶ水分が失われている様だ。
気付くと、エーリカがトゥルーデを見て、ふふっと笑った。
汗まみれだが、その天真爛漫な笑顔を見て、何故か安堵する事に気付く。
はあ、とトゥルーデは息をついた。
「お、大尉もうギブアップか?」
「あのな、エイラ。サウナとは我慢比べの場なのか? リラックスする場じゃないのか」
「あー、まあ確かにスオムスとかサウナ自慢の国は、我慢大会やったりするけどナ」
「過激だね」
驚くエーリカ。
「踏ん張りすぎて倒れる人も居る位ダヨ。じゃあ今から何か賭けして……」
「エイラ。初めての人に我慢大会とか言っちゃダメ」
「ううっ……分かったよサーニャ」
サーニャに白樺の枝でぴしゃりと軽く肩を叩かれるエイラ。水気と汗が混じり、皮膚の触覚が刺激され、じんわりと赤くなる。
「ふむ。エイラとサーニャは、二人共、さすが肌の色が良いな。白くて美しい」
じっと観察していたトゥルーデは言った。
「な、何見てるんダ大尉」
「あの……」
「ちょっとトゥルーデ?」
恥じらうエイラとサーニャ、たしなめるエーリカ。
「いや、変な意味じゃないぞ? 何か誤解してないか?」
「大尉はナァ、たまにおかしくなるカラ」
「どう言う意味だそれは」
「まあ、とりあえず白樺の枝やってみようよトゥルーデ」
「え? ああ……」
「ほら二人モ」
「ちょっと貸して。トゥルーデ……」
エーリカはエイラから白樺の枝を借りると、ぴしゃぴしゃとトゥルーデの肩を叩いた後、こちょこちょと枝の先で脇をくすぐった。
「こ、こら……そう言う使い方じゃ……ははははは」
「トゥルーデ笑ってるー」
「くすぐられて笑わない奴がどこにいる」
「じゃあやってみてよ。力一杯は無しだからね」
「軽くだろ? そっとやるから……」
ぱしっ、ぱしっとはたかれるエーリカ。
「ちょっと痛いね」
「ああ、すまん。強過ぎたか」
「いやそんなもんダッテ。慣れると気持ち良いんダゾ」
エイラは呑気に言っている。
「しかし、この熱気は扶桑の風呂と全然違って、何と言うか……何て言えば良いんだ?」
「トゥルーデ、私に振らないでよ。……あれ、トゥルーデのぼせてる?」
「そんなんじゃ、ない」
言いながらも、くらっと来たトゥルーデは思わずエーリカの肌に手を置いた。
二人の皮膚の表面温度は高い。
「あつっ」
「熱い! トゥルーデ何するの」
「す、すまん。ちょっと……」
「バルクホルンさん、そろそろ出た方が良いかも……エイラ」
「分かっタ。そろそろ出るカ。妖精の為にも綺麗にして出るんダゾ?」
無言でふらふらと外に出るトゥルーデ、慌ててついて行くエーリカ。サーニャが出たのを確認した後、サウナの設備を点検確認し、
エイラはゆっくりサウナ部屋から出て、そっと扉を閉めた。
- 406 名前:saunatonttu 04/04:2010/11/05(金) 00:15:01 ID:Ta6H77g6
- サウナのすぐ近くにある、川べりで涼む四人。
「サウナの後は水浴びに限るんダ」
「ああ、生き返った気持ちだ」
のぼせ気味だったトゥルーデはすっかり元気を取り戻し、くつろいでいる。
「ダロ? だからサウナは良いンダヨ」
「こうやって、スオムスやオラーシャの人々はくつろいでいると言う訳か。なるほどな」
「まあこう言うのは話で聞くより実際に体験した方が早いからナー」
「確かにな」
川の向こう側では、水に足をつけて何やら話し込むサーニャとエーリカの姿があった。
「なんか、ハルトマン中尉とサーニャって仲良いんだよナ」
頬杖をついて不満そうなエイラ。
「どうした、嫉妬かエイラ?」
「そんなんジャネーヨ……」
「まあ、隊の皆で仲良く出来るならそれで良いじゃないか、こう言う時位はな」
「大尉がそんな呑気な事言うなんて、明日はネウロイが降ってくるナ」
「な、何を言う!? 私だって気持ちの切り替えくらいはだな……」
「いつも訓練だの規律だの言ってるのに、似合わないゾ大尉」
ふふんと笑うエイラ。
「……あのな、エイラ」
ずいと近寄るトゥルーデ、思わず一歩退くエイラ。
「な、なんだヨ」
「いや。有り難う。礼を言う」
「へ?」
「良い経験になったよ」
トゥルーデの礼と感想を聞いたエイラは、ははっと笑った。
「いきなり真面目な顔するから何かと思えば……」
「礼節をわきまえてこそ軍人たるもの……」
「そうだ大尉。少し身体を冷やしたら、もう一度サウナに入るのも良いんダゾ? 何回かやると……」
「いや今回は遠慮しとく」
「ソッカ」
「それに、今はお前の言う妖精とやらが入っているんじゃないのか?」
「あ、あァ……」
何か言いかけたエイラ。その時二人に届いたのは、澄んだ歌声。
儚げで、でも抱きしめたくなる様な、かわいらしい不思議なメロディ。
「サーニャか?」
エーリカの横で、歌うオラーシャの可憐な少女。
「なる程な……」
トゥルーデは足元を流れる川の水に足をぴちょんと浸し、足先で涼しさを感じ、耳で可憐な歌声を感じる。
「彼女こそ、妖精みたいだな。いや、そのものか」
ぽつりと呟いた言葉にエイラが反応した。
「大尉らしくないゾ。いつから詩人になったンダ?」
「なっ……」
「ま……私モ」
エイラは照れ隠しに、腕を後ろ手に組んで、サーニャの歌声を聴いた。
「否定はしないゾ」
夕暮れ時、橙色に周囲が染まり、四人の姿を染めていく。
歌は暫く続き、のんびりとした時間が流れる。
耳を傾ける三人は自然と目を閉じ、聴覚に意識を集中させる。
「サーニャ……」
エイラがふと漏らした小さな声。愛する者への愛情か、慈しみか。サーニャはそんなエイラを見て微笑み、歌を続ける。
トゥルーデは片目を開け、ちらりとエーリカを見る。同じ仕草をしていた彼女は、手を振って、にかっと笑った。
何故か照れてしまい、視線を逸らす。でも手だけは微かに振っている。
二組の、交錯する気持ち。ゆったりと包み込む川の流れは穏やかで、絶える事は無かった。
end
--
以上です。
もしもエイラーニャとエーゲルが一緒にサウナに入ったら……
そんなシチュエーションを想像して書いてみました。
ではまた〜。
- 407 名前:名無しさん:2010/11/05(金) 14:51:42 ID:qg7jIkYQ
- >>406
これは、いいっ!
なんともいえないほんわかな雰囲気……GJです!
- 408 名前:名無しさん:2010/11/05(金) 18:52:49 ID:7IBTFy0o
- 501神!
エーゲル神!
- 409 名前:mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2010/11/07(日) 19:36:04 ID:Zawo5C3w
- こんばんは、mxTTnzhmでございます。
今回は保管庫No.981「music hour」のシリーズです。
ではどうぞ。
- 410 名前:one more set! 01/02:2010/11/07(日) 19:36:51 ID:Zawo5C3w
- ハ〜イ今夜も「STRIKE TALKING RADIO」始まりマシタ〜。
DJ兼MC、パーソナリティのエイラ・イルマタル・ユーティライネンでス。皆聴いてるカナ?
この番組ハ、サーニャのレーダー魔導針を通しテ、全世界の悩めるウィッチに秘密のラジオとしてお伝えしているンダナ。
さてちょっと残念なお知らせがあるんダナ。今夜は事情によりサーニャの夜間哨戒任務がキャンセルされたので……
今夜はここ、基地のサウナ部屋からこっそりお送りするんだナ! 拍手ゥ!
ぱちぱちぱちぱち〜
「エイラ、サウナの暑さと熱気で、機材とかマイクとか、そのうち壊れると思う」
分かってるっテ。だから今夜は早めに終わらせようと思ってるンダ。
「いや、このサウナは狭くて暑いな、イッル」
で、お聞きの通り、何故かニパも居るンダナ。紹介はもうやり飽きたので省略するゾ。拍手も要らないカラナ。
……で、久しぶりのスオムスはどうだったんダ、ニパ?
「な、何だよそのまなざしは! イッルやめてくれないか!」
何を慌てふためてるんだニパ? ウインド大尉となに……
「何も無い! 無いったら無いんだ!」
ホントカヨ? 怪しいナ。あれニパ、首筋のところ……
「ひッッッ!? こここれは単なる傷で、その……」
怪我ならすぐに治るだろニパ? さては……
「エイラ、始めないの?」
ああゴメンナサーニャ。ちょっと気になってサー。じゃあ今日のお便りは一枚デ。
「助かった、サーニャさん」
「いえ、別に……」
ラジオネーム「姉」さん。おッ、またこの人か。
『彼女の所持品の量が凄い事になってきた。私のジークフリート線を超える勢いだ。どうしてあんなにモノだらけで、しかも片付かないんだ?』
「ああ……」
アァー……。確かに難しい問題ダナー、これハ。
「何で? 片付けりゃいいじゃん」
ニパはこの対象の人の事知らないからそう言えるんダヨ。もはやゴミ溜めダゾ、あれ……。
「なにそれ。二人共知ってるの? 誰か名前教え……いたっ、いたっ! 痛い!」
今日はMG42とフリーガーハマーが無いから白樺の枝で我慢するんだニパ。
「ちょ、ちょっと、叩き方が痛い! 痛いってば! サーニャさん目が本気……いたっ!」
サーニャがニパを黙らせてる横で、ズバリ言わせて貰うゾ。
ムリダナ。
「おいイッル、そんななげやりな答えでいいのか?」
良いンダヨ、ニパ。人には得意なモノと不得手なモノがあるダロ?
「うん、まあ……」
その人は他の分野では素晴らしい技術を持ってるけど、まあ生活態度はだらしないからナー。
『姉』さんが引き続きしっかりフォローしてやってクレー。その方が案外円満に行くと思うゾ。
「確かにそれしか言えないよね、エイラ」
「二人共、やっぱりこの人知ってて言って……あははは、今度はくすぐりかっ、地味に痛いしあはははは、いたっ!」
- 411 名前:one more set! 02/02:2010/11/07(日) 19:37:27 ID:Zawo5C3w
- さて、ニパを黙らせてる間に次のコーナー。第三回目ダゾ。「エイラのカップル占い」はい拍手ゥ〜。
ぱちぱちぱちぱち〜
ぱしっばしっばしっ「いたっ痛い!助けて!」
ちょっと叩きすぎな気もするけどニパなら大丈夫ダナ。ほっとけばすぐ回復するからナ。
カップルなら公認自認、自薦他薦を問わズ、私のタロットでズバリ占ってみせるゾ。
さて今回は「ロマーニャのクロヒョー」さんカラ、この人と「音速のリベリアン」さんのお二人について、リクエストを頂きましタ。
早速占ってみせるゾ。
……。
「どうなのエイラ?」
「どうなんだよイッル?」
……まあまあ普通、ダナ。
「普通かよ」
占いによるト、恋人よりも親子とか家族に近いって出てるナ。
「エイラ……」
まあ、二人の年齢がナア……幾ら年下の彼女って言ってもナー。
「だけどそれ言ったらイッルだってサーニャさんとはどうなのよって感じじゃないか?」
ううッ、ニパも痛い所を……
「痛いって、私は何故か痣だらけだけどな。なんでサウナで叩かれっぱなしなんだよ。見ろ、肌がみみず腫れだよ!」
「……ミミズク? 使い魔?」
「ち、違う! それ違うから! それ、ハンナの使い魔だし!」
ホウ。ニパはいつの間にウインド大尉をファーストネームで呼ぶ様に……いたたッ、何故叩く!?
「これ以上言ったらあqwせdrftgy」
ニパが暑さでおかしくなって来たゾ。
「エイラ、マイクもそろそろ限界」
分かった。最後に、「ロマーニャのクロヒョー」達二人のラッキーなキーワードは「昼寝」ダナ。
一緒にゆっくり寝てると良い事あるかも知れないゾ。
ともかく、こんな感じで占ってみるので、占って欲しい方々はどんどんドウゾ。
お待ちしてマ〜ス。
「「まだ続くの?」」
……な、何だヨ。二人して私をそんな目でミンナー!
さテ、ではそろそろお時間となりましタ、今夜はこの辺で。
最後に、「サーニャのうた」をワンフレーズだけ聴きながらお別れデス。
end
- 412 名前:名無しさん:2010/11/07(日) 19:40:40 ID:Zawo5C3w
- 以上です。
保管庫No.1436「saunatonttu」でエイラとサーニャがこっそり話していたのが
サウナの中でのラジオ(無謀だけど)、
そしてニパがうろたえるのは保管庫No.1432「old fashioned love song」の結果……
と言う事でよしなに。
ではまた〜。
- 413 名前:名無しさん:2010/11/09(火) 10:07:27 ID:TKgya7Uw
- >>395
501はほのぼの家族って感じでいいですねえ。
しかし公式の映像記録集も良い感じでぶっ飛んでて
燃料になりますな、GJでした。
>>412とかたくさん
サウナ話美味しく頂きましたGJ
多少かぶってもキニシナイ!
- 414 名前:名無しさん:2010/11/09(火) 19:56:05 ID:5Ud3fAAE
- エイラスレ転
ttp://brunhild.sakura.ne.jp/up/src/up473133.jpg
- 415 名前:5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2010/11/11(木) 00:26:46 ID:3/FYsGhA
- >>412 mxTTnzhm様
ラジオシリーズでは毎度ニパが酷い目に遭いますね。
サウナでラジオをやるという発想がとても面白かったです。
こんばんは、伯爵と先生の話が出来たので2レスほど投下していきます。
では、どうぞ
- 416 名前:Embrace 1/2:2010/11/11(木) 00:27:35 ID:3/FYsGhA
――11月11日、深夜
「ちょ、ちょっと! 下ろしてよ、ニセ伯爵!」
「う〜ん、それはできない相談だね」
足をバタつかせ、必死に抵抗しても私を抱き上げるその腕はびくともしない。
時刻は22時を少し過ぎた頃、私は今自分より一回りも大きいニセ伯爵に、抱えあげられている。
いわゆるお姫様抱っこ状態。
「ねぇ、ちょっと恥ずかしいんだけどっ……」
「恥ずかしがることなんてないよ。ボク達、恋人同士なんだから」
「い、いつから恋人同士になったのよ!」
「あれ? 違ったっけ」
伯爵が少年のような笑みを私に向けてくる。
う、ちょっと格好良いじゃない。
「さ、着いたよ」
お姫様抱っこされた私が連れてこられたのは、伯爵の部屋。
彼女は部屋の扉を開けるや否や、私をベッドに座らせ、私の唇に自分の唇を寄せてきた。
「んっ……は、伯爵……」
重なり合う唇と唇。
私の胸の鼓動が激しく脈を打つ。
なんであなた、こんなにキスが上手いのよ……
「んっ……はぁ」
数分後、私の唇はようやく伯爵から解放された。
「な、なんで……いきなり、こんな事っ」
私は胸をドキドキさせながら、伯爵の顔を覗く。
「君からこんな素敵なプレゼントを貰ったら、ボクだってその気になっちゃうよ」
頬を紅潮させた伯爵が微笑みながらそう言う。
彼女の右手の薬指には私が今日プレゼントした銀色の指輪が光っていた。
「エディータは、エッチなボクのこと嫌いかい?」
伯爵が――ヴァルディが、上目遣いで私に訊いてきた。
普段は見られない彼女の可愛らしい表情を見て、私の胸の鼓動は更に勢いを増す。
その表情、反則よ……
「……馬鹿、嫌いな相手に指輪なんてプレゼントするわけないでしょ」
「そう、良かった」
ヴァルディはほっとしたような表情を浮かべると、白魚のように綺麗な指で私の太ももをそっと撫でてくる。
「ひゃ……っ」
「綺麗だよ、エディータ」
「……その台詞、今まで何人の娘に言ってきたのかしら」
「君が初めてだよ」
ヴァルディがいつもの伯爵スマイルで悪戯っぽく笑う。
その笑顔を見てたら私も思わず吹き出してしまう。
「ふふっ、嘘ばっかり」
私は、さっきの仕返しとばかりにヴァルディの唇に口付けを落とす。
「んっ……エディータもエッチだね」
「……だって、ヴァルディが格好良かったから」
本当、いい加減でだらしがなくて、すぐ女の子を口説いたり、ハルトマンに変なこと教えたり、
おまけに出撃の度にストライカーユニットを壊すどうしようもないヤツなのに、
私のヴァルディへの想いは、日に日に強くなっていくばかりだった。
「本当、馬鹿みたい」
私はヴァルディの顔を見ながら、そっと呟く。
- 417 名前:Embrace 2/2:2010/11/11(木) 00:28:38 ID:3/FYsGhA
- 「ボクがかい?」
「ううん、あなたのことをどうしようもないくらい好きになっちゃった私が」
私は今日3度目となるキスをヴァルディと交わす。
「んっ……好きよ、ヴァルディ」
「本当にこんなボクでいいのかい?」
「……あなたじゃないと駄目」
「ありがとう。ボクも大好きだよ、エディータ」
ヴァルディはそう微笑むと、軍服のボタンを一つ一つ外し、服を脱いでいく。
「ちょ、ちょっと! 何で脱いでるの?」
「何でって、エディータを肌で感じていたいから」
服を全部脱ぎ終えたヴァルディが、今度は私のズボンに手をかけ、それを脱がし始めた。
「ば、馬鹿! なんでズボンから脱がすのよ!」
私は軍服の裾を引っ張って恥ずかしい部分を隠そうとするも、ヴァルディにあっさりと払いのけられてしまう。
「こっちのほうがいやらしい感じがするからね。いいね、その恥じらってる表情。可愛いよ」
ヴァルディはそう言うと、私のお尻をゆっくりと撫で始めた。
「ひゃぁんっ……へ、変態」
「その変態さんを好きになっちゃったのはどこの誰だったっけ?」
「そ、それは……ひゃっ」
「ははは、エディータは本当に可愛いな……上も脱がしていいかい?」
ヴァルディは、私の返答を待たずに軍服に手をかけ、それを器用に脱がしていく。
「愛してるよ、エディータ」
私はヴァルディにぎゅっと抱きしめられる。
お互い、何も身に付けてない状態で触れ合う素肌と素肌。
その感触が妙に気持ち良くて……
「……ヴァルディ、暖かい」
私はヴァルディに抱きしめられたまま、深い眠りに落ちていった……
「んっ……」
「やあ、おはようエディータ」
「お、おはよう……」
私が目を覚ますとすでにヴァルディは着替えを済ませていた。
いつもは私のほうが早起きなのに、珍しいこともあるものね。
「君の着替えはそこに畳んであるよ。早く着替えて定ちゃんの朝ごはん、食べにいこ」
「え、ええ……」
私は、ヴァルディが丁寧に畳んでくれた軍服に袖を通し、ズボンを穿いてる途中であることを思い出す。
「ねぇ、あなたに昨日プレゼントした指輪なんだけど」
「ああ、これ? 大丈夫、ちゃんとはめてるよ」
「実はそれ、ペアリングなの。その指輪、これからもずっとはめててほしいの……私もはめるから」
私はポケットの中からヴァルディとお揃いの指輪を取り出し、それを自分の薬指にはめる。
「ははは、これでボクたち、晴れて恋人同士だね」
ヴァルディが伯爵スマイルで悪戯っぽく笑いながら言う。
「……浮気しないでよね」
「しないよ。こんなに素敵な恋人がいるんだから。じゃ、食堂に行こっか」
「うん」
今日の朝食は何だろう――私はそんなことを考えながら、ヴァルディと一緒に部屋を後にした。
〜Fin〜
―――−
以上です。伯爵、誕生日おめでとう!
- 418 名前:名無しさん:2010/11/11(木) 16:30:39 ID:.uhWXdFs
- うおおお伯爵×先生キターーー!!!
萌えすぎて禿げる。
伯爵誕生日おめでとー!
- 419 名前:mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2010/11/11(木) 19:02:05 ID:HAXGMitU
- >>417 5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2様
GJ!大人な関係の伯爵と先生が素敵です!
絶妙なバランスの描写、惚れ惚れします。
こんばんは、mxTTnzhmでございます。
今日は伯爵の誕生日祝いと聞いて(ry
ではどうぞ。
- 420 名前:jelly roll 01/02:2010/11/11(木) 19:02:45 ID:HAXGMitU
- 「ねえ、知ってる?」
いつもの戦闘後。
回収班のトラックに揺られながら、クルピンスキーは疲れ切った表情のニパと直枝に声を掛けた。
「知らないし聞きたくもない」
口を揃えるニパと直枝に、クルピンスキーはにじり寄って嬉しそうに言った。
「明日はボクの誕生日なんだよ。お祝い楽しみにして……って何でボクの顔を見てくれないのかな」
「はいはいおめでとおめでと」
「祝いついでに、下原に納豆作って貰うか」
「あのねえ君達……、ボクがこの地に生まれ出たこの偉大にして神聖なる日を、一体何だと思ってるんだい?」
「非番の日」
「そう言えばそうだ。非番だな」
ニパと直枝は顔を見合わせて言った。
「いや、だからボクを楽しませてくれないかな」
「伯爵は言う事がいちいちエロく聞こえるから困るんだよ……あ、もうすぐ基地だ」
三人の会話はそこで終わった。
夕食の席でも、クルピンスキーは自分の誕生日の事を周囲に言って回った。
「はあ。中尉の誕生日ですか。おめでとうございます」
「そう、世界で一番おめでたいんだよ。だからジョゼ、ボクと一緒に……」
「ごめんなさい」
「ははは、えらく素早いストレートだなあ。じゃあ定子ちゃん、ボクに何かお祝いくれるかい?」
「この前作った納豆がそろそろ食べ頃なので、如何でしょう?」
「うっ……扶桑の腐敗した豆はちょっとね。ナオちゃんにプレゼントするよ」
珍しくたじろぐクルピンスキー。
「クルピンスキー中尉」
「はい、なんでしょう熊さん?」
「ちゃんと名前と階級を付けて呼びなさい」
「ああすいませんサーシャ大尉。で、何か?」
「明日は飛行訓練が有りますから、決して無断外出などしない様に」
「あっれぇ? 前に、外出願いの届け、出したよね?」
「却下されました」
「そんなあ。酷いな、みんなして」
クルピンスキーはすました顔で食事を取るロスマンとラルの方を見た。
二人のノーリアクションぶりに、流石の伯爵もやれやれと愚痴をこぼしながら部屋に戻った。
翌日。
司令所がにわかに慌ただしくなった。
「飛行訓練中のクルピンスキー中尉が、失踪?」
「いや、訓練エリアの先で、小型ネウロイと遭遇したらしい。迎撃に向かった現地部隊と合流した可能性も有る。現在情報収集中だ」
ラルにロスマン、サーシャが情報確認に追われる。
「オレ達は出なくて良いのか?」
突然、ひょいと顔を出した直枝。サーシャはほんの少しの微笑を送ったあと、真面目な顔を作って言った。
「ひとまず、別命あるまで待機をお願いします。ニパさんとジョゼさんにも伝えて下さい」
「了解した」
直枝は駆け出した。
「管野も、何だかんだで仲間の事は気になる様だな」
「良い傾向です」
ラルの言葉に、ロスマンは頷いた。
その日の夜遅く、現地部隊からのトラックに揺られ、クルピンスキーは502基地に戻ってきた。
微妙な千鳥足で、トラックから降りるなりクルピンスキーは機関銃の如く喋った。
「いや〜聞いてよ。飛行訓練中に遠くでキラって何か光ったから、まさか『フー・ファイター』かな〜なんて思ったら
ロスマン先生じゃなくて実は現地部隊が交戦しててさ。今日の搭乗割り思い出したらオリガちゃんとナターリアちゃんだったから、
慌てて掩護に行ってね。残りの魔力ギリギリで何とかした後、流石に502(こっち)まで帰って来るのアブナイつうか面倒だったから
向こうの基地に降りたつもりが何かとびっきりの大歓迎受けちゃって。いやーウオツカって原液で一気飲みしちゃいけなかったんだねぇー」
「……」
頭を抱えるサーシャ、もはや何も言えないロスマン。
「良いからまずはシャワーを浴びてこい。詳細な報告はその後だ」
ラルは呆れる様に、クルピンスキーに命令した。
「中尉、息が酒臭いですよ……どうするんですか」
サーシャの問いに、ラルは平然と答えた。
「ま、後で話を聞くさ」
- 421 名前:jelly roll 02/02:2010/11/11(木) 19:03:09 ID:HAXGMitU
- 執務室に通される。シャワーを浴びて頭の中もさっぱりしたのか、すました顔で入室する。
部屋にはラルとロスマンが居た。ラルの机の前に立つクルピンスキー。ラルは彼女の顔を見ながら、言葉を掛けた。
「現地部隊からの報告は既に聞いている。救援に感謝する、との事だ。それについては、よくやってくれた」
ラルが机の上で手を組み、話をする。クルピンスキーは何故かリラックスした感じで話を聞き、答えた。
「当然の事をしたまで、ですよ」
「但し。その後の、向こうの基地での乱痴気騒ぎについては……」
「それはこのわたくしめから説明を……」
「要らん」
「あ、はい」
ラルの重い一言で言葉を失う伯爵。
「何度言ったかもう忘れたが……、現地部隊との過度な接触は控える様に」
「いや、ダイレクトに接触したのはそんなに無いけど?」
「このエセ伯爵! また現地の子達にちょっかい出して!」
ロスマンがクルピンスキーの横に立ち、怒る。
「ちょっかいじゃないよ先生。これはちょっとした冒険……じゃなく部隊交流だと思って欲しいね。
部隊同士の交流ってとっても大事な事だと思うよ、502代表のボクとしては」
「勝手に502の代表を名乗らないで頂戴! 話がややこしくなるでしょう!」
「いやーでも久々にどんちゃん騒ぎ……いや、有意義なる時を過ごせたよ。お互いの情報交換も大切ですよね、隊長?」
「……」
「貴方の情報交換って、口説く為の情報ばっかりでしょ!」
「ヤケにボクの事詳しいね、先生」
「あのねえ……」
「向こうも何か凄い乗り気でさ。今日はボクの誕生日だって話したら何だかえらい盛り上がってくれてね、これがまた……」
「分かった、もう良い」
ラルは苦笑して制止した。
「余り皆を困らせるな。分かったな、クルピンスキー」
ラルの言葉を聞いて、クルピンスキーは妙にかしこまり、
「了解です」
とだけ答えた。
「さて、……お説教はここまでだ。まあ座れ。色々と遅くなったが、これはエディータと私からだ」
ラルは後ろの棚に置かれていた皿を取り、椅子に腰掛けたクルピンスキーの前に差し出した。
小ぶりの、小さなロールケーキがふたつ。
スポンジ生地に生クリーム代わりのジャムが巻かれただけの、シンプルなお菓子。もうひとつは簡素なバタークリームが詰まっている。
ラルは片方のロールケーキを指して話した。
「こっちは、部隊の皆で作ったものだ。うちは物資が乏しいのでこれがせいぜいだ、我慢しろ」
「作って貰えるだけ感謝感激。……こっちは、502の皆が?」
「まあ、皆、表立っては余り言わないだろうがな……ともかく誕生日祝いだ。おめでとう」
ラルはそう言って微笑んだ。
「これはまた、どうも有り難う」
クルピンスキーも笑顔を見せる。そっとフォークを入れ、もくもくと食べてみる。
「これは舌で味わうものじゃないね」
クルピンスキーは言った。首を傾げるラルとロスマンに、クルピンスキーはとびきりの笑顔で言った。
「心で味わい、感謝するもの。違うかな」
ロスマンは苦笑した。
「全く、どこでそんな大仰な言葉を……」
「でも、もうちょっとリキュール利いてても良いかな、なんて」
「その一言が余計よ」
ロスマンは呆れた。しかし、照れ隠しである事はラルもロスマンも周知の事だった。
お喋りしながらケーキを食べる伯爵、お茶を淹れてああだこうだ受け答えするロスマン。
ラルはひとり、窓の外から空を見た。月の輪郭がぼんやりしている。ラルはぽつりと呟いた。
「明日は……雪でも降るか?」
もし吹雪いたら訓練や搭乗割りはどうするか、と言った事も頭を過ぎったが……、
目の前で控えめに、かつ楽しくお茶とお菓子を楽しむ同郷のウィッチを見ているうちに、自然と笑みがこぼれた。
end
- 422 名前:名無しさん:2010/11/11(木) 19:03:24 ID:HAXGMitU
- 以上です。
一応保管庫No.1307「elder sister」シリーズ関連と言う事で。
さて、なんだかんだで皆から愛されてるのが伯爵だと思います。
どこか憎めないところも、いい加減なところも、
そしてきっちり決めるところも、色々な意味でステキなキャラです。
伯爵誕生日おめ!
ではまた〜。
- 423 名前:名無しさん:2010/11/12(金) 06:35:53 ID:AQYTQuuo
- 遅れましたが伯爵お誕生日おめでとうございます!
伯爵×ロスマン先生もっと流行ればいいのにな〜
- 424 名前: ◆Del8eQRZLk:2010/11/14(日) 12:41:53 ID:7jQJF0Ng
- はじめまして、ストライクウィッチーズの百合SSを書いたので投下してみます。
テキストで80K程度と長いので、下記に上げておきました。パスは「sw」です。
よろしかったら読んでみてください。
http://www1.axfc.net/uploader/Sc/so/173304
■じゃじゃ馬ならし
・管野×クルピンスキー(メインに+先生、サブに502JFWメンバーなど)
・502結成前、バルバロッサ作戦の妄想ねつ造SSです
・そのため、オリキャラやオリジナルウィッチなどもでます
・伯爵クオリティにより、途中若干寝取られ(?)的な要素があるかもしれません
(でも鬱ではない…と作者は思っています)
- 425 名前:名無しさん:2010/11/14(日) 22:21:24 ID:Vk6/OSfs
- >>424
戦闘も心理描写もおもしろかった。
ひどいたらしな伯爵だけどにくめないw
ナオちゃんかわいいしGJでした
- 426 名前:名無しさん:2010/11/14(日) 23:27:36 ID:M3hq11lo
- どうもご無沙汰しております、Hwd8/SPpです。
前々作「ヘルマの発情」前作「穴があったら入りたい」に続く作品となっています。
それを踏まえて読んで頂ければ…と思います。
【ヘルマの決断前夜】
コンコン...
「はい?」
ここはとある病院の、とある病室の前であります。
…申し遅れました、「夜の」ヘビー級マッチ連戦連敗のヘルマ・レンナルツであります!(ビシッ
ガラガラッ...
「失礼するでありま〜す」
「あ、ヘルマ!」
私の顔を見た瞬間に笑顔が溢れる、この目の前にいる人物。
この娘の名はクリスティアーネ・バルクホルン。
そう、あのバルクホルン大尉の妹さんなのです!!!!
当初、バルクホルン大尉に少しでも近づくために…と接触したのですが、お互い同世代の友人が少なかったせいかすぐに意気投合!今では「友達」になったであります!
「どうしたの?ボーっとして」
「…はっ!これ、お土産」
「わあ!何〜?開けて良い〜?」
イエスを言う前に開けるクリス…
そう、この娘は大尉と違って「おてんば」なのであります。
「わあ!ヨックモックだぁ!」
「甘いものは大丈夫…でありますか?」
「うん!むしろ好き〜!!」
「良かったでありますぅ〜」
あげたお菓子を頬張りながら談話する私とクリス。
すると、こんな話題に。
- 427 名前:名無しさん:2010/11/14(日) 23:28:10 ID:M3hq11lo
- >>426の続き
「あ、そうだ!ヘルマ、『ハンナ・ユスティーナ・マルセイユ』って知ってる?」
「あぁ…えと、アフリカで活躍してる人でありますか?」
「そう!あのさ………ヘルマの力添えで、会えない…かな?」
「…無理ですね」
「えぇ〜!」
「そもそも、私はまだそんなコネが使える身分じゃありませんっ!」
「そこをなんとか!!ゴリ押しでっ!!!」
「無理ダn…無理でありますっ」
「ヘルマのケチ〜」
少々、不貞腐れながらクリスはお菓子を頬張ったであります。
…と言うか、何袋目でありますか?!さっきまであんなに箱いっぱいお菓子があったのに…
「そもそもですね…私、そのマルセイユ大尉自体あまり…その」
「バカ!カールスラントを代表する人物だよ?!」
「いやあ、いくら同じ軍所属と言ってもまだそんな面識が………今、バカって言ったでありますか?!」
「『アフリカの星』って言われてるのにそんな事も知らないの?!」
「今私のことをバカって…っ」
「まあ実物を見た方が早いか」
「実物?そんな事より、さっき私を…」
「ジャジャーン!」
「うわあ!?」
クリスはいつの間にかベッドの下からどデカいアルバムを出したであります…
「これは…何でありますか?」
「へへ…クリス特製、マルセイユさんの写真を集めたやつ」
「うわあ…宝塚の追っかけでもあるまいし…」
「まあ良いから見てってば!」
【数分後】
なっ…なんてことでありますかっ!!!
ヘルマ・レンナルツ曹長13歳、今まで…この目は何を見て生きてきたのでありますかぁぁぁっ!!!!
「カッ…カッコ良い…」
「でしょ〜っ?!」
「この獲物を狙う鷹のような鋭い眼光、そしてナイスバティ!!ウィッチの憧れでありますね!!」
「良かった〜、わかってくれる人がいて〜」
「こんなカッコ良いお方が先輩だとは…!?」
「…あれ、ヘルマってお姉ちゃん好きなんじゃなかったっけ?」
「うはあっ!!??」
そっ…そうでありますっ!!!!
あくまでは私はゲルトルート・バルクホルン大尉が憧れのウィッチであってで………
でもハンナ・ユスティーナ・マルセイユ大尉も…っ!!
「バッ、バルクホルン大尉はバルクホルン大尉。マルセイユ大尉はマルセイユ大尉であります」
「へぇ〜」
「…何でありますか?!その疑う目は!」
「私もさ…退院出来たら、アフリカに行こうかなって」
「クリス…」
「ほら、退院したら今まで出来なかった事をたっくさんしたいんだ。第一弾として、アフリカへ行って憧れのマルセイユさんに会ってみたい!」
「………そんな事より、さっき私の事をバカって言ったでありますよね?」
***
- 428 名前:名無しさん:2010/11/14(日) 23:28:48 ID:M3hq11lo
- >>427の続き
「シュナウファー大尉!」
「ちょっ、どうしたのヘルマ?こんな時間に」
「…その前に、何してるのでありますか?」
「美容パック」
シュナウファー大尉の部屋のドアを開けたら、いきなり真っ白な顔の大尉の顔が出てきてビックリしたであります;;
「ヘルマもやる?」
「へ?」
「朝起きたら肌がツルッツルになるわよ?」
「じゃあ是非!」
大尉にパックを貼ってもらって………あれ、部屋に居る2人がパックをするって何かシュールな光景であります…。
「スケキヨさんみたいでありますね;;」
「で、どうしたの?」
「あ…そうであります!!シュナウファー大尉、アフリカの人脈にコネありません?!」
「コネ?」
「はい!マルセイユ大尉に会いたいのであります!!」
「…残念ながら、私はこの部隊にすら知り合いが少ないのよ?」
「そっ、そんなあ〜………無いんですか?同階級会とか?」
「ないわね」
「はああ…」
「どうして?」
「いやあ…その…ずっと入院してた友人が会いまして、ぜひとも会わせてやりたいんです」
「ふうん」
「なんか最近…軍に入ってから私は何をしたいんだろうって思ったんです。実験部隊に居るんで、あまり現場へ行かないでありますよね?なんか…誰のためにここに居るんだろうって。でも彼女と出会ってわかったんです!私はどんなに小さな事でも人々の笑顔を見るためにここに居るんだなって」
「………」
あれ…?
シュナウファー大尉…?
なんか俯いて、肩を震わせてるであります…
- 429 名前:名無しさん:2010/11/14(日) 23:30:36 ID:M3hq11lo
- >>428の続き
「シュナウファー大尉ぃ…??」
「…ヘルマ、ティッシュ取って」
「あ…はい」
「…っ!何、そのノンフィクション物が好きな人にとって…なんてまあ、どストライクなエピソードは!!」
「いや、だってこの話はノンフィクションであります…」
「コネはないけど…まあないっちゃあ…嘘になるわね」
「あるんでありますか?!」
「ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ中佐に、」
「あぁぁぁぁぁぁぁ…っ!!!!」
「どうしたの?耳を塞いじゃって?」
「わっ、私の前でそのお方の名前は…っ!!」
「ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ中佐」
「あぁぁぁぁぁぁぁ…っ!!!!」
「ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ中佐」
「私で遊ばないでくれますか?」
「あ、流石に3回目はないのね;;話によると、この間501にマルセイユ大尉が来たらしいんだけど」
「へっ?!」
あれっ…?おかしいであります…!
手と足の震えが…止まらないでありますっ!!!!
衛生兵を呼ぶであります!衛生兵を呼ぶであります!
そして、脳内には大音量で戦闘機の飛ぶ音と爆撃の音…そしてワーグナーの「ワルキューレの騎行」が流れるであります!!
「ヴィルケ中佐を介しての派遣だったそうなんだけど…どうしたの?ヘルマ?スゴい汗…」
「ごめんなさい、501だけは…501だけには…っ」
「あら、憧れのバルクホルン大尉がいるじゃない」
「でっ…でも…っ!!」
「ねえ…もしかして…あなたヴィルケ中佐と…?」
あれ…なんか頭の中に、こんな光景が…;;
***
少尉「そっちにどのくらい、弾がある!?」
衛兵「かなりあります!」
ダダダダ!!
ヒューン!!ヒューーーン!!
衛兵「しょっ…少尉ぃぃぃぃぃぃっ!!!!」
***
「ぐわっ!!??」
「どうしたの…?もしかして…図星ね」
***
ズドドドドドーーーン!!!!
ダダダッ!!ダダダダッ!!!!
衛兵「隊長が撃たれましたぁっ!!」
***
「ぐはっ!?」
「ねえ、何があったの?」
「…しょっ、しょうがないじゃありませんか!!あれは…あれは職権乱用であります!!パワハラであります!!」
「って事は、中佐があなたに強要してきた…って事?」
「まあ始めはその…私が…ですけど」
「えっ?!」
「だっ…だってお酒を飲んでて…であります」
「じゃあきっぱりと断れば良いじゃない!!」
「だっ…だってぇ、中佐のあの右手が…こうグイッと私の……」
「呆れた…」
「この前なんてベッドの上で仁王立ちしなさいって言われてですねえ…そして1分間立ったままだったらご褒美あげるって言われて…あへへへへ」
「…なんだ、結局中佐の虜になってるじゃない!」
「…はっ!!とっ、とにかく501には」
「ヘルマ、あなたそろそろ覚悟した方が良いわ。中佐が好きなの?あなたは」
「…中佐が…好き…?」
「好きじゃない人と普通は!そんな事しないわ、普通は。本当に嫌だったら力づくでも嫌がるわよ?」
「まっ…まさか…」
「そろそろ決断の時が来たようだわね」
私に限ってそんな事…!?
でも………本当に嫌なら断ってるであります、むしろ軍法会議にかけるであります。
何故報告しないのか?…出世が出来なくなるから?憧れのバルクホルン大尉に会えにくい空気になってしまうから?
それとも………?
ヘルマ・レンナルツ曹長13歳、ただいま重大な決断を迫られているであります…。
【つづく…?】
長文失礼しました。
レンすけ…良いキャラしてると思うんですよね(^◇^)
シリーズ化したいと思うんですが、何かシリーズ化にあたっての良いシリーズ名とかってありませんかね?!
- 430 名前:5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2010/11/16(火) 00:21:01 ID:6gtlmdlE
- >>419 mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c様
GJです。普段はいい加減なのに、決めるところはきっちり決める。
そんなところが伯爵がみんなに愛されている所以なんでしょうね、きっと。
ラル隊長とロスマン先生が良い味出してて良かったです。
>>424 ◆Del8eQRZLk様
大作GJです。戦闘シーンが丁寧に描写されていて素晴らしいです。
ナオちゃんも可愛い。
>>426 Hwd8/SPp様
GJです。顔パックをしてるヘルマとマリーを想像したらシュールすぎて噴き出してしまいました。
シリーズ名はそのまんま「ヘルマの発情」シリーズってのはダメでしょうか?
こんばんは、5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2です。
ジョゼの誕生日記念に1本書いてみました。
ラルジョゼおよび502のオールキャラ物です。
フミカネさんTwitterのイラストネタもちょこっと入ってます。ではどうぞ
- 431 名前:誕生会の後に 1/2:2010/11/16(火) 00:21:48 ID:6gtlmdlE
- 「ジョゼさん、誕生日」
『おめでとう!』
下原さんの合図でクラッカーが一斉に鳴り響き、目の前には笑顔で祝福してくれるみんなの姿。
そしてテーブルには美味しそうな料理の数々。
――私、ジョーゼット・ルマールは今日で18歳になりました。
『誕生会の後に』
≪午後21時50分、食堂≫
「た、隊長〜、離してください〜」
「まぁいいじゃないか。もう少しだけ……」
楽しかった誕生会もお開きとなり、隊のみんなが就寝前の自由時間を楽しんでいる頃、
私は食堂から一歩も動けない状態でした。
なぜかというと、酔っ払ったラル隊長が私のことを思いっきり抱きしめているから……
「あ、あの隊長……」
「う〜ん、むにゃむにゃ……」
あ、あれ? もしかして寝ちゃってますか?
この体制で寝られると私、すごく困るんですけど……
「おやおや、隊長も大胆だね」
「感心してないで、早くジョゼを助けるわよ」
「は〜い」
数分後、食堂に戻ってきたクルピンスキー中尉とロスマン先生によって、私はラル隊長から解放されました。
「あ、ありがとうございます……」
「本当に離しちゃって良かったのかい? ジョゼちゃんもまんざらでもなさそうな顔してたからボクはてっきり……痛っ、
冗談だよ先生」
「伯爵ったら、まったくもう……隊長、起きてください」
ロスマン先生がゆすっても、ラル隊長は全く起きる気配はありませんでした。
「ん〜、むにゃむにゃ……」
「起きる気配なしね」
「しょうがないね。部屋まで運んであげようよ」
クルピンスキー中尉はそう言うと、ラル隊長をお姫様抱っこで抱えあげました。
「ははは、我らが頼りになる部隊長さんもお酒が入ると一人の少女だね」
隊長の頬を突きながら、そう微笑むクルピンスキー中尉。
「ふふっ、本当ね。じゃあジョゼ、おやすみなさい」
「あっ、はい! あ、あのクルピンスキー中尉にロスマン先生、今日は本当にありがとうございました。
私、みなさんにこうやって誕生日を祝ってもらってとても嬉しかったです」
「ふふっ、どういたしまして」
「礼には及ばないよ。あ、そうだ。なんなら、今度ボクの部屋に来てよ。君をもっと喜ばせてあげられると思うけど……
痛い! だから冗談だって、先生。じゃあね、ジョゼちゃん。おやすみ」
「おやすみなさい」
カールスラントのみなさんがいなくなると、食堂は急に静かになりました。
ついさっきまで、私のことを抱きしめてた隊長がいなくなると、なんだか少し寂しい気もします。
クルピンスキー中尉の言うようにまんざらでもなかったのかな、私。
≪午後22時30分、談話室≫
「……それで、さっきまで隊長に抱きしめられてたんです」
「ええ!? そんなことがあったんですか」
隊長たちと別れた後、私は談話室で下原さんと談笑していました。
就寝前にこうやって下原さんと話すことが最近の私の日課だったりします。
「でも隊長の気持ち、分からなくもないかも」
「え? どうしてですか?」
「だって、ジョゼさんを抱きしめてると暖かくて気持ちいいから」
下原さんはそう言うと、私のことをぎゅっと抱きしめてきました。
「し、下原さん!? はうっ」
「ふふっ、ジョゼさん可愛い」
うわ、今私すごいドキドキしてる……下原さん、すごく良い匂い。
数分後、談話室にナオちゃんがやってきました。
「お〜い定子、なんかお菓子ないか……って、何やってんだよ!」
「あっ、ナオちゃん」
「『あっ』じゃない! ジョゼから離れろよ」
「あれ? ナオちゃん、もしかして嫉妬してくれてるんですか?」
「そうじゃねーよ! ジョゼだって嫌がってるだろ?」
「い、いえ。私は別に……」
「そうだ、ナオちゃんも来てくださいよ。3人で抱き合えばもっと暖かくなると思うから」
「え? い、いきなり何言ってんだよ……」
顔を赤らめながら動揺するナオちゃん。
彼女のその表情があまりにも可愛らしかったので気が付くと私と下原さんは、
「「ナオちゃん、えいっ!」」
「うわっ!」
ナオちゃんのことを思いっきり抱きしめていました。
「うっ、く、苦しい……」
「ナオちゃん、下原さん。今日は本当にありがとうございました。誕生会、とても楽しかったです」
「喜んでもらえてなによりです」
「礼なんかいらねーよ。オレ達仲間なんだから……それより、離してくれないか?」
「ふふっ、いいじゃないですか。もうちょっとだけ」
「……ちょっとだけだぞ」
――それから、しばらくの間私たちは3人で抱き合っていました。
- 432 名前:誕生会の後に 2/2:2010/11/16(火) 00:22:40 ID:6gtlmdlE
- ≪午後23時 ニパの部屋前≫
「いけない、もうこんな時間。そろそろ寝ないと」
下原さん達と別れ、自分の部屋に戻ろうとした時、ニパさんの部屋から聞き覚えのある声が聞こえてきました。
「ニ、ニパさん……本当に脱がないと駄目?」
あれ? この声ってサーシャ大尉? なんでニパさんの部屋から……
「脱がないと見えないだろ。ほら、脱がすよ」
「う、うん……」
今度は部屋の主であるニパさんの声。
え、えっと脱がすって、まさかニパさん……!
「え、えっちなことはいけないと思います!」
私は意を決してニパさんの部屋の扉を開けました。
するとそこには……
「ジョゼさん……」
「ジョ、ジョゼ!?」
部屋のベッドで仰向けになっている下着姿のサーシャ大尉と、彼女の上に跨っているニパさんの姿がありました。
しかもニパさんは、サーシャ大尉のズボンに手をかけていました。
「ニ、ニパさん……まさか」
「え、えっとジョゼ……これにはわけがあって」
咄嗟に自分のセーターでサーシャ大尉の大事な部分を隠しながら、慌てふためくニパさん。
「わけ?」
「だ、だから……さっきまでサーシャ大尉とサウナにいたんだけど、大尉がお尻が痒いって言うから私が見てみたら、
大尉のお尻に虫さされの跡があって、それで私の部屋に痒み止めがあるのを思い出して、大尉に痒み止めを塗ってあげようと
思って、そしたらそこにジョゼがやってきて、それで、それで……」
「……ニパさん、そんなに慌ててたら本当のことなのに嘘っぽく聞こえますよ」
「虫さされ?」
「は、はい……いつの間にか刺されたみたいで」
サーシャ大尉がそう言って、うつ伏せになると彼女の白いお尻に真っ赤な虫さされの跡がありました。
……どうやら私の早とちりだったみたい。
うぅ、すごく恥ずかしい。
「す、すみませんでした! 私、とんでもない勘違いを……」
「いや、分かってくれればいいんだ。それより、ジョゼの治癒魔法で大尉の虫さされ、治せないか?」
「あっ、はい! まかせてください」
私はペルシャ猫の耳を生やし、治癒魔法を発動させました。
すると、サーシャ大尉の虫さされの跡は見る見るうちに消えていきました。
「ありがとう、ジョゼさん。もう痒くないです」
「どういたしまして。それじゃ、私もう行きますね。これ以上2人の邪魔をするのも悪いですし」
「ええ!? じゃ、邪魔だなんてそんな……」
「そ、そうですよジョゼさん」
顔を赤らめながらさっきより一層慌てふためくニパさんとサーシャ大尉。
ふふっ、2人とも本当に可愛いな。
「それじゃ、おやすみなさい。今日は本当にありがとうございました。誕生会、とても楽しかったです」
私はそう言って、ニパさんの部屋を後にしました。
「あっ、ジョゼ。丁度いいところに」
「ロスマン先生にクルピンスキー中尉。どうしたんですか?」
「実は、ついさっき隊長が目覚めてね。君に会いたがっているんだ」
「え? 私にですか? 分かりました、隊長室に行ってみますね」
「隊長に食べられないよう気をつけてね〜……痛っ! だから冗談だよ、エディータ」
「……もう、ヴァルディの馬鹿」
≪午後23時15分 隊長室≫
「隊長。私です、ジョーゼットです」
そう言って部屋のドアを叩くと、隊長はすぐに私を招き入れてくれました。
「やあジョゼ。待ってたよ」
隊長はそう言うや否や、いきなり私のことを抱きしめてきました。
「た、隊長……ひゃっ」
今、私の胸の鼓動は、さっき酔っ払った隊長や、下原さんに抱きしめられたときよりも一層激しく鳴っています。
私ったら、なんでこんなにドキドキしてるんだろ。
「おっ、いい感じに暖まってるね。治癒魔法を使ったのかい?」
「は、はい……さっきサーシャ大尉に。あの、隊長」
「何だい?」
「今日は本当にありがとうございました。例年以上に賑やかな誕生会でとても楽しかったです。私、502のみんなが大好きです」
「どういたしまして。みんなもジョゼのこと大好きだよ。もちろん私も」
隊長はそう微笑むと、一層強く私のことを抱きしめてくれました。
格好良すぎますよ、隊長。
「隊長、もうちょっと私をこうやって抱きしめててくれませんか? 隊長の腕の中、すごく気持ちいいから」
「もちろん。ジョゼが望むならいくらでも抱きしめてあげるよ」
「ありがとうございます。大好きです、隊長」
――私、ジョーゼット・ルマールにとって、今日は最高の誕生日になりました。
〜Fin〜
−−−−−
以上です。ジョゼ、誕生日おめでとう!
- 433 名前:名無しさん:2010/11/16(火) 20:15:41 ID:b8ZOwhW2
- >>432
これはGJ! 素晴らしい502をありがとうございます。
しっかりフミカネ先生のアレ熊さん絵をフォローしている辺り完璧ですね!
- 434 名前:名無しさん:2010/11/17(水) 04:52:08 ID:mydKbLfM
- >>432
まさにジョゼ暖房!
ニヤニヤが止まりません。酔ってても酔ってなくても(?)積極的な隊長もいいですね。
GJ!
- 435 名前:名無しさん:2010/11/17(水) 12:53:31 ID:24o7savs
- >>432
GJ!ジョゼ誕おめでと!
隊長かっけーw伯爵と先生のやりとりも大変おいしいです(^^)www
- 436 名前:mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2010/11/18(木) 21:38:24 ID:szvgKsXM
- 職人様の皆様GJです!
やっぱりSSたくさんで賑わうと活気付きますね!
こんばんは、mxTTnzhmでございます。
今更ながら、保管庫の「シチュ題四十八手」の第23手を考えました。
色々混ざり過ぎ&適当ですいませんがどうぞ。
- 437 名前:第23手 キス・頬に 01/02:2010/11/18(木) 21:38:50 ID:szvgKsXM
- 「一番強いのを頼む」
開口一番、ドミニカは醇子に告げた。
先日の戦闘で破損したドミニカのストライカーユニット。代替品の希望を聞かれ、ドミニカが出した結論は至極単純だった。
「そ、そう言われてもねぇ……一応リベリオンの軍連絡所に問い合わせてみるわ」
醇子は少々困った顔をすると手短にメモを取り、食堂から出て行った。
「しっかしドミニカはいつもその辺テキトーよね〜。羨ましいわその性格」
フェルの冷やかしにもドミニカは何処吹く風と言った感じでガムをぷう、と膨らませ、さらっと答える。
「ロマーニャ人程じゃないさ」
「ありゃま、ドミニカって面白い事言うわね〜」
「大将、フェルさんに何て事言うですか!」
「だって事実だし」
「事実……まあ、確かに否定は出来ませんね」
ルチアナがフェルの横で残念そうな顔を作る。
「何だよそれ〜」
マルチナが少しむくれたのを見て、ジェーンは更に慌てた。
「ちょっと大将、同じ部隊なんですし、もっとこう仲良くですね……」
「仲良く、か。……ガムでもどうよ?」
ドミニカがガムを数枚勧める。
「気持ちだけ受け取っとくわ。とりあえず私達用事有るから、またね」
フェルは髪をふぁさっとかき上げると、ドミニカ達に軽く手を振り、すたすたと食堂から出て行く。
「え、用事って?」
「待ってよルチアナ〜」
どたばたと赤ズボンのロマーニャ娘三人が去り、食堂に静けさが戻る。
アンジーもパティも既に食事を終え、任務や用事で既に食堂を離れている。
残っているのは、気怠そうに椅子に座ってガムを噛むドミニカ、そして横に居るジェーンだけ。
「大将、何から言って良いのかわからないですけど」
「なら何も言うな」
「ちょっと大将!」
ジェーンは机をばーんと叩いた。味のしなくなって久しいガムを口から出し平然と紙に包むドミニカ。
「まず、竹井さんに希望はちゃんと伝えるべきですよ! 前と同じP-51Dとか、他にもストライカーユニットは色々有るじゃないですか」
ジェーンの忠告……というよりお説教をぼやーっと聞き流すドミニカは、食堂の隅に置かれたごみ箱に向けてぽいっとガムの包みを飛ばした。
見事な孤を描いて、ごみ箱にガムの包みが投げ入れられた。ドミニカはそれを見てふむ、と頷いたあとジェーンに向き直った。
「良いんじゃないか? 竹井もよくやってくれているし。良いのをくれるさ。性能が良くて飛べばそれでいい」
「そう言う単純な問題じゃないです! 何でもかんでも竹井さんに任せっきりは良くないです!」
「じゃあジェーン、頼んだ」
「ええー!?」
「何だ、嫌なのか」
「だって……色々と手続きが。それに」
「それに、何?」
一瞬言葉を躊躇い、黙り込んだジェーンの顔をじっと見るドミニカ。
やがてジェーンは堪えきれなくなったのか、口を開いた。
「た、大将と一緒に居る時間が減るじゃないですかって言わせないでくださいよはずかしい!」
顔を真っ赤にして腕をぶんぶんと振って怒るジェーン。そんな彼女を見てドミニカは、ほほう、と口の端を歪めた。
「まあ、ジェーンの頼みは断れないな。お前は私のだからな」
「えっ?」
動きが止まるジェーン。
「竹井の所に行くか」
「なんで竹井さんの所に?」
「私なりの役目を果たそうと……」
- 438 名前:第23手 キス・頬に 02/02:2010/11/18(木) 21:39:16 ID:szvgKsXM
- 「あら、二人共、呼んだかしら?」
偶然か必然か、醇子が二人の近くに来ていた。いつからここに? と言う顔をした二人に、醇子は微笑んだ。
「ちょうど通り掛かったら私の名前が聞こえたから。で、用事って?」
ドミニカは人差し指で宙に何かを描く様なジェスチャー付きで醇子に説明する。
「いや。私のストライカーの話だ。供給の問題も有るだろうから、性能と信頼性が同じ品質なら、前のと同じで構わない」
「なる程、合理的な判断ね、ドミニカさん」
「さん付けはやめてくれって」
ドミニカの言葉を聞いて、ふふっと笑う醇子。
「良いんですか大将? 他にもストライカーは……」
「今言った通りだ」
「分かったわドミニカ。後で連絡してみる。多分数日中に届くと思うから」
それじゃ、と言うと醇子は改めて退室した。
「何か呆気なく用事が済んだな」
ドミニカはやる事が無くなったといわんばかりの表情。一方のジェーンは呆れ顔だ。
「結局竹井さんに任せてるじゃないですか……」
「それぞれの役割をこなせばそれで良い。竹井は面倒な事務手続きをやってくれる。そして私は面倒な敵を倒す。お前と一緒に。それで良いじゃないか」
「ま、まあ……」
「それに……」
ドミニカはジェーンの傍らに立つと、不意に、頬にキスをした。
びっくりするジェーンの至近距離で、ドミニカは囁いた。
「今は何となくこう言う気分なんだ」
「こう言うって……」
「ジェーン、お前が言ったからだぞ」
「え、私何か言いました?」
「一緒に居る時間が云々って辺りだ」
「あ……」
思い出してまた顔が真っ赤になるジェーン。ドミニカはふっと微笑んだ。
「よし、行こうか。今日も楽しくなりそうだ」
ドミニカはジェーンを軽々とお姫様抱っこする。
「何処行くんですか大将?」
「私の部屋とお前の部屋、どっちが良い?」
「そ、それは……」
腕の中で戸惑うジェーン。お姫様抱っこに困惑しているのか、それとも部屋の選択で迷っているのか。
いずれにせよ、ドミニカはどっちでも良かった。ジェーンの可愛い姿が、己の手中にある。
昂ぶる感情を抑えきれずもう一度頬にキスすると、ひゃうっと小さな声を出したっきり答えの出せないジェーンを連れて、食堂を出た。
行き先は……。
end
--
以上です。
501メンバーはもはや定番・鉄板ですが、
504もなかなか良いと思うんですよね。
あと某ネタが紛れ込んでいるのはキニシナイ!
ではまた〜。
- 439 名前:名無しさん:2010/11/20(土) 11:17:44 ID:9zVVnEEY
- >>424
遅レスだけど読みました
伯爵×管野が一番好きなので最高に萌えました!
穏やかそうに見えて少し冷徹な雰囲気の伯爵がかなり理想的です
戦闘も格好良いのでまた読みたいです
- 440 名前:名無しさん:2010/11/20(土) 22:40:46 ID:vVHtTP1s
- どうもこんばんは、パラレルの学園設定モノの小説が書きたいHwd8/SPpでございます。
作品を投稿する前に、
>>430 5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2さま。
シリーズ名を名付けてくださってありがとうございます!「ヘルマの発情」シリーズ…この名でシリーズ展開していきたいと思います!!
本当にありがとうございます!
では投下していきたいと思います。
【ウルスラは見た!そして、見られた!】
私は部屋の自室の電気も付けづ、ただボーッとしているであります…
『ヘルマ、あなたそろそろ覚悟した方が良いわ。中佐が好きなの?あなたは』
『そろそろ決断の時が来たようだわね』
何だろうこの気持ち…胸騒ぎが止まらないであります…このまま寝るまでずっと、ドキドキしなくちゃいけないのでありますか?
「決断…でありますか」
コンコン...
闇夜の来訪者…と言ってもまだ12時前でありますね;;
誰かが部屋をノックしているであります。急いで電気を付け、ドアを開けると…
「ヘルマ・レンナルツ曹長!曹長宛てに荷物が届いております!」
「はっ!確かに受け取るであります!!」
部屋に来た通信兵に敬礼し、荷物を受け取る私。
はて、誰から…?
「アッ、アマゾン…?!」
まっ…まさかっ??!!
ビリビリビリッ!!!!
まるで何に取り憑かれたかのように、一心不乱に包装紙を破る私。
中から出てきたのは…!?
「ゲッ、ゲルトルート・バルクホルン抱き枕カバー(ゴクリ」
生唾ものです…っ!!!
何だろう、イラストを見た瞬間に体が火照ってきたであります…!!
「けっ、けしからんでありますっ!!大尉であろうべきお方にこんな恰好をさせて…っ!!」
はだけた軍服から見える双丘が…ジュルリ
「あへへへ………はっ!!??」
説明書きでは、
『イラストはすべて抱き枕用に描き下ろされており、ヒロインの魅力が満載された、ちょっとHな絵柄となっています。』
ちょっとどころじゃないであります!!これはまず製造元に苦情の電話を入れ、軍本部にも販売停止の………ん?!それを承知して、私は買ったんでありますよね?!
「落ち着けヘルマ、落ち着けヘルマ…」
まずは息を整えるであります…。
「シャワーを浴びよう!」
まずは身を清めてから!
…と言う事で全身をくまなく洗い、上がってからは手足の爪を切って…清潔な身で、そして何故か正座してバルクホルン大尉と向き合います。
「本日は…よろしくお願いします」
「ゴホン…ヘルマ曹長ではないか。今夜はよろしく頼むぞ」
似てない大尉のモノマネをして、バルクホルン大尉とベッドにin!
「バッ…バルクホルン大尉ぃ…」
「なんだ、水臭いではないか…『お姉ちゃん』と呼びなさい」
「でっ、でもぉ…」
「『お姉ちゃん』と呼ばなければ私は部屋に、戻っても良いんだぞ?」
「…おっ、お姉ちゃん…」
「ヘッ…ヘルマーーーーーッ!!!!」
「お姉ちゃーーーーーーんっ!!!!」
私の右手が下着の中へ…
「キャッ…お姉ちゃんどこ触って…」
「ヘルマもこれを期待しにここへ来たんだろう?」
「でっ、でも早すぎるよぉ…」
「私はもうヘルマに触れたくて触れたくて我慢できないんだ!」
「お姉ちゃんのエッチ…」
ベッドの上にて、ヘルマ妄想劇場が絶賛上演中!
シチュエーションとしては「密会しに来たお姉ちゃん(バルクホルン大尉)にベッドでイタズラされる私」。
欲求不満を爆発させます!
***
- 441 名前:名無しさん:2010/11/20(土) 22:41:56 ID:vVHtTP1s
- >>440の続き。
「はあはあはあ…お姉ちゃん、激しすぎるよぉ…」
これにて妄想劇場終了。
ちょっと落ち着いたら、処理をして歯を磨いて、そしてトイレへ行ってから寝るとするでありますかぁ…。
まずはパジャマを着るであります…
「あれ、パジャマどこに脱いだっけ?」
「…ベッドの下にある」
「そうでありますね………えっ??!!」
この部屋には私しか居なかった…はず!!??
でも今、ここに居るはずのない人の声が…!?
「ハハハハハルトマン中尉!?」
「打ち合わせしに来たんだけど…また明日にする」
「ちょっ…いつからいらっしゃってたんでありますか?!」
「………意味不明な事を叫ぶ辺りから」
「そっ…そんなぁ〜!!」
まさか…一部始終を見られてたでありますか?!
「あの〜ぅ…まさか、一部始終を…?」
「見てた」
「はあぁぁぁぁぁ!!!!」
「人間、誰でも欲求は溜まるもの」
「そんな事、淡々と言わないでくださいぃ…」
「大丈夫、口は堅いから」
「………」
「自分を慰めるのは当たり前」
「あぁぁぁぁぁ…っ!!」
「…バルクホルン大尉が好きなの?」
「…はい、そうであります」
いまさらここで否定してもしょうがない!
正直に話すであります…。
「でも、シュナウファー大尉はマルセイユ大尉が好きだと」
「何故それを?!あのおっぱい眼鏡大尉…!!許さんでありますっ!!!」
「…今日のこと黙っててあげる」
「はい、助かるであります(泣)」
「…でも条件がある」
「…はいぃ?」
「これ、買ってきて」
と一枚のメモを渡された私。
「…え?」
「何も言わないで。口外したらさっき自分を慰めてたのを」
「はい!喜んでぇ!!!(泣)」
***
【翌日】
私はオフであったのです…が、昨日の一件もありハルトマン中尉にある「お使い」を頼まれた私…。
休日なのになぜ軍服?という質問がありそうですが、軍服を着てとあるお店へ向かいます………。
- 442 名前:名無しさん:2010/11/20(土) 22:42:25 ID:vVHtTP1s
- >>441の続き。
帰ってきて早々、私はハルトマン中尉の研究室にお呼ばれされたであります。
「例の物…買ってきた?」
「あの…」
「…何?」
「あの、本当に…」
「何も言わないで」
「はっ…はいであります…」
スッ…と紙袋を渡すと、ものすごい勢いでそれを奪うハルトマン中尉。
「えと…あの…?」
「………」
わっ、私の事なんか一切無視でありますか??!!
「…いつまでそこに居るの?」
「えっ!?」
「お使いありがとう。これ、あげる…」
何故メントス!?
ハルトマン中尉からメントスのグレープ味をもらったであります!!
言われた通り部屋から出る私。
…でもなんか悔しいので、そっと部屋のドアを開けて見るでありますかぁ!
「………♪」
珍しく歌を口ずさみながら…そしてかつてない程の笑顔で、お人形さんの髪の手入れをしているウルスラ・ハルトマン中尉。
え…えと、若干私の思考回路が…;;
ちなみに本日買ってきたのは、「お人形ハウス」。失礼ながらハルトマン中尉には似合わなそうな、感じがしますよね…皆さん?!
人間の趣味って…つくづくわからないなあと実感した一日であります!!(ビシッ
「…ヘルマ、いつまで見てるの?」
「ギクッ!!??」
【つづく】
- 443 名前:名無しさん:2010/11/21(日) 19:00:28 ID:TI3OYXeo
- アニメ2板本スレ464から今日のレポ載ってる
貴重な情報満載なので是非ご覧あれ。
ズボンとか胸の張りとか色々。
エイラーニャとエーゲル、シャーゲルが人気らしい。凄いな。
- 444 名前:<削除>:<削除>
- <削除>
- 445 名前:5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2010/11/22(月) 01:25:39 ID:khwhw3cM
- >>436 mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c様
GJです、これはいいドミジェン。
504も502に負けず劣らず百合の宝庫ですよね。
>>440 Hwd8/SPp様
GJです、ウルスラにそんな趣味があったとは……
あと、シリーズ名を採用してくださってありがとうございました。
>>443
拝見してきました。エーゲルの人気が凄くてちょっとびっくりしてます。
「エーリカがネウロイに誘拐されてトゥルーデが助けに行く話」と、
「偽伯爵とロスマン先生がひたすらいちゃいちゃするだけの話」はぜひ公式で観てみたいですね。
こんばんは、アメリーの誕生日ということでペリーヌ×アメリーで一本書いてみました。
1レスお借りします。ではどうぞ
- 446 名前:花畑 1/1:2010/11/22(月) 01:26:31 ID:khwhw3cM
「アメリー、ちょっといいかしら」
「は、はい! なんですか?」
昼食を終え、自分の部屋に戻ろうとしたところをペリーヌさんに呼び止められました。
なんだか気難しそうな表情で私のほうを見つめています。
私、何かペリーヌさんの機嫌を損ねるようなことしちゃったかな?
「その……あなた、今日何か予定はあるかしら?」
「へ? な、何もないですけど」
「そう、良かった。ちょっとこれから付き合ってくださらない? あなたに見せたいものがあるの」
「見せたいもの……ですか?」
「ええ。ちょっと歩くことになりますけど」
ペリーヌさんのその言葉を聞いて私は、ほっと胸を撫で下ろす。
良かった、少なくともペリーヌさんは不機嫌ではないみたい。
それどころか、私を外出に誘ってくれた。
もちろん、大好きなペリーヌさんからのお誘いを断る理由などどこにもない。
「はい、どこへでもお供します! ところでペリーヌさん、なんだか顔が赤いですけど、大丈夫ですか?」
「……な、なんでもありませんわ! とにかく、行きますわよ」
「は、はいっ!」
こうしてその日の午後、私はペリーヌさんと一緒に出かけることになりました。
「さ、着きましたわよ」
「わぁ、すごく綺麗……」
基地から歩いて十数分ほど、辿り着いたその場所には、一面のお花畑が広がっていました。
私がお花畑の美しさに目を奪われていると、ペリーヌさんが後ろからそっと抱きついてきました。
「ふぇ!? ペ、ペリーヌさん!?」
ペリーヌさんにいきなり抱きしめられて、私の胸の鼓動は激しく脈を打ち始めました。
こ、困りますペリーヌさん。人の心臓が一生のうちに鼓動する回数って決まってるっていうじゃないですか。
「アメリー、誕生日おめでとう」
胸の鼓動が鳴りやまない私に、耳元でそう囁くペリーヌさん。
「え? ペリーヌさん、私の誕生日、覚えててくれたんですか?」
「私が僚機の誕生日を忘れるわけないでしょう? 特に、あなたは私にとって大切な存在なんだから」
『大切な存在』――ペリーヌさんが私のことをそう言ってくれたのが嬉しくて、気が付けば私は涙を流していた。
「ペリーヌさん、あ、ありがとうございますっ……ぐすっ」
「もう、すぐ泣かないの。ほら、これで涙を拭きなさい。せっかくの可愛い顔が台無しですわよ?」
ペリーヌさんはそう言って、私にハンカチを差し出してくれました。
「は、はいっ、ありがとうございます」
私はそのハンカチを受け取って、涙を拭きとりました。
「ねぇアメリー。ちょっと目を瞑っててくださらない?」
涙を拭きとり終わった私に、ペリーヌさんがそう言いました。
「え? は、はい……」
私はペリーヌさんの言う通りに目を瞑りました。
その直後、私の唇に柔らかいものが触れました。
……こ、これってもしかしてペリーヌさんの唇!?
「ペ、ペリーヌさん!?」
落ち着いていた私の胸の鼓動が、再び激しく脈を打ち始めました。
ペリーヌさんが私にキ、キスを……!
「ふふっ、アメリーの唇ってすごく柔らかいのね」
そう言って悪戯っぽく笑うペリーヌさん。
「もう、ペリーヌさんばっかりずるいです……んっ」
今度は私がペリーヌさんの唇に口付けを落としました。
ふふっ、顔を赤らめてるペリーヌさん、すごく可愛いです。
「ペリーヌさん、顔真っ赤ですよ」
「……あなただって」
「ふふっ、おんなじですね、私たち」
「ええ、おんなじね、私たち」
お互いに顔を真っ赤にした私たちは、なんだか可笑しくなってしばらくの間笑いあいました。
「はい、これでいいかしら?」
「わぁ、ありがとうございます」
数分後、ペリーヌさんがお花畑の花で作った花飾りを私の首にかけてくれました。
この花飾り、ペリーヌさんのように暖かいです。
「ペリーヌさん、今日は本当にありがとうございました。私、大好きなペリーヌさんに誕生日を祝ってもらって、
とても嬉しかったです……ぐすっ」
「もう、何度も泣かないの。誕生日なら来年も再来年もその先もずっと祝ってあげるから」
「え? ペリーヌさん、私とずっと一緒にいてくれるんですか?」
「当然でしょう? その代わり、あなたも私の誕生日をこれから先、ずっと祝ってくれる?」
「はい、もちろんです! ペリーヌさん、大好きです」
「私も大好きよ、アメリー。じゃ、帰りましょう」
「はいっ!」
私は笑顔でそう応え、ペリーヌさんと一緒に、夕日が染めるお花畑を後にしました。
〜Fin〜
−−−−−
以上です。アメリー、誕生日おめでとう!
- 447 名前:管理人 ◆h6U6vDPq/A:2010/11/22(月) 01:39:37 ID:gSDUXmjI
- 皆様乙です
500KBに達しましたので次スレを立てました
ストライクウィッチーズでレズ百合萌え 避難所7
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12483/1290357324/
501 KB
全部
最新50