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ストライクウィッチーズでレズ百合萌え 避難所7

1 名前:管理人 ◆h6U6vDPq/A:2010/11/22(月) 01:35:24 ID:gSDUXmjI
ここはストライクウィッチーズ百合スレ避難所本スレです。

●前スレ
ストライクウィッチーズでレズ百合萌え 避難所6
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12483/1279636474/

●Janeで避難所を見る場合
・板一覧を右クリックして「新規カテゴリを追加」をクリック(板一覧が無い場合は「表示」→「板ツリー」→「板全体」で表示できる)
・カテゴリ名を入力してOKをクリックする(例:「したらば」)
・作成したカテゴリにカーソルを合わせて右クリックし、「ここに板を追加」をクリック
・板名を入力してOKをクリックする(例:「百合避難所」)
・URLに「http://jbbs.livedoor.jp/otaku/12483/」を入力してOKをクリックする。

2 名前:管理人 ◆h6U6vDPq/A:2010/11/22(月) 01:36:54 ID:gSDUXmjI
規制について
★改行規制
避難所スレについて、投稿本文の文字制限は4096byte(全て全角文字の場合は2048文字)、
投稿本文の最大行数は100です。

★連投規制
今のところありません。

★スレの容量
管理人が500KB超えに気付いた時点でスレストを掛けます。

3 名前:名無しさん:2010/11/22(月) 04:54:32 ID:FdT0I9Ug
>>1
乙です。

4 名前:名無しさん:2010/11/22(月) 10:58:16 ID:TelSK.Ao
>>1
乙ナンダナ。

前スレ>>446
GJ!これは良いアメリーヌ。毎回乙!

講演会のレポート見たけど、これは映画に期待せざるを得ない。
何になるかは分からないけど。

5 名前:mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2010/11/22(月) 22:10:47 ID:Qi2rflrM
前スレ>>442 Hwd8/SPp様
GJ! ヘルマが毎回ハイテンションですね。
続き待ってます。

前スレ>>446 5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2様
埋め乙&GJ! 素敵なアメリーヌを有り難う御座います。
いい娘なアメリー&ちょっと大人?なペリーヌがとても良いですね。


こんばんは、mxTTnzhmでございます。
新スレ祝いに一本書いてみました。
今回は保管庫No.981「music hour」のシリーズです。
ではどうぞ。

6 名前:wanna be strong 01/02:2010/11/22(月) 22:11:48 ID:Qi2rflrM
ハ〜イ今夜も「STRIKE TALKING RADIO」始まりマシタ〜。
DJ兼MC、パーソナリティのエイラ・イルマタル・ユーティライネンでス。皆聴いてるカナ?
この番組ハ、サーニャのレーダー魔導針を通しテ、全世界の悩めるウィッチに秘密のラジオとしてお伝えしているンダナ。
夜間哨戒のついでじゃないカラナ? さて今夜は……何とニパが居ないンダナ。珍しい事も有るもんだナ。
だからサーニャと久しぶりに二人っきりダー! ヤッター! イヤッホオオオ!!

「エイラ、はしゃぎ過ぎ」

ご、ゴメン、サーニャ。つい興奮し過ぎて叫んダ。

「エイラの、ばか……」

ご、ごめんナ、サーニャ。嬉しくテ。

「私も……たまには」

サーニャ……。

「ねえエイラ、始めないと。ラジオ」

そ、そうダナ。さて、今夜もサーニャと二人で、久しぶりにまったり進行ダゾ。
早速お便り来てるンダナ。まず一人目は502JFWの「ついてないひと」
……。

「……」

と、とりあえず、読むゾ。
『イッル聞いてくれよ! ただ命令に従っただけなのに、何で理不尽な仕打ちをされないといけないんだよ!?
だいたい大尉はおかしいって言うかここの奴等みんなおかしいんだ! 何で私がこんな目にっ!!!! うわあやめr』

「……ニパさんに何があったんだろうね、エイラ?」

私も全然状況が分からないゾ。
まあ、とりあえず言っておこウ。

どーにもならン。

「エイラ、物凄い投げっぱなし」

だって、この文面だけじゃ何が起きたのかさっぱり分からないから答えようが無いヨ。
まあ、近々こっちに来るだろうからその時詳しく聞けばいいサ。

「エイラ、いつになくなげやり」

大丈夫、ニパだからナ。

「エイラって、ニパさんの事を信頼してるのかそうでないのか、たまに分からなくなる……」

な、何だヨ。
意味深な目つきは止めてくれヨ、サーニャ……。

7 名前:wanna be strong 02/02:2010/11/22(月) 22:14:23 ID:Qi2rflrM
さて、お便り二人目。
匿名希望のウィッチさん(小隊長役)って書いてあるナ。
じゃあ匿名さんって事で読むゾ。
『私は某部隊で小隊の戦闘指揮を任されています。日々の訓練、そして実戦と頑張っていますが、
いつも部隊の隊長から「戦術をもっと柔軟に考えろ」と言われました。
勿論私なりに真剣に考えていますが、「お前の戦術はセオリーすぎるから敵に裏をかかれる。
あとお前の緊張っぷりが僚機にまで伝わるから困る」とまで言われました。
戦術の事で頭がいっぱいで、しかも緊張感を出さない様に考え過ぎて、なんか吐きそうです。
緊張感を表に出さないようにする方法を、エイラさん、是非教えて下さい。
どうしたら良いですか?』

さて匿名希望さん、ズバリ言うゾ。
まず戦術はあくまで基本、あとはその場の柔軟な判断が大事ダゾ。

「エイラ、珍しく真面目な答え」

珍しいって、酷いじゃないカー。私はいつだって真面目ダゾ。

「でもあんまり具体的じゃないけど……」

うーん。「柔軟」ってひとくちに言っても、本当にその場その場で判断が分かれるカラ、
こればっかりは実戦を積んで経験していくしか無いヨ。

「……それでエイラ、もうひとつの質問は?」

あ、ああ。緊張を表に出さない方法ってヤツか。
ズバリ、言わせて貰うゾ。

目線を無闇にキョロキョロさせない! これダナ。

「エイラ、索敵の時は絶えず色々な方向を向いてないと……」

うーん。サーニャ、それとはまた違うんだナ。
確かに全方向への見張りはとっても大事だけド、緊張から来る目の動きっテ、それとは違うと思わないカ?
例えば目が泳いだりしてないカナ? 他にも肩肘張り過ぎてないカナ? そう言う事ダヨ。

「目が、泳ぐ……」

そうそう。だからじっと見据える位の、どんと構えてた方が僚機は安心するもんダゾ。
勿論見張りや索敵は大事だから周囲をくまなく見張るのは大事だけど、緊張し過ぎは良くないゾ。

「エイラ。珍しく真面目ね」

酷いなサーニャ。私はいつだって真面目にやってるゾ?

「じゃあエイラ、ひとつ聞いて良い?」

うん、何?

「エイラって何でニパさんと居るとテンション上がるの?」

……。

「目そむけないでエイラ。今のエイラ、目が泳ぐどころじゃないと思うけど」

ちっ、違うんだサーニャ! 誤解ダ! これには訳ガ……

「詳しく聞かせて欲しいな」

わ分かった、すぐ帰って話をシヨウ! じっくりと二人っきりデ!

さテ、では用事を思い付いたので今夜はこの辺で。
最後に、「サーニャのうた」を聴きながらお別れデス。
……占いコーナー? 今回はパスっ! 次回に乞うご期待ッ!

「エイラ、それどころじゃないって顔してる」

さ、サーニャぁ……。

end

8 名前:名無しさん:2010/11/22(月) 22:16:59 ID:Qi2rflrM
以上です。
ラジオシリーズ! と言う事で一本。

ちなみにニパさんが502で大変な目に遭っていると言う事(元ネタ)については
http://twitter.com/#!/shin_kyogoku/status/4963793104797696
http://twitter.com/#!/shin_kyogoku/status/5324888952807424
http://twitter.com/#!/shin_kyogoku/status/6395631488729088
この辺りをご参照下さい。ニパさんモテモテですね!
京極先生の素敵なニヤニヤを(勝手に)拝借しました。お詫びと御礼を……。

ではまた〜。

9 名前:名無しさん:2010/11/24(水) 16:58:08 ID:Oe6VMCOU
>>8
GJ!このシリーズ毎回楽しみにしてます〜!
ほんとニパがモテすぎだな(笑)

10 名前:名無しさん:2010/11/24(水) 17:04:54 ID:PPhDXDx.
ニパはエーリカ並に全方位愛されガールだからな

11 名前:名無しさん:2010/11/24(水) 22:00:12 ID:ZiTMSBFA
501が大好きだー!

12 名前:名無しさん:2010/11/28(日) 01:08:40 ID:dOj2R9PI
映画化も決まり、最近またこのSSまとめサイトやがSSスレが賑やかになってくれて嬉しいかぎりです(^^)

13 名前:名無しさん:2010/11/28(日) 07:08:59 ID:reSvAyz.
(記録集3巻を見て)ふぅん、マリアのフルネームってマリア・ピア・ディ・ロマーニャなのか
 ↓
Σ(゚∀゚) 第5話「私のロマーニャ」
 ↓
つまり私のロマーニャとは「マリアは私のもんだかんね!」というルッキーニの言明だったんだよ!!!!(AA略)

14 名前:名無しさん:2010/11/28(日) 10:20:18 ID:JvcJreL6
>>13
ΩΩΩ(・)(・)<ナンダッテー

15 名前:名無しさん:2010/11/28(日) 13:12:31 ID:g/DZWw5U
>>13
ΩΩΩ<な、なんだってー!
新説現るw

ブックレットの503も早くビジュアル化してくれないかなー
熱い戦いじゃないか503は!
フミカネ先生マダー?

16 名前:名無しさん:2010/11/28(日) 22:05:39 ID:AM28S3Yw
>>13
 !! 王女と兵士という、全く新しいストライク百合誕生の瞬間!
あのイケメンルッキであれば、マリアが恋におちてもおかしくないですね。

17 名前:名無しさん:2010/11/28(日) 23:28:58 ID:qI1g.sLc
こんばんは、Hwd8/SPpです。
良いですねえ、「私の」ロマーニャ!
どう話にマリアを出すのか難しいかもしれませんが、もし成功したら…面白いかもですね!

いつもの「ヘルマの発情」シリーズを投下したいと思います。


【ヘルマの失態】

私は…もちろん!お酒はまだ飲めない年齢であります!士官学校でも、決して飲める年齢になっても溺れるな!と念入りに言われたであります。
今回のお話は、その「お酒」にまつわる話であります………って!?何でストーリーテラー気取りをしてるでありますか??!!

***

チュンチュン...

さわやかな朝がやってきたであります!…が、私が目を覚ますと何故か頭がズキズキしていたであります。

「んっ…」

ものすご〜く頭が痛いであります…なんかこう…ガンガンと…するような?

「…あれっ」

な〜んか…何か違和感を感じる私!?
落ち着けヘルマ・レンナルツ!!こう見えても若干13歳ながら、空軍でも中高位のベテランエースが顔を揃える第131先行実験隊に異例の抜擢を受けたんであります!!!
…あれ、服は?一応、下着類は着けてるけれど…。
でっ、でも…デジャヴュが………。

恐る恐る、隣にある物体に手をかけたであります…

「あ、あの〜ぅ…」
「んんっ………今、何時?」

はあああああああ…っ...
また…またやってしまったでありますか??!!
ヴィルケ中佐だけでなく、今度はシュナウファー大尉と!?
…落ち着けヘルマ・レンナルツ、こう見えても若干13歳ながら、空軍でも(ry

シュナウファー大尉が寝返りを打つと…擬音にすると「ぷる〜ん」と胸を揺らしながらこっちを向いてきたであります。

「………(ゴクリ」
「…どこ見てるの?」
「いっ、いえ私はそんなっ!!」
「ヘルマって…ヴィルケ中佐と一夜を共にしたんでしょ?」
「ななななっ!!??」
「どうにかならないのかなあ…」
「へっ???」
「寝言。寝言よ!何で食堂のメニューを全て暗記してるの、そしてそれを寝てる時に言うの?!」
「あの…まったく記憶にございません;;;」
「極めつけは『代打、ガルべス』…なんで野球選手よ?!はあ…あとそれに」
「そもそも、何故に私はここに…?」

すると大尉は無言でテーブルを指差したであります…

「そっからは本題よ」
「あ〜…そうでありましたね…」

テーブルの上には開けたワインの瓶3本と、食べかけのチーズとソーセージ。
あ、言っておくでありますがもちろん私は未成年なので断ったでありますよ?!
でも、此処は軍。必要以上に上官命令を断ると私の昇進が…。

「…そもそもヴィルケ中佐と肉体関係がある時点で昇進はないわね」
「なぜ心の声を?!」

一応、私もジェットストライカーのお陰ではありますが大型ネウロイの撃墜数が多い事から新世代のエース候補と期待されてるですよ?

「でも、ヴィルケ中佐と肉体関係…」
「だからなぜ心の声が!?」

同じ過ちを2回を犯すだなんて…はああああ…

「ヘルマ…大変だったんだからね」
「へっ?!何がですか??!!」
「ベッドの上で暴れて暴れて…」
「………」
「私、今夜の哨戒行けるかなあ…」
「あの…全く記憶にないんで、話して頂けますか…?」

18 名前:名無しさん:2010/11/28(日) 23:29:38 ID:qI1g.sLc
>>17の続き。

***

昨日の話。

「一杯…どう?」

大尉は自慢げにワインボトルとグラスを私に見せてきたであります

「わっ、私はまだ未成年であります!!カールスラント軍人は規律に則るべきだと思います!」
「そんな堅い事言わないでさ…私のお酒に付き合ってよ?」
「あのですね、1に規律2に規律、3に規律で…」
「あ、この前言ってたマルセイユ大尉の話…ちょっとしたコネが出来たんだけど」
「本当でありますか??!!」
「もしかしたら会えるかもよ〜」
「ぜひお願いします!!!」
「じゃっ」

…ボトルを私に渡す大尉。
これって………

「あ、強要じゃないわよ?あくまでも自分の意思で注いで、自分の意思で飲むんだもんね?」
「…これってパワハラ!?」
「こんなやらしい事言いたかないけど…私って、この軍で結構重要なポジションに就いてるのわかるわよねえ?撃墜数ベースによる四強って言われてるほどの」
「これって職権乱用じゃないですかぁ!!」
「別に嫌だったら飲まなくても良いわよ?でも…明日から肩身の狭い思いをすると思うわよ〜」
「ううっ…ズルいであります…」

この方には逆らえない!と思い、グラスにワインを注ぐ自分…。
それにしてもこのワイン、綺麗であります…!

「綺麗な白ワイン…」
「でしょ?撃墜数がどうとかで、お偉いさんからもらったの。結構高いらしいわよ」

ここはポジティブシンキン!!
いつもは孤独で戦ってる大尉、でも私を巻き込んで飲むだなんて何かあるハズ!!

カチャン...

「乾杯」
「乾杯…であります」

ワインをチビチビと喉に通すであります…

「…ヴェーダディコレー」
「何、そのどっかで聞いたことのあるようなフレーズ;;」
「にっ、苦いであります〜!!ゴホッ」
「あらら…そんな?このワイン…甘くて有名なんだけど」
「やっぱり私にワインは…」
「じゃあこうしたらどう?」

…と何処からかオレンジジュースの入った瓶を持ってくる大尉。

「ワインをね…オレンジジュースで割るの」

あっと言う間に白ワインの色は消え、オレンジ一色に。

「さ、飲んでみて」

ゴクッゴクッ...

「…あ、これは!!」

美味しい!美味しいであります、さっきと違って飲みやすいでありますね!
色はオレンジ一色でありますが、白ブドウとオレンジの香りが…!

「美味しい…であります」
「でしょう?これはサングリアって言うの」
「サンガリア?あのラムネとか作ってる…」
「サングリア!ヒスパニアの方の飲み方なの」

19 名前:名無しさん:2010/11/28(日) 23:30:16 ID:qI1g.sLc
>>18の続き。








飲みやすさが手伝い、いつの間にか私は何杯も…

「大尉!もう一杯!!」
「ヘルマ…飲み過ぎよ、それにあなた午前中に実験があるんでしょう?」
「へへへ〜…そんなの知りませ〜んであります!」
「もうやめなさいって」
「大尉の好きな体位はなんですかぁ〜?ふへへへ」
「ダメだ、完全に酔ってる…;;もう良い加減、自分の部屋に帰りなさい!」
「…大尉、そこに正座!」
「………はぁ??!!」
「私はですねえ…ひっく、カールスラントのクマさんになるであります!」
「カールスラントのクマさん?」
「502部隊のアレクサンドラ大尉ですぅ!そんな事も知らないのでありますか、このおっぱい眼鏡!」
「おっ、おっぱい眼鏡…?」
「私だって…エースになりたいであります…ひっく」
「はあ?」
「いつか…いつかハルトマン中尉の記録を破って、いつかバルクホルン大尉と肩を並べる…いや、認められるエースになりたいんです…」
「はあ…」
「そのためには…撃墜数を稼いで、そしてどっかの中隊の隊長になってですねえ………」
「…で?」
「………すーすー」
「寝ちゃった…」

そのまま寝てしまったそうです、私;;
運んで行くわけにもいかないから、大尉がそのままご自分のベッドに寝かせてくれたそうなのですが…

「………気持ち悪い」
「わっ!ビックリしたぁ!…え、なんだって??」
「気持ち悪い…であります…」
「ちょっと…!!」

一応、本能かとっさにベッドから降りたらしい私。
急いで部屋の扉を開け、廊下まで行って………

「おぇぇぇぇぇぇ…」
「…やっちゃったか」
「大尉ぃ…おえっ…助けてくださいぃ…」

***

チュンチュン...

「…って事があったのよ」
「もう廊下は…悲惨だったわね…匂いとか。思わずもらいそうになったし…」
「すみません…と言う事は清掃等は…?」
「もちろん私がやったわよ!!!!」
「ごっ、ごめんなさいであります…」
「まあ廊下は大丈夫だったんだけど、服が…ね?」
「服に全てを…」
「………」
「服に全てを…?」
「察しなさいよ!!」
「はいぃ!!」

かろうじて「朝チュン」では無かったものの、それよりもタチの悪い………はああ。
軍服をクリーニングに出す必要上、飲酒は大尉の手で揉み消してもらって一応、食あたりで気分が悪くなった…という表向きの理由にしてもらったであります。
この日の実験の前にウルスラ・ハルトマン中尉からラッパのマークのお薬をもらったりしたであります…。もっと言えば、私の体調を考慮してこの日の実験は中止。

この日。自室にて使い魔の黒猫を抱きながら反省をする一日を送っていたであります…。

「色んな人に迷惑かけちゃったでありますねえ…」

どうやってお詫びするでありますか…?
とりあえず今度休暇を取って、百貨店へ行って迷惑をかけた関係各所へ商品券を買いに求めるでありますか。
大尉には新しいワインを………あれっ?

「大尉って15歳じゃあ…?」

ちなみにカールスラントは16歳以上から飲酒OK。
大尉は…ギリギリアウトでありますねっ;;



お酒は楽しく適量を、そして飲酒可能な年齢になってから!
ヘルマ・レンナルツからのお願いでであります!

【つづく】

20 名前:名無しさん:2010/11/29(月) 01:53:22 ID:WeLOHTJM
ペリーヌとエイラの秘め声いいなぁ
仲いい感じが

21 名前:名無しさん:2010/11/30(火) 00:27:00 ID:FTdECyhE
>>20
やっぱ501って何だかんだで皆仲良いのね。
シャーゲルと言い、聴いて初めて分かる部分が有る。

22 名前:名無しさん:2010/12/01(水) 19:28:19 ID:pXAlPYPM
ヘルマの発情シリーズは、なんといってもハデマリーたちが楽しそうにしているとこが好きです
肝心のお姉ちゃんが誰のことが一番好きか気になる

23 名前:mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2010/12/01(水) 22:42:47 ID:ky.zo9OM
>>19 Hwd8/SPp様
GJです。ヘルマが常にハイテンションで良いですね。


こんばんは、mxTTnzhmでございます。
ちょっと思い付いたネタを短めに。
保管庫No.0450「ring」シリーズ続編と言う事でよしなに。
ではどうぞ。

24 名前:normal breakfast 01/02:2010/12/01(水) 22:43:29 ID:ky.zo9OM
 朝の501。珍しく皆が揃って食事を取る。所々で雑談やたわいもないお喋りが繰り広げられる中、
一緒に座って黙々と朝食を食べていたエーリカが不意に呟いた。
「ねえトゥルーデ」
「どうしたエーリカ」
 トゥルーデは黒パンをかじり、よく噛んで飲み込むと、ちらりと声の主を見る。
「何で私達って一緒に居るんだろうね」
 そう言って気怠そうにシチューを一口食べるエーリカ。
「いきなり何を言い出すかと思えば……」
「トゥルーデは分かる?」
「分かるかと聞かれてもな。まずは、職務上一緒に居た方が都合が良いから」
 言い終わると、小皿のサラダを一気に食べ尽くすトゥルーデ。エーリカもちまちまと野菜をつつく。
「今日は私達、非番だけどね」
「うーん。あとは、訓練に、食事に、風呂に。寝た後は朝お前を起こし……待てよエーリカ」
 何かに気付いたのか、トゥルーデは手にしたスプーンの動きを止めた。
「どしたの?」
「思い返すに、エーリカ、お前の世話ばかりしている気がするんだが」
「んー、気のせい気のせい」
 わざとらしく首を振って、黒パンをちぎって食べるエーリカ。ぽろぽろとパン屑がこぼれ、トゥルーデがナプキンでそっと拭く。
「何だかんだであれこれ世話を……と言うより介護っぽくないか?」
「私、別におばあちゃんじゃないよ」
 平然と返され、言葉を失う。ゆっくりとナプキンを畳んでテーブルの隅に置く。
 しばしの沈黙。
 二人同時にシチューを一口食べたところで、トゥルーデが呟いた。
「……何だか納得がいかない」
「そう? 気にしちゃダメだって」
「いや、ここはきちんと朝から順序立てて考えてみようじゃないか」
「トゥルーデ、探偵じゃあるまいし……」
「まず、朝はエーリカを起こす事から始まって……」
「はいストップ」
 いきなり唇を人差し指で押さえられ、どきっとするトゥルーデ。
「な、なんで止める」
「だから。考えてもしょうがないじゃん」
 ふふ、と笑うエーリカ。
「さては、何か自分に不利な事でも有りそうな言い草だな、エーリカ」
「そーかな? 例えばトゥルーデ、私がいつまで経っても起きない時『じゃあチューしたら起きる』って私が言うと……」
「うわあ! 分かったもう言うな!」
 がたん、と思わず席を立つトゥルーデ。
 一瞬、隊員全員の視線を浴び、ごくりと唾を飲み、椅子に座り直す。
「トゥルーデ、顔真っ赤」
「うっうるさい! 何で私が……」
「理由知りたいの? 好きだから、じゃないの?」
「何? 誰が、誰を」
「トゥルーデが私を。そして、私がトゥルーデを。それでいいんじゃない?」
 エーリカはそう言って残った黒パンを食べ、シチューを一口すくった。
「う、うん……まあ。確かにそれは……」
「素直じゃないなあ、トゥルーデ。あんまし素直じゃないと、みんなの前で『お姉ちゃん』とか呼んじゃうよ?」
「それこそ止めろ! 誤解されるだろ」
「今更誤解も何も無いと思うけどね」
「……とりあえず、早く食べないと」
 トゥルーデは最後の一口を口に持って行く。それをぱくりと食べたのはエーリカ。
「あっ、私のとっておきが」
「ごちそーさま、トゥルーデ」
「おい」
 もぐもぐしてごくりと飲み込んだエーリカは、笑顔で言った。
「じゃあお裾分け」
 そう言って、スプーンを持ったままのトゥルーデと唇を重ねる。
 ほんのり、シチューの味が口に残った者同士が交わすキス。
 最初に唇が触れあうインパクト、そして後からじわりと味覚を感じる。絶えず変化する五感に、一瞬酔いしれるトゥルーデとエーリカ。
 そっとトゥルーデから顔を離すエーリカ。ふふっと笑う。
「トゥルーデ、スキだらけだよ」
「なっ……」
「だからかな」
 エーリカはそう言うといつの間に食べ終えたのか、空の食器を持って席を立った。トゥルーデも食器を片付け、慌てて席を立つ。
「だから、ってどう言う事だ?」
「私がトゥルーデを好きな理由」
「何だか話がループしている様な……」
「トゥルーデ、今度は哲学者モード? 難しい事は考えずに、さ、行こうよ」
「あ、ああ……」
 エーリカに腕を引っ張られる。食器を厨房に置くと、二人は腕を組んで食堂から去っていった。

25 名前:normal breakfast 02/02:2010/12/01(水) 22:43:57 ID:ky.zo9OM
「あのさあ、少佐」
「どうしたシャーリー」
「良いんですかね、あの二人」
 カールスラントのバカップルとその所業を横目で見ていたシャーリー。呆れ顔で美緒に問う。
 何故か他の隊員達は「私は何も見ていない」と言ったオーラを出している。
「……良いんじゃないか。二人はエースとしてよくやっているからな」
「はあ」
 控えめな答えの美緒、何となく納得いかないシャーリー。
「そうそうシャーリー、細かいこと気にしちゃダメ!」
 膝の上でころころと笑うルッキーニを見る。
「まあ……いいか」
 人のことは言えないかも、とシャーリーは呟き、ルッキーニの頭を撫でた。

 厨房では、そんな食堂の様子を、ひそひそと話し合うリーネと芳佳の姿が。
 二人の頬が紅く染まっていた。

 501の朝は、こうして気怠く過ぎて行く。

end

--

以上です。
のんびり朝食、と言うシチュエーションを考えていたら
こんな感じになりました。
何か前のと似た感じになってしまいましたが……。

ではまた〜。

26 名前:名無しさん:2010/12/01(水) 23:10:17 ID:uLZVNGJQ
うおおお、1ヶ月ぶりのエーゲルだー!
GJです

27 名前:mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2010/12/02(木) 20:59:56 ID:7vjanvVA
こんばんは、mxTTnzhmでございます。
またも、思い付いたネタを短めに。
ではどうぞ。

28 名前:normal breakfast II:2010/12/02(木) 21:00:53 ID:7vjanvVA
 その日の504の食堂はのんびりとしていた。
 隊員達はだらだらと席に着き、食事当番は少ない補給から得た食料を何とかやりくりして調理し、皆に行き渡らせる。
 ジェーンは皿とスプーンを二つ持って、ドミニカの前に座った。
「はい大将、今日の朝ご飯はリゾットですよ」
「食べられれば何でも良い」
「そんな事言わないでくださいよ。ちゃんと食べないと元気出ませんよ」
「リゾット、か……」
 504が陣取るロマーニャは土地柄、魚介類が豊富に獲れる。今朝のリゾットも海鮮風味。
 湯気と共にほのかに漂う潮の香りが、ロマーニャと扶桑、ヒスパニアのウィッチには好評だ。
 しかし、魚介類に慣れない地域出身のウィッチには「それ程でも……有れば食べるけど」と言った感じだった。
 案の定、気怠そうにリゾットを一口、スプーンですくっては皿に戻す仕草を続けるドミニカ。
 ジェーンは暫くその様子を見ていたが、やがて我慢出来なくなったのか、やおら立ち上がるとドミニカの手からスプーンをふんだくった。
「もう、大将!」
「何するんだジェーン。私のスプーン……」
 “相棒”をぽかんとした目で見上げるドミニカ。見られている当の本人は、気にせず叱りつけた。
「今日は竹井さんがわざわざ作ってくれたんですよ! そんなぞんざいにして失礼じゃないですか!」
「熱々なのは苦手だ。単に少し冷ましてるつもりだったんだが」
「そうなら言ってくださいよ。……食べたくないのかと思いましたよ」
「冷ましてただけだ。料理が嫌いって訳じゃない」
「大将の行動は誤解されますよ」
 ジェーンはスプーンを持ったまま、椅子に座り直した。
 ドミニカは、そんな“恋女房”を眺めていたが、ふと思い付いた願望を口にする。。
「ならジェーン。見本を頼む」
「えっ……」
 ジェーンは一瞬固まった。
 何をどうしようか迷っている様だった。
 しかし意を決したらしく、顔を赤くし、一口すくうとふーふーして、ドミニカの口元に持って行った。
「はい、どうぞ」
「随分と強引だな、ジェーン」
「こうでもしないと大将食べないでしょ?」
「まあ……」
 ドミニカはちらりと周囲を見回した。
 基本的に我関せずと言った様子のパティとアンジー。
 こっちをチラチラ見ながら何やらひそひそ話しているロマーニャ娘三人組。
 扶桑陸軍のウィッチ二人は「私見てません!」と言うオーラを全身から出しながらこっそり視界には捉えている様だった。
 ドミニカはおもむろにぱくっ、とジェーンの差し出したスプーンをくわえる。もぐもぐと噛み、飲み込む。
「うん。悪くない」
「大将……厨房から竹井さんが見てますよ?」
「笑ってるな」
「そりゃ、まあ……」
「続き」
「えっ?」
「ジェーンの冷まし方は完璧だな。幾らでも食べるぞ」
「そ、そうですか……じゃあ。……あーん」
「あーん。……ん。うまい」
「美味しいなら美味しいと最初から言って下さいよ大将。竹井さんせっかく作ってくれたんだし」
「ソイソースの匂いが微かにするな。流石、竹井らしい味付けだ。単純なロマーニャ風ではない所が良い」
「味の分析とかもう良いですから……ほら、あーん」
「ん。うまい」
「もう、竹井さん向こうで苦笑してますよ?」
「そうか」
 ジェーンの言葉を聞き、何故か、小さく笑うドミニカ。
 暫くジェーンに食べさせて貰った後、ドミニカはジェーンの手を取った。
「大将?」
「ジェーンも食べろ。冷めると美味しくない」
「えっ、でも」
「私があーんしてやる。ほら、来い」
 ジェーンをぴったりと横に座らせ、スプーンをジェーンの手ごと握って、リゾットをすくって少しふーふーして、ジェーンの前に差し出す。
「大将……あむっ。おいひい……」
「ジェーンだからな。美味いさ」
「意味がよく分かりませんよ大将……」
「じゃあ、分かるまでもう一口」
「えっ……あーん」
 お互いひとつのスプーンで食べさせ合う、その行為は延々と続いた。

 そんなリベリオン夫婦の様子を見せつけられていたパティは、横に座るアンジーに問い掛けた。
「なんか“おしどり夫婦”って言うより、バカップルって感じだけど、どう思うアンジー?」
「わりとどうでもいい」
「あ、やっぱり……」
 何故か同時に出る溜め息。

 504の朝は気怠く過ぎていく。

end

29 名前:名無しさん:2010/12/02(木) 21:01:41 ID:7vjanvVA
以上です。
ドミジェンはもうちょっとスマートと言うか、
さらっとしてると言うか、
ツーカーな感じな二人の筈なんですが
書いているうちにどうしてこうなった……。

ではまた〜。

30 名前:名無しさん:2010/12/02(木) 23:23:30 ID:sv2DCr82
>>28
大尉二人してなにやってんすかwww バカップルすぎるwww

心の底からニヤニヤしました!GJ!

31 名前:名無しさん:2010/12/05(日) 06:08:20 ID:PQotDoZY
申し訳ありませんがどうしても見つからない作品があるので質問させて下さい
使い魔とエイラの行動がそっくりというオチの作品です
もし御存知の方がいればタイトルを教えて頂けないでしょうか?

32 名前:名無しさん:2010/12/05(日) 22:40:08 ID:nAnSJM6Y
避難所2の一番最初の「エイラーニャでエーゲル」ってやつでしょうか?
間違っていたらすみません。

33 名前:名無しさん:2010/12/06(月) 02:14:10 ID:9zpuEGQo
>>32
ありがとうございます
探していた作品で合っていました
本当にありがとうございました

34 名前:名無しさん:2010/12/06(月) 21:37:16 ID:a1qDQ.es
まとめサイト http://lilystrikewitches.rejec.net/ って先週末から落ちていませんか?

IPアドレスが変わってDNSが反映していないのかとも思いましたが、3日たって
3つのISPで試してみましたが相変わらずタイムアウトになり接続できません。

35 名前:名無しさん:2010/12/06(月) 22:48:14 ID:cDt4SVlg
鯖落ちらしいですね…

36 名前:5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2010/12/06(月) 22:51:46 ID:4G7Wc9Yw
>>17 Hwd8/SPp様
いつも楽しく拝見させて頂いてます。
「このおっぱい眼鏡!」で腹筋が壊れました。

>>23>>27 mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c様
501と504のおしどり夫婦可愛すぎです。
2組とも脇目もふらず、ずっとイチャイチャしてて貰いたいです。

こんばんは。今日はドミニカ大将の誕生日ということで短いですがドミジェンで一本書いてみました。
ではどうぞ

37 名前:Magic Box 1/1:2010/12/06(月) 22:53:08 ID:4G7Wc9Yw

「ドミニカ、起きてる?」
「起きてるなら開けてほしいな」
時刻は零時を少し過ぎた頃、部屋の扉をトントンとノックする音が私の耳に響く。
扉の向こうからはマルチナとパティの声。
一体、こんな時間に私に何の用だろう?
私が部屋の扉を開けると同時に、クラッカーの音が鳴り響いた。
「「ドミニカ、誕生日おめでとう!」」
と、朗らかな笑みで微笑むマルチナとパティ。
そうか、今日はもう12月6日――私の誕生日だったな。
「はい、これぼく達からのプレゼントだよ」
そう言って私に、人が1人入れそうな程大きい箱を差し出してくれるマルチナ。
「2人ともこれをわざわざ私のために?」
「うん。ドミニカならきっと気に入ると思うよ。じゃ、そういうことで」
「ごゆっくり〜」
「お、おい」
私が礼を言う前にパティとマルチナは、その場を去ってしまった。
まぁ礼なら明日、食堂で会った時に言えばいいか。
そんなことを考えながら私は、プレゼントの箱を抱え上げベッドの上に乗せる。
……意外と重いな、何が入っているんだ?
飾りのリボンを解き、箱を開けると中には――

「大将! 誕生日おめでとうございます!!」
軍服の上からリボンをぐるぐる巻きにしたジェーンの姿があった。
参ったな。まさか本当に人が、それも私の最愛の人が入ってるとは。
「……フ」
リボンに身を包んだジェーンがあまりにも可愛らしくて私も思わず笑みがこぼれる。
「ちょっと! 笑わないでくださいよ〜。これでも私、大将に何をプレゼントするかこの1週間ずっと悩んでたんですからね。
ボクシンググローブは去年のプレゼントだったし、時計は一昨年のプレゼントだったし……そこで、今年はパティさん達に
協力してもらって、私自身が大将のプレゼントになろうと思ったんです!」
と、可愛い顔して大胆な事を言うジェーン。
全く、そんな事言われたらこっちだってスイッチ入っちゃうじゃないか。
「最高の誕生日プレゼントだ、ジェーン」
私は箱の中のジェーンを抱え上げ、彼女をそのままベッドに押し倒す。
「大将……んっ」
ジェーンの唇に口付けを落としながら、リボンを解き、彼女の服を一枚一枚脱がしていく。
「……明日は竹井やドッリオ達に怒られるかもな」
「へ? それってどういう……」
「言葉通りの意味さ」
私は、もう一度ジェーンに深い口付けを落とす。
「大将っ……んんっ」
私も服を脱ぎ捨て、お互いに一糸纏わぬ姿で抱き合った。

さて、今夜は長い夜になりそうだ。

〜Fin〜

――――――――

以上です。大将誕生日おめでとう!

38 名前:名無しさん:2010/12/06(月) 22:59:58 ID:ZyPXkdR2
>>37
GJです。おおう、何と言う誕生日プレゼント!
大将も504も大胆ですなw 良いニヤニヤをありがとうございました。

39 名前:名無しさん:2010/12/06(月) 23:13:30 ID:rUsLzwVU
まとめサイト見れない…

40 名前:mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2010/12/07(火) 21:52:42 ID:XpRqMOTA
>>37 5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2様
GJ! プレゼントがジェーンそのものって504もジェーンも凄いw
素敵な誕生日SSありがとうございました。大将ウハウハですね。

>>39
保管庫のサーバのトラブルらしいですね。
避難所の
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12483/1236773034/
こちらなどをご参照下さい。


こんばんは、mxTTnzhmでございます。
某所で思い付いたネタをざっと書いてみました。
「実験的」と言えば聞こえは良いですが……お察し下さいorz
ではどうぞ。

41 名前:inception II 01/04:2010/12/07(火) 21:55:27 ID:XpRqMOTA
 リーネの挙動が乱れストライカーに被弾し、くるくると回る独楽の様に、ぽちゃりと海に墜落した。
 すぐさま他のウィッチ達に助けられ、基地に後送され、治療が開始された。
「リーネちゃんは大丈夫なんですか」
 目を閉じたまま動かないリーネの横で、芳佳が担当の女医に聞いた。
「問題無いわ。怪我そのものは貴方の治癒魔法で完治していますから。ただ……」
「ただ?」
 ごくりと唾を飲み込む芳佳、言葉を続ける女医。
「被弾した時のショックで……落ち込んだり、ヒステリックになったりするかも知れないですね」
「えっ、そんな……」
「大丈夫だとは思うけど……どうかしら」

 目を覚ましたリーネは「大丈夫だよ芳佳ちゃん、問題無いから」と笑って見せたが、
その後のトレーニングでミスを連発、食事当番でもお鍋を焦がしてしまったりと良い所がない。
「大丈夫だから、ちょっと疲れてるのかな……」
 と気丈に振る舞うリーネ。しかし、大皿を割ってしまった時のリーネは……明らかに震えていた。
 指がかじかんだ様に小刻みに震え、やがて腕にも伝播する。
「リーネちゃん?」
 心配してリーネの肩を持つ芳佳。びくりと震えたリーネは、芳佳をどーんと突き飛ばした。
「離してっ!」
 厨房の端まで転がる芳佳。壁に頭を打ち付け、いたた……と呟く。額の横が切れたらしく、僅かに出血している。
 異変に気付いた隊員達が、厨房に集まった。
「おい何だ今の騒ぎは!? 宮藤、大丈夫か?」
「わ、私は……その、リーネちゃんが」
 シャーリーとエーリカがすぐさま芳佳を抱き起こし、トゥルーデがハンカチで芳佳の血を拭う。
「な、なんでも……ないんです」
 涙目のリーネ。
 芳佳は衝撃でふらっと来たのか、だらしなくシャーリーの胸に顔を埋めた。
「宮藤、大丈夫か!」
「一体何の騒ぎですの?」
「芳佳ぁ、大丈夫?」
 訳が分からないといった感じのペリーヌ。ルッキーニも心なしか心配そうだ。
「何でもないなら、何故宮藤を投げ飛ばす?」
 立ち上がり、詰問するトゥルーデ。
「リーネ、どうした。何があっ……」
「いやああああああああああああああああああああああああああああ」
 美緒の問いを、リーネの悲鳴が切り裂いた。

 睡眠薬を無理矢理飲まされ、静かに眠るリーネ。
「やっぱりね……」
 女医は溜め息混じりに、リーネの様子を聞き取り、診断カルテに何かを書き込む。
「それで先生、リーネちゃんは」
 したたかに頭を打ち付けた芳佳は、大事を取って包帯で額を巻かれていた。
「リーネさんは、恐らく戦闘によるストレス、いわゆる精神的なダメージね……それを受けていると思います」
「リーネちゃんが? 私の治癒魔法で治せますか?」
「宮藤さんの治癒魔法は主に外傷や疾病だと思うから……精神的なものは難しいんじゃないかと」
「そんな……リーネちゃん」
「ねえ、芳佳ちゃん」
 芳佳の傍らに立ったのは、サーニャ。
「私、前、エイラの夢の中に、魔法を使って入った事が有るの。それを応用すれば、何とか……なりませんか、先生?」
 サーニャの提案を受けた女医は戸惑ったが、カルテと分厚い医学事典を睨めっこしたあと、小さく頷いた。
「難しいと思うけど……やってみる価値は有るかも知れないですね」

 芳佳とサーニャは、ベッドに横になり手を繋ぐ。そして横に居る、寝たきりのリーネの手をそっと繋いだ。
「良い、芳佳ちゃん? 何が有っても動揺しない事。もしどうしようもなくなった時の“目覚め”の合図は……」
「うん、さっき聞いたよ。分かってる」
 真剣な表情で、芳佳は頷いた。
「では、行きます……」
「サーニャぁ……無事に帰って来いヨ」
「エイラ、貴方が側に居てくれれば大丈夫よ」
 サーニャはふと微笑んだ。そして静かに魔力を発動させ、魔導針が輝く。
 ぶうん、と魔導針の光が増幅される。
 手を繋いだサーニャと芳佳は、横になり、目を静かに閉じた。

42 名前:inception II 02/04:2010/12/07(火) 21:55:57 ID:XpRqMOTA
  ここは何処?
  芳佳は辺りを見回した。
  ブリーフィングルームでもない、石造りの巨大な部屋。いや、回廊と言った方が正しいか。その位の奥行きが有った。
  陽の光は無く、部屋の隅に掲げられた巨大なキャンドルが整然と並び、ぼんやりと周囲を照らす。
  横にサーニャが居る。眠りから目覚めた様に、目を擦る。
  「サーニャちゃん」
  「芳佳ちゃん。……よかった、すぐに会えて」
  「うん。リーネちゃんを捜しに行こう」
  「大丈夫、すぐ見つけるから」
  サーニャの魔導針が光る。
  「こっち」
  サーニャが芳佳の手を取り、進む。
  しかし「大回廊」は行けども行けども先が見えず……流石に立ち止まってしまう。
  「サーニャちゃん、何でこんなにこの部屋長いの?」
  「リーネちゃんの意識の中だから……」
  「そっか。リーネちゃん」
  「大丈夫、すぐそこに」
  サーニャが手を伸ばすと、ぶわっと一瞬のうちに周りの景色が動き、どこからともなく大きな扉が現れた。
  「外に何か有る。気を付けてね、芳佳ちゃん」
  「うん」
  閂を外す。お互い手をぎゅっと握ったまま、扉に力を込め、開ける。

  そこは地平線の彼方まで広がる農場。
  眩しい程の陽の光に満ち、作物はたわわに実り、鳥が鳴き動物がうたう、長閑で平和過ぎるシーンだった。
  「芳佳ちゃん、あそこに」
  サーニャが指し示す方向に、リーネが居た。
  ブルーベリー畑で、摘み取り作業をしている。
  「リーネちゃーん!」
  「あ、芳佳ちゃん! サーニャちゃんも!」
  「リーネさん、元気そうで良かった」
  「私は元気。大丈夫だよ? ほら見て、今年のブルーベリーは豊作だよ! 美味しいんだから」
  リーネは採れたてのブルーベリーを数粒、芳佳に分け与えた。
  「へえ、すごい!」
  笑顔の芳佳、リーネ。そして一人浮かない顔のサーニャ。
  「リーネさん」
  「どうしたのサーニャちゃん?」
  「帰りましょう、元の世界……私達のあるべきところに」
  「何を言ってるのサーニャちゃん? ここ、私の実家だよ?」
  「あなたは第501統合戦闘航空団『ストライクウィッチーズ』の狙撃手です。リーネさん。農場主では無い筈です……今は」
  さっと表情が変わるリーネ。
  「違うの……これは違うの。夢なんかじゃないの。本当なの」
  「今私達が通ってきた回廊……本当は私達に来て欲しくなかったから、あんな……」
  「そんな事、無い!」
  空の色がさっと変わる。
  それまでの澄んだ青空が一変、燃え盛る大地から障気が沸き立つ、どす黒く染まる赤い戦火の渦巻く風景が現れる。
  一瞬にしてブルーベリー畑が燃え盛る。
  芳佳が手にしていたブルーベリーの粒は、血の色をした液体に変わって手からこぼれ落ちた。どろっとした生々しい感触。
  空を劈く無数のネウロイ、撃ち出されるビーム。
  それをかわしながら突き進む、無数の、見た事もないウィッチ達。
  「サーニャちゃん、これは……」
  「大丈夫、リーネちゃんの夢だから」
  「でも、ネウロイがこっちに……」
  「大丈夫」
  リーネ、サーニャ、芳佳の頭上で、間も無く激しい戦闘が開始された。
  辺りは銃弾とビームが交錯し、次々と小型ネウロイが撃破され、
  またひとり、ひとりとウィッチが大型ネウロイの集中打を浴び、墜落していく。
  「また、汚れちゃった……私の居場所」
  「リーネちゃん」
  「もう来ないでっ!」
  刹那、世界がぴたりと止まった。
  ネウロイも、ウィッチも、全員が芳佳とサーニャの方を向いた。全ての銃口が向けられる。
  放たれるビームと、銃弾。
  芳佳は咄嗟に魔法でシールドを展開した。ぽんと肩を叩くサーニャ。
  「どうしたの、サーニャちゃん?」
  「ここは何処か、忘れたの?」
  「リーネちゃんの、夢……」
  「じゃあ、無駄に魔力を使うのは止めて。シールドをしまって」
  「そんな事したら、皆死んじゃう!」
  「良いから、私の言う通りに」
  「ええっ」
  サーニャが芳佳の手を取った。思わずシールドが切れる。
  サーニャを、芳佳を、そしてリーネに、無数の銃弾が降り注ぎ、ビームが浴びせられる。
  シールドと言う「抵抗」を失った三人の身体。
  間も無くぼろ切れの如く、血にまみれ、四肢が吹き飛び、原形を留めなくなる。
  「大丈夫」
  サーニャの言葉が響く。
  そうだ……芳佳は思い出した。そして、顔の見えぬウィッチが放った銃弾が、芳佳の眉間を貫いた。

43 名前:inception II 03/04:2010/12/07(火) 21:56:29 ID:XpRqMOTA
    気が付くと、身体も服も元に戻り、全く別の場所に立っていた。
    「ここは?」
    周りを見る。
    「あれ、ここ、ブリタニアの基地?」
    基地の廊下らしい。てくてくと歩いて行くと、見えた。リーネの部屋だ。
    「あ、でもその前にサーニャちゃんを捜さないと」
    「私ならここに居るよ」
    ふっと芳佳の頭上から降ってくるサーニャ。
    「さすがだねサーニャちゃん、夢の中だから何でもアリだね」
    「芳佳ちゃんだってやろうと思えばすぐ出来るんだから」
    「いや、サーニャちゃん、なんか慣れてるなって……やっぱりエイラさんと?」
    顔を真っ赤にしてうつむくサーニャ。
    「芳佳ちゃんの……バカ」
    「ああ、ごめんねサーニャちゃん、そんなつもりじゃ」
    「行こう」
    リーネの扉の前に立つ。
    「まさか夢の中にブリタニアの基地が出てくるなんて……」
    芳佳は笑って扉を開けた。
    どどっと扉の向こうから大量の熱々ご飯が雪崩れ込んでくる。
    「な、なにこれっ熱っ! 窒息するっ!」
    「玄関開けたら2tのご飯……」
    サーニャはいつ抜け出したのか、熱々のご飯の上に立っていた。
    そしてご飯まみれになった芳佳をよいしょ、と引き揚げた。
    「リーネちゃんの部屋だよね、何でこんな事に?」
    「それは、芳佳ちゃんの主食がご飯だから?」
    「どう言う事?」
    「とにかく、行こう」
    サーニャは芳佳の手を取り、ご飯の中を歩く。
    割れる海の如く、ご飯が廊下の中央をずばっと空間を作り、目指す扉がもう一度見えた。
    「今度はお味噌汁とか、無いよね?」
    「大丈夫……だと思う」
    そっと扉を開ける。
    ベッドの上で泣いているリーネ。
    傍らには、投げ捨てられたボーイズ対戦車ライフル。
    リーネの横にはボロボロになったストライカーユニットが転がっている。
    「リーネちゃん」
    「私のせいで、みんなが」
    「私は大丈夫だよ。みんなも。誰だって一度くらい墜落するって、ハルトマンさんもバルクホ……」
    「芳佳ちゃんは」
    言葉を遮って、虚ろな目をしたリーネが芳佳の顔を見る。顔が青白く精気がない。
    瞬間移動したかの如く、芳佳の眼前にリーネの顔が見えた。
    「どうしてそんなにしつこいの? どうしてそんなに諦めないの?」
    「どうしてだろうね。私……リーネちゃんが好きだから」
    「芳佳ちゃん、ゴメン。私、芳佳ちゃんに応えてあげられそうに……」
    「リーネちゃん!」
    ふわふわした感触のリーネを、芳佳はぎゅっと掴んだ。
    「私、私は絶対に諦めない。リーネちゃんと一緒に帰るまで」
    その時、ターン、と乾いた銃声が響く。

44 名前:inception II 04/04:2010/12/07(火) 21:56:57 ID:XpRqMOTA
    芳佳は音の所在を確かめた。立ちこめる硝煙の臭い。
    自分の腹を、リーネが拳銃で撃ち抜いたのだ。
    「ほら、無理だよ。芳佳ちゃん」
    どくどくと流れ出る血流。
    「今、芳佳ちゃんの命を奪ってあげる」
    意識が混濁しかける芳佳。
    「大丈夫」
    横に居るサーニャが呟くと、不思議と痛みが戻る。
    「さっきから、サーニャちゃんも何?」
    リーネが向けた拳銃を握り、銃口を明後日の方に向ける。ぱんぱん、と乾いた音が続く。
    部屋の調度品が割れ、粉々になる。
    やっとの思いで拳銃を払い除けた芳佳は、リーネをぎゅっと抱きしめ、言った。
    「リーネちゃん。私は、リーネちゃんの命を、魂を、リーネちゃんの恐怖心から奪い返す!」
    「何バカな事言ってるの芳佳ちゃん……証拠は?」
    「証拠は、私とリーネちゃん。この身体の熱さ、分かる?」
    流れが止まらない血の中……ベッドの中央に広がる血溜まりの中で、芳佳は続けた。
    「私は、既にリーネちゃんを抱きしめてる。これからも、ずっと。だって、リーネちゃんが好きだから」
    芳佳は、狼狽えるリーネに、そっと口吻をした。
    動きが止まるリーネ。
    「ね、リーネちゃん。私、リーネちゃんと何処までも一緒だよ? 愛してる」
    「何処までも……?」
    「そう。何処までも」
    「本当に?」
    「勿論、本当だよ」
    「じゃあ、一緒に……」
    「うん。帰ろう?」
    笑顔の芳佳に、リーネは涙ながらに笑顔を見せ、もう一度キスをした。
    キスをした二人。
    その瞬間を逃さず、サーニャはぱちんと指を鳴らす。
    二人の動きが、固まる。
    サーニャは手にした拳銃で芳佳とリーネのこめかみを撃ち抜く。
    サーニャはぱちんと指をもう一度鳴らした後、自身のこめかみにまだ硝煙くすぶる銃口を当て、引き金を引いた。


「あれ、ここ何処?」
 リーネはゆっくり起き上がり、ぼんやりとする視線で辺りを見た。
 501の隊員が全員で、リーネを見ている。
「えっ、これは一体」
「うーん……リーネちゃん」
 ごろりと転がり、リーネに抱きつく芳佳。
「ちょ、ちょっと芳佳ちゃん、皆の目の前だよっ!」
「あ、あれ? もう終わり?」
 眠たそうに目を開ける芳佳。横ではエイラが一人騒いでいた。
「オワ!? サーニャも目覚めタ! サーニャ、大丈夫かサーニャ?」
「エイラ……ただいま」
「お帰リ、サーニャ」
 美緒は、サーニャ、芳佳、リーネの三人を魔眼でじっと見ていた。
「どう?」
 ミーナの心配そうな顔。美緒は眼帯で目を覆うと、ゆっくりと頷いた。
「大丈夫だ、問題無い」

 その後サーニャは魔力を消耗し過ぎたと言う事で、エイラと一緒に寝室に戻った。
「しかし、本当に夢の中に入れるなんて、凄いのね」
 驚く女医。眠りから目覚めたリーネと芳佳を診て、二人共大丈夫そう、と診察した後カルテに何か書いている。
「リーネさんは、暫くは実戦には出さず、トレーニングと日常生活で問題が無いかチェックします」
 ミーナは女医からの報告を受け、告げた。
「ええ、そうして下さい。でも、彼女はもう大丈夫だと思います」
「そうですか……良かった。本当に」
 ミーナはほっと息をついた。
「ありがとう、芳佳ちゃん。私、また芳佳ちゃんのお陰で……」
「ううん、リーネちゃんの為だもん」
「これ、夢じゃないよね?」
「もちろん!」
 無邪気に笑い合う二人。
「しかし、本当に夢の中に入れるなんて、凄いのね」
 女医は余程感心したのか、全く同じ言葉を繰り返した。美緒は笑った。
「ウィッチに不可能は有りませんから」

end

45 名前:名無しさん:2010/12/07(火) 21:57:37 ID:XpRqMOTA
以上です。
お分かりの通り「“目覚め”の合図」は
その夢の中で「銃で頭を撃ち抜く」事です。
某ペル●ナ3みたいですが、お気になさらず……。
「夢の中へ〜」と言うネタそのものは某映画からヒントを得ましたが
そのタイトルは言うまでもありません……orz

ではまた〜。

46 名前:名無しさん:2010/12/10(金) 00:37:31 ID:NLKuTd4M
ラジオ、今月いっぱいで終わるのか…

47 名前:名無しさん:2010/12/10(金) 20:58:30 ID:GixI4qWc
>>46
え、それマジで? ソース希望。

48 名前:名無しさん:2010/12/12(日) 17:52:40 ID:9zBRbtGM
>>47
ソースも何も放送聞いてみるといいですよ

49 名前:カカシ:2010/12/12(日) 23:14:17 ID:VRtjYe3Q
まとめサイトっていつ復活するの?

50 名前:名無しさん:2010/12/12(日) 23:17:55 ID:zPI1qPpQ
鯖の復旧は年末以降になるっぽいね

51 名前:名無しさん:2010/12/13(月) 02:14:55 ID:NCteKEVs
マジで?
どこから聞いたの?

52 名前:名無しさん:2010/12/13(月) 02:24:23 ID:WiM.lfJY
ソースは元鯖サイト

53 名前:名無しさん:2010/12/13(月) 18:37:56 ID:NCteKEVs
そうですか
ありがとうございます

54 名前:名無しさん:2010/12/13(月) 22:33:59 ID:zyhQrpe6
年末まで読みかけの続きはお預けか…待ち遠しいな。

55 名前:5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2010/12/13(月) 23:46:10 ID:w8Ubk0wU
>>40 mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c様
GJです、素晴らしい芳リーネをありがとうございます。
美緒の締めの一言もいいですね。

こんばんは、マルちゃんの誕生日ということで伯爵×マルちゃんで一本書いてみました。
といっても、伯爵は直接出てきませんが……
では、どうぞ

56 名前:Ein Brief 1/2:2010/12/13(月) 23:47:01 ID:w8Ubk0wU

「相変わらず、凄い量ですね」
昼食のトレーを抱えたマミが、私のテントに入るや否や驚嘆の声をあげる。
今日は12月13日、毎年この日になると大小様々な箱や、手紙が私のもとに贈られてくる。
早い話が全部私への誕生日プレゼントというわけだ。

「厚意はありがたいんだが、こうも多いと一つ一つチェックするのも面倒だな」
マミから昼食のトレーを受け取りながら、私は思わず溜息をつく。
正直、空でネウロイと戦っていたほうがよっぽど気は楽だ。
「人気があるのは良いことじゃないですか。よかったら手伝いましょうか?」
「ああ、そうしてくれると助かる」

――それからしばらくの間、私とマミとマティルダとで届いたプレゼントを一つ一つ見ていった。
アフリカでは中々手に入らない酒のプレゼントがあったのは特にありがたかった。
最も、私への想いが延々と綴られている反応に困るような手紙も中にはあったりしたが……

「マルセイユ大尉、第502統合戦闘航空団のヴァルトルート・クルピンスキー中尉からも手紙が届いてますよ」
「伯爵から?」
マミからその手紙を受け取り、封を開く。
確かに、JG52時代の同僚、伯爵ことクルピンスキーの癖のある字だ。
私は、その癖のある字にどこか懐かしさを覚えながら、2通ある手紙の1通目を読み進めていった。

『拝啓 ハンナ・ユスティーナ・ヴァーリア・ロザリンド・ジークリンデ・マルセイユ殿←本当に長い名前だね』
「余計なお世話だ」
『久しぶりだね。元気にしてるかい? アフリカは良いところだよね。行ったことないけど』
「相変わらず適当な奴だ」
人はそう簡単には変わらないか、そんなことを考えながら私は手紙の続きを読んでいく。

『君に報告したいことがあるんだ。実はこの度、ボクとロスマン先生は結婚することになったんだ』
「な!? ロスマンの奴、血迷ったか!?」
1枚目の手紙に添えられた写真には、ウェディングドレスに身を包んだロスマンの姿があった。
伯爵とロスマンが結婚だと? あまりの衝撃的な出来事に私は口に含んでいた牛乳を思わず吹き出してしまった。
「大丈夫ですか?」
牛乳で汚れたテントを拭きながら、マティルダが私に問いかけてきた。
「あ、ああ大丈夫だ。悪いな、マティルダ」
私は気を落ち着かせ、2通目の手紙を読み進めていった。

『……なんてね。冗談だよ、冗談。まぁ君がこんな話にまんまと騙されるわけないとは思うけど。
先生のウェディングドレス姿、中々似合ってるだろ?』
「あ、あいつら……!」
まんまと騙された。ロスマンの奴、この為だけにわざわざウェディングドレスを用意したんだろうか。
考えてみれば戦闘時以外のあいつは、伯爵以上の享楽家だったな。
私は手紙を破りたい衝動をなんとか抑え、続きを読んでいった。

57 名前:Ein Brief 2/2:2010/12/13(月) 23:48:06 ID:w8Ubk0wU

『君が501でフラウとやり合ったっていう話はこっちにも届いているよ。是非見てみたかったなぁ。
バルクホルンはきっと、落ち着きがなかったんだろうね。あっ、そうそう。バルクホルンといえば、
この前、彼女の妹のクリスちゃんのお見舞いに行ったんだけど、その時に君のサインが入ったブロマイドを
嬉しそうに見せてくれたよ。君って確かサインはしない主義だったよね、何かいいことでもあったのかな?』
「……ふん」
その文を読んで、私はこの前の501での出来事を思い出す。
ハルトマンとはいつか必ず決着をつけてやる。

『最後になるけど、ティナ、誕生日おめでとう。君と離れてから随分経つけど、今でもボクにとって君は、
かけがえのない戦友で仲間だからね。もちろん、ロスマン先生やラル隊長、バルクホルン達も。
いつかまた、みんなで笑って語り合える日がくるといいね。それじゃ、お元気で
変わらぬ友情を込めて ヴァルトルート・クルピンスキー』
手紙の最後の文を読み終わって、私は思わず笑みがこぼれた。
伯爵は一見いい加減そうに見えてその実、仲間想いの良いヤツだ。
あいつのそういった面も変わってなくて、少しだけ安心感を覚える。

「マルセイユ大尉、クルピンスキー中尉からプレゼントも届いてますよ」
「プレゼント?」
私はマミから伯爵のプレゼントが入った箱を受け取る。
その箱に入っていたのは……

「な、なんだこれは!」
中に入っていたのは、私にはおよそ似合わないピンク色のワンピースだった。
伯爵の奴、私にこんなものを贈ってくるなんて一体何を考えているんだ?
私が箱の底を覗いてみると、そこには伯爵の字でこう書かれていた。

『ボクからのプレゼント、気に入ってくれたかい? この服、バルクホルンがクリスちゃんにプレゼントしたものと
同じものなんだ。これを着た写真を撮って、ボクに贈ってくれると嬉しいな』
ふざけるな! なんで私がバルクホルンの奴が、妹にプレゼントした服と同じものを着ないといけないんだ。
こんなものを着るくらいなら、裸のほうがマシだ。
少しでもあいつのことを見なおした私が馬鹿だった。

「ティナ、隊長が呼んでるけど……って、何その服?」
「ラ、ライーサ、これはその……」
そこに何とも間の悪いタイミングでライーサが私のテントを尋ねてきた。
「すごく可愛らしい服ね。着るの?」
「き、着るわけないだろ!」
「「……っ!」」
「お、おい! マミもマティルダもさり気なく笑うな!」

――その後、私はケイに無理矢理このワンピースを着せられ、写真を撮らされた。
後日、その写真は伯爵たちのもとに贈られることになるが、それはまた別の話。

〜Fin〜

――――――――
以上です。マルちゃん、誕生日おめでとう!
保管庫の復旧は年末以降になるんですね、なんだか寂しいです。
ではまた

58 名前:名無しさん:2010/12/14(火) 01:59:06 ID:h3ARV0FY
おお、珍しい組み合わせだなぁ
伯爵×マルちゃんか…なんか二人で並ぶと凄く眩しい気がする
JG52時代の話が見てみたい

59 名前:名無しさん:2010/12/14(火) 23:04:38 ID:HqOWi2hs
>>57
GJ!いい加減伯爵ワロタ
手紙と服ひとつでマルセイユを翻弄するとはまさに伯爵w
面白かったです!

60 名前:名無しさん:2010/12/15(水) 16:44:33 ID:GW3N6NH.
>>56
さすが伯爵!そこにシビれるあこがれるゥ!!
つかロスマン先生なにやってんのwwww

61 名前:名無しさん:2010/12/15(水) 17:46:17 ID:idUPe8SE
マルピンスキーとは新しくていいね
伯爵が劇場版に出たらカールスラント組との過去話とか聞けるのにな

62 名前:名無しさん:2010/12/15(水) 22:34:59 ID:iG3FUtt2
特に絡みなんかも無い筈なのに、何故か色んな所でこの組み合わせ見るなw

63 名前:名無しさん:2010/12/15(水) 23:59:04 ID:lETw9nqo
元同僚という接点はあるぞ
エーリカやバルクホルンとの関係もあるしな

64 名前:名無しさん:2010/12/16(木) 00:16:27 ID:8T2CmcXg
それはそうだけど、逆に言えばそれだけじゃない?
何の描写も無いところが妄想心をくすぐるんだろうか

65 名前:名無しさん:2010/12/16(木) 00:39:00 ID:n5t0t2Ag
クルセイユいいな

66 名前:名無しさん:2010/12/17(金) 00:40:36 ID:zwCxFUJc
ラジオ、残すところあと二回か。
今年最初の木曜日に始まって今年最後の木曜日に終わるんダナ。

67 名前:名無しさん:2010/12/19(日) 12:17:50 ID:Igoe74FM
ラジオ終わるしファンブックもキャラソンも延期だし、年末は寂しくなりそーだぜ…

68 名前:名無しさん:2010/12/19(日) 22:33:12 ID:bJwM9RbM
ttp://sukima.vip2ch.com/up/sukima004783.jpg
隊長自重しr・・・いいぞ、もっとやれ

69 名前:名無しさん:2010/12/19(日) 22:36:09 ID:R31D9u8M
どうも、「ヘルマの発情」シリーズのHwd8/SPpです。
まとめサイト…早く復旧して欲しいですねえ;;でも何が原因で鯖が落ちたんでしょうか…?;;

あ、亀レスですが>>22様。ありがとうございます、肝心のお姉ちゃんは誰が好きなのか…?う〜ん、それは全く考えてなかったです!
シリーズを展開させていく時に改めて考えていきたいと思います!個人的にはシャーゲルが一番好きなんですがね〜!

今回は「ヘルマの〜」シリーズではなく、忘年会シーズンって事でスオムスいらん子中隊の忘年会について書きました!
読んで頂ければな…と思います!



【いらん子中隊の忘年会】

12月20日。
カウハバ基地近くのスナック「ふきでもの」にて、
スオムス義勇独立飛行中隊こと「スオムスいらん子中隊」の忘年会が催されたのである…。

「えと皆さん…2時間まで飲み放題だそうです!」
「何ここ…汚い店ねえ」
「中尉ぃ〜私と飲みましょう?」
「こんな小娘より成熟した私と一緒に?」
「パスタ准尉はあっち行っててください!シッシッ!」
「マンマミーア!あなた私より位は下でしょ?!」
「そんなのお酒の席じゃ関係ないんですぅ〜!」
「だぁっ!!もう!!!!うるさいわよアンタ達っ!!!」
「あ、あの〜ぅ…」

必死に頑張って仕切るエルマ…だが、誰も聞いていない様子である。

「飲み物だけでも注文を…」
「飲み物?そうねえ…」
「スコッチを頼む」
「バドワイザーはあるかー?」
「じゃあ私は扶桑酒かな」
「じゃあ私も!」
「私もっ!!!」
「…オレンジジュース」
「じゃあ私もオレンジジュースで…」

一通り注文をし終えた一同。
だが………

「Oh!何言ってるねー、今日は一年のしめくくりねー!!いっぱいお酒飲むねー!!」
「え…でも私は…」
「…じゃあオレンジジュースとナポリタン大盛」
「ナポリタンはお酒じゃ…;;;」
「そうねえ…ウルスラはわかるとして、エルマ!あなた何か飲みなさい!!」
「えぇっ?!」
「隊長命令…だわよ?」
「はいぃ…」

急いでお酒のメニューを見始めるエルマ。
すると横に居たビューリングは、

「なんだ、飲めないのか?」
「お恥ずかしながら…」
「だったらカシスオレンジだな」
「美味しいんですか?」
「まあ…始めはこうゆう、甘いのから入ると良いぞ」
「ありがとうございます!じゃあ…カシスオレンジ!」


***

70 名前:名無しさん:2010/12/19(日) 22:37:10 ID:R31D9u8M
>>69の続き。

【1時間後】


智子の扶桑酒を注いでるキャサリン

「ストップ!ストップ、ストップひばりくん!…ケッケッケ」
「トモコー、明らかに飲み過ぎねー」
「さっきから親父ギャグ連発なんですよ…」
「ねえ中尉、世界四大文明と言ったら?」
「えと…エジプト文明とメソポタミア文明と黄河文明…加納典明!ケッケッケ」
「もうパスタ准尉!トモコ中尉で遊ばないでください!」
「ケッケッケ…まだ飲み足りないわ〜っ!!」

そんな騒いでる集団とは打って変わり、店の角のソファーではエルマ、キャサリン、ウルスラの3人が静かに飲んでいた。

「大丈夫か?」
「はい…お酒って…美味しいですね」
「そうか…」
「…飲み過ぎには注意」
「大丈夫です、智子中尉みたいには…ならないと思います…あ、ジントニックを!」


***


【さらに1時間後】


「…ジントニック…トニック無しで」
「エッ、エルマ…どうしたねー?;;」

エルマの目が完全に据わっていた...

「あん?」
「ジントニックのトニック無しじゃただのジンだな」

とタバコを吹かし始めるビューリング。

「そこぉ!何か言いましたぁ?」
「だからジントニックのトニック無しじゃ」
「うるさい!もっと短く言ってください!!!!」
「え…?」
「ったくぅ…この隊は全く、規律がなってないんですよぉ規律がぁ」

いつの間にかエルマは度数の強い酒の瓶を持ち、空のコップに注いでいる...

「ちょっとエルマ!飲みすぎねー;;」
「うっさい、黙ってろおっぱいバカ」
「お…おっぱいバカ…?」
「そこのパッツン小娘」
「…へ???」

エルマに指ざしで指名されるハルカ

「ちょっとこっち来い」
「えと…エルマ中尉…??」
「良いから隣に座れってんだぁ!!!」
「はいぃ!!」

すぐさまハルカはエルマの座っているソファーへ移動し、隣に移動する。

「…おい、そこのパスタも!」
「はい…」

エルマが怖いのか、珍しく若干怯えているジュゼッピーナも呼ばれる…。

「あ、あの…智子中尉は呼ばなくて大丈夫なんですか???」
「あぁん?」

智子は既にソファーにて寝ていた

「よ〜しよしよし…」
「ひぃぃぃぃ!!!」
「こここ今度晩御飯のおかず…一品差し上げますからお許しをぉ!!」
「ねえぱっつん小娘とパスタ〜♪」
「は、はいぃぃぃ?」

恐る恐るハルカがエルマの方を向くと、満面の笑みが広がる…
そしていつでもキスが出来るじゃないか?と言う距離で…










ゴンッ☆

71 名前:名無しさん:2010/12/19(日) 22:37:46 ID:R31D9u8M
>>70の続き。





「キャアアアアアア!!!!」

なんとハルカはエルマによって頭突きされたのであった…
そしてハルカは気絶。

「ちょっと…中尉、どうしたんです?」
「あれぇ〜?パッツン小娘、額から血が出てるぅ〜あはははは」
「ヤバい…逃げるねー!」

キャサリンは未だ本を読んでいるウルスラを無理やり引っ張ろうとすると…

「あはは〜!そうはさせるもんですかぁ〜!!!!」


***


チュンチュン...


「あれ…っ?私ってば…」

エルマが朝起きると、医務室のベッドの上に居たのだ…。

「…気がついたか」
「ビューリング大尉…おはようございます」
「あぁ、おはよう」
「あの…昨日、私…?」

シャーッ!!

すると突然、ベッドを囲っていたカーテンが開かれる。

「エルマ・レイヴォネン中尉!あなたは…あなたはなんて事を…っ!!!!」
「ハッキネン大尉!!??」
「貴官に10日間の自室禁固、そして7日間の社会貢献活動を命じます!」
「…へ???」
「本当は営倉入りにしようとも思ったんですが…」
「え…?えと…よく話が見えないのですがぁ…;;;」

するとビューリングは無言で立ちあがり、どこからかテレビを持って来て電源を付けた。

72 名前:名無しさん:2010/12/19(日) 22:38:40 ID:R31D9u8M
>>71の続き。




「………」

映像の内容は、密かにビューリングが昨夜の忘年会を16mmカメラで撮影したもので、それを編集したものだ。
内容としてハルカに頭突きを決めた後の様子が生々しく映し出されていたのだ
例えば、必死に逃げようとするキャサリンとウルスラに向かって客がキープしてあったボトルの数々を投げつける。
必死にそれを止めようとするジュゼッピーナに対し、チョークスリーパーホールドを決める。
そして寝てるのを良いことに、智子を全裸にしそしてそのまま体上につまみとして出されたチーズやサラミを盛りつける…いわゆる「女体盛り」をしたのだ…。

動画は『劇終』という文字と、銅鑼の音と共に終了した。


「どうだ?」
「わあ…ジャッキー・チェンの映画のエンディングみたいですねぇ、NGシーンが流れるみたいで」
「そんな冗談言ってられるのか?」
「………そそそそそんなわけないじゃないですかぁ!!!!どうしましょぉ〜ビューリング大尉ぃ〜!!私、とんでもない事をみなさんにぃ〜(泣)」
「そうだな…こればかりは、謝るしか」
「そうですよねぇ、そうですよねぇ…(泣)」

そして必死に謝ったが、キャサリン以外(彼女は「しょうがないねー、エルマもストレスが相当溜まってたのねー」と許してくれたが)は口を聞いてくれず、
もっと言えば智子の訓練においてエルマだけ厳しくなったり、ハルカとジュゼッピーナは全然気にしてませんよと言いつつ地味な嫌がらせを数日間受けたエルマであった…。

エルマが虐げられてるのを見て、ウルスラはこう呟いた…。

「酒は飲んでも…飲まれるな…」




みなさんもほどほどに。






【おわれ】

73 名前:名無しさん:2010/12/19(日) 22:41:39 ID:bJwM9RbM
>>69
GJです、ところでビューリングって大尉ではなく少尉では?

74 名前:名無しさん:2010/12/19(日) 23:48:59 ID:0imLA2i2
>>69です。

>>73様。
あ!今、まとめwiki見たら少尉でしたね〜('A`)
すみません;;;

75 名前:名無しさん:2010/12/20(月) 03:25:45 ID:.S4y8eNc
ウルスラに被害がなかったのはビューリングが匿ってたからだな
ウルスラがちょっと震えながらビューリングの服とかをギュッと掴んでるといいと思う

76 名前:名無しさん:2010/12/21(火) 12:46:33 ID:P6eVDfDc
>>68 丈の長い服を着ているということはつまりミーナとリーネが結婚したということですね俺得です

77 名前:名無しさん:2010/12/22(水) 17:19:36 ID:EbAN2ATY
百合スレまとめサイト消えちゃったの?

78 名前:名無しさん:2010/12/22(水) 18:30:42 ID:rMNsiQRU
http://rejec.net/
元サーバが物理的に故障しちゃったらしい
対応は早くても年末年始以降になるとか

79 名前:名無しさん:2010/12/22(水) 19:04:50 ID:EbAN2ATY
>>78
oh…
残念だ
サンクス

80 名前:名無しさん:2010/12/22(水) 20:41:09 ID:kULvG7sc
キャラソンCD発売中止ってマジか…
嘘だと言ってよバーニィ…

81 名前:名無しさん:2010/12/23(木) 01:02:25 ID:0bjPmq4w
先生に怒られたいがために色んなウィッチに手を出しまくる伯爵って電波をいまさっき受信したんだな

82 名前:mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2010/12/23(木) 01:25:46 ID:5gr1RUbg
>>57 5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2様
GJ!伯爵が手紙でも暴走w と思ったらロスマン先生までw
ホント、みんな良いキャラですよね。面白かったです。


>>69 Hwd8/SPp様
GJ! 賑やかないらんこ中隊良いですね。
面白かったです。


こんばんは、mxTTnzhmでございます。
そう言えば冬至だなー、と思い付いたネタを短くざっと書いてみました。
キャラ間の呼称については、フミカネ先生のSSを元に
「こうだろうな」と言う感じで書いていますのでご容赦を。

83 名前:citrus:2010/12/23(木) 01:27:22 ID:5gr1RUbg
 504基地の片隅に設置された扶桑式の風呂。隊員達の憩いの、そして癒しの場。
 浴槽に浮かぶ黄色い物体をひとつ取り、ドミニカは不思議そうな顔をジェーンに向けた。
「何で柑橘類を風呂に入れるんだ?」
「これって扶桑の風習だそうですよ。このユズとか言うのと一緒に風呂に入ると風邪ひかないとか」
 扶桑の風習はよく分からん、と呟くドミニカ。恐らく醇子辺りが、錦と天姫の為に本国から取り寄せたんだろうと推測する。
 でも、こうして皆ものんびり入ってると言う事は彼女なりの……、なるほど。とドミニカは軽く頷いた。
 一人柚子を持って頷いているドミニカを見て、不思議そうな顔をするジェーン。
 ぽたり、と天井から結露した雫が垂れる。
「ひっ、冷た! 大将、早く入りましょうよ」
 言われたドミニカは振り返って言った。
「ジェーンは入らなくても大丈夫だな」
「何でですか大将」
「アレは風邪ひかないって言うだろ……いたた」
「馬鹿なのは大将です!! さっさと入るです!」
 ジェーンに掴まれ、どぼんと肩まで湯に浸かる。
 誰かが握り潰したのか、柚子の残骸が幾つか湯の底に沈んでいる。
 しかしほのかな香り、少しだけひりっとした感触の湯は思ったよりも心地良く、身体を温める。
「美容にも良いらしいって、さっきフェルが言ってた」
 先に風呂に入っていたパティが柚子を指して言った。横でぼんやりと柚子を眺めていたアンジーもパティの声に反応する。
「隊長は真っ先に入ってたけど……そんなに効果が有るんだろうか」
「ま、竹井の言う事だから案外効果あるんじゃない?」
「らしい……か」
 つんつんと湯に浮かぶ柚子をつつく。
「皮と実から出るオイルとかエキスが良いんだって。もっと綺麗になったら私ホレちゃうかもね〜」
 ニヤニヤしながらアンジーを見るパティ。
「こ、こら! 私をそんな目で見るな! 可愛いとか関係無いだろ!」
「やだもうアンジーったら、可愛いんだから」
「……もう出る」
 顔を真っ赤にして浴槽から立ち上がるアンジー。照れか湯の火照りかは分からない。
「もうちょっとだけ一緒してよ、アンジー、お願いだから」
 パティにすがりつかれ……アンジーはやれやれと言った顔でもう一度ゆっくり浴槽に腰を下ろした。
「仕方ない」
 そんな二人のやり取りを見ていたドミニカ。
「大将、どうしたんです?」
「美容に良いらしい」
「さっきアンジェラさんとパトリシアさんが言ってたじゃないですか」
「ひとつ貰っていくか」
「へっ?」
 周りに浮いていた柚子の中でも特に色艶の良いのをひとつ掴むと、ざばあとドミニカは立ち上がる。
「さ、出るぞジェーン。一つ試したい事が出来た」
「それは何です?」
「まあ、来れば分かるさ。じゃあお先に」
 ドミニカは、浴槽から出たばかりのジェーンを引っ張り、風呂から去っていった。

 そんな“おしどり夫婦”を見ていたパティは、アンジーの脇をちょちょっと突いて言った。
「ねえ、どう思う? あの二人?」
「……割とどうでもいい」
「やっぱり……」
 湯気がほのかに香り、水蒸気となって窓や天井に付着し、雫となり、垂れ、落ちる。
 ぽたりと、一滴アンジーの頭に落ちた。
「つめたっ」
「水も滴る……ってね」
「風呂だぞ」
「そう言えばそうね」
 それきり何も言わず、ただそっと寄り添い、風呂を楽しむ二人。
 のんびりと、冬至の夕暮れは過ぎて行く。

end

84 名前:名無しさん:2010/12/23(木) 01:27:41 ID:5gr1RUbg
以上です。
504もフミカネ先生のご活躍で、
だいぶキャラが固まってきた感じですかね?
502と合わせて先が楽しみです。

ではまた〜。

85 名前:LWqeWTRG:2010/12/23(木) 04:36:18 ID:aB5UY9eA
>>84
GJです。
504も濃いい面子が揃ってますよね。
いろいろ暴れてくれそうで楽しみです。


もうそろそろ早朝という時間ですが眠れないので投下します。
幼稚園児ネタとかいうイミフな電波を受信して書いてしまったので変なものになってます。
それでもよろしければどうぞ。
2レスえいらにゃです。

86 名前:名無しさん:2010/12/23(木) 04:37:21 ID:aB5UY9eA
「ねええいらちゃん」
「なあにさーにゃちゃん」
「なにしてるの?」
「たろっとのれんしゅー」
「たろっと?」
「ひとのうんせいをうらなうんだよ」
「へー、すごいねー」

「ねええいらちゃん」
「なあにさーにゃちゃん」
「わたしのもうらなえる?」
「さーにゃちゃんのうんせい?」
「うん」
「いいよっ、うらなったげる! こっちきて!」
「うんっ!」

「こほん、それではさーにゃちゃんのうんせいをうらないます」
「はーい」
「…えっとね、まずはかーどまぜて……、これをこうして……」
「わくわく」
「あれ?」
「え?」
「う」
「どうしたの?」
「えへへ…、まちがえちゃった……」
「そっかぁ…、つぎはがんばってね」


「ねえさーにゃちゃん」
「なあにえいらちゃん」
「ねむたくなあい?」
「うん、だいじょうぶ」
「おなかすいてなあい?」
「だいじょうぶ」
「そっかぁ」
「ねむたくなったらえいらちゃんといっしょにおひるねする」
「…うんっ!」


「ねえさーにゃちゃん」
「なあにえいらちゃん」
「ぴあのひいて?」
「うん、いいよ」

87 名前:名無しさん:2010/12/23(木) 04:38:12 ID:aB5UY9eA
「♪」
「わたし、さーにゃちゃんのピアノだいすきなんだ」
「ふぇっ?」
「きれいで、あたたかくって、すっごくすてき!」
「や、やだ、えいらちゃんってば…」
「だってほんとのことだもん。わたしさーにゃちゃんだいすき!」
「!?」

「さーにゃちゃん…?」
「あ、あの…えっとね…?」
「うん…」
「しあわせに、してください…」
「え? うん」
「ほんと!?」
「う、うん」
「じゃあ、わたしえいらちゃんのおよめさんだねっ」
「ええっ!?」
「わたしたちけっこんするんじゃないの…?」
「えええっ!? なんで!?」
「ふぇ…してくれないの…?」
「うぇぇっ!? いやっ、ちがっ、…する! けっこんする!」
「…ほんと?」
「ほんとほんと! わたしがさーにゃちゃんをまもってあげる!」
「えへへ…、ありがと」


「けっこんするならちかいのきすしなくちゃ」
「きす?」
「ちゅーするの」
「!!?」
「どうしたの?」
「ちゅーしたら、あかちゃんできちゃう!」
「え?」
「わわわわたしたちにはまだはやいよさーにゃちゃん!」
「だいじょうぶよ、えいらちゃん」
「?」
「えいらちゃんのあかちゃん、きっとかわいいから!」



END

88 名前:名無しさん:2010/12/23(木) 04:41:21 ID:aB5UY9eA
以上です。
ひらがなばかり読みづらくて申し訳ないです。
タイトルは「ほしぞら幼稚園」です。

それでは失礼します。

89 名前:名無しさん:2010/12/23(木) 08:58:53 ID:u5yfEDQg
>>88
なんとロリロリしい…
ともかくGJです

90 名前:名無しさん:2010/12/23(木) 21:37:30 ID:qvOHhkJg
>>88
これは素晴らしい!頭身低いエイラーニャ可愛い過ぎる
GJ!

91 名前:名無しさん:2010/12/24(金) 00:00:56 ID:QV3JTF0c
キャラソンCDって延期になったんですか?それとももう発売されないんですか?

92 名前:名無しさん:2010/12/24(金) 06:10:51 ID:Wmffo2Fk
>>81
なにそれ素敵

93 名前:5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2010/12/25(土) 01:59:36 ID:00EtlIPc
>>69 Hwd8/SPp様
GJ! 面白かったです。
酔っ払ったエルマさん、鬼畜w

>>82 mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c様
GJです。ドミジェンは鉄板として
パティ×アンジーの雰囲気もいいですね。

>>85 LWqeWTRG様
GJです。ちびエイラーニャが可愛すぎて悶えました。
他のキャラVerもぜひ見てみたいです。

こんばんは、2時間近く遅れてしまいましたが、ルッキーニの誕生日SSが出来たので投下していきます。
シャッキーニ(むしろルッキーニ×シャーリーかな?)で2レスお借りします。
ではどうぞ

94 名前:ゴニョゴニョするの 1/2:2010/12/25(土) 02:00:27 ID:00EtlIPc

「う〜ん、どうしよっかなー」
商品棚に並んである可愛らしいぬいぐるみを見ながら、あたしはぽつりと呟く。
ここはローマのとあるお店。
以前、ルッキーニや宮藤と一緒に買い出しに来たこともあるこのお店であたしが何を探しているのかと言うと……

「あら、シャーリー大尉じゃない」
「ん? その声は……」
聞き覚えのある声に呼ばれ、振りかえるとそこにいたのはフェルナンディア、マルチナ、ルチアナの3人。
504の赤ズボン隊の面々だ。
「おう、ティナにルチアナ。それに、フェルニャニュデュ……」
「フェルナンディアよ。わざとやってるでしょ」

あたしがわざとらしく名前を噛んだことにむっとして、頬を膨らませるフェル。
怒ってる表情も可愛らしい奴だな。

「ごめんごめん、ほんの冗談だよ。それで、フェル達はどうしてここに?」
「物資の補給です。ここには大抵のものが揃ってますから」
「そう言うシャーリー大尉こそ、どうしてここに?」
「実はさ、ルッキーニへの誕生日プレゼントを買いに来たんだ。まぁ、まだ何を買うかは決めてないんだけど」
「へぇ〜、ルッキーニちゃんってもうすぐ誕生日なんだ? 何日生まれなの?」
「24日だよ」
今日は12月21日、ルッキーニの誕生日が3日後に迫ってるというのにあたしはと言えば、まだ彼女へのプレゼントを決めていなかった。
いっそのこと、出かける前にルッキーニにそれとなく何が欲しいのか聞いとくべきだったな。

「クリスマスイブに誕生日だなんてなんだが素敵ですね」
と、目をきらきらさせながら言うルチアナ。
「そうかなぁ? クリスマスプレゼントと誕生日プレゼントを一緒にされそうだし、ぼくは嫌だな……あっ、そうだ!
良いこと思いついたよ。フェル、ルチアナ、ちょっと耳貸して。ごにょごにょ……」
ティナがニヤリと笑いながらフェルとルチアナにこっそりと耳打ちをする。
一体何の話をしてるんだ?
「あら、それは名案ね。シャーリー大尉、ちょっと来てもらえるかしら?」
「へ?」

――数分後、パンタローニロッシグッズ、いわゆる赤ズボン隊のグッズが置いてあるコーナーにあたしは連れてこられていた。

「こ、これをあたしがルッキーニにプレゼントするのか?」
「そうよ。可愛いでしょ」
猫の模様が入った赤いズボンをあたしに見せながら、フェルは微笑む。
確かに、赤ズボン隊のグッズが売ってるっていう話は前に聞いたけど、まさか赤ズボンそのものが売ってるとは。
なんでもロマーニャではこの赤ズボンをクリスマスにプレゼントする習慣があるのだとか。
「それで、シャーリーはルッキーニにこれをプレゼントして、こう言えばいいんだよ。ごにょごにょ……」
ティナが今度はあたしにそっと耳打ちをしてきた。
「な!? あたしがそれをルッキーニに言うのか!?」
「うん。そうすればきっと、シャーリー達は素敵なクリスマスを過ごせると思うよ」
満面の笑みをあたしに向けながらそう言うティナ。
可愛い顔して随分と大胆なことを言う奴だ。赤ズボン隊、恐るべし。

95 名前:ゴニョゴニョするの 2/2:2010/12/25(土) 02:00:54 ID:00EtlIPc

――そして、ルッキーニの誕生日当日

「じゃじゃーん! みんな、見て見て〜」
クリスマスパーティー兼ルッキーニの誕生会が終わり、みんなが談話室で談笑しているところに、
ルッキーニがあたしがプレゼントした赤いズボンを身に付けて入ってきた。
……やばい、可愛すぎる。
今のルッキーニにはいつもの縞々のズボンを穿いてる時とはまた違う可愛らしさがあって、なんだかすごく胸がドキドキしてくる。
お、落ちつけシャーリー。ここでドキドキするのはまだ早いぞ。
「わぁ、ルッキーニちゃん、可愛い〜」
「でしょでしょ? 芳佳、もっと褒めて〜。ねぇシャーリー、どう? 似合ってるかな?」
「ああ、似合ってるぞ。なぁ、ルッキーニ」
「なに、シャーリー?」
いよいよだ、いよいよ3日前、ティナに耳打ちされたことをルッキーニに言う時が来た。
あたしの胸の鼓動は先ほどより一層高鳴りを増す。
「実はさ、そのズボン、誕生日プレゼントじゃなくてクリスマスプレゼントなんだ」
「へ? それってどういう意味?」
「誕生日プレゼントが別にあるってことさ」
「え、本当!? どこにあるの?」
ルッキーニが目をきらきらさせながら、あたしの方を見てくる。
あたしは、そんな純粋なルッキーニの唇にそっと口付けを落とす。
「んっ……シャーリー?」
「……ルッキーニ、あたしを誕生日プレゼントに貰ってくれないか?」
「え?」

談話室に少しの間、沈黙が流れた。
その場にいた全員が、顔を真っ赤にしながらあたし達のことを見ていた。
最も、ハルトマンと坂本少佐は半分ニヤついていたけど。

「……それってつまり、あたしがシャーリーのことを好きにしてもいいってこと?」
沈黙を最初に破ったのはルッキーニだった。
心なしか彼女の目はさっきより一層輝いてるように見えた。
「ああ。なんてったってあたしはルッキーニの誕生日プレゼントだからな」
「ぱふぱふやゴニョゴニョもOK?」
「ああ、もちろん」
あたしがそう応えると、ルッキーニが今日一番の笑顔で笑ってくれた。
「やたっ! ぱふぱふし放題〜。じゃ、行こっシャーリー」
あたしはルッキーニに腕を引っ張られながら、談話室を後にする。
なぁ、みんな。
もしあたしがルッキーニにぱふぱふやゴニョゴニョされて明日の朝起きれなくて、
寝坊したとしても大目に見てくれよ。

〜Fin〜

96 名前:5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2010/12/25(土) 02:02:27 ID:00EtlIPc
以上です。ルッキーニ、誕生日おめでとう! それと遅れてごめん。
ちなみに、イタリアでは本当にクリスマスに赤い下着をプレゼントする習慣が
あるようです。
ではまた

97 名前:名無しさん:2010/12/25(土) 10:25:27 ID:bqArtca6
>>96
GJ!シャーリーお持ち帰りキタコレ
クリスマスに素晴らしいSSをありがとうございました。

98 名前:名無しさん:2010/12/25(土) 20:04:02 ID:eHNSsd9A
こんばんは、DXUGy60Mです。
クリスマスということで、クリスマスSSを投下致します。
最後までお読み頂けたら幸いに思います。

99 名前:Nacht vergangener Seelen:2010/12/25(土) 20:07:28 ID:eHNSsd9A

「騒がしいものだな、サトゥルヌス祭というものは」
「はい」
金と銀。好対象の髪を持つ二人は、窓の外の喧騒に目を遣る。
表では数人のウィッチが来たるサトゥルヌス祭のために色とりどりの飾り付けをしていた。
「街のほうでは、もっと賑やかみたいですよ」カップを持った両手を膝に揃えるようにしながら、
ハイデマリー・W・シュナウファーは右に視線を送る。
「まぁ、1年に1度の楽しみであるからな」
ムダの無い、スラリとした足を組み直しながら、ハインリーケ・プリンツェシン・ツー・
ザイン・ウィトゲンシュタインはカップの中の黒い液体を身体に流し込んだ。
「楽しい・・・んでしょうね」
「ん? まるでサトゥルヌス祭を楽しんだことの無いような口振りではないか?」
ハイデマリーがボソリとつぶやいた言葉を、ハインリーケは聞き逃さなかった。
「いえ・・・楽しかった思い出はあります。でも・・・それは・・・」
「それは?」
ハインリーケはカップを傾けながらも視線だけは、ハイデマリーを見据えていた。
「その・・・幽霊とサトゥルヌス祭を過ごしたんです」

何度かお話ししたことがあると思いますけど、私は小さい頃は魔力を上手く制御できなく
て、家からは一歩も出られなかったんです。部屋には暗幕が垂らされて、光源は小さな豆電球が一つ。
ただ、それっぽっちの光でも私には十分過ぎる光でした。
いつも部屋は白っぽい光で満たされていましたけど、私の心はそれ以上に暗く沈んでいました。
誰とも会えない部屋で、いつ終わるかわからない時間を過ごす。
楽しみといえば本を読むことばかり。
ただ・・・物語の主人公のイキイキとした姿を見る度に、私は・・・こんなところで何をしているんだろう。と自分の境遇が怨めしくなりました。
そして、囚われのお姫様が救い出される度に、誰かが私をここから連れ出してくれるのでは、と淡い希望を抱きました。
でも、外の世界では私は生きられない、外の世界の光が・・・私から光を奪う。
どうしようもない現実の壁はちっぽけな私の希望を閉じ込めました。
現実の世界にも虚構の世界にも私の行くあてなんか無かったんです。

私には、本当に何も無かった。

何もせず。ただ時間が過ぎるのを待つ日々が増えていきました。
・・・でも、両親は健在でした。カーテンを閉め、僅かなロウソクを立てての夕食。
これが私にとって唯一世界と繋がる方法で、生きている喜びを感じられる瞬間でした。
その日は、七面鳥やケーキが並べられていました。サトゥルヌス祭のお祝いでした。
当然、きらびやかな飾りなんかはありませんでしたけど。
夕食を終えて、プレゼントの本を抱えながら部屋に戻りました。
そしたら・・・無性に寂しくなりました。
サトゥルヌス祭のお祝いをしてくれたのは嬉しかったけど・・・楽しくはなかったんです。
本当は本に描かれたきらびやかなパーティーをしてみたかった。
たくさんの友達を招いて、皆でおしゃべりをして、歌を歌いたかった。
友達なんて一人もいはしなかったんですけど。
私は、ベッドにもぐりながら窓をじっと見つめていました。
もしかしたら、サトゥルヌス神が窓を叩いて私を連れ出してくれるんじゃないかなって。でも、いつまでたってもサトゥルヌス神は現れませんでした。
そんなことはわかりきっていたことですけど、それでも私は窓辺に近づき、普段開くことのない暗幕を開きました。
その時でした。
私の目の前には、窓の外の世界には、淡い月の光を受け、白く輝く幽霊たちがいたんです。彼らは無言でした。
でも、ゆらゆらと楽しげに空を舞う姿を見ながら、私は気がつくと涙を流していました。
そこにある世界が、夜の闇の中でしか生きられず、そこでしか輝くことのできない彼らの世界こそ、私が生きるべき世界なんだ。
私はそう思いました。
そして、彼らがいなくなるまで私は、その時間、空間を幸せな気分で過ごしていたんです。

100 名前:Nacht vergangener Seelen:2010/12/25(土) 20:17:22 ID:eHNSsd9A

「で、それで終わりか?」
「は・・・はい」
「だらだらと長い話の終わりがそれか、下らぬ」
ハインリーケは酷く長いため息をつく。
ハイデマリーはこうなることを予期してか、表情を変えることなく俯く。
いや、そもそも表情のバリエーションが少ないのかもしれない。その心情を表情から察することは出来ない。
「幽霊たちと過ごしたと言うから何事かと思えば、そんなものはただの雪であろう。雲間
からの月の光が雪に反射したものを、当時のそなたの目の夜間視能力によってその淡い光を
多く取り込み過ぎた。それが幽霊のように見えた。ただそれだけであろう」
「はい、恐らく」
「長い時間を費やしてこれだけか」
ふぅ、と再びため息をつきながらはハインリーケ立ち上がった。
「わらわは部屋に戻る」そう言いながら立ち去ろうとしたがふと向き直ると、
ハイデマリーを指差し「そうだ、そんなに友人が欲しいのなら、靴下に入れておいてもら
えるようにサトゥルヌス神にでも頼んでおいたらどうだ」
言い終わると、皮肉めいた微笑を残して、スラリとした肢体を反転させさ、その場を去った。
ハイデマリーはその姿を見ながら、ハインリーケの言った通りにすべきなのかもしれないと、またも俯いてしまった。

101 名前:Nacht vergangener Seelen:2010/12/25(土) 20:17:56 ID:eHNSsd9A

サトゥルヌス祭当日の夜。

ハイデマリーはシフト関係で夜間哨戒の任務は無く、早々に床に入った。
いつ頃だろうか。
ハイデマリーは自分を呼ぶ声が聞こえるような気がした。
しかし、どうせ気のせいだとハイデマリーは目を閉じたままだ。
だが、おい! わらわの声が聞こえぬのか! ハイデマリー・W・シュナファー!
間違いなく自分を呼んでいる声にハイデマリーは何事かと目を開いた。
眼前にはハインリーケがいた。
「・・・あの、なんでしょう? 緊急の召集でしょうか?」
「まさか、本当に友人が欲しいと書いてはおらぬだろうな?」
「え? ・・・いえ、書いていませんが」どうも会話がちぐはぐだ。
「そうか・・・ならば耄碌したサトゥルヌス神が何か勘違いをしたのだろう。まったく。
突然連れ去られたときには、営利目的の誘拐事件か何らかの策謀かとも思ったが、まさかここに行き着くとは」
ハインリーケは両腕を組み、憮然とした調子でそう呟く。
ハイデマリーは何となく自分の置かれた状況を理解したが、それでも不思議そうにハインリーケを見詰める。
ふと、足元に目がいく。
ハインリーケはブーツを履いたまま、片足だけが靴下に突っ込まれている状態だった。
その靴下にハイデマリーは見覚えがなかった。

102 名前:Nacht vergangener Seelen:2010/12/25(土) 20:18:12 ID:eHNSsd9A

「しかし、目が冴えてしまったな。ハイデマリー!」
「は、はい」
「わらわの身体に適度な疲れをもたらすために夜間飛行としゃれこもうではないか」
「え?」
「既にストライカーユニットは用意してある」
「・・・既に?」
「たまたま用意されていた」
小首を傾げながらのハイデマリーの言葉を言下に遮り、ハインリーケは窓に近寄りそれを開いた。
肌を刺す風が流れ込む。窓の下には確かにストライカーユニットが設えてあった。
「さぁ。参いろうか」
「あ・・・あのまだ準備が」
ハイデマリーは薄手の寝間着姿のままだ、これでは外に出ては寒い。
「上着はこれを着れば良い」ハインリーケは、足元にあった何かをハイデマリーに向かっ
て放り投げた。ハイデマリーはそれを受け取ると、手のひらに滑らかな感触と暖かみを感
じた。渡されたのは上品に仕立てられたベルベット地のコートであった。
これもハイデマリーには覚えが無い代物だった。
ハイデマリーがコートに腕を通していると、「これも使うが良い」そう言うと、
自分のブーツといつの間にか一揃えになった靴下を手渡された。
ハイデマリーは慌ててそれらを着込むと、窓辺に近づく。
ハインリーケは、既にストライカーユニットを装着し、身体を部屋に向けながら中空に浮遊していた。
「あ・・・あの、私はどうすれば」
「飛び込めば良い」
「え?」
ハインリーケはにわかに腕を広げた。
「怖がるで無い。下手な地面より余程盤石だ」
ハインリーケは自信に満ちた目でハイデマリーを見つめた。
ハイデマリーはその瞳に応えるように、窓枠に足をかけると夜の闇に身体を踊らせた。

「誰かを抱いての夜の飛行は初めてだな。ハイデマリー、誰かに抱かれて空を飛ぶのは初めてか?」
「はい」
身長差のある2人であり、ハイデマリーは出来る限り身を縮めての腕の中に収まろうとしていた。
ハインリーケの腕の中は暖かく柔らかくて、とても良い匂いがした。香水のようでもあるが、
ハイデマリーには匂いの元は判然とせず、ハインリーケが生まれながらにこの匂いを纏っているようにも思えた。
「星も月も今夜は見えぬな」
ハイデマリーは顔を上にあげる。空は厚い雲に覆われていた。ふと、頬に冷たさを感じる。
「雪か。白きサトゥルヌス祭というわけだな」
天空に向けた2人の視界には、ちらちらと雪が舞い降りてきていた。
「寒くはないか?」
ハインリーケの腕の力が強まる。
「いえ、大丈夫です」ハイデマリーも自然とハインリーケの首に回していた腕の環を縮め、
ハインリーケに身体を密着させた。
「・・・柔らかいな」
「え? 何ですか?」
「何でもない」
ハインリーケはどこかムスッとした顔つきとなる。
「あっ」
「ん? どうした?」
「月が」
天空の暗幕に切れ目が入る。そこから、夜の女神が顔をのぞかせた。
舞い落ちてくる雪は、女神の祝福を浴びるようにして夜の闇の中でその存在を一層強調した。
「ハイデマリー」
「はい?」
「今も幽霊に見えるか?」
「いえ、流石に今は」
ハイデマリーは雪を見ながら自嘲気味な表情を浮かべた。
あの時あんなに憧れた存在にも関わらず、それはただの自然現象にしか見ることはできなかった。
「もう一緒にいる必要もあるまい。・・・今はわらわがいるであろう。わらわはあの亡霊どもに負けるのか?」
「いえ・・・そんなことは」
ハイデマリーはハッとしてハインリーケを見つめる。
「そうであろう」ハインリーケは、勝ち誇った満足気な笑みを浮かべた。
「それに・・・こんなぬくもりは、あのものどもでは味わえぬぞ」
ハイデマリーは幽かに口元を緩める。本当に、本当に心地の良い空間だった。

・・・うん。

Fin

103 名前:mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2010/12/25(土) 22:53:51 ID:seowT7Jw
>>88 LWqeWTRG様
GJ! ちいさなエイラーニャ、これはほっこりしますね!
幼稚園の砂場とか、部屋の片隅で普通に会話してそうで和みました。

>>96 5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2様
GJ! プレゼント&お持ち帰りキター! これは萌えます!
赤ズボンの3人が普通に言う辺り流石ロマーニャ人はひと味違うw

>>102 DXUGy60M様
GJ! 姫様かっこいい! もうハイデマリーのナイト(騎士)と言うか守護者ですね!
ハイデマリーの思い出も儚げで良いです。素晴らしいです。


こんばんは、mxTTnzhmでございます。
今夜はクリスマス……SW世界では別名らしいですが、
とりあえず思い付いたネタをひとつ。
保管庫No.0450「ring」シリーズ続編となります。
ではどうぞ。

104 名前:ribbon 01/03:2010/12/25(土) 22:54:26 ID:seowT7Jw
 年末の祝祭日、久しぶりにちょっとした贅沢な夕餉の席での事。
 シャーリーは、風呂上がりのトゥルーデに異変を感じた。
 いつもはぎゅっと縛っているふたつのお下げ。ひとつが無い。
 左のひとつはいつも通りぎゅっと髪をまとめているが、右にあるべき結びは無く、髪がはらりはらりと、ほつれ、艶やかにしだれている。
 思わずごくり、と唾を飲み込むシャーリー。
「な、何だシャーリー。私をそんな目で見るな」
「え、どんな目してた?」
「いや……何でもない」
 歯切れの悪いトゥルーデ。
「いや、あんたの髪の毛、片方縛ってないからどうしたのかと思ってさ」
「こっこれは……」
「また何かやったのかい?」
「違うんだ。風呂で、ハルトマンにちょっとした賭けで負けて……その」
「あー、それ以上は言わなくて良いよ。大体分かる」
「そうか」
「でもさ。珍しいね、堅物が賭けするなんて。それに……」
 ずいと近付き、ふふんと笑ってトゥルーデを見るシャーリー。
「こうして見ると、なかなかどうして、あんたも可愛いな」
「なっ、何を言う! リベリアン貴様からかっているな!?」
「あー。言い方が悪かった。美人に見えるぞ」
「……」
 悪意の無い笑顔で言われ、言葉に困るトゥルーデ。
「あ、いたいたシャーリー!」
「おおー、ルッキーニ。どうした」
「みてみて、あたしの髪〜」
「おお。よく見たら結び方変えたのか〜面白いな」
「でしょでしょ?」
 よく見るとトゥルーデと同じ様な結び方をしている。
「なんかバルクホルンに似てないか?」
「ウニュー ハルトマン中尉にじゃんけんで負けてこんな髪に」
「何だ、ルッキーニもハルトマンにやられたのか。風呂で何やってたんだよ。しかしこうやって見ると……姉妹、には見えないか」
 ニヤニヤ顔のシャーリーはルッキーニとトゥルーデを見比べて言った。
「あのなあ、リベリアン……」
「やーだー、あたしシャーリーがいいんだもん!」
 シャーリーの胸に顔を埋めるルッキーニ。
「あはは、ルッキーニは可愛いなあ」
「……やれやれ。今日はサトゥルヌス神祝祭だと言うのに」
 シャーリーとルッキーニのやりとりに付いて行けず、席に戻る。

105 名前:ribbon 02/03:2010/12/25(土) 22:55:12 ID:seowT7Jw
 いつの間に来ていたのか、エーリカがにやついてトゥルーデを待っていた。
「どう?」
「どうと言われても……結んでいないと何かと不便だ」
「そうじゃなくて、周りの反応」
「え?」
「トゥルーデ鈍感だから……」
 エーリカは、トゥルーデの縛り紐をひとつ手にしてにやけ、周囲を見た。
 つられて一緒に他の隊員を見る。
 ペリーヌと視線が合う。はうっとした顔を一瞬見せたペリーヌは、ぷいと顔を背けた。
 芳佳とリーネはこっちを見てひそひそと何か話していたが、トゥルーデの視線を受けてびくりと身体を震わせて食事に専念する。
 サーニャは、寝起きなのかぼけーっとトゥルーデの髪を見て居たが、エイラに無理矢理食事を食べさせられる。
「ほらね」
「何?」
「少し感じ変えただけで、みんなトゥルーデの事気になって」
「普段と勝手が違うから皆戸惑っているんじゃないのか」
「違うんだな〜これが。ねー、ミヤフジ」
「は、はい!?」
「どう? トゥルーデの、この髪」
 言いながら、さりげなく下ろされた髪の毛をふぁさっとトゥルーデの顔の前に持ってくる。
「はい! 凄く可愛いと思います!」
「何ぃ!? 可愛いだと?」
「ご、ごめんなさい……でもバルクホルンさん、いつもそんな髪しないから……」
「まあ、な……普段は邪魔にならない様に結んでいるんだが……どうも鬱陶しい」
 本人はばさっと煽ったつもりだったのだが、それがどうにも乙女の仕草に見えたらしく、芳佳とリーネはほわわ、と言った顔をしている。
「な、何だその顔は?」
「バルクホルンさん、いっそ両方下ろしませんか?」
「私は寝る時と風呂以外、髪は縛る主義だ」
「今日だけお願いします! もっと見たいです!」
「見たい? 見世物じゃないぞ」
「ね、トゥルーデ?」
 横で頬杖をついてにやつくエーリカ。
「私からもお願いします。たまには雰囲気の違うバルクホルン大尉も見てみたいです」
 リーネも芳佳と一緒になってお願いに回る。
「私も……少し見てみたい」
「サーニャまで……」
「おい大尉、サーニャが言ってるんダ、少し位良いダロ〜?」
「エイラ、何でお前に命令されないといけないんだ。お前こそ髪を縛れ髪を」
「イヤダネ」
「まあ、今日は半分で勘弁してあげてよ」
 トゥルーデの横に立ち、ふぁさっと、髪をすくい上げて、はらはらとこぼすエーリカ。
「こらエーリカ、勝手に……」
 それを見た隊員達はトゥルーデの前にずいと近付いて言った。
「バルクホルンさん、髪手入れしたらもっと綺麗になれます!」
「そうです、縛ってるだけなんて勿体ないです!」
 いつの間にか隊員に囲まれてたじろぐトゥルーデ。
「いや、た、戦いには必要ないだろう。と言うかこれは個人の勝手だ!」
 席を立ち、皆に背を向ける。髪がなびき、嗚呼、と皆の溜め息が漏れる。
「たまには言う事聞いてよお姉ちゃん」
「!?」
 姉、の単語に反応したトゥルーデは、物凄い勢いで振り向き、声の主を探す。
 何の事は無い、いつの間にか隊員に紛れて茶化すエーリカだった。
「こらエーリカ! 声色変えて何て事言うんだ! 来い!」
 トゥルーデはエーリカの首根っこを掴まえると、食堂から出て行った。
 ミーナは、あらあらと言った感じでその様子を苦笑いして見ていた。

106 名前:ribbon 03/03:2010/12/25(土) 22:55:43 ID:seowT7Jw
 部屋に戻ったトゥルーデとエーリカは、ベッドの上で気怠そうに髪をいじくっていた。
「つまんないの、トゥルーデ」
「遊ばれてる私の身にもなれ……」
「でも、私は良いと思うよ。髪。縛らなくても」
「どうして」
「そうやって縛ってると、何か息苦しくない?」
「動きやすいし邪魔にならない」
「機能的な事じゃなくてさ……見てると何かそんな気するよ」
「そう、言われても」
「じゃあ、私の前では半分で良いから髪解いてよね。そう言うトゥルーデ見ていたい」
 手を伸ばし、髪をすくう。はらはらとしだれ落ちるダークブラウンの髪の匂いを嗅ぎ、そっと口付けする。
「や、やめてくれ……くすぐったい」
「私の髪、ちょっと短いからさ。トゥルーデみたいに長いの、羨ましいよ。いっそミーナみたいに長くしてみたら?」
「うーん……もっと面倒だな」
「そう? 私はちょっと興味有るな」
「まあ……そのうちに」
「とりあえず、今は半分で良いかな」
 トゥルーデに抱きつき、そのままベッドに押し倒すエーリカ。
「後で、全部解いてあげるよ、トゥルーデ」
「また何か思い付いたな、エーリカ」
「ちょっとね。……ねえ、トゥルーデ」
 顔を近付けたエーリカを拒まず、そのまま受け容れるトゥルーデ。
 唇が重なる。
 エーリカは口吻を続けながら、トゥルーデの結んでいる片方の髪を解いた。
「今夜、楽しくなりそうだね。トゥルーデ。今日は何の日か知ってるよね?」
「ああ。家族や大切な人と過ごす日……」
「分かってるなら、ね。トゥルーデ」
「エーリカ……」
 トゥルーデに何も言わせず、エーリカはもう一度唇を重ねた。」

 その頃、ミーナはひとり、部屋の鏡を前に己の髪を見、あれこれ試していた。
「案外、難しいものね……」
「どうしたんだミーナ」
「きゃっ美緒! 部屋入ってくるならノック位してよ!」
「ああすまん、つい忘れてた。……で、何をやっているんだ?」
 不思議そうにミーナの髪を見る美緒。目の前で慌てふためくカールスラントの乙女は、自分の髪を何か結ぼうとしているらしかった。
「ちょっと……ね」
 気まずそうに言うミーナを見て、美緒は笑った。
「結ぶなら、私と同じにしてみるか? 佐官二人で同じ格好だったら、祭のちょっとした余興になるな」
「他の子達がヘンに思うでしょう……もう、美緒ったら。知らない」
「冗談だ……おいミーナ」
 501の“聖なる夜”は変わらず更けていく。

end

107 名前:名無しさん:2010/12/25(土) 22:56:29 ID:seowT7Jw
以上です。
アガハリさんの、髪が半分解けたトゥルーデのイラストを見て
反射的に思い付いたのがこのSSです。
しかし、今日はクリスマスだけどSW世界では「クリスマス」ではなく
「サトゥルヌス神祝祭」なんですね。つい最近知りました……orz

ところで、保管庫早く復旧すると良いですね。復旧楽しみにしてます
&気長に待ってます。

ではまた〜。

108 名前:名無しさん:2010/12/25(土) 23:32:47 ID:7JpSKIXI
こんばんは、Hwd8/SPpです。
今日は様々な方が投稿されてますね(*^_^*)
この流れに乗っかって投稿します!


【ジョゼの減量計画】

「まだおかわりありますよー?」

食堂に下原の声が響く。
この日、ガリア方面から援助物資が届き、その中に名物の菓子である「シュ・ア・ラ・クレム」ことシュークリームも冷凍されて届いたのであった。

「あ、はいはいはい!!!!私、頂きますっ!!!!」

「ジョゼ…お前よく食うなあ…」
と緑茶が入った湯呑を片手に呆れる菅野。

「腹壊すなよ?」
雑誌を読みながら声をかけるニッカ。

「大丈夫、お腹痛くなったら自分がジョゼ君にイチジク浣腸するからねっ!」
と満面の笑みで言うクルピンスキー。

「大丈夫!大丈夫ですからっ!!!!…下原さん、お願いします」
「え…?でも3個目じゃあ…?」
「私、こう見えても『やせの大食い』なんですっ」
「ギャル曽根みたいだね、ジョゼ君」
「まさかぁ〜!」

冗談のつもりで腹太鼓を叩くジョゼ。

ポンッ!

…良い音が鳴ったが、次の瞬間!

バチーンッ!!

「あれっ…?」

バシッ!!!

「あ痛っ!!!!」

なんと、事もあろうかサーシャのおでこに自分の着ていた服のボタンが勢い良くヒットしたのである。
しばらく無言で悶絶するサーシャ。その様子を笑いながらクルピンスキーは、

「うわあ、ホームビデオ大賞が受賞出来るレベルだよジョゼ君;;よりによっておでこにだなんて…あはは」
「ごめんなさいっ、サーシャさん;;;」
「…っ!!ジョゼさんそこに正座!!」
「はいぃぃぃ??!!」

109 名前:名無しさん:2010/12/25(土) 23:33:25 ID:7JpSKIXI
>>108の続き。


食堂のフローリングに正座するジョゼ。
いつの間にか菅野とニッカは居なくなっており、その場にはサーシャとクルピンスキーと正座しているジョゼだけである。

「なんですか?!この肉は!」
ジョゼのわき腹の、少し出た肉をつまむサーシャ。

「痛たたたたた!!!!」
「ちょっと熊さん、暴力的だよ?平和に;;ね?」
「ごめんなさいっ!;;」
「それに熊さん、おでこが赤いし!」
「誰のせいで赤くなったのかしらぁ?」
「ごめんなさ〜い;;」
「ったく…前から言おうと思ってたけど、ジョゼさんは食生活が乱れ過ぎです!」
「ごもっともです…」
「何を食べたか言ってみなさい!」
「えっと…今日のですか?」
「えぇ、今日のよ!」
「まず7時30分に朝ご飯で…食パン2枚ロールパン3個、目玉焼き2個にサラダ1ボール…そしてヨーグルトを食べました。あ、下原さんの分も戴きました」
「…何!?目玉焼き2個だなんて…2つも食べたらあなたコレステロールが!!」
「はいはい、熊さんは検診センターのおばちゃんじゃないでしょー。さっ、続けて」
「…洗濯物干してたりしててちょっと小腹が空いたんで、冷蔵庫にあったチーズを食べました」
「え?!ジョゼさん、2時間30分の間隔でまた食事?!」
「はい。6Pチーズのうち4P食べました」
「ほとんど食べてるじゃないの!!!!」

ジタバタ暴れるサーシャを後ろから抑え込むクルピンスキー。

「さっ続けて」
「12時過ぎにお昼ごはんで…私が担当しました。そして作った鮭のクリームパスタを2人前」
「どうりで私の分が少なかったワケね!!」
「うわあ、熊さん人間的に小さいよ;;;」
「お昼の3時に下原さんとおやつで、扶桑から送られてきたと言う塩大福3つと芋羊羹5切れ頂きました。7時に夜ごはんでふかし芋4個に北欧風ミートボールを2皿、ポタージュスープを3杯おかわりしました」
「………」
「…あれ、熊さんもうコメントしないの?」
「だって…どう言ったら良いのやら…」
「ジョゼ君、それが全てかい?」
「…あ!」
「まだ何かあるんですか??!!」
「…明け方に『キャベツ太郎』食べました」









今度は脱衣所へ移動する3人。

「ふえ〜ん!なんで脱がすんですかぁ?!」

何故か下着姿のジョゼ。

「熊さん…いつもだったら女性のこうゆう恰好見ると興奮するんだけど、今日は興奮しないなあ。どうしてかな?」
「決まってます!ジョゼさんがデバラ焼き肉のたれだからです!!!!」
「………」
「………」
「ジョゼさんがデバラ焼き肉のたれだからです!」
「熊さん、二回も言わなくて良いよ…。スベってるのわからないのかい?」
「…っ!!もう早く体重計に乗っちゃいなさい!!!!」
「はいぃ…」

ゆっくりと体重計に乗るジョゼ。

「…伯爵、ジョゼさんは何キロ?」
「うーん…千葉ロッテの岡田選手の背番号だね」


***

110 名前:名無しさん:2010/12/25(土) 23:34:01 ID:7JpSKIXI
>>109の続き。


翌朝。

「あれ?どうしたジョゼ?」
「おはようございます」
「朝練に参加するの?」
「はい!今日から私もお願いします!!」

菅野とニッカがいつもしている朝練に参加する事となったジョゼ。
サーシャによるジョゼのダイエット計画として、

①朝練による運動
②食事制限
③暇な時間は筋トレ

と言う運びになった。

朝練後、
朝食なのだが…。

「ジョゼさんは…食べないんですか?」
「大丈夫です!下原さん、このフルーツ盛り合わ……じゃない、リンゴだけください!」

ジョゼの朝食はリンゴ1個のみである。

「ロッキーみたいですね…」

サーシャによるジョゼの一日の食事メニューはこうだ。
朝:リンゴ1個
昼:ミネラルウォーター
晩:リンゴ1個
のメニューになった。

***


こうしてメニューが続いて早3日…そして事件は朝練時に起こったのだ。

「おいジョゼ、大丈夫か?」
「えぇ、大丈…夫ですからっ」
「おいおい明らかに大丈夫じゃないだろ、様子が変だぞ…?;;」
「寝て…ないからかもしれませんね………っ!!」

バタッ!!


「おいジョゼ!しっかりしろ!」
「医務室に運ぶぞ!!!!」


















「………んっ」
「おっ、起きたか」
「たっ、隊長??!!」

ジョゼが目覚めると病室のベッドの上に寝かされており、
ラルが横に居た。

「まあまあ横になってろ」
「すみません…」
「栄養失調だそうだ。話を聞くと、お前あんだけ食うのに急にやめたそうだな?」
「はい、そのぉ…」
「さっき泣きながらサーシャが私に謝ってきてな…謝るのはキミにだろうって」
「でもお前もお前だ。明らかにおかしいだろ、リンゴとミネラルウォーターって」
「確かに…疑問には思ってましたが、サーシャさんが怖かったですし…」
「大丈夫、キツーく叱っておいた。だけどもう終わり、サーシャを責めたりするな」
「はい、わかりました」
「あと1時間もすれば起きても良いそうだ。それまでまだ寝てなさい」
「了解です…」

111 名前:名無しさん:2010/12/25(土) 23:35:09 ID:7JpSKIXI
>>110




そして1時間後。
起きたジョゼがまず向かったのは良い匂いがする食堂であった

「んっ…良い匂い」
「あ、ジョゼさん!!」

声をかけたのは下原であったが、厨房にはサーシャもいた。

「サーシャさんがですね…お詫びがしたいって」
「え、でも…」
「気付いたそうなんです、カロリーが少ない物であれば普通に食べても良いのではないかって」
「あ…ありがとうございます!!!!」


こうして徐々に体力が回復していったジョゼであった………。


「おかわり!」
「えっ?!ちょっとジョゼさん?!」
「カロリーハーフは2倍食え!これがデブキャラの鉄則です!」
「あなたいつからデブキャラに転身?!………ジョゼさん、そこに正座!」


【おわれ】



なんか今回は久しぶりにハジけ過ぎた感じがします;;;

112 名前:mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2010/12/25(土) 23:56:26 ID:seowT7Jw
>>111 Hwd8/SPp様
GJです。毎回ハイテンションで楽しく拝見してます。


たびたびこんばんは、mxTTnzhmでございます。
今夜はクリスマス……SW世界では「サトゥルヌス神祝祭」ですが、
もうひとつ思い付いた短いネタをひとつ。
保管庫No.981「music hour」のシリーズです。
ではどうぞ。

113 名前:in the holy night:2010/12/25(土) 23:58:17 ID:seowT7Jw
ハ〜イ今夜も「STRIKE TALKING RADIO」始まりマシタ〜。
DJ兼MC、パーソナリティのエイラ・イルマタル・ユーティライネンでス。皆聴いてるカナ?
この番組ハ、サーニャのレーダー魔導針を通しテ、全世界の悩めるウィッチに秘密のラジオとしてお伝えしているンダナ。
夜間哨戒のついでじゃないカラナ?
さて今夜は何の日かわかるかナ? ……そう正解、今日はサトゥルヌス神祝祭ダ!
別の世界じゃ「クリスマス」って言うらしいけどナ。まあお祝いだから細かい事はどうでもいいんじゃないカ?

「……」

さて、今夜はクリスマス……じゃなくてサトゥルヌス神祝祭スペシャル!
と言う事でリスナーの皆様からのお便りを読むゾ〜。
って、お便りたったの一枚? サーニャ、今夜はこれダケ?

「うん。早く読んで」

一枚だけ、カ……。何かこの時期こんな展開が有った様な無かった様ナ……。
では早速読むゾ。ラジオネーム「ついてないひと」……これ、502JFWカラ??

「それが何か?」

ま、またカヨ……。読みたくないんだけド……

「読んで」

はい、読みまス。サーニャが妙に怖いンダナ。

『イッル、ずっと待ってたけど、いつになったらあの日の約束果たしてくれるんだよ!?
私が502に行ってて、そっち行けないのを良い事に、サーニャさんと何かしてないだろうな?
まずは本妻の私をs

(紙を破る音)

……。

「……」

ササササーニャ違う、これは誤解ダ! ニパの悪戯ダ!

「何が誤解なの? ニパさんて悪戯好きだったっけ?」

サーニャ、こっち見て話シヨウ? てか何でフリーガーハマーのセーフティ外したのか
意味不明ナンデスケド……。てかこんな展開前にも有った様ナ……。

「エイラ。『本妻』って何? 意味を教えて?」

……いや、だから冗談なんだってバ。ホント。
てかニパ二度もふざけやがって、今度会ったらまずは撃墜ダナ。

「じゃあ、まずはエイラから?」

フリーガーハマーこっちに向けないでくれるかなサーニャ?

「エイラ」

はい、何でしょウ?

「色々お話ししよう? 哨戒終わったら、色々と……そう、いろいろ、と」

いいい今すぐ話シヨウ! サーニャは物凄い誤解をしてるゾ。本当ダッテ! ……そんな目で私を見るナー!
うう、ニパ覚えてろよチクショー! 何の恨みが有っテ……

とととりあえず今夜はこの辺で。
最後に、「サーニャのうた」をワンフレーズだけ聴きながらお別れデス。

end

114 名前:名無しさん:2010/12/25(土) 23:58:34 ID:seowT7Jw
以上です。
この後エイラとサーニャがどうなったかは……
まあ、クリスマスもといサトゥルヌス神祝祭ですからね!


ではまた〜。

115 名前:名無しさん:2010/12/26(日) 21:33:56 ID:azXKpOf.
クリスマス終了のお知らせ

116 名前:名無しさん:2010/12/26(日) 23:04:41 ID:.gZuS5yc
エーゲル最高です!!

117 名前:mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2010/12/26(日) 23:56:51 ID:xnltHbC6
こんばんは、mxTTnzhmでございます。
保管庫No.981「music hour」のシリーズです。
なお今回は、前回の>>113「in the holy night」の続きになります。
ではどうぞ。

118 名前:day after tomorrow 01/02:2010/12/26(日) 23:57:20 ID:xnltHbC6
DJ兼MC、パーソナリティのエイラ・イルマタル・ユーティライネンでス。皆聴いてるカナ?
この番組ハ、サーニャのレーダー魔導針を通しテ、全世界の悩めるウィッチに秘密のラジオとしてお伝えしているンダナ。
夜間哨戒のついでじゃないカラナ?
さて今夜は……サトゥルヌス神祝祭の後夜祭スペシャルダゾ。リスナー皆さんはお祭りの夜をどんな感じで過ごしたカナ?
……私? 昨日の夜は散々だったゾ。サーニャの機嫌直って貰うのにどんだけ大変だったかって、そりゃあ、

「で、約束はまだなのかよイッr

(MG42の射撃音)

さて、そんな訳でサーニャ、リスナーさんからの手紙を宜しくお願いシマス。

「エイラ……ニパさん登場し終わってないのに撃墜してる……」

前回の公約だからナ。ま、ちょっとした軽い挨拶みたいなもんダヨ。もう紹介なんて良いから、ささ、お手紙お手紙。
ええっと……? 公表すると色々ややこしくなるので所属と国籍は内緒でお願いします、の、匿名希望さん、カ。
……ふむふむ。なんか彼女も大変そうダナ。ではお便り読むゾ。

『エイラさん聞いて下さい。私の部下(ウィッチ)が、突然、部隊の転属願いを出してきたんです。
何事かと思って一対一で話を聞いてみたら、付き合ってた他の隊員(ウィッチ)と別れたので
隊に居場所がなく、このまま居ても皆に迷惑が掛かるからどこか別の部隊に行きたい、との事でした。
私達は別に恋愛してる訳じゃなくてネウロイと戦ってるんだからそんなの関係ないし許さない、と
引き留めたのですが、彼女曰く「同じ隊に居る以上、毎日一緒だし、どうしても気になって目が行ってしまう」と。
エイラさん、彼女は優秀な部下なのでこう言う形での隊員の損失は避けたいし許し難いです。
どうやって引き留めたらいいでしょう?』

なるほど、人間関係か……難しいけどズバリ言わせて貰うゾ。
匿名希望さん、部下の子にはこう言うんだゾ。

ネウロイだけに目を向けロ!

「本来の目的に集中しろって事?」

そそ。とにかく敵に集中。敵をひたすら撃墜。そうすれば自然と元カノの事なんか忘れるゾ。
しかも戦技もスコアも伸びまくり。良い事だらけダナ〜。
……まあ、結局はどうしても見ちゃうだろうけどナ、元カノ。

「それじゃ、ダメじゃない」

まあ、こう言う人間関係は何処でもきついと思うけどナー。
でも私達はウィッチだから、本来の目的と言うか、使命を忘れちゃダメダゾ。

「だからイッルは中尉になったのかっ!」

あれ、ニパが戻って来た。早いナ。って言ってる意味が分からないゾ。

「イッルはやっぱり私の事忘れる為に501に行って、サーニャさんと!」

……おい、どこをどうしたらそんな話になるんだヨ!?
それに何ダヨ、この前の、悪戯の手紙。

「悪戯な訳あるか! イッル、私に原隊で言ったよな!? 私をy

(MG42の射撃音)
(フリーガーハマーのバックブラスト音)

みんな、とりあえず冷静になろウ。

「冷静になるのに撃つの? エイラ、撃つの凄い早かったけど」

サーニャも何故かフリーガーハマーを早撃ちした気がするゾ。
まあ匿名希望さん、そう言う訳で頑張って下さいネ。

119 名前:day after tomorrow 02/02:2010/12/26(日) 23:58:01 ID:xnltHbC6
次のお便り。……これは、ウィッチからじゃないけど、たまにはまあ良いのかなァ。後夜祭だし。
ブリタニア在住、「妹」さんから。

『入院中の私に、お友達が新しく出来たんです。
そのお友達はお姉ちゃんと同じウィッチで、とても面白くて優しい人なんです。
でも、私のお姉ちゃんは、そのお友達にとても冷たいんです。
「あんな奴と話していると時間の無駄だ」とか「バカが移る」とか、ひどいんです。
この前病院で偶然お友達とお姉ちゃんが会った時も
「貴様、私の妹に手を出すつもりかっ!!」ってものすごい怒って……。
どうしたらお姉ちゃんとお友達が仲良くなれますか?』

まさか、この「お姉ちゃん」って……

「た、多分、そうだと思う」

うーん。難しいナァ。でもとりあえず「妹」さん、ズバリ言わせて貰うゾ。

お姉ちゃんとそのお友達で食事行って仲良くすすれば良いと思うゾ。

「なあイッル、それ502JFWの(自主検閲)じゃね?」

ニパいつの間に。てかいきなり特定出来ちゃう名称出しちゃ駄目ダロ。あえて伏せるゾ。

「だってこの前、(自主検閲)がブリタニアにお見舞いに行ってたって聞いたから、その人で多分合ってるよ」

ホホウ。で、その人って……

「まあ、知っての通り、変態だね。その『お姉ちゃん』て人が怒るのも無理無いと思う。だってもの凄いいい加減なんだもん」

なんかもう伏せても意味無い気がしてきたゾ……。
でも仮にその人だとしたら、「お姉ちゃん」と元の部隊が一緒って前に聞いたからあんまり仲良くないとは思えないケド……

「エイラ。仲間として仲が良いのと、妹のお友達というポジションだと見方も変わると思う」

うーん、確かにサーニャの言う通りダナ……。

「いや、あれは確かに『お姉ちゃん』じゃなくても心配するレベルだと思う」

ニパまで真面目な顔して……一体どんな人なんだヨ。
でも結局、こう言うお姉ちゃんは、どんなお友達が出来ても気になってしょうがない性格なんだと思うゾ。
これはもう「心配性」とかそっちの方向だと思うナ。
でも逆を言えばそれだけ「妹」さんの事を大事に思ってるって事だから、その意味では安心してイイゾ。

「あんまり解決になってない様な……」

ともかく、後夜祭はこんな感じで以上!
次は新年スペシャルとか有るかも知れないゾ? あんな人やこんな人がゲストに来るかも?

「えっ」

「えっ」

な、何だヨ。二人してそんな目で私をミンナー! たまにはゲスト来たって良いダロ?

「あれ? エイラ、ニパさんはゲストじゃないの?」

「て事はイッル、私はゲストじゃないのか? じゃあ私、レギュラーって事? やっt

(MG42の射撃音)
(フリーガーハマーのバックブラスト音)

ニパと掛けて番組のエンディングと解く。そのココロは……どちらもオチ(落ち)が有りマス。……ってベタな謎かけダナ。

「エイラ、そんな事言ってないで。何気にニパさん3回墜落してる。さすがにかわいそう」

大丈夫、今日は後夜祭だから。サーニャも撃ってたし。

「そう言う理由?」

最後に、「サーニャのうた」を聴きながらお別れデス。
占いコーナーは、次回に乞うご期待!

end

120 名前:名無しさん:2010/12/26(日) 23:59:06 ID:kx0VnQs2
以上です。
この続きは、そのうち書きたいですね。

ではまた〜。

121 名前:名無しさん:2010/12/27(月) 20:32:40 ID:7I8AT1V.
ラジオ終わるのか……さびしい

122 名前:名無しさん:2010/12/29(水) 10:29:08 ID:eoulqTvw
保管庫復活したね

123 名前:名無しさん:2010/12/30(木) 16:59:23 ID:05.iGgSg
年の瀬にこんばんは、Hwd8/SPpです。
あ、保管庫復活おめでとうございます!!!年内に復活して良かったです〜。

今回は「ヘルマの発情」シリーズからです!



【ヘルマの出張】

「レンナルツ…ちょっと」
「はい?…であります」

どうも、最近苦手なニンジンを克服しようと野菜ジュースを飲んでいる第131先行実験隊「ハルプ」第三中隊所属、ヘルマ・レンナルツであります!

「明日から、ロマーニャへ飛んで」
「…へ??」
「これに参加してきて」

…とハルトマン中尉から封筒の中から1枚の紙を取り出し、それを渡されたであります。

「…テストパイロット労働組合?」
「そう。これに顔出してきて」
「でも………」
「上の言う事を聞くのも、たまには大事」
「ははあ…」

ハルトマン中尉も珍しく上の人の話を聞いたのでありますね;;;


***


我々のいるカールスラント・アーヘンからロマーニャ・ベネツィアまで飛行機を乗り継いで約3時間。
機内にて、封筒に入っていた小冊子を読んでいたであります。

「何なに…今回、テストパイロット労働組合の設立にあたりささやかではございますが親睦会を兼ねた立ち上げ式を催したいと思います………世界はまだネウロイの被害を受けてるってのに呑気でありますね!」

でもまあ1人でプンプンしてもしょうがないであります!
もっと言えばテストパイロットとはウィッチとして「上がり」を迎えた…ベテラン、いわば様々な戦いを経験してきた先輩方が務めるもの。もしその会場にネウロイが攻めてきても大丈夫なんじゃないですかね?

「代表のフェデリカ・N・ドッリオ…この人、絶対に自分の事が大好きなんであります!」

だって表紙が…自分の水着姿なんでありますよ…?;;

「う…う〜ん;;大丈夫…かなあ?;;」


***

124 名前:名無しさん:2010/12/30(木) 17:00:11 ID:05.iGgSg
>>123の続き。



ロマーニャ・ベネツィアにある高級ホテル。そこの宴会場にて立ち上げ式が催されてたであります…が!

「みんなドレスやスーツ…;;」

会場に居た様々な国から参加したテストパイロットの方々はドレス等を着用していたでありますが、私だけカーキ色の軍服。もしかして…浮いてるでありますか??!!

「しょっ、しょうがないであります;;;」






さっきも言った通り本来、テストパイロットは「あがり」を迎えたウィッチが務める役職。
なので13歳の私がこの役職に抜擢されるということは異例だそうで(シュナウファー大尉談)。
そしてパーティーの最中、様々なウィッチに声をかけられ…第一声は「若い!良いわねー!」と始まり、色々なアドバイスを頂いたであります。
先輩ウィッチ方の有難いお話を聞けるのは良いんですが、何せお酒は飲めない…まあこの間の失態もありますが、そのせいであまり楽しめないであります。
ちょっと話疲れた頃、

「えぇい、せっかくだから何か食べるであります!!!」

…とビュッフェコーナーにあったミートソースのパスタを食べるであります。

「うん、流石本場!美味しいであります!!」
「あら、ホント?」
「はい!!」

…ん?今声かけてきたの誰でありますか?!

「お口に合って良かったわ」
「…あなたは?」
「ん?私?…ジュリエッタ・マシーナよ」
「…それ女優さんじゃあ…?;;」
「あ、バレた??まあ良いわ。いらっしゃい、第131先行実験隊『ハルプ』第三中隊所属のヘルマ・レンナルツ曹長」
「有難うございます!!もしかして貴方様は…!?」

と私はリュックから小冊子を取りだすであります。

「表紙の…あ!ドッリオ少佐!失礼しましたっ!!!!」
「良いの良いのよ〜…それにしても、なんで軍服??」
「軍人たるもの、軍服は死ぬまで着続けるもの…と!」
「うん;;その気持ちは大事だけど、時と場合によるわね;;」
「…と言いますと?」
「え〜とね…このパーティーは普段疲れたウィッチ達を解放させる目的もあるの。なのにあなたのその格好を見たら仕事モードから離れられなくなっちゃうでしょ?」

正しい…!確かに、そう考えるとドッリオ少佐が言ってる事は正しいであります;;;

「ごめんなさい…」
「別に謝る事はないんだけれど!;;…あ、でも」
「何か…?」

ゆっくりと私の軍服の胸の辺りを指差すドッリオ少佐。

「胸が発達してない事でありますか…?」
「違う違う…もっと重大な事よ」
「…あっ!!??」

やってしまったであります…っ!!!
軍服に先ほどのパスタソースが…撥ねてるであります!

「あぁぁぁぁ…っ」
「替えの服はあなた、持ってないの?」
「はい…この軍服しか…。どうしよう…」
「あっ!」

今一瞬、ドッリオ少佐の頭の上に豆電球が!?;;

「良いわ、ちょっとこっち来て!」
「へっ?!」

…と少し強引に腕を掴まされ、会場を出たであります。
連れて行かれる事約3分…着いたのは1階のロビー近くにある貸衣裳屋さん。

「あ、ここで服をお借りすれば!」
「う〜ん…ただ単に服を借りるだけじゃツマらないわね」
「え??」
「良いわ、メイクさんも」
「っ!!??」

…ドッリオ少佐、強引過ぎます;;
と言うかこの貸衣裳屋さん!ドレスしかないではありませんか!!!

「よし、さっそく変身してみよう♪」
「変身って…えぇっ?!」


***

125 名前:名無しさん:2010/12/30(木) 17:04:37 ID:05.iGgSg
>>124の続き。

約30分後。

シャーッ...

試着室のカーテンが開かれるとともに、ドッリオ少佐は

「うわあ…可愛い!可愛過ぎる!可愛過ぎて殴りたくなるわ!!」
「それ、冗談なんですか?本気ですか?;;」
「ウソに決まってるじゃな〜い。ものすごく似合ってるわ!」

実は言うと…鏡は一切見てなかったであります;;
何故か怖くて…軍服を脱いだ自分はどうなんだろう?と言う一種の不安があったんであります。
恐る恐る目を開け、全身の写る鏡を見たであります………

「えっ…これ、自分でありますか…?」
「うん、そうよ」

そこにはフリフリとした薄いピンク色のドレス、そしてツインテールの髪型にした自分が居たであります。
ただこの髪型だとずいぶん幼く見えるでありますね;;;

「でも…ちょっと恥ずかしいであります;;」
「なぁに言ってるの、会場の中だけなんだから。それで外へ出なさいとは言わないから;;」
「でも…うわあ…うわあ!!!!」
「ふふふふ…」

何だろう、自然と笑みがこぼれて来たであります!変わった自分…これはこれで楽しいのかもしれませんね!!!

「仕上げにっと…」
「何ですか?」

そして瓶を片手にドッリオ少佐は笑っていたであります。

「あ、これ?ガリアのなんだけどね…シャネルの『No.5』って言うフレグランスよ」
「チャンネル?」
「シャネル!そんなうさんくさいブランド品じゃないんだから;;」

あ…良い匂いであります!教科書で読んだ、ガリアに居た昔のお姫様…マリー・アントワネットになった気分でありますね!

「さっ、行こっか」
「はい!」



その後、おめかしした格好でパーティーへまた行ったであります。
お姫様の時代にあった「社交界」…なんだか今の私にわかる気がするかもでありますね!
最後に参加全員で記念撮影!…カメラマンの方にワガママ言って、こっそり私だけの写真も撮ってもらったであります!


***

126 名前:名無しさん:2010/12/30(木) 17:06:03 ID:05.iGgSg
>>125の続き


「ヘルマ・レンナルツ曹長!只今戻ってきたであります!」

帰国し、まずはロマーニャのお土産を私にウルスラ・ハルトマン中尉の研究室へ。

「………」
「あの〜ぅ、ハルトマン中尉…只今戻ってきたであります…?」
「………」
「あの〜…」
「知ってる」

あれ…?
なんか不機嫌でありますね;;;

「………」
「あ、ハルトマン中尉。これ、お土産の『ロマーニャまんじゅう』です」
「………」
「えっと…」

すると無言である紙を出してきたであります。

「何ですか?これ?」
「…請求書」
「へ???」
「別に遊びに行けって私は言った訳じゃない」
「はっ、はあ…」
「そして経費を私用に使うのは良くない」

…んんっ!!??
それは………

「ドッ、ドレスの請求書?!」

貸し衣裳のドレス代、ヘアメイク代、軍服のクリーニング代、お写真代、二次会のカラオケ代、ちょっとお姫様気分になりたくて注文したルームサービス代、そしてホテルのサービス料込で…

「えっと………え?!これ…ゼロが2つほど多い気が;;」
「そんな事、私は知らない」

扶桑円にして約15万円。
と言うかでありますねぇ!!あの流れだったら普通、ドッリオ少佐が…っ!!!!

「あとこんな写真も郵送で」
「っ??!!」
「…レンナルツにツインテールは似合わない」

…と謎の笑みを浮かべて、奥の部屋へ行ってしまったハルトマン中尉でした…。
ちなみにお代は私のお給料…だけじゃ足りなかったので、シュナウファー大尉に借りて事なきを得たであります!
こんな偏見はあまり良くないでありますが…さすが「細かい事を気にしないの陽気なロマーニャ人」と少し思ってしまったであります…。



【つづく】


少し早いですが、皆さん!良いお年を〜っ!!

127 名前:名無しさん:2010/12/30(木) 23:29:51 ID:JxvVjz.k
ラジオ、いよいよ今夜最終回か

128 名前:名無しさん:2010/12/31(金) 00:57:10 ID:Quwii3aY
保管庫復活で素直にうれしい

129 名前:名無しさん:2010/12/31(金) 01:37:06 ID:Quwii3aY
>>123
GJです。今さらですけど「生真面目」なヘルマが見る影も無い。。。笑
漫画版読んだことないのでキャラが掴めていないのですが、ついつい調子に乗ってしまうところが可愛いです。

130 名前:mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2010/12/31(金) 02:27:20 ID:ErIZwjwI
>>126 Hwd8/SPp様
GJです。ヘルマがどんどん加速していますね。良い意味で。


こんばんは、mxTTnzhmでございます。
某所でのネタをヒントにひとつ書いてみました。
ではどうぞ。

131 名前:tiny orange 01/02:2010/12/31(金) 02:28:42 ID:ErIZwjwI
 夕食も終わり、隊員達はそれぞれの場所で、思い思いの自由なひとときを過ごす。
 芳佳は補給で送られて来た木箱を開けると、中から果実を取り出し、カゴに盛った。それをミーティングルームに持って行く。
 窓際でひとり、ぼんやりと月を見ているサーニャを見かける。
(あれ、今はエイラさんと一緒じゃないんだ……)
 と不思議に思うも、芳佳はサーニャの横に座り、扶桑からの“プレゼント”を差し出した。
「サーニャちゃん、はい、みかんどうぞ」
「ミカン? 扶桑の果物?」
「よく分かったね。甘くて美味しいんだよ」
「ありがとう、芳佳ちゃん。あの……」
「ああ、食べ方ね。こうやって外の皮をむいて……中の薄皮はそのまま食べても良いし、また剥いても良いし」
「うん」
 サーニャは芳佳に教わった通り、一房剥いて、口に含んだ。ぎゅっと詰まった甘味が口の中で溢れ出し、舌に馴染む。
「甘い」
 ふっと微笑むサーニャ。
「良かった。身体にも良いから、たくさん食べてね」
「ありがとう。芳佳ちゃん」
「それで、サーニャちゃん……」
「はっはっは、扶桑にはみかんにまつわる様々な言い伝えがあってな、例えば嵐を恐れず江戸にミカンを運んだ大商人の話が……」
 芳佳の言葉を遮って突然背後から話し掛ける美緒。扶桑の蘊蓄を話したいらしかった。
「あの、坂本さんもみかん食べたいなら言って下さい」
「すまん、ひとつくれ。……いや、やっぱり四つだ」
「えっ、四つも一気に食べるんですか? ふたつで十分ですよ」
「とにかく四つだ。……うむ。すまんな宮藤。では」
 美緒は四つのみかんを手にすると、すたすたと歩きミーティングルームを後にする。
 しばし美緒の勢いにぽかんとするも、芳佳とサーニャは二人でみかんを食べる。
 皮を剥き、少しの酸っぱさを感じる香りを楽しみ、実を食べ、甘味と滋養を得る。
 部屋の片隅で、二人してもくもくと、みかんを食べる。二人共ひとつ食べ終わったところで、芳佳が手ぬぐいを差し出す。
「素手で食べるから、手が黄色くなるんだよね。食べ過ぎちゃっても手が黄色くなるんだけど」
「不思議ね」
 くすっと笑うと、サーニャは芳佳の手ぬぐいを借り、手を拭く。芳佳はみかんをもう一つカゴから出した。
「もう一個食べる?」
「……半分位で、いいかな」
「じゃあ私と半分こしよう?」
 芳佳は慣れた手つきでみかんをざっくりと半分に裂き、丁寧に皮を剥いて、サーニャに渡した。
「はい、どうぞ」
「ありがとう」
「それで、サーニャちゃん」
「どうかしたの?」
「あの、いつもエイラさんと一緒なのに、今日はどうしたのかなって……」
「今日は、別々」
「そう、なんだ。……ごめんね、変な事聞いて」
「気にしないで。私も、どうして良いか分からなかったから。……ただ、月を見てた」
「そう。……月、綺麗だね」
 頷くサーニャ。
 二人揃って月を見上げる。鋭い鎌の様な三日月が、ゆったりと空に浮かぶ。微かな月の光が、二人を癒す。
「芳佳ちゃんは……その、リーネさんは?」
「私も、ちょっと……」
 へへ、と頭を掻いて苦笑いする芳佳。
「じゃあ、一緒だね」
「そうだね。一緒」

132 名前:tiny orange 02/02:2010/12/31(金) 02:29:58 ID:ErIZwjwI
 芳佳はみかんの房を剥いた。剥かれた房をじっと見つめる。薄皮から露わになった橙色の甘露。
 控えめな部屋の照明と、外からの僅かな月明かりが、不思議な色に変える。
 ふと、サーニャが屈んだ様に見えた。芳佳は手を掴まれ……食べようとしていた一房が、サーニャの口に移った事を知る。
「え? サーニャちゃん?」
「ちょっと、意地悪してみたくなっちゃった」
「ひどい、サーニャちゃん」
 二人で、くすくす笑う。
「本当、甘くて美味しいね。ロマーニャの果物にも負けない……」
 サーニャはぽつりと感想を述べる。
「だって扶桑のみかんだから」
 自信ありげに答える芳佳。
「そうね、きっと」
「今度はちゃんと、私が剥いて食べさせてあげるから……はい、どうぞ」
 芳佳は丁寧に薄皮も剥いて、サーニャに差し出した。
「ちょっと、恥ずかしい……」
「さっきは自分から食べたのにぃ」
「じゃあ、いただきます……甘い」
「もっと食べてね。元気出して」
「芳佳ちゃんも、私が剥いてあげるから」
「あはは……ありがとう」
 一房ずつ、食べさせ合う二人。芳佳の手は軽やかで、サーニャの指先はすらっとしてこまやかで……二人共、戦場で武器を握る手とは思えない。
 今はただ、部屋の窓辺でゆっくりと、扶桑の果物を味合う乙女。ふたりの少女。

「あら、小さいオレンジね」
 執務室に籠もって書類作成の途中だったミーナは、美緒の入室を切欠に筆を止め、橙の果物に興味を持った。。
「扶桑のみかんでな。扶桑からの補給の中に入っていた様だ。宮藤はさっそく嗅ぎ付けて食べている様だが」
「あら、宮藤さんたら。でも、故郷の味は恋しくなるものよね……美緒も?」
「まあそうだな……、扶桑の冬と言えばコタツにみかんだからな」
 美緒は昔を懐かしむ様に呟いた。
「こたつ?」
「扶桑の暖房器具だ。今度持ってこさせるか」
「何でも持って来たり作ったり、扶桑人の行動力は妙なところで凝っているのよね。あのお風呂と言い……」
 苦笑するミーナ。
「まあともかく、少し休んで食べないか? 幾つか持って来た」
 ミーナにぽんとふたつ渡す美緒。
「あら、有り難う」
「食べ方を教えよう。こうやって手で剥いて……食べる。皮は柔らかいから簡単に素手で剥ける」
「本当ね。……あら、美味しい」
 ミーナは一房口に含んで、笑った。
「皮は薬にもなるし、風呂に浮かべても良い。実は今味わって貰った通りだ。まだ沢山有るからどんどん食べろ」
「でも、みんなにも食べて貰いたいじゃない?」
 美緒は笑った。そして言葉を続けた。
「心配ない。皆の分は充分に有る。それに、一番に持って来たのは、ミーナに食べて貰いたかったからな」
「えっ」
「いつも苦労を掛けるな」
 いつになく真面目な美緒。ミーナはみかんを剥く手を止め、ふふっと笑った。
「気を遣って貰わなくても、十分よ。はい」
 美緒の口元に一房、みかんを差し出すミーナ。
「な、何を……」
「すまないと思っているなら、口を開けてこれを食べなさい、坂本少佐?」
 狼狽える美緒に、優しい声で“命令”するミーナ。
「そう来たか……ならば仰せの通りに」
 美緒はぱくっと、一房を口にする。くすくす笑うミーナ。

 基地での夜は、また更けていく。

end

133 名前:名無しさん:2010/12/31(金) 02:30:49 ID:ErIZwjwI
以上です。
某所でのネタをもとに、さくっとひとつ。

今年も皆様有り難う御座いました。
また来年も宜しくお願いします。

ではまた〜。

134 名前:mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2010/12/31(金) 23:46:17 ID:s2fLTA/s
こんばんは、mxTTnzhmでございます。
年越し用に一本書いてみました。
ではどうぞ。

135 名前:the bells on new year's eve 01/02:2010/12/31(金) 23:46:55 ID:s2fLTA/s
 新年を直前に控えた夜……何処からか、鈍い金属の音が響く。
「何だ、あの奇妙な音は?」
 食後にひとりミーティングルームでくつろいでいたトゥルーデは、音の所在と由来に疑問を持ち、呟いた。
「『除夜の鐘』って言うらしいよ、トゥルーデ」
 エーリカが横に腰掛け、扶桑の小粒なオレンジをひとつ渡す。
「除夜? 鐘? 何だそれは? ……ああ、扶桑のみかんか。有り難う」
 エーリカとトゥルーデは、二人してもそもそとみかんを食べる。
 半分程食べたところで、エーリカが口をもぐもぐさせながらトゥルーデに言った。
「鐘鳴らすのは扶桑の風習で、大晦日に聞くと縁起が良いとか何とか、少佐が言ってた」
 聞きかじりの伝聞をトゥルーデに伝える。
「なる程。故郷の風習か。別に構わないが……先に言って欲しいな。何か警報か、もしくは付近の遺跡の装置かと間違う」
 先日起きた、基地周辺での「遺跡の出来事」を思い返すトゥルーデ。そして言葉を続ける。
「で、扶桑と言うからには」
「そう。少佐が扶桑から……」
「鐘って……。今は戦時で金属も不足してるだろうに、よく基地(ここ)まで持って来られたな」
「だから小さめなんだって」
 エーリカが言ったそばから、ごーん、と鈍く低い音が、耳の奥から頭の中を抜けて行く。
「あの大きさと音でか!? 扶桑の鐘は一体どんな……」
「まあいいじゃん。のんびりしようよ」
「……」
 やれやれと呟き、残りのみかんの皮を剥く。手を動かしながら、考えるトゥルーデ。
 鐘、か。
 故郷に有った、教会の鐘楼を思い出す。礼拝やお祝い等のたびに、盛大に、そして厳かに鳴ったあの鐘を。
 ネウロイに全てを飲み込まれた今となっては、その音を聞く事も出来ない。
 そして故郷から遠く離れたロマーニャの基地で、片隅から響く……聞き慣れない“鐘”の音を聞いている。
 また一回、鳴った。さっきよりも間隔が短い。
「一体何回鳴らすんだ」
「百八回らしいよ」
「なんでそんなに多いんだ?」
「さあね。少佐なら知ってるんじゃない?」
「その少佐は今何処に?」
「ミヤフジ達と一緒に鐘を突いてるって」
「ああ……」
 何故か嬉しそうな美緒の顔、特徴的な笑い声が一瞬聞こえた気がしたが、多分気のせいだろう。
「さっき面白そうって、シャーリーとルッキーニも行ったよ」
「なる程そう言う事か。さっきとはまるで違う軽くてでたらめなテンポの鳴らし方は、多分あいつらだな」
 こーん、と掠った様な音が聞こえる。
「打ち間違えたか」
「トゥルーデ気になる? 一緒に行く? 一緒に鳴らす?」
「いや……別に良い。私が鳴らしたところで、ヘタに力を入れて壊してしまっては……」
「トゥルーデ?」
 エーリカに顔を覗き込まれる。そして、手にしていたみかんをばくっと食べられる。
「おわ? 私のみかんが」
「トゥルーデ、スキだらけ。ご馳走様」
「おい……。まあ、いいか」
「トゥルーデの考えてる事、言ってあげようか」
「エーリカ……」
「鐘の事思い出して、それから故郷の事考えてたんでしょう?」
 エーリカの言葉に、どぎまぎしてしまうトゥルーデ。何故分かったと呟くと、エーリカは笑った。
「トゥルーデの考える事だもの。大丈夫」
「何が大丈夫なんだ」
「いつかカールスラントも解放して、元に戻せば良いじゃない」
「ああ、いつか、な」
「そうやって希望を持とうよ、トゥルーデ」
 屈託のないエーリカの笑みを見ているうちに、心和らぎ、少しの安堵を覚える。
「そうだな」
 ゆっくり頷くトゥルーデ。

136 名前:the bells on new year's eve 02/02:2010/12/31(金) 23:47:17 ID:s2fLTA/s
「鐘が鳴るときは、私とトゥルーデの結婚の時かな?」
 不意にエーリカが言って、嬉しそうに笑った。
「なっ、何を言うかと思えば」
「そういうのも良いよね」
 ふふー、と意味ありげに笑うエーリカ。
「その時はみんなに来て貰おう。私達の家族に、501の全員でしょ、あと誰呼ぼうか? そうだ、JG52の仲間も……」
「エーリカも先走って考えすぎだぞ」
「良いじゃない、考える位自由でさ。楽しいよ」
 エーリカはそう言うと、頭の後ろで腕を組んで、ふふーんと歌う様になにか思いを巡らせている。
 ……お前はいつもそうだ、とトゥルーデはエーリカの笑顔を見て思う。
 決まって考え事……それも楽観的とは言えない……をしている時に、突然割り込んで来て、笑顔を振りまく。適当な事も言う。
 その姿、その言葉、その笑顔で、私は何度心を掻き乱された事か。
 でも。
 そのお陰で、私は心の平衡を保っていられるのだろう。と結論付ける。
「有り難う、エーリカ」
 そっとエーリカの肩を抱き寄せ、呟くトゥルーデ。
「どうしたのトゥルーデ?」
「何となく、だ」
「これも扶桑の鐘のせい?」
「さあ、な」
 少し照れ気味のトゥルーデに、エーリカが笑いかける。
「でも、こう言うのも、良いよね」
 二人っきりのミーティングルーム。基地に響き、抜けて行く鐘の音は、どこか奇妙で、しかし不思議と厳かで……。
 お互い寄り添っているだけで、何も要らない。そんな気分にさせてくれる。
「今夜は三日月なんだ。綺麗だね、トゥルーデ」
「ああ」
 二人して窓辺から、外の月を眺める。美しい弧を描き輝く月を見て、思う。
 こう言う年の暮れも良いな。
 思った事をそのまま口にしてしまい、言った後で気付き、顔を赤くするトゥルーデ。
「トゥルーデ、かっこつけてる?」
「そ、そんなんじゃない」
 ぷいと横を向くトゥルーデ。
「でも私のトゥルーデだから許す」
 愛しの人の頬を両手でぎゅっと押さえ、その顔を正面に持ってくるエーリカ。
「なんだ、エーリカ」
「何度も言わせないの」
 そう言ってエーリカはそっとトゥルーデの唇を奪う。
「誰かに見られたら……」
「気にしない気にしない」
「気にしろ……」
 言葉では拒絶しながらも、トゥルーデはエーリカをしっかりと抱きしめる。
 そして、ゆっくりと唇を重ねる。
 触れ合う唇。いつもと変わらない、柔らかさと温かさ、しっとりとした甘い感触。
「トゥルーデ」
「エーリカ」
 お互い名を呼ぶ。もう一度キスを交わす。
 長い口吻が終わり、そっと顔を離した所で、ごーんとひとつ強めの鐘が辺りに響いた。
 絶妙なタイミングに、二人はおでこをくっつけ、ふっと笑いあった。
 時計を見る。もうすぐ年が明ける。
「来年も宜しくね、トゥルーデ」
「私こそ、エーリカ」
「来年もずっと一緒だと良いね」
「ああ」
 エーリカの肩をそっと抱き、頷くトゥルーデ。
 守るべき者。そしてトゥルーデにとって、絶対唯一の存在。エーリカの肩を抱く力も自然と強くなる。
 エーリカにとっても、トゥルーデは同じ存在。そっとトゥルーデの腰に腕を回し、お互い抱き合う。
 鐘の音が時折聞こえる以外、二人の呼吸しか聞こえない、静かな時間、空間。
 質素だが贅沢で幸せな時間を、二人は過ごす。
 エーリカが、小さく笑った。トゥルーデはその顔を見て、心が癒され、自然と笑顔になる。
 もう一度、二人はお互いの気持ちを確かめるべく、距離を縮め、ゼロにする。
 お互いの服を通じて、そして唇を通して、温もりを感じ合う。
 じっくりと堪能するかの如く、何度も二人は繰り返した。

end

137 名前:名無しさん:2010/12/31(金) 23:48:12 ID:s2fLTA/s
以上です。
保管庫No.0450「ring」シリーズ続編となります。
除夜の鐘のエーゲルです。

皆様、来年も良いお年を!

ではまた〜。

138 名前:mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/01/01(土) 04:43:41 ID:MdJvQlxw
あけましておめでとうございます。mxTTnzhmでございます。
>>135-136「the bells on new year's eve」
の裏側をちょこっと書いてみました。
オチも何も無いですがどうぞ。

139 名前:the night watch bell:2011/01/01(土) 04:45:23 ID:MdJvQlxw
 ごーん、と低い音が周囲に響く。
「うむ、これを聴くと、年越しを感じるな、宮藤」
「はい、坂本さん! でも……」
「どうした?」
「ロマーニャの基地に勝手に持ち込んで、取り付けて、鳴らしちゃって良いんでしょうか?」
「はっはっは、問題無い! ミーナから許可は貰っている。わざわざ扶桑から取り寄せたんだ、風情も出るだろう」
「さすが坂本さん」
「それに、501は煩悩を持った者が妙に多いからな。……宮藤、お前もだぞ?」
「え? は、はい!」
「だから今夜は百八回……いや、全員分の鐘を突く位の勢いで鐘を突いて突いて突きまくるぞ! はっはっは!」
「坂本さん、それは多過ぎです。流石に夜が明ける気がします」
「はっはっは、問題無い! 扶桑の有名な寺では一日中鳴り響いて皆の煩悩を清めているのだ」
「はあ……」
「ちょっと美緒! 今の音、何!?」
「ああミーナか、良い所に来た。除夜の鐘をだな」
「これが……貴方がさっき言ってた、鐘? 随分重厚で大きいのね」
「これでもサイズは小さい方だぞ、ミーナ。扶桑にはシャーリーが数人分位すっぽり入る大きさの鐘だって有るんだ」
「……扶桑の習慣ってホント、変わってるのね」
「どうしたんですかミーナ中佐、眉間に皺寄せて」
「基地の者全員に、この鐘の音をどう説明しようかと思って」
「扶桑の者なら誰もが知っている! 問題無い! はっはっは!」
「他国の人間は誰も分からないわよ! いきなり基地中に鳴り響いて、びっくりしたわ……」
「ではミーナ、教えてやろう。この除夜の鐘とは、大晦日の夜、百八回鳴らす事で、個人の煩悩を清める効果が有る、とされている」
「そ、そうなの……しかし、この鐘、妙に余韻が耳に残るわね」
「欧州の教会に有る様な鐘とは構造も鳴らし方も違うからな」
「ウジャー ここだよシャーリー! 見つけた!」
「ああ、これかあ。さっきの妙な音の発生源は」
「おお、シャーリーとルッキーニ。ちょうどいい所に来た。お前達も鐘を突け」
「え? あたし達が鐘を?」
「ウニャ なんで?」
「この鐘を突くと煩悩が消えるのだ。ルッキーニ、お前は煩悩だらけだからな」
「なにそれー」
「まあ、良いからやってみろ」
「ホイショー」

コーン

「ルッキーニ、それじゃあ力が足りんな。かすった程度で軽い音になっているぞ」
「じゃあ、バルクホルンを呼んで来よう。確かミーティングルームに居た様な。あいつに魔力解放して貰って……」
「鐘が割れるから止めてくれ」
「ああ、やっぱり。じゃあ、代わりにあたしが」

ゴーン……

「おお、なかなかスジがあるぞシャーリー! 良い響きだ! ……ん? ルッキーニは何処へ行った?」
「アウアー…… シャーリー、中響く……」
「おいルッキーニ大丈夫か!? 何で鐘の中に入ってたんだよ?」
「何か面白〜い響き方してたから、中入ったらもっと面白〜いかもと思ってぇ……」
「だからって中に入る奴があるか? 耳大丈夫か?」
「耳は大丈夫だけど、頭の中がごわんごわん、ゆれてる感じする……」
「おいおい……」
「はっはっは! ルッキーニも少しは煩悩が消えたか?」
「少佐、それはちょっと違うと思います」
「じゃあ、次は私が鳴らしますね」
「宮藤さん、私にもやらせて頂戴」
「あ、はいミーナ中佐。どうぞ」

ゴーーーン……

「ミーナもなかなか良いぞ! 力がこもった、良い突き方だ」
「美緒、貴方の為を思って、ね。例えば、この前の、遺跡の事とか……」
「私? 遺跡? 何の事だ? はて……」
「こ、これだからッ!!!」
「ちょっ、おいミーナ待て! すまん宮藤、適当に突いててくれ。私はミーナを追い掛ける」
「は、はあ……坂本さん行っちゃった」
「少佐……。ありゃ中佐がかわいそうだわ」
「まあ、とりあえず鐘、突きますね。501の皆さんの幸せを祈って」
「何かそう言うと雰囲気出るな、宮藤」
「はい」
「あたしももう一回鳴らす〜」

 除夜の鐘は尽きることなく朝まで続く。

end

140 名前:名無しさん:2011/01/01(土) 04:46:46 ID:MdJvQlxw
以上です。
もっさんは酒を飲まなければ(煩悩は)
大丈夫だと思うんですけど、どうなんでしょう?

今年も皆様にとって良い年であります様、ご祈念致します。
また、本年も宜しくお願い致します。

ではまた〜。

141 名前:mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/01/01(土) 06:16:31 ID:MdJvQlxw
あけましておめでとうございます。たびたびmxTTnzhmでございます。
>>139「the night watch bell」の続きを投下します。
ではどうぞ。

142 名前:the night watch bell II:2011/01/01(土) 06:19:11 ID:MdJvQlxw
 厳かに鳴り響く鐘の元に、近寄る人影。
「お前ラうるさーイ! 真夜中に何鳴らしてんだヨ!? サーニャが起きちゃったじゃないカー!」
「あ、エイラさんにサーニャちゃん」
「あれ、二人は夜間哨戒じゃなかったのか?」
「私達だってたまには休ませろヨ。で、せっかくの休みかと思ったらこの騒ぎダヨ! で、何だよこの妙に残る音ハ……」
「除夜の鐘です。扶桑の風習で、百八回突くと、ひとの煩悩が消えるんですよ?」
「煩悩……そう言う習慣は扶桑の中でやってクレ。わざわざ基地の中でするなヨ。何事かと思うダロ?」
「芳佳ちゃん。私、少し、やってみたい」
「えええサーニャ、やる気?」
「うん。エイラも一緒に、どう?」
「え? う、う、うん……サーニャが言うなら、仕方ないなあ。一回だけダゾ?」
「エイラさん、サーニャちゃん、綱を持って……そう。そんな感じ。それで勢いを付けて、突いてみて」
「エイラ……手、触れてる」
「だって仕方ないじゃないカー」
「ニヒー 何か結婚式みたいだよシャーリー」
「面白いなお前達」
「シャーリー達に言われたくないヨ!」
「良い音出してね、サーニャちゃん」
「じゃあ行くよ、エイラ」
「お、オウ!」

ゴーン……

「二人共上手ですね! 良い響きです!」
「サーニャと私にかかればざっとこんなモンだナ」
「でも何か……エイラ、煩悩増えてね?」
「なっ!? シャーリー、ナニイテンダ!? そんな事……」
「ちょっと貴方達、真夜中に一体何の騒ぎですの!? まったく五月蠅くて眠れやしない! 今何時だと思って……」
「あ、ペリーヌさんにリーネちゃん」
「芳佳ちゃん、さっきからずーっと聞こえてたヘンな音って、これ?」
「扶桑から取り寄せたんだよ。除夜の鐘って言ってね……」
「宮藤さん、貴方また扶桑の迷惑な……」
「そうでもないぞペリーヌ。これは百八回鳴らす事で人の煩悩を消し去る、とても有り難いものなのだ」
「しょ、少佐! いつの間に?」
「いやあ、ちょっとミーナを追い掛けて、な……」
「あ、坂本さんお帰りなさい」
「何だ、結局殆ど来てるじゃないか。どうだペリーヌ。お前も一回位突いてみたらどうだ?」
「そっそれは勿論、有り難く、やらせて頂きますわ!」

ゴーン、ゴーン、ゴーン、ゴーン……

「うむ。良い音だ。ペリーヌもなかなかうまいな」
「ととんでもない! 少佐、ありがとうございます!」
「でもペリーヌぅ、そんなムキになって連打しなくてもぉー」
「ペリーヌ、それハ煩悩あり過ぎって事カ?」
「ペリーヌ、お前煩悩幾つ有るんだー?」
「そそそんな事有りませんわ!? 三人共、変な詮索はお止めなさい!」
「芳佳ちゃん、一緒に突こう?」
「うん、良いよリーネちゃん。一緒に……」

ゴーン……

「うむ。良い音だ。二人共見事だ……ん? 宮藤、もうリーネから離れても良いんだぞ?」
「はっ!? いえ、何でも無いです、大丈夫です」
「宮藤、お前煩悩が増えてないか?」
「きっ気のせいです!」
「なるほど、これが扶桑の鐘か。大きいな」
「おお、バルクホルンとハルトマン」
「結局トゥルーデと一緒に来ちゃった」
「せっかくだからお前達も鳴らすと良い。ほら」
「少佐が言うなら……」
「ちょっとバルクホルン待て。魔力解放はしなくて良いからな。お前の場合はそーっとで良いんだ」
「この鐘はそんなに脆いものなのか?」
「いや堅物、あんたの力が強過ぎるんだよ」
「何だとリベリアン?」
「良いからトゥルーデ、一緒にやってみよう?」
「ああ。試しにやってみるか」

ゴーーン……

「近くで聴くと、また迫力が有るな……余韻も凄いな」
「はっはっは! これで煩悩がまたひとつ消えた訳だ」
「そうかなぁ、少佐? 増えてないですかね?」
「何? シャーリー、どう言う事だ?」
「いや、まあ良いんですけどね……」

end

143 名前:名無しさん:2011/01/01(土) 06:19:33 ID:MdJvQlxw
以上です。
501の皆で仲良く除夜の鐘!
各キャラのネタを提供して頂いたLWqeWTRG様には多大なる感謝を。
改めて御礼申し上げます。

ではまた〜。

144 名前:名無しさん:2011/01/01(土) 21:56:27 ID:devTzLeA
新年明けましておめでとうございます、Hwd8/SPpです。
>>135-136>>139>>142のmxTTnzhmさま、いつも自分の作品にコメントありがとうございます!
まさか今年初めて投稿された作品が「ring」シリーズとは!
今年もこのシリーズのさらなる発展を願っております。

このスレのご覧の皆様、本年もよろしくお願いします。

145 名前:mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/01/02(日) 01:28:28 ID:dy4eoBxU
>>144 Hwd8/SPp様
感想どうもありがとうございます。
私も、Hwd8/SPp様の、今後のご活躍をお祈りしております。
毎回ハイテンションな「ヘルマの発情」シリーズ、楽しみにしてます。


こんばんは、mxTTnzhmでございます。
保管庫No.981「music hour」のシリーズです。
ではどうぞ。

146 名前:happy holiday 01/03:2011/01/02(日) 01:29:25 ID:dy4eoBxU
ハ〜イ今夜も「STRIKE TALKING RADIO」始まりマシタ〜。
DJ兼MC、パーソナリティのエイラ・イルマタル・ユーティライネンでス。皆聴いてるカナ?
この番組ハ、サーニャのレーダー魔導針を通しテ、全世界の悩めるウィッチに秘密のラジオとしてお伝えしているンダナ。
夜間哨戒のついでじゃないカラナ?
今夜は何と新年最初の、年始スペシャル! 素敵なゲストを呼んで居るゾ。さあ、登場ッ!

「いやーどうもどうもはじめまして……な訳あるかっ!」

オオー、年始早々、ニパのノリツッコミダゾ。

「何だよ! 私がスペシャルなゲストなのかよ? ……他に誰か呼ぶんじゃなかったの?」

いやー何か皆忙しかったり既に予定入ってたりしてさー残念残念。

「『私だけ暇人です』みたいな言い方するな!」

「じゃあご予定は?」

「うっ……。サーニャさんもきついなあ……ははは」

そうだよニパ。久々にスオムスに帰っても良かったンダゾ? ウインド大尉とか心待ちに……

「わあ! その話はストップ! もうやめて……やめてくれよお……」

何故泣く!?

「エイラ、あんぱりニパさんいじめちゃダメ。でもニパさん、スオムスで何があったの?」

「スオムスだけじゃないよ。帰りたいけど、帰れない……うっうっ」

何ダヨそれ。まあ後で話聞いてやるからサー。とりあえずいつものラジオ始めるゾ。

「エイラ、今年最初のお便り」

ほいほい。じゃあ最初の一枚……「恋するオオカミちゃん」さんから。この人常連さんダナ。

『今年こそは先に……と思っていましたが、去年、先を越されました。
別に競う訳じゃなかったんですけど……、はあ。
どうしたら良いんでしょう?』

なんか、夜の砂浜に一人座って哀愁漂う背中まで見えた気がしたけど多分気のせいダナ。
漠然とし過ぎだけど、とりあえずズバリ言わせて貰うゾ。

去年は去年! 今年は今年で先に行ケ!

「それ、あんま意味無くね?」

そうでもないぞニパ。ずっと引きずると、一年じゃなく「一生」レベルで考えちゃうからいけないんダ。
だから「一年」を単位に、ああする、こうすると決めて襲い掛か……もとい、頑張れば良いンダヨ。

「一年……ねえエイラ、エイラは去年本気出した?」

うえっ? サーニャ、何をいきなり……

「イッル、まさか去年は本気出して無かったのか?」

ニパも何で食いついてくるンダヨ。去年は……うーん。じゃあ今年は本気出すゾ。今年こそ……その、あの……ええっト……

「エイラの、ばか」

ちっ違うんだサーニャ! これはその……

「何この、私だけ置いてけぼりな空気……」

147 名前:happy holiday 02/03:2011/01/02(日) 01:30:19 ID:dy4eoBxU
サーニャ違うんだ、だからこっち向いてヨー……

「知らない、エイラ」

「なんだかなあ。二人共ラジオのOA中なのに喧嘩してどうするんだよ。二人共やめなってば。
……ま、たまには私も手紙読んでみるか。暇だし。
えっと、扶桑の『アイパッチ侍』さんから……って誰だこれ?
とりあえず読んでみよう。どれどれ」

『扶桑では「一年の計は元旦にあり」と言いますが……』

「へえ、扶桑じゃそう言うんだ……」

『今年の抱負を教えて下さい』

「な、何だこのお便り? いや、これ質問おかしいだろ? 普通自分の悩みとかを聞いてくるのに
なんで私の事聞いてくるんだ?」

ニパ、読んだからには答え宜しくナ。

「ちょっ! ……一年の抱負? つまり何をするか目標を言えって事だろう?」

そうそウ。

「なら、私の目標はひとつ。絶対に墜落しないッ!」

無理ダナ。

「全否定! しかも早っ!」

ニパが墜落しないなんて、サルミアッキの入ってないお菓子箱みたいなもんダゾ。
有り得ないネ。

「その例え、イッルと私達以外に通じるのか……?」

どうだろウ。

「私分からない」

えっ、サーニャ?

「ニパさん、次のコーナー行きましょ」

「うん、良いけど……何かさめてるなあ、サーニャさん。大丈夫?」

148 名前:happy holiday 03/03:2011/01/02(日) 01:31:15 ID:dy4eoBxU
うう……じゃあ次のコーナー。第四回目ダゾ。「エイラのカップル占い」はい拍手ゥ〜。

ぱちぱちぱちぱち〜

カップルなら公認自認、自薦他薦を問わズ、私のタロットでズバリ占ってみせるゾ。
さて今回は「私のお父さんは世界一」さんカラ、この人と「ブリタニアで一番!」さんのお二人について、リクエストを頂きましタ。
……何か微妙なラジオネームダゾ。まあイイケド。
早速占ってみせるゾ。

……。

「どうなのエイラ?」
「どうなんだよイッル?」

悪くないナ。このままお互いもっと積極的になれば、将来は明るいゾ。多分。
でも、「私のお父さんは世界一」さんは「本能的に胸に行く」って暗示が出てるカラ、
「ブリタニアで一番!」さんはその辺割り切るしか無いゾ。頑張レ。

「胸……。エイラも人の胸よく触るよね」

「そうだな。イッルは昔からどうしようもない……」

「何で、私は触ってくれないの? ……ぐすっ」

さ、サーニャ!? ラジオで何て事言い出すンダ? 何故泣く!?

「おいイッル、サーニャさん泣いてるぞ。何したんだよ?」

違う、何もしてなイ! いや、これはその、あの、他の奴はスキンシップを兼ねてサイズを比べてるだけで、
サーニャは違うンダ……だから話聞いてよサーニャ!

「おい、イッル……。おいってば……。また二人の世界に行ってしまった。
しょうがない、なんかいつになくイッルがテンパッてるので、今日は私が代わりに〆るぞ。
コホン。
この番組は、いつでも皆さんからのお便りを待っています。
各コーナー宛のお便りは501JFW『エイラさんとサーニャさん』宛てに、そっと送って下さいね。
深夜のこの時間をもっと楽しくするには、貴方の本気なお便りが必要です。
今年も一年、この時間、この秘密のチャンネルで貴方をお待ちしてます。
では皆様の健康とご武運をお祈りして、バイバイ!」

「凄いニパさん。エイラより上手」

「えっ本当サーニャさん? いや、何か照れるな……」

こっち向いてクレ、サーニャぁぁぁ……

end

149 名前:名無しさん:2011/01/02(日) 01:32:37 ID:dy4eoBxU
以上です。
この「ラジオ」シリーズは今後も適当に
のんびりやっていきたいと思いますので
宜しくお願い致します。

ではまた〜。

150 名前:mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/01/03(月) 04:28:01 ID:clrc1UAM
こんばんは、mxTTnzhmでございます。
ことしは兎年、と言う事で、とある絵師さんのイラストを元に
短いSSを書いてみました。例によってオチは無し……。
ではどうぞ。

151 名前:virtual rabbit:2011/01/03(月) 04:30:18 ID:clrc1UAM
「あけましておめでとうございます、シャーリーさん」
「おー宮藤か。ハッピーニューイヤーだな。おめでとさん」
「聞いて下さいシャーリーさん、今年はシャーリーさんの年なんですよ」
「なんだいそりゃ。また扶桑の風習か何かかい?」
「卯年なんですよ、今年は」
「はあ……ウサギ、ねえ。確かにあたしの使い魔はウサギだけど」
「だから今年はシャーリーさんの年なんです!」
「そう言われても、いまいちピンと来ないね。なんかあたしに関係あるのかい?」
「さあ……どうでしょう……」
「あっははは、宮藤、私の胸凝視してるな! 素直だなあ宮藤は!」
「えっそんな事ないです! たまたまです」
「そうやってリーネの胸も見てるから……」
「ちっ違います! とにかく、今年はシャーリーさんの年って事で」
「うーん……まあ、良い意味で覚えとくよ。ありがとな宮藤」
「それでですね、シャーリーさん」
「ん?」
「今年はきっと良い事有ると思うんです。例えば、すっごい早くなるとか」
「速くって……またストライカーで音速越え出来るとか、か?」
「もしかしたらジェットストライカーに乗れるかも知れませんよ」
「それは楽しみだね。でもあたしはもうちょっとレシプロで頑張ってみるよ」
「そこで、いつもスピードの為に頑張ってるシャーリーさんの為に、今日はこれをご用意しました!」
「おお、ありがと……って何だい、この布……随分と派手だけど」
「扶桑の晴れ着ですよ」
「晴れ着? ……それがスピードと何か関係あるのかい?」
「袖の形状が飛行機の翼に似てるって、坂本さんが言ってました」
「何、それは本当か?」
「はい。……酔っ払いながら」
「おい、何か急に信憑性が怪しくなってきてるぞ。大丈夫か?」
「大丈夫です、ものは試しで一度着て下さい」
「……まあ暇だし良いけど。なんか下着っぽいの付けたり、面倒だな……この太い布は?」
「それは帯です」
「ベルトじゃないんだ」
「恥ずかしくないですよ」
「なんだそりゃ」
「大丈夫です、私、お母さんから着付けも教わってますから……わあ、シャーリーさんステキです、似合ってます!」
「……なんか胸が苦しくてちょっと重いけど、うん。まあ、思ったよりは動けるかな?」
「さあ、是非飛んでみて下さい!」
「よし、新年最初のフライトと行くか!」
「頑張って下さいね! 私が速度計測しますから!」

「ああ……宮藤。やっぱりダメだったよ」
「あうぅ、残念です」
「どうも服全体が重くて……デッドウエイトになってる感じがしてね」
「そうですか……」
「ちなみに扶桑で、これを着て飛ぶウィッチとか居るのかい?」
「お正月には居るんじゃないでしょうかねぇ」
「何、そのアバウトな答え」
「とりあえず、色々貪欲にチャレンジすると良いと思います!」
「ポジティブなのは良いんだけど、年始早々あたしで遊んでないか?」
「気のせいです」

end

152 名前:名無しさん:2011/01/03(月) 04:31:40 ID:clrc1UAM
以上です。
某所に晴れ着姿のシャーリーさんのイラストが
たくさん有ったので、ちょっと書いてみた次第です。
オチが無いのはいつもの事で……orz

ではまた〜。

153 名前:5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/01/04(火) 00:49:38 ID:fpj31Tjk
皆様、新年あけましておめでとうございます。
5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2です。今年もよろしくお願いします。

>>98 DXUGy60M様
GJです。姫様かっこいいですね。
こんなにかっこいい姫様ならマリーも惚れちゃいますね。

>>144 Hwd8/SPp様
GJです。フェデリカ少佐とヘルマとは珍しい組み合わせですね。
今後の「ヘルマの発情」シリーズでのヘルマと色んなウィッチ達との絡み、とても楽しみです。

>>130-143>>145-152 mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c様
GJです。いつも素晴らしい作品の数々をありがとうございます。
芳ーニャとシャー芳いいですね。芳佳かわいいよ芳佳

さて、今年は兎年ということでナオ定で一本書いてみました。
保管庫NO.1403「あなたのために」の続きです。ではどうぞ。

154 名前:うさぎのおはなし:2011/01/04(火) 00:50:19 ID:fpj31Tjk

「定子、起きてるか?」
石造りの部屋の扉をコンコンと叩きながら、オレは部屋の主の返事を待つ。
……おかしいな、いつもならすぐに開けてくれるのに今日は一向に扉が開く気配がない。
「……入るぞ」
オレが少々遠慮がちに扉をゆっくりと開けると、部屋のベッドにはうずくまっている定子の姿があった。
白いハンカチで目頭を抑えている。もしかして、泣いてるのか?

「おい、定子! どうしたんだ? しっかりしろ!」
定子が泣くなんて余程のことがあったに違いない。
オレは慌ててベッドの定子へと駆け寄る。
「あ、ナオちゃん。どうしたんですか?」
目を真っ赤に腫らした定子がオレの方を見ながら訊いてくる。
「どうしたもこうしたもねぇよ! お前何で泣いてんだ……ん?」
オレはふと、定子が綺麗な装丁の本を持っているのに気付く。
「えっと、もしかして……それ読んで泣いてたのか?」
「ええ。すごく切ない話だったんで」
「なんだ、驚かすなよ……てっきりオレは中尉の奴に、その……何かされたのかと思ったよ」
「ふふっ、クルピンスキー中尉は女の子を泣かすような事、しないと思いますよ」
どうだかね、あの女たらしのことだ。
影で何人もの女を泣かせてたって不思議じゃない。
「ところでナオちゃん、どうして私の部屋に?」
「ああ、そうだ。すっかりここに来た目的を忘れてたよ」
オレはポケットから煎餅の入った袋を何枚か取り出す。
さっきジョゼから貰ったものだ。
「一緒に食べようぜ」

「それで、なんて本読んで泣いてたんだ? ほらよ」
オレは煎餅の入った袋を3枚ほど定子に渡しながら、尋ねる。
「あっ、ありがとうございます。これ、サーシャ大尉から借りたオラーシャの文学なんですけど、
ナオちゃんは読んだことありますか?」
「オラーシャの文学はあんまり読んだことないな。どんな話だったんだ?」
「えっとですね、主人公は恋するウサギの女の子なんですよ」
「それはまた、随分とメルヘンな物語だな」
オレは煎餅をバリバリとかじりながら呟く。
「ええ。それである日、その女の子の恋人のウサギが戦争に行ってしまうんです」
ウサギの戦争? 何だそりゃ。
オレは2本足で立ってるウサギが戦車に乗って、戦う場面を想像してみる。
う〜ん、中々にシュールな絵面だ。
「2人は再会を約束しあうんですけど、彼は戦場で死んじゃうんです。それでも彼女は約束を信じて待ち続けるんです。
何日も何ヶ月も……」
「それで、彼女はどうなったんだ?」
「……1年ほどして彼女も病気で亡くなっちゃうんです。悲しいですよね、再会を誓いあったのに二度と逢うことがなかったなんて」
定子が少し俯きながら呟く。
今定子が話してくれたオラーシャの文学、ネウロイとの戦いに身を投じてるオレ達にも決して無縁な話じゃないんだよな。
オレ達だって大切な人と突然別れる日がくるかもしれない状況で戦ってるんだから。

「ねぇ、ナオちゃん」
定子がオレに寄りかかりながら言う。
「こういう話、知ってますか? ウサギは寂しいと死んじゃうって」
「ああ。でもそれって、迷信じゃないのか?」
「迷信なんかじゃないですよ。ほら、私も使い魔がウサギですけど寂しいのは怖いですし……
何よりナオちゃんのいない人生なんて考えられないです。ナオちゃんがもしいなくなったら私、きっと寂しくて死んじゃいます」
定子のその言葉を聞いて、思わずオレはドキリとしてしまった。
おいおい、定子の奴、さり気なくすごく恥ずかしいこと言ってないか?
「……ナオちゃんは、私とずっと一緒にいてくれますか?」
定子は目を潤ませながら、オレの方を見てくる。
オレの2つ上とは思えないほど可愛らしく、守ってやらないといけないような瞳をしている。
「絶対、とは言い切れない。オレいつも無茶な戦いばっかりやってるし、物語のウサギみたいに
突然別れる日がこないなんて保障はどこにもない。でも……」
「でも、何ですか?」
「オ、オレが定子を残して死ぬわけないだろ。オレが死んだら誰がお前を守るんだよ」
思わず声が上擦ってしまう。自分でも恥ずかしい事を言ってるのは分かってる。
だけど、定子の事を、一生をかけて守りたいというこの気持ちに偽りはなかった。

「ありがとう、ナオちゃん。私たち、ずっと一緒にいれるといいね」
定子が頬笑みながらオレの事を強く抱きしめてくる。
「お、おい定子……」
「ふふっ、ナオちゃんってやっぱり暖かい」
やれやれ、こりゃ当分離してもらえそうにないな。
でもまぁ、定子の喜ぶ顔が見れるならこうやって抱きしめられるのも悪くないかな。

〜Fin〜

155 名前:5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/01/04(火) 00:50:57 ID:fpj31Tjk
以上です。去年はラジオに始まり、あなたとできること、アニメ第2期、いやぷにと色々と充実した一年でした。
劇場版も決定したことで今年もストライクウィッチーズから目が離せませんね。
個人的には504やJG52辺りの話をもっと書いていければいいなと思っています。
それでは皆様、本年もよろしくお願い致します。

156 名前:5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/01/04(火) 15:39:48 ID:fpj31Tjk
こんにちは、フミカネさんのTwitterイラストの
バニーロスマン先生を見てたら思いついた話を投下していきます。
ではどうぞ。

157 名前:Ein Kaninchenmädchen:2011/01/04(火) 15:41:14 ID:fpj31Tjk
「ねぇ、伯爵」
「何だい? 先生」
「これは一体何の真似なのかしら?」
夕食を終え、明日の教練の準備をしようとしていたところに、ニセ伯爵が何やら怪しげな箱を持ってやってきた。
私がその箱を開けてみると、中に入ってたのはウサギの耳をしたカチューシャにチョーカー、アームウォーマーとブーツ、
それと、綿でできたふわふわの尻尾。
早い話がバニーさん変身セットというわけだ。
「ほら、先生もうすぐ誕生日じゃない。これはボクからのひと足早い誕生日プレゼントってことで」
「これを私に着ろって言うの?」
私は、箱の底に入っていた布の面積が異様に狭いトップスとテープ状のズボンを見ながら言う。
なんなのよこれ! ほとんど裸じゃない。
「うん。絶対エディータに似合うと思うんだ」
「ふざけないでよ。何で私がこんな格好を……」
「ティナに手紙贈った時、ウェディングドレス着てくれたじゃん」
「あ、あれはその場のノリって奴で……」
「じゃあ、これもその場のノリで着てよ」
「お断りします」
私がぴしゃりと言い放つと、ヴァルディは目に涙を浮かばせながらこう呟いた。
「ぐすん……そうだよね、エディータは本当は私の用意した服なんて着たくなかったんだよね……いつも無茶ばっか言ってごめん」
嘘泣きだと分かっているのに、ヴァルディの可愛らしい表情を見て、私は思わずドキリとしてしまう。
……つくづく私もヴァルディには弱いわね。
「わ、分かったわよ! 着ればいいんでしょ、着れば!」
私がそう言うと、ヴァルディは一転して明るい表情になって、
「本当!? 着てくれるの? やった!」
子供のようにはしゃぎ回った。
今のヴァルディの涙に騙された女の子って一体、どれくらいいるんだろう。
ひょっとしたら、ヴァルディのネウロイ撃墜数より多いんじゃないかしら。

「えっと、今から着替えるんだけど……」
「うん。だから、ボクが見ててあげるよ」
「出て行け!」
「分かったよ。じゃあ外で待ってるから着替え終わったら言ってね。エディータの素敵な変身ぶり、楽しみにしてるから」
ヴァルディはそう言い残して私の部屋を一旦後にする。
私は、箱の中に入ってるバニーガールの衣装をもう一度見てみる。
勢いでOKしちゃったとは言え、いざ着るとなるとやっぱり恥ずかしいわね……
ええい! こうなりゃもうヤケよ。
私は勢いよく軍服とズボンを脱いで、バニーガールの衣装を身に付ける。

「……入っていいわよ」
「お邪魔しま〜す……わぁ、驚いたな。天使のように可愛いよ、エディータ」
「すごく、スースーするんだけどっ……」
それもその筈、今私の下半身を覆っているのはテープ状のズボンと綿でできた尻尾のみ。
こんな格好、こいつ以外の誰かに見られたら恥ずかしさのあまり死んでしまうかもしれない。
「本当に似合ってるよエディータ。その、今夜……どうだい?」
ヴァルディが綿のしっぽを千切りながら耳元でそう囁きかけてきた。
「ひゃっ! このっ……変態!」
「痛っ!」
私は、指示棒をヴァルディの頭めがけて思いっきり投げつける。
「痛たた……ただの冗談じゃないか、エディータ」
「あんたの冗談はいつも冗談に聞こえないのよ!」
「手厳しいね。でも、すごく似合ってるよ。ボクの心のアルバムに一生焼き付けておきたいくらい」
「……寒いわよ」
「そりゃ、ほとんど裸に近い格好だからね」
「そうじゃなくて、あんたの台詞が」
私がそう言うと、ヴァルディはいつもの伯爵スマイルで微笑みながら、私の事を抱きしめてきた。
「なんならもっと寒い事、言ってあげる……エディータ、世界で一番愛してるよ」
「……ヴァルディの馬鹿」
私はヴァルディの告白に応えるように少し背伸びをして、彼女の唇に思いっきりキスをしてやった。

〜Fin〜

158 名前:5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/01/04(火) 15:43:07 ID:fpj31Tjk
以上です、今朝、フミカネさんのバニーロスマン先生を見てたらつい筆が進んでいました。
ではまた

159 名前:名無しさん:2011/01/05(水) 02:40:28 ID:2aJgieNU
>>158
おお、クルロス乙です

160 名前:名無しさん:2011/01/05(水) 17:45:43 ID:0rZcWyHA
>>158
合法!合法!!

161 名前:名無しさん:2011/01/05(水) 17:45:53 ID:0rZcWyHA
>>158
合法!合法!!

162 名前:名無しさん:2011/01/05(水) 21:24:09 ID:G/eRhS3M
>>155
小林源文氏の某漫画を思い出してしまったw>二本足で歩くウサギ
定ナオほっこりしました。GJです。

>>158
合法、合法( ゚∀゚)o彡゚
伯爵も、のってしまう先生も大好きです。

163 名前:名無しさん:2011/01/06(木) 04:29:30 ID:VQ3K0HtA
SSの中で伯爵がヴァルディって呼ばれることがままあるけど、ヴァルトルートの愛称ってヴァルディなの?

164 名前:名無しさん:2011/01/06(木) 05:20:40 ID:afxF.z8Y
公式じゃないけど、ヴァルトルートって名前のドイツ人名の場合の愛称はヴァルディってなっても間違いではないらしいよ

165 名前:名無しさん:2011/01/06(木) 10:41:59 ID:fxwh/ufM
トゥルーデだとゲルトと被るしな

166 名前:名無しさん:2011/01/06(木) 12:36:45 ID:VQ3K0HtA
なるほどさんくす
他にもそういう愛称ってないかな
もしくはそういうの調べるサイトとか
今後の参考にしたいんだ

167 名前:名無しさん:2011/01/06(木) 15:11:41 ID:a0411NPU
>>163
ヴァルディよりもヴァリィの方がより正しいっぽいよ。

168 名前:名無しさん:2011/01/06(木) 15:15:54 ID:a0411NPU
http://www2u.biglobe.ne.jp/~simone/more/alp/index.htm
ここだと愛称がのってたりのってなかったり。

愛称じゃないけど名前の意味があるこことか面白い。
http://www.policedog.or.jp/chishiki/g-w.htm

あとはfacebookへ行ってその名前の人が親しい人間からどう呼ばれているかを確認するというても使えるね>愛称

169 名前:名無しさん:2011/01/06(木) 16:01:45 ID:afxF.z8Y
まあ実際の外国人の愛称よりかわいくて響きがいいほうがいいじゃん。ジョゼとかさ

170 名前:名無しさん:2011/01/06(木) 16:24:51 ID:sw5e7/UA
しかしジョゼって聞くとどうしても 
おいジョゼ山 すいません誤変換ですジョゼさん おいって言ったねヘンリエッタ 
が先に出る。

171 名前:名無しさん:2011/01/07(金) 11:51:05 ID:An0INKc6
>>158
合法先生ロスマンちゃんカワイイ!!

172 名前:名無しさん:2011/01/07(金) 16:24:12 ID:jKlPqcTc
みんな返答ありがとう、>>163です
たしかにヴァルディよりヴァリィのほうが女性っぽいね
まぁでもロスマン先生はあえて皮肉で「ヴァルディ」って呼んでるのかもしれないけどw
そのほうがロスマン先生と伯爵っぽいかななんて

173 名前:名無しさん:2011/01/07(金) 23:45:16 ID:An0INKc6
>>172
なるほど、それいいですね!(^^)

174 名前:名無しさん:2011/01/08(土) 14:55:44 ID:Tf4dcaLY
ヴァルディって呼び方、かわいくて好きですよ。あとDVD特典の設定集にロスマン先生の愛称は「パウラ」ってなってたけどこれって常にそう呼ばれてるわけじゃないんでしょうかね?

175 名前:名無しさん:2011/01/08(土) 17:53:47 ID:xehb5XJg
>>174
エーリカで言うところの「フラウ」みたいなもんじゃない?
常に呼ばれてるものじゃないと思う

愛称と言えばペリーヌが本名じゃなくて愛称だってことは割と最近まで知らなかった

176 名前:名無しさん:2011/01/08(土) 19:49:54 ID:.yCy0LRU
愛称っていうか勝手に自分で名乗ってるだけだよねきっと
501でも何人かはピエレッテって名前知らなそう

177 名前:mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/01/08(土) 21:56:36 ID:5XPAe8dI
>>154>>157 5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2様
連続投下GJです! 定子×ナオちゃんのほっこりと
合法先生と伯爵の大人な雰囲気が最高です。


こんばんは、mxTTnzhmでございます。
ちょっと珍しいカップリングを二本連続で投下します。
エロスな成分が有りますので、お嫌いな方は要注意です。
ではどうぞ。

178 名前:cherry and berry 01/03:2011/01/08(土) 21:57:21 ID:5XPAe8dI
 芳佳は目覚めた。目覚めたと言うより、起こされたと言った方が正しい。
 太腿に、何かの感触が残る。それは指か何かやわらかいモノが、這いずった痕。そのショックで起きたのかも知れない。
 目を開けるも、視界はタオルか何かの布で縛られて、何が起きているか分からない。
 口も布で縛られる。んー、うー、と唸るのがやっと。
 全身が束縛されている。椅子に手足を縛られ、がたがたと揺らすも、身動き一つ取れない。
(どうして私が?誰か!)
「おはよう、芳佳ちゃん」
 声の主はサーニャだった。穏やかで優しげな声。
(サーニャちゃん!?)
 芳佳は大声を上げたつもりだったが、がっしりと食い込んだ布に阻まれ、言葉が出ない。
「やっと起きてくれた?寝間着姿も可愛いよ」
 闇の中で、声と気配が動く。正面から右、背後、そして耳元。
「これでもう大丈夫だね」
(……!)
 射抜かれるような、昏く冷たい囁き。その一瞬の変貌に芳佳は恐怖した。
 しかしそれがまるで気のせいであったかと錯覚するような優しい声が続く。
「芳佳ちゃんがもうどこにも行かないって思うと、すごく安心する……」
(何でそんな嬉しそうなの?それに、何でこんな……)
 芳佳は戸惑った。どうしてこうなったのか聞きたかった。そして早く解放して欲しかった。でも……
「ねえ、芳佳ちゃん。リーネさんばっかりって、ずるいよね」
 およそ考えつかなかった科白に困惑する芳佳。唸りながら首を横に振る。
 その様子を見てサーニャは満足そうに微笑むと、おもむろに芳佳の身体を強く抱きしめた。
 動けない芳佳を、それでも足りないというようにきつく、苦しいほどに────
 そして首筋に顔をうずめ、甘い香りにうっとりと恍惚の表情を浮かべる。
 思いがけない温かさに少しだけ気を緩める芳佳であったが、
 次に聞こえてきたのは、背筋の凍りつくような、狂気さえ感じるほどのぞっとする声だった。
「嘘ばっかり。嘘吐きな子は、お仕置き、しないとね」
 耳元に、ふーっと息が吹きかけられる。ひゃうっと首をすくめる。サーニャの甘い吐息が、僅かに残る。
 数秒の空白。芳佳は、柔らかな耳たぶをじっとりと舐られて居る事を感じる。
 びくびく、と身体が勝手に動く。
「芳佳ちゃん、ここも弱いんだ」
「う……あ……」
「ふふっ、言わなくても大丈夫、芳佳ちゃん」
 首筋に、唇を這わせる。唾液の雫が僅かに滑り、痕を引いて鎖骨にまで到達する。
 身じろぎ出来ない程、きつく締められている。抵抗出来ない。関節がぎりぎりと軋む。
 ふう、と息をつき、舌なめずりする音が聞こえる。
(まさかサーニャちゃん?)
 ぺろり、と不意に鼻先を舐められる。んんっ、と思わず首をすくめる。
「可愛い芳佳ちゃん」
 サーニャは芳佳をそっと抱きしめ、布の上からそっと唇を重ねた。
 僅かな感触だが、触れ合う事で、サーニャ本人である事、彼女の意志で行為が続いている事を知る。

179 名前:cherry and berry 02/03:2011/01/08(土) 21:57:47 ID:5XPAe8dI
 長い長いキスが終わり、サーニャはぎゅっと、芳佳を抱きしめた。
「次はどうしようかな……」
 サーニャはそう言うと、両手で芳佳の体をまさぐるように撫で始める。
 そしてぴったりくっついた芳佳の太腿に触り、無理矢理押し広げた。
「芳佳ちゃん、ふふ、その格好……」
 抵抗するも、サーニャのしなやかな指先で撫でられると、不思議と力が入らなくなる。何故?
 だらしなく股を広げている格好になる芳佳。羞恥心と、困惑と不安、それらが入り交じる。
「芳佳ちゃんの表情、もっと見てみたいな」
 そう言うと、サーニャはおもむろに芳佳の股をつつーっとなぞり、秘めたる場所に辿り着く。
 躊躇なくズボンの中に手を入れ、じんわりと湿ったポイントに、細い指を入れる。
 くちゅ、くちゅ、と音がする。
 芳佳は玩ばれている。音しか聞こえないこの状況で、サーニャにやられ放題。
 だけど。
 理性とは別に身体的反応は実に素直で、芳佳の秘所はサーニャの指のリズムに合わせて、じんわりと汗をかく。
「んーっ!んんー!」
「ここが良いの?芳佳ちゃん、随分いやらしいんだ……」
 サーニャは指を更に奥に入れ、乱暴にかき混ぜ、敏感な場所をいじり、つねり、きゅっとつまんだ。
「んんんーーっ!」
 芳佳は自然と腰を振っていた。サーニャの指に反応して、自分から求めていた。
(違う、違うの……こんなんじゃ……)
「んっ、んん、んんっ……」
「芳佳ちゃんのイク顔、見せてね」
 サーニャは耳元で言うと、芳佳のアナルにまで指を伸ばし、中指を挿れ、こすり、前と後ろ両方で玩ぶ。
 耐えきれなくなった芳佳はがくがくと腰をびくつかせ、極みに達すると、だらしなく力が緩んだ。
「可愛い、芳佳ちゃんのイク顔。もうちょっと見せてね」
 サーニャはまだ痙攣が止まらない芳佳を更に虐めた。間も無く、快楽の第二波が絶頂となり芳佳を襲う。
 俎の鯉。まさに魚のように激しく、小刻みに痙攣して、動けない体が跳ねる。
 サーニャは腹で息を繰り返す芳佳の太腿にまたがり、縛っていた轡を解く。
 呼吸を整える間もなく、もう一度強引に、今度は直に口吻を交わす。
「っぷは、はあっ……はあっ……サーニャちゃん、どうして、こんな……んんっ……」
 サーニャは芳佳の口に、先程まで自身を苛めていた指を入れた。
「自分のは、自分で綺麗にしないとね」
「ん……」
 もう片方の指を、にちゃっと言わせ、代わる代わる指を芳佳に舐らせるサーニャ。ふふ、と笑う。
「じゃあ、いい顔をしたご褒美」
 息つく暇も無く、口に何かが押し込まれる。ほのかに甘い。パンケーキらしかった。
「しっかり食べて、元気出してね?」
 とんでもない状況なのに、サーニャの言う通りにしてしまう芳佳はもはや考えることもできない。
 一口、二口と食べさせられると、サーニャの濃いキスが待っている。
「芳佳ちゃん、お水欲しい?」
 サーニャは立ち上がって薄手のカップに紅茶を注ぐと、芳佳に咥えさせた。
「うまく飲んでごらん。落とすと火傷するかも?」
「ほ……ほんはあ……」
 カップを噛んだまま、何も出来ない芳佳。サーニャはそんなのお構いなしに、芳佳の鎖骨につーっと舌を這わせる。
「ひっ!」
 びくりとした拍子に、カップを落とす。太腿の上で一度バウンドして中身を芳佳にぶちまけた後、
カップは床に落ちてばりんと割れた。
「あっつい!」
「もう、粗相しちゃダメでしょ、芳佳ちゃん?」
「サーニャちゃん、酷い……ひどいよぉ……」
「泣かないで芳佳ちゃん。だって私だけの芳佳ちゃんだから」

180 名前:cherry and berry 03/03:2011/01/08(土) 21:58:12 ID:5XPAe8dI
「どうして?どうしてサーニャちゃん?」
 サーニャはひとつ縄を解くと、芳佳の寝間着に手を掛けた。
「あ、サーニャちゃん、待って」
 肩の端を引っ張り、ずるっと剥く感じで下に下ろし、肌を露わにさせる。
 芳佳の乳房が顔を出した。
「残念賞?でも私にはとっても可愛く見える」
 サーニャは寝間着の間から飛び出した芳佳の乳首をじっくりと眺める。
「み、見ないで……」
「わかった」
 言うなり、サーニャは芳佳の乳を、吸った。マシュマロの様な柔らかさを楽しんでいる。
「いやぁ……やめて、サーニャちゃん……」
「もっと刺激を与えれば、もっと大きく、可愛くなれるから」
 サーニャは執拗に芳佳に乳首を舐り、舌の上で転がした。
「お乳と言えば、ミルクよね」
 いつ用意したのか、温かなミルクの入った瓶を、芳佳の乳房にたらりと流す。
 胸から腰に掛けて、白い液体が流れていく。
 そしてゆっくりと、ほんのり甘味のついた芳佳の乳房を舐るサーニャ。
「いや……やめ……うんっ……あはあっ……」
「いやらしい芳佳ちゃん。上も下も、びしょ濡れ」
「ち、違うの、サーニャちゃん……私、私……」
 サーニャがほんの少し歯を立て、きゅっと吸った。
 スイッチが入ったのか、芳佳はだらしなく喘ぎ、またもがくがくと身体を震わせた。
「胸でもいっちゃった。いやらしいんだから。でも、可愛い」
 椅子の下には既に、芳佳の体液とミルクがだらしなく混じり水たまりが出来ていた。
「芳佳ちゃん、次のお願い聞いてくれたら、椅子からベッドに移してあげる」
「サーニャちゃん……」
 芳佳は既に逃げる気力も失せ、ぼんやりとサーニャを見ていた。
 逆らえない。
 抗えない。
「これからはちゃんと、私だけを見て」
 芳佳は、耳元で囁くサーニャの甘い吐息を胸一杯に吸い込み、吐き出した。
「うん……」
 小さく、頷く。
「じゃあ、行きましょう」
 ここが何処かも分からず、未だ身体の自由が利かないまでも、芳佳は、ただ全てをサーニャに委ねる他無かった。
 椅子ごとベッドに持って行かれ……そして何かに繋ぎ止められ……ごろりとベッドに転がる。
「可愛い。芳佳ちゃん。もうずっと、一緒だよ?」
 サーニャの声が、頭の上から聞こえた。その後何をされどうなったのか、芳佳の記憶は途絶えた。

end

--

まずは一本目です。
サーニャさんと芳佳ちゃん、続きをどうぞ。

181 名前:cherry and berry II 01/02:2011/01/08(土) 21:58:43 ID:5XPAe8dI
 あれから何時間……いや、何日経ったのだろう。芳佳は茫洋と考えを巡らせた。
 でも。
 窓もなく、仄暗い石造りの部屋の中では、日暮れも朝も感じ取る事は出来なかった。
 何より、両手をベッドに縛られ、目隠しがされたまま。このまま何も出来なく、何も見えなくなるのでは、と思うと辛い。
「芳佳ちゃん、おはよう」
 甘い声が耳元から聞こえる。思わず首をすくめると、声の主は優しく芳佳の頭を撫で、頬にキスをした。
「そんなに怯えないで。まるで生まれたての子犬みたい」
「だって……」
「芳佳ちゃん、何処にも行かないから、私安心出来る」
 服が微かに擦れる音。声の主が芳佳の横たわるベッドに腰掛けたのだと推測する。
 今度は何をするの、サーニャちゃん?
 芳佳はぼんやりと、そんな事を考えていた。
「まずは、ちゃんと食事を取らないとね。あーん……」
 言われるままに口を開ける。きゅっと押し込まれたのは……恐らくサンドイッチ。
 ハムとレタスのさっぱり感が、場違いな程新鮮で、あっという間に食べてしまう。
「芳佳ちゃん、食いしん坊なんだから。でも、ちゃんと食べてね」
 頷く前に、また口に押し込まれる。鼻で息をしながら、急いで噛み、ごくりと飲み込む。
 ふふっ、とサーニャの笑う声が聞こえる。とても楽しそう。
「芳佳ちゃん、子犬みたい……可愛い」
 つつーっと、肌をなぞられる。びくりと肩を震わせる芳佳。
 肌を伝ったサーニャのか細い指は、とある所で止まり、肌の弾力を確かめる。
 胸の膨らみを、むにむにとつつく。
「少し、大きくなった?」
「私、分からないよ……」
「じゃあ、分かるまで、頑張ろう?」
「えっ……ひゃうっ!」
 サーニャが芳佳の胸に手を当て、じっくりと、優しく揉みし抱く。
 先端の突起に指をかけ、くりくりと玩ぶ。芳佳は何処かリズミカルなその動きに翻弄され……、
一度は復活した理性が、また飛びそうになる。
 ちゅうっと、サーニャは芳佳の乳首を吸った。舌の上で、転がす。
 段々と先の方が固くなるのを感じる。
「いやぁ……サーニャちゃん」
「恥ずかしくないよ? だって私と芳佳ちゃんだけの秘密だもの」
「でも……んあっ……だめ……だめっ……」
「何がだめなの?」
 悪戯っぽく囁くサーニャ。
「だって……サーニャちゃん……うあっ……私、また……ううっ……」
 堪える芳佳。理性が快楽で消し去られない様に、歯を食いしばって抵抗する。
「そう言う芳佳ちゃんも、可愛い。私、好きよ」
「だからって、どうして縛ったままで……」
「芳佳ちゃんが逃げちゃうから」
「どうして……あっ……いやっ……」
 サーニャは芳佳の身体を撫で、揉んだ。唯一自由に動く足で抵抗するも、まるで蛇の様にするりとかわされ、
そして絡め取られ、動きが取れなくなる。
「芳佳ちゃん、胸だけでイッちゃういやらしい子だもんね」
 サーニャの一言。そして芳佳の敏感な場所へ伸びる手。じっとりと汗ばんだ芳佳の身体は、既に理性を失い
快楽に溺れたまま、サーニャの手中にあった。微かに躍動する身体。
「だめ……だめなの……いやああ……あ。ああっ……あー……」
 よだれを垂らしたまま、芳佳は乳首を硬くしたまま、絶頂のスイッチが入り、がくがくと身体をびくつかせる。
 また、イッちゃった……。
 芳佳はぼんやりと、恥じらいと身体の疼きとが入り交じった感情で、サーニャの声のする方に顔を向ける。

182 名前:cherry and berry II 02/02:2011/01/08(土) 21:59:32 ID:5XPAe8dI
「芳佳ちゃん、可愛いよ」
 キスをされる。舌が絡む。芳佳は“あの日”以来、サーニャを肌で感じ耳で聞くしかなかったが、
それでも全てをありのままに受け容れる。
 逃げられないから。
 それとも、逃げたくないと言う邪念にも似た気持ちが、少しでも有るのだろうか?
 だが答えを出す前に、サーニャは次の行動に移った。
「じゃあ、次は……」
 サーニャはだらしなく伸ばされた芳佳の足を取り、太腿を舌で舐めた。火照った身体、うっすらと汗ばむ肌に、
まるで吸い付くかの様に、芳佳を味わい、舐め取っていく。
 サーニャは芳佳のヴァギナに手を伸ばし、軽やかなタッチで玩ぶ。
 すすん、とサーニャは匂いを嗅いだ。
 僅かな音を聞き、芳佳は声を上げた。
「や……。やめて。匂い嗅がないで……お風呂入ってないし、臭うし」
「芳佳ちゃんの身体。少し酸っぱいね。でもチーズにも似た感じで……何のチーズだろうね」
「そ、そんなの良いから……」
「今度のサンドイッチにはチーズ入りだね」
「どうして……ひゃっ!」
 芳佳は腰を浮かせた。サーニャが突然芳佳の敏感な場所にキスして、そのまま舌を入れてきたから。
「やめ……やめて……だめえっ!」
 サーニャの舌はまるで魔術の様に魅惑的で……腰の力が抜け、そして気付くと腰を僅かに振っている自分に気付く芳佳。
「だめなの……そこだけは……やめて……」
「芳佳ちゃん、そこだけって本当?」
 サーニャはふふっと悪戯っぽく笑うと、芳佳のお尻に手を回し、撫で回した。その指は芳佳の尻穴へと向かう。
 それを触覚で察知した芳佳は逃げようとするも、間も無くサーニャに掴まり、なすがままになる。
「芳佳ちゃんのお尻……小さいけど柔らかくて……それでいて引き締まってて好き」
「サーニャちゃん」
「私のもの。芳佳ちゃんは全部私のもの」
「そんな……」
「だから……」
 サーニャは芳佳を、前も後ろもきゅうきゅうに責め立てた。まるで演奏するかの様な指使い、舌使い、リズム。
 芳佳は、やめて、と繰り返したが、身体は快感に浸り、リズミカルに腰が浮き、前と後ろの秘所をぐいぐいと、サーニャに押しつける。
 サーニャは舌で芳佳のクリトリスをちょっと持ち上げ、唇でふにゅっと噛んだ。同時に、アナルに入れた指をぐいと奥に挿し込む。
 たまらず芳佳は悲鳴に近い嬌声を上げた。
 またも全身が痙攣し、前からはぽたぽたと愛液が垂れる。足先がつった様に固まり、びく、びくと震える。
 びくつく身体。止まらない。止めてくれない。
 でも、もっと……。もっとして欲しい。
 理性は既に薄れ、気持ち良さだけを追い求めるケダモノへと変化していた。
 縛られたままの腕もそのまま、足もだらしなく投げ出し、大事な部分も解放したまま。
「もっとぉ……」
 芳佳は、小さな声で、震えながら言った。
「芳佳ちゃん、もう一度。良く聞かせて」
「サーニャちゃん……私……」
「はっきり言ってくれたら、もっと気持ち良くしてあげる」
「サーニャちゃん……お願い。もっと、もっとして」
「何をして欲しい?」
 サーニャは芳佳を抱くと、涙とよだれを垂らし、だらしなく喘ぐ芳佳にキスをした。
 はうっと芳佳が声を出し、だらしなくサーニャへの懇願を繰り返すと、サーニャはくすっと笑い、芳佳の身体へ覆い被さった。
 間も無く、芳佳は声を出した。サーニャの名を呼び、そして激しい快楽の悲鳴。
 繰り返される情事。サーニャの楽しみは、芳佳の悦びにシフトする。

end

183 名前:名無しさん:2011/01/08(土) 21:59:43 ID:5XPAe8dI
以上です。

どうして二人はこうなったのかとか
この後どうなるのとかは……
まあ、あんまり気にしない方向でよしなに。

ではまた〜。

184 名前:名無しさん:2011/01/09(日) 02:09:56 ID:UUuOAH7k
芳ーニャ…だと……?!許せるッ!!!

185 名前:名無しさん:2011/01/10(月) 16:32:36 ID:w8kcTlug
そーいや明日はロスマン先生の誕生日らしいね
祝わねば…

186 名前:名無しさん:2011/01/10(月) 17:22:57 ID:5Vyk9gjE
>>185
期待してるぜ

187 名前:5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/01/10(月) 21:30:35 ID:RRQDnFrc
>>177-183 mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c様
GJです、えっちなサー芳でお腹いっぱいです。
個人的に芳佳は結構受け属性強いと思います。

こんばんは、今日はるっちーの誕生日ということでマルチナ×ルチアナで1本書いてみました。
ではどうぞ。

188 名前:マルチナのせくしーカレンダー 1/2:2011/01/10(月) 21:31:25 ID:RRQDnFrc
――1月7日、504JFWにて

「え? ルチアナへの誕生日プレゼント?」
「うん。何をプレゼントしたらいいと思う?」

ルチアナの誕生日を3日後に控えたその日、ぼくはフェルを自分の部屋に呼んでルチアナへのプレゼントの相談をしていた。
一応、隊のみんなでお金を出し合って購入したプレゼントはあるのだけれど、それとは別にいつもお世話になってるルチアナに
日頃の感謝を込めて、ぼく個人から彼女に何か特別なものをプレゼントしたいと考えていた。
そこで、原隊の隊長でケンカ友達でもあるフェルに相談を持ちかけたんだけど……

「そうねぇ……リボンを身体に巻いて『ぼくがプレゼントだよ♪』って言うのはどうかしら?」
「それ、ぼくが前にジェーンやシャーリーに勧めた方法じゃん。自分でやるのは何だか恥ずかしいよ」
「あら。人に勧めといて自分はできないの?」
「じゃ、じゃあフェルは、竹井にプレゼントとして自分を差し出せるの?」
「な、なんでそこで竹井の名前が出てくるのかしら!? でも、そう言われると確かに、
自分をプレゼントにするのって恥ずかしい気がするわ……」
「だよね……」

ぼくもフェルも顔を真っ赤にして黙り込んでしまう。
ぼくったら、何て恥ずかしいことを人に勧めてたんだろう……

「えっと……じゃあ裁縫道具セットをプレゼントするのはどうかしら? ほら、ルチアナって裁縫得意だし」
しばらくの沈黙の後、フェルが口を開く。
「それは去年プレゼントしたよ」
「それじゃあ、調理器具とかは?」
「それは一昨年」
「う〜ん、やっぱり自分をプレゼントするしかないんじゃないかしら?」
「だから、それは絶対ダメだって〜」
「ふふふ、話は聞かせて貰ったわ!」
その時、突然ベットの中からフェデリカ少佐が現れた。
ええ!? 一体どうなってるの!?
「少佐、いつからそこに!? てゆうか何でぼくのベッドから?」
「細かいことは気にしないで。それよりティナ、誕生日プレゼントに困ってるならいいアイデアがあるわよ」
「え? なに」
ところでさらっと流そうとしてるけど、人の部屋のベッドに潜り込むのは「細かいこと」じゃないと思うんだけど。
「ふふっ、それはね……ティナのせくしーカレンダーよ!」
「は?」
一瞬、フェルの部屋に再び沈黙が流れる。
呆れ顔のぼく達とは対照的にフェデリカ少佐の顔は妙に得意げだった。

せくしーカレンダー――それは、前線で戦う兵士達の戦意高揚のためにかつてフェデリカ少佐が企画した
文字通りウィッチのせくしーなカレンダーのことだ。
まぁ結局、「高揚し過ぎちゃうから危ない」との理由でロマーニャ公からやんわりと止められたらしいけど……
「それって少佐の趣味じゃ……」
「ええそうよ。私はティナのあんな写真やこんな写真を撮ることができるし、ルチアナは喜んでくれる。
こういうのを扶桑の諺で『一石二鳥』っていうらしいわ」
うわ、あっさりと認めちゃったよこの人。
でも、考えてみればカレンダーは貰って困るものじゃないよね。
少佐の言う「あんな写真」や「こんな写真」がどんなものなのかはちょっと気になるけど……
「分かった。やってみるよ」
ぼくがそう言うと、少佐はお菓子を貰った子供のような笑顔を浮かべてきた。
「ティナならそう言ってくれると思ったわ。それじゃあ早速だけど、これを着て頂戴」
少佐がぼくの部屋のクローゼットからバレリーナの衣装を取り出しながら言う。
「え? これを着るの?」
「ええ、ティナにバレリーナの衣装は欠かせないでしょ。フェル、悪いんだけど私の部屋からカメラを取ってきてくれるかしら?
隊の記録用のじゃなくて、私の趣味用の方ね」
「了解」

189 名前:マルチナのせくしーカレンダー 2/2:2011/01/10(月) 21:31:50 ID:RRQDnFrc
――数分後

「少佐、カメラを持ってきました」
ぼくが(フェデリカ少佐に凝視されながら)バレリーナの衣装に着替え終わると同時に、フェルが少佐のカメラを持ってやってきた。
「ご苦労様。それじゃ、始めましょうか」
「う、うん」
こうしてフェデリカ監督のもと、カレンダー用の写真撮影が始まった。
最初の数枚はベッドに座ってるだけのシンプルな写真の撮影だったんだけど……

「う〜ん、今のままでも可愛いけど、もうちょっとせくしーなポーズが欲しいわね」
4枚目の写真を撮り終わった後、少佐が不意に呟いた。
「せ、せくしーなポーズって何!?」
「口で説明するより、実際に見て貰ったほうが早いわ。フェル、お手本を見せてあげて」
「な、何で私が!? てゆうか私もせくしーポーズがどんなものなのか知らないんですけど」
「それなら大丈夫。私が教えてあげるから。あのね……」
少佐はフェルにこっそりと耳打ちをする。
黙って聞いていたフェルの顔がだんだんと真っ赤になっていく。
あれ? 口で説明できるなら、少佐がぼくに直接教えてくれれば良かったんじゃ……
「ふ、ふざけないでください! なんで私がそんなポーズを……」
「あら。赤ズボン隊のリーダーさんは、困っている仲間を見捨てるような薄情者だったかしら?」
そう微笑みながらフェルに圧力をかけるフェデリカ少佐。
……絶対にサディストだよ、この人。
「わ、分かりました! やりますよ。いい、マルチナ? よ〜く見てなさい」
フェルはそう言うと、ぼくの口からはとても言えないようなポーズをとり、それを少佐に激写される。
ヤバイよこれ。バレリーナの格好でそんなポーズとったら、色々とシャレになんないって!
「さ、こんな感じでせくしーポーズとってみて」
せくしーポーズをとるのはすごく恥ずかしいけど、フェルの犠牲を無駄にしちゃダメだよね。
ぼくは覚悟を決めてせくしーポーズをとる。
父様、母様、何て言うか……名家のレディらしからぬ親不孝な娘に育っちゃってごめんなさい。

――そして3日後の昼、談話室にて

「それで、これが完成したティナのせくしーカレンダーってわけね」
カレンダーの完成品を見ながら竹井がそう呟く。
「……恥ずかしいからあんまり見ないで」
結局、あの後バレリーナでの撮影を終えるとフェデリカ少佐の部屋に連れて行かれ、
水着やナース服、更にはサンタ服など計11着の衣装に着替えさせられた。
しかも、全部の衣装でそれぞれ違うせくしーポーズを強要された。
もし、父様や母様がこのカレンダーを見たら一体何て言うだろう……考えたくもないや。
「ルチアナ、こんなカレンダーで喜んでくれるかな」
「大丈夫よ。だって、ティナが身体を張って撮ったカレンダーだもの。きっと気に入ってくれるわ」
ぼくの頭を撫でながら、そう微笑んでくれる竹井。
竹井は本当に良い人だね。少佐やフェルが一目置くのも分かる気がするよ。
「ありがと、竹井。それじゃあルチアナに渡してくるね」
「頑張ってね」

ぼくは談話室を後にして、ルチアナの部屋へと向かう。
ああ、なんだか胸がすごくドキドキしてきた……

「ルチアナ、いる?」
ぼくは、ルチアナの部屋の扉をコンコンと2回叩く。
「ティナ、どうしたの?」
10秒も待たずにルチアナが扉を開けてくれた。
ちょ、ちょっと待って! まだ心の準備ができてないんだけど!
「えっと、ルチアナ、た、誕生日おめでとう! これ、ぼくからのプレゼントだよ!」
ぼくは勢いに任せてルチアナにカレンダーを渡す。
「ありがとう。これは……カレンダー?」
ルチアナがぼくのせくしーカレンダーを1枚ずつゆっくりとめくっていく。
うぅ、自分をプレゼントにするのよりよっぽど恥ずかしいよ。
「ティナ、すごく可愛いよ。これを私のために?」
「うん、発案したのはフェデリカ少佐だけど」
「本当にありがとう、ティナ。素晴らしい誕生日プレゼントだよ」
ルチアナがそう微笑みながら、ぼくを優しく抱きしめてくれた。
「ふぇ……ル、ルチアナ!?」
「このカレンダー、大切に使わせてもらうね」
「う、うん……ありがと」

その言葉通り、ルチアナはぼくのせくしーカレンダーを部屋に飾ってくれた。
彼女の部屋を訪ねる度に自分のあられもない姿が映ったカレンダーが目に入るのはやっぱり恥ずかしいけど、
ルチアナが喜んでくれて本当に良かったよ。

〜Fin〜

190 名前:5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/01/10(月) 21:32:20 ID:RRQDnFrc
以上です。赤ズボン隊は自分達の色恋沙汰には疎かったりしたら萌えます。
フェルちゃんとマルチナがどんなポーズをとらされたのかは、皆様のご想像にお任せします。
ではまた

191 名前:名無しさん:2011/01/10(月) 23:40:32 ID:rGc7wlP.
こんばんは、ここ何日かmxTTnzhm ◆di5X.rG9.c様やzet4j65z ◆le5/5MRGKA様の長編モノを読破していたHwd8/SPpです。
長編って…書きたいんですが、書けないないんですよねぇ…。

今回は502モノで「伯爵にまつわる一枚の写真」です。タイトルだけなら感動モノっぽく聞こえますが…ギャグです。どうぞ!


【伯爵にまつわる一枚の写真】
「あら伯爵、読書?」

深夜、ロスマンは誰も居ないはずの食堂に水を飲もうと足を運ぶとソファーに座り本を読んでいるクルピンスキーを見かける。

「先生、どうしたんだい?こんな時間に」
「水を飲もうと」
「残念、ボクを欲しがってるのかと」
「バカ…何読んでるの?」
「え?本だよ」
「それはわかるわよ;;何の本?」

読んでる本が気になったロスマンはクルピンスキーに近付く。

「ん?これだよ、カントの哲学書」

本には『Zum ewigen Frieden. Ein philosophischer Entwurf(永遠平和のために)』と書いてある。

「…まあ驚いたわ。あなたってばゴシップ誌しか読んでないイメージがあったから」
「失敬な!『anan』だって読んでるさ!…セックス特集だけね!」
「まっ、明日の訓練に響かない程度で切り上げて寝なさいよ」
「いや…もう寝ようかな」

パタンと本を閉じ、スッと立ち上がり笑顔で…

「では先生、グーテ ナハト」
「えぇ」

クルピンスキーが自室へ戻ったため、食堂はロスマン一人になった。

「さっ、私もお水を飲んで…んっ?」

ふと足元を見やると何やら一枚の写真が落ちている。

「これ、伯爵のものだわ…」

拾って、写真を見たロスマンだが...

「だっ、誰なのこれっ!!??」


***

192 名前:名無しさん:2011/01/10(月) 23:41:31 ID:rGc7wlP.
>>191の続き。


翌日の食堂。
みんな一斉に起きてきて、朝食を摂っている。

「ごちそうサマンサタバサー♪」
「伯爵!そんなふざけて!」
「やー熊さんが怒ったー!食われちゃうー!」
「待ちなさい、エセ伯爵!!」

サーシャとクルピンスキーはふざけており、何処かへと消えた...

「…あっ、あのラル隊長」
「どうした?」
「その…昨夜ですね」
「昨日の夜どうしたんだ?あ、ジョゼおかわり頼めるか。…どうした?」
「その…こんなのを拾ってしまいましてですね…」

テーブルの真ん中に拾った写真を置く。

「かっ、可愛ぃ!!!!」
と素早く下原が反応する。

そう、そこに映っていたのは長髪で水色の子供用ドレスを着飾り、クマのぬいぐるみを抱いている少々嫌々な顔をした少女が写っていたのだ。

「だっ誰ですか!?ここに写ってるの!!??」
ジョゼも若干興奮気味である。

「確かに可愛いんですが…」
と困り顔のロスマン。

「………なんか怪しい匂いがしねえか?」
と呟く菅野。

「私も思った…これって…」
ニッカも恐る恐る発言する。

ガチャンッ!!

すると突然ラルがフォークを持ちながら立ち上がり、
「これは淫行だっ!!!!」
と叫ぶ。

「…隊長、とりあえず落ち着いてください」
「えぇい、落ち着いてられるか?!今までクルピンスキーの事は大目に見てきた!だが…これはないな!庇いきれないな!」
「ちょっと待ってロスマン先生、伯爵はもしかして…?」
「この未成年に手を出したに違いない!!」
「えぇぇぇぇぇ…」
「…別に良いんじゃね?」

菅野は食べかけのウインナーを頬張る。

「考えてみろ!『世界を守るウィッチーズの実態 中尉(18)が未成年相手に淫行』と言うゴシップ誌が発売されるのかもしれないんだぞ?!」
「えっ?!」
「そのスキャンダルで第502統合戦闘航空団は解散、いや…全世界の統合戦闘航空団は解散になる!!」
「隊長、話が飛躍し過ぎな気が…;;;」
「あぁどうしよう…ロスマン、お前今いくら持ってる?」
「えっ??!!どうしたんです?!」
「これはもう示談だ!相手の親御さんにキチンと話し合いをし、これは無かった事に!」
「隊長落ち着いてください!いつもと若干キャラが違いますよ?!」

必死に止めるジョゼだが、彼女の声はラルに届いてないようだ…。

「…まっ待ってください隊長!クルピンスキーに限ってはさすがに…ほら!手を繋いだだけとか?!」

「そもそも付き合ってると言う前提なのかよ…」
と菅野がまたまた呟く。

「手を繋ぐだと?!…おい、そしたらひと昔前の渋谷ならデート代3万は請求されるだろ!!」
「伯爵だったらデートだけでは済まない…ハズ」

何故かどんぞこに突き落とされるラルとロスマン…。

「どうしましょう…」
「…とりあえず、食器を片づけましょう」
「はい」
この話に飽きたのか、さっさと食器を片づけ始める下原とジョゼ。

193 名前:名無しさん:2011/01/10(月) 23:42:02 ID:rGc7wlP.
>>192の続き。




「あれぇ、どうしたの?みんな」
「隊長とロスマンさんどうしたんですか?!」

いつの間にかクルピンスキーとサーシャが帰って来ている。

「あ、この写真だけど…」
「あー…見られちゃったかぁ」
「誰なんだ?それ」
「…聞きたい?」
「もしかして一夜限りの関係の女…じゃないよな?」
「何を言ってるのさ!さすがに幼女にまで手は出さないさ!」
「うわあ…説得力ねえ…」
「まあ下は10歳、上は50歳までOKだけどね」
「良い加減、それ誰なんだってば」
「これ?………ボクだけど」














「「ええええええっ!!??」」
「ビッ、ビックリしたあ!!」
「ちょっ…どうゆう事だクルピンスキー!!」
「説明しなさいよ!」
「なんだい2人とも、血相を変えて;;」
「これって…あなたなのっ?!」

コクリと首を縦に振るクルピンスキー。

「あんま知られたくなかったんだよねぇ…今は髪短いけど、小さい頃は髪が長くて…あ!長い髪をバッサリ切る直前に撮ったんだっけなー♪」
「「………」」
「…なに先生、髪長くして欲しいのかい?だったら今日からでも伸ばすけど」
「…バカーッ!!!!」

バシッ!!

「へぶしっ!!??」

とりあえず一発殴ってから退室するロスマン。

「…とりあえずムカつくから、トイレ掃除よろしくな。クルピンスキー伯爵」
ポンと肩に手を置き、笑顔でそう言うラル。

「…ちょっと待ってくださいってばー!何故にボクが!!」
と冗談ながら、ラルを追いかけて行くクルピンスキー。

食堂には下原、ジョゼ、ニッカ、菅野、サーシャが残る。
しかし、サーシャは顔を赤くしてプルプルしている...

「どうしたんです?サーシャ大尉」
「…っ!!」
「熱でもあるんですか??」
「…行きつけの花屋の娘よ、この娘」
「「「「ええっ??!!」」」」
「大事な娘さんだからって…あんだけ手を出すなって言ったのに…っ!!」

と台所から包丁を持ち出すサーシャ。

「ちょっ!!大尉!」
「やめてみんな!私を止めないで!!アイツを刺してから私もっ!!」
「落ち着いてくださいぃぃぃ!!!!」
「やめろって!」

必死に止める下原、ジョゼ、ニッカ。


そんな中、温かい緑茶を啜りながら一言。
「…で結局、手を出したのか?出してないのか?」
一人疑問に思っていた菅野であった…。


【おわれ】

194 名前:名無しさん:2011/01/11(火) 02:35:23 ID:L1kTkpDU
伯爵wwww流石ネタが尽きませんなw
あ、ロスマン先生誕生日おめでとー!

195 名前:名無しさん:2011/01/11(火) 04:24:26 ID:bXSOJwvE
伯爵×熊さんもアリかもしれない

196 名前:名無しさん:2011/01/11(火) 07:07:31 ID:lWfbR5vY
いいレスを見かけたので甜菜

326 名無しさん@お腹いっぱい。 [sage] 2011/01/10(月) 23:48:47 ID:uM7SSOi3

エーゲル・シャーゲルだとトゥルーデが受けみたいな印象だけど逆もまた良し
明るくて社交的娘と生真面目委員長娘だと、どうしても前者がグイグイ引っ張っていくイメージが出来てしまうけど、
例えばキスするってなったときに、普段は明るいエーリカやシャーリーが急にしおらしくなるととても萌える
するとトゥルーデに隠れていた年上属性が発揮され、私に任せなさい的なマスラオ属性へと変化し、
普段攻めな娘はそこで普段受けな娘に惚れ直すわけだ
でもトゥルーデは鈍感だから惚れ直させてることに気づかないわけだ、ちょっとだけ天然ジゴロ
さらに普段と違う立場で秘め事を行うわけだから、ギャップ萌えというかちょっとだけインモラルな雰囲気も漂うと思う
トゥルーデは何となくエロいオーラを出してるし、そうなるはず
すると年上属性に反比例する形で、今度は相手の方の隠れていた年下属性が一気に表出し、行為の最中は植物状態、されるがままとなる
インモラルな雰囲気で行われる濃厚な秘め事が終わって夜が明けると、年下っ娘はからかったりしてくると思いきや、一転してデレデレになってる
からかってくるときの笑顔のままで抱きついてきたりするから、最初は困惑するんだけど、頭をなでたりして実はまんざらじゃない

シャーリー・エーリカが攻めから受けになったのではなくて、
むしろトゥルーデが受けから攻めに転化したことにより、シャーリー・エーリカが受けにならざるを得なかったということ
トゥルーデは素晴らしいポテンシャルを秘めていると思う
あと書いてる途中で考えたけど、パティアンについても同じようなシチュを適応できる気がした

197 名前:名無しさん:2011/01/11(火) 10:12:14 ID:HGp0K3j2
なんと深い洞察

198 名前:zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2011/01/11(火) 19:07:02 ID:.JmIX76w
ここしばらく本スレに投下してたけど、やっぱり雰囲気悪いのでこっちに書きます。
というわけで、ロスマン先生誕生日おめでとう!

短めのが一本書けたので投下します。

●ペテルブルグ1945 プレゼント

 オストゼー……国際共通ではバルト海上空、高度1000。
 低く垂れ込めた雲と舞い散る粉雪を貫いて、翼たちが舞う。
 現在、502統合戦闘航空団所属のウィッチ4人は補給船団救援の任務に当たっていた。
 とはいえ魔力の衰えが進んでいる私は十分な実力を持ちながらも暴走しがちな前衛3人のお目付け役と言えなくも無い。
 でも、今日に限っては私は用無しだったかもしれない。
 指揮官であるクルピンスキー中尉を中心として、菅野少尉も、カタヤイネン曹長も素晴らしい連携を見せ、危なげない戦闘をしている。
 私のすることといったら3人をいつも視界の中に入れて安全圏で旋回を繰り返す事くらいで、そうこうしているうちにネウロイは船団への攻撃を諦めたのか、徐々に撤退に移って行った。
 3人の様子を見ると、彼女達は殿として残った小型ネウロイ数機に手間取っているようだった。
 ネウロイの動き自体は大した様に見えないのだけれど……。
 3人で追い詰めて、どこかに誘導しようとしている?
 その動きを見てピンと来た。
 あの時の、あの娘たちと同じ事をしようとしているわね。
 周囲の警戒を怠らずに彼女達の動向を見守る内に過去の記憶がよみがえり、自然と頬が緩む。
 そう、あれもこんな風に雪の降る寒い空だった。

199 名前:zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2011/01/11(火) 19:09:54 ID:.JmIX76w
 ――――。
 1940年1月、今日の私はボニン司令からの特別の計らいでお休みを頂いていた。
 とはいえここは前線、いつ敵が来てもおかしくないし、要請があれば出撃するつもりでいた。
 そこに、声をかけてくる少女二人組。

「ね、パウラー」
「ロスマン、ちょっといいか?」
「フラウとハンナ、二人揃ってなんて珍しいわね」

 鮮やかな金髪のショートに、私と同じく小柄な背格好の彼女はエーリカ・ハルトマンで、背が高く、将来性に溢れた体型の方がハンナ・マルセイユ。

「わたしたち、今日出撃予定なんだけどさ」
「もしも時間があったら一緒についてきて欲しい」
「一体どうしたの?」
「ここまでパウラにお世話になった分の成果を見せたくてさ」
「わたしたちがどれだけ強くなったかを見て、わたしたち二人のどちらが上かをロスマンに判断して欲しい」
「えー、今日は勝負は抜きって言ったじゃーん」
「こんな機会は他に無いぞ、ロスマンの目なら信用できる」
「うー、めんどくさー」

 いきなりこんなお誘いがくるとは、どうやら天は私に休むなと言っているらしい。
 まぁ、冗談はさておき、目をかけていた二人の願いなら無下には出来ない。

「はいはい、そんな所で喧嘩はしない」
「でもハンナがー」
「だって、いい機会じゃ無いか
「フラウはそんなに嫌がらない。競い合えるライバルがいると言うのは素晴らしい事よ」「えー?」
「ふふん」
「ハンナも、そこまでムキにならない。折角の素敵なロッテなんだから、相手が嫌がるような事はしない。闘志は胸に秘めて自分を磨きなさい」
「う……」
「へへー」
「ま、とにかくあなた達には付き合うわ。成長を見せて頂戴」
「うん」
「ああ」

 そして私たちは3人で出撃する事になった。
 ボニン司令には折角休みをやったのにと苦笑されたけれど無事飛行許可をもらう事が出来、哨戒飛行の時間がやってきた。
 哨戒と言ってもここは最前線、ほぼ確実に接敵が見込まれる任務。
 そして案の定ネウロイは現れた。
 セオリー通りの高速一撃離脱戦法を私が舌を巻くほどの精度でこなすフラウと、回避の位置取りだけは基本に忠実に、いざ攻撃に移ると変幻自在の機動と射撃で次々にネウロイに命中を与えるハンナ。
 動きは対照的だし地上でのトラブルは耐えないけれど、二人は素晴らしいウィッチだと私の目に映った。
 私が大して何をするまでも無く敵編隊は駆逐され、残りは一機。
 これもあっという間に撃墜して終わるかと思いきや、二人の動きが途端に精彩を欠くようになった。
 特に敵が強いわけでもないし、被弾した気配は無かったし、ストライカーの不調にも見えない。

「二人とも、大丈夫!? すぐに行くわ!」

 無線で呼びかけながら加勢しようとするも、返って来るのは拒絶の声。

『パウラ、ダメ』
『そこを動くなロスマン」』

 一体どういうことだろうと思った直後に、二人の連携が上手く行き、翼端や動翼、尾翼などの末端部分を蜂の巣にされた瀕死のネウロイが私の目の前へともがく様に上昇してきた。
 絶好の獲物だった。

『パウラ、いまだ!』
『そいつにトドメを!』

200 名前:zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2011/01/11(火) 19:11:50 ID:.JmIX76w
 言われるまでも無く、MG42を一連射。
 胴体中心部を蜂の巣にされたこのネウロイはそのまま力なく錐揉みに入ると墜落する前に空中でばらばらになった。

「ナイスキル、パウラ」
「普段から遠慮をする事は無いと言うのに……」
「今のは一体……もしかして、私のためにわざと?」
「うん、そーだよ」
「今日はロスマンの誕生日と聞いた」
「だからお世話になった私たちからの……」
「「バースデープレゼント」」
「え……その為に最後の一機を?」

 その問いに二人が頷く。

「まったく、もう……二人とも!」

 強い口調でそう言い、懐から取り出した指示棒で二人の頭をぺち、ぺちと叩く。

「いたっ」
「な、なにをする!?」
「いくら強くなったからと言って、慢心は身を滅ぼすわ。だから最後まで手を抜かない!」
「で、でもさ、パウラっていつもサポートに徹してよっぽどの事が無いと撃墜に関わったりしないし……」
「こうでもしなければスコアを稼いでくれないだろう? それを……」
「わかっているわ」

 今度は指示棒をしまうと、二人の首に両手を回してまとめてハグして頬ずり。

「わっ、パウラ!?」
「ロスマン!?」
「わたしはあなた達が活躍してくれるだけで嬉しいわ、だから危険な事はしないでいつも全力で戦って、どんな時も生きて戻ってきて」
「うん」
「ああ」
「それと、今日の誕生日プレゼント、本当に嬉しかったわ。ありがとう、二人とも!」
「「はいっ」」

 帰還後はボニン司令とバルクホルン中尉たちがささやかなパーティを用意していてくれた。

 そんなJG52時代のささやかな思い出。


 ――――。
 あの時と一緒だ。
 そんな気がする。
 その証拠にほら、また私の目の前に追い込まれたネウロイがもがき苦しむようにして上昇してくる。

『せんせー、そいつやっちゃって』
『やっちまえ! ロスマン!』
『曹長、頼む!』

 うん、やっぱりだ。
 私ももう二十歳。
 これは現役のウィッチとして最後の撃墜になるかもしれない。
 様々な思いを胸に、引き金を引く。
 飛び散るネウロイ。
 通信機越しに聞こえてくる、三者三様の歓声。
 でも、心遣いよりも撃墜よりも、みんなが怪我せずに任務を終える事ができたのが一番のプレゼントだと思ったのは秘密にしておくとしましょう。
 近寄ってきた三人に、あの時と同じ様にお小言を言ってから「ありがとう」を言おうと心に決め、みんなの下へと飛んだ。

 1945年1月11日。
 私は20歳になった。

201 名前:zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2011/01/11(火) 19:16:42 ID:.JmIX76w
以上となります。
改めてロスマン先生おめでとう。
そして赤ズボンで一番好きなルチアナの誕生日になにもかけなくてごめんなさい。

あと今年もこちらのスレにお世話になります。
ヨロシク。

202 名前:名無しさん:2011/01/11(火) 19:31:32 ID:GKdqUczs
>>196
ナイス考察
シャーゲルとエーゲルの関係がちょっと整理できたよ
エーリカやシャーリーは素をあまり出さないようだから何を考えてるのか想像し辛い

203 名前:名無しさん:2011/01/11(火) 19:42:02 ID:GKdqUczs
>>201
後輩に愛されてるロスマン先生かわいいですGJ

204 名前:名無しさん:2011/01/11(火) 19:45:01 ID:ZCeZJwvM
>>201
設定だけの502含めて本当キャラ動かすの上手いなー、乙でした!

205 名前:名無しさん:2011/01/11(火) 21:24:49 ID:L1kTkpDU
>>201
GJ!ロスマン先生誕生日おめでと〜!

206 名前:名無しさん:2011/01/11(火) 21:50:49 ID:bi9WIhVU
>>189
毎晩ルチアナが高揚してるんですねわかりますGJ!

>>193
伯爵無双ワロタ 賑やか502GJ

>>196
これは深い考察だ……。同様のカプが複数存在するとみた。

>>201
これはまたイイハナシダナー ロスマン先生愛されすぎGJ!

207 名前:5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/01/12(水) 05:44:53 ID:9RpbE4Ek
>>191 Hwd8/SPp様
GJです。伯爵とクマさんのやりとりが面白いですね。

>>196

お姉ちゃんは普段はヘタレだけど、いざという時にはカッコよく決めてくれていたら萌えます。
エーリカやシャーリーが乙女っぽくなったら尚良いです。

>>198 zet4j65z ◆le5/5MRGKA様
お久しぶりです。リアルタイム投下GJです。
暖かくてすごく良い話ですね。

おはようございます。6時間近く遅れてしまいましたが、ロスマン先生の誕生日SSを2レス投下していきます。
ではどうぞ

208 名前:ロスマン先生のお誕生会 1/2:2011/01/12(水) 05:45:35 ID:9RpbE4Ek
――1940年1月、カールスラント空軍JG52

JG52の朝の食堂はいつも賑やかだ。
所属するウィッチのほとんどが同じ時間帯に食事をとり、その日一日の訓練や戦闘の話題に花を咲かせている。
私も整備兵さんから朝食のプレートを受け取り、ラル中尉と伯爵が談笑しているテーブルの席に着く。
「おはよう、2人とも」
私が2人に声をかけると、彼女達は何故か一瞬驚いたような表情を浮かべ、その後すぐに挨拶を返してくれた。
「おはよう、先生」
「やぁ、おはようエディータ」
「何の話をしてたの? 随分と楽しそうだったけど」
私がなんとなく聞いてみると、2人は急に困ったような表情になる。
……聞いちゃいけない事だったかしら。
「その……今日の作戦の打ち合わせだよ。な? クルピンスキー」
「う、うんそう。作戦の打ち合わせ……先生、悪いんだけどボク達のプレート、後で下げといてくれるかい?
ちょっとこれからやらなきゃいけない事があって……それじゃ!」
「あ、ちょっと!」
伯爵とラル中尉は私からほとんど逃げるように食堂を出て行った。
すごく怪しいわ、あの2人に限らず最近みんなの様子がおかしい。
最も、JG52は元々良くも悪くも個性的な面々が集まっている部隊なのだけれど、
それを抜きにしてもここ数日のみんなは、なんだか様子が変だ。
今の伯爵達のように何人かで談笑しているところに私が入ると、みんな急に静かになるという場面が多々あった。
みんなして私に聞かれたくないような話をしているのかしら。

「あ、いけない。早く食べないと午前の教練に間に合わないわ」
みんなの様子が少し変なのは確かに気になるけど、そればっかりを気にしてるわけにもいかない。
今日は午前の教導が終わったら、午後からJG53のミーナ中尉と今度の共同作戦の打ち合わせがある。
私は朝食を急いで食べて、午前の教導へと急ぐ。

――数時間後

「まだ、もうちょっと時間があるわね」
無事に教導を終え、軽めの昼食をとった後時計を見てみると、時刻は午後1時ごろ。
ミーナ中尉との打ち合わせまでまだ1時間ほど時間があったので、私は時間を潰す為に談話室へと足を運んだ。

「だから、ここは絶対こうしたほうがいいって」
「……なるほど」
談話室では、ハルトマンとバルクホルン中尉が大きめの紙を広げて何やら話し合いをしていた。
何かの設計図かしら。
「2人とも、何の話をしてるの?」
「わわっ! ロスマン先生!?」
「曹長、今日はヴィルケ中尉との打ち合わせでは?」
私が声をかけると、2人は母親に隠し事がばれた子供のような表情で私を見てくる。
何もそんなに驚かなくても……
「ミーナ中尉との打ち合わせはこれからよ。ところで、その紙は何?」
私がそう尋ねると、バルクホルン中尉は設計図のような紙を自分のポケットの中にしまってしまう。
そんなに私に見られたくないものだったのだろうか。
「すまないな、曹長。今はまだ秘密だ。それじゃあハルトマン、そちらの準備もぬかるなよ」
「りょ〜か〜い」
中尉はそう言い残して談話室を後にする。
部屋に残ったのは、私とハルトマンの2人だけ。
私がハルトマンの隣に腰掛けると、彼女はそわそわと落ち着かない素振りを見せる。
「え〜と……そうだ! 先生、見てこれ! 私の妹がやったんだよ! すごいでしょ」
ハルトマンが目を輝かせながら、テーブルに置いてあった新聞を私に見せてくれた。
その新聞の一面には、スオムスの義勇独立飛行中隊のウィッチが巨大爆撃兵器ディオミディアを撃墜したとの記事が載っていた。
なんでも、ハルトマンの双子の妹がその義勇独立飛行中隊の一員なのだという。

「大型の撃墜なんてそう簡単にできることじゃないわ……すごいじゃない 」
「えへへー、でしょでしょ?」
妹の活躍を自分の事のようにハルトマンは喜んでいた。
本当にあなたは妹想いの良い娘ね。
「ところで……今、バルクホルン中尉と何の話をしてたの? 準備がどうとか言ってたけど……」
私がそう尋ねると、ハルトマンは再びそわそわし出す。
「えっと、何て言うかその……ごめん、先生! そう言えば、ボニン司令に呼びだされてたの忘れてたよ! それじゃ、また後でね!」
「あ! 待って、ハルトマン!」
ハルトマンも先ほどの伯爵達と同様、逃げるように談話室を出て行った。
あれ? もしかして私、避けられてる?

209 名前:ロスマン先生のお誕生会 2/2:2011/01/12(水) 05:45:59 ID:9RpbE4Ek

「私、嫌われてるのかしら」
その日の夕方、ミーナ中尉との打ち合わせが終わった後、私は中尉を自分の部屋に招き入れ、
ここ最近自分がみんなに避けられているかもしれないという話を彼女に話していた。
「気にしすぎじゃないかしら。ここのみんながロスマンさんの事を嫌ってるようには見えないけど」
「でも、心当たりは何個かあるの……この間だって、訓練の時つい厳しく叱っちゃったし……」
「ロスマンさん……」
「そりゃ、私だってみんなに厳しく言うことはあるけれど、それはみんなの事を大切に思ってるからで……うぅっ」
みんなに嫌われていると思うと、なんだか悲しくなってきて私の目からはいつの間にか涙が溢れていた。
「ちょ、ちょっとロスマンさん!? 落ち着いて」
ミーナ中尉はポケットの中から可愛らしいハンカチを取り出して、それを私に渡してくれた。
「ありがとう、ミーナ中尉」
私はミーナ中尉からそのハンカチを受け取って、涙を拭きとる。
その直後、部屋のドアをコンコンと叩く音が私の耳に鳴り響く。
「ボニンだ、入ってもいいか?」
「ええ、どうぞ……」
扉が開かれ、ボニン司令が姿を現す。
「おお、ヴィルケ中尉もいたのか……曹長、少し目が腫れてるように見えるが大丈夫か?」
「え、ええ大丈夫です……司令、私に何の用でしょう?」
「何の用も何も、今日の主役がいないとパーティーが始まらないじゃないか。早く来てくれ。よければヴィルケ中尉も一緒に来てくれないか?」
「え? パーティー?」

「ほら、急いで」
私がボニン司令に急かされながら、食堂に入るとクラッカーの音が一斉に鳴り響いた。
『ロスマン先生、誕生日おめでとう!』
「え?」
私は今のこの状況を理解するのに少々時間がかかった。
テーブルには美味しそうな料理の数々、そして、目の前にはJG52の大切な仲間達。
みんな私のほうを見て、頬笑みかけてくれる。
すっかり忘れてた……今日は1月10日、他ならぬ私の誕生日だ。

「みんな、これ全部私のために……?」
私は食堂の辺りを見回す。
色とりどりの飾り付けが施されていて、とても綺麗だった。
「そうだよ。みんなロスマン曹長のために何日も前からこっそり準備をしていたんだ。クルピンスキー少尉を中心にね」
「え? 伯爵が?」
私は伯爵の方を見る。彼女はいつもの伯爵スマイルで私に微笑みかけてくれた。
「ボク達、先生にはいつもお世話になっているからね。日頃の感謝を込めて、盛大に誕生日を祝ってあげたかったんだ。
ほら、見てこのケーキ。バルクホルンが作ったんだよ。すごくない?」

ここ最近、みんなの様子が少しおかしかった理由が今分かった。
私を驚かせるためにこっそりパーティーの準備をしていたんだ。
それなのに私は嫌われてるなんて勘違いしちゃって……
「伯爵……」
気が付けば私は伯爵の事を抱きしめていた。
「へ? ちょ、ちょっと!? 先生!?」
「ありがとう、それとごめんなさい……私、最近なんだかみんなに避けられていたから嫌われてるって、
勝手に勘違いしちゃって……うぅっ」
私の目からは再び涙が溢れる。もちろん、悲しい涙じゃなくて嬉し涙だ。
「ボク達のほうこそごめん。驚かせるためとはいえ、先生に寂しい思いさせちゃって……でも、ボク達が
先生の事、嫌いなわけないじゃない。みんな優しくて面白い先生の事が大好きだよ」
「ふふっ、やっぱりロスマンさんの思い過ごしだったみたいね」
伯爵から離れた私にミーナ中尉が再びハンカチを差し出してくれた。
私はそのハンカチを受け取って、涙を拭う。
「うん。本当にありがとう、みんな」
「さ、曹長。このロウソクの灯を吹き消してくれ」
部屋の明かりを消して、ロウソクに灯を灯しながら、ボニン司令が言った。
「はい」

――この大好きな仲間達ともうしばらく、一緒にいられますように。

私は、そんな想いを込めながらロウソクの灯を思いっきり吹き消した。

〜Fin〜

210 名前:5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/01/12(水) 05:46:36 ID:9RpbE4Ek

以上です。
遅れた上に、微妙にzet4j65z ◆le5/5MRGKA様とネタが被ってしまって非常に申し訳ないです……
書いてる途中でミーナ×ロスマン先生もありかなとか思ったりしたので、いずれこの組み合わせで何か書くかもです。

ではまた

211 名前:名無しさん:2011/01/12(水) 13:19:44 ID:Il5jcWWA
>>210
GJ! JG52は仲良しで読んでほっこりしました
ミーナさんのさりげないフォローが良い!

212 名前:名無しさん:2011/01/12(水) 17:24:55 ID:zj6mvRRw
>>210
遅ればせながらロスマン先生お誕生日おめでとうございます!!
みんな大好きロスマン先生!

213 名前:名無しさん:2011/01/12(水) 23:07:08 ID:743mSc8I
保管庫また見れなくなってない?

214 名前:名無しさん:2011/01/12(水) 23:12:55 ID:yHe0mSt.
また落ちてるくさいな

215 名前:名無しさん:2011/01/12(水) 23:33:47 ID:WyBz2FTo
また落ちたのか・・・

216 名前:zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2011/01/13(木) 02:15:32 ID:aGH8qJW2
>>210
危なかった……初期プロットなら話の流れが完全にかぶるところだったw
空飛ばせたいと思ってああいう話にしてよかったです〜。
でも、誕生日にネタが被るのは幸せなことだと思います!

っていうか、みすった所を修正してもらおうと思ったら保管庫落ちてるとかorz

217 名前:名無しさん:2011/01/14(金) 06:06:36 ID:nr/yfWIw
ま た 落 ち た か

218 名前:名無しさん:2011/01/14(金) 11:26:14 ID:nr/yfWIw
と思ったら復旧しとるがなァーーーーッ?!!!

219 名前:名無しさん:2011/01/14(金) 18:08:54 ID:meWNjL3w
安定しない鯖だな・・・

220 名前:zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2011/01/15(土) 06:36:24 ID:xRqkhKMU
某所で垂れ流された妄想をもとにえろいのを一本書きました。
ビューxエルでおもらし注意です。

●スオムス19XX 遅刻の理由


 廊下で視線があった。
 何となく見つめ返したその深い瞳が音も無く間合いを詰めてきて、おもむろに腕を掴まれた。

「え?」

 わたしの疑問符を無視してビューリングさんが囁く。

「キスがしたい」
「え……ええっ!?」

 あまりにも唐突なその一言に焦る。
 だってここは廊下のど真ん中ですよ。
 誰かに見られちゃうかもしれませんよ。
 等といった抗議を声を上げようと口を開いた矢先にそこを塞がれる。

「!?」

 もちろん塞いだのは、彼女の唇。
 けだものさんとしか言いようの無い、問答無用な勢いだった。

「んっ……」
「んむっ……ぁっ」

 流されて、重ねられてしまった唇に、舌先が入り込んでくる。
 タバコとコーヒーのものが入り交じった彼女のキスの香り。
 初めはそんなに好きじゃなかったのに、いつの間にか馴らされてる自分がいる。
 好きな人のものだとアバタもエクボで、"臭い"も"香り"に変わるんだなぁ、ってしみじみと思ってみる。
 舌を絡めると、彼女のその香りももっと強くなってくる。
 その腕の拘束は弱い。
 抵抗して、振り払って逃げようと思えば簡単にできそうな力加減。
 でも、逃げる気は起きなかった。
 このキスを、続けたい。

「んんっ……」
「んくっ……っ……」

 舌を絡めあう、大人のキスが続く。
 唇を重ねた分だけ、心が近くなる気がする。
 いつのまにか拘束は抱擁に変わって、私の方からも彼女を抱き返していた。
 だって、どうせ流されるなら、気分よく流されたい。
 密着した分だけ、RAFの革ジャンの下に隠されたふくよかな感触が私の胸へと返ってくる。
 密着した分だけ、きっと私のドキドキも伝わってる。
 密着した分だけ、普段は人に考えを読ませないクールな彼女の感情が、たくさん流れこんでくる。
 好きだ、って。
 わたしの事をいつまでだって守りたい、一緒にいたい、って。
 わたしもですよ。
 わたしもあなたの事を守りたい。

「……ふぅ」
「……はうぅ」

221 名前:zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2011/01/15(土) 06:38:02 ID:xRqkhKMU
 唇が離れる。
 熱っぽい目で見詰め合って一呼吸。
 なんだか一拍置いたらまた恥ずかしさが募ってくる。
 っていうかここは廊下ですよ。
 いつ誰が来て見られてしまうかもわからないわけで……そ、それにこのあと会議があってみんなで集まらなきゃいけないし、そもそもわたしはその前にお花摘み的な用を足して置くついでにビューリングさんを呼びにきたわけであって……。

「ビュー……」
「続きをしよう」
「へっ?」

 わたしの声を静かな一言で両断し、再び間合いがゼロになる。
 クールな瞳がもう一度迫り、キスの時の軌道ずれて、首筋へと唇が落ちる。

「んぁっ……」

 壁に追い詰められて、胸元を開かれ、首周りにつつーっと舌を這わせられる。

「だ、だめですよっ……こ、こんなっ……と、ころ……でっ……」

 さっきからわたしが主張してると折りココは廊下……って、まともに主張できていませぇん!

「大丈夫だ。みんな既に会議室に移動している」

 って、状況と動向把握されてるしっ。

「で、でもっ……」

 わたしはそもそも、その……おトイレに行きたくて……。
 と、続けたいのに、わたしの呼吸を熟知したビューリングさんは自然に割り込んで一方的に思いを伝えてくる。

「エルマのかわいい姿が見たくなった。自分まで満足しようとは思っていない。お前なら感じやすいからすぐに済む。よって会議には遅れない。問題無いな」

 よく整った、デキル美人な顔を幾分上気させて、とんでもない事を告げられた。
 わたしのかわいい姿が見たい……それだけで胸の奥がきゅんきゅんする。
 自分まで満足しようとは思っていない……それってつまりわたしだけが一方的に……その、されるって事です?
 わたしが感じやすいからすぐ済む……って、べ別にそういうわけではなくて、ビューリングさんが凄く的確なだけです!
 よって会議には遅れない……と言われても問題がなくなるわけじゃありませんよぉ。

「えっ、ちょ……ひゃんっ」

 色々と伝えたい事を声に出して主張すると言う行為に度々失敗し、流されて身体をまさぐられる。
 で、出来れば部屋の中でっ! 
 っていうか先におトイレっ!

「声を出せば気付かれるかもしれないぞ」
「んくっ……」

 更に声を出しちゃいけないと思うと、今度はどうしようもない喘ぎが漏れないように両手を使って自分の口を塞ぐ。
 そうなると、身体の守りが疎かになってしまう。
 膝をわたしの脚の間に分け入らせつつ胸をまさぐっていたビューリングさんの腕が、わたしのガードが上がった事を確認すると股間へと這わせられる。

222 名前:zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2011/01/15(土) 06:39:56 ID:xRqkhKMU

「んむっ!」

 い、いまそこを触られたら漏れちゃう!

「湿っているぞ、私を歓迎してるならもっと喜んでくれていいんだが」
「あぁんっ……そ、それ、はぁ……はぁんっ!」

 喋ろうとすると高い喘ぎが廊下に響いてしまうので、恥ずかしくて上手く出来ない。
 でも、ちゃんと伝えないと本当に漏れちゃう。
 どうしよう!? どうしよう!? とオロオロ狼狽する間に、股間をまさぐる手が大胆になって、重ね穿きズボンどころか下のズボンの中まで一気に侵入してくる。

「っっっ!!!」
「どんな表情でも、エルマはかわいいな」

 どんな表情でも良いんならわざわざこんな事しないでくださぁい。
 と、そんな思いを込めて涙目で睨み付けるけれど、どうやらそれは逆効果だったようで、指先が本格的に私の敏感な粘膜をこすり始める。

「ひっ、んっ……くぅっ! んんっ、んっ、んんんっ!!! 

 そもそもが怖くて自分で触れないような所ばかりを執拗に責めて来るなんて、ひどいですビューリングさん。
 敏感すぎて辛いからその手の動きを邪魔したい。
 脚を閉じれば簡単にそれは出来るはずなんだけど、出来ない。
 壁に追い詰められた上に膝を挟み込まれているせいだ。
 空戦と同じで、どこまでも抜け目無く先に布石を打ってくる。
 でも……だめ……そんなにそこをつんつんぐりぐりされたら……はうぅ。

「手で口を塞ぎ続けるのが辛いなら、もう一度キスで塞いでやる」

 耳たぶを甘がみされながら、少し熱っぽい声でそんな事を囁かれた。
 うう、どんどん抵抗力が失われていくのがわかる。
 わかるけど、本当に漏れちゃう。

「ひんっ!」

 いつの間にか、制服のボタンが全開にされていて、その隙間から忍び込んだ左手が直接おっぱいへと触れた。

「ビュ……あ、あのぅ……んんっ! お、おしっ……んむっ……」
「んっ……」

 なんとか気力を振り絞って現状を伝えようとしたら、キスで口を塞がれてしまった。
 こ、これは、本当にまずいかもしれません!

「んふっ……んんっ……」

 キスと同時に、ビューリングさんの動きも加速する。
 胸は乳首を挟んで全体を揉み、下のほうは中指を浅く女陰へと差し入れつつ親指で陰核を強くこするようにしてきた。
 特に親指の動きが辛かった。
 その動きによって時折包皮がめくり挙げられて本体へと触れ、その度に痺れるような快感のパルスが背を駆け上る。
 きっとキスで口を塞いでもらっていなければはしたない喘ぎ声を廊下いっぱいに響かせてしまっていただろうと思う。
 でも、わたしはといえば抵抗するどころかただその皮ジャンへと縋りついて身を任す事しかできない。
 イッたら、漏らしてしまう。
 そんな確信がある。
 あるけれど、キスが心地よくて、指使いが気持ちよくて、このまま愛しいこの人にイかされたいという思いが強くて、流される。

223 名前:zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2011/01/15(土) 06:49:02 ID:9bRMqJag

「んっ、んっ、んっ、んぅ、んぅぅ、んっ、んっ、んんっ、んんんんっ!」

 指の動きが更に強く、早くなって、トドメとばかりに包皮をめくり挙げる動きへと変わる。
 あらわにされた一番敏感な場所に、強く指が押し付けられ、ギュッと擦られた。
 ああ、わたし、もう駄目です。

「んんんんんんんんんんん~~~~~~~~~!!!!!!!!」

 ぷしっ。
 ああっ、やっぱり……。
 大きな快感がはじけると共に、下半身が弛緩して、思い通りにならない動きが生まれてしまう。
 ちょろちょろ……じわーっ。
 一度決壊したそこは、止まらない。
 ビューリングさんの手を汚し、そこと太腿を伝ってズボンへと染み込み、情けない跡を刻んでいく。
 はぅ……おもらし、しちゃいましたぁ。

「はぁぁっ……、こんな……ところ、でぇ……」

 緩んだままの下半身から迸る物は、止まる気配を見せない。
 きっと落ち着くまで流れ続けてしまうだろうと思う。

「エルマ?」
「んんんっ……と、とまりませぇん」
「ふっ、仕方の無いヤツだな……」
「びゅ、りんぐ……さぁん……ひっく、うぇ……」

 恥ずかしくて、泣いてしまう。

「すまなかった。さっきから何かを伝えようとしてたのは、こういうことだったんだな。こうなったのも私のせいだ。ちゃんと片付けも手伝ってやるから、今は全部出して楽になってしまえ」

 その左手で頭を胸に抱きこんでくれて、軽くぽんぽんしてくれた。
 その優しさに嬉しくなった私は、下手に力を入れるのを諦めて、全部出してしまう事にした。

 結局、後片付けと着替えをしていたせいで、私たちは会議に遅れる事になってしまった。

 ――――。

「もー!作戦会議の時間なのに何やってるのよあの二人は!」

 ガチャッ

「遅いっ!!」
「ひっ す、すいません……!」
「エルマ中尉が遅れるなんて珍しいネー。何かあったねー?」
「(コクコク)」
「そ、それは……」
「遅れてすまないな」
「全く……ビューリング、貴女も何やってたのよ!!」
「ん?あぁ、ちょっと『休憩』してただけだ」
「ちょっと、ビューリングさん!?」
「な、ななな……なにやってんのよあんた達は!!」
「はぁ……トモコが増えたねー」
「私はそんなんじゃないわよ!!」
「ななな何でバラしちゃうんですかあああぁぁぁぁ~~~!!」

 ポカポカポカ。
 うう、恥ずかしいです~。

224 名前:zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2011/01/15(土) 06:50:39 ID:9bRMqJag
以上となります。
とある人との合作のような感じなんですが、許可をいただいたのでこちらに投下しました。
おもらしでごめんなさい。

225 名前:名無しさん:2011/01/15(土) 11:12:03 ID:XkX8IAds
>>224
おもらしとはまた斬新な!
しかしいらん子だと違和感がない不思議。GJ!

226 名前:名無しさん:2011/01/15(土) 17:50:10 ID:H3A4TZwI
>>224
ビューリングさん容赦なさ過ぎて吹いた
エルマさんがイッた時のセリフが文字化けしてるの俺だけ?

227 名前:mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/01/15(土) 22:08:07 ID:dY08I1LU
>>189 5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2様
GJ! カレンダー見てルチアナが高揚し過ぎやしないか心配ですw

>>193 Hwd8/SPp様
GJ! 伯爵がフリーダムでワロタw いつもハイテンションで面白いです。

>>201 zet4j65z ◆le5/5MRGKA様
GJ! 全員のキャラが立っててお見事です。流石です。

>>210 5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE様
GJ! ロスマン先生愛され過ぎですね。ミーナさんとの絡みも期待してます。

>>224 zet4j65z ◆le5/5MRGKA様
GJ! ビューリングさんの情け無用っぷりとエルマさんの薄幸に泣いたw


こんばんは、mxTTnzhmでございます。
今回は保管庫No.0450「ring」シリーズ続編となります。
内容は(アニメ2期本編と)と時期的に前後するかも知れませんが
その辺はご容赦を……。
ではどうぞ。

228 名前:account for... 01/03:2011/01/15(土) 22:08:47 ID:dY08I1LU
 カールスラント軍司令部より一通の手紙が届く。それは執務室でミーナから手渡された。
 二百五十機超の撃墜記録達成についてのささやかな祝辞と、原隊復帰後の昇進等について書かれている。
 そのかしこまった手紙をざっと読み終えると、トゥルーデはふう、と溜め息をついた。
「あら、どうしたのトゥルーデ? 何か問題でも?」
 ミーナはトゥルーデの顔色を見て質問した。
「いや。問題とか、別にそう言う事ではないのだが……」
「既に二百五十以上もの撃墜記録を作っているのよ。撃墜の内容はどうであれ、その数字を無視する事は軍の上層部だって出来ない筈よ?」
「いや、そう言う事じゃない。違うんだ、ミーナ……」
 言いかけて、思わず手紙を握る手に力が入る。
 くしゃっと言う音がする。手元を見ると、せっかくの手紙がしわくちゃに握り潰されていた。
 ああ、と言う顔を作るカールスラントの“堅物”。
「はいはい、分かってるわよ、トゥルーデ」
「何だ、その問題無いと言わんばかりの表情は」
 いぶかしむトゥルーデを見て、ミーナはふふっと笑った。
「さあ、お昼よ。まずは食事に行きましょう」
 トゥルーデはミーナに肩を持たれ、押されるかたちで執務室から出る。手紙はポケットに押し込んだ。

「おめでとうございます!」
 食堂では芳佳達が待ち構えていて、入室するなり方々から祝福の声が飛んで来た。
 よく見ると501の全員が揃っている。
「な、何だこの騒ぎは」
「何って、バルクホルンさんのお祝いですよ。二百五十撃墜を、カールスラント軍から認められて……」
「ああ、その話か」
 まるで他人事の様に答えるトゥルーデ。
 テーブルに用意されたお祝いのケーキを見る。
 ケーキ自体はあり合わせのものだと推測する。多分大急ぎで芳佳やリーネ達が一生懸命作ったのだろう。
 それ自体はとても有り難いのだが、その心遣いが、トゥルーデの心の「すれ違い」を増幅させる。
 勿論分かっては居る。だが……。
 トゥルーデは一応皆の善意に答えるかたちで、有難うと礼を言った後、芳佳に聞いた。
「しかしどうして、私の事を知っているんだ? 誰から聞いた」
「それは、秘密です。でもバルクホルンさん、凄いじゃないですか」
「私にはとても真似出来ません……」
 リーネももじもじしながら言う。
「流石は大尉、素晴らしいスコアですわ。認定おめでとうございます。同じ部隊である事に誇りを感じます」
 ペリーヌらしい祝辞。
「なかなかどうして、大したもんじゃないか。おめでとう」
「おめでとー! ニヒヒ」
 シャーリーもルッキーニを連れ、祝福する。
「ああ……まあ……」
 曖昧な返事を返すトゥルーデを見てにやつくシャーリーとルッキーニ。
「おめでとう、ございます……」
「おめでとナー、大尉」
 眠そうなサーニャを連れたエイラも一応声を掛けてきた。
「サーニャ寝そうじゃないか。無理しなくて良いんだぞ?」
「ま、こう言う時位はナー」
「さあ、みんなでお祝いしましょう」
 ミーナの一声で、祝宴は始まった。

 祝宴と言っても最初のうちだけで、後はめいめいがケーキやお菓子、それにちょっとした豪勢な食事、飲み物を口にし、
いつもと大して変わらない、賑やかな団らんの場と化した。
 トゥルーデはそんな場の変化を見てとると、気付かれぬ様、独りそっと食堂から抜け出した。
 廊下に出て、天井を仰ぐ。ポケットからしわくちゃになった手紙を取り出し、じっと見つめる。
 違う。私が思っている事は、言いたい事は……、私は……。
「何処行くの、トゥルーデ」
 声に振り向く。いつ来たのか、エーリカだった。こう言う辺り、相変わらず目ざとく、鋭い。
「ちょっと、気分転換を、な」
「気分転換も何も、最初から出来てないでしょ」
「それは……」
 心の中を覗かれた様な気分で、答えに詰まるトゥルーデ。
「トゥルーデ、どっか行くの?」
 エーリカがぼそっと呟いた。
「行くもんか! 軍の命令など……いや、命令だから、仕方無い、か」
 瞬間的にかっとなったものの、すぐに冷静さを取り戻す。
「でも今はっきり言ったよね? 行きたくないって。そう言えば良いのに」
「仮にも私は軍人だ。ネウロイと戦っている以上……」

229 名前:account for... 02/03:2011/01/15(土) 22:09:13 ID:dY08I1LU
「じゃあ聞くけど、トゥルーデは一体何者? 誰の為に戦ってる? そして、一番大事なこと。誰の恋人かな?」
 エーリカは意地悪くそう言うとにやっと笑い、トゥルーデから手紙を奪うと彼女のポケットに押し込み、手をそっと握った。
 温かいエーリカの手。そして二人の指に輝く、同じかたち、同じ輝きの指輪。
 トゥルーデは、うつむき、はあ、と一つ溜め息をついて頷いた。
「ああそうだよ、エーリカ。私は……。だから、行きたくないんだ」
 気付くと、エーリカを抱きしめていた。トゥルーデの胸に顔を埋めるエーリカ。
 エーリカの髪を撫でる。さらさらとしたブロンドの髪が指の間からこぼれる。鼻をくすぐるのは、紛れもない愛しの人の匂い。
 いつも一緒に居て。これからも一緒だと信じたかった。だけど、とトゥルーデは思う。
「私と離れるのがイヤなら、イヤってはっきり言えば良いのに」
 ぽつりと呟くエーリカ。
「私は……」
「そこんとこ、バカ真面目なんだよね。ガランド少将みたいにはっきり言えば良いんだよ、トゥルーデ」
 トゥルーデは答えられず、ただ、エーリカを抱きしめる。彼女の温もりが、しばしの安らぎと猶予を与える。
「軍からの手紙になんて書いてあったかは知らないけどさ」
 エーリカが呟く。静かに聞いているトゥルーデに、エーリカが尚も語りかける。
「トゥルーデはどうしたいの? 結果はどうあれ、もっと自分の気持ちに素直になりなよ」
 エーリカの言葉を聞いて、思わずふっと笑うトゥルーデ。
「お前の言う通り、私はどうにもカタいらしいな」
「今更、トゥルーデ?」
 エーリカは呆れて笑い、言葉を続けた。
「ちなみに私が三百超えした時はどうだった?」
「あの時は、ああ……そう言えば」
「ね。大丈夫だって」
 エーリカはトゥルーデの顔を上目遣いに見た。
「まさか、手紙には二百五十撃墜の事、触れてなかったとか?」
「そんな事あるか」
「じゃあ、まずは、そっちを喜ぼうよ。私の時も、トゥルーデお祝いしてくれたじゃない」
「ああ、あの騒ぎか……」
 三百撃墜時の“ささやかな”お祝い、そして、ブリタニア基地での勲章授与の顛末を思い出し、苦笑いする。
「今回はトゥルーデ、勲章無し?」
「さあな。送られて来たのはさっきの手紙一通だけ。中身はおめでとうの一言と、原隊復帰後の昇進についてだけだった」
「なら、望みはあるよ。私からもガランド少将に言ってみる」
「エーリカ……」
「だって。私達、一緒じゃないと……」
 エーリカはトゥルーデの腰に腕を回した。
 結びつく二人の視線。近付く顔。瞳が閉じ、交わる唇。
 しばしお互いの気持ちを確かめた後、エーリカはぽつりと言った。
「一緒じゃないと、イヤだ」
「分かった、エーリカ。お前を悲しませる事はしない」
「本当?」
「ああ。やっと気付いたよ。私は軍人だが、同時にエーリカ、お前の……」
「元気出たね、トゥルーデ」
「えっ?」
「食堂入って来た時から、なんか浮かない顔してたから」
「そうか」
「誰だって気付くよ。さっきの、約束だよ?」
「ああ。守る。守ってみせるさ。絶対に」
「じゃあ、食堂に戻ろう?」
「何? どうして」
「みんな、聞きたがってるよ。手紙の内容。そしてトゥルーデのキモチ」
「な、何ぃ? それは改めて言うもんじゃ……」
「ダメ。ちゃんとトゥルーデの口から言わないとね」
 そう言って、エーリカはトゥルーデの身体を持って、食堂に戻ろうとする。
 トゥルーデは、笑った。そしてエーリカの頬にキスをする。
「トゥルーデ?」
「分かったよ。行こう。もう一度、皆と話したい」
「でしょでしょ? あ、まだケーキ残ってるかな?」
「さあな」
 二人は揃って、食堂の扉をばーんと開けた。
 隊員達は全員残っていた。そして「祝宴の主」の帰還を待ちわびたのか、二人の姿を見てか、拍手と、ひゅーとからかいの口笛も飛ぶ。
「すまない、途中で抜け出して。ちょっと、気分転換を」
「どんなダヨー、言えヨー」
「うっうるさい! それで……皆に、話したい事が有るんだ。私は……」
 ちらりとエーリカを見る。エーリカは笑顔で、小さく頷いた。
「私は……」

230 名前:account for... 03/03:2011/01/15(土) 22:11:06 ID:dY08I1LU
 短くも、明快なトゥルーデの決意を聞いた501の面々は沸き立ち、祝宴は第二席と言う事で続けられた。
 トゥルーデとエーリカを冷やかしたりもしたが、皆、笑顔で祝福する。
「ね? トゥルーデ。家族って良いものでしょう?」
 トゥルーデとエーリカに、ミーナが近付いて来て話しかける。
「家族……。そうだったな。隊の皆は家族。ミーナがそう、何度も教えてくれた」
 同郷のエースの言葉を聞いたミーナは笑った。
「あの時はつい手も出ちゃったけど……今はもうその必要もないわね。心配しないで、何か有ったら私からも……」
「すまない、ミーナ。私も自ら言うが、万が一の時は……頼む」
「大丈夫よ。私達、家族でしょう? 501の?」
 力強いミーナの言葉に頷くトゥルーデ。横で無邪気に笑うエーリカ。
 間もなくカールスラントの三人は、それぞれ他の隊員達に引っ張られ、祝いの輪へと引き戻される。
 戦いを忘れる、つかの間の時間へと。

end

--

以上です。
公式ファンブックや公式サイトによると
アニメ2期開始時点で既に250スコア超えらしいので
ちょっとどうかと思ったのですが、書いてみました。
お姉ちゃん流石! と言う事でよしなに。

ではまた〜。

231 名前:名無しさん:2011/01/15(土) 22:44:12 ID:uct3aVr2
>>224
ビューリングさんマジパねぇっす。

232 名前:名無しさん:2011/01/17(月) 01:34:50 ID:F.bTmc92
最近は秘め声2とかでもシャーゲルに若干おされぎみで、エーゲル分が不足している気がする。
公式でも同人でもいいから燃料増えねぇかなぁ〜

233 名前:名無しさん:2011/01/17(月) 09:41:48 ID:n4azZav2
エーゲルと言えば、未恵さんもさくらさんも本当にエーゲル好きだなって
ファンブック読んでて思った。
「夫婦」とか「愛してる」とか公式のファンブックで言っちゃっていいの

234 名前:名無しさん:2011/01/17(月) 22:47:41 ID:n4azZav2
フミカネさんのTwitterに定ちゃんの正座伝授編ktkr

235 名前:名無しさん:2011/01/17(月) 22:49:22 ID:EjaGIKPs
こんばんは、Hwd8/SPpです。
「ヘルマの発情」シリーズ最新作を書いたんで投下します!


【ヘルマと姫】

キイッ...

「あ、ヘルマ」
「こんばんは…ご一緒してもよろしいでありますか?」

あ、どうも!第131先行実験t…この自己紹介、まだ要ります?ヘルマ・レンナルツ曹長です。
好きな食べ物はチョコレートです!(ビシッ

今夜も哨戒前のシュナウファー大尉と遅めのティータイムであります。

「………ヘルマって」
「はい?」
「ここ最近…丸くなったわよねえ」
「えっ…!?まさか太ったって…」
「違うわ、性格的に。前は規則規則って言ってたけど」
「いっ、いえ!カールスラント軍人としての誇りは捨ててません!!」
「はいはい…お茶、お代わりいる?」
「はい!ぜひ…でも何故そのような話を?」
「ねえ、ハインリーケ・プリンツェシン・ツー・ザイン・ウィトゲンシュタイン大尉って知ってるかしら?」
「ハ…ハインリーケ・プリン…え?」
「ハインリーケ・プリンツェシン・ツー・ザイン・ウィトゲンシュタイン大尉」
「…あ、ハインリーケ大尉!確かシュナウファー大尉の宿敵で、廊下ですれ違うと睨みつけ合うとか」
「あなたも読んだのね…」
「はい!」

すると何処からか大尉は週刊誌を取りだしたであります!

「この間発売された週刊誌で特集組まれてありましたよね〜…『本誌独占 ナイトウィッチ、真の女王対決』って」
「はああ…そのせいでかぁ…」
「何なに、シュナウファー大尉がハインリーケ大尉の目の前にして大声で悪口を言ったって書いてありますが…本当でありますか?!」
「ウソに決まってるじゃない!!!」
「ハインリーケ大尉がシュナウファー大尉が嫌いで今月末に502部隊に転属か?!と書いてあるであります」
「それもウソ…」
「シュナウファー大尉も除隊し、婚約予定?!そして妊娠4カ月…え!?結婚するんでありますか?!デキ婚でありますか?!社会的地位は低いでありますよ、デキ婚は!」
「あるわけないじゃない!!!!相手は誰よ、相手は?!」
「そして両者の派閥争いが激しい…と書いてあるであります」
「それは…あながち間違いじゃないわね」
「へ…???」
「別に私はあの人に対して特に何も思ってないんだけれど…あの人、なんかコワいしそれに週刊誌でこんな記事書かれちゃったら…ねえ?」
「一体…どんな人なんでありますか?そもそもナイトウィッチって私と関わりあるのってシュナウファー大尉しか…」
「…ほら」

若干、呆れ顔で窓の外を指さすであります。
指差す向こうには………

「ブッ!!!」
「ちょっ、こぼさないでよ、もう…」
「きっ、気付かなかったであります!!何者ですか、あの方は!!??」

ナント、木に登ってずっと私たちの事を外からハインリーケ大尉が見ていたであります!!

236 名前:名無しさん:2011/01/17(月) 22:49:53 ID:EjaGIKPs
>>235の続き。

「ジーッとこっちを見てるでありますよ?;;」
「はあ…だから…」
「入ってもらったらいかがですか?」
「…良いわ、開けて頂戴」
「はい…」

私は指示された通り窓を開けるや否や…

「ハイデマリー・W・シュナウファー大尉ぃ!!!!」
「ひいっ??!!」
「…はあ…何か御用でしょうか?」
「妾と決闘を申し込む!!」
「…決闘って、どんなのよ?;;」
「チェスだ!」
「意外と普通…でありますね;;;」

すると突然、ハインリーケ大尉がこっちに…

「この小娘は誰なんだ、シュナウファー大尉!?」
「こっ、小娘?」
「ヘルマ・レンナルツ曹長よ」
「よし、お主は出てけ!」
「えぇぇっ…」
「あのねえ!ハインリーケ大尉!!」

急に立ち上がったシュナウファー大尉…
あれ、怒ってる…?

「私たちは今、楽しみながらお茶を楽しんでたの!!あなたずっと外から見てたからわかるでしょう?!この際だからはっきり言います、邪魔しないで!!」
「ハインリ…じゃない、シュナウファー大尉…?名前が長いから間違えたであります;;」
「わっ、妾はただ…ただっ!!」
「ただ何?私に対していっつも怖いけど、何かあなたに悪い事した?!」

んっ!?
ハインリーケ大尉…手に何かを隠し持ってるであります…

「もうやめて!!同じナイトウィッチだけど…今後一切、仕事上だけの付き合いにしてくれる??!!」
「シュナウファー大尉…ちょっと」
「何、ヘルマ?」
「…ハインリーケ大尉、あなたはただシュナウファー大尉と仲良くなりたかっただけじゃありませんか?」
「っ!?なっ、何故それを!!」
「手に持ってるそれであります…」

そう、ハインリーケ大尉が持っていたのは…!!

「それって…百貨店の紙袋でありますよね??」
「うっ…」
「どうゆう事、ヘルマ?」
「わっ、妾は…お主と一緒にこのハイビスカスのハーブティーを飲もうと思っていたのだ…」
「眼球疲労にとても役立つそうです。この間、町へ出かけた際に売ってたであります!」
「えっ…うそ…つい、私にケンカを吹っかけてきたのかと………ごめんなさい」
「ふっ、ふん!別にお主のために買ってきたのではない!!!!」

うわあ…典型的なツンデレでありますね;;
しかもさっき「お主と一緒に」って言ったのに、それを否定するでありますか?!

「…ヘルマ、お湯を沸かしてくれるかしら?」
「はっ、はいであります!」
「それに…椅子をもう一つ持ってきて頂戴。ハインリーケ大尉が座る席がないでしょ?」
「シュナウファー大尉…」
「素直に最初っから言えば良いじゃない、お茶を飲もうって」

あ…良かったぁ…シュナウファー大尉に笑顔が戻ってきたであります!!


***

237 名前:名無しさん:2011/01/17(月) 22:50:23 ID:EjaGIKPs
>>236の続き。



数日後、私は食堂でシュナウファー大尉と出会ったので話しかけたであります。

「仲良くなったのでありますか?」
「う〜ん…まあね。まああのプライドの高さとツンツンさは残ってるけど」
「まあ…良かったんじゃありませんか?」
「まあねえ〜。あんなに馬鹿にしてたナイトウィッチの無線通信コミュニティもこっそり始めたり、さりげなくmixiも始めてたり」
「あはははは…」
「あ、私は会議があるから行ってるわね」
「はい!」

シュナウファー大尉を見送った後、とりあえず席に座る私。
ん…何か熱い視線を感じるであります…???
その視線のする方へ向くと………

「…ぶっほ!!??」

柱の影からハンカチを噛みながらこっちを見ているハインリーケ大尉が!!
いくらなんでもステレオタイプじゃありませんか??!!
そう思ってると、ズカズカとこっちに来るでありませんか!!;;

「ヘルマ・レンナルツ曹長!!!!」
「はっ、はいぃぃぃ??!!」

あまりの迫力に声が裏返ったであります;;

「おっ………」
「お…?」
「お主に決闘を申し込む!!!!」
「えぇぇぇっ??!!」
「あっ、あんなにシュナウファー大尉と仲良くと…っ!!」

ん…っ?
もしかしてハインリーケ大尉って…

「…あ、そうゆう事でありますか!」
「何を考えておる??!!」

なんか面倒な事になりそうであります………。


【おわれ】

238 名前:mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/01/18(火) 21:29:41 ID:X/fm39Wo
>>237 Hwd8/SPp様
GJ! ヘルマもハイディも姫様もハイテンションですねw
これもヘルマのパワー……?


こんばんは、mxTTnzhmでございます。
短いのをひとつ思い付いたのでどうぞ。

239 名前:thaw:2011/01/18(火) 21:30:10 ID:X/fm39Wo
 ピアノも有るミーティングルーム隅の角っこに、二重に敷かれた畳。その広さは約四畳半程。
 そこだけ扶桑の民家から切り抜かれた様な奇妙な空間……畳の中央には、冬の風物詩が置かれていた。
 ふんわりと掛かる綺麗な布団。そっと置かれたテーブル。
 慣れた感じで入って温もる芳佳、ちょこんと足を入れて温かさを確かめるサーニャの姿があった。
「芳佳ちゃん、これが『こたつ』?」
「そうだよ。温かいでしょ」
「うん……」
 炬燵布団の上、テーブル部分に置かれたみかんの篭を不思議そうに見るサーニャ。芳佳はサーニャの顔を見て、微笑んだ。
「サーニャちゃん、こたつにはみかん。これが扶桑の冬の……」
「はっはっは! その通りだな宮藤。こたつには掘炬燵と置炬燵の二種類があるが、今回は扶桑から畳と置炬燵を持ってきた」
 いつ来たのか、ささっとこたつに入る美緒。温かさを実感し、うむ、と頷く。
「うむ、良い感じだ」
「わざわざ扶桑から取り寄せたんですか、坂本さん」
 驚く芳佳に美緒は力強く頷く。
「そうだ。寒さをしのぐにはこれが一番だからな!」
 力説する美緒を横目に、サーニャは掛け布団を少しめくって覗いた。
「芳佳ちゃん。これ、中はどうなってるの?」
「ええっとね、小さな火鉢を入れて、それを小さな木の枠で囲って、やけどしないように作ってるんだよ」
「そうなんだ……あったかい」
 掛け布団を元に戻し、ほんのりとした温もりを感じるサーニャ。
「でしょう? で、暖まりながら、こうやってみかんを食べて……」
「そして、眠くなったら少し足を伸ばして、横になると……。実に良いな……」
 言いながら横になり、うとうとし始める美緒。あまりの展開の速さにびっくりする芳佳。
「さ、坂本さん寝ちゃだめです!」
「そうよ何のんびりしてるの美緒。ちょっと……」
 こちらもいつ来たのか、ミーナが美緒の眼前に立っていた。畳の向こうから、呆れ気味に美緒を呼ぶ。
「ああすまんミーナ、今行く」
 急に呼ばれた美緒はらしくなくよろよろと立ち上がると、ミーナについて行った。
「坂本さん行っちゃった……」
 呆気にとられる芳佳。
「坂本少佐、扶桑のものよく持ってくるよね」
 サーニャがぽつりと呟く。
「そうだね。もしかして私に気を遣ってくれてるのかな……。でも、みんなでおこた出来ると楽しいよね」
 芳佳はそう言って笑った。
「そうね。オラーシャにはこう言う暖房、無いから……」
 少し足を伸ばして、ぬくもるサーニャ。
「そうだ、オラーシャの暖房ってどんなのがあるの?」
 芳佳の問いに答えるサーニャ。
「暖炉かな……部屋全体を暖かくするから」
「そっか。違うんだね、色々と」
「でも、501(ここ)だと色々な国の事が分かるから、楽しい」
「良かった。坂本さんも喜ぶよ」
「一番楽しそうなの、芳佳ちゃんだと思う」
「えっそうかな」
「だって、みかん食べて、ぬくぬくして……」
 そう言いながら、サーニャは、芳佳の頬にそっと手を伸ばす。
「ひゃっ! サーニャちゃんの手、冷たい……」
「あ、ごめんね」
 思わず引っ込めたサーニャの手を、ぎゅっと握る芳佳。
「大丈夫。手の冷たい人は心が温かいって、おばあちゃんが言ってたから」
「そうなんだ……私には、分からない」
 少し悲しそうな顔をするサーニャ。黄昏にも似たその横顔を見て芳佳は一瞬どきりとしたが、すぐに言葉が出る。
「サーニャちゃんは大丈夫だよ。せっかくだし、もっとこたつで暖まろう?」
 芳佳に手を握られる。芳佳の手は温かく、とても気持ち良い。
 ずっと触れても吸われ尽くされる事の無い様な……、そんな芯のある温もりを、芳佳の手から感じる。

 もっと触れてみたら……どうかな。

 サーニャは芳佳の入る位置にそそっと場所を変え、一緒に潜り込む。
 二人の身体の側面が、ぴたりとくっつく。
「ちょっ、狭いよ、サーニャちゃん」
「だって、温かいの、足と腰だけだから……」
 芳佳は少々苦笑し、サーニャを受け入れる。
「こうすると温かいって事だよね」
 深くこたつに入り、二人そっと身体を寄せ合う。
「こたつでのんびりしてると、眠くなるのは何でだろうね、サーニャちゃん」
「私に聞かれても、分からない。でも、確かに気持ち良い」
「でしょ? せっかくの休みだし、ゆっくりしよう」
「芳佳ちゃんの身体も、温かい……」
「サーニャちゃんだって……」
 ふふ、と微笑み合う二人。
 やがて、微睡みが二人を包み込む。他の隊員が賑やかに入って来るまで、二人だけの時間は続く。

end

240 名前:名無しさん:2011/01/18(火) 21:30:59 ID:X/fm39Wo
以上です。
冬はおこたでみかん!(但し扶桑に限る……)
と言う事で書いてみました。
多分この後、物珍しさ込みで
501全員でわいわいやるのだと思います。


ではまた〜。

241 名前:名無しさん:2011/01/18(火) 23:44:43 ID:pInhJ2ow
>>233
まじかよ、ありがとう。買ってくる

242 名前:zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2011/01/19(水) 00:13:50 ID:jn82I1Yo
知らない人が多いかもだけど1/19はエンリーカ・タラントラの誕生日です。
フミカネついったーでそれらしきキャラのラフが上がってすぐに消されてしまいましたが、
その時キャライメージを前提に捏造を重ねて書いてみました。

えっちぃ上に捏造が過ぎるので今回はtxtでの投下にします。

一応フェデリカxエンリーカのカップリングです。
アニメwikiにまとめられている設定に目を通しておくとバナナ連呼が受け入れやすいかもしれません。

243 名前:zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2011/01/19(水) 00:21:03 ID:jn82I1Yo
URLはりわすれてたw
http://www1.axfc.net/uploader/Sc/so/195694
パスはswです。

244 名前:mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/01/19(水) 20:55:51 ID:poHcUrtQ
>>243 zet4j65z ◆le5/5MRGKA様
これはエロス! バナナと言う単語がゲシュタルト崩壊w
とにかくGJです!


こんばんは、mxTTnzhmでございます。
マイナーカプは無いかなーと思っていたら
ちょっと思い付いたのをひとつ。
ではどうぞ。

245 名前:bleu or rosso 01/02:2011/01/19(水) 20:56:47 ID:poHcUrtQ
 ペリーヌはひとり基地の廊下を歩いていた。
 誰も居ない基地は「かつて遺跡だった」と言われるだけあって静寂そのもの、石壁の向こうから過去の住人達が出てくるのではと
そんな怪談じみた話も聞くが、自らがウィッチであり、“遺跡の番人”を倒した自信も有り、別にどうと言う事はなかった。
 そんな折、執務室から出てくる女性が一人。
 ペリーヌより少し年上であろうか、長い髪をさらっとかきあげ、モデル宜しく肩で風を切る歩み方。
 黒い制服の端から、赤色のシャツ、そしてズボンが見える。恐らくは、ウィッチか。
「貴方は……」
 聞きかけたペリーヌよりも早く、その女性は一気に間合いを詰め、顔を間近に寄せた。
「聞いているわ、貴方がガリア解放の英雄ね。青の一番(ブループルミエ)さん?」
「なっ……」
 確かにガリア解放の時、新聞の記事になったり、顔は知られている方だ。
 だが少々唐突過ぎやしないか。そして何よりも。

 無粋。

 この事がペリーヌの気に触る。
「貴方、自分の名も名乗らずに何ですの? 一体、501(ここ)に何の御用?」
「まあそう尖らないの、ガリアの英雄さん。カワイイ顔が台無しよ。私はフェデリカ・N・ドッリオ……聞いた事は?」
「……ロマーニャの方ですの?」
「正解ね。一応、ロマーニャの赤ズボン隊の一員で、今は504JFWの隊長をしているわ」
「504の隊長? こっこれは失礼しました……でも」
 一応、上官らしいと言う事で非礼を詫びる。だが、腑に落ちないペリーヌ。
 何故、こんなに互いの距離……特に顔が近いのか。背け気味に問う。
「それにしても、何の御用で501に?」
「まあ、連絡と見学を兼ねて。504がボロボロになってからは501におんぶに抱っこ。その御礼もね」
「なるほど」
「そして、ガリア解放のエースをこの目でちょっと見たくなったって訳よ。とっても興味有るわ〜」
 ずいとまた一歩踏み出す。距離が近い。近過ぎる。
 思わずのけぞり気味のペリーヌに、更にずいと迫るフェデリカ。
 黒に近いダークブラウンの細くしなやかなフェデリカの髪。ペリーヌの頬に掛かり、彼女の髪と、微かに交わる。
「なっ何のつもりですの……見るって、そんな近くで」
 いつの間にかペリーヌの腰に腕を回し、抱きかかえる格好になっている。フェデリカは言った。
「私、ちょっと貴方みたいに、可愛くて、それでいて強くて優しくて、刺激的な方が好みみたいでさ」
「何を仰ってるの?」
 動揺するペリーヌの耳元で、囁くフェデリカ。
「どうして、ガリア解放後、民間人なんかに? ノブレス・オブリージュ? ガリアの民の為? それとも貴族たる矜恃?」
「何を言いたいのか、はっきりして貰いません事?」
 苛ついているペリーヌを楽しむかの様に、彼女の豊かな髪に手を触れ、さっと玩ぶフェデリカ。
「506の隊長への昇進、どうして断ったの。勿体ない」
「いきなり何ですの!? 貴方に何が分かるんですの!? さっきから聞いていれば……っ」
 口を塞がれる。交わる唇。
 肩をきゅっと抱かれ、ぎゅっと腰に手を回されている事にも、ようやく気付く。
 唇全体で撫で回す様な、情熱的なキス。
 唾液が絡まり、舌の先が触れる。

246 名前:bleu or rosso 02/02:2011/01/19(水) 20:57:15 ID:poHcUrtQ
 そこでペリーヌは両手で思いっきりフェデリカを突き飛ばした。おっと、と言った感じで一歩退くフェデリカ。
 ペリーヌは髪と唇……身体をも玩ばれた事に怒り、フェデリカを睨み付ける。唇を拭う。うっすらと手の甲につく口紅の痕。
「もう我慢なりませんわ! 貴方に決闘を……」
「良いの? いつだって受けるわよ。但し……」
 不敵な笑みを浮かべるフェデリカは言葉を続けた。
「私が勝ったら、私の望み、何でも聞いてくれる? それで良いかしら?」
「……っ!?」
「私はもうじき引退だけど、まだまだ空の上ではイケてる自信があるの。どう、私を試してみない?」
 自信と愛嬌たっぷりのロマーニャ娘を前に、ペリーヌは怒り心頭となり、なじる。
「ロマーニャ人は、どうしてこうもいい加減で、享楽的なんですの!? チームプレーもろくに出来ずスタンドプレーばかり……
ルッキーニさんも同じロマーニャ人と言う事は、本当、まさにこう言う事ですのね!」
「だけど個人の勇気、そして才覚で戦うロマーニャの者は、とっても強い。その事も忘れちゃダメよ。ガリアのエースさん?」
 フェデリカはペリーヌを指差して妖艶な笑みを見せる。
「確かに貴方は同じ501の扶桑人が気になってるみたいだけど……ホント、扶桑の魔女ってずるいわよね。
私もあんな魅力、いや魔力が欲しいわぁ」
「な、何の事ですの?」
 美緒の事をいきなり言い当てられたショックからか動揺を隠せないペリーヌ。
「ウチの竹井も、流石“扶桑の魔女”って感じよね。見た目とっても大人しいけど、もう周りが大変。分かるでしょ?」
 答えに詰まるペリーヌを後目に、フェデリカは踵を返して歩き始めた。
「ちょっと、何処へ行くんですの!? 話はまだ終わってませんわよ!」
「ごめんね、ちょっと急いでるの。もし用事が有ったら、続きがしたければ504にいらっしゃい。歓迎するわ」
「504って……」
「生憎、今は開店休業中だけどね。でも私は居るから。そして……」
 ちらりと振り返り、ペリーヌの顔を見る。まるで写真を決めるポーズの様に決まった端正な横顔。フェデリカは言葉を続けた。
「決闘はいつでも受けるわ。赤ズボン隊でも504でもなく、私個人としてね。貴方は何でも背負ってくると良いわ」
「待ちなさい、この……」
「本当はすぐにでも貴方を食べてしまいたいけど、時間がないの、ごめんなさいね。504で待ってる。Ciao!」
 フェデリカは手を振り別れを惜しむと、颯爽と、廊下を後にした。
 嵐の様な、ロマーニャの魔女は舞台から去った。残されたのは、ガリアの娘。
 ただ、立ち尽くすペリーヌ。

 一体何故、私を?

「ん? どうかしたかペリーヌ、こんな所で? 何か用事か?」
 執務室から出て来た美緒と鉢合わせし、慌てたペリーヌは何でもありませんわと答えてすぐにその場を後にする。
 早足で、自室に戻る。廊下の距離がいつもより長く思える。誰とも会わない事を、何故か祈る。
 誰とも顔を合わせたくなかった。誰にも顔を見られたくなかった。何故かは分からない。
 部屋に着き、入るなり後ろ手に扉を閉め、溜め息を付く。しかし、息が震えている事に気付く。

 どうして?

 答えは出る筈もなく……そっと唇に指をやる。まだ微かに残るフェデリカの残滓。
 随分と尻軽なロマーニャの……だけど、この気持ちは一体。
 ペリーヌはうつむき、顔を手で覆った。整理の着かない心を落ち着かせる為に。
 私は何者で、どうしたいのか。
 答えは出る筈も無く……部屋の窓から差し込む夕日が、ペリーヌを朱に染める。

end

247 名前:名無しさん:2011/01/19(水) 20:57:32 ID:poHcUrtQ
以上です。
イラストによって髪の毛の色とか違うので
どれを参考にすれば良いのか迷いましたが……
その辺の描写は適当ですのでご了承下さい。

ではまた〜。

248 名前:名無しさん:2011/01/19(水) 21:33:33 ID:fTl2sZwA
>>247
押され気味ペリーヌかわいかったですGJ!

249 名前:名無しさん:2011/01/19(水) 21:59:47 ID:Aaa6q/VE
>>247
これはまた珍しい組み合わせ
できれば竹井無双もまじえた504編も見たいものですが
……できれば

250 名前:名無しさん:2011/01/19(水) 23:00:00 ID:HrKK6PWM
こんばんは、Hwd8/SPpです。
>>245 mxTTnzhm様
フィデリカとペリーヌ?!これまた珍しい組み合わせですねぇ!!
思わずニヤニヤしながら読んでしまいましたw

さて、今回はあまりクローズアップされていないラル隊長について書いてみました。あくまでもこうゆうイメージ!って感じで書いているので;;
あとネタが少々古い…かもです;;


【デキる女の一日】

「ん………」

5時58分…私は自然に目を覚ます。
1分でボーッとし、残り1分で覚醒させるのだ。

〜♪〜♪

6時ぴったりに起床ラッパが鳴る。
同時に私はベッドから体を起こす。

「あー…そういや飲みっぱなしだったな」

ベッド近くに置いてあるミニテーブルにはビールの空き瓶が数本転がっている…昨日のうちにやっときゃ良かったかもな。

「仕方ない…」

サイドテーブルに畳んで置いてあった軍服に袖を通す。
あ、私は寝る時は全裸だ!スッポンポン派だ!裸で何が悪い?!

着替えた後、私は空き瓶を回収して食堂近くのゴミ捨て場に捨てる。
そしてそのままの足で私の部屋…つまり隊長室へ赴く。

キイッ...

入って最初にする事…それは朝食前のコーヒーを飲む事だ。
結構こだわる方だ。わざわざコーヒーミルをロンドンのハロッズから取り寄せ、丁寧に豆をゴリゴリと粉砕する。

コポコポコポ...

「うむ、美味しい!」

合格!85点だな、今日の出来は。


***

251 名前:名無しさん:2011/01/19(水) 23:00:36 ID:HrKK6PWM
>>250の続き

8時に食堂にて朝のミーティングを兼ねた朝食時間だ。

「…となっている。以上が今日の報告だ。なお、ネウロイはこの間出現されたばかりなので今日は発令されていない。なので各自、訓練等をしておく事」
『はいっ!』

502のメンバーが全員、同じタイミングで返事をする。
思ったんだが、これってなかなか滑稽な光景ではないか?

今朝の朝食当番はジョゼだ。手作りのクロワッサンに目玉焼き2個、ベーコンにサラダ…と至って普通のメニューだ。
でも美味しいんだ、これが!

「わっ!なんで私のベーコンを取るんだ?!」
「うっせ、これが実際の戦いだったら墜ちてんぞ?!」
「朝食と実戦は関係ないだろ!!」

ニパとナオがケンカをしているな、全く…。
慌ててジョゼがニパにベーコンをやろうとしているが…サーシャが急に説教をし出したぞ。
この部隊は見ていて実に飽きないなー。


***


9時に部屋に戻る。
さっ、仕事だ仕事!

コンコン...

「ロスマンです」
「おっ、入れー」

ガチャッ...

「隊長宛てに来ていた手紙です」
「おぉ、ありがとう」
「そしてこれが…今月分の請求書です」
「…やけに部品代が高くないか?」
「ははあ…あの3人が…」
「なんだ、『ブレイクウィッチーズ』か」
「はい…度々注意しているのですが、すみません…私の力不足で」
「いや、大丈夫だ。心配しないでくれ」
「申し訳ございません…」
「そんな事よりも今夜も一緒に飲むか?」
「はい!喜んで!」

うむ、やはりロスマンは笑顔が一番だな。

「さて…と、私の仕事はっと」
「上層部に送る書類作成、ストライカーユニット部品の発注書、援助物資のリスト作成ですね。あ、でも全て私がもうやっています」
「え…?」

驚いた…仕事早いな、ロスマンは。

「じゃあ私の仕事は…?」
「えっと…あ、領収書の整理お願いします。あのエセ伯爵、経費を私用に使ってるんですよ!あり得ないですよ!」
「ははは…わかった、じゃあハンコ押しぐらいは私がやる」
「助かります」













「ふう…」

領収書のハンコ押し完了。
ただ、ほとんどグルピンスキー関連の物だったなあ…アイツには一回、話し合いの機会を設けないと。
まあ予算が欲しいからじゃんじゃん使うのは良いんだけどな。

ゴリゴリゴリ...

とりあえずする事がないから本日2回目のコーヒー。

「うむ…美味しいな!」


***

252 名前:名無しさん:2011/01/19(水) 23:01:07 ID:HrKK6PWM
>>251の続き


時が流れるのは早いもので、既に12時を回っていた。
昼食の時間なため、食堂へ赴く。

昼の当番もジョゼで、ふむ…今日はパスタなのにリべリオン生まれのメニュー…『カルボナーラ』か。

「わっ!なんで私の麺を取るんだ?!」
「うっせ、これが実際の戦いだったら墜ちてんぞ?!」
「昼食と実戦は関係ないだろ!!」

…おいおい、朝とまるっきり同じやり取りをしているぞ?!あの2人!!


***


「なあロスマン…」

昼食後、廊下を歩いていたロスマンに声をかける…が、

「すみません、ちょっと今仕事が忙しいのでまた後でお伺いします!」

…おいおい、それって本来私の仕事じゃあ…?

モヤモヤしながらも、本日3回目のコーヒーを煎れる。

ゴリゴリゴリ...

「…うむ、やはり美味しいな」
















15時過ぎ、あまりやる事がない…いやこの言葉だと語弊があるな;;
仕事が落ち着いたので、格納庫へ行ってみる。

そこにはチェック表を手にしたサーシャと、傍にグルピンスキーが居る。
しかし、何から言い争い?お説教?をしているようだなあ…;;;

「ったく!あなたは何遍言わせればわかるんですか??!!」
「困るなあ熊さん、別にボクだって好きで壊してるワケじゃないよ」
「良いですか??!!湯水のようにお金があるんじゃありません!!」
「え、でもちゃんと税金は納めてるよ?」
「あなたは自分が払ってる金額以上のストライカーユニットを破損しているんです!」
「いや、違うよ…飛んだら勝手に壊れるんだよ。リコール?これ、製造元の本社へ早速電話しなくちゃなあ」
「そんな情報は私の耳に入って来てません!!!!」
「何せ10分前に耳に入った情報だからね」
「…っ!!」

「まあまあまあ」
「たっ、隊長!」
「隊長、聞いてよ〜…熊さんがボクの事を虐げるんだよ」
「なっ??!!」
「グルピンスキー、お前はもっと破損するのを控えろ」
「控えろって;;」
「『ブレイクウィッチーズ』姉妹の長女だろぅ?1人減っただけで、注文書の紙が1枚減るんだ」
「…は〜い、気をつけま〜す」
「エセ伯爵!!あなた上官に向かって…っ!!!」
「サーシャもそんな怒るな、国民だって世界を守っている実績があるからお金を出してくれてるんだ。そもそもグルピンスキーに実績が無かったらとっくに自腹だぞ?」
「すみません…」
「2人ともケンカはするなよー」
「熊さんごめん…この後、仲直りとしてエッチしないか?」
「こここここの変態っ!!!!」







部屋に戻る。
2人のケンカを仲裁した所でまた、

ゴリゴリゴリ...

本日4回目のコーヒーを煎れる。

「うむ、美味だ」


***

253 名前:名無しさん:2011/01/19(水) 23:01:35 ID:HrKK6PWM
>>252の続き


17時、今さらながら新聞を読む。
おっ、なんだ…今回の特集はマルセイユ特集か。
思えば彼女と一番最初に出会った時は荒れていたなあ…でもあの時、注目しなかったらこんな活躍は出来なかっただろう。
そう思いながら、本日5杯目のコーヒーを飲む。

「うむ、素晴らしい」

しかも…この写真、撮ったのは扶桑の加東圭子…え?!隊長になったのかぁ…。
そういや入院している時、私に取材しに来たなあ。あの時はカメラマンだったが復帰したのか。
そう思いながら、本日6杯目のコーヒーを飲む。

「うむ、エクセレント」

そういや、501部隊のミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ中佐もこんなんだろうか…?
こんなに時間を持て余しているのだろうか?…今度聞いてみるか。そもそも彼女とは…JG53に所属した以来会ってないなあ…。
そう思いながら、本日7杯目のコーヒーを飲む。

「うむ………ゴホゴホッ!気管支に詰まった…っゴホッ!」


***


19時、ミーティングを兼ねた夕食だ。

「…本日異常なし。で良いか?」
『はいっ!』

502のメンバーが全員、同じタイミングで返事をする。
思ったんだが、これってなかなか滑稽な光景ではないか?
…あれっ、もしかして朝と同じ事を言ってるか…?まあ良いや。

今晩は、下原が当番だ。何なに…扶桑の鍋料理で『すき焼き』と言うのか。
肉やら野菜…この白い物体はなんだ?チーズか?とにかく色々な物を煮込んでいる。
しかもそれを、生卵を付けて食べると言うからまた不思議だ。腹は壊さないのか?
最初はこの扶桑の鍋料理に、みんなの箸でつつくと言う行為に抵抗があったが今では全くない。扶桑ナイズされてきたなあー

「わっ!なんで私の肉を取るんだ?!」
「うっせ、『すき焼き』は戦争だ!お前の捕虜はもらうぞ!」
「夕飯と戦争は関係ないだろ!!」

…うん、あの2人…朝と昼で言葉を変えてるが全く意味は変わってないぞ。


20時過ぎ、私は部屋に戻る。
レコードをかけるとするか…今夜はモーツァルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」だな。
ちなみに私は第三楽章が好きだ。

そして日課である、オオカミの剥製の手入れをする。私の使い魔はオオカミで、非常に尊敬している動物だ。
彼らの行動を見ていると時々、戦術の勉強になる時もある。そうした彼らに感謝の意を込めて、ピッカピカにする。

「ー♪ー♪」

椅子に腰かけ、モーツァルトを口ずさみながらピカピカになったオオカミを見る。
そうしながら、本日8杯目のコーヒーを飲む。

「うむ…流石に胃が痛い…」

なんだ、私はバリスタにでもなりたいのか??!!


***

254 名前:名無しさん:2011/01/19(水) 23:02:05 ID:HrKK6PWM
>>253の続き


22時過ぎ、私は自室で本を読んでいる。

コンコン...

「ロスマンです」
「入れ―」

ガチャッ...

「失礼しま〜す」
「『カールスバーグ』で良いな?」

と緑色のビール瓶をロスマンに見せる。

「はい、もちろん!と言うか隊長、それしか飲まないじゃないですか」
「…そうだな、考えてみれば」

そうして戦術の事、メンバーの事、時には…『ガールズトーク』に花を咲かせる。
23時を少し過ぎた頃、

コンコン...

「夜分遅くにすみません、下原です」
「おっ、どうした?入れ」

ガチャッ...

「あれっ、ロスマンさんもいたんですか?!」
「そうよ、何なら私たちの『グータンヌーボ』に加わる?」
「え?!良いんですか??!!あ、扶桑から援助物資としてこんな物が届いたんですが」

と下原が持っていた瓶を手にする。

「ふむふむ、これはなかなか良い代物だな………って扶桑語読めんわ!!!!」
「出たっ!隊長のノリツッコミ!」
「あ、扶桑で有名な芋焼酎です。『魔王』って言う幻の酒なんですが」
「よし、ロスマンと下原!飲むぞ!」
「ラジャ〜!」
「え、私まだ未成年…」
「隊長命令だっ!!!!」
「はっ、はいぃ…」


***


チュンチュン...

「むむっ…」

5時58分…私は自然に目を覚ます。
1分でボーッとし、残り1分で覚醒させるのだ。

〜♪〜♪

6時ぴったりに起床ラッパが鳴る。

「…えっ?」

ビックリした…何故なら私は壁に寄り掛かって寝ているのだから。
そしてその上に毛布が掛けられている。

とにかく私は立ち上がり、着替えて散乱している空き瓶を回収して食堂近くのゴミ捨て場に捨てる。
そしてそのままの足でロスマンの所へ。

「起きてるか?」
「あっ、はい…ちょっと待ってください」

といかにも今起きたばっかりのロスマンが部屋から出てくる。

「あの…私…」
「大丈夫です、誰にも言いませんから」
「へ…?」
「記憶にないんですね…」
「ああ」
「昨日…一瓶開けちゃって、隊長…急に服を脱ぎだしてですねえ」
「…はっ?!」
「急に全裸で正座しだして『裸で何が悪い』と…」
「………」
「そしてそのまま寝ちゃったんです」
「…すまんな」

それだけを言い残して、廊下を歩く。しかし何故か早足になっている…。

グンドュラ・ラル

カールスラント空軍第52戦闘航空団第8中隊、カールスラント空軍第52戦闘航空団第3飛行隊司令を経て、こう見えても私は502JFWの隊長を務めている。
エーリカ・ハルトマン、バルクホルンに次ぐカールスラント空軍第三位撃墜記録を持つグレートエースであり、芸術的な空戦技能を持っている。
さあて、今日も一日仕事だ。



【おわれ】

255 名前:名無しさん:2011/01/20(木) 21:20:23 ID:mx4Zd84M
>>254
さすがラル隊長、あのカルピス原液部隊を束ねてるだけあるお人ですね!!
一緒に泥水みたいなコーヒーを飲んでみたいモンです。GJでした!
あ、それと伯爵の名前が『グ』ルピンスキーになってましたよ〜

256 名前:名無しさん:2011/01/20(木) 21:49:54 ID:mvApYoQg
>>255
どうも、Hwd8/SPpです。
カルピス原液部隊w確かに濃いメンバーが多いッスね〜;;

あれま…ご指摘、ありがとうございます;;やっぱちゃんと読みなおししなくちゃダメですね〜;;;

257 名前:名無しさん:2011/01/21(金) 18:41:16 ID:wJKLg9QM
>>254
まさに校長先生な隊長がいいですね〜(^O^)おかずを取り合うナオちゃんとニパが可愛すぎる…!!

258 名前:mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/01/23(日) 23:53:37 ID:w2SPciDw
>>254 Hwd8/SPp様
GJ! ラル隊長何かかわいいですねw 502もいつも通りで。


こんばんは、mxTTnzhmでございます。
某所で頂いたネタをひとつ。
保管庫No.0450「ring」シリーズ続編となります。
ではどうぞ。

259 名前:no border 01/03:2011/01/23(日) 23:54:04 ID:w2SPciDw
 部屋の中央に引かれた、一本の赤い線。何者も超える事を許されないその“防衛線”を、「ジークフリート線」と呼んだ。
 その線をいとも簡単にまたぎ、がらくたをぐわっしゃんと崩壊させながら、金髪の少女が転がり込んできた。
「こ、こら! また私の境界を侵犯する気かっ!?」
 部屋のテーブルで読書をしていたトゥルーデは、慣れた手つきで散らばった本やら瓶やら何かの木ぎれなど
様々な“物体”を手に取っては、適当に領域の向こうへと戻し始める。
「ちょっとトゥルーデ、もっと丁寧にそっと扱ってよ」
「なら何故がらくた毎やって来るんだ!? あれ程モノをこっちにやるなと……」
「まあまあトゥルーデ」
 侵犯の主、エーリカは、トゥルーデの肩に腕を回し、にやにやと笑う。
「どうした? 何か様子が……息が酒臭いぞ」
 気付いてエーリカの顔を見る。頬がほんのり紅い。
「たまには良いかなーなんて思って。珍しいカールスラント産のワインだよ」
 にやつくエーリカを見る。ワインの瓶を渡され、自然と受け取る。
「ほう、これは珍しいな。何処で手に入れたんだ」
「私のスペースに、有った」
 エーリカの指さすところは、およそゴミの山と言った感じだ。何が出てきてもおかしくない。
「飲めるのか、これは」
「大丈夫、何本も出てきたし、栓もしっかりしてあったし、ラベルも読めるよ。ほら」
「ふむふむ。……結構年代物みたいだな」
 ラベルの記載をつらつらと読むトゥルーデ。いつの間に用意したのか、グラスをふたつ用意し、トゥルーデのベッドに腰掛けるエーリカ。
「さ、飲もう」
 パジャマ姿と言うラフな格好で、誘うエーリカ。
「飲もうって……明日も有るのにどうしろと」
 呆れるトゥルーデ。
「今夜私達非番じゃん」
「非番も何も、いざネウロイが来たら……」
 言いかけるも、既にエーリカは栓をぽんと抜き、こぽこぽとワインをグラスに注ぐ。
 琥珀色をした魅惑的な液体が注がれる。
「貴腐ワインか?」
「だね。甘くて美味しいんだよ」
「……知っている」
 トゥルーデは仕方無くグラスを手に取った。
「あれ、さっき飲まないって言ってなかった?」
「栓を開けた以上、早く飲まないと痛むからな。せっかくの貴腐ワインが勿体ない」
「そそ。飲まないとね〜」
 二人は一応、乾杯、とワイングラスを合わせ、ぐいと呷った。
「甘いね!」
「悪くないな」
 二人は同時に感想を述べた。
「確かまだ何本か有った筈だから持ってくるよ」
 エーリカは自分のスペースへ戻ると、ワインの瓶をどこからともなく持ち込んでくる。
「今そんなに飲まなくても」
「いつ飲めるか分からないし、この際飲めるだけ飲んじゃおうよ」
「おいおい……」
 そう言いながら、実はまんざらでもなさそうなトゥルーデ。
「はい、飲んで飲んで〜」
「うん……。まあ、うまいな。やはりワインはカールスラント産に限るな」
「でしょでしょ? もっと飲もうよ」
 窓から月明かりが差し込む中、二人はつまみも無しにワインを一瓶、また一瓶と開けていく。

260 名前:no border 02/03:2011/01/23(日) 23:54:33 ID:w2SPciDw
 夜も更け、月もだいぶ傾いた頃……
 ふたりはぐでんぐでんに酔っぱらい、ベッドの上で微睡んでいた。
 ワインの瓶は何本も転がり、ベッドの周りだけエーリカのスペースと余り変わらない感じになっている。
「……飲み過ぎたか」
 うう、と呻くトゥルーデ。
「トゥルーデ飲み過ぎなんだよ……瓶毎ラッパ飲みするなんて」
「エーリカがやれと言ったから!」
「罰ゲームだもんね」
 にしし、と笑うエーリカ。トゥルーデはベッドの上に、ごろりと横になる。そしてぽつりと呟く。
「毛布が欲しい」
「毛布?」
「もうこのまま眠りたい」
「えー」
「飲み過ぎて何だか気分が……」
「しょうがないなー、トゥルーデ」
 エーリカもよろめきながら、近くに置かれた毛布を手に取る。
「おろ? 端が二重に見えるよ、トゥルーデ。面白い」
「エーリカも酔ってるじゃないか」
「とりあえず、はい!」
 折り畳んだ毛布を投げつける。
「痛っ! 畳んだまま投げるな! て言うか、掛けてくれないのか……」
「トゥルーデ、いつの間に甘えっ子になったの?」
「こう言うのは甘えっ子とは言わない」
「仕方無いなあ、トゥルーデ」
 エーリカは毛布の端を持ち、ばさっと広げるとトゥルーデの身体に掛ける。
「すまない、エーリカ……」
 何か言いかけたトゥルーデが気になり、顔を見る。気分が悪そうとかそう言うのではなさそうだ。
 そこで、少々の寒気を覚えたエーリカは、そのままするりとトゥルーデの懐に潜り込んだ。
「どうした、エーリカ」
「寒くなったからちょっと暖めて」
「あ、暖め、て……?」
 トゥルーデの声色が変わる。
 そこで、エーリカは、ふと気付く。
 目の前で微睡んでいた筈のトゥルーデが、何故か覚醒している。
 いや、目の色はまるで貴腐ワインの様にとろけ、そして少々澱んでいる。
 だが、何処か何か思い詰めた様な、一途な表情をしている。
「今、暖めてと言ったな?」
「う、うん」
「じゃあ、そうする?」
「えっ? えっ? トゥルーデ? ちょっ……」
 腕をがっしりと掴まれ、唇を奪われる。舐る様な、濃厚なキス。
 さっきまで飲んでいたワインの味が、お互いの口を行き来する。
 舌が絡む。貪る様に、唇を重ねる。はあ、と息が上がり、灼ける吐息が頬を掠める。
 そんなキスを何度も繰り返し、息がとことん荒くなったところで、トゥルーデはエーリカのパジャマを強引に脱がせた。
「ちょっと、トゥルーデ?」
「お前が望んだんだぞ、エーリカ」
 まだ息の荒いトゥルーデは、エーリカを前に、自分も服を脱ぎ捨てた。
「そして、私も望んでいる」
 それだけ言うと、エーリカに襲い掛かった。
 毛布の中で、突然始まる情事。
 普段あまり自分から求めないトゥルーデが情欲に溺れ狂ったのは、ワインの魔力か。
 それとも、間近で嗅いだ“愛しの人”の芳香か。
 体中に唇を這わせ、乳房を舐め、微かな膨らみを繰り返し舐る。
「あっ……はうっ……トゥルーデ、そこばっかり……」
「エーリカの、胸は……。でも、だからこそ好きだ」
「トゥルーデ、何言ってるかよく分からないよ」
 途中何を言っているか分からないが、とにかくトゥルーデにがっしりと身体を拘束され、なすがままにされる。
 執拗に胸を舌と唇で玩ばれ、身体をびくりと震わせるエーリカ。
「ズボンも要らないな」
 しゅるりとズボンを脱がすトゥルーデ。少々熱く、湿り気味の秘所に、中指をくちゅっと入れ、こすり、回し、つまむ。
 堪えきれずにトゥルーデを抱きしめ、腰を震わせるエーリカ。
「トゥルーデ、だめ……そんなにしちゃ……」
「私も……」
 いつ脱いだのか、トゥルーデもズボンを下ろし、露わになった自分の股をエーリカと合わせる。
 最初ゆっくりしたリズムで、腰を浮かし、擦り合う。溢れ出る蜜。
「あっ……んっ……だめ……トゥルーデ……」
「うう……先にはイカせないぞ……エーリカ、愛してる」
「トゥルーデ、ずるい……んっ……こんな時に……はあっ」
 唇を重ねる。身体が本能的に動き、うまくキス出来ない。無理矢理ぎゅっと抱きしめ、腰を振りながら、もう一度キス。
 やがてテンポが早くなり、息が浅くなり、上がり……
 二人は同時に、快楽の頂点に達し、がくがくと身体を震わせた。
 抱き合ったまま、ベッドにごろりと横になる。
 二人の重なった秘所から溢れる愛液はつつっと垂れ、ベッドのシーツにぽつぽつと染みを作る。
 荒い息のまま、二人はキスを繰り返す。数なんて数えていられない。ただ、目の前に居る者が、愛おしい。それだけ。
「トゥルーデ、愛してる」
「エーリカ、私もだ」
 絡み合う視線、吐息。
 そして重なる唇。乳房。素肌。
 二人の営みは、夜を徹して続いた。

261 名前:no border 03/03:2011/01/23(日) 23:55:51 ID:w2SPciDw
 明け方。のそっと身体を起こすエーリカ。いつ掛けたのか、毛布にくるまったまま二人は寝ていた。
 トゥルーデは疲れ切ったのか、全身の力が抜けた様にぐたーっと寝ている。
「あんなに飲むから……って飲ませたのは私か」
 髪をかき上げ、ぼんやりと思い出し呟くエーリカ。
 その“飲み過ぎ”な愛しの人は、エーリカの横で寝たまま、起きる気配もない。
 時計を見る。そろそろトゥルーデは起床する時間なのに……。
「こりゃ起きないね。起こしてもしょうがないし」
 エーリカはもそもそと毛布に潜り込むと、トゥルーデと肌を合わせる。
 素肌の触れ合い。とても温かく心地良い。お互いの鼓動がはっきりと分かる。
 本能的か反射的か、エーリカを抱き寄せるトゥルーデ。しかし寝たままだ。
「私は抱き枕かっつうの」
 口調は少しきついが、悪い気はしない。
「もし、ワイン飲んだ後の事、忘れてたら……」
 一週間無視しよう、と決心するエーリカ。
 でもトゥルーデの事だから、きっと顔を真っ赤にして「それはその……」とかしどろもどろになって弁解するに違いない。
 そこも織り込み済みでの、決心。
 ある意味での逃げかも知れない。
 だけど、そうなる確信にも似た気分は有った。何より、二人で付け合った身体の痕。そしてベッド周りの状況。
 ふふ、と何故かこみ上げる笑みを浮かべながら、エーリカはトゥルーデの胸の中で、もう一度眠りに落ちる。
 一番安心出来る人の、腕の中で。

end

--

以上です。
やや? エロスな感じで。

ではまた〜。

262 名前:名無しさん:2011/01/24(月) 22:56:17 ID:IPgkt3Ho
>>259

いつも楽しく読ませて頂いてます。
早速拝見させて頂きました。エーリカとゲルト…今回はまあ何とも神秘的(?!)な話でしたね。
「ring」シリーズ作品は頭の中で急にイメージが浮かぶから素晴らしいと思ってます!

あの…一回限りなのですがリクエスト…出来ますか?!させてください!!
ぜひとも、アメリーが501に来訪するというエピソードが一度読んでみたいです!!

263 名前:名無しさん:2011/01/25(火) 01:11:54 ID:QROkypIw
エーゲル神!!
501神!!

264 名前:名無しさん:2011/01/26(水) 01:15:52 ID:XtijJEQg
こちらは初めてなのですが、ものすごく短い話を一つ投下させていただいてもよろしいでしょうか。

265 名前:名無しさん:2011/01/26(水) 01:17:46 ID:XtijJEQg
どなたも居らっしゃらないようなのでこっそり落としていきます。
エイラが501に赴任した直後のおはなしです。

266 名前:名無しさん:2011/01/26(水) 01:18:21 ID:XtijJEQg
彼女のことが気になって、
彼女の部屋をノックした。
少し遅れて返事がして、
彼女は扉をあけてくれた。
暗かったけど、目が赤いのはわかった。

私は彼女と話をした。
ツンツンメガネに何か言われたらしい。
そんなこと気にすんなって言ったけど、
彼女はうつむいたままだった。

私は彼女に約束した。
朝になったら迎えに来るよと。
みんな同じさ、私もちょっとは緊張してるんだ。

辛いなら、うつむいてちゃだめだって。
彼女も分かっているはずなんだ。

私は彼女を連れ出した。
朝の風はまだ冷たいけど。
今日がどんな日かなんて、
未来予知でだってわからないんだから。

彼女の願いを聞いた。
その願いは、私の願いにもなったから、
その重りを分けてごらん。
これからはふたりの願いだよ。

朝になったら迎えに来るよ。
朝の風はまだ冷たいけど。
今日がどんな日かなんて、
未来予知でだってわからないんだから。

267 名前:名無しさん:2011/01/26(水) 01:19:31 ID:XtijJEQg
これは私の好きな歌の歌詞を模しています。
これからもさっと落としに来るかもしれないので、どうかよろしくお願い致します。

268 名前:名無しさん:2011/01/26(水) 13:54:26 ID:BqRB/N/w
>>267
GJ!ここは結構過疎ってるから気にせずどんどん投下しておk

269 名前:mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/01/26(水) 21:52:10 ID:jhyJXrNE
>>267
GJです。これは良いエイラーニャ。はじめから優しいんですね。


こんばんは、mxTTnzhmでございます。
今回は >>262様のリクにお応えして一本書いてみました。
多分想像や希望とは違うものになっていると思いますので
予め陳謝……。
時期的には、アニメ1期、ガリア解放前辺り
(ブリタニア基地滞在時)と言う事で宜しくお願い致します。
ではどうぞ。

270 名前:they need you, i need you... 01/02:2011/01/26(水) 21:52:53 ID:jhyJXrNE
 アメリーはトラックから降りると、どんと眼前にそびえ立つ501基地を眺めた。
「これが、501の……」
 ごくり、と唾を飲み込む。自由ガリア空軍からの補給……ストライカーユニットの部品や食料、
些細だが「慰問」と称して贈られる幾つかの嗜好品など……の護衛を任され、ようやくかの地へ辿り着いた。
 そして何より、アメリーにはどうしても逢いたいひとが居た。今日こそは。
 いつの間にか門前で仁王立ちしている自分に気付き、アメリーは慌てて501の基地へと向かった。

「ようこそ501統合戦闘航空団へ。補給及び連絡の任務、ご苦労様です、プランシャール軍曹」
 執務室に通されたアメリーは、大人びた風貌の佐官からねぎらいの言葉を受ける。カールスラント空軍の制服を着ている。
「あっありがとうございます」
「礼を言うのはこちらの方だ。補給品だけでなく他にも色々と……。こんなに良いのか?」
 扶桑人と思われる佐官も、書類のリストを見てアメリーに聞いてくる。
 よく見るとこの扶桑人、以前ブリタニア駐在時にあの人をスカウトしに来た……? と気付くアメリー。
「ほ、ほんの気持ちですから! どうぞご自由にお使い下さい」
「では、後で隊員達に使わせるとするか。それで良いか、ミーナ」
「ええ、そうしましょう」
「あっあのっ!」
 意を決したかの様に、問いかける……つもりが大声をだしてしまい自分でも慌てるアメリー。
「どうした、そんなに焦る必要もないだろう」
 笑う扶桑の佐官。
「ごっごめんなさい。その、あの……ペリーヌさんは何処に居ますか!」
 あっ、と自分の口を手で覆う。そして言い直す。
「すいません。クロステルマン中尉は、どちらに……?」
「ペリーヌさん? 確か……」
「今はロンドンの自由ガリア空軍連絡所に出掛けている筈だが」
「えっ」
 動揺を隠しきれないアメリー。
「何でも使用しているストライカーユニットの件で軍と連絡を……おい、どうした?」
 アメリーの目に溜まる大粒の涙、ぽろぽろとこぼれ落ちる。
「そんな、すぐに帰って来るから、泣かなくても」
「せっかく会えると、思ったのに……」
 ぐすっと鼻を詰まらせる。涙が止まらない。
「いや、あと半日もすれば戻って来る筈だ」
「は、半日!?」
 思わず大声を上げた事に、佐官ふたりはぎくりとした。
「半日がどうかしたの?」
「私、あと一時間程で帰らないと……。ぐす……、うええっ……」
「あら……。それは残念ね」
「会いたかったです〜」
 落胆が悲観に代わり、泣き止まないアメリー。
「参ったな……こう言う時は誰を呼べば良いんだ?」
「そうね。リーネさんと宮藤さんをここに」
「了解。適任だな」

「はいどうぞ。カモミールティーですよ」
 ブリタニアの軍曹からカップを渡されたアメリーは仰天した。リンゴの様な、爽やかな香り……
「こっ、これは」
「どうかしました?」
「このカモミールティー、何処で?」
「何処でって、ペリーヌさんが教えてくれたんですけど」
「ああ、なるほど……」
 複雑な表情をするアメリー。
 そんなアメリーを見たブリタニアの軍曹と扶桑の軍曹は、顔を見合わせ、どうしよう、と呟いた。
 アメリーは二人に問うた。
「あの、ひとつ聞きたいんですけど」
「はい」「なんでしょう?」
 同時に答える二人の軍曹。
「お二人は、ペリーヌさんのお友達さんですか?」
「えっ!? え、は、はい」
「私はどうか分からないけど……一応、仲間、かな」
 戸惑い気味に肯定するブリタニア娘、苦笑いして頭を掻く扶桑娘。
 カモミールティーに口を付けるアメリーを見て扶桑娘は言った。
「やっぱり。ね、リーネちゃん」
「でも芳佳ちゃん、この人、何だか悲しそう……」
「お気になさらず。私もガリアの軍人ですから……ですから」
 またも涙目になるアメリー。
「ああっ何故泣くの?」
 人目も憚らず、アメリーはまたも涙目になった。
「ペリーヌさんに会いたかった……」
 ぽつりと、呟く。
「ごめんなさい、今日は居ないの。代わりにこのカモミールティー、飲んで」
「ありがとう、ございます……」
 ブリタニア娘は、少し顔を覗き込んで言った。
「ペリーヌさんが言ってました。このお茶を飲むと落ち着くって」
「……それ、私がペリーヌさんに教えて差し上げたんです」
「そうだったんですか」
「意外なルーツ発見だね、リーネちゃん」
「そうだね芳佳ちゃん」
「……あ! て事は、貴方があのアメリーさん?」
 何かに気付いた扶桑娘は身を乗り出した。
「ほえ? 私ですけど、どうかしました?」
 カップを手にきょとんとした顔をするアメリー。

271 名前:they need you, i need you... 02/02:2011/01/26(水) 21:53:20 ID:jhyJXrNE
 小一時間後。
 扶桑の娘と、ブリタニア娘から、事の次第を聞いたアメリー。
 ペリーヌが、かつての自由ガリア空軍時代の事を皆に話した事。
 扶桑の軍人から501JFWへのスカウトを受けた時の事……模擬戦でこてんぱんにやられた事……
その後アメリーからカモミールティーを振る舞い、淹れ方を教えた事。
 そして……。
「そうですか……ペリーヌさん、忘れてなかったんですね」
 手にしたカップの中で漂う液体、花びらの一片をじっと見つめるアメリー。
 爽やかな香りは、何故か自分が教えた筈なのに、いつのまにかあのひとそのものに見えて。
「ペリーヌさん」
 アメリーは、お茶の中に自分の存在を見出し、ふと、微笑んだ。

「帰りは気を付けてな」
「何も無いとは思うけど、万が一の時はすぐに連絡を。掩護に向かわせるわ」
 501の佐官ふたりが見送る中、トラックに乗り込んだアメリーは礼を述べた。
「お気遣い有り難う御座います。一応、トラックには私のストライカーユニットと武装、発進ユニットを積んでありますから」
「それは頼もしいな。でも501に来たんだ、もっと我々を頼ってくれても良いんだぞ?」
「いえいえ。……あの」
「? どうした」
「すいません、取り乱して……色々と」
 恥ずかしげに言ったアメリーの言葉を一蹴するかの様に、扶桑の佐官は笑った。……あの時と同じ笑い声。
「扶桑の諺に『旅の恥はかき捨て』と言うのが有ってな。長居する訳では無いから、特に気にするなと言う意味だ」
「はあ」
「だから、ペリーヌには内緒にしておく」
「そ、それはどうも」
「ただ、プランシャール軍曹が来た事だけは伝えておこう。……何か伝言は有るか?」
 不意に扶桑の佐官から聞かれ、答えに詰まるアメリー。
「あ、あの……」
 咄嗟に思い付かない。そして繰り返してしまう。
「お会いしたかったです、と……」
「そうか。分かった。伝えよう。何、大丈夫。すぐに会えるさ」
「えっ、何で分かるんですか?」
「なぁに、勘だよ、勘。何となくそんな気がしてな」
 笑っていた扶桑の佐官は、ふと顔を引き締めて言った。
「だから会えるまで、絶対に生き残れよ」
「は、はい! 頑張ります」
「宜しい! ペリーヌも喜ぶだろう」
 またも笑う。呆れ顔をするカールスラントの佐官は、アメリーに言った。
「では、そろそろ時間ね。気を付けて」
「はい。皆様も、ご武運を」
「有り難う」
 こうして、アメリーは501基地から去った。帰路敵襲も無く、基地に戻る頃にはトラックの席でうつらうつらとしてしまっていた。

 後日、アメリーに一通の手紙が届く。
 ペリーヌからだ。
 生憎の“不運”を嘆く言葉、様々な補給品に混じり、乾燥カモミールティーを差し入れしてくれた事の感謝。
 手紙によると、基地でアメリーが飲んだカモミールティーが、501に残っていた“最後の一杯”だったらしい。
 ちょうどのタイミングで、入れ替わる様にやって来た事を喜んでいる様だ。
 乾燥カモミールティーはいつでも手軽に使える事から、重宝しているとの事。
 そして、ペリーヌも基地の中庭で、カモミールの花を育てている、と言う事も書かれていた。
 手紙を読み終え、アメリーは決心した。
 もう一度、カモミールティーを淹れてあげたい。
 もう一度、会いたい。
 その為にすべき事はひとつ。あの扶桑人が言っていた事を、する。
 それが自分の為にもペリーヌの為にもなると、彼女だけでなく、皆が分かっている事だから。

end

272 名前:名無しさん:2011/01/26(水) 21:53:36 ID:jhyJXrNE
以上です。
このSSの時期は、アニメ2期の頃(ロマーニャ展開時)ではないのでご注意を。
またアメリーの軍籍や所在等はかなり適当です。すいません。

カモミールティーのエピソードに関しては
秘め話CD2『カモミールの想い出』を参考に書きました。
色々齟齬もあると思いますがご容赦を……。

ではまた〜。

273 名前:名無しさん:2011/01/28(金) 20:41:23 ID:J/PYgnKE
こんばんは、Hwd8/SPpです。
「ヘルマの発情」シリーズなのですが、風邪の流行する季節…ってな事でその風邪についてのエピソードを書いてみました。
皆様も体調管理は万全に(`・ω・´)
それではドゾー


【ヘルマの風邪】


「くしゅんっ!!!!」

ハルトマン中尉の部屋…なんだか寒いような…?

「風邪…?」
「いえっ!誰かが私の事を噂してたんだと思います」
「…じゃあヘルマ、よろしく」
「りょ、了解でありますっ!!!!」

この間フルーツ風味の歯磨き粉を卒業しました!!ヘルマ・レンナルツであります!(ビシッ
普段、私の所属している部隊は実験ばかりしているのですが…なんと今回!!ハインリーケ大尉の部隊に期間限定ですが、出向することになったのであります!
なのでその報告をハルトマン中尉にしているところであります。


***


「しっ、失礼するであります!」
「入れ」

ガチャッ...

「本日よりそちらに出向します、ヘルマ・レンナルツ曹長であります!」
「知っとる」
「よろしくお願いします!」
「ふっ…」

ハインリーケ大尉は足を組み、こちらを見てるでありますね;;
ホンットに裏で『姫』って呼ばれてるだけあります。

「まっ、せいぜい頑張るが良い」
「はい!…え?」
「何故か妾の下に来た新人の部下は皆『親が危篤で』『風邪を引いて』『家のペットが心配なので』…と何かしら理由を付けて、出向期間途中に原隊へ帰ってしまうヤツが多いのだ。まっ、そうならんようせいぜい頑張れ」
「は…ははあ…」
「前にここにおったヤツも一昨日までここに居たんだが…急に『原隊でトラブルがあった』と言って帰ってしまったのだ」

うわあ…何ですか、その典型的なウソは!!;;
…でもそんなに辞めてく人間が多い部隊なんですね;;;

「軍の方に緊急に兵を補充してもらうよう頼んだんだが…まさかお前だったとは」
「人を車検の代車手配のような感覚で呼ばれたんでありますね;;…でも!空の上とプライベートは関係ありません!以後、よろしくお願い…へっ…へっ…へっくしょん!!!!」
「…よろしく」



私が何故この部隊に呼ばれたのかと言うと、夜間哨戒担当のウィッチが不足しているからであります。
そもそもハインリーケ大尉とその一昨日まで居たウィッチが1日ごとに交代して行っていたのでありますが、今はもういない…。
そして急遽、ヒスパニア方面から本国へ夜間哨戒担当ウィッチが来るはずだったのでありますが…戦況の悪化のため足止めをくらってしまっている状況であります。
なので来るまでの間、私がハインリーケ大尉と交代で哨戒をすることになったんであります!

そしてその日の夜…

「ヘルマ・レンナルツ曹長…行きますっ!!!!」

ジェットストライカー…はまだ研究中なため貸与してもらえず、ここの部隊から借りたストライカーで哨戒任務に就いたであります!
それにしても………

「寒いっ!」

いくらシールドを張れるとは言え、なんだか寒気が…;;

「くしゅんっ!!!」

くしゃみを寒い夜の空の下で連発するであります…。
もしかして…風邪でありますか??!!
でも大尉は………
「何故か妾の下に来た新人の部下は皆『親が危篤で』『風邪を引いて』『家のペットが心配なので』…と何かしら理由を付けて、出向期間途中に原隊へ帰ってしまうヤツが多いのだ」
と言ってたであります;;このままだと私は…?

「くしゅんっ!!」

以前、風邪だと思うからさらに悪化する…と聞いたことがあるであります!!こうゆう時は楽しい事を妄想するに限ります!!
楽しい事楽しい事…あ、バルクホルン大尉とマルセイユ大尉のどちらかが私を巡って部隊への引き抜きをするかをモメてる…と言うシチュエーションで妄想しましょう!

「くしゅん!!」

…ダメであります、今のくしゃみで興ざめしたであります…。
とりあえず、任務が終わったらバファリン飲むであります!!

274 名前:名無しさん:2011/01/28(金) 20:42:17 ID:J/PYgnKE
>>273の続き。






「ただいま戻りました!」

朝方、私が部隊の宿舎へと戻ると一目散に風邪薬を飲むであります。

ゴクゴクッ...

「…ぷはぁ…よくなると…良いであります」

とにかく寝るであります!!
私は用意された部屋へ向かい、仮眠を摂ったであります…。


***


「40.3度…ゴホッ」

起きた後、計った体温計を見て愕然とするであります…
あれ…頭がボーッと…

「ゴホッ…いや、ここで倒れてたまるもんでありますか!!!!ゴホッゴホッ」

そう自分に言い聞かせるであります!
とりあえず薬箱から風邪薬を2錠ほど水で流しこみ、哨戒へ向かうであります!















「たっ…只今戻ってきたであります…ゴホッ」

宿舎に帰ってきた私…ヤバい、冗談抜きでヤバいであります!!
なんかこう…視界がフラフラし出して、まっすぐ歩くのもやっと…?って感じで;;;

「…おかえり、レンナルツ曹長」
「ただいまであります…ゴホッ」
「おっ、貴様も早速仮病かぁ」
「ちっ、違うであります!これはガチで!…ゴホゴホッ」
「ふっ」
「いっ…行かないでっ!!」

と言い残し、スタスタと何処かへ行ってしまうハインリーケ大尉。おっ、置いてかないでくださいであります〜っ!!
必死にハインリーケ大尉を追いかけようとする私…勢い余って………

「わっ!!」

後ろから大尉を抱きしめるような感じになったであります…いやあ…その前に、ツラい;;

「なっ、何をしておるっ!!!」
「ごっ…ごめんなさいであります…」
「ったく…」

しかし、その廊下の角から2つの目が光っていた…。

「みみみ…見ちゃった!!」


***

275 名前:名無しさん:2011/01/28(金) 20:44:18 ID:J/PYgnKE
>>274の続き。


「ねえねえ、知ってる?あのちびっこ補充員の話」
「知ってる!何でも昨夜、大尉に廊下で抱きついたとか?」
「わっ、ダイタン〜!!」
「どうやら『行かないで!』って必死に懇願して抱きついたらしいわよ」
「もう許されない愛ね、上官と部下の恋愛って…ロマンチックだわ〜!」
「で、ここがそのちびっこ補充員の部屋かぁ〜」


んんんっ…
何だか廊下が騒がしいであります…
昨夜からずっと部屋に閉じこもって寝ているであります。
熱は一向に下がらず………うん、今日こそ医務室へ報告しに…!!
でも………
「何故か妾の下に来た新人の部下は皆『親が危篤で』『風邪を引いて』『家のペットが心配なので』…と何かしら理由を付けて、出向期間途中に原隊へ帰ってしまうヤツが多いのだ」
この大尉の言葉が頭の中でグルグルと…。ここで「私は風邪だ!」と言ってしまったら絶対に仮病扱いされてしまいます…。どうするでありますかぁ〜…。


***


「ハインリーケ大尉!!!!」
「…何じゃ?」
「おっ、乙女の純情を弄ばないでください!!!」
「はあ?何を言っておる?」

―――後から聞いた話なのでありますが、いつの間にか私の『許されざる恋』を応援する女性兵30名ほどの小集団が結成されたんだそう。そして、意を決してその集団の代表が大尉の部屋に押し入ったそうです。

「レンナルツ曹長は…あなたの事が大好きなんですよ?!どうして受け入れないんですか??!!」
「待て待て待て、一向に話が理解できぬ」
「理解するモンじゃありません!…感じるモンです、愛ってのは!!!!」
「バカか、コイツは…」
「わっ、私の予想だと…レンナルツ曹長は今夜の哨戒へ行く寸前に愛の告白があると思います!そこでイエスかノーかはっきり言ってください!!」
「???」

―――そう言うと、そそくさと部屋から出て行ったそうです。

「…レンナルツが、妾を…?まさか………!!」




















そして、哨戒へ飛ぶ直前。
何やらハンガー付近には大勢人が居るでありますが、今夜こそ意を決して…っ!!!!
…あれ、でも何故大尉がハンガーに居るのでありますか?
若干フラフラしながらも近付きます。

276 名前:名無しさん:2011/01/28(金) 20:45:13 ID:J/PYgnKE
>>275の続き。

「…ハインリーケ大尉」
「レレレレレンナルツ曹長!!ここここ今夜も今までに異常はないそうだ!!!!」
「そ…そうでありますか…」
「………」

あれ、なんで大尉は頬を赤くしてポリポリと掻いているんでありますか…?

「なっ、何かあったら遠慮なく言うのだぞ!」
「…あの」
「どっ、どうしたのだ?!」
「今夜…大尉にどうしても伝えなくてはならない事があります…」

『キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!』

ん…?なんだかバッグヤードが騒がしいでありますね…;;
熱のせいで耳が若干遠くても、聞こえるであります…。

「なななな何だ??!!」
「言いたくても…ずっと言えずにいまして…」
「うっ…うん…」
「この気持ちはウソなんじゃないかって大尉に思われるのがイヤで…」
「わっ、妾は全て受け入れるつもりだ!」
「あの…っ!!!!私、医務室へ行ってもよろしいでしょうか?」
「あ…ああ!もちろんだ!!!…へっ???」

ズテーーーーーーン!!!!

なんか後ろの方で盛大にズッコけたという、典型的な音がしたであります…。

「い…医務室…?」
「はい…ここ3日、ずっと熱が出てまして…」
「はっ…早ぅ行け…」
「すみません…今夜の哨戒、お願いします…」


***


「う〜っ!!!!」

ハンガーでの告白から2日後、私は医務室で診てもらい…そのまま、アーヘンの病院へ緊急搬送。
早いハナシ、原隊へ強制送還されたってワケであります…。
あ、大尉の部隊には既にヒスパニアから無事到着したそうでありますね!

「思ったより…」
「元気そうねぇ」
「あ、ハルトマン中尉とシュナウファー大尉!」

両名がお見舞いに来てくれたであります!

「まさかヘルマが入院だなんて…」
「それ聞いてビックリしたわよ」
「すみません;;己の体調管理を全くやってなかったばっかりに…。あ、でも実験の方は?」
「大丈夫、まだ設計図を描いてる途中だから」
「退院したらすぐ実験へ参加しますので…」
「まあ、完治するまでゆっくりしてなさい」
「ありがとうございます」
「あ、それと…」

ん、シュナウファー大尉が小包みを持ってるであります。

「ハインリーケ大尉からこれを渡すよう頼まれたわ」
「え…?」

あんなに迷惑かけたのに、お見舞い品なんて…!!

「途中で帰って来て、悪い
「あの人、ああ見えてもちゃんと他人へ思いやる気持ちがあるのねえ…」
「…ハインリーケ大尉」

なんだろう…この『キュン』となる気持ちは…;;;

「打ち合わせがあるから戻る」
「じゃっ、私も戻るわ」
「ご心配をおかけして本当に申し訳ございません!そして今日はありがとうございました!!」

両名が病室から出て行ったあと、ハインリーケ大尉のくれた小包を開くであります。
その小包の中には箱が入っており、中を開けてみると………!?

「わっ、わあっ!!??」

思いっきりベッドから落ちたであります;;
あのですね…箱の中身は…

「なっ、何でありますか!?これはっ!!??」

何かの動物の骨が入ってました;;
そして同封のメモには赤いインクで『許すまじヘルマ・レンナルツ』と。
………どんだけ恨んでるんですか!?私を!!


風邪だから仕事を休む、
しかし休んではならない。
では風邪を二の次にして良いものなのか…?
それを痛感した出来事でありました…。


【おわれ】

277 名前:mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/01/30(日) 21:29:56 ID:axU7Gq0w
>>276 Hwd8/SPp様
GJです。姫も取り巻きもなんか怖いですw


こんばんは、mxTTnzhmでございます。
保管庫No.1474「cherry and berry」
No.1475「cherry and berry II」の続きができましたので
投下します。
ではどうぞ。

278 名前:cherry and berry III 01/02:2011/01/30(日) 21:30:26 ID:axU7Gq0w
 もう幾つ夜が明け、朝を迎え、そして日が暮れたのか分からない。
 芳佳は目隠しを外して貰えないまま、ただサーニャにされるがまま、欲望の檻の中でもがいていた。
 欲望……。
 どちらの?と問われれば答えに困る。
 嫌がってもサーニャは迫ってくる。容赦なく、執拗に。そしてなすがままにされ……やがて墜ちる。
 不思議と、サーニャと共に過ごすうち、芳佳はサーニャのことだけを考えるようになった。
 501がどうだとか他の隊員がどうとか、そういうことは既に考えなくなり、ただ目の前にいる筈の、
 サーニャそのひとのことを想わずにはいられない。
 そんな芳佳は、今日もサーニャから“おやつ”を食べさせられ、間もなく淫靡な“遊び”へと導かれる。

 はあ、はあ、と荒い息をつく。またもサーニャの責めに耐えきれず身体が悲鳴を上げた。
「芳佳ちゃん、どんどん敏感になっていくのね。嬉しい」
「サーニャちゃん……ずるいよ」
 サーニャは芳佳の股からたらりとたれる愛液を拭い、指でにちゃっと言わせてみせた。
「芳佳ちゃんは私だけのものだから」
「サーニャちゃん……」
 唇の端からたれる涎も気にせず、サーニャは芳佳の唇を塞いだ。

「サーニャちゃん……お願いがあるの」
 芳佳は、サーニャの声がする方を向いて懇願した。
「なあに?」
「あのね。目隠しを、外して欲しいの」
「もう何日も、何も見てないから……もう何も見えないかもしれないけど」
 えっ、と思わず声を上げた芳佳に、サーニャは悪戯っぽく笑いかけた。
「冗談。外せば見えると思うけど……ここはそんなに明るい場所じゃないから」
 それにね、とサーニャは芳佳に言った。
「芳佳ちゃんには見て欲しくないものもあるから」
「それってどんな?」
「内緒」
「……ならいいけど。サーニャちゃん」
「どうしたの芳佳ちゃん。おなかすいた?喉渇いた?」
「そうじゃなくて。サーニャちゃんのことが気になるの。というか、心配」
「私のことを心配してくれるの?嬉しい」
 サーニャは芳佳の頬を、慈しむようにそっとなぞり、それから子供をあやすように優しく唇を落とす。
「でも、芳佳ちゃんがそんなこと考える必要なんてないよ。
 私のそばにずっといてくれるだけでいいの。ずっとずーっと……」
「でも、知りたいの」
 目隠しをされ、腕を拘束されたまま、そして何も抵抗出来ない筈なのに、サーニャの方を向いて喋る芳佳を見て、
 サーニャは僅かな苛立ちを覚える。
「どうしてかな……」
 サーニャは何か考えあぐねている様だった。しばしの沈黙の末、口を開いた。
「芳佳ちゃんは、そういうところ、強いよね。羨ましい。扶桑の魔女だから?」
「それは、関係ないと思う」
 芳佳はサーニャの方を向いたまま、喋った。
「サーニャちゃんが心配なの。だから」
「だから?」
「少し、腕の紐を緩めて欲しいの」
 芳佳の腕は時にベッド、時に天井からたれる紐と、常にどこかしらに結ばれていた。
 サーニャは芳佳を試す意味も込めて、無言で芳佳の戒めを解いた。勿論、まだ緩めに紐で結んではいるが。
「ああ……腕が自由になるっていいね……ちょっと関節が鳴ってる」
 芳佳は腕をぐるりと回し、自由になった両手を自分の感触で確かめる。
「芳佳ちゃん、それだけ?」
 呆れた様なサーニャの物言いに、芳佳は違うよ、と言葉を掛けた。
「私、サーニャちゃんにされてばっかり。今度は、私がしてあげたい」
「どうして?芳佳ちゃんは私のものなのに」
「だからこそ、サーニャちゃんのこともっと知りたい」
 芳佳はサーニャの声のする方へにじり寄った。思わず身を退くサーニャ。
 しかし芳佳がサーニャの身体に触れる方が早かった。脇腹と思しき部位に触れる。
「つかまえた……やっと、サーニャちゃんに触れた」
 嬉しい、と芳佳は呟いた。目隠しの部分から、涙が一筋流れる。
「どうして泣くの」
「だって、サーニャちゃんが私のものなら、サーニャちゃんを心配しないでどうするの?」
「意味が分からないよ、芳佳ちゃん」
「私、サーニャちゃんに色々されて、最初はすごく怖かったの。このままじゃいけないってあれこれ考えてた。
 でもサーニャちゃんとのことも、ずっと考えちゃってた。それで気付いたの。
 このままじゃいけないのは、私自身の方だって。私の考えが正しいなら……」

279 名前:cherry and berry III 02/02:2011/01/30(日) 21:30:48 ID:axU7Gq0w
「随分勝手な物言いなのね、芳佳ちゃん」
 サーニャに構わず、ずいと迫る芳佳。
「サーニャちゃんと、一緒に……」
「? ……ひゃうっ!」
 芳佳はサーニャの身体をまさぐった。ただむやみに触ったのではなく、どこがサーニャのどの部位なのか、触覚で確かめるために。
「いやっ、芳佳ちゃん……」
「だめ……逃げないでサーニャちゃん」
 芳佳はサーニャを片手で抱きしめると、指をつつっと伸ばし、サーニャの太股に触れ、そのままの勢いで付け根の……敏感な場所へと指を絡めた。
「あっ……いやあ……」
「サーニャちゃんも、私と一緒に……」
 サーニャの秘蜜の場所をくちゅくちゅといじくる。既に湿り、汁が溢れていることに気付く。
「サーニャちゃんも、我慢してたの?」
「ち、ちがっ……」
「サーニャちゃんが教えてくれたこと、私もしてあげたい」
 芳佳は脇腹から肋骨の端を舐め、つつっと迷走し、最後、胸の膨らみに到達する。ちゅっと吸い口を付け、
 柔らかな乳房を味わう。
「芳佳ちゃん……いつの間に、こんなこと覚えたの」
「全部今までにサーニャちゃんから教わったんだよ」
「いやっ……あふっ……んっ……」
 芳佳はサーニャの胸と股の二カ所を同時に触り、サーニャが芳佳にしたのと同じことをする。
 ただ、単なる仕返しとか憎悪由来のものではなく、優しさに溢れている。
 それはサーニャの身体を受け止める腕が、サーニャを触る手が、乱暴でなくとてもソフトで……
 肩を掴んで押し返そうとしていたはずのサーニャの両腕は今や芳佳の身体をきつく抱き寄せている。
 このまま身を委ねてなすがままにされたいような、不思議な気分───。
 それは、芳佳の体だけでなく心も、言葉も、何もかもを手に入れたという高揚感だった。
 全身を包み込む体温を強く実感し、胸の奥深くに渦巻く独占欲が僅かに笑みとなって浮かぶ。
 しかし、それだけではサーニャは良しとしなかった。
 おもむろに芳佳の身体に手を伸ばし、お尻をじわじわと揉む。
「んあっ……サーニャちゃん……」
「私も……一緒に……芳佳ちゃんと、一緒に。いいでしょ?」
「サーニャちゃん……ああっ」
「芳佳ちゃん、お尻弱いもんね」
 サーニャは慣れた手つきで芳佳のアナルに指を一本すっと入れ、くるっとかき回す。
 びくっと身体が震え、穴がきゅっと反射的に締まる。
「こっちも……もうぐしょぐしょ」
 サーニャは芳佳のヴァギナを触った。ズボン越しに滴る、芳佳の滴。
「あ……わ、わ、私だって……負けないんだから」
「んっ……芳佳ちゃん、上手……ふわあああっ」
 お互いの衝動をこれでもかという程に突きつけ迸らせる。
 一層激しく昂ぶる二人の身体。どちらからともなく、ヴァギナを合わせてぐいぐいとこすり合わせる。
 溢れ出る愛液は混じり合い、ぽたぽたとベッドに落ちて染みを幾つも作る。
「あっ……いく……芳佳ちゃん……もう……!」
「はあっ……あぁ…サーニャちゃん……私、だめ……!」 
 やがて……。
 二人は同時に悲鳴を上げ、びくびくと身体を痙攣させた。

 足を、腕を絡ませたまま、二人はベッドの上で抱き合い、横になる。
 二人は満ち足りた二人だけの空間で、お互いをじっくりと味わう。
 お互いの肌を感じ、汗を感じ……。互いの腕の中で気持ちを通じ合わせる。
「ねえ、芳佳ちゃん」
「サーニャちゃん、どうしたの?」
「やっぱり、芳佳ちゃんは素敵。私が見えないのに、私の思いが分かるなんて」
「サーニャちゃん……」
 言いかけた所で、サーニャに唇を塞がれる。
 しばしの沈黙。ゆっくり唇を離すと、涎が一筋の滴となって糸を引き落ちた。
 ふふ、とサーニャは芳佳の頬を撫でる。その瞳はもう、あの凍てつくような昏い色を湛えてはいない。
 ただ優しく、深く。満たされた者の慈愛に溢れて───
「芳佳ちゃんは一生私のものなの。だから、目隠しも取ってあげない。いい?」
 サーニャは笑った。その笑顔に宿ったものが、芳佳の瞳に映ることはなかった。

end

280 名前:名無しさん:2011/01/30(日) 21:31:02 ID:axU7Gq0w
以上です。
芳ーニャも良いよね! と言う事でひとつ。
ではまた〜。

281 名前:MigJ7:2011/01/31(月) 05:11:23 ID:CEtC1kJw
初めまして、MigJ7と申します。
以前から保管庫の小説を楽しませていただいていた者の1人なのですが、この度一念発起して自分でも一つ書いてみました。
未熟ゆえにうまくまとめきれず5400字程になってしまったのですが、3回ほどに分割して投稿しても大丈夫でしょうか?

282 名前:名無しさん:2011/01/31(月) 05:56:19 ID:AG4yWnTM
>>281
断り入れず投下して大丈夫だよ

283 名前:名無しさん:2011/01/31(月) 07:52:35 ID:fdD/beS6
どんどん投下おねがいしま〜す!

284 名前:名無しさん:2011/01/31(月) 09:24:34 ID:5MOhjuro
>>281
酉つけたほうがいいぜ

285 名前:MigJ7:2011/01/31(月) 22:01:07 ID:CEtC1kJw
酉って何のことなのでしょうか?
無知ですいません><

286 名前:名無しさん:2011/01/31(月) 22:11:31 ID:Kf5ijiwM
>>285
酉=トリップのこと
ここを参照にしてみるといいよ。
ttp://wstring.pos.to/guide/index.html#trip

#の後ろに半角で8字入力

287 名前:MigJ7 ◆KqppoLuL6I:2011/02/01(火) 06:04:29 ID:NGttFEGY
>>286
説明ありがとうございます。

では投稿させていただこうと思います。
タイトルは「信じあえる人」
アニメ2期6話、「空より高く」を自分の好みで改変したものになります。
初投稿なので至らぬ点も多いとは思いますが、ご容赦ください。

288 名前:MigJ7 ◆KqppoLuL6I:2011/02/01(火) 06:06:09 ID:NGttFEGY
ある日の夕方。私はいつも通り起きて出撃の準備をする。普段と違うことといえば、いつもは騒がしい基地の中がやけに寂しいことぐらい。ミーナ中佐に理由を尋ねたら、ネウロイが出現したからみんな出撃しているけど、今無事に帰ってきているところだと教えてくれた。なので、私はいつも通りの自分の任務のために出撃することにした。今出撃すれば帰ってくるみんなと会えると思ったから。


出撃して少し経ったころ、魔道針でみんなの声をとらえることができた。

「シールドなんかに頼っている奴は、私に言わせりゃ二流ダナ」
この声の主はエイラ。この基地に来たばかりの時、どうしたらいいのかわからなかった私に手を差し伸べてくれた人。

「そんな〜。私はシールドだけが取り柄だって言われているのに〜。」
 この声の主は芳佳ちゃん。エイラと私だけの閉鎖的なつながりに踏み込み、広げてくれた人。
二人は私にとってとても大切な人なのだけれど、エイラはいつも芳佳ちゃんをからかって遊んでいる。でも私は二人には仲好くしてもらいたいから、私はエイラを諌めることにする。

「そんな言い方をしたらだめよ、エイラ。おかえりなさい、みんな。」
「サーニャ!」
「サーニャちゃん!そうか・・・これから夜間哨戒なんだ。」
そう。私はこれからいつも通り夜間哨戒の任務に出発するはずだったんだけど・・・

「待て、サーニャ。今夜はいい。一緒に基地に戻れ。」
坂本少佐のこの一言で、私のいつも通りは終わりを告げた。


 その夜のブリーフィングで坂本少佐がなぜ私を行かせなかったのかが分かった。
今回のネウロイのコアは高度33333mという超高高度にあるのだという。そこは魔法がなければ一瞬で死に至るような世界だけど、私のフリーガーハマーならその厳しい条件下でも広範囲を攻撃できる。だから私がそこまで行って、そのネウロイを撃墜することになった。たしかにその案は正しいと思う。でも気がかりなのは・・・

「はいはいはいっ!だったら私も行く!」
やっぱり。私の横に座っていたエイラが手を挙げてアピールしている。
エイラはいつもそう。さっきだって私が夜間哨戒では一人で戦うこともあるということを芳佳ちゃんに自慢げに話していたのに、実際には私が一人で行動することをよしとしない。心配してくれるのは嬉しいのだけど、その振る舞いはなんだか母親が幼い子供を見ているような感じがして、私は少し不満だった。

私がそんな相反する二つの感情を抱いていると、坂本少佐が口を開いた。
「時にエイラ。お前、シールドを張ったことはあるか?」
坂本少佐の問いかけ、それは普通なら聞くまでもないこと。だってシールドは私たちの身をネウロイのレーザーから守ってくれる、ウィッチにとっては命綱のようなものだから。でも彼女にとっては・・・

「シールド?自慢じゃないけど、私は実戦でシールドを張ったことなんて一度もないぞ。」
やっぱり。固有魔法によって未来予知ができる彼女にとって、攻撃とは“避けるもの”であって“防ぐもの”ではないのだろう。彼女もそれを自慢げに言い放ったのだけど・・・

「なら無理だ。」
「そうね。こればかりは・・・。」
「え?」

坂本少佐とミーナ中佐によってエイラの希望はあっさり却下されてしまった。理由は、高度3万mでの戦闘では、誰かがシールドで私を守る必要があるから。なので、隊で一番強いシールドを張れる芳佳ちゃんが私と一緒に飛ぶことになった。エイラは悔しそうにして芳佳ちゃんに対して唸っていたけど、私は彼女に、私と芳佳ちゃんのことを信じて待っていて欲しかった。


翌日、私もエイラも気持ちが不安定だったからかもしれない。私は、いつもからかっているペリーヌさんの手を借りてまでシールドの特訓をしているエイラを励ましたかった。なのに、エイラはできないから諦めると言い出して、私がそれを止めようとしたら・・・

「じゃあ最初からできる宮藤に守ってもらえばいいだろ!」
どこか投げやりで人任せなエイラの言葉は私の心に響き、これまで私がエイラに対して心の中で築いてきた何かを壊してしまったような気がした。そのせいか、気づくと口が、体が、勝手に動いていた。

「エイラのバカ!」
「サーニャのわからずや!」
エイラも言い返してきたけれど、私はそれをろくに聞きもせずに彼女に手に持っていた枕を投げつけ、部屋から走り出てしまった。

289 名前:MigJ7 ◆KqppoLuL6I:2011/02/01(火) 06:14:00 ID:NGttFEGY


部屋を出た後しばらく走って少し冷静になれた私は、近くに魔力反応があるのを感じた。間違いようのない、“あの人”の魔力を。彼女が何をしているのか気になったのと、さっきあったことを忘れたくて、私は様子を見に行ってみることにした。


「芳佳ちゃん、何をしているの?」
「あ、サーニャちゃん。何って・・・今から訓練に行くところだけど。」
 私はがむしゃらに走っているうちに、気づけばハンガーまで来てしまっていたらしい。そこには発進準備をしている芳佳ちゃん、坂本少佐、バルクホルン大尉の姿があった。

「でも、芳佳ちゃん今日はお休みのはずじゃないの?」
そう。今日は訓練がないはず。それにもしあったとしても、芳佳ちゃん一人に坂本少佐とバルクホルン大尉がつくような厳しい訓練は聞いたことがない。

「それは・・・その・・・」
芳佳ちゃんは何やらモジモジして言いづらそうにしている。すると坂本少佐が普段と変わらない大きな声で話し始めた。
「ああ、宮藤に特別訓練を頼まれてな。サーニャのことを絶対に守りきりたいんだそうだ。よかったな、サーニャ。はっはっは。」
「ちょっと坂本さん。なんで言っちゃうんですか〜。」
「まあ細かいことは気にするな。」

そんな二人の会話を聞いてると、私も楽しい気持ちになってくる。でも、まだ疑問はある。
「芳佳ちゃんはあれだけ強力なシールドを張れるんだから、訓練なんていらないんじゃ・・・。」
そんな私のつぶやきを聞き逃さなかったらしく、今度はバルクホルン大尉が答えてくれた。
「宮藤は今回のような超高高度での戦闘経験がないからな。生命維持の方法やその状況での戦い方を事前に練習しておきたいそうなんだ。」

「芳佳ちゃんそうなの?」
「うん・・・。今回の任務で私にできることは、サーニャちゃんがネウロイを撃破してくれることを信じてシールドを張ることだけ。だから、そのためにできる限りのことをして、サーニャちゃんが不安なく戦えるようにしたいの!」
カッコつけすぎかな私、と芳佳ちゃんは照れているけど、私にとっては彼女の私を信じるという言葉がとても嬉しくて・・・私の口からも気づけば言葉がでていた。

「なら私も芳佳ちゃんを信じて、そして芳佳ちゃんから信じてもらえるように頑張ります。だから坂本少佐、バルクホルン大尉、私にも特訓をお願いします。」
 芳佳ちゃんはちょっと驚いた顔をしたけど、すぐに私の手を取ってこう言ってくれた。
「サーニャちゃん・・・。一緒に頑張ろうね!」
「うん!」

こうして私たち二人は、そのあとみっちりと特訓をしてもらった。昼に特訓をすることなんて久しぶりだったし、まして芳佳ちゃんと二人での特訓なんて初めてだったけど、私にとってそれはとても清々しく感じられた。


夕方まで実際に飛行して、夕食の後、注意事項をもう一度おさらいしてから特訓は終わった。最後には坂本少佐やバルクホルン大尉も誉めてくれたので私が充実感に浸っていたら、芳佳ちゃんが私をお風呂に誘ってくれた。

疲れた体には温かいお湯が心地よくて、いつも入っているサウナとはまた違った良さがあるなと考えていると、いつも一緒にサウナに入っている人のことを、そしてその人と喧嘩をしてしまったことを思い出してしまった。そのせいで無意識のうちに顔色が曇ってしまったみたいで、それに気づいた彼女が訪ねてくる。

「サーニャちゃんどうかしたの?」
「それは・・・」
喧嘩の原因に彼女が絡んでいるので、できれば彼女には話したくない。けれど、せっかく信じあおうとしている相手に嘘をつきたくもないという思いもあって、私は口籠ってしまう。どうしたらいいのか困っていたら、思わぬところから助け船が来た。

「うりゃりゃりゃりゃ〜〜〜。」
「きゃああああ!ル、ルッキーニちゃん。何をしてるの。」
「う〜ん。やっぱり残念〜。」
「残念って何よ〜。」

どこからともなく現れたルッキーニちゃんが、芳佳ちゃんの後ろから彼女の胸を揉んでその一言。おかげで二人の追いかけっこが始まってしまった。彼女の注意がそちらに逸れたので答えずに済んだけど・・・それでもエイラとのことが頭から離れなくて、私はまた考え込んでしまう。すると今度は私の隣に入ってくる人がいた。

「ルッキーニ。風呂で転んだら危ないから走んなよ〜。おっと隣失礼。」
そう言いながら入ってきたのはシャーリーさん。私が彼女の体にちょっと見とれていると、彼女が口を開いた。

290 名前:MigJ7 ◆KqppoLuL6I:2011/02/01(火) 06:15:43 ID:NGttFEGY

「聞いていいことかわからないけど・・・エイラと何かあったのか?」
「それは・・・」
「いや夕飯のときに二人の様子がおかしかったから気になってな。よければ話してくれないか?」
走るのをやめた芳佳ちゃんとルッキーニちゃんは、今度は水の掛け合いをしていて、こっちには気を止めていないし、他にお風呂に入っている人もいない。それにシャーリーさんなら力になってくれそうな気がしたので、私は全てを話すことにした。


「成程なあ。」
私が全てを説明すると、シャーリーさんは納得したような声をあげた。
「私、どうしたらいいんでしょうか。」
「う〜ん・・・。難しいところだけど、自分の気持ちを信じてまっすぐ振り返らずに進めば、きっと答えは見つかるんじゃないか。」
「あ、ありがとうございます。」
自分の気持ち・・・私は・・・私は・・・。

考えてもうまく答えはでなくて、気づけば私は少しのぼせてしまったみたいで、お風呂から出た後芳佳ちゃんと話しながら歩いていたこともあってか、気づけば私は芳佳ちゃんの部屋まで来てしまっていた。
自分の部屋に戻らないといけないのは分かっているんだけど、まだエイラと顔を合わせる勇気が私にはない。それに久しぶりの激しい特訓で疲れたのもあってか、私は芳佳ちゃんのベッドに横になってしまう。

「あ・・・」
彼女は少し驚いた表情をしたけれど
「今日だけは・・・いいよね。」
そういいながら私の横に寝そべると、もう私が眠っていると思ったのか小さな声で話しかけてきた。
「私たちならきっとできるから。一緒に頑張ろうね、サーニャちゃん。」

緊張が隠し切れていない彼女の声。でもその言葉のおかげで、私は自分の気持ちを確認できた。自分を信じてくれるこの人のために、全力を尽くしてこの任務を成功させたい、と。そんな決意を胸に秘めて、私たちは一緒に眠りについた。


そんな中迎えた作戦当日。高度33333mに到達するために、私たちは3段重ねの塔のような隊形をとっていた。1番上が突撃班の私と芳佳ちゃん。その下にエイラを含む第2打ち上げ班。さらにその下に第1打ち上げ班がいて、下から順にストライカーに点火、それぞれが限界まで飛行しては離脱を繰り返す計画だ。

打ち上げは順調に進み、まず第1打ち上げ班が離脱。続いて第2打ち上げ班も離脱して、いよいよ私と芳佳ちゃんがストライカーに点火した。今回の作戦のための特別装備、ロケットブースターが生み出す騒音で、周りの音が聞き取りづらい。でも私はシャーリーさんに言われたとおり、まっすぐ振り返らずに高度33333mまで上昇していった。


目標高度に到達したときには、私たちは魔道針を使わずともネウロイを確認できた。ここは本来生命の存在しない死の空間だから。それはネウロイも同じらしく、すぐに私たちに攻撃をしかけてきた。強力なレーザーが何本も向かってくるのが見える。でも私はそれを恐れたりしない。

「任せて!」
空気のないこの空間では言葉が聞こえるはずがないのだけど、私には芳佳ちゃんがそう言ったような気がした。その直後、彼女が張ったシールドは、この空間でも何の問題もなく機能し、レーザーを受け止めてくれる。彼女は攻撃が途切れた一瞬のタイミングを見計らってシールドを解除、私はそれと同時にフリーガーハマーでネウロイを攻撃する。言葉を交わせなくても、彼女を信じて私は動く。彼女もそれに応えてくれる。そして・・・

私が放った弾丸はネウロイにすべて命中、ネウロイは爆炎に包まれた。芳佳ちゃんが笑いかけてきたけど、私はあるものに気づいて慌てて彼女の手を握り締める。

私が気付いたもの。それは倒したと思ったネウロイの先端部分。コアとその周りの僅かな部分のみが切り離されたそれは、爆風を利用して一気にこちらに接近してきていた。これはまずい、フリーガーハマーの弱点である近接戦闘に持ち込まれてしまった。今攻撃すれば、強力すぎる爆風は自分をも巻き込んでしまう。予想外の事態に私はパニックに陥りそうになる。けどそんな私の手を、芳佳ちゃんは強く握り返してくれた。それだけで私は冷静になれた。そして彼女が言いたいことも分かったから・・・私はフリーガーハマーをネウロイに向け、躊躇なく引き金を引いた。

命中と同時に途方もない爆風とネウロイの破片が向かってくる。でも私たちの手が離れることはなくて・・・彼女が張った巨大なシールドは全てを防いでくれていた。

291 名前:MigJ7 ◆KqppoLuL6I:2011/02/01(火) 06:20:53 ID:NGttFEGY


今度こそ戦闘が完全に終わったことを確認して、私たちは笑いあい、基地へ帰還しようとしていた。その時、私の目に映ったものがあった。

「芳佳ちゃん。あれがオラーシャよ。」
そう。それはネウロイに占領されてしまった私の故郷。
「あれがウラルの山。あの向こうのどこかに私の家族がいるの。」
 今すぐにでもあそこに飛んでいきたい。私がそう考えていると・・・
「取り返そう!」
「え?」
唐突な彼女の言葉に思わず聞き返してしまう。
「絶対にこの戦いに勝って、平和な日常を取り返そう。そうすればきっと、サーニャちゃんも家族に会えるよ。そのために私頑張るから!」

 人のために戦いたい、そんな彼女の純粋な言葉に、私はさっき思ったことを心にしまうことにした。彼女の願いを叶えたい、そしてそれを叶えることは、きっと私の願いを叶えることでもあると思ったから。
私は目に浮かんでいた涙を拭って彼女に応えた。
「うん。頑張ろう!」

そうしてネウロイと戦う新たな決意を胸に、私たちは基地へと帰って行った。

〜end〜

以上になります。
一応この後のことも少し考えはしたのですが、エイラの扱い方しだいでいろいろと分岐しそうだったもので・・・
アニメとほぼ同じタイミングで一旦endとさせていただきます。
それでは失礼します。

292 名前:名無しさん:2011/02/01(火) 10:39:10 ID:c7C53/pA
>>287
GJです、こういうのいいな〜
俺も自分好みにした話とか書いてみたい

293 名前:名無しさん:2011/02/01(火) 14:38:25 ID:Nm7GbxQQ
>>291
GJ!こういうifストーリーもイイネ!
芳ーニャ最高です。

294 名前:名無しさん:2011/02/02(水) 12:09:54 ID:E2aImN0g
こんにちは、LWqeWTRGです。
とある方から学園ネタを、と言われたのでとてつもなく短い小ネタを落として逃げたいと思います。



「あの、ごめんなさい…」
「いいっていいって。気にすんなよなー」

私はさっきまでの自分を思い出して自己嫌悪に陥っていた。
登校中に憧れのあの人とたまたま会って、一緒に自分たちの教室へ向かって歩いていた時のこと。
あの人と話すのに夢中になっていた私は階段を踏み外してしまい、足を挫いてしまった。
転び落ちそうになった体は抱き留めてもらったり、挫いた足のことを気遣っておんぶをしてもらったり……。

そう、おんぶだ。
お話だけでも十分嬉しくてドキドキしていたというのに。こんなにくっつい――。

「ほら、ちゃんとつかまって」
「え!? あ……はい…」

はう。心臓がすごくドキドキいってる……。
聞こえてないかな? ううん、きっと聞こえてる。
それでもいい、かな。
あなたを想う私の気持ちが少しでも伝わらないかな、なんて。

295 名前:名無しさん:2011/02/02(水) 12:11:07 ID:E2aImN0g
いい匂い…。そしてとってもあったかい……。
あなたはいつもあたたかくて。ぽかぽかと私を包み込んでくれる。
あなたが私を気にかけてくれて。私はあなたを目で追うようになって。

ううん。
きっと、初めて会ったあの時から、ずっと

…大好き。



「あっ、あのさっ!」
「は、はい!」
「わた、私も…その……」
「…?」
「す、す……」
「す?」
「す、う、ああああああああああああ!!!」
「ふぇ!?」
「今日も一緒に帰ろうな! な!?」
「は、はい! …えっ!?」
「あー…だめ…?」
「いえ! あの、嬉しいです!」
「へへ…。じゃあ、決まりな!」
「はいっ!」



END

――――――
以上です。
まだ出会って数週間くらいのえいらにゃでしょうか。
タイトルは「せなかのうえで」です。
でもこれ学園あんまり関係なゲフンゲフン……。

それでは失礼します。

296 名前:名無しさん:2011/02/02(水) 12:46:23 ID:5QBfN4jo
>>295
甘々GJ!これは良いエイラーニャ。

297 名前:名無しさん:2011/02/03(木) 19:46:22 ID:d/ewVbTU
http://i.imgur.com/7Mfp8.jpg
誰かこの画像についてkwskお願いします

298 名前:mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/02/03(木) 19:54:17 ID:nJNyZwMY
>>291 MigJ7 ◆KqppoLuL6様
GJ! アナザーストーリーと言うか、if話も良いですよね!
芳ーニャ良かったです!

>>295 LWqeWTRG様
GJ! ほんわかエイラーニャご馳走様です。
エイラーニャは何故こうも安心できるのか……。

>>297
エイラーニャ結婚みたいですね。どっかの雑誌ですかね?
お姉ちゃんが神父さん役ってのは、元キャラの人を考えると納得。


こんばんは、mxTTnzhmでございます。
ひとつ思い付いたネタを、ざざっと文章化してみました。
ではどうぞ。

299 名前:marriage blue 01/02:2011/02/03(木) 19:54:45 ID:nJNyZwMY
「へえ、リーネちゃんのお姉さん、結婚したんだ」
「うん……私も話聞いてびっくりしちゃった。突然なんだもん」
「そっかあ。結婚かあ……」
「どうしたの芳佳ちゃん?」
「私達もいずれするのかなと思って」
「えっ、私と? そ、そんな無理だよ……法律的に」

「と言う訳で、私達、将来の結婚のために訓練する事にしました」
「お前も唐突だな宮藤」
「ウジャー とうとつー」
「シャーリーさんとルッキーニちゃんも居るから、ちょうど良いです。ここはみんなで訓練です」
「結婚の訓練って、何をどう訓練すりゃいいのさ」
「例えば料理に家事全般に……」
「ギニャー いやーだー! めんどくさーい!」
「まったく宮藤さんと来たら、いつも計画性が無いのですから……」
「甘いですよペリーヌさん。そう言われるかと思って、きちんと準備してあります」
「? 準備って何を?」
「おー、全員居たか。お前達何をやって……」
「噂をすれば坂本さん! お願いしますっ! 私達の訓練相手になって下さいっ!」
「何っ!? 何の訓練だ? 訓練と言えば朝にやった走り込みや腕立て、剣の素振り……」
「違います坂本さん。これは坂本さんにしか出来ない事なんです。一生に一度の私のお願いを聞いて下さい」
「な、なんかヤケに必死だな宮藤。どうした?」

「と言う訳で準備できましたー。どうです凛々しいでしょう坂本さん」
「何も男物のズボンを用意しなくても良いだろう宮藤。足の感覚が妙だぞ。太股に布が当たってすれる……」
「まずは形からです。雰囲気です」
「宮藤さん貴方! 少佐で何遊んでらして!?」
「ペリーヌさん、何で少佐を直視しないんです?」
「坂本さんはいつも通りで良いんですよ。じゃあ、まずはペリーヌさんから」
「へっ? なぜわたくしが最初に?」
「ささ、どうぞ。ガリアの淑女の魅力をばばーんと。さあ、坂本さんの横に」
「え? ……わたくし、横にと言われましても、一体何をすれば?」
「私も何をすれば良いのかさっぱり分からんぞ宮藤。記念撮影でもするのか」
「坂本さんはいつも通りで良いんです。何でしたらこれをどうぞ」
「何だこの瓶は?」
「あの、少佐……?」
「さあ、ぐいっと」
「毒じゃないだろうな」
「上官に毒盛るウィッチなんていません」
「まあ、そうか。では貰おう」

「あの、少佐? 何故お黙りになるのです? わたくし、何かいけない事でも」
「ふっ……」
「少佐、なぜ、お笑いになるのです? わたくし、何か問題でも」
「ペリーヌは優しいな」
「えっ……いえ、そんな事は」
「そして可愛いな」
「ちょっ……少佐……顔が近すぎます……ああっ」
「ウギャー ペリーヌが倒れた」
「耳元にキスされたら、普通はああなるわな」
「ルッキーニ、来い! 私と遊ぶか!?」
「へっ? 少佐いきなりどしたの?」
「ならば私から行くぞ、ルッキーニ! わはははは!」
「ギャー 少佐がぁー タスケテー」
「ちょっ、少佐? ルッキーニが……嗚呼」
「ふむ、シャーリーはルッキーニが心配なのか」
「そうやってさりげなくあたしを抱き寄せるの止めて貰えませんか少佐」
「流石部隊一だけ有るな! 魅力的だぞシャーリー!」
「誉めてるんだか単に酔っぱらってるだけなのか……宮藤、少佐に何飲ませたんだ」
「ウォッカを」
「おい! 一番きっついやつじゃないか! どっから持ってきた?」
「サーニャちゃんの部屋から」
「何でサーニャがこんなもの持ってるんだ」
「戦車の燃料代わりになるみたいですよ」
「誰が戦車使うんだよ」

300 名前:marriage blue 02/02:2011/02/03(木) 19:55:05 ID:nJNyZwMY
「ふむ、大きさもかたちも世界一だなシャーリー」
「ちょっ! さりげなく上着脱がさないで下さいよ! 何してるんですか少佐!」
「ここにちゅー」
「うはっ……あっ……。ちょっとやめて下さいって、みんな見てるじゃないですか」
「照れるなシャーリー。私の命令が聞けないのか」
「そもそも何も命令されてませんて」
「じゃあシャーリーの胸は私のものだぁー」
「いやーだー! シャーリーはあたしのだもん!」
「良いだろうルッキーニ、勝負だ!」
「二人とも、あたしで争うのやめてくれ!」
「わあ、なんかシャーリーさんが悲劇のヒロインみたいに」
「ちょっと違うと思う、芳佳ちゃん……」
「そうかな?」
「それに芳佳ちゃん……。少佐、おかしくない?」
「飲んだらいつもあんな感じだよ、リーネちゃん」
「飲んだらって……」
「貴方達、騒がしいと思ったら一体何を……ッッッ!!!」
「あ、ミーナ中佐」
「ミーナ中佐、入って来るなり鼻押さえてどうしたんです? なんか鼻血出てるみたいな……」
「そんな服で居るなんて、卑怯よ美緒ッ!」
「お酒飲んでないのにミーナ中佐もおかしくなってきたね」
「どうしよう芳佳ちゃん」
「おお、ミーナ。いま乳比べをしてたのだ」
「……は? 乳?」
「シャーリーが一番なのは認めるところだが、なかなかリーネも……」
「いやあ助けて!」
「坂本さん、リーネちゃん離して下さい!」
「美緒、貴方一体何やってるのよ! リーネさんから離れなさい!」
「私の魔眼は誤魔化せんぞリーネ、また成長したな!」
「なっなんで知ってるんですか!?」
「え、そこ芳佳ちゃんが驚くところ?」
「止めなさい坂本少佐。これ以上の騒動は許しません」
「じゃあミーナも騒動に加わればいいじゃないか」
「何馬鹿な事言ってるの……え? 美緒、何を!?」
「うーむ。ミーナもなかなか素敵な……」
「やめーてー美緒ー! 皆が見てるわっ」
「大丈夫だ、この前みたいに唇にはしないから」
「!!! やっぱりあれ覚えてたのねっ! 酷いッ酷いわ!」
「じゃー、ほっぺにチュー」
「……あ、ミーナ中佐が倒れた」
「おい、犠牲者が増えたぞ!」
「どうしようリーネちゃん」
「うう……私お嫁に行けない」
「大丈夫、私がお嫁さんになってあげる」
「えっ?」
「ウジャー どうするシャーリー……」
「こう言う時に限って、バルクホルン達は何してるんだ、それにエイラとサーニャも?」
「部屋から出てこないし『呼び出し厳禁』とか部屋の扉に張り紙が……」
「あ、あいつら……」
「うわはははは、わしょーい烈風斬!」
「おい、所構わず何か斬り始めたぞ! 少佐やめてくれ!」
「だれかとめてー」
「芳佳ちゃん……」
「リーネちゃん……のおっぱ」
「えっ?」
「ううん何でもない、私幸せだよ?」
「有難う芳佳ちゃん」
「で、あの少佐どうすんだよ宮藤」
「それは、しりません」
「そりゃあたしの台詞だ」

end

301 名前:名無しさん:2011/02/03(木) 19:56:12 ID:nJNyZwMY
以上です。
「将来に備えて異性との交際を研究しよう」
と奮闘するも……という、
男が出ないけど男話題の百合という話……
のつもりだったのですが。
誰得な話ですね、すいません。

ではまた〜。

302 名前:名無しさん:2011/02/03(木) 20:11:29 ID:kek5J5xI
pixiv、Oh MARIA
エイラーニャいいよね
この人の作品好きだ

303 名前:名無しさん:2011/02/03(木) 20:17:23 ID:kek5J5xI
>>302>>297宛でした。投稿慣れてなくてごめんよ

作者様方いつも素敵なSSありがとうございます。
ひっそりROMってます。

304 名前:名無しさん:2011/02/04(金) 00:50:21 ID:bTqyY95s
>>294
わふーい、あなたのSS大好きです。これからめくるめく学園生活展開ですね。

>>300
>「なっなんで知ってるんですか!?」
>「え、そこ芳佳ちゃんが驚くところ?」
吹いたw

305 名前:Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/02/06(日) 00:16:06 ID:S5GIlh7Q
こんばんは、今さらながらトリップを付けました!Hwd8/SPpです。
エイラーニャ祭り実施中ですが…空気を読まず、502モノを投稿しますw
やはり自分、ギャグ作品以外は苦手です…('A`)
ではっ!


【noblesse oblige】

「さっ…寒みぃ…」
吐く息が白い。1月のある寒い夜、菅野は真っ暗な部屋の片隅で震えていた…。
菅野は地面がコンクリートで出来た独房のような場所に拘置されていたのだ。

それもそのはず、担当区域ではない場所へ応戦した…つまり『軍紀違反』を犯したのである。

コツコツコツ...

すると、遠くから足音が聞こえる…。

キイッ...

「…は、伯爵?」
「自分はカールスラント空軍第52戦闘航空団第6中隊所属、現第502統合戦闘航空団所属のヴァルトルート・クルピンスキー中尉!」

クルピンスキーが入って来たのだが、いつものおちゃらけた表情はどこかに封印し、いつもは見せない堅苦しい…まさに『軍人』の表情をしていた。

「…あぁ知ってるぜ」
「管野直枝中尉の身柄引き渡しに参りました!」
「…そうか」
「AKB48では断然、高橋みなみ派です!」
「知らねえよ!」
「良かったぁ…ナオちゃん、すっかり元気が無くなってるかなって思って」
「てか寒みぃよ…早く出してくれよ」
「それがさあ…今、ラル隊長とここに来たんだけどこっちの隊長さんと飲んで盛り上がっちゃってんだよねー」

すると菅野はベッドへもぐりこむ...

「…へ、ナオちゃん…もしかしてボクがそのベッドの中へ誘ってるのかい?」
「ちげーよバカ!ふて寝だ、ふて寝!」
「あらら…残念」
「…行かなくて良いのか?」
「どこにさ?」
「隊長んとこ」
「うーん…なんか管理職の愚痴を言いあってて、ボクが会話に入り込む余地がないんだよねー」
「なあ、一人にさせてくれないか」
「…どうしてさ?」
「一人になりたいんだって」
「…だが断る!ってね」
「はあ?」

するとクルピンスキーは地面にあぐらをかき始めると、

「あんまこうゆう話って好きじゃないんだけど…するね。本当はしたくないんだけれど」
「早く言えよ…」

菅野は顔を壁に向きながらそう発言する。

306 名前:Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/02/06(日) 00:16:38 ID:S5GIlh7Q
>>305の続き

「今回はさ…ナオちゃんの味方は出来ないよ」
「…は?」
「隊長だって熊さんだって、まずナオちゃんの心配をしてるんだよ?」
「わかってる…」
「お願いだからさ…心配させないであげてくれるかな?あ、ボクも人のこと言えないよね〜!あはは〜」

ドンッ!!!!

いきなり菅野は冷たい壁を殴った...

「…っ!!じゃあ今にも撃墜されそうな味方を見殺しにしろってのか??!!」
「はあ…別にボクはそんなことを言ったつもりじゃ」
「同じだ!!!!」
「手、大丈夫?今思いっきり壁を殴ったけど?」
「話を聞け!!答えろ!!!!」
「…ナオちゃん、今日の戦い方ヘンだったよ?あれじゃあいつネウロイにやられてもおかしくなかったよ」
「必死だったんだ!」
「良いことを教えてあげようか、前のボクの上司が言ってたんだけど…感情的になるなって」
「べっ、別に感情的になんか!」
「なってたさ!!!!」

突然クルピンスキーは声を上げたのだ。
普段、怒る姿を見たことのなかった菅野は体をこわばらせた…。

「ジョゼ君のサポートがなかったらストライカーの破損どころか、ナオちゃん自身危なかった!それをわかって言ってるのかい?!」
「うっ…うっせ…」
「ちょっと自惚れた部分があったんじゃないの?!自分の担当じゃない所へサポートして、カッコ良い所を見せようとして」
「そっ…そんなんじゃねえよ!!!!」

ベッドから飛び起き、いきなりクルピンスキーの胸倉を掴む菅野。
しかし、クルピンスキーはいつの間に笑っていた...

「…ふふっ…そんなワケないよね、ナオちゃんは」
「…はっ?」
「そんな計算高くないもんね?」

安心したのか、クルピンスキーの胸に顔を埋める。

「おやおや、今夜は積極的だねえ…ま、ボクは爆乳じゃないけど楽しんで」
「………」
「…ねえナオちゃん、悔しい?」

クルピンスキーは優しく髪を撫で始めた...
そして嗚咽をしながら泣き始めた菅野であった…。

「悔しい…っ!!ものすごく悔しいっ…!!」
「お〜よしよしよし………ボクらもね、すごく心配したんだよ?ジョゼ君があの時追いかけなかったら、死んでたんじゃないかってね」
「オレッ…謝るっ…みんなに謝るっ…!!」
「うんうん…あらあら、さっき壁殴ったからものすごく血が出てるよ?痛くないのかい?」
「痛い…」
「…この痛みがわかるってことはいつものナオちゃんだ」
「痛い…痛いよォ…」
「ちょっと待っててね、包帯を持って来るから」

307 名前:Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/02/06(日) 00:17:42 ID:S5GIlh7Q
>>306の続き















そして、夜が明ける。
菅野はスヤスヤとベッドで寝ており、クルピンスキーはその側に座りウトウトとしていた。
そして、拘置されている場所にラルがやって来た。

「…伯爵、菅野はどうだ?」
「あ、ラル隊長おはようございます」
「あぁ、おはよう」
「ナオちゃんは…元気です」
「そうか…今回ばかりはお灸を据えなければなと思ったんだが…」
「昨日ちゃんと調教…じゃない、説教したんで問題ないと思います」
「ほほぅ…ナンパじゃなくてか?」
「そりゃしましたがもちろんダメでしたよ」
「そうかそうか…っておい!」
「わ〜、ラル隊長ノリツッコミがウマ〜い!」
「…まっ、私がロスマンやサーシャに報告しとく」
「じゃあボクは先生と熊さんを頂きます」
「………」
「…あれ、ノッてくれないんですね;;ふあ〜…っ」
「寝てないのか?」
「えぇ、だってここ寒かったんですもん」
「お疲れ様、伯爵」
「いえいえ…。隊長、こんなこと聞いたことあります?」
「あん?」
「ガリアの言葉だそうなのですが、『noblesse oblige』って言葉を」
「ノッ…ノブ?…小栗旬?」
「ノーブレス・オブリージュです…意味は『高貴さは義務を強制する』…彼女こそホンットの伯爵なのかもしれない…」
「???」
「確かに彼女は間違ったことをした、でも人間としては正しいことのはずなのになあ…って」
「何が言いたいんだ?朝でまだアルコールが抜けきってないからわかりやすく言ってくれ…」
「…何でもないです。さっ、帰って先生と熊さんを食べようかなあ〜♪…ふあ〜っ」





―――『noblesse oblige』…やはり、彼女ほどの正義感を持つ者の然るべき行為だったとボクは考えている。



【END】


やはりハイテンション物以外は苦手です('A`)

308 名前:5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/02/08(火) 00:46:34 ID:9NkN7E/M
皆様、いつもGJです。
ちょっと来ない間に凄く賑わってますね。個々にレスできなくて申し訳ないです。
さて、今日はクリスの誕生日ということでクリス×トゥルーデで一本書いてみました。ではどうぞ

309 名前:Live in the present 1/1:2011/02/08(火) 00:48:45 ID:9NkN7E/M
――1947年2月、カールスラント東部カイザーベルク

「お姉ちゃん、ちょっと作り過ぎじゃない?」
「何を言う、今日は年に一度のお前の誕生日なんだぞ。これでもまだ足りないくらいだ」
「あはは……」

――お姉ちゃん達ウィッチの活躍で戦争が終わってから、もうすぐで一年。
あの戦争で失ったものは大きかったけど、今は大好きなお姉ちゃんと一緒に暮らすことができて毎日が幸せ。

「ふふっ、いい匂い……私には勿体ないくらい豪華な誕生会だよ」

今日、2月7日は私の誕生日。
テーブルの上にはお姉ちゃんが作ってくれた美味しそうな料理がいっぱい並べられている。
これ全部食べきれるかな。

「クリス」
お姉ちゃんがオーブンからケーキを取り出しながら、不意に私の名前を呼んできた。
「なに、お姉ちゃん?」
「お前にはずっと寂しい想いをさせてきたな……本当にすまなかった。でも、これからはずっと一緒だ。
誕生日だって毎年祝ってやれるし、夏になったらまた遠くまで遊びに行ける」
「うん……」
お姉ちゃんが優しく頬笑みながら私にそう言ってくれた。
お姉ちゃんの言葉はとても嬉しかったけど、その表情はどこか寂しげな感じがした。
私と長い間一緒にいれなかった事に責任を感じてるのかな。
「ダメだよ、お姉ちゃん。お姉ちゃんがそんな顔してたら、天国のお父さんやお母さんだってきっと寂しがるよ」
私はお姉ちゃんの手をぎゅっと握りしめながら言う。
「お姉ちゃんと離れていた時の事、寂しくなかったって言えば嘘になるけど私、それ以上に誇らしかったんだよ」
「誇らしかった?」
「うん。私の大好きなお姉ちゃんが世界の平和を守るために戦ってるウィッチだっていう事が誇らしくて嬉しかったんだ。
だから、お姉ちゃんが負い目を感じる事なんてないんだよ。それに、一緒にいれなかった分の時間だってこれからいくらでも取り戻せるよ」
気が付けば私はお姉ちゃんの事を抱きしめていた。
優しくて、暖かみのある私の大好きな感触。
「お、おいクリス……」
私がお姉ちゃんの胸に耳を当ててみると、胸の鼓動が激しく動いてるのが分かった。
ふふっ、お姉ちゃんったら顔真っ赤にしちゃって可愛いな。
「ケーキより先にお姉ちゃんを頂いちゃおっかな」
私が冗談混じりでそう呟くと、お姉ちゃんの顔は更に真っ赤になった。
「な!? お、お前はどこでそんな言葉を覚えたんだ!? さては、エーリカかクルピンスキーの入れ知恵だな?」
「えへへ、どうだろうね」

――もし、ネウロイが現れていなかったら、私は今より幸せな日常を過ごせてたのかな。
時々、そんな事を考える。でもいくら考えても、失ったものは戻ってこないんだ。
だから、私は振り返らないで前を見て、『今』を精一杯楽しもうと思う。
大好きなお姉ちゃんと一緒に。

「お姉ちゃん」
「な、何だ?」
「いつもありがとう」

私は日頃の感謝を込めてお姉ちゃんの唇にそっとキスをした。
お姉ちゃん、これからもずっと一緒にいようね。

〜Fin〜

―――――――

以上です。クリス、誕生日おめでとう!

310 名前:名無しさん:2011/02/08(火) 16:53:55 ID:LC5cdwLQ
>>307
GJ!!ギャグも素晴らしいですがこーいうちょいとシリアス気味なのもよかっですよ!それにしても伯爵かっけ〜!ナオちゃんは殴った拳の痛みがわかる子ですよ、きっと!!

311 名前:名無しさん:2011/02/08(火) 23:02:06 ID:dc/vB.Rg
>>309
GJです。平和な姉妹に和んだ。

312 名前:mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/02/09(水) 22:36:13 ID:9SeIvse2
>>305 Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA様
GJです。何だかんだでハイテンションなノリが良いですね。

>>309 5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2様
GJ! バルクホルン姉妹がステキ過ぎます。ほっこりします。


こんばんは、mxTTnzhmでございます。
軽く思い付いたネタを、ざざっと文章化してみました。
保管庫No.0450「ring」続編となります。
ではどうぞ。

313 名前:listless feelings:2011/02/09(水) 22:36:57 ID:9SeIvse2
 午後の薄日が差すミーティングルーム。
 誰も居なくなったその部屋で、窓際のソファに深々と腰掛け、そっと肩を寄せ合う二人。
「トゥルーデ」
「どうしたハルトマン」
「もう二人っきりなんだから、カタくなくていいんだけど」
「ああ……そうか。そうだったな。エーリカ」
「そそ。ちゃんと名前呼んでくれれば良いの」
「すまない。どうも……」
「? どうかした?」
「いや、何でもない」
「顔赤いよ。照れてる? 可愛い、トゥルーデ」
「こら。人をからかうんじゃない」
「……その辺は、昔も変わらないよね」
「仕方無い。私は私だ。急に変わるなんて、無理だ」
「でも、私と一緒に過ごす時間が増えてから、大分変わって来たと思う」
「そうか? 私には解らないが……」
「自覚無しか……。まあ、その辺も変わらないよね」
「悪かったな」
「別に怒ったり悲しんだりしてるんじゃないよトゥルーデ、安心して」
 微笑むエーリカ、ちょっと物憂げな表情のトゥルーデ。頬にそっと手をやり、唇を重ねる。
 お互いの気持ちを通じ合わせ、確かめる為のちょっとした“儀式”。

 二人は横のテーブルからカップを取り、粗めに挽いたコーヒーの香りを楽しみ、一口飲む。
 ミルク入りも良いかもね、などと雑に会話を交わしたところで、ふとエーリカが思い出したかの様に呟いた。
「人には色々有るから。急に変わるなんて無理」
「さっきの、私の台詞だぞそれは」
「反芻してみただけ。確かにそうだよね」
「ああ」
「でも、少しずつだけど、変えていける部分も有るよね」
「それは、確かに有ると思う」
「例えばクリスの事とか。元気になって、随分と……」
「クリスの事は良いんだ」
「また照れてる」
「と、とにかくだ。時間は過ぎて行くから、嫌でも変わってもいくし、変えていかなければならない部分も有るだろう」
「トゥルーデ、言ってる事固い割には結構進歩的? だね」
 肘をついた格好のまま、エーリカはふふっと笑った。首を傾げるトゥルーデ。
「そう言う問題か?」
「まあ、私とトゥルーデの間については、もっと進歩的であって欲しいと思うよ」
「これ以上どう進歩しろと」
 ひそひそと耳元で囁くエーリカ。言葉を最後まで聞き終わらないうちに、トゥルーデは頬だけでなく耳まで真っ赤になる。
「ばっバカっ! そんな事出来るか!!」
「えー、やってみないと分からないよ」
「たまに、お前についていけなくなる時が有るから困る」
「冷静になられても。これも全部トゥルーデを愛しての事だから」
「こっこらっ! 皆に聞かれそうな所で、軽々しく『愛してる』とか言うな」
「えーなんで? 事実だし」
「だって、その、私としては……」
「分かってるよトゥルーデ」
 そっとトゥルーデの手を握るエーリカ。少しがさつで、骨太で。でも愛おしいその手をぎゅっと握って、エーリカは笑う。
「手を握るだけで分かるもの。トゥルーデの気持ち」
「何故? 超能力でも有るのか?」
「手、汗かいてるから」
「……っ!」
「じゃあ、そろそろ行こうかトゥルーデ。今夜が楽しみだよ。トゥルーデは?」
「……まあ、その」
「無理しちゃって。聞きたいな、トゥルーデの……」
 観念したかの様に、エーリカをそっと抱き寄せ、耳元で囁く。
「分かった。愛してる、エーリカ」
 そこで、誰かが部屋に来る気配を察するカールスラントのエース二人。
 空になったカップを手に、腕を組んで部屋を出る二人。
 行き先は……。

end

314 名前:名無しさん:2011/02/09(水) 22:37:17 ID:9SeIvse2
以上です。
いつものエーゲルと言う事で。

ではまた〜。

315 名前:サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 09:54:06 ID:kyCPAeeI
【月】

「私を月まで連れてって」
少し照れた眼差しでサーニャが呟いた。
「…えっ?」
「この曲の名前。エイラが訊いたんでしょ?」
「そ、そうだった。私を月まで連れてって…か。変な名前だけど私は好きだナ、この曲」

二人で夜間哨戒するのは久しぶりだ。
サーニャが聴かせてくれる遠い異国のラジオの曲、月明かりに柔らかく照らされたサーニャの姿…
その幻想的な雰囲気に目眩を感じて月を見上げる。

突然ラジオに雑音が入り込み、やさしい曲の音色を掻き消した。
代わりに誰かの声が途切れ途切れに聞こえてくる。
『…偉大なる時代が…諸君らが望んで…闘争を続けねばならない…』
サーニャは眉をしかめて魔導針を解除した。
「サーニャ?」
「この人…」
「うん。カールスラントの総統だナ。南リベリオンから戻って来たんだろ。私は嫌いだな」
サーニャが暗い表情で頷く。
その場を取り繕うようにエイラが慌てて続けた。
「みんな戦争の噂をしている。でも人間はそれほど馬鹿じゃない。
みんなネウロイに苛立ってるだけなんだ。私たちがネウロイを倒せば、
また平和な世界が戻ってくる。そしたら…」
「そしたら?」サーニャが覗き込むように尋ねた。
その先を考えていないエイラが苦し紛れに言葉を続ける。
「そしたら…人間は再び手を取り合って歩き続けるんだ。
みんなが助け合えば人間に不可能なんてない。
だから…人間はいつかあの月にだって行けるんだ!」
「それはエイラの予知魔法?」サーニャがクスクスと笑う。
「そ、そうだ。わたしの予知魔法だ。だから絶対に間違いないんだぞ!」
「それじゃエイラが私を月まで連れてってくれる?」
「もちろん。約束する!」
他愛のない冗談に2人が笑い出す。

寄り添うように指切りを交わした瞬間、
エイラの意識が跳んでサーニャの魔導針が反応した。
「サーニャ…?」
ラジオから再び誰かの声が聞こえてきた。
今度はさっきよりも遠くから聞こえてくる感じだが、明瞭に聞き取ることが出来た。

『接触灯点灯。オッケー。エンジンストップ。ACA解放』
『ACA解放了解』
『モードコントロールオート。降下用エンジン指令停止。エンジンアームオフ。413イン』
『ヒューストン、こちら静かの基地。イーグルは着陸した』

7月20日
エイラ・ユーティライネン中尉及びサーニャ・リトヴャク中尉による夜間哨戒飛行。
…特記すべき異常は見られず。

316 名前:サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 09:56:52 ID:kyCPAeeI
魔法の眠り】

『一つ理解して欲しいのは、魔法と睡眠は等価だという事だ。
大量の魔法力を消費した魔女は長時間の睡眠を必要とする。
しかし、なかには睡眠中に無意識の内に魔法力を発露させてしまう魔女だっている。
そんな魔女は、早起きすることが出来ないんだ…』
エーリカ・ハルトマン中尉/柏葉剣付鉄十字賞授与式における発言より抜粋


エイラ「た、大変だあ! サーニャが、サーニャが、眠ったきり目を覚まさないぞ!」

もっさん「これは…魔法の眠りだな。魔法力を使い過ぎたんだ」

エイラ「一体どうしたらいいんダ?」

もっさん「簡単なことだ。魔法力を注入してやればいい。宮藤! 魔法力が大きいお前が適任だ。お前がやれ」

宮藤「わかりました! …でも、どうやるんですか?」

もっさん「キスだ。キスをするんだ!」

宮藤「エエエえっ!?」

エイラ「み〜や〜ふ〜じ〜!!」

宮藤「ひぇええっ!」

エイラ「嫌だ! わたしがサーニャにキスするんだ!」

宮藤「私には上官の命令に従ってキスする義務があります。私に任せて下さい!」

エイラ「義務だなんて言い訳だ! だいいち宮藤! お前のその手の動きはなんだ!」

宮藤「(ハッ!)…こ、これは父との約束で、そのぅ…守りたいから私は揉むんです!」

リーネ「…芳佳ちゃん…」

エイラ「乳との役得ぅ? そんな目でサーニャを見んなぁああ!」

バルクホルン「話は聞かせて貰った。上官として私は妹…いや、部下を救う責務がある。
私に任せろ!」

宮藤「バルクホルンさん! ずるいです!」

バルクホルン「な、何を言う! わ、わたしはカールスラント軍人として…」

エイラ「こ、こうなったら早い者勝ちダあ! サーニャぁああ!!」

宮藤「あっ! 待って下さい!」

バルクホルン「貴様!やめろ!」

ルッキーニ「うじゅじゅじゅ〜(阿呆らしくてやってらんない)!」

シャーリー「我慢だ。ルッキーニ」

サーニャ(エイラの馬鹿!)

317 名前:サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 09:57:59 ID:kyCPAeeI
【霧の中】1/2

「くっ…!」
ネウロイのビームに反応して、サーニャのシールドが展開された。ネウロイの姿は濃霧に隠れて見えない。
濃密な霧でビームの威力は半減してるが、それでも殺傷能力は十分にある。
(まずい…このままじゃ魔法力を消耗するだけだ…)
複雑な回避飛行を続けながら、幾度となく全方位広域探査を試みるが、レーダーは全く効かなかった。
それどころか基地にいる仲間に連絡する事さえ出来ない。霧は強い磁気を帯びていた。
ビームを回避しながら、フリーガーハマーの残弾数を計算してみる。
…予備を含めて残り3発。
一晩の間に2度もネウロイと遭遇するのは初めてだった。1体目を撃破した直後に2体目が出現した。
体制を整える為に霧の中に身を隠したが、それがかえってアダになったようだ。
ネウロイの進行方向を計算すると真っ直ぐに基地に向かっている。ここで身を引く訳には行かない。
回避飛行するサーニャを再びネウロイのビームが捉える。
ビームの方向にフリーガーハマーを1発ぶち込んでみるが、まるで手応えがない。
おそらくホーミングレーザーだろう。
(敵の位置が掴めない。どうする…?)
息があがってきている。そろそろ限界も近い。日が昇るまで1時間程。
それまで持ちそうもなかった。
基地にいる仲間の事を考えてみる。こんな時エイラならどうするだろう?
またネウロイのビームが飛来する。どんな方法かは知らないが、敵がこちらの位置を把握してるのは間違いない。
回避飛行を続けているのにネウロイの攻撃は正確だ。しかしトドメは刺しに来ない。
執拗に繰り返される攻撃は、まるで獲物を弄んでいるようにも思える。
(そうか…フリーガーハマーを警戒して近づけないんだ)
サーニャはフリーガーハマーの弾を取り外してポケットに入れると、おもむろにフリーガーハマーを放り捨てた。
(遠距離での攻撃じゃ不利だ。なんとかして接近戦に持ち込まないと!)
空中でホバーリングしながら目を閉じて耳を澄ます。周囲の音を聞き漏らすまいと黒猫の耳がピンと立てられた。
濃霧の中を移動するネウロイの発する微かな空気の動きが感じられる。
ネウロイは攻撃を止めて真っ直ぐにこちらに向かっているようだ。
やはり武器を捨てた事を知っているのだ。サーニャの猫耳が慌ただしく動きまわる。
ネウロイは確実に距離を詰めて来ている。距離500…300…100…

318 名前:サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 09:59:13 ID:kyCPAeeI
【霧の中】2/2

瞬時に左足のストライカーユニットを脱ぎ、中にフリーガーハマーの弾を込めると、
自律航行モードでストライカーユニットをネウロイの方向に射出した。
僅かな間をおいて、ストライカーユニットがネウロイにぶち当たり、閃光と共に爆発する。
爆風と共に爆発の轟音が衝撃波となって襲いくる。
最大の魔法力を込められたフリーガーハマーの弾薬の破壊力は凄まじい。
爆風は周囲の濃霧を吹き飛ばし、オレンジ色の焔がネウロイの姿を露わにした。直撃だ。
ネウロイの装甲は大きく抉れており、コアが焔の明かりを反射して輝いて見える。
ネウロイは鋼鉄の巨体をのた打ちまわらせて咆哮する。
すかさず、サーニャのブローニングM2重機関銃が火を噴いた。
奥歯を食いしばりながら銃弾に魔力を込めて連射する。片足だけのストライカーユニットはバランスが悪い。
コアに照準を合わせても当たらない。ネウロイの姿が目前に迫った時、ようやくサーニャの銃弾がコアを撃ち抜いた。
唐突に鋼鉄の軋むような咆哮をあげてネウロイの装甲が崩壊していった。
空気を揺るがす衝撃波と鋼鉄の残骸がサーニャを襲う。
シールドで防御しながら、サーニャは無意識に片腕で防御の姿勢をとっていた。
硝煙の匂いが立ち込めるなか、結晶化したネウロイの破片がサーニャの脇を吹き抜ける。
「…終わった?」
肩で大きく息をしながら、思わず呟いた。暫くのあいだ呆然としたまま身動きすることも出来なかった。
重機関銃を撃っていた右腕が僅かに震えている。

やがて、気を取り直したように大きく深呼吸すると、
乳白色の霧が立ち込める空を、サーニャは基地に向かってゆっくりと飛び始めた。
「今回は使い魔の黒猫に助けられたみたい…ありがとう」


『使い魔』ウィッチが魔力を使う時にサポートする存在。
使い魔が使役されてる間、ウィッチにはその使い魔と同じ耳と尻尾が現れ、使い魔となった動物の特性を得る。
猫の聴力は、犬よりも広い6万〜10万ヘルツの哺乳類トップクラスであり、
音源までの距離と方向を正解に把握することが出来ると言われている。

319 名前:サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 09:59:55 ID:kyCPAeeI
【シュレディンガーの猫】1/3

『暗箱の中の猫だって夢を見る。猫にとって私たちは、重ね合わせた確率の存在でしかない』

夜明け前の教会は、凛と張り詰めた空気の中に厳かな静寂を響かせていた。
一人で教会の中に居ると、まるで世界は此処だけしかない錯覚に捕らわれる
本当にそうなら、どれほど楽だろう? 窓の外には現実感のない暗闇が広がるだけだ。
私は世界に一人きり。冷たい床にひざまづき、ひたすら神に祈り続ける。
─神さまお願いです。どうかサーニャをお守り下さい
私の命と引き換えでも構いません。どうかサーニャを助けて下さい。神さま─

教会の扉が開いてミーナ隊長が飛び込んできた。
薄暗い教会を見渡して、私を見つけて息を飲む。
「エイラさん! サーニャが、サーニャが…」それだけ言うと、床に倒れるようにして泣き崩れてしまった。
私の心臓は一瞬で凍りつく。全身の肌が粟立ち、背中を冷たい感触が走る。
私は知っていた。ミーナの言葉の意味を。
私は何度も何度も繰り返し、この場面を見てきた。遠い過去から何度も繰り返し…。
私は震える足取りで医務室に走った。後ろでミーナが呼び止める声が微かに聞こえる。
サーニャは医務室のベッドに横たわったまま動かない。まるで眠っているように見えた。
「…サーニャ?」
震える手でサーニャの頬に触れてみる。冷たい感触が指先から全身に広がって行った。
「サーニャ…」
もう一度呼び掛けて私は、サーニャの上に泣き崩れた。とめどもなく涙が溢れ出た。
「サーニャ…」

教会の扉が開いて坂本少佐が飛び込んできた。
「こんな所で何をしている! 緊急出撃の警報が聞こえないのか?」
基地の中をサイレンが鳴り響いていた。
「ネウロイだ! いまサーニャが足止めしている。サーニャが危ない!急げ!」
私は格納庫に走った。ストライカーユニットに脚を突っ込み、重機関銃を手に取る。
私は薄暗い夜空に向かって飛び立った
「サーニャ待ってろ! いま助けに行く!」
ネウロイに対する怒りが全身を駆けめぐった。

320 名前:サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 10:00:32 ID:kyCPAeeI
【シュレディンガーの猫】2/3

教会の扉が静かに開いた。扉の前にはサーニャが立っていた。
「サーニャ…?」
サーニャは不思議そうな顔をして静かに佇んでいた。
「驚いた顔して、どうしたのエイラ…?」
彼女の暖かな手が私の肩に優しく置かれる。
「な、なんでもない!」
「エイラの目…赤い。もしかして、一晩中教会でお祈りしてたの?」
少し可笑しそうな顔でサーニャが尋ねた。
「わたしは…夢を見たんだ。サーニャの夢を…だから私は…」
「夢?」
「そうだ。わたしの見る夢は只の夢じゃない。予知魔法が見せる夢なんダ…でも…」
「…でも?」
「たまには外れることだってあるってことだナ」
サーニャはクスクスと笑いながら私の手をとった。彼女の手の温もりにが心地よかった。
サーニャが悪戯っぽい眼差しで私の顔を覗き込む。
「サ、サーニャがネウロイに撃たれた夢だったんだぞ。笑いことじゃないんだ。
もし本当にサーニャが私の前から消えてしまったら、私はどうすればいい?
サーニャのいない世界で生きて行くなんて、わたしには無理だ…」
サーニャはクスクスと笑うと、祭壇の上の十字架を見ながらこたえた。
「もし私が死んでも悲しまないでエイラ。
私は神様の前で胸を張ってこう言うわ。
─私は私に出来る事を全てやった。私はネウロイからも、そして私自身の弱い心からも
決して逃げることはなかった。本当に怖くて震えるような夜間哨戒だって、最後までやり抜いた。
私はみんなを守るために最後まで堂々と戦った─って。
だからエイラ、私が死んでも悲しまないで。
─サーニャ凄いぞ。よく頑張ったな─って言って私のことを誇りに思って。
私はみんなを守るために自分の意志で戦ってるのだから。
約束してエイラ…」

「サーニャ…」私は彼女の目を見ることが出来なかった
何だかひどく自分が恥ずかしく思えた。

321 名前:サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 10:01:04 ID:kyCPAeeI
【シュレディンガーの猫】3/3

教会の扉がゆっくりと開いて、目の前にサーニャが横たわっていた。
寝台を彩る花に囲まれたサーニャは、静かに眠っているように見える。
私はサーニャにすがりついて涙を流していた。
「サーニャ…」嗚咽で言葉にならない。
「何でだ。何でサーニャか死ななければならない?
まだ14才の小さな女の子じゃないか?
何でこんな小さな女の子が戦場で戦わないといけないんだ?
戦うのは大人たちがやればいいんだ。
魔女だから戦う?
魔法力があるってだけで普通の女の子と何も変わらないじゃないか…。
世界の運命なんて関係ない。
こんな、こんな小さな女の子の命を犠牲にしなければ守れないような世界なんて
一体何の意味があるんだ?
何故サーニャが世界の運命を背負わないといけない?
他の人たちは私達に戦うことを押し付けて普通の生活を楽しんでいる。
サーニャだって本当なら音楽の勉強をして友達と遊んで誰かと恋をしてたはずなんだ。
何でサーニャが死なないといけないんだ?
私はサーニャを守れなかった…守ると誓ったのに…
サーニャ目を開けてくれ!
サーニャ…」
私は泣いていた。いつまでも、いつまでも泣いていた。
『エイラ…私が死んでも悲しまないでね』
わたしには無理だ…

外は明るみはじめ、教会の窓から朝日が差し込んでいた。
もう夜は明けたようだ。どこからか小鳥のさえずり声が聞こえてくる。
私は冷たい床にひざまづいたまま、一晩中神様に祈りを捧げ続けていた。
疲れ果てて頭がふらふらしている。聖母マリアの像を見つめながら立ち上がる。
そして、私はゆっくりと教会の扉を開け、眩しい光に包まれた外に足を踏み出した。
「エイラ? 何してるのこんなところで…?」
夜間哨戒から帰ってきたサーニャが眠たげに尋ねた。
ストライカーユニットを付けた彼女はフリーガーハマーを片手に持ったまま、
朝日の中をゆっくりと舞い降りてくる。
「どうしたのエイラ?」
「サーニャ…」
私は目の前に着陸したサーニャをギュッと抱き締めて泣いていた。
「お帰りサーニャ。無事で良かった。本当に良かった…」
サーニャは頬を赤らめて戸惑っていたが、私の唇に優しく唇を重ねて囁いた。

「ただいま…エイラ」

322 名前:サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 10:01:36 ID:kyCPAeeI
【冬虫夏草】1/2

「蝉の声が聞こえる」
ハルトマンが不思議そうに呟いた。
12月に蝉などいる筈ないと思いつつ、サーニャも耳を澄ましてみた。
「本当だ…本当に蝉の声が聞こえる! でも…なんで?」
飛行訓練を終えて基地に戻る途中だった。眼下には金色の草原が広がっている。
「向こうから聞こえてくるみたいだ。サーニャ、一緒に行ってみようよ」
「うん!」
日中の日差しは強いものの、身を切る風は冬の到来を告げていた。
2人は蝉の声を追いながら、胸の中で繰り返し「なんで?」と呟く。
草原の上を低空で旋回しながら音源を探ってみる。どうやら蝉の声に間違いないようだ。
しばらく探しまわって、やがて2人は草原に舞い降りた。
「ここから聞こえるけど、蝉がいないね。それどころか木さえないよ…」
周囲を見渡しながら、ハルトマンが不思議そうに言う。
「そこの背の高い草の辺りから聞こえるみたい」
頭をもたげた背の高い草を指差してサーニャが言った。
2人で草に近づいてみる。特に変な感じには見えない。
でも蝉の声は間違いなく、この草から聞こえてくる。
何か思い当たる節があるのか、サーニャがおもむろに草を引き抜いた。
草の根元に視線を向けたハルトマンの体が硬直する。
「そんな馬鹿な!」ハルトマンが喘ぐように叫んだ。
草の根が蝉の形をしている。いや、正確には蝉の背中から草が生えていた…。
その草の根(?)が蝉の声で鳴いている。
「冬虫夏草…?」サーニャが呟いた。
「えっ?」
「夏は草の姿をして、冬は虫の姿になるの。わたしも実際に見るのは初めてだわ。
…でも何で蝉の姿に?」
「いや、冬虫夏草はそもそも菌類の…これはソレとは…」
ハルトマンが言いかけた瞬間、草原の草花が一斉に蝉の鳴き声をあげた。
耳をつんざくような蝉の大合唱に2人がたじろぐ。
「まさかこの草全部が?」
「まさか…そんな…」サーニャの声が震えていた。
「サーニャ! 早く此処から離れよう!」
蝉の鳴き声は急速に強さを増していき、いまや雷鳴の如く轟き渡っていた。
「うわっ! この鳴き声! 頭が割れそうだ」
2人はもはや立っている事さえ出来ない。遠のいていく意識の中でハルトマンが叫ぶ。
「サーニャ!」

323 名前:サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 10:02:04 ID:kyCPAeeI
【冬虫夏草】2/2

「起きろ! ハルトマン! 」
バルクホルンの怒鳴り声にハルトマンが薄目を開ける。
「うぅ…ん、あと40分…」
耳元で鳴り響いている目覚まし時計を手探りで止めて布団の中に潜り込む。
「ふざけるなコラっ! サーニャも起きろ! だいたい何でサーニャが此処にいるんだ?」
サーニャは怒鳴り声にさえ気つかずにハルトマンの横でスヤスヤと寝息を立てている。
「っ…貴様らは…早く起きろぉおおお!」
呆れ果てたバルクホルンが最後の雄叫びを残して部屋を出て行った。

冬虫夏草の草原から脱出したハルトマンとサーニャは手を繋いで草原を見下ろしていた。
「ここまで来ればもう大丈夫だ。本当に危ないとこだったね、サーニャ」
サーニャが頷いた。もう蝉の声は聞こえない。
「うん。でも不思議だわ。蝉の声に混じって、エイラの泣き声が聞こえたような…」
こんな所にエイラがいる訳ないと思いつつ、ハルトマンも耳を澄ましてみた。
「本当だ…エイラのすすり泣く声がする。行ってみよう」
「うん!」

…to be continued


そのころ、ハルトマンの部屋の前を偶然シャーリーが通りかかった。
「よぅエイラじゃないか! 何してんだ、そんなとこで…て、泣いてんのか?」

『泣きながら 蟻にひかれる 冬の蝉』詠み人 エイラ

324 名前:サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 10:02:32 ID:kyCPAeeI
【流れ星】

冬の夜空はぶ厚い鉛色の雲に覆われていて、気持ちまで暗くさせる。
気持ちが滅入っている時は尚更だ。
こんな夜は夜間哨戒なんて放り出して、暖かなベッドの中で眠りたい。
魔法力で寒気を緩和できるとはいうものの、身を切るような夜風の中に長時間いるのは、
正直つらいものがある。
サーニャはフッと白いため息をつくと、今日の出来事を思い出していた。

今日、サーニャはエイラと喧嘩した。軽い口喧嘩に過ぎないけど喧嘩には違いない。
…喧嘩の原因は忘れた。
たぶん、エイラの纏わりつくような保護者ぶった言動にイラついたのだと思う。
エイラは私の保護者じゃないし、私はエイラに何かを頼った覚えなどない。
私はどんな事だって独りで出来るし、実際に今までだって独りでやってきたのだ。
「私のことはかまわないで! だいたいエイラは過保護すぎるのよ!」
思わず口にした自分の言葉に、誰よりも自分が驚いた。
もしかしたら…エイラは私以上に傷付いただろうか?

鉛色の雲の下を飛んでいると気持ちまで滅入ってくる。
サーニャはおもむろに雲の中に飛び込むと、そのまま真っ直ぐに上昇した。

唐突に視界が開けて、サーニャの体が雲を突き抜けた。
雲の上は何処までも空気が澄んでいて、満天の星空が広がっていた。
サーニャはハッと息を飲み込むと、息をする事さえ忘れて茫然と星空を眺めた。
今まで見たこともないような荘厳ささえ感じる星空に、サーニャの身体が微かに震える。
流れ星が一瞬だけ輝いて空を横切って消える。
そして、無数の流れ星がいっせいに星空の中を泳ぎだした。
「しし座流星群…」
時がたつのも忘れて、ひたすら流れ星を眺め続けていた。

あした帰ったら素直な気持ちでエイラに伝えようと思う。
「ごめんなさい」って…

325 名前:サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 10:03:38 ID:kyCPAeeI
【定時報告】

『こちらアレクサンドラ中尉。22時定時報告。
現在位置○○。半径300km圏内にネウロイの姿は存在せず』
『こちら501特別支援小隊通信班。定時報告了解しました。おっと、これは…?
…失礼しました。申し訳ありませんが中尉殿、そのまま少々お待ち下さい』
(沈黙)
『…さきほど民間から問い合わせが有ったようです。
スオムス上空を飛行する未確認物体ありとのことですが…そちらで確願できますか?』
『了解しました。物体の探索を開始します…』
(沈黙)
『こちらアレクサンドラ中尉。物体はレーダー探索の圏外にあり探知不能です。
…ですが、物体のものと思われる信号を受信しました。緊急救難信号です。
物体はストライカーユニット。国識別コードはスオムス。
ユニットの機体識別コードは○○』
『(コード表をめくる音)了解しました。…中尉殿は引き続き夜間哨戒の任務にあたって下さい。
次の定時報告は24時です。それでは2時間後にお会い出来ることを楽しみにしてます』
『了解しました。でも、あの…救難信号の件は…?』
『問題ありません。なんせニッカ・エドワーディン・カタヤイネン曹長ですから』
『あぁ…了解しました。えーっと…これで22時定時報告を終了します』


「何で誰も助けに来ないんだよぉー!
誰も助けに来ないなんてひどいじゃないか!
ひどいじゃないか・・・」

326 名前:サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 10:04:06 ID:kyCPAeeI
【同期】1/6

『そこは原代名詞の世界。それが彼女に、彼女が彼らに、彼らが私に、そして私が謎へと化していく』

「サーニャ! ネウロイをこっちに近づけるなー!」
リーネを後ろから抱き締めてエイラが叫ぶ。
サーニャは小さく頷いて、おもむろにフリガーハマーを撃ち放った。
雷鳴を思わせる轟音と共にオレンジ色の火球が広がり、爆発の衝撃波が大気を揺るがす。
ネウロイは爆発を回避して、既にリーネとエイラの真下に潜り込んでいた。
「動きが早過ぎる・・・」リーネが小さく呟いた。ボーイズMK.?を握る手が汗ばんでいる。

卵形の小型ネウロイは、尋常でないスピードでグザグに動きまわっていた。
一瞬の停止と急激な加速をランダムに繰り返し、変則的な動きで間合いを詰める。
常軌を逸したネウロイの動きに、リーネの狙撃は付いて行くことが出来ない。
唯一対応出来そうなエイラは右腕を負傷している。リーネを守る為に払った代償。
先読みと正確な射撃がなければ、超高速で変則的に動くネウロイを倒すことは無理だ。
エイラとリーネは何度も複合魔法を試みるが、上手く呼吸か合わない。
只でさえ高度な技術が求められるのに、この状況下では無理もない。

ネウロイが赤色のビームを放ちながら間合い詰め、おもむろにリーネに体当たりした。
シールドが鈍い音をあげて、エイラとリーネが後ろに突き飛ばされる。
割り込むようにサーニャが慌てて飛び込み、ネウロイを自分の方に引きつけた。
その間にエイラが後ろからリーネを支えて体勢を立て直す。
「大丈夫か?」
頬を赤く染めながらリーネが小さく頷く。
「よし。それじゃーもう1度やるぞ。呼吸を合わせて魔法力を同調させるんだ!」
「はい!」
2人の顔に焦りの色が浮かんでいた。

327 名前:サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 10:04:27 ID:kyCPAeeI
【同期】2/6

焦燥しているのは2人だけではない。サーニャの顔にも焦りの色が浮かんでいた。
何とかしてネウロイを遠くに引き離さないと2人が危ない。
真下にいるネウロイに、上から覗き込むような姿勢でフリガーハマーを撃ち込むと、
そのまま急降下して躊躇いもなく爆炎の中に突っ込む。
爆発の炎の中でも全方位広域探知は確実にネウロイの姿を捉えていた。
急降下しながら体を捻り込み、右腕を真横に伸ばすと再びフリガーハマーを撃つ。
片手でフリガーハマーを自在に操る姿は驚異的だ。しかも撃つ方向を一瞥すらしない。
独特のリズム感があるその力技は、あるいはバルクホルンを上回るのかも知れない。

サーニャは再び体を捻って急上昇すると、左手のブローニングM2重機関銃を撃ちながら
ネウロイの前に回り込む。
だがネウロイの速度は尋常ではない。変則的な動きでフェイントをかけて回避した。
サーニャは前方左上空にフリーガーハマーを連射すると同時に、右に急旋回する。
魔法力で弾頭の爆発するタイミングを操作して、ネウロイを右方向に追いやる。
同時に重機関銃を正面に散らすように連射し、ネウロイの動きを封じようとした。
しかしネウロイは簡単に弾幕を掻い潜って、サーニャの脇を猛スピードで掠め抜ける。
「…!」サーニャは思わず目を閉じて体を丸めた。強烈な衝撃波が体を揺さぶる。

サーニャの後ろに回り込んだネウロイを透かさずリーネが狙撃する。
銃弾はネウロイの装甲を僅かに掠めてはじかれた。
「惜しい!」エイラが舌打ちして悔しがる。
サーニャは振り向きざまにフリーガーハマーを撃ち込んで急上昇した。

まるでイタチごっこだ。攻めては逃げて、逃げては攻める。その繰り返しだ。
ても…やるしかない。右へ左へと体を捻りながら必死でネウロイを追う。
その間隙を突いてリーネが狙撃するが当たらない。
まだ複合魔法が有効に働いていないのだろうか?
咄嗟に残りの弾数を計算してみる。この消耗戦は分が悪い。

328 名前:サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 10:04:55 ID:kyCPAeeI
【同期】3/6

体力的にも弾薬的にも、複合魔法の成功を待っている余裕はない。
熾烈な空中戦を展開しながら、サーニャは打開策を思案する。きっと何か手があるはずだ。
サーニャはネウロイの攻撃に奇妙な違和感がある事に気付いていた。

ネウロイの異常なまでのスピードなら、私はとっくに捕捉されている筈だ。
なのに私は未だに無事で此処にいる。何故?
さっきの攻撃も、本当ならば体当たりを喰らっても不思議はなかった。
なのにネウロイは私の後ろに回り込んだだけ。何故?
イタチごっこ…
フリーガーハマーを左右に撃ち分けながら、猫のような敏捷さでサーニャが空中を舞う。
「まさか…」

「サーニャさん凄い…!」
ボーイズMK.?を構えたリーネが思わず感嘆の声を上げる。
「どこ見てんだー? 感心してる場合じゃないだろー!
早くネウロイを撃ち落とさないと…」
苛立ちを隠せずにエイラが咎めた。確かにサーニャの動きは凄いとエイラも思う。
サーニャは最近急激に強くなった。怖いくらいに。
世界のトップクラスに囲まれている現在の環境がサーニャの成長を促して
いるのかも知れない。
「それより、少しだけ先の未来はちゃんと見えてんのか?」
「はい、でも敵の動きが速すぎて…」
「くそー、わたしの先読みでも追い付けないのか。なんて奴だ!」
複合魔法は働いている。ネウロイがサーニャに気を取られている今がチャンスだ。
しかし…未来予知が追い付かない。銃弾が到達する前にネウロイは更に先に進む。
こんな敵は初めてだ。私がもっと先を読まなければ!
でも…どうすればいい?

もし遊んでるのなら…
サーニャの思考が目まぐるしく展開していく。
それを逆手に取って、ネウロイを撹乱できるかも知れない。
サーニャの脳裏を以前遭遇した歌うネウロイがよぎる。
わずかに逡巡した後、サーニャはおもむろに魔導針の送信出力を上げた。

329 名前:サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 10:05:21 ID:kyCPAeeI
【同期】4/6

「音楽が聴こえる」エイラが不思議そうに周りを見渡す。
「サーニャか…?」
リーネも耳を澄ましてみる。
「この曲は…? Come falda di neve…?」
サーニャは熾烈な空中戦を繰り広げながら、悠長な雰囲気でハミングしていた。
曲の旋律に合わせて、踊るようにネウロイの攻撃を回避しながら反撃している。

次々に周波数を変えながら、サーニャは観察する。確実にネウロイに曲を聴かせる為に。
ネウロイの攻撃は極端に減少している。サーニャの曲に反応している証拠だろう。
もう少しだ…。サーニャは周波数を微調整して限界まで魔導針の出力を上げた。
魔法力が一挙に高まり、奔流となってネウロイに放たれる。
その魔法力に呼応するかの様にネウロイが小さな咆哮を上げて一瞬跳ね上がると、
鯨のような低周波でサーニャを模倣しながらハミングした。
「…!」
その共鳴音を聴きながら、サーニャは不思議な感覚にとらわれていく。
現実感を喪失していくような得体の知れない感覚。
サーニャの意識が乖離して共鳴音の中に吸い込まれた…

目の前のネウロイは音楽を楽しんでいる。
まるで無垢な子供のように。

子供…? 何を馬鹿なことを!
ネウロイは街を破壊して沢山の人を殺した!
でも…
夢中で遊んでいる子供?
目の前の矛盾。

音楽への関心?
破壊の為の強力な武器?
それは私だ。
戦場で戦う私の姿。
ネウロイ…
それは鏡に映った私。違う!

サーニャは強い吐き気と目眩を感じていた。
魔法力とコアの共鳴?
放出した魔法力の逆流?
いや…違う…
たぶん別の何か。
わからない…。

幼い頃に父が弾いてくれたピアノの音が聞こえる。
窓の外は雨が降っていた。
私は窓の外から部屋の中を覗き込む。
部屋の中には、ピアノの音に耳を傾けるネウロイがいた。
それは私だ。違う!

ネウロイってなに…?
私の現し身。
私の本当の姿。違う!

「違わないわ…」鏡の中の私が静かに微笑む。

人間と何も変わらない。
ネウロイは人間の象徴。
人間の獣性の具現。
姿を変えただけの、何処にでも居るごく普通の人。
ネウロイは人間そのもの。
目の前の矛盾は人間の矛盾。
平和の為に殺戮する矛盾。
それは人間。

違う!違う! 絶対に違う!
鏡が砕け散った。
私は鏡に向かって銃を乱射していた。
怒りのままに。
怯えるままに。
いつまでも銃を撃ち続けた。

330 名前:サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 10:06:00 ID:kyCPAeeI
【同期】5/6

「エイラさん…」リーネが囁いて、ボーイズMK.?対装甲ライフルを構え直した。
エイラも黙って頷く。ネウロイの様子が変だ。
猛スピードでランダムに動きまわる姿に変化はないものの、
攻撃を仕掛けてくる気配がまるでない。
サーニャが少し離れた場所で静観し、その周りをネウロイが飛び交っているだけだ。
一寸前の激しい空中戦がまるで嘘のようだ。「いったい何が起きてるんだ?」
おそらく、サーニャのハミングが何か関係しているのだろうと思う。
当のサーニャはまだハミングを続けており、ネウロイは耳障りな共鳴音を響かせている。
しかし…
大人しくなったとは言えネウロイが未だに脅威であることに変わりはない。
急激な状況の変化。その状況は更に変わりつつある。
「ネウロイが止まる…」
エイラはリーネの肩に顔を擦り寄せて耳元でそっと囁く。リーネが小さく頷いた。

少しだけ先の未来。今はまだ何も無い空っぽの空間。その場所をリーネが見つめる。
引き金を引こうとして呼吸を止めた瞬間…リーネは驚愕の表情を浮かべて絶句した。
ネウロイじゃない…? 人間だ! 人間がいる! まさかそんな馬鹿な…!
激しい動悸が胸を締め付け、額に脂汗が滲む。
瞳を閉じてゆっくりと息を整え、再び照準を覗いてみた。
そこには鋼鉄の装甲に覆われたネウロイの姿があった。
いまのは一体…? 幻覚? そう…ただの幻覚だ。そうに決まってる!
リーネの背中を冷たい汗が流れ、引き金におかれた指が微かに震えた。
銃口で少しだけ未来のネウロイを追いながら、リーネは口の中で神に祈っていた。

「主よ、我らの罪をお許し下さい。
我らを地獄の火からお守り下さい。
全ての霊魂、
特に主の憐れみを最も必要とする霊魂を
天国にお導き下さい」

リーネの指がゆっくりと引き金を引いた。

331 名前:サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 10:06:28 ID:kyCPAeeI
【同期】6/6

唐突にサーニャはハミングを止めた。何故やめたのか自分でも分からなかった。
意識がはっきりしない。誰かと会話していた気もする。
ハミングを止めると同時にネウロイもゆっくりと停止し、その場に留まった。
停止したネウロイ?
ハッと気がついてサーニャが叫ぶ。
「…リーネさん待って!」
その瞬間、リーネの放った銃弾がネウロイの装甲に黒い穴を穿った。続いて2発目。
そして3発目の銃弾がコアを直撃した。
コアが砕けた瞬間、サーニャはネウロイの悲鳴を聞いたような気かした。
もしかしたら、それはサーニャ自身の悲鳴だったのかも知れない。…わからない。
サーニャは目を見開いたまま呼吸することさえ忘れている。
何故? 何故わたしは動揺してるんだろう?
ネウロイの装甲が連鎖的に崩壊し、細かな結晶になって周囲に散らばる。
煌めく結晶は音もなく風の中に消えていき、
ネウロイが存在していた痕跡を跡形もなく消し去った。
サーニャは寂寞とした空の中に独り佇みながら、どうしようもない虚無感を感じていた。

わたしはネウロイの中に私自身の姿を見た。
わたしは私自身の中にネウロイの姿を見た。
戦争が人を獣に変えてしまうのなら、戦場にいる私もまた獣なのだろうか?
私とネウロイの何が違うと言うのだろう?
何も違わない。
あれは…人間だった。

「サーニャぁ大丈夫か? 怪我はないか?」エイラが心配そうに声をかけた。
エイラの後ろからリーネも心配そうに顔を覗かせた。
瞳に溢れんばかりの涙をたたえたリーネがはにかむ。
サーニャは横を向いたまま俯いて、そっと呟いた。
「うん大丈夫…何でもない」
「サーニャ…」
エイラは何も訊かずに優しくサーニャを抱きしめた。
その暖かい胸に包まれながら、サーニャは漠然と理解した。
わたしは独りじゃない。わたしには大切な仲間がいる…。
誰かを大切に思う気持ちがあるのなら、人は獣ではなく人間として生きて行ける。
サーニャの腕がエイラの体を抱きしめた。
後から後から止めどもなく溢れ出る涙に、エイラがそっとキスをする。

風の中を「Come falda di neve」の美しい旋律が舞っていた。

332 名前:サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 10:07:03 ID:kyCPAeeI
【迷子】

「エイラさん、もしかして道に迷ったんですかー?」
からかうような口調で宮藤が尋ねた。
「ナニ言ってんだー? 私が道に迷う筈ないじゃないか!」
「だってエイラさん、さっきから地図を広げて同じ所をグルグルしてますよ?」
「…」
「やっぱりサーニャちゃんがいないと駄目なんですね?
私達だけで夜間哨戒なんて、最初から無理なんですよ」
「サーニャは風邪で寝てるんだぞ! 仕方ないじゃないか」

雲の中に入った時に方向を見失った。
雲を抜け出たのは良いが風で相当流されたらしい…
現在位置がさっぱり分からない。正直途方に暮れた…。

「そんなことより宮藤、腹が減ったろ? そろそろ休憩にしないか」
「賛成! あそこに丁度いい広場がありますよ!」
「広場? …本当だ。此処って何処かの街の上だったんだな…」
「やっぱり…」宮藤が咎めるような眼差で見つめる。

広場で手早く食事済ませると、エイラは再び地図を広げて唸り始めた。
「人の苦労も知らないで…」
子犬のようにはしゃいでいる宮藤を横目に、エイラは溜め息をついて仰向けになった。
「サーニャ…私がサーニャの代わりになるから、
サーニャはゆっくり休んで早く元気になるんだぞ…」
「エイラさん!エイラさん!起きて下さい!」
「もー何だよ五月蠅いな!」
「此処って、もしかしてブランデンブルク門じゃないですか?」
「何言ってんだー宮藤? ブランデンブルク門があるのはベルリンじゃないか?
ベルリンはネウロイの巣の中心にあるんだぞ!」
「でも、あの門の写真を教科書で見たことあります!」
「宮藤ぃ…お前は歴史や地理が得意か?」
「勉強は苦手です!」
「ほらみろ!」
「でも…」
「そんな事より、そろそろ帰るぞ宮藤!」
「基地の方向が分かるんですか?」
「わたしのダウジングを信用しろ!」
「はい!」

エイラ・ユーティライネン中尉及び宮藤芳佳曹長による夜間哨戒任務の報告
『両名はやむを得ない諸事情により単身ネウロイの巣に突入するも、無事に任務を遂行し奇跡の生還を果たす』

333 名前:サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 10:07:35 ID:kyCPAeeI
【雷帝】1/4

漆黒の闇に覆われた空を稲妻が走った。
無機質な白色の光が世界を照らし出すと同時に、大砲を思わせる轟音が大気を揺さぶる。
サーニャとペリーヌは稲妻の下を基地に向けて飛んでいた。
「…!」突然サーニャが立ち止まって後ろを振り返る。
「どうしたんですの?」ペリーヌが不審そうに尋ねた。
終末を連想させる荒れた空の下で、サーニャの魔導針は確実にネウロイの姿を捉えていた。
「待って…ネウロイの姿を補足したわ。
現在○○上空を時速500kmで通過…30分後に接触」
「ネウロイ!」ペリーヌの体が強張る。
何もこんな嵐の日に来なくても…という思いが一瞬ペリーヌの胸をよぎる。
「分かりました。基地へ連絡して私達は此処でネウロイの足を止めましょう」
サーニャが頷く。

334 名前:サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 10:07:59 ID:kyCPAeeI
【雷帝】2/4

サーニャの魔導針がネウロイの姿を追尾する。距離は10kmを切っていた。
「ネウロイが来るわ…」
目を閉じて沈み込むような口調で言うと、おもむろにフリーガーハマーを撃ち込んだ。
稲妻の駆け巡る漆黒の空にオレンジ色の軌跡を残して3発のロケット弾が走る。
数秒後に雲の彼方に大きな火球が広がった。外した…?
ネウロイは極端に速度を落として、雲の中を探るようにゆっくりとこちらに近づいて来る。
肉眼で確認することは出来ない。ペリーヌにはまだ敵の姿が見えていなかった。
雲の一点を指差してサーニャが叫んだ。
「あそこ!ネウロイが出るわ!」

335 名前:サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 10:08:24 ID:kyCPAeeI
【雷帝】3/4

サーニャの指差す場所をペリーヌが見つめる。雲の一点に稲妻が集中していた。
「サーニャさん後ろに下がって!」ペリーヌが叫ぶ。
黒色の雲が青白い光を発して僅かに揺れると、まるで雲の中から沈み落ちてくるように、
ゆっくりとネウロイが姿を現した。
ネウロイの下部には白色の砲塔状の突起が六本あり、その突起が激しい放電を発している。
突起を持つ独特な形状のシルエットは巨大な櫂を持つガレー船にも、あるいは
脚を広げて襲撃してくるドラゴンのようにも見えた。

突然ネウロイの発した雷撃がサーニャを襲った。
サーニャは咄嗟にシールドするが、雷撃はシールドの表面で拡散し、
四方から回り込むようにしてサーニャに達する。
「サーニャさん!」
サーニャは魔法力を総動員して雷撃を凌ぎながら、フリガーハマーを手放した。
フリガーハマーがサーニャの肩口で爆発する。新たなシールドで爆発を受けながら体を沈めて間一髪で回避した。
回避と同時にサーニャの重機関銃がネウロイを襲撃する。

なんて戦闘能力だろう…ペリーヌが信じられない面持ちでサーニャを眺めた。
しかし、ネウロイの固有魔法。あの雷撃が相手では如何にサーニャといえども分が悪い。
「サーニャさん下がって! 私が相手になります!」

336 名前:サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 10:08:46 ID:kyCPAeeI
【雷帝】4/4

ペリーヌはサーニャに近づいて機関銃を手渡した。
「ペリーヌさん?」
「サーニャさんは後ろに下がって。…電撃戦なら、わたしくしの方が有利ですわ」
サーニャが頷く。ペリーヌは魔法力だけで戦うつもりだ…後ろに下がって銃を構えた。

ネウロイに突進していくペリーヌの両腕は、激しい放電を始めて雷撃を纏っている。
ペリーヌはネウロイに近づくと両腕を頭上にあげて、巨大な槍状の雷撃を作り始めた。
その間にネウロイの雷撃が続くがペリーヌには通用しない。
時折発する赤色のビームはシールドに阻まれた。
サーニャが後方からネウロイを狙撃する。ペリーヌは一撃でケリを着ける積もりだ。
槍状の電撃が完成するまで時間を稼がなくては…。サーニャは後方で大きく揺さぶりをかけながら狙撃した。

ペリーヌの作る電撃の槍はますます巨大になっていき極限に達している。
その槍を見つめるサーニャが何かを思い出した。
「あれは…サイコスピア…? 伝説の魔女が使った技? 第一次世界大戦の…」
その瞬間、ペリーヌの巨大なサイコスピアが放たれネウロイを直撃した。
漆黒の空が大爆発を起こし、白色の光に覆われる。津波のような衝撃波が広がり、
周囲の雲を次々と蒸発させていった。
衝撃波にサーニャの体がシールドごと突き飛ばされる。凄まじい破壊力だった。
ネウロイは結晶化して灰になる暇もなく、鋼鉄の装甲ごと蒸発してしまった。
空には何本もの稲妻を纏った巨大なキノコ雲ができ、ペリーヌが涼しい顔で眺めている。

「雷帝…第一次世界大戦の伝説の魔女…ガリアのエース。
何故ペリーヌさんが…?」
サーニャが不思議そうにペリーヌを見つめた。

337 名前:サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 10:10:15 ID:kyCPAeeI
【イノセント】

「おまえ魔女を見たことあるか?」
「いいや、ないね」
「だろうな。魔女の絶対数は少ないし、大抵は軍の中で隔離されてるもんな」
「おまえは見たことあるのか?」
「あるよ。…聞いて驚け。あいつら本物の子供なんだぜ!」
「なんだそりゃ…?」
「だから、本当に子供なんだよ。そこらにいる餓鬼と何もかわらねぇ」
「ふーん…少し飲み過ぎだな、おまえ」
「酔ってねぇよ。…とにかく聞けって」
「さっきから聞いてるよ」
「うん…その子供達が戦場の最前線にいるわけよ。信じられるか?」
「魔女しか対抗できないしな。それに…シールドがあるから平気なんだろ?」
「大本営の公式記録じゃ魔女の死傷率は限りなくゼロに近いってことになってるけどな…」
「違うのか?」
「実態は悲惨なもんだ」
「…そうか」
「中には怯えきってしまい、戦場に出ることを拒否する魔女もいる。
いや…大抵の魔女がそうだな。泣きながら逃げちまうんだ。
まあ…無理もないけどな」
「…」
「そんな子供達を気持ちよく戦場に送り出すために、どーすると思う?」
「さあ…考えたくもないね」
「薬だよ! 子供達に薬を投与すんだ! 信じられるか? 恐怖心を麻痺させて、残虐性だけを引き出すんだ!
中には精神崩壊しちまう魔女もいる。そいつらはお払い箱さ。ただの道具なんだよ!」
「…」
「だから俺達はコアコントロールシステムを開発する。子供達に闘わせないために。子供達を犠牲にしないために…」
「そういえば…お前の娘も魔女だったな。確か戦場で大怪我をして引退したとか…。今はどうしてるんだ?」
「娘の話しは…やめて…くれ…」
男は酒瓶を手から滑り落とすと、テーブルに覆いかぶさるようにして酔いつぶれた。

「しょうがねーな…。だから言ったろ? 飲み過ぎだって。そろそろ帰った方がいい。いま迎えを呼んでやるよ」
男は席を立つと後ろで控えている兵士に声を掛けた。
「マロニー大将のお帰りだ。表に車をまわしてくれ。それと…貴様がこの場で聞いたことは軍の最高機密事項だ。
…わかってるな?」

兵士は青ざめた顔で震えながら敬礼すると、駐車場へと走った。

338 名前:サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 10:11:03 ID:kyCPAeeI
【魔女の肖像画】1/7


サーニャが夜間哨戒から帰って来た時、滑走路の隅から青年が飛び出してきて声を掛けた。
そこに人がいると思ってなかったサーニャは、心臓が止まるほど驚いて一瞬悲鳴をあげた。
「驚かせてしまって申し訳ありません。そんなつもりじゃなかったんだけど、その…まいったな…」
胸の動悸を手で押さえながら、サーニャはふーっと軽い溜め息をついた。
「こちらこそ御免なさい。まさか人がいると思わなかったから驚いちゃって…」
どぎまぎしながら対応したサーニャは、それでも少し落ち着きを取り戻した。
まだ薄暗い滑走路のなかで改めて青年に目をやると、見慣れない軍服を着ていることに気がついた。
サーニャはまじまじと青年の顔を眺めた。痩せ形で背が高く優しい目をしている。
「501支援部隊のかたですか? 珍しい軍服ですね?」
「僕は最近オラーシャから配属されたんです。徴兵された途端に何も知らない異国の地に島流しです」
青年はおどけた調子で言うとケラケラと笑い出した。
オラーシャという言葉に興味を抱きながらも、サーニャは素知らぬ顔で尋ねた。
「…それで、私に何かご用ですか?」
「あぁ失礼しました。じつは先日もこちらで中尉殿を目にしました。優雅に空から舞い降りてくる姿に感動しちゃって…」
「はぁ…」
「僕は徴兵される前は絵描きを目指してたんです。それで…もし良かったらモデルになって欲しと思いまして…」
「もでるぅう!? そんなの無理です! 絶対無理!」
「迷惑はかけませんから。夜間哨戒から帰ってきた所を毎日10分程で構わないんです。お願いします!」
青年は深々と頭を下げて頼み込んだ。

339 名前:サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 10:11:24 ID:kyCPAeeI
【魔女の肖像画】2/7


「それで…素性も分からない不審な男の言葉を真に受けて、モデルの仕事を引き受けちゃたのかー?」
「うん…」
「お人好しにもほどがあるぞ、サーニャ!」
「そんなに怒ることないでしょエイラ。支援部隊の人だし素性はハッキリしてるわ。それに…悪い人には見えなかった」
「モデルなんて私は絶対に反対だな。だいだいサーニャは甘すぎるんだ」
サーニャは顔をしかめてベェーと舌を出して見せたがエイラは気がついていない。
「だいだい男の絵描きにろくな人間はいないんだ。扶桑の絵描きを見ろ。
股間ばかり描く変態だらけじゃないか。そんな変態の目でサーニャの事を見られるかと思うと私は私は…」
「エイラの馬鹿!」サーニャは枕を投げつけると部屋を出て行った。
一人残された部屋の中で寂しそうにエイラが呟く。
「私はサーニャの事が心配なだけなんだ。それなのに…サーニャの分からず屋!」

340 名前:サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 10:11:43 ID:kyCPAeeI
【魔女の肖像画】3/7


「お疲れ様ですサーニャ中尉。今日もご無事で何よりです。早速ですが始めましょうか?」
サーニャが夜間哨戒から戻ってくると、青年は既にキャンパスを広げて絵を描く準備をしていた。
「毎朝早いんですね。そんなに無理して任務に支障はないんですか?」
絵を描き始めてから既に一週間になる。
もうだいぶ絵は仕上がっていると思うが、青年は頑として絵を見せてくれなかった。
そんな青年にサーニャは軽い苛立ちを感じる。いったいどんな絵を描いてるのか気になって仕方がなかった。
「僕のことは気にしないで下さい。大丈夫ですから…」
青年は一心不乱に筆を動かしながら時おり真面目な瞳でサーニャを見つめた。
そのたびにサーニャは顔が赤く火照るのを感じた。
「絵が出来たら絶対に見せて下さいね」
「もちろんです…ってゆーか、絵は中尉殿に差し上げるつもりです」
「いいんですか?」
この青年は何の為に絵を描いてるんだろ。本当に絵の勉強のためだろうか?
サーニャは首を傾げて青年を眺めた。

341 名前:サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 10:12:28 ID:kyCPAeeI
【魔女の肖像画】4/7


「サーニャ。大切な話があるんだ…」
昼食が終わってリビングでくつろいでいる時にエイラがそっと耳打ちした。
「話ってなーに?」
他の隊員は部屋の中央で先日撮影した写真の話題で盛り上がっている。こちらに注目している者は誰もいなかった。

「例の青年のことだけど…少し調べてみたんだ」
エイラは少し躊躇いながら真顔で続けた。
「支援部隊にはオラーシャ出身の人間はいないんだ…何の目的か知らないけど、あいつは嘘をついてる!」
「…」
「ちゃんと聞いてるのか、サーニャ?」
「ごめん。今はその話はしたくないの。もうすぐ絵が完成するわ。そしたら…」
「そしたら…?」
「そしたら全てがはっきりすると思うの」
「そんな…! 私はサーニャのことが心配なんだ! あんな奴にこれ以上付き合うことなんてない!」
「私は平気だから。だから…もう少しだけ待って。エイラ」
サーニャは席を立つと足早に食堂を後にした。
「ちょ、ちょっと待って。話はまだ終わって…」
「ごめん。わたし今日も夜勤なの。だから先に寝るね」
「サーニャ…」

342 名前:サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 10:12:51 ID:kyCPAeeI
【魔女の肖像画】5/7


「エイラ中尉と喧嘩してるそうですね? もしかして僕のせいですか?」
申し訳なさそうな顔で青年が尋ねた。
「あなたが気にする事じゃないわ」
「絵は完成しました…けど、僕にはエイラ中尉の誤解を解けそうにありません」
「…」
「約束通り絵は差し上げます。僕の願いは叶いました。僕はここから消える事にします」

「もとの世界…いえ未来の世界に帰るのね?」
青年は驚いた顔でサーニャを見詰めた。
「驚いたな…いつから気がついてたんですか?」
「初めて会った時から。あなたエイラの面影があるわ」
サーニャは悪戯っぽく笑ってみせた。
「…なんてね。確信したのは写真を拾ってから。あなたエイラの写真を落としたでしょ? 色褪せた古い写真。
あの写真ね、4日前に撮られた写真なの。写真を見比べた時は本当に驚いたわ」
「やっぱり、おばあちゃんが拾ってたのか…あの写真」
「まさかと思ったけど、やっぱりそうなのね?
でも"おばあちゃん"はよして。私は"おばあちゃん"なんかじゃないわ」
青年は少し躊躇いがちに目を伏せた。
「…サーニャさんは僕の父親の母。エイラさんは僕の母親の母なんです。
つまり両方とも僕のおばあちゃんって訳です。今まで隠していてごめんなさい。
でも余計な混乱は避けたかったんです」
「おばあちゃん…? まさか…」サーニャは目を丸めて絶句する。
「本当に…本当に私があなたの"おばあちゃん"なの?」
「僕はサーニャおばあちゃんに似てるって、よく言われてましたよ。
見た目だけじゃなく芸術家としても、ね」
サーニャは困惑の表情を浮かべた。

343 名前:サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 10:13:26 ID:kyCPAeeI
【魔女の肖像画】6/7


「私が"おばあちゃん"だという事は認めたくないけど、とりあえず認めるわ。
でも、あなたはどんな方法でこの世界に来たの?」
問い掛けて直ぐにサーニャは気がついた。
「魔女の力を受け継いだのね。男の子なのに? 時間を跳躍する固有魔法?
そんな途方もない魔法力があるなんて信じられないわ」
「僕は伝説の魔女2人の血をひいてるんですよ。
それより、未来の世界がどうなってるのか興味はないんですか?」
サーニャは首を横に振った。
「あなたを見てれば分かるわ。とても幸せそうだもの。
それに…あなたの存在そのものが証明してる。私達の戦いが無駄ではないことを」
青年は照れたように頷いた。
「501部隊にいた頃の若いサーニャ"おばあちゃん"にどうしても会ってみたかった。
やっぱり来て良かった」
「このままエイラに会わないで帰るの?」
「エイラおばあちゃんは、僕が絵描きになることに反対してて…なんか苦手なんです」
青年は少し苦笑いをしながら答えた。
「だけど…、その絵はエイラおばあちゃんに渡してくれると嬉しいかな。
サーニャおばあちゃんからの贈り物なら、エイラおばあちゃんも喜びそうだし」
「なるほどね。分かったわ。エイラおばあちゃんの事は私に任せなさい。
あなたが産まれるまでに、絵描きに対する偏見を直してみせるから」
「ありがとう。僕はそろそろ帰ります。僕の能力じゃ上手いこと条件が揃わないと時間を跳躍できないから」
青年は明るみ始めた滑走路をゆっくりと歩き出した。
「ちょっと待って…」
サーニャが慌てて青年を引き止める。
「もう一度…もう一度だけ顔をちゃんと見せて」
サーニャは青年に近づくと両腕で青年を抱きしめた。知らぬ間に涙が溢れでていた。
この不思議な感情をどう表現すれば良いのだるう? サーニャには分からなかった。
「むこうに帰っても無理をしないで…体には気をつけて…」
青年はクスクスと笑った。
「やっぱりサーニャおばあちゃんだ。未来でも同じことを言ってる」
「年寄りの言うことは聞くものよ。元気でね…さよなら」
「またすぐに会えます。おばあちゃん」

344 名前:サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 10:14:01 ID:kyCPAeeI
【魔女の肖像画】7/7


サーニャは青年の描いた絵を壁に立てかけて眺めていた。
サーニャとエイラが寄り添うように並んでいる絵。凛々しくも優しい表情をしたサーニャとエイラ。
繊細なタッチで描かれたその絵からは、まぎれもない画家の愛情が溢れ出ている。
絵を眺めているだけでサーニャは幸せな気分になった。
「あいつ…何でエイラの写真を持ってるのかと思ってたら、こういう事だったのね。
…素直じゃないところはエイラに似ちゃったのかしら?」
腕組みしたサーニャは自分の考えが可笑しくてクスクスと笑い出した。

「サーニャ? これが例の不審人物が描いた絵か?」
いつの間にかエイラが横に並んで絵を覗き込んだ。
「うわっ! これって私じゃないか? な、なんでだ? 私はモデルになった覚えはないぞ」
「素敵な絵だと思わない? エイラ」
エイラは無言のまま絵を眺めていたが、暫くしてからポツリと呟いた。
「うん…いい絵だな…」
内心でガッツポーズをとりながら、サーニャは涼しげな顔をしている。
「気にいった?」
「うん。なんて言うか…サーニャが綺麗だな…」
「この画家さんね、この絵をエイラに貰って欲しいんだって言ってたわ」
エイラが必死の形相で振り向いた。
「えっ! いいの? これを本当に私が貰ってもいいの?」
「私もエイラに貰ってもらうのが一番良いと思う」
「そうか、この絵は家宝として孫の代まで大切にする」
「うん。きっと私達の孫も喜ぶと思うわ」
「えっ?」

「戦争もいつかは終わる。いつの日か私も年老いて、この手に孫を抱くことになるのね」
サーニャは感慨深い気持ちでいつまでも絵を眺めていた。

345 名前:サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 10:14:23 ID:kyCPAeeI
【模擬訓練】1/3


宮藤は午前の模擬訓練が終了すると、真っすぐにサーニャの所に向かった。
「ねぇ、エイラさんって弱点ないのかなー?」
宮藤の服はペイント弾のインクでベトベトに汚れている。
「いくら撃っても予知魔法で読まれちゃって全然当たらないんだ。エイラさんズルいよ。
サーニャちゃんならエイラさんの弱点知ってるんでしょ?」
「知ってるけど…」
サーニャは少し困った顔をして続けた。
「エイラの弱点を教えることは出来ないわ。だってそれはエイラを裏切るのと同じことだもの…」
宮藤は一瞬ハッとした顔をすると頬を赤く染めて恥いるように下をむいた。
「そ、そうだよね。ゴメンね変なこと訊いちゃって…」
宮藤につられるようにサーニャも頬を赤らめてうつむく。
「ううん。こっちこそ役に立てなくてゴメンね…」

346 名前:サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 10:14:41 ID:kyCPAeeI
【模擬訓練】2/3


午後の模擬戦でサーニャはエイラと対戦することになった。
後ろから執拗にマークしてくるエイラを魔導針で補足しながら、サーニャはぼんやりと宮藤のことを考えていた。

「芳佳ちゃん…エイラを撃墜する方法は本当は沢山あるの。
一つ目は予知しても避けようのない攻撃をする方法。例えばペリーヌさんの雷撃みたいに。
二つ目はエイラの魔法力が消耗するのを待つ方法。鋭い攻撃を続けて予知魔法をずっと使い続けさせる。
三つ目はエイラに予知魔法を使わせない方法。心理的な揺さぶりを掛けるなどしてエイラの集中力を撹乱する。
そして四つ目は…」

サーニャは目の前に浮かぶ大きな雲に飛び込んだ。

347 名前:サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 10:17:39 ID:kyCPAeeI
【模擬訓練】3/3


サーニャを追ってエイラも雲の中に飛び込んだ。濃密な雲の中は、まるで視界が効かない。
追撃を諦めて雲から抜け出そうとしたエイラは突然顔色を変えた。
「ま、まずい!」
狼狽したエイラの腹部と右肩にサーニャのペイント弾が直撃した。
困惑するエイラに次々とペイント弾がヒットしていく。

「四つ目は…エイラの予知した光景を利用する方法。
エイラは少し先の未来の光景を見ることが出来るわ。
でも濃密な雲で視界が遮られてる状態では、エイラの見てる未来の光景も雲に遮られている光景でしかないの。
エイラは自分が撃たれた場面を知る事はできても、弾がいつどこから何発飛んできたのか『見る』ことは出来ない…
だから、エイラはどの方向に逃げれば良いのか分からないし、予知魔法で逃げる方向を検証してる時間的余裕もないわ。
でも私にはエイラの正確な位置が見えるし、エイラが何を予知しているのか『見える』…」

サーニャは軽いため息をつくと沈んだ表情で呟いた。
「もちろんエイラは私が相手だから手加減してるわ。でもねエイラ、私も手加減してるのよ。
私が本気なら、雲の中に誘い込むようなまどろっこしい真似はしない。
最初からナパーム弾を使って、エイラの周囲1キロ四方を一瞬で火の海にしてるわ」

348 名前:サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 10:21:57 ID:kyCPAeeI
【SHE/みっちゃん編】


遠い風が運んだエアメール
ぎこちない綴りの宛名書き
ポトリと落ちた一枚の写真
あなたと伝説の魔女たち 501部隊に溶け込んだあなたの笑顔

あなたの全てを変えた土曜のベースキャンプ
制服を着替えて お洒落をして ピアスをして 二人で急いだ

Dear my best friend
元気でいて 見知らぬ空の下
Dear my best friend
泣き虫のあなた 海を飛び越した

あのころ語り合った夢
現実はそんなに上手く行かないね
あなたの活躍を聞いてから
本気で夢を追うことなんて
今は忘れてしまいそう

ニュースが伝えるあなたの活躍を見ていた
手の届かぬ場所へと あなたは行く
わたしは ただ ただ立ちつくした

Dear my best friend
覚えてるよね 壁の落書きを
Dear my best friend
時間が落とした小さな忘れ物
Dear my best friend
幸せそうな写真をふせる
Dear my best friend
元気でいて 見知らぬ空の下
Dear my best friend
泣き虫のあなた 海を飛び越した

349 名前:サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 10:23:35 ID:kyCPAeeI
>>348はSSじゃねーな。プリプリの名曲を改竄したものだわな。まぁ良いか…

350 名前:Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/02/12(土) 10:29:00 ID:nqEBa8jM
おはようございます!Hwd8/SPpです。

>>315-347
いやあ…やはりエイラーニャ人気はスゴいですね!読んでいてとても勉強になります!

話は変わりますが、2008年11月26日にn7rMsqmD様が書かれた「ウィッチーズ劇場シンデレラリーネ」という作品が大好きです。しかし、未完なため続きはどうなるのだろう…?とずっと思っていたのですが…。
なので誠に勝手ではございますが!続きを自分が書きました!…勝手な行動をお許しください;;


【ウィッチーズ劇場 シンデレラリーネDX】

(語り手:ミーナ)

むか〜しむかし…あるところにリネットという胸が大きい、可哀想な女の子がいました。
リネットのお母さんは生まれてすぐに死んでしまい、お父さんはミーナというカールスラント人と再婚しました。

「たっ、隊長がお母さんだなんて…っ」
「リーネちゃん!!もう物語始まってるよ!!;;」

ゴホンッ…ミーナには、トゥルーデとエーリカという2人の連れ子…ちょっと!私まだ18よ?!

「ミーナ、落ち着け」
「でも美緒!」
「愚痴なら後でたくさん聞いてやる」
「…もう…」

連れ子が2人居て、お父さんが生きているうちは仲良くしていました………が!
お父さんが死んだ途端、ミーナは財産を全て自分達の物にしてリネットには襤褸を着せて、まるでメイドの様にこき使っていました…。

「まるで鬼ね…」
「いやあ、ミーナ合ってるかもよ〜」
「…エーリカ、後で私の部屋に来なさい…」
「ってエイラが言ってた」
「わっ、私カヨッ??!!」

そして、トゥールデとエーリカはいつもリネットを虐めていました。

「ゴホン…リーネ、スマン…これはセリフなんだ。きっ、貴様…なんてけしからん乳をしているんだ!」
「アハハ…どーしてロクな物を食べていないくせにおっぱいが大きいんだろうね…トゥルーデ姉さん♪…あ、お姉ちゃん」
「その言い方はやめろ!!!」

そしてトゥルーデとエーリカはいつものようにリネットの胸を、まるでパン生地の様にこねくり回して弄んでいました。

「ひひひ…どうだどうだ〜っ!」
「やめて下さい…トゥールデ義姉さん、エーリカ義姉さん………ちょっとハルトマンさん、台本では『フリ』だったのに本気で揉むのはやめてくださ〜い(泣)」
「あ、ミー…お母さんが帰ってきた!」

351 名前:Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/02/12(土) 10:30:58 ID:nqEBa8jM
>>350の続き。

ドレスの包みを抱えたミーナが帰ってくると、トゥルーデとエーリカに向かってこう言いました。

「明日、お城で舞踏会があります。ひょっとすると、芳佳王子の目に留まるかもしれません!二人とも、頑張っておめかしして舞踏会に備えましょう!」
「みやふ…芳佳王子が私のモノに!よし…芳佳…よしっ…よしホーッ、ホアーッ、ホアアーッ!!!!」
「トゥルーデ落ち着いて!!;;」

「お義母様…ドレスの包みが3つありますが…」
とリネットはミーナに聞きました。

「これは私の分です。もしかしたら美緒国王の目に留まって側室に…(ジュルリ」
「うわ〜、ミーナ半分マジだよ…」
「そうそうリネットさんにはカラス豆を選別して貰います」

リネットはがっかりしました。

「リネット!さぼったら承知しないからな!」
「けっこう毛だらけ〜リネット灰だらけ〜♪」
「…ぐすっ」

2人の義姉はリネットに追い討ちをかけるような事を言い、包みを抱えて自分達の部屋に向かいましたとさ…。

352 名前:Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/02/12(土) 10:32:36 ID:nqEBa8jM
>>351の続き。

そして舞踏会の夜…リネットはかわいそうに1人残って泣きながらカラス豆を選別していました。

「残らせたのはミーナじゃ〜ん」
「だから黙ってろ、エーリカ!」
「へ〜い…」

「ああ、わたしも舞踏会に行きたいわ。芳佳ちゃ…芳佳王子さまに、お会いしたいわ」

でも、シンデレラのボロボロの服では舞踏会どころかお城に入る事も許されません。
その時、どこからか声がしました。

「泣くのはおやめなさい!!!!」
「キャッ!?不法侵入!!??」

「現実的ダナ、このシンデレラ…」

「だっ…誰ですか?」
「私はペリーヌ。誇り高き妖精ですわ!」
「リーネさん、アナタははいつも仕事をがんばる、とても良い子ですね。そのごほうびに、このワタクシが舞踏会へ行かせてあげましょう………あんな38歳に坂本少佐を取られるだなんてたまったモンじゃありませんわっ!!」
「あは…あははは」

…ペリーヌさん、後で私の部屋に来てくださいね。

「ゴホン…ではリネットさん、畑でカボチャを取ってくださいまし」
「はっ、はい!」

魔女に言われた通り、リネットは畑からカボチャを取って来ると魔女はそのカボチャを魔法のつえで叩きました。

「トネール!…ラピエルッ!!!!」

凄まじい雷光とともに、そこには………

「ウジュー…私はシンデレラ役やりたかったよぉ〜!」

カボチャがどんどん大きくなり、何と黄金の馬車(正確にはルッキーニさんがカボチャの着ぐるみを)になったではありませんか!

「あつい〜あ〜つ〜い〜」
「ゴメンね、ルッキーニちゃん…後で冷たい飲み物作ってあげるね…」
「なんでぺったんこが継母役じゃないの〜?」
「なっ!!しょうがないでしょう!!それに何です?!そのあだ名!!」
「ぺったんこはぺったんこじゃ〜ん」
「2人とも!!今は…ケンカはよした方が…」

ゴホンッ…ペリーヌさん、続けて。

「ごめんなさいわ、えと…まだまだ、魔法はこれからですわ!さてと、馬車を引くには馬が必要ですわ。その馬は、どこにいるのかしら?」

すると魔女はポケットからウサギを取り出しました。そして先ほどと同じように、

「トネール!…ラピエルッ!!!!」

凄まじい雷光とともに、そこには………

「えと…この扱いは流石に酷いと思うんだけどなあ…」

ウサギは立派な白馬(正確にはシャーリーさんが馬の着ぐるみを)になりました。

「これって特別手当出るんだよな?隊長」

え、ええ…まあ…シャーリーさん!今はこれに集中して!

「おっといけね、ヒッ…ヒヒ〜ン!!」
「さあリーネさん!これで舞踏会に行く仕度が出来ましたわよ」
「うれしいです!ありがとうございます!…でも、こんなドレスじゃ」
「あぁ、もう!一度で仰いなさい!もう!」
「す…すいません…」

魔女がまた杖を叩くと、みすぼらしい服はたちまち輝く様な純白の美しいドレスに変わりました。
同時に、小さくて素敵なガラスのクツもくれました(ここ、重要!)。

「さあ、楽しんでおいでませリーネさん。でもワタクシの魔法は12時までしか続かないから、それを忘れないこと」
「わかりました〜!ペリーヌさ〜ん、ありがとうございま〜す!」

そうして、リネットは馬車に乗り芳佳王子の居るお城へ向かいました…。

353 名前:Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/02/12(土) 10:34:12 ID:nqEBa8jM
>>352の続き。

その頃、お城ではダンスパーティーが催されていました。

「ウジュー…私たちは一人何役なの〜?」
「がーまんだ、ルッキーニ」
「と言うか私もダゾ…それにしてもサーニャ、ドレス似合ってるゾ!」
「エイラも…タキシード服似合ってる…」
「…お2人さん、イチャつくのはロビーでやってくんないかなあ?」
「ねえシャーリー!あそこにあるオードブル食べようよ〜」
「そうだなあ………って、ペリーヌ!お前いつの間に魔女役からウェイター役に変わったんだ?!」
「うるさいですわねえ…人手が足りないですの!」
「ほえ〜っ…ペリーヌ、胸が小いさいから男の服が似合うね〜!」
「なななな何ですの??!!」

ゴホンッ…
さて、お城の大広間にシンデレラが現れるとそのあまりの美しさにあたりはシーンと静まりました。
それに気づいた芳佳王子が、シンデレラの前に進み出ました。

「うわあ…リーネちゃん、綺麗〜っ!!」
「あ、ありがとう芳佳ちゃ…王子さま…」
「えと…ミーナ隊長、セリフなんでしたっけ??」
「おいミヤフジー、ちゃんと台本読んどけヨー」
「あ、思い出しました思い出しました!!ぼくと、踊っていただけませんか?」

「宮藤宮藤宮藤宮藤宮藤…」
「トゥルーデ、セットの柱が壊れちゃうよ…そんなしがみついたら…」

リネットはとてもダンスが上手でした。
王子はひとときも、シンデレラの手を離しません。
楽しい時間は、あっという間に過ぎてハッと気がつくと12時になる15分前です。

「あっ、いけないわっ!…おやすみなさい、王子さま」
「えっ、リーネちゃん??!!」

リネットは丁寧にお辞儀をすると、急いで大広間を出て行きました。
ですが、慌てた拍子にガラスのクツが階段にひっかかってガラスのクツが脱げてしまいました。

「あっ!!」

12時まで、あと5分です。
カラスのクツを、取りに戻る時間がありません。シンデレラは待っていた馬車に飛び乗ると、急いで家へ帰りました。
シンデレラの後を追ってきた王子さまは、落ちていたガラスのクツを拾うと王さまに言いました。

「ぼくは、このガラスのクツの持ち主の娘と結婚します」
「わっはっは…そうか宮藤ぃ!なら結婚する前に訓練だぁ!」
「えぇぇっ??!!さっ、坂本さん…」

354 名前:Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/02/12(土) 10:34:49 ID:nqEBa8jM
>>353の続き。

次の日から、お城の使い(エイラさんとサーニャさん)が国中を駆け回り、
手がかりのガラスのクツが足にぴったり合う女の人を探しました。

「ムリダナ」
「エイラ…」
「だって王子もムチャ振りダゾ?こんな何千軒もあるのに…」
「私も手伝うから…」
「キョ、今日ダケダカンナー」

そしてお城の使いはリネットの家にもやって来ました。

「さあ2人とも!このクツが足に入れば、あなたたちは王子さまのお嫁さんよ」
「うわあ…ミーナ、お母さん役が染みついてるね」
「………っ」
「おおおいエーリカ!!どれどれ!私から履いてみよう!!」
「…お願いだからトゥルーデ、履く『フリ』をしてよ?魔力解放とかして壊さないでね」
「…;;」

二人のお姉さんたちは小さなガラスのクツに足をギュウギュウと押し込みましたが、
どう頑張ってもガラスのクツは入りません。

「わ〜無理だ〜(棒読み)」
「残念ながら、この家には昨日の娘はいないようダナ」

そう言ってお城の使いが帰ろうとした時、リネットが現れて言いました。

「リーネさん、どうぞ…」
「何をバカな事を言っているんだ!!」
「えと…そうよ、あたしたちにも入らないのにあんたなんかに(棒読み)」
「もっと力を入れて演技しろ!」
「え〜…だってだんだん面倒くさくなってきたんだも〜ん」
「あ…」

すると1人の使いが小さな声をあげました…

「当たり…ダナ」

リネットが履いてみると、ガラスのクツはピッタリです。
みんなは驚きのあまり、口も聞けません。

するとそこに、ペリーヌさん扮する魔女が現れます。

「あらあら、わたしの出番ですわ」

魔法の杖を一振りすると、リネットはたちまち眩しいほど美しいお姫さまになっていました。

「「「あっ、あのリネットが??!!」」」
「………バルクホルン大尉、今ちょっとタイミングがズレたロ?」

お母さんと二人のお姉さんたちは、ヘナヘナと腰を抜かしてしまいました。
それからシンデレラは王子さまと結婚して、いつまでも幸せに暮らしました。

めでたしめでたし………。


***

355 名前:Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/02/12(土) 10:36:04 ID:nqEBa8jM
>>354の続き。




「…やはりやめましょう」
「えぇっ??!!」
「うん、そもそも主役がリーネって時点で地味なんだよね〜。やっぱ主役はこのエーリカちゃんじゃなきゃ」
「酷いです、ハルトマン中尉」
「じゃあ私やる〜っ!!!!」
「ルッキーニはカボチャの馬車役でじゅうぶ〜ん」
「はああ…」

リハーサルの終えたステージにて、ミーナはその場で座りこむ。

「地域貢献の一環として、近隣の村の子供に見せようと思ったけど…こんな劇は見せられないわ!」
「わっはっは、ならば私が能を舞おう」
「え?!坂本さん、舞えるんですか??!!」
「舞えん!」
「と言うか、おっぱい揉む童話なんて聞いたことないわ!!」
「しかし、ミーナ…予算かけてセットや小道具を作ったんだぞ?」
「中止よ、中止!」
「私とエイラが協力して台本書いたのに〜」
「そうダゾ!本来はもっとリーネがあんな目やこんな目に遭うシナリオだったんダゾ?!」
「エイラ…」
「………頭痛いわ、私は横になってます。それと、エーリカとペリーヌさんは後で私の部屋に来なさい」




【おわれ】



以上です。書いててスゴい楽しかったです!
何か不都合等がありましたらご連絡お願いします。

356 名前:名無しさん:2011/02/12(土) 11:04:51 ID:fC7sHxpQ
>>315-347
短編集かな、乙。雰囲気すきだった
あんまり長いのはあぷろだにテキストでまとめた方がいいかもな

>>355
コメディおもしろかった乙

357 名前:サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 18:05:15 ID:kyCPAeeI
【Magic Waltz】

基地にはピアノが設置されている。ミーナ隊長の趣味で用意されたピアノだ。
暇があるとサーニャは、このピアノに張り付いて延々と曲を弾き続ける。
有名なクラシックからジャズ、ポップスに至るまで何でもこなす。気分のままに即興で曲を作る事も多い。
エイラはサーニャのピアノを聴くのが好きだった。

気だるい日曜の午後、エイラはピアノの音に誘われて音楽室のドアを開けた。
「ここにいるのかサーニャ?」
部屋の中を覗き込んだエイラが絶句した。
サーニャのピアノに合わせて、無数の花びらが部屋の中を渦を巻いて舞っている。
「な、なんだコレ?」
そよ風に舞う無数の花びらを目で追いながら、エイラはサーニャの隣に腰を下ろした。
「どう? 素敵でしょ?」
ピアノを弾きながらサーニャが尋ねた。
「うん…でもコレは?」
「Magic Waltzという曲よ。1900という名前の人の曲」
「いや、曲名じゃなくて…」
言いかけたエイラが部屋の片隅に目を留めた。
「ハルトマン…?」
部屋の隅でハルトマンがクスクスと笑っている。
「気づくのが遅いよエイラ」
「何やってんだ、こんなとこで?」
「演出。Magic Waltzって曲にピッタリでしょ?」
「うぐぐ…確かに悪くはない」悔しそうにエイラが言う。
「村の人達に招待されて、次の日曜日に公民館で演奏することになったの。その練習よ」
サーニャが慌てて説明した。
「地域貢献の一環ってやつ。ミーナ隊長の命令でもあるんだよ」ハルトマンが補足する。
「そうか、それなら私も協力するぞ!」
「いいけど、エイラは何か楽器が弾けるの?」ハルトマンが意地悪そうに言う。

「私はDJ兼MCパーソナリティをやる! スターライトストリームで慣れてるから安心していいぞ」
「えっ?」

358 名前:mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/02/12(土) 21:50:42 ID:Vrkwrbm2
>>サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk様
GJです。短編集ですかね? どれもステキです。凄い量に圧倒されました。

>>355 Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA様
GJ! 相変わらずのハイテンションぶりが面白かったです。


こんばんは。mxTTnzhmでございます。
軽く思い付いたネタを、短く文章化してみました。
ではどうぞ。

359 名前:memory and record:2011/02/12(土) 21:51:37 ID:Vrkwrbm2
 風の無い穏やかなある日の事。兵舎の窓のひとつを開け放ち、外を見るビューリングの姿があった。
「ビューリングさん、こんな所で一体何を?」
「ちょっとな」
 煙草の火をくゆらせ、どんよりと曇った空を眺める。
 しばしの沈黙。エルマはビューリングの背後に立ったまま。ビューリングはそんな彼女の表情を振り返って見る事も無しに、ぽつりと言った。
「あいつの……」
「えっ?」
「昔の話さ。ライバルだった奴が居るんだが……そいつが戦死してな」
「そうなんですか。お気の毒に……」
「今日はそいつの命日なんだ」
「……」
 冷たい風が、軽く窓を通して部屋に入ってくる。お構いなしのビューリングは、煙草をくわえ、言葉を続けた。
「ここには墓も無いし、思い出すものと言えばあいつの小憎らしい顔位。でも、せめてもの手向けに、思い出す位はしてやらないと」
「十分ですよ。だって、覚えていてくれる人が居るって事は、それだけ覚えてる人に愛されてるって事ですから」
「エルマは優しいな。無条件にそう思えるなんて」
「えっ……違うんですか」
 ビューリングは何も言わずに、もう一本煙草を取り出すと火を付けた。
「私は……」
 エルマの方を振り向き、ビューリングは独り言の様に呟いた。
「ネウロイとがむしゃらに戦って名誉の戦死を遂げるか……一人生き残って恥を背負うか」
 エルマは黙り込んで、ビューリングの顔をじっと見た。
「私にはどっちも出来ん。せいぜい、馴染みの顔を思い出して……」
「そうやって、いじけてるの良くないと思います」
 毅然とした表情のエルマ。
 珍しい。
 ぴくりと眉を動かして反応を見る。エルマは彼女なりに、必死に訴えかけている。
「亡くなった方を弔うのはとても大事な事です。でも、貴方には……」
「分かってる。生きて恥を背負ったまま、今の仲間を守るさ。私にはそれしか出来ん」
 煙草の火を消し、エルマの顔をじっと見る。
「それなら、良いんです」
「エルマに納得された」
 少し驚くビューリング。
「もっと、今の貴方を、今の私達を、大事にしてくれれば、それで良いんです」
 エルマはそう言って、一歩踏み出した。
「分かってるさ」
 ビューリングは、エルマをそっと抱きしめた。ごく自然な感じで。
 一陣の風が、二人を包み、抜けて行く。
 ビューリングは鈍色の空と太陽を窓越しに見上げた。
 エルマは彼女の悲しそうな目を見た。やがて、彼女の瞳が自分のそれと重なる時、悲しみは薄れ、希望にも似た光を湛えている事に気付く。
「そうだな。私は……」
 言いかけたが、エルマにぎゅっと抱きしめられ、ビューリングは答えが出なかった。でもそれで良かった。
 居なくなった者を慰めているつもりが、逆に慰められるとは。でも、それで……。

end

360 名前:名無しさん:2011/02/12(土) 21:51:48 ID:Vrkwrbm2
以上です。
ビューリングさんは何処か引きずってる感じがして
それをエルマさんが頑張って癒してあげたらと思います。

ではまた〜。

361 名前:名無しさん:2011/02/12(土) 21:52:44 ID:AySEBkRw
何処かに載っていたSSにサーニャスレに投下されたやつの転載オンパレード
ついでに百合としては喧嘩売ってるやつまで・・・
荒らしはどっか行ってくれないか

362 名前:名無しさん:2011/02/12(土) 21:56:39 ID:AySEBkRw
NG→ID:kyCPAeeI

363 名前:サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/12(土) 22:16:39 ID:kyCPAeeI
>>361
荒らしてるつもりは無いけど厳しいな。まぁでも駄目なんだろうな。
ハルトマンを主人公にしたSSも考えてるけど、長くなりそうだし百合でもないしないしな。

でも、せっかくだから触りの部分だけでも投下させてくれ。


【ホムンクルス計画】


『ナチズムを政治運動としか理解せぬ者は、実は何も知らないに等しい。ナチズムは宗教以上のものだ。
それは新しい人類創造の意志である。自分とその組織は、新人類を創造する使命を受けているのだ』
〜アドルフ・ヒトラーの談話より抜粋


1929年、私はカールスラントの施設で産れた。ナチスの前身であるトゥーレ協会を母体とする大きな研究所だ。
後にトゥーレ協会はナチスに疎まれて排除されることになるが、その思想は確実にヒトラーの中に残された。
すなわちアーリア民族主義。ハインリヒ・ヒムラー長官はこれを自身のオカルト思想と結び付けて、様々な秘密
結社を立ち上げていた。一般に知られる「レーベンスボルン(生命の泉)計画」は、人口増加と純血性の確保を
目的とした母性養護の福祉機関だと言われているけど、本質的には人種改良計画の一翼を担っている。
だけど、それは深い闇に閉ざされた全体の中の一部でしかない。
それより遥か以前に積極的優生学に基づく「本当の人種改良計画」の研究は始まっていたんだ。

私の産れた研究施設もその中の一つだった。
目的は『高レベル魔法力を持つ魔女の遺伝子を解析し、人工的にレベル5以上の魔女を量産する』こと。
研究所の人達はそれを「ホムンクルス計画」と呼んでいた。
当初の研究はネウロイの出現とは何も関係はなかった。それは純粋にナチスの思想に基づくものだった。
ネウロイの出現以降、研究は対ネウロイの戦略的な軍事研究へと変貌していく。

親愛なるトゥルーデ。何から話して良いのか未だに気持ちの整理がついていない。
私はこれから「ある行動」を起こさなくてはならない。私の行動に賛同してもらうつもりはない。
ただ、私が行動しなければならないという事を理解してほしい。
カールスラント総統のヒトラーの動向がはっきりした。あいつは私達がカールスラント奪還作戦を決行する日に
すぐ近くまで来る予定なんだ。本当にすぐ近くまで、私の手が届きそうな距離に。

親愛なるトゥルーデ。あなたがこの手紙を読み終える頃には、全ての決着がついているだろう。
どのような結末を迎えることになったとしても、私はトゥルーデと出会えた事を神に感謝したいと思う。

364 名前:名無しさん:2011/02/13(日) 00:02:55 ID:Smzv2GJY
ううん、読むのが間に合わない。
2月13日の祭りに巻き込まれる前に投下するつもりだったんだけど、>>363のつづきは大丈夫なのかな?
なければ短めのを投下したいんだけど。

365 名前:名無しさん:2011/02/13(日) 00:06:09 ID:2JIf5OhM
ここは『避難所』ですよ〜

366 名前:サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk:2011/02/13(日) 00:12:00 ID:VrhkGu5s
>>364
もう辞めとくから大丈夫ですよ

367 名前:zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2011/02/13(日) 00:28:40 ID:Smzv2GJY
>>366
そうなのですか…。
個人的にはここに投下しにくいないようでしたらpixiv小説などへの投下もアリじゃないかと思います。

今日が誕生日のキャラとは全然関係なくてごめんなさい。
真美とおケイさんネタです。

368 名前:zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2011/02/13(日) 00:33:38 ID:Smzv2GJY
●トブルク1943 まみちゃんがおっぱ(ry

「うん、しょ……っと。ケイさん、書類はココでいいですね」
「……ええ、ありがとうね、真美」

 冷え込みのきつくなる夜。
 お使いを色々頼まれて辿り着いたテントの中、ケイさんは書類に埋もれていた。
 そんなところに更に書類束を持ってきたものだから流石のケイさんも「うえー」って表情になる。
 そうはなるけれど、お使いを頼んだ対象であるわたしなんかにしっかりと「ありがとう」という感謝の言葉を作れるのは本当に大人だなぁと思う。
 そんなケイさんにわたしが出来る事は……そうだ。

「あの、ケイさん」
「なぁに? 真美」
「肩、凝ってませんか?」
「あら、もしかして」
「はい、デスクワークで疲れているでしょうし、よろしければ肩揉みでもと思いまして」
「嬉しいわね。じゃあ、お願いしてもいいかしら? すこし休んだ方が帰って効率上がりそうだし」
「はいっ」

 そんなわけで背もたれのある椅子に腰掛けたままのケイさんの肩をもみ始める。
 まずは様子見で軽く揉みながら全体を把握します。
 うん、とっても硬い。
 肩の上のラインから肩甲骨の間辺りの辺りがガチガチになっている感じ。
 これは、もしかするともっと下の方まで固くなっているかも。

「ケイさん、ちょっとお願いがあるんですけれど」
「ん? どうしたの?」
「ええと、逆向きに椅子に腰掛けられませんか」
「あら、ずいぶんと本格的になってきたわね。いいわ……よし、これでいい?」
「ありがとうございます」

 背もたれ側を抱くようにして座りなおしたケイさんの肩から背中にかけてを改めて触る。
 結構下の方まで背骨の両側とか、肋骨よりも下の辺りの腰に硬さがある。
 わたしの武器の調達とか、偉いおじ様達に言えば色々持ってきてくれてるみたいだったけれど、代わりに裏では山のような書類が発生してたんですね。
 その書類処理のためには結局隊長であるケイさんが机に縛り付けられて頑張ってる。
 そんな頑張ってるケイさんの為に、わたしも頑張って肩揉みします!
 軽く揉みながら大体の状態を確認できたので、次は懲りの頑固そうな所を中心に軽く叩いてほぐして行きます。
 とんとんとん……。
 子供っぽいわたしからすると羨ましさを覚える様な女性らしいラインのケイさんの背中を、軽く作った握りこぶしでリズミカルに叩いていく。
 その後は手のひら全体で硬さの残る辺りをさするようにして揉み、最後に指で押していく。
 で、当のケイさんなんですが……さっきから「んっ」「ああっ」「あんっ」「そこぉ」と、なんだかもしかすると声だけ拾ったらすごくヒワイな事になっている気もします。
 ちょっと、こっちまでドキドキしてくるかも……。

369 名前:zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2011/02/13(日) 00:36:01 ID:Smzv2GJY
 指先の感覚としてはまだまだ凝りは奥深いけれど初めに比べると柔らかくなってきていて、すこし汗ばんでも来た様なので、あとあとのもみ返しのことを考えるとこのくらいで止めておくのがいいかもしれません。

「とりあえず、このくらいでしょうか?」
「はふぅ……、あら、もうおしまい?」
「はい、あまりやりすぎると却ってもみ返しで痛くなるかもしれませんし、もう30分近くたっています」
「あら、そうだったのね……私とした事が」
「でも、もっと続けてほしいほど気持ちよかったのなら幸いです」
「ええ、すごく良かったんでまた今度も頼んじゃおうかしらね」
「はい、是非!」

 椅子に座りなおしながらそう言って微笑みかけてくれるケイさんに対して、二つ返事を返した。
 悦んでくれて笑顔が見れる上に、なんだかちょっと普段聞けないような声を聞かせてもらえるのはこちらも幸せなので、それは非常にありがたい申し出だと思ったから。


 ――――。
 と、そんな事が数日続いたある日。

「ふぅ……真美、帰る前にちょっといいかしら」
「はい、何でしょう?」
「肩揉みの後で申し訳ないんだけど、ちょっとお願いがあるの。あなたの魔法で、試してみたい事があるのよ」
「試したい、事?」

 いつに無く真剣なケイさんの眼。
 その迫力に押されるようにして、私はゆっくりと頷いた。

「まずは……そうね、この椅子をこうして……」

 ケイさんは立ち上がると別の椅子を持ってきて、自分の椅子の後ろにそれを置いた。

「ねぇ真美、あなたの固有魔法って見た目は怪力だけれど、実際は対象物の軽量化なのよね」
「は、はい。そういう風に聞いています。自分ではよくわかりませんが」
「それって言うのは、多分だけど、自分が重量を感じた対象を軽くしているって認識でいいのよね」
「はい、多分」
「よしっ!」
「きゃっ」

 ケイさんはわたしがびっくりするほど気合を入れると、自分の椅子に座る。

「真美、後ろの椅子に座って」
「はいっ」

 言われるままに後ろの椅子へと座る。

「椅子はぎりぎりまで前に出して……私にくっつくような感じで……そうよ。そのまま腕を前に出して」
「はい。こう……ですか?」
「ええ、いいわ……うん、これで……」

 むにゅ。

「えっ!?」

 ケイさんの胴体の前側に回した手のひらになんていうかこう……重量感のある柔らかいものがっ……ごくり。

「真美、魔法使ってみて」
「えっ……あっ、はい!」

 言われるがままに魔法を使い、手に余る「にくまんじゅう」の重量感を消し去る。

「お、おおおおっ!」
「ひゃ」

 ケイさんが変な声を上げたので驚いて思わず手を引っ込める。

「あ、真美」
「すすすすいません!」
「驚かせちゃってゴメンね、真美。ね、もう一度お願い」
「えと……あの、いいんですか?」
「私からお願いしてるのよ。都合悪いなら仕方が無いけれど……」
「い、いえいえっ、そんな事はありません!」
「じゃあ」
「はいっ」

 生唾を飲み込みつつ、ケイさんの脇の下から腕を通し、もう一度胸に触れ、大きくて柔らかいものを掴む。
 程よい重量感を少しだけ堪能してから魔法を込め、重みを消し去った。

「うう~ん。やっぱり軽いわ~」

 軽く頸をかしげるようにして回しながら嬉しそうに呟くケイさん。

「そ、そんなに違うんですか?」
「ええ、かなり違うわ。暫くこうしてもらっててもいい?」
「はい……って、えええ!? あの、いいんですか?」

 暫くこうするっていう事は、わたしがずっとケイさんのおっぱを、こう……鷲づかみに状態を維持するという事でして……つまり、なんというか、すごく幸せな気分になってきました。

「え? 私がお願いしてる側よ。魔力も消費してもらってるわけだし、疲れてたり何か他に用事があるんだったらあなたの事を優先して頂戴」
「めめめ滅相もございません!」

 こんな機会は逃せません!
 でも、下手を打って失礼にならない様にしないといけませんね。

「あら、ふふふ……すこしなら揉んだりして触り心地を楽しんでくれてもいいのよ」

370 名前:zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2011/02/13(日) 00:38:12 ID:Smzv2GJY
「ええっ、ほほほほんとうですかっ!?」

 ううっ、思わず大声で反応してしまいましたが、そんな嬉しい事を言われても欲望に流されるわけには行きません。
 こうして触れているだけでも鼻血が出そうなくらい幸せなのに。

「えっと、あの……大丈夫です。変な事はしませんので、お仕事の方を進めてください」
「そう、真美は真面目ね。じゃ、お言葉に甘えて書類を片付けちゃうわね」

 ケイさんが机に向かって集中し始めた。
 私の手のひらにはただ重量ゼロでひたすら柔らかい、例えるなら綿菓子のようなケイさんのおっぱいがあって、その存在感と体温を私へと伝えてくる。
 わたしはと言えば少し、いえ、かなりドキドキしていたりします。
 この胸の過剰な高鳴りを気付かれていないか心配になるけれど、なるべく呼吸の間隔を浅く長くしてハァハァ言わないように制御。
 無意識に手のひらへと感覚が集中して、このまま手をぐーぱーとは言わないまでも微妙に動かしてというか揉みしだいて、もっと柔らかさを堪能してみたいという欲求が盛り上がる。
 そんな邪な思考を難しい事とかを考える事で何とか押さえ込もうとするけれど……うう、やっぱり手のひらの中の存在感が大きすぎて無理っぽいです。
 どうにか意識を別のものに向けられないでしょうか?
 落ち着き無く周囲を見回していると、視線が止まったのはケイさんのうなじ。
 ああ、まずいです。
 さらに肩揉み中の色っぽい声が勝手に脳内で再生され始めました。
 これは、これは泥沼……。
 なんだか頭がくらくらとしてきました。
 あれ? 目の前が、暗く……。


 ――――。
 なんだか私を呼ぶ声が聞こえる。

「真美、大丈夫?」
「んっ……。あれ? ケイさん?」

 目を覚ますと白い布地の盛り上がりの向こうにケイさんの顔があって、心配そうに私を覗き込んでいる。
 後頭部にも体温。
 この姿勢って……膝枕?

「よかった。目を覚ましたのね」
「一生懸命になってくれるのは嬉しかったんだけど、私の頼みだからってそんなに消耗するほど頑張らなくて良かったのよ」

 あれ、なんだか誤解されている気がします。

「え? あの、いえ……そういうわけじゃなくて……」
「でも、本当に助かったわ。調子がいいときとかにはまたお願いしてもいいかしら」
「は、はいっ! 勿論です!」

 口の中でゴニョゴニョと言い訳のようなそうでない様な事を言おうとするも、笑顔で膝枕な上に頭を撫でてながら優しくそう言うケイさんの前にはそうとしか答えられず、何となく手のひらに残る柔らかい体温を反芻する事しか出来なかった。



 後日、どこかからその話が流れてポルシェ少佐やマイルズ少佐のデスクワークにもお付き合いするようになるのは別の話です。

371 名前:zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2011/02/13(日) 00:40:17 ID:Smzv2GJY
以上となります。
誕生日とかバレンタインとか色々飽和してるうちに全く別のネタが出てきてしまうという……。
たくさん投下されてるSSはこのあと読ませていただきます~。

372 名前:名無しさん:2011/02/13(日) 01:12:09 ID:ILZMdGKE
>>371
GJ! マミも遂にマイスターに!w

373 名前:名無しさん:2011/02/13(日) 15:30:48 ID:ZiFWP486
>>371
GJ

374 名前:5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/02/13(日) 23:14:22 ID:5QMwXOUo
>>315 サーニャ補完計画実行委員 ◆HbpyZQvaMk様
GJです。素敵な短編集をありがとうございます。こういう雰囲気大好きです。

>>350 Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA様
GJです。501のみんなでの演劇、面白いですね〜。
妙にノリのいい501の面々が大好きです。

>>358 mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c様
GJです。シリアスな中にどこか暖かみのある雰囲気が良いですね。
自分もいつかビューエル書きたいなぁ……

>>367 zet4j65z ◆le5/5MRGKA様
GJです。このおっぱいシリーズ、大好きです。
真美ちゃんかわいいよ真美ちゃん。

こんばんは、今日はシャーリーとジュンジュンの誕生日ということで1本書いてみました。
シャッキーニと竹フェルがイチャイチャしてるだけの話です。ではどうぞ

375 名前:チョコとロマーニャ娘 1/2:2011/02/13(日) 23:15:03 ID:5QMwXOUo

「シャーリー! あ〜んして」
「へ? あ〜ん……お、美味いなこのチョコ」
「へへー、でしょでしょ〜? リーネが作ってくれたんだよ。もっと食べて〜」

2月13日、今日はあたしの大好きなシャーリーの誕生日。
誕生パーティーも終わって、今はあたしとシャーリーの2人きりの時間。
「いっぱいあるからどんどん食べてね。はい、あ〜ん」
「あ〜ん……うん、甘くて美味しい」
あたしはお皿の上に山盛りに乗ってる一口サイズのチョコレートを1個また1個とシャーリーの口へと運んでいく。
シャーリーはあたしからのチョコを受け取ると、それを1個また1個とテンポよく食べてくれた。
えへへ、やっぱりあたし達って息の合う名コンビだね。

「ところでルッキーニ、なんでこんなにチョコがあるんだ? はむっ」
「えっとね、フェブル……なんだったっけ? とにかく、明日何かの神祝祭があってブリタニアでは
その日は好きな人にチョコレートを贈る日なんだって」
「へぇ〜」
「それでね、あたしも大好きなシャーリーのためにチョコ作ろうと思って、リーネに習って、
試しに何個か作ってみたんだけど……やっぱり初めてだと上手くいかないね」

あたしは、チョコレートの山の底にある形がいびつなチョコをフォークでつつきながら言った。
一目で自分が作ったチョコだと分かるくらいリーネの作ったそれと比べると、見栄えが良くないのが分かる。
でも、シャーリーはそんなこと気にせずにあたしの作ったチョコをぱくっと食べてくれた。
「うん、美味い!」
「本当?」
「ああ。なんてったってルッキーニがあたしのことを想って作ってくれたチョコだからな。
あたしにとっては世界一のチョコだよ」

そう言ってシャーリーは優しく頬笑みながら、あたしのことを優しく抱きしめてくれた。
ぱふぱふで、ふわふわしてて、暖かくて、あたしの大好きな場所。
「ありがと、シャーリー。あたし、今度は綺麗な形のチョコ作ってみせるから、その時はまた食べてくれる?」
「おう、楽しみにしてるぞ。そうだ、こんな話知ってるか? チョコレートって食べ過ぎると鼻血が出るんだってさ」
「え? その話本当なの?」
「う〜ん、あたしも噂で聞いた話だから本当のことはよく分かんないんだけどね」
「あはは! なにそれ〜」
「ははは! ま、こういう時は笑ったもん勝ちってことだよ」
「それもそうだね。あはは……」
あたし達はそれからしばらくの間、2人で笑い合った。

――シャーリー、誕生日おめでとう。
これからもずっと、2人でバカ騒ぎして一緒に笑い合おうね。
あっ、そう言えばジュンジュンも今日が誕生日なんだっけ。
ジュンジュンも今頃フェル達に祝ってもらってるのかな。
あたしはそんなことを考えながら、シャーリーのおっぱいに顔を埋め、眠りの世界へと落ちていった……

―――――――――――

376 名前:チョコとロマーニャ娘 2/2:2011/02/13(日) 23:15:56 ID:5QMwXOUo

「竹井」
「なーに、フェル?」
誕生会の後、私は1人で竹井の部屋を訪れていた。
うぅ、なんだかすごく緊張してきたわ。

「その……改めて誕生日おめでとう。これ、私が作ったんだけど良かったら食べて」
「ありがとう……わぁ、美味しそう。チョコレートケーキかしら?」
「うん。今日の誕生会でルチアナが作ったケーキと比べると味は劣ると思うけど……」
「そんなことないと思うけど……はむっ」
竹井が私の作ったチョコケーキをフォークで一口大に切ると、それを口へと運んだ。
「ど、どう……?」
「うん! とっても美味しいわ」
そう言って満面の笑みで微笑む竹井。
「ほ、本当?」
「ええ。良かったらフェルも食べてみる?」
と、フォークで切ったケーキを私に差し出してくる竹井。
あ、あれ? これ、私がプレゼントしたケーキよね?

「はい、あ〜んして」
「あ、あ〜ん……はむっ」
竹井に言われるがまま口を開けて、自分のケーキを食べる私。
豊かな甘みが口の中にふわっと広がって、とても美味しかった。
「本当に美味しいわ……私ったら天才かも」
「ふふっ、でしょ? ねぇ、今度は私にあ〜んして」
上目遣いでそう言う竹井を見て私の胸は一層鼓動を早めて行く。
ちょ、ちょっと何その表情、可愛すぎるじゃない。
オ、オーケーオーケー、落ちつくのよフェルナンディア。
「は、はいあ〜ん……」
「あ〜ん……うん、やっぱり美味しい。じゃあ今度は私の番ね。はい、あ〜ん」
それからしばらくの間私たちは、1つのフォークでお互いにケーキを食べさせ合った。
……まるでリベリオンのおしどり夫婦ね。

「ねぇ、竹井」
「どうしたの、フェル?」
2人で1つのケーキを食べ終わった後、私はベッドに腰掛ける竹井の手をそっと握った。
柔らかくて、暖かみのある私の大好きな手。
「明日って何の日か知ってる?」
「ええ。フェブルウス神祝祭でしょ?」
「うん。パティに聞いたんだけど明日は、ブリタニアでは大切な人にチョコレートを贈る日なんですって。
それを聞いて私、竹井にチョコケーキを作ろうと思ったの。竹井は私にとって大切な人だから……」
私がそう言うと、竹井は使い魔の耳と尻尾を出して私に頬笑みかけてきた。
「へ? ちょっと! なんで使い魔の耳と尻尾を出してるの?」
「ふふっ、フェル可〜愛い!」
「きゃっ!」
竹井ははち切れんばかりに尻尾を振りながら、私をベッドに押し倒した。
ちょ、ちょっと! 色々とマズいんじゃないかしらこの状況。
「ふ、扶桑のウィッチって、みんなこんな感じなの?」
「ふふっ、どうかしらね……」
悪戯っぽく笑いながら竹井は、私の唇に自分のそれを重ねてきた。
彼女の手と同じくらい柔らかくて暖かみのある唇だった。
「あぅ……」
「フェル、大好きよ」
そう言ってもう一度口付けを落とす竹井。
――フェデリカ少佐、竹井って本当に『出来るオンナ』ね……色々な意味で。

〜Fin〜

―――――――
以上です。シャーリー&ジュンジュン、誕生日おめでとう!

377 名前:名無しさん:2011/02/14(月) 01:03:56 ID:x34XljVA
>>376
GJ!シャッキーニの安定感と竹フェルの色っぽさがステキ

378 名前:zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2011/02/14(月) 19:54:11 ID:pMKONIUQ
こんなん書いていいのかなーと思いつつ、書いてしまったので投下します。

えっちな上にSM入ってます。
痛そうとか熱そうなのが苦手な方はスルーでお願いします。
サーニャxエーリカで、一応バレンタインのネタとなります。

379 名前:zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2011/02/14(月) 19:54:27 ID:pMKONIUQ
●ロマーニャ19XX 秘密

 なだらかな曲線の白い素肌へと、深い色のどろりとした液体を、垂らす。

「ッ!」
「熱い?」

 硬いベッドの上に横たわって、苦悶の表情を浮かべる、目隠しをされた金髪ショートカットの少女。

「んんっ……へ、へいき……だか、らっ……続けて、いいよ……さーにゃん」
「返事が、違う」

 あっという間に上気してほんのりと赤みを帯びた丘陵へと、さっきよりも多めに溶けたチョコを垂らす。

「あっ! ああああっ!!!」

 耐え切れずに少女が叫ぶ。
 手足が自由なままにもかかわらず、私のその苦悶の施しから逃げるようなことはしない。
 うん、たまに返事の仕方を間違えるけれど、これは良くしつけられたワンちゃんだと思う。

「ワンちゃんの返事はそうじゃないわ」
「……わんっ、わんわんっ」
「うん、いいお返事にはご褒美」

 ご褒美に、このワンちゃんの大好きなお菓子、チョコを上げる。
 ベッドの横に置かれた台。
 その上の携帯型コンロにくべられた鍋。
 はられたお湯。
 そこに浮かぶもう一つの鍋。
 二重の鍋の中で溶けた熱々のチョコレートを大きめのスプーンですくって、わたしより浅い胸の谷間からおヘソにかけて、垂らした。

「ひっ! うああっ!!」

 目の前の子犬は大きな声をあげながらも肌を茶色で彩られるという行為にシーツを強く掴むことで耐える。

「いっぱい食べていいのよ、ワンちゃん」

 更に断続的に垂らす。
 私よりも控えめな胸も、おヘソのくぼみも、みんなチョコの茶色に染め上げる。

「うぁっ! あっ、つぅ……うあああああああああ!!!」

 熱いチョコを大量にかけられた私のワンちゃんが悲鳴をあげる。
 こういう声を聞くと、とても胸の奥、体の芯の方が熱くなってくる。
 すごく、心地良い。
 目の前であられもない姿を晒す年上の中尉の姿に劣情を煽られながらも、心の何処か冷静な部分が、いつから二人の関係はこうなってしまったんだろうと自問自答する。

 どちらからともなく――ううん、きっと話しかけてくるのはいつもハルトマン中尉だから、彼女の方からだったと思う――お互いの愛する人の話から性癖の話になって、何度かその話題を経る内にお互いに自分の中にある異常な部分に気づいた。
 わたしにはどうやら嗜虐癖があって、ハルトマンさんには被虐癖がある。
 でも、お互い愛する人にそんな事を求める事なんて出来ない。
 わたしは自分が満足するためにエイラにひどいことなんて出来ないし、ハルトマン中尉も自分を大切にしてくれているバルクホルン大尉に自分を傷つけるような事はさせたくない、と。
 そして、ハルトマン中尉が放った言葉「ねぇ、二人で試してみない?」それが発端だった。
 はじめはおしりを叩いたりすることから始まって、ハルトマン中尉の苦悶の表情、痛みと周知のないまぜになった喘ぎに心のそこから興奮を憶えて、今日という日にはこうしてエイラとバルクホルンに贈るために用意したはずのチョコで、こんな事をしてる。

「おっぱいもおヘソも、茶色く染まっちゃった。まるで天使のチョコレート掛け」
「わんっ」

 その甘くて香ばしい色をまとった小さなふくらみの頂点へと、前触れもなく口をつけた。

「ふあっ!? んっ……あぁん」

 ワンちゃんが驚く。
 目隠しをしているのだから当たり前かもしれない。
 わたしはその反応に僅かな満足感を得ながら、あとに続いて響いてくる喘ぎ声と、舌先に広がる甘さをゆっくりと味わう。
 そして、じっくりと舌先と唇を使って優しく甘噛みと愛撫を繰り返した。
 痛みではなく、ただひたすら気持いと思える行為を刻んでいくうち、わたしの唇と口元への汚れと引換に乳房全体のチョコが取り払われ、綺麗になる。

380 名前:zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2011/02/14(月) 19:55:06 ID:pMKONIUQ

「くぅん」

 舌を離した事によって寂しくなったのか、ワンちゃんが鼻にかかったような声を上げた。
 大丈夫。
 寂しくないよ。
 もっと、よくしてあげるから。
 左手で優しく頭を撫でた。

「んんっ」

 安心した様に小さく喉が鳴らされた。
 そのタイミングを見計らって、チョコの取り払われた胸へと熱いチョコをぼたぼたと落とした。

「ひぎっ!!!! あつっ! あついよぉっ! あああああっ!!!!!」

 一度火傷して過敏になった場所へのチョコはさすがのワンちゃんでも耐えられずに胸を庇って背を向ける。

「だめよ。いいって言うまで胸をかばっちゃダメって約束だったでしょ」
「で、でもっ……」
「ワンちゃんは人の言葉を話さない」
「う、ううっ……わん」

 少し強い口調で注意するとちゃんとワンちゃんの返事をしてくれる。

「いい子……。いい子にはいっぱいチョコをあげるけれど、約束を守れない子にはお仕置きが必要だよね」
「わんっ」

 頭を撫でながらの言葉には一番素直な返事が返ってくる気がする。
 わたしは暫くそうしてからワンちゃんの脚を持ち上げて開かせた体勢で拘束した。
 拘束する間、ワンちゃんは不安そうにしていたけれど、今のわたしにとってはその気配すら心地良いものでしか無い。
 割開かれた股間に指で触れてツルツルのそこを数度なぞる。

「んっ……ぅう……」
「ご褒美とお仕置き、両方いっぺんにしてあげる」
「え……」

 股が開いているにもかかわらずいまだにふっくらとした肉の壁に包まれて開ききっていない幼さの残るソコを、指で開く。

「ココに」
「ま、まって……」

381 名前:zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2011/02/14(月) 19:55:25 ID:pMKONIUQ
「犬は喋らないよ」

 粘膜にチョコを垂らした。

「ひああああああああっ!!!!!!!」

 想像通りの悲鳴に全身が熱くなる。

「ワンちゃんらしくしていられたらご褒美。出来なかったらお仕置き。その自由な手で、わたしのする事を邪魔してもお仕置き。出来るでしょ。お互いが望んだ事なんだから」
「ああっ……はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……わ、わんっ」

 従順なその態度に満足して、更に興奮。

「いい子。その調子。ほら、これはご褒美」

 再び、粘膜にチョコを垂らす。

「きゃうううううううううっ!!!!!!!」

 嗜虐壁を満たす叫び、匂い、空気。
 それらの隙間、ふとした瞬間に蘇る僅かな後悔。
 でも、ワンちゃんが心のそこから悦んでいる事を理解できてしまう身としては、ここで中途半端なことは出来ない。
 だから、決めたところまでは突き進む。
 胸と同じように舐めて、きれいにして、また不意打ちでたらして粗相をさせて、もっときついお仕置きをして……。
 お互いの本当のパートナーで満たせない心を満たそう。
 唇を合わせるキスだけはNGで、でもそれ以外のいろんなコトをして、身体の奥に点った官能の火を燃え尽きるまで燃やし続けよう。

 そうすれば、余分なものがなくなった二人は再び炎が燃え広がるまでは、本当に好きな人の隣に居られるのだから。

382 名前:zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2011/02/14(月) 19:56:51 ID:pMKONIUQ
以上となります。

黒サーニャな電波が降りてきたんで書いてみました。

383 名前:名無しさん:2011/02/14(月) 22:11:21 ID:DffvAYmQ
>>382
これは……っ! 危険がアブナイ!w GJ!

384 名前:mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/02/15(火) 00:17:22 ID:WLEEAE56
>>371 >>382 zet4j65z ◆le5/5MRGKA様
GJ! 新たなおっぱマイスター誕生の予感とえろすの予感!

>>374 5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2様
GJ! 二組の織りなす甘々さが凄いです。美味しく頂きました。


こんばんは。mxTTnzhmでございます。
今回もふと思い付いたネタを、短く文章化してみました。
保管庫No.0450「ring」シリーズ続編となります。
ではどうぞ。

385 名前:powdery snow:2011/02/15(火) 00:18:56 ID:WLEEAE56
 その夜、しんしんと降り積もる雪を窓越しに眺めていたエーリカは、やおらソファーから立ち上がると、おもむろに戸を開けバルコニーに出た。
 何事かとトゥルーデが後を追うと、エーリカは真上をじっと眺めていた。
「どうしたエーリカ?」
「雪だよ、トゥルーデ」
「ああ。このままだと明日の朝には積もっているかもな」
「もう数センチ積もってるよ」
「そうだな。足元に気を付けろよ」
「ありがとトゥルーデ。でも、それだけじゃ物足りないな」
 エーリカは手摺に積もっていた雪を手に取りきゅっきゅっと軽く握って固めると、おもむろにトゥルーデ目掛けて投げつけた。
 ぱしゃっ。
 粉雪の塊が、トゥルーデの服にぺたりと張り付き、端から少し解けていく。
「こら! いきなり何をする?」
「雪遊び」
「あのなあ……。そうやってはしゃぐ年でもないだろうに」
「そう? 楽しいものは楽しいよ。幾つになってもね」
「まったく……」
 半分呆れ気味のトゥルーデに、もう一発、えい、と雪玉を投げつける。今度は避けたつもりが、踏み出した先にもう一発待っていた。
 太腿に炸裂した雪玉は、じわじわと解けてトゥルーデの肌を濡らす。
「つ、冷たっ! こらエーリカ! 何するんだ!」
「トゥルーデが怒った〜」
 からかわれたと感じたトゥルーデは、手近に積もっていた雪をぎゅーっと握り、手当たり次第にエーリカに投げつける。
「お? トゥルーデが本気になった」
「やられっぱなしと言うのは腹が立つからな」

 雪玉を投げ合う事しばし。二人は上気した息遣いの中、背を合わせて立っていた。
 止まない雪が、二人の周囲を白銀に染め、肩に幾つもの結晶を載せていく。
「楽しいね」
「まあ、この程度ならな」
「皆集めて遊ぼうか」
「それはまずい。皆を考えてみろ。はしゃぎすぎて収拾が付かなくなって、ミーナか少佐に怒られるのがオチだ」
「そうかな? ほら、あそこ」
 エーリカが指し示す先を見るトゥルーデ。
 少し離れた場所では、ミーナと美緒が、窓から身を乗り出して雪を見ている。
 舞い降りる雪を直接手に取り、くすっと笑うミーナ。そんな彼女を見て優しい表情を見せる美緒。
 不思議な事に、こちらの様子は気にもしていない様だ。
「見て。向こうではエイラとサーニャが。あっちではシャーリーとルッキーニが……」
「エーリカ、他の奴等の事は良いから」
 こちらから見えるという事は、向こうもこっちを見ていると言う事だと気付いたトゥルーデは、少々気恥ずかしくなって
エーリカを部屋に引き戻そうとした。
「待って、トゥルーデ」
 エーリカは足を止め、空を見た。
 灰色の空から、とめどなく舞い降りる雪の欠片。大きいもの、小さいもの……綿毛の様に繊細で、触るとすぐに溶けて消える。
 音も無く、降り続く雪は大地を、二人を包み込む。
 雪が少し頭に積もったのを見たトゥルーデは、エーリカの頭をそっと払い、雪を除ける。
 ぶるっと身体を震わせたエーリカを見て、トゥルーデはそっと抱きしめる。そしてエーリカの名を呼び、呟く。
「寒いなら寒いと、言えば良いのに」
「だって、ここじゃあんまり雪を見る事が出来ないから」
「無理はダメだ」
「分かったよトゥルーデ」
 エーリカを抱きしめ、頭を撫でる。積もった雪をそっと落とし、これ以上積もらせはしない、と胸に埋める。
「どうしたのトゥルーデ、急に」
「お前が心配なんだ」
「ありがとう」
 二人はそっと軽く唇を触れ合わせて気持ちを確かめ合った後、一緒に空を見上げる。
 いつ止むのか。
 止んで欲しくない気持ちと、作戦に支障が出ると言う思いと……目の前で抱き合ういとしのひとを思い、
頭の中が巡り巡って、雪の中立ち尽くす。
 トゥルーデは、そっとエーリカの耳元で囁く。
「そろそろ、良いか?」
「うん。満足した」
「部屋に戻ろう。温かいココアを入れてやる。温まるぞ」
「ありがと、トゥルーデ。……そう言えば」
「どうかしたか?」
「ココアもホットチョコレートも一緒だよね。と言う事は」
「どう捉えて貰っても良い。とにかく、戻るぞ」
「トゥルーデ、そういうとこ素直じゃないんだから」
 エーリカはトゥルーデの服の裾を持って、部屋に戻る。引っ張られる格好のトゥルーデは、足を滑らせもたつきながらも後を追う。
 間も無く、二人の部屋からほのかにココアの温かい香りが漂う。

 501JFWには、降雪の多い地域と、そうでない地域出身のウィッチが混在している。
 雪に対する見方は皆違う。
 ただ、隣に居る者と一緒に眺め、少々戯れる事は悪い事ではない。
 束の間の安らぎは、時として天から降りてくる。

end

386 名前:名無しさん:2011/02/15(火) 00:20:10 ID:WLEEAE56
以上です。
舞台がブリタニア基地かロマーニャ基地かは分かりませんが
何となく雰囲気で……。

今年の冬は雪が多いですね。ご注意を。
ではまた〜。

387 名前:名無しさん:2011/02/15(火) 03:05:57 ID:CzZA1fq6
>>386
雪すごいですね。
北欧組意外がいきいきしてそうです。

こんばんは、LWqeWTRGです。
2月14日でした。というわけで2レスです。


「エイラ」
「んー? なんだー?」
「いつまでそうしてるの?」
「んー… もうちょっと」
「昨日もそういって結局やめなかったじゃない」
「だぁってさぁ……」
「だって……?」
「せっかくサーニャからハートのチョコレートもらったんだぞー?」
「いいから早く食べて」

えー、とか言いながらにへにへ。
にへにへしながら足をぱたぱた。
ぱたぱたしたらベッドの上をコロコロ。
嬉しいのはわかる。むしろ喜ぶ顔を思い浮かべながらチョコを作ったの。
でもそろそろこっち向いて。かまってくれなきゃ寂しいんだから。

「ねぇエイラ」
「んー?」
「ねぇったら」
「なんだー?」
「……もう」

だめだな。これは。
このままだとなにもせず終わっちゃうわ。
今日もかまってあげなきゃいけないのね……。

「なんだよー」
「たいくつなのー」
「んー… ってお、おい!」
「えーいーらー」
「や、やめ、頭の上でしゃべらないで!」
「じゃあぎゅー」
「ちょっと、サーニャ!」
「頭の上じゃないもん。背中の上だもん」
「背中もダメー!」

388 名前:名無しさん:2011/02/15(火) 03:07:02 ID:CzZA1fq6
そんなこと言ったってもう遅い。今日の私の居場所はここに決めた。
ぎゅーってしてすりすりすることに決めた。

「もー、サーニャー!」
「なあにーエイラー」
「すっごく棒読みだぞ!?」
「今日だけだかんなー」
「そっか今日だけー、ってそれ私のセリフ!」
「じゃあ、そのセリフをどうぞ」
「あうっ!?」

ふふ、赤くなっちゃって。
エイラ、かわいい。

「き」

言い終わると同時に抱きしめちゃおうかな。

「き…」

それから、ほっぺにキスして。

「ううう〜…!」

いっぱい、甘えて――

「きゃあっ!」
「今日は私がリードするんだああああああああ!!」
「ちょっと、エイラ!? んむっ!」
「サーニャ…」

体勢を入れ替えられて身体はエイラの下、腕は顔の横で拘束されていて、唇はエイラに封じられ。
…どうしたのエイラ、今日は本気じゃない。
手つきはおぼつかないけれど。
いいよ、きて。

「だいすきよ、エイラ」



END

―――――
以上です。
おぼつかないのは自分orz
内容薄くて短いのをなんとかしたいのですけど…。

タイトルは「ハートの誘惑」です。
たまには本気だしたエイラさんも。
それでは失礼します。

389 名前:名無しさん:2011/02/16(水) 03:31:33 ID:n5rl4bbA
物凄く和んだ GJ!!!

390 名前:[:2011/02/16(水) 23:07:33 ID:kTatHhwU
「なんじゃと? シュナウファーの様子がおかしい?」
 食堂を出てすぐのこと。
 子飼いの一人にそう耳打ちされ、足を止めた。
 シュナウファーの異変は逐一わらわに報告せよと厳命してある。あやつときたら何でもかんでも内に秘めるゆえ、こういった周辺情報が欠かせない。
「はい。いつも困ってらっしゃる感じですが、今日はそれに輪をかけて」
「…そうか。大儀であった」
 懐からスタンプを取り出し、カードの空欄にポンポンポン。
 功ある者には惜しみない労いを――――これがわらわの覇王道だ。
 高評価に喜んだ彼奴は小躍り。これからも精進せいと言い捨てて、わらわはその場を後にする。
「会敵とかトラブルの報告はなかった。すると哨戒後か……」
 腕組みして、廊下の真ん中を歩く。
 この基地でわらわに道を譲らぬ者はない。驕りではなく、それが当然なのだ。
 人には生まれついての定めがある。果たすべき義務がある。
 ウィトゲンシュタイン家に生まれたわらわは、それに則した威厳ある振る舞いをせねばならない。
「ノーブレス・オブリージュとは面倒なものよのぅ」
 ふふんと笑い、肩にかかる髪を払う。
 これは貴族の務めなのだ。シュナウファーが心配だからとか、そんな俗な感情ではない。
 通路の角を曲がると視界がふっと暗くなる。ここから先は夜間戦闘員の個室が並ぶ。最小限に照明が絞られているのは、暗い状態に目を慣らすための

措置だった。
 突き当たりにある皇帝像を左に行けばわらわの第5夜間戦闘航空団、右に行けばシュナウファーの第1夜間戦闘航空団がある。
「食堂では見なんだがまだ部屋におるのか? ウィッチたるもの、食事もとらずぶをああああっ?!」
 ドォン、ガシャシャンッ!
 突き当たりを右に曲がったところ、ボリュームのある何かと衝突して吹っ飛ぶ。そのはずみに陛下の銅像で側頭部を強打し、未知の感覚に廊下を転げ

まわった。
「だ、大丈夫ですか?」
「くうぅ〜〜〜おのれ。父上にもぶたれたことのないわらわに、なにやつ?! 相応の報いを受けさせてくれる!」
 ずきんずきんする側頭部を抱えて身を起こす。
 目の前に星が散って前がよく見えない。
「そ、その声はもしかしてハインリーケさんですか? すみません!」
「なっなに?! シュナウファーか?」
「はい。ちょっとよそ見をしていて………本当にすみませんでした」
「―――そなた、誰に謝っておるのじゃ?」
 ようやく視界が晴れてのち、口元をぴくぴく。
 王女の称号を与えられたこのわらわを前に、いい度胸だ。
「誰ってもちろんハインリーケさんに」
「たわけ! わらわを陛下の銅像と見間違えるなど言語道断、無礼も甚だしいわ!」
 銅像に向けて深々と頭を下げているシュナウファーにかみつく。
 わらわをあのような中年と間違えるとは。手袋を持っていたら即刻投げつけてやったのに。
「え?! あ―――し、失礼しました! 申し訳ございません、陛下」
「こ、この〜〜〜っ」
 怒りに両手をぶるぶる。
 こうまでコケにされたことは生まれて一度もない。
 この狼藉の始末をどうしてくれよう。咎ある者には容赦ない責めを――――これもわらわの覇王道だ。
 あれやこれやと考えて、ふと、違和感に眉を寄せる。
「…シュナウファー」
「は、はい! なんでしょう?」
「わらわはこっちじゃと言うておろう! そなた、目が……」
 またもや違う方を向くシュナウファーの両肩をつかみ、正面からその瞳を覗き込む。
 分厚いレンズの奥、紅玉のように薄っすらと光るそれが、焦点を合わせるのに苦慮したふうに揺らぐ。その様子を見たわらわの頭から音を立てて血が

引く。
「なぜそれを先に言わんのか! 医務室へゆくぞ!」
「きゃっ?! まっ、待ってください」
「ええい、大人しゅうしておれ! 体裁を気にしておる場合か!」
 じたばたするシュナウファーを叱りとばす。
 それでなくてもメロン大の膨らみが邪魔をして抱えづらいというのに。

391 名前:「からまわり」:2011/02/16(水) 23:08:55 ID:kTatHhwU
「で、ですから待ってください! 目の不調ではないんです。いつもの眼鏡を壊してしまって」
 いざゆかん、と踏み出しかけた足を止める。
 射殺さんばかりに眼力をこめ、腕の中にある紅玉を見下ろした。
「……眼鏡、だと?」
「はい。えっとその……すみません」
「すみませんで済むと思うか! このわらわをたばかったあげく、あまつさえ途方もない心配をかけるとはっ!!」
 縮こまる様子にかまわず怒号をうつ。
 引いた血が一気に戻ってきた。まったく腹立たしいったらない。
「え……心配?」
「うっ―――こ、言葉の綾じゃ! それだけわらわが徒労を感じたという意味で……本当じゃぞ? わらわはそなたのことなど、これっぽっちも」
「ありがとう、ございます」
「〜〜〜〜〜っ」
 ぐぬぬっと押し黙る。
 こやつはなにを勘違いしておるのか。
 物事を都合よく解釈するのは凡人のなせるわざ。わらわのライバルがそのような体たらくでは困る。
「ふん、まあよい。ときにシュナウファー。そなた、食事はとったのか?」
「い、いえ。食堂には今から行こうと」
「じゃが、その眼鏡は度が合っておらんのだろう?」 
「はい。でも、これしか替えがなくて……。夕方には新しいものが届くのですけど」
 視線を感じてか、シュナウファーは眼鏡のふちを触ってもじもじ。
 ドクンと、胸の奥で音が鳴る。
「その状態で行ってもさっきのようになるだけじゃ。給仕に申し付けて食事を運ばせるゆえ、自室で待っておれ」
「…わかりました。下ろしていただけますか」
 聞き分け良くうなづいたその紅玉に翳りがさす。
 ドクンと、ふたたび胸の奥で音が鳴る。
 何をやっておるのだ、わらわは。早く下ろさんとまたシュナウファーがおかしな勘違いをするではないか。
 そのとき、通路の先に見回りだろう衛兵の姿が見えた。
「おい、そこの!」
「はい! なんでございましょうか、姫」
 呼べば即座に駆けてくる。
 ほほう、なかなか見所のあるやつじゃ。
「今すぐ食堂へおもむき、シュナウファーの部屋まで食事をもて」
「は! 承知いたしました」
「そ、そんな、見回りの方を用立てるなんて」
 慌てた様子のシュナウファーが止めようとしてくる。
 だが、その程度は予想済み。わらわはシュナウファーの頭越しに指示を出す。
「よいな? 二人分だぞ」
「ですから私用でそのような命令は………え?」
 首をかしげて目をぱちぱち。
 普段は深刻げな顔ばかりしているが、こういう表情を浮かべると存外幼い。
「シュナウファー。そなた、今日が誕生日であろう? そのような日にひとり食事をとるのも味気ないものだ」
「ハインリーケさん……」
「ふん! 他意ならないぞ。これはノーブレス・オブリージュ、貴族としての務めじゃ」
 頬に感じる熱を無視して言い放つ。
 わらわには生まれついての責務がある。守るべきことわりがある。
「それに、わらわもまだ昼食をとっておらぬゆえな」
「は? 姫様は先ほど昼食をとられたのでは」
「お、おまえはさっきの奴かっ?! ――――余計な事を言うでないわ、この愚か者が! さっさとゆけい!」
 大いに焦り、その尻を蹴っ飛ばす。

 つんのめるように走り出した彼奴の背が遠ざかっていく。
「ま、まったく、このわらわを誰かと間違うなど無礼千万じゃ。あやつは後で折檻してくれる」
「あの……」
「なんじゃ――!」
「ありがとう、ございます」
「〜〜〜〜〜っ」
 ぐぬぬっと押し黙る。
 またしてもこやつは都合の良い勘違いを。
「もうよい! ゆくぞ!」
 正面に顔を戻し、風を切って歩き出す。
 シュナウファーの部屋は第1夜間戦闘航空団の最奥だったな。
「あっ?! 自分で歩きますので下ろしてください」
「聞こえぬ。黙ってそこで大人しゅうしておれ」
 じたばたする荷物にかまわず突き進む。
 この基地にわらわの行く手を阻もうとする者はない。
 ただひとり例外がいるとしたら――――それはシュナウファー、そなたのみじゃ。

392 名前:名無しさん:2011/02/16(水) 23:10:33 ID:kTatHhwU
あー、タイトル失敗...orz
マリー誕にかこつけたハインリーケssでした
それでは〜

393 名前:5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/02/16(水) 23:30:25 ID:y1.YhCEo
>>379 zet4j65z ◆le5/5MRGKA様
GJです。えっちな黒サーニャいいですね〜。受けエーリカも可愛い

>>384 mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c様
GJです。雪も溶けちゃいそうなくらい熱々なエーゲルが素敵です

>>387 LWqeWTRG様
GJです。積極的なエイラーニャが大変可愛らしいですね

>>390
GJです。イケメン姫様と乙女なマリーの関係が素敵です

こんばんは、今日はマリーの誕生日ということで1本書いてみました。
ではどうぞ

394 名前:ナイトウィッチの誕生会:2011/02/16(水) 23:31:28 ID:y1.YhCEo
――ここは506JFW、談話室。
同隊の戦闘隊長、ウィトゲンシュタイン大尉は今日が誕生日の友人、
シュナウファー大尉のために各部隊からナイトウィッチを招き、誕生会を開いていた。

「あー、皆の衆。今日は我が親友ハイディのためによくぞ集まってくれた。ハイディの1番の友として礼を言うぞ。
そもそも、わらわとハイディの出会いはだな……」
「ハイデマリーさん、誕生日おめでとう」
「おめでとな」
「おめでとうございます、シュナウファー大尉」
「みなさん、ありがとうございます」
「お、おい! まだわらわの話は終わっておらぬぞ」
「まぁまぁ、長話なんてしてたらせっかくの料理も冷めちゃうぞ、プリン姫」
「だ、誰がプリンだ! 無礼者!」
「いいですね、プリン姫って愛称。可愛らしいウィトゲンシュタイン大尉にピッタリです。えいっ!」
「お、おい下原、どさくさに紛れてわらわを抱くな!」
「……ふふっ」
「どうしたのだ、ハイディ? 急に笑い出して……」
「あ、ごめんなさい。私もプリン姫って愛称、可愛いなって思って……」
「……ま、まぁそなたに気に入って貰えたなら良いか。それにしても、各統合戦闘航空団にナイトウィッチの招集を要請したというのに、
501と502以外どこからも来ないとは……」
「まぁ、504みたいに正規のナイトウィッチがいない部隊もあるし仕方ないんじゃないか? あるいはプリン姫に人望がないのかもな〜」
「な!? 無礼な、わらわには直属の親衛隊もいるのだぞ」
「へぇ、プリン姫さん、親衛隊がいるんですか。何だか分かる気がします。だってプリン姫さん、こんなに可愛いんだもの」
「はぅっ、く、苦しいぞ下原……離れろ」
「よーし下原、そのまま押さえてろ。プリン姫のボディチェックをしてやるんだな」
「ひゃぅ!? ど、どこを触っておるのだユーティライネン」
「うんうん、隠れよくできましたーって感じだな。悪くない」

「ごめんなさい、ハイデマリーさん。なんだか騒がしくなっちゃって……」
「いえ、賑やかで楽しいです……あの、エイラさんっていつもあんな感じなんですか?」
「ええ。いつもあんな感じです……」
「……楽しそうですね」
「はい、エイラと一緒にいると楽しいです」
「ふふっ、サーニャさん、大尉……えいっ!」
「きゃっ! し、下原さん!?」
「わぁ、サーニャさんも大尉も白くてすべすべですね〜」
「お、おい! 何やってるんだお前! サーニャから離れろ〜!」
「あ、エイラさん。じゃあ変わりにエイラさんをぎゅってしていいですか? えいっ」
「ふにゃっ!? ふ、扶桑のウィッチって変な奴ばかりナンダナ……」
「ねぇ、エイラ」
「な、何だサーニャ」
「私もエイラのこと、ぎゅってしていい?」
「へ? サササササーニャ!? あぅ……」
「ふふっ、エイラ、すべすべしてて気持ちいい……」
「本当、白くてふわふわですね」
「ふ、2人とも、私をそんな目で見んな〜!」

「全く、騒がしい連中だ……ハイディ、大丈夫か?」
「は、はい……あの、プリン姫」
「な、何だ? ハイディ(そなたもその呼び名で呼ぶのか……)」
「今日はありがとうございました。私のためにこんな素敵な誕生会を開いてくれて……
私、同じナイトウィッチのみなさんに誕生日を祝ってもらって本当に嬉しかったです」
「何、わらわはそなたの友人として当然のことをしたまでだ……おっと、すっかり言い忘れていた。
ハイディ、誕生日おめでとう」
「ありがとう、プリン姫」
「うむ。これからも毎年、そなたの誕生日はわらわが盛大に祝ってやるぞ。そなたはもう、1人ではないのだからな」
「……はい」

こうしてナイトウィッチ達の夜は更けていく……

〜Fin〜

395 名前:5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/02/16(水) 23:32:41 ID:y1.YhCEo
以上です。姫様の口調って難しい……
ではまた

396 名前:zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2011/02/17(木) 00:01:38 ID:z3M5L//s
ヨシ、日付変わった!

去年の黒江さん誕生日合わせに書き始めて忙しくて手が止まって放ったらかしにしていたらキミ空で黒江x坂本の展開があったんで一度はお蔵入りしたんですが、書きかけのをちょろっと人に見せたら反応良かったんでちゃんと書き上げてみたお話です。
相変わらず妄想全開な内容ですがもう状況はifということで開き直ってます。



●ブリタニア1944 早咲きの桜の下で

『如月は十七日、
 村外れの丘、
 桜の下にて待つ。』

 おもむろにそんな文面の手紙が届いた。
 どう見ても果たし状なのだが……、ブリタニアまで扶桑の言葉で手紙を送りつけた人物には興味がある。
 ミーナは不審に思っていろいろ出所を探っているようではあるが、私は結果を待たずにその待ち合わせの場へと赴く事にした。

 辿り着いた丘の一角。
 驚いた事にそこは春に彩られていた。
 記憶にある物よりも少し濃い目の色をした桜が今まさに満開となり、私にここがブリタニアだという事を暫し忘れさせる。
 幻想的な光景にしばし目を奪われ立ち尽くし、不覚にも郷愁の念に囚われ、扶桑の日々を思い出して目頭が熱くなる。
 そんな私の背後から若い女性の声がかかった。

「どうだ、なかなかのもんだろう」

 声の方を見ると、ござを敷き胡坐をかいて杯を煽る見知った顔があった。

「黒江大尉」
「久しぶりだな、坂本」

 杯を掲げ、片目を瞑って挨拶してくる。

「一体いつブリタニアに?」
「ここの桜はむかーしに同盟結んだ時あたりに植えられたらしいな。ちょっと種類が違うんで扶桑のとは時期もずれるし色も違う。でも、こういうのも中々乙なもんだろ?」

 私の質問を無視して桜の解説を始める。全くマイペースな御仁だが不思議と憎めない。

「こっちへきなよ。折角だから扶桑撫子のお酌がほしい」
「はっはっは、それならば手酌でも条件は満たすんじゃありませんか?」
「あっはっは、私は撫子って柄じゃないさ。陸はがさつでいかん。お前とか竹井みたいなのじゃないとダメだろう」
「はぁ、あんまり変わらないと思いますが、私でよろしければ」

 言いながら近付いて傍らに腰を下ろす。
 数本用意してある日本酒の一升瓶のうちふたの開いているものを手に取り、黒江大尉の杯へと注ぐ。

「いつ、こちらへ?」

 改めての質問。

「一週間ほど前だな。本当は武子と一緒にここに来るはずだったんだが、あいつの方の予定が合わなくなって、ね」
「そういう事ですか。でも、何故あんな招待状を? あれではまるで果たし状ですよ」
「桜を愛でるなら扶桑人同士にしたくてね。それから他にもある……」

 黒江大尉が一度言葉を切り、ただでさえ近かった顔の距離を詰めてくる。

「一つは今年で上がりを迎える後輩の顔を見に来た、って言うのはどうだ?」
「黒江大尉……」
「知り合いに世話焼きが多くてな。ま、私もその一人ではあるんだが……どうなんだ? 坂本」
「私は……」

 まだ実感がわかなかった。
 確かに魔力の衰えは感じている。
 リバウで飛んでいた時よりも明らかに今の私の魔力は落ちているだろうと思う。
 だが、衰えた魔力は気力と技術によって補完され、振るう刃の冴えは今こそが絶頂期だと感じてもいる。
 何よりも私に勇気を与えてくれたのは上がりを迎えても飛び続けるこの黒江大尉やアフリカで活躍する加東少佐の存在だ。
 だから、私も飛び続ける、そう言いおうとした。
 直接言葉で感謝と決意とを伝えたかった。

397 名前:zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2011/02/17(木) 00:02:24 ID:z3M5L//s
 しかし、その言葉を最後まで紡ぐ事は出来なかった。
 不意の殺気を感じ取り、魔力シールドを展開。
 そこに重い斬撃が来た。
 勢いを殺すためにそのまま後方へと飛びずさる。

「流石坂本、よく受けた」
「一体何のつもりです!?」
「現役のシールドは流石だな、ストライカーの強化なしで私の刃を止めるか……ふふっ、ならば遠慮なく行かせて貰うぞ」
「くっ!」

 こちらの問い質しを無視して次の一撃が来た。
 間合いを取る事で薙ぎ払いの斬撃を回避し、自身の刀を抜き、構える。

「よし、抜いたか。それでいい」

 錯乱している様子も、酔っている様子もなかった。
 だが、振るう刃に本物の殺気が込められているのも確かだった。

「やめてください!」

 叫びながら刀で攻撃を受け流し、受けきれないものはシールドで止める。

「私はお前が『やる気』だって聞いたぞ。だったら上がりのウィッチの攻撃程度でシールドに頼るな!」
「ぬぅ……」

 言っていることは尤もだ。
 目の前のウィッチがそれを実践しているのだ。
 ならば、応えるしかあるまい。

「ッ!」

 安易にシールドに頼らず、体捌きに集中する。
 心をよぎるのは死ぬかもしれないという恐怖と、その恐怖を凌駕する高揚感。
 黒江大尉は私の憧れであり、目標の一つだった。
 初めて顔を合わせたのはウィッチの養成校に入って間も無くの剣道の稽古だ。
 出稽古に来ていた黒江大尉との竹刀を合わせ、以来一度も試合での勝ち星が無い。
 お互い10代で3年の開きがあれば、その実力の差は歴然となる。
 年下の側が才に秀でるのであれば逆転はありえるかもしれない。
 だが、年上の側が才に恵まれた上に努力、研鑽を積み重ね続ける限り、その差は永遠に越えられない山脈となって二人の間に横たわる。
 しかし、今この瞬間、魔力、気力、体力ともに充実した私ならば、黒江大尉を超えられる気がした。
 細かい理由など要らない。ただ、目の前に偉大な先輩を超えるチャンスが訪れたとそう思えばいい。
 間合いを取り、暫しの瞑目の後に覚悟を決め、眼帯を外し、正面に刀を構える。
 見据えた視線の先、黒江大尉がにやりと笑う。
 それが応の証。
 二人の間に絶対的に強固な信頼関係が構築された事を感じ取り、踏み込む。
 呼吸、足の運び、指先の緊張、瞬き、発汗、鼓動……今まで僅かな誤差を持って刻まれていた動きが一つの物へと成っていく。
 お互いの手には真剣。
 一瞬の過ちが互いの命を刈り取るであろう剣舞を舞い散る桜が祝福する。
 黒江大尉の動きは速く、その一撃は重い。
 魔眼を以ってその動きの始点を見切り、機先を制することで優位を確保。
 次第に黒江大尉の打ち込みの手が減り始める。
 だが、同時に違和感を覚え始める。
 おかしい。
 私の切っ先は確実に黒江大尉の出足を殺していて、攻め手の主導権はこちらにある。
 あるがしかし、この場の空気とも言うべきものを出会った時から相変わらず黒江大尉が支配している気がした。
 不意に黒江大尉が構えを解いて目を閉じ、私の刃をその刀で受ける事を放棄した。
 違和感は確信に変わる。
 打たされている。
 私は初めと変わらずに刃を打ち込み続けているというのに、両手をだらりと下げて瞑目する黒江大尉の身体に触れることすら出来ない。
 理解した。
 攻撃の気配と殺気、僅かな動きの視点を私の魔眼が見切る事を見越した黒江大尉は、それを積極的に見せる事に依ってこちらの攻撃を誘発し、操り、支配する。
 既に術中に嵌り、私は徒に体力と魔力の消費を強いられていた。
 それでも攻め手を緩める事は出来なかった。
 構えなど無しにも何時何処からの一撃でも「お前を殺すぞ」という気配の起点が生まれては消え、私はそこから襲い来る恐怖を払う為、必死に踏み込んで斬り、突き、払った。

「情けない。そして浅はかだ。魔力にさえ頼めば私を凌駕できるとでも思ったか?」
「くっ……」

 黒江大尉の突き放すような声に、尚早と疲労から苦悶が漏れる。
 それが一瞬の隙になった。
 無造作な動きで踏み込んだ黒江大尉の左手が私の首を掴んで、思い切り振りぬかれた。

398 名前:zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2011/02/17(木) 00:02:53 ID:z3M5L//s

「かはっ」

 数メートルを投げられ、したたかに桜の幹へと背を打ちつけ、咳き込む。

「どうした? 終わるか?」
「もう一本!」
「そうでなくちゃな、立て!」

 痛みを堪えて立ち上がり、刀を構え直す。
 その切っ先の迎撃範囲に対し、再び殺気も無しに無造作に踏み込んで来る黒江大尉。
 慌てて刃を払って追い払おうとするも既にその左手は私の右手と鍔を掴み込み、私の剣を殺していた。
 そのまま上半身を押し込まれ、再び桜の木へと背中を押し付けられる。
 押さえ込まれた上に互いの身体に挟まれたせいで腕は動かせず、上半身同士が密着した状態で睨み合う。
 いや、既に気負けしていた私は睨むと言えるほどの眼力をこの眼に宿らせる事ができず、ただ、その瞳を覗き込むことしか出来ていない。

「……」

 黒江大尉が息を吐いて視線をずらし、一度私の肩にあごを乗せるようにする。

「なぁ、お前もう下りろ。がちがちになりすぎて滑稽なだけだぞ。でなきゃ……」

 下りろという言葉、私には重い言葉。

「黒江大尉……私、わひゃっ」

 反論しようとした私の耳にペチャっというえも言えぬ感触。

「くくくっ、扶桑撫子の耳たぶはいい味がするな」
「な、何をっ!?」
「耳たぶを噛んだんだ。唇でな」

 何を当たり前のことを聞いているんだ?とでも言うような表情で顔を正面に持ってきてからいたずらっぽい笑みを浮かべる。

「そ、そんな事はっ」
「まぁ、分かってるだろうな。ホラッ」

 遮ってそう言いながら軽く拳を作った手の甲で私の胸の中心を叩き、そのままバックステップして距離をとる。

「恐れんなよ。それと、難しく考えんな。力抜いてもっとのびのびと打ち込んで来い」
「黒江大尉……」

 確かに初めから、ずっと緊張しっぱなしだった気がする。
 自分が手にしている黒江大尉に対してただ一点の優位を魔力の強さだと思い込んで戦っていた。
 しかし、優位などは……そんなものは無かった。
 二人の関係は初めて会ったあの日から変わらず絶対的な力の差があり、彼女の存在そのものが聳え立つ巨峰そのものだった。
 大きく深呼吸してからその山を見上げれば、なんと登り甲斐があるのだろうと感嘆する。
 
「来いよ坂本。稽古をつけてやる」

 改めて構えを取る黒江大尉。
 もう一度深呼吸、自然体として大地に立つ。
 この身を包む大気は冷たいが、それ以上に開放感を欲して上着を脱ぎ、靴を放り出し、髪を解いた。
 更に意識して魔眼を閉じる。
 余計なものを削ぎ落とした等身大の坂本美緒として、剣士黒江綾香の前に立つ。

「いい空気だ」

 その一言と共に魔のクロエが神速の踏み込みを見せる。
 動きが視えた私はだらりと落としていた右手を引き寄せ、首を刈り取ろうとした真剣の一撃を受け止めてそのまま鍔迫り合いへと持ち込む。

「よく受けた。受けてくれなきゃ色んな奴にわたしが殺される所だったぞ」
「冗談がきついですな」
「冗談じゃないさ。この交わりの中でどちらが死んでも後悔はしない。しないがしかし、この意思を周りに理解してもらうのが面倒だとは思わんか?」

399 名前:zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2011/02/17(木) 00:03:17 ID:z3M5L//s
「違いない」

 自然に笑みがこぼれ、そこから先は無邪気なチャンバラだった。
 無論一瞬のミスが死に繋がる事は変わらない。
 それでも互いの剣閃の交錯が楽しくてたまらなかった。
 いつしかお互い疲れ切って大地を背に頭の天辺を向け合って大の字になっていた。
 見上げるのは青空と桜。
 
「坂本」
「はい」
「何でもない」
「ははっ」
「ふ……」

 風が吹いて桜が舞う。
 もう一度黒江大尉が口を開いた。

「坂本」
「はい」
「酒を」
「お酌ですか?」
「ああ」
「はっはっは、仕方の無い御仁だ」

 適度な心地よい疲労感を抱えた身体で立ち上がり、酒瓶をとりにいく。

「ほんとはな、凹まして諦めさせようと思ったんだ。でも惜しくてな。発破をかけた」
「黒江大尉」
「そしたら見る見る動きが良くなるじゃないか。そうなるとこっちも楽しくってな」
「……」
「お前を繋ぎとめるつもりが気が変わったんだ……お前は自分の信じる道を行け。回りの雑音なんぞ気にするな……って、私がこんな事言ったのは秘密で頼むぞ。色々心配性な連中に半殺しにされかねん」
「はっはっは。ご心配なく」

 笑いながら酌をする。
 黒江大尉はその酒を豪快に飲み干す。

「そーだ坂本、お前ちょっと『おめでとう』って言ってみろ」
「え? ……おめでとう、ございます……」

 きょとんとして言った私の祝福の言葉に満足したのか、黒江大尉はニカッと笑って抱きついてくると背へと回した腕で私を引き寄せつつ「お前も飲め」と頬を寄せて囁く。

「私は酒は……」

 正直、私は下戸で酒は飲めない。

「知ってる。お前用にサイダーの瓶も持ってきてる」
「用意がいいですね」

 好意を受け取らない理由はなかった。
 酒とサイダーで乾杯。
 程よく身体が冷えて二月の冷気が浸透してきた所に、酔いで発熱した人肌が作り出す温もりが心地良い。
 後は二人で盃と瓶を傾けあって騒いで楽しんで、そんな酒宴は日が傾く頃にミーナと加藤の両中佐の登場によって幕を閉じた。

「半年後でも一年後でも、またやろうぜ」

 黒江大尉はそういって茶目っ気たっぷりに笑って片目を瞑り、扶桑刀一本だけ持って加藤中佐の車に乗った。
 半年、か……。
 先輩の明るい姿を見て、自分の半年後が少しだけ気楽に迎えられるようになった気がした。




以上となります。
坂本と黒江では本国では本来坂本中尉と黒江大尉という階級差があり、海と陸という立場の違いもあり、更に年齢差もあるという前提で坂本が一歩引いた態度を取っています。
まぁ、なんていうか自分は黒江大尉が大好きなんです。

400 名前:zet4j65z ◆le5/5MRGKA:2011/02/17(木) 00:13:22 ID:z3M5L//s
しまった、ハイデマリー誕生日SSきてたの見落としてた。
後でゆっくり読ませていただきます〜。

401 名前:名無しさん:2011/02/17(木) 00:56:26 ID:gpYqJJ0Q
>>388
いちゃいちゃエイラーニャ和んだ!GJ!

>>392
微妙にイマイチだけどやっぱりカッコイイ姫に萌えた。GJ!

>>395
何故ナイトウィッチじゃないのにエイラがw 和気藹々とした雰囲気GJ!

>>400
剣術の描写がステキ。黒江さんまだ現役いけるんじゃないの?w GJ!

402 名前:mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/02/21(月) 01:33:41 ID:x1ApGJ1Y
>>388 LWqeWTRG様
GJ! 積極的なサーニャさんとエイラさんに萌えました。
エイラさんもやればできる!?

>>392
GJ! 姫様イケメンですね。ハイデマリーも幸せ者ですね!
スラップスティックなノリに、和みました。

>>395 5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2様
GJ! さり気なく混ざってあれこれしてるエイラに吹いたw
自重しない定子さんもGJです。

>>400 zet4j65z ◆le5/5MRGKA様
GJ! 剣と剣のぶつかり合い、迫力が伝わってきます。
文章から黒江さんのイケメンっぷりが漂って来ます。ステキです。


こんばんは。mxTTnzhmでございます。
今日はエイラ誕生日祝いと言う事で……
じゃあ誰に祝って貰うのが良いかなとか
色々考えてるうちに出来たSSを投下します。
ではどうぞ。

403 名前:jealously:2011/02/21(月) 01:34:34 ID:x1ApGJ1Y
「誕生日おめでとー」
 のんびりとした雰囲気で始まったエイラの誕生日祝い。
 まんざらでもない感じで祝福の輪の中心に陣取るエイラ。
 ひとときの賑やかな時間を過ごしたエイラは、にやけ顔でミーティングルームを後にした。
 そう言えば、と後ろを振り返る。さっきまで一緒に祝ってくれていたサーニャ。何故か機嫌が悪い。
「どうしたんダ、サーニャ?」
 無言。
 同じ事を繰り返すも、むすっとして、ぷいと顔を向ける。
 だんだんと不安になってくるエイラ。
 ……何か変な事を言ったのか? サーニャにとって悪い事でも言ってしまったか?
 あれこれ思い返すも、そんな事は全然無い。
 ただ、賑やかに祝って貰っただけ。
 拭えぬ疑問を抱いたまま、部屋に戻る。

「エイラ……っ!」
 ふたり一緒に部屋に戻り、扉を閉めるなり、サーニャはエイラの腕を取り、身体ごとぐいと壁に押しつけた。
「な、何するんだサーニャ!?」
 手首に食い込むサーニャの爪。痛さよりも先に、サーニャの行動への驚きが出る。
「エイラ、分かってない……」
「な、何を? 私何か変な事言ったカ?」
「違う!」
「じゃあ、一体どうしテ。何でサーニャが怒ってるのかわからな……」
「エイラは黙って!」
 サーニャから発せられたいつになくきつい言葉に、エイラは唖然とし、同時に返す言葉を失う。
 ごくり、と唾を飲み込む。
「さ、サーニャ……」
 それ以上言葉を言わせて貰えなかった。不意に唇を塞がれる。
 先程二人で沢山食べたケーキの甘酸っぱさが、唾液に混じって微かに感じる。
 ゆっくり唇を離すサーニャ。はあぁ、と熱い溜め息がエイラの頬を撫でる。
「エイラは……」
「う、うん?」
「私だけのものなの。他の人に祝って貰うの、嫌なの」
「な、何で? サーニャも一緒に楽しん……んんっ……」
 またも唇を塞がれる。ぷはあっと息切れしたところで、ようやく唇を離す。
「エイラは、私だけのエイラなの。エイラ、私だけを見て?」
「サーニャ、どうしたんだヨ……い、痛い……」
 ぐいとエイラの手首を押しつけ、動きを封じる。いつしか耳と尻尾も生やし、力がこもる。
「私を、見て?」
 両手首を押さえつけて、顔をじっと見る。
 抵抗出来ない。しようと思えば出来るのだが、何故かしてはいけない気がして……。
 エイラも真正面からサーニャの顔を、目を見る。
 少々の涙で澱んだオラーシャ娘の瞳は、いつもの柔らかな輝きが失せ、エイラの怯える顔を映し出す。
 同時に、サーニャのキモチも垣間見る。
 狂おしい程の、愛情。
 いや、愛が故に狂気に走ったのか。
 腕の痛みを忘れ、息を呑むエイラ。
「もっと。ずっと、一生、私だけを、見て?」
「……」
「返事は?」
「う、うん……」
「じゃあ、ご褒美」
 エイラにもう一度口づけをすると、耳たぶの後ろに唇を這わせる。
「ひゃうっ……サーニャ……」
「エイラ、ここ、弱いもんね」
「そ、そんな事……」
「震えてる。可愛い」
「サーニャ、おかしいぞ……何か」
「エイラの為なら、何でもするわ」
「するって、私をしたい放題じゃないかー、うわっ……」
 サーニャはエイラをそのまま掴まえて、ずるずるとベッドに引きずり込んだ。
 エイラは為す術もなかった。

 ベッドの上で、疲れ果てて眠るエイラとサーニャ。
 何度キスを交わし、身体を重ねたか分からない。
 もうひとつエイラに分からない事。それはサーニャの豹変。
 重たいまぶたをうっすらと開け、目の前のサーニャを見る。
 やっぱり、分からない。
 しっかりと抱きつかれ、一時も離してくれない。
 でも、こう言う事も、何だか良いかも知れないと、思い始めた自分に気づき、驚く。
 だけど。一抹の不安が頭を過ぎる。
 ずっとこのままだったら、どうしよう。今のサーニャも魅力的だけど、いつものサーニャに戻って欲しい。
 でも、これはきっと何かのきっかけでたまたまこうなっているだけだと、言い聞かせる。
 起きたら、いつもの優しいサーニャに戻っている。そうに違いない。
 うぅん、と抱き枕みたいにサーニャにぎゅっと抱かれながら、エイラはぼんやりと思う。
 そう。夢から醒めれば。
 夢から……。

end

404 名前:名無しさん:2011/02/21(月) 01:34:59 ID:x1ApGJ1Y
以上です。
たまにはサーニャさんが積極的でもいいよね、とか思ったり。
ちょっとアレですけど。

ではまた〜。

405 名前:mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/02/21(月) 23:01:50 ID:AXSh3dio
こんばんは。mxTTnzhmでございます。
本屋に立ち寄った時に思い付いたネタをひとつ。
保管庫No.0450「ring」シリーズ続編となります。
ではどうぞ。

406 名前:book seller 01/02:2011/02/21(月) 23:02:17 ID:AXSh3dio
 小春日和のとある日、ローマに赴き、それぞれの所用を済ませたトゥルーデとエーリカ、そしてペリーヌ。
 基地帰還まで少々の暇が出来た三人は、ローマ市内某所の本屋に足を踏み入れた。
「ここは……古書も扱っている様ですわ」
 ペリーヌが辺りを見回し、二人に言う。
「なるほど。ブリタニアの……ロンドン程は揃ってないか」
「まあ、ローマだし〜早く済ませてケーキ食べに行こうよ。シャーリーが言ってたあのお店〜」
「分かった分かった。とりあえず本だ」
 蔵書をざっと眺めて呟くトゥルーデと、ぴったり寄り添って歩くエーリカ。
「しかし大尉、本屋に何かご用ですか?」
 二人の後を歩くペリーヌがトゥルーデに聞く。
「ん? ああ、基地で読む為に丁度良い本は無いかと思ってな」
「なるほど。ではこちらなど、如何ですか?」
 ペリーヌが棚から探し、差し出したのは、カールスラントの哲学書。
「哲学か……戦闘教本とかそう言うのは」
「無いと思うよ」
「流石に、ここには無いかと」
 エーリカとペリーヌに即答され答えに困るトゥルーデ。
「そ、そうか。普通の本屋だからな……」
 ペリーヌから哲学書を手渡され、ぱらぱらとめくる。
「うーむ。私には、どうもな……」
「私も読んでると寝ちゃうよ」
「お前は何を読んでも寝るだろう」
「何で知ってるの?」
「あのなあ……」

 ペリーヌはひとり、ガリアの文学は無いかと探し、棚のひとつに辿り着く。
「ここには、まだ有るのですね……」
 何故か安堵するペリーヌ。
「ネウロイは、本は食べないからな」
 いつの間にか後ろに立っていたトゥルーデが呟く。
「でも、街ごと焦土に……」
「そうだったな。でも、こうして異国に有る事自体貴重な事じゃないか?」
「確かに……」
「ペリーヌも何か一冊買って行ったらどうだ? 何なら私が出してやるぞ」
「いえ、お金は大丈夫です」
「まあ、ペリーヌは、自分で本を買う金が有ったら、全て復興に回してしまうからな」
「そっそれの何処がいけないんですの!?」
「まあ怒るな。他意は無い。ただ、少し位自分の為になるものを買うのは、悪い事じゃないと思うが」
「それは……」
「そうだな。私はガリアの文学には疎いが……これなんかどうだ?」
 カラフルな表紙の本を一冊、ペリーヌに渡す。
「これは児童向けの童話集ですけど」
「今度、クリスに読んでやってくれないか?」
「えっ? 大尉の、妹さんに?」
「いや、クリスでなくても良い。子供達に夢を与えるのも大事な役割だと、思わないか?」
 しばし本を見つめる。表紙に描かれた無邪気な子供達の顔を見、目の前に立つトゥルーデの顔を見比べる。
「大尉らしいですわね」
 ぽつりと呟くと、ペリーヌは本を手にカウンターに向かった。
 ふと微笑むトゥルーデ。

「ねえ見てトゥルーデ。古書の処分だってさ」
「ほう」
 無造作に積まれた本棚の一角を見やる。
 様々な書物がどどんと積まれ、さながら「知識」のバーゲンセールだ。
 手に取ろうとするも、いささか躊躇われる。
 どの本も、必死の思いで書かれたものの筈なのに……、一山幾らの扱い。
 もし著者がこれを見たらどう思うのか。トゥルーデはそんな事を想いながら、一冊の本を手に取る。

407 名前:book seller 02/02:2011/02/21(月) 23:02:48 ID:AXSh3dio
 詩編。
 著者も題名も知らない。
 ページを開く。
 終わりなき、ものがたり。
 軽やかなリズムに乗って、ことばは軽やかに頁の上を飛び回り、何かを訴えかけてくる。
「トゥルーデ、その本が気になったの?」
「う、いや……」
「色々考え過ぎなんじゃない? 今は読む人が居なくても、平和になったらそのうち誰か読むって」
「平和って……。いつだそれは」
「私達が頑張るしかないんじゃない?」
「まあ、な」
「私はこの本買おうかと思って。妖精の話」
「妖精?」
「トントとか言う不思議な妖精の話」
「どっかで聞いた様な……まあいい」
 トゥルーデはさっきから手にしたままの本をどうすべきか考えていた。
 戦闘の役に立つものではない。
 クリスに読ませるには、少し難しい。
 だが……。
「大尉こそ、少しは戦いから離れた内容の本を手に取るのも宜しいんではなくて?」
 先に会計を済ませたペリーヌが、声を掛けてきた。
「お、ペリーヌ結局童話集買ったんだ」
 エーリカが目ざとくペリーヌの手にした本を見る。
「ええ。大尉のお薦めですから」
「そうだな。私もペリーヌに言った事だし。……そうだな」
 トゥルーデは繰り返すと、その本を会計に持って行った。

「トゥルーデの買った本が一番安いなんてねえ」
 ローマ市内のカフェ。シャーリーと芳佳お薦めの店で、エーリカは美味なるケーキを一口食べ、愚痴を続けた。
「私の買った本、トゥルーデの本の二十倍はしたよ」
「この本は古書で処分品だったからな……中身は他と変わらない筈なんだが」
「それ、どう言う意味?」
「どの本も皆著者の懸命なる努力の末に書かれたもの、と言う意味だ」
「トゥルーデらしいね」
「今度ガリアに帰ったら、この本を子供達に読ませますわ」
「そうすると良い。喜ぶと思うぞ」
「ええ」
 ペリーヌは微笑んだ。
「ま、いっか……」
 エーリカは一人呟くと、トゥルーデのケーキに手を伸ばした。
「おい、私のケーキ!」
「スキだらけなんだもん、トゥルーデ」
「スキも何も……って自分の分はもう全部食べてるのか」
「美味しかったよ」
「私は食べてない」
「じゃあもう一皿頼んでよ」
「仕方ない」
 ウェイトレスを呼ぶと、同じものをひとつ、いやふたつ頼むと声を掛ける。
「そんなに頼んで大丈夫ですの?」
 いぶかるペリーヌに、トゥルーデは言った。
「どうせ食べられるんだったら、予防線を張っておかないとな」
「私がひとつ食べると思った?」
「ああ」
「残念。来た分は全部食べるよ」
「こら、私の分も少しは残せ!」
「へへー」
 いつもと変わらぬカールスラントコンビのやり取りを見て、苦笑するペリーヌ。
「まあ、良いですわね」
「? 何が?」
「どうかしたのペリーヌ?」
 きょとんとしたカールスラント娘二人を前に、ガリアの娘はくすっと笑った。

end

408 名前:名無しさん:2011/02/21(月) 23:03:02 ID:AXSh3dio
以上です。
2期5話以降の話と思って頂ければ。
丸くなったペリーヌとお姉ちゃんの
ちょっとした交流も良いと思うんですが
如何でしょう?

ではまた〜。

409 名前:名無しさん:2011/02/21(月) 23:46:00 ID:9Hh7gI/c
エイラちゃん誕生日おめでとー!!

SSとか用意してないけども、とにかくおめでとう!

410 名前:5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/02/21(月) 23:47:56 ID:.yOjDb6.
こんばんは、何とか間に合ったのでエイラの誕生日SSを3レスほど投下していきます。
では、どうぞ

411 名前:夢と髪飾り 1/3:2011/02/21(月) 23:48:42 ID:.yOjDb6.

「つまんねぇな〜」

ピンク色の明かりが灯された部屋の中、私はベッドに寝転がり夜間哨戒のローテーション表を見ながら呟いた。
今日の夜間哨戒の担当はサーニャと宮藤だ。
今頃サーニャ、宮藤と楽しくお話でもしてるのかな。
そんな事を考えてたら、何だか無性に虚しくなってくる。
宮藤は確かに良いヤツなんだけど最近、あいつのサーニャを見る目が何と言うかその……いやらしい感じがする。
宮藤の奴、私がいないのを良い事にあんなことやこんなことをサーニャにしてたりしないよな?
「まぁ、一応出発前に宮藤には釘をさしといたから大丈夫だよな? 多分……」
私は自分にそう言い聞かせて、寝ることにした。

夢の中にサーニャ、出てこないかな……

 「エイラ、起きて」
 私を揺すりながら、耳元で甘く囁く声。
 世界広しと言えど、こんなに甘い声を出せるのはこの世で1人しかいないだろう。
 そう、私の大好きなサーニャだ。
 「サーニャ! お帰り……ん? どうしたんだ、その格好……」
 私は飛び上がってサーニャの方を振り向くと、彼女の服装がいつもと違う事に気付く。
 サーニャは何故かいつもの軍服ではなく、純白のウェディングドレスに身を包んでいた。
 「エイラ、よく聞いて。私、芳佳ちゃんと結婚することになったの」
 「……へ?」
 一瞬、私の思考は停止する。
 ちょっと待ってくれよ、何言ってるんだよサーニャ。
 「サーニャちゃん、お別れの挨拶は済んだ?」
 「あ、芳佳ちゃん」
 そこにタキシードに身を包んだ宮藤がやってきた。
 サーニャは宮藤が入ってくるや否や、宮藤のことをぎゅっと抱きしめる。
 何だよ、それ。2人ともまるで本当の夫婦みたいじゃないか。
 「エイラ、私たち幸せになるから」
 「お、おい! どういう事だよ!? サーニャ! 宮藤!」
 「エイラ、今までありがとう……」 
 「それじゃ行こっか、サーニャちゃん」
 「うん。じゃあねエイラ」
 サーニャはそう言い残すと、宮藤と一緒に部屋を去って行った。
 そんな……行かないでくれよ、サーニャ……サーニャ!

412 名前:夢と髪飾り 2/3:2011/02/21(月) 23:49:19 ID:.yOjDb6.

「いやだあああああああああ!」
叫び声と共に私は、がばっと起き上がる。
「ゆ、夢……?」
額を拭うと、べっとりとした寝汗が手に張り付いた。
「確かに、夢にサーニャが出てきてほしいって願ったけど……」
全く、なんて夢見てんだよ私は。
サーニャと宮藤が結婚だなんて悪夢以外の何物でもない、まだ心臓がバクバクしてるよ。
「何事だ!?」
「どうしたんだ!?」
「エイラさん、大丈夫ですか?」
「一体何事ですの?」
私の叫び声がよっぽどすごかったらしく、バルクホルン大尉、シャーリー、リーネ、ペリーヌの4人が一斉に部屋に入ってきた。
着替える間も惜しかったのか、バルクホルン大尉に至っては衣服を何も身に付けていなかった。
「エイラ、何があったんだ? あんなに大きな声を出して」
大尉が心配そうな表情で私の肩をつかんできた。
何というか……目のやり場に困るな。
「えっと……何があったか全部話すから、とりあえず服を着てくれ大尉」

「あーはっは!」
十数分後、私が食堂で夢の事を話し終えると、シャーリーは腹を抱えて大声で笑い出した。
……やっぱり話すんじゃなかった。
「声が大きいぞ、シャーリー。ミーナ達はまだ寝てるんだ」
「ごめんごめん。でも、宮藤とサーニャが結婚だなんて……くくっ」
「何だよ。そんなに笑うことないだろー?」
「全く、ちょっと変な夢を見ただけであんなに騒ぐなんて……みっともないですわよ」
「じゃあツンツンメガネは、坂本少佐とミーナ中佐が結婚する夢を見ても平常でいられるのか?」
「な!? 何でそういう話になるんですの!? と、とにかく……私とリーネさんで作ったカモミールティーですわ。
これでも飲んで、気持ちを落ち着けなさい」
ペリーヌはあからさまにうろたえた様子を見せながらも、私にカモミールティーを差し出してくれた。
ほんわりとした良い香りが辺りに漂う。
「……ありがとな。ツンツンメガネもたまには優しいとこあるんだな」
「『たまには』は余計ですわ。たんとお飲みなさい」
私はペリーヌ達が淹れてくれたカモミールティーを口に含んだ。
ほんわりとした香りが口の中にも広がるのを感じる。
「うん、美味い」
「気に入って貰えて良かったです。それにしても私、ビックリしましたよ。眠ってたら、エイラさんの部屋からいきなり
すごい叫び声が聞こえてくるんだもん」
「騒がしてごめんな。でも、リーネだって同じ夢を見てたら、慌ててたと思うぞ〜?」
「それは、絶対ないと思います」
リーネがはっきりとした口調でそう応える。
「へ? 何でそう言いきれるんだ?」
「芳佳ちゃんが夢の中で誰と結婚しようと、それはあくまで夢の中での話です。本当の芳佳ちゃんは、
エイラさんからサーニャちゃんをとるような事は絶対しません」
「すごいな、そこまで言いきれるなんて……」
「はい。だって私、芳佳ちゃんを信じてますから」
リーネは、私を真っすぐ見つめながらそう言いきった。
本当にすごい奴だな、お前。
「あはは! 一本とられたな、エイラ。お前ももう少し宮藤のこと信じてやんなよ。確かにあいつはちょっと変なとこあるけど、
リーネの言うようにお前からサーニャをとるような事は絶対にしないと思うよ。なぁ、バルクホルン?」
「うむ。宮藤もサーニャも素直で可愛い私の妹だ」
「あー、あんたに振ったあたしが馬鹿だった……それじゃ、あたしらはもう寝るからエイラもそれ飲んだら寝たほうがいいぞ。
何てったって明日は……おっと、これはまだ秘密だった。じゃ、また明日な」
みんながいなくなると食堂は急に静かになった。
シャーリーの奴、一体何を言おうとしてたんだ?
まぁいいや、早くこれ飲んで部屋に戻って寝よ……

413 名前:夢と髪飾り 3/3:2011/02/21(月) 23:49:43 ID:.yOjDb6.
「エイラ、起きて」
私を揺すりながら、耳元で甘く囁く声が聞こえる。
こんなに甘い声を出せるのは世界で1人だけ……
「ん……サー……ニャ?」
私が起き上がると、そこにいたのは軍服に身を包んだサーニャだった。
もちろんウェディングドレスも着てないし、隣にはタキシードを着た宮藤もいない、私の知っている大好きなサーニャ。
「夢、じゃないよな?」
「何言ってるの? ふふっ、変なエイラ……ねぇエイラ、これ見て」
サーニャが微笑みながら小さな鏡を私に見せてきた。
私がその鏡を覗きこむと、そこに映っていたのは見慣れない髪飾りを付けた私の顔。
「ん? なんだこれ……」
私は、いつの間にか髪に付いていた髪飾りを触ってみた。
花の形をしたとても可愛らしい髪飾りだ。
「エイラ、誕生日おめでとう。それは私からの誕生日プレゼントよ」
「え?」
私は、サーニャの発言を理解するのに少々時間がかかった。
誕生日? 誰の?
「あ、そうか……私の誕生日、今日だったっけ……」
部屋のカレンダーを見て、ようやく私は今日が自分の誕生日だという事を思い出す。
昨日はサーニャと宮藤の事で頭がいっぱいですっかり自分の誕生日を忘れていた。
もしかして、シャーリーは昨日この事を言おうとしてたのか?
「……なぁサーニャ、頬をつねってくれ」
「え? いいの?」
「ああ、頼む」
サーニャが私の頬をそっとつねってくれた。
少し痛かった。痛いってことはつまり……
「夢、じゃないんだ……私、サーニャからプレゼントもらったんだ……やった! 本当にありがとな、サーニャ」
「ふふっ、やっぱり今日のエイラちょっと変……ん」
「へ? サ、サーニャ!?」
その時、私はサーニャに突然ベッドに押し倒された。
ちょ、ちょっと待ってくれよサーニャ。私たちまだこういうのは早いんじゃ……
「すー、すー……」
「え? ね、寝てる?」
サーニャは可愛らしい寝息をたてながら、私の上でぐっすりと眠ってしまった。
まぁ夜間哨戒明けだから無理もないか……って、そういう問題じゃない!
この体制だと私、身動きとれないじゃないか。
私の心臓の鼓動が昨日夢から覚めた時よりも早く鳴っているのを感じる。
色々とマズいぞこの状況。
でも、心地良く眠っているサーニャを起こすわけにもいかないし……私、一体どうすればいいんだー!

〜Fin〜

414 名前:5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/02/21(月) 23:56:42 ID:.yOjDb6.
以上です。エイラ、誕生日おめでとう!
それと名塚佳織さん、ご結婚おめでとうございます。

>>396 zet4j65z ◆le5/5MRGKA様
GJです。美緒と黒江さんのやり取りが素敵です。2人ともかっこいいですね。

>>402>>405 mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c様
GJです。積極的なサーニャと優しいお姉ちゃんがいいですね。
お姉ちゃんと本と言えば、乙女の巻2巻の私の大好きなエピソードを思い出します。

ではまた

415 名前:名無しさん:2011/02/22(火) 15:33:06 ID:C0kCiUTo
>>414
これは良いエイラーニャ!GJ!
相変わらずのお姉ちゃんにもワロタ

416 名前:5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/02/24(木) 01:13:08 ID:O/9rDeXw
こんばんは。>>411-413の続きのお話が出来たので投下していきます。
芳リーネで2レスです。ではどうぞ

417 名前:お嫁さんはどっち? 1/2:2011/02/24(木) 01:14:15 ID:O/9rDeXw

「え? 私とサーニャちゃんが結婚?」
「うん。エイラさんが昨日そんな夢を見たって」
エイラさんの誕生会の後片付けが終わって、リーネちゃんと部屋でのんびりしていた就寝前。
リーネちゃんは、昨日私とサーニャちゃんが夜間哨戒でいなかった時に起こったある事件の話をしてくれた。
「昨日は本当にビックリしたんだよ。寝てたらエイラさんの部屋から突然叫び声が聞こえてきたんだもん」
「あはは……実際、私がサーニャちゃんと結婚するなんて言ったらMG42持ったエイラさんに追いかけまわされそう……」
エイラさんは本当にサーニャちゃんの事、大事に想ってるもんね。
でも、それ以上にサーニャちゃんはきっとエイラさんの事……
「ねぇリーネちゃん、もしエイラさんとサーニャちゃんが結婚したら、どっちがお嫁さんになると思う?」
「え? どうしたの急に」
「私、どっちかって言うとエイラさんがサーニャちゃんのお嫁さんだと思うんだ。サーニャちゃんと一緒にいると、
エイラさんに守られたいんじゃなくて誰よりもエイラさんの事を守ってあげたいっていう気持ちが伝わってくるんだよね」
昨日夜間哨戒で一緒になった時もサーニャちゃんは、エイラさんの事をどんなに大事に想っているかを私に話してくれた。
エイラさんはサーニャちゃんにあんなに想ってもらって幸せ者だね。

「エイラさんがお嫁さんかぁ……何となく分かるかも。それじゃあ……もし、私たちが結婚したらどっちがお嫁さんになるのかな?」
「……へ?」
突然、リーネちゃんが顔を赤らめながらそんな事を訊いてくるものだから私も思わずドキリとしてしまう。
もう、リーネちゃんその表情可愛すぎだよ。
「えっと、私……できるならリーネちゃんをお嫁さんにしたいかな」
私がそう応えると、リーネちゃんも満面の笑みを浮かべてくれた。
「えへへ、私も芳佳ちゃんのお嫁さんになりたいって思ってたんだ。ねぇ、せっかくだからシミュレーションしてみない?」
「シミュレーション?」
「うん。私、今から芳佳ちゃんのお嫁さんになるから、芳佳ちゃんは仕事から帰ってきた旦那さんの役をやってくれない?」
「疑似夫婦になるって事だね……分かった。じゃあ、早速やってみよう」

418 名前:お嫁さんはどっち? 2/2:2011/02/24(木) 01:14:45 ID:O/9rDeXw

「ただいまー」
「お帰りなさい、芳佳ちゃん」
私が一旦外に出て、また部屋の扉を開けるとエプロン姿のリーネちゃんが出迎えてくれた。
リーネちゃんのエプロン姿は台所でいつも見てるのに、何だか今私すごくドキドキしてる……
自分のお嫁さんがエプロンをしてるって考えると、こんなにもドキドキしちゃうんだね。
「ご飯にする? お風呂にする? そ、それともわた、私……?」
リーネちゃんが顔を真っ赤にしながら私に三択を迫ってくる。
そんな表情で迫られたら答えは一つしかないじゃん。
「もちろんリーネちゃん! えいっ」
私は今日一番の笑顔でリーネちゃんをベッドに押し倒した。
「きゃっ! もう、芳佳ちゃんったらせっかちなんだから」
「えへへ……リーネちゃん、耳出して」
「う、うん……」
リーネちゃんは私の指示通り魔力を解放して、使い魔の耳と尻尾を出してくれた。
私がその猫の右耳を思いっきり甘噛みすると、リーネちゃんはくすぐったそうに身をよじった。
「ひゃぅっ! 芳佳ちゃん、くすぐったいよぉ〜」
「リーネちゃん、ここが弱いんだね」
私が続いて左耳を噛もうとしたその時、背後から聞き覚えのある声が聞こえた。
「宮藤さん、リーネさん」
「「ペ、ペリーヌさん!?」」
振り返るとそこにいたのは、この部屋の3人目の主であるペリーヌさんだった。
「あなた方は一体、何をなさっているのかしら?」
ペリーヌさんは口調こそいつも通りだったけど、背後からは殺気のようなものを漂わせていた。
こういう時は何て答えればいいんだろう……
「……えっと、よ、夜の営み?」
「よ、芳佳ちゃん!」
「え? 間違った事は言ってないよね?」
「あ、あなた方という人は! な、何て破廉恥な〜! もう、知りませんわ!!」
ペリーヌさんは顔をりんごのように真っ赤にさせて、その場から去ってしまった。
「あ、ペリーヌさん行っちゃった……」
「もう……どうするの? 芳佳ちゃん。ペリーヌさん、怒りを通り越して呆れてたよ」
「ペリーヌさんには後で事情を説明するよ。それより今は……」
私はさっき噛み損ねたリーネちゃんの左耳を右耳と同じように甘噛みする。
リーネちゃんもさっきと同じようにくすぐったそうに身をよじらせた。
「リーネちゃんの事、もっと知りたいかな」
「はぅ……芳佳ちゃんのえっち……」

――リーネちゃん、私の可愛いお嫁さん。これからもずっと一緒にいようね。

―――――――

以上です。
なんだか思ってた以上にシュールな話になっちゃいました。
ではまた

419 名前:名無しさん:2011/02/24(木) 02:17:35 ID:LCdbcCfg
>>418
GJ! 芳リーネの夫婦に萌えてペリーヌさんの怒りでワロタ
あと30機撃墜クラブ入りおめでとうございます!
新たなミラクルエースの誕生に乾杯!

420 名前:5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/02/28(月) 23:49:29 ID:elsxYk82
こんばんは。今日はペリーヌの誕生日ということで
短いですが、アメリーヌで1本書いてみました。
ではどうぞ

421 名前:5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/02/28(月) 23:50:53 ID:elsxYk82

「ねぇアメリー」
「何ですか? ペリーヌさん」
「その……あなた、少しひっつきすぎじゃない?」

現在の時刻は23時57分、日付の変わる3分前――私とペリーヌさんは1つのベッドに向かい合うような形で横になっていました。
「えへへ、ここにいればペリーヌさんの誕生日を一番に祝えますから」
「ええ。それはありがたいんだけど、その……こうもベッタリされると、なんだか恥ずかしいですわ」
そう言って、頬を朱に染めるペリーヌさん。
わぁ、ペリーヌさん、照れちゃって可愛いな。
私はそんなペリーヌさんの胸に耳を当てて、胸の鼓動を聞いてみる。
「本当だ。ペリーヌさん、すごくドキドキしてますね」
「ふぇっ!? だ、だから! ひっつきですって〜」
「……ペリーヌさんは、私にひっつかれるのイヤですか?」
「別に、悪い気はしませんわ。むしろ嬉しい……って、何言わせてるのよ」
「ふふふ……あっ!」
「どうしたの?」
「0時になりましたね」

部屋の時計を見ると、長針と短針がてっぺんで重なり合っていた。
今日は2月27日――私の大好きなペリーヌさんが生まれた日。
「ペリーヌさん、誕生日おめでとうございます」
「……ありがと」
「これ、私からのプレゼントです」
私は寝巻きのポケットからプレゼントを取り出し、それをペリーヌさんの耳に付ける。
シンプルな形の銀色のイヤリングだ。
「イヤリング?」
「はい。わぁ、すごく似合ってますよペリーヌさん」
「……本当にありがとう。正直あなたや501のみんなと逢うまでは、自分の誕生日というものに意味が持てなかったわ。
私には誕生日を祝ってくれる家族がいなかったから……でも、今は本当に嬉しい……家族と同じくらい大切な人に祝ってもらえて」
と、どこか寂しげな表情で語るペリーヌさん。
「ペリーヌさん……」
何だかしんみりした雰囲気になっちゃいました。
こういう時はどうすればいいんだろう……あっ、そうだ。
私は思いついたある事を実行するために、ベッドに侵入する。
「ペリーヌさん、ちょっとごめんなさい」
「へ? ア、アメリー!?」
私はベッドに潜り込み、ペリーヌさんのお腹の辺りをこちょこちょとくすぐる。
「ちょ、ちょっとアメリー!? く、くすぐったいですわ……ふふっ」
「あ、笑ってくれた」
「え?」
「その……私、とにかくペリーヌさんには笑っててほしいんです。だって、私ペリーヌさんの笑顔が大好きだから」
私がそう言うと、ペリーヌさんは顔を真っ赤にしながらこう呟いた。
「ま、全く、あなたという人は……お返しですわ」
今度はペリーヌさんがベッドに潜り込んで私のお腹をくすぐってくる。
「あぅ……ペ、ペリーヌさん! そこはダメですよ〜……ふふふ」
「ふふっ、観念なさいアメリー」
「や、やめてくださ〜い……あはは」

――ねぇペリーヌさん、私たちこれからもずっと一緒に笑いあえたらいいですね。

〜Fin〜

422 名前:5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/02/28(月) 23:53:34 ID:elsxYk82
以上です。ペリーヌ、誕生日おめでとう!
ペリーヌはアメリー相手には積極的だったらいいなーと思ったり。

>>419
ありがとうございます。まだミラクルエースになったという実感は湧きませんが、
これからもちょくちょく書いてくのでよろしくお願いします。

423 名前:5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2:2011/02/28(月) 23:56:04 ID:elsxYk82
すみません、タイトル忘れてました……
>>421のタイトルは「tickles」です

424 名前:Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/03/01(火) 22:44:34 ID:Ggr4Rfow
お久しぶりです!
最近スランプ気味(!?)であったので、なかなか作品を投下出来ませんでした…;;
もう開き直って、スランプ状態なまま書いたらこんな作品が出来ました!ぜひ読んでください!
なお、初挑戦のエイラーニャ作品です!


【過保護エイラさん】

ここは部屋中、占いグッズなどが溢れているエイラとサーニャの部屋。
ネウロイの奇襲もなく、急きょ全員非番となり暇を持て余した隊員たち。
そんな中、エイラはベッドで寝ながらタロットカードで遊んでいた最中であった
急にサーニャがこんなことを聞いたのだ...

「何ダヨ、このタロットカード破れかけてるじゃんかヨー」
「ねえエイラ…」
「ん?どうしたサーニャ?」
「子供ってどうやって出来るの?」
「ハ…?」
「『愛の結晶』って何?」
「…ダッ、誰から聞いたンダ??!!」
「ハルトマンさん…」


***

425 名前:Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/03/01(火) 22:45:02 ID:Ggr4Rfow
>>424の続き。


「ハールートーマーン!!!!」
「ん〜?何〜?」

エイラは急いで、居間でダラっとしていたエーリカを呼びとめる

「オッお前、サーニャになんてコトを!!!!」
「え、何?なんか私、変なこと吹き込んじゃった?」
「吹き込むも何も…サーニャがあんな突拍子にもない事を言うはずネエダロー!!」
「ん〜…思いつかない!じゃっ!」
「待てハルトマン、何処に行くんだ?!」
「え〜と、ミーナに頼まれてた領収書の整理?みたいな」
「オイオイオイオイ!!!!」
「はあ…」

エーリカは急に手を額にのせ、ため息をつく...

「エイラって、将来は良いパパになると思うよ」
「ハア?」
「んじゃ。わ〜たしに〜でっきること〜♪」
「待て、何処行くンダ!?」

意味深な言葉を残し、何処かへと行ってしまったエーリカであった...






























そして、また夕飯後に事件は起こる。

「ナア宮藤ぃ、サーニャ知らないカー?」
「サーニャちゃんならさっき、ルッキーニちゃんとハルトマンさんと一緒に居間に居たような…」
「ゲッ…」

薄々、嫌な予感を感じながらもエイラは居間へ向かう。
やはり予想通り………、

「ウジュー!おっきい!」
「これって…すごい」
「うん、大きいねえ!私もこんなんになりたいねぇ!!」
「…ッ!!ハルトマン!!!!」
「あ、エイラだ」

エーリカを囲むように、ルッキーニとサーニャは本を読んでいた

「エイラ」
「エイラ、どうしたの?顔真っ赤にしてさあ」
「どうしたも何も…お前、サーニャに何てモノを見せてるンダッ??!!」
「エッチな本」
「見りゃ分かるヨ!!」
「バッカだなあ、エイラ。このサーニャんの性教育はこのエーリカ先生に任せておきなさい!」
「アホらし。サーニャ、戻るゾ」

無理やりサーニャの腕を引っ張ろうとすると、

「…嫌」
「へ???」
「サーニャはねー、今日はあたしと一緒に寝るのぉー」
「じゃあエーリカちゃんも〜!」
「おいおい、待て待てルッキーニとハルトマン…どうゆう事ダ?」
「どうゆう事って…こうゆう事。おやすみ、エイラ」
「サーニャ…サーニャぁぁぁぁ…」

その場で立ちつくしてしまったエイラであった...


***

426 名前:Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/03/01(火) 22:46:16 ID:Ggr4Rfow
>>425の続き。


「ううっ…うううっ…」
「泣くなってエイラ…」

何故かエイラはシャーリーに慰められていた...

「だって…だって私なんかもう必要ないンダ…ううっ」
「あぁもう面倒臭いヤツだなあー」
「何か言ったカ?」
「ううん、別に」
「ぐすっ…サーニャに捨てられたら私、私はどうやって…」
「極論過ぎんだろ!?」
「まだわからないの?エイラ」
「えっ…」

いつの間にか、エイラの背後にはエーリカが居た

「旦那、何かコイツに言ってやってくださいよ」
「おうおうおう…おうエイラ」
「何だよ、その打ち合わせしたようなやり取りはサ」
「今までサーニャの意見って聞いたことある?」
「そりゃあもう…いつもサーニャの頼みごとなら何でも聞いてたサ」
「ウッソだ〜!じゃあ本当はサーニャはツナのサンドイッチが食べたかったのに、エイラが勝手にハムのサンドイッチを持って行って食べさせてたってことは無かったと言い切れるの?」
「うっ…」
「もちろん、エイラは好意で持ってきてるから断れないよなあ」
「他にも、まだまだ。1人で落ち着いてサウナ入りたいのに下心アリアリなエイラが勝手に入ってくるんだよ?」
「まっ、まさか!サーニャに限ッテ!!」
「言い切れるのぉ〜?」
「うっ…」
「他にもサーニャはEXILEかCHEMISTRYは選択しきれなかったかもしれない。けどエイラは勝手にコブクロを…」
「もう良いよ!しつこい!!つまり何が言いたいんだ、ハルトマンは」
「はあ…だから、たまにはサーニャもエイラも、一人になる時間が大切だって話。そして最近のエイラは『お節介』や『押し売り』の度が過ぎてるかな〜って」
「…お前らにサーニャの何が分かるンダ!」

…怒り気味で部屋を出て行くエイラ。

「おい、待てって」

急いでシャーリーが追いかける

「落ち着けってエイラ」
「落ち着いてられるカ!!」
「あー…これ、ハルトマンには秘密な」
「秘密?」
「まあハルトマンとサーニャって最近仲が良いじゃん?」
「あぁ…」
「サーニャから相談を受けてたらしいんだ」
「ハルトマンに?」
「あぁ。もちろんエイラも大事に想ってるけど、最近私に付きっきりでエイラは他の人とあまり交流が少なくなってきてるってな」
「サーニャ…がか?」
「ああ。だからハルトマンは一念発起!…あえて引き離そうとしたらしいんだ」
「ご、誤解シテタ…」
「お前がサーニャが好きなのはわかる、けど…自分や相手を『思いやる』ってのも大事だぞ」
「…ありがとう、シャーリー。なんかムカムカしてたからサ」
「いんや、礼を言うのはハルトマンにな」
「サルミアッキでも贈るか、お菓子好きだって言ってたしナー」


***

427 名前:Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/03/01(火) 22:49:36 ID:Ggr4Rfow
>>426の続き。

翌日

「ねえエイラ…」
「どうした?サーニャ」
「私、欲しい物があるの」
「そうかそうか!じゃあ私が………ううん、何でもナイッテ」
「だから今日もお休みをもらって買い物に行って来ようと思うの」
「ソウカソウカ…私は行かなくても大丈夫カ?」
「大丈夫。エイラはゆっくりしてて」

やはり少し心配したエイラは玄関までサーニャを送り出すことにしたが…

「………」
「おー、リーネ。どうしたンダ?」
「これ…何なんでしょう…?」

入口付近でただ呆然と立っていたリーネ。リーネの視線の先には…

「………」
「………」

この間送られてきたジャガイモの入っていた空き箱を何個か利用して工作され、それが積み上げられている物体があった

「…なんだこれ、『無人契約機 ナンボちゃん』?ナンダコレ?」
「コノ度ハ、『無人契約機ナンボちゃん』ヲゴ利用頂キマシテ誠ニグラシアス」
「わっ、喋ったゾ!?この箱!!」
「この無人契約機、なんか訛ってる…」
「そこをツッコむのカ?!…と言うかサーニャ!こんなの無視して早く行くんだ!!」
「うん…じゃあ行ってくるね、エイラ」
「おっ…おう!」

そうしてサーニャは走って外へ出かけて行ったのであった...

「ゴ利用ハ、計画的ヌ」
「…もう良いぞ、ハルトマン」
「あ、バレてた?」

箱の山から出てくるエーリカ

「これさあ、昨日ルッキーニとシャーリーの3人で徹夜して作ったんだよね〜!危うくトゥルーデに壊されそうになったけどさ」
「ったく…」
「たまにはさ、サーニャサーニャだとサーニャんの何処が好きなのか忘れちゃうよ?」
「余計なお世話だっての!」
「素直じゃないんだからさあ〜、トゥルーデじゃあるまいしぃ」
「けど…」
「けど?」
「あ…ありがと…ナンダナ」
「はは…あはは!ムリダナ〜!!」
「ぐぬぬっ!!ハルトマン!!!!」
「サーニャん、何買ってくるか楽しみだね〜♪」
「そうダナ」

428 名前:Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA:2011/03/01(火) 22:49:58 ID:Ggr4Rfow
>>427の続き。



そうして、サーニャは昼過ぎには帰ってきた。

「あれ、無人契約機ナンボちゃんは…?」
「あれはどうでも良いンダ!!で、サーニャ!ケガとか無かったか?!」
「うん、無事」
「良かったぁ…」
「はい、これ」
「…ん??」

サーニャは買ってきたと思われる、ギフトを渡したのであった。

「私にカ??!!」
「うん…開けてみて」

若干手が震えながら、エイラはギフトの包みを開ける。そこには…

「新しいタロット…?」
「うん、今使ってるのずいぶん使い古してたみたいだから…やっぱりいつも使ってるのじゃないと、ダメ?」
「いやいや!全然!全然これでOKダヨ!!うわあ…素直に嬉しいナア」
「…ハルトマンさんに相談したら、タロットが良いんじゃないかって」
「へ???」
「いつも、エイラに面倒を見てもらってるって感覚だったから今度は私がって…」
「面倒を見るって…介護じゃあるまいし…」
「でも気に入ってくれたなら、嬉しい…」
「ホンットに嬉しいサ!ありがとナ、サーニャ!」
「エイラ…」


「ニシシシシ…」

柱の影から2人の様子を見ていたエーリカ
そしてその後ろにはルッキーニとシャーリーも居る。

「ウジュー、ハルトマンもっとイタズラしないのー?」
「おいおい、今一番良い所なのにイタズラってまあタライがエイラの上に落ちてきたら『笑い』的には美味しいな」
「エイラのリアクション芸が見たーい!!」
「そうゆうのはペリーヌで我慢しとけ、ルッキーニ。…なあハルトマン」
「ん〜?」
「お前って…一体何なんだ?」
「私?天使だよ!」

これぞ、まさに『EMT』である…。


【おわれ】


以上で〜す。如何でしたでしょうか、初のエイラーニャだったんですが;;
それにしても、リアクション芸担当はペリーヌだって断定するルッキーニは酷いw
やはり皆様の作品を読んで、どうかスランプから抜け出したいと思います!

429 名前:mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/03/04(金) 20:14:25 ID:Y6hG8x8g
>>414とかたくさん 5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2様
激しくGJです! どのSSもキャラへの愛情に溢れる素敵な作品ですね。
あと30機撃墜おめでとうございます。新しい時代のミラクルエースですね!

>>428 Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA様
GJです。普段とは又違った感じなハイテンション面白いです。


こんばんは。mxTTnzhmでございます。
ふっと思い付いたネタをひとつ短めに。
保管庫No.0450「ring」シリーズ続編となります。
ではどうぞ。

430 名前:tact:2011/03/04(金) 20:15:43 ID:Y6hG8x8g
 遅めの朝食。殆どの隊員は食事を済ませ既に席を立っている。
 のんびりと食事をしているのは、エーリカとシャーリーのふたり。
 厨房に居る筈の食事係……リーネと芳佳も何処かへ行っており、食堂の中はしんと静まりかえっている。
 もそもそとサラダを食べつつ、シャーリーは斜向かいに座るエーリカに声を掛ける。
「今朝は、ハルトマン一人か?」
「そう言うシャーリーこそ、ルッキーニは?」
 ふかし芋を食べながらのエーリカの答えに、シャーリーは薄く淹れた珈琲を口に付けた後、答えた。
「ルッキーニは昨日から何だかご機嫌斜め四十五度でさ〜。今はどっかで寝てるか遊んでるんじゃないか」
「ふーん」
 会話終了。
 二人だけの淡々とした食卓は尚も続く。穏やかな陽射しが窓辺から二人のもとを照らす。
 不意に口を開くシャーリー。
「そういや、バルクホルンは風邪ひいたって聞いたな。大丈夫か?」
「トゥルーデ? 薬飲んで、部屋で寝てる」
「良いのか、看病してやらなくて」
「本人が良いって言うから。『他の連中の面倒を見てやれ〜』とか言っちゃってさ。で、私はここでご飯を食べてる」
「そっか……」
 その場に居ない“堅物”の物真似声を交えたエーリカの答えに、シャーリーは相槌を打つ以外に何も出来なかった。

 エーリカは、普段にも増してのんびりと食事を取っている。
 しかし、普段と変わらない様でいて、ペースはいつもよりゆっくり、そして何処か物憂げだ。
 シャーリーは、そんなエーリカをしばし観察した後、呟いた。
「ハルトマンってさ」
「?」
「そうやって、自由気ままに見えて、相手の事すげえ心配してるって言うか気を遣ってるって言うか、そういうとこ有るよな」
 エーリカの表情は変わらない。ただ、一瞬ぴくりと眉が動いたのをシャーリーは見逃さなかった。
 あえて気怠そうな表情のまま、エーリカはシャーリーの方を向いた。
「何が言いたいのさ」
「カールスラント人ってどうしてこう、カタい奴が多いんだろうね」
「リベリオン人だって、勝手気まま過ぎるよ」
「ハルトマンに言われたくはないな」
「私もシャーリーに言われたくないよ」
 二人の視線が交錯する。お互いを見つめてるうちに不意におかしくなり、くすくすと笑う。
「行ってやれよ。きっとあの堅物の事だ、部屋の隅で寂しく泣いてるぞ」
 エーリカをけしかけるシャーリー。
「シャーリーも行ってあげたら? ルッキーニ寂しがってるよ」
「そうだな。あいつの好きなキャンデーが何処かに有った筈だ……ええっと」
 服のポケットを探し始めるシャーリーに、エーリカが何かを差し出した。
「はいこれ」
「おっ、サンキュー。ってこれスオムスのまずい飴じゃないよな?」
「シャーリーの服に入ってたからそれはないと思うよ」
「なるほど……っていつの間に取ったんだよ」
「さあね。スキだらけ〜」
 エーリカはさっと立ち上がり、食べ終わった食器を片付けると、シチュー皿にシチューをたんまりと注ぐ。
 それをトレーに載せて、食堂を後にする。恐らくは、部屋で寝込んでる彼女の元へと持って行くつもりだろう。
 シャーリーはそんなエーリカを見て、ふっとため息を漏らす。

 あいつらと来たら……。
 ま、そう言うあたしも同類か。

 そんな事を考えながら、返された飴玉ふたつを、手に取る。
 ルッキーニの居場所は大体分かってる。
 行って声を掛けて……しかし飴玉ふたつで機嫌を直して貰えるだろうか。
 少々の不安か、飴玉の乗る手をじっと見つめる。

「考えるより、動いた方が良いよ。多分待ってる」
 見ていたのか、食堂の入口でエーリカがにやついている。

 ……全く、油断も隙も無い奴だ。

 そんな感想を胸にしまい、わかったわかったと大きめに返事をして、シャーリーは席を立った。

 ハルトマンなりの気遣い……あたしまで受けて、どうするよ。

 参ったね、と呟いて、シャーリーは外へ出た。

 あのウルトラエース二人は、よく分かってる。だからこそ……。
 リベリオン出身の大尉は大きく息を吐くと、ルッキーニの元へと走った。

end

431 名前:名無しさん:2011/03/04(金) 20:16:05 ID:Y6hG8x8g
以上です。

エーリカ×シャーリーな感じで。
でも前提としてエーゲルとシャッキーニがあってこそ
こう言うのも有りかなーとか思った訳で。

ではまた〜。

432 名前:管理人 ◆h6U6vDPq/A:2011/03/04(金) 23:38:22 ID:7A0XfQVw
皆様乙です
500KBに近づいてきましたので次スレを立てました
ここが500KBに達したら移動お願いします

ストライクウィッチーズでレズ百合萌え 避難所8
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12483/1299248601/

433 名前:mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/03/20(日) 00:07:45 ID:gLiv7t0U
スレが前後してしまいますが

次スレ>>6 6Qn3fxtl様
GJです。エーリカかわいいです!

次スレ>>11 5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2様
GJです。オラーシャの魔女もおそろしや。


こんばんは。mxTTnzhmでございます。
今日は何の日お姉ちゃんの誕生日と言う事で、埋めついでにひとつ。
保管庫No.0450「ring」シリーズ続編となります。
ではどうぞ。

434 名前:cocoa:2011/03/20(日) 00:08:16 ID:gLiv7t0U
 それはまだ陽も出ない早朝の事。
 ベッドでひとり微睡んでいたトゥルーデは、部屋の中からただならぬ気配を感じ、がばと飛び起きた。
 果たしてそこにはシャーリーとエーリカが居て、トゥルーデを見て「しまった」と言う顔をしている。
「何をしている二人共」
 寝惚け眼をこすりつつも、問い質す。
「今日誕生日だよな?」
 呑気なシャーリーの答え。
「ああ……。まあ……、そうだが」
「と言う訳で、後でみんなからお祝い有ると思うけど、まず私からの前祝い〜」
 笑うエーリカ。
「『私から』って、エーリカお前何もしてないじゃないか」
 トゥルーデの言う通り、シャーリーは携帯コンロとフライパンを持ち込み、何やらパンケーキをじゅっと焼いている。
 エーリカは横で見ているだけ。
「だって、私には料理するなって言うじゃん。だからシャーリー代理」
「代理って……」
 呆れるトゥルーデ。
「まあ、堅物にも、たまにはこうして何か作ってやるのも良いかな、なんて思った訳よ」
 シャーリーもまんざらでもなさそうな顔で、パンケーキを一枚、また一枚と焼いていく。
「なあ、別に部屋でなくても……それに前にもこんな事が有った様な」
「気にしなーい。はい、焼けた。熱々のうちに食べな」
 ほかほかのパンケーキが載った皿を渡される。何処か釈然としないトゥルーデ。
「そうそう、バターとハチミツはそこに有るから適当に」
「……」
 適当に甘味を付け、もそもそと一口食べる。
「悪くない」
「美味いと素直に言えないのかねー」
「いや、すまない。美味い」
「……ま、誕生日おめでとう、って事で」
「おめでとう、トゥルーデ」
「ああ、有り難う……」
「で、これも」
 エーリカから、カップを渡される。カップの中身はココアだった。
 ミルクと砂糖で甘味を出していて、ほんわかと湯気が立ち上る。
 一口、口に含む。少し熱い。いや、だいぶ熱い。
「エーリカ、これは舌を焼くぞ」
「その辺は魔力で……」
「どうにもならん」
 だらけた二人のやり取りを聞いていたシャーリーは、くすっと笑った。
 ふわあとひとつあくびをすると、フライパンやら携帯コンロをさっさと片付け、立ち上がった。
「何処へ行くリベリアン」
「あたしの役目はここまで。起床までもう少し時間有るから、ちょっと寝るわ」
「分かった」
 寝坊するなよ、と言いたかったが色々気を遣わせてしまった以上、厳しくも言えない。
「色々すまなかった」
「なぁに、良いって。そいじゃ」
 シャーリーは片付け物を持ったまま、部屋から出て行った。

 いつの間に用意していたのか、エーリカも自分のカップにココアを淹れていた。
「ココアってさ」
 ふーふーしながら一口飲み、トゥルーデに語りかける。
「チョコレートと一緒なんだよね?」
「成分的にはそうだな」
「じゃあ、……そう言う意味で取っても良いのかな?」
「そう言う意味ってどう言う意味だ」
「まあ、もう祝祭日は過ぎたし……」
 二月の聖なる日を思い返すエーリカ。トゥルーデはそんな彼女を見ていたが、ぽつりと呟く。
「いや、そう取るなら取っても良いんじゃないか」
 途端に目を輝かせるエーリカ。
「本当?」
「な、何でも無い。良いから早く飲め」
「ふふ、ありがとトゥルーデ。トゥルーデも冷めないうちに早くパンケーキを」
「ああ……」
 エーリカが顔を近付けてくる。
「食べ残し、ついてる」
「えっ?」
 少し顔を向けた途端、唇が触れ合う。
「なんてね。ウソ」
「こら、人をからかうな」
「でもちょっとドキッとした?」
「……した」
「じゃあ、もう少しだけ」
 エーリカはトゥルーデにしだれ掛かり、腕を身体に回すと、ゆっくりキスをする。
「たまにはこう言うのも良いよね」
「しょっちゅうの様な気もするが……」
「気にしない」
 くすくすと笑うエーリカを前に、……まあいいか、とぼんやり思うトゥルーデ。
「今日はどれ位お祝いして貰えるかな、トゥルーデ?」
「私は、もう十分……」
 またもエーリカに唇を塞がれる。オモチャにされている感じもしたが、悪い気分ではなかった。
 もう少し、このままで。トゥルーデは腕を回し、エーリカを抱きしめた。

end

435 名前:名無しさん:2011/03/20(日) 00:08:38 ID:gLiv7t0U

以上です。
お姉ちゃん誕生日おめでとう!

ではまた〜。

436 名前:名無しさん:2011/03/21(月) 11:08:04 ID:lF.KuDvo
1日遅れたけどお姉ちゃん誕生日おめでとおおおおお

437 名前:mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c:2011/03/28(月) 23:42:24 ID:3hhrsnIQ
次スレ>>18 Hwd8/SPp ◆ozOtJW9BFA様
良いお姉ちゃんですね。GJ!

こんばんは。mxTTnzhmでございます。
今日は思い付いたネタを、埋めついでにひとつ。
保管庫No.0450「ring」シリーズ番外編となります。
ではどうぞ。

--

buddy

 あの時、何故トリガーを引けなかったのか。
 あの時、挟み撃ちにされて、どうして何も逃げなかったのか。いや、逃げられなかったのか。
 あの時、あいつが来なければ……、あたしは……。

 ストライカーの魔導エンジンをいじくりながら、ハンガーの隅でぼんやり考える。
 結果的に事なきを得たのは事実だけど、あいつが魔法力、体力を削ってまで来なければ、あたしは海の藻屑となっていた。

 だから、どうした。
 多分あいつはそんな感じでさらっと流すに違いない。
 自分の事もほっぽり出して、へろへろで飛び立って、魔力を吸われ、気を失ってまで、あたしを助けた、あの馬鹿。大馬鹿。
 あたしが全力を出して抱きかかえた時の、何とも言えぬ感覚。触覚。ルッキーニのそれとも違う……

 全てを預けて来る、そんな身体の触れ合い。

「あーもう!」

 あたしは何となしに苛ついて、手にしていたスパナを放り投げた。乾いた音を立てて、近くに転がった。
 知ってる。分かってる。悪あがきだ。どうしようもないって事を。
 あいつはいつも、規則だなんだと怒ってる様で(実際表面的にはそう見える)、だけど心の中ではとても心配してる。
 凄惨な戦いを生き延びたからこそ、なんだろうな……。あたしはそこまで奴の事を知らないし、分からない。
 でも。
 もう少し位、良いじゃないか。何でいつも、いつも……。
 もっと、あたしを。

「ニヒヒ、どったのシャーリー? 何かうまく行かない事でもあった?」
 ルッキーニか。何でもない。

「シャーリー、どうしたの?」
 ルッキーニこそどうした、改まって。

「だって、シャーリー、泣いてる……」
 はは、嘘だろ? 冗談。あたしが何で泣くんだ? そんな必要もないしそう言う時でもないし。

「あたしで良ければ、何でも話して?」
 あはは……。ルッキーニは可愛いし優しいな。安心するよ。

 遠慮無しに全体重を預けてくる彼女の華奢な身体も、あと数年も経てば立派なナイスバディになるかもな。
 だけど、今はその無邪気な優しさが、かえってあたしの心に突き刺さる。
 何ていえば良いのか……分からない。
 今ただひとつ言える事。それは、彼女の前では泣かない事。
 これじゃあたしは“保護者”失格だな。

「ねえシャーリー、整備うまくいかなかったの? あたしも手伝おうか?」
 はは、そうだな。今日はだめだったよ。もうお終い。
 あいつは話を聞かないからな。
 そうだな、次はルッキーニにも手伝って貰うよ。

 ……え、「あいつ」って誰かって? 今は内緒って事にしといてくれよ。
 大丈夫、あたしは……。

end

--

以上です。
埋めネタと言う事で、短めにひとつ、ひっそりと。

ではまた〜。

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