嵐のよるに


「リーネちゃん、寒くない?」
「うん・・・」
私の小さな胸に彼女は顔を埋めながらコクリと頷いた。
「芳佳ちゃん、あったかいから・・・」
「そっか。良かった」
一人分の面積しかない狭いベッドから落ちないように彼女の華奢な身体をぎゅっと抱き寄せる。
胸の大きさとは逆に薄くて細い肩はまだ小刻みに震えていた。
「何回経験したって、出撃は怖いよね・・・」
家族を守るため。
友達を守るため。
みんなを守るため。
口ではそう言ってみても、やっぱり戦争は怖い。
もしかしたら命を落とすのかもしれないのだから。
「ごめんね。芳佳ちゃんに迷惑掛けてばっかで・・・私って弱虫でダメなウィッチだよね」
「ううん! そんな事無いよ! だって私、リーネちゃんにいつも助けて貰ってるもん」
戦闘中は勿論、それ以外の時でも彼女は新入りの私をいつも助けてくれた。
楽しい時も辛い時も彼女は私の傍に居てくれた。
そんな優しい彼女は私にとっては友達以上に大切な存在だ。
「それに・・・」
透き通る様な白い顎に指を掛けて、不安そうな瞳を覗き込む。
「リーネちゃん、可愛いもん・・・」
僅かに開いた小さな口唇に接吻を落とす。
柔らかい温もりを楽しんでから、ゆっくりと離れると彼女の熱い吐息が頬を掠めた。
「・・・もぅ、 芳佳ちゃんってば」
子供の様に上目遣いで抗議する彼女が可愛くて思わず、笑みが漏れる。
「ふふ。元気が出たみたいで良かった」
頭を優しく撫でると、彼女はくすぐったそうに身を捩った。
解いた髪が指先に優しくて何だか心が安心できる。
「続きは明日しよう。だから絶対、無事に帰って来てね」
「うん・・・」
小さな声で。
だけど、はっきりと彼女はそう答えてくれた。
私は母猫に甘える仔猫みたいに身体を擦り寄せる彼女をしっかりと優しく受け止めてあげた・・・。


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