JEALOUSY BLUE


芳佳ちゃんと両想いになって、口付けを交わして、身体を重ね合って…
私はそれだけで満足していた。幸せだった。

…でも私は自分でもよく分からない感情に襲われていた。
そして気付いた。これは“嫉妬”なのだと。


―――JEALOUSY BLUE―――


「はあ…私今、結構満たされてるハズなんだけどなあ…」

とぼやいてると、私は愛しい恋人――芳佳ちゃんの姿を見つけた。

「あっ、芳佳ちゃ―――」

「よくやったぞ、宮藤」
「えへへ…」

芳佳ちゃんが坂本少佐に頭をナデナデされて喜んでる…。

…なんか、面白くない…


と、私が黒いオーラを出してると、後ろから誰かに肩に手を置かれた。

「はっ…!…シャーリーさん…」
「なんだなんだ、怖い顔なんかしてー」
「お腹痛いのー?ニヒヒー」
「あっ、いや、別に…」
「んー?あーっ、芳佳かー…なるほど」

坂本少佐と嬉しそうに話してる芳佳ちゃんと面白くなさそうにしている私を見て、シャーリーさんは何かに気付いたらしく。

「芳佳が誰かと話してるのがイヤなんだろ?」
「えっ…いやっ…そのっ…」
「アハハー、リーネのヤキモチ焼きー」

横からルッキーニちゃんが楽しそうに茶々をいれる。

「…シャーリーさんは嫉妬したりとかしないんですか?」
「んー…私はしないけど、ルッキーニはスゴいね。私が誰かを見ただけですぐにむくれるんだよ?」
「…だってシャーリーを見張ってないと、いつ私から離れていくか分からないんだもん…」
「ハハハ、バカだなあ、私がルッキーニから離れていくわけないだろ、かわいいなあもう!///」
「シャーリー♪私もシャーリーから離れなーい♪」

「…はあ…この二人は本当にバカップルだな…」

なんかどっと疲れた…。


その夜、芳佳ちゃんの部屋

「それでね、今日、坂本さんに褒められたんだ!そしたら坂本さん、私の頭を撫でてくれて―――」

まただ。芳佳ちゃんったらまた坂本少佐の話だ。私がどれだけ複雑な気分かも知らないで。

そう思った瞬間、私の口はとんでもない事を発していた。

「…芳佳ちゃん…」
「ん?なに?」
「芳佳ちゃんは私と坂本少佐、どっちが大事なの?」
「えっ…」
「だって、芳佳ちゃん最近、坂本少佐の話ばっかり…」
「リーネちゃん…」
「芳佳ちゃんの恋人は…私のっ…ハズなのにっ……」

今までたまっていたものが全部噴き出したように。
私は芳佳ちゃんの前でみっともなく泣き出していた。

「ううっ…芳佳ちゃんは…私が嫌いにっ…なったのっ…?最近、キスもしてくれないしっ…私は…こんなに…芳佳ちゃんが好きなのにっ…!」
「…違うよ…リーネちゃん」

芳佳ちゃんの優しい声が響く。

「確かに坂本さんも大切な人だよ。だって坂本さんが誘ってくれていなかったら、私は…」

芳佳ちゃんは顔をちょっと赤くして。

「リーネちゃんと…こうして逢えなかったし…///」
「よっ…しかちゃんっ…」

一瞬、涙が吹き飛んだ気がした。

「それともリーネちゃんは私に逢えて、嬉しくない?」

…芳佳ちゃんは意地悪だ…。
そんな事言われて私が何て答えるか分かってるクセにそんな事を聞くんだもの…。

そんなの…


「嬉しいに決まってるよっ…芳佳ちゃんっ…」

私は勢い余って芳佳ちゃんに抱き付いてしまった。すると芳佳ちゃんはさっきよりも更に優しい声で…。

「…良かった。リーネちゃんならそう言うと思ってたから」
「芳佳ちゃん…」
「ほらほら、泣きやんで…そうだね、しばらくキスしてなかったね。じゃあ、はい」
そう言うと芳佳ちゃんは唇を私に向けて来た。

…やっぱり、芳佳ちゃんは卑怯だよ…。

「芳佳ちゃん…んっ…」
「リーネちゃん…っ…」

芳佳ちゃんは私の心をいとも簡単に絡め取ってしまうんだ

「よっ…しかっ…ちゃ…」
「リー…ネちゃんっ…んんっ…」

長い長い口付けを終えた私達の間には銀色の糸が繋がっていた。

「っていう事で…リーネちゃん…久しぶりに…する…?」
「…優しくしてくれるなら…///」
「アハハ、自信は無いなあ///」
「芳佳ちゃん…ベッドに連れてって…?」
「…リーネちゃんの仰せのままに♪」


――――――

「よしかっ…ちゃんっ…好きっ…だよ…っ」
「私もっ…リーネッ…ちゃん…っ…可愛いよっ…」

私達は繋がった。前よりも深く、激しく。
――――――


「芳佳ちゃん…」
「ん?」
「私、心配だったんだ。芳佳ちゃんがいつか、私の前から消えちゃうんじゃないかって」
「どうして?」
「だって芳佳ちゃんモテるから…。私なんか必要じゃなくなっちゃうのかなって…」

と、芳佳ちゃんは私の頬を軽くつねって、ちょっと怒ったように。

「私はリーネちゃんが好きだから、リーネちゃんの告白を受けたんだよ?今更他の人に動くわけないよ」
「うっ…嬉しいよぉっ…!!芳佳ちぁゃん…!!」
「もう、泣き虫だなあ、リーネちゃんは」
「好きっ!好き好き大好き!芳佳ちゃん大好きっ…!!」
「うん…うん…私も好きだよ…リーネちゃん…!!」

気付けば外はもう明るかった。
気のせいか外の雲が私達を見守っていたように感じた。




「なあ、宮藤、ちょっと時間あるか」
「はい、なんでしょう」

「あれ、リーネ、嫉妬しないのか?」
「え、ああ、もう嫉妬なんかしませんよ」
「おっ、なんか吹っ切れたな」


だって、私が嫉妬なんかしなくても芳佳ちゃんは私の芳佳ちゃんだから。
今度は芳佳ちゃんが嫉妬するくらい、私が芳佳ちゃんを愛してあげるから。

今日は、良い日になりそうだ。


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