Thunder Trap
その日、ブリタニアは近年稀に見る激しい雷雨に襲われていた。
当然、私達は外に出ることも出来ず、部屋の中で待機したままだった。
ピカッ
「ひっ、また光った…」
ゴロゴロゴロゴロ…ドーン…!
「うにゃああああっ!!!怖いよっ!シャーリーィィッ!」
「ハハハ、怖がりだなあ、ルッキーニは。よしよし」
ルッキーニの頭を撫でながら、私は心の底から幸せを噛みしめる。
私はもうだいぶ長い事、ルッキーニに片想いしている。ただ、その分だけ、告白出来ずにいる時間も長いワケだけど。恋愛沙汰に関する自分のチキンっぷりにほとほと呆れる。
「だって、雷怖いんだもん…」
「大丈夫だよ、私がいるからさ」
「…シャーリーの手、気持ち良い…」
「おいおい、なんなんだよ、あんなに怖がってたのに」
「シャーリーのそばにいるとなんか安心出来るんだよね…。なんでだろ…」
「私もルッキーニと一緒にいると、安心するよ…」
「ヘヘヘ、シャーリー///」
ルッキーニが猫みたいにじゃれついて来た。そんな事したって私の胸の鼓動を早くするだけなのに…
…はっ…これって、告白のチャンスなんじゃ…!?
覚悟を決めろ…シャーロット・E・イェーガー…!!
「ルッキーニ…」
私は恐る恐るルッキーニの体に触れる。
「どうしたの?シャーリー…?」
「私…ルッキーニの事が…」
ピカッ ゴロゴロゴロゴロ ドーン
「にゃああっ!シャ、シャーリー…!!」
「ちょ、危なっ…!」
私は雷に驚いたルッキーニに半ば押し倒される形となってしまった。
…っていうか、ルッキーニの顔がこんなに近く…///
「ご…ごめん…シャーリー…」
「ハハハ、別に良いよ」
「ところでさ、シャーリー」
「ん?なに?」
「私になんか言いたい事があるんじゃないの…?」
「えっ…」
よく見ると、ルッキーニの顔は仄かに紅潮している。自分がこれからどうなるか分かっているのか、それともこの状況のせいで赤くなっているのかは分からないが、とにかく今まで見た事ないくらいにルッキーニの顔は赤く染まっていた。
「…ルッキーニ、顔メチャクチャ赤いよ…。もしかしたら、私になに言われるか…分かってんじゃない…?」
「…っ…///」
「ルッキーニ…」
私はルッキーニの頬に手を添えて…
「私…ルッキーニの事、前から好きだった…。私、ルッキーニの事考えただけでスゴいドキドキするんだよ…?…ルッキーニはどうなの…?」
「…私は……///」
フフフ、やっぱりルッキーニは可愛いなあ…。そんなんだから、私はルッキーニをもっと好きになっちゃうんだよ…
「ルッキーニ、はっきり言ってくれないと、ここから進展しないよ…?」
「……り………き………………」
「ん?聞こえないよ、ルッキーニ」
「……私も…………シャーリーの事……好き………///」
うおっ、恥ずかしそうにしながら好きって言うルッキーニは想像以上に破壊力がスゴい…///
「アハハ…両想い…だね…ルッキーニ…///」
「…………ばか……///」
「さて、ルッキーニ。私達は晴れて恋人同士になったわけだ。それでやる事は決まっているんだよ」
「……まさか」
「そのまさかだよ。キスの流れのエッチだよ♪」
「なっ…///…何考えてるんだシャーリーのエロ!アホ!タコ!」
「ちょっ…叩くなって!恋人同士と言えばこれが当たり前でしょうが!」
と、私はルッキーニと自分の位置を逆転させた。
「ちょっ…と…シャーリー…///」
「やっぱこの体勢がしっくり来るね♪さあ、覚悟しろルッキーニ!」
「やだやだやだぁ!シャーリーのア…」
私は騒ぎ立てるルッキーニの口を自分の唇で塞いだ。
今の今まであれだけ騒いでいたルッキーニは途端に静かになり、顔を真っ赤にしていた。
「んんっ…ふぅっ…」
「んっ…しゃ…り…っ…」
私はルッキーニの口内を自らの舌で犯し抜く。その度にピチャピチャという淫靡な音が部屋中に響く。
そして長い長いキスが終わる。二人の間には銀色の橋がかかる。
ルッキーニは目を潤ませてこっちを見ている。その表情は普段のルッキーニには無い、とても扇情的で私を更に興奮へと導いた。
「……ルッキーニの唇、物凄い甘い♪」
「…シャー…リー…」
「ルッキーニ、火が点いたんじゃない?…ベッド行く?」
「シャーリー…私……キスされただけなのに……体が…熱い…」
「ヘヘヘ、どんどん私色に染まってきたな♪……でも、大丈夫だよ…今からルッキーニを私なしじゃ生きていけないようにしてあげるから……」
私はルッキーニをベッドに押し倒した。
そして再度深いキスをする。キスだけで感じているのか、ルッキーニは時折ビクンビクンと跳ねる。
そして焦らすようにすぐ唇を離す。
「シャ…リ…やめちゃうの……?」
「大丈夫だよ…これから、もっとイイ事してあげるから…」
私はルッキーニの首筋からまだまだ小さな胸へ唇を滑らせる。
ルッキーニの胸を舌で苛め抜く。
「んああっ…!!シャッ…リィッ…すごい…っ!…うんっ…ああっ…!」
「ルッキーニ…可愛いよ…大好きっ…ルッキーニ…ルッキーニ…!」
―――――――――――――――――――
「…まだ雨降ってる…」
「まあでも雷は鳴り止んだし、マシになったんじゃない?」
暫くの沈黙のあと、ルッキーニが顔を赤くしながら呟いた。
「……シャーリー、激しすぎ…///」
「んあ?だってルッキーニが可愛すぎるのがいけないんだよ?ルッキーニがこんなに可愛くなかったら私だって手出さなかったのに」
「…どういう言い訳だよ…」
「言い訳じゃないよ。だって両想いなんだよ?別に無理矢理犯したワケじゃないんだから」
「……///……責任、取ってよ」
「なんの?」
「なんのって…。私をこんなにした事!」
「ハハハ、分かってるって」
私はルッキーニの手を握って。
「ルッキーニのこの手、何があっても離さないから…ね?」
「あっ…///…っ…うん……///」
(照れてる照れてる!ルッキーニったら可愛すぎ~♪)
「おっ、ルッキーニ、晴れてきたよ」
「本当だ。…でもそう考えるとさ」
「うん?」
「…私達の想いが通じたのって…雷のおかげ…なんだよね…///」
ルッキーニは恥ずかしそうに、でも笑顔で言い放った。
「ぅぅ~…」
「ど、どしたの?シャーリー」
「もう~可愛いぞっ!可愛すぎるぞっ!ルッキーニ~♪」
「あっ…ちょっと…///…いきなり抱きつくなぁ~!」
「いいじゃんいいじゃん♪」
するとドアの向こうから坂本少佐の声がする。
「シャーリー、ルッキーニ!訓練を始めるぞ!早く準備をしろ」
「えっ…ちょっと、服どこ?シャーリー」「わかんない。脱がしてそのままどこかへやっちゃった」
「ええ~っ!シャーリーのバカ――――――――ッ!!」
一方部屋の外では
「…?…あいつら何してるんだ?」
「………………///……………」
何も気付かない坂本少佐の横で、何も言わずに俯いたままのミーナ隊長がいた。
END