坂本少佐ハピバSS
○おっぱい星人と少佐
「坂本さん!お誕生日おめでとうございます!!」
「ん、ああ。ありがとう。よく知ってたな?」
「はい!ミーナ中佐に教えてもらったんです。あの、それで私、
私が住んでいた扶桑の地域ですごく珍しいって言われてたものを持ってきました!」
「…これは、何だ?」
「イモリの黒焼きです」
「へぇ…。私のいた地域ではこんなものみかけなかったなぁ。食べるのか?」
「いえ、この粉をこう、かけるんです。えいっ」
「そうなるとどうなるんだ?」
「…わたしのこと見て、ドキドキとかしませんか?」
「ドキドキ?いや、別に」
「おかしいなぁ…」
○犬と少佐
夜の帳が空に溶けだす頃
微かに空が明るみ始めたそんな早くに、
わたくしの敬愛する凛々しく美しいその人は訓練を始めます。
いつもなら遠くから見つめる程度に留めるのですが……今日という日だけは。
「少佐!」
訓練が終わる頃を見計らって声をかけると、
毅然と汗を煌めかせながら振り返るその姿に
わたくしの心はこの爽やかな朝に負けぬほど清々しく―――…そうじゃありませんわ。
今日はぼんやり見惚れている場合ではないのです!
「ペリーヌ!何だ、こんな早くに。訓練か?」
「い、いえ!あの…少佐!お誕生日おめでとうございます!!」
「…もしかしてそれを言いにこんなところまできたのか?」
「はい。どうしても一番に、言いたくて…」
「そうか」
ありがとう
朝の柔らかな光のなか、そう優しく微笑む坂本少佐はそれはそれは美しく、わたくしは、
うっかり天に昇りそうになりました
ああ、大好きです少佐…!!
○隊長と少佐
コンコン、と軽やかに扉を叩く音がきこえ、
もう寝ようと布団に潜らせかけていた足を床についた。ひんやりとして気持ちいい。
「誰だ?」
「ミーナよ」
普段、こんな夜にミーナはやってこない。
私が早く寝ることを知っているから、来るとすれば何か急な用事があったりするのだ。
神妙な顔をしてなるべく急いで扉をあける。
何かあったのかと問おうとしたら目の前に花を差し出された。
「センニチコウ?」
それはセンニチコウらしい花を基調にした小さな花束だった。
「の、園芸品種の一種でね。ストロベリーフィールドっていうのよ」
言いながらミーナが部屋にはいってくる。
「どうしたんだ?」
「もうすぐで誕生日でしょ?一番に言いたかったのよ」
「あぁ…そうか。ありがとう。
いや、しかしもうすぐも何も…。まだ2時間はあるし、0時前には寝ているぞ?」
「ええ、だから」
花をみていたら不意に肩を押され仰向けにベッドに倒れこんでしまう。
すぐに目の前にミーナの顔が現われて私は嫌な予感が止まらない。
「…毎日の朝の鍛錬は怠りたくないんだが」
「たまに怠ってるじゃない」
「誰のせいだと…だいたいそういう日には午前午後の訓練で挽回しているから問題ない」
「じゃあ大丈夫ね」
「…いや、わかった。0時まで起きていよう。だからそれで――」
不敵に笑う上官に私は勝てる気がしていなかった。
案の定さっきから人の話は聞かずに首筋に顔を埋めながら喋るのでくすぐったい。
「…っミーナ」
「強情ねぇ。それなら上官命令、…と言ったら?」
「…職権濫用という言葉をご存知ですか、中佐どの?」
「あら、心外だわ。…じゃあ、ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケという
私個人のお願い、ならいいのかしら」
「…お戯れを」
「ふふ」
私もまだまだ訓練が足りないな
そんなことを頭の隅で考えながら
ゆっくり、身体を委ねた。
◇
「あら、0時まわったわね。誕生日おめでとう、美緒」
「そっ…んなこと…!言ってる場合じゃ……っ」
「ねぇ、ストロベリーフィールドの花言葉、知ってる?」
「?」
「”変わらない愛情を永遠に”」
「ー―っ」
「可愛いわね。好きよ、美緒」
変わらないものなどないと、私は思う。
不変のものなんてきっとない。
戦争はきっと終わるし、みんないつかは散り散りになるんだろう。
けれど、想いはどうだろうか。
気持ちという何ものでも計り知れないものは――――、
今以上をいつも求める人間は、それでも変わらない愛がほしいと願う。
私は、どうだろうか。
Fin!