想いを言葉にする方法


―――これが恋、なんだ…。

私がそれに気付いた時、私はルッキーニとキスしていた。


―――想いを言葉にする方法―――


それは遡ること数時間前。

「シャーリーさん、ちょっと話良いかしら」

ミーナ隊長が私に話しかけてきた。

「なんですか?ミーナ隊長」
「最近、ルッキーニさんの元気が無いみたいなの。もしかしたらシャーリーさんなら何か知っているかも知れないから、聞いてみたいんだけど」
「いや…私は知らないですね」
「そう…ごめんなさい、時間を取らせて」
「いや…別に…」


ルッキーニの元気が無いのか…。それはちょっと心配だな。
…どれ、ちょっと原因を探るか。


《ルッキーニの部屋の前

「ルッキーニー。起きてるー?ちょっと話したい事があるんだけどー」
「…何?」

おっ、起きてた。だけど元気が無い、というよりは声が若干震えているようだけど。

「最近、ルッキーニの元気が無いからさ。なんか私にしてやれる事は無いかなあ」

するとしばらく間を置いてルッキーニが声を出す。

「…入って」
「じゃ、遠慮なくー」

私はルッキーニの部屋に入った。私は早速、ルッキーニの元気の無さの原因を探る事にした。

「どうしたんだよ、ルッキーニ。最近元気無いじゃん。ミーナ隊長も心配してたよ?」
「……」
「何、なんか心配事とかあんの?それなら私に相談してよ!私達の仲じゃない」

ルッキーニはしばらく黙ったあと、静かに口を開いた。

「…シャーリーに相談してもムダだよ」
「…おいおい、いくらなんでも私を見くびりすぎだよ、ルッキーニ…」

私はルッキーニの言葉に軽くショックを受けつつ話を続ける。

「いいから、力にはなれなくても、話だけは聞いてあげるよ」
「いや…やっぱりダメだよ…」
「なんでダメだなんて最初っから諦めるんだよ!話さなきゃ分かんないだろ!私はルッキーニの事が心配なんだよ!」

ルッキーニのあまりの強情さに私はつい語気を強めてしまった。すると、

「うるさいっ!」
「おうっ!…枕を投げるな、ルッキーニ…」

ルッキーニの投げた枕は私の顔にクリーンヒット。怒ろうとしたけど、次の瞬間のルッキーニの表情を見て、それが出来なくなってしまった。
今にも泣き出しそうな表情をしていた。

「私の悩みがシャーリーを好きになっちゃったって言ったら、シャーリーはそれを解決してくれるの!?」

ルッキーニは涙目、真っ赤な顔で叫んだ。ルッキーニの突然の告白に私はただ呆然とするばかりで。

「えっ……それ、私の事が…好き…って事…?」

私の言葉に対してルッキーニは黙って頷いた。そして言葉を続ける。

「最初は変だと思ってたよ…。これは絶対に許されない恋だから、シャーリーを好きになっちゃいけないって…。でも…」
「ルッキーニ…」
「シャーリーを見ると、恋をしちゃいけないハズなのに…余計にシャーリーの事、好きになっちゃうんだよ…」

……ヤバい…ルッキーニ、メチャクチャ可愛い…。こっちがドキドキしてくるじゃない…。

次の瞬間、私はルッキーニを抱き締めていた。

「シャッ…シャーリー…///」
「どおりでおかしいと思ったよ。だって最近私の胸に顔うずめてくんないんだもん」
「シャーリー…やめてっ…///」
「…私が好きならちゃんと言葉にしなくちゃ…」

ルッキーニの顔を見ると、まだまだ真っ赤だ。

「…ルッキーニー…キスする?」
「やっ…///…なっ…なにいきなり…///」
「や、私が好きならキスしたいのかな、って…。……どうする…?」
「…………する///…………」

私はルッキーニの頬に手を添えて。
ルッキーニの唇に私の唇を近付ける。

この数秒の間に私はいろんな事を考えていた。今日の晩ご飯はなんだろう。今日もペリーヌはやかましいんだろうな、とか。

……あれ、おかしい。いろんな事を考えているハズなのに、ルッキーニの事が邪魔して他の考えがすべて吹っ飛んだ。

ルッキーニの笑顔、ルッキーニの怒り顔、ルッキーニの泣き顔、ルッキーニの声…。私の記憶しているルッキーニが頭を巡る。


…ああ、分かった。そうか、ルッキーニはこんな思いをしてたんだ。なるほど、これは確かに苦しいよ。



―――これが恋、なんだ…。




私達の唇は合わさった。最初は軽いキスだったのが、どんどん深いキスへ。私はルッキーニの背中に手を回して、ルッキーニの口内の更に奥へ舌を挿し込んで行く。

「んんっ…んっ…ふぅっ…ん…」

ルッキーニから熱い吐息が漏れる。よっぽど気持ち良いのか、私の背中を掴むルッキーニの手の力が強くなっていく。

「んんっ……ん…」
「ふぅっ…ん…」

お互いの舌を絡め取って、丹念に愛し合う。
ぴちゃぴちゃと響く音が、とても扇情的で私達の理性を壊すには十分過ぎた。

しかし、そんな時間が続くハズもない。
やがて、息の限界が訪れる。

長く、私達にとっては数秒とも思えるキスは終わる。
私達の間には、銀色の橋が出来ていた。

私を見つめるルッキーニは、今まで見た事がないくらい、エッチな顔をしていて、目がトロンとしていた。

「なあ、ルッキーニ、私気付いたよ」
「…何に…?」
「…私もさ、ルッキーニの事好きだったんだ」
「シャ…シャーリー…」
「…でも自覚は無かったみたいでさ、キスする瞬間に気付いたんだ。ああ、私、ルッキーニの事が好きなんだ、って」
「…シャーリー……」
「なあ、ルッキーニ…。言葉にしなきゃ想いは伝わんないよ。今度から悩みがあったら、真っ先に私に言いなよ。だって…」
「?」
「…私は、ルッキーニの恋人、なんだから…///……アハハハ、自分で言っといてアレだけどなんか照れるなあー///」
「バッ、バカ!そんな恥ずかしい事を堂々と言うな!」
「アハハハ、やっといつものルッキーニが戻ってきたな♪うん、私はやっぱりいつものルッキーニの方が好きだよ」
「…ありがとう、シャーリー…」

私達はお互いを見つめ合って。

「…ルッキーニ…。好き、だよ…」
「…私も…シャーリーの事、愛してる…」

私達はもう一回、キスをする事にした。


《数日後

「はあ…」
「お、どうしたリーネ」
「ニヒヒ、なんか悩みー?」
「……実は、芳佳ちゃんに告白したいんですけど…勇気が出なくて…」
「だって、シャーリー。あの名言言ってやりなよー」
「名言言うな。…あのな、リーネ。想いってのは、言葉にしなきゃな…」





END


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