猫のハーブ


子供っていうのは限度を知らない、遊ぶにしても、食べるにしてもだ。
限度を身をもって知って大人になっていく、そして此処にもそんな例がある。

「ウニュ~、シャーリーお腹いた~い」
ベットの上でゴロゴロと寝返りをうっているルッキーニ
「だから言ったろう、調子に乗って食べるから」
あたしはため息ながら窘めた。

今日は暑かった、ルッキーニは朝からアイス、ジュース、スイカと
食べれるだけ食べた。
みんな注意はしていたが例の秘密基地いるときはまったく目が届かない。
結果がこれだ。

「じゅあ、薬もらってくるから」
「薬はやだー!」
「・・・それは駄目だろ・・・」
「薬持ってきたらシャーリー嫌いになる!」
それは困る、大ダメージだ。
「じゃあ、何か別のもの持ってくるよ」


そのまま部屋を出たのはいいけど別のものなど思いつかない、
そんな事を考えている所に声を掛けられた。
「ルッキーニちゃんの様子はどうですか?」
リーネが心配して見舞いに来たようだ、
そうだ此処は古きブリテンの知恵に頼ってみよう。
「なあ、リーネ ブリタニアでは薬を嫌がる子供に何を飲ませてるんだ?」
「えっ?薬の代わりですか?そうですね、色々なハーブを使いますね、
風邪とか腹痛とか色々症状に応じてハーブティーを淹れます、
飲みづらいときは蜂蜜を入れると子供にはいいですよ」
「それだ!腹痛に効くハーブって無いかな?」
「たしか実家から送られてきた荷物の中に腹痛に効くらしい
ハーブティーが入ってました、何のハーブか分からないんですけど・・・」
「それでいいよ!分けてくれないかな?」
これでルッキーニに嫌われないでお腹を治せるな。

「ルッキーニ、お待たせ~調子はどうだい?」
「ウジュ?シャーリー?」
痛みの波が引いているのかゴロゴロすることも無くシーツから顔を出した。
いつもと違って大人しく、いじり倒した可愛さだ。
「ほら、これなら飲めるだろう?ハーブティーだよ、お腹に効くってさ」
「苦くない?」
「大丈夫、ミントっぽい香りなんだ、蜂蜜も入れたし甘くて美味しいよ」
暖かいハーブティーを受け取ると匂いを確かめてから口にした
「・・・ウニャー、美味しい」
ほころぶ笑顔に思わずこっちも顔が緩むのを感じつつ一緒にハーブを楽しんだ。
「ウニュウニュ~、フニュ?ウジャウジャ~」
何やらいつもの擬音が変だ・・・体を左右に揺らしながらポヤンとした顔・・・
可愛い・・・いや変だろ!
「シャーリー・・・大好き~」
そのまま胸に転がり込んできた、いつもの事だがいつもと違う!
尻尾が足に当たってくすぐったい・・・しっぽ?
ルッキーニの黒豹の尻尾があたしの足を叩いている、
とっさの事に思わず尻尾に手を伸ばした。
「うにゃあんっ!」
思いもよらぬ艶めいた声に驚く、
どうやら尻尾の付け根を触ったようだけどどうなっているんだ?
試しにもう一度撫でてみる
「んあっ!や・・ん・・・!」
「こ、これは・・・」
まるで発情している猫のような状態(黒豹だって猫科だ)何が原因だ?
考えられるのはハーブティーだけどあたしも飲んだが何ともない、どうなってるんだ?
「ふ・・あっ・・・ギュてして~」
全身を使って擦り寄ってくるルッキーニ、こんな状況で考えなどまとまる筈も無く・・・
【結論】目の前の現状を美味しく頂いてから考える。
「可愛いルッキーニ、大好きだよ」

「うにゃああっ!あんっ・・・シャーリー」

ルッキーニのお父さん、お母さん美味しいルッキーニを造ってくれてアリガトウ





おまけ
あの後調べたら、あのハーブはキャットニップという猫が酔っ払うような効果があるらしい、
猫科の使い魔だから効いたのか?リーネも猫の使い魔だけど知らなかったのか故意なのかは定かじゃない、どちらにしても感謝だな。
まだ、残っているハーブはエイラとサーニャに差し入れるかな?
これであのヘタレも少しは進展するかもしれないしな。


続き:0075

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