キミノオモウガママ


…ああ、告白したくても、私にはそんな覚悟と勇気はナイ。

…今まではそう思っていた。
だが、私は数日前のリーネが宮藤に告白したという話を聞いて、私もいい加減心を決めなければ、と決意した。

…今日こそは、サーニャに告白しよう、と…。


―――キミノオモウガママ―――


…告白すると決めたのは良いものの、どんな手段で告白したらいいのか…。
普通に告白した所で、サーニャの事だから「(友達として)私も好きよ、エイラ」で終わりそうダナ…。

だからと言って変に捻っても私の真意は多分伝わらない。
うー、告白というのはこんなにも難しい事だったのか…。

…そこで実際に宮藤に告白したリーネに訊いてみる事にした。

「なあ、リーネ、少し話良いか?」
「なに?エイラさん」
「どうやって宮藤に告白したんダ?」

突然の質問にリーネは一瞬固まる。

「…えっ…///…ど、どうやってって言われても…///」
「頼む…!今はリーネの意見が必要なんダ」

リーネは茹で蛸みたいに顔を真っ赤にして、ポツリポツリと話し始めた。

「……普通に、好きです、って告白したよ…」
「なんかその時に『愛してる』とか『一生離さない』とか言わないのか?」
「…人によっては言うかもしれないけど、私は言わなかったよ。要は相手に想いが伝われば、言葉は何でも良いんじゃないかな」
「ナルホド……」
「…こんなので参考になったかな…?」
「ああ、十分ダ!じゃあ、宮藤と幸せにナー」
「もう、からかわないでっ…!」


相手に想いを伝える…か…。
私にはそれが足りなかったのかもしれないナ。
愛する人に出来るだけの愛を、込めて…。


それから数日はサーニャと二人きりになるチャンスもなかなか来ず、悶々としていたが、みんな今日、何か用がある、という事で、基地には私とサーニャ、坂本少佐、ミーナ中佐だけがいた。


《食堂

久しぶりのサーニャとの二人きりの時間。
私はこの時間がとても好きで会話など無くても十分幸せに浸る事が出来るんダ。

…だが、今日は浸っている暇はナイ。
今日が私にとっての運命の日だから…。



「サーニャ、二人きりなんて久しぶりダナ」
「…うん。エイラとゆっくり出来る時間がしばらく無かったから、ちょっと寂しかった」

サーニャはちょっと赤くなって、呟く様に話す。

ああ…っ!やっぱりサーニャの可愛さは異常ダァ!
こんな事をサラリと言うなんて、サーニャには私を悶え殺す力があるとしか思えないヨ!

「そ、そうダナ。でも今日はゆっくり時間もあるし、二人でなんか話さないか?」
「…うん…」
「……」
「……」

…しまった。会話が途切れた。何を話すか決めずに見切り発車でサーニャに話しかけたせいダ。

私達の間に気まずい空気が流れる…。
すると沈黙を破り、サーニャが話を始める。

「…ねえ、エイラは、好きな人とか、いる?」
「!!!」

あまりにストレートな質問に私は飲んでいた紅茶を噴き出しそうになった。

「な、なんでそんな事を…!?」
「…宮藤さんに聞いたの。恋は楽しいものだって…」

宮藤め…。サーニャに変な事を…。

…しかしよく考えると、これは告白するには良いチャンスじゃナイカ?
ここでサーニャに“好き”だと伝える事が出来れば、私達は晴れてラブラブだ…!

…ダメだ。そう思うと、胸の鼓動が速くなる…。
サーニャ、今、私の想いを伝えるからナ…!

「…サーニャ」
「…なに?」
「……よく聞いて欲しい…えっと……私は…私は…サーニャの事が…っ…」

もう少しダ…!頑張れ、エイラ・イルマタル・ユーティライネン……!

「…す…す……すっ」
「あーっ、腹減ったー」
「今日のご飯なにー?」
「あっ…今すぐ作ります!リーネちゃん手伝ってー」
「うん、芳佳ちゃん」


ドヤドヤとどこかへ言っていたメンツが戻ってきた。

……なんだってこんなタイミングで……。
ああ、私は本当にダメダ…。本当にヘタレだ…。
…告白はまたの機会、ダナ…

と、遠い目をしながらボンヤリ考えていると、サーニャは、私の手を握りながら私に囁いた。

「……さっきの話の続き、あとで聞かせて……?///」
「え…っ…!!///」
「…エイラの好きな人、気になるから……///」

……どうやら、私のチャンスはまだ終わってはいないようダ…。



END


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