幸福の在処
明るい昼下がり、ハルトマンとゲルトはクリスのいる病院まで急いでいた
「急げハルトマン!」
「あー、はいはい・・・朝から大騒ぎしてさー、聞いたよ?格納庫の一件」
「うぐ・・・」
「ミヤフジ達に止められてさー、「クリスの邪魔をするなぁーっ!!!」ってぷくくっ・・・・」
「うぐっ・・・・」
わかってる。トゥルーデにとってクリスが全てだって事くらい・・・・
「おい!もっといそげないのかあっ!って・・おわっ」
トゥルーデはつんのめって気絶した
あたし達3人は昔からずっと戦ってきた・・・でもあたしは何のために戦っているのだろう・・・
10歳のころからずっと・・・大人たちは私に銃を持つことを望んだ。
別に嫌ってわけじゃない。故郷を蹂躙されるのはあたしもつらい。
エースとして、英雄として最高の地位も名誉もある。なのにどこか物足りない・・・・
わがままなのかな?
そうこうしているうちに気がついたら病院の前にいた
「起きろートゥルーデ、着いたぞー」
「んぁ?何?待っててくれクリスーッ!!!」
やっぱり姉バカだ・・・・・
「病院で走らないでよ・・・・」
クリスは元気そうだった。
トゥルーデもいつもの彼女とは思えないほど喜んでいた。
でもやっぱり何かおかしい・・・・
帰りの車であたしは率直にトゥルーデに聞いてみた。
「ねえトゥルーデ」
「なんだハルトマン?」
「トゥルーデはなんで戦っているの?」
彼女は一瞬驚いた様子だった
トゥルーデはしばらく考えてこう言った
「いいかハルトマン、本当に大切なものってのはな・・・・近くにあって気づかないものなんだよ」
「・・・?でもクリスは?」
「ああ、確かに私の命よりも大事な存在だ。でもあの日、故郷を焼かれて・・・・あの空の下で見知った大勢の人たちが当たり前の日常を・・・明日を奪われたんだ」
「わかってるよ・・・・」
「お前は・・・うちの連中が一瞬でやられたことを考えたことがあるか?」
その時はっとしたおちゃらけていても忘れていた。あそこは最前線・・・いつ仲間が死んでもおかしくないことに・・・・
「・・・・」
「まあ結論は自分で出すんだな。それよりもこの手紙だ。基地に戻り次第ミーナに問い詰めるぞ」
「・・・・・りょーかい」
彼女は答えを出してはくれなかったでもいつか答えを出せる日が来るかもしれない・・・
ありがとう・・・トゥルーデ
「そういえば行きのときに右のミラーこすって取れちゃったんだっけ・・・どうしよう」
完