Bang!Bang!


おおかみなんて こわくない!

 ○Bang!Bang!


狼にまつわるおとぎ話を聞いた。
人の形を成す狼には、銀でできた弾丸が有効なのだそうだ。

ちなみに私は1匹だけ、狼を知っている。

「ちょっとは、その気になった?」

さらに情報を追加すると、その狼に、私はいま食べられそうだ。

「っは…、…ぁ…っ、」

頬に手を添えながら問われた言葉に充分答えうる余裕なんて既にないというのに。
深紅の瞳で見詰められる。ああ、綺麗な眼だ。そんな場合じゃない。

「ミーナっ、まってくれ!明日は宮藤に朝から稽古をつけてやる約束なんだ、だから」

必死の願いもどうやら届かなかったようだ。続く言葉はお互いの口の中でとけて消えた。
甘い。そう思いながら先程まで僅かながら抵抗していた腕を投げ出した。

「……まるで獣だぞ?」
「そうねぇ。あなたが宮藤さんにあまりにもご執心だから、本性がでちゃったかも?」

ぴょこんと耳と尻尾をだして我らが隊長殿は無邪気に、しかし妖艶に笑う。

「私を本気で退けようとするなら、銀の弾でももってきてもらおうかしら」

頼もしいことだな。
あまりにもファンタジックな科白についへらりと破顔してしまった。
なんと甘美な誘惑か!拒絶ができないように刻みついてるこの身が恨めしい。

「今度は用意しておこう」

扶桑では時に神と奉る狼は、犬をも食べてしまうらしい。

…犬は…どうだろう?

「…ふむ。」
「?」
「弾を込める銃はないが、私が銀の弾丸になることはできそうだ」
「それどういう…、っ!」

逃げられぬよう尻尾の根本を掴まえる。
隙をついて形勢逆転。

覚悟しろよ、ミーナ。悪いオオカミを退治してやる

耳元で唸りながら、噛みついた。
Fin!


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