晴天マリ



「リーネちゃんリーネちゃん」
「なーに。芳佳ちゃん」
名前を呼び合うたびに愛しさが増していく。
そんな現象があるだろうか。
けれど確かにここに立証できる事実なのだから否定のしようがないわけです。
可愛い可愛いその女の子にこの想いの丈をどうしたら全部伝えきれるでしょうか!
私は心の底から叫びたいのです
世界の中心で叫びたいのです
あの真っ青な空に染み渡るほどに、叫びたいのです。
「好きだよ」
「私も好きだよ、芳佳ちゃん」
にこりと笑顔で微笑みあってちょっと触れてまた離れて。
いまきっとわたし、だらしなくにやけてるんだろうなぁ
しあわせだな、ずっと、一緒にいられたらいいのに
あなたはどうですか?

「リーネちゃんはどうかわからないけど、結婚したら私は幸せになれます!!」

思い切って超特急。口からでた言の葉はまっすぐまっすぐ終着駅へ。届け、届け、
震える空気を飛び越えて、耳にはいって驚き開く目おもしろい。
届け、届け!
なんでそんなこというのってあれ?もしかして回送ですか戻ってきちゃう?
依然びっくり顔のまま続く言葉に線路はつづくよどこまでも。
「私の方が幸せに決まってるのに!」

想いをぜんぶ伝えるなんて無理だな、と思った。
だって、あふれて溺れちゃう!




本日ハ晴天ナリ
マイクテストの常套句。
ついついやりたくなるってその気持ちわかるよわかる
ほんで絶対叱られるんだ。
誰かあの子をとめてくれ。
思い出す。ほんの10分前。
「ねーねー。リベリオンって同じ性別の人同士が結婚できるってほんとー?」
「…どこできいたのさそんなこと。まぁ、一応、そうだね。場所によるけど」
「おおきいもんねリベリオン。さっすが自由の国ー!いっかい行ってみたいな!」
「じゃあいつか一緒に行くかー。バイクに乗って走る私に惚れるなよ?」
「そっかー…。好きな人同士で結婚できるなんてステキだねー」
もう興味の対象だうつったようだ。
うにゅだのうにゃだのよくわからん発音でふわふわとやってきた蝶をみる彼女に苦笑い。
ステキ、ねぇ。そうかもしれない。
でもね、もっと、難しい問題なのよ。それがわかるにはまだまだはやい。
ああやっぱりお子ちゃまだなぁ笑う顔は聖母のそれよりやわらかかった。たぶん。
「ね、シャーリー。ちょっとまってて」
「うん?」
言うがはやいか整備の道具を取り替えついでちらりとみた時には
ハンガーから走り去るルッキーニの小さな背中がみえていた。
なんだ?と思いながら調整を続けて続けて10分後。
『It's a fine day!』
「っぐ」
ハンバーガーが詰まる寸前。wait a minuteこの声ルッキーニか幻聴か?
『惚れるなよって、シャーリーはいってたけど、もう遅いんだよー!!』
ヘイヘイおもしろいジョークだやんちゃガール。
でもお姉さんちょいと笑えないかもしれないよ?
頭にどんな快心の一撃を喰らってもいいようにハンバーガーは食べてしまう。

『シャーリーはどうかわかんないけど、結婚したらあたしは幸せになれるよ!!!!』

…オーライそうきたか。
白昼堂々公衆全面公開プロポーズとは。
しかも、よもや12歳のリトルガールが、こんな4つ歳の離れたスピードマニアに。
情熱の国ロマーニャは大変な子供を育てあげました。
真っ直ぐに澄んだどこまでも広く青い青い空を見上げる。
いいスピードがだせそうだな、今日は。
勢いあまって太陽にも突っ込んでいけそうだ。

だって、太陽の方がこの顔の熱よりきっとずっとマシなはずだ!


○Fin!


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