MOON RISE
“明日こそは、坂本少佐に私を見て貰えますように”
少女は柄にも無く、月に向かってお願いをする。
何も、そこまで深い関係になりたいという訳では無い。
少しでも、自分を気にかけてくれれば、それだけでいい。
だから少女は、月に祈り続ける。
憧れの坂本少佐が自分―ペリーヌ・クロステルマン―を見てくれる日まで。
―――MOON RISE―――
「はっ!はっ!」
「宮藤!もっと腰に力を入れろ!」
「はいっ!」
私の朝は朝練中の坂本少佐をストーキ…いえ、見守る事から始まる。
坂本少佐はいつでも、凛々しく麗しい方。
…なのにっ…それなのにっ!あんの豆狸…!
坂本少佐に近付き過ぎですわぁぁっ!
……失礼、とにかく、私は坂本少佐のお姿を拝見出来るだけで幸せなのです。
「ん?おお、ペリーヌ、どうだ、こっちに来て一緒にやらないか?」
ああ…っ!坂本少佐から直々のお誘いっ!
行きますっ!私ペリーヌ・クロステルマン、今すぐ貴女のお側へ参りますっ!!
「おお、よく来たな、ペリーヌ、まあ見て行け」
「はい♪」
ちゃっかり坂本少佐の隣をゲットですわ♪
豆狸…いや、宮藤さんはまだ朝練中。
という事は実質的に今私は、坂本少佐と二人きりですのねっ!?
「ペリーヌ、お前には感謝しているぞ。いつも私の援護をしてくれているだろう?あれには助かっている。お前がいなければ、危なかった局面もあった」
「そんな…私なんて…///」
「ハッハッハッ、そんなに謙遜するな。私は本当に感謝しているんだぞ」
「いや、私は当然の事をしたまでで…」
すると、坂本少佐は私の頭を撫でながら…
「これからも頼むぞ、ペリーヌ」
「はっ、はい!!!!!」
ああ、私幸せですわぁ~~~~~♪
もう、死んでも良いですわあ……!!!!!!
《夜
少女は今日、自分の身に起きた出来事を思い出しながらニヤニヤしていた。
憧れの坂本少佐が自分を褒めてくれた事。
そして頭を撫でてくれた事。
しかし、少女はこれに慢心する事無く、次なるステップを目指す。
そして少女は今日も、月へお願いをする。
憧れの坂本少佐が、自分だけを見てくれる日が来るまで。
END