最後に歌ったラブソング
ふとラジオから聞こえてきたその曲は、破滅的までに愛を歌い上げるラブソングだった。
“世界が壊れても貴女を愛してる”
…お前なら、世界が破滅しても、私を愛してくれるか?
―――最後に歌ったラブソング―――
「ヤッホートゥルーデ!」
「何の用だ、ハルトマン」
ハルトマンが私の部屋にいきなり入ってきた。ノックくらいせんか…。
「用なんて無いよ。ただトゥルーデに逢いたくてー♪」
「だったらドアをノックくらいしろ。それが礼儀だろ」
「相変わらずお堅いなあ~」
「まったく…」
「ところで、トゥルーデ、この曲知ってる?」
と、ハルトマンはいきなり歌い出した。
「ああ、最近ラジオでもよくかかっているな。なんだか救いようの無い歌詞だとは思うが」
「それだけ大きな愛だって事だよ。世界が壊れても、貴女を愛してる。なんかこうジーンと来ない?」
「…世界が壊れても、か。
どうだろうな。人間というのはいざという時は自分しか見えなくなるものだ。そんな無償の愛、私は有り得ないと思うがな」
「もう夢が無いなあ!素敵じゃん、世界が壊れても好きな人と一緒にいたいんだよ」
「…なら、お前は世界が壊れても私と一緒にいたいか?」
「そだね。トゥルーデが浮気しないなら」「バカか…」
「ね、じゃあさ、トゥルーデは世界が壊れても私と一緒にいたい?」
ハルトマンが詰め寄って来る。
まったく、私に選択肢は無いって事か…。
「そうだな。エーリカ、私はお前となら一緒にいても良いな」
「…いきなり名前で呼ぶな…///」
「二人きりの時はそう呼ぶルールだろ?」
「…不意打ちだね…ハァ…」
エーリカのちょっと呆れた笑顔があまりにも可愛かったので、私は頬にキスをした。
「…トゥルーデって、そんなにキザだったっけ?」
「お前限定だ」
すると、エーリカは私に抱き付いて来て。
「なら、私もトゥルーデ限定でエッチな娘になる」
「…本当にバカだな、エーリカは…」
私達は深いキスを交わす。
長い長いキスの後、エーリカは私の目を真っ直ぐ見て。
「世界が終わっても、私を愛してね?トゥルーデ」
「そのセリフ、そっくりそのままお前に返すよ、エーリカ」
――世界が壊れても貴女を愛してる――
そうだな。それもまんざら悪くない。
エーリカ、私の考えを変えてしまったからには、責任を取って貰うからな。
END