風邪の特効薬


その日も基地内の林の中、坂本は日課の鍛錬を行っていた。
早朝の空気は冷たく心地よく、神経を研ぎ澄まさせてくれる。

いつもなら朝のサイレンが鳴った後、宮藤が朝の訓練を受けに現れる筈が
今日はまだこない。寝過ごしたのか?だとしても起こしに行くなど甘やかすことはしない、
後で反省に意味を込めて特別訓練を追加するだけだ。

しかし鍛錬終了する時間になっても宮藤は現れなかった。



「おはよう美緒」
基地内に戻るとミーナが忙しそうにしながらも声をかけてきた。
「どうしたんだミーナ、朝から慌ただしいな?」
「それが基地で風邪がはやってるみたいなの、もうの隊員も何人か寝込んでいるわ」
「じゃあ宮藤もか?朝の鍛練に来なかったんだ」
「ああ、たしか宮藤さんもひいていたわ」
基地内では他に、エイラ、ルッキーニ、ハルトマンが寝込んでいた。
「成る程、基地内がやけに静かな訳だ」
「美緒、貴女は大丈夫?」
「私か?日頃の鍛練と気合いがあれば風邪など引かんさ、ハッハッハ!」
「そう?でも気をつけてね」
扶桑の人間は気、気力で乗り切れると考える節がある、
坂本はその気が強いのでそれが不安でもあった。


【芳佳とリーネの場合】
「芳佳ちゃん、大丈夫?」
「うーん、頭痛いよ~寒気がするよ~」
「ううっ、芳佳ちゃん、可哀想。ねえ、何か欲しいものある?」
「今は無いかな~」
「じゃあ、私に何か出来る事ある?出来る事なら何でもするから」
「本当に?」
「うん」
「じゃあね、寒いからギュってしてくれる?」
「えっ?ギュ?えーと、こうかな?」
ギュー
「は~、あったかくて(やわらかくて)気持ちいい~」
むにゅ
「よ、芳佳ちゃん!///手、手が胸に///」
「うっ、ごめんね、でもこうすると安心して楽な気がするの、ダメ?」
「はうっ(そんな捨てられた仔犬みたいに見上げられたら)うん、いいよ」
「わぁ、ありがとうリーネちゃん大好き」
むにむに、もにもに
「うんっ、よ、芳佳ちゃ・・・」
「何?リーネちゃん」
「な、何でもない」
「そっかー」
もにゅもにゅ、ふにふに
「やんっ、あっ、きゃうっ」
「ねえリーネちゃん、風邪を治すのに凄く良い方法があるんだけど協力してくれる?」
くにくに、むにゅむにゅ
「ハァ、うんいいよ、何するの?」
「ソレはね、汗をいっぱいかくことなんだ!」
ガバッ
「キャア!芳佳ちゃん!なっ?待っ・・・やぁぁぁぁん!」

続・・・


【バルクホルンとハルトマンの場合】

「ハルトマン体調はどうだ?」
「あー、トゥルーデ」
「まったく、カールスラント軍人たるもの日頃の健康管理にも
気を付けていなければならないのだぞ、
なのにズボンも履かず床で寝てたりするからだ」
「うーん」
「・・・大丈夫か?ハルトマン」
「ふっ・・・」
「ハルトマン?」
「フベックシュ!」
「ウワッ!」
「あー、ズー」
「お、お前、私の軍服が鼻水まみれに!」
「トゥルーデ、ティッシュちょうだい」
「おい、お前!あー!垂れる垂れる!ほら、ティッシュ!チーンしろ、右から」
「ヂーン」
「はい、左」
「ヂーン」
「まったく世話の焼ける」
「エヘヘありがと、トゥルーデ」
「熱はどうだ?頭を貸せ」
ペタ
「うん、トゥルーデの手のひら冷たくて気持ちいいー」
「そ、それはお前が熱があるからだろう・・・(なんだかしおらしくて調子が狂うな)」
「氷嚢持ってくるから待っていろ」
「うん・・・ねえトゥルーデ」「なんだ?」
「今日のトゥルーデ、お姉ちゃんらしいね?」
「なっ///」
「心配してくれてありがと、お・ね・い・ちゃん」
「ばっ、馬鹿者!大人しく寝て待っていろ!」
「はーい、いってらしゃーい」


「・・・へへっ、トゥルーデ、ありがと、大好きだよ」


次回【エイラとサーニャの場合】


【エイラとサーニャの場合】
「くしゅん!うー寒い、スオムスの寒さは平気なのに風邪から寒さは何で応えるんダロ?
あー、サーニャは今何しているカナ?変な所で寝てないかな?ご飯食べたカナ?
・・・ハァ、気にしてもしょうがないナ、寝よう・・・」



(ここは何処ダ?真っ暗だし冬のスオムスより寒いじゃないカ!
寒くて凍える!暖かいものは無いのカ?
あれ?近くに暖かい気配がスル、手を伸ばせば触れられル。
・・・あっ、柔らかくて暖かい、それに良い匂いダ。良い気持ちダナ~)

「うーん、あれ?私、随分寝てたのカ?凄く良く寝れたな、
寒気もしないし暖かく気持ちいい感触が・・・」
「スースー」
「さ、サーニャ?!な、何で私の隣?夜間哨戒後で寝惚けた?いや!昨夜は無かったし!
あー!私サーニャを抱きしめて寝てる?!ナルホドだから暖かいのかーって納得するな私!」
「うーん、エイラ静かに寝てないと」
「は、ハイ」
「じゃあお休み」
「うん、お休み・・って違うダロ!サーニャ、起きろヨー」
「何?エイラは風邪引いているんだから寝てて」
「そうだよ、私風邪なんダヨ近くに来ちゃ駄目ダロ」
「お見舞いにきたらエイラが凄く寒がってたから」
「それで一緒ねてたのカ?」
「うん、エイラ寒く無くなった?」
「寒くないヨ(嬉しいのと恥ずかしいので熱いくらいだ)///」
「良かった、じゃあおやすみなさい」
「えっ?サーニャ、ここは駄目ダッテ風邪うつるから」
「ずっと一緒だったから同じ、それにエイラの風邪ならうつってもいいよ・・・」
「・・・えっ、サーニャ///」
「スースー」
「寝てる・・・うー、こっちは寝れない、
その台詞は反則ダゾ・・・また熱が上がりそうダ///」

次回【シャーリーとルッキーニの場合】


【シャーリーとルッキーニの場合】

「ルッキーニ、アイスクリームと桃缶だぞー」

「あー、シャーリーありがとう、でも何でアイスと桃缶?」
「何でも扶桑では風邪にはこれは外せないらしい」
「そうなんだ?変なの」

「食べれるか?」
「うーん、アイスなら食べる」

「他に食べれそうなものは?薬飲んで置かないといけないし」
「ご飯は食べると気持ち悪くなる、薬はやだ」

これじゃあ、薬を飲んでも吐くだろうし何かいい方法は

「でも熱で身体辛いだろ?せめて熱下げないとな・・・あっ、そうだ!」
「?」
「あれなら吐かないし効き目もバッチリだ!
待っていろルッキーニ今もらってくるから」
「???」



「お待たせルッキーニ、じゃあズボン脱いで」
「ふぇ?な、何?」
「だから、ズボン脱いでお尻をこっちに・・・」
「ニャー!何言ってんのーシャーリーのエッチ!」
「えっ?あー、アハハ、違うよ、エッチするわけじゃないよ。
それに、脱げなんて言わないだろう?いつもあたしが脱がしてるじゃん」

「な、何言ってるの//でも何でズボン脱げって・・・」
「だって座薬はお尻から入れるもんだろう?」
「お尻?」
「そう、お尻」
「・・・・でゅやや」

―ルッキーニはにげだした・・・・だがてきにまわりこまれた!―

「とっ、逃がさん!熱で弱ってるルッキーニを捕まえるなんて簡単簡単」
「やだー!痛いのやーそれに恥ずかしい!」
「いや、痛くない痛くない・・・らしい」
「らしいって言ったー」
「わかったよ、無理にはしないて、ねっ?」
「うん」
「だから、こうする」

唇を重ねてそれを深くしていく、口内を舌で愛撫すると
ルッキーニは抵抗できなくなる

「ンッ?フッ・・ン・・シャーリー?」
「ルッキーニの口の中熱があるせいかいつもより熱いな?」
「なっ///ンッ・・やっ」

「ルッキーニはキスに弱いよな、すぐ力が入らなくなる」
「はう、だってシャーリーのちゅー気持ちいいんだもん///」
「くーっお前可愛い過ぎる!」

「ウニャ///」

一気に押し倒し何度もキスを繰り返しながらズボン脱がしていく

「ルッキーニ、こっちの口も上の口みたいに熱くなってるかな?確かめていい?」
「うん・・シャーリー・・・」

「相変わらずルッキーニのココは可愛いな♪」

「・・・や…ふぁ…」
小さな花びらにキスを落とし、そのまま舌で愛撫すると子猫が鳴き声を上げる、
触れた場所はやはり体温が高い

(こんなことして何だけどやっぱり薬使ったほうが良いよな・・・あっ、そうか)

そのままルッキーニに気付かれないよう薬に手を伸ばす

「ルッキーニいい子にしててくれよ」

足を抱え腰を浮かす。舌と唇で刺激しつつ呼吸を見計らい薬を差し込んだ。

「うにゃう!な、何!なにー」

「えーと、座薬入れちゃった、ごめん」
「ふえ?ず、ずるいよーいきなり///」
「だって可愛いお尻が目の前にあって、良い感じに濡れてたし、
入れるなら今がチャンスとばかりに」
「ふぇ~///」
「それに早く元気なルッキーニに戻って欲しいんだよ。
元気なルッキーニがいないと
あたしが淋しくてしょうがないだろ?」
「うん、わかった」

「・・・・ねえ、シャーリー・・・」
「ん?なに、どっか痛かったか?」
「そうじゃない・・・えっと・・・つ、続きは///」

そうだった、中断したままだった。

「じゃ、続きしようか♪
あたし達の熱々ぶりに風邪の熱なんて吹っ飛んじゃうくらいにな」
「うー、シャーリーのエッチ////]
「エッチなのはルッキーニ限定でだよ」

そしてルッキーニを再びベットに沈めた。




その後、薬が効いたのか熱は下がり、食欲も戻り体力を回復させ風邪は完治した。

「これも愛の力かね♪」
「もーシャーリーは///」


次回【美緒とミーナの場合】


【美緒とミーナの場合】
「はあ、風邪を甘く見てはいけないわね、こう何人も倒れられると大変だわ」
「うむ、そうだな、この前出撃があったばかりで暫くはネウロイの襲撃は無い筈だが
油断は出来ないからな」
「日ごろの体調管理、予防などをこれから徹底していかないと」
「ミーナも気を付けろ、隊長が風邪で寝込んだら様にならないし、私が心配で困るからな」

そう言いながら坂本がミーナの体温を確認するかのように額から頬にかけて触れた

「もお、美緒ったら///・・・あら?」

触れた坂本の手がかなり暖かい

「美緒、一寸こっち向いて!」

坂本の顔に自分の顔を近づけて額を合わせる、熱い

「美緒、貴女熱があるじゃない?」
「熱?私はいつもどうりだぞ、何も問題は無いが」
「問題ありよ!体温計持ってくるから」

そして測った結果、39.5度(日本現在の基準で)

「熱あるじゃない、気付かなかったの?」
「いや・・・、いつもより風邪が冷たくて気持ちいいとは感じていたが・・・」
「とりあえず、部屋に行って安静にして頂戴、私が心配で困るから」
「・・・わかった、いつも心配かけているんだ
せめて風邪ぐらいで心配はかけないようにしないと」


―少佐の部屋―
「どう、具合は?」
「うむ、熱を自覚してしまったからか、だるいくなってきたな」
「何にせよ、栄養を摂ってしっかり休むのが回復の近道よ、
何か食べたいものがあれば持ってくるけれど?」
「そうだな・・・果物かな、缶詰の、」
「缶詰でいいの?」
「子供の頃風邪を引くと缶詰の果物を食べさせてもらったんだ。
魚や肉の缶詰はあったが、果物の缶詰は輸入で値段が高いから
風邪でも引いたとき位しか食べれなかった」
「幼少時の思い出の味なのね?」
「そうなるのかな?」
「ふふっ、何だか可愛いわね、そんな美緒も」
「おい、からかうな」


「お待たせ、持ってきたわよ、桃とパインアップル」
「ああ、ありがとう」
「はい、じゅあ美緒、あーん」
「・・・ミーナ、別に一人で食べられるが」
「いいのよ、私がそうしたいの、それに病人は大人しく言うことを聞くものよ、
はい、あーん」
「・・・わかったよ」

観念したように口を開けて桃を含む、
今食べると甘すぎる味だがあの頃は特別な味だった。

「どう、美緒?」
「うん、懐かしいな、風邪を引くなど随分無かったから忘れていた味だ、ありがとう」
「よかったわ気に入ってくれて」
「では私もミーナにお返ししないとな」
「え」
「ほら、あーんだ、ミーナ」
「えっ、い、いいわよ私は元気だし////」
「何を言うんだ、私の看病で風邪を引いたら大変だ。
それに果物は予防にもなるからな、さっ、あーん」
「わかったわ///あーん///」
「どうだ?」
「おいしいけれど恥ずかしいわね///それにあなたに持ってきたのだから
ちゃんと食べて大人しく寝ていてね」

ミーナが持ってきた果物缶を食べ、薬を飲むとさすがに体は回復させるための
休眠に入ろうとする。
 
「・・すまないな、心配かけて少し眠る」
「ええ、ゆっくり休んでいて」

暫くして寝息が聞こえる。
真っ直ぐで強い意志を感じる眼が閉じられていせいか、
その表情はいつもよりやわらかい。

「本当にいつも心配ばかりかけるわね、あなたは」

そうしてその頬に口付け落としてから静かに部屋を出ていった。


【ペリーヌの場合】

「あれ?ペリーヌじゃないか、珍しいなキッチンにいるなんて?
こりゃ明日はハリケーンでも来るかもな?」

食堂にルッキーニの食事を取りにきたシャーリーが
いち早くその珍しい光景に気が付いた。

「なっ、失礼な!」
「いやいや、あまりに見慣れない光景だったから、所で何しているんだ?
なにやらワインの匂いがするけれど」
「・・・これはバンジョーといって風邪を引いたときに飲むものですわ、
暖めたワインに蜂蜜や砂糖をいれますの、
少佐が風邪をお引きになられたというので作りましたのよ」
「へえー、にしても少佐のだけにしてはイヤにカップの数が多いね」
「こっこれは少佐の分を作ったついでですわ、
皆様の風邪が治らないとこちらも色々大変ですもの」
「へー、いいとこあるじゃん」
「そんなんじゃありません!」
「わかったわかった、皆のところに持っていくなら手伝うよ」
「あら、それは助かりますわ」

「まず先に少佐の所ですから」
「はいはい、わかってるって」

バンジョーをのせたトレーを持ち、二人は食堂を後にした。


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