空のメロディ


「ルッキーニ、デートしよう!」

シャーリーがデートに誘ってくれたのは、数分前。
…でも今日は二人とも非番じゃないし…と思ってたら、シャーリーが私を連れてきたのはハンガー。

「え、ここでデートするの?」
「ハハハ、まさか。空でデートするんだよ。最近はネウロイもあんまり出ないし。
今くらいしかタイミングが無いかなって思って」
「空で?」
「そ。ほら、ストライカーユニット履いて」

シャーリーらしいデートだ。
普通だとここはムードが無いとか怒るところなんだろうけど、いかにもシャーリーっぽくて、ますますシャーリーが好きになる。

「でも、なんで空でデートすんの?」
「私の好きな場所があるんだよ。そこにルッキーニと一緒に行きたくて。私の好きな場所にはルッキーニがいなきゃ」
「シャ、シャーリー…//////」
「ほら、行こうか」

と、シャーリーは私の手を繋いで、飛び立った。
こうして、ちょっと変わったデートが始まった。


―――空のメロディ―――


いつも訓練や出撃の時には、空を飛んではいるけど、シャーリーと2人っきりとなると状況はかなり違う。

そして私は、空を飛びながら隣にいるシャーリーを見る。

…ああ、普段のシャーリーも素敵だけど、空を飛んでいる時のシャーリーもカッコいい…//////
…ああ、どうしよう、ますます惚れちゃうよ…!//////

と、シャーリーは私の視線に気付いたのか。

「私に惚れ直すなよ?なんてね!ハハハ」
「シャ、シャーリー…//////…バカ…//////」

ムリ!シャーリーに惚れ直すななんてムリだよ!
私は心の中で叫ぶ。


しばらく経って私はずっと気になっていた事をシャーリーに聞いた。

「…ねえ、シャーリーはさ、なんで私の事なんか好きになったの?」
「ん?なんだよいきなり」
「シャーリーって美人だから…私なんかで釣り合いが取れてるのかなって」

そういうと、シャーリーが握っていた手の力を少し強くして。

「理由なんかいらないだろ?私にとってルッキーニは誰よりも大事な人なんだ。
私はルッキーニさえいたら、他には何も要らないよ。それに、釣り合いは取れてるよ。…ルッキーニは?」
「わ、私は…えと、その…//////」
「ハハハ、分かってる分かってる!もうルッキーニは私無しじゃ生きていけないよな!
だって、ルッキーニの身も心も全部私が貰っちゃったからな」
「なっ…!//////」

反論しようとしたけど、まさにその通りだから、反論出来ない。

「シャーリーのバカ!//////」
「いてて、叩くな、ハハハ!」

そんな事を言い合っていると、シャーリーが何かを見つけたみたいで、私の手を引いた。

「見てほら、ルッキーニ!ここだよ」
「うわあ、スゴい…!」

私達の目の前には眩しい程の夕陽が。

「キレイだね…シャーリー…」
「一度さ、ここにルッキーニを連れてきたかったんだ。この景色をルッキーニと見たくって」
「シャーリー…」
「うん、その顔を見たかったんだ。ルッキーニの嬉しそうな顔を見ると、私まで嬉しくなるよ」

そういうと、シャーリーは私を抱き締めて来て。

「シャーリー…//////」
「ルッキーニ…」

私達は空中でキスをした。夕陽に照らされながら。

「シャーリー…」
「空でするキスってのも、なんかいいね」
「そうだね、へへへ//////」
「あ、でもそろそろ帰らないとまた怒られちゃうな。じゃあ、帰ろうか」
「うん」
「ほら、しっかり手を握っとけよ」
「…うん!」

私達は夕陽を背にして、基地へ戻る事にした。

お互いの手をしっかり握って。

帰り道、シャーリーが私に囁いた。

「ルッキーニの手は何があっても離さないから」

私は離れ離れにならない様に手の力を強めた。

「…私もシャーリーと離れる気なんて無いもん…」

私はシャーリーには聞こえない程の小ささで呟いた。

「ん?なんか言ったか?ルッキーニ」
「いや、何も」
「? まあいいや」



もう、陽も落ちて、少し暗い。

「ああ~、こりゃミーナ隊長にこってり絞られるなあ…」
「私はシャーリーと一緒なら怒られてもいいよ」
「お、良い覚悟だな!よし、もうちょっとゆっくり行くか!」
「うん、そうだね!」

私達はスピードを落として夜の空をゆっくり飛ぶ。

「ねえ、シャーリー」
「ん、なに?」
「もし私達が離れなきゃいけない時が来たら…シャーリーはどうする?」
「…そんなの考えた事無かったなあ…。仮にそんな日が来たとしても、私はルッキーニを追っかけて来るね。
ルッキーニがどこにいようと、私はルッキーニを見失わない。…私はそう思ってる」
「シャーリー…」
「それに今はそんな事を考えるより、今はこの時間を大切にしたいな。ルッキーニは違う?」
「シャーリー……」
「ちょっ、何泣いてるんだよ…!私なんか言ったか!?」
「違うよ…違うよ、シャーリー…。私嬉しくて…。
シャーリーがそこまで私を想っていてくれたんだって思うと、なんか涙が…」
「ルッキーニ、私と付き合い出してから涙脆くなったよな」
「…シャーリーのせいだよ…バカ…」

シャーリーは私の涙を指で拭って。

「今日は一緒に寝るか?」
「…うん!」

さっきよりも一層力強く手を握って、私達は帰路につく。

そして私はさっきよりも小さな声で呟く。

「好き、だよ。シャーリー…」

そう言って、私はシャーリーの頬に小さなキスを落とした。


手は、繋いだまま。

END


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