蒼
ウィッチーズが解散して、各々が皆散っていく中
リーネはペリーヌと同じ道へ歩んでいた
その事はペリーヌにとっては完全に予想していない事だった
「…リーネさん」
「なんですか?」
「その、よかったんですの? あなた宮藤さんと…」
そう、ペリーヌ自身が美緒に対して抱いていた想いが消えるわけがないように
彼女は芳佳に対して、いや彼女と芳佳の間にはお互いに対しての特別な感情を抱いていたはず
それなのに自分に着いてきてくれたリーネにペリーヌは疑問が尽きなかった
「確かに私達のウィッチーズは解散しましたけど、まだ世界が全部平和になったわけじゃないから…」
確かにまだ敵の脅威が去ったわけではない、解散した仲間達の中には元の隊に復帰した者もいる
それにいくら故郷の無い状態のペリーヌですら、己の勝手で他国に行こうものならば逃亡者の烙印を捺される
忘れたわけではない
あまりに共にあった時間が当たり前で、何時しかそれも許されるのではないか?と錯覚していたのだ
「でも」
と、リーネが空を見上げ口を開いた
「芳佳ちゃんが言ってたんです
『離れてても、信じてれば私の中に皆やリーネちゃんが居て、リーネちゃんが信じてればリーネちゃんの中に私が居るから』って」
「…」
「だからその時まで私は今を進んで行こう、って決めたんです」
そう言ってリーネは芳佳に対して向けていた笑顔を浮かべた
まるで、いやリーネの瞳には確かに芳佳が居た
強くなった、と目の前の彼女にペリーヌは思った
出会った頃は自分に自信が持てず、訓練でしか引き金の引けなかった彼女が
今はまるで陽光のように強く輝いているように見えた
今の彼女なら、今のリーネの信じる事ならペリーヌは自分も信じられる気がした
「信じていれば…私の中に‥」
心の中の想いを真っ直ぐに見つめる
凛々しさも、厳しさも、優しさも、温かさも、知っている全てを
「少佐…」
そこに姿はない、しかし感じられる
想い焦がれた人は今も自分と同じ世界に生きている
だが、それだけで心が温かくなるのをペリーヌは感じた
「リーネさん…ありがとう」
「はい」
互いに微笑むと再び二人は道を歩み始めた
空は繋がっている
彼女達が翼を広げ駆けた空は区切りなどなく、世界を繋いでいる
その想いも途切れる事なく繋がり続けているのだ―。