無題


あのひとは気づいているのだろうか。
私の、暗く澱んだこの思いに。




ペリーヌは、自分の気持ちがわからない。
いや、確かにわかっている事もある。それは、自分があのひとに…
坂本美緒少佐に、並々ならぬ愛情を抱いているということだ。
しかしペリーヌにはわからない。
一体自分はどうしたいのか。

自分は女性だ。
そしてあのひとも…坂本少佐もまた、女性なのだ。
しかしペリーヌは、自分が彼女に向ける想いが、およそ同性に向ける類のもの
ではないことを十分自覚していた。

故郷を失い、絶望の暗闇の中に居た自分を、再び光の下に連れ出して
くれたのはあのひとだ。
しかし同時に、右も左もわからない想いの迷路に自分を導いたのも、あのひとだった。
ペリーヌは目を閉じる。そして、胸の中であのひとのことを思う。

艶やかな黒髪。黒い瞳。
全てを見通す赤い魔眼。
良く通る声。部下を叱る声。朗らかに笑う声。
わたくしを呼ぶ、その…

(ペリーヌ)

「……っ!」
ペリーヌは自らを両腕で抱きしめた。
そして胸の内で何度も何度も反芻していた。自分を見つめるあのひとの眼、
自分の名前を呼ぶあのひとの声、自分に笑いかけ、自分の肩を抱くあのひとの指…。

ペリーヌにはわからない。
自分はどうしたいのか…どう、されたいのか。

硬く組まれたペリーヌの両腕が解けていく。
その左手は夜着の下の乳房に、そして右手は下穿きの上、未だ誰も触れたことのない秘部に伸ばされた。

「少佐、坂本少佐…!」
彼女の両手が密やかに動き出す。未成熟な乳房をゆっくりと揉みしだき、
右手は躊躇うように秘部の周辺を彷徨った。
ペリーヌは少佐の指のことを思い出していた。
自分に指示を出すときの、まっすぐに伸ばされたそれ。
力強く刀を握る、その指を。

「あっ…」
秘部の上を彷徨っていた右手の指が、ついに硬いしこりに触れた。
ペリーヌの体がびくんと震える。
「あっ…、あ、ああ…」
指の動きが激しくなる。やがて下穿きにうっすらと小さなしみが浮かび上がった。
ペリーヌの指が、その下に伸びる。
「はぁっ…!」
ペリーヌの塗れた指が、ますます激しく動き出す。腰は何かを求めるように揺れ、
左の掌の下では桃色の小さな乳首がぷっくりとその存在を主張していた。
「あうっ」
ペリーヌに指がその乳首を摘む。くにくにと弄ると何ともいえない切なさで
胸がいっぱいになった。

「少佐、少佐、少佐ぁ…」
ペリーヌの指は止まらない。塗れた指が陰核を押し、捏ね回し、太ももは悩ましげに
すり合わされ、滲み出したものでペリーヌの下穿きが濡れていく。

(ペリーヌ)

ペリーヌは自分を呼ぶその声を思い出す。
「しょうさ、しょ…うさっ、わたくしの、わたくしのしょうさ…」
眼を閉じ、愛しい人のことを想う。

ああ少佐。
わたくしがこのように、…このように淫らにいやらしく、あなたに触れたら。
あなたはどんな顔をなさるのでしょう。
なんとおっしゃるのでしょう。
少佐、あなたの美しい髪に、唇に、肌にわたくしの指を這わせ、
あなたの頬を、首筋を唇で伝い巡り、
胸に、鳩尾に、腹部にキスを落とし、
そしてあなたの快楽に奉仕したら、あなたは一体どんな声をあげるのでしょう。


「ああ…!」
ペリーヌの指が、濡れそぼったその秘部の奥に沈んだ。
小さな水音が響き、指は益々情熱的に動く。
「ん、んあ、ああぅ…は、」

少佐。いとしいわたくしの少佐。
わたくしの指があなたに触れ、あなたの指がわたくしに触れ、
そして二人同じ想いのもとに口付けを交わせたら。
わたくしは、わたくしは…

「あ、っ…ア――――っ!!!」

ペリーヌののどから一際高い声が漏れた。
気づけば、ペリーヌの眼には涙が溢れていた。
荒い息をつき、枕に顔を埋める。
両手はまだ力なくその場所の上に置かれていた。
「少佐…」

今、ペリーヌの胸の内で、彼女の愛しい存在は
顔を紅潮させ髪を乱し、潤んだ瞳でペリーヌを見つめている。

少佐、少佐、気づいていらっしゃる?
わたくしの想いを。
あさましいわたくしのこの劣情を。

(ペリーヌ…)

胸のうちのいとしいひとは、濡れた声でペリーヌの名を呼んだ。
ペリーヌの体がびくんと震える。
「少佐…っ」

まだ、ペリーヌの夜は終わらない。


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