風
――貴女は、どうですか…?
私を、想ってくれていますか…?
風は、吹いていますか…?
―――――――
私はウィッチーズ解散後、ペリーヌさんと一緒にガリア復興に貢献していた。
復興はなかなか大変だけど、やりがいはあって、意外と楽しい。
芳佳ちゃんと離れ離れになったのはやっぱり寂しいけど、芳佳ちゃんも扶桑で頑張っているんだと思うと、こっちまで元気になるよ。
「リーネさん、お手紙ですわよ」
「えっ、誰からだろう」
「宮藤さんからですわ」
「芳佳ちゃんから…?」
そんなある日、芳佳ちゃんからお手紙が来た。
「良かったですわね」
「うん!」
私はドキドキしながら、封筒を開ける。
そこにはみんなで写った写真と一緒に、一枚の手紙が入っていた。
―――――――――――――――――――――リーネちゃんへ
お久しぶりです。
リーネちゃんはお元気ですか? 私は元気です。
私は扶桑に戻って、診療所の手伝いをしています。
リーネちゃんのガリア復興も大変だとは思いますが、頑張ってくださいね。
と、お堅い挨拶はここら辺でいいかな。
久しぶりだね、リーネちゃん。
ウィッチーズが解散してからもう長い事会ってないけど、リーネちゃんは元気?
ガリア復興が大変過ぎて、体を壊してなきゃいいんだけど…。
私の方は、ブリタニアに来る前と別に何も変わらないかな。
唯一変わったのは私の通ってる学校に臨時教員として、坂本さんが来たくらいかな。
坂本さんの教え方が凄く厳しくて、みんな参ってるみたい。
その度に『アッハッハッ』なんて笑ったりして。
だから、みんなから好かれてるんだよ。
リーネちゃんはどう? そこは楽しい?
って復興なんだから楽しい訳ないか。
いやいや、今の質問は無しね? うん!
そこで、リーネちゃん、ちょっと提案があるんだ。
…ガリア復興が終わったら、扶桑に来ない?
あ、もちろん、ペリーヌさんも一緒にね。
復興が何年かかるのかは分からないけど、私、何年でも待ってるよ。
大好きだよ、リーネちゃん。
いつまでも、待ってるから。
じゃあ、また手紙書くね。
宮藤芳佳
―――――――――――――――――――
…私の目からはいつの間にか、涙がこぼれていた。
涙で、手紙が読めないほど、私の目には涙が溜まっていた。
「芳っ…佳ちゃっ…ううっ…うっ…」
「リーネさん…」
ペリーヌさんが私の肩に優しく手を置いてくれる。
「…そんなに泣きながらでは、せっかくのお手紙がびしょ濡れになってしまいますわよ。
ほら、これでお拭きなさい」
と言ってペリーヌさんはハンカチを差し出してくれる。
「ありがとう…ごさいます…」
ペリーヌさんは優しく微笑んで。
「さあ、復興作業の続きですわよ!」
「ペリーヌさん…」
「…貴女も早く宮藤さんに逢いたいのでしょう?
わたくしも早く坂本少佐の元へ行きたいですし…。
ほら、早く終わらせますわよ!」
「…うん!」
私は涙を拭いて、また立ち上がる。
芳佳ちゃんからの手紙をポケットにしまって、私は大地を踏みしめる。
想いを力に変えて。
―――――――――――――――――――
――芳佳ちゃんへ
芳佳ちゃん、お手紙読みました。
私は元気です。大変な事もあるけれど、ペリーヌさんと一緒にガリア復興の為に頑張っています。
楽しい事、嬉しい事、悲しい事。
すべて、毎日味わっています。
私は、芳佳ちゃんが元気で本当に嬉しいです。
そちらには坂本少佐も、芳佳ちゃんのお友達もいるから、きっと寂しくないよね。
芳佳ちゃん、扶桑ではどんな風が吹いていますか?
涼しい風ですか? それともちょっと寒いですか?
こちらは良い風が吹いています。
ガリアが復興したら、必ず、必ず、芳佳ちゃんの元へ向かいます。
何があったって、必ず貴女の元へ…。
また、逢える日を夢見て…
この想いを風に乗せて…
END