桃色調律師


 拡散しようとする魔力をおにぎりを作る要領で凝縮する。何度かこれを繰り返し、魔力光が水色
から桃色へと変化したところで定着させ、手袋を嵌めるように両手に固定する。

「やった!できたぁ~!これで今よりもみんなの役に立てるよ」

 数日前、基地の敷地内で見付けた傷ついた小鳥。瀕死だったその子をどうしても助けたくて、
無我夢中でかけた治癒魔法は、いつもより強力で、薄紅色の光を放っていた。その後、何度も
再現を試みて、ようやく成功させることができた。それがあまりに嬉しくて、わたしはお茶の時間
でみんなが寛いでいるであろう控え室に、大騒ぎで飛び込んだのだった。

「坂本さ~~ん!やりました。桃色です、ピンクなんですよ?ピンク!」
「ぴんくぴんくと騒々しいぞぉ宮藤ぃ~!」

 手にした扶桑刀の鞘でコツンと頭を小突かれて、落ち着いて順序立てて話すようお叱りを受けて
しまった。う~相変わらず厳しい。

「実はですね…」

 わたしは、これまでの経緯を事細かに説明し、桃色の魔力光に包まれた両手を、みんなに翳し
て見せた。

「なるほど、強化版というわけか」
「すごいよ、芳佳ちゃん」
「ですけど、効果の方は実際に見てみないことには…」
「いいじゃんペリーヌ、色が変わっただけでも大進化だよ」
「色が変わっただけって…、ひどいよルッキーニちゃん」
「はっはっは。どれ、私が試してみよう。見た目の効果は分からなくても、魔法の密度くらいなら
分かるだろう。宮藤、手を当ててみてくれ」

 坂本さんに言われるまま、わたしは手をお腹にそっと当ててみた。

「どうですか?坂本さん」
「う~ん、ずっしりとして温かい感じではあるんだが…、正直なところ、よく分からんな、はっはっは」
「う、うぅ~、そうですか」

 完成させた時の喜びが大きかっただけに、かなりがっかりした。そう、ここまではわたしは間違って
いないはずだ。今思えば、道を踏み外したのはこの後だ。落胆して力が抜けたわたしの手は、坂本
さんのお臍を通過して下腹部へとすべり落ちてしまったのだ。

「な、これは!宮藤ぃ、…手を、…て…を」
「さ、坂本さん!どうしちゃったんですか?坂本さん!」
「ん、っく…。ぁぁああぁん…」

 普段の坂本さんからは想像もできないような艶っぽい声を出した後、坂本さんは、力なくペタリと
その場に座り込んでしまった。
 え、ええ?何?わたし?わたしのせいなんですか?
 肩で激しく息をしながら、扶桑刀を杖にして立ち上がろうとした坂本さんは、そのままぐったりと
横になってしまった。

「少佐!少佐ぁあ!」
「美緒?しっかりして美緒!」
「…気を失ってる…」

 音速で坂本さんを膝枕したペリーヌさん、手を握って呼びかけるミーナ中佐、そして坂本さんの
状態を確認するバルクホルンさん。わたしは、その様子を呆然と見ていた。

「宮藤さん…、どういうこと?」

 スッと立ち上がり、私の正面に立ったミーナ中佐の抑揚の無い声。あぁ、みっちゃんごめんね。
扶桑には無事に戻れそうにないよ…。縁側でみっちゃんと食べたスイカおいしかったなぁ。

「答えなさい。宮藤軍曹」
「あ、あの、これは…。治癒魔法を強化しただけのものだから、人体に害は無いはず…です」
「坂本少佐をこんな風にしておいて?信じられないわね」

 もっとみんなの役に立ちたくて完成させた、その気持ちに嘘は無い。それだけは信じて欲しくて
わたしはミーナ中佐に縋り付いた。

「信じてください!ミーナ中佐」

 わたしは、ミーナ中佐を説得すべく、その腕に手を添えようとした。そう、ここまではわたしは間
違っていないはずだ。今思えば、道を踏み外したのはこの後だ。わたしは目測を誤り、ミーナ中佐
の腕ではなく、胸を掴んでしまったのだ。

「ちょっと!宮藤さん、一体何の…真似…んぁ」
「ち、ち、違うんですミーナ中佐!こ、これは…」
「何…こ…れ…、ダ…ダメ…飛んじゃう!」
「ミーナ中佐!」

 眼前でミーナ中佐がゆっくりと膝から崩れ落ちていく。坂本さんと折り重なるように横たわると、
ミーナ中佐は気絶してしまった…。
 こういう時でもミーナ中佐って綺麗な声なんだ、ってそうじゃなくて、えっと…、これもわたし…
なのかな?わたしのせいなんだよね?うぅ、みんなの目が痛いよ…。リーネちゃんの視線は別の
意味で痛いよ…。あ、ペリーヌさんは坂本さんを膝枕して妄想モードっぽいな…。

「ち、違うんです、バルクホルンさん。信じて…ください」
「み、宮藤…」
「何で後ずさりするんですか?ひどい…ですよ…」

 どうしていいか分からなくて、頼りがいのあるバルクホルンさんに近付こうとしたら、ギョッとした
ような顔をして数歩引かれた。それがとても悲しくて、わたしはバルクホルンさんに訴えた。そう、
ここまではわたしは間違っていないはずだ。今思えば、道を踏み外したのはこの後だ。わたしは
どうしてもバルクホルンさんに見放されたくなくて、つい使ってはいけない単語を涙声で口にして
しまったのだ。

「いや、一人にしないで、お姉ちゃん!」

 一気に間合いを詰めると、わたしをその腕で包んでくれたバルクホルンさん。あまりに嬉しくて、
つい、腰元に回していた手で、背筋をなぞり上げてしまった。

「ふぁあぁん…。あっ、はぁぁあ…」
「ご、ごご、ごめんなさい!事故、事故なんです!」
「よ、芳…佳…。もうっ、らめぇ…」

 大きく仰け反ったバルクホルンさんは、わたしを道連れにソファーへと倒れこんでしまった。
もそもそと這い出すように腕から逃れ起き上がる。随分と幸せそうな表情で気絶していた。
 さっきのバルクホルンさん、なんだか可愛いかった、ってそんなこと考えてる場合じゃない!
どうしよう、もう終わりだよ。わたしを相手にしてくれる人いなくなっちゃうよぅ。
 未だに桃色に発光する手を眺めて、わたしは絶望感に苛まれていた。

「芳佳ちゃん、大丈夫?」
「…リーネちゃん」

 いつの間にか隣に腰掛けたリーネちゃんが、心配そうにわたしのことを見詰めている。そうだ
わたしまだ一人じゃなかったよ。

「リーネちゃん、ありがとう。わたしまだ一人じゃないんだね」
「芳佳ちゃん」
「あ~ゴホンゴホン!宮藤~、失意のヒロイン立ち直り直前モード中に悪いんだけどさ…」
「芳佳!あたしたちのお願い聞いて!」

 見上げると、とてもいい笑顔をしたシャーリーさんとルッキーニちゃんだった。経験則から判断
するに、この2人ってこういう笑顔のときは危険だ。だから気持ちを引き締めないといけない。そう
ここまではわたしは間違っていない以下略。結局、2人のあたしたちはお前の味方だからという
言葉に踊らされ、道を踏み外したわたしは、「お願い」を了承してしまった。世の中には、どんな
状況下でも楽しもうとする人はいるものなんだ。人間って強いんだね、お祖母ちゃん。

「それじゃ、キスしてる間にお願い。いくよ~?」

 2人がそういう仲だというのは知ってるけど…、まさかキスしてる時に魔法をかけさせられるとは
思わなかった。立派な魔女になりたくてここに来たはずなのに。ごめんね、みっちゃん。わたし
大人のお○ちゃ的存在になっちゃったよ。あなたは、こんなわたしを今でも親友だって言って
くれるかな?うぅ…。
 向かい合ったシャーリーさんとルッキーニちゃんの傍に立つわたし。気が付くと、エイラさん
とサーニャちゃん、さっきまで一番遠くで様子を窺っていたハルトマン中尉、妄想モードから復帰
のペリーヌさん、そしてリーネちゃんが、興味津々といった風情で取り囲んで見ている。


「え?ギャラリー?別に気にならないから遠慮しなくていいぞ」
「いえ、まあ、それならいいんですけど…」

 背伸びしながらシャーリーさんの首に腕を回すルッキーニちゃん。腰に手を回してそんな彼女を
抱き寄せるシャーリーさん。なんだかとても絵になるよね?わ、唇重ねた…。わわ、舌絡ませ合って
る///
 見てるのが恥ずかしくなったわたしは、早速行動を開始した。それぞれの膝裏に手を添えると、
太腿の内側を上へと手を滑らせて、最後にお尻をぎゅっと鷲掴みにした。

「ふ…んん!くちゅ…ふぁん、シャ…ぁリぃぃい、もぅ…あたし」
「はぁ、んちゅ、ルッキー…ニ、い…一緒…に」
「「んぁ!はぁああぁ…ん…」」


「さて、残るは5人だけど。つぎは誰がいく?」
「え?全員するってことで決定なのカヨ?」
「エイラさんの仰るとおりですわ!残りで豆狸を成敗するという選択肢もございましてよ!」
「いや、そこまでは言ってナイッテ」

 至福の表情で絡まり合って横たわるシャーリーさんとルッキーニちゃんの横で、突如として始まった
議論。なんだか、ペリーヌさんに随分な事言われてる気もするけど、結果として隊が半壊している
状況なのは否めないわけで…。

「せっかくだから、わたしは志願するけどね。でもその前に、ペリーヌだね」
「何で、わたくしですの!嫌ですわよ、ガリア貴族が衆人の前で醜態さらすなど!」
「本当に、それでいいのか?…ペリーヌ」

 意味深に微笑するハルトマン中尉の真意を探るように、中尉を見詰めるペリーヌさん。

「だって今なら、少佐に密着したまま楽園確定だよ?」

 私たち5人には、ペリーヌさんが盛大に道を踏み外す音が聞こえた…。
 ペリーヌさんに出された条件は、たった一つ。触っていいのは首筋のみということだった。坂本さん
を膝枕したまま、ペリーヌさんは金色の髪を後ろへと流し、首筋を露にしてくれた。
 今の仕草色っぽかったなぁ。肌も結構綺麗なんだ。

「宮藤さん、何をじろじろと見ていますの?」
「ペリーヌさんって、綺麗だなって…」
「ま、豆狸に言われたって嬉しくなんてありませんわよ///」
「うう、ひどい」
「ほら、さっさとなさいな」

 俯き加減に首筋を曝け出しているペリーヌさん。わたしは、そっと中指を添えるとツィーっと、首筋を
上下に往復させた。

「ぁ、そんな…。こん…な…に、…すごい…なんて…」

 あれ?今までより随分と時間がかかってるような?魔力は減少してないはずだけど…
何度首筋を行ったり来たりさせても、それ以上の変化は起こりそうになかった。

「宮藤…さん、…イジメです…の?…こんな、状態のまま…だ…なんて、…あん」

 そんなこと言われたって、触れてる場所が悪いのかな?わからないよ…、もう、こうなったら!
 わたしは、首筋から指を離すと、前触れも無くペリーヌさんの耳へと人差し指を差し入れた。

「…っ!!!」

 小刻みに全身を震わせて、天井を仰いで上り詰めたペリーヌさんは、坂本さんを包み込むように前
へと上体を倒したのだった。

「やるなぁ~宮藤。最後は声になってなかったな」
「…もうわたし、治癒魔法ってなんだったのか…、忘れそうです…」
「そんなへこむ事ないって。これはこれですごいって」

 わたしなんて、リーネちゃんやエイラさんたちがどんな顔して見てるのか、怖くて顔が上げられない
って言うのに、なんでハルトマン中尉ってば、こんなに陽気なのかしら…。

「宮藤ぃ~、準備いいよ」

 うわ、わたしがほんのり落ち込んでる間に、もう準備できてるし…。

「あの~ハルトマン中尉?」
「ん?」
「この後、ネウロイ来たらどうしたら…」
「宮藤が何とかしといて?」

 そんな、爽やかな笑顔されても…、とほほ。
 これ以上は何を言っても駄目だろうと判断したわたしは、バルクホルンさんに抱きついてるハルトマン
中尉に近寄った。バルクホルンさんは、ソファーにもたれかかり未だ気を失っている。

「わたしは、脇腹、腋、最後は胸のルートでお願い♪」

 今度はルート指定来たよ、みっちゃん。もうここに至っては淡々と遂行するのみだけどね、…ははは。
 ハルトマン中尉の注文どおり、脇腹に手を添えて、ゆっくりと指定ルートを撫でていく。

「ん…、ひぅ。…すご…く…、いい…かも」

 頬を紅潮させて、バルクホルンさんにギュッとしがみ付いている中尉に、思わずドキッとさせられる。
 うまく言葉では説明できない罪悪感を抱きつつ、わたしは、腋まで来た手を胸へと回り込ませた。

「ん!…はぁ…、トゥルーデ…。わたし…を…ふぁあん、…見て…よ、…んぁあ!」

 バルクホルンさんに寄りかかって目を閉じた中尉の表情は、随分と安らいでいるように感じる。
 あの、ネウロイ来たら、ちゃんと起きてくださいね?

「なぁ~宮藤?」
「あ、はい。何です?エイラさん」
「その魔法解除して、いつもの治癒魔法で、みんなを起こせないのカ?」

 エイラさんをまじまじと見詰め、しばらくしてから、あっと小さく声を上げた。
 言われてみれば、そうだよね…。じゃあ、早速…、って、あれ?

「エイラさん!」
「何だヨ、宮藤」
「解除できません!」
「うわ!それ以上近寄んな、宮藤!」

 サーニャちゃんの手を引きながら、ソファーを挟んで移動するエイラさん。

「あの、結構傷付くんですけど…」
「しようがないダロ。これ以上、隊の機能を麻痺させるわけにはいかないんダ!」
「分かってます。だけど、わたしだって、本人の意思を無視して触れたりなんてしません!」
「少佐や、中佐や、大尉については、どうなんダ?」
「うぐっ!」
「待って、エイラ。少佐たちのことは、本当に事故なんだと思う。…だから、芳佳ちゃんを信じて
あげて?」
「サーニャ…」
「サーニャちゃん!ありがとう。サーニャちゃんは、わたしの天使様だよぉ」
「お前の天使じゃネェェェエエ!!!」
「それじゃ、誰の天使なんです?」
「わたしに決まってるダロ!文句は言わせないゾ!」
「…だってさ。良かったね、サーニャちゃん」
「もう、…芳佳ちゃん」
「み、み、宮藤ぃぃいいい!」

 サーニャちゃん絡みだとすぐにペースを乱すエイラさんを宥め賺すのに、多少時間はかかった
ものの、魔法の効果は消えそうになかった。

「あの、これ消えそうにないので、折角だからエイラさんもどうですか?」
「何が折角なんダ?何が。それ本来治癒魔法なんダロ?何でこんなことになってんダヨ?」
「ずっと考えてたんですけど、健康体な方にだけでる副作用とかじゃないんですか?」
「リーネのいうとおりなら、迷惑な魔法ダナ。本人が解除できないし」
「それは、そうですけど…。あ、サーニャちゃんはどお?試してみない?」

 もうここまで来てしまったからだろうか、何だか試さずにはいられない気分に…。

「サーニャをそんな目で見ンナァァァアア!いい加減にしろヨ、宮藤!サーニャだって、そんな
こと嫌ダロ?」
「一人なら嫌だけど、…エイラと一緒なら試してみたい…かも」
「サ、サーニャ!」

 ブリタニア中に、エイラさんが道を踏み外す音が響いた。

 そんなこんなで、わたしは、エイラさんの部屋に連れて来られた。リーネちゃんは控え室で
お留守番だ。
 とうとう出張依頼まで来たよ、みっちゃん。これってば往診?

「エイラさん!」
「何だヨ、宮藤」
「見えません!」
「絶対その目隠し外すんじゃないゾ!」

 わたしは、真っ暗闇の中で、手を繋ぎ合ってベッドに横になっている2人をぺたぺた触り捲くる
わけだけど、みっちゃん、これなんてプレイ?あ、これエイラさんの脚かな?こっちがサーニャちゃん
のか…。ゆっくり辿って膝に到達。あ、2人ともなんか震えてる?触れるか触れないかくらいの状態を
維持しつつ、さらに進軍。震えが激しくなってきてる割に、時々吐息が微かに聞こえる程度って?
 さわっと何かが手に触れた。これは尻尾…、ということは魔法で耐性を上げてるのかな?
 わたしは、お尻に沿って手を這わせ、グイっと2人の尻尾を掴むと、握った手の中を通すように
尻尾を撫で上げた。

「ん!…だめ…、声…漏れ…ちゃう…。あん!…エイラ、ごめん…ね…、エイラァ…」
「こっち…も、…無理…ダ…。んくっ!…サ…サー…ニャァア…」

 タオルケットを2人に掛けて部屋を出た。エイラさんとサーニャちゃんて本当仲良しさんだと思う。
 控え室に戻るとリーネちゃんが笑顔で迎えてくれた。みんなをソファーや椅子に運んでくれてた
ようだ。わたしは、リーネちゃんの横に腰掛けた。

「おかえり、芳佳ちゃん」
「リーネちゃん、ただいま」
「少し長かったね」
「えと、リーネちゃん。もしかして…、怒ってる?」
「うん、怒ってるよ」

 リーネちゃんの前で散々やらかしたわけだし、故意じゃないって分かってても許せないことって
あるよね…。

「ごめんなさい、リーネちゃん。どうしたらわたしの事、許してもらえる?」
「芳佳ちゃんは、意地悪さんだね。それをわたしの口から言わせようとするんだもん」

 口元に手を当て、クスクスと笑うリーネちゃんは、すごく可愛くて、つい押し倒してしまった…。
だってそこは、わたしが一番安らげるところだから。


 魔法の効力が消えてから少し経って、みんなは意識を取り戻した。そして…。
 わたしは、控え室の真ん中で両手にバケツを持たされて、立たされているわけだけど…。

「で、結局何だったんだ?あの魔法は」
「負傷者には、特効があるようだけど、そうでない者には副作用が強すぎるようね」
「どうしたものかな」
「こんなこと報告書に書きたくないわよ、みっともない」
「そうだな…。宮藤ばかりが悪いわけでもなさそうだしな」

 事の詳細を各隊員から聴取した後、ミーナ中佐と坂本さんは、今回の件をどう処理するか、
頭を痛めていた。決定が出るまでは、わたしはこのままだ。そろそろ肩が痛くなってきたなぁ。

「今回の件について、特に処分は下しませんが、宮藤さん」
「はい」
「緊急時以外の当該治癒魔法の使用は、禁止とします。いいですね?」
「了解しました」
「良かったな~宮藤、ピンクチューナーの称号を剥奪されなくて。あはは」
「そんな称号いりませんって、シャーリーさん!」

 心底楽しげに肩を叩くシャーリーさんに口を尖らす。

「大体何のチューナーなんですか?何の?」
「何のってお前、なぁ、みんな?」

 周囲を見回して、同意を得ようとしたシャーリーさんだったが、みんな一様に顔を紅くして
目を合わせようとしなかった。

「コホン。それはそうと、リーネさん」
「あ、はい?」
「どうしてあなたは、宮藤さんに触れられても何ともなかったの?」

 小さく咳払いをして、ミーナ少佐がリーネちゃんに質問する。

「えっと、健康体では、無かったのかも知れません」
「?どこか具合悪かったのかしら?」
「リネット・ビショップ!そういうことはきちんと報告しないと駄目だぞ。編成にも影響するんだ」
「すみません、バルクホルン大尉」
「で、どこが悪いんだ?」
「えっと…」

 何だろう?リーネちゃん調子悪かったの?そんな風には見えなかったけど。わたしのこと
ちらちら見てる?病気の原因ってわたし?風邪をうつしたって事もないし…。

「芳佳ちゃんに、恋煩い///」

「はいはい」×9人


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