無題


「サーニャ、ちょっと来て」
「え?」サーニャは持っていたぬいぐるみをベッドに置いて云った。
エイラは半ばサーニャをひっぱるようにして連れて行った先は基地の屋上。
普段来ない屋上は、なんだか新鮮な空気さえ感じる。
「暑い」サーニャが云う。エイラは半ば震えた手で胸に手を当てた。心臓が高鳴る音がする。
暫くの沈黙が続いた後、サーニャから口を開いた。「エイラ、用事って何?」
エイラの目の前にアーモンド大の瞳がある。サーニャは思わず濡れそうになった。(うわっ、なんでこんなにかわいいんだ)
サーニャは、そんなエイラを「変なエイラ」といわん顔で見ている。
やがてエイラは切り出した。「あ・・あの、実は・・サーニャが好きだ」
サーニャは暫くしていった。そして微笑んだ。「わかってるよエイラ。エイラは私の大切な親友だよ」
「そうじゃないんだ」
「え・・?」サーニャは驚いた表情をした。エイラは、サーニャに静かに「好きだ・・」というと、サーニャの唇を無理やり奪った。
サーニャが抱えていたぬいぐるみは、コンクリートの地面の上へ落っこちた。
ぼとん、とぬいぐるみが落ちる音と、サーニャの声が聞こえるのはほぼ同時だった。
「んっ・・・ふぅ・・・」エイラの熱を帯びた舌がサーニャの口内に侵入してくる。サーニャはエイラの胸をドンドンと叩いたが、力が抜けてしまっているのでかなわない。

エイラの舌はサーニャの意思とは関係なく、どんどん侵入してくる。
やがて二人の唇が離れると、二人の間を唾液の糸が繋いでいた。先ほどのエイラのキスのせいか、サーニャの顔はやや桃色に染まっている。
「いきなりどうしたの」エイラが驚いたな表情で言った。
エイラは悪びれもしなかった。サーニャも、ノンケのふりをしているが、本当は自分を好きなことを。
「分かってたんだ。サーニャだって本当は私のことを好きなんだろ?」エイラがいった。

「わ・・私はそんなんじゃない」サーニャは声を震わせながらそう言ったものの、実際はエイラへの想いを隠し切れずにいた。
エイラは、サーニャを想いながらもこの想いは伝わるはずがないとオナニーに慰めを求め、それによって心を繋いでいた。
サーニャもそんなエイラの気持ちは分かっていた。
もう、自分の気持ちに嘘はつけない。サーニャはそう思った。そしてやっと自分のエイラへの想いを口にした。
「私・・ずっと怖かった。エイラに告白したら傷つくかなって」
「サーニャ・・・」
エイラはサーニャの体を包むように抱きしめた。サーニャは、泣いているのがわかった。
エイラは、サーニャの頬を伝う涙をそっとぬぐった。「サーニャ・・目を閉じて」
サーニャはこくんと頷くと、云われたとおり目を閉じた。サーニャの長い睫がエイラの目の前にある。
エイラはそっとサーニャに口付けた。それは、サーニャを愛する気持ちがこもった温かい口付けだった。
そして耳元で愛の言葉を囁いた。「愛してるよサーニャ」
サーニャは目を開けると、「私も…」といった。
「大好きだぞ、サーニャ」
「私も大好き、エイラ」


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