無題


リーネは自分の首にかけていたネックレスを外すと、芳佳の首にかけてやった。
「これ、ここらへんじゃ珍しいでしょ?芳佳ちゃんの可愛い顔によく似合ってるよ。」
「ありがとう」芳佳はにっこり笑い返した。
その笑顔は幼さが残る、可愛らしい笑顔だった。
「芳佳ちゃん、今日ヒマ?」
リーネは芳佳にそう言った。
「うん。特に用事ないよ。」
芳佳はさっき貰ったネックレスを指先でいじりながら答えた。
「ちょっとそこで話さない?」リーネは芳佳を好きになってしまったのか、そういった。
芳佳はあのにっこりとした笑顔で答え、二人は座って色々話した。
自分の国のこと、家族のこと、ウィッチになった時のこと・・。
芳佳が会話の中で時々見せるあの笑顔はリーネの心をキュン、とさせた。
あまりにも芳佳がかわいすぎたのだ。
リーネは、こんなにも切ない感情があることを初めて知った。
ちょっとの事を話すのにも、心臓がバクバク激しく動く。
そんなリーネの気持ちに気がつかない芳佳は、熱でもあるのかな?と自分の額とリーネの額に手を当てる。
形のよい唇が動く度にリーネはドキドキする。
芳佳の大きな瞳の中に、顔を真っ赤にした自分の姿が写っている。
リーネが恥ずかしさで目を伏せたその時。

こつん

と額に何かが当たった。
ゆっくりと目を開けると、超至近距離に芳佳の整った顔がある。
「手じゃ温度差がよくわからなくて」
芳佳が笑いながらそう言った。
リーネは無意識のうちに芳佳の唇にキスをした。
芳佳は一瞬頭の中が真っ白になった。
リーネはリーネで混乱していた。
(どうしちゃったんだろ私!?何やってるんだろう・・・・・)
リーネはすぐに唇を離し、ごめんと呟いた。
芳佳はびっくりするやら恥ずかしいやらで顔を赤らめた。
「あの・・・・」
芳佳は何かを言おうとしたようだが、そのまま黙り込み下を向いてしまった。
 
リーネはますますパニックになった。
「な、なに?」リーネが自分を落ち着かせながら言った。
落ち着くように深呼吸した。
芳佳のいい匂いがした。
芳佳は一呼吸置いて言った。
「さっきのアレ・・・・何だったのかなって思って・・・」
かなり率直だ。
「私もわからないんだけど、多分、私、芳佳ちゃんに惚れちゃったんだと思うの」リーネはいい終わると、はっと口を押さえた。
(何云ってるの私!)
芳佳は丸い目を更に丸くして驚いた。
「惚れたって・・・私に!?」
 
しばし沈黙が流れる。
「私は・・・女だよ?」
「芳佳ちゃん・・・」
リーネは両手で芳佳の顔をこちらに向かせると、もう一度キスをした。
もう、リーネの心に迷いはなかった。


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