Change Magic
――魔法。
私達が持っている魔法とは全く違う魔法がこの世に存在するなら。
それはどういう魔法なのだろう。
柄にも無くそんな事を考える。
―――Change Magic―――
「ふーん、意外とトゥルーデってロマンチストだねえ」
「茶化すな、エーリカ。もしもの話だ」
「私達のは世間一般で言う魔法とは違って、あまりキラキラした感じの魔法じゃないからなあ」
「私達の魔法は、みんなを守るための魔法だ。
現状それで良いと思うがな」
「で、トゥルーデはどうなのさ」
「何がだ」
「キラキラした魔法、あると思う?」
「分からないな。私達のとは違う魔法があるとしてもお目にかかる機会なんて無いだろうからな」
「私はあると思うな、魔法」
エーリカは目を輝かせながら言い放つ。
「ほう、どんな魔法だ」
「恋の魔法だよ」
「…………」
私は一瞬、目が点になる。
「なにその顔」
「…あ、いやスマン、いきなり突拍子も無い事を言い出すから」
「素敵だと思わない?
恋の魔法だよ恋の魔法。赤い糸が運命の相手と繋がっているかもしれないんだよ」
「赤い糸の前にこの部屋を整理したらどうだ」
「…それとこれとは別問題でしょ、トゥルーデ…」
すると、エーリカは私にズイッと寄ってきて。
「……私の運命の相手が、トゥルーデだったら、どうするの?」
「なっ…//////…なんだいきなりっ…//////」
いきなりエーリカは真剣な目つきと真面目な声で私に迫ってきた。
「私は嬉しいな。
だってトゥルーデで赤い糸で繋がっていたら私達恋人同士なんだよ?」
「…お前…なんのつもりだっ…」
すると、エーリカがいきなりキスをしてきた。
逃げられないほど、深く、熱いキス。
「んむっ…んんっ…」
「トゥルーデ…んむっ…う…んっ…」
舌と舌がピチャピチャと音をたてながら、触れ合う。
逃げたくても、エーリカの腕の力は意外と強くて、腕を離す事も出来ない。
だからといって、仲間に魔力を使役するわけにもいかない。
そして、長いキスは終わりを告げる。
私達の間には銀色の橋がかかり、口の周りはいやらしく光っていた。
「エーリカ…お前…っ…!//////」
エーリカは私を強く抱きしめて囁く。
「…私は…トゥルーデに魔法をかけられたんだ。二度と解けない魔法を」
「…二度と解けない魔法…?」
「ほら、見えない?
私達の間に赤い糸が繋がっているのが」
「…私はお前に魔法をかけた覚えは無いぞ」
「…いいや、トゥルーデは私に魔法をかけた。
トゥルーデの瞳は、私を虜にする力が宿っているんだよ」
…お前は気付いてないんだな。
お前のその眼差しは、私にも魔法をかけている事を。
私を変えてしまったのは、お前なんだ。
だが、そんな事は、口が裂けてもお前には言えない。
そして私はエーリカの頭を撫でながら呟く。
「…なら、私を夢中にさせてみろ。
お前の言う魔法とやらで」
もう逃げられないのなら、お前の魔法に堕ちるのも、いいかもな。
END