MISSING WING
トゥルーデがミヤフジに告白をした。
結果はOKだったらしい。
うん、ずっと想い続けて来たから、トゥルーデにとってはハッピーエンドだ。
…でも、それは私にとっては、紛れも無い、バッドエンドでしか無い。
――MISSING WING――
「ねえねえトゥルーデ」
「なんだ、エーリカ」
「ミヤフジとはどうなのさー」
「いっ、いきなりなんだっ…!//////」
このトゥルーデの驚いた顔も、いつもなら可愛く感じるのに。
今日はそう思えない。
それはきっと、私の心が汚れている証拠。
「いいからいいから、どうなんだよー」
「ま、まあ、良い付き合いをさせて貰っている。まさか宮藤がOKの返事をくれるとは思わなかったがな」
楽しそうに話すトゥルーデは私といる時より、輝いて見えた。
…私は、トゥルーデにとってなんなんだろう…
「…私は、トゥルーデにとって、なんなの?」
「エーリカ」
途端に二人とも表情が曇る。
「…お前は私に何と答えて欲しいんだ?」
「……私」
「……友達?戦友?同僚?…それとも……」
「……」
「お前は私にとっては大事な戦友であり、大切な友達だ。
それは昔から、そして、今からも変わらない」
「そう…だよね…!」
私は涙を押し殺して、精一杯の笑顔をトゥルーデに向ける。
「ハハハ、ごめんごめん!余りにもトゥルーデが幸せそうだったから、からかっただけだよ!本気にしないで」
「……エーリカ…」
「ほら、もうミヤフジとのデートの時間でしょ?ほら、行った行った!」
「ちょっ…エーリカ…!」
私は無理矢理、トゥルーデを部屋から追い出した。
時計の針の音だけが虚しく響く。
「……友達…か…ハハハ、トゥルーデらしい選択肢だよね…」
窓から見える青空を見て、泣く事しか出来ない私は、今やただの、情けない女で。
終わった恋を諦める事の出来ない、未練がましい女で。
「…トゥルーデの、バカ」
人の幸せも祝えない、酷い女で。
そんな事ばかり、頭を巡っていた。
END