Hello New Yorker
私はいつものようにハンガーで自分のマシンを弄っていた。
―誰よりも早く飛ぶこと―
それが私の夢だった。
が、何より機械弄りが好きだった。
501部隊に配属されて日の浅い私にとって、
この場所が唯一のオアシスだった。
「おい、リベリアン。」
オアシスに侵入者。
しかも、この声は一番苦手なカールスラントの堅物大尉。
せっかくの私だけの時間が終わっちゃった。
「なんっすか、バルクホルン大尉?」
「貴様、機械弄りが得意だと言ってたな。こいつを見てくれないか?」
ふーん、頼み事とは珍しい。
ん?こいつ開口一番に失礼なこと言わなかったか?・・まあいいか。
どれどれと私はバルクホルンの差し出したストライカーユニットを受け取った。
「こいつは誰のだ・・・イエローワン?カールスラントのお嬢の機体か。」
「そうだ。ハルトマン中尉のストライカーユニットなんだが、貴様も知ってのとおり
あいつは腕はいいが私生活はずぼらでな。特に、ユニット整備なんか自分でしたためしがない。」
「ふーん、それであんたが代わりにやってるのかい?立派お姉さんというわけか。」
「なっ!別にそういうつもりは、ほら、日頃の整備を怠ればヤツの実力が出せないから・・あーえっと・・。とにかくだ!」
照れてんのかこいつ?ちょっと可愛いかも。
「はいはい、で何処を見て欲しいんだい?」
「・・・ここなんだが。」
「なるほどな、これなら大丈夫だ。ほら、ここをこうして一回外してつなぎ直せば、元通りさ!」
「ほう、さすがだなリベリアン。」
あっ、思い出した。こいつ最初もそう言ったな。
「おい、私の名前はシャーロットだ。変な呼び名で呼ぶな。」
「ふん、助かったぞイェーガー大尉。」
・・・コイツ――。
フフ、からかってやろう
「あんた、ハルトマンと仲良いんだろ?好きなのか?」
「なっ、何を寝ぼけたことを言っているんだ貴様!」
慌ててる、慌ててる。もう一押し。
「んー、この間ハルトマンから聞いたんだがな、違ったか?」
「ち、違うも何もそのことは誰にも言うなとエーリカに・・・わ゙ー!」
図星かよ、顔真っ赤だぞ、おい。
「隠すことじゃないだろ。ところで、私とも仲良くしてくれないか、ゲルトルート。」
「なっ・・・!」
「ほら、私は基地に来たばかりでな、独りなんだよ。あんたたちカールスラント組を見てると羨ましいんだ。」
「・・・そうか。どうしてもというなら、仲良くしてやらないこともないぞ。」
「素直じゃないな、トゥルーデ。そうだ!今晩、部屋に来いよ。ハルトマンも一緒にさ。友情の盃を交わそうじゃないか。」
「ふん、そういうことなら、悪くはない。楽しみにしているぞ、シャーリー。」
そう言うと、さっさと片付けて出て行ってしまった。
でも、その顔には最初ここに来たときのような取っ付きにくさなかった。
フフ、照れ屋で可愛いじゃないか、カールスラントの堅物。今夜が楽しみだ―――。