だいじょうぶだよ


空のあまりの眩しさについ、顔をしかめた。格納庫の脇、ハンガーで私は一人座り込んで、ひたすら帰りを
待っている。
時刻は昼過ぎ。天気は快晴。海はこの上なく、穏やか。

サーニャちゃん。

呼びかけられた気がして、足にうずめていた顔を上げた。振り返ったらそこには宮藤さんがいて、私に
ぶんぶんと手を振っているのだった。突然の来訪に驚きながらも私も会釈を返す。
「どうしたの、こんなところで」
息を弾ませてこちらまで掛けてくると、宮藤さんはそう言って笑った。
私はね、いまお洗濯が終わったところなの!今日は大変だったんだよー、ハルトマンさんがいっぱい洗濯物
出してきて…と、最初は私への質問だったはずなのにいつの間にか自分の話に変わっているところがなぜ
だかおかしくて、つい私はふふふ、と肩を震わせてしまう。そんな私を見て、宮藤さんもとても嬉しそうにえへへ、
と笑った。しばらくそうして二人で笑いあう。

この間、私と同じ日に15歳になった彼女は今はエイラと同じ15歳で、14歳の私にとっては実際のところは
まるまる1歳年上ということになる。けれどそんなこと全く関係ないかのように私に宮藤さんは語りかけてくれる。
その奔放さと明るさに私は時々、とても救われるのだ。こんな人になれたら良いのにな、と強く願って仕方が
ない。そうしたら世界は、もっと違った色を見せるのかもしれない。私が気にも留めないようなことがすべて、
価値あるもののように思えたりするのかもしれない。

それに、もし、宮藤さんのようになれたら。

横目でちらりと滑走路の向こうを見やった。まっすぐ伸びる滑走路の奥に広がる海はどこまでも蒼く、果て
しない。空の青とは違ったその色に私はエイラの瞳の色を思い出す。どこまでもどこまでも、深い蒼。じっと
見つめられたらきっと吸い込まれてしまうんだろう。そんなシチュエーションにいまだかつて遭遇したことがない
から、実際のところは分からない。だっていつもエイラはすぐに目を逸らしてしまうもの。

「みんな、もうすぐ基地に着くって、さっきミーナ中佐に聞いたよ」
「…うん」
「無事だといいね」
「……うん」

私の視線の先に気がついたのだろうか、宮藤さんが言った。うん、と頷きながら私は、ひたすらエイラを
待ちわびている。それこそ宮藤さんが来る前から、正確に言えばエイラの部屋で目覚めたその瞬間から。
ネウロイが出現したのは、今から2時間ほど前。そしてエイラをはじめとしてリネットさんやシャーロットさんが
出撃しているところなのだった。私はそれを感じ取って目を覚まして、正体不明の大型飛行物体の消滅を
感じてエイラたちがもうすぐ帰還してくることを予感した。
…それだから、ここまで来たのだ。服なんてシャツとズボンとベルトくらいしか身につけないで、空いている
お腹なんて気にしないで。私が夜間哨戒から帰ってくると、エイラが格納庫で突っ伏して眠っていることが
ある。私の帰りを待って、一番に「おかえり」というために。
私も、たまにはそれをしてみたい、と思ったのだ。疲れて帰ってきたエイラを出迎えて、一番におかえりを言う。
そうしたらきっと、エイラはとてもとても嬉しそうな顔をしてくれるのだと思うから。

私がエイラにしてあげられることなんて、そんなささやかなことでしかない。
だから、強く、思う。

宮藤さんみたいに、なれたらいいのに、って。

だってそうしたらエイラは私にそこまで気を遣わなくて済むのだろう。うまく周囲に溶け込めないことを心配して
気を回したり、頼りないからといつも隣にいなくたって、いい。
冗談だっていくらでも言って、子犬の兄弟みたいにじゃれあって遊ぶ。面白いことなんて何もないのにただ
ただ面白くて、ひたすら声を上げて笑ったりして。一方的に寄りかかるんじゃない、お互いに向かい合って、
そうして愉快に笑顔をかわす。そんな関係にとても、とても、憧れるから。でも、今の私じゃ、生まれ持った
この性格じゃ、きっと無理だろうと思うから。…だから、すごく羨ましい。ひたすらに、憧れる。

…エイラだってその方が絶対に楽しいだろう。おとなしそうな外見に反して彼女の本質は実に奔放で、無邪気で、
明朗快活だ。何かひどく理知的なことを考えているような顔をしながら実際頭の中では今日はどんないたずらを
しようかとかひたすらに考えていたりするのだ。

宮藤さんの話はいつの間にか、エイラたちの出撃前の昼食の話に移り変わっていた。ふかしジャガイモが
足りなくなってバルクホルン大尉が発狂したとか、ペリーヌさんが今日は「クサヤ」に怒り出したとか、そんな
ことを楽しそうに宮藤さんは話す。まだここに来て一ヶ月もたっていないはずなのに、宮藤さんはすっかり
この部隊の一員だ。まばゆいくらいの存在感を放っているのだ。

それに比べて私はどうだろう。白いシャツから伸びる、同じくらい白い腕。むしろ青白くさえ感じてひどく
不健康だ。あまりに眩しくて昼の光に融けてしまいそうだ、と思う。…これでは、いくら『幽霊みたい』と言わ
れても反論できない。エイラは「キニスンナ」と繰り返すけれど、でもやっぱり気になる。だって1秒でも長く
あなたの目に止まっていたいのだもの。

「みやふじさん、」

さえぎるように口をついて出た私の微かな呟きを、宮藤さんは聞き取ってくれたらしかった。とりとめもない話を
していた宮藤さんが口を止めて私を見やって、そして言う。どうしたの?私から口を開いたことが物珍しかった
のだろう、その目は好奇心にキラキラしている。
「どうしたの?何でも言って?」
「あの、その」
言葉が上手く出てこない。こんなことを人に尋ねるのは初めてで、しかも私はエイラ以外の人と話すのさえ稀だ。
でも聞きたい。知りたい。…たぶん、今しか聞けない。何より、こうしてちゃんと私の話を聞いて、待っていて
くれる宮藤さんに申し訳ない。

「みやふじさん、は、え…エイラのこと、どうおもってる?」

言えた、なのか、言ってしまった、なのか。
口にしたらその一言はあまりにもあっけなく吐息となって消えてしまった。けれどこの言葉が問い掛けで、
その対象が目の前にいる以上私がその言葉を言った事実はなくならない。もっともっと、さりげなく言えれば
よかったのに結局途中でためらって、どもって。これでは私がひどく緊張していることが丸分かりだ。人と
接することに慣れていないぶん、弱さを見れることにも慣れていない私にとってそこからしばらくの宮藤さんの
沈黙がまるで気が遠くなるくらいに長い長い時間のようにさえ感じた。

「うーん……ぶっきらぼうだけど、優しい先輩かなあ。ってあれ、もう同い年なんだっけ。」
私の葛藤などいざ知らず、宮藤さんはいつもどおりのほほんと答える。私チビだしなあ、とぼやく宮藤さんは
そう言えば私よりもいくらか背が低い。私と同じ身長のはずのペリーヌさんが宮藤さんをよく『マメダヌキ』と
気兼ねなく評するのもそんなところが関係しているのかもしれない。せわしなく動き回っては、にこにこと
その場を明るくしていく宮藤さんはとても可愛らしくて小動物のようにも思えるのだ。…年下の私から見ても
そうなんだから、きっとエイラもそれ以上に思っているに違いない、と思ってもっと落ち込んだ。

宮藤さんの言うとおりだ。エイラはとても、優しい。少しぶっきらぼうな物言いをするのも、それはエイラが
とても照れ屋なだけだ。だから新人で、すこしうっかり屋さんで、まだ何もわからない宮藤さんに頼られたら
エイラはきっと放って置くことが出来ないに違いない。
だから怖いの、なんて言ったら宮藤さんを傷つけてしまうかな。エイラを悲しませてしまうかな。それでも
やっぱり私はわがままだから今この手の中にある優しさを片時も離していたくないのだ。



「それと、サーニャちゃんのこと、すごく大切にしてるよね!」

え?と、思わず声が漏れた。けれど当の宮藤さんはけろりとしたもので、私を気遣って無理に言っているようには
思えなくて。
「ほんとう?」
尋ね返すと、やっぱり。言葉の代わりに満面の笑みが帰って来る。他の人と話す機会の少ない私は傍から
みて私と彼女がどう見えるのかを周りから聞く機会がない。

ねえエイラ、あなたは自分から望んで私のそばにいてくれているのかな。しかたなくじゃない?ほっとけない
からじゃない?もっと真っ直ぐな気持ちで、私と同じように、あなたも私を想っていてくれる?
「…でも」
私の中にはそれを真実と信じ切れるほどの勇気がまだないのだった。だって彼女の気に入ってもらえる
ような部分が私に思い付かない。目を落とすと、ささやかとも言えない胸の膨らみ。普段から公言している通り、
エイラは大きな胸が大好きだ。だからエイラは私の胸に興味を持たない。たぶんエイラは私に魅力を感じる
ことがないんだろうな。でも、私が独りぼっちでかわいそうだから、一生懸命気を遣わせているんだろう。

考えれば考えるほど、悪い方向にしか進んでいかない。例えば傍にエイラがいたらこんな私の不安なんて
あっという間に掬い取って、「ナンテコトナイッテ」と笑うのだろうと思う。
虚空に目を凝らしても、青い青い空があるばかり。エイラの瞳に私は快晴の空を想うけれど、空の蒼は
エイラの代わりにはなってくれない。あの人の変わりは誰にも出来ないのだ。

「エイラは、だれにでも、優しい、から」
もぞもぞと言うと宮藤さんはあっけらかんと笑った。サーニャちゃんには特別に優しいよ!私の肩をぽん、と
叩いてそう言う。その行動は何だか坂本少佐のするそれに似ている気がした。顔を上げたらほら、やっぱり。
坂本少佐とどことなくかぶる、無邪気で明るい笑顔。それは二人の性格ががもともと似ているからなのかな。
それとも一緒に訓練しているうちに宮藤さんが坂本少佐に似たのかな。分からないけれど、変われるのなら
私も変わりたい、と思う。

「けど、エイラは、だれとでも仲良くできるから」

羨ましいのは、エイラじゃない。エイラとと一緒に笑って騒げるみんな。私も同じようにしたいのに、私には
上手くそれが出来ない。小さな冗談さえ口に出来ずにまごついて、いつもいつもエイラを心配させてしまう。
私が何かを言うたびに、宮藤さんは励ましの言葉をかけてくれた。エイラがいなくてもしっかりしたいのに、
私はやっぱりだめだ。上手く感情がコントロールできなくて、情けない言葉ばかりがこぼれ出てきてしまう。
いやだな、こんな私。いつもそう思っているのに、どうしようもない。独りぼっちのときはいつもこうだ。後ろ
向きなことばかり心に浮かんでしまうのだ。

「ねえ、サーニャちゃん」
私に耳を寄せて、相槌を打っていた宮藤さんが、不意に自分から口を開いた。囁く言葉はとてもとても優しい。
それは平坦なエイラの口調とはちがって、声音からも私に対する気遣いが分かるのだ。もちろん、口にする
言葉に抑揚がなくても、言葉遣いがぶっきらぼうでも、エイラがとてもとても優しい人だということは私が一番
知っているところだけど。

「サーニャちゃんって、もしかして、すごくヤキモチ屋さん?」

何だか可愛いねえ、とのほほんと。いつもの調子でそう言って宮藤さんは微笑んだ。
私はと言うと宮藤さんの口をついてでたある単語にうろたえて、思わず口をパクパクさせてしまう。
(やき、もち?)
それは、この胸のもやもやのこと?エイラと他の人が楽しそうにしていると何だかとても悲しい、この気持ち?
「そんなんじゃ、」
やきもち、って言うものがどんなものかは知っている。いわゆる『嫉妬』というものだ。ううん、そんなもの
じゃない、絶対。そんなに醜い気持ちじゃない。私は、ただ、エイラの。



(いちばんで、ありたいの)

いつも一番近くに居て、エイラの笑ったり怒ったり泣いたり落ち込んだり、そんな表情を全部全部見ていたい。
楽しいときは一緒に笑って、悲しいときは一緒に泣いて。嬉しいことを何倍にもして、辛いことは半分に出来る
ような、そんな存在でありたい。他の人たちで代わりなんか聞かない、たったひとりの人になりたい。…だって、
私にとってエイラはもう、とっくのとうに「たったひとりの人」だから。
だから、嫉妬とかじゃ、ない。そんな風に呼びたくなんかない。…でも、もしかしたら、けど。
自分のこの気持ちはもしかしたらいけないことなのではないかと、突きつけられた気がして戸惑ってしまった。
もしかしたらそれはエイラの迷惑になる気持ちなのかもしれないと。

どうしたらいいのかわからなくなってうつむいた、その瞬間だった。
ふわり、と小さな何かが頭の上に触れる。眼前がかげってどうしたのだろう、と顔を少し上げたら、横から
宮藤さんが私の頭をぽんぽんと撫でていた。

「…みやふじさん?」
「芳佳、でいいよ。…ね、サーニャちゃん、その気持ち正直にエイラさんに話したら、エイラさんすごく喜ぶと
思うなあ」
かわいいかわいい、と、まるで小さな子供をあやすように頭を撫でる。それはエイラのいつもしてくれるそれとは
違ってずっと拙いものだけれど、私よりも小柄な宮藤さんが、何だかすごく大人びて見えた。まるでお姉ちゃんが
できたような心地になる。エイラと一緒にいるときとはまた違う、快さが胸に流れ込んでくる。

「よしか…ちゃん?」
「大丈夫だよ。私、サーニャちゃんの気持ち、応援してるから」
「う、うん」
ありがとう。言おうとしたお礼は空を仰いだ芳佳ちゃんの歓声でさえぎられてしまう。

「あ!エイラさんたちが帰ってきたよ、サーニャちゃん!リーネちゃ~~~~~ん!!!」

その言葉に私も目を凝らしたら、手を振ってこちらに帰ってくるエイラたちがいた。



「サーニャ!!」
開口一番、エイラが叫ぶ。起きてたのか、とハンガーにいる私を見上げて笑うエイラの顔が、太陽よりも
ずっと眩しい。私は何度も何度も頷いた。そしてずっとずっと、言おうと思って、喉まで用意していた言葉を
叫ぶように言う。
「おかえりなさいっ、エイラ!!」
私が大声を出したことに驚いたのだろう、エイラだけでなくて他の二人までもが目を丸くして私を見やった。

「…タダイマッ!!」

その驚愕から一番最初に立ち直ったのはやっぱりエイラで、さっきよりもずっとずっとくしゃくしゃの笑顔で、
そう答えてくれた。私は嬉しくなって、ぶんぶんとエイラに手を振る。照れくさそうにエイラも小さく返してくれる。
「…なあ、サーニャ」
シャーロットさんが困ったように呟いた。首をかしげる私に肩をすくめて言う。
「私やリーネにはないのか~?いくら私たちでも、そこまで見せ付けられちゃうと泣いちゃうぞ~。な、リーネ!」
「え、あ、は、はいっ。」
「シャーリー~~~!サーニャをいじめんナッ!!」
「なんだよ~、エイラこそ、いっつもサーニャを独り占めで羨ましいぞ、このっ」
「うわぁっ!何すんだヨ、シャーリー!」
「ま、まあまあシャーリーさん…」

エイラの首を抱え込んだシャーロットさんを、リネットさんがなだめて。「サーニャ、タダイマ~」とエイラの
口真似をしてシャーロットさんが笑う。突然話しかけられた私が思わず会釈だけを返すと、「やっぱりエイラ
はずるい」と抱え込む手をきつくした。げほげほとわざとらしくエイラが咳き込んで、そして笑い出す。それを
受け取るようにシャーロットさんも笑って、それがリネットさん、芳佳ちゃんに伝播して、いつの間にか私も
笑顔になっていた。なんでだろう、こんなに眩しくて、太陽は痛いくらいにじりじり照り付けているのに、何だか
とても楽しい。

「そうだ!ルッキーニちゃんが格納庫の中で寝てますよ。シャーリーさんを待ってるんだと思います」
「ああ、そうか。じゃあ行ってやらないと!」
思い出したように芳佳ちゃんが言うと、あせったようにシャーロットさんが格納庫に入っていった。残された
エイラが肩をすくめて笑う。

「アリガトな、ミヤフジ。あのまま窒息死するかと思った。」
「ううん、本当のことだから。ね、エイラさんも疲れてるでしょ?サーニャちゃんは起きたばっかりみたいだから
 一緒にお風呂に行ってきたら どうかな?」
「ん?みんなで行けばいいんじゃないカ?」
今度はエイラに向かって芳佳ちゃんが言った。首をかしげるエイラに首を振って答える。
「私はリーネちゃんと後から一緒に行こうと思って。ほら、サウナなんてどうですか?私やリーネちゃんは
あんまり慣れてないからのぼせちゃいそうで…リーネちゃんも扶桑のお風呂がいいよね?ね?」
「え、わ、わたしは芳佳ちゃんと一緒ならどこでもっ」
「じゃあ決まり!ほらほらサーニャちゃんも、エイラさんと一緒に行って行って!」
「?まあいいカ。じゃあサーニャ、サウナいこ、サウナ!」
サウナ好きのエイラがぱぁっ、と顔を明るくして「先に行ってる!」と格納庫に向かう。さっきの大笑いを引き
ずっているのだろうか、エイラはいつもよりもずっと無邪気だ。私も、芳佳ちゃんに押されるようにしてハンガーの
脇から格納庫に向かう。

「芳佳ちゃん、あの」
「なあに、サーニャちゃん?」
「あ、ありがとう」

さきほど言い損ねたお礼を言ったら、芳佳ちゃんは「仲間だもん、当たり前だよ」と返って来る。押し付ける
わけでもなく、謙遜するわけでもなく、本当に当たり前だと言わんばかりに言う芳佳ちゃんの物言いに、私は
いつもいつも救われている気がする。
サーニャ!と、格納庫のほうから私を呼ぶ声。ハンガーのほうからも芳佳ちゃん、とリネットさんが芳佳ちゃんを
呼んでいる。
あ、行かなくちゃ。呟いた芳佳ちゃんが私の耳に耳打ちをして、「今行くよリーネちゃん!」と走り去っていく。

残された私は呼ばれた声に、エイラの元へと向かった。
「サーニャ、なんか嬉しそう。なんかあったカ?」
エイラのところにたどり着くと、すぐにそう尋ねられた。エイラは私の感情の機微に、とてもとても敏感だ。
…それもこれもきっと、いつも私を見ていてくれているからなんだろうな、と思う。ありがたい気持ちで
いっぱいになる。

エイラさんは、そのままのサーニャちゃんが大好きだと思うよ。

芳佳ちゃんが最後に私に耳打ちした言葉が頭に蘇った。本当かな、そうだったらいいのにな。確かめて
みたいけれど、まだちょっと怖い。
でも、大丈夫。思いながらエイラの手に自分の手を絡める。エイラが一瞬たじろいでけれどすぐに「きょうだけ
だかんな!」と言ってくれた。うん。答える私。
だってこれから二人でサウナに行って、水浴びをする。二人きりの時間はたっぷりある。

それがとてもとても嬉しくて、もう一度「おかえりなさい」と言ったら、赤い顔のままでくしゃりと笑って、エイラが
また「タダイマ」と返してくれた。


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