platinum 第8話「疾駆」
《中庭
ルッキーニは膝を抱えて、うずくまっていた。
「大丈夫か?ルッキーニ」
「大尉ぃ…」
「おい、鼻水でグジュグジュだぞ。これで拭け」
バルクホルンがルッキーニにハンカチを差し出す。
―――platinum 第8話「疾駆」―――
「ありがとう…ズビーッ
……大尉。あたし達のやった事って間違ってたのかなあ…」
「お前のリベリアンを助けたいという気持ちは間違って無いと思うぞ」
「…でもシャーリーに怒られちゃった」
「……」
「…シャーリー、辞めちゃうのかな」
「…私はあのままのリベリアンとは、これから付き合っていける自信が無い。
お前はどうなんだ、ルッキーニ」
「…あたし、シャーリーが辞めるって言うなら、あたしも辞める」
「お前本当にリベリアンが好きなんだな」
「さよならなんて言われたけど、あたしシャーリーと別れるつもりなんて無いもん」
「…なら、私に愚痴るよりリベリアン本人にその事を伝えた方が良いんじゃないか?」
「…でも多分ついてくるなとか言われるよ。
…シャーリー、あたしの事嫌いになったんだから…。
それにシャーリーがあんな怪我したのもあたしのせいだもん」
「ルッキーニ」
バルクホルンはルッキーニを優しく撫でる。
そして小さく笑う。
「お前らは似た者同士だな」
「ふぇ?」
「お前らはなんでもかんでも自分一人で背負い過ぎる。
…私もそうだった。宮藤に出会うまでは」
「芳佳…」
「宮藤が私を変えたんだ。
人は一人じゃない、と教えてくれたんだ」
「……」
「どうだ、リベリアンを変えてみるつもりは無いか?
ルッキーニ、お前なら出来ると思うがな」
「…あたし」
「リベリアンと別れたくないだろう?
…それに想いを伝えてないうちから投げ出すのか?」
ルッキーニは意を決した様に立ち上がった。
「それが、あたしにできること…なのかな」
「自分が正しいと思えるなら、動き出さなければな」
ルッキーニは少し、空を見て。
「大尉、ハンカチありがと!洗って返すね!」
走り出した。
「ああ」
(いくら何を言われても、あたしやっぱりシャーリーが好きだからっ…!!)
ルッキーニはシャーリーの元へ走る。
自分の気持ちをすべて打ち明ける為に。