願い事、ひとつだけ


「綺麗な夜空だね」
「たまにはこうやって、ゆっくり夜空を眺めるのも良いだろう?エーリカ」

私はトゥルーデに誘われて、夜空を見に来た。
トゥルーデに夜空を眺める趣味があるなんて、ちょっと乙女チックだなと微笑ましく思いながら、私はトゥルーデと夜空を眺める事にした。

「エーリカ、知ってるか?
今夜は数年に一度の流星群の夜なんだ」
「へー、流れ星がたくさん降るんだ。
願い事し放題じゃん」
「フフ、そうだな」
「ねえ、トゥルーデは流れ星が流れたら何を祈るの?」
「エーリカ、そういうのはな、人に言ってしまっては意味が無いんだ。
人に言ったら願いが叶わないという話がある」
「そうなんだ」
「まあ、私も本気で信じているわけじゃないが、こういう行事というのは、形に従うという事が何より大事だからな」
「ね、トゥルーデって星見るの好きなの?」
「ん?そうだな、嫌いでは無いな。なんだか落ちつくんだ。星も月も。
夜空に浮かぶ光るものというのはすべからく美しく、儚い。
…私はそういうものに心惹かれる」

そう話すトゥルーデの横顔は本当にキラキラ輝いていて。
私は思わずドキッと胸の鼓動を高鳴らせる。



「……なんかトゥルーデ、可愛い」
「なっ、なんだいきなりっ…//////」
「だって星や月の事をそんなキラキラした瞳で話しているトゥルーデを見たら、そう言いたくなるよ」
「…ありがとう、と言うべきかな?」
「ここは素直に喜ぶとこだと思うけどな」
「そうか、なら」
「ん?」
「ありがとう」

トゥルーデはそう言いながら、私のおでこにキスをした。

「トゥルーデ…//////」
「あ、あんまり言うな…私だって結構恥ずかしかったんだからな…//////」
「乙女みたいなトゥルーデ、やっぱ可愛い♪」
「バカか…//////」

すると。

「あれ、トゥルーデ、見て!」
「おお…これは、凄いな…!」


私達の目の前には空一面の流星群。

「ほら、トゥルーデ!願い事願い事!」
「おお、そうだったな」

私は手を組んで、心の中で呟く。
隣をチラッと見れば、トゥルーデも何かを願っているようで。

……やっぱ、可愛い。

そんな事を思っていると、星は流れ終えた。

「…トゥルーデ、ちゃんと三回言えた?」
「…ああ、もちろんだ。私を舐めるな?」
「何願ったの?」
「さっきも言っただろう。願いは人に言ってしまっては意味が無いと」
「良いから良いから、ねえ教えてよ♪」

あまりにしつこかったのか、トゥルーデは私のおでこに軽くデコピンを一発。

「あいたっ」
「言わない。
だったら、お前の願いも私に教えなければな」

私はトゥルーデの耳に口を近付ける。

「だったら教えてあげるよ、私の願い」
「エーリカ」
「それはね…?」

この後はきっと、トゥルーデは真っ赤になりながら、私を怒るんだろうな、と思いながら私はトゥルーデに願いを告げた。


だって、なんだか私の願いが叶う予感がしたから。


END


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