ether dance


髪をおろしたトゥルーデの後姿は、普段の戦いの時とは全く違った“らしさ”があって。
それがたまらなく愛しくみえてしまう訳で。
私は息をつく暇を与えずトゥルーデを抱きしめた。
ぴくっと身体を震わせるその仕草はいつもと同じで私も織り込み済み。
そのまま流れおりる髪の匂いを味わって、つつっと首筋に唇を這わせる。
「や、やめろ、エーリカ。いつまでするつもりだ?」
ちょっぴり困惑気味の声。後ろから胸に手を当てる。一瞬身体が揺れるのも、いつもの事。
「胸は……そんなにないぞ」
「張りよし形よしってね」
「なんだそれは?」
「気にしない気にしない」
そのまま指でトゥルーデの身体をつつ、となぞり、肌を味わう。
「エーリカ……少しは寝ないと、明日……」
「明日は明日ってね。楽しもうよ、トゥルーデ」
いとしのひと。名を呼ぶ。何回呼んでも呼び足らない。もっとこっち振り向いてよ。
そう、私を見て。そりゃ私はリーネやシャーリーみたいに大きくはないけど、自然体で
健康的だと思うんだよ。トゥルーデともちょうど釣り合い取れてると思う。
「そう思わない?」
耳元で囁いた。トゥルーデははあ? と聞き返してきたけど、答えは聞いてない。
そのまま耳を唇で柔らかくかみ、舌を這わせ、そのまま頬をなぞり、呼吸のテンポが変わってきた
トゥルーデの唇をいっただき~。
舌を絡ませて、少しいやらしい音を立てて、唇の端から唾液がちょっとこぼれるけど、そんなのお構いなし。
どっちが長くしていられるか、勝負。
「え、エーリカ……」
私の、勝ち。トゥルーデ、目がとろんとしてきた。表情もどこかうつろで、腕は無意識に私を求めてる。
身体を重ねると、トゥルーデは私をぎゅっと抱きしめてくれる。少し力みすぎだよ。でもトゥルーデらしいや。
そこもまた好きなんだけどね。
こぼれた雫を舌で絡め取って、もう一度唇を重ねる。
もう一度、確かめたいんだ。私達、ホントに好きなのか。愛してるのかって。
実を言うと、ホントはいつでも、どこでも、何度でも確かめたいんだけど、さすがにそれしちゃうと
他のみんなにまずいかな~なんて思ったりもする。だけど、たまにぐっと来るんだよね。
トゥルーデの姿見てると。
今なんか特に。最初は少し嫌がるそぶり見せても、結果的には私を全て受け入れてくれる。
そんなトゥルーデが、大好きで、ただひとりの愛しのひと。
指を絡ませる。指の隙間から指輪の感触が伝わる。私もしてるよ、同じのを。
二人の大事なしるしだから、大切にしてね。私も大事にするよ。
息が弾んで来たね、トゥルーデ。私もだよ。どきどきしてきた。
もっと、しよう。
もっと、いっぱい。
ずっと、していたい。わたしのトゥルーデ。

「遅刻じゃないか!」
時計を気にしながらあたふたと服を探して着るトゥルーデを見て、私は苦笑いした。
「だって~。トゥルーデあの後何度も何度も……私の方が引っ張り込まれちゃったよ」
「それはお前が!」
「ま、お互い様だね」
「……かもな」
あれ、否定しないんだ。珍しいねトゥルーデ。
「ほら、早くしろ。二人揃ってなんて、みっともない」
「大丈夫。私達一緒ならみんな何も言わないって」
「それが困るんだ」
あれ、いつもなら『カールスラント軍人たるもの~』って説教するのに、しないんだ。
ちょっぴり顔赤いよトゥルーデ。
「どうしたエーリカ。にやけて。気味悪いぞ」
「ひっどいなあトゥルーデは。情緒ってものを知らないよねえ」
「遅刻に情緒もなにもあるか」
ぶつぶつと文句を言うトゥルーデ。服着るの早いね。私は……服、どこだっけ。
「何してる? 早く服を着ろ! はかんか!」
「どっかいっちゃった」
「なに~? 部屋の隅にでも投げたんじゃないのか?」
「一緒に探してくれない?」
「……仕方ない」
ちょっと怒った顔もステキだよ、トゥルーデ。怒りながらも、ちゃんと私をみていてくれる。
心配してくれる。一緒の時間が少しでも多ければ、って思ったり。
部屋を探してるうちに、ベッドの隙間に差し込んだ手が当たった。思わず握りしめた。
「それは私の手だ」
「知ってるよ」
我慢できずに、トゥルーデにまたキスする。もっと怒るかと思ったけど、最後まで付き合ってくれて、
「まったく……」
と一言だけで済ますのも、昔のトゥルーデじゃないよね。可愛いな、いとしのひと。
私はトゥルーデに身体を預けた。咄嗟の事なのに、しっかり受け止めてくれる。
大丈夫、戦いの時は、私が背中を護るよ。仲間は絶対におとさせない。
特に、トゥルーデはね。
「服、これじゃないか?」
「そうそう、それ」
「なんでこんな隙間に押し込んでるんだ」
「覚えてない」
「とにかく行くぞ。これじゃあ皆に示しがつかん」
「こんなのでも?」
私はトゥルーデの首筋につけたキスマークを鏡越しに見せた。かあっと顔を真っ赤にするトゥルーデ。
「私にもついてるよ? つけたのだ~れかな~」
「……」
斜め下を見て小さく何か言ってる。照れる仕草もステキ。
上着を着ると、私はトゥルーデの頬に軽くキスをした。
「?!」
「気合の入るおまじない、なんてね。行こ」
「ああ」
私達は部屋を出ると、ミーティングルームへと急いだ。
トゥルーデは早足で、私の先を常に走ってる。私は彼女の背中ばかり見えてる。
そう言えば、指輪をしてから少し変わった事もあるけど、変わらないことも多い。
でも、それで良いんだ。
トゥルーデと一緒なら。何処へでも。

end



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