どんなにきみがすきだかあててごらん
ちいさなくろい 子猫は、おやすみのじかん。
おおきなオレンジのウサギにつかまって、ベットに行くところ。
ちいさな子猫は、おおきなウサギにきいてみたくなった。
「どんなに、シャーリーが好きだかあててみて」
「そんなこと、わからないよ」
と、デカウサギ。
「こんなにだよ」
チビ猫は、うでを思いっきりのばした。
デカウサギのうでは、もっとずっとながかった。
「でも、あたしはこーんなにだよ」
なるほど、それは、うんとだ。
チビ猫はかんがえた。
「シャーリーのこと、せいのび精一杯すきだよ」
とチビ猫。
「あたしは、ルッキーニのこと、あたしのせいのび精一杯すきだよ」
とデカウサギ。
たしかに、たかいな。
チビ猫は、かんがえた。
あんなに、うでが長かったなら。
そこで、チビ猫は、いい事を思いついた。
ぴょんと逆立ちをして、木のみきに、足をぐっとのばした。
「シャーリーのこと、つま先のさきっちょまで、すきだよ!」
「あたしは、ルッキーニのこと、ルッキーニのつま先の先まで、すきだよ」
デカウサギは、チビ猫のうでをつかんで、ふりあげた。
「シャーリーのこと、飛び上がれるこんがぎり、すきだよ!」
チビ猫はわらいながら、そこいらじゅうをはねまわった。
「でも、あたしはルッキーニのこと、あたしが飛び上がれるぐらい、すきだよ」
デカウサギは、ほほえんで、おおきくひとはねすると、みみが、木のえだに、とどいた。
ほんとに、すごいや。
チビ猫はかんがえた。
あんなに、たかく飛べたらなあ。
「シャーリーのこと、この道をずっといって、川にとどくぐらい、すきだよ」
チビ猫は、さけんだ。
「あたしは、ルッキーニのこと、川をわたって、丘をこえたぐらい、すきだよ」
と、デカウサギ。
それは、とっても遠くだ。
チビ猫は、かんがえた。
チビ猫は、もう眠くって、何にもおもいつかない。
ふと、チビ猫は、いばらのしげみの向こうを、みあげた。
あたりは、すっかりくらくなり、夜空がどこまでもひろがっている。
「あたしは、お月さまにとどくぐらいシャーリーがすき」
チビ猫は、そういうと、目をとじた。
「それは、とおくだ」
と、デカウサギ。
「それは、とてもとても、とおくだ」
デカウサギは、チビ猫をベットにそっと、ねかせると、かがんでおやすみのキスをした。
それから、チビ猫のそばに横になり、ほほえみながらささやいた。
「あたしは、ルッキーニのこと、お月さままでいって―かえってくるぐらい、すきだよ」
END