私の隣


隣にはいつも彼女が居た
寝てる時もご飯食べる時も
それが普通
それが当たり前
いつのまにかそう思うようになっていた――

だらか彼女が私じゃなくて
他の人の隣に居るのを見ると
隣がなんだか寒くなって
心も冷たくなってくる――
 

「サーニャちゃん」
「!・・・芳佳ちゃん・・」
「どうしたのぼーっとして?
それに珍しいね一人で居るなんてエイラさんは?」
「エイラは・・・・」

今私の隣にエイラは居ない
部屋には居なかったから、探して見たけど見あたらない
シャーリーさんに聞いて見たらリーネさんと一緒に居たのを見たという

「そっかぁリーネちゃんとねぇ
でもエイラさんがサーニャちゃんをほっとくなんてちょっと考えにくいなぁ」
「・・・どうして?」
「だってエイラさんサーニャちゃんの事とても大切に思ってるよ」

そうエイラは私の事をとても大切にしてくれる
そして自惚れでなければエイラは私と同じ思いを抱いてくれている
でも私達はお互いに酷く臆病でなかなか行動に移せない
エイラのベットに忍び込むのは、ささやかな訴え
早く言葉にして――
早く抱きしめてという――

「でもエイラさんは、恥ずかしがり屋だから、このままじゃいつまで経っても進展しないかも・・・」
「・・・そうかな?」
「うん。だからサーニャちゃんから行動を起こしてみれば?」
「私から?」

考えてもみなかった
確かに私はいつも遠回しにエイラに訴えるだけ
私自身から気持ちを口に出すなんて考えてもみなかった
どうしてだろ?
それはやはりエイラに甘えているからだろうか
いつかエイラが言ってくれると

――このままではいつまで経っても
私はエイラに甘えたままだ
だから――

「芳佳ちゃん相談にのって」
「もちろん!」

私は行動を起こそうと思う――


その頃リーネ――

「相談に乗ってくれリーネ」
「はい?いいですけど、いきなりなんですか?」
「私はいい加減行動に移さなければならないと思うんだダ」
「あぁサーニャちゃんの事ですか
やっと伝える覚悟ができたんですね?」
「うっ・・覚悟はまだできてないけど・・・
ただ・・・」
「ただ?」
「宮藤のヤローが最近サーニャと仲良いように見えるかさ
このままじゃ、もしかしてなんて事を考えると・・・」

それは無いと思うんだけどなぁ
サーニャちゃんはエイラさんばかり見てるし
それに芳佳ちゃんは私と・・・・

しかしよく考えるとこれは良い機会かもしれない
これを機に臆病な二人を進展させてあげよう

「んー確かに最近仲良いですね」
「ヤッパリ、そう見えるよなぁ・・・・・ハァ」

ふふっいつも何考えてるのかよく分からない人だけど
サーニャちゃん絡みの事になると、とたんに感情が読みやすくなる

「だから行動に移そうと?」
「そう」
「なら今すぐ言ってきたらどうです?」
「今!?ムリムリムリ!」
「どうしてですか?」
「いや・・ほら・・あれだよ・・なんというかタイミング?
そうタイミングだよタイミング、今すぐはちょっと・・・」
「そんなこと言って、ただ単に勇気が無いだけじゃないんですか?」
「うっ・・・そうとも言うカナ」

ハァ
覚悟を決めたと言っても、やはりこの人は酷く臆病だ
しかしどうしようかなぁ
そうだ!芳佳ちゃんに協力して貰おう
芳佳ちゃんとサーニャちゃんが。今以上に仲良くしてる所を見せれば
エイラさんも行動に移せるのではないだろうか?
うん、決めたこの案で行こう
それにはまず芳佳ちゃんの協力を得ないと――

「エイラさん私飲み物取って来ますね」
「あっ!私も行くよ。緊張したらのど渇いちゃった」
「いいでよ、近いんですから」
「良いから良いから、ほら行コ」

そうして私の手を引いて出て行こうとするエイラさん
あぁなんて強引な
この行動力をサーニャちゃんに使ってあげればいいのに・・・


その頃芳佳――

サーニャちゃんがエイラさんに気持ちを伝えようとしている
今までサーニャちゃんは受け身に回っていたので
今度はこっちから攻めないと
引いて駄目なら押してみろだ

しかしリーネちゃんとエイラさんなにしてるんだろ?
まさかリーネちゃんのおっぱいに手をだいているのではなかろうか?
もしそうならエイラさんでも許せないな
リーネちゃんは私の物なのだから――

「芳佳ちゃん?」
「えっ・・・・あぁごめんごめん
ちょっと考え事してた」
「・・・・・そう」

サーニャちゃんには相談に乗ってと言われ
もちろん! なんて力強く返事をしてしまったけれど
二人が両思いなのは傍目から見ても明らかだ
いまから二人で部屋に行って
気持ちを言えばいい気がするのだけど・・・・
 
「エイラになんて言えばいいかな?」
「うーん 普通に好きですでどう?」
「・・・・・ストレートだね。芳佳ちゃんはリネットさんの時なんて言ったの?」
「えっ!なんでリーネちゃんとの事知ってるの!?」
「見てればわかるよ、それにリネットさんの事話す時の芳佳ちゃんすごくいい表情してるから」

そうなのか・・・そんなに自分はわかりやすいのか
確かに感情が顔に出やすいと言われつこてはよくあるけど・・・

「それでなんて言ったの」
「――私は・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
ムリムリムリ!恥ずかしくて言えないよ!」
「・・・・・・ケチ」
「だって恥ずかしいもん!」
「クスクス・・・芳佳ちゃん顔真っ赤だよ」

あぁ
この子はこんな良い顔で笑うんだ
この顔を知っているのはエイラさんくらいだろう

私達はそれからお互いの好きな人のことを話した

あの人はここが尊敬できて
あの人はこの点が気難しい
あの人はこの点が玉に瑕で
あの人はここがとても好きになれる

サーニャちゃんと今までこんな話をする事なんて無かったので
ついつい話に夢中になって
エイラさんが私達を見てるなんて気がつかなかった





その頃エイラ――

リーネと一緒にミーティングルームに行くと
サーニャが宮藤と楽しそうに話をしていた
とても良い笑顔を宮藤に向けている
サーニャの隣――
そこは私の場所なんだよ・・・・・・私から奪わないでくれよ・・・・・

――駄目だ駄目だ!弱気になっちゃ
あそこを私の場所にするために私は行動を起こそうと思ったんだ
隣のリーネを見るとなんだか計画通りみたいな顔をしていたが
それより今はサーニャだ
私は話をしてる二人に近づいた

「よっ・・・・よう!二人で何話てるんダ?」
「エイラ!」
「エイラさん!」
「うわっ!  なんだよそんなに驚かなくてもいいじゃないかヨ」
「エイラ今話してた事聞いてたの!?」
「別に、二人の笑い声しか聞こえなかったけど・・・」
「・・・・・そう・・・なら良いの」

おいおいおいおい!
なにが良いんだヨ~~

小声で
「・・ヨカッタネ」
「・・・ウン」
なんて話すなよ
聞こえてるし、泣きたくなるだろぉ

「なっなに話してたんダ?」
「・・・・・・ダメ・・エイラには内緒・・・」

ショックだ
宮藤には言えて私には内緒とは
しかもそんな赤い顔して
うぅ涙が出そう・・・・・・・・・・



「・・・・・イラ・・エイラ!」
「うお!なんだサーニャ!」
「・・・なんだじゃない・・・・呼んでるの気づかなかったの」

しまった
ショックのあまり呆然としてサーニャの呼びかけに気づかなかった

「うぅ・・・ゴメン」
「もう・・・それでね、私エイラに話したいことが有るの・・・」


まさか・・・まさか!
私芳佳ちゃんと・・・・・とかか!?

「・・・・私の部屋に行こう
芳佳ちゃん私、頑張るね・・・」
「うん!頑張ってサーニャちゃん」

頑張るってなにを?
まさかサーニャの保護者役のような私に
宮藤との仲を認めて貰うために頑張るということか?
あぁホントに涙がに滲んできた・・・・・


サーニャの部屋にて――

「座ってエイラ」
「・・・・・うん」


なんで泣きそうな顔して項垂れてるるんだろ?

「・・・あのね・・・エイラ」
「サーニャは・・・・宮藤のこと・・・・その・・・好きなのか?」

えっ?
私が芳佳ちゃんを?

「あの夜以来サーニャは宮藤と仲が良い
さっきもとっても良い笑顔で宮藤となしていたダロ?
だから・・・」

あぁエイラは勘違いしている
だから元気がないと自惚れいいんだろうか?
もっと早く私が行動を起こせばよかったのに
うん。もう覚悟は決まった

「エイラ聞いて、芳佳ちゃんは
内気な私に話しかけてくれる
大切なお友達
でもエイラは違うの・・・
エイラは私の一番大切な人」

――そう私の願いは
 
「私はエイラに隣に居て欲しい
エイラのぬくもりをずっと感じていたい
エイラとずっと一緒に居たい
だから私の隣に居て欲しい」

顔を上げたエイラの顔は真っ赤で
そう言って私の顔はきっともっと真っ赤だろう

「私はエイラが好き」

そう言ったとき
頭が真っ白で、体もフワフワとした不思議な感じだった

エイラはとても驚いた顔をして
それから今までで一番の笑顔で

「私もサーニャが大好きだ
ずっと隣にいて欲しい」

そう言ってくれた。


それから私達はいままで我慢してた分を
取り戻すかのようにお互いを求めた

事の後
シーツにくるまってエイラにくっついていると

「そういえば、あの時宮藤となに話してたのか教えてくれヨ」
っと聞いてきた
エイラは嫉妬してるんだろうか?
なら嬉しいな

だからエイラの耳元でつぶやいてあげた
私がどれだけエイラが好きかとゆうこと
途中でエイラが
「サーニャもういい!
恥ずかしいから、もう言わなくていいから!」

なんて真っ赤な顔で言ってきたけど
止めてあげない
これはヘタレな彼女へのささやかな復讐
そして私のエイラへの気持ちの大きさを知ってもらうためでもあるのだから―――



終わり


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