記念写真
それはおだやかな昼下がりの事
夜間哨戒から帰ってきたサーニャは何時ものように私のベットに潜り込み
特に予定の無かった私もサーニャに付き合い昼過ぎまで寝て
その後遅めの食事を取り
ミーティングルームで紅茶でも飲みながら二人でのんびりしていた時のこと
「ふぁ・・・眠い」
「まだ夜間哨戒の疲れが抜けてないんじゃ無いのか?」
「ん・・・大丈夫」
なにが大丈夫なものか、さっきからまぶたが重そうで
頭も眠そうにフラフラしているじゃないか
「大丈夫じゃないって寝た方が良いって」
「エイラがそう言うなら・・・・うんわかった」
よし、ならこの眠り姫を部屋まで運んでやらないと
ほらサーニャ部屋に行くぞっ と言うとした瞬間
私のヒザにぽすりとサーニャが頭を乗せてきた
「さっサーニャ!?」
「・・・・おやすみ」
「えっ!ちょっ」
「・・・スースー」
えーもう寝たのか?早いな
しかしこの体勢
どこからどう見ても世間一般的に言われる膝枕というやつではないか
寝息が太ももをくすぐりなんだかくすぐったい
サーニャの頭がある部分からじんわりと暖かくなっていく
ついつい膝の上のサーニャ頭を撫でてしまう
あぁ柔らかい
ふだん恥ずかしくってこんな事出来ないもんなー
丸くなって私にすり寄ってくる姿はホントに猫みたいだ
うーむしかしどうしよう?
任務で疲れているサーニャを起こすのはなんだか可愛そうだ
しかし私としてもこの体勢は恥ずかしい
ここはミーティングルームだから何時だれが来てもおかしくないのだから
「おー膝枕とはラブラブだねー」
「ホントサーニャンになつかれてるねぇエイラ」
「なっ!」
振り返るとそこにはお調子者の二人組
もう見つかったのか!
それにまずい非常にまずい、よりにもよってこの二人に見つかるとは
「しかし見せつけてくれるねーこんな場所で膝枕とは」
「べっ別に見せつけてるわけじゃねえよ!ただサーニャが夜間哨戒で疲れてそれでだな」
「おやおやそんなに騒ぐとお姫様が起きちゃうぜ?」
「ぐっ・・」
クソ良いように遊ばれてる・・・
しかし打つ手がない、逃げることもできないとは・・・
あれ?ルッキーニが居ない?さっきまで居たのに
「なぁルッキーニはどうしたんだ?」
「あぁちょっと用事をたのんだ」
いつのまに・・・・
「なんのだ?」
「ん?なにバルクホルン大尉を呼びに行ってもらっただけだよ」
「大尉を?」
なぜここでバルクホルン大尉が出てくるんだ?
「だってあいつは、この部隊の記録係だからな」
「??」
「鈍いなぁ、つまり可愛い眠り姫とその王子様を記録してもらおうと思ってるんだよ」
「なっ!」
「おいおい、そんなに騒ぐなって起きちゃうだろ?」
クソっなんて手際の良さだ
とにかく逃げなければ、このさいサーニャには悪いが起きてもらうしかない
ちょっと不機嫌になるかもしれないけど、こんな羞恥プレイよりは何倍もましだ
「サーニャ起きろ!このままじゃ大変な事になるぞ!」
「・・・・ん」
そう言ってサーニャはよりいっそう私にすり寄り
服の端を握ってきた
あぁここまでサーニャの寝起きの悪さを呪ったことはない
「おやおや可愛いねぇ。さて大尉も到着したことだし記録と行きますか」
「なっ」
しまった間に合わなかった!
ってなんでみんな居るんだよ
「呼ばれて来たがなるほどこういう事か」
「あららサーニャさんったらすっかりエイラさんに懐いて」
「へーサーニャって意外に大胆なことするんだね」
「うわサーニャちゃん可愛い~」
「よっ芳佳ちゃんそんなに大きな声だしちゃダメだよぉ」
「まったく、なにかと思えばこんな事でわざわざ呼び出したりして」
「ハッハッハ、まるで猫だな可愛いじゃないか」
「なっなんでみんな居るんだよ・・・・」
「えっへへーどうせならみんなで楽しんだ方が良いと思ってねー」
「なにが良いんだよー!」
あぁ顔が火照る
みんな雛を見守る親鳥みたいな目をしやがって
うっう恥ずかしい
「さてサーニャが起きる前に撮ってしまうか。ほらみんなそこをどけ」
「いい撮らなくていいから!」
「エイラさんこれは大切な記録なのよ?動くことは許しません」
隊長ぉそんな笑いながら言われても説得力がありません
この騒動の中でもすやすやと眠り続けているサーニャが恨めしい
「ほらエイラ動くなよ」
そう言って写真を撮っていくバルクホルン大尉
あいかわらずみんなはニヤニヤとした目で私達を見ている
あぁなんでこんな事に・・・
「んっ・・・エイラ・・・」
「あっ!サーニャ起きたのか?」
「ふぁ・・・・エイラの膝柔らかいね」
そういって私の膝を撫でるサーニャ
あの?サーニャさん?もしかしてまだ寝ぼけてませんか?
もっと周囲を見てくれよ・・・・
「・・・・ねぇ・・・エイラいつもみたいにキスして・・・」
!
「なっ!なに言ってるんだよサーニャ!
わっ私はそんな事してないぞ」
嘘だ
毎日してる
「へーエイラさんいつもそんな事してるんだ」
「ホントラブラブだねぇ」
あぁまずいすっかりばれてしまった
たぶん今自分の顔は赤を通り越して真っ赤になっているだろ
「おーおーラブラブだねぇ」
「エイラここは一つ眠りからサーニャンに目覚めのキスを!」
うっみんなが期待した目で私を見る
「ほらエイラ早くートゥテーデちゃんと写真にとってね」
「しょうがないな」
「ふふっ良い記録になりそうね」
そう言ってみんながキスコールをしてくる
膝の上のサーニャは相変わらず起きてるのか起きてないのか分からないくらい、うつらうつらしている
あぁもうダメだ!
もう耐えられない!
「そっソンナコトデキルカー!」
そう言ってサーニャを抱えると私は一目散に走り出した
向かうは私の部屋
とにかくあの場所に居ては自分はいつか恥ずかしくて死んでしまう
抱えているサーニャは
「・・・ねぇエイラキスは?」
などと聞いてくるが今はそれどころじゃない
あぁもう!明日からみんなにどんな顔して合えば良いんだよー!
実はこの時無意識のうちにサーニャをお姫様だっこしていて
それを写真にとられて後日さらにからかわれることを
今のエイラは知るよしもなかった
終わり