何回君を愛したら chapter.3


――私にとってそれは、悪夢という言葉では片付けられない程の暗闇。

トゥルーデは一命を取り留めた。

でも、トゥルーデはまだ目覚めない。

私は絶望の淵に立たされた。


………涙が、止まらない。


――何回君を愛したら chapter.3――


ガチャ

「バルクホルンの容体はどうだ?ミーナ」
「ええ、一命は取り留めたわ。だけど、まだ意識は戻らないみたい」
「…そうか」
「フラウはどうしてる?」
「部屋に閉じこもっている。声をかけても反応が無い」
「…そう…」
「今回の出来事は確かに、ハルトマンの軽率な行動が原因だ」
「…ええ、そうね」
「だが、私はある程度の実直さも必要と考える。ミーナ、お前はどうだ」
「…でも…その真っ直ぐさも度を越せば刃となるわ」
「今回は刃になった、と」
「…でもそれは、トゥルーデにもフラウにも向けられた刃。ここからは私達が考える事じゃないわ」
「…ミーナ…」
「ここからは…トゥルーデとフラウが考える事よ」

―――――――――――――――――――


…前が見えない。

…声が出せない。

…周りの音が入って来ない。


私の世界は壊れてしまった。

私のせいでトゥルーデに大怪我を負わせてしまった。
私はもう…


「エーリカ」
「……」

壁越しに聞こえてくるのは、シャーリーの声。

「一命は取り留めたってさ」
「…そう」
「おいおい、一応助かったんだぞ?
それだけでも良しとしなきゃ」
「…喜べないよ」
「エーリカ」
「トゥルーデは私のせいで…怪我したんだ。…全部…私が悪いよ…」
「…はぁ…まあ、確かに今回のはお前が突っ走り過ぎたのが原因だよな」
「……」
「何があったかは分からないけどさ、今のエーリカ見たらアイツ、どう思うかな」
「…シャーリー…」
「ま、こればっかりはあたしにはどうしようも無いよ。
これは二人の問題だよ」
「……」
「…エーリカも知ってると思うけどさ。あたしがシャーリーを庇ってネウロイの攻撃受けた事あったろ?」
「…うん」
「あの時も今のエーリカとルッキーニが同じような状態でさ。大変だったんだぞ?」
「…」
「あの時はあたしも…どうしようもない感情に陥ったしさ…。でもさ」
「…でも…?」
「そういう事があったから、今のあたし達がいるのも事実なわけで。
…エーリカに教えといてやるよ」
「……」
「堅物がお前を庇ったのは、カッコつけじゃないよ。
ま、これは言われなくたってエーリカが一番分かってるか。ごめんな、なんか説教臭くなって」
「…いや、別にいいよ」
「…今のお前を見たら堅物、どう思うかな」
「シャーリー」
「や、もうこんな時間か。じゃあたしはルッキーニと飯食ってくるよ」
「……」
「…塞ぎ込む暇があったら堅物に何をしてやれるか、考えた方が有意義だぞ、エーリカ」

そう言い残すと、シャーリーはどこかへ行った。

そんなの、私だって分かってるよ…
私だって…


―――――――――――――――――――

「どうだった、シャーリーさん」
「いや、やっぱあたしじゃダメですよ。なんか説教臭くなっちゃいます」
「…だが、シャーリー。あの二人の気持ちが誰より分かるのは、お前とルッキーニだけだろ?」
「…まあ、そうですね。特に堅物にはあの時もいろいろと迷惑かけたし…」
「これで少しは動いてくれると良いんだが…」
「あたしは信じてますよ。エーリカはそんな薄情なはずない。…それはミーナ中佐が一番良く知ってるはず」
「…ええ、私はフラウを信じるわ。あの子は…動くわ。必ず」


―――――――――――――――――――

夜になった。

あたしはトゥルーデに何をしてやれる?

そんな事を考えてたら夜になった。

あまりにも頭をいろんな事が駆け巡り過ぎて、ろくに答えが纏まらなかったけど。

…これは、現実から目を背けるなって事なの?トゥルーデ…


トゥルーデ…。私は……私は……


To be Next chapter…



コメントを書く・見る

戻る

ストライクウィッチーズ 百合SSまとめ