何回君を愛したら chapter.6
――出撃前
「エーリカ」
「なにシャーリー」
「堅物の寝顔は拝めたかい?」
「……おかげ様で」
「あたしの勘だと、堅物はもうすぐ目を覚ますね」
「…なんでそんな事言えるのさ」
「アハハ、ま、ただの女の勘だよ。話半分で聞いといてよ」
「もう…」
私は医務室を離れてハンガーにいた。
シャーリーの“あて”の無い自信を聞かされたあと、ふと目をやるとトゥルーデのストライカーユニット。
「…トゥルーデ…。私は私のやり方で罪を償うから」
私はトゥルーデのストライカーユニットに誓いを込める。
そして、私は空へ出る。
――何回君を愛したら chapter.6――
そして今。
「宮藤さんとルッキーニさんは、美緒を援護射撃して!」
今日のネウロイは防御力がやけに高くて。
普通に攻撃を加えただけでは、微々たるダメージにしかならない。
「っ…!アイツの固さは異常だろっ…!」
「このままじゃ攻撃なんて…!」
「美緒、コアは見えた?」
「ああ、見えた。…しかし…」
「何かあるの?」
「コアの周りに膜が張られていて、それを破らないとコアを破壊出来ないようになっている」
「そう…」
「……ミーナ」
「何かしら、フラウ」
「私にやらせて」
「フラウ、貴女…また無茶な特攻をするつもりなの?」
「……それは分からないよ。
…でも、私は私に出来る事がしたいんだ。トゥルーデもきっと“逃げるな”って思ってる」
「…そう。シャーリーさん」
「なんですか、ミーナ中佐」
「一緒に行ってやって頂戴」
「ミーナ」
ミーナは私の肩に両手をポンと置いて。
「いい?フラウ。
くれぐれも無茶は禁物よ。今度、そのような事があれば自室待機処分よ」
「アハハ、そりゃ厳しい処罰だなあ」
「…気をつけてね」
「うん!」
私は銃をしっかりと握り直す。
「行こう、シャーリー!」
シャーリーはクスリと笑って。
「へいへい、特攻隊長様」
私とシャーリーは、坂本少佐に指示された箇所へと向かう。
「なあ、エーリカ」
「なに」
「…お前本当に堅物の事が好きなんだな」
「当たり前でしょ。私はトゥルーデの恋人なんだもん。
愛してない訳無いよ。それはシャーリーだって同じのくせに」
「アハハ、そりゃ違いないなあ。あたしはルッキーニ一筋だからねえ!」
「はあ…」
「…エーリカ。この戦いはさ、お前にとって償いのつもりなんだろうけどさ」
「……」
「本当に無茶して怪我なんかすんなよ。それこそ堅物を泣かせちまうからな」
「…うん、分かってる」
私は頼りの無い返事をして、ネウロイの元へ近寄る。
「……分かってるならいいよ」
「行こう、シャーリー」
「ああ」
そう、これは償い。
トゥルーデ、私、トゥルーデの為に頑張るから。
見ててね、きっとだよ…?
To be Next chapter…