わたしcolorアナタに


一般的な傾向として女の子っていうのは衣服に興味があるものだ。

まぁ私はそこまで女の子らしい方とは言えないし、そう思っている訳でもない。
しかしそれでも私だって女の子の端くれだ。
服飾への興味だって持っている。

その対象は例えば自らのファッションであったり、他者の衣装であったりする。

他者。それが街中ですれ違っただけの相手であろうが目をひかれることがあるのだから、
ましてやそれが自らが並々ならぬ思いを寄せる相手であったならば言うまでもないであろう。

つまり私が言いたいことは、スオムスのお父様お母様、産んでくれてありがとうございます。
エイラは今、幸せです。
なんだか鼻血がでそうですけど…

ーーーーーーーー

「エイラさん!」

ミーティングが終わったので、さっさと部屋に帰ろうとしていた私は、ミーナ中佐に呼び止められた。

「なんダ中佐、私に何か用カ?」

中佐が私に用なんて珍しい。
いつもは少佐ぐらいしか引き止めたりしないのに。

「スオムスから荷物が届いていますよ。」

ミーナ中佐から手渡されたのは何かが入っているであろう箱。
エル姉からかなぁ?
なんだろう、大きさの割には軽いな…

「アリガトナ、中佐。サーニャ、部屋にもどロウ?」

お礼を言って私は部屋へとむかう。

「エイラ、その箱なに?」

私の持つ箱にサーニャは興味を示したらしい。

「なんかスオムスからの荷物ダッテ。私も中身は知らないンダ。」

エル姉からなら嬉しいなぁ…私もなにか送ろうかな?
そういえばニパに送るために集めた、私だったら絶対にいらないものの詰め合わせも送らなくちゃ。
ニパのやつ、毎回ぬか喜びしてるらしくて…私もやりがいがあるってものだ。

早く中身を確認したくて、私はサーニャの手を引いて部屋まで急いだ。

ーーーーーーーー

私とサーニャはベッドに腰掛け、スオムスからの荷物を開封中だ。
なにが入っているのかな~?

「ん、スオムスの軍服カヨ~。」

箱の中から姿を現したのは私のよく知っている、というか今現在も身に付けているスオムスの青い空色の軍服であった。
そういえば古い軍服は少し手首がでちゃうくらい小さくなったから新しいの受注したんだった。
すっかり忘れてたよ。

「新しい服…?」
「そうだよサーニャ。古いのはサイズが合わなくなっちゃっテ。」

なんだかサーニャが羨ましそうに私を見ている。
しきりに胸や腰に手をあてていることから、どうやらサイズが合わない場所を誤解しているようだ。
大丈夫、サーニャの胸もちゃんと成長してるよ。
なんたってサーニャの胸にかけてはオーソリティの私が言うんだ、間違いない。

「古いやつを着ると手首がはみ出しちゃってナ。」
「古い服は…どこ?」

ん、古い服か。
私はサイズの合わなくなったものを引きずりだしてサーニャに手渡した。

「ほら、これダヨ。新しいやつより一回り小さいダロ?」

サーニャが熱心に私の渡した服を眺めている。

「捨てちゃうの?」

う~ん、どうしようか…

「しまっておこうカナ。」
「もう着ないの?」
「多分ナ。」

サーニャが考え込んでいる。
どうかしたのかな?

「なら…わ、私が着てみてもいい?」

え?サーニャは今なんて言った?
サーニャが私の服を着る?

よし、よく考えよう。
サーニャが私の服を着る→元々私はスオムスの軍服を身に付けている→二人はお揃い→冷やかされる→結婚
間違いなくこうなる!
理論の飛躍が見られるとか関係ない!!

「ん…」

サーニャがオラーシャの軍服を脱ぎさる。
そして露わになるのは初雪のように儚げできめ細かいサーニャの未成熟な肢体だ


私はサーニャをソンナ目で見てないぞ!絶対に見てないぞ!
でも、あぁ、サーニャはやっぱり可愛くて、綺麗で、私は目をそらせなくて、私
の心はすっかり捕らわれてしまう。

「エイラ…?」

私を呼ぶサーニャの声。
私がボーっと考えごとをしている間に着替え終わったのか?

「どう?似合う?」

顔をあげるとそこには天使、いや女神…あぁサーニャにはどんな形容も相応しくない。
私の前にはサーニャ、そう、サーニャがいた。
私はこれから美しいもの、素晴らしいもの、可愛いものを見たらサーニャと形容することにしよう。
それぐらい私の目の前にいるサーニャは衝撃的であった。
言うなればサーニャなサーニャである。
前者の品詞はもちろん形容詞だ!
しかしそうなるとサーニャという形容詞を修飾する副詞もほしい。
やはりその副詞もサーニャとなるだろう。
つまり目の前にいるのはサーニャなサーニャなサーニャなサーニャな…サーニャなサーニャなサーニャな…サーニャなサーニャである。
うん、素晴らしい。

「エイラ、大丈夫?」

あまりに高尚な世界に浸っていたため、サーニャのことをほっておいてしまった。
ごめんな、サーニャ。

「大丈夫ダ。サーニャは本当にサーニャだナァ。」
「エイラ…本当に大丈夫なの?」

なんだか心配されてしまった。
少し不安になった顔をしたサーニャも実にサーニャだ。

スオムスの軍服に身を包んだサーニャはやはり何度見てもサーニャだなぁ。
軍服の空色にサーニャの真っ白な肌が栄える。
それに加えて、いくら小さくなってしまったといっても私の軍服はサーニャには大きすぎるから、
袖に手がすっぽり引っ込んでしまっているところもとてもサーニャだ。
さらに決め手は白い重ね穿き用のズボンだ。
あぁサーニャの太ももが白い布につつまれて…白い!?
そう、サーニャが穿いているズボンはどう見ても白かった。

「サーニャ、そのズボン!!」
「うん、エイラのだよ。いつかのし・か・え・し!」

そう言ってふわりと微笑む様はさながら13才のオラーシャ美少女、つまりサーニャのようだった。
いや、本当にサーニャなのだけれども。

あぁ、サーニャが私のズボンを穿いている。
私の、私のだぞ!ならばあのズボンはこれから私が穿くんだ!
なんという究極!なんという至高!
至高と究極だったらどっちがより素晴らしいかだって?
そんなの決まっている。もちろんサーニャだ!
1回コールド、いや、1回表で至高だろうが究極だろうがサーニャの前では棄権してしまうだろうよ。

そんなサーニャを見ていたらすっかり自分のコントロールがきかなくなって、私はすっぽりとサーニャの身体を包み込んでいた。

「エイラ…いきなりどうしたの?」

サーニャが尋ねてくる。
サーニャの身体は暖かくて柔らかくて小さくて…あぁ抑えがきかなくなってしま
う。
サーニャの柔らかな銀髪をふわりと撫でる。

「エイラ…?」

サーニャのか細い声が伝わる。
なんだい?、とサーニャに顔を向けると、唇につたわるのは暖かく柔らかなサーニャの感触だった。

「いきなりどうしたんだサーニャ?」
「エイラの服着てたらなんだかぽわっとして、したくなったの。だめ?」

もちろん答えはNOだ。ダメな訳がない。
私もなんだかボーっとしてきた…

「サーニャ…。」

私はそう囁き、ベッドにサーニャを転がすと、共に溶け合った。

ーーーーーーーー

この日から時々、隊の洗濯籠には1日で2着のスオムス軍服が入れられていることがある。
サーニャはサーニャで寝ぼけたままスオムス軍服で訓練に出たり朝食に行ってしまったりするので隊の皆のニヤニヤとした視線が痛い。
あぁ、でも、とても恥ずかしいことなのに、こんなにも頬が緩んでしまうのはなんでだろうかなぁ?

Fin.


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