何回君を愛したら chapter.7
ネウロイの近くに来た。
「坂本少佐の魔眼によると、あそこだな」
「じゃあ、シャーリーは後ろから援護射撃してて」
「ああ、分かった」
私はコアがあるだろう場所へ狙いを定めて、引き金を引く。
…トゥルーデへの、誓いと想いを込めて…。
――何回君を愛したら chapter.7――
私が放った弾丸は真っ直ぐ狙った場所へと、飛んでいく。
そして大きな音が鳴り響く。
すると。
「あれ、意外と簡単に装甲が割れた…」
「…なるほど、そういう事か」
「え、つまり…どういう事、シャーリー」
「つまりだな、あのネウロイの本質はこの装甲じゃなくて、コアの周りに張ってある膜なんだよ」
「という事は」
「そう、装甲はオマケ。
自分の存在を誇示するためにわざとコア周りの装甲だけ強度を低くしてあったんだ」
「…なんか高飛車なネウロイだね」
「ああ、なんか嫌な感じだな」
「で、こんな事もあろうかと」
「ナイフ?
なんでそんなもん持ってんだよ」
「こういう事を備えあれば憂いなし、って扶桑では言うらしいんだよ」
「ふーん」
「要するにあの膜を破ればいいんだよね?」
「まあそういう事だよな」
「だからこのナイフで膜を突き破るんだ」
「えらく原始的な手段だなおい…」
「引き続き援護よろしく!」
「お、おい無茶するなよ…!」
シャーリーの言葉を背に、私は膜に包まれたコアの方へ向かう。
「…よし…!」
私は膜に魔力を少し込めたナイフを突き立てる。
「いっ…意外と固いなっ…!」
…でも、破れない固さじゃない!
必死にナイフで膜を破ってると、ネウロイが反撃を開始した。
ネウロイはいきなり大きく向きを変えだしたのだ。
あまりに急すぎる方向転換に振り落とされそうになる。
「うわわわわわっ!」
「エーリカ!大丈夫かぁっ!」
「なっ、なんとか!」
「あんまり無理すんなよ!」
「わ、分かってる…!」
とは言え…これはかなりの根気がいりそうだな…
「くっ…そっ…」
私は懸命に膜を破る。
膜自体は慣れたらなんて事ない固さなんだけど、膜が何層にもなっていて思ったより手間がかかる。
必死にネウロイにしがみついて、膜を破っていると。
またネウロイが動いた。
「まっ、また方向転換かっ…!」
するとネウロイは勢いを付けて向いた方向とは逆に体を振った。
そして私は、その衝撃で振り飛ばされた。
一気に視界が変わった。
私は物凄いスピードで、海の方へ落ちて行く。
「ヤッ、ヤバいっ…!!
エーリカァァァァ!!!!」
――私はその間中、いろんな事を巡らせていた。
結局、トゥルーデが目覚める事無く死んでいくのかな、とか。
ああ、トゥルーデに謝る事さえ出来なかったな、とか。
――――ごめん、トゥルーデ。――――
To be Next chapter…