Plural-episode-1-


慣れはじめが一番怖い
たしかバルクホルン大尉に言われた気がする
それは私が501部隊に配属されて少し立った頃だった
その時にはもう初戦果も上げられたし、リーネちゃんとのコンビネーションもばっちりだった。

自信
そうその頃には多少の自信は付いていた
いつまでも半人前じゃない
もう私だって立派に戦える。
そんな気持ちをその当時の私は持っていたんだと思う。



episode-1-



警報
最近はネウロイの襲撃頻度が不規則だと坂本さんが言っていた。
実は昨日の夜にもネウロイの襲撃が有ったのだ。
さいわい夜間哨戒中のサーニャちゃんとエイラさんが発見し迎撃
その間にバルクホルン大尉とハルトマン中尉にペリーヌさんが増援に行き戦闘は終了した。
問題は思った以上に戦闘が長引き出撃した隊員の魔力がかなり消費してしまったことだった。

「敵は小型、速度は早いけど攻撃力は低いはずよ、坂本少佐、リーネさん、宮藤さん、気をつけて」
「「「了解」」」

シャーリーさんルッキーニさんミーナ隊長は基地に残った。
確かに連日での襲撃は不安だったが、この3人なら負けるはずは無いと思っていた。
ハンガーに行き、ストライカーを装着する手になじんだ銃の感触が頼もしい。

「宮藤とリーネお前達が敵を引きつけて置いてくれ、その間に私は敵のコアを探す」
「「了解」」

報告の通り敵はそこまで大きくは無かった、若干速度が速いがついて行けないほどじゃない。

「私が先行するかリーネちゃん援護頼むね」
「うん」

とりあえず坂本さんがコアを発見するまでの間敵の攻撃を引きつけていればいい
ネウロイの攻撃を避けたりシールドを使って防ぎつつ攻撃し敵の装甲を削っていく。
思ったと通り敵の装甲は薄いし脆い。
コア発見後リーネちゃんの一発でコアを撃ち抜く予定だったけど、この程度なら私でも大丈夫かな?
そんな事を考えていると坂本少佐から通信が入った

「コア発見、敵の一番後ろだ、宮藤はそのまま敵の後ろに張り付き装甲を削れ。コアが露出したら離脱してリーネが決めろ」

コアが露出したのはタイミング的には通信が入った瞬間だった。
もうこのまま私がコア破壊しちゃっても良いかな?
幸い敵の装甲は脆い、ボーイズじゃなくても大丈夫はずだ
そう考え照準を合わせる

やれる!
そう確信して引き金を引いた。
弾はコアを撃ち抜きネウロイは撃墜
戦闘は終了――のはずだった


「――――っ」

消えた!
ほんの一瞬前まで前にいたネウロイが一瞬のうちに消えた。

「えっ?」

思わず呆然とした。こんな事が有るのか?
確かにさっきまで居た、後はコアを撃ち抜くだけだったのに・・・
戦闘中だというのに完全に油断をしてしまった

「後ろだ-!宮藤ー!」

通信機から坂本少佐の声が聞こえる
えっ?後ろ?
そんなさっきまで前にいたのに・・・・
振り返ると確かにネウロイが居た
えっ?透けてる・・・
状況について行けずそんな間抜けな事しか頭になかった。

油断
紛れもなく油断だった
だから敵からビームが発射されそうなのを見ても
あっステルスかといまさら気づくことしかできなかった

目の前が赤く染まる
シールド!――無理――間に合わない
直撃!――やられる!
そう考えた時だった

ドン!
誰かが私を突き飛ばした

「芳佳ちゃん!」

さっきまで私が居た場所にリーネちゃんが居た

目が合う
ほんの一瞬だった
リーネちゃんは安堵したような優しい笑みを私に向けた
私が大好きなリーネちゃんの顔

リーネちゃんそこは危ない!

そう言おうとしたが声が出なかった

まるでコマ送りのようだった
リーネちゃんが一瞬でシールドを展開し
敵がリーネちゃんに向かって一斉にビームを撃った
ほんの一瞬持ちこたえたが破られ
リーネちゃんをビームが包んだ

私はただその成り行きを動くことも出来ずぼーぜんとしていた
リーネちゃんの銃が、ストライカーが破壊される
煙の中からふらりと海に落ちていく‘なにか‘


「あっぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!」

ようやく頭が動き出した
リーネちゃん!リーネちゃん!
私を庇った?
そんな!

なんとか海面に叩きつけられるまでにはリーネちゃんを確保できた
私の・・・私のせいだ!
急いで怪我の状況を確認する
とになく治療を・・・

「――え?」

手を見ると何かが付着していた。
私の手についた、べっとりとこびりついた、赤い何か。
それに隠されてリーネちゃんの顔がよく見えない

「・・ゴッホ」

咳き込み、その口から溢れだす、真っ赤な赤。

赤?赤赤――――血?

リーネちゃんが真っ赤だ・・・

「―――ッ!!!」

真っ赤だったリーネちゃん自身の血で
-死-
その言葉が頭をかすめた

「リーネちゃん!リーネちゃん!」

必死に呼びかけるがピクリとも反応しない
相変わらず流を血し続けるリーネちゃんを抱きしめ
すっかりパニックに陥ってしまった私はただただ叫ぶしか出来なかった。



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