Plural-episode-2-


あの後すぐに増援に駆けつけたミーナ隊長シャーリーさんルッキーニさんによって敵は撃墜されたらしい。
らしいと言うのはイマイチその時の記憶が私に無いからだ。
聞いた話によると私はただリーネちゃんを抱いて泣き叫んでいたらしい。
いっこうに言うことを聞かずリーネちゃんを離そうとしない私を坂本さんが気絶させたらしい。
その後すぐに隊に帰還
リーネちゃんはすぐに手術室へ運ばれたらしい。



その頃私はと言うと部屋に寝かされていた。

「―――ッ!」

目が覚めた
ここは?――私の部屋だ

ぼんやりとした頭で考える
なにが有ったんだっけ?
確かネウロイが出て・・・
出撃して・・・
私が撃とうとした敵が消えて
それで――撃たれそうになって

リーネちゃん!

ベットから飛び起きた
そうだリーネちゃんだ!
私を庇って撃たれたリーネちゃん
真っ赤に染まってピクリとも動かなくて
それで!それで?
それからどうなったんだろう?
記憶に無い
ただあの手に付いた血の感触と匂いが消えない事が夢では無いと言うことを私に教えてくれる。

全力で医務室まで駆けつけると
そこには坂本さんが居た
「さっ坂本さん!」
「あぁ宮藤か気がついたのか」
「リーネちゃんは!?」
「リネット軍曹なら今は医務室で・・っコラ!」

坂本さんの制止を振り切り
医務室に入る
そこにはリーネちゃんが居た
真っ白なシーツに真っ白な包帯
所々血が滲んでいるのが痛々しい

「コラ勝手に入るなと・・」
「坂本さん!リーネちゃんは!?リーネちゃんは大丈夫なんですか?」
「あぁとりあえずな・・・ただ出血が酷く怪我も酷いらしい、まだ油断できない状態だ」

私の私のせいだ・・・
あの時素直に引いていれば・・・

「とにかくお前も休め。まだ魔力の回復も」
「大丈夫です!」

そう言ってリーネちゃんに治癒魔法をかける
こんな・・・こんな酷い状態のリーネちゃんをほっといて休む?
冗談じゃないそんな事出来るわけがない
必死に魔法をかける
確かにまだ魔力は回復してないけど、なにもしないよりはマシだ
私が・・・私がリーネちゃんを――

暗転

そこでまた意識が途切れた

 ◇


「―ッ!」

気がつくとリーネちゃんのベットに突っ伏していた
肩には毛布が掛けてある
ふと手をみるとシーツを握りしめていた
どうやら引き離すのは無理だと考えた坂本さんが掛けてくれたらしい
ありがたい

時間はあれから6時間
すっかり寝てしまった
そのおかげで魔力はだいぶ回復した

「リーネちゃん・・・」

相変わらず意識のないリーネちゃん
どんなに治癒魔法をかけても一生このままでは?
そんな考えが頭をよぎる

駄目だ!そんなこと考えては!
必死にそんな考えを振り払うように魔法をかけた。


この後3日間私はずっと医務室に居た
治癒魔法を意識を失うまでかけ
目が覚めたらまた限界まで魔法を使う。
隊のみんなは止めさせようとしたが、私は無理にでも残った。
さすがに体が限界だと感じるが止めるわけにはいかない。
私がリーネちゃんを・・・
助けて貰ったんだ、今度は私が助けなくては

あの柔らかな笑顔をもう一度みたい
芳佳ちゃんと呼んで貰いたい
もう一度リーネちゃんと話したい・・・

そこでまた私は意識を手放した

 ◇


「・・ん」

目が覚めると朝だった
今日こそはリーネちゃん目を・・・

「あっ」

目がったリーネちゃんと
意識が!

「リーネちゃん!」

私は飛び起きた
やった!ついにやったんだ
リーネちゃんが目を覚ましたんだ!
抱きしめる
あぁ暖かい
リーネちゃんの匂いがする
涙がこぼれそうになる

「あっあの!」

いきなりリーネちゃんが叫んだ

「どっどうしたの?どこか痛い?」

しまった嬉しくてついつい抱きしめてしまった。
リーネちゃんはまだ重傷なのだ、私の馬鹿

「あの・・・?あなただれですか?」
「へっ?」
「そっそれにここは何処ですか?」
「こっここは501部隊の医務室で、私は芳佳・・・だよ?」

声が震える
何かの冗談でしょ?

「ごめんなさい、私何も分からなくって・・・」
「・・・・・・分からない?」
「なにも思い出せなくて・・・私誰ですか?」

記憶が―無い?
もうあの頃のリーネちゃんは居ない?
記憶が――思い出が――
ふらりと一歩下がってしまった。
真っ白なシーツと真っ白な包帯で包まれたリーネちゃんは記憶までも真っ白で
すべてが白い世界で私は意識を失った。

続く



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