Plural-episode-3-
ミーナは悔いていた
坂本少佐からリーネさんが目を覚ましたことは聴いて正直安心した。
もちろんリーネさんが目覚めたのもあるが宮藤さんのことだ
自分の責任だと感じ毎日限界までリーネさんに治癒魔法を使っていた。
その姿は痛々しくて見るに堪えなかった。
やっとこれで二人とも元気になる・・・そう思ったのに。
記憶喪失
リーネさんは記憶が欠落した
日常会話や日々の生活で必要な知識は有るらしいが
自分がウィッチだということや、宮藤さんを含め私達のことも家族のことも覚えていないらしい。
医者によると脳震盪と出血多量で脳にダメージが行ったらしい。
幸い記憶喪失以外に後遺症が無かったのが不幸中の幸いだった。
あの時の自分の判断が間違っていたとは思わない
しかし現にこのような悲劇が起きてしまったのだ後悔せずにはいられない。
・・・・問題は山積みだが、とにかく今は隊員達のケアが大切だ。
とくに宮藤さんが心配だ
◇
リーネちゃんが記憶を無くした。
間違いなく私のせいだ。
私は一人ベットの上でぼーぜんとしていた
あの後また意識を失って今度目が覚めると自分の部屋だった。
目を覚ますと坂本さんがいて状況を説明してくれた。
リーネちゃんは記憶が欠落した事
私の事を覚えていない。
それどころか家族の事も覚えていたいないらしい。
私がリーネちゃんの家族からリーネちゃんを奪ったのだろうか?
みんなの記憶の中のリーネちゃんはもう居ない
奪ったのは私
後悔で胸が潰れそうだった
いっそのこと潰れてしまえばいい
そんなことばかり考えてた。
ふと気がつくと夕方だった
最近の生活のせいで時間の感覚がだいぶ変になっている。
とにかくここにいては始まらない
逃げては駄目だ
立ち向かわなければ、私が犯した罪と。
◇
ミーティングルームにはリーネちゃんを除く全員が居た。
「宮藤さん・・・もういいの?」
ミーナ隊長が心配そうに聞いてくる
ミーナ隊長だけじゃない全員が心配そうな目で私を見てくる
そんなに私は酷い顔をしているんだろうか?
「はい・・・あのリーネちゃんは?」
「とりあえずは安定してるわ。宮藤さんの魔法のおかげだと医者は言っていたわ」
よかった。
私の魔法は無駄ではなかったんだ。
「ただ、やはり記憶は戻ってないそうよ・・・」
「・・・そうですか」
たぶん全員にその事を話をするためにここに集めたのだろう。
「あの・・・リーネちゃんに会えますか?」
「えっ・・・・意識は戻ってるけど・・・・」
「お願いです!合わせてください!」
「・・・・」
たとえどんな状態でもリーネちゃんに会いたい
「今のリネットさんは宮藤さんの事を覚えていないけどいいの?」
「はい!お願いします」
「そう・・無理しないでね」
たぶん駄目と言っても私が言うことを聞かないのが分かっていたのだろう
ミーナ隊長は許可をくれた。
「宮藤さん!」
出て行こうとした時声を掛けられた
「私達501部隊は家族よ。一人で抱え込まないでね?」
そう言うミーナ隊長の顔は真剣だった
「ありがとうございます」
本当にいい人達に囲まれている
今更ながら感謝の気持ちで一杯だった。
◇
医務室に向かったはいいが私は医務室の前に来たが立ち止まっていた。
怖いのだ
記憶の中のリーネちゃんと今のリーネちゃん
同じだけど違う。
それに記憶を失ったのは私のせいで――
「ふぅー」
一度大きく息を吐く
よし
コンコン
「はい、どうぞ」
リーネちゃんの声だ・・・・
あの柔らかな声
「おっおじゃますます」
部屋に入るとリーネちゃんは体を起こしていた
まだ包帯を巻いているけどだいぶ顔色も良くなっている
「宮藤さん・・・ですよね?」
「あっはい」
宮藤さん
最初会った時と同じ他人行儀の呼びかた
本当に私達の関係は振り出しに戻ってしまったんだ・・・・
「ごめんなさい私気を失っなっちゃって・・・」
「いえ、もう大丈夫なんですか?」
「はい」
おかしな話だ見舞いに来た私が心配されてどうする
どうしよう何から話せばいいだろうか?
とにかくまず謝らないと思い謝罪しようとし瞬間先にリーネちゃんが口を開いた
「えっと・・その・・・ありがとう御座いました。」
「えっ?」
「ミーナさんから聞いたんです宮藤さんが私に毎日治癒魔法を使ってくれたって」
「そっそれは・・・私のせいだから・・・私が・・・ミスしなかったら・・・こんなことにはならなったのに。私はあなたに恨まれてもしかたがない・・・」
「恨むなんてとんでもない!毎日毎日限界もで魔法を使ってくださってとても感謝してるんですよ?」
感謝?
記憶を奪った私に?
「でっでも私のせいで・・・」
「記憶を失う前の私はあなたを庇って本望だったと思いますよ。だって命を懸けて守りたいほどあなたの事が大切だったんですから。
それに私は恨んでもいません。だから今はこうして二人とも生きてた事を喜びましょう?」
そう言って私の手を取って微笑むリーネちゃんの顔は昔のままで
あの時の冷たく真っ赤な手でなくて私の大好きな温かい手が包んでくれる。
私はようやくリーネちゃんが生きてた事を実感してしらずしらずのうちに泣いてしまった。
◇
泣き疲れたのか宮藤さんは寝てしまった
この子を守って私は記憶を失ったらしい
確かに記憶を失ったのは不安だ
でも今はこの子を守れたことを良かったと思う。
自分でも変だとは思うよく知りもしない人の事をこんなに大切に思うなんて。
きっと自分の中に彼女への想いが残っているんだろう、それも消えないくらい強い
記憶は無くても想いは残る
そんなこともあるんだな・・・
「ん・・リーネちゃん・・・」
リーネ
私の愛称らしい
夢の中の彼女が会っているのは昔の私だろう
不安そうな手を握ってあげる
もちろん彼女が求めているのは‘今の‘私では無いくらい分かっている
でもせめて夢の中だけでも彼女に幸せを――
to be continued next episode