何回君を愛したら chapter.8


………あれ、生きてる…?
いやいや、有り得ない。
あんな速度で落ちたら、いくらどんな肉体自慢でも確実にアウトでしょ。

「……お前は…やはり無茶し過ぎるな…」
この声は………
……トゥルーデ……なの……?


――何回君を愛したら chapter.8――


「……堅…物…なのか……?」

目を開けたら、シャーリーのビックリしている顔が目に入った。

「私以外に誰がいる…?」
「トゥ…ルーデ……目が覚めたんだ…」

私の目からは自然と涙が溢れた。

「何を…泣いてる…?」
「うえぇぇぇっ…トゥルー…ヒック…トゥルーデェッ…!!!」
「…泣くな…お前にはまだ仕事が残っているはずだ…」
「トゥルーデッ…」
「それまで、感動の再会はお預けだ」
「…ヒック…トゥルーデ…!」
「行け…ヤツを倒せ!…大丈夫だ、私がついている。だからほら涙を拭け」
「……うん……」

するとトゥルーデは私の手を取って、手の甲にキスをする。

「…お前なら、出来る」
「…うん、ありがとう!」

私はトゥルーデから離れて、再び空を舞う。

「…よく目覚めたな、本当に」
「…暗闇からエーリカが呼び掛けてくれたんだ」
「エーリカが…?」
「アイツが私を…闇から救い出してくれたんだ…
…エーリカには後でしっかりと礼を言わないとな」
「…エーリカ、カッコいいじゃん」
「フフ、エーリカをなめるな。アイツは誰よりも…」

「くっ…まだっ…だっ…!!」

よし、膜が破れたっ…!
もう少しだ!!

…あと、あと一刺し…っ!!

――誰よりも、強いんだ――

「砕け散れぇぇぇぇぇぇ!!!!!」

私はコアを突いた。
その瞬間、光に包まれたかと思うと、大きな爆発と共に私は空に投げ出された。



私の周りを舞うのはネウロイの欠片。
そしてそんな私の体を、抱かれ覚えのある胸が抱き留めてくれた。

「トゥ…ルーデ…」
「よく…やったな…エーリカ…」
「…エヘヘ、どう、ますます惚れ直したカナ?」
「…ああ、心の底から惚れ直した…ますますお前が好きになったよ」
「……トゥルーデ…本当にごめん…私のせいで大怪我までして…意識も…」
「…何故お前が謝る?
私はお前を守りたかっただけだ。あれは私の意志でやった事であって、お前に非は無い筈だ。
…だが、まあしかし、すぐに無茶する性格は直した方が良いな」
「ぜ…善処します…」

トゥルーデは私の体をさっきよりも、強く抱き締める。

「それより、エーリカ」
「ん…?」
「私はお前に言って貰いたい言葉があるんだが」
「へぇ~、なになに?」
「分かってるくせに。ニヤニヤするな」

私は真っ直ぐ、トゥルーデを見据えて言い放つ。

「……トゥルーデ……おかえり」
「……ただいま、エーリカ…」

私達はネウロイの欠片の中、強く抱き合い、キスをする。

今までの分、深く、激しく。
ここが空の上という事も忘れて。


「ハルトマン、シャーリーー!」
「しーっ!イイムードを壊さないでよ、みんな」
「トゥルーデ…!意識取り戻したのっ…!?」
「ミーナ、お前まで泣くな…」
「だって…だって……良かった…本当に…良かったっ…!」
「……ミーナ」
「…こちらもナイス夫婦だこと」

キスは、長く長く、私達はしばらく離れる事は無かった。


―――――――――――――――――――

医務室

「……よく考えたら、トゥルーデまだ怪我治って無かったんだね」

あのキスのあと、トゥルーデは私の体に身を預けて眠ってしまった。

「…もう無理しちゃダメなのは、トゥルーデの方じゃん」
「ハハ、すまんな」
「…でも、意識が戻って良かった。……本当に…」
「…迷惑をかけてすまなかったな、エーリカ」
「ううん、いいよ。トゥルーデの目が覚めただけで私、嬉しいよ」
「あ、ありがとう…///」

すると、ドアの向こうから声がした。

「おーい、堅物ー」
「ん、なんだ…って、おっ!」

シャーリーがトゥルーデに投げつけたのはリンゴ一個。

「リンゴ一個か。もうちょっと無かったのか」
「バカ言うな。あの時だってお前、あたしにリンゴ一個しかくれなかっただろうが」
「さあ、どうだったかな」

トゥルーデはそう言いながら、リンゴを齧る。

「…さてと、どうやらあたしはお邪魔みたいだな。
邪魔者はここいらでお暇させていただくよ」

そう言うとシャーリーは部屋から出て行く。

「…一体なんだったんだ、アイツは」
「ハハ、シャーリーなりの優しさだよ」
「そういえば、エーリカ」
「なに、トゥルーデ」
「約束があったな」
「約束?」
「あの朝の続きをする、という約束だよ」
「ああ、それはさ、トゥルーデの怪我が治ってからでいいよ」
「そうか」
「ねえ、トゥルーデ」
「…なんだ」
「好き」
「…分かってるよ、そんな事」
「エヘヘ…///」

トゥルーデの言葉に嬉しくなった私は、トゥルーデに触れるだけのキスをした。

――あと何回トゥルーデを愛したら、私達は本当に繋がる事が出来るのかな。

…それとも、私達はもう繋がってるのかな。


それは、これからトゥルーデと付き合っていかなきゃ分かんないけど、これだけは胸を張って言えるよ。


……私は、トゥルーデの為に生きる。
だから、トゥルーデも私の為に生きてくれないかな。

トゥルーデの怪我が治ったら、この言葉を貴女に伝える。

この言葉を聞いたら、トゥルーデは、どう言ってくれるだろう。

きっと、きっと、喜んでくれる。
だって私達の間には、私達を阻む物なんて無いもん。

きっとこの先何があっても私達は越えて行ける。

だって、私達もう離れないから。

そう思いながら、私はトゥルーデを抱き締めた。


――大好き、トゥルーデ。――


FIN



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