NIGHTMARE NIGHT KNIGHT


夢を見ていた。
あたしの好きな人があたしの元から去っていく夢を。

シャーリーはいつもの笑顔で言った。
じゃあな、って。

でも、あたしは追いかけなかった。
追いかける事が出来なかった。

あたしは泣いた。
夢の中なのに、泣いた。
悲しかったんだ。

シャーリーがあたしの手を離して、あたしの元から離れて行くのが。

嫌だよ、嫌だよ、シャーリー。

あたしの声は届かない。
シャーリーは遠くへ行ってしまう。

シャーリーがいなくなってしまったら、あたしの世界は壊れてしまう。

恐いよ。恐いよ。
シャーリー、行かないで。

―じゃあな―


――NIGHTMARE NIGHT KNIGHT――


「ううっ…シャーリー…ッ…!」
「…ルッキーニ…?どうしたんだよ…?」

あたしの泣き声を心配したシャーリーが、隣にいるあたしに話し掛けてくれた。

「…シャー…リー…」
「ル、ルッキーニ…!なんで泣いてるんだよっ…!?」

あたしはシャーリーの胸に飛び込む。

「ううっ…ううっ…シャーリー…あたしから離れないで…っ…!」
「ルッキーニ…」

シャーリーはあたしの頭を優しく撫でてくれる。

「…なんか怖い夢でも見たんだな?
ほら、話してみろよ」
「……うん…実はね…」
「うんうん」
「…シャーリーがあたしから離れて行く夢を見たんだ…
シャーリーは笑顔であたしにじゃあなって…
あたしは止めたんだ…!でも…でも、シャーリーは止まってくれなくてっ…!」
「ルッキーニ…」
「ううっ…うう…!あたしから離れないでっ…シャーリー…!」
「ルッキーニ、お前…」


あたしはシャーリーの服をギュッと掴む。

「…あっ、あたしっ…こんなにっ…シャーリーの事、好きなのにっ…!!」

すると、シャーリーはあたしを強く抱き締める。

「…あたしもさ、時々夢見るんだ」
「シャーリー…」
「いきなりお前に、別れを告げられるんだ」
「え…」
「…嫌で、恐くて…とても悲しい夢だよ…それでさ、あたしはひたすら叫んでるんだ」

――じゃあね、シャーリー――

行かないでくれ…!
ルッキーニ…!!

ルッキーニ!!!

「…あたしだって恐くて仕方ないんだ…!だってお前凄い可愛いからさ、いつ誰に奪われるか分かんないから…」
「そっ…んなのあたしだって…!
だってシャーリーったら美人だし、カッコいいし…!あたしとなんか釣り合い取れてるのかなって…!」
「バカだな…取れてるに決まってるだろ…!!
だってあたし、こんなにお前の事好きなんだぞ…!?」
「あたしだって…!あたしは誰にも奪われないよ!
だって、あたしはシャーリーのモノだもん…!」

シャーリーはあの笑顔で、言った。


「…じゃあ、大丈夫だ」
「―――え?」
「あたし達、大丈夫だよ。
こんだけ想い合ってるなら、絶対離れない」
「シャーリー…」
「例えるならあたし達は磁石だ。
決して離れる事の無い、お互いがいなきゃ成立しない。そんな存在なんだ」
「シャーリー…!」

あたしはシャーリーにキスした。
軽く触れるだけの幼いキス。

でも、そのキスはお互いの唇に確かな熱を残した。

「珍しいな、お前からキスなんて」
「今日は特別だよ!」
「…あー!」
「どうしたの、シャーリー」

シャーリーはあたしを押し倒した。

「我慢、出来ないんだよ」
「…シャーリーの、ケダモノ」
「お前の前でだけだよ。あたしがケダモノになるのは」

そう言って、シャーリーはあたしの服を脱がして行く。

「なあ、ルッキーニ」
「なに、シャーリー」
「…お前にお前はあたしのモノってシルシ、つけてやるよ」

シャーリーはあたしの首筋を軽く噛む。

「ああっ…」
「…出来た。これでお前はあたしのモノだ。……誰にもお前を奪えない」
「嬉しい…嬉しいよっ…シャーリー…
あたし、シャーリーのモノにされたんだね…?」
「まだまだだよ。
…お前の身体も心も、全部、あたしのモノにしてやるからな…?」
「うん、うん…全部シャーリーの好きにして…あたしの全部、奪って…?」



あたし達は、こんな夜遅くに重なる。


――好きであればあるほど、その人の事が心配になる時ってある。

でも、その好きな人から暖かい言葉を貰う事だけで、今在る心配は少しでも和らぐ気がするんだ。

だって、シャーリーもあたしと同じだったから。

ごめんね、シャーリー。
余計な心配させて。

でも、聞いて、シャーリー。

今度はあたしが、シャーリーの心配を癒やしてあげるから。
…だから、あたしの胸にも飛び込んで来てね。

朝目覚めたら、真っ先にこの事をシャーリーに伝えよう。


世界一、大好きなシャーリーに。


END


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