you and me


私は501解散後も扶桑には帰らなかった。
理由? 勿論ひとつに決まっている。
扶桑には大切な友達のみっちゃんも居るし、お母さんとお祖母ちゃんも居る。
だけど、私に出来る事。私にしか出来ない事。それを見つけた様な気がして。
それは……、ここブリタニアでしか出来ない事。
(だから、ごめんね、扶桑のみんな。帰るのはもう暫く……)
ふうと息を付き、天を仰ぐ。陽射しが緩やかに顔を照らす。
「芳佳ちゃん?」
微笑みかけるその瞳。リーネちゃんの笑顔。
「どうしたの? 疲れた? 少し休憩する?」
ブルーベリーに囲まれて、私達は摘み取り作業をしていた。
リーネちゃんの実家に広がるブルーベリーの農場。
私とリーネちゃんは、朝食もそこそこに、最盛期となったブルーベリーの摘み取りをしていた。

ちょっと前の事が嘘みたい。
ブルーベリーを皆で食べて……舌を青くして笑い合ったり、そんな事もつい昨日の事みたいに。
それ程今のブリタニアは平和なのだけど、リーネちゃんはブリタニア空軍のウィッチとして、
しなければならない事が山ほど有るはずなのに。
私と一緒に生きる道を選んでくれた。私が扶桑よりもリーネちゃんを選んだのと同じ理由なのかな。
ブリタニアでは慣れない事も多いけど、慣れた事も多い。
全部リーネちゃんのお陰だよ。
私達は木陰で束の間の休憩と、少しばかりの仮眠を取り、そしてお互いの気持ちを確かめ、軽く微睡む。

貴方と私。
まるで昔からの幼馴染み同士みたいに流れていく日々。
だから好き。貴方の事が。
好きだから、いつも会いたい。いつでも一緒に居たい。
「芳佳ちゃん、おかしいの。くすくす笑って」
ううん、嬉しいんだ。こうして、リーネちゃんと一緒に居られる事が。
楽しいよね。平和って良いよね。
リーネちゃんの軍服も好きだったけど、普段着もとっても似合うよ。
私? どうかな。ちょっと微妙かも。リーネちゃんのお下がりだから、サイズが……
怒らないで。そう言う意味じゃないから。本当に。

このブルーベリーはどうするの? ブリタニア空軍に差し入れ?
ジャムにして、扶桑に送ろうかなあ。坂本さん、喜んでくれるかな。
そうだ! カールスラントやスオムス等で頑張ってるみんなに贈るの、どうだろうリーネちゃん?
「それ良いね! きっとみんな喜んでくれるよ!」
ありがとう。じゃあ、もっと沢山摘み取らないとね。
あと、ジャムの作り方も教えてね。
他の事も、まだまだ教わり足りない。もっと色々、リーネちゃんには教えて欲しい。

「芳佳ちゃん、今日はニヤニヤしっぱなしだよ?」
そんな事ないよ。リーネちゃんの笑顔見てたら、つい。
昨日もステキだったし、今日も勿論。
明日のリーネちゃんも、きっと綺麗。

end


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