Plural-episode-7-
芳佳ちゃんを部屋に招き入れる
なんだか二人とも同じタイミングで会おうと思うなんて少し可笑しくて嬉しかった。
「さっ座って」
「うん」
そう言って二人でベットに座る
芳佳ちゃんとちゃんと話そうと思う
これからのことと私の事を
・・・でもなにから話そう
うーん
そう考えて先に芳佳ちゃんが口を開いた。
「・・・あのね・・・私リーネちゃんの事がすごく大好きで大切だったの。だからリーネちゃんが私をかばって怪我をした時すごくショックだったし
怪我をさせてしまった自分が許せなかった。だから今度は私がリーネちゃんを守るんだ!って思ったんだ。
だから今まで以上に訓練もしてネウロイとも戦った。・・・・・・・それがリーネちゃんのためだと思い込んでね。ひとりで空回りしてたんだ」
力なく笑う芳佳ちゃん
全部私のための行動・・・
でも私はその姿を見て早く記憶を取り戻そうと思ってしまった。
・・思った以上に心配を掛けてしまった。
こんなに大切に思われていたのに
うん、今度は私が話さないと
「ねぇ芳佳ちゃん・・・・私まだ気がついてからほんの少ししかたってないけど、その間でも芳佳ちゃんに迷惑かけっぱなしだったよね。
初めてあった時からお世話になりっぱなし、記憶が無くて周りは知らない人ばっかりで、それでいて自分のことさえ分からなかった。
でもね芳佳ちゃんが居たからがんばれたんだよ?一生懸命世話してくれて嬉しかった。
でも・・・・・私は・・・・・私が記憶を失ったことで芳佳ちゃんに罪悪感を持たせたくなくて・・・・・それで私も焦ったんだと思う。
ストライカーや銃を撃てばなにか思い出せる気がして・・・芳佳ちゃんの気も知らずに・・・勝手なことして・・・」
大切だから
相手の事を思ったから
だから私たちはすれ違ったんだ
「ごめんね・・・私は芳佳ちゃんを私で縛りたくなかったの。
芳佳ちゃんは優しいから記憶が戻るまでずっと私の事を気にしそうで・・・それでが怖くて・・・」
「・・・・」
私は芳佳ちゃんが好き
だから芳佳ちゃんが私の隣に居てくれるのは嬉しい
でもそれは私が記憶が無いからでは?そう考えてしまう
私は芳佳ちゃんと二人で居たい
昔を取り戻すより今を二人で生きたい
だから・・・
「ねぇ芳佳ちゃん・・・・今の私じゃだめかな?今の私は芳佳ちゃんの隣に居てもいいのかな?」
私の言葉を聞いた芳佳ちゃんはちょっと驚いてそれから優しい笑顔を向けてくれた
「今も昔も私は‘リーネちゃん‘が好きだよ」
これから二人でゆっくり歩めばいい
ゆっくりでいい
私達は焦る必要などもう無いんだから
「私も芳佳ちゃんが大好きだよ」
想いは口にしなきゃ伝わらない
「だから二人でゆっくり進もう?」
「うん」
私達は私達のスピードで歩めばいい
急ぐ必要なんかない
「えへへ、なんか照れるね」
「だね」
嬉しくてふわふわする
こんな気持ちは初めてだ
「・・・・・ねぇリーネちゃん私が今なにしたいか分かる?」
芳佳ちゃんが赤い顔をして尋ねてくる。
彼女がしたいことは多分きっと、私がしたいこと。
でも・・・
「んーなんだろ?」
「・・・・リーネちゃん分かってるのに言ってるよね?」
「うん。でも言葉にしなきゃ伝わらないよ?」
「むー・・・・ねぇ・・・・リーネちゃんキスしていい?」
その要望に私は迷うことなく応じ
唇を重ねた
◇
最近宮藤さんが前と同じようによく笑うようになってきた。
リーネさんも一緒だ。記憶を失う前となんら変わりがない
この数日前とは別人のようだ
どうやら私の不安は思い過ごしのようだ
今も二人で仲良く料理してる
「リーネさん宮藤さん」
「ミーナ隊長」
「ふふっ、二人ともなにか良いことでもあった?」
「えっ・・・・あっはい」
「なら良かったはここ数日のあなたたちは少し不安だったから」
「もう大丈夫です」
「そう。でも無理は駄目よ」
「はい」
「みんなにお礼言わないとね」
「うん」
「・・・・・リーネちゃん記憶はどう?」
「うーん今のところ変わりなしかぁ、訓練で身についてた事はなんとなく出来るんだけど」
「そっか・・・」
「・・・芳佳ちゃんあのね、記憶はねいつか戻ればいいよ。それよりも私はこれからの芳佳ちゃんとの未来のほうが大切なんだ」
だから私達はもう一度始めればいい
過去は確かに大切だと思う
でももっと大切な未来を二人で見ようと思う。
だから―――
「ねぇ今日はどうするの?」
「うーん、リーネちゃんはどうしたい?」
「えっーと、とりあえずその事を二人で話そうか」
「うん」
まずはその一歩を踏み出そうと思う。
end