nest


エイラはぼんやりと目覚めた。
「……ここは何処ダ?」
考えが巡らず、思った事がそのまま口に出てしまう。
まだ瞼が重い。寝ていたのか。
「ああ、良い匂いダナ……まるでケーキか、サーニャみたいに甘くテ……」
ふと横を見る。
サーニャが一糸纏わぬ姿で横になっていた。
「おワ? サーニャ?」
名を呼ばれたサーニャはエイラに擦り寄ってきた。眠たそうな目をしている。
エイラを抱くと、ぺろっとエイラの唇を舐め、そのまま互いの唇を重ねた。
突然の事にエイラは何が何だか分からず……何故サーニャがこんな事をしてくるのかまるで理解出来ず、
けど、お互いの舌が絡み、サーニャを味わっているうちに瞼が重くなり……
エイラは本能の赴くまま、目の前にいる愛しの人を貪った。

エイラは目覚めた。
上のシャツを一枚だけ羽織ったサーニャが、エイラを介抱している。要するに膝枕だ。
「あ、エイラ。起きた?」
サーニャの甘い声。エイラはサーニャの太腿に手をやり、また寝ようと……
……違ウ!
がばっと跳ね起きた。
「さ、サーニャ、一体これハ?」
「分からない。二人して抱き合って寝てたから……」
「ここ、何処ダ?」
「エイラの部屋」
見回した。確かにここはエイラの自室。
「どうしてサーニャと私ガ?」
いきさつを思い出そうと思い出す。確か……夜間哨戒で疲れたサーニャを……
それは昨日の晩の話だ。時計を見る。まだ夕食前。
そうだ! ロビーに行ったら皆でケーキの話をしてた。皆でケーキを作ろうと言う事になって
私達も参加しようと……アレ? その辺りからの記憶が全く無い。
サーニャを見る。ぼんやりと眠そうな顔をしている。頬に、首筋に、鎖骨に、耳の後ろに、
胸に、腕に……後はもう分からない位にキスマークが付いている。
「サーニャ、どうしたンダこれハ?」
「エイラ」
言われて自分も見る。サーニャと同じ事になっている。
「な、なんダコレ?」
「その……」
サーニャはそれ以上言えず、うつむいてしまった。
もしや……自分の記憶が無い所で、サーニャにこんな事やあんな事を……
エイラの頭を激しい勢いで想像(一部妄想)が駆け巡る。青ざめた。
「ご、ゴメンサーニャ! 私、そんなツモリジャ……」
慌ててサーニャに謝った。
サーニャは少し恥ずかしそうに、顔をそむけた。
「ごめんナ、サーニャ。私のせいデ、その……何でこうなったか、分からないケド……」
「エイラ」
「頼む、私の事、嫌いにならないでクレ!」
「違うの、エイラ」
サーニャがエイラの顔を見た。エイラの顔を両手ですくい上げる格好になる。
「私……嬉しかった。エイラとするの……とっても、気持ち良くて」
「さ、サーニャ?」
「だから……その」
「?」
「エイラ、好き」
サーニャは言うと、エイラの唇を塞いだ。パニック寸前になるエイラ。
「続き……しよ?」
サーニャの懇願か、誘いか。断る理由もなく、嘆く必要も無い。目の前に居る、愛しのひと。
エイラは心の底からそのひとの名を叫び……、再び、お互いを味わい尽くす行為に没頭した。



明け方。
目を覚ました美緒は、何故自分がミーナの部屋に居るのか分からなかった。
ベッドとその周囲が、らしくもなく荒れている。
そして何故ミーナが幸せそうな顔をして、自分に抱きついたまま寝ているのかも、分からなかった。
「はて……何故こうなったんだ?」
美緒は寝たまま、自分の頬をぽりぽりと掻いた。そこで気付く。結んだ髪が解けている事も。
ミーナは眠たげにうぅん、と擦り寄ると、美緒に熱いキスをしてきた。
絡まる二人の髪。
既にお互いの身体には、幾つもの痕が残っていた。何を意味するか、今更考える必要もない。
「美緒……」
ミーナは美緒をぎゅっと抱き直すと、もう一度、唇を合わせた。
「ミーナ」
お互いの吐息が絡まる中……
まあ、良いか。
美緒はそう完結し、ミーナの誘いに乗った。

end



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