いたずらは弱点を的確に


「きゃああああああ!!!」

基地中に響く叫び声。
しかしこの世の終わりを見たような叫びを聞いても501の隊員たちは皆またか、といった様子でそれぞれの日常に戻る。

叫び声をあげたのはリネット・ビショップ。
叫び声の原因を作ったのはエイラ・イルマタル・ユーティライネンと、フランチェスカ・ルッキーニ。
この2人が関わってくるとすればいたずらしかなく、それはこの基地にとって日常茶飯事なのだった。

「ニシシシ!やっぱりリーネは良いねぇ~!」
「ダナ。あんなリアクションとれるのはリーネだけだもンナ」

目の端に涙を滲ませながら笑いが収まるのを待つ2人。

「エイラさん?ルッキーニさん?ちょっといらっしゃい?」

まだ笑いが収まっていなかったはずなのに、その声を聞いたとたん顔が青ざめ、冷や汗までかき始める。
今度は2人の悲鳴が響く番だった。
この世が終わった方がマシだと言わんばかりの悲鳴を聞いても501の隊員たちはやはり気にも留めない。


――――――

「ちぇー。トイレ掃除カヨー」
「ウジュ~」

ミーナの部屋から頭を押さえながら出てきた2人の目には先程とは別の涙が光っていた。

そんな日々が続いていたある日のこと。

「ン?なんだ?写真?」

エイラが廊下を歩いていると、角に1枚の写真が落ちていた。
誰のか知らないけど届けてやんないとナー、と思い拾って何が写ってるかを見る。

そこにはエイラの愛しのアイドル、サーニャの姿があった。

「……コ、コレハ…!サーニャの写真!なんでこんな物ガ…!」

興奮しきった様子で周りをキョロキョロと見回し、誰もいないのを確認すると舐めるように写真を見始めた。
アア、カワイイ…。サーニャぁ…。
数分後トリップしていた頭がやっと戻ってきて、思考を写真の中身からなぜこんな写真が、に振り分けることができるようになったエイラは、再度周りを見回す。

「!なるほど…。これは罠ダナ」

1枚目が落ちていた場所から、5mほど離れた床に、もう1枚の写真が落ちている。もっと奥に目をやるとさらにもう1枚写真が落ちていた。

「フフン。ルッキーニの仕業ダナ。私がこんな罠に引っかかるとでも思ってるのカ」
「いくらサーニャの写真だからといって考えが甘すぎル」
「もうちょっと凝った罠を仕掛けてもいいんじゃナイカ?」

しかし口ではそう言いながら1枚、また1枚と写真を拾っていく。
気づけば隊長室の前まで誘導されていた。

「フウ。バレバレな罠を仕掛けるなんてまだまだダナ」

一息ついて、今まで拾ってきた戦利品を物色すべく部屋に戻ろうとする。
すると扉が開きミーナが出てきた。

「あら、エイラさん丁度いいところに。坂本少佐にお使いを頼みたいのだけど」
「ウエッ、い、今ちょっと急いでるんだケド」
「じゃあこれを届けて頂戴。お願いね」

と書類を押し付けて再び部屋に戻ってしまった。
坂本少佐にお使い。それはすなわち要件終了後の訓練も含んでのことを言う。

「ちょ、中佐?私忙しいんだってバ!」

しかしミーナは部屋から出てくる気配がない。

「なんでこうなるんだヨー…」

かくして、エイラが部屋に戻れたのは日が沈みかけた時間になってからだった。


―――――――

「くそー。ルッキーニの奴…。覚えてろヨー…」
「今日はエイラがやられたの?」
「アア、写真にやられタ」
「写真?」
「そう、サーny…。じゃない!今のナシ」
「サー…、って私の写真?」
「ち、ちが…。サ…、サー、バルクホルン大尉の撮った写真でもミニイコー」
「エイラ、見せて」
「ダメダダメダ!コレばかりはムリダナ!」




「ニヒヒヒ、やってるやってる~」
「ルッキーニ、エイラの部屋の前で何してんだ?」
「あっ!シャーリー!えっとね、今日の成果を確認してたの!」
「ふうん、今日のターゲットはエイラだったのか。なかなか面白そうだな。あたしに聞かせてくれるか?」
「うん!あのね―――」

END


コメントを書く・見る

戻る

ストライクウィッチーズ 百合SSまとめ