あいしてる
キスでもされるのかと思った
首に腕を回し
いつものあの声を
本気なのか嘘なのかわからない声を
かけられるかと思ったんだ
でも今日はちがった
彼女はへんに真面目な顔をして
私の目から目をそらさずに
小さくつぶやいた
ねえトゥルーデ
私のこと見てる?
なんでそんな目をするんだ
なんでそんな声で聞くんだ
そんなの 決まってるじゃないか
……見てる
いつだって見てるさ
ばかにしないでくれないか
ただの一度だって
目を離したことはないんだ
じゃあ
私のこと好き?
なにを弱気になっている
おまえは黒い悪魔だろう
好きだ 他の誰より
それでも安心できない彼女
じゃあもうひとつ
あいしてる
世界でいちばん
あいしてる
よかった…
ためいきを一回
そして満面の笑み
腕が離れていくけれど
ちょっと待ってくれお嬢さん
言わせ逃げはゆるさない
がしっとつかんで視線を送る
仕方がないなと頬をかきながら
私もあいしてるよ トゥルーデ