独占欲


そろそろ一年も終わりということで隊では大掃除をすることになった
普段まめに宮藤とかが掃除してるから、基本的には自分の部屋の掃除
あとミーティングルームとか共用スペースは分担してやることになった。
私とサーニャは二人ですることにした。
割とどちらかの部屋に入り浸ってることが多いので、自分の部屋のようにお互いの部屋を知っているので効率もいいし
それに二人でいられるからだ。
 
まずサーニャの部屋をしてその後私の部屋。
と言っても元々家具くらいしか無いサーニャの部屋は掃いたり拭いたりする程度ですぐ終わった。
ということで残るは私の部屋はわけだが

「・・・ねぇこれどこにしまえばいいの?」
「えーっとそこの棚に入れといて」

占いの道具が多すぎて整理が大変だったりする
普段使えばしまうようにしてるので部屋自体は散らかってないが、折角大掃除ということでちゃんと整理して
あまり使わない道具とかを綺麗に拭いたりしていたらかなり大がかりな掃除になってしまった。

「うーん予想以上に大変になったな」
「そうだね」
「ごめんなー私の部屋のほうが大変で」
「別にいいよこれくらい」

そう言って微笑んでくれるサーニャを見て癒される
・・やっぱり二人でしてよかった
一人だと挫折してたかもしてない

「よし道具の掃除は終わったから後はしまうだけだな」
「結構時間かかったね」
「少し磨くのに熱がはいっちゃねったからなー。しまうのは私がやるからサーニャは休んでていいぞ」
「えっでも・・・なにかすること無いの?」
「うーん後はしまうだけだからナァ・・・そうだ本の整理をしてくれないか?」
「本の?」
「そっ別にいいとかと思ってたけど、棚の本の順番がさバラバラだったりするからそれを直してくれ」
「わかった」
「よろしくなー」

うーむサーニャに随分手伝わせしまった。
休んでて良いといっても聞かないからなぁ
普段お世話になってる恩返しらしい
 
「・・エイラ随分本読むんだね」
「あーまぁ趣味の本だし自然と増えちゃって」
「へぇ結構古そうな本もあるんだね」
「あぁスオムスから持ってきた本も有るぞ」

全部無理だったからお気に入りの本を厳選して持ってきた
中に結構レアな本も有る

「本当に占いすきだね」

サーニャのほうが好きだぞ!
とか言おうと思ったが恥ずかしくて言えなかった
うん来年はもう少し積極的になろう

パラパラとページを捲るサーニャ
私なら掃除中に本なんか捲ったら掃除そっちのけで読んでしまう
だからサーニャに本を任したのだ。
サーニャは内容より挿絵の図や魔方陣などを眺めていた
いかんいかんサーニャを眺めて私の手が止まっていた

「ん?」
「どした?」

手を止めずに聞く
なにか知ってる魔方陣が有ったのかな?

「ちょっと挟まってる物が有って・・・・」
「ん?」

サーニャの手には二つに畳まれた紙が握られていた

んーどっかで見たこと有るような・・・・

「手紙?」

そう言って紙を広げる
おいおい勝手に・・・
それにしてもなんだろ手紙?
・・・・・なんだろ思い出せそうで思い出せない

「ふーん」
「どっどうしたんだ?」
「別に」
「なぁなんの手紙だそれ?」
「エイラのでしょ」

はいっと渡される
あれ?サーニャ怒ってる?
とりあえず渡された手紙を読んでみる

「あっ!」
「・・・あっ!てなに?」
「いや・・・」

これはスオムスに居た頃渡された手紙だ
新人の部下にある日渡された手紙
内容はうんまぁ予想通りの事が書いてあった

「・・・昔の手紙だ」
「エイラ昔からモテたんだね」
「そっそんなこと!」
「無いの?」
「・・・ナイヨ?」
「怪しい」

うー確かにこういう手紙は結構貰った
でも今は関係ないわけで・・・

「ブリタニアまで持ってくるほど大切な手紙だったの?」
「いやこれは・・」

本に挟まってただけで・・・


「その人とどういう関係だったの?」
「えーと」

なんだろ部下?
友人にしては交流が少なかった気がするしやっぱ部下かなぁ

「・・・・私には言えない関係なんだ」
「えっ!」
「もういい」
「サーニャ!」

違う部下かどうかで迷ってただけなんだ
と言うことしたがサーニャはもう部屋に居なかった


 ◇ 


「という事が有ったんだよ」
「へー」

あの後途方に暮れていて
とりあえずミーティングルームに行ったら
ハルトマン中尉が居たので相談することにした

「そういえば中尉掃除は?」
「トゥルーデがしてるよ」

邪魔になるかたここにいるらしい
なんだかんだで面倒見が良いな大尉は

「なぁどうすれば良いと思う?」
「さぁ」
「おい少しは真面目に聞けよ」
「だってさーそれただの惚気じゃん」
「えっ」
「昔の恋人の事とか自分のしらない過去のこととかが知りたいんでしょサーニャは」
「そうなのかなぁ」
「そうだよ。手紙で見た昔の恋人に嫉妬しちゃって可愛いねぇ」
「なっ!あいつは部下でそんな関係じゃないぞ!」
「そのことサーニャに言ったの?」
「・・・・・・言う前に部屋から出て行った」
「あーあ駄目駄目だねぇ」
「今から言ってくる・・・」
「でもさぁ今から部下だって弁解しても怪しくない?」
「そうかな?」
「まるで浮気がばれた亭主のようだねエイラ」
「なっ!私はサーニャ一筋だぞ!」
「あーはいはいごちそうさま」

しまった随分恥ずかしいことを大声で言ってしまった
うぅ中尉以外に聞かれて無いよな・・・
 
「恋する女の子は自分の好きな人の過去とか知りたいんだよ」
「そうなのか?」
「じゃあエイラはサーニャに昔恋人が居ても気にならないの?」
「・・気になる」
「でしょ?」

確かにサーニャの昔の事は知ってるようであんまり知らない
訓練時代に仲の良い人が居たとか
私の知らない過去
私の知らないサーニャ

「おーい戻ってこーい」
「はっ!」
「暗いよー」
「そうか?」
「まっ!サーニャの気持ちが実感できたところで後は頑張って」
「どうやって頑張ればいいんだよー」
「それは当人どうしの問題でしょ」
「うー」
「だからそろそろ出てきたらサーニャ」
「えっ!」

中尉の言葉と共に
おずおずと扉から入ってくるサーニャ
全然気がつかなかった・・・

「お邪魔虫は消えるねー」

そう言って部屋から中尉は出て行った

「どこから聞いてた?」
「・・・・・・エイラが事情を説明してた辺りから」
「最初からじゃないかよ」
「・・・うん」
「・・・そっか」

しまった会話が続かない
うーんなに言えばいいんだ

「ねぇあの手紙の人とはホントにそんな関係じゃないの?」
「あっああ、あいつはただの部下だ」
「でも手紙・・・」
「あれはたまたま挟まっただけで深い意味は・・・」
「・・・・ねぇエイラは今まで何人と付き合ったの?」
「えっ!」

矢継ぎ早に質問される
・・・・というか私そんなに軽そうに見えるのかなぁ
自分は結構一途だと思ってたけど周囲の目は違うらしい
まぁ普段の自分の行動を考えれば分からないでもない

「私はサーニャ一人だけだぞ」
「ホントに?」
「ホントだ」
「ホントに?」
「うーどうすれば信じてくれるんだよー」
「ふふっ大丈夫信じてるよ。さっきあんな大きな声で言ったんだから」
「うっ」

そういえばさっき大声で随分恥ずかしい事を言った事を思い出し
その時サーニャはばっちり聞いてたわけだ

「あーうんまぁそう言うことだ」
「どういうこと?」
「だから・・・・その・・・今も昔もサーニャダケダカラ・・・」

恥ずかしく最後小声になってしまったがサーニャにはちゃんと聞こえたらしい
嬉しそうに抱きついてくる

「そっそういえばサーニャはどうなんだよ!」
「私?」
「そうだよ私だけ言ったら不公平だろ?だからサーニャの過去も教えろよー」
「私は――」

そう言って私の首に手を回しぐいっと引き寄せ耳元で

「今も昔もこれからもずっとエイラだけだよ」

と言いって、ぎゅっと抱きついてくる
私もそれに答えるべく腰に手を回し
そっと顔を近づけて――




「オホンっ!」
「「!!」」


そう、わたし達は肝心なことを忘れていた
ここは‘ミーティングルーム’だと言うことを

見るとそこにはミーナ中佐とハルトマン中尉が居た

「あなたたいここでなにしてるかしら?」

にこやかに尋ねてくる
笑顔が怖いです中佐

「ちょっと色々ありまして・・・」

苦し紛れに答えてみる

「二人で痴話喧嘩してたんだよー。まぁもう元に戻ったみたいだけどね」
「あっ!こら」

あっさりバラされた
やっぱり中尉に言うんじゃなかった・・・

「へぇそうなのエイラさん?」
「えっ・・まぁそのような感じです」

うぅ顔は笑ってるけど怖いですよ中尉

「仲直り出来たのは良いことだけど、さすがにここでそんな事するのはまずいわねぇ」
「・・・はい」
「それととりあえず二人とも離れなさい」
「あっ」

ビックリして抱きしめたままだった

抱きしめてキスすしよとしてた所を見られた
もうどんな言い訳も通用するわけが無い。

「へーエイラ二人だと結構大胆なんだね」
「そっそんなんじゃねーよ」
「そうなの?」
「おいフラウお前自分の部屋の掃除を――ってミーナ?」
「あっトゥールデ」

バルクホルン大尉が入ってきた
あぁどんどん人が増える・・・

「エイラとサーニャもどうした集まって?」
「いやさぁ実は二人がさ」
「あっこら!」

と言う間に説明されてしまった

「・・・・随分仲良くなった物だな」
「あっトゥールデちょっと照れてる?相変わらず初心だなー」
「なんだと!」
「そんな怒んないでよー」

そう言って笑いながら中尉は走って逃げてしまって、それを大尉が追っていてしまった

「・・・まったくあの子達は・・とにかく貴女たちは自分の部屋の掃除をしなさい」
「「はい・・」」

 ◇ 

実はこの後サーニャとの痴話喧嘩を中尉によって隊全体に広められて
盛大な冷やかしを受けることになるの事を今の私はまだ知らなかった。


終わり


コメントを書く・見る

戻る

ストライクウィッチーズ 百合SSまとめ