密航者も楽じゃない!?な日


「なあ、五色。」
「何?」
「好きだ。」
「えっ!?」
「愛してる。ずっと言いたかったんだ。」
「疾風……


 それはつまりギブアップ宣言なのかな?」


「だってもうムリだし……。」
「ムリじゃないっ!!このコンテナから出られなかったら、
 私たちブリタニアに着く頃には干物になっちゃうんだからね!?」
「でも開かない。」
「万一開かなくてもきっとどこかに抜けられる穴かなんかが……」
「ない。」
「じゃあどうすんのよ!」
「さあ?」

────────

「……大体ね、計画もナシにこんなとこ潜り込んでね、
 どうにかなるって思ったとこから既にして甘かったのよ。」
「ノリノリだったくせに……。」
「言い出しっぺが言うなあ!
 あーもう、こんなことならせめてナイフくらいは持ち歩いておくべきだったな……。
 やっぱり私、軍人としてダメな出来損ないなのかな……。」
「そんなことない。五色はちゃんといいとこあるよ。」
「ほんと!?例えば?」
「えっ、いや、えっと、五色は可愛いしそれに、それから、あー、うーん……

 ……可愛いし。」
「同じだよ!しかも見た目は軍人的には重要じゃないし!!」
「いいから五色も少し休め。肩肘張っててもいい結果は出せないだろ。」
「あっ、……ごめん。」
「ううん。」

とすっ

「はあ……」

「五色。」
「何?」
「そこ私の足。」
「うそ、ごめん。暗くてわかんなかった。」
「罰ゲーム。うりゃ」
「うひゃあ!?」

ふにっ、ふにっ

「相変わらず育たないな。」
「やっ、ちょっ、やめ、んっ」
「この胸とももうおさらばか……」
「ふあっ、は、疾風、何言って」
「なあ五色、私さっき、冗談で言ったわけじゃないから。」
「へっ?」
「好きなんだ。いつかこうしてみたかった。」
「……それって」
「ごめん五色、私は後悔したくないんだ。」
「!? どこ触って───んあっ!!ちょっと、疾風、……やっ、んんっ!」
「好きだよ五色。愛してる……。」
「イヤっ、こんな、やだ、やめ……っ!!」
「五色の体、やわらかいな。」
「やめて疾風、お願い、やめて、やめ……



 やめてっつってるだろうがー!!」

べちーん!!

「痛い」
「あのね、言っとくけど、私はまだ死ぬつもりはないからね!?
 ここから出る気満々なんだから邪魔しないでくれる!?」
「……」
「そんなに私が欲しいならせめてここから出してから言いなさいよ!
 こんなところで野垂れ死になんて、死んでもお断りだっつーの!!」

「ここから出せばいいのか?」

「うん?」
「それは私がここから出せば、五色は私のものになってくれるって意味なのか!?」
「いや、それはその」
「扶桑軍人に二言はないな!?」
「ちょっと、疾風───」

すぅー

「そいやああああ────!!!」

────────

「とまあ、そんな調子で色々大変な思いをしたわけ。」
「コンテナの壁って素手で破れるものなの……?」
「だから密航って簡単に言っても楽じゃなかったんだぞ。
 厨房から缶詰いっこ奪うのにどれだけ苦労したか……」
「ろくに日の光も浴びられないし……」
「潜水艦状態だったからな。」
「お風呂どころか水浴びすら滅多にできないし……」
「ていうかまずトイレがいちいち面倒だった。」
「そうそう。見つからないように交代でね……。」
「へえー……二人とも大変だったんだね……。」
「ほんと、もう二度とごめんだわ!」

「で、疾風ちゃんと五色ちゃんは付き合うことにしたの?」
「聞いてくれ芳佳、こいつときたら──」
「わーっ!!わーっ!!」
「せっかく助かったのにちゅーもさせてくれないんだぞ?」
「五色ちゃん……?」
「もぉ勘弁して……。」
「(ここだけの話、寝てる時にこっそり初ちゅー奪ってやったけどな)」
「(ちょっ……疾風ちゃん意外と大胆だね……)」
「そこ!二人でひそひそ話しないでよ!」
「五色ちゃん、自分で言ったことには責任を持たなきゃダメだよ?」
「だからあれは勢いっていうか言葉の綾で……!」
「言い訳無用!五色ちゃんは約束を破った罰として、
 疾風ちゃんの言うことを何でも一つ聞いてもらいますっ!」
「そ、そんな───」
「五色……(ゆらり)」
「タタタンマタンマ!!ちょっと芳佳───!?」
「じゃあ私は訓練の時間だから!」
「五色……(ハァハァハァ)」
「待って芳佳お願い助けちょっまっやっ

 いやあああああああ!!」


endif;


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